情報ネットワーク法学会・新潟大会
情報ネットワーク法学会の第7回研究大会に出席してきました。
今回は新潟大学の手で実施され、場所がにいがた産業創造機構「NICOプラザ」なので、「ホテル日航新潟」の高い建物で非常に快適でした。
懇親会は、ホテル日航の30階で素晴らしい夜景が眼下に広がっておりました。
情報ネットワーク法学会では、ネットワークでは有名な人が幅広く参加していて、色々な話が聞けて大変に勉強になるし、第一面白いところです。
岡村久道氏、町村泰貴氏ら理事の方々は前日から新潟入りで大変な事です。
プログラムが9時30分開始なので、これに合わせて9時に新潟着とすると6時前の電車に乗らないと間に合わない。「それなら車で行ってしまえ」と5時発で予定通りに9時15分に会場に入りました。
プログラムの内
| 砂金 伸一(山本秀策特許事務所) 田中規久雄(大阪大学) | 「匿名ファイル交換ソフトで違法複製物をダウンロードした者の法的責任」 |
| 奥村徹(大阪弁護士会) | 「プロバイダの刑事責任~名古屋高裁平成19年7月6日と東京高裁平成16年6月23日」 |
| 石井夏生利(情報セキュリティ大学院大学) | 「情報セキュリティと専門家の責任」 |
| 基調講演 山口厚 東京大学大学院法学政治学研究科教授 |
『情報ネットワーク社会と刑法』 |
を聞きました。
「匿名ファイル交換ソフトで違法複製物をダウンロードした者の法的責任」
は現在進行中の「ファイル交換ソフトを利用した音楽・映像ファイルをダウンロードを取り締まる、という案の進行状態についての説明でしたが、権利者団体の「取り締まる」という話が実際に検討してみると止まってしまっているといったようなお話しで「そう簡単に出来るモノか?」と思っていたことが、実際のようです。
「プロバイダの刑事責任~名古屋高裁平成19年7月6日と東京高裁平成16年6月23日」
児童ポルノ事件を多く手がけている奥村弁護士のお話しでしたが、これはもう無茶苦茶な話でかなり笑ってしまいました。
一言で言えば、東京高等裁判所と名古屋高等裁判所の判断がほとんど正反対で「これでは問題だろう」と内容です。
プロバイダ、つまり管理者の責任を争う裁判ですから、少なくとも管理者が児童ポルノ画像を自分でアップした、のではありません。
そこで、正犯か従犯かで東京と名古屋で分かれてしまった。というのです。その上というか当然というかなのですが、作為犯か不作為犯か、正犯か幇助犯かという4つの組合せのどこに判断を納めるか分からない、という報告でした。
名古屋高裁は
「同種亊案における判断が裁判ごとに異なる事態は望ましいことではないが、このような場合、上級審に夜見解の統一が図られ、また多数裁判例の集積により自ずから行っている結論に終息していくこととなる」
というなかなかファンキー判決を書きました。
裁判自体は児童ポルノ画像についてですが、本質はプロバイダ(管理人)が違法情報を削除しないことが、法律上どのような判断になるのか?ですから、名誉毀損や著作権侵害であっても適用される判断で、一言で言えばネット上で情報発信している人にとっては全く同じリスクがあるといえます。
そして実際に裁判になったときに、このようにバラバラでは「判決は独立です」にしてもひどすぎると言えます。
「情報セキュリティと専門家の責任」
これも、大変に興味深い研究報告でした。
情報セキュリティの専門家を制度的に定めたような場合、他の専門家の立場と比較してどのようなことになるのか?という内容です。
典型的な専門家して医師・弁護士といった職種と比較して・・・・という研究を始めたとのことですが、責任ということであれば情報セキュリティの責任範囲が、コンピュータ室の鍵の管理とかパスワードの管理といったことに限定するのか、流出した情報の価値についてまで及ぶのか?といった問題になるかと感じました。
このような研究が行われていないから、情報流出で一人あたり500円といった「相場」が勝手に出来ているとも言えるわけで、大いに期待したい分野です。
基調講演 「情報ネットワーク社会と刑法」
これもすごい内容で、情報をめぐる犯罪とその対処についての研究を時系列にまとめた報告でした。
法的な整備が本格化したのが世界的にも1987年頃からとのことで、パソコン通信が始まったときからですから、そのまっただ中で管理者をやっていたわけで、現在進行形でもある情報ネットワーク法学会の活動を面白く感じるのも当然だ、と改めて思ったところです。
すでに、町村先生、落合弁護士、小倉弁護士、壇弁護士、藤代裕之氏、池田信夫氏といった有名どころが感想などをアップされています。
11月 12, 2007 at 02:42 午前 白浜シンポジウム | Permalink | コメント (5) | トラックバック (0)
