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2005.04.10

親指シフトキーボードと入力の話題その2

親指シフトキーボードと入力の話題には杉田さんから

もう少し考えがまとまりましたら、また書きます。

かえでさんから
カナ系の復権…いやそれ以前に「日本語入力に関する再考時期が来ていること」を、もっと多くの人に知ってもらう必要があるのではないかと感じます。

とコメントをいただきました。

親指シフトキーボードと入力の話題ではきれいに書きすぎたという感じですが、わたしの当時の事情を細かく説明します。
ちょうどワープロが発売されたころの1979年ごろにソフトウェアの販売を企んでいました。
ソフトウェアを販売しようというのですから、実際にアプリケーションを制作していました。
ここらの年表にすると

1977-78 東芝・シャープが試作品を発表
1980    富士通オアシスを発表
1982    日電PC9801を発表

わたしが作っていたのはPC用のアプリケーションではありません。(PCがまだ無かった時代なのです)
当然、キーボードにはカナの表記はなく日本語入力も出来ないのが当時の常識でした。
ところが商品として売り出すアプリケーションですからマニュアルが必要になります。これをどうするか?で悩んでしまいました。
競合各社の当時のマニュアルは手書きのジアゾコピーで10枚も無いもので、とても商品版とは言えないようなものでした。
そこで、当時発表されたばかりのワープロの使用を考えて、キヤノンとオアシスを実際に試してみました。
その結果としてオアシスを選択しましたが、いくらなんでも数百万円では買えませんから、ショールームに置いていた会社に交渉して、夕方から3時間ぐらいづつ使わせてもらって、半月ぐらいかけてマニュアルを打ち込んでしまいました。

つまり、当時はプログラムを作る時にはコンピュータでマニュアルを作る時には親指シフトでといった使い分けを強制されたわけですが、なにしろ別の機械なのですから別に問題にはなりません。

1987年にはパソコン通信が出来るオアシスを買ってNIFTY-Serveの会員となった時にはかなり人の多くがオアシスを使ってパソコン通信をしていて、その理由の一つに日本語入力が簡単に出来る、ということがありました。
実際、PCでの日本語入力方式がスペースで変換に統一されるなど試作品の域を抜け出すのは1988年以降です。パソコン通信が始まった当時には半角カタカナとか英文で書くといった方も居て、その中ではワープロで通信するから日本語が誰でも表示出来るというのは大きなメリットでした。

一方、PC9801はパソコンとして普及し始めますがワープロソフトが未完成なこともあって、汎用の事務処理ではなくて特定業務に専用に割り当てられる時代が長く続きます。
わたしの関わっている分野のCAD/CAMや計測装置としての使用などです。一番象徴的だったのはわたしのクライアントの会社で三次元測定装置を使っていたのですが、その装置のデータを取り込むのが(専用の)PC9801、その隣にそのデータを報告書にする(専用の)PC9801という構成がありました。
しかもこの2台のPC9801には専任のオペレータが居て、お互いに相手のPC9801の操作を知らない。こんな時代だったのです。

繰り返しになりますが、この当時はコンピュータはそれぞれの仕事に専用であるのが当たり前の時代で、ワープロもワープロという専用機であるのが当然だったのです。
しかし時代はすぐにPC9801でワープロソフトが動くようになり、FEP(現在のIME)もどんどん進化したので「日本語を入力するのに親指シフトキーボードが優れている。だからPCにも親指シフトキーボードが良いのだ」となって、親指シフトキーボードがローマ字入力を攻める、という構図になったとわたしは理解しています。

富士通がパソコンに親指シフトキーボードを装備したのがいつ頃なのか調べることが出来ませんでしたが、上に書いたように当時の状況はPCをワープロとして使うのは最優先ではありません。ワープロの仕事は専用機のワープロに任せるだったのです。
PCとしての専用機としてはPC9801が圧倒的なリードをしていたので、ワープロでリードしていた富士通がPCでワープロをと企画するのは当然ですが、なにしろ優先度が低いし当時のMS-D0Sは機種毎にアプリケーションを作り直す必要があるので、これでは親指シフトキーボード装備のパソコンで売れるわけがない。

このような構図の時に「日本語入力もローマ字が良い」とする意見が出てきました。
それが「PCが普及したのだから、ワープロもローマ字入力」ということで、そこに学校教育の問題がからんで「親指シフトは富士通一社の仕様だから一般的とは言えない」となり、ゴチャゴチャな論争となって、あげくに「親指シフトを世界に普及させるべきだ」といった先走りな主張も出てきて、親指シフト信者などと言われて嫌われるといったことになりました。

話しを元に戻すと仕事や機械によってキーボードが違っても問題ない、とわたしは思っています。その点で現在の Windows ではキーボードを取り替えることが使用中は出来ません。
例えば、USBコンパクトで日本語入力をしつつハッピーハッキングを英語キーボードとして使ってプログラムを入力するといったことが出来ない。ここらが改善されると随分便利になると思うのです。
実際、欧文が英文に統一されつつありますがそれはネット上のことなのでしょう。ネット以外の各国文化のためにもキーボードは統一ではなくて併用であるべきなのでは、と思うこのごろです。

11:09 午前 カバンPC |

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コメント

 富士通最初の親指シフトパソコンは1984年発売のFM-16βだったと思います。これは、この機械の開発中に神田さんがFM部門のトップになったので、たぶん間違いないと思います。
 尤も、私は、ベティーユーザながら、JISキーボードでしたが。

投稿: 神北恵太 | 2005/04/10 15:12:21

「また書きます」と言いながら、実はまだあまり考えていません。宿題を残している感じですが・・・。
FM-16βについては、
http://www.ipsj.or.jp/katsudou/museum/computer/4110.html
に説明があります。これを見ると神北さんのおっしゃられる通りのようです。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2005/04/10 16:32:11

 モニタやHDDなどの出力先はそれぞれ指定できるのに対して、マウスとキーボードは一緒くたに扱われているというのは、確かに「文字入力を行う上では少々不便」なのかもしれませんね…。
 私の場合は、同じ配列のキーボード(JISキーボード同士)を2本PCに繋いだことはあるのですが、異なる配列のものをPCに繋いだ経験がないので、そういう問題が発生しうることには気づけずにいました。

 しかし、このような時代背景でしたか…
 私は断片的に(知識として)しか知りませんでしたので、こうして時系列順に並んでいるのをみて、はじめて「親指→ローマ字」の状況が頭の中で整理できた気がします。

 PC98とローマ字入力がほぼシンクロしていたとなると、ローマ字入力がデフォルトだった人の世代はかなり広い(現時点も含めると20年弱分)事になりますか。
 以前起きたという「論争(反発)」だけは避けたい(当時とはユーザ数があまりにも違いすぎる気がする)ですので、何かこう「自然に・自発的に」他の入力方法があることに気づいていただける方法はないだろうかと、微力ながら模索中です。

投稿: かえで(yfi) | 2005/04/10 19:41:03

PC/AT互換+106日本語キーボード+Windows への移行期に、カナ入力環境が悪化した時期がありまして、それでJISかな入力からローマ字入力に転向した人もいたように記憶しています。

ローマ字入力だと、IME オンと同時に日本語入力できましたが、当時のJISかな入力は、IME オンの後にカナロックをオンにする作業が必要で、初期の Windows の106日本語キーボード用のキーボードドライバでは、たしか Ctrl + Shift + ひらがな キー(記憶があやふやですが) という3つのキーの組み合わせでカナロックのオンオフをする必要があったのです。ほとんどのJISかな入力者は、カナロックの方法がわからず挫折してしまったことでしょう。カナロックの方法を知っていても、とてもじゃないけど、実用的に使えるものではありませんでした。

後に、IME が入力文字種に応じてカナロックを自動制御するようになりJISかな入力も、ローマ字入力と同等の日本語入力環境になったのですが、すでに挫折してローマ字入力に転向した人が元に戻ることはなかったのかもしれません。

投稿: 森山将之 | 2005/04/11 12:59:08

森山将之さん、いらっしゃいませm(_ _)m

わたしの元部下で、PC時代以前にはオアシスをちょっと使っていた人物が居ます。
彼はプログラム作成担当だったのでワープロはあまり使っていませんでした。
そこでワープロを使うことになった時に、オアシスを使ったのですが、ワープロからPCのワープロ機能を使うようなった時にローマ字入力になり、ローマ字入力が面倒だということでJISかな入力になりました。

ローマ字入力 vs JISかな入力、というのあるわけですね。

親指シフトキーボードについて言えば「日本語文章を入力するための専用機器」とはっきりさせた方が良いのではないか?という印象が強くなってきました。

実はわたしは音声入力にもかなり投資ししています。
結論としては音声入力はわたしには合わない。いくら認識精度を上げても使う自分自身が時とともに発声などが変化してしまうので、認識精度があるところから下がっていく傾向があるようです。

日本語入力するなら、親指シフトやM式
絵入りのメモを作るのなら、デジタイザ
プログラムを作るのなら英語キーボード
携帯機器への入力は音声
といった組合せになるのが、一番じゃないでしょうか?
これらが併用出来るのが目標のような気がしてきました。

投稿: 酔うぞ | 2005/04/11 23:51:46

nariです
 個人的には、ノートパソコンの日本語入力キーボードとハッピーハックのキーボードを使ってます。(一応、同時に使えるのですが、エミュレーションソフトをインストールする必要があります)
 私的には、日本語キーボードから、無変換と変換キーを無くして、スペースバーを長くしてくれば、別に問題は無いのですが、そういうキーボードって、英語用にしかないんですよねぇ・・・

投稿: nari | 2005/04/19 12:28:03

nariさん

>ノートパソコンの日本語入力キーボードとハッピーハックのキーボードを使ってます。

なんのことだ?と読み直してしまいました。
ノートPCにハッピーハッキングを付けている。
ということですね。

なんで、日本語キーボードの英字の配置が英語キーボードと違うのでしょうかねぇ?

今、USBコンパクトをカバンPC(の中身)とデスクトップ機の間を行き来させているのですが、組み立て中というか予期せぬことでOSインストールし直しをやったら、USBコンパクトを英語キーボードとして認識していた(-_-)

なんで分かったのかというと、シフトロックの操作が違うのです。
日本語キーボードとしては Shift+CapsLock ですが、英語キーボードだと CapsLock だけでシフトロックになります。
なんで、こんなことが違うのだろう?

プログラム入力では大事な「;」「:」といったところがキートップと違うというのはとても困りますね。

全く、英語キーボード(英語OS)機と日本語キーボード(日本語OS)機を別々に使わないといけないというのはひどすぎる。

投稿: 酔うぞ | 2005/04/19 17:59:20

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投稿: FAフォーラム | 2012/10/30 16:12:21

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