2011.01.27

本離れの加速

朝日新聞より「本の販売、6年連続減 週刊誌離れや書籍の新刊減が顕著

2011年1月27日7時56分

出版科学研究所は25日、取次ルートにおける2010年の書籍・雑誌の推定販売金額が1兆8748億円だったと発表した。

前年比で3.1%、608億円の減少で前年を下回るのは6年連続だ。

雑誌は13年連続、書籍は4年連続の減少だった。
同研究所は「低落に歯止めがかかる気配はない」といい、書籍の新刊点数が減ったのが大きな特徴だった。

販売金額は、ピークだった1996年の2兆6563億円と比べ、3割ほども減っている。

売り上げの6割ほどを占める

雑誌は、前年比3.0%減の1兆535億円。

月刊誌が2.4%減だったのに対して、
週刊誌が5.2%減で「週刊誌離れ」が加速している。

創刊点数は110点で、ここ40年間で最少だった。休刊は前年より27点増え、216点だった。

書籍は、前年比3.3%減の8213億円。

100万部以上のミリオンセラーは「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」「1Q84 BOOK3」「KAGEROU」「バンド1本でやせる! 巻くだけダイエット」「体脂肪計タニタの社員食堂」の5点だった。
「売れる本は突出して売れるが、それ以外の本は低調という二極化が顕著」という。

書籍の新刊点数は7万4714点で、前年より4.9%減った。

今の基準で統計を取り始めた95年以降、最大の減り幅。出版社の体力が落ちているのと、本の問屋にあたる取次会社がコスト減のために配本部数を抑制したのが理由だ。
同研究所は

「これまでにない動き。新刊点数は増え続けてきたが、天井を打った。今後は市場規模に見合った供給になっていくとみられる」
と分析している。

返品率は書籍が39.0%、雑誌が35.5%で、いずれも前年より改善した。(西秀治)

週刊誌が担っていた情報流通の多くがネット利用に移行しているから、週刊誌離れは当然だろうと思う。

本離とか言われているのに新刊書がなぜ沢山出てくるのか?と考えると、わたしには大半の理由が取次制度(と再販制)を利用した資金繰りのための発行であったのだろう、と思われます。

新刊点数が減るというのは、出版業界全体としてやってられない、という事なのだろう。
こうなると、何か売れるものは無いのか?と出版界は考えるだろうが、読者から見るとネットを利用していると本がいかにも場所ふさぎであり、かつ検索がやりにくい事がすごく問題になってきた。

情報の検索性という観点では、電子化する方向しかないわけで、わたし自身は模範六法CD版やゼンリンの地図のDVDは紙の時代に比べて、何百倍あるいは何千倍もアクセスしている。

だったら、週刊誌の電子記事化やシリーズで発行している小説の電子書籍化などは、読者に十分に受け入れられるものだと思う。

とにもかくにも、新刊書の電子書籍化を強く望むものです。

1月 27, 2011 at 10:04 午前 書籍・雑誌 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.20

電子出版が進まないから自炊に走るし、代行業者も出で来る

サンケイ新聞より「書籍電子化 自炊代行業者にNO! 著作権侵害? 出版社が対抗策

2011.1.20 14:16

自ら書籍を電子化する「自炊」を代行する業者が増えるなか、店舗内にある裁断済みのコミックとスキャナーを有料で使えるサービスが昨年末に登場し、著作権をめぐる議論が改めて巻き起こった。

インターネット上で批判が集中したことから業者は一時的にサービスを休止したが、21日から「業務を変更して」再開する予定。自炊業者の興隆に対し、一部の大手出版社は、「購入者以外の電子化は認められていない」と書籍の奥付に明記する対抗策を打ち出し始めている。(猪谷千香)

業務変更で再開へ

ネットで“炎上”した自炊業者は、昨年12月27日に東京・秋葉原で“試験オープン”した「自炊の森」。
利用者は店舗内に配置された裁断済みのコミックをスキャナーで電子化し、データを自宅へ持ち帰ることができた。

書籍の利用から電子化までがセットとなり、1冊当たりの料金が設定されていたことから、「(著作権法で許された)私的複製の範囲を超える」「著作権者に対する利益還元がない」などと指摘された。

著作権法では、個人が個人的な目的で自ら著作物を複製することや、施設内で書籍を使わせることを認めており、「自炊の森」は一見、同法をクリアしているようにもみえる。

しかし、著作権法に詳しい福井健策弁護士は、

「自らの管理下で著作物を利用させ、利得を取得している場合には、自らが利用の主体になるという最高裁の判断がある。
本も機材も店の管理下にある『自炊の森』はこれに近く、違法の可能性が強い」
とみる。

指摘を受けた「自炊の森」は同月31日にサービス休止としていたが、

「店内の書籍利用に関して課金は行わない」形で今月21日から正式オープンする予定。「『店内の書籍は自由に利用していただいて構わない』というスタンス」
と説明する。

奥付に注意明記

「電子書籍元年」と呼ばれた昨年以来、裁断から電子化まで代行する業者が続々と現れている。

「違法性が高い」として、代行業者に対し法的措置も検討してきた日本書籍出版協会では「事態が進んでおり、今年から啓発活動に力を入れたい」と話す

また、文芸春秋や光文社などの出版社は今月から、書籍の奥付に「購入者以外の第三者による本書のいかなる電子複製も一切認められておりません」といった明記を始めた。

「『自炊の森』は作家に対する尊敬がなく、不安を感じる」と語るのは、絶版漫画を無料配信し、広告益を作家に還元するサイト「Jコミ」試験版を立ち上げた人気漫画家、赤松健さん。
「著作権法違反は親告罪だが、(出版社が関与しない)同人誌や絶版本などの漫画について訴えることは難しい」。ツイッターには「Jコミで『自炊の森』を倒したいです」と書き込んだ。

自炊業者が増える背景には、電子書籍のニーズに出版業界が追いついていない現状もある。

日本電子出版協会の三瓶徹事務局長は

「年間8万点近い本が刊行されるなか、電子書籍はまだ一部。本と同時に電子書籍も出さなければ、違法行為はなくならない。読者に便利な環境を提供しなければ」
と話している。

確かに、自炊の森のやり方は、法律の穴を突くというよりも正に脱法的であり、批判もされたが確実に著作権法違反とは言い難いものであった。

それが、先の最高裁判決で著作権法違反となるだろうが、こんな馬鹿な商売を抑止するために、出版社がさっさと電子出版を進めれば良いだけの話だ。

それを「啓発を進める」とは何様のつもりなのだろう?

出版界のユーザー無視の姿勢が、自炊の森を登場させた事に気づかないのだろうか?

1月 20, 2011 at 07:40 午後 書籍・雑誌 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.03

電子書籍・「国内出版社」を保護する理由は無い

読売新聞より「電子書籍普及へルール作り、流通や著作権研究へ

総務、経済産業、文部科学の3省は2日、本や雑誌をデジタル化した電子書籍の普及に向け、国内での流通や著作権に関するルール作りに乗り出す方針を固めた。

出版社や通信会社、著作権団体、国立国会図書館などによる官民合同の研究会を3月中に発足させ、今夏までに具体策をまとめる。

米国では、2007年に発売されたインターネット小売り最大手アマゾン・ドット・コムの情報端末「キンドル」がヒットし、電子書籍が急速に普及している。

日本では出版社や通信会社などの準備が遅れており、アマゾンなどが進出すれば、日本でも主導権を握る可能性が指摘されている。

そのため、3省は国内ルールを整備して日本企業によるビジネスを後押しし、中小・零細の出版業者の保護を図る必要があると判断した。

研究会では、ネット配信する電子書籍のデータ形式の共通化やコピー制限などの著作権管理、書店での「立ち読み」に相当する一時的な無料閲覧に関するルール作りなどを検討する。

印刷会社、書店、インターネットの検索サイト運営企業や、著作権団体代表として現役の作家らもメンバーとして参加する予定だ。

電子書籍では、アマゾンが1月、米国で販売価格の7割を著者に報酬として支払う事業モデルを発表し、印税が約1割にとどまる紙の書籍などのビジネスを脅かしつつある。
(2010年3月3日03時05分 読売新聞)

「「政治主導」の電子書籍対応」の続きですね。

前にも書いていますが、何で今ごろになってこんな事を「研究」するのでしょうか?
アマゾンが日本語化ビジネスに成功したら、アマゾンから「出版する日本人」がたくさん出るでしょう。
私だって考えるもんね。

「電車男」を代表にして良いかと思いますが、ネット上に溢れる日記などを電子出版して、70%が版権として著者に戻るのであれば、国内で出版する理由は全く無いのです。

別に日記じゃなくても良い、団塊の世代が一斉に現役を離れれば、仕事の記録が、科学者や技術者も同じように「出版」することが出来る素材は持っているでしょう。

出版できない最大の理由は「ビジネスとしてハードルが高すぎた」からです。
コストが高すぎた。
著者に10%しか払わなくても、採算が合わない、というのでしょうから、コストを下げればよいと誰でも考えるわけですが、その評価基準としてアマゾンは著者に70%支払えるということは、コストを1/7に出来るという宣言ですよ。

電子書籍では、アマゾンが1月、米国で販売価格の7割を著者に報酬として支払う事業モデルを発表し、印税が約1割にとどまる紙の書籍などのビジネスを脅かしつつある。

日本で出版を維持するために、著者に80%を支払う、とでもしない限りどんどんと「アマゾンからの出版」に雪崩のように著者が移動するでしょう。

3月 3, 2010 at 09:47 午前 書籍・雑誌 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.02.08

「環境リスク学」

「環境リスク学」中西準子著 日本評論社刊 ¥1,890をようやく買いました。

中西先生はわたしが関わっている「中西 vs 松井裁判」の被告で、東京大学教授→横浜国大教授→産業技術総合研究所という経歴で、環境リスクという新た分野を開拓した先生です。

わたしはマクロ経済学というかワールドシミュレーションに興味があるので、環境問題についてもその範囲の大ざっぱな興味であり、むしろ各国の政治的判断や企業の行動の方に視線が向いていました。

これを読んだ方が細かい感想を述べずに「素晴らしい」といった感想ばかりだったのですが、わたしも同じになりました(^^ゞ

「目からウロコが落ちる」といった面がありますね。現代の教養として重要な本でしょう。
裁判に関わるようなって初めてこの本があることを知ったのですが、ちょっと本屋で探しても「店内在庫無し」だったのです、それが毎日文化賞を受賞したことで、増刷になったので店頭にあったようです。
お勧めします。

2月 8, 2006 at 09:51 午前 書籍・雑誌 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.09.03

参考にはなるがマネは出来ない?

週刊!木村剛「能登空港は過疎地の星になれるか?」は能登空港の一年間の成功についての話しから、

どのような組織体においても、業績の主要因は経営自身にある。経済環境の責任にするのであれば経営にタッチすべきではない。空港誘致などトライしなければよいのだ。ましてや需要不足などという戯言で経営蹉跌や業績不振の原因をごまかすべきでもない。
 俗にいう不良債権問題に関する「大手30社問題」が、とどのつまり、ミクロの経営問題であって、マクロの経済問題ではなかったことを思い出すべきだろう。その頃はやったデフレの責任に帰する議論は、結局のところ、状況を改善するという点に関して何の価値もなかった。

という話しで決着している。
これはこれで正しいと思うが、能登空港が漠然と「地方空港だから頑張った」という風に受け取れるのだが、ちょっと違うような気がする。

 
能登半島のあたりは富山、小松、能登と空港がある、さらに定期便は無いが福井空港もある。事実、東京からだと「小松に行くか、富山に行くか」を選ぶことが出来た。
そこに能登空港であるから、能登空港が出来るのと知った時に「さらに過密にするのか?」と感心したものだ。
空港を選ぶことが実用的に出来るのは他にはそうそう無いだろう。東京というか関東圏では国内線は羽田、国際線は成田だけである。しかも道路交通は混雑の極み・・・・。

この過当競争(としておく)体質はどうもこの地域の基本的なバックボーンではないか?と感じます。その結果として能登空港は開港1年で目標をクリアーしたのではないか?
であるならば「他の(地域なども)見習えば良い」と木村氏は言うのかもしれないが、見習う側にとっては見かけ以上にハードルは高いように感ずるところです。

先日、福岡で木村氏の講演を聞いたのは、東京、札幌、大阪、名古屋、福岡と同じテーマの会合に出かけたことの一環であったのだが、この5大都市ですら意外なほどの地域差を感じました。
ついついネットワークが一般的になって、それ以前の高度経済成長以来の中央からの情報発信などで、日本は均一といった印象を持っていましたがどっこい地域差はかなりある。

これが地域格差であれば、格差解消という収束点が見えるのだが、地域差なのであるから収束はしないだろう。
しかし、一方で法律や金融ルールのように全国どころか国際的にも一律にしないわけにいかないものもあるわけで、今までが中央に統一というどんぶり勘定だったとするならば、これからは統一と独立といった二重の考え方、レストランとしては基準は守るが、料理は一品料理が中心といった感じに両方に均等に配慮をする必要があるし、地域差そのものは無数にあるわけだから配慮すること手間は中央に統一ことの手間よりももっと難しいだろう。

ワケの分からない文章になったが、地域差はある、それは簡単にコピーできるものではない。というのが今の考えであります。

9月 3, 2004 at 10:32 午前 書籍・雑誌 | | コメント (0) | トラックバック (1)