2008.04.10

小林温・選挙違反高裁判決

読売新聞神奈川版より「出納責任者の控訴棄却

昨年7月の参院選神奈川選挙区で当選した小林温・前参院議員(辞職)派幹部の選挙違反事件で、公選法違反の罪に問われた出納責任者で元私設秘書の控訴審判決が9日、東京高裁であった。

原田国男裁判長は「違法性の認識があった」と述べ、懲役1年2月、執行猶予5年の1審・横浜地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
被告は即日、最高裁に上告した。

1審では、現金を受け取ったアルバイト学生らの活動が、公職選挙法で認められた労務かビラ配りなどの選挙運動かが争われ、2審では被告の違法性の認識の有無が焦点になっていた。

原田裁判長は「設営隊(アルバイト学生ら)が選挙運動を行っていたことは、小林陣営すべてが知り得ていた。選挙の中枢にいる被告が、違う認識をしていたとは言えない。違反が認められる」と認定した。

判決によると、被告は昨年7月29日~8月1日、自民党県連職員と、大学生ら24人に、小林氏への投票を依頼するビラ配りなどの選挙運動への報酬として、1人1万~12万円の計151万円を手渡した。

県連職員の有罪判決は確定しており、東京高検が、連座制の規定に基づき、小林前議員に同選挙区から5年間、立候補を禁止することを求める行政訴訟を起こしている。

弁護団の高原将光弁護士は「有罪にするため、都合の良い事実だけをつまみ食いしたような判決。
裁判所は選挙の実態を知らないのではないか」と話した。

自民党県連の竹内英明幹事長は「被告が最高裁までやるというなら、県連としても支援したい」と話した。

◆「有罪ショック 戦い続ける」◆

前参院議員の小林温氏(43)は9日夜、東京・赤坂の会社事務所で読売新聞の取材に応じ、「報酬は正当なもので判決は非常にショック。無罪を信じていたが残念、これからもさんをサポートし、戦い続ける」と語った。現在は政治活動から身を引いており、「今後のことはまだ考えられない」としている。

小林氏が取材に応じるのは、議員辞職した昨年9月の記者会見以来。
1、2審を通じ、小林氏は、公判を傍聴していないが、秘書だった被告とは頻繁に連絡を取り合っているといい、この日の判決後も「納得が行かないので、上告することにした」と電話で伝えてきた被告に、「無罪を勝ち取るまで頑張ろう」と話したという。

再び、有罪が言い渡されたことに、小林氏は「秘書だから何でも知っているのか。(被告は)地元の選挙活動にはノータッチだった。つぎはぎの供述を結んだ推測で有罪と決めつけている」と批判した。

その上で、県民に対しては、「たくさん票を頂いたのに、仕事を出来ずに申し訳ない」と謝罪。「無実を勝ち取ることが、有権者に対する一番の説明になる」と話した。

小林氏は被告と、県連職員の男性に有罪を言い渡した昨年12月4日の1審判決後、横浜市内から現在の事務所に移り、現在はIT関係の仕事を始めたという。事務所の会議室には、支持者に配る予定だった著書などが入った段ボールが無造作に積まれたままになっていた。

被告側の言い分に「選挙の実態を知らない」とありますが、実際に2007年4月統一地方選挙をやっていた者としては「選挙の実態を知らないのは、小林元議員側だ」と強く指摘します。

わたしが参加した選挙でも、2003年の選挙ではバイト代を払うのが一般的でした。
公選法の解釈ではどうなのか?は当時も議論しましたが、小林元議員側の主張のように「学生の活動が選挙運動なのか、労務なのかをどうやって区別するのだ?」が常に論点になっていました。

もっと考えてしまったのは「金額はどこまでOK?」でした。選挙の事務なんてのは、考えようによっては、30分で終わりもあれば、16時間・20時間という仕事もあります。要するに管理からして大変。そこで、日当1万5千円として、それを30分の仕事に払ったら問題だろうということです。

2004年の選挙では「普通のアルバイト時給なら良いだろう」が一般的でした。しかし、この時も「根拠はないよな」と思いつつやっていたのが実態でした。

2007年の統一地方選挙では、4月の選挙なのに、1月頃から「規制が厳しくなった」という情報は飛び交っていました。
選挙運動の悩ましいところは、法的には選挙運動は公示後ですから一週間(わたしのやった選挙)なのですが何ヶ月か前から「政治運動」は継続しているわけです。どこかに「選挙運動とみなす」という線があるわけですが、それが分からない。

政治運動にアルバイトを動員して、バイト代を払うのは正当な行為ですが、どこかで「今日からは選挙運動とみなされるから、バイト代は払いません」とやることになります。
言葉では簡単に言えますが、事務所としては「明日から人が来なければどうしよう?」です。

そういう困難を乗り越えるのも、選挙の一部なのでしょう。

小林元議員側が選挙の実態を知らないで選挙運動に突入した、と指摘します。

4月 10, 2008 at 09:53 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.05

神栖市議会選挙結果の修正

サンケイ新聞茨城版より「最下位当選者の当選「無効」 神栖市議選

2月10日の茨城県神栖市議選(定数26)で、5票差で次点となった後藤潤一郎氏(36)=無所属=が有効票を無効にされたとして異議を申し立てた問題で、市選挙管理委員会(伊藤實委員長)は4日、無効票15票を後藤氏の有効票と認め、最下位当選した関口正司氏(64)=共産=の当選を無効とする決定を行った。ただ、関口氏は県選管への異議申し立てを検討しており、市議会の議席が事実上、確定しないという異例の事態が長期化する可能性もある。

市選管は同日、決定を告示。告示から21日以内に県選管に異議申し立てがなければ、ただちに選挙会を開き、後藤氏を当選人と確定する。それまでは関口氏が市議会議員としての身分を有する。

ただ、関口氏は「弁護士と相談して県選管への申し立ても含め検討したい」と話しており、混乱も予想される。

今回の問題は後藤氏の名前が、同じく市議選に立候補していた泉純一郎氏(61)=無所属=と似ていたことから起こった。「後藤純一郎」との投票が多数あったため、後藤氏は「有権者が名前を混同して記入する『混記投票』で有効票が無効になった」と主張。市選管は2月26日、投票総数から持ち帰り票を除いた計4万9674票を再点検。「後藤純一郎」と記された投票が30票あり、うち15票が有効、残り15票が無効とされたことがわかった。

市選管によると、開票作業で機械が読み取れなかった票は審査係が目視し、混記投票で無効と判断したという。市選管は判断ミスを認め、「大変申し訳ない」と陳謝している。

当選を決めた後藤氏は「選管の重大なミスに大変驚いている。市の信頼回復のためにも原因を追究したい」と話している。

【視点】

投開票から約半月。神栖市選管のミスは、一度決まった当落を覆すという重大な結果をもたらした。

開票作業では、投票用紙を機械にかけ、機械が誰への投票か読み取れなかった票は審査係が目視で有効票とするか否かを審査するが、ここで有効票とすべき票を無効票とするミスが起こった。

市選管は「選挙前の説明会では1文字でも間違っていれば疑問票に回すよう指示していた。それが末端の職員にまで行き届いていなかった」と説明する。

総務省によると、得票が有効か無効かを争ったり、当選者が入れ替わったりするケースは年に数回起こるという。

平成18年9月の沖縄県名護市議選では、1票差で当落を分けた2人が「票の数え間違いがある」と主張。訴訟を経て当選者の1票が無効で2人の得票が同数となったため、公職選挙法に基づき、くじ引きで当選者を決めている。

わずな開票の狂いは候補者の明暗を分けるばかりか、有権者の暮らしにも影響がおよぶ。

同市議会では10日から定例市議会を開き、平成20年度予算案を審議する。だが開会当初、議場にいるのは市選管が「落選」の判断を下した議員ということになる。

その意味では、今回の事態は、民主主義の根幹を揺るがす痛恨事といえるだろう。

(豊田真由美) [PR] お役立ち情報

選挙開票の実務には開票立会人として関わっていたのでよく知っていますが、ちょっと考えられない話ですね。

後藤 潤一郎、泉 純一郎という取り違えの起こりやすい候補者がいる選挙だったのです。
こういう場合はわたしが経験した選挙では、選挙管理委員会が事前に開く立会人向けの説明会で当選・落選について具体的に説明していました。

このお二人について考えてみると、投票は次ぎのようになります。

  1. 後藤
  2. 潤一郎
  3. 純一郎
  4. 後藤潤一郎
  5. 泉純一郎
  6. 後藤純一郎
  7. 泉潤一郎
  8. じゅんいちろう

AからFまでは解釈の余地がありません。
GからIまでは、判定する必要があります。

おそらくは、開票時に立会人も含めて間違った判断をしたとなりますが、後藤・泉の両氏とも無所属であったから立会人がチェックしなかったのでしょうか? (立会人は政党から出るのがほとんどです)

判定が、「後藤純一郎」と記された投票が30票あり、うち15票が有効、残り15票が無効とされた、ということ自体がヘンなのは明らかで、何で同じ記載の投票が別の判定になっているのか?と言えます。

報道では明らかになっていませんが、「泉潤一郎」もあったはずでその判定はどうなっているのか?知りたいところです。

ところで、神栖市のHPで問題の市議会議員選挙の結果を見てました。

定員26名ですが、現職が33名立候補しています。つまり定員減になったわけですが、神栖町と波崎町が合併して神栖市になったから両町会議員が市議会を構成していて今回の選挙で本来の市議会議員定数である26名になった、ということなのでしょう。

開票結果を見ると、比例配分している候補者が何人もいて、同名などを処理していることがよく分かります。
ところが、問題の両氏については比例配分の数字が出ていない。確定得票数が違ってしまうのだから、神栖市選挙管理委員会は現時点のでの修正した確定数一覧を早急に発表するべきでしょう。

3月 5, 2008 at 11:52 午前 選挙 | | コメント (10) | トラックバック (0)

2008.02.17

選挙に関する毎日新聞の記事

毎日新聞神奈川版より「現場から:選挙運動の範囲 /神奈川

17日投開票の藤沢市長選で、各候補者に「立候補表明以降に選挙に支出する金額」を聞いてみたものの、考え込んでしまった。

公職選挙法では、告示前の選挙運動は違反だからだ

公的施設で告示前に「決起集会」を開くのは昔からあり、開催自体が摘発された記憶はない。
告示日から投票日前日まではマニフェスト(政策綱領)を配布できるようになったが、同じものは告示前にも配られている。
告示前は「政治活動」とみなされるが、社会的に許容されている選挙期間の範囲と、1週間(政令市以外の市長選)に限る法に隔たりがあるのは確かだ

有権者の判断材料として冒頭の回答を書けば、矢後清太郎氏「1500万円」、平本茂子氏「まだ分からない」、星野剛士氏「450万円」、海老根靖典氏と柳谷亮子氏「600万円」

立候補表明以降に使ったすべての費用を投票前に公開する。こんな制度ができていいと思うに至ったが、どうだろう。【山田研】

実際の選挙運動をやってきたわたしに言わせると、今さら「考え込んでしまった」「どうだろう」といわれても「選挙を取材するなら常識でしょうが」としか言いようがない。

わたしが選挙実務に詳しすぎるためなのかもしれないが、

社会的に許容されている選挙期間の範囲と、
1週間(政令市以外の市長選)に限る法に隔たりがあるのは確かだ

とはどういう発想から出てきたのだろうか?
社会的に許容される選挙期間って何?

特に、この記事が対象にしている選挙は藤沢市長選挙、首長選挙です。
首長に当選すれば、4年間の任期中に行政のトップとして活動するわけですが、その活動を次の選挙のための選挙活動と切り離すなんてことはで来ません。

「公選法で選挙活動になるような売名行為になるのは法律違反ですから、わたしは市長として一切名前が出ないように活動します」なんて市長が現れたらそちらの方が迷惑です。

同様のことは議員にも言えるわけで、議会報告をするのが政治活動であり、次の選挙のための布石であるのは当然で、これに対して「政治活動は選挙違反だ」とするのはどうするのか?

一方、現職ではない人が選挙に出ようとするときには、公選法をかたくなに守ると「告示日まで、出馬を表明すること自体が選挙違反」というのは他に解釈のしようがありません。

議員に立候補する場合には、政党に所属し公認を受ければ政党活動して、名前を売ることがで来ますが、無所属の場合には何も出来ない。

そこで無所属であっても、政治団体の届け出をして政治活動をする人が出てきます。

これで、元の記事に戻るのですが「立候補表明以降に選挙に支出する金額」といわれても、各候補とも「公式には立候補表明は告示日です」としか言いようがないでしょう。
となれば、金額も「選挙収支報告書を出します」になってしまう。

その逆に「立候補の意志を固めて以降の」としたら、現職の本音は「前回の当選日から」になってしまって、費用(予算)の比較の意味がない。

さらに言えば、わたしが付き合った選挙では学生のバイト代が出せいないのは当然として、昼食代から交通費まで学生さんの自己負担、全くの手弁当で参加していただいた。
それは選挙費用とどういう関係で捉えるのか?

この記事は大変に良いところに着目したと思いますが、いかんせん内容が浅すぎる。
こんな短い記事で書き表せるほど簡単な事ではないので、是非とも研究を深めた記事を書いていただきたい。

2月 17, 2008 at 10:58 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.10

小林元参院議員陣営の公選法違反事件・連座制の適用へ

「小林元参院議員陣営の公選法違反事件・判決」の続報というか結果です。

朝日新聞より「小林前議員の連座制適用求め提訴 東京高検

昨年7月の参院選神奈川選挙区の選挙違反事件で、東京高検は10日、前自民党参院議員の小林温(ゆたか)氏(43)に対し公職選挙法の連座制を適用し、同一選挙区からの5年間の立候補禁止を求める行政訴訟を東京高裁に起こした。
小林氏は再選後の9月、事件の発覚を受けて議員を辞職している。

訴えによると、小林氏陣営の選挙運動者だった自民党県連職員(当時)は出納責任者と共謀し、小林氏を当選させるため、選挙運動をしたアルバイトの大学生ら24人に報酬として計151万円を渡した。

横浜地裁は昨年12月、公選法違反(日当買収)の罪に問われた

  • 党県連職員に懲役1年執行猶予5年の判決を言い渡し、有罪が確定。
  • 出納責任者は懲役1年2カ月執行猶予5年の判決で控訴している。

東京高検は、有罪が確定した党県連職員が「組織的選挙運動管理者」に該当するとして、連座制の適用を求めた。

これはもう完全に手続レベルに進んでしまって、小林温前議員の同一選挙区からの5年間の立候補禁止は現時点で確定と言って良いでしょう。

起訴されたのは出納責任者の女性と、自民党県連職員でした。
他に自民党横浜市連の職員とアルバイトで日当を受け取った24人は起訴猶予でした。
今回、自民党県連職員が控訴せず、有罪が確定しました。

公職選挙法
第二百二十一条 (買収及び利害誘導罪) 3項
次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
  1. 公職の候補者
  2. 選挙運動を総括主宰した者
  3. 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
  4. 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者

有罪が確定した自民党県連職員が「選挙運動を総括主宰した者」だとして、いわゆる連座制の適用に当たるとして東京高検は提訴しました。

公職選挙法
第二百五十一条の二 (総括主宰者、出納責任者等の選挙犯罪による公職の候補者等であつた者の当選無効及び立候補の禁止)

次の各号に掲げる者が第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪を犯し刑に処せられたとき(第四号及び第五号に掲げる者については、これらの罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたとき)は、当該公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(以下この条において「公職の候補者等」という。)であつた者の当選は無効とし、かつ、これらの者は、第二百五十一条の五に規定する時から五年間、当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙において公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない。この場合において、当該公職の候補者等であつた者で衆議院(小選挙区選出)議員の選挙における候補者であつたものが、当該選挙と同時に行われた衆議院(比例代表選出)議員の選挙における当選人となつたときは、当該当選人の当選は、無効とする。

    1. 選挙運動(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、参議院名簿登載者のために行う選挙運動に限る。次号を除き、以下この条及び次条において同じ。)を総括主宰した者
    2. 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
    3. 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として公職の候補者又は第一号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者
    4. 公職の候補者等の父母、配偶者、子又は兄弟姉妹で当該公職の候補者等又は第一号若しくは前号に掲げる者と意思を通じて選挙運動をしたもの
    5. 公職の候補者等の秘書(公職の候補者等に使用される者で当該公職の候補者等の政治活動を補佐するものをいう。)で当該公職の候補者等又は第一号若しくは第三号に掲げる者と意思を通じて選挙運動をしたもの
  1. 公職の候補者等の秘書という名称を使用する者又はこれに類似する名称を使用する者について、当該公職の候補者等がこれらの名称の使用を承諾し又は容認している場合には、当該名称を使用する者は、前項の規定の適用については、公職の候補者等の秘書と推定する。
  2. 出納責任者が第二百四十七条の罪を犯し刑に処せられたときは、当該出納責任者に係る公職の候補者であつた者の当選は、無効とし、かつ、その者は、第二百五十一条の五に規定する時から五年間、当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙において、公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない。この場合においては、第一項後段の規定を準用する。
  3. 前三項の規定(立候補の禁止及び衆議院比例代表選出議員の選挙における当選の無効に関する部分に限る。)は、第一項又は前項に規定する罪に該当する行為が、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該行為に関する限りにおいて、適用しない。
    1. 第一項又は前項に規定する罪に該当する行為が当該行為をした者以外の者の誘導又は挑発によつてされ、かつ、その誘導又は挑発が第一項若しくは前項又は次条第一項の規定に該当することにより当該公職の候補者等の当選を失わせ又は立候補の資格を失わせる目的をもつて、当該公職の候補者等以外の公職の候補者等その他その公職の候補者等の選挙運動に従事する者と意思を通じてされたものであるとき。
    2. 第一項又は前項に規定する罪に該当する行為が第一項若しくは前項又は次条第一項の規定に該当することにより当該公職の候補者等の当選を失わせ又は立候補の資格を失わせる目的をもつて、当該公職の候補者等以外の公職の候補者等その他その公職の候補者等の選挙運動に従事する者と意思を通じてされたものであるとき。
  4. 前各項の規定(第一項後段及び第三項後段の規定並びに前項の規定(衆議院比例代表選出議員の選挙における当選の無効に関する部分に限る。)を除く。)は、衆議院(比例代表選出)議員の選挙については、適用しない。

出納責任者は控訴しているようですが、紹介した条文の通り出納責任者と総括責任者といったように並列の関係ですから、誰かが221条違反で有罪が確定すれば、251条の連座制が機械的に適用される事になります。

それにしても、何度も取り上げいるように4月の統一地方選挙では「日当買収に注意」が各陣営に徹底していて少なくとも神奈川県下では当選した議員が日当買収で公選法違反に問われたなんて話はありません。
それだけ、各陣営は注意していたわけです。

それをわずか3ヶ月後の7月の選挙で「知りませんでした」のようなことをやったというのは、選挙に臨む資格が無かったと言うべきでしょう。

しかも、その後の対応もメチャクチャで2007年に行われた選挙がどのようなものであったのかを今に至っても理解していないのではないのか?と思います。

1月 10, 2008 at 10:09 午後 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.08

大阪府知事選挙は大変だ

日経新聞関西版より「大阪府知事選、政策が支持層とねじれ──自公・橋下氏「子育て支援」、民主・熊谷氏「産業振興」」

国政の与野党が激突する構図となった大阪府知事選で、出馬表明した3氏の主要な政策の違いが鮮明になっている。

  • 橋下徹氏(38)=自民府連推薦、公明府本部支持=は「子育て支援」
  • 熊谷貞俊氏(63)=民主、国民新党、社民推薦=は「産業振興」
  • 梅田章二氏(57)=共産推薦=は「福祉」を前面に打ち出している。

だが、自公、民主などそれぞれの支持層が期待する政策との差から戸惑いを口にする声は少なくない。

「やっぱり大阪、やります太田」。太田房江知事が出馬を断念する直前まで練り上げた公約がある。32項目挙げた中で、筆頭は「関西国際空港の国際物流ハブ化」。以下も産業振興関連の施策がずらりと並ぶ。

いずれも、熊谷氏が公約で中核に位置づけている内容だ。福祉施策などでも熊谷氏の公約にある「高齢者や障害者の無料住宅耐震診断」「がん対策基本条例」などの文言は太田知事のと同じだ。

太田知事の公約作成にかかわった府幹部は「熊谷氏は安定感や継続性はあるが、改革の姿勢は弱い。若手職員には、熊谷氏では庁内の閉塞(へいそく)感を打破できないとの見方もある」と清新さに欠けることを指摘する。

「橋下氏への対抗上、産業施策を強調しているのかもしれないが、福祉や医療が弱い印象がぬぐえない」。ある民主府議は不満顔だ。

熊谷氏は「公約はオリジナル。大阪の資産を活用するのは府政を推進する王道だ」と強調。「シャープ工場の誘致などの実績は評価するが、無駄も多かった」とし、「太田府政の継承」を強く否定する。

熊谷氏を推薦する民主党の支持層が期待する「弱者保護」と、熊谷氏の公約の差に支持者らに戸惑いがある。同様に、橋下氏を担ぐ自民、公明支持層は橋下氏のこれまでの言動や公約に違和感を抱えたままでいる。

橋下氏が柱に据えるのは「子育て支援」。妊婦や子育て世帯などに個別給付を軸にした助成拡充を具体的に打ち出す一方、産業振興を「官が計画して積極投資するのは時代遅れ」とし、産業関連の施策は展示会開催など中小企業支援に限定した。

「これじゃダメだ」。昨年末、橋下氏に政策に関する公開質問状を出した関西経済同友会の幹部は回答を見てうめいた。橋下氏は「行政に産業振興の立案能力はない。民間にがんばってもらうしかない」と主張。関西国際空港も「魅力がない。伊丹との政策的なすみ分けしかない」と突き放したからだ。

自民府議団幹部は橋下氏の公約を「100点満点ではない。(自民の政策と)食い違う点もある」と認め、公明幹部も「知事になった後、しっかり見ていかないと」と手放しで支援するわけではない点を強調する。

橋下氏は記者会見の席で「大企業を切り捨てはしない。経済界から要望を聞く」とも述べているが、同友会幹部は「実情が分かっていない。関空の活性化なくしてどうして関西が活性化するのか」と厳しい表情だ。

梅田氏も福祉の充実や中小企業支援を軸に据えている。橋下氏と重なる部分が多いが「橋下氏は格差や貧困の問題に一切触れておらず、競争是認だ。方向性が180度違う」と強調する。

先に出馬表明し自民党が推薦した橋下候補が打ち出した政策が民主党的であり、対抗馬として民主党(反自民というべき)が推薦した熊谷候補の政策が対抗上とは言え自民党的であり太田前知事の政策の継承になってしまっている。という事ですね。

サンケイ新聞関西版はもっと踏み込んだタイトルになっています「割れる関西経済界 大阪府知事選、告示まであと2日

10日告示、27日に投開票される大阪府知事選。自民府連が推薦する弁護士でタレント、橋下徹氏(38)と民主などが推薦する元大阪大大学院教授、熊谷貞俊氏(63)、共産推薦の弁護士、梅田章二氏(57)の3人が立候補を表明するなか、「中立」を標榜(ひょうぼう)する関西経済界で支持が別れている。

7日は作家の堺屋太一氏(72)らが経済界を巻き込み橋下氏を応援する勝手連を結成。一方、関西経済連合会の下妻博会長は同日、熊谷氏の政策を高く評価した。経済界でも支持がまとまらないまま告示日を迎えるのが確実な様相となった。

橋下氏支援「勝手連」

大阪府知事選で作家の堺屋太一氏ら関西経済界を中心にしたグループが7日、橋下氏を支援する団体「橋下氏を知事にする勝手連」を設立したと発表した。

「勝手連」の代表は、関西経済に詳しく、愛着もある大阪学院大学教授の國定浩一氏を代表に選定。堺屋氏のほか、ミキハウスグループ代表の木村皓一氏、PHP研究所の江口克彦社長ら関西経済界の人物がずらり。

作曲家の三枝成彰氏、ファッションデザイナーのコシノヒロコ氏、歌舞伎役者の坂田藤十郎氏ら有名人も含む計14人で組織した。今後、それぞれの知人に橋下氏の政策をアピールするなどして、支持拡大を目指すという。

大阪学院大学教授國定浩一氏
作家堺屋太一氏
ミキハウスグループ代表木村皓一氏
PHP研究所江口克彦社長
作曲家三枝成彰氏
ファッションデザイナーコシノヒロコ氏
歌舞伎役者坂田藤十郎氏

会見で堺屋氏は「橋下氏の弁護士活動には、改革に欠かせない『迅速さ』がある。大阪の情報発信源になれる人でもある」と評価。また太田房江知事を応援していた元JR西日本会長の井手正敬氏は「大変革のときには若い人の力が求められる」と強調した。

昨年12月の橋下氏の出馬表明までの動きは水面下で行われたが、関係者によると、堺屋氏が擁立の中心人物とされている。これまでほとんど表に出ていなかったが、告示直前になって行動を起こした。

「熊谷氏の政策一番」

関西経済連合会の下妻博会長(住友金属工業会長)は7日の年頭記者会見で、10日に告示される大阪府知事選に触れ、「熊谷さんのマニフェストが一番しっかりしている」と述べ、元大阪大大学院教授の熊谷氏が4日に発表したマニフェストの内容を高く評価した。

その一方で、公立小学校などの運動場の芝生化などを盛り込んだ、弁護士でタレントの橋下徹氏のマニフェストについては、「(よくわからないが)公立小学校の芝生化は、府政の仕事なのかということを教えてもらいたい」とした上で、「それをマニフェストに書くのはどうかと思う。奇異な感じがする」と苦言を呈した。

ただ、関経連としての知事選に対する姿勢については、「これまで言ってきたように“中立”でいきたい」と語り、特定候補者の支持はしないという考えを改めて強調した。

また、各副会長からも知事選に関する意見が相次いだ。

井上礼之副会長(ダイキン工業会長)は「財政再建がメーンテーマ。さまざまな施策を打ち出すのはいいが、その収入源をどうするのかについて、橋下さんはもっと勉強する必要がある」と厳しいひと言。

津村準二副会長(東洋紡会長)も「(3立候補予定者とも)マニフェストと称してお金を使う話ばかり出しているが、財政基盤を整理したうえで物事を考える必要があるのではないか」と指摘した。

一方、松下正幸副会長(松下電器産業副会長)は「府民にもっと関心を持ってもらいたい。どなたが知事になるにせよ、地に足のついた活動を行ってほしい」と注文をつけた。

自民党が推薦した橋下候補の応援団になった人たちが、いわばナンパな業界の人たちというのが面白いですが、これでは自民党の推薦なのか?と感じるところです。
しかし、10日には告示すなわち選挙戦突入ですが、橋下候補が道路使用許可を取っていないことが明らかになるなど、どうも自民党の選挙実行部隊が橋下陣営には入っていないのではないのか?と思わせる報道がありました。

そしてなんともすごいのが読売新聞関西版の報道「橋下氏への推薦・支持、自・公党本部は見送り

大阪府知事選(10日告示、27日投開票)で、自民、公明両党は7日、弁護士でタレントの橋下徹(はしもととおる)氏(38)について、党本部としての推薦・支持を見送る方針を固めた。自民党は「府連推薦」、公明党は「府本部支持」と、ともに府レベルでの支援にとどめる。無党派層に浸透するためには、政党色を薄めて、国政での与野党の対決構図を持ち込まないほうが有利と判断したためという。

橋下氏については、この日、公明党府本部が支持を決めた。自民党府連はすでに先月23日に推薦を決定。両党とも、ポスターの掲示や集会の開催などを通じて、橋下氏を支援していく。

本部と府連(県連)が推薦するのでは何が違うのか?と思われるかと思いますが、議員の選挙の「公認するかしないか」に相当します。

当然、お金や人の問題に直結しますし、所属している議員の活動にも大きく影響します。

まぁ、首長選挙なのですから府連推薦がちょうど良いという見方はありますが、大阪府知事選挙なのですから選挙運動に全力投入で臨むのが本筋でしょう。
党本部が表向きは推薦せず、全力で支援に当たるというのも大いにあり得るシナリオですが、先に紹介した選挙の実働部隊が橋下陣営に参加していないように見える点は、先日有罪判決が出た、参議院選挙の小林温候補の選挙運動で素人選挙になってしまい、日当買収という最注意事項で選挙違反になってしまった例を思い出します。

色々な意味で注目するべき選挙運動に突入です。

1月 8, 2008 at 09:57 午前 選挙 | | コメント (8) | トラックバック (0)

2007.12.06

国政選挙でも電子投票か?

毎日新聞より「電子投票:国政選挙に導入で自公民合意 来年1月施行

自民、公明両党と民主党は電子投票を国政選挙に導入するための公職選挙法特例法改正案に合意した。
法案は7日の衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会で採決され、衆参の本会議で可決のうえ、今国会中に成立する見通しだ。
施行期日は来年1月1日で、次期衆院選では一部の自治体で電子投票が実施される可能性がある

電子投票は、有権者が投票所に置かれたタッチパネルなどを操作し、画面に表示された候補者名などを選んで投票する方法。票数をコンピューターで集計するため、開票時間を大幅に短縮できるうえ、従来の「自書式」より高齢者や身障者の手間が省けるメリットもある。

01年11月に成立した地方自治体電子投票特例法により、自治体では02年6月の岡山県新見市長・市議選で初めて電子投票が行われた。今年4月の統一地方選でも、青森県六戸町議選と宮城県白石市議選の2選挙でタッチパネル式の電子投票が実施されており、六戸町では開票作業29分、白石市も49分で終える実績を上げている。

ただ、最高裁で選挙無効が確定した岐阜県可児市議選(03年7月)などの故障や人為ミスも発生している。このため、今年6月の通常国会では、公明党から「システムの信頼性」に懸念が示され、国政導入の法案は継続審議となっていた。

国政選挙での電子投票導入は実施条例を独自に定めた自治体に限られ、政府は導入する自治体に対し交付金などで財政支援することを検討する。【七井辰男】

何回かわたしの意見を書いていますが、わたしは「電子投票反対」であります。

海外での選挙の紹介番組など大きな投票用紙を使うシーンが紹介されますが、候補者名をチェックする方式なのでしょう。
日本の選挙では、投票用紙に候補者名を書き込むのですがこの方式を「自書式」と呼び世界では珍しいとされています。

候補者名をチェックする方式から派生したのでしょうが、アメリカで何年か前に大問題になったのが「パンチ式」で、これは候補者名のところにパンチで穴を開けるというものでした。
このような自書式ではない投票方法を採用している選挙では電子投票機の採用も、機械の改変といった感じになるのだろと思いますが、自書式から電子投票に改変というのは大きく選挙の方式を変えると言えるでしょう。

記事にも紹介している通り、電子投票のメリットとして

  • 開票時間の短縮
  • 障害者の投票の促進
  • 投票判定の必要がない
  • 開票担当人員の削減によるコストダウン

などが挙げられています。これに対して、テスト結果も含めて問題点として挙がっているのが

  • 機器が作動せず、投票所が機能しなかった
  • データが明らかに間違っていた(おそらくはソフトウェアの不良)
  • メディア(CFカードを使うことなっている)が不適合で開票に問題が生じた
  • 機器の設置(配線)に失敗した
  • 電子データが消滅する可能性がある
  • 投票用機器の大幅なコストアップ

現在の選挙事務を投票用紙の観点から見ると

  1. 投票入場券を有権者の自宅に配付
  2. 投票入場券をチェックして重複投票の禁止
  3. 投票用紙に候補者名を自書
  4. 投票箱に投票
  5. 投票箱を開票所に移動
  6. 開票所ごとに候補者の得票数を確定
  7. 集計した投票用紙は内容(候補者・無効票など)別にまとめて封印し、次回選挙まで保存。

電子投票について考えてみると、赤字で示したところが無くなると考えられるでしょう。
投票箱に投票が操作パネルで投票ですから、おそらくはここは面倒になっているでしょう。
投票結果をどうやって集計するのか?については、開票所をどこに設けるのか?という問題になりますが、データそのもの点検は公開するべきですから開票所はどこかには出来るはずで、現在は神奈川県横浜市では開票所は一つの区に一ヶ所あります。
それを横浜市で一ヶ所だけにするのかどうか?という問題になりそうです。

各投票機から直接データを通信することは現在のところ無いようで、CFカードに投票結果を入れて運び集計する方式で行っています。
つまり「投票箱を運ぶ代わりにCFカードを運ぶ」ようなのです。

投票判定そのものは、無いわけで単に各候補者の得票数だけのデータですから、後からの検証などのたに記録メディアを保管することを除けば、各投票所ごとの得票一覧表を作ることも出来ますし投票機ごとに作ることも出来ます。

問題は、どうやって選挙区全体のデータとして集積するのか?であって、現在は開票所での集計データは選管に「手書きの集計用紙をファックス送信している」のです。
投票用紙に自書するところから、集計に至るまでアナログによって情報の信頼性を高めているわけですから、電子投票にしたときにはどうやって信頼性を確保するのか?という問題が新たに発生します。

こういうことを考えると、わたしには「コストダウンになる」とは思えません。
むしろ安全性を損ねるのではないのか?という印象が強いのです。
ことは選挙であって、コストアップの上に信頼性が落ちる、というのではいったいどこにメリットがあるのか?
これが理由で、わたしは電子投票には反対なのです。

12月 6, 2007 at 12:54 午後 国内の政治・行政・司法, 選挙 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.12.05

小林元参院議員陣営の公選法違反事件・判決

東京新聞神奈川版より「検察側の構図、ほぼ追認 小林陣営選挙違反判決 出納責任者の被告の認識を認定

自民党の小林温・元議員(43)陣営の選挙違反事件は四日、横浜地裁で、出納責任者の被告(33)と自民党県連職員の被告(34)に有罪判決が言い渡された。

栗田健一裁判長は「小林元議員が示した『若さをアピールした選挙運動』という共通の認識の下で、若い大学生らを投入して選挙運動をさせた」という検察側が描いた構図を、ほぼ全面的に追認した。
両被告の弁護人は控訴を検討している。(中沢穣、佐藤大)

公判で最も激しく争われたのは、公選法違反で起訴された出納責任者の被告が、大学生らがビラ配りなど選挙運動をしていた実態について認識していたのかどうかという点だった。

判決は「認識を推認させる間接事実は認められない。他方で認識がなかったことを推認させる事実もない」として検察、弁護側双方がそれぞれ示した事実を退けた。

その上で、判決は、大学生らによる街頭活動の設営作業には「ビラ配りなど選挙運動が“一般的に”組み込まれていた」と指摘。

出納責任者の被告は十年以上にわたって衆院選や県知事選を手伝ったことがあり、こうした経験などから、「出納責任者の被告のみが(設営活動に)選挙運動が含まれていないと理解していたとは考えがたい」と述べ、状況証拠に基づき、出納責任者の被告の認識があったと認定した。

もう一つの争点だった「報酬の趣旨」については、判決は弁護側の主張を全面的に退け、「大学生らは機械的労務と選挙運動を一連一体として行っている。支払われた金額全体が選挙運動の報酬だった」と認定した。

一連の事件では、出納責任者の被告とともに逮捕された自民党横浜市連職員と、報酬を受け取った大学生らが起訴猶予処分となっている。
検察側は小林元議員への連座制適用を視野に、百日以内で判決言い渡しを求める「百日裁判」を申し立てていた。

量刑理由を聞き涙、出納責任者の被告、しばらく放心

出納責任者の被告は、判決の言い渡しがすべて終わった後も、しばらくは放心したように被告席に座り込んだままだった。

午後一時。地裁で一番大きい一〇一号法廷。出納責任者の被告は自民党県連職員の被告に続いて入廷した。黒のジャケット、グレーのスカート姿。一礼した顔に、不安そうな表情が張り付く。

判決の主文が告げられる。「出納責任者の被告を懲役一年二月に処する。五年間、刑の執行を猶予する」-。直立の姿勢で聞いた出納責任者の被告は、その瞬間も固まったように身動きしなかった。

裁判長に促されて被告席に着席すると、出納責任者の被告はハンカチを握りしめ、無表情のまま、じっと床を見つめていた。だが裁判長が判決の量刑理由を読み上げると、こらえきれなくなったのか、出納責任者の被告の目にみるみる涙がたまった。

閉廷後、同じく有罪判決を受けた自民党県連職員の被告は足早に法廷を後にした。
対照的に、出納責任者の被告は弁護人の方を向いて腰を下ろしたまま、しばらく動くことができなかった。

傍聴席には、多くの自民党関係者らが詰めかけたが、小林元議員の姿はなかった。

小林元議員の選対事務局長を務めた竹内英明・自民党県連幹事長は公判終了後、「厳しい。無罪の可能性もあると思っていた」と険しい表情。「もしかすると、ぼくたちも含めて一部の人間に(公職選挙法の)曲解があったかもしれない。あらためて確認していく。(有罪判決を受けた)二人のためにもちゃんと整理したい」と話した。

<メモ>小林氏陣営選挙違反事件参院選神奈川選挙区で当選した小林温氏陣営の出納責任者らが、運動員24人に街頭でビラ配りなどをした報酬として計百数十万円を支払ったとして、県警が公選法違反(買収)容疑で出納責任者ら3人を逮捕。
横浜地検は2人を起訴、残る1人と公選法違反(被買収)容疑で書類送検された運動員24人は起訴猶予とした。
小林氏は「国政の停滞を避ける」として、連座制の適用対象となる出納責任者らの「百日裁判」を待たずに議員辞職。
次点の松あきら氏(公明)が繰り上げ当選した。

わたしが手伝った、2007年4月の統一地方選挙では、「選挙に関わる人の報酬」について非常に厳しい判断になる、という情報が繰り返し流れてきました。
結果として、4年前の選挙ではOKだった報酬が全面的に出なくなりました。
学生諸君は交通費を使ってボランティア活動になってしまうので「今日は交通費がないから参加できない」という電話連絡を受けたこともあります。
「電車賃ぐらい出すから参加してよ」と言えないのは、まことに辛いものがあります。

そういう経験をした後の夏の選挙である参院選で起きた事件ですから「何をやっているのだ?」という感想だったのですが、その後も裁判でも徹底的に争うのを知ってビックリしていました。

別に公選法が改正になったわけでありません。いわば今までは「お目こぼし」だったわけです。
それが条文を厳しく見る、となっただけのことです。

ただ、選挙の実務において公選法の解釈などを誰がするのか?という問題はあります。

候補者本人はもちろん、対外的に動いている人には「法律の解釈を勉強する」時間がありません。
選管や警察さらには政党などでも「選挙についての説明」は何度も開かれますが、そこに参加する時間がない。

「事務方」と呼ぶ、出納責任者を筆頭として、選対事務局長など公式の役職者とその次長、といったあたりに「判断の全責任が掛かる」ものなのです。

わたしが手伝った選挙では、わたしは選対事務局次長といった役回りでしたが、前回との違いなどについては随分と考え判断して、それを皆さんに伝えて納得して動いていただくように努めました。

非常にチームワークが重要で、そうしないと情報が入ってきません。情報が無くては判断も出来ない。

選対事務局長はいわば表の顔で、報道陣の取材にも応じたりするのが重要な仕事ですから、実務も細かいところまで知っていて判断を下す立場にあるとは必ずしも言えません、むしろ政党職員などの方が情報量も多いはずだから適当な役回りでしょう。

単なる「役割の名前」でやっていたのでは選挙は出来ません。実質が伴わないと無理で、平均的に言えば選挙チームの活動期間はほぼ半年は掛かりますし、相応に経験者でないと厳しい。
そういう人材を得ることが出来なかった小林前議員が候補者としての基本的な資質に欠けていた、と言うべきです。

12月 5, 2007 at 10:18 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.11.29

小林元参院議員陣営の公選法違反事件・判決は12月4日

神奈川新聞より「小林元参院議員陣営の公選法違反事件が結審/横浜地裁

小林温・元参院議員(辞職)陣営による公選法違反事件で、元出納責任者と自民党県連職員の両被告の公判が二十七日、横浜地裁(栗田健一裁判長)であり結審した。
検察側は元出納責任者に懲役一年六月、自民党県連職員に懲役一年二月を求刑。
両被告側は、あらためて無罪を主張した。判決は十二月四日。

検察側は論告で「集票につながるため、場所取りや設営には選挙運動性がある。(選挙運動に当たる)ビラ配りとは一体であり分けられない」と主張し、両被告が学生らに渡した報酬は違法とした。

さらに、元出納責任者は過去の選挙経験などを通じ「(学生らが)ビラ配りなどの選挙運動もしていたのを認識していた」と指摘した。

一方、最終弁論で元出納責任者側は「設営も選挙運動だとする検察側主張は無用に法解釈を広げるもので、国民の政治参加を委縮させる」と批判。元出納責任者が学生らの活動実態を認識していたとの検察側主張に「間接証拠ばかりで立証に足りない」と反論した上で「認識はなく、故意は認められない」と強調した。

自民党県連職員側は「ビラ配りはわずかな時間であり、報酬は労務に対するもので適法」と主張した。

起訴状によると、両被告は市連職員の男性と共謀し小林・元議員の当選を目的に、投開票日の七月二十九日ごろから八月一日までの間、二十四回にわたり横浜市中区の事務所内などで学生ら二十四人に選挙運動の報酬として現金計百五十二万円を渡した。

「参議院神奈川選挙区小林議員の選挙違反裁判・結審」の続きです。

一番気になるのが、弁護側の主張の根幹が「公選法の解釈優先」を取っているように見えるところです。
公選法は選挙での不公平を無くすことが目的であり、候補者はちょっとでも自分が有利になるように立ち回るのは当然です。
そこに「公選法の解釈論」を優先させるとどういうことになるのか?

事は選挙の実施についてですから、過ぎてしまった選挙期間についての評価を後から出来ても、取り戻せないのは明らかで、解釈論を取り得ないのは明確だと考えます。

もちろん、公選法違反そのものが無かったといった場合もあり得ますが、それで選挙の結果が大きく変わることはありません。

今回の、小林議員の運動員が公選法違反で有罪なると、連座制で議員が有罪になり、結果として当選無効になるわけで、逆に無罪になったから落選者が当選するわけではないからです。

そうなると「公選法に解釈論を持ちこむこと」が結果として「選挙違反のやり得」になるのは明らかです。

改めて考えてみると、公選法の種々の規定はいわばスポーツのルールのようなもので、ルールの改正は許されるのが当然であっても、ルールの解釈について参加者が異議を申し立ててはルールでなくなってしまいます。

ましてや「国民の政治参加を委縮させる」とは良く言うものだとしか言いようがないし、「知らない」なんてのはどんな法律でもほとんど相手にされない言い訳です。

なんでこんな悪あがきをするのだろう?

11月 29, 2007 at 09:43 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.11.24

参議院神奈川選挙区小林議員の選挙違反裁判・結審

「参議院神奈川選挙区小林議員の選挙違反」の続報です。
東京新聞神奈川版より「違反実態“認識”が焦点 小林温陣営の参院選挙違反事件

出納責任者は、報酬を払ってビラ配りをさせた選挙運動の実態を知っていたのか-。

7月の参院神奈川選挙区で当選した自民党の小林温・元議員(43)陣営の選挙違反事件で、横浜地裁で続いている裁判は、公選法違反(買収)の罪に問われた出納責任者で元公設秘書の違反事実の“認識”が、大きな争点となっている。15日の被告人質問まで計17人の証人が出廷し、検察側と弁護側が激しいやりとりをみせた。(中沢穣)

「一緒に逮捕され、起訴猶予処分になった自民党横浜市連職員から、街頭演説の準備やビラ配りなどをする『設営隊』の仕事内容を説明された。被告も一緒に長机に座って聞いていた」。十月二十六日の公判で、設営隊に加わっていた男性はこう証言した。

これに対し、被告は十五日の被告人質問で「(この男性を)市連職員の机の前で、立ったまま紹介した。仕事内容の説明は聞いていない」と述べ、男性の証言に“反論”した。

検察側は、否認する被告が「活動の実態を知っていた」ことを立証するため、間接的な事実を積み重ねようと事務所関係者らを次々と証人に呼び、「被告の近くでビラ配りについて会話した」などの証言を引き出してきた。

一連の証人の中でも、この男性の証言は起訴事実を裏付ける有力なものとみられたが、弁護側に証言の細かい矛盾点を突かれると、言葉に窮する場面もあった。

被告は設営隊の活動内容を「知らなかった」「聞いたことはない」と一貫して主張。さらに候補者が設営隊や支援者とともに商店街などをビラ配りしながら歩く「桃太郎行進」についても、「徒歩での移動手段だと思っていた」と供述するなど、選挙運動の実態についての“無知”ぶりを強調した。

一方、被告とともに起訴された党県連職員の被告は、十三日の被告人質問で「設営隊の仕事は、街頭演説の場所取りや設営など単純労務が主で、ビラ配りは付随的だった。違法とは思ってなかった」と主張したものの、学生らにビラ配りをさせたり、報酬を支払ったりした事実はおおむね認めた。

こうした証言などから、報酬を払ってビラ配りなどをさせる公選法違反に当たる選挙運動に対し、金の支払いに直接関与した出納責任者である被告が、違反行為を認識していたのかが、最大の争点となっている。

弁護側は「検察側の証拠はいずれも『知っていたはず』とか『認識していたと思う』というだけで、決定的な証拠はない」と話す。

一方、横浜地検幹部は「無罪は想定していない」といい、県警捜査幹部も「無理な捜査は一つもしていない。これが無罪なら日当買収の検挙は不可能に近い」と自信を見せる。

二十七日に検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が行われ、
十二月四日に判決
が言い渡される。

12月4日に判決ですか、さすがに速い。
この種の裁判では、こんなに揉めることはほとんど無いのですが、なんかすごいですね。
実際に「桃太郎は徒歩の移動手段だと認識していた」と証言したのだとすると、「桃太郎という言葉を知っているじゃないか」と突っ込まれるでしょう。
わたしも最初に「桃太郎」と聞いたときには全くイメージが浮かばなかった。行列した歩くことを知っていれば、それが選挙運動だと思わないのは無理がありすぎます。

公選法の運用は、解釈論を全く許さないで来ていますから、弁護側の主張の根幹である「決定的証拠が必要」というのは、公選法の常識の範囲では無理があります。

検察が「これがダメなら」というのも、こういう「常識」から来ていて、それも元を質せば選挙での公平の維持を目的としているので、違反の処罰以前に「これでやらなくてはならない」という「指導的な側面」が極めて強い法律である必要があるからでしょう。

早い話が「指導に反した」だけで公選法違反とされるのは仕方なく、警察からの警告が選挙たびに多数出ることになります。

それに対して、弁護側が「確固たる証拠が必要」というのは、公選法の趣旨というか選挙そのものの趣旨に反するとも言えるわけで、なんでこんな主張をするのか、本当にこんな事を考えている、選挙素人なのか?
いずれにしろ、被告はそこそこ長く選挙に関わっていた「経験者」には間違いなく、こういう展開になるところに陣営として非常識ぶりが極めて強かったのだろう、と感じてします。

11月 24, 2007 at 11:15 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.29

参議院神奈川選挙区小林議員の選挙違反

東京新聞神奈川版より「事前共謀なかった 小林温氏派選挙違反事件検察側と真っ向対立

七月の参院神奈川選挙区で当選した自民党の小林温前議員(43)陣営の選挙違反事件。二十八日の横浜地裁での初公判は、出納責任者で元公設秘書と、自民党県連職員の弁護側が、選挙にかかわった大学生らに渡した金について「公職選挙法で認められた単純労務への報酬であり、事前共謀もなかった」と無罪を主張し、検察側と真っ向から対立する展開になった。

検察側は冒頭陳述で、小林前議員が四月に「若さをアピールした選挙運動を展開したい」と話したのを受け、両被告が五月に電話で「若い選挙運動員を集めるため日当一万円の報酬を支払う」と打ち合わせており、事前の共謀があったと指摘。

一方、大学生らがビラ配りなど選挙活動をしていたことを元公設秘書が知っていたかどうかについては、「選挙運動員にビラ配りに対するねぎらいの言葉をかけた」「ビラ配りについての大学生らの会話を聞いていた」などと間接的な事実を列挙したにとどまった。

また、八月二十六日に都内のホテルで、小林前議員本人から任意で事情を聴いた調書も証拠として提出したが、内容は詳しく明かさなかった。

弁護側は、大学生らに渡した金の趣旨は、街頭演説のための場所取りや旗の設営といった単純労務に対する正当な対価だったと主張。
大学生らがビラ配りに携わったことは認めつつ、街頭演説の設営作業の合間に十五分から一時間程度行ったにすぎず、また、鈴木被告はそのことを知らなかったと反論した。

公選法の「百日裁判」の規定に従い、判決期日は十二月四日とされ、それまでの公判日程も指定された。 (中沢穣)

「小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その7」を書いたのが、8月30日でこの時点では小林議員は辞職せずに補欠選挙に持ちこむのではないか?と思っていました。
しかし、9月4日に議員辞職となったために時点の松あきら候補が繰り上げ当選となりました。

小林議員とその周辺に選挙戦略があるのかが非常に疑問があるところですが、今回も小林前議員の言動には大いに疑問を感じます。

朝日新聞神奈川版より「県警、小林氏を聴取

大学生らに日当を払って選挙運動をさせたとして、自民党の小林温・前参院議員=議員辞職=の出納責任者だった元公設秘書ら2人が公職選挙法違反(日当買収)の罪で起訴された事件の初公判が28日、横浜地裁で開かれる。
元公設秘書らの弁護側は、公選法で認められた労務への正当な報酬だったとして無罪を主張する方針で、日当の趣旨が争点になるとみられる。県警は捜査段階で、小林氏から参考人として事情を聴いていたことも新たにわかった。 (藤山圭、小島寛明)

公選法違反罪で起訴されたのは、7月の参院選で小林氏の陣営の出納責任者を務めた、元公設秘書と、党県連職員。

起訴状によると、両被告は7月29日から8月1日ごろの間、大学生ら24人に、参院選の期間中にビラを配って小林氏への投票を呼びかけさせた報酬として、計153万円を支払ったとされる。

公職選挙法は、投票の呼びかけを伴わない事務や労務に対して、一定の報酬を支給できると規定している。

捜査当局のこれまでの調べでは、大学生らは小林氏が街頭で演説をする駅頭での場所取りや、のぼりの設営といった、演説の準備を担当。その後、街頭で有権者にビラを配って投票を呼びかけたとされる。検察側は、これらの一連の行為が集票活動にあたる、と指摘するとみられる。

一方、捜査段階で鈴木被告は「買収はしていない」と容疑を否認。弁護側は公判で「選挙運動への報酬ではなく、労務に対して日当を支払った」と主張する方針だ。出納責任者として、選挙期間中のほとんどを事務所で業務を担当していたため、大学生らがビラを配っていたことへの認識がなかった、などと主張するとみられる。

この事件を巡り、県警は捜査段階で、参考人として小林氏から任意で事情を聴いた。小林氏は「何も知らない」と答えたという。

議員辞職を表明した今月4日の記者会見で、小林氏は「県警や地検の事情聴取は受けたか」との質問に対して「受けていない」と答えていた。

8月26日に事情を聞かれていたのに、9月4日の記者会見の質問に「聞かれていない」と答えた小林前議員のセンスの悪さは目を覆うばかりで、こんな事だから自民党からの支援も受けられないのでしょう。

全体としてこの事件は「センスが悪い」と評するのが一番近いかな?と思うところですが、両被告の主張もちょっと考えられない内容で、公設秘書と県連職員なのだから選挙実務について全くの素人と同様の主張をしては、今後は政党関係者として動ける世界は無くなってしまうでしょう。

確かに選挙の現場にいると「公選法の解釈は???」とか「公選法は改正するべきだ」と思いますし、議論もします。
しかし、選挙は当選を目指すのが当然であって、仮に落選してもダメージを最小限にするように努力する、だから選挙違反と追及されないために一生懸命やる。のが当然なんですね。

両被告の主張の根幹は現在の公選法の解釈と運用について反対するという立場から出ているのだろうと思いますが、被告の立場で100日裁判で主張出来ることとは思えません。
なんのために反論しているのか良く分かりません。ひょっとすると、本当に知らなくて今に至っても知らないで反論しているのでしょうか?

9月 29, 2007 at 11:55 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.08.30

連座制とは内部統制そのもの?

突然、ひょいと思いついたのだが選挙の連座制とは内部統制違反ということか?

「小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その7」に紹介した小林議員の側の言い分は

  • 出納責任者は現金を渡したことは認めながら、「買収ではない」と否認を続けている。
  • 陣営幹部は、「事務所としての体制が薄かった」
  • 弁護人には「大学生らは労務者などとしてかかわっていた。設営や場所取りがほとんどで、選挙運動には当たらない」
  • 「事務員でも選挙運動用の腕章を着ければ、ビラ配りなどができると勘違いしていた」と犯意はなかった

これらをまとめると「確信的な公選法違反の意志はなかった」という主張のように見えます。

内部統制について詳しいとは言えませんが、基本的には「ちゃんと管理することは保証しろ」ということだろうと、理解しています。
それに罰則が付いてしまった。

会社で内部統制で問題ありとされた場合、経営者に責任が行くわけですが、問題になるのは社内の規則に反した場合のはずで、実際にそれによるトラブルが問題になってからでしょう。

小林議員の選挙では、すでにアルバイトの側はお金を受け取ったということで決まっていますから、外見的には「日当買収」が成立しています。
そこに「知らなかった」が通用にするのか?という問題ですが、選挙実務の立場としては毎回手引き書とにらめっこの上、警察とも相談しながら進めているのですから「知らないことはない」ところまで、つめています。

そういう立場の経験者としては「知らないでは済まないだろう」としか思わないのですが、逆に「知らなかった。時間がなかったのだから、手加減してくれ」という主張があった場合、どう考えれば良いのか?なのです。

まぁ知らなかった、間違えだったでは通用しないのは当然ですが「知ることを義務づける」のがどの範囲なのか?
送検された出納責任者と実質上の事務長は「知っていること、部下にもそれを指導することが義務づけられていた」なのだとすると、これは内部統制そのものじゃないでしょうかね?

8月 30, 2007 at 11:53 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その7

「小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その6」ではアルバイトをした側(お金を受け取った側)が書類送検された記事を伝えましたが、すぐにお金を出した側が送検されました。

送検されたのは、小林議員の公設秘書の出納責任者と、事実上の選対事務長と思われる県連職員です。
事務長か出納責任者のいずれかが有罪になった場合は連座制が適用となり、議員は失職します。
この事から、今回の送検は小林議員の連座制適用での当選無効・失職へ向けて事態は進んでいると見るべきでしょう。

新聞報道では、出納責任者の弁護士は「選挙運動とされる部分はごく一部で、事務所で内勤だった日もある。受け取った現金は報酬にあたらない」として争う姿勢を示していますが、県連職員については、肝心の県連が小林議員が国会にも出ないで雲隠れ状態を「(次の)選挙が出来ない」と言っているくらいですから、裁判になってこの県連職員が検察の主張をそのまま認めてしまうかもしれません。

そうなると、出納責任者が無罪を主張して、極端に言えば「本当に知らなかったから出納責任者は無罪」であっても、事務長が有罪で連座制適用により小林議員は失職となるでしょう。

すでに小林議員の失職後をにらんでのその後の4月の補欠選挙に関わる判断に動いているのだろうと思いますが、自民党と公明党と民主党の3勢力の関係性が今まで10年間ぐらいとはまるで違ったものになっていくと思われます。
一議員の選挙違反事件ですが、ことは神奈川県の政界再編成とも言えるインパクトがありそうです。

東京新聞記事では選挙事務所として弱かったとありますが、実際問題として選挙に至るまでに「講習会」のようなものを政党主催で開くものです。
そういった準備を経て選挙戦にはいるのですが、送検された出納責任者が決定したのが公示日の2日前というのは、ほとんど「あんたで届けておくからね」程度の事だったのでしょう。
それでは「その時の選挙実務のノウハウ」なんて入ってくる時間などありゃしない。

わたしが関わっていた統一地方選挙では、4月15日告示22日投票の選挙に対して、わたし自身は1月から事務所に入りましたが、候補の夫人はその次点から選挙戦の直前まで昼間はほとんど事務所に来ないで、各種手続きを含めて外回りで情報を収集していました。

夜になってから「今日はこういう情報があったが、どうしようか」と話し合って行動を決めていく。
こういったことに十分な時間を掛けてやることが重要であると知っている人たちが居ないで、人数だけ揃えてもダメだと言えます。
運動を手伝ってくれると集まって来た方の中にも「宴会やらなくては」とか言い出して周囲が「おいおい」と止めるなんてこともありました。
そういう人たちも含めて「こうやっていかなくてはいけない」「公選法は大変だ」と認識して貰うことこそが、選挙事務所の中心にいる人間の責務であって、その意味では「分かってなかった」とか「認識が違う」では回りの人に多大な迷惑を掛けます。
今回も、学生を中心とするアルバイトの人たちに迷惑を掛けたのは明らかで、それだけでも「責任あり」と言えます。

神奈川新聞より「出納責任者ら起訴、小林参院議員が辞意否定

参院選神奈川選挙区で当選した自民党の小林温議員陣営が運動員に報酬を支払ったとされる事件で、横浜地検は二十九日、公選法違反(日当買収)の罪で、出納責任者と県連職員の両容疑者を起訴した。小林議員はコメントを出し、現時点で議員辞職する考えがないことを明らかにした。

今後、出納責任者の有罪が確定すると、連座制が適用されて小林議員が議席を失う可能性がある。また県連職員が「組織的選挙運動管理者」と認定された場合も同様の流れになる。

一緒に逮捕された同党市連職員と、金銭を受け取ったとされ書類送検された学生ら二十四人は不起訴(起訴猶予)になった。

事件発覚以後、公の場に姿を現していない小林議員はコメントで「現在は報道された以上のことは分からないので、裁判を通して事実関係を正確に把握した上で対応を考える」との意向を表明した。

公選法違反事件の一審は通常、事件受理日から三十日以内に初公判が開かれ、次回以降は週一回以上のペースで審理することになっている。裁判所には判決を百日以内に出す努力義務の規定があり、順調に進めば十二月までに結論が出る見込み。

起訴状によると、両被告は市連職員の男性と共謀し小林議員の当選を目的に、投開票日の七月二十九日ごろから八月一日までの間に二十四回にわたり、横浜市中区の事務所内などで学生ら二十四人に選挙運動の報酬として現金計百五十三万円を渡した。

読売新聞神奈川版より「雲隠れ小林議員に批判自民内からも自分の口で説明を

参院神奈川選挙区で再選した自民党の小林温議員(43)派幹部の選挙違反事件は29日、出納責任者ら2人が起訴された。
小林議員は事件後、臨時国会を欠席するなど公の場に姿を見せていない。
自民党内にも「説明責任を果たしていない」と、批判や疑問の声も出ている。
出納責任者は調べに「アルバイトの学生らが選挙運動をしていることは知らなかった」と犯意を否認、今後の裁判の行方が注目される。

小林事務所によると、小林議員は出納責任者らが7日に逮捕されて以降、臨時国会に登院せず、横浜市の自宅マンションにも戻らず、東京都内のホテルを転々としている。県連幹部の一部にしか居場所も伝えていない。

出納責任者の起訴を受けて小林議員は「裁判を通して事実関係を正確に把握した上で、対応を考える」とコメントを出した。

こうした対応に、県内選出の自民の若手衆院議員は「説明責任を果たしていない。このままでは疑惑が晴れないままダメージだけが広がっていく。自分の口できちんと説明すべきだ」と批判する。

別の衆院議員も「89万票も取ったのに会見しないのでは、県民に納得してもらえない。県連も次の選挙に入れない」と頭を抱える。

自民県連幹部の一人も「陣営関係者が起訴されたことに対して公の場で県民に謝罪し、説明責任を果たせないような人間は、国会議員である資格はない」と対応を厳しく批判した。

一方、職員の起訴について自民県連は「報道以上のことについては分からない。裁判の推移を見守っていきたい」としている。

また、次点だった松あきら前議員の公明県本部幹部は、連座制で失職するなどした場合、繰り上げ当選の可能性があるだけに、「現段階では何とも言えない。裁判の推移を見守りたい」と慎重に言葉を選んだ。

■出納責任者ら起訴■

連座制適用で議員が失職するかどうかは、出納責任者の起訴で「百日裁判」に委ねられる。出納責任者の弁護人は無罪主張する方針。小林議員は辞職せず、裁判の行方を見て進退について判断するという。

横浜地検の調べによると、出納責任者とともに起訴された党県連職員は遊説活動のまとめ役で、場所取りなどを行う「設営班」の学生らを指揮していた。出納責任者は学生らに「日当」名目で選挙運動の報酬を支払った。

公選法は、候補者の資力によって選挙結果が左右されないよう、「選挙運動は無償のボランティアが行う」ことを想定。ウグイス嬢など特定の運動員以外には、報酬を支払うことを禁じている。

学生らは設営作業のほか、遊説で小林議員と一緒に練り歩く「桃太郎」行為をしたり、ビラ配りで投票を呼びかけたりしていた。捜査当局は「全体として選挙運動をしていたと評価できる」としている。

また、出納責任者はこうした実態を「知らなかった」と否認しているが、捜査当局は「同じ事務所で仕事をしており認識できた」として起訴した。

出納責任者の弁護人の高原将光弁護士は「選挙運動とされる部分はごく一部で、事務所で内勤だった日もある。受け取った現金は報酬にあたらない」と反論。選挙違反事件として成立するかどうか争うことも検討しており、裁判では激しい争いが予想される。

一方、県警は小林議員本人の関与の有無も捜査した。捜査幹部は「議員もビラ配りの運動員を見ていただろうし、側近の出納責任者の行為を知らないはずはないと考え、捜査は尽くした。裏付けるだけの証拠が確認できなかった」としている。

東京新聞神奈川版より「小林温議員陣営買収事件起訴弱い組織に甘い認識

七月の参院選神奈川選挙区で当選した小林温議員(43)陣営の選挙違反事件で二十九日、公設第二秘書だった出納責任者ら二人が横浜地検に起訴された。捜査当局は、選挙運動を行った大学生らに報酬として現金を渡すという違反に及んだ背景に、陣営の弱い組織体制や甘い認識があったとみる。一方で、出納責任者は現金を渡したことは認めながら、「買収ではない」と否認を続けている。(佐藤大、中沢穣)

「事務所としての体制が薄かった」。起訴を前に陣営幹部は、疲れ切った表情で、組織について反省の弁を述べた。

現職とはいえ、もともと“落下傘候補”で強固な支持基盤を持たなかった小林議員。選挙スタッフは「寄せ集め」(陣営幹部)状態だった。そんな中、小林議員の公設第一秘書が六月ごろ、個人的な都合で事務所を辞めてしまう。

出納責任者のなり手がいない中、公設第二秘書が出納責任者に納まったが、それが決まったのは、公示日のわずか二日前だった。別の衆院議員のスタッフとして働いたこともある出納責任者だが、選挙についての経験は乏しかった。周囲には「私でも(出納責任者が)できるかな」と不安を漏らしていたという。

◆選挙運動か否か

選挙資金の管理を一手に引き受けることになった出納責任者。投開票日の七月二十九日、事務所の給湯室などに大学生らを一人ずつ呼び出し、「ご苦労さま」と一人当たり一万円から十二万円の現金を手渡していった。

公選法では、ビラ配りなどで投票を依頼する「運動員」に報酬を支払うことは禁じられているが、あらかじめ選挙管理委員会に届け出た「事務員」やポスター張りなどの単純作業を行う「労務者」に報酬を渡すことは認められている。

出納責任者の弁護人によると「大学生らは労務者などとしてかかわっていた。設営や場所取りがほとんどで、選挙運動には当たらない」と出納責任者の潔白を主張。出納責任者は「大学生らが選挙運動をしていたことは知らなかった。買収ではない」と否認しているという。

しかし、捜査当局は学生らの主な活動は、ビラ配りなどの選挙運動だったと断定。選挙運動には当たらないという主張について、捜査幹部は「へ理屈にすぎない」と切って捨てる。出納責任者が深い認識がないままに違反に手を染めていたとみる。

◆口止めの意味は

一方で、ビラ配りや街頭活動のまとめ役となった自民党県連職員は容疑を認めている。

ただ、「事務員でも選挙運動用の腕章を着ければ、ビラ配りなどができると勘違いしていた」と犯意はなかったとし、学生らに「(現金のことは)言わないでね」などと口止めをしたとされる点について、「事務所内のボランティアの人が気を悪くしないようにと思って言っただけだ」と、その趣旨の違いを強調しているという。

8月 30, 2007 at 11:00 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.08.28

小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その6

神奈川新聞より「金受け取った学生ら24人書類送検/小林温議員陣営買収事件

「小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その5」の続きです。

参院選神奈川選挙区で当選した自民党の小林温議員陣営による日当買収事件で、県警捜査二課と都筑署などは二十七日、金を受け取った運動員二十四人を公選法違反の疑いで書類送検した。秦野市在住の男子私大生(21)ら二十歳から四十歳の男女で、うち十七人が学生、ほかは無職と自営業。

調べでは、二十四人は小林議員を当選させる目的でビラ配りなどの選挙運動を行い、七月下旬から八月上旬にかけ報酬として一人一万円から十数万円を受け取った疑い。全員が容疑を認めているという。総額は百六十数万円に上る。

いずれも「選挙の仕事がある」といった口コミで集められ、うち約二十人は事務員として登録されていた。「一日一万円で」と具体的な報酬を知らされていた人もおり、多くは金を受け取った際に「他の人には言わないで。封筒もすぐに捨てて」などと口止めされていたという。

この事件で県警は陣営の出納責任者、鈴木美香容疑者(33)ら三人が、報酬を渡した容疑で逮捕され拘置中。元秘書の容疑者は否認を続けているという。小林議員は事件発覚後、公の場に姿を現していない。

その後どうなっていたのかなと思っていたら、運動員をやった側は送検になってしまいました。
「小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その5」に書いたとおり、9月15日までに小林議員が辞職するなどして参議院神奈川選挙区議員が一名欠けると、次点だった公明党の松あきら候補が繰り上げ当選になります。

この選挙違反容疑は元秘書と県連・市連の事務職員という選挙実務の責任者が運動員に日当を支払ったので、連座制適用で小林議員が公選法違反で失職する可能性がある、ところが注目なのです。

裁判の結果が9月15日までに出るわけがないので、裁判による失職だと早くても空席になる参議院神奈川選挙区補欠選挙が2008年4月27日に行われることになります。
金を受け取った運動員の方は送検されてしまいましたが、元秘書が否認を続けているのは政治的には次点の繰り上がりをさせない事になります。

これは、自民党と公明党の協力関係を冷ますことには変わりはないでしょう。
神奈川県は民主党が強い地域で、自民党と公明党の協力関係は大きな意味があったと思いますが、それが変わるとなると、自民、民主、公明の三つどもえの戦いで4月の補選に突入となります。
結構すごいことになるだろうと予想します。

8月 28, 2007 at 09:06 午前 選挙 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.08.19

小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その5

「小林温議員・選挙違反で当選無効の可能性その4」の続きです。