2012.12.31

オリンパスの旧経営陣

サンケイ新聞より「法廷で内紛が勃発!? オリンパス粉飾、責任なすりつけ合いに汲々

2012.12.31 07:00 (1/3ページ)

 「俺は悪くない!」。法廷に、そんな心の叫びがこだました。オリンパスの粉飾決算事件で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われ、年内に3回の公判が開かれた同社元会長、菊川剛被告(71)ら旧経営陣の3人。
「全責任を負う」などと起訴内容を認める一方、被告人質問では損失隠しに反対していたことをそれぞれが強調。

法廷を舞台に、実務を掌握していた元監査役が元経営トップを責め立てる“内紛”まで勃発した。(時吉達也)

 「自分の優柔不断から公表に踏み切ることができませんでした。一切の責任は私にあり、全責任を負う」。

 9月25日に開かれた東京地裁の初公判の冒頭、菊川被告はきっぱりと言い切った。
元監査役、山田秀雄被告(68)と、山田被告の部下として長年隠蔽に携わった元副社長、森久志被告(55)も起訴内容を全面的に認める。

その後の公判で繰り返される当事者同士の「非難の応酬」は、この時点で想像できなかった。

 検察側の冒頭陳述によると、オリンパスは昭和60年代以降、当時の下山敏郎社長の下で資産運用を活発化させたところ、バブル崩壊に伴い金融商品に巨額の含み損が発生。海外ファンドなどに金融商品を買い取らせたり、企業買収に絡む資金を還流させることで、損失の穴埋めを図っていた。

 損失隠しは後任の岸本正寿元会長を経て菊川体制に受け継がれたが、下山、岸本両氏は公訴時効が成立し、立件されなかった。隠蔽工作に携わった関係者それぞれが、公判で反省の言葉を並べる一方、互いの証言によって「別の素顔」も浮かび上がった。

 「『乗っている飛行機が落ちればいい』と現実逃避していた」

 平成5~13年に社長を務めた岸本氏は

捜査段階の供述調書で、粉飾を続けながら損失を拡大させ続けていた当時の心境をこう表現した。
菊川被告ら3人が逮捕、起訴されたことに対し「損失を膨らませた責任はむしろ私にある」と謝罪。
下山氏も
「リスクの高い運用でさらに損失を出してしまった。大いに反省している」
と供述調書につづった。

 しかし、3被告が被告人質問で、粉飾を続けた要因として真っ先に挙げたのは、そんな2人の圧力だった。菊川被告は

13年6月の社長就任後、2人に簿外損失の公表を提案したところ「バカを言うな、会社がつぶれてしまう」と頭ごなしに反対され、断念した
と振り返った。

 山田被告は下山氏について

「絶対的権力があり、陰で『下山天皇』と呼ばれていた」
と明かした。
会社資産の含み損が拡大する中、財テクに詳しかった山田被告は、
下山氏個人の資産運用まで頼まれたというエピソードも“暴露”。「約1000万円の損失が出たため、銀行で借金し、元本と利益を補填して(下山氏に)お返しした」
と、苦々しい表情を浮かべた。

 非難の矛先はさらに、被告人席の同じ長椅子に座る互いの存在にも向けられた。

 「経理や財務の素人の自分は、どう処理すべきか正直言ってわからなかった」

 菊川被告は

社長就任まで、粉飾の事実を全く知らなかったと強調。隠蔽工作の実務を担当した山田、森両被告の存在を際立たせるように、「門外漢」である
ことをアピールした。

 これに対し、山田被告は

“猛反撃”を開始。菊川被告が11年に財務担当の常務に昇格した時点で、当時の岸本社長から実態を知らされていたとし、粉飾状況の定期報告を行う際にも「岸本社長の隣に座り、話を聞いていた」
と指摘した。

 さらに、弁護人から「菊川被告の言動で印象に残っていること」を問われると、語気を強めて続けた。

 山田被告

「昨年10~11月、事件が発覚し、マスコミに騒がれた時に、『俺はこの問題、社長になってから知った。そうだよな』と言われたのを良く覚えています」

 弁護人「その言葉の意味をどうとらえましたか」

 被告

「推測だが、菊川さんとしては自分も被害者だった、という認識だったのではないか。会社のトップとして堂々と記者会見してほしかったが、非常に残念だった」

 山田被告は、

不正工作の一環として18年以降、健康食品販売のベンチャー企業を実際の価値を上回る額で買収した際の菊川被告との会話にも言及。
「菊川さんはサプリメントの分野に詳しく、『利ざやが大きい事業。マルチ商法的に売っていくのも手だ』と話していた」と、
問題発言があったことを明かした。廷内で、2人が目を合わせることはなかった。

 一方、長年にわたり山田被告の部下として粉飾の実務に携わってきた森被告は損失隠しを拒否する考えがなかったのか問われ、こう訴えた。

 「オリンパスに限らず、社長、上司の方針というのは従業員にとって絶対的なもの。それを遂行するのが役割だ」

 「従業員と家族を考え、公表を決断できなかった」(菊川被告)
「当時は『死んで楽になりたい』と考えていた。それでも、支えてくれる部下を思うと、辞めることはできなかった」(山田被告)-。

公判では、それぞれの苦悩が明らかになりつつある。「悪人」は、一人もいなかったのかもしれない。しかし、当事者同士の責任のなすり合いに終始し、社会が事件の教訓を得られないとすれば、それはあまりにも残念でならない。

事を荒立てないことこそが、仕事とやってきたからこんな事になった、とは誰も考えていないんだ。

会社が勝手に進んでいくと思っている。
万一に起きること、とか考えていない。

こういう考え方だと、21世紀になって続々と企業に課せられるようになった、社会的な義務についても「そういう規則になったから」といった「順法精神」で臨むのだろうな?
別の言い方をするれば外部コンサルタントのいいカモだ。、

結局のところ、財テクコンサルタントに乗せられたときと、今現在で何が違っているのか?
オリンパスの現経営陣は非常な危機にさらされている。
いわば、アレルギー反応のような社内での衝突になるに決まっている。

この状況こそが危機であって、過去の経営者のニュースが新聞記事になるようなところこそが危機だというべきだ。

12月 31, 2012 at 10:11 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.05.16

実刑にしてしまえ

読売新聞より「生徒PCに流したスカート画像、全部消した教諭

埼玉県川口市の市立中学校で4月、40歳代の男性教諭が授業中にわいせつな画像を閲覧し、生徒のパソコンにも表示させた問題で、
教諭は画像について

「自分で撮ったのではなく、購入したDVDからキャプチャー(画面保存)した」
と話していることが市教育委員会などへの取材でわかった。

市教委によると、画像は女性のスカート内を撮影したものなどだったが、教諭はすべて消去しており、詳細な確認は困難だという。
市教委は可能な限り確認を進めた上で近く県教委に報告する。

市教委学務課などによると、学校は今月8日に全校生徒への説明会や保護者会を開き、生徒たちの心の動揺に対応するため、9、10日にはスクールカウンセラーを常駐させた。

(2012年5月16日11時49分 読売新聞)

いくら何でもおかしいのではないか?

生徒のパソコンにも表示させた
という事だけで、PC教室での授業中の事件だろう。

PC教室なのだから、教卓側で見ている画面と、生徒側で見ている画面を制御できる。
簡単に言えば、教卓側で生徒に見せるべきファイルを探すといった操作をしていても、それを生徒には見せないようにして、たとえばパワーポイントのスライドショーの準備が出来たところで、生徒に見せるといった扱いが普通に出来る。

しかし、これは逆に言うと、けっこう慎重を要する操作であって、私物のPCを接続するようなことはしない方が良い決まっている。

こんな事を考えると、この教師のやったことは、最初から最後までIT教育の観点では落第で、証明もヘチマも無いだろう、と強く思う。

多くの生徒が見てみるのだから、事実であって証明は済んでいる。

だから、次は刑事事件にするべきなのであって、すでに市教育委員会がウロウロする段階ではない。
こういう点を理解していないのが、教育関係者なのだ。

5月 16, 2012 at 01:16 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.05.09

知らなかった。コンプガチャ問題

Facebookに書いたのだが、コンプガチャ問題が思っていたよりもひどい話だと気がついた。
この記事を紹介されてようやく分かった。

【漫画つき】コンプガチャだけじゃない。ケータイSNSゲーム課金の仕組み解説

部分的に引用します。

「ガチャ」というのは、現実のガチャガチャのようにランダムでカードを手に入れることができる仕組みで、300円で1回、3000円払うと11回分できたりします。

で、「ガチャコンプ」はゲーム内のイベント。
対象のカード5枚から12枚が指定されて、期間内に全部集めることで、普段は手に入らないレアカードをもらえるんです!
なるほど、コンプリートするとご褒美が出るんですね、平和で、面白そうなイベントだね。 ところが大きな罠があるんです。

コンプガチャをするつもりがなくても、対象カードが出ることがあります。
8枚中3枚が手に入ったのだから、残りは5枚。
あと今の2・3倍頑張れば、コンプリートできる...?

実は大間違い

カードの出る確率は一定でも、揃えば揃うほどカードがダブりやすくなります。
6枚揃っているなら、8種類のうち2種類しか当たりになりません。
1枚目の確率が10%あっても最後は1.25%まで落ち込みます。
厄介なことに、最初は短い間に何枚も揃ってしまい、
誰でも「あれ?いけるんじゃね?」と考えてしまいます。

そもそも、当たりが出るかどうか、という確率がありますが、それを揃えるというのは、ジャンケンの勝ち回数を競うようなのもので、揃えるということで確率は格段に下がる。

パチンコなどでも、ボーナスという考え方があるけど、ボーナスは大儲けを狙う人のためであって、ボーナスを出さないと意味がない、と言うゲームではありません。
しかしコンプリートつまり揃えることが目的だと、ボーナス以前は無意味となってしまう。

にもかかわらず、そこまで揃えていく過程が必要で、かつその過程自体にも当たり外れがある。
そして、揃えていくことでどんどんと確率が下がっていくわけで、最終的にコンプリートする確率がどのくらいなのか?は公表されていないようだし、そもそも公表できるのか?

当たるかどうか分からない物にお金を使うのは、本質的にバクチです。
これをあまり厳密に適用すると、販促のためのクジも禁止しなくてはならないから、ある程度は自由度があるのは当然として、普通は「何本に一本の当たりくじ」とやっている。当然だ。

この当たりくじの確率がどんどん悪くなるのが、コンプリート。
こんなモノが許されていることがそもそも異常だろう。

賭博罪あるいは、詐欺罪を適用した方がよいのではないのか?

5月 9, 2012 at 02:38 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011.12.15

この記事は真実に近づいているのか?

読売新聞より「横断中の旗に車止まらず、児童2人はねる

15日午前8時頃、千葉県習志野市谷津の市立谷津小学校の正門前で、登校中の児童7人が横断歩道を渡ろうとしたところに乗用車が突っ込み、9歳と8歳の2人がはねられた。

救急車で病院に搬送されたが、いずれも膝や肘を打つ軽傷。習志野署は、乗用車を運転していた同市鷺沼、自営業(72)を自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕した。

発表などによると、事故にあったのは女児6人と男児1人で、信号が青に変わって横断しようとした直後、事故にあった。交通安全のボランティアが、「横断中」と書かれた黄色い旗を車道に差し出していたといい、事故を目撃した交通安全ボランティアの男性(74)は、「旗が出ているのに、車は止まらずに子供にぶつかってきた」と話した。

現場は、JR総武線の津田沼駅から南西に約1キロ離れた住宅街にある見通しの良い直線道路。
事故直後、学校の教諭らが事故で倒れた児童を救護したり、ほかの児童を校内に誘導したりして一時騒然とした。

(2011年12月15日11時57分 読売新聞)

今ひとつ状況が分からないのですが、信号があるところにボランティアがいて、黄色い旗を出して横断中であることを示しているところに、事故車が突入したようですね。

不思議なのは、黄色い旗を出していたボランティアが、「黄色い旗で車が止まるだろう」として対処したということですね。
これは、安全という観点からは失格です。

こういった観点からは、読売新聞の記事のタイトル「横断中の旗に車止まらず」というところが、ミスリードなのではないだろうか?
むしろ信号無視の方が問題ではないのか?

そんなわけで、「今ひとつ信用できない新聞記事だなあ」と思ってしまったのです。

12月 15, 2011 at 05:37 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.11.08

安愚楽牧場・破算手続に

紀藤弁護士のブログより「安愚楽被害:本日、民事再生が廃止され破産手続に移行することになりました。

急転直下の決定ですが、本日午後2時、東京地方裁判所は、株式会社安愚楽牧場に対し、民事再生手続を廃止する決定をし、その上で、同社に対し、破産法上の保全管理命令を出し、これまで民事再生手続における管財人であった渡邊顕弁護士(第一東京弁護士会)を保全管理人に選任しました。

これにより、安愚楽牧場の破たん処理は、民事再生手続ではなく、破産手続に移行することになりました。

先週4日(金)に、渡邊顕弁護士が管財人が就任し、土日返上して週末かけて安愚楽を調査したところ、想像以上に財産の流出があり、破産法上の処理に移行しなければ、もはや、財産の保全ができないとの判断です。

戦後最大の消費者被害事件である安愚楽牧場の破綻処理は、大きな転換期を迎えたとはいえ、これにより被害を被った被害者にとっては、民事再生手続を廃止する決定及び保全管理命令は、本格的な被害回復のための出発点にすぎません。

当弁護団は、裁判所及び保全管理人に対して、最大限に協力を行い、安愚楽牧場から散逸している財産を早期に回収するだけでなく、関連会社や役員の責任追及も視野に入れ、被害者に対するできるかぎりの多くの被害回復及び情報の公開がなされるよう、今後も努力していく所存です。

なお被害者の皆様の債権者としての地位は、当然に、破産手続に移行しますし、引き続き、弁護団としては、被害者の救済のために、邁進していく覚悟です。

ようやくといった感じが強いですが、破算手続が始まるので経営陣への責任追及の点からも事実が明らかになるだろうと思われます。

資金回収がどの程度進むのかは、元々が自転車操業であったこともあり、あまり期待できないように思いますが、まずは資金の使途を明らかにしないと、どうにもなりません。

農水省の責任も明らかになるかと期待するところです。

11月 8, 2011 at 03:29 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.10.29

大王製紙元会長・特別背任で告訴?・その4

日テレNEWS24 より「大王製紙前会長側「調査は不公正」と反論

「大王製紙」の井川意高前会長が子会社から100億円を超える借り入れをしていた問題で、大王製紙が28日午後、調査結果を公表したことについて、井川前会長の代理人は28日夜、「調査は不公正かつ不公平」などと反論した。

調査報告書によると、井川前会長の借り入れは去年5月から26回に及び、総額106億8000万円に上る。このうち59億3000万円が返済されていない。関係者によると、借入金の大半が最終的にカジノ関連会社の口座に入金されたということだが、報告書では、金の使途は明らかにできなかったと結論づけた。

また、調査報告書は、背景には井川前会長や父・高雄顧問には絶対的に服従するという企業風土があると指摘している。

大王製紙は井川前会長を刑事告訴する方針だが、井川前会長の代理人は28日夜、東京・千代田区で会見し、「調査は不公正かつ不公平で、当初から創業家排除が目的だったと思われる」と反論している。

画面は、昨日(2011/10/28)夜のニュースなので、アナウンスが入っていますが、上記の文字にまとめた記事とは微妙にずれているので、是非ともリンクを見て下さい。
以下に、テープ起こしした文章を載せます。

大王製紙の井川意高前会長が子会社から100億円を超える借り入れをしていた問題です。

この借り入れた100億円を超える金の大半が、カジノ関連会社の口座に入金されていたことが関係者の取材で分かりました。

今日、大王製紙は会見を開き調査結果を公表しました。

個人的用途のため多額の資金の貸し付けをしたという非常に異常な事件である。

調査報告によると井川前会長借り入れは、去年5月から26回に及び総額106億8000万円にのぼります。
このうち59億3000万円が返済されていません。

関係者によりますと、借入金の大半が最終的にカジノ関連会社の口座に入金されたということですが、報告書では金の使い道はあきらかにできなかったと結論づけました。

報告書は、背景には井川前会長や父の高雄顧問には、絶対的に服従するという企業風土があると指摘しています。

大王製紙は、井川前会長を刑事告訴する方針ですが、井川前会長の代理人は、

調査は不公正かつ不公平で当初から創業家排除が目的だったと思われる
、と反論しています。

井川家の反論が反論になっていないのには呆れますが、それ以上にビックリするのが107億円近くを26回でしかも2010年5月から2011年9月までに引き出したことです。

一回に4億円・・・・平均的家計の生涯収入を上回っています。
2010年5月から2011年9月までは、全部で517日つまり74週ですから機械的計算では
毎月6億3000万円・毎週1億5000万円・毎日2070万円

こんな事をやって、説明しないのでは排除されて当たり前でしょう。

単なるバクチなのか、マネーロンダリングではないのか?といった疑惑になりそうです。

10月 29, 2011 at 11:23 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.10.27

オリンパス・また社長交代

毎日新聞より「オリンパス:12日で異例の展開 企業買収「問題ない」

オリンパスのマイケル・ウッドフォード元社長の解任騒動は26日、菊川剛会長兼社長が辞任する事態に発展、わずか12日で社長が2度交代する異例の展開となった。

ただ、菊川前社長は過去の企業買収に問題があったとするウッドフォード元社長の指摘を一切認めておらず、あくまで株価急落の責任をとって辞任した形だ。

高山修一新社長も「問題はなかった」との見解を示し、ウッドフォード元社長との対立解消の気配は見えない。

新体制が市場の不信感を一掃できるかは依然不透明だ。【竹地広憲】

「私は適切だと思う。問題はない」。
東京都内でこの日開かれた会見で、高山新社長はウッドフォード元社長が疑問視した投資助言会社への約660億円の支払いについて、第三者委員会の発足前にもかかわらずこう言い切った。

また、ウッドフォード元社長の経営手法を「独断専行で、部下を恫喝(どうかつ)した」と強く批判する一方、菊川前社長の業績を「大変大きかった」と評価し、菊川前社長の擁護に終始した。

菊川前社長がたった12日で辞任に追い込まれたのは、ウッドフォード元社長の「内部告発」を受けて市場に同社への疑念が広がり、株価下落に歯止めがかからなかったためだ。

同社の株価は解任騒動の前と比べて終値ベースで半減し、国内外の大株主から詳細な情報開示や調査を求める声が相次いだ。

問題視された企業買収や、ウッドフォード元社長の解任を主導した菊川前社長が引責辞任することで、批判をかわす狙いがあったとみられる。

しかし、高山新社長は会見で「第三者委員会の結果が出ていないのになぜ不正がないと断言できるのか」との質問に、

「最終的には第三者委員会の判断に委ねる」
と歯切れの悪い返答を繰り返した。
さらに、第三者委の発足時期についても明言を避け、真相究明への姿勢に疑問を残した。

市場の厳しい見方は変わっていない。約5%の株を保有する大株主の米投資顧問会社、サウスイースタン・アセット・マネジメントの担当者、ジョシュ・ショアーズ氏は26日、毎日新聞の電話取材に対し、

「(社長交代は)問題の重要性を認識したサインだ」
と一定の評価をしつつも、
「これで幕引きではないことは確かだ」
と指摘。オリンパスに対し、二つの調査機関を設けて二重の検証を行うよう求めているという。

また、ある証券アナリストは、買収にかかわった投資助言会社への支払いについて

「やはり高い。今回の会見は市場の疑問に答えていない」
と指摘。
「欧米で疑念を払拭(ふっしょく)できない限り、カメラなど製品販売への影響は避けられない」
と懸念を示した。

よく分からないのが、なんで新社長も世間からの懸念をより増大させるようなことをわざわざ言うのだろうか?
もちろん、菊川前社長の代理だからと考えるしかないのだが、それでは取締役会が全員揃って無能だと断定されてしまう。

一言で言えば「もうちょっとごまかしようがあるだろう」と思うわけで、あまりに「お約束通り」としか思えないから、逆に「何か秘策があるのか?」とすら思ってしまう。

第三者委員会を作ると発表して、いつからやると言わないのでは、ますます評価が下がってしまう。

毎日新聞より「オリンパス:新社長が一人で会見 企業買収の質問応じず

英国人社長の解任からわずか12日。大手精密機器メーカー「オリンパス」が26日開いた再度の社長交代会見は、新社長一人だけが臨む異例の新体制発表となった。

辞任した菊川剛会長兼社長は姿を見せず、問題となっている企業買収について、高山修一新社長は

「今後設置する第三者委員会の評価を待ちたい」
と繰り返した。今後の会社立て直しはどうなるのか。社員からも不安の声が漏れた。

上場企業の社長交代会見では、新旧社長が同席することが多い。
この日の会見では冒頭に菊川氏の「新しい体制で推進すべきだと判断した」などとするコメントが読み上げられ、「前社長不在」についての質問に、高山新社長が「(菊川氏は)第三者委員会を推進する立場ではないから」と弁明する場面も。

約1時間の会見では、企業買収が適切だったかの質問が相次いだ。
「英米の捜査当局が動き出したという報道もあるが」との質問に、高山新社長は「全く把握していない」と説明。
「反社会的勢力との関係は全く認識していない」と強調した。
最後に司会役の幹部社員が「今後の意気込みを聞いてほしい」と促す場面もあった。

オリンパス本社(東京都新宿区)から帰宅する社員は一様に硬い表情。
20代の男性社員は「社長の辞任を聞いて驚きましたが、なぜ辞めたのか詳しいことは聞いていません。(疑惑報道については)何も分かりません」と困惑気味だった。

ある中堅男性社員は一連の混乱を「迷走を超えた迷走」と表現。

「社員にも社会にも会社が十分な説明責任を果たしておらず、1部上場企業がとる態度とは思えない。世間に恥ずかしい」
と声を落とした。
男性は家族も抱えており、「会社がおかしな方向に行ってしまい、リストラでもされるようなことになったら……」と不安を口にした。【町田徳丈、山本太一】

社長が交代したら、ますます株価が下がったといったことになると、株主代表訴訟が起きる可能性が高くなる。

10月 27, 2011 at 10:26 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.10.26

大王製紙元会長・特別背任で告訴?・その2

朝日新聞より「巨額借金、3月には把握 大王製紙役員、子会社に指摘

大王製紙(東証1部上場)の創業家出身の前会長・井川意高(もとたか)氏(47)による巨額借り入れ問題で、同社の経理担当役員が今年3月、前会長に貸し付けをした子会社の役員に対し、「顧問に伝えるべきだ」とする内容の電子メールを送っていたことが、同社関係者への取材でわかった。

顧問とは、前会長の父親の高雄(たかお)氏(74)。
メールは3月時点で同社幹部が多額の貸し付けを把握し、問題視したことを示す内容で、

「9月に関係会社から寄せられた情報で発覚した」
という同社の説明と食い違う。
3月に経営陣が適切に対処していれば、前会長への貸付額がさらに膨らむことを防げた可能性がある。

同社の発表などによると、前会長は9月までに7社以上の連結子会社から計約106億円を無担保で借り入れていたことが判明。
このうち約46億円は3月までに借り入れていた。しかし、結果として4月以降も子会社から前会長に約60億円の貸し付けが続いた。
前会長は子会社に「顧問には言わないでくれ」と口止めをしたうえで借金を申し込んでいたという。

結局は、経営陣が創業者一族の言いなりになっていた、ということになりますね。
それで、巨額借金がどういう用途に使われのか?については、共同通信より「カジノ口座に入金指示 子会社役員「逆らえない」

大王製紙の井川意高前会長(47)が子会社から100億円を超える資金を借り入れていた問題で、借入金の一部が子会社からカジノ運営会社の口座に直接入金されていたことが25日、関係者の話で分かった。

前会長の指示とみられ、既に捜査に着手した東京地検特捜部は借入金がカジノに使われていたことの裏付けとみている

また、子会社の役員が不透明な融資について、大王製紙の特別調査委員会の聞き取りに対し

「前会長には逆らえなかった」
との説明をしたことも新たに判明。

特別委は詰めの調査を進めており、週内にも結果をまとめ、刑事告訴する方針。

2011/10/26 05:21 【共同通信】

会社からカジノに直接送金って、いくら何でもひどすぎる。
送金した時点で、背任でしょう。
第一、カジノに送金できる会社というのがおかしい。

フタを開けてみたら、いろいろ出てきそうですね。

10月 26, 2011 at 08:52 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.10.22

東電OL殺人事件の再審の行方

毎日新聞より「東京電力女性社員殺害:右胸など付着物DNA型、第三者と一致 高検、鑑定一部開示

東京電力の女性社員殺害事件(97年)で無期懲役が確定したネパール人の受刑者(45)の再審請求審で、東京高検が実施したDNA型鑑定の結果が一部開示され、被害者の右胸部や陰部、肛門周辺から採取された付着物のDNA型が、被害者の体内に残っていた第三者の精液の型とほぼ一致したことが21日、分かった。

これらの付着物から 受刑者の型は検出されなかった。高検から結果を開示された弁護団が同日明らかにした。

弁護団によると、今回結果が出たのは、

  1. (1)口や唇の周辺
  2. (2)左胸部周辺
  3. (3)右胸部周辺
  4. (4)陰部
  5. (5)肛門周辺
--の付着物5点。
弁護団は(4)(5)については「第三者の型とおおむね一致した」とし、(3)については「別の鑑定方法で一致した」という。(1)と(2)については「型がはっきりしない部分もあり評価は控えたい」とした。

再審請求審では、東京高検が9月、被害者の胸部に付着した唾液とみられる液体や陰部、肛門の周辺の付着物、首の微物などの試料計42点を新たに弁護団に開示。
右胸部の付着物は、捜査段階の鑑定でも 受刑者の血液型(B)の反応は出ておらず、弁護団は開示を受け「受刑者の犯人性に疑いを生じさせる新しい重要証拠」とする意見を東京高裁に提出した。
42点のうち弁護団が同意した15点について、東京高検が先行して鑑定を実施。
今回の結果は弁護団の主張を補強するものとみられる。

今回の鑑定とは別に、高検が7月に開示した鑑定結果でも精液の型は 受刑者のDNA型と異なり、現場のアパート室内に落ちていた3本の体毛と同一とみられるか完全に一致していた。

弁護団は今回の結果について

「これまでの主張を裏付ける内容で、速やかに再審開始が決定されるべきだ」
と評価している。【鈴木一生、山本将克、和田武士】

◇検察幹部「新証拠でない」

検察幹部は

「被害者と第三者は他の場所で接触したと考えられ、DNA型の一致は第三者が現場の部屋にいたことの証明にはならない。検察のこれまでの主張を覆すような新証拠ではない」
と指摘した。

毎日新聞 2011年10月22日 東京朝刊

一審は証拠不十分で無罪、控訴審と上告審で有罪になっています。

しかし、DNA鑑定などの証拠は、被害者と接触した人物を特定できても、その人物が殺人を実行したという証拠にはなり得ないわけで、この点で決定的に証拠に欠けている、と感じます。

だから、検察幹部の発言は正しいのだけれども、単純に複数の人物が被害者に接触したから、殺す機会があった場合に、どうやって犯人を特定するのかは、接触があったという証拠ではダメでしょう。
検察のシナリオは、他に接触した人物が居ない、ということにしたかったから、他の証拠を開示しなかった、ということになってしまって、97年の事件の解明を14年も遅らせてしまった、ということは再審決定になるのかならないのかを別にしても、強く非難されるべきことです。

10月 22, 2011 at 03:13 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.10.14

大王製紙元会長・特別背任で告訴?

毎日新聞より「大王製紙:元会長借り入れ問題 東京地検が本格捜査へ

総合製紙大手の大王製紙の井川意高(もとたか)元会長(47)が子会社から総額80億円超の資金を個人的に借り入れて辞任した問題で、東京地検特捜部は会社法違反(特別背任)の疑いで本格捜査に乗り出す方向で検討を始めた模様だ。

同社は9月、弁護士を中心にした特別調査委員会を設置して刑事告訴も視野に事実関係の解明を進めるとしており、オーナー企業トップによる巨額の借り入れが刑事事件に発展する可能性が出てきた。

井川元会長は大王製紙の創業者の孫。
07年6月から社長を務め今年6月に会長に就任したが、問題が発覚した9月に辞任した。

大王製紙の発表や関係者によると、井川元会長は子会社7社から10年度に約23億5000万円、今年4~9月に約60億円を借り入れた。
このうち約30億円は9月までに返済済みという。子会社7社側では、取締役会の決議や貸借契約書など必要な手続きを踏まずに多額の資金を貸し出していたケースが多数見つかったとされる。

大王製紙は9月7日に関連会社の総務担当から「オーナーへの貸し付けはいかがなものか」と内部通報のメールを受け、52の全子会社を調査。
聞き取り調査に井川元会長は借り入れの事実を認めたが、使途については「今は言えない」などと回答を拒んだという。

元会長辞任に伴い9月16日に記者会見した佐光正義社長は「オーナーだから貸したというのがあるかもしれない」などと説明。刑事告訴の可能性について言及していた。

毎日新聞 2011年10月14日 2時30分

この事件は、内部調査委員会が元会長に事情説明を求めていたが、元会長が拒否したから特別背任で告訴するという方向になったようです。

2ちゃんねるでは「お殿様」などと揶揄されていて、井川一族の動向は以前から問題視されていたようでもあります。

しかし、この元会長は東大法学部卒なんですよね。
それが、早い話が使い込みをやって、その上説明拒否で特別背任で告訴、ってどういう頭の構造をしているのだろう?

事件が解明されると、このバカ元会長の考えていたことも明らかになるのかもしれない、そっちの方が興味深い。

10月 14, 2011 at 09:05 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.10.05

安愚楽牧場・消費者庁の動き

読売新聞より「安愚楽牧場を消費者庁が調査、景表法違反の疑い

和牛オーナー制度で知られ、民事再生手続き中の「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)について、景品表示法違反などの疑いがあるとみて、消費者庁が調査に乗り出したことが4日、わかった。

同庁は、行政処分の必要性を検討する。

被害対策弁護団などが、東日本大震災以後に同社の経営が悪化した後も新たな出資者を募っていたと指摘し、経営の実態解明を求めていることを受けた措置で、同庁は資料を分析するなどして、違法な勧誘などがなかったか調べる。

景品表示法は、商品の広告などで虚偽表示や誇大広告で不当に顧客を勧誘することを禁じている。

同社は、雌牛のオーナーを募って契約金を集め、直営や委託牧場で牛を飼育。
生まれた子牛を同社が買い取ることで高利回りを実現する金融商品として注目された。ところが、震災や原発事故などの影響で経営が悪化し、8月、民事再生法の適用を東京地裁に申請。
民間の信用調査機関によると、負債総額は約4300億円で、オーナーは全国約7万3000人に上る。

(2011年10月5日03時03分 読売新聞)

景品表示法違反って、潰れてから発動するというのはヘンでしょう。

景表法の考え方は、本質的に「表示だけがおかしい」ということだと考えます。
もしビジネス全体がインチキといった場合に、景表法で判断することは正しいのだろうか?

農水省に和牛預託商法の危険性を見逃したという不作為の過失責任がある、と見るのが妥当ではないのか?

10月 5, 2011 at 07:25 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011.09.30

茶のしずく石鹸・仙台地裁第一回口頭弁論

読売新聞より「茶のしずく訴訟、悠香側が原告の請求棄却求める

化粧品販売会社「悠香(ゆうか)」(福岡県大野城市)の「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギー問題で、石鹸を使用した仙台市の女性が健康被害を受けたとして、同社を相手取り、慰謝料や治療費など約240万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が仙台地裁(近藤和久裁判官)であった。

同社側は、症状と石鹸使用との因果関係を明らかにするよう求める答弁書を提出し、請求棄却を求めた。

訴えによると、女性は2009年5月頃に石鹸を購入。使用を始めた数か月後に息苦しさや体の強いかゆみなどを感じ、医師から使用をやめても呼吸困難の発作を起こす恐れがあると診断された、としている。

悠香は10年12月、アレルギー症状を訴える利用者が相次いだため、小麦成分を含まない製品に切り替えたが、答弁書では

「使用でアレルギー体質になるという十分な科学的裏付けはなかったが、万一の事態を防止するために行った」
とした。

(2011年9月30日19時47分 読売新聞)

問題の石鹸(旧製品)による被害は、全国で被害対策弁護団が結成されているほどのものです。
「茶のしずく石鹸被害救済東京弁護団」HPより「全国弁護団情報


全国の弁護団情報

【札幌弁護団】
 連絡先 〒060-0042
            札幌市中央区大通西7丁目 ダヴィンチ札幌パークフロント9階
               はやみち法律事務所
           弁護士 道尻 豊
           FAX 011-261-6692
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 ご連絡は郵便,FAX,メールとさせていただき,電話によるご連絡はご容赦ください。

【仙台弁護団】
 連絡先 〒980-0803
        仙台市青葉区国分町一丁目3番20号 肴町ビル2階 仙台中央法律事務所
        弁護士 野呂 圭  弁護士 花生耕子
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        弁護士 渡邉 仁
        FAX048-648-0733
        メールアドレス  watanabe@tsukasa-law.net
 ご連絡は郵便,FAX,メールとさせていただき,電話によるご連絡はご容赦ください。
 埼玉弁護団は9月下旬に相談会を実施する予定です(9月24日予定)。

【東京弁護団】
 連絡先 〒160-0004
       東京都新宿区四谷2-4 久保ビル9階 四谷の森法律事務所
       弁護士 中村忠史
 ご連絡は郵便またはホームページのメールとさせていただきます。
       E.mail: info@chanoshizuku-kyuusai-tokyo.jp
 電話・FAXによるご連絡はご容赦ください。
 ホームページは「茶のしずく被害救済東京弁護団」と検索してもアクセスできます。
       http://chanoshizuku-kyuusai-tokyo.jp/ 
東京弁護団は次のとおり被害者を対象とした説明会を行います。
 目  的 ① 弁護団を結成した目的と今後の活動について
       ② 小麦アレルギーについての病状や治療について
       ③ 事業者に対する責任追及を行うための準備について
 日  時 9月10日(土)(3回とも内容は同じものです。)
       1回目 午前10時30分から午後0時00分
       2回目 午後 1時30分から午後3時00分
       3回目 午後 4時00分から午後5時30分
 場  所 東京都千代田区神田美土代町3-2 神田アベビル4階
         スター研修センター神田(4階H401号室)
 地  図 東京弁護団の説明会の地図は次のURLをクリックしてご確認ください。
        http://kanda-kc.net/access/img/kanda_mjap.jpg
 交通機関 都営新宿線「小川町」駅,地下鉄丸の内泉「淡路町」駅,地下鉄千代田線,「新お茶の水」駅のB6出口から,徒歩3分
        JR山手線「神田」駅,地下鉄銀座線「神田」駅から,徒歩6分
 参加費用 無料 ※事前の予約は不要です。

【神奈川弁護団】
 弁護団長 弁護士 芳野直子 事務局長 弁護士 沢井功雄
 連絡先  〒231-8873
          横浜市中区相生町1-15 第二東商ビル7階 横浜法律事務所
              弁護士 太田伊早子(担当)
              FAX045-662-6578
 ご連絡は郵便,FAXとさせていただき,電話によるご連絡はご容赦ください。

【愛知弁護団】

 連絡先 (以下のとおり,説明会の会場へ直接お越しください。)
 愛知弁護団は次のとおり被害者を対象とした説明会を行います。
 目  的 ① 弁護団を結成した目的と今後の活動について
       ② 小麦アレルギーについての説明
       ③ 事業者に対する責任追及を行うための準備について
 場  所 愛知県弁護士会5階
       〒460-0001 名古屋市中区三の丸一丁目4番2号
 地図・アクセス http://www.aiben.jp/page/frombars/map.html
 日  時 9月6日(火)(2回とも内容は同じものです。)
       1回目 午後2時00分から午後4時00分まで
       2回目 午後6時00分から午後8時00分まで
 参加費用 無料

【大阪弁護団】
 弁護団長 弁護士 児玉憲夫 事務局長 弁護士 日高清司
 連絡先  ホームページ  http://www.chaben-osaka.com(9月1日開設予定)
       メールアドレス  info@chaben-osaka.com
 専用FAXは9月8日以降に開設予定です。
 大阪弁護団は次のとおり被害者を対象とした説明会を行います。
 場  所  大阪弁護士会館2階
         〒530-0047 大阪市北区西天満1丁目12番5号
 アクセス   http://www.osakaben.or.jp/web/02_access/index.php
 日  時  9月7日(水)午後1時00分から午後3時00分まで
 参加費用 無料

【福岡弁護団】
 福岡弁護団は次のとおり被害者を対象とした説明会を行います。
 目  的 被害者への情報提供と弁護団の方針について
 日  時 9月30日(金)午後1時~
 場  所 アクロス福岡 国際会議場
         〒810-0001 福岡市中央区天神1丁目1番1号
 参加費用 無料
 ホームページ  http://www.chanoshizuku-higai-fukuoka.net/index.html
   

被害とはなにか?については、「茶のしずく被害者福岡弁護団」のHPより「「茶のしずく石鹸」被害とは?」では次のように説明しています。

「茶のしずく石鹸」は,2004年3月から,株式会社悠香(本社:福岡県大野城市)が販売している薬用洗顔石鹸です。

通信販売で大ヒットしていました が,2010年12月までの商品に含まれていた小麦由来成分によるものと思われるアレルギー被害が拡大しています。

「茶のしずく石鹸」によるアレルギー症状には,顔や目の回りのかぶれといった皮膚障害のほか,全身のかゆみや呼吸困難など,重篤な症状となるケースも少なくありません。

急性アレルギー反応(ア ナフィラキシー)を発症して一時意識不明になった人も複数みられるようです。

厚生労働省によれば,アレルギー被害の原因は,2010年12月7日以前に販売された「茶のしずく石鹸」に含まれていた「グルパール19S」という加水分解コムギ末(水解コムギ末)であるとされています。
「グルパール19S」は,他の加水分解コムギと比べ分子量が大きいことから,免疫 反応を引き起こしやすく,皮膚などから体内に吸収されたことによって運動誘発小麦アレルギーを引き起こしたものと考えられています。

運動誘発性というのは, パン,うどん,パスタなどの小麦製品を食べた後,運動をすることによってアレルギー症状が発症する性質のあることを意味しています。

株式会社悠香は2010年12月8日以降に販売された「茶のしずく石鹸」から,一切の小麦由来成分を取り除いており,2011年5月20日から,2010年12月7日以前に製造販売された「茶のしずく石鹸」の自主回収を行っています。

少々乱暴な説明をすると、この石鹸によって小麦アレルギーになってしまうと、小麦を含む食品を食べると、アレルギー症状が発生してしまう、という一生涯の問題になる可能性があります。

そして、今回の仙台地裁での第一回口頭弁論になったわけですが、被告メーカー側は原告(被害者)に「因果関係の立証」を求めました。
一応、厚労省の見解が出ていますから、原告側はこれで十分という姿勢で裁判を進めるのではないか?と思いますが、いわゆる公害裁判などではかつて、被害者に立証を求める一方で、企業側が各種データを隠すといったことがありました。

現在法案提出が予定されている、集団的消費者被害救済では、対象になりうる事件です。
このような状況の現在時点で、「原告(被害者)に被害原因の証明を求める」といった手法が通用するものかどうかを注目したいと思います。

9月 30, 2011 at 09:12 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2011.09.25

神世界・元警視逮捕

読売新聞より「神世界グループ「教祖」の逃走助けた元警視逮捕

「神世界」グループの霊感商法事件で、神奈川県警は24日、元同県警警視(55)(東京都千代田区永田町)を犯人隠避の疑いで逮捕した。

発表によると、元警視は、最高幹部(53)に対して組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑の逮捕状が出ていることを知りながら、8月18日頃から9月12日頃までの間、逮捕を免れさせる目的で最高幹部(教祖)を手助けした疑い。

グループ関係者の男性に対し、最高幹部(教祖)の潜伏先になった大阪市の短期賃貸マンションの契約を指示したという。元警視は24日夜、横浜市内の警察署に出頭し、調べに対し「全ては裁判官の前で話します」と供述している。

元警視は県警時代に、要人警護などを担当する公安2課の課長代理や、外事課国際テロ対策室長、警備課長などを歴任。同グループの系列会社元社長の女(公判中)が運営するサロンで、経理を担当するなどしていたことが発覚し、2008年2月に懲戒免職になった。

女は今年3月、詐欺罪で起訴されたが、勾留中だった4月、元警視はこの女と結婚し、公判の傍聴にも姿を見せていた。

(2011年9月24日22時39分 読売新聞)

この元警視は、ずいぶんと神世界に関わっていることになります。
何がそこまで深くこんな組織に関わることになったのか真相解明が必要ですね。

  1. 警察の部下に神世界への出資などを斡旋
  2. 神世界のフランチャイズだった都心のマンションの保証人になっていた
  3. このフランチャイズ店の経理を担当していた
  4. 逮捕されたが、起訴されずに懲戒免職
  5. フランチャイズ店の元所長の女性の公判中に、この女性と結婚。ネットでは話題になった。
  6. 教祖が組織的詐欺で逮捕状が出たことで、教祖の逃亡を手助け
  7. 教祖とともに大阪にいる時に、教祖が逮捕された。元警視はその場からは逃走
  8. 横浜市の警察署に出頭して逮捕されたが、黙秘している。

こういうヘンテコなことになるのは、ホームオブハート事件でも見られたことで、ホームオブハート事件が裁判の終結に至ったのは、訴えられていたX-JapanのTosh1の転向によるものです。

長期に渡る裁判の証言全部が違っていたというのですからすごい。
しかも本人は自己破産。

こういう常識では考えられないことが起きるのがカルト事件の特徴の一つです。
裁判を通じて事件の内容が明らかになっていくところもありますから、神世界裁判も注目です。

9月 25, 2011 at 10:24 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.09.24

安愚楽牧場・自転車操業確定であるが

サンケイ新聞より「安愚楽牧場、口蹄疫や震災以前からビジネスモデル破綻か

2011.9.24 07:44

和牛オーナー制度が行き詰まり、4千億円超の負債を抱えて破綻した畜産会社、安愚楽(あぐら)牧場(栃木県)が、遅くとも5年前には新たな出資金で既存の出資者向けの配当などを調達していた疑いが強いことが23日、財務諸表を検討した複数の専門家の指摘で分かった。

専門家は「自転車操業状態に陥っていた」と指摘。破綻の最大の理由について、同社は昨年発生した口蹄(こうてい)疫や東京電力福島第1原発事故による経営悪化としていたが、ビジネスモデル自体がそれ以前に破綻していた可能性が出てきた。

経緯を確認する同日までの取材に対し、安愚楽牧場の回答はなかった。

和牛オーナー制度は、安愚楽が雌の繁殖牛を1頭当たり300万~500万円程度でオーナーと呼ばれる出資者に売却し、数年後に買い戻す仕組み。
飼育は安愚楽が担当し、その間に生まれた子牛を売却して、年3~4%程度の配当が得られると宣伝していた。

最近5年間の財務諸表によると、毎年3億~5億円程度の当期純利益を計上しているが、資産運用に詳しい大手町会計事務所の大黒崇徳代表税理士は

「本業のもうけの割合を示す数字は0・1~0・8%。年3%以上の利益が出る事業ではなかった」
との見方を示す。

さらに

  1. (1)自己資本比率が低く資本の大半はいずれ出資者に返還する必要がある
  2. (2)現金が40億円減少する一方で固定資産が65億円増加し、資金繰りが悪い-
などから
出資が増えると、それ以上のお金が必要になるビジネスモデルだった可能性が高い」
と指摘している。

大手信用調査会社の担当者も

オーナーを募集し続け、必然的に簿外債務が膨らむ構造
と分析している。

なるほど自転車操業のことを、「出資が増えると、それ以上のお金が必要になるビジネス」と呼ぶのですね。

自転車操業で出資詐欺というのは良くあることですが、安愚楽牧場の場合ここまで巨額の被害を生み出した原因は決算がチェックされていなかったことに尽きるでしょう。

出資金を利益扱いにしていたのだから、会計監査を通るわけが無く会計監査も義務だったのですから、義務を履行しないで巨大な被害を生み出したと言うことは、義務を課した側に責任があるとも言えます。
履行せずに被害を生じさせるような義務というのは存在意義が無い。

その意味では農水省はこの問題をどう捉えるのか?業務内容をどこまで見ていたのか?

とは言え、最近の10年間ぐらいで見ると日本の畜産業は飼料の高騰などで極めて採算性が低く苦労している中で、なんで安愚楽牧場だけが高配当が出来るのか?という根本的なところに疑問を持たずに投資した方々が多いのでしょうね。

いかにも和牛という現物に投資したように見えますが、実態は金融でありハイリスク商品でした。
基本的に「○○に見せかけて」というの許されないわけで、例えばパチンコの景品引き換え用の商品が問題にされた時期もありました。
こういった解釈だと、和牛という見せかけの商品にお金を出した、とも言えるでしょう。現物(和牛)が手元にないのだから、せいぜい手付け金ぐらいがお金を出す限度かと思います。商品価格の1/10程度でしょう。

ところが、実態は市場価格以上で出資していた、だから返済額は市場価格を大きく超えてしまい、安愚楽牧場は返済するたびに赤字が増えていく。

こんなからくりを全出資者が見抜ける保証は無いわけで、だからこそ決算・会計監査などが確実に履行されなければならないとなっています。

あっちこっちに法令違反があるわけで、この事件を単なる倒産で片付けて良いとはとうてい思えません。
これで「単なる倒産」として許されたら、日本は詐欺師の天国になってしまいます。

投資の自己責任という前に、決算や会計監査などの実施状況については、問題がある場合に監督官庁が公表するべきではないでしょうかね?
それによって、危ない企業に第三者が関わることを防ぐのは、広い意味での行政の責務だと思うのです。

9月 24, 2011 at 09:58 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011.09.14

神世界・教祖逮捕

神奈川新聞より「神世界「教祖」逮捕:7年で175億円霊感商法/神奈川

有限会社「神世界」グループ(山梨県甲斐市)による霊感商法事件で、県警などは12日夜、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで、「教祖」(53)を逮捕した=一部地域既報。

県警の調べで、グループが2000年9月から07年11月までの約7年間で、顧客らから少なくとも約175億円を集めていたことが判明。

同容疑者ら神世界の幹部の指示で、ヒーリングサロンを運営する傘下法人が祈願や物品販売で得た売上金の30~50%を上納していたことも分かっている。

同容疑者は役員報酬として、これまでに約15億円を受け取っていたという。

逮捕状が出てから約1カ月。
教祖は大阪市内にいた。神世界関係者の名前で契約した短期賃貸マンションに入居するために姿を現した同容疑者に捜査員が声を掛けると、逃げるそぶりも見せず、逮捕に応じたという。

加賀町署に到着後、「まったく身に覚えのないことです」などと供述し、容疑を否認。
所持していた黒色のスポーツバッグには、手帳などの他に、約1200万円の現金があったという。

県警によると、グループは神世界を上部組織とするピラミッド型の組織。
教祖ら幹部が、三つの傘下法人で組織する統括者(42)や、傘下法人取締役(48)=いずれも詐欺罪で起訴=らに指示し、運営するサロンで得た祈願料の30%、お守りなど物品販売の50%を神世界に上納していたという。

こうした上納システムを基に、神世界だけで約89億円、グループ全体だと約175億円を顧客らから集めた。

教祖の妻(44)や、M容疑者(49)=いずれも組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕=ら他の幹部は役員報酬として1億円前後を手にしていたのに対し、教祖は約15億円を受け取っており、県警は「こうしたことからも、教祖が組織のトップとして君臨していた実態があった」とみて、組織的な詐欺の指示形態などについて詳しく調べる。

東京新聞より「「教祖」幹部会で指示か 神世界詐欺

山梨県甲斐市の有限会社「神世界」グループをめぐる霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕されたグループトップで「教祖」(53)が、東京都内の自宅マンションで毎月、グループ幹部らを集めて定例会議を開いていたことが、神奈川県警の捜査関係者への取材で分かった。

県警は、教祖容疑者が会議を通じ、傘下のヒーリングサロンに詐欺行為を指示していたとみている。

捜査関係者によると会議には最高幹部の一人で「会主」(42)=詐欺罪で起訴=らが参加。
二〇〇七年に県警の警視=懲戒免職=がサロンの運営に関与したことが判明し、県警が強制捜査に乗り出すまで、会議は毎月開かれていたという。

県警は家宅捜索で押収した資料などから、サロンの営業方針を会議で協議し、ノルマなどを指示していたとみている。

神世界側の弁護人は本紙の取材に

「会議は宗教組織としての祭典。営業的なものではない」
と話している。

サンケイ新聞より「サロンに売り上げノルマ 個別に契約書も

2011.9.14 07:12

山梨県甲斐市の神世界グループによる霊感商法事件で、神世界本社が傘下のヒーリングサロン運営会社ごとに売り上げのノルマを課し、売上金の3~5割を上納させる契約書を各サロンと個別に交わしていたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。

運営会社やサロンの幹部を集めた月1回の会議で、客の定着率を上げる手法などを指示していたことも判明。
神奈川県警は、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕した「教祖」(53)らが各サロンに一連の詐欺行為を指示し、売上金を集約していたとみて調べている。

捜査関係者によると、上納金は掛け軸やお守りなどの物品販売の場合は売り上げの5割、病気を治すなどと称した「祈願」や、手をかざして神の力を送る「御霊光」などは3割と規定していたという。

読売新聞より「世界事件 教祖逮捕「まだ一里塚」

弁護団「被害者は相談を」

2007年12月の県警の一斉捜索から3年9か月。
有限会社「神世界」(山梨県甲斐市)グループによる霊感商法詐欺事件は、同グループで「教祖」(53)が12日夜、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の容疑で逮捕された。

関係者からは「泣き寝入りしている被害者も多く、まだ一里塚の段階」と、全容解明を求める声が上がった。

被害対策弁護団などによると、00年2月に教祖の父親が甲斐市に設立した「千手観音教会事業部」が、神世界の前身。

「占いによる運勢や姓名の鑑定」などが主な事業で、当初は同市内での活動にとどまっていた。
しかし、02年3月、商号を神世界に変更すると、教祖をトップに、系列会社が運営するヒーリング(癒やし)サロンの全国展開を開始。
会員の悩みや病気につけ込み、高額な「御祈願」を受けさせたり、物品を購入させたりし、07年までに少なくとも約175億円を売り上げたとされる。

07年12月、県警の元警視が、系列会社元社長(48)(詐欺罪で公判中)が運営するサロンの経理を担当し、サロンが入る高級マンションの賃貸契約の連帯保証人となっていることが発覚。

県警による関連施設の一斉捜索を機に、被害救済を目的として同弁護団が結成され、神世界の実態が明るみに出るにつれ、被害を訴える会員が急増した。

教祖の逮捕を受け、弁護団は13日、東京都内で記者会見を開いた。事務局長の荻上守生弁護士は

「自らの逮捕も予見できない教祖に霊的な能力がないことは明らか」
と批判し、
「泣き寝入りしている被害者はトップの逮捕をきっかけに、勇気をもって相談してほしい」
と呼びかけた。

教祖は県警が逮捕状を取ってから約1か月間逃走しており、団長の紀藤正樹弁護士は

「逃走を助けた人物がいる可能性がある。全容解明のためにも、さらに捜査を進めてほしい」
と語った。

(2011年9月14日 読売新聞)

神奈川新聞より「神世界「教祖」逮捕:「被害者救済に弾みつく」、対策弁護団会見/神奈川

有限会社「神世界」グループ内の実質的なリーダー、会社役員で教祖(53)の逮捕を受け、神世界の被害対策弁護団が13日、東京都内で記者会見し、紀藤正樹弁護団長は「被害者救済に弾みがついた」と述べた。

弁護団は「組織的な霊感商法の全容が解明されることを期待する」との声明を発表。

強制捜査から約3年8カ月を経ての逮捕となったが、事務局長の荻上守生弁護士は

「組織的詐欺として立件されて有罪になれば、被害金額が少なくて被害回復を諦めていた人も、違法性を問える。被害者はさらに増えると思う」
と話した。

同弁護団によると、14日にも元会員の男女6人が慰謝料など約2千万円の支払いを求め、東京高裁に提訴するという。

神世界グループに対する集団提訴は4回目で、これまでの訴えと合わせると、原告は計48人、請求額は総額約2億8千万円に上る。

紀藤弁護団長は

「霊感商法システムそのものを解体してやめさせないと、また被害者が出てしまう。組織的詐欺として刑事事件になったのは社会的意義が大きく、今後もさらなる捜査を求めたい」
と話した。

神世界事件は、きっかけが神奈川県警の現職警察官が関わっていたことが明らかになってから、神奈川県警が大々的な捜査をして、組織的詐欺で全体を起訴したところが画期的です。

霊感商法一般を含めて、、わたしが長年応援してきたホームオブハート事件などは、明らかに詐欺的手法で多額の金品を被害者から巻き上げています。
これが被害の中心ですが、それを組織として実行しているのは外見的に明らかであっても、例えば宗教団体に対しては、信教の自由との間で組織を取り締まることは困難です。

神世界を組織的詐欺で起訴したのは、やはり会社組織であり事業の内容がフランチャイズで詐欺だった、という話しなのでしょう。

そうすると、神世界という宗教組織があったのだとすると、有限会社神世界が関連会社という構造であり、今回はその会社組織を組織的詐欺で立件した、となりそうです。

この手法が確立すると、直接的に宗教団体を取り締まることなく、霊感商法は認めない、ということになりそうです。
だから、神世界側の弁護人が、

「会議は宗教組織としての祭典。営業的なものではない」
と述べて、会社の活動ではなく宗教行為だとしようとしているのでしょう。

しかし、宗教法人が直接営業活動をするのは難しいし、リスクも大きいから別会社で販売する例は多く、統一教会の印鑑商法でも、統一教会は印鑑販売会社と関係ない、と主張しています。

ここで、印鑑商法も組織的詐欺だと出来るのなら、実際問題として印鑑は売れなくなるでしょう。
要するに別会社で営業することが出来なくなる。

ホームオブハート事件では、ホームオブハート側は「宗教ではない」と繰り返し主張していました、今回の神世界は「営業ではない」と主張しています。
やっていることは同じような事なのに、自分たちに都合良く主張しているわけで、それらにいちいち関わっていたら、法的判断のレベルで社会に悪影響を及ぼします。
つまりは、どういう形でも霊感商法自体を組織犯罪であるとして、取り締まるべきだとなります。

9月 14, 2011 at 11:19 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.09.10

郵便貯金の通帳をPCで印刷していた

北海道新聞より「通帳、7年間パソコンで「記帳」 木古内町教委職員を懲戒免職

09/10 01:55

【木古内】
渡島管内木古内町は9日、同町教委の男性職員(47)が会計を担当する「町子ども会育成連合会」の郵便貯金口座の通帳を7年間にわたって改ざんしていたとして、8月15日付で懲戒免職処分としたことを明らかにした。

監督責任で町長、副町長、教育長を減給10%1カ月とした。

町によると、職員は2004年6月から今年7月にかけ、同連合会に支払われた町補助金など計約105万円を口座に入金せずに自分で管理し、

職場のパソコンとプリンターで通帳に金額などを印字していた。

最初記事のタイトルを読んだ時には、通帳とは別の紙に勝手にプリントしていたのかと思いました。
しかし、通帳本体に印刷するとは・・・・・・。

法人名義ではないと、残高証明が来ないから、気づくのが遅れたということなのでしょうか?
それにしても、「入金せずに」というのが分からないですね。
自分の口座に入金したのであれば、記録が残るでしょう。それとも、現金でやり取りしていたのかな?

9月 10, 2011 at 11:15 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.09.06

安愚楽牧場・民事再生手続開始決定

読売新聞より「安愚楽牧場の民事再生手続き、地裁が開始決定

和牛オーナー制度で知られる「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)の経営破綻問題で、東京地裁は6日、同社に対する民事再生手続きの開始を決定した。

負債総額は、今年の企業倒産ででは最大規模の約4330億円に上るとみられる。

民事再生申立書などによると、このうち約4200億円が全国約7万3000人の和牛オーナーに対する債務。

破綻処理にあたっては、預託先の牧場などにいる牛を直ちに処分することが難しいため、形式上は事業存続を前提とした手続きを進め、最終的には会社を清算する方向。

同社のこれまでの説明では、所有する資産を売却して債権者への弁済に充てる。畜産事業では約40か所の直営牧場の牛や施設を引き受ける企業・団体を探し、ホテル事業などは施設を譲渡するという。

(2011年9月6日20時54分 読売新聞)

安愚楽牧場 責任追及を

和牛オーナー制度を運営していた安愚楽(あぐら)牧場(栃木県那須塩原市)が民事再生法の適用を申請した問題で、県弁護士会によるオーナー向け説明会が5日、神戸市中央区の県弁護士会館で行われた。

同弁護士会有志で結成した弁護団(団長=鈴木尉久(やすひさ)弁護士)が、オーナーやその家族ら約200人に弁護団の活動方針などを説明。オーナーからは役員らの責任追及を望む声が上がった。

弁護団の曽我智史弁護士が

「売り上げの8割はオーナーからの出資金で、解約が増えればいつ破綻してもおかしくなかった」
と指摘。
弁護団の役割を「実態解明」とし、役員らに対する民事訴訟や刑事告訴の可能性もあると述べた。

会場からは質問が相次いだ。

「破綻寸前にも勧誘しており、詐欺ではないか」
との質問には、曽我弁護士が
「役員が破綻を知りながら勧誘したのなら、損害賠償の請求も考えられる」
と回答。また、
「現時点でどれくらい弁済されるのか」
との問いには、
「再生計画案が作成されていないのでまだわからない」
と説明した。

妻がオーナーとして700万円出資したという川西市の男性(60)は

「完全な自転車操業だったと思う。粉飾決算などの不正がなかったのかを知るため、弁護団に協力するつもりだ。役員の責任追及に期待したい」
と話していた。

説明会は姫路市でも11日に行われる。問い合わせは、同弁護士会分館事務局(078・341・8227)。

(2011年9月6日 読売新聞)

負債総額、4330億円で、そのうち和牛オーナーへの債務が、4200億円。
これで倒産直前まで黒字だといっていたのですから、出資金を売上げにしていたわけです。

これは自転車操業以外の何者でもないわけで、実体は出資であるのに出資法を無視していた、となります。
仮に、4000億円を5万頭の牛の売却でまかなうとすると、一頭800万円となります。
牛一頭は、安愚楽牧場でも40万円で計算していたのですから、5%にしかならない。

どこをどうやると、これほどデタラメなことが出来るか、もっと早く農水省が警告を出すなどが出来なかったのか?
いかに私企業の暴走とは言え、ここまで巨大な事件になってしまっては、社会不安そのものであって、社会の安定こそが第一の使命である、行政に責任がないとなれば、何でもアリになってしまう。
行政にも結果責任を取らせるべきだ。

9月 6, 2011 at 09:29 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・民事再生で清算はあり得ないだろう。

「安愚楽牧場・被害者説明会(東京)」に書いた通り、全国安愚楽牧場被害弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)主催の被害者説明会を手伝ってきました。

20枚ほどの資料を5000部用意したそうで、約3000部が配布されて、残りは持って帰るとのことで、そのために車で行きました。
現実にはどうやらトランクに入るぐらいの量でありました。

もう一つは、ビデオ撮影の依頼があって、この編集を今やっています。

編集といっても、記録ですから主に音声ボリュームの調整程度なのですが、当然質問内容などを聞いていますが、かなりの割合で「安愚楽牧場が再生するのでは?」と判断をしている人が居ます。

しかし、説明会では中川事務局長が

安愚楽牧場が作った民事再生計画は、資産の売却つまり清算を前提にしているから、これによれば安愚楽牧場の再生はあり得ない
と説明しています。
これでは「なぜ、破算手続にしないのか?」となりますが、安愚楽牧場の言い分は「生きている牛を直ちに処分は出来ない」とのことで、これ自体はなかなか反論できません。

このために、安愚楽牧場の経営全体が止まったわけではなく、かつ借入金の返済もないのですから、牛は売却されていて、安愚楽牧場には収入があります。
にもかかわらず、牧場への支払が滞っているとか、えさ代をオーナーが負担する必要がある、といった情報が出てきていますが、全体像がよく分からないままで、なんでこんな話しばかりが飛び出してきているのでしょうか?

なんか、情報操作のために、民事再生を進めている、といった印象があります。
経営が破たんしている上に、内容がここまで不透明というか、むずかしい状況でありながら、民事再生ですすめることが出来るものなのか?
破たん企業をどうするのかは、社会の問題であり、そのためには透明性の確保が最重要であるのに、巨額の使途不明金を作った経営陣が、民事再生を選択肢、なおかつ現実は清算を目指すというのでは、破たん企業の処理方法として、非常に悪い選択だろうと強く思います。

9月 6, 2011 at 08:28 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.09.02

安愚楽牧場・被害者説明会(東京)

全国安愚楽牧場被害対策弁護団(東京)の被害者説明会の手伝いをしてきました。

霞が関の弁護士会館の講堂クレオを仕切り無しで使って、3回の入れ替え制。
2000人以上は確実に参加していました。

クレオは定員800人ぐらいらしいのですが、

  1. 1回目 17:00~
  2. 2回目 18:20~
  3. 3回目 19:40~
で実施しました。

わたし自身は、15時に会場入りして、設営から手伝いましたが、1時間もしないうちに参加者が増えてきて、16時に入場を始めた頃には500人ぐらいが入場待ちしていました。

早めに来た参加者は、1時間以上も待ったことになりますが、17時に1回目が始まった時には、すでに2回目の参加者が一杯といった状況で、18時頃には弁護士会館前の歩道に長蛇の列が出来ていました。

非常に心配したのが、クレオは二階で一階への上り下りには階段を使わざる得ないので、転倒者が出たりすると大事故になる、と思っていましたが誘導が上手で全く心配なく進みました。

一回あたりの時間が1時間程度なので、若干の質疑応答あったものの、基本的には弁護団に参加するのための書類の作り方、その意味の説明といったところが中心でした。

被害者の方々が、弁護団に参加するかどうか?について、着手金が幾らぐらいになるのだろうか?と不安の声が飛び交っていますが、今日の説明で「弁護団としては着手金の額を、被害額の1%未満に抑えたい」との説明がありました。

弁護団への参加は、かなりの量の書類の提出が必要なのですが、一応のメドとして9月末を締切にしたい、との意向も発表されました。

もちろん、個別の事情で書類の完成が遅れるといった場合には個別に相談する、となっていますから、参加してみたいと思っている被害者の方は、「とりあえず参加の意思表明をする」事が重要かと思います。

9月 2, 2011 at 02:11 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2011.08.31

安愚楽牧場・夏原武氏の解説

SAFETY JAPAN より「隣は詐欺師--遂に来た「すぐそばに詐欺師」の時代」で、作家の夏原武氏が、安愚楽牧場事件についてズバリと解説しています。

非常に分かりやすいのですが、長文でもありわたしが注目したところを赤文字で示します。

夏原氏は、最後で

仮に詐欺としての認定がなかったとしても、被害額が史上最大になるという意味では、同じことなのである。
として、締めくくっています。
詐欺あるいは極めて詐欺的な事件であり、被害の構造は詐欺であると言っています。

このような見方に対して、民事再生でスポンサーを見つけて売却するべきだ、とする安愚楽牧場側の主張はまあ勝手だとしても、被害者の中にも事業を売却して出資金の一部を回収しようと考える方々は、このような「詐欺物件」にどれほどの価格がつくとお考えなのでしょうか?

ビジネスになんの問題が無く、価値が減るはずがない不動産ですら、買い叩かれるのが普通です。
今回の民事再生手続で、まっとうなスポンサーが名乗り出ない可能性も少なからずあるだろうと思います。
悪事には悪者が寄ってくるものなのです。

非常に大きな事件であることは確かで、間違えなく歴史に残るものです。

安愚楽牧場4300億破綻。そもそも悪名高い「和牛預託商法」の「生き残り」安愚楽牧場に、なぜ大金を預けるのか。――出資詐欺の悪党手口を全部書く!

作家 夏原武
2011年 8月31日

豊田商事の2倍以上、空前絶後の被害額

 

 豊田商事事件は、永野会長の凄惨な最後で強く記憶されているが、なによりも注目すべきは、2000億円と言われる被害額だろう。

 マルチや詐欺・詐欺商法では他にもオレンジ共済組合事件(96億円)、経済革命クラブ事件(350億円)などがあるものの、2000億円という被害額は目を疑うほどであった。

 2000億はとにかく巨大で、これ以上の巨額な被害を生む事件は起きないだろうと言われていた。

 しかしつい最近、豊田商事の2倍以上もの被害額の事件が起きてしまった。和牛オーナー制度運営「安愚楽牧場」倒産である。

 2011年8月22日時点において「詐欺である」と認定されたわけではなく、今のところは「経営不振によるもの」とされている。だが、疑わしい部分もあり弁護団からは「詐欺的」という言葉が出ている。

 筆者も長年詐欺や詐欺商法を見てきた「プロ」として、とてもではないが、現時点での牧場側のコメントには首肯できない。

 今日はこのあたりのカラクリを全部書いてしまおう。

安愚楽牧場は、悪名高い「和牛預託商法」とどう違うのか

 

 最初に以下の記事を読んでもらおう。

 4300億円を超える負債が判明した和牛オーナー制度を運営する「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)。

 全国安愚楽牧場被害対策弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)は、違法な勧誘が行われていた可能性があるとして消費者庁に行政処分などを求め、「5000億円以上の被害規模が確実な情勢で、豊田商事事件を上回る戦後最大の消費者被害となる」と危機感を強める。

 同社は経営が悪化した7月中旬、これまでより高利回りで新たなオーナーを勧誘しており、被害拡大につながったとみられる(読売新聞2011年8月16日)

 まず考えてもらいたい。そもそも「和牛オーナー制度」というのが、真っ当な商売なのだろうか?

 この名称を聞いて思い出されるのは、90年代に「和牛預託商法」と呼ばれた悪徳ビジネスである。

「和牛預託商法」のイカサマ手口

 

 「和牛預託商法」とは、簡単に言えば、和牛仔牛の飼育に出資することで「成牛となって売買されたときに、高額な配当を得られる」と謳うもの。

 きちんと機能すれば理論通りになるのかもしれない。しかし実際には「高配当」がひとり歩きし、実際には「飼育も牛保有もしてない」などという会社が続出した。

 早い話、単に出資金を集めるだけの詐欺が行われていたのである。

 これまでに弁護団が結成されただけでも「和牛の里共済牧場」「あさぎり高原共済牧場」「ふるさと共済牧場」「みちのく都路村共済牧場」などの事件がある。

 こうした事件が起きた背景には「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」に家畜が含まれていなかったことがある。

安愚楽牧場は、和牛預託商法の「生き残り」

 

 1996年から97年に被害が続発した和牛預託商法を鑑みて、同法律にの特定商品に家畜が含まれることになった。

 それにより、前述の牧場をはじめ、最盛期に17社もあった預託会社は、出資金返還に応じざるを得なくなり、次々に破綻。

 軽井沢ファミリー千紫牧場とジェイファームの両社長は、出資法違反と詐欺で逮捕・起訴に到っている。

 つまりはっきり書けば、「和牛預託商法」はかなり怪しい商売だったわけである。

 安愚楽牧場の「和牛オーナー制度」、どことなく「和牛預託商法に似ている」と思わないだろうか。

 それもそのはず。実は安愚楽牧場はこの「和牛預託商法の元祖」と呼ばれていたのである。破綻せずに生き残ったのは、曲がりなりにも牛を飼育する実態があったからだ。

なぜ安愚楽牧場に何千万も金を預ける

 

 早い話、安愚楽牧場は「和牛預託商法」グループ「最後の生き残り」なのである。

 つまり、出資法違反や詐欺で逮捕者が出たビジネス業界の一員であったことは間違いないのだ。

 この話は当時さんざん報道されていたわけで、そのような企業に出資するリスクは明白だったはず。なのに疑問も抱かず、なぜ何千万も虎の子の金を預けるのか。

 和牛預託商法の話に戻そう。

 この商法をやっていた連中は、集めた金を牛の飼育などには使わず、不動産投資など他のことに使っては費消していったのが実態。集めた金から「配当金」を払うという、詐欺独特の自転車操業状態であったこともわかっている。

 要するに「和牛」という高級商品をお題目にしてはいるものの、中身はずっと以前から存在している出資詐欺や投資詐欺の類と同じなのである。

エビ養殖、和牛飼育……、毎度おなじみ「出資詐欺」

 

 出資詐欺は手を変え品を変え登場する。なぜならある商法が行き詰ってバレると、別の品に変えてカモを探すからだ。

 考えてもみてほしい。真珠養殖詐欺だの東南アジアでのエビ養殖詐欺など、大規模な詐欺事件の報道を思い出すはずだ。

 もちろんいずれも「養殖」実態はほぼなく、金を集めるだけが目的という悪質なもの。被害者も多数出ている。

 金を集めるだけ集めると配当が滞り、「台風でエビの養殖が打撃を受けた」とかなんとか言い訳しながら、悪党は撤退を始めるわけだ。

 養殖というビジネスが重要なのはたしかだが、それによって高配当が得られるという絵図には、なんの保証もない。

高配当なら、なぜ銀行に行かない?

 

 そもそも、もし高配当が本当であれば、一般投資家などに小口で売る手間を掛けるより、銀行に話を持ち込めばいい。喜んで出資してくれるはず。

 ――なのになぜ年寄りの退職金を狙ってくるのか。

 投資する前にたったこれだけ考えれば、「怪しい」とわかりそうなものである。

 こういった怪しい出資・投資話は、枚挙に暇がない。ラスベガスカジノ出資から始まり、ブラジルで金鉱山に出資しないかとか、果てはアフリカの砂金産出地域の不動産購入などまである。

 毎年のように話が出てくるのだが、ここ数年では、マカオカジノ出資があちこちで勧誘されていたのが記憶に新しいところだ。

安愚楽牧場「手口」は、撤退期の詐欺ビジネスに酷似

 

 和牛預託というのは、本質的には素人が関わるものではない。

 生産農家や共同組合員などがリスク分散の意味も込めて出資を募集するもの。本来、成牛が売買されたとしても「高級和牛肉がもらえる」程度のものだ。

 つまり、和牛預託「商法」とはまったく違うし、そもそも儲かるものではない。

 今回の安愚楽牧場事件で弁護団が指摘しているのは、破綻が明らかになった時点でも、新たに勧誘し、しかも配当率をアップしている点。

 これは撤退期の詐欺商法がよくやる手口に、きわめてよく似ている。

 つまり、詐欺商法業者の話だが、もう破綻必須と悟った悪党が、社会で目立つ危険性を犯しても、「行きがけの駄賃」で被害者を増やして逃げるパターンだ。

安愚楽牧場「配当」はどこから出ていたのか

 

 そこがきわめて「詐欺的」なのである。

 今回の安愚楽牧場も、この「逃走パターン」に酷似している。

 これに対し安愚楽牧場側は「末端にまで情報が行き渡っていなかった」と言い訳している。

 まさに盗っ人猛々しい言いぐさだ。破綻が見えているのなら、細かな話は伏せていたとしても新規勧誘の全面禁止を通達することぐらい、いくらでもできるはずだからだ。

 被害者の話も報道されているが、これまで配当が滞ることはなかったと話している。

 たしかに配当さえ続いていれば、問題はない。

 問題は、その配当をどこから出していたかだ。生育牛の売却利益から出ていたならいいが、集めた金額を考えるに、出資金から配当を捻出していたのではないかと思えてしまう。

出資金は保全されていたのか?

 

 穿った見方だとは思うが、この手の「商法」には、よくあることだからだ。

 つまり「配当を出し続けている」という事実が、新規顧客を呼び込むための「餌」になるからである。

 筆者のこれまでの同様事件の取材例の話をしよう。

 被害者が見せてくれる通帳には、きちんと決まった日付で配当が記されていることが多い。

 ただし、出資した金額に比べれば微々たるものだ。たとえば1000万円出資して年8%配当であれば、わずか80万円。5年受け取っても、元金の半分にもならない。

 それなのに配当を受け取った「カモ」は、知り合いなどに「いい出資先」として紹介したりする。そのときに圧倒的な効力を有するのが、「配当の事実」なのである。

残るものなどない

 

 しかし、ここで「もしこの出資先が詐欺企業だったらどうするか」、ちょっと考えてみよう。

 前述の計算でもわかるように、事業など一切していなくても、配当は預かった金から払うことができてしまう。

 つまりひとりの出資金で、12人くらいのカモに1年配当を出せる。残り11人の1億1000万円は、まるまる懐に入れればいい。たった1年でこれだ。

 早い話、「約束した配当」を続けても、詐欺師の手元には莫大な金が残るのである。

 つまり、配当などはなんの保証にもならないというわけだ。

 この手の詐欺でいちばん困るのは、兌換できるものが一切手元に残らないことである。

 契約証であろうと預かり証であろうと、そんなものは私企業が発行しただけのものであり、公的な保証とはまったく関係ない。

 現物が存在していればまだいいが豊田商事事件でもわかるように、そもそも投資事業をしていないのだから、現物すら存在しない。

生き物に投資する危うさ

 

 今回の場合、現物は存在するのだが、なにしろそれは生きた牛である。被害弁済として受け取れるものではない。

 さらに、売却したとしても被害額を埋めることなど絶対に不可能なのである。

 たしかに、311の東日本大震災による影響はあっただろうし、原発による放射能の影響もあったのだろう。

 だが「それがすべて」と思えないのは、和牛預託商法というビジネスの範疇に存在しているからである。

 高級和牛は高級マグロ同様、宝石のような取引価値を有している。が、それは消費が前提にあるわけで、需給バランスが大きく影響してくる。

 安定した一定相場が続くという保証はどこにもない。

怪しい投資話には乗るな

 

 震災も原発もなかったとしても、だから大丈夫だったという理屈にはならない。

 最低金利が続き、景気の先行きも不透明、そこに加えての震災・原発という未曾有のアクシデントが起きている日本では、資産をどう運用したらいいのか誰もが迷うことになる。

 だが、だからといって、理論ばかりが先走りし、自分に都合のいい経済見通しや市場分析ばかりの業者に預けることは絶対に避けなければいけない。

 今回は、その典型的なケースであることだけは間違いない。

 仮に詐欺としての認定がなかったとしても、被害額が史上最大になるという意味では、同じことなのである。

夏原武(なつはらたけし)

作家
1959年生まれ。雑誌編集者を経てフリーランスに。著書に「サギの手口」(データハウス)「現代ヤクザのシノギ方」(宝島社)「バブル」(同・共著)など多数。漫画原作として「クロサギ」(小学館ビッグコミックスピリッツ)「ギャングスターズ」(秋田書店プレイコミック)を連載中。

8月 31, 2011 at 06:07 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.30

安愚楽牧場・現実は簡単では無いはずです

紀藤弁護士のtwitterからたどって、「弁護士近藤早利のいいたいこと」を読んでみました。
紀藤弁護士がtwitterで批判し、近藤弁護士がブログで反論する、という形になっていました。

最初に、近藤弁護士が「安愚楽牧場 債権者説明会 レポート」をアップしたところから、始まったようです。
債権者集会の報告に、近藤弁護士の「感想」が最後についています。

感想です。

1 安愚楽牧場は破産させるべきか?

被害者弁護団は、民事再生手続えは、現経営陣が事業に携わるので、手続きが不透明になり、保有資産の食いつぶしが懸念されるなどの理由から、破産手続きによるべきだ、と主張しているようです。

しかし、本件は、扱っているのが和牛という「生き物」ですから、製造業とちがって、操業を停止する、という選択肢は事実上ありません。

破産させて、15万頭の和牛を、破産管財人に管理せよ、といったって、それは無理です。そうなった場合にも、専門家の補助者を雇用せざるをえませんが、いきなり、外部からきて、全国にちらばる15万頭の牛を管理できるはずもありません。

そうなれば、破産管財人も、現経営陣、従業員を管財人補助者として雇用して、牛を飼育せざるをえないでしょう。それなら、民事再生と同じことです。

申立代理人の栃木先生は、個人的にも尊敬している胆力も能力もある弁護士です。

ただでさえやることの多い、申立代理人に余計な手間をかけず、現在の手続きの上で、最善の策を探ってもらうのがよいと考えます。

2 被害者弁護団に加入するべきか?

上記の理由で「破産させたい」という理由なら賛成しません。

手続きを遅延させ、資産を目減りさせるだけでメリットはありませんから。

同じような立場人との連帯がほしい、弁護士の情報分析がほしい、ということなら、着手金に見合うサービスを受けられるかどうか、よく考えて参加してください、ということになります。

3 民事再生手続きで配当は期待できるか。その率は。

あまり多くを期待するべきではないでしょう。

直近の決算で安愚楽牧場の有する現預金は63億円しかありません。

これは相当程度、目減りしているとみるべきでしょう。

そのほかの資産としては、仕掛品が256億円あります。これは、加工中の和牛だとすれば、実質価値は、限りなくゼロに近いのではないか。

不動産は、本社、各地の牧場でしょうか。市街地なら銀行担保に入っており、農地なら市場価格はほとんどつきません。
長期貸付金の76億。これはなんでしょうか。オーナーや役員へのへの貸付、だとすれば、そう多くは回収できないでしょう。

負債は、再生手続き申立前のものについては、裁判所の保全命令で支払わなくていいので、とりあえず措きます。
しかし、税金の9億は支払いが必要です。

一番の問題は、牛の飼料代と飼育代です。毎月20?30億円かかる。
申立後の費用は、随時弁済しなければなりません。

したがって、現在有している現預金が尽きるまでに、安愚楽牧場を(できれば一括で)引き取ってくれるスポンサーがみつからなければ、安愚楽牧場は現預金を使い切って、破産、牛は餓死を免れない、ということになりそうです(契約農家のみなさんは、手弁当でも飼育してくれるかもしれませんが、その牛を、出資者の皆さんが現金化する方法はなさそうです。引き渡してもらうには、それまでの飼育料を支払わなければなりません)。

こうみてくると、申立代理人の説明どおり、牛を早期に一括売却してもらい、その代金がもらえれば、それ以上は望まない、というのが一番、リアリティのある解決に思えます。

以上

この説明の構造は、「○○は選択できない。××も出来ない」となっていて、それ自体は問題無いし、現実には出来ないことは多いでしょう。
しかし、それが

申立代理人の説明どおり、牛を早期に一括売却してもらい、その代金がもらえれば、それ以上は望まない、というのが一番、リアリティのある解決に思えます。
に直結するのか?というと、そこにもまた判断が入ってくるでしょう。

例えば、一括売却した結果が、赤字だったらどうするのか?

一括売却=代金が入る、という前提が無条件で成立するから、民事再生手続で旧経営陣による一括売却がよい、と断言できる根拠があるのですかね?

わたしの理解では、個々の出資者が買った価格は、市場価格を上回っています。
これを売却するとなると、1/10とかそれ以下になるでしょう。

多少とも収入になれば、あきらめろというにしても、その金額が「0」とか赤字になると分かれば、7万人が合意するわけがない。

つまり、近藤弁護士の「一括売却」というのは「売却」が常識的な範囲で成立する場合の話しであり、売り手と買い手の合意が成立するのかが怪しいような状況で、一括売却するべき、と言い切るのは、全てを明らかにしていないのだから、想定が入って来るわけで、売却に当たっての価格をどう見るか?というぐらいは付け加えないと、根拠無く煽っている、と思われてもしかたないでしょう。

宮崎の口蹄疫と原発事故が破たんの引き金だというのが、安愚楽牧場側の主張ですが種々の情報は、ずっと前から事業としては赤字であって、それを新規入会者からの入金で穴埋めする、自転車操業であったことは、確実です。

破たんの直接の原因が、売上げ不振であったとは思えない。
そもそも、牛肉のような物の売上げが、全部無くなったり、半分になることはないでしょう。
だから、売上げ不振になったとしても、10%・20%といったところではないか?

そして、市場取引で価格が決定するのだから、元本保証は出来るはずがない。
逆に言えば、安愚楽牧場の価格決定は、市場とは無関係に決めていた。

それが、口蹄疫とか原発事故で、と市場の問題を持ちこむこと自体が、話が違うでしょう。

だから、新規入会者が止まった、おそらくは新規入会者と退会者の割合が限界を超えた、のが直接の理由でしょう。
だとすると、被害者の声として「老後の資金として取り崩して・・・」といった理由こそが、退会者の増加の理由でしょうから、新規会員が増加し続けなくては、存続自体が出来ない(事業縮小できない)ことが破たんの原因で、口蹄疫とか原発事故に注目するのは、本当の問題から目をそらすことになります。

8月 30, 2011 at 11:32 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・管理命令申立

朝日新聞より「安愚楽牧場の管理命令申し立て 弁護団、資産流出防止に

「和牛オーナー制度」を運営する安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)が民事再生法の適用を申請した問題で、被害対策弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)は29日の会見で、新たに選任された管財人が財産を管理する「管理命令」を出すよう、東京地裁に申し立てたと明らかにした。同社の資産の流出などを防ぐ目的という。

申し立ては25日付。

同社の申請通りに民事再生法が適用されると、現経営陣が留任して財産の管理・処分をできる。
管理命令が出れば権限は管財人に移る。

また、弁護団は9月1日午後5時から、東京都内でオーナーら債権者向けの説明会を開く。
問い合わせは(03・3261・3026)。

4300億の負債には、使途不明金3500億が含まれるという、ワケの分からない状況で、旧経営陣が処理を進めることに問題ありとの指摘がありました。
そこで、民事再生法ではなくて、破算手続に直接移行しろという意見と、早急に売却するために民事再生手続を推進するべきだ、という意見が衝突していたのですが、こんな手があるのですね。

記事中にもありますが、申立が25日(木)なのに、発表が週明けの月曜日というのは、単に「申し立てしました」というだけの発表ではないですね。
9月1日に霞が関の弁護士会館で、被害者説明会がありますから、その時に詳細ないきさつが語られるかもしれません。

8月 30, 2011 at 07:37 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.28

安愚楽牧場・さいたま市説明会

毎日新聞より「安愚楽牧場:破綻 被害対策弁護団、さいたまで説明会 刑事告訴も /埼玉

和牛オーナー制度で資金を集め、民事再生法の適用を申請した「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県)について、被害対策埼玉弁護団が27日、さいたま市の浦和コミュニティセンターで被害者説明会を開いた。

集まった約430人に現状と今後の見通しについて説明。
損害賠償請求訴訟で責任追及する方針を改めて示し、詐欺罪などでの刑事告訴の考えも明らかにした。

弁護団の中村弘毅弁護士は

「安愚楽牧場は赤字経営で、自転車操業状態だった事実を隠し、次々に契約金を払わせた」
と話した。

会場からは質問が相次いだ。県内に住む看護師の女性(43)は、数年前に100万円余りを契約したという。

「銀行は利息がよくないから使わないお金を回した。自分にとって大金なので返してほしい」
と不安げな表情を浮かべた。
数千万円を契約したという60歳代の無職男性は
「震災後、利率がよく短期の契約コースへの勧誘が増えたので心配はしていた。自己責任と言われるかもしれないが悔しい」
と憤りを見せた。

弁護団は今後も相談を受け付け、弁護団への参加を呼び掛ける。

問い合わせは、さいたま市浦和区高砂2の1の16浦和大熊ビル3階、つきのみや法律事務所中村弘毅弁護士に郵送またはファクス(電話048・799・3405)。

【平川昌範】

東京新聞より「安愚楽牧場の債務弁済問題 オーナー説明会に430人

和牛オーナー制度で金を集め、東京地裁に民事再生法の適用を申請した畜産会社「安愚楽牧場」(栃木県)の債務弁済問題で、埼玉弁護士会の有志が結成した弁護団が二十七日、さいたま市でオーナー向け説明会を開いた。

説明会後に個別相談を受ける予定だったが、「参加者数が予想を上回った」として急きょ中止。
説明会を二回に分けて開き、延べ約四百三十人が参加した。

弁護団によると、埼玉は全国で三番目にオーナーの数が多いという。

説明会では、担当の弁護士が民事訴訟の流れや現状を説明。

  1. 同社が地裁への申し立ての中で「約四千三百億円の負債がある。
  2. 一九九一年の牛肉の輸入自由化以来、一頭当たりの利益は赤字傾向。
  3. オーナーには投資金の1%程度が戻る試算」とみていることを明らかにした。

弁護士は

「会社は客観的価値の約十倍で牛を売っていた。少しでも多くの債権を回収し経営責任も問う」
とし、訴訟の原告になるよう呼び掛けた。

長野県に住む家族と合わせて三千万円以上を支払った川口市内の主婦(26)は

「親が二十年以上続けていて、安定的だと思っていたのに。一円でも多く取り戻したい。裁判への参加を検討する」
と話していた。

(池田宏之)

この2本の記事は、8月27にさいたま市で開かれた「被害者説明会」の様子を伝えています。
430人が参加したというのはちょっと驚きですが、9月1日に東京霞が関の弁護士会館で予定されている「被害者説明会」は、3回制になりました。
2000人から3000人ぐらいが参加する可能性がありますね。

わたしが注目したのは、

  • 一九九一年の牛肉の輸入自由化以来、一頭当たりの利益は赤字傾向。
  • 会社は客観的価値の約十倍で牛を売っていた。

「安愚楽牧場・あり得ない高利回り」で示したように、どう見ても安愚楽牧場は配当を支払うと赤字になっていたはずです。
そして、それはビジネスモデルそのものの問題だから、ネズミ講のように新規入会者を集め続けないと、破たんするものでした。

何人かの弁護士が、安愚楽牧場の民事再生手続をすすめるべきで、早急にスポンサーを見つけて牧場事業を引き継ぐべきだ、と主張していますが、これはビジネスとしてまともな経営が行われていた場合の話しでしょう。

そもそも、個々の商品(この場合は牛)が市場価格で評価されていれば、事業を譲渡できますが商品の評価が極端に市場の評価とかけ離れている場合には、譲渡価格が1/10とか1/100といったことになりかねません。

評価に関しては、きちんとやれば破算手続でも民事再生でも同じですが、その過程で安愚楽牧場の経営陣が出資法違反とか詐欺の疑いがある、となりそうなのですから普通に考えて、民事再生手続にすると後々かえって混乱する、その間に現在でも多額の使途不明金がもっと増える、という可能性が大きいでしょう。

消費者被害事件は、出発点はビジネスの顔をしていますが、結局は情報格差を利用した詐欺的手法で、大勢を騙します。
これに対して「外見的にビジネスだから、ビジネスの処理をするべきだ」と声高に主張するのは、わざわざ主張するまでもなく「自己責任ですあきらめて下さい」と言えば良いことでしょう。
そして、「消費者被害というようなものはあり得ない」という昔の話しを言っているだけです。

次の国会で、最終的にどのようになるのか分かりませんが、消費者被害救済のための集団訴訟に関する法律改正が成立しそうです。
このような背景を踏まえた上で、安愚楽牧場のような「インチキ経営」にもビジネス的手続を優先するべき、という発言が出来る人に驚きます。

8月 28, 2011 at 12:55 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・被害者説明会(東京)

全国安愚楽牧場被害対策弁護団HPが更新されました。

2011/08/27

被害者説明会のご案内

正式に、「全国安愚楽牧場被害対策弁護団」による「被害者説明会」が決まりましたので、ご案内します。

当日は当弁護団への委任事務に必要な書類一式もお渡ししますので、この問題にお困りな方は、ぜひこの機会にお越しください。

なお被害者説明会の会場にお越しできない方で、別途委任事務に必要な書類一式が必要な方は、本ホームページの末尾記載の当弁護団あてに、ご住所、ご氏名、お電話番号等の連絡先の明記のうえ、送料等を含めた実費相当分として、郵便切手500円分を同封のうえ、封書で、お申込みください。当弁護団への委任事務に必要な書類一式をお送りします。

今後も、お電話による登録も受け付けていますが、電話が通じにくいというご意見もいただいていますので、上記封書による方法もおとりいただければと思います。

当弁護団からのご連絡は、一律に、弁護団名ではなく、弁護士の肩書のない、弁護団事務局次長の「氏名」のみでお送りしています。

既に8月1日から昨日までの間に、当弁護団にご住所ご連絡先を登録された方には、来週中に「委任事務に必要な書類」の発送事務を終了する予定です。

送付がなされない場合は、別途、ご連絡をください(この間、電話以外の、手紙、FAX、メール等でご連絡の方の登録事務は完了しておりません(電話以外の方法を取られた方で、当弁護団から連絡が行っていない被害者の方は、当弁護団への登録が済んでいない可能性があります。
お電話でお問い合わせください。)。
またご連絡先の明記のない被害者の方もおられますので、当弁護団から連絡のできない方もおられます。
この点、心当たりの方も、お電話でお問い合わせください。

株式会社安愚楽牧場被害者の皆様へ

下記の日程で全国安愚楽牧場被害対策弁護団主催の被害者向けの説明会を開催しますので、ご案内申し上げます。

日 時2011年9月1日(木) 3回入れ替え制 事前予約不要(無料)
 17:00~(1回目)、18:20~(2回目)、19:40~(3回目)
場 所東京都千代田区霞が関1-1-3  弁護士会館 2階 クレオ
 地下鉄:霞が関から(丸の内線・日比谷線・千代田線)B1-b出口から直通
 地下鉄:桜田門駅から(有楽町線)5番出口より徒歩5分
 地下鉄:日比谷駅から(三田線)日比谷公園を通り徒歩8分
 JR:有楽町駅から(山手線・京浜東北線)日比谷口より徒歩10分

8月 28, 2011 at 11:48 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.19

安愚楽牧場・被害の形

サンケイ新聞より「平均出資額は574万円 安愚楽牧場、最高3億円

2011.8.18 19:27

和牛オーナー制度を運営し、東京地裁に民事再生法の適用を申請した畜産会社、安愚楽牧場(栃木県)について、東京商工リサーチは18日、オーナー制度を利用して出資した7万3356人の平均出資額が574万円だったとする調査結果を発表した。

牧場側が提出した「民事再生手続開始申立書」を東京商工リサーチが分析、集計。
1人当たりの出資額の最高は3億500万円だった。1億円以上出資した人が135人いたが、1千万円未満が全体の84%と大部分を占めた。

出資者を都道府県別で見ると、東京(1万1740人)が最も多く、神奈川(9103人)、埼玉(6341人)、千葉(5220人)の首都圏各県が続いた。

愛知(4726人)と大阪(4180人)もそれぞれ5位と6位に入り、出資者が大都市圏に集中していた実態が浮かび上がった。

総数が7万3356人で、1億円以上出資した人が135人ですから、人数の比率は0.18%
出資総額が4210億円で、135人はだいたい150億円程度を出資していますから、3.2%を出資したことになります。

一千万円未満の出資者が、84%ですから、6万1千人程度となります。
従って、1万2千二百人程度が、一千万円~一億円の出資者となります。平均値を三千万円と仮定すると、3660億円となります。
17%ぐらいの人で、少なくとも1/3~1/2程度の出資をしていた計算になります。

朝日新聞より「安愚楽牧場関係の相談殺到 相談者の契約額平均1千万円

「和牛オーナー制度」が行き詰まり、民事再生法の適用を申請した安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)に関する相談が急増している。
国民生活センターの18日のまとめでは、経営状況の悪化が報じられた8月に入ってから、全国の消費生活センターに寄せられた相談は734件。相談者の契約金額は平均1067万円だった。

安愚楽牧場に関する相談は2006年度以降に926件あり、今年8月分だけで8割を占める。
多くが「経営が傾いていると聞いたが、どうしたらよいか」などの不安の声だ。
なかには1億円以上にのぼる契約をした人もいたという。

「全国安愚楽牧場被害対策弁護団」(団長・紀藤正樹弁護士)では、電話相談(03・3261・3026/平日午前11時~午後4時)も受け付けている。国民生活センターは「全国の消費生活センターでも被害弁護団の情報は把握しているので、問い合わせてほしい」と呼びかけている。

19日には、東京・両国国技館で午後1時と午後6時の2回、同社の債権者説明会が開かれる。

一千万円以上に限定しても、一万2千人以上なのですから、相談の電話がつながらないのも当然ですね。

8月 19, 2011 at 09:30 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.08.18

神世界・組織犯罪処罰法で逮捕状

朝日新聞より「「神世界」教主、詐欺指示か 幹部が定期的に会合

有限会社「神世界」(山梨県甲斐市)グループの霊感商法事件で、神世界トップで「教主」の男(53)ら幹部4人は定期的に会合を開き、サロン運営会社の経営者らに詐欺行為を指示していた疑いがあることが17日、神奈川県警への取材でわかった。

県警は組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で4人の逮捕状を取っており、所在がわかり次第、逮捕する。

4人は詐欺の実行行為には加わっていないが、複数のサロンで詐欺的商法の手口が酷似していることから、4人の指示に基づいた組織的行為だったと判断したとみられる。

県警によると、神世界グループは教主を頂点に、複数のサロン運営会社を傘下に置くピラミッド型組織。

定例の会合は毎月あり、教主ら神世界の幹部とサロン運営会社の幹部が参加。教主らが売り上げの拡大などを指示し、サロン側からは売り上げの30~50%が上納されていたという。

神奈川県警が逮捕状を取った「組織犯罪処罰法」の正式名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」で、収益没収が出来ますから神世界のようなカルト宗教などの詐欺事件を抑止する効果は大きいと期待されています。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 第3条(組織的な殺人等)

次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。

  1. 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十六条第一項(常習賭博)の罪 五年以下の懲役
  2. 刑法第百八十六条第二項(賭博場開張等図利)の罪 三月以上七年以下の懲役
  3. 刑法第百九十九条(殺人)の罪 死刑又は無期若しくは六年以上の懲役
  4. 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)の罪 三月以上十年以下の懲役
  5. 刑法第二百二十三条第一項又は第二項(強要)の罪 五年以下の懲役
  6. 刑法第二百二十五条の二(身の代金目的略取等)の罪 無期又は五年以上の懲役
  7. 刑法第二百三十三条(信用毀損及び業務妨害)の罪 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金
  8. 刑法第二百三十四条(威力業務妨害)の罪 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金
  9. 刑法第二百四十六条(詐欺)の罪 一年以上の有期懲役
  10. 刑法第二百四十九条(恐喝)の罪 一年以上の有期懲役
  11. 刑法第二百六十条前段(建造物等損壊)の罪 七年以下の懲役

しかし同時に、被害者が外見上であっても自分の意志で差し出した金銭などが、詐欺による被害なのか?というのは難しく、そもそも詐欺は立証の難しい犯罪です。

報道では「複数のサロンでの詐欺的商法の手口が酷似している」となっていますが、これは詐欺の用件である「だます意志がある」の客観的な裏付けとも取れます。

この事件がうまく、組織犯罪処罰法で有罪となり、収益金の没収まで実行することが出来れば、カルト問題の解決策として大いに前進するでしょう。

8月 18, 2011 at 09:31 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.17

神世界・トップを逮捕へ

毎日新聞より「霊感商法:神世界トップに逮捕状 詐欺容疑…神奈川県警

有限会社「神世界」(山梨県甲斐市)グループの霊感商法事件で、グループトップで「教主」と呼ばれた男(53)ら4人も関与した疑いが強まったとして、神奈川県警は詐欺容疑で逮捕状を取った。近く逮捕する方針。

捜査関係者によると、4人はいずれも神世界の役員を務めた経験があり、グループ傘下で東京都内などにあるサロンから祈願代等の売り上げの30~50%を上納するよう、複数のサロン経営者に指示していた疑いが持たれている。

事件では、サロンの客に「病気が良くなる」などと偽り、祈願代名目で多額の現金をだまし取ったとして、「会主」と呼ばれる幹部(42)=詐欺罪で起訴=ら計12人が逮捕、4人が起訴されている。

男ら4人は、詐欺の実行行為には関わっていなかったとされるが、県警は幹部らの行為を事実上、指示していたと判断した。

【中島和哉、山田麻未】

毎日新聞 2011年8月17日 15時00分

これは良いニュースです。
グループのトップまで、逮捕できるのであれば、良くやったと言えます。

しかし、会社組織のグループの事業目的が、詐欺であったのだとすると、組織の解散を命じることが出来て当然のように思いますが、これは出来ないんですよね。

8月 17, 2011 at 08:36 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・東電から補償を得られるとは思えない

サンケイ新聞より「安愚楽牧場破綻、東電の過失認定が焦点 債権者説明会を開催

2011.8.17 10:38

東京地裁に民事再生法の適用を申請した和牛オーナー制度する「安愚楽牧場」(栃木県)の債権者説明会が17日、神戸市内で開かれた。19日には東京都内でも開かれる。

同社は、東京電力福島第1原発事故を破綻の一因に挙げ、東電に損害賠償を請求する考えを示している。
ただ、同社をめぐっては、杜撰な運営も明らかになっており、債権者救済の行方は不透明だ。

同社は繁殖牛の所有者を募集し、生まれた子牛を買い取り、出資者に売却益を還元する独自の制度を運営。
高利回りの利殖手段として会員を拡大してきた。

だが、原発事故で放射性セシウムに汚染された牛肉の流通問題や和牛価格の下落でオーナーの解約が急増し、運営に行き詰まった。
昨年、口蹄(こうてい)疫が発生した宮崎県の同社牧場で、飼育中の牛を殺処分したことも経営悪化の一因となったようだ。

民間調査機関の帝国データバンクによると、負債額は約4330億円で、今年最大の企業倒産。うち約7万3000件、約4207億円がオーナー契約者の債権が占める。

同社は、東電の過失は大きいとして、損害賠償を請求する考えを示しているほか、個別に賠償請求を検討しているオーナーもいる。

細野豪志消費者・食品安全担当相は2日の会見で、「牧場の場所や牛の問題ということから言っても、賠償の枠組みに乗る可能性は十分ある」と述べている。

ただ、同社をめぐっては、宮崎県内の同社牧場で口蹄疫が発生した際、牛の異常について通報遅れがあったとして、今年3月に県から改善指導を受けるなど、杜撰な運営も判明している。

経営悪化で配当の支払いが遅延した後も、新たなオーナーを募集していた疑惑も浮上している。

東電による賠償が債権者への弁済率を大きく左右するだけに、今後、経営破綻に対する東電の過失度合いの認定が最大の焦点となる。

「安愚楽牧場・あり得ない高利回り」で示したように、 Up_2 取引価格が3月11日から暴落したとは客観的にはとても見えません。
むしろ、前年・前々年の方が安くて、2010年7月から上昇に転じていて、逆に言えば2011年3月からの値下がりで潰れるようであれば、2009年2010年の方がもっと厳しかったのではないのか?と見ることが出来ます。

これでは、とてもではないが「原発事故による被害」という主張はほとんど成立しないのではないのか?
原発事故を理由にして、清算に持ちこんだのではないのか?と思われても仕方ないでしょう。

安愚楽牧場が詳細なデータを示さないために、外部のデータから推測すると、上記の判断になってしまいますが、元もと日本の畜産業は、ずーと厳しい経営が続いている業界であって、その中で和牛に特化したとは言え、安愚楽牧場が高配当を維持できる仕組みがあったとは、思えません。
また、金融によって本業の牧場業以上の利益を上げるという構造であったのなら、金融業が主体となるはずで、それ自体が出資法違反になるでしょう。

8月 17, 2011 at 01:12 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.16

安愚楽牧場・あり得ない高利回り

読売新聞より「安愚楽牧場、悪化後の高利回り勧誘で被害拡大

4300億円を超える負債が判明した和牛オーナー制度を運営する「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)。
全国安愚楽牧場被害対策弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)は、違法な勧誘が行われていた可能性があるとして消費者庁に行政処分などを求め、

「5000億円以上の被害規模が確実な情勢で、豊田商事事件を上回る戦後最大の消費者被害となる」
と危機感を強める。

同社は経営が悪化した7月中旬、これまでより高利回りで新たなオーナーを勧誘しており、被害拡大につながったとみられる。

同弁護団が入手した7月19日付の「肥育牛売買コース」案内は、1頭48万円で契約すると、6か月後に牛が60万円(2010年度の平均価格)で売却できた場合、飼育の委託費8万円を差し引いた52万円が受け取れると勧誘していた。半年で8%を超える利回りで、売却価格が60万円を下回れば、委託費は同社が負担するとしている。

(2011年8月16日09時10分 読売新聞)

「安愚楽牧場・清算するという」で引用した、「指定市場における子牛価格の推移」というのは、JAが作っているデータ集積サイトで、2011年(平成23年)のデータは以下の通りです。

頭数(雄)頭数(雌)頭数(計)価格(雌)価格(雄)平均価格
23年1月15,93318,99234,925378,796434,078408,858
2月13,19815,33128,529391,679448,326422,120
3月14,78517,64032,425391,950456,152426,878
4月14,38016,50430,884380,442443,920414,364
5月16,49318,77235,265371,239431,085403,096
6月13,12715,19728,324348,214408,441380,528

「7月19日付の「肥育牛売買コース」案内」がいつ作られたのかを考えるまでもなく、「指定市場における子牛価格の推移」では平成13年度からの10年間の価格推移で考えると、とても60万円で売れるとは思えないし、48万円の「出資価格」ですら下回っています。

売価が安くなれば、仕入れる子牛の価格も下がるはずで、一頭48万円を掛けて購入する必要自体がないでしょう。
仮に、半額が子牛の購入か価格であったとして、残りの半分はどこに消えたのか?

自転車操業で累積赤字を増やしたとしか見ることが出来ません。
今回は、「7月19日付の「肥育牛売買コース」案内」のデータでしたが、勧誘パンフレットと市場取引の実情を比較する必要がありますね。

8月 16, 2011 at 10:10 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・清算するという

朝日新聞より「安愚楽牧場、存続させず清算の方針

「和牛オーナー制度」を運営する安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)の経営が行き詰まった問題で、民事再生法の適用を東京地裁に申請している同社は、最終的に会社を存続させずに清算する方針であることがわかった。

同社が申し立てた負債額は4330億円で、約7万3千人のオーナーには出資額の10分の1以下しか返せない見込みとしている。

民間の信用調査会社東京商工リサーチによると、負債額は「今年の倒産で最大」という。

今月9日に東京地裁に提出された申請書によると、同社は、会社を清算する方針にもかかわらず、破産手続きではなく再生を目指す手続きを選んだのは「管理する和牛14万6千頭の存命を優先する必要があるから」と説明。

牛の飼育を約380の牧場で当面続けるには、えさを取引先から購入したり、従業員を雇い続けたりする必要があることを挙げ、「様々な混乱を回避するため」としている。

申請書で同社は、オーナーら債権者への弁済については、同社や子会社が運営する牧場や食品加工事業、ホテル事業といった資産を売却した代金を充てる、と説明している。

和牛14万6千頭は、食用牛全体の1割、和牛子牛だけだと50%に近い、膨大であることは確かなのですが、意外なほど低価格で42万円程度です。
指定市場における子牛価格の推移

一頭40万円として、14万6千頭では、584億円になります。
確かに、全部を売却しても「1割程度しか返済できない」ですね。」

しかしここまで明々白々に破たんしている事業に「出資」が集まる理由は他にあるでしょう。
一言で言えば「実情を隠すか、ごまかして出資を募っていた」でしょう。
出資法違反ではないでしょうかね?

8月 16, 2011 at 09:16 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.08.11

安愚楽牧場・被害対策弁護団結成

「安愚楽牧場被害対策弁護団」が結成されました。

全国安愚楽牧場被害対策弁護団



2011/08/10 


 長年和牛預託商法を続けてきた、株式会社安愚楽牧場が、本年8月1日に事実上破たんし、9日、同社が民事再生を申立てました。全国安愚楽牧場被害対策弁護団は、安愚楽牧場の被害者を救済するため、東京の三弁護士会である東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の各消費者問題対策委員会の委員有志により結成されました。


 弁護団の体制は、以下の通りです。



 弁護団長 紀藤正樹(第二東京弁護士会)

 副団長 平澤慎一(東京弁護士会)

 副団長 鈴木喜久子(第一東京弁護士会)
 
 副団長 木村裕二(東京弁護士会)

 事務局長 中川素充(東京弁護士会)

 事務局次長 山口貴士(東京弁護士会)

 事務局次長 荻上守生(第二東京弁護士会)




 相談方法
  
  03-3261-3026


  電話受け付け 2011年8月11日から、平日の11:00~16:00 (土日祝日は休みです)

  現在、弁護団への登録事務を行っています。

  なおリンク総合法律事務所に既に登録された方につきましては、重ねて登録の必要はありません。またこの特設電話の開設により、リンク総合法律事務所への直接の電話による弁護団登録は終了していますので、その点、ご理解ください。

  また今後受任事務開始(来週を予定しています)の後は、別途、弁護団への依頼者向けに、受任者専用ダイヤルを設置する予定です。

  


 ご依頼方法
  
  現在、ご依頼方法(受任事務)については、準備中です。近く受任事務を開始する予定としています。
  


 新聞記事等

 ホームページに、もっと情報をという声も寄せられますが、ホームページは、その性質上、相手方も閲覧可能なものですので、サイト上に公開する情報は、裁判所折衝や警察折衝のような最前線の情報の掲載は、当然できません。

 サイト上の情報は、相手方にも告知可能な最低限の情報となりますので、ご了解ください。より詳細なご説明は、今後、適宜開催する説明会(第1回は9月上旬に開催予定)等で対応していきます。


ご注意:被害を救済する、お金が戻ってくるなどの名目で、弁護団や弁護士名をかたって、お金を支払わせるなどの、振り込め詐欺ないし現金をそのまま受け取るという被害が、あいついでいます。振り込みなど、お金を出される場合は、十分にご注意くださり、新たな詐欺の被害者となられないよう、お気を付けください。





全国安愚楽牧場被害対策弁護団

〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目7番地 麹町パークサイドビル3階
 リンク総合法律事務所内 
 

8月 11, 2011 at 12:14 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.10

安愚楽牧場・民事再生法申請

朝日新聞より「安愚楽牧場が再生法を申請 「原発事故後に解約増えた」

和牛オーナー制度を運営する安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県、資本金3千万円)が9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、財産保全命令を受けた。

同社幹部によると、契約していたオーナーは約7万1千人。
同社の決算書(3月末時点)によると、負債額は619億8700万円。

同社幹部は朝日新聞の取材に

「契約上、オーナーから繁殖雌牛を買い戻さなければならず、その費用を含めると4千億円以上が必要になる」
と語った。
しかし、同社の再建計画案では、牛の買い戻し額は元本の1割程度と想定されており、オーナーにとっては大幅な元本割れになる可能性が高い。

同社幹部によると、東京電力福島第一原発事故のあった3月以降、オーナーからの解約申し込みが従来の3~4倍に増えた。
牛肉の価格や消費の急落もあって経営悪化が表面化。
取引先やオーナーらへの支払いを止める一方、財務調査を弁護士に依頼していた。

この幹部によると、再建計画案は、
  • 全国に40カ所ある直営牧場を10カ所程度に集約
  • 333カ所の委託牧場も縮小か廃止
  • 飼育規模を現状の約15万頭から数万頭に減らす
  • 700人近い従業員の整理
が柱。

オーナー制度は、個人投資家らに和牛の繁殖雌牛を購入してもらい、生まれた子牛を安愚楽牧場が買い取るというもの。

繁殖雌牛は同社関連の牧場で飼育し、契約終了後には買い戻す。
投機目的で利用するオーナーも多いという。

幹部は「オーナーは47都道府県に約7万1千人」と説明。繁殖雌牛の購入費や飼育・管理費、えさ代など3億円を投じているオーナーもいる。
利回りはバブル期には年10%を超え、東日本大震災前で年3~4%という。

まず17日に神戸市、19日に東京都内でオーナーら債権者を対象にした説明会を開く予定。

幹部は

「和牛市場は右肩上がりを想定していたが、昨年に発生した口蹄疫(こうていえき)に次いで原発事故と、想定外の事態に見舞われた。誠意をもって経緯を説明する」
と話している。(細見るい)

わたしには、実際のところは分からないのですが、相手が生き物であり、しかも他の牧畜業が苦境の時に安愚楽牧場が利益を出し続けるというのはあり得ないのではないか?と考えます。

漁業などを例に考えると、やはり運不運は大きいわけで、お金で測ることが出来るのか?と思うのです。
原理的には、会社全体が儲かって、出資者に配当することは問題無いでしょうが、それは株式などを通じて行うべき事でしょうし、和牛の預託という仕組み自体に、経済的な合理性があるのかが疑問です。

それにしても「オーナーの解約が従来の3~4倍に増えた」というのと、「牛肉の価格や消費の急落もあって」というのは話が逆ではないのか?
この二つの影響力は、1対1000とかではないのだろうか?
要するに「福島原発」は取って付けたような話しに思える。

だいたい、8月1日の発表直前まで募集していたという複数の報告が上がっています。
しかし、これほどの規模のビジネスの調査となれば、一週間ぐらいで終わるとは思えない。つまり、実際問題として破たんが明らかな段階でも、オーナー募集をしていたのだとすると、これは詐欺だと言われても仕方ないでしょう。

8月 10, 2011 at 12:18 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.08

安愚楽牧場・8月1日付けの通知書

安愚楽牧場が、8月1日に送った「通知書」が、紀藤弁護士のブログに掲載されています。

速報2:和牛預託商法-(株)安愚楽牧場(旧安具楽共済牧場)の代理人弁護士からの通知書 #agura

下記の朝日新聞にも報じられていますので、まだ届かない被害者のために現物をUPします。

問い合わせ先が記載されています。

但しこの問い合わせ先はあくまでも安愚楽側の問い合わせ先であり、中立的な立場からの返答があるとは限りませんので、ご注意ください。

⇒安具楽牧場の代理人弁護士から、安愚楽の債権者(被害者も当然含みます。)宛ての通知文 ⇒ 2011年8月1日付通知書=pdf

なお安愚楽牧場の破たんが、こういう単純図式か調査が必要です。⇒ 支払い休止/和牛オーナー全国に3万人 http://t.co/gVk1kmi 同社の役員は「原発事故後にオーナー契約の解除が急増・和牛の価格下落・子牛の販売額も半値以下」「東電への損害賠償請求についても弁護士と相談中」

このブログのに掲載されている、「通知書」は pdf 形式のスキャン画像なので、OCRによってワード文章にしました。
こちらには、html で掲載します。

通 知 書

平成2 3年8月1日

〒105-0001 東京都港区虎ノ門一丁目22番1 3号
      秋山ビル3階 栃木・柳澤法律事務所
           株式会社安愚楽牧場代理人
           弁護士  栃 木 義 宏
           弁護士  柳 澤  憲  

 当職らは、この度、株式会社安愚楽牧場(本店:栃木県那須郡那須町大字高久丙
1796番地、代表者:代表取締役三ヶ尻久美子、以下「安愚楽牧場」といいます。)
より依頼を受け、同社の代理人として、債権債務の調査の任にあたることとなりま
したので、その旨ご通知いたします。
 安愚楽牧場は、昭和5 6年に設立され、今日までの3 0年間に亘り、畜産事業の
分野において邁進を続け、黒毛和牛の畜産、黒毛和牛委託オーナー制度の運営、食
肉加工品の製造販売等により、全国に契約農家・牧場を有する一大畜産企業へと成
長を遂げました。
 ところが、昨年の宮崎県のロ蹄疫問題を皮切りに、本年3月1 1日の東日本大震
災以降、福島第一原子力発電所の放射線漏れ事故による牛の放牧制限、放射性セシ
ウムの検出による福島県産牛肉の出荷制限等と、同社の経営は大きな制限・打撃を
受け、さらに「泣きっ面に蜂」が如く、その風評被害による食肉市場全体での牛肉
消費の落ち込みは、その経営状況を一気に悪化させました。
 そこで、まずは安愚楽牧場の資産及び負債の現状を正確に把握し、今後の方針を
早々に決定する必要から、誠に申し訳ない次第ではございますが、安愚楽牧場から
債権者の皆様へのお支払いは、目下停止させていただいている次第でございます。
 その資産・負債状況の調査は1ヶ月内に終了することとし、その調査が終了し、
今後の方針が決定いたしましたら、改めてご通知する所存でおります。
 債権者の皆様には、ご心痛をおかけいたしますが、以上の安愚楽牧場の現状に対
して、何卒ご理解・ご協力を賜りますよう、伏してお願い申し上げます。

【本件に関するお問合せ先】
栃木・柳澤法律事務所 安愚楽牧場コールセンター
電 話番 号  050-5505-3720
(受付時間 月曜日~金曜日 午前9時~午後5時)

8月 8, 2011 at 06:07 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.05

安愚楽牧場・紀藤弁護士のtwitterから

「安愚楽牧場倒産」にはやはり注目が集まっているようなので、紀藤弁護士のtwitterを転載します。

安愚楽牧場:今日も被害者から電話が殺到。
当事務所に電話が通じない場合は各地の弁護士会にも相談の電話を入れてみてください。

東京では

第二東京弁護士会03-3581-2255
東京東京弁護士会03-3581-2201
第一東京東京弁護士会03-3595-8585

三弁護士会は消費者相談に応じています #agura

全国の弁護士会の連絡先は、⇒全国の弁護士会・弁護士会連合会(日弁連)http://t.co/mrhHa67 #agura 
安愚楽牧場:消費者庁の電話番号は 0570-064-370(ゼロ・ゴー・ナナ・ゼロ 守ろうよ、みんなを)です。
安愚楽被害:最寄りの消費者センター 全国の消費生活センター等http://t.co/rTldEms #agura

安愚楽被害:以後「紀藤」からの安愚楽牧場の被害救済関連のTWEETは、冒頭「安愚楽被害:」で統一させていただきます。

検索の際の便宜に使ってください。
またハッシュタグは #agura としていますので、安愚楽関連の有用な情報を出される方は、ご協力をお願いします。

安愚楽被害:
消費者庁への意見は、大代表;03-3507-8800(平日8:30~18:15)、
消費者委員会への意見は、電話番号 03-3507-8855です。

今回の事態は行政の失策でもありますので、意見は言わないと始まりません。 #agura

8月 5, 2011 at 11:51 午前 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011.07.28

津波で死亡したから、損害賠償請求訴訟。

読売新聞より「津波で25人死亡の自動車学校、遺族が提訴へ

宮城県山元町の常磐山元自動車学校が東日本大震災の津波に襲われ、送迎用マイクロバスなどに分乗して帰宅しようとしていた18~19歳の教習生25人が死亡した。

25人の遺族は「学校が迅速に避難させていれば犠牲者は出なかった」として、同校側を相手取り、総額約17億円の損害賠償を求めて9月に仙台地裁に提訴する方針を固めた。

同校が遺族会に行った説明などによると、3月11日午後2時46分に地震が起きると、教習生ら約40人は校舎外や車外に出た。校舎が壊れた恐れがあり、寒さをしのぐため、教官らの指示で何台かのマイクロバスに乗り込んだ。

「地震直後、教官らには『1時間後に教習を再開するので、少し待っていてください』と大きい声で言われた」と、助かった女子大学生(19)は証言する。

しかし、同3時20分頃に停電し、同校側は教習生を帰宅させることにした。

教習生らはマイクロバスやワゴン車、教習車計7台に分乗して同3時40分頃から順次出発。約10分後に山元町の沿岸部が津波に襲われ、7台のうち、山の手に向かったワゴン車と教習車を除く5台がのみ込まれた。

死亡した教習生25人は、5台に乗っていた23人と、路上教習を打ち切って同校に戻った後、徒歩で帰宅していた2人。

同校側も、校舎が津波で壊滅し、マイクロバスなどを運転していた教官4人と、学校にいた校長や教官、事務員ら5人が犠牲になった。

遺族会によると、同校側は「津波の際の避難マニュアルは用意しておらず、対応に危機感がなかった」ことは認めたという。だが、話し合いを重ねている途中、代理人弁護士から「このような大規模な津波は予見できなかった。仮に予見が可能だったとしても、生徒たちは自ら避難することができた」などとして、一連の対応に過失はなかったと主張する文書が遺族に送られてきたという。

(2011年7月28日09時18分 読売新聞)

教習生25人の損害賠償請求総額が17億円ですから、一人あたり平均の損害賠償請求額は6800万円となります。
一言で言えば、全ての責任が自動車学校にある、という請求内容だと読めます。

まことにお気の毒ではあるけど、津波での死亡の原因の全てが自動車学校などにある、という論理構成は無理がありすぎるでしょう。

交渉の経過によって提訴となったのだろうとは思いますが、ちょっと無謀な提訴であるように感じます。

もともと、損害賠償ですから自動車学校の過失によって教習生が亡くなった、という関係が必要ですがこのケースでは、自動車学校の車に乗っているときに、津波に襲われたわけでそこを過失と捉えると、津波の危険があるのに車に乗せたから、ということになるでしょう。

普通、津波の危険を十分に理解していれば、車には乗せないでしょうね。
車に乗せたのは、危険がないと考えていた、となりそうです。

自動車学校の対応と、死亡との因果関係を証明する事も、困難であるように思えます。

7月 28, 2011 at 10:00 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.07.24

オスロの大量殺人事件

朝日新聞より「「お前らを守るために来た」呼びかけた後に容疑者乱射

与党・労働党が青年集会を開いた島には、約600人の支持者らが集まっていた。参加者たちは発生したばかりのオスロ爆弾事件のニュースを不安げに語り始めていたという。そこに警察官姿のブレイビク容疑者が現れた。

ノルウェー赤十字の関係者によると、容疑者はテロ対策担当を名乗り、マシンガンや短銃で武装。
島の施設のメーンホールに若者を集めると、突然銃撃を始めたという。
少年たちが左右に分かれて逃げると、片側の集団はほぼ皆殺しにされ、泳いで逃げようとする人も発砲を受けた。

警察によると、乱射は約1時間半に及んだという。

集会に参加していたトールビョルン・ベールアイダさん(22)は朝日新聞の取材に、

「男は『お前らを守るために来たんだ。みんな出てこい』と呼びかけていた。
銃を向けられ、弾丸がすぐ横の集団に当たるのを見た。
撃つときに何も気にかけていないようだった。
全員が2回は撃たれるように、確かめているようだった」
と語った。
水中に身を隠して逃れたという。

エリック・キューシャガールさん(18)は

「女の子が泣いているのをみて、乱射に気が付いた。発砲音は静かで、ゲームかと思うほどだった。
みんな崖や林に隠れようとした。崖で男が20~30人に発砲するのをみた。
僕も水中に飛び込んで、途中のフィヨルドまで泳いだ。足がつって泳げなくなったけど、ボートに助けられた」
と語った。

集会を主催した労働党のステイン・ハネイム議員(27)は英BBCに

「彼はとても冷静な感じで、自分が何をしているのか理解しているようだった。島中を歩き回って何も話さずに銃を撃ち続けた」。
島の学校にあったベッドの下に2時間潜んでいた女性は、銃撃音がだんだん近くに迫ってくるのを聞いた。
「隣の教室に逃げた人は混乱して叫び声を上げていた。もうダメかと思った」と英スカイニュースに語った。

集会に参加した多くが14~18歳の若者だった。

事件の後しばらくしてもショック状態の人が多く、「今日のテレビは何をやっているのか」などと、事件と関係のない話題を話したがる子もいるという。

行方不明者もかなりの数に上っており、捜索隊が水中で捜しているという。

島のある湖の近くに住むメッテ・ヘイエルさん(56)は、集会に参加していた親類の娘ユーリアさん(16)が、約700メートル泳いで難を逃れたという。
「近所でこんなひどい事件が起きるなんて、考えられない」と憤りをあらわにした。

乱射事件の2時間前には、オスロ中心部が恐怖に包まれていた。22日午後3時半ごろだった。

「ドーンと大きな音がして、地震かと思うほど建物が揺れた」。近くにいた市民は口をそろえる。政府庁舎のすぐ外で起きた爆発の衝撃はすさまじかった。

現場から約200メートル離れた路上にいた出版会社員のベルガーさん(28)は爆風で自転車から振り落とされそうになった。店舗のガラスが砕け、いっせいに人が飛び出してきた。

泣き叫ぶ声、携帯電話で家族の安否を確認する人、片腕を吹き飛ばされて血を流す男性。数百人が走って逃げていた。元カメラマンのアンドレアスさん(35)は政府庁舎前で、犯行に使われたと見られる焼けこげた車が転がっているのを見た。男性が血まみれの女性に心臓マッサージをしたが、目を見開いたまま息絶えたようだった。

近くのホテルで仮眠を取っていた米国人パイロットのイアンさん(41)はこう語った。
「2001年の9・11テロの現場にいた。10年後に、平和なノルウェーでこんな光景を見るとは」

なんともすごい話ですが、ノルウェーデータ 2011によると、ノルウェーの人口は490万人です。その内15歳~19歳の人口は35万人ぐらい。

日本に比べると、4%(1/25)の人口規模です。
そこで、90人以上の殺害ですから、25倍すると2300人に相当するとなります。
あり得ない数字でしょう。

9.11のアメリカ同時多発テロで、ニューヨークの死者は、2749人だそうです。
つまり、オスロの事件はこれに匹敵する。

現場は、以下の写真の島で、長手が500メートルしかない。

Photo

陸とは、600メートル以上離れているようで、「700メートル泳いで逃げた」というのも分かります。
面積は、17万平方メートル程度ですから、900人もいたというのは、大学のキャンパスのような感じでしょう。

被害者も、青少年ですから、正に学校だったわけで、そこで現時点で90人以上、今なお水中を捜索中というのですから、どうやったらこんなことができるのか?と考えてしまいましたが、報道の通りだと1時間半も銃撃を続けたとなっています。

そもそも、それだけ銃撃を続ける武器弾薬を持ちこんだことにビックリしますが、そんな事がなぜ可能だったのか?という点も、問題でしょう。

以下の写真は、Live Leak のコンテンツ「Graphic* Aftermath pictures of shooting at Utoya + possible suspect.」に掲載されているものです。

1

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7月 24, 2011 at 10:30 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.07.20

交通事故裁判・これは厳しすぎると思う

中日新聞より「伊勢の死亡事故で逆転有罪判決 名高裁「制限速度なら回避可能」

2011年7月19日 20時15分

三重県伊勢市で2008年12月、軽乗用車で歩行者をはねて死なせたとして、自動車運転過失致死の罪に問われた板金作業員(30)の控訴審で、名古屋高裁は19日、無罪とした津地裁の一審判決を破棄し、禁錮1年2月、執行猶予3年を言い渡した。

弁護側は無罪を主張しており、上告する方針。

判決理由で下山保男裁判長は、

被害者の男性会社員=当時(26)=の発見から衝突までの距離や、ヘッドライトが照らす長さなどから、
「制限速度の60キロで走行し、前方注視を尽くせば衝突は回避できた」と指摘。
一審判決が70キロと認定した事故当時の速度も、ブレーキをかけ始めるまでの空走時間などを根拠に、検察側の主張通り80キロだったと認め、
「安全確保が難しい速度で漫然と進行し、重要な注意義務を怠った」
と述べた。

一審判決は、浜口被告の速度違反を認定したが、酒に酔っていた被害者が現場の国道(片側3車線)を小走りに横断したと指摘し「制限速度を守っても事故を避けられたかどうか疑問」と判断し、無罪としていた。

閉廷後、弁護人は「中央分離帯の植木の間から出てきた被害者の行動を考慮していない」とコメント。
被害男性の父親は「正しい判断が下されたと思う」と話した。

野々上尚名古屋高検次席検事の話…検察官の主張が認められた適正妥当な判決だ。

(中日新聞)

ドライバーにずいぶん厳しい判決であると感じます。
この記事から読み取れる事実関係は、

  1. 夜間
  2. 片側3車線の国道
  3. 中央分離帯の植え込みから小走りに飛び出した被害者
この状況で、制限速度60キロであれば、事故は回避できた。と断定は出来そうもない、とわたしは思います。

もちろん、もっと詳しい状況が分からないから、何とも言いがたいのですが、片側三車線の国道の中央分離帯からの植え込みの間から飛び出す人間を避けることが出来る、というのはドライバーに過度の技量を要求しているのではないでしょうか?
ちょっと自動車交通の実際を知らない判決だ、という印象が強いです。

7月 20, 2011 at 10:06 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.07.08

児童にだけ責任があるという裁判

読売新聞より「校庭ボール遊び、なぜ小5少年側に高額賠償命令

愛媛県今治市で小学校の校庭から飛び出たサッカーボールをオートバイの80歳代男性が避けようとして転倒、その際のけがが原因で死亡した事故を巡り、大阪府内の遺族が訴えた民事訴訟で、大阪地裁がボールを蹴った当時小学5年の少年(19)の過失を認め、両親に約1500万円の賠償を命じた。

校庭でのボール遊びが、高額の賠償命令につながったのはなぜか。

判決(6月27日)などによると、2004年2月の事故時は放課後で、少年は校庭のサッカーゴールに向け、ボールを蹴っていた。
ゴール後方に高さ約1・3メートルの門扉とフェンス、その外側に幅約2メートルの溝があったが、ボールは双方を越え、男性が転倒した道路まで届いた。

裁判で少年側は

「校庭でボールを使って遊ぶのは自然なこと」
と主張したが、判決は
「蹴り方次第でボールが道路に飛び出し、事故が起きることを予見できた」
と過失を認定した。

法律上、過失とは「注意を怠り、結果の発生を予測しなかった」場合を指し、これにあたると判断したためだ。

さらに、事故から約1年4か月後の男性の死亡との因果関係も認めた。

判決は、民法の「自分の行為でどんな法的責任が発生するか認識できない未成年者」には責任能力がないとする規定を適用し、当時11歳の少年でなく両親に賠償責任を負わせた。

過去には11歳でも責任能力を認めた裁判例もあり、裁判ごとに年齢や行為を勘案して判断されるのが実情だ。

一方、今回の判決で大きな疑問として残るのは、学校側の責任の有無だ。

訴訟関係者によると、少年側は他人に損害を与えた場合に備えた保険に加入しており、保険会社と男性の遺族間の示談交渉が折り合わず、裁判に発展した。

遺族側は

「少年側の責任は明らか。学校の責任を問うことで争点を増やし、審理が長期化するのは避けたい」
として、裁判の被告を少年と両親に限定。

このため、学校設置者の今治市は「利害関係者」として少年側に補助参加したものの、「学校管理下の出来事でなく、監督責任はなかった」との主張は争われず、判決も触れなかった。

(2011年7月8日08時47分 読売新聞)

  1. 少年が校庭でサッカーボールを蹴った
  2. 校外にボールが飛び出した
  3. オートバイで通りがかった80歳代の男性が転倒
  4. 男性は、骨折で入院
  5. 男性は長期の入院の後に死亡。

以上が事件の経緯です。
少年、学校、男性のそれぞれに責任があると思いますが、なんで少年だけを相手に裁判で争うことになったのか?が気になっていました。

遺族側は

「少年側の責任は明らか。学校の責任を問うことで争点を増やし、審理が長期化するのは避けたい」
として、裁判の被告を少年と両親に限定。

ということで、少年だけ訴えたのでしょう。

しかし、「少年の責任は明らか」と「少年だけの責任追及で十分」は大きく違っていて、わたしには学校側の責任の方がより重いと思います。

ゴール後方に高さ約1・3メートルの門扉とフェンス、その外側に幅約2メートルの溝があったが、ボールは双方を越え、男性が転倒した道路まで届いた。

上記の説明通りだとすると、ゴールの後方にネットが無いことになりますが、そんなバカな施設はあり得ないだろう。
それでもなおかつ、学校側の責任を追及するには及ばない、という原告側の主張には非常に強い違和感を感じます。

原告と、保険会社の交渉は不調に終わっているわけですね。
そういう外見的なところを見ると、当然と言えば当然ですが、一番弱い交渉相手に裁判を起こした、と見ることが出来ます。

少なくとも、学校と少年の責任の比率を問題にしない、というのは社会の安定といった点では、非常に良くない。
天秤秤が傾いている裁判であった、と感じます。

7月 8, 2011 at 10:00 午前 事件と裁判 | | コメント (6) | トラックバック (1)

2011.07.05

仮想不動産詐欺事件

朝日新聞より「投資会社社長を詐欺容疑で再逮捕へ 仮想空間マルチ商法

投資会社「MIT」がインターネット上の仮想空間への投資話を持ちかけ、無登録で全国の会員から出資金を集めていた事件で、埼玉県警は、同社社長(53)ら3人=金融商品取引法違反容疑で逮捕=を詐欺容疑で5日にも再逮捕する方針を固めた。

同県警は併せて、虚偽の説明で会員を勧誘したとして、IT関連会社「ビズインターナショナル」(さいたま市大宮区)の男性社長(49)を特定商取引法違反(不実告知)容疑で新たに逮捕する。

県警によると、ビズ社は2007年6月~09年11月、「日本中の街を再現した仮想空間を開発する」と宣伝し、空間内の「土地」を先行取得すれば転売や賃貸で必ずもうかると勧誘。条件として「ビジネスキット」を約30万~40万円で販売していた。

捜査関係者によると、仮想空間は完成しておらず、もともと投資会社社長らには開発する能力だけでなく、完成させる意思もなかったとして、詐欺容疑での立件に踏み切ったという。一方、投資会社社長は2月、朝日新聞の取材に対し、「技術やノウハウはあり、だましていない」と詐欺行為を否定していた。

 一連の仮想空間を舞台にしたマルチ商法(連鎖販売取引)では、同社は約2年間に全国の2万人以上の会員から100億円以上を集めたとされる。

てっきり、この事件はビズインターナショナルが主導して起こしたものだと思っていたのですが、それほど単純ではなかったようです。
上記の記事だけだと、ビズインターナショナルの「商材」を販売した会社のように見えますが、別の記事があります。

朝日新聞より「投資会社社長ら3人逮捕=無登録で金融商品販売容疑―ビズ社仮想空間事件・埼玉県警

2011年6月14日14時6分

IT関連会社「ビズインターナショナル」が、インターネット上の仮想空間での投資話をめぐり、事実と異なる説明をし会員を勧誘したとされる事件に絡み、埼玉県警生活環境2課などは14日、無登録でビズ社会員に金融商品を販売したとして、金融商品取引法違反容疑で、投資会社「MIT」(東京都港区)社長(53)=東京都港区西新橋=と同社社員2人を逮捕した。

同課によると、投資会社社長は「知らない」と容疑を否認しているという。

投資会社社長は、ビズ社の仮想空間開発業務を請け負っていた「フレパー・ネットワークス」の社長も務めており、同課はビズ社の会員勧誘にも関与していたとみて調べている。

逮捕容疑では、3人は共謀し、2008年12月ごろ、MITは金融商品取引業の登録をしていないにもかかわらず、埼玉県の男性(63)らビズ社会員3人に、仮想空間で使用できるアイテムへの投資を勧誘した疑い。 

[時事通信社]

ビズインターナショナル、フレパー・ネットワークス、MITと三社が絡んでいて、その二社の代表が今回逮捕された投資会社社長なのですね。
つまり、警察は黒幕とみているのでしょう。

それにしても、

「仮想空間は完成しておらず、もともと投資会社社長らには開発する能力だけでなく、完成させる意思もなかったとして、詐欺容疑での立件に踏み切った」
というのは、悪徳商法に対する捜査としてはかなり踏み込んだもので、時代は変化したものだと思います。

7月 5, 2011 at 09:26 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.06.28

高速逆走・確信犯?

サンケイ新聞より「上信越道で逆走トラック、1人死亡 群馬県警パトカーが追跡中

2011.6.28 09:55

28日午前0時45分ごろ、群馬県藤岡市篠塚の上信越自動車道上り車線で、パトカーに追跡され逆走した軽トラックが大型トラックと衝突、軽トラックが炎上し、中で1人が死亡した。
大型トラックの神奈川県愛川町の男性(40)も軽傷を負った。

死亡したのは男性とみられ、群馬県警が身元確認を急いでいる。

同県警によると、軽トラックは28日午前0時15分ごろ、群馬県渋川市内の市道で一時停止を怠ったとしてパトカーに停止を求められたが逃げ、渋川伊香保インターチェンジから関越道に入り、上り車線を走行。

埼玉県上里町の上里サービスエリアでUターンし、藤岡ジャンクションを経て現場まで約6・6キロを逆走した。

最初記事を読んだときには、何が起きたのか直感的には理解できませんでした。
落ち着いて読んでみると、次のようなことが起きたようです。

  1. 渋川伊香保インターから、関越道上り線を東京方面に向かった。
  2. 上里SAに入り、駐車場内でUターン。
  3. 関越道上り線を逆走して、新潟方面に向かった。
  4. 藤岡ジャンクションで、上信越道に向かった。
  5. 事故現場で正面衝突

簡単に書きましたが、藤岡ジャンクションで、上信越道に向かうために「右側に向かう」必要があります。
しかもこのあたりは、ものすごく幅が広いですから、直感に出来ないようにも思うのです。

一時停止を怠ったから、追跡されたという事ですが、パニックで衝動的に行動したのだとすると、こんなことができるのか?と思います。

それにしても、6.6キロの逆走を許したのは、問題ではないだろうか?
また、わたしが何度も書いているのだけど、錯誤による逆走を逆走しているドライバーに知らせても、止まらないだろうから、「逆走してくるぞ」と普通に走っているドライバーに通知する方が現実的ではないか?と思う。

こういう、おそらくは確信犯などに積極的に対応する方策を考えるべきだと思う。

6月 28, 2011 at 11:03 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.03.11

おとり捜査・無罪判決

神奈川新聞より「客引きに無罪判決、「おとり捜査」は適法、協力者の供述を退ける/横浜地裁小田原支部

2011年3月11日

厚木市内の路上で客引き行為をしたとして、風営法違反罪に問われた厚木市在住の社交飲食店従業員(30)の判決公判が10日、横浜地裁小田原支部で開かれ、西野光子裁判官は

「相手を特定して客になるように勧誘したとはいえない」
などとして、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。争点となっていた協力者を使った捜査手法の是非については「適法」とした。

判決では、客引き被害を受けたとされる2人が報酬を受けた捜査協力者であったことから

「供述の信用性については慎重に検討する必要がある」
と指摘。
その上で、2人の供述調書の内容と客観的状況とが符合せず、公判廷での供述内容とも異なる点について
「被告とのやりとりなどの核心部分が『捜査協力であることを隠すため』との理由で異なっているのは不合理」
として、2人の供述が信用性に欠けると判断。

被告が先に声をかけたとする検察側の主張は「立証不十分」として認めなかった。

また、「ビラを示し料金を説明するなど一連の行為が客引きに当たる」との検察側の主張についても

「ビラを示す行為自体は客引きに当たらず、料金の説明は聞かれたことに答えたもので勧誘したとはいえない」
と退けた。

閉廷後、被告は

「無罪はうれしい」と笑顔を見せる一方、
「捜査手法を適法と判断した点は悔しい。今後も捜査協力者のでっち上げの調書が適用され、冤罪(えんざい)を生む可能性がある」
と顔を曇らせた。

無罪判決を受け、県警生活保安課は

「判決を真摯(しんし)に受け止めている。内容を確認していないので詳細はコメントできない」
、横浜地検小田原支部は「判決内容をよく検討し、本庁とも協議した上、適切に対応したい」とコメントした。

おとり捜査そのものを禁止してしまうと、差し支えが大きすぎるとは思いますが、「これはおとり捜査で、掴まえました」と正々堂々と裁判に臨めないのでは、えん罪でしょう。

しかし、今回の裁判ではおとり捜査の手法の一部を隠すために、証拠として矛盾が生じてしまったから、証拠採用されず「立証が不十分」ということになったのではないのか?

要するに、おとり捜査の難しさであって、おとり捜査は簡単には出来ない、と分かったということかと思います。

3月 11, 2011 at 10:32 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.03.09

郵便不正事件・虚偽公文書作成罪について、元会長の無罪確定

サンケイ新聞より「「凛の会」元会長の無罪確定へ 検察側、上告断念の方針 厚労省文書偽造事件

2011.3.9 23:04

厚生労働省の文書偽造事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた自称障害者団体「凛の会」元会長(75)=郵便不正事件では有罪確定=を無罪とした大阪高裁判決について、大阪高検が上告を断念する方針を固めたことが9日、検察関係者への取材で分かった。控訴期限は11日。

文書偽造事件では、厚労省元局長、(55)を含め4人が起訴されたが、同罪の無罪が確定するのは元局長に続き2人目。

昨年4月の1審大阪地裁判決は、凛の会への証明書が不正に発行されたと認識していなかった可能性を指摘し、元局長との共謀も否定し、同罪の無罪を言い渡した。

上告断念ですか・・・・・。
まあ、これまでのいきさつから考えると、当然と言えますが、それにしてもこれほど無様なことにした、特捜部というのは、なんなのでしょうね。

郵便不正事件が起きたこと自体もけしからんわけですが、それを係長が独断で出来てしまう、というのも管理体制としてはひどく情けないもので、検察が「トップが指示したのは間違えない」と思いこんだのも無理からぬとは言えます。

そういう、なんというか「普通は有り得ないだろう」といったことが連鎖したのが一連事件のポイントであり、逆に言えば、こんな事になるのは日本の社会がかなり危うい証拠だと言えるのではないでしょうか?

3月 9, 2011 at 11:40 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

FX取引、121問題。集団提訴

サンケイ新聞より「FX勧誘、集団提訴へ 「香港200億円運用」流用2社に

2011.3.9 14:28

香港の投資会社が外国為替証拠金取引(FX)の運用をうたって集めた出資金を私的に流用し、投資家らの返金に応じていない問題で、運用実態がないのに虚偽の説明で勧誘され、多額の損害を受けたなどとして、東京や兵庫、大阪など22都道府県と海外在住の出資者計39人が、東京の代理店2社と役員6人に総額3億2900万円の損害賠償を求め、近く東京地裁に集団提訴することが9日、関係者への取材で分かった。

問題の投資会社は、香港に法人登記がある「121インターナショナル・インベストメント・リミテッド」。

原告らを勧誘した代理店2社は、いずれも東京都品川区に本社があるソフトウエア販売会社「エイ」と通信販売会社「Truth Company」。

訴状によると、2社はエイ社が開発したFX自動売買ソフトを活用した資金運用で

「年利30%以上の利益が安定的に得られる」
などの触れ込みで出資者を勧誘。
実際は運用委託先とされる121社でFXの運用がされていなかったことが疑われ、昨年7月ごろから元金も返還されない状況が続いているとして、原告1人につき最高で約1億2千万円の賠償を求めている。

原告の39人は、セミナーなどを通じて紹介されたが、リスクの十分な説明はなく、金融商品取引法(断定的判断の提供禁止)などにあたると主張している。

121社では昨年10月、最高責任者が「運用資金を事業に流用し、資金がなくなった」と出資者らに説明し、トラブルが表面化。
被害対策弁護団(東京)によると、集めた金は100億円とも200億円ともいわれる。エイ社は産経新聞の取材に応じていない。

【用語解説】外国為替証拠金取引

顧客が業者に預けた証拠金を担保に、その数倍から数十倍の外貨の売買ができる、個人投資家に人気の高い金融商品。

ハイリスク・ハイリターンが特徴で、平成10年の外為法改正で登場したが、詐欺的な勧誘や返金に応じないなどトラブルが相次いでいる。

121関連ファンド被害対策弁護団のホームページ」に、弁護団が説明しています。

これによると、

「121関連ファンド 最高責任者」と称し,平成22年6月24日まで121証券の取締役(平成20年7月14日までは代表取締役)であった林云(リン・ユン。JACK LINとも名乗っている。)が同年10月4日,深?(シンセン)に集まった代理店関係者らに対して,「

私は,MFGlobalで運用していると言っておりました運用資金ですが,実際は運用をしておりませんでした。事実を隠しておりまして大変申し訳ございません。ここで謝罪いたします。」
との「謝罪文」を交付し,そもそも資金の運用の事実自体がなかったことを明らかにした。

また林云は,同月7日,出資者らに対して「121関連ファンドの返済遅延について」と題する書面により,「みんなさま(ママ)の運用資金を事業に流用し」,流用した資金を返済することができなくなったこと等を理由として,「返済の遅延が発生し,運用できなくなり,資金がなくなりました。」と公表した。

とのことですから、国際犯罪だと言えるようです。

さらに下記に、マルチネットワークで、代理店をたくさん作ったとのことです。

4 商品及び代理店について

  商品名は代理店毎に様々な名称が付されており,出資者らにとって121INTでの運用がされていたのかどうか,一見して分からないものも存在する。現在寄せられている情報によれば以下の名称の商品が存在するようである(ただし,この名称を付されたシステムが全て121グループに利用されているかどうかは定かではない。)。

 「Art FX」,「All Empower Trading」,「121fund」,「121BANKCARD(Vision Pay Card)」,「FXウルトラマスターAL121」,「TG=FXミラクルマスター」,「usd.121fund」,「JIP SYSTEM」,「121FXファンド」,「FX SUPER MASTER」,「121FUND LUCK」,「AL121FX」  このように,各代理店の付けた名称が異なり,かつその名称中に必ずしも「121」の文字が冠されていないことから,出資者らの中には当該商品が121関連ファンドであることを知らない者,加入時には知らなかったが事後的に知らされた者も存在する。

 121関連ファンドは,ある者はマルチネットワークを利用して,ある者はブログ等を用いてインターネット上で(CFPなどの資格を示して行う例もある。),ある者は従来から勧誘を行っている各種ファンドの中の一商品として販売勧誘するなど,要するに各代理店にとって販売勧誘しやすい様々な方法で勧誘を行うことが可能であった。

 契約態様についても様々であり,代理店が勧誘した出資者らが121INTとシステム利用契約または外国為替証拠金取引契約を直接締結するもの(もっとも,自動売買システムを自ら使用して運用するのではなく,運用は121INTに委ねる。),代理店が組成する組合(投資事業有限責任組合等)と利用者が組合契約を締結して出資の預け入れをする形式を採るものから,いかなる契約形態かを示さずして代理店に対して口座開設申込みを行わせるものまで様々である。また,口座開設のためのツール(「CD」。All Empower Limited」,「f(x)=function」等)を配布する例もある。

 料金体系も各代理店毎に異なる。

ところが、Webサイトは一括管理されていたようです。

また,121関連会社のウェブサイトについて調査したところ,下記のウェブサイトは同一IPアドレス(208.109.191.59)のサーバー(米国アリゾナに所在)で運営されており(www.121ats.com,www.121fund.com,(sky.121fund.com,usd.121fund.com,oval.121fund.com,mini.121fund.com,al.121fund.com,tg.121fund.com),www.121fx.com,www.121bank.com,www.fxasp.com(report.fxasp.com,demo.fxasp.com),www.all- empower.com,www.just-smart.net,www.jiphongkong.com,www.phl- channel.net,www.ml-bank.com,rose.qrcode.net ,wis.qrcode.net),マルチアドレス,サブアドレスを各代理店や関連会社に割り当てるなどして,全体を組織的に管理・運営していたようである。

 代理店によっては,自らも運用がされていないことを知らずに投資をした被害者であるとして,利用者に呼びかけて集団的に弁護士に依頼すると称して,そのための「委任状」,「被害者同盟賛同書」を徴求するなどの例があるということである。しかし,代理店が仮に自らも資金を出していたとしても,後述するように利用者との関係においては賠償責任を負う(少なくとも負い得る)立場にあるというべきであり,そのような利益相反する当事者間において,そのような関係にあることを説明することなく,共に被害者であると説明して「委任状」等を徴求しようとする行為は自らへの責任追及の矛先をかわすことをその目的とするものであると考えられる。

まあ、ひどいものですが、はたして裁判で何とかなるものなのか?と思うところです。

3月 9, 2011 at 03:40 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.03.07

ちょっと注目の裁判

サンケイ新聞より「目撃者なし、供述調書なし、食い違う「火の元」…無罪主張の放火殺人事件、7日初公判」

2011.3.6 21:29

自宅に放火し母親を殺害したとして、殺人罪などに問われた被告の裁判員裁判が7日、東京地裁(近藤宏子裁判長)で始まる。

被告は逮捕時に否認した後は黙秘を続け、供述調書はない。
目撃者もなく、火の元をめぐり検察、弁護側の鑑定結果が真っ向から対立する異例ずくめの公判廷だ。
裁判員は25日の判決で難しい判断を迫られそうだ。

■「やっていない」

起訴状などによると、配管工(36)は平成21年9月3日、大田区南馬込の自宅で灯油を使って火をつけ、母親(60)=に全身やけどを負わせ、殺害したとされる。
被告も負傷し、昨年3月に逮捕された。

被告は母親と姉(38)の3人暮らし。

警視庁の調べによると、事件直前に病死した父親=当時(61)=の葬儀をめぐり、母親と口論になるうちに火を付けたとされる。姉にけがはなかった。

被告は搬送時、救急隊員らに犯行を認めたが、逮捕時は「やっていない」否認。
弁護側に対し、認めたことを「覚えていない」と話しているという。

■食い違う主張

弁護側によると、渡辺被告が話す状況はこうだ。

父親の遺体を自宅に運ぶことに姉が抵抗。
話し合いがこじれ、母親は

「姉と死ぬ。練炭を買ってきて」
と言い出した。

母親は過去も「死ぬ」と何度か言った経緯があったため、いらだった渡辺被告は練炭を手渡した。

その後、渡辺被告は別の部屋にいたが、悲鳴がして廊下へ出ると母親が燃えていた。
灯油がかかっていた形跡もあり、火を消そうと覆いかぶさったという。

弁護側は「本人は火は付けていない。別人の犯行か、母親の自殺」とする。

■鑑定も対立

出火場所は本人のいた部屋に近い「階段下付近」とする検察側に対し、弁護側は離れた「台所」とする別の鑑定結果も得ている。

被告自身も重いやけどを負ったことで事件発生から逮捕まで半年。
犯行の直接の目撃者はおらず、黙秘していることなどから、公判前整理手続きに約1年を要する異例の展開となった。

検察側は姉や救急隊員を証人申請。関係者の証言などから犯行を立証する。

この事件は、読売新聞の当時の記事には次のように報道されています。

3日午後4時半頃、大田区南馬込2、方から出火、木造2階建ての同宅をほぼ全焼した。

母親と被告(34)が全身にやけどを負って病院に運ばれ、長女(37)も左手に軽いけが。

池上署幹部によると、被告「廊下に火をつけた」と話しているため、同署は被告の回復を待って現住建造物等放火などの疑いで事情を聞く。

これが、今回の記事の
被告は搬送時、救急隊員らに犯行を認めたが、逮捕時は「やっていない」否認。
弁護側に対し、認めたことを「覚えていない」と話しているという。
そのものなのですね。

そして、その後は全て黙秘だから、調書がない。

これで裁判に出来るものなのだろうか?
あまりに、捜査が足りないのではないのか?

裁判員は難しい判断、と記事は書いているのが「この捜査は理解できない」とでもやられたら、警察・検察はどうするのだろうか?

3月 7, 2011 at 11:19 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.03.04

ネグレクトに判決

サンケイ新聞より「男児餓死させた父親に懲役9年6月 裁判長「無関心という名の虐待」

2011.3.3 19:59

奈良県桜井市で昨年3月、長男=当時(5)=を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた両親のうち、父親(36)の裁判員裁判の判決公判が3日、奈良地裁であった。

橋本一裁判長は「人間として扱っていないかのような陰湿で卑劣な犯行」として、母親(27)と同じ懲役9年6月(求刑懲役10年)を言い渡した。

橋本裁判長は判決理由で

「いわば無関心という名の虐待
なすべき養育を果たさず、主体的、能動的に虐待していた」
と指摘した。
また、3日は智樹ちゃんの命日に当たり、橋本裁判長は
「冥福を祈ってこれからの生活をスタートさせてください」
と説諭した。

判決によると、父親は母親と共謀。長男に十分な食事を与えず、衰弱しているのを認識しながら適切な診療を受けさせず放置し、餓死させたとしている。

ネグレクトに対して真っ正面からの判決のように見えます。

日本では、アメリカなどに比べると、ネグレクトに対する罰が軽いというか事実上無いように見えます。
例えば、子どもを医者の診察を受けさせずに、手かざしだけで治療しようとして、死亡させた事件などは立件されてはいますが、そもそも医者に掛からせないというところで「医療ネグレクト」だとして、行政が介入すれば命が失われることはなかったでしょう。

いわば、その時々の常識にあまりに反する社会生活は、社会によって抑止されるべきである、それが生命や社会生活そのものに関わるような事柄であれば、犯罪に該当する、という考え方はもっと広く知られるべき事だと思います。

少なくとも、子どもの生命がネグレクトによって失われた後に裁判によって罰を下すのでは、社会としてはネグレクト対策に失敗した、と言うべきです。

3月 4, 2011 at 11:42 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.02.26

郵便割引事件の大混乱

朝日新聞より「「凛の会」元会長、二審も無罪 虚偽文書作成で大阪高裁

2011年2月25日19時0分

郵便不正事件で起訴された自称障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)元会長(75)の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。

湯川哲嗣裁判長は、虚偽有印公文書作成・同行使罪について無罪とした一審・大阪地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。

「凛(りん)の会元会長は郵便法違反罪でも起訴されたが、罰金540万円とした一審判決が確定している。

「凛(りん)の会元会長が問われた虚偽有印公文書作成・同行使罪は、凛の会が障害者団体向けの郵便割引制度の適用を受けるため、厚生労働省元局長に偽の証明書の発行を働きかけたとされる内容。

厚生労働省元局長の無罪判決確定後、検察側は「凛(りん)の会元会長の起訴内容から同氏の関与の部分を外すことを求めたが、湯川裁判長は必要ないとして結審。
25日の判決では、厚生労働省元局長が事件に無関係だったことを踏まえて

「厚生労働省元局長との共謀が認められない以上、(厚生労働省元局長を証明書の作成権者として検察側が立件した)虚偽有印公文書作成・同行使罪は成立しない」
と判断した。

同事件では、偽の証明書発行の実行犯とされる厚労省元係長(41)と、凛の会元幹部(70)の公判が継続中。

厚労省元係長は、大阪地検特捜部の元主任検事が被告のフロッピーディスクのデータを改ざんした事件を踏まえ「検察には被告の処罰を求める適格性がない」とし、地裁に公判打ち切りを求めている。

凛の会元幹部は一審で懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の判決を受け、4月からの控訴審では無罪主張に転じる方針。(平賀拓哉)

NHKニュースより「郵便事件 元会長2審も無罪

2月25日 22時7分

郵便の割引制度を巡る事件で厚生労働省のうその証明書を作成したとして起訴された団体の元会長の裁判で、大阪高等裁判所は、無罪が確定した厚生労働省の元局長との共謀が成立しない以上、罪に問えないとして、1審に続いて無罪を言い渡しました。

自称、障害者団体の「凛(りん)の会元会長(75)は、障害者団体向けの郵便割引制度を巡って、無罪が確定した厚生労働省の元局長に依頼して、うその証明書を作成したとして起訴されました。

検察は1審の無罪を不服として控訴し、2審では、厚生労働省元局長の無罪を受けて、事件の構図を見直し、起訴の内容を変更するよう主張していました。

25日の判決で、大阪高等裁判所の湯川哲嗣裁判長は

「2審は、1審の判決内容が正しいかどうかを判断すべきで、起訴内容を変更して審理することは妥当ではない」
として、検察の主張を退けました。

そのうえで、「厚生労働省元局長との共謀が認められない以上、罪は成立しない」と述べ、1審に続いて、「凛(りん)の会元会長に無罪を言い渡しました。

「凛(りん)の会元会長は「すがすがしい気持ちだが、つらい日々だった。捜査に関わった検察官が逮捕・起訴されたが、これがきっかけで特捜部の取り調べが改善される契機になれば不幸中の幸いだ」と話しています。

一方、大阪高等検察庁の松井次席検事は

「主張が認められず遺憾だ。最高裁判所への上告は慎重に判断したい」
とコメントしています。

毎日新聞より「郵便不正事件:凜の会元代表の無罪判決を支持 大阪高裁

障害者団体に郵便料金の割引を認める偽証明書が発行された郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた「凜(りん)の会」(解散)の元代表(75)=1審で一部無罪、検察側が控訴=の控訴審判決が25日、大阪高裁であり、湯川哲嗣裁判長は1審の無罪判決を支持し、控訴を棄却した。

「凛(りん)の会元会長は厚生労働省元局長(55)に偽証明書の発行を依頼したとして起訴され、1審・大阪地裁判決は、郵便法違反は有罪としたが、虚偽有印公文書作成・同行使罪については無罪とした。
そのため、検察側が同罪について控訴していた。

控訴審で、検察側は厚生労働省元局長の無罪が確定したため「有印公文書偽造・同行使罪」への訴因変更を請求したが、前回公判で却下された。

湯川裁判長は判決で、検察側の訴因変更請求などを

「訴因変更を求めた上で1審判決に事実誤認があるとするのは失当」と批判。
「1審判決には明らかな事実誤認はない」
として控訴を棄却した。

「凛(りん)の会元会長は判決後に会見し、「私と家族にとってはつらく長い約2年間だった」と振り返った。

松井巌・大阪高検次席検事は

「検察官の主張が認められず遺憾。上訴すべきか否か慎重に判断したい」
とコメントした。【久保聡】

毎日新聞 2011年2月25日 21時08分(最終更新 2月25日 21時23分)

予想通りとは言え、ひどい展開になりました。

郵便料金の不正割引の事実があり、厚労省元係長が割引の書類を作ったとなっていますが、それを元局長まで話を広げると、虚偽有印公文書作成・同行使罪となります。

これは、公文書の作成は元局長の権限と責任において行われるものなので、元係長が書類を作った場合、作成ではなくて偽造になるわけです。

そこで、検察は元局長の無罪確定後に控訴審で、元会長の犯罪事実を「有印公文書偽造・同行使罪」へ訴因変更の請求をしました。
これは、元会長(被告)が元局長(無罪確定)に虚偽の公文書を発行するように依頼し実行した、としていたものが、元局長の無罪が確定したために、元係長が実行した公文書偽造に話をすり替えたと言えます。

これに対して、高等裁判所は

湯川裁判長は判決で、検察側の訴因変更請求などを

「訴因変更を求めた上で1審判決に事実誤認があるとするのは失当」と批判。
「1審判決には明らかな事実誤認はない」
として控訴を棄却した。

と全面否定しました。

こんな事を認めていたら、「とりあえず殺人罪で起訴」といったことを許してしまうことになりますから、これは認められないでしょう。

一審で訴因変更していたら、話が違っていたのでしょう。

元会長が郵便割引制度の悪用をしたのは確かだと思いますが、刑事事件として無罪になってしまうと、実行犯である元係長の罪をどう考えるのか?といったことになってしまいます。

今後の展開はどうなるのでしょうか?
それにしても、犯罪事実がありながら、それを無にするようなことにした検察の責任は極めて重いものです。

2月 26, 2011 at 11:43 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.02.20

本格的受信料裁判・NHK敗訴

朝日新聞より「受信料未払い、NHKの請求棄却 敗訴2例目 神戸簡裁

NHKが神戸市内の男性に未払いの受信料15万円の支払いを求めた訴訟の判決が神戸簡裁であり、吉田新生裁判官は請求を棄却した。

NHKは判決を不服として神戸地裁に控訴した。

NHKの受信料不払い世帯をめぐっては、簡裁の督促に応じなかった計約550件が訴訟に移行しているが、NHKの敗訴は昨年3月の札幌地裁判決(高裁は逆転勝訴)以来2例目。

先月27日付の神戸簡裁判決によると、NHKは2004年12月~昨年5月分の受信料計15万3440円の支払いを請求。
一方、男性は04年11月に神戸放送局に電話で「契約は解約する」と伝え、テレビのアンテナコードを外していた。

NHKは訴訟で

「解約を受け付けていない」
と主張したが、判決は
「受信できなくしており解約が認められる」
と判断した。NHK広報局は
「被告の主張を一方的に認めたもので遺憾」
としている。(沢木香織)

記事中にある、札幌地裁の判決とは原告男性が妻が勝手に男性名義で契約した、という主張であって、家事行為についての夫婦間での連帯責任の問題でした。

つまり、受信そのものについての争いは、今回の神戸簡裁の例が初めてとなります。

NHKの「日本放送協会放送受信規約」によると、受信機の定義は以下の通りになっています。

2 受信機(
  • 家庭用受信機
  • 携帯用受信機
  • 自動車用受信機
  • 共同受信用受信機等
で、 NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備をいう。以下同じ。)のうち、地上系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置(使用できる状態におくことをいう。以下同じ。)した者は地上契約、
衛星系によるテレビジョン放送を受信できるテレビジョン受信機を設置した者は衛星契約を締結しなければならない。

ただし、難視聴地域または列車、電車その他営業用の移動体において、衛星系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置した者は特別契約を締結するものとする。

設置した者は、となっていますから設置せずに保管している場合には、受信契約は不要だと当然の結論になります。
そうなると、「設置とはなんぞや?」となりますが、受信機が稼働することが条件ですから、電力の確保と、信号受信の双方が同時に成立することが最低条件だと、なります。

被告男性は、アンテナコードを取り外して、NHKに受信できないことを通知して、契約解除を伝えた、ということですが、NHKの主張は「解約は受け付けていない」ですがこれでは、上記に書いた「設置状態でなくても、解約を受け付けなければ、受信料支払いの義務が生じる」となってしまって、設置ではなくて所有あるいは、保管の状態でも受信料契約が成立する、となってしまいます。

そもそも、受信機の定義に、携帯用受信機とか自動車用受信機と書いてしまうと、所有者が機能を知らない可能性が出て来るわけで、このような契約には少々問題があるでしょう。

結局、NHKの従来からの受信料契約というビジネスモデルが破たんしている、ということでしょう。

2月 20, 2011 at 11:22 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.02.09

ホテルでカードを抜き取ってから戻す・・・

読売新聞より「宿泊客のカード抜き取り買い物…そっと戻す手口

福岡県警博多署は9日、福岡市西区今津、元ホテル従業員(42)を住居侵入、窃盗容疑で逮捕したと発表した。

勤務していたホテルで宿泊客が留守中に客室からカードを盗み、買い物をした後、再び財布の中に戻す犯行を繰り返していたとみて、余罪を追及する。

発表によると、元ホテル従業員は、福岡市博多区のビジネスホテルで、昨年8月下旬から9月上旬に宿泊していた東京都八王子市の会社員男性(21)の客室に忍び込み、クレジットカード計3枚を盗んだ疑い。

合鍵を使っていたとみられ、使用後に財布に戻したり、別の盗んだカードを入れたりしていたという。男性のカードは岡山県などで高級バッグの購入や飲食に使われていたという。

(2011年2月9日13時03分 読売新聞)

こんなことが現実に出来るものなのでしょうか?

客室からカードだけを抜き出すのは可能だと思いますが、客が部屋に戻ってくるまでに使ってカードだけを返す、となるとかなり長時間客が部屋に戻ってこないことが分かっていないと出来ませんよね。

早い話が、仕事で出かけて夜にならないと戻ってこない、といった状況でしょう。
そういう状態の時に、カードを持って出かけない、という客の行動が理解できません。

まあ、中にはそういう人が居るだろうとは思いますが、そのような客が「繰り返すほど沢山居る」に驚きました。

なんか今ひとつ理解し難い事件です。

2月 9, 2011 at 02:33 午後 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011.01.25

警官発砲事件、殺人罪に訴因変更

サンケイ新聞より「逃走車両への警官発砲、殺人罪でも審理 奈良地裁が異例の決定、殺意争い裁判員裁判

2011.1.24 18:56

奈良県大和郡山市で平成15年、逃走中の車に発砲し助手席の男性=当時(28)=が死亡した事件で、特別公務員暴行陵虐致死罪と同致傷罪で付審判決定している県警警察官2人について、奈良地裁(橋本一裁判長)が殺人罪でも審理する決定をしたことが24日、分かった。

決定は20日付。
最高裁によると、付審判決定された事件が訴因変更され、殺人罪で審理されるのは全国初とみられる。

付審判決定しているのは、当時巡査部長と、同巡査長で、検察官役の指定弁護士が昨年11月、いずれも同致死と殺人の両罪への訴因変更を請求していた。

今回の決定で2人とも裁判員裁判で審理されることになった。

同事件をめぐっては、男性の遺族が警察官4人と県に損害賠償を求めた民事訴訟で、1審奈良地裁が発砲は「適法である」として遺族側の請求を棄却したが、警察官に「未必的殺意があった」と認めている。

遺族側弁護団の伊賀興一弁護士は

「指定弁護士が捜査資料などをもとに殺意を持って共謀したと認め、訴因変更の請求をしたのではないか」
とし、
「現場で何が起こったか明らかにする点で期待を寄せている」
と話した。

同事件は、遺族が15年に殺人と特別公務員暴行陵虐致死容疑で警察官4人を告訴。

奈良地検が不起訴処分にしたことを受け、奈良地裁に付審判を請求し、地裁が昨年4月、2人について審判に付す決定をした。

決定などによると15年9月、大和郡山市の国道24号で、窃盗容疑で追跡中、逃走車の助手席にいた男性に萩原被告が拳銃1発を発射して頭蓋骨骨折を負わせ、東被告が発射した1発が男性の首に当たり、死亡させたとされる。

う~ん・・・・、どうなんでしょうね。

特別公務員暴行陵虐致死罪から殺人罪に訴因変更する、という根拠はどういうものなのだろうか?
警察官には行為として暴力を認めているから、拳銃なども所持しているわけで、公務の結果として殺人になった場合に、特別公務員暴行陵虐致死罪とされるのではないのか?

もし、そうであるとするのなら、殺人罪の適用は公務ではない、という証明とのセットになるのだと思う。

しかし、この事件は多くの警察官が車を取り囲んで発砲したというもので、もしそれが公務でないとすれば、組織犯罪になってしまうのではないだろうか?
その場合は、実行犯だけを取り調べるというのはヘンな事になる。

確かに「何が起きたのか」が問題ではあるのだろうが、それが訴因を変更する事に直結するものなのだろうか?
むしろ、真実を隠す方向に向かうのではないのだろうか?

1月 25, 2011 at 11:20 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.01.21

郵便不正事件・障害者団体元会長の控訴審が結審

朝日新聞より「郵便不正事件 検察側の訴因変更認めず結審 大阪高裁

2011年1月21日16時30分

障害者団体向けの郵便割引制度をめぐって厚生労働省から偽の証明書が発行された事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪などに問われた自称障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)元会長(75)=一審・一部無罪、検察側控訴=の控訴審の公判が21日、大阪高裁であった。

湯川哲嗣裁判長は、被告の起訴内容から厚労省元局長(無罪確定)の関与の部分を外すとした検察側の訴因変更を認めず、結審した。

判決は2月25日。

郵便不正事件の捜査過程で起きた大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を踏まえ、「証拠を捏造(ねつぞう)してまで組み立てた起訴内容が誤りだった責任を被告に転嫁しようとしている」として訴因変更を認めないように求めていた被告の元会長の弁護人は閉廷後、「検察側の控訴が棄却される可能性が高まった」と指摘。

元局長と被告の元会長の共謀関係を認めず、同被告が問われた虚偽有印公文書作成・同行使罪について無罪とした一審の判断が維持されるとの見方を示した。

被告の元会長は元局長に証明書の発行を頼んだなどとして起訴された。

昨年4月の一審・大阪地裁判決は「元局長との共謀は認められない」として虚偽有印公文書作成・同行使罪について無罪とし、郵便法違反罪については罰金540万円(求刑懲役1年6カ月、罰金540万円)を言い渡していた。

検察側は元局長の無罪判決が昨年9月に確定したことを受け、同11月に被告の元会長の起訴内容から元局長の関与の部分を外す訴因変更を求めていた。(平賀拓哉)

この控訴審は、検察が元局長との共謀を認めなかった第一審判決を不服だとして、控訴したものです。
だから、訴因変更で元局長との共謀を外すと、第一審判決の郵便法違反についての判決に不服があるとなりますが、控訴の本旨である訴因がなくなれば、控訴棄却は当然です。

高裁が、控訴棄却にするか、自判するかが興味深いですね。
高裁が、ノーコメントで控訴棄却にした場合、世論は高裁に批判的になるでしょうから、裁判所としてコメントを出すという意味でも、自判するのではないだろうか?

1月 21, 2011 at 07:34 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.20

ゴルフカートで故意に人をひいた事件

読売新聞より「遼クン取材のカート暴走、カメラマンに有罪判決

高知県芸西村のゴルフ場で2009年11月、石川遼選手らを取材していたTBS(東京)の下請け制作会社スタッフの乗ったカートが暴走した事故で、自動車運転過失傷害罪に問われた東京都練馬区、フリーカメラマン田中雅人被告(48)の判決が20日、高知地裁であった。

平出(ひらいで)喜一裁判官は

「よい映像を撮りたいという自身の都合から、大勢のギャラリーがいて危険なのに無理にカートを発進させるなど、過失は非常に重大
として禁錮2年、執行猶予4年(求刑・禁錮2年)の有罪判決を言い渡した。

判決によると、田中被告は09年11月29日、石川選手が出場し混雑していた「Kochi黒潮カントリークラブ」2番ホール付近でカートを運転した際、ギャラリーと十分な間隔を取るなどの注意を怠り、女性3人をはねて重軽傷を負わせた。

(2011年1月20日18時57分 読売新聞)

この事件は、ビデオがネットに公開されて大々的に知られたのですが、実はごく最初のビデオとその後に長くながれたビデオは若干違っていました。

元のビデオは、おそらくテレビで中継されていた映像だと思うのですが、事件後も長らくながれたバージョンでは観客がカートになぎ倒されたところから、下敷きになった女性を引き出そうとしているところだったと思います。

しかし、わたしが見た最初のバージョンでは、確か舗装してある歩道の向こう側から、歩道(通路)をカートが横切って、歩道からコースの間に大勢いる群衆をカートで押しのける様子がはっきりと写っていました。

つまりこれが判決で「大勢のギャラリーがいて危険なのに無理にカートを発進させるなど、過失は非常に重大」と指摘された点でしょう。

わたしには、自動車運転過失傷害罪ではなくて、危険運転致傷罪を適用するべきか、あるいは傷害罪を適用するべき事件であったと思います。
もちろん、番組制作会社やテレビ局も幇助罪で、刑事罰を科すべき事件だと考えています。

人がいるところに、故意にカートを突っ込んで「人の方が避けるべきだ」と考えた時点で、処罰するべきだろうと強く思うのです。

1月 20, 2011 at 07:20 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.18

まねきTV・最高裁判決・逆転判決の上で、高裁に差し戻し

毎日新聞より「TV番組:ネット海外転送は違法…最高裁が差し戻し判決

インターネットを通じて海外で日本のテレビ番組を視聴できるサービスを提供するのは著作権法違反だとして、NHKと在京キー局5社が、運営会社にサービス停止と計約1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は18日、請求を棄却した1、2審判決を破棄し、サービスは著作権を侵害するとの初判断を示した。

そのうえで、審理を2審・知財高裁に差し戻す判決を言い渡した。

◇著作権侵害認める

判決により運営会社側の敗訴が事実上確定した。
同業者はサービス停止を迫られることになりそうだ。差し戻し後に賠償額などが審理される。

被告は「まねきTV」の名称でサービスを提供している「永野商店」(東京都文京区)。

同社によると、番組送信用の市販機器を購入して同社に預け、入会金1万円と月額使用料4800円を支払えば、海外や東京から離れた地域でもキー局の番組をリアルタイムで見ることができる。

訴訟では、番組提供がテレビ局側の著作権を侵害する「公衆送信行為」に当たるかどうかが争われた。

1、2審は

「各利用者と1対1の関係でサービスを提供しており、公衆に対する送信ではない」
などと判断したが、小法廷は
「誰でも契約できるサービスで、永野商店は主体的に不特定の人に番組を送信している」
と結論付けた。

【伊藤一郎】

◇「無秩序許されず」…民放関係者

業界関係者によると、使用する機器や技術的形態が異なるケースも含め「まねきTV」と同様のサービスを提供している業者は30社程度あるという。最高裁判決に従えば、ほぼすべてのサービスが違法と判断される可能性が高い。

在京各局は別の業者を提訴したり、悪質な業者を刑事告発してきた。民放関係者は「海外に番組を販売する場合は出演者らに利益を還元できるよう権利処理をしている。

番組が無秩序に海外に送信されれば、正当な報酬を支払えなくなる」と説明。「フリーライド(ただ乗り)は許されない」と話す。

これに対し、05年に現行のサービスを開始した永野商店の永野周平社長は

「テレビ局の既得権益を守るため、便利なサービスを受けられる権利を奪うのはおかしい」
と主張。
差し戻し後に判決が確定するまではサービスを続ける意向だ。現在の利用者は不明だが、07年時点では74人が契約していたという。

ただし、判決は個人同士による番組転送まで違法としているわけではない。海外在住者が日本にいる家族や知人に送信用の機器を預けるなどすれば、現地で日本の番組を見ることは可能だという。

毎日新聞 2011年1月18日 20時21分

岡村久道弁護士が、ブログに早速コメントしています。
情報法学日記 by 岡村久道より「速報-最高裁が「まねきTV」訴訟で原判決を破棄差し戻し

2011年1月18日 (火)

速報-最高裁が「まねきTV」訴訟で原判決を破棄差し戻し

だそうである。

本件では、すでに弁論が開かれていたので、予想できたとはいえ、たいへん残念な内容だ。

いずれ分析したいが、とりあえず、早くも判決文がアップロードされている。

次のとおりなので、ご覧いただきたい。

===============================

       主 文

原判決を破棄する。
本件を知的財産高等裁判所に差し戻す。

     理 由

上告人X1代理人梅田康宏ほかの上告受理申立て理由並びに上告人X2代理人松田政行ほか,上告人X3代理人岡崎洋ほか,上告人X4代理人前田哲男ほか,上告人X5代理人伊藤真ほか及び上告人X6代理人尾崎行正ほかの上告受理申立て理由(ただし,いずれも排除されたものを除く。)について

1 本件は,放送事業者である上告人らが,「まねきTV」という名称で,放送番組を利用者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する機器を用いたサービス(以下「本件サービス」という。)を提供する被上告人に対し,本件サービスは,各上告人が行う放送についての送信可能化権(著作権法99条の2)及び各上告人が制作した放送番組についての公衆送信権(同法23条1項)を侵害するなどと主張して,放送の送信可能化及び放送番組の公衆送信の差止め並びに損害賠償の支払を求める事案である。

2 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1)上告人ら(上告人X4を除く。)は,放送事業者であり,それぞれ,原判決別紙放送目録記載のとおり,同目録記載の各放送(以下,同目録記載の各放送を「本件放送」と総称する。)について送信可能化権を有する。Aは,放送事業者であった者であり,同目録記載のとおり,同目録記載の放送について送信可能化権を有していた。
上告人ら(上告人X4を除く。)及びAは,それぞれ,別紙放送番組目録記載の
とおり,同目録記載の各放送番組(以下「本件番組」と総称する。)を制作した。
上告人X4は,放送事業者であり,平成20年10月1日,会社分割により,Aのグループ経営管理事業を除く一切の事業に関する権利義務を承継した。
(2)本件サービスにおいては,Bが販売するロケーションフリーという名称の商品(以下「ロケーションフリー」という。)が用いられるが,ロケーションフリーは,地上波アナログ放送のテレビチューナーを内蔵し,受信する放送を利用者からの求めに応じデジタルデータ化し,このデータを自動的に送信する機能を有する機器(以下「ベースステーション」という。)を中核とする。

ロケーションフリーの利用者は,ベースステーションと手元の専用モニター等の端末機器をインターネットを介して1対1で対応させることにより,ベースステーションにおいてデジタルデータ化されて手元の端末機器に送信される放送を,当該端末機器により視聴することができる。その具体的な手順は,①利用者が,手元の端末機器を操作して特定の放送の送信の指示をする,②その指示がインターネットを介して対応関係を有するベースステーションに伝えられる,③ベースステーションには,テレビアンテナで受信された地上波アナログ放送が継続的に入力されており,上記送信の指示がされると,これが当該ベースステーションにより自動的にデジタルデータ化される,④次いで,このデータがインターネットを介して利用者の手元の端末機器に自動的に送信される,⑤利用者が,手元の端末機器を操作して,受信した放送を視聴するというものである。

(3)被上告人は,本件サービスを行うに当たり,利用者から入会金3万1500円,月額使用料5040円の支払を受けて,利用者が被上告人から本件サービスを受けるために送付した利用者の所有するベースステーションを,被上告人事業所内に設置し,分配機等を介してテレビアンテナに接続するとともに,ベースステーションのインターネットへの接続を行っている。
本件サービスの利用者(以下,単に「利用者」という。)は,ベースステーションと対応関係を有する手元の端末機器を操作することにより,ベースステーションの設置された地域の放送を視聴することができる。

3 上告人らは,被上告人が,ベースステーションに本件放送を入力することにより,又は本件放送が入力されるベースステーションのインターネットへの接続を行うことにより,利用者が本件放送を視聴し得る状態に置くことは,本件放送の送信可能化に当たるとして,上告人らの送信可能化権の侵害を主張する。
また,上告人らは,被上告人が,本件番組を公衆である利用者の端末機器に送信することは本件番組の公衆送信に当たるとして,上告人らの公衆送信権の侵害を主張する。

4 原審は,次のとおり判断して,上告人らの請求をいずれも棄却すべきものとした。
(1)送信可能化は,自動公衆送信装置の使用を前提とするところ(著作権法2条1項9号の5),ここにいう自動公衆送信装置とは,公衆(不特定又は多数の者)によって直接受信され得る無線通信又は有線電気通信の送信を行う機能を有する装置でなければならない。各ベースステーションは,あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信するという1対1の送信を行う機能を有するにすぎず,自動公衆送信装置とはいえないのであるから,ベースステーションに本件放送を入力するなどして利用者が本件放送を視聴し得る状態に置くことは,本件放送の送信可能化には当たらず,送信可能化権の侵害は成立しない。
(2)各ベースステーションは,上記のとおり,自動公衆送信装置ではないから,本件番組を利用者の端末機器に送信することは,自動公衆送信には当たらず,公衆送信権の侵害は成立しない。

5 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1)送信可能化権侵害について
ア 送信可能化とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力するなど,著作権法2条1項9号の5イ又はロ所定の方法により自動公衆送信し得るようにする行為をいい,自動公衆送信装置とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう(著作権法2条1項9号の5)。
自動公衆送信は,公衆送信の一態様であり(同項9号の4),公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。
イ そして,自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。
ウ これを本件についてみるに,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被上告人は,ベースステーションを分配機を介するなどして自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理しているというのであるから,利用者がベースステーションを所有しているとしても,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被上告人であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被上告人であるとみるのが相当である。そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。そうすると,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能化に当たるというべきである。

(2)公衆送信権侵害について
本件サービスにおいて,テレビアンテナからベースステーションまでの送信の主体が被上告人であることは明らかである上,上記(1)ウのとおり,ベースステーションから利用者の端末機器までの送信の主体についても被上告人であるというべきであるから,テレビアンテナから利用者の端末機器に本件番組を送信することは,本件番組の公衆送信に当たるというべきである。

6 以上によれば,ベースステーションがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しないことのみをもって自動公衆送信装置の該当性を否定し,被上告人による送信可能化権の侵害又は公衆送信権の侵害を認めなかった原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,論旨は理由がある。原判決は破棄を免れず,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官田原睦夫裁判官那須弘平裁判官岡部喜代子裁判官大谷剛彦)

(別紙)放送番組目録
1 X1
番組名 「バラエティー生活笑百科」
番組名 「福祉ネットワーク」
2 X2
番組名 「踊る!さんま御殿!!」
3 X3
番組名 「関口宏の東京フレンドパーク Ⅱ」
4 A
番組名 「MUSIC FAIR21」
5 X5
番組名 「いきなり!黄金伝説。」
6 X6
番組名 「ハロー!モーニング。」

===============================

:原文は

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110118164443.pdf

素人の目から見ると「まねきTV」が公衆送信であるか否かについては、グレーゾーンとしか言いようがないから、例えば「有料サービスだから」といったことで違法とするのなら、まだ納得出来るが「会員制で、入会金を払えば、だれにでもそうしんするのだから、公衆送信である」というのは無理があるように感じる。

一般的になり会としては、放送は公衆通信を経てどこかで私的コピーとか私的再放送になるわけであろう。
どこまでを「私的」とするのかは常に問題で、例えば学校の授業での利用などは現実的に問題になっている。

また、今回はテレビ放送であるが、著作権の及ぶものとして、音楽、映画、インターネット、書籍など色々あって、それらが家庭内、学校など団体、郵送、ネット送信など色々な形で情報として共有化されている。
そして、実務的にはメディアごとに対応が変わってきます。

とどのつまりは「著作物の利用」ならぬ「著作権法の利用の仕方」になっている。

岡村先生が「たいへん残念な内容だ」とおっしゃっているのは、おそらくはこの判決に含まれている著作権者の「見せない権利」あるいは「放送しない権利」につながるということかと思う。

そもそも、新聞記事中にある

ただし、判決は個人同士による番組転送まで違法としているわけではない。海外在住者が日本にいる家族や知人に送信用の機器を預けるなどすれば、現地で日本の番組を見ることは可能だという。
と「まねきTV」は実態としてどこが違うのか?新聞の「ただし」以下は判決上は著作権法違反とされるのではないだろうか?
私的録音・録画についても、デジタル放送化によってコピー回数の制限などをしているわけだから、それを著作権法上で是認しているのは、見る権利の制限ではなくて、見せない権利の確定、という色彩の方が強いと思う。
放送事業者にとって、特定地域で見せないとは電波の割り当てという物理的な問題によって、担保されていたわけで、ワールドワイドネットワークになった今では、明らかに無理すぎる。

なんか別の方法を考えなくてはいけないのに、守旧のために無理矢理こじつけた判決、としか思えない。
秋葉広島市長が不出馬宣言をネットで行い、記者会見を拒否したことに代表されるように、情報の伝達手段にネットワークが出てきた現在では、守りに入った放送には将来がないと思う。

1月 18, 2011 at 10:13 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.15

検察はバカの集団になったのか?

毎日新聞より「陸山会事件:石川議員が再聴取を録音 「自供誘導」主張へ

小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏を「起訴相当」とした検察審査会の1回目の議決(昨年4月)を受けて昨年5月、元秘書の石川知裕衆院議員=同法違反で起訴=が検察に再聴取された際、取り調べの模様を録音していたことが分かった。

関係者によると、捜査段階で容疑を認める供述をしたとされる石川議員に、検事が

「勾留中の供述と任意調べの供述が変遷すると検審に悪い影響を与える」
などと、認めた供述を維持するよう迫ったという。

石川議員は2月7日の初公判で起訴内容を否認する方針。

供述は誘導されたもので、信用性や任意性を否定するものとして録音した内容を書面化し、公判前整理手続きの中で裁判所に証拠申請している。

大阪地検特捜部を舞台にした一連の事件を受けて設置された法相の諮問機関「検察の在り方検討会議」でも議論の対象となることが予想される。

関係者によると、再聴取は昨年5月17日に東京・霞が関の検察庁舎で約5時間にわたり行われた。

石川議員は元外務省主任分析官の佐藤優氏のアドバイスでICレコーダーを忍ばせたといい、冒頭で検事から

「録音をとってないよね」
と確認されたという。

この中で検事は

「石川さんが全面否認で来るならやってやろうじゃないか。特捜部は徹底抗戦する」
などと発言。 石川議員が
「小沢さんが、いかがわしいお金を集めて(土地購入の原資とされる)4億円をつくったなんて認められない。
4億円を隠そうと思ってやったのではない」
と否定すると、検事は
「それでは上が納得しない」
などと話したという。

さらに検事は

「石川さんも(小沢氏の)強制起訴は望まないだろう。
保釈後の供述を変えたとなると、小沢さんから強い圧力があって供述を変えたと検審は見る。
そうすると強制起訴になってしまう」
と話したという。

検察側は捜査時、水谷建設元幹部が石川議員に渡したと供述した5000万円を土地購入原資の一部と見ていたが、石川議員は一貫して否定。

一方で石川議員は「表にできないお金だと思い隠した」などと供述した調書にサインをしていた。

毎日新聞 2011年1月15日 2時30分

いやはや何ともしょうもない物が出てきたものですね。

先日、刑事事件の公判で、警察の調書と検察の調書が同じだから被疑者が語ったものとは認められない、として検察調書が証拠採用されなかった、ことがありました。

紀藤弁護士に以前聞いた話で、対象は民事裁判ですが、日記や手帳、家計簿といった日常の事柄を記載しているような、膨大なメモの中に、事件に関わる例えば「お金を振り込んだ」といった記述があると、裁判では「事件以外の記事を含めて、全体を後から作ることは出来ないから、事件についての記述も当時書き込んだものだと推定できる」と判断する、のだそうです。

つまり「決定的証拠一つ」では考えないということです。 これに対して、警察や検察の調書が他の書類に比して格段に重要視されてきたのは、上記の説明のように膨大な情報をきちんと振り分けて捜査をした上での供述調書である、というお約束だったからでしょう。

それが「検察の都合」などと言い出したら、その時点で検察の捜査全体の信用が失われてしまうのは必然です。

捜査なのだから、都合が良いも悪いも無くて、真実に近づくためにどうやって事実を積み上げるか、そこには可能な限りの客観的な公平性が確保されていて当然です。
その中には、供述が変わって当然、だとして供述の変遷も捜査の一環であり「全部まとめると事件の事実がこのようであるから、真実はこうであった」と展開しないのだろうか?
変遷のない事件の事実なんてあり得ないだろう。

なんというか、検察全体の頭の悪さにあきれるばかりです。

1月 15, 2011 at 10:48 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.08

秋田弁護士殺害事件・二警察官を告発

毎日新聞より「秋田弁護士殺害:業過致死容疑で警官2人を秋田地検に告発

秋田市の津谷裕貴弁護士が自宅で殺害された事件で、現場に駆けつけた秋田県警機動捜査隊の警察官2人について、県外の弁護士2人が、業務上過失致死容疑で秋田地検に告発したことが同地検への取材でわかった。

事件では同市の無職、菅原勝男被告(66)が殺人罪などで起訴された。

県警の発表では、110番を受けて駆けつけた2人の警察官は、菅原被告から拳銃を取り上げた津谷さんの手を取り押さえた。
菅原被告はこの間に別室に置いてあった刃物を取りに行き、津谷さんを刺した。

当時現場にいた津谷さんの妻良子さん(53)は

「警察官はどちらが犯人かを尋ねず、2人で夫の両腕を押さえてなかなか放さなかった」
と主張。

一方、県警は

「押さえたのは片手で、指摘を受けてすぐに放した。拳銃を押さえるのは暴発などを防ぐやむを得ない行為。犯人を誤認したわけではない」
と説明し対応に問題がなかったとの見解を示している。【小林洋子】

毎日新聞 2011年1月8日 11時14分(最終更新 1月8日 12時32分)

この事件は、殺人事件の現場に警察官がいたことが報道されたこと自体が話題になりました。

それでも、争っているはずの二人が、一方は刃物を取ってきて、一方はそのまま刺し殺されたというのでは説明になっていないのは明らかです。
当然大乱闘であり、逃げたり防御したり、警察官だから発砲したりとあり得るわけですが、二人の警察官は、拳銃・警棒・防刃服などを持たないで対応したとされています。

普通に考えて、偶然が多すぎる。 このために「故津谷裕貴の会」が出来ています。

告発したのは「県外の弁護士が」となっていますが、この会の弁護士が告発したのでしょうか?
地検は告訴を受理しています。

現実は、ややこしいのに、それを記録のために過度に整理してしまう傾向が問題視されているし、整理のために現実を無視してしまったのが厚労省元局長のえん罪事件でしょう。
日本は、あらゆる方面で現実を直視して議論するべき時代になってきたのだと思うし、世論もそちらに向かっています。

1月 8, 2011 at 01:31 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.01

警視庁資料流出は確信犯の行為

サンケイ新聞より「警視庁テロ資料 流出2日前に別サイト掲載 警察官らにメールで知らせる

2011.1.1 11:23

警視庁公安部が作成したとみられる国際テロ捜査資料がインターネット上に流出した事件で、流出2日前に同じ資料がネットのサイトに掲載され、十数カ所に掲載を知らせるメールが送信されていたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。

十数カ所には国内のイスラム教徒が組織する団体や在日大使館のほか警察官も1人含まれていた。

警視庁は警察関係者が犯行に関わった可能性があるとして、引き続き流出元の特定を進めている。

捜査関係者によると、昨年10月26日朝、114件の捜査資料が、オンラインストレージサービスと呼ばれるデータ共有サービスサイトに掲載された。

この後、警視庁から警察庁に出向中の警察官を含む十数カ所に存在を知らせるメールが送信された。
送信元のアドレスは安藤隆春警察庁長官の名前を使用していた。

資料がファイル共有ソフト「ウィニー」上に公開されたのは同28日夜だったが、同日未明には114件の資料が添付されたメールが埼玉県警幹部のキャリア警察官に送られていた。

この際のアドレスは「ヤマダイチロウ」だったという。

迷惑メールを疑ったことなどから受信者がサイトに接続することはなく、警視庁が公式に認めた同30日夜まで流出が発覚することはなかった。

警視庁では、同サービスで流出させようとしたが、反応がなかったためウィニーを使って流出させた疑いがあるとみている。

資料は最終的にルクセンブルクのレンタルサーバーを経由してウィニー上に公開された。

警視庁は偽計業務妨害容疑で国内外のプロバイダから接続記録の提出を受け捜査しているが、匿名化ソフトが使用された疑いがあり特定は容易ではないという。

わたしには、新年早々なかなかの大事件のように見えます。

1995年以降、悪徳商法も含めてネットワーク上の民事・刑事事件に注目して、実際の被害者と話をし始めました。

元もと、1988年にSYSOPになった時点で、著作権法に抵触するアップロードを削除する義務を契約上負っていたので「ネットと著作権」という観点から参考書を探したのですが、ほとんどありませんでした。

仕方ないから、法律的な原理をさかのぼって、現実に起きている事件に自分の判断で適用する、といった手法を採っていました。

その結果、どんどんと法律や刑事捜査の世界に近づいていたわけで、1999年には「コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム」に参加してしまいました。

本格的な、刑事捜査のお話を聞いていると、自然にネットワーク上でも普通の刑事事件と同じように、動機・手段・方法・結果・社会的影響などを考えるべきだと分かってきました。

ネットワーカとしては、ハッキングとかウィルス放流などを技術の自慢の行き過ぎとか単なるいたずらと捉えがちですが、刑事事件として考えた場合は動機はもっと複雑で金銭目的である可能性も当然ある、となります。

数年前から、シンポジウムでは強調されていますが、ボットネットなどは完全に分業体制の産物であって、奪取したメールアドレスが売れるから成立しているわけです。

では、お金を払ってメールアドレスを取得した者はコストに見合う成果として何を得ているのか?
こんな風に考えると、ネット上の事件を「ネットだから」と考えなしにまとめることはきわめて危険だ、となります。

今回の警視庁資料流出は、当初から確信的意図があってのことだろうという雰囲気がありました。
これは、尖閣事件ビデオ映像の流出と同じです。

問題は、おそらくはそのような確信的な意図を持って、脱法的行為をネット上で行う者について、尖閣ビデオ事件でも警視庁資料流出でも、とりあえずそんなことはないことに出来る、と考えてしまう姿勢にあるのでしょう。

ネットを事実上全世界の人が使えるようになった時代に、「ネットだから」的な思考法的な対応では限界であることは明らかで、ケーススタディとしては企業の不祥事対応がBCP(事業継続計画)そのものである、と指摘されているのと同じでしょう。

今後は、この手の事件が起きたら、政府など行政機関、企業を問わず「BCPの観点から正しい対応なのか?」を評価するべきですね。

1月 1, 2011 at 02:36 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.30

iPhone・iPAD に集団訴訟が提起された。

CNN.co.jp より「iPhoneから個人情報流出 ユーザーがアップル提訴

2010.12.29 Wed posted at: 12:00 JST

(CNN)
米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を通し、ユーザーの個人情報が本人の同意なく広告業者らに流出しているとして、2組のユーザーらが先週同社やアプリメーカーに対するクラスアクション(集団訴訟の一種)を起こした

訴えられているのはアップルのほか、ディクショナリードットコム、ザ・ウェザー・チャンネル、インターネットラジオのパンドラなど計8社。

一方の原告はカリフォルニア州ロサンゼルス郡に住む男性で、

iPhoneや同社の携帯情報端末「iPad(アイパッド)」のユーザーが
「プライバシー侵害や不公正な商行為の被害者」になっていると主張し、
米国内のユーザーを代表してサンノゼ連邦地裁に訴えた。

もう一方の訴訟を起こしたのは、iPhoneユーザーのテキサス州の男性3人とカリフォルニア州の女性1人。

個人情報が知らないうちに流出し、

「個人所有物である機器が乗っ取られネット上での動きを探るスパイ装置として使われていた」
として、賠償金の支払いを求めている。

スマートフォンのアプリをめぐっては、12月17日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルが、ユーザーの同意や了承なしで個人データが収集され広告主らに送られていると指摘する記事を掲載していた。

個人情報を保護するために追跡用ファイル「クッキー」を削除できるコンピューターと違い、iPhoneの端末識別番号「UDID」はユーザー自身で削除したり隠したりすることができないため、広告業者らにとっては、より正確なユーザー追跡情報の獲得が可能になっている。

まあ出る杭は打たれるということでありましょうが、これを社会生活上で是認せざるを得ないことだと考えるのか、とんでもない話だとするのかは、非常に興味深いことです。

ネットワークにおいて、端末を識別することは不可欠ですから、端末識別番号をなくすことは出来ません。
問題は、どのように使うのか、だと思います。

イメージ的には、TCP/IP のレイヤー構造のようなものを考えた場合に、本来はアクセスするべきではないレイヤーに侵入してしまったのではないのかな?と感じるところです。

12月 30, 2010 at 12:16 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.22

ホメオパシー裁判、和解で終結

朝日新聞より「「ホメオパシーで長女死亡」助産師と母親和解 山口地裁

2010年12月22日8時10分

生後2カ月の長女が死亡したのは、ホメオパシーという民間療法をする助産師が適切な助産業務を怠ったためだとして、山口市の女性(33)が助産師を相手取り、約5600万円の損害賠償を求めた訴訟で、助産師側が女性に和解金を支払うことで合意したことが21日、分かった。和解金は数千万円とみられる。

同日、山口地裁で双方の代理人弁護士と裁判官が話し合い、和解が決まった。

関係者によると、和解には「内容を口外しない」との条件が含まれており、和解の理由や金額について、双方の代理人は「話すことはできない」と答えた。

訴状によると、女性は2009年8月、この助産師の指導のもと自宅で長女を出産した。

しかし助産師は長女に、出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女は同年10月、ビタミンK欠乏性出血症による硬膜下血腫を発症して死亡した。

女性は、助産師が、母子手帳にあるK2シロップの投与欄に「投与した」とうその記録をしていたことや、K2シロップを投与しない場合の危険性を説明しなかったとし、「助産師の過失により長女は死亡した」と主張した。

助産師側は、K2シロップの代わりに、ホメオパシーで飲み薬のように使われている特殊な砂糖玉「レメディー」を与えていたと説明していた。(伊藤和行)

和解の内容すら明らかにならないというのは、悪徳商法系の民事訴訟裁判の和解にはよく出てくることです。

そして、民事訴訟で負けていない、という実績を後で強調するのです。

それにしても、レメディーがオカルトチックな「薬」であり、同時に母子手帳にウソを記載した、というのは刑事事件として何が起きたのかを明らかにするべきだと思います。

12月 22, 2010 at 10:28 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.21

家系図は誰でも書ける

朝日新聞より「観賞用家系図、作成に資格無用 最高裁、逆転無罪判決

2010年12月21日3時4分

家系図を無資格で作成したことが行政書士法違反にあたるかが争われた事件で、最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は20日、懲役8カ月執行猶予2年(求刑・懲役8カ月)とした一、二審の有罪判決を破棄し、改めて無罪を言い渡した。

最高裁が一、二審の有罪判決を破棄して無罪を言い渡したのは、傷害事件で正当防衛を認めた昨年7月の判決以来。

無罪判決を受けたのは、北海道大空町の介護士(28)。
2006年6月から07年4月まで、行政書士2人=同法違反で罰金刑=と共謀の上、資格がないのに計6通の家系図を作成したとして逮捕、起訴された。

戸籍の内容に基づいて親族の名前、続き柄、出生・死亡年月日、婚姻年月日などを図表として記載。
和紙に毛筆体で印字して巻物状にし、キリの箱に収めて20万~100万円で販売していた。

行政書士法は「事実証明に関する書類」の作成業務を行政書士だけに認めているため、作成した家系図がこれにあたるかどうかが争われた。

検察側は「相続や遺言など社会生活上、重要な場面で使われることも十分想定され、違反は明らか」と主張した。

しかし、第一小法廷は「個人の観賞用や記念品と認められ、対外的な証明文書として使われることをうかがわせる事情は見あたらない」と指摘し、個人的に楽しむ範囲内なら、行政書士以外にも作成を認める判断を示した。

さらに宮川裁判官は補足意見で、

「家系図は公的には証明文書といえず、行政書士が作成しなければ国民生活や親族関係が混乱するという判断は大げさ。独占業務にするのは相当でない」
と述べた。

家系図作成をめぐっては、一、二審で有罪判決が出たこともあり、

「家系図は資格を持つ行政書士に」
などとネット上で宣伝する行政書士も多かった。

判決後、介護士は

「多くの人が同じことをしており、無罪を確信していた。大きな事件ではないが、きちんと判断してくれた最高裁に感謝したい」
と話した。(延与光貞)

そもそも「事実を証明する書類」という漠然とした括りに無理があるでしょう。
誰だって「事実を証明する書類」は年中書いています。何かの購入申込書、などは事実を書かないと使い物にならない。

それが、他人から依頼されたとか第三者のためにと限定しても、家族のために書類を作ることは珍しいことではない。
そんな事を考えると、行政書士法が定義している「書類」はそれなりに限定的に解釈せざるを得ないわけで、そこに「家系図」が入ってくるのか?となると、判決のように「大げさに過ぎる解釈」だし、社会生活に不便をもたらすとしか言いようがないでしょう。

第一、「事実を証明する書類」の重要な点は、「証明」であって「書類」ではないでしょう。
そうなると、行政書士なら「家系図の事実性の証明が出来るのか?」となります。

一般的な解釈としては、家系図が戸籍の履歴以前の情報も含むものと解釈できるので、たぶん行政書士どころか、裁判所にも家系図の事実性の証明は不可能でしょう。
そのような「書類」にたいして行政書士法を適用するのは、非現実的であると言わざるを得ないと考えます。

12月 21, 2010 at 10:56 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.16

一つの交通事故で、二つの裁判?

サンケイ新聞より「ひき逃げ死傷、再捜査で起訴の被告に無罪 大津地裁判決「被害者認識せず」

2010.12.16 14:10

滋賀県草津市の市道で昨年11月、歩行中の夫婦2人を軽乗用車ではねて死傷させたまま逃走したとして、道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われたパート従業員(31)の判決公判が16日、大津地裁であり、澤田正彦裁判官は

「被告が被害者を認識していたとはいえない」
として無罪(求刑懲役1年)を言い渡した。

被告は自動車運転過失致死傷罪で起訴され、2審で禁錮2年の実刑判決が言い渡され、弁護側が上告。

一方、大津地検はひき逃げについて、いったんは嫌疑不十分で不起訴としたものの、遺族の陳情などを受けて改めて再捜査し、今年7月、一転して起訴していた。

公判で被告は「人だとは思わなかった」と一貫して無罪を主張していた。

どういう事なのか、よく分かりません。
この事件ですね。読売新聞2009.11.08の記事より「草津でひき逃げ 60歳代夫婦死傷 容疑の女逮捕=滋賀

6日午後5時25分頃、草津市矢橋町の市道で、帰宅途中の同市内の無職総三保二さん(69)と妻の重美さん(63)が、同市平井、会社員(30)運転の乗用車にはねられ、保二さんが頭の骨を折るなどして間もなく死亡、重美さんも背骨などを骨折し重傷。

容疑者は現場から逃走したが、約1時間10分後に戻り、110番。草津署員が事情を聞いたところ、犯行を認めたため、自動車運転過失致死傷と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕した。

調べに対し、容疑者は「オーディオを触っていて前をよく見ていなかった」と話しているという。

読売新聞2010.09.01の記事より「ひき逃げ初公判 被告が起訴事実否認 不起訴、再捜査で起訴=滋賀

草津市で昨年11月、車で2人をはねて死傷させたまま逃げたとして、道交法違反(ひき逃げ)に問われた被告(31)の初公判が31日、地裁(沢田正彦裁判官)であり、被告は「人をひいた認識はなかった」と起訴事実を否認した。

地検は昨年12月、被告をひき逃げについて不起訴(嫌疑不十分)とし、自動車運転過失致死傷罪のみで起訴したが、その後に再捜査して7月、ひき逃げでも起訴した。

閉廷後、亡くなった総三保二さん(当時69歳)の妻、重美さん(64)は「やっともう一度、裁判になったのに、誠意のない態度を取るなんて許せない」と涙ながらに話した。

読売新聞2010.11.20の記事より「ひき逃げ死傷 懲役1年求刑=滋賀

草津市で昨年11月、車で2人をはねて死傷させたまま逃げたとして、道交法違反(ひき逃げ)に問われた同市野村、被告(31)の公判が19日、地裁(沢田正彦裁判官)であり、検察側は

「人をはね飛ばしたことに気付くか、強く疑うのが当然の状況だ」
として懲役1年を求刑、弁護側は
「強い眠気があり、事故直後、フロントガラスの割れた原因に気付かなかった」
などとして無罪を主張した。判決は12月16日。

意見陳述で、亡くなった総三保二さん(当時69歳)の妻で、重傷を負った重美さん(64)が「すぐに警察と救急車を手配してくれれば主人は助かったかもしれない。刑務所で罪を償ってほしい」と実刑を求めた。

結局、これは人にぶつかったという認識自体がない、ということなのでしょうか?
そうなると、自動車運転過失致死傷罪の方はどうなるのだろう?
そもそも、一つの交通事故事故で二つの裁判=二つの事件を裁くというのがヘンなのではないのか?

12月 16, 2010 at 04:19 午後 事件と裁判 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2010.12.15

大阪の二児童放置事件の裏側

東京新聞より「大阪2児放置死 『子ども預かって』届かず

2010年12月15日 朝刊

大阪市で七月に発覚した二幼児放置死事件で、一月まで名古屋市中区に住んでいた元風俗店従業員の母親(23)が昨年十二月、中区役所に

「子どもを一時保護してほしい」
と電話で相談していたことが分かった。

市中央児童相談所は四カ月前に警察から

「将来、ネグレクト(育児放棄)のおそれがある」
との通報を受け、母子の存在を把握していたが、区役所と情報を共有できず、支援に結び付かなかった。

児相や区役所は、母親が再三の電話に応答しなかったため「相談意欲が薄い」と判断。
その後は接触を試みなかった。結果として二児を救うことはできなかった。

市が十四日に発表した検証委員会の報告書によると、

昨年十二月八日、母親から中区役所に

「夜の仕事で子どもの面倒を見られない。一時保護してほしい」
との電話があった。

時間外だったため担当外の職員が対応し児相を紹介。

母親から聞き取った内容と携帯電話の番号を区役所の子ども家庭相談員に伝えた。

相談員は翌九~十日に計三回電話をかけ、留守番電話にメッセージを残したが、電話はなかった。

相談員は児相への連絡はしなかった。

今年八月に事件を捜査する大阪府警の照会で電話をかけたのが母親だったと判明した。

昨年八月には、母子が当時住んでいた中区のマンション通路で午後十一時ごろ、長女桜子ちゃん(3つ)が泣いて母親を捜しているところを保護された。

一時間半後に母親が中署を訪れて引き取ったが、警察は「将来、ネグレクトに発展する可能性がある」と市中央児相に通告した。

これを受けて中央児相の担当者は電話連絡を七回、家庭訪問を二回したが、接触できたのは最初の電話一回だけ。

母親は

「困っていることは特にない。知人の家に引っ越し、住所が分からないのであらためて連絡する」
と話した。
このため昨年八月三十一日を最後に働き掛けをやめていた。

時系列を整理すると

2009年08月20日長女桜子ちゃん(3つ)が泣いて母親を捜しているところを保護された。一時間半後に母親が中署を訪れて引き取ったが、警察は「将来、ネグレクトに発展する可能性がある」と市中央児相に通告した。
2009年08月21日中央児相の担当者は電話連絡を七回、家庭訪問を二回したが、接触できたのは最初の電話一回だけ。
2009年08月31日昨年八月三十一日を最後に働き掛けをやめていた。
2009年12月08日母親から中区役所に「夜の仕事で子どもの面倒を見られない。一時保護してほしい」との電話があった。
2009年12月10日相談員は翌九~十日に計三回電話をかけ、留守番電話にメッセージを残したが、電話はなかった。
2009年12月11日相談員は児相への連絡はしなかった。

これだけ見ると、警察・区役所はそれなりに正しい手続を取って、児相に情報を回しているのですが、児相の調査不足が悲劇に結びついたように見えます。

児相は全体としては、とても良くやっていると思いますが、問題になるケースは命が失われたりすることなので、一つも取り落としてはいけない、というべきなのでしょう。

警察が「将来ネグレクトのおそれがある」と中央児相に通告したのに、接触できたのが1回では、判定も出来ないでしょう。
にもかかわらず、働きかけを止めてしまった。
これがいかなる判断で止めたのか?が問題になりますね。

区役所への連絡に対応した、相談員が「子供を一時保護して欲しい」という情報に対して、「連絡が取れないから」児相や警察に連絡せずに放置、というのでは判断をしてないでしょう。

現場のスキルを上げるべきだ、となりますね。

12月 15, 2010 at 12:02 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

石岡市の選挙事務所突入殺人事件について

茨城県石岡市で起きた、選挙事務所突入事件の記事を集めてみました。

こうしてみると、明らかに加害者側の組織的な犯行であり、その目的も組織の破壊でありました。

こういうの「テロ」というのでしょう。

選挙を巡っての争いでしょうから、組織としては政治団体である可能性が極めて高いことになりますが、組織として犯罪を行うのは「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」に当てはまりそうです。

まことにひどい事件で、全貌を明らかにし情報公開することが、非常に重要なことだと考えます。

読売新聞より「選挙事務所突入、前日には侵入男が消火器噴霧

茨城県議選石岡市選挙区で当選した戸井田和之さん(46)の選挙事務所に保冷車が突入した事件が起きた前日の11日未明、選挙事務所内にいた戸井田さんや妻、父親の目の前で、突然侵入してきた男が消火器を噴霧していたことが分かった。

戸井田さんの父の茂さん(70)によると、11日午前5時40分頃、消火器を持った男が突然事務所の玄関を開けて、消火剤をまいた。

室内が粉末で真っ白になった後、茂さんが「何やっているんだ、この野郎」とどなりながら近寄ると、男は消火器2本を残して逃走。消火器は警察が押収したという。

茂さんが見た男は、毛糸の帽子を目深にかぶり、マスクと黄色いジャンパーを着用。40~50歳代で身長1メートル70ほどだった。ただ、戸井田さんの妻は「2人いた」と話しており、人数ははっきりしないという。

この日は、消火器が噴霧された前にも、事務所敷地に止めてあった選挙カーなど計7台のタイヤがパンクしているのが見つかった。茂さんは「許せない。警察に調べてもらうしかない」と憤った。

(2010年12月15日09時54分 読売新聞)

読売新聞より「保冷車と車で対峙した男性「必死で恐怖忘れる」

茨城県議選の投開票が行われた12日、石岡市選挙区で当選した戸井田和之さん(46)の選挙事務所に保冷車が突入し、叔父の会社員戸井田利雄さん(62)がひかれて殺害された事件で、逃走する保冷車と事務所近くの路地で正面衝突した乗用車の男性(40)が、保冷車と対峙(たいじ)した時の緊迫した様子を語った。

選挙事務所では事件前日の11日未明、事務所内で消火剤がまかれ、街頭宣伝カーの蛍光灯の電線などが切断された。

このため、同日夜、戸井田さんや後援会に入っている男性ら数人が事務所に泊まりがけで張り込んだ。
何事もなく夜が明け、男性は一度帰宅した後、乗用車で事務所へ向かった。

異変に気付いたのは、市道から選挙事務所に続く路地に入りかけた時。

保冷車が事務所に2度突入していた。「ついに来たか」。度重なる嫌がらせでピンときた男性は、保冷車の行く手を阻もうと乗用車に乗ったまま正面に立ちはだかった。

保冷車を運転していたのは目出し帽の男。男の目と口が見えた。

にらみ合いになり、男は保冷車をぶつけてきた。乗用車は飲食店の壁まで押され、1平方メートルにわたり壁がへこんだ。男性はブレーキを踏み、ハンドルを左に切り続けたが、じりじり約20~30メートル後退。市道へ押し出され、保冷車は走り去った。2、3分ほどの攻防だった。男性は「必死で恐怖を感じなかった」と振り返った。

けがはなかったが、車の前方が大きく破損し、後方も一部壊れた。車を降りると、路上に倒れる利雄さんに気付いた。男性は「利雄さんは温厚で、いつも和之さんを励ましてくれたのに残念。暴力に訴えるのは許せない」と怒りに満ちた声で振り返った。

(2010年12月15日07時41分 読売新聞)

毎日新聞より「選挙事務所突入:保冷車?そばに男3人 事件直前

茨城県議選で当選した戸井田和之氏(46)のおじ、戸井田利雄さん(62)が石岡市にある戸井田氏の選挙事務所に突っ込んだ保冷車にはねられ死亡した事件で、事件直前、近くのスーパー駐車場に止められた保冷車と似た車のそばで不審な3人組の男を住民が目撃していたことが、捜査関係者への取材で分かった。

突っ込んだ保冷車は目出し帽の男が運転していたが、県警石岡署捜査本部は事件に関与している人物は複数の可能性があるとみて捜査している。

捜査関係者によると事件のあった12日朝、事務所から約100メートル離れたスーパー駐車場に保冷車、ワゴン・セダンタイプの白い乗用車の計3台が止まり、男3人が立っていたという。

同日午前8~9時、白の乗用車で来た男が保冷車に乗り換えた、との目撃情報もある。

白の乗用車を所有する男性は県警の聴取に「人に貸していた」と話しているという。

保冷車は市内の運送会社所有で、最後に敷地内で確認されたのは11日未明。同日早朝、スーパー駐車場近くの店舗にある防犯カメラに写っていたという。

一方、和之氏の父親(70)は14日、家族3人で事務所内にいた11日午前5時40分ごろ、2人組の男が事務所の扉を開け、中に向けて消火器を噴射したことを明らかにした。

追いかけたが、男は走って逃げた。うち1人は身長約170センチぐらいで、帽子をかぶり白いマスクを付けていたという。また10日夜~11日朝、選挙カーや乗用車など計7台のタイヤがパンクさせられたほか、テントのひもや電光掲示板のコード、看板が刃物で切られるなどの嫌がらせがあった。
【岩本直紀、原田啓之、佐久間一輝】

毎日新聞 2010年12月15日 2時37分(最終更新 12月15日 8時27分)

朝日新聞より「2人が事務所に消火剤散布 トラック突入前日に嫌がらせ

2010年12月15日4時20分

茨城県議選の投開票日だった12日、石岡市選挙区で当選した戸井田和之氏(46)の選挙事務所にトラックが突っ込み、戸井田氏の叔父の戸井田利雄さん(62)がひかれて死亡した事件で、事務所を標的にした嫌がらせの詳細が陣営関係者の話でわかった。

事件前日の早朝に2人が消火剤をまき散らしたほか、車7台がパンクの被害に遭うなどしたという。県警は消火器を押収するなどして調べている。

戸井田氏陣営の話によると、最初に被害に気づいたのは11日午前3時半ごろ。戸井田氏の父(70)が地域の集まりに出かけるため、事務所と同じ敷地にある自宅から車で出かけようとしてタイヤのパンクに気づいた。

ほかの車を調べたところ、選挙カーを含めて計7台のタイヤに千枚通しのようなもので突き刺した跡があり、うち5台は4本すべてがパンクしていた。

さらに、選挙カーのマイクのコードや選挙用の看板、事務所前に設置したテントの天幕と鉄柱を結ぶ糸が切られていた。

10日午後11時半までは事務所に人がいて異常はなかったという。

また、パンクに気づいてから約2時間後、戸井田氏夫妻と戸井田氏の父の3人で事務所にいたところ、事務所の引き戸が突然開き、消火器を1本ずつ手にした2人が引き戸の外から身を乗り出すようにして消火剤をまき散らした。

戸井田氏の父が「何やっているんだ」と叫ぶと、何も言わずに走って逃げたという。

うち1人は身長が170センチほどで40~50代の男。つばなし帽に白いマスク、黄色いジャンパー姿だった。

これらの被害から約29時間たった12日午前10時35分ごろに事務所にトラックが突入。利雄さんをはねて死亡させた。県警が殺人容疑で捜査を続けている。

12月 15, 2010 at 11:17 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.25

オウム被害者が殺人事件

毎日新聞より「埼玉・八潮の元妻殺害:容疑で逮捕の男「アレフから娘取り戻したかった」

◇教団と対決、手記も出版

埼玉県八潮市で24日、女性が元夫に包丁で刺され死亡した事件で逮捕された住所不定、元食品販売会社社長、(70)=殺人未遂容疑=が、「(オウム真理教から分裂した)アレフ信者の妻を殺せば娘を取り戻せると思った」と供述していることが、県警への取材で分かった。女性は、30代の長女とともに現場近くのアレフの修行施設に住んでいたという。

女性(63)の死因は失血性ショック。県警は殺人容疑に切り替えて調べている。

容疑者は、オウム真理教に入信して家を出た被害女性や娘を取り戻そうと対決してきたことで知られる。

07年には手記「引き裂かれた二十年-私と五人の子供たち-『鐘の音』」を出版。
家庭が崩壊していく様子や、教団幹部とのやりとりなどを描いた。

県警によると、

  1. 10月下旬、住んでいた福岡県を出て関東方面に向かった。
  2. 24日午前、八潮市内の修行施設に自転車で行き、
  3. 自転車で出てきた九十九さんを、約1キロ離れた現場まで追いかけ襲った。
「娘を巡って口論となり刺した」と供述しているという。

西村容疑者は出版当時、「行方不明になっている子供たちをこれからも捜したい」と話していた。【飼手勇介、山本愛】

なんとも、悲惨な事件になってしまいました。
わたしにとっては、最近の七年間はホームオブハート事件の応援で知り合った、VXガス被害者の永岡さんご夫妻とは親しくさせていただいていますから、すぐそばの事件という感じです。

オウムに限らず、事件の被害者が多い場合も、個人個人の考えや立場はバラバラで、被害の回復といった大きな目標は共有できるのですが、現実の対応には個人的な事情が大きく影響します。
ですから、被害者だからなんかの事件を引き起こす、なんてことはあり得ないのですが、それでも今回の事件についていえば「オウムに引っかかりさえしなければ」ですし、オウムが形を変えて存続せずに解散していれば、とは言えます。

追伸

ずっと更新をサボっておりましたが、実は11月1日に右手の親指の付け根の舟状骨を骨折してしまいました。
ようやく、なんとか復帰できそうになってきました。
たぶん、来週末には何とかなると思います。

11月 25, 2010 at 08:20 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.27

札幌地裁、B型肝炎訴訟和解協議で国に和解条件変更を求めた

FNNニュースより「B型肝炎訴訟和解協議 札幌地裁、国に和解案の見直し求める

予防接種で感染したとして、患者や遺族が国を訴えているB型肝炎訴訟の和解協議で、札幌地裁は国に対し、和解案の見直しを求めた。

初雪が舞う札幌で行われた26日の和解協議。

原告弁護団によると、札幌地裁の石橋俊一裁判長は、

無症候キャリアを賠償金の支払い対象から外していることが、和解の最大の障害
という考えを示し、国に次回期日まで再考を促したという。

B型肝炎訴訟・北海道原告団の清本太一副代表は、

「裁判長の方から、キャリアの救済に関して、国の方に再考を求めてくれたことが大きな収穫だったと思い、僕も非常に、それはうれしく思いました」
と話した。

一方、原告弁護団は、

「患者全体に国が治療費助成を行う場合、賠償金額の協議に応じる」
という考えを、今回初めて示した。

弁護団は、

「検査とか治療とかすれば、発症とかね、重症化を防ぐことができるわけですよ。そうすると将来、余計な医療費の負担をしなくても済むとか」
と話した。

原告弁護団によると、国が和解金の総額を2~8兆円と主張していることについて、石橋裁判長は

官僚は、いかようにも数字をつくる。財源の議論に時間は使わない
と発言したという。

次回の和解協議は11月12日で、国は、厳しい対応を迫られることになった。

(10/27 01:02 北海道文化放送)

なかなかすごい進行になってきましたね。
和解協議が決裂した場合、札幌地裁は判決を出すのでしょうね。

結局これは、裁判所が政策の修正を決定するという種類のもので、日本でこういう例はあったのかな?
たまたま10月に25日に町村先生が書かれているブログに似たような話が出ています。
news:イラクの方が阿久根よりマシ?

NHK:イラク 連立協議長期化は違憲

阿久根市の市長さんが議会を招集せずに(自称)専決処分を乱発したのに対して、周りはほとんど手を出せなくなってしまったことに比べると、イラクの方がまだマシではないかと思う。

イラクでは、ことし3月、国民議会選挙が行われて以降、連立協議が難航しており、ことし6月に大統領や首相候補を選ぶための議会が開かれましたが、具体的な話し合いは行われないまま休会となり、7か月以上たっても新たな政権は発足できない状態です。これについて、イラクのNGOが、連邦最高裁判所に「現状は違憲だ」と訴えていましたが、連邦最高裁は、24日、この訴えを認め、国民議会を長期間休会しながら連立協議を行っている現状は違憲だという判断を示し、議会を再開するよう命じました。裁判所の判断を受けて、国民議会のマスーム暫定議長はNHKの取材に対し、「裁判所の判断を受け入れる。速やかに各政党の代表者を招集し、国会の開会日を決めたい」と述べ、国会を召集して政権発足に向けた手続きを進める考えを示しました。

イラクと日本の自治体とを比べる無茶を無視していうなら、裁判所やNGOが統治のダイナミズムの中で現実に機能している姿をイラクでは見ることができる。もちろんその一方では暴力と利権といった法外のダイナミズムが動いていて、そちらの方が強いわけだが、そのような中で垣間見せる最高裁の存在感が目をひく。

ひるがえって見る阿久根市。
 暴力テロも分裂や存亡の危機もない平和なマチでこそ、ちょっとやんちゃな市長さんが一暴れしても大した問題は起こらないのだが、平和な社会情勢のもとではより一層機能するはずの裁判所も、また事実上監督官庁である総務省も、全く機能しないのがニッポンである。

いや、全く機能しないと決めつけるのは、まだ早いかもしれないが。

阿久根市の場合、市長がムチャクチャをやっても、罰則がないから裁判所も動かないとなっているわけですが、「○○がないから」というのは複雑になってきた現代社会では、法律の方が追いつかないのはしょっちゅうあることで、それならすぐに法律改正する体制にして、米国のように「トンデモ法律の上程」を年中やるといったことするのか、明文法ではないが解釈で裁判所が命令する、しか無いだろう。

しかし、現在はそのどちらもやっていないから、国民に法律に対する不満がたまってきていて、裁判所もそれを受けて解釈をどんどん改めている、と感じます。

和解協議とは言え、注目せざるを得ません。

10月 27, 2010 at 10:34 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.10.24

田原総一朗氏に取材テープの開示命令

朝日新聞より「田原総一朗氏に取材テープ提出命令 拉致被害者巡る発言

2010年10月24日3時3分

北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんの両親が、ジャーナリストの田原総一朗氏からテレビ番組で「外務省も生きていないことは分かっている」と発言されて精神的苦痛を受けたとして起こした訴訟で、田原氏が発言の根拠とする外務省幹部への取材テープの提出を神戸地裁が命じる決定をしたことがわかった。
田原氏側は「承服しがたい」として大阪高裁に即時抗告する方針。

裁判所が取材源の秘匿にかかわる取材テープの提出を求めるのは極めて異例だ。

訴状によると、田原氏は2009年4月、テレビ朝日の番組で有本さんと横田めぐみさんに関し「外務省も生きていないことは分かっている」と発言。

有本さんの父(82)と母(84)は同年7月、1千万円の慰謝料の支払いを求めて提訴した。

田原氏側は「発言は取材に裏付けられたものだ」とし、08年11月の取材のやり取りを録音したテープの一部を文章化した書面を証拠として提出したが、原告側はテープ自体の提出を申し立てていた。

長井浩一裁判長は今月18日付の決定で、田原氏側がテープの内容を文書化して提出したことを踏まえ、

「秘密保持の利益を放棄した」
と判断。
同氏側が取材源の秘匿を理由に提出を拒んだことに対しては、
「幹部の特定につながる情報が録音されているとしても、田原氏が守秘義務を負う場合に当たるとはいえない」
と退けた。

う~ん・・・・・・。

結局、有本さんは取材源の発言自体を信用していないわけでしょう。
だから「田原総一朗は(ウソの情報に基づいて)傷つけた」という主張なわけですね。

これに対して、田原市の主張は「根拠があるのだから、オレを信用しろ」から始まって、「取材はこの通り」と文章化して証拠として提出した。

これって、カルト裁判などで見られる状況と同じですわ。

別にカルトでなくても、普通の宗教でも、あるいは単なる権威でも「神(権威)はこう言った。問答無用」という構造ですね。

外務省幹部が神であり、田原総一朗は神官というわけです。
しかし、有本さんは「神の発言だとは思わない」わけで、「神か神でないか」論争と言えます。

こんなことなら、田原総一朗氏は、最初から有本さんと争うべきではなかった。

当然、この問題に関する田原氏の信用は大きく傷つくでしょう。しかし、他の面では「さすが」となったかもしれない。
しかし、ここまで論争が進んでしまうと、今では「偽物の神様の発言を流布する、ニセ神官」のようなところに追い込まれていますよ。

なんというか、話がどんどんずれて行っていませんかね?

10月 24, 2010 at 10:46 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.19

府立高校・二重三重じゃなくて四重五重か?

読売新聞より「ホウ酸団子誤食知りながら、助言されるまで放置

大阪市内の府立高校の女性教諭(52)が作ったゴキブリ駆除用のホウ酸団子を女子生徒が誤食した問題で、教諭は生徒がかじったことを知りながら他教諭から助言されるまで対応を放置していたことがわかった。

府教委は18日、教諭と、府教委に事実と異なる報告をしていた校長(60)計2人を戒告の懲戒処分にした。

教諭は同日、府教育センターでの研修命令を受け、改善が見られるまで学校に復帰できないという。

府教委の発表によると、教諭は9月21日朝、自宅で作ったホウ酸団子を職員室でまいていた際、訪ねてきた生徒に「特製クッキーよ」と言いながら1個手渡した。

かじった生徒ははき出して自ら水道で口をすすいだが、教諭は教室に戻るよう指示。

25分後に別の教諭から「保健室に行った方がいい」と助言を受けるまで放置していたという。

生徒はその後、病院に救急搬送された。

府教委の調査に、教諭は「毒性のあるものという認識がなかった。深く反省している」と話しているという。

(2010年10月18日23時13分 読売新聞)

「二重三重に恥ずかしい行動をした府立高校」に書いた事件の続報です。

ここまで来ると、「人としての資質がない」とでも言うべきでしょう。

10月 19, 2010 at 02:02 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.10.16

郵便不正事件・びっくりの展開・その7

サンケイ新聞より「前特捜部長ら懲戒免職へ

2010.10.16 02:00

大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)犯人隠避事件を受け、法務省が犯人隠避容疑で逮捕された前特捜部長と元副部長を勾留期限の21日にも懲戒免職とする方針を固めたことが15日、検察関係者への取材で分かった。

2人は容疑を一貫して否認しており、懲戒免職された場合、弁護団は人事院への不服申し立てなど対抗措置を取るとみられる。

一方、最高検は15日、前大阪高検検事長(退官)から事情聴取。

すでに大阪高検ナンバー2の前次席検事(現京都地検検事正)、今年1月まで大阪地検検事正だった福岡高検検事長らも事情聴取しており、法務省は監督責任が及ぶ範囲の確定を急いでいる。

拘留期限で懲戒免職というのはちょっと意外でした。
おそらくは、特捜部ぐるみの証拠改ざんであるとの方向が固まりつつあるからだろうと思います。

読売新聞より「改ざん前後のデータ、主任検事がメモリーに保存

郵便不正を巡る証拠品のフロッピーディスク(FD)改ざん事件で、元大阪地検特捜部主任検事(43)(証拠隠滅罪で起訴)が、改ざんする前と後のFDのデータを私物のUSBメモリーに移して保存していたことが分かった。

最高検はUSBを押収。
主任検事は故意の改ざんを認めているが、最高検は裏付けとなる物証とみている。

一方、最高検は15日、当時の大阪高検検事長(63)から参考人として事情聴取した。
改ざん問題について、当時の認識を確認したとみられる。
取材に、「問題の報告は一切、受けていない」と話していた。

主任検事は昨年7月13日、郵便不正事件の捜索で押収したFDに記録されていた偽証明書の最終更新日時を「2004年6月1日」から、特捜部が描いていた事件の構図に合う「6月8日」に改ざんしたとして起訴された。

捜査関係者によると、主任検事は

  1. 改ざん前の「6月1日」の偽証明書のデータをUSBに移した上で、
  2. FDのデータを「6月8日」に改ざん。
  3. さらに、改ざんしたデータもUSBに移して保存
していたという。

(2010年10月16日03時03分 読売新聞)

主任検事が、FDの日付を書き換えたときに、こんなていねいな作業をして、バックアップを取っていたというのは、主任検事の当初の主張のように「遊びでやった」ではないことを証明したと言えるでしょう。

そうなると、主任検事が特捜部長らに報告したのが、内部で問題になった以降であり、かつ特捜部長らが「よく分からないから大した問題ではないと考えた」という話が信用できない、となってきます。

最悪の場合、特捜部長らが内部で問題になる以前に、主任検事が証拠の日付を書き換えたことを知っていたとすると、証拠改ざんではなくて、証拠創作になってしまいます。

朝日新聞より「主任検事、FDページ順も入れ替え 見立てに合わせ?

2010年10月16日3時0分

大阪地検特捜部の元主任検事(43)=証拠隠滅罪で起訴=が、郵便不正事件の捜査で押収したフロッピーディスク(FD)内の文書について、更新日時を改ざんしたほかに、ページ順を入れ替えていたことが最高検の調べで分かった。

主任検事も故意に入れ替えたことを認めているという。

最高検は、この行為も見立てに合わせようとした証拠の改ざんにあたると認定し、公判で立証する方針だ。

主任検事は昨年、郵便割引制度の適用を不正に受けるため、自称障害者団体「凛(りん)の会」に偽の証明書を発行した事件の捜査を指揮した。

厚生労働省の元係長宅から押収したFDに偽の証明書が保存されており、その最終更新日時を「2004年6月1日未明」から「04年6月8日夜」に改変したとして逮捕、起訴された。

この偽の証明書は、FD内で「コピー~通知案」というファイル名で保存されていた。

このファイル内にはもともと、1ページ目に偽の証明書があった。
凛の会について「国内郵便約款料金表に規定する心身障害者団体」と、不正な証明をする内容だった。

同じファイルの2ページ目には、元係長が凛の会にあてた「低料第三種郵便物の許可申請手続きは、近日中に滞りなく進める」という内容の文書が入っていた。

ところが、最高検の調べで、主任検事がこの1ページ目と2ページ目を故意に入れ替えていたことが新たに判明した。

特捜部は、

  1. 元係長が04年5月中旬に「手続きは近日中に進める」との文書を凛の会にファクスで送信した
  2. 翌6月上旬に同省元局長から指示を受け、元係長が偽の証明書を作成した
という構図を描いていた。

主任検事は最高検の調べに対し、文書を並び替えた動機について

「1ページ目に偽の証明書があると、描いた時系列に合わないと考えた」
という趣旨の供述をしているという。

下書きとして、同じFDに保存されていた「通知案」という名の別のファイルについても、同様にページを入れ替えていたという。

朝日新聞の記事の

特捜部は、
  1. 元係長が04年5月中旬に「手続きは近日中に進める」との文書を凛の会にファクスで送信した
  2. 翌6月上旬に同省元局長から指示を受け、元係長が偽の証明書を作成した
という構図を描いていた。

主任検事は最高検の調べに対し、文書を並び替えた動機について

「1ページ目に偽の証明書があると、描いた時系列に合わないと考えた」
という趣旨の供述をしているという。

ここが重要ですね。

元係長は、障害者団体からの申請を処理せずに長い間放置していたので、自分で勝手にニセ証明書を出した、と供述しています。
そういう見方をすると、先に「近日中に進める」とファックスしてから、ニセ証明書を作る事に問題は無いわけですが、特捜部は元局長が元係長に指示してニセ証明書を出させたことにするために、この部分の事実関係をねじ曲げたわけです。

これでは、どう見ても「特捜ぐるみ」としか思えません。
その結果が、特捜部長らの懲戒免職になったのでしょう。

特捜部長らは、元もとの事件である「供述重視のやり過ぎ」を逆手にとって「物証がないだろう」という点から「検察捜査の可視化」の要求などをしていたのでしょうが、今回の報道では物証が出てきましたね。

主任検事の供述は、物証によって裏付けられていますから、特捜部長らが主任検事の供述を突き崩すのはほとんど無理でしょう。
唯一可能性があるのは、物証の改ざんですが、さすがにそれに対しては、現在捜査を進めている最高検は、万全の記録を残しているはずです。

特捜部ぐるみだと認定された場合、大阪地検特捜部は廃止になって、東京地検特捜部と一体化することになるでしょう。

10月 16, 2010 at 08:45 午前 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.10.08

郵便不正事件・別の展開。

読売新聞より「特捜検事が脅迫的…大阪地裁、調書を不採用

障害者団体向けの郵便料金割引制度を悪用してダイレクトメール(DM)を発送したとして郵便法違反などに問われた広告会社「新生企業」(現・伸正、大阪市)の社長と元役員の公判で、大阪地裁(横田信之裁判長)は7日、元役員が大阪地検特捜部検事(37)(当時)から脅迫的な取り調べを受けていたとして、捜査段階に作成された元役員の調書計12通を証拠として採用しないことを決めた。

特捜部が摘発した偽証明書発行事件でも、同地裁は厚生労働省元局長(無罪確定)の関与を認めた元係長(41)(公判中)などの供述調書を「信用できない」として証拠採用しなかった。
今回の決定は特捜部の捜査手法を改めて批判したといえる。

起訴状では、同社の社長(54)と元役員(57)両被告は2006年4月~08年10月、企業のDM約2630万通を不正に発送し、正規の郵便料金との差額約31億2200万円を免れるなどしたとされる。

2人は起訴内容を認めたが、社長は

「取り調べ検事は、政治家に金を渡したと供述させるために、『刑務所に15年間入れてやる』『息子を逮捕する』と脅した」
と主張、調書を採用しないよう求めた。
検察側は
「阿部被告は逮捕直後から容疑を認めており、自白強要の必要がない」
と反論していた。

横田裁判長は

「俺がすべてを握っている」
などと、取り調べ時の検事の発言を記録したノートを引用し、
「被告は供述内容を争っておらず、取り調べの状況だけうそを書く理由がない」
とし、内容は信用できるとした。

また、検事が取り調べ状況のメモを廃棄したことを挙げ、

「客観的な資料がなく、阿部被告の説明を退けられない」
と指摘した。

(2010年10月8日03時08分 読売新聞)

いやはや、郵便料金の不正割引の実行犯ですから、事件の現実はあって、被告も認めています。
しかし、供述調書の一部が証拠採用されなかった。

おそらくは、事実の証拠はあるし、供述調書も何通かは証拠採用されているだろと思いますが、下手をすると「立証がない」となりかねないですね。

そんな事になったら、事件は現実にあったのに、検察がぶちこわして処罰できなくなった、となるのかもしれません。

問題の質としては、証拠物を廃棄してしまった、などと同じでしょうか?
捜査手法が、刑事裁判を不成立にする、では本末転倒であります。こっちの方が大問題だ。

10月 8, 2010 at 09:59 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.10.05

小沢強制起訴

サンケイ新聞より「【小沢氏「強制起訴」】検察審査会11人中8人以上が起訴と判断

2010.10.5 00:20

検察審査会は、検察官が不起訴処分とした事件に対して、事件の告訴・告発者らの申し立てを受けて、捜査資料を使って「国民目線」で審査する。審査員は有権者から、抽選で選ばれた11人で構成。
任期は半年間で、3カ月で半数ずつ交代することになっている。

小沢一郎氏のケースでは4月に東京第5検察審査会が、11人のうち8人以上の賛意が必要な「起訴相当」と議決。
これを受け特捜部が再捜査した上で、再び不起訴処分としたことから、再審査していた。

今回のように、再審査の結論として「起訴すべきだ」(起訴議決)とするには、「起訴相当」議決と同様に11人中8人以上の賛意が必要。

審査過程では検察官の意見を聞くことも義務づけられている。審査は非公開でされる。

今回の議決を出した11人の委員は、4月の「起訴相当」議決を出した全メンバーが任期満了を迎えたため、総入れ替えとなっている。

さらに、審査時に法律上の助言などをする「審査補助員」の弁護士も別の人に代わっていた。

従来、検察審査会の議決に法的拘束力はなく、起訴するかどうかの権限は検察が事実上独占していたが、改正検察審査会法が昨年5月、裁判員法とともに施行され、強制起訴の権限が与えられた。

小沢強制起訴、とだけ報道されて、詳細が不明だったのですが、結局全く別の人が審査しても、検察の判断は間違っているぞ、となったわけですね。

ということは、検察がまじめに「不起訴である」と検察審査会に説明しなかった、となりますね。

説明しないと言っても、「放置」から「説得しきれず」のどれか分からないわけですが、このところ何年かで「検察は信用できるのか?」という雰囲気があって、さらに検察自身がどこか投げやりになっているのではないのか?という印象を受けます。

そもそも、検察官の数は異常に少ないと言うべきなのです。
検事とか検事正と呼ばれますが、全部あわせて2000名ぐらいです。

これで、刑事事件をすべてやっているのだから、公平に見て「ムリだろう」です。

その一方で、社会も犯罪もどんどん複雑化してきて、サイバー犯罪関係などでは、専門家が「全く別の観点から評価するべきだ」とか言い出す時代ですから、検察は大変でしょう。

わたし自身は、小沢問題は報道されている範囲では「不起訴」でも不思議は無いだろうと思っています、だから問題はその説明を検察審査会に出来なかった、あるいはしなかった検察にこそ問題があると思っています。

大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で見えるのは、起訴独占を検察が重視しすぎている点でしょう。
そういう意味では、検察審査会は検察が困ってしまうような状況に協力する機関であるはずですから、「検察としては不起訴なんですが、審査会はどう考えます?」と素直に協力すれば、より高度な判断が出来るところを「起訴独占を犯す組織だから、協力なんかするものか」とかやっていたから、法律改正で強制起訴制度が出来てしまった。と考えます。

予審(大陪審)を考えた方が良さそうですね。
検察の起訴独占という仕組み自体を検察自身が維持できなくなってきているのだと思います。

10月 5, 2010 at 01:07 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.30

郵便不正事件・びっくりの展開・その5

東京新聞より「特捜部長が「過失で処理」指示 組織隠ぺいを主導か

2010年9月30日 02時02分

大阪地検特捜部の押収資料改ざん事件で、前部長が、主任検事によるフロッピーディスク(FD)の書き換えについて報告を受けた際、前副部長らに「過失で処理しろ」と指示した疑いのあることが29日、検察関係者への取材で分かった。

最高検は、前部長がこの時点で「組織的隠ぺい」を決断、主導した可能性もあるとみて、犯人隠避容疑で捜査を進めている。

検察関係者によると、部長は2月1日朝、出張中だった主任検事と電話でやりとりした前副部長を通じ、FDの最終更新日時書き換えを知らされた。

前部長は対応に苦慮したとみられ、自室にこもるなどした後、前副部長らに

「過失で処理しろ。この件は間違いだ」
と指示したとされる。

翌2日、前部長と前副部長、主任検事の同僚検事の3人が、小林敬検事正と玉井英章前次席検事(現大阪高検次席検事)に報告。

「一部検事が主任検事がデータをいじったと騒いでいるが、問題ない」
との説明にとどめた。

前次席検事の部屋に入る前には、同僚検事が前部長に「正直に話しましょう」と進言したが、前部長は「甘い。公表される」と一蹴したという。

(共同)

これでは、特捜部長が積極的に隠そうとしたことになりますが、毎日新聞の記事「特捜証拠改ざん:前田容疑者「故意」認める」によると

郵便不正事件に絡む証拠改ざん事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の主任検事(43)が、最高検の調べに対し、証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータを「故意に書き換えた」と容疑を認める供述をしていることが関係者の話で分かった。

主任検事は「(当時の)特捜部長と副部長にも伝えたはずだ」とも述べているといい、最高検は改ざんの動機や上司への報告内容を詳しく調べている。

故意にデータを改ざんしたことを知りながら隠ぺいした場合は、犯人隠避罪に問われる可能性があるが、前特捜部長(現京都地検次席検事)と前特捜部副部長(現神戸地検特別刑事部長)は、最高検の聴取に「過失だと認識していた」と説明し、主任検事の供述と食い違う認識を示している。

最高検は、改ざんを「過失」として処理した前部長らの対応について刑事責任を問えるかどうか、慎重に調べを進めている模様だ。

主任検事は09年7月13日、FD内に記録された偽証明書のデータの最終更新日時を「04年6月1日」から「6月8日」に改ざんしたとして逮捕された。

当初は「USBメモリーに移したデータを書き換えて遊んでいたつもりだったが、誤ってFD本体のデータを変えてしまった」と述べ、過失を主張していた。

しかし、その後の調べに対して「FDをいじった」と供述し、証拠品を改ざんした故意を認めたという。改ざんの動機についてはあいまいな説明をしているとされる。

また、地検内で改ざん疑惑が発覚した今年1月末~2月の時点で、前部長と前副部長に対して「故意にFDのデータを改ざんしたことを伝えたはずだ」とも供述しているという。

最高検は、厚生労働省の元局長(54)=無罪確定=が04年6月上旬、部下の元係(41)に偽証明書の発行を指示したという検察側の描く構図に合わせるため、主任検事が改ざんを実行したとみている。

だが、捜査報告書に添付された偽証明書のデータの最終更新日時が「6月1日」のままだったうえ、FDが証拠申請されずに弁護側に返還されるなど不可解な点もある。

最高検は動機の解明を進める一方、前部長と前副部長が主任検事の報告を聞いて故意だと認識できたかどうか、当時の経緯を詳しく調べている。

前部長と前副部長が報告を受けていないのならとにかく、報告された上で「過失だ」としたのはどういう事なのか?

この二人の定義する「過失」とはいかなる意味だったのか?

少なくとも、FDの最終更新日を過失で書き換えた場合、証拠能力が無くなるから、問題のニセ証明書の存在そのものが消えてしまう。
そういうことを一検事の過失で何とかなると考えていたのか?

それとも、供述調書があるから、証拠が無くなっても問題がないと考えたのか?

後者であれば、特捜本部は、えん罪ではなくて創罪とでも言うべき近代国家ではあり得ないことを企図したことになる。

問題は、行為とか過失とか、認識できたのか、犯人隠微とかじゃなくて、「何を考えていたのか?」を解明するべきだろう。
簡単にいってしまえば、司法に関わる人間としての適性を調査することである。

現在のところ、取り調べを受けている特捜検事らには、司法適性がないわけで、そういう人たちが形作っている特捜本部もまた、司法適性が無いとなってしまう。

9月 30, 2010 at 09:53 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.27

二重三重に恥ずかしい行動をした府立高校

読売新聞より「生徒食べたホウ酸団子、実は教諭が直接手渡す

大阪市内の府立高校で、家庭科の女性教諭(53)が作ったゴキブリ駆除用のホウ酸団子を女子生徒が誤って食べた問題で、教諭が生徒にホウ酸団子を「特製クッキーよ」と直接手渡していたことがわかった。

校長はこうした事実を知りながら、府教委には当初、

「教諭が目を離した間に、生徒は職員室の机上にあった一つを口にした」
と報告していた。
校長は27日、府教委に報告し直し、生徒側に謝罪した。

府教委や同校によると、教諭は21日朝、自宅で作ったホウ酸団子を職員室でまいていた際、訪ねてきた生徒に冗談で1個手渡したという。

校長は同日夕、府教委に経緯を報告したが、内容が事実と異なることに24日、教頭が気づき、校長に訂正を求めていた。

校長は

「生徒が自分で取ったか、教諭が手渡したかは重要でないと考えた。すべて私の責任で、生徒、保護者に大変申し訳ない」
と話している。

(2010年9月27日22時31分 読売新聞)

傷害罪の疑いがありますね。
警察が来ちゃうよ、校長先生。

どこをどうやれば「「生徒が自分で取ったか、教諭が手渡したかは重要でない」と考えられるのだろう?
法治国家の教育者、特に管理者としては失格だろう。

9月 27, 2010 at 10:44 午後 事件と裁判 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.09.25

郵便不正事件・びっくりの展開・その3

サンケイ新聞より「【検事逮捕】「故意」否定の主任検事 「客観的事実」と矛盾

2010.9.25 00:20

郵便不正事件で押収されたフロッピーディスク(FD)を改竄(かいざん)したとして、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部主任検事は最高検の調べには「故意ではなく過失だ」と主張し続けている。

証拠隠滅罪の成立には「故意」が必要だが、その主張と「客観的事実」の間には矛盾点が浮かびつつある。

最高検は「故意は明らか」として全容解明を進めている。

■「爆弾」の意図は

「時限爆弾を仕掛けた」。

主任検事が同僚検事に漏らしたとされるこの発言は故意を示唆するものとみられるが、「爆弾」の狙いは何だったのか。

最高検によると、主任検事は昨年7月13日、厚生労働省元係長(41)=公判中=のFDに記録された偽の証明書の最終更新日時を「2004年6月1日1時20分6秒」から「2004年6月8日21時10分56秒」に書き換えたとされる。

主任検事は改竄から3日後にFDを元係長に返却した。

特捜部は関係者の供述から、厚労省元局長(54)=無罪確定=が元係長に偽の証明書作成を指示した時期を「6月上旬」と断定。

「6月8日」の日付は検察側の主張を裏付けるものだった。
元係長が公判でも「指示があった」と主張し、量刑などで有利になるようFDを証拠申請する-。

そんな筋書きを描いたのではとの見方もある。

だが、元係長は公判では「単独犯」を主張。「爆弾」は不発に終わった。

■書き換え専用

捜査関係者によると、主任検事は最高検の調べに対し、「USBメモリーにコピーして操作しているつもりだったが、間違えてFD本体を書き換えてしまったようだ」と述べ、意図的な書き換えを否定した。

FDに触るきっかけについては

「元係長が証明書の作成日時を改竄していないか調べるため、FDの中身を確認した」
と主張したという。

しかし、この言い分には不自然な点がある。

主任検事はデータの書き換え専用ソフトを私物のパソコンにダウンロードした上で、証明書の更新日時を書き換えていた。

このソフトには主任検事が供述したような「改竄の有無を調べる」というチェック機能はなく、あくまで書き換え専用だったというのだ。

■「都合のよい日」

最高検が重視している「客観的事実」は、主任検事が書き換えた「6月8日」という日付だ。

特捜部が元局長から元係長への指示を「6月上旬」と見立てていたことに加え、主任検事が「6月8日」にこだわったとみられる理由がある。障害者団体「凛の会」側が厚労省の証明書がなかったため、郵便局で割引制度の適用を受けられなかったのが「6月8日」だった。

その2日後に同会は元係長が作成した偽の証明書を使って同制度の適用を受けている。

つまり、FDの正規のデータである「6月1日未明」のままでは、元局長の指示が5月31日以前になり、特捜部の見立てと合わなくなる。
「6月8日夜」であれば、特捜部が描いた構図とつじつまが合う。

捜査関係者は「『6月8日』は主任検事にとって最も都合のよい日。

わざわざ『6月8日』に書き換えたことが、故意性の立証材料になる」としている。

結構複雑ですね。

特捜部は関係者の供述から、厚労省元局長(54)=無罪確定=が元係長に偽の証明書作成を指示した時期を「6月上旬」と断定。

  1. 偽の証明書の最終更新日時を「2004年6月1日1時20分6秒」
  2. 障害者団体「凛の会」側が厚労省の証明書がなかったため、郵便局で割引制度の適用を受けられなかったのが「6月8日」だった。
  3. 最終更新日時を「2004年6月8日21時10分56秒」に書き換えた

「6月8日」の日付は検察側の主張を裏付けるものだった。

元係長が公判でも「指示があった」と主張し、量刑などで有利になるようFDを証拠申請する-。

番号を振った部分が、現時点での客観的な事実です。
元係長は、供述で「元局長から指示があった」と供述しているのですが、文章作成の日付はFDを押収した時点で「6月1日」と「捜査報告書」に記録されました。

供述調書には物証がない。

一方、現実は「凛の会」が割引制度の適用を受けられなかったのが「6月8日」。
その結果、ニセの証明書が6月8日21時に作成したことにすると、供述調書の物的証明とニセ証明書の発行動機がスッキリと説明できる。

しかし、捜査報告書にはニセの証明書の最終更新日が6月1日となっているから、検察は証拠申請しなかった。

ここから先はよく分からないですね。

  • 元係長が、検察の主張に迎合して、元局長の指示に従ったから、としてFDを証拠申請する。
  • 元係長が、供述調書を翻して、証拠申請されていない捜査報告書の代替として、FDを証拠申請する。

どちらの場合でも、捜査報告書が証拠になっていないのだから、改ざんされたFDが唯一の証拠となってしまって、6月8日がニセ証明書の最終更新日と確定する。

結果として、別の裁判である、元局長の裁判で検察が勝利する。

現実は、次のように進行しました。
サンケイ新聞より「【押収資料改竄】「検察捜査の根幹揺るがす」元局長の弁護人

 

「改竄(かいざん)が事実ならば、検察捜査を根幹から揺るがす大変な事件だ」。

厚生労働省の元局長(54)の主任弁護人、弘中惇一郎弁護士が21日午前、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、証拠改竄の疑いが浮上した検察捜査に対して不信感をあらわにした。

会見では、元局長が

「恐ろしいこと。検察官1人の行動だとされてしまうのではないかと心配している」
と話していることも明らかにした。

弘中氏は午前8時45分から約15分間会見に応じ、

「朝日新聞の報道で(改竄の疑いを)知ったが、訴訟をやっていくなかで疑問感、不信感を持っていた
と淡々と語った。

問題のフロッピーディスク(FD)は、元局長の部下の元係長(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=が、障害者団体として実体のない「凛(りん)の会」が郵便割引制度の適用を受けるために、偽の証明書を作成したデータが保存されていた。

主任検察官によって更新日時が改竄された疑いが浮上しているが、実際の元局長の公判では採用されず、更新日時を正しく記載した捜査報告書が証拠採用された。

弘中氏は、争点整理などをする公判前整理手続きでの検察側とのやりとりを振り返り、「捜査報告書の存在に最初に気付いたのは元局長だった。

検察官にとって重要な証拠。それを開示はしたものの、なぜ検察側から証拠申請しないのか。

普通では考えられないことだ」と語り、また、検察側が押収した元係長のFDについても

「なぜ検察官から証拠申請しないのか不思議だった」
とした。

最後に

「主任検察官が一番重要な証拠に自ら手を加えて、ストーリーにあうように改竄していたとすれば、捜査の根幹を揺るがす事件。

しかるべき措置をとってほしい」と語気を強め、今後の対応は「証拠隠滅罪などで告発することも含めて検討したい」
とした。

この記事は、サラッと読むと誤解しますが、
元局長が、捜査報告書が検察が証拠申請していないことに気づいて、弁護側が証拠申請したから、特捜部から公判部に捜査報告書が送られて、証拠採用されました。
つまり、検察側は捜査報告書を裁判所に示すつもりはなかった。
にもかかわらず、FDは元係長に返却した。
それ自体が、裁判中に押収した証拠を返却するという普通はあり得ない意図の元に返却した。

捜査報告書は検察の主張と矛盾しているから、裁判所は「矛盾していて、証明されない」として元局長に無罪判決を出しました。

元局長の弁護側(弘中弁護士)が捜査報告書を証拠申請せず、元係長の弁護側がFDを証拠申請した場合、6月8日にニセの証明書が作られた、と確定していたでしょう。

こんな話のどこに「過失」があるんでしょうかね?

9月 25, 2010 at 09:03 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.23

郵便不正事件・びっくりの展開・その2

朝日新聞より「「FDに時限爆弾仕掛けた」 改ざん容疑の検事、同僚に

2010年9月23日4時30分

大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされた疑いのある事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事(43)が同僚検事に「FDに時限爆弾を仕掛けた」と伝えていたことが朝日新聞の取材でわかった。

データを書き換えた動機を示唆する発言とも受け取れるが、主任検事は逮捕後の調べに

「誤って書き換えてしまった」
と意図的な改ざんを否定している。

最高検によると、主任検事は昨年7月、厚生労働省元係長(41)=公判中=が作成した偽の証明書の最終更新日時を「04年6月1日」から「04年6月8日」に改ざんしたとされる。

朝日新聞の取材に対し、昨年7月のFD返却後にデータを見た元係長の弁護人は、最終更新日時が「6月1日」と記された捜査報告書と異なることに驚き、単独犯を主張する元係長にとって不利になる証拠ととらえて表に出すことをためらったという。

検察関係者によると、今年1月に大阪地裁で開かれた元局長の初公判で、FDに記録された最終更新日時内容が問題になった。このため、同僚検事の一人が東京地検特捜部に応援に行っていた主任検事に電話をかけ、

「FDは重要な証拠なのに、なぜ返却したのか」
と聞いた。

これに対し、主任検事は

「FDに時限爆弾を仕掛けた。プロパティ(最終更新日時)を変えた」
と明かしたという。

さらに同僚検事が、最終更新日時が

「6月1日」と書かれた捜査報告書が特捜部の手元を離れ、厚労省元局長(54)=無罪確定=の裁判を担当する公判部に引き継がれたことを伝えると、驚いた声で「それは知らなかった」
と語ったという。

こうしたことから、主任検事はデータを書き換えることで元係長側を混乱させるほか、捜査報告書が公判に出なければ捜査段階の供述調書の補強になると考えた可能性がある。

これらの仕掛けを「時限爆弾」と表現した疑いがある。

検察側は元局長の公判で、同氏が元係長に偽の証明書を発行するよう指示した時期について6月上旬と主張していた。

一方で弁護側は、証拠開示された捜査報告書の日付を根拠に検察側の主張は矛盾していると反論。

今月10日の地裁判決も「検察側の主張と符合しない」と指摘した。

主任検事がFDの最終更新日時を6月8日と改ざんしたとされることについて、検察関係者の一人は朝日新聞の取材に

「検察側ストーリーに合う日時だ。だが、返却したFDがどんな形で表に出たら検察側に有利に働くと主任検事が想定していたのか分からない」
と話す。(板橋洋佳、野上英文)

朝日新聞より「高検、23日にも前特捜部長ら聴取 地検改ざん事件

2010年9月23日3時8分

大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされたとされる事件で、最高検は23日にも、証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事(43)の上司だった前特捜部長(現・京都地検次席検事)と前副部長を聴取する。全容解明のためには、改ざんの経緯やその後の対応などについて詳しく聴く必要があると判断したとみられる。

前特捜部長と前副部長は、多額の郵便料金を不正に免れた郵便法違反事件や厚生労働省元局長らを逮捕・起訴した郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件の捜査を指揮した。

一方、特捜部幹部が主任検事にFDのデータを書き換えた経緯を詳しくまとめた報告書を作成させていたことが朝日新聞の取材でわかった。

検事正ら地検首脳に提出されておらず、問題の深刻化を懸念し、特捜部内でとどめようとした可能性がある。

検察関係者によると、主任検事は東京地検特捜部に応援に行っていた1月末、同僚検事にデータを書き換えたことを打ち明けた。

同僚検事から書き換えを伝えられた特捜部幹部は2月初め、検事正らに

「改ざんしたといったうわさがあるが問題ない」
と口頭で報告した。

その数日後、特捜部幹部は大阪に戻った主任検事に書き換えの経緯に関する報告書を書くよう指示。

主任検事は書き換えが意図的でなかったなどとする内容の文書を同月10日ごろに提出した。

しかし、検事正らには提出されなかったという。

検事正は22日までの朝日新聞の取材に

「書き換えられた疑いがあることについての報告は受けていない」
と答えている。

何ともすごい話になってきました。

事実関係は、

  1. 元係長が、ニセの証明書を発行したから、大量の不正郵便割引が行われた。
  2. ニセの証明書の作成日が2004年6月1日であった。
  3. 元局長が元係長にニセの証明書を発行するように指示したのが、6月中旬である、との供述を引き出した。
このために、6月1日にニセの証明書が作成されたとすると、元局長が6月上旬に元係長にニセの証明書を作成させた、という供述が事実とことなることになってしまう。

しかし、書類上はFDを押収した時点で、6月1日作成と記録されているから、この記録自体が間違えであって、真実はFDに記録されている6月8日だとして証拠提出すれば、書類の記録が間違っているとなり、元局長が元係長にニセの証明書の作成を指示した、という供述に合致する。

しかし、FD本体は特捜部が押収していて、6月1日にニセの証明書を作成したことに、書類上はなっていて、検察にとっては不利な証拠だから、裁判の証拠としては提出されていなかった。

FDを証拠として裁判所に提出するのは、被告側が有利な6月1日に作成したとする証拠として、裁判所に提出し、作成日が6月8日になっていることで、元局長の裁判で特捜部が有利になるように意図した。

ポイントは、元局長の裁判にはFDの記録日時についての捜査報告書は、検察が証拠申請し無かったから、そもそもいつ書類が作られたか、という問題については、6月上旬に作成した、という供述調書しかなかった。

そこに、元係長の裁判でもし、捜査報告書の6月1日作成が誤りであって、FDに記録された6月8日作成が事実であると、認定されると、元局長の裁判では「元係長の裁判で事実として認定された」となって、ひっくり返すこと自体が不可能になる。

では、元係長側がFDを証拠申請するのか?を考えてみると、元係長は、単独犯を主張している=元局長は無関係。なのですが、主張を改めて、元局長が関与したとするのには、元係長が、元局長を陥れる意図があった場合などが考えられます。
つまり、事実とは無関係に話を作ることが出来る。

これらのことを「時限爆弾」と言ったのではないか?

そもそも、元局長の裁判が無罪になったのは、検察が証拠として提出していなかった、FDについての捜査報告書を弁護側が、証拠として提出したからです。
だから、主任検事は

「6月1日」と書かれた捜査報告書が特捜部の手元を離れ、厚労省元局長(54)=無罪確定=の裁判を担当する公判部に引き継がれたことを伝えると、驚いた声で「それは知らなかった」
と言ったのでしょう。
主任検事は、こんなことが起きるとは考えていなかった。

何でここまでムリをしたのか?と考えると、当初から検察がリークしていた、民主党に対する政治事件にすることがあったからだろうと考えざるを得ません。

9月 23, 2010 at 09:43 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.09.21

郵便不正事件・びっくりの展開

朝日新聞より「検事、押収資料改ざんか 捜査見立て通りに 郵便不正

2010年9月21日3時31分

郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で、大阪地検特捜部が証拠品として押収したフロッピーディスク(FD)が改ざんされた疑いがあることが朝日新聞の取材でわかった。

取材を受けた地検側が事件の捜査現場を指揮した主任検事(43)から事情を聴いたところ、「誤って書き換えてしまった」と説明したという。

しかし、検察関係者は取材に対し「主任検事が一部同僚に『捜査の見立てに合うようにデータを変えた』と話した」としている。
検察当局は21日以降、本格調査に乗り出す。

朝日新聞が入手した特捜部の捜査報告書などによると、FDは昨年5月26日、厚生労働省元局長の元部下(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅から押収された。

FD内には、実体のない障害者団体が郵便割引制度の適用を受けるため、被告が2004年6月に発行したとされる偽の証明書や文書の作成日時などに関するデータが入っていた。

特捜部は証明書の文書の最終的な更新日時を「04年6月1日午前1時20分06秒」とする捜査報告書を作成

FDは押収の約2カ月後にあたる7月16日付で被告側に返却され、元局長らの公判には証拠提出されなかった。

朝日新聞が今夏、被告の弁護団の承諾を得てFDの記録を確認したところ、証明書の文書の最終的な更新日時が「04年6月8日午後9時10分56秒」で、特捜部が捜査報告書に記した最終更新日時と食い違うことが分かった。

このため、朝日新聞が大手情報セキュリティー会社(東京)にFDの解析を依頼。

本来は「6月1日」であるべき最終更新日時が「6月8日」と書き換えられていた。

その書き換えは昨年7月13日午後だったことも判明。

この日はFDを被告側に返す3日前だった。

また、他のデータについては被告が厚労省の管理するパソコンで操作したことを示していたが、最終更新日時だけが別のパソコンと専用ソフトを使って変えられた疑いがあることも確認された。

検察幹部の聴取に対し、主任検事は「被告によるFDデータの改ざんの有無を確認するために専用ソフトを使った」と説明したとされるが、同社の担当者によると、このソフトはデータを書き換える際に使われるもので、改ざんの有無をチェックする機能はないという。

特捜部は捜査の過程で、被告の捜査段階の供述などを根拠に

元局長による被告への証明書発行の指示は『6月上旬』
とみていた。

だが、証明書の文書データが入ったFD内の最終更新日時が6月1日未明と判明。

元局長の指示が5月31日以前でなければ同氏の関与が裏付けられず、最終更新日時が6月8日であれば被告の供述とつじつまが合う状況だった。

朝日新聞の取材に応じた検察関係者は

「主任検事から今年2月ごろ、『元局長から被告への指示が6月上旬との見立てに合うよう、インターネット上から専用のソフトをダウンロードして最終更新日時を改ざんした』と聞いた」
と説明。FDの解析結果とほぼ一致する証言をしている。(板橋洋佳)

■主任検事が大阪地検側の聴取に対して説明した主な内容は次の通り。

被告宅から押収したフロッピーディスク(FD)を返す直前、被告がデータを改ざんしていないか確認した。

その際、私用のパソコンでダウンロードしたソフトを使った。改ざんは見あたらなかったため、そのソフトを使ってFDの更新日時データを書き換えて遊んでいた。

USBメモリーにコピーして操作していたつもりだったが、FD本体のデータが変わってしまった可能性がある。FDはそのまま返却した。

厚労省元局長の話

なぜこんなことが起きてしまったのか理解できない。

私にとって無罪証明のよりどころとなる「2004年6月1日」の更新日時データを書き換えた行為はあまりに悪質で、心の底から怖さを感じる。

書き換えが個人の責任なのかどうか、今は根の深さが見えていない。

検事の職業倫理を内部で徹底し、その能力と倫理が「一級」のものになってほしい。

朝日新聞より「フロッピーの日付、検察に都合よく 押収資料改ざん疑惑

2010年9月21日5時40分

厚生労働省の偽の証明書発行事件をめぐり、大阪地検特捜部の主任検事が証拠のフロッピーディスク(FD)を改ざんした疑いが明らかになった。

「遊んでいるうちに書き換えてしまった」という検事の弁解に、弁護人は「ありえない」と不信感を募らす。
検事はなぜ有罪無罪を左右しかねない行為をしたのか。

検察捜査への信頼を揺るがす証拠の書き換えを行ったのは、今回の捜査を現場で指揮した主任検事(43)だった。

厚生労働省元係長(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=のフロッピーディスク(FD)をいじった理由について地検の聴取に、被告がデータ改ざんをしていないか確認するためだったと説明している。

しかし、被告の弁護人は20日、朝日新聞の取材に、

「改ざんの有無を調べるのであれば、専門機関に鑑定を出すはずで、検察官個人が調べるなどあり得ない」
と指摘する。

さらに、正確なデータが書かれた特捜部の捜査報告書が公判で証拠採用されていなければ、同省元局長が「冤罪になった可能性が高い」と述べた。

被告も弁護人を通じ

「検察に対して恐怖心を覚える。こんなことが当たり前になると、誰でも逮捕されてしまうのではないでしょうか」
とコメントした。

記録改ざんの疑いが浮上しているFDの文書データは、被告が自称障害者団体「凛(りん)の会」(のちの白山会、東京)向けに作成した偽の証明書をFDに最終保存した日時だ。

元局長の公判に影響を与える重要な証拠で、FDは昨年5月26日、被告の自宅から押収された。FDの押収後に調べた特捜部の捜査報告書などによると、初めは「04年6月1日午前1時20分06秒」と記録されていた。

検察側は、被告が元局長から証明書の不正発行を指示されたのは6月上旬であり、被告が証明書を作成したのはその後という構図で関係者の供述を集めていた。

証明書が6月1日未明に保存されていたという証拠は、検察側にとって都合の悪いものだった。

FD内に記録された証明書の最終更新日時が書き換えられたのは昨年7月13日。

検察側の構図と合う「04年6月8日」とされ、FDは3日後の昨年7月16日、被告側に返却された。

しかし、FDはその後、公判で証拠としては採用されず、代わりに、証明書の最終更新日時を「6月1日」と正しく記載した特捜部の捜査報告書が証拠採用された。

捜査報告書は元局長側に証拠として開示され、元局長側から公判に証拠請求されたためだった。

主任検事は、裁判を担当する地検公判部に捜査報告書が引き継がれたことを知らず、報告書はそのまま元局長側に開示されたとみられる。

捜査報告書の存在の重要性に気づいたのは、大阪拘置所での勾留(こうりゅう)中に開示証拠をチェックしていた元局長本人だった。

検察が描いた構図と、被告が文書を保存した日時がずれていると、弁護団に連絡した。

弁護団は今年1月の初公判の弁護側冒頭陳述でこの証拠を生かして、「検察側の主張は破綻(はたん)している」と訴えた。

この結果、元局長の指示について「04年6月上旬」とする検察側の主張と証明書の作成時期が合わなくなり、今月10日の元局長の判決公判で裁判長は「検察側の主張と符合しない」と指摘した。

朝日新聞の取材に応じた検察関係者は、

「主任検事が同僚に『見立てに合うようにデータを書き換えた』と打ち明けた」
と証言した。

書き換えの理由を

「FDを弁護側が公判に証拠として提出してきたら、公判が検察側に有利に進むと考えたのかもしれない」
とみている。(板橋洋佳、野上英文)

何ともすごい展開になってきましたね。

コンピュータ関係の証拠は、多くが書き換え可能だから、証拠保全の技術が非常に重要だと何年も前から言われていて、わたしが「コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム」に初めて参加した、1999年頃には米国からFBIなどが来て、どのような取り組みをするものかという講演をしていました。

今では、デジタルフォレンジックとして研究会もありますし、勉強会も年中開催されています。

主任検事の

FDの更新日時データを書き換えて遊んでいた。
というのは、ピストルを押収したから、ぶっ放して遊んでいた。というほどの意味ですよ。
遊ぶなり研究するなりは、それなりにやってほしいですが、本番データでやることですか?
普通、「証拠の現物で遊びました」ということ自体があり得ないでしょう。
全く関係なくても、それだけで懲戒免職でしょう。

だから、当然「証拠のねつ造」の意志があったと、判断せざるを得ないでしょう。

9月 21, 2010 at 04:30 午後 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.09.11

郵便不正事件・無罪判決

サンケイ新聞が「郵政不正事件」で複数の記事を出しています。

夕方のNHKニュースが、記者会見の中継をしていたのには驚きました。
「郵政不正事件・最終弁論」に書きましたが、

最終弁論で、弁護側は

「被告は(証明書を発行する)最終決裁権者。正規に証明書を発行することも可能で、偽造を指示する理由などない。荒唐無稽(こうとうむけい)な構図だ」
と、検察側主張の矛盾を指摘した。

これは、強烈でいわば動機も、機会も無い。と言えます。
検察は「控訴勝負」とか言っているようですが、控訴審で新たな証拠が出ないと、控訴審の判断が事実となりますから、全くの門前払いになる可能性があります。

問題が大きすぎて、今後どうなっていくのかが興味津々です。
以下に、サンケイ新聞の記事を載せますが、注目したところを示します。

【郵便不正】村木元局長に無罪判決 検察側構図をことごとく否定

2010.9.10 14:04

障害者団体向け割引郵便制度をめぐり偽の証明書を発行したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)の判決公判が10日、大阪地裁で開かれた。横田信之裁判長は「検察の主張は客観的事実と符合しない」として無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。検察側の描いた構図や供述調書の信用性をことごとく否定し、検察の「全面敗北」といえる厳しい内容になった。

村木元局長は捜査段階から一貫して無罪を主張。
大阪地検特捜部は上司や部下らの供述調書を根拠に、村木元局長が証明書偽造を元係長の上村勉被告(41)=同罪で公判中=に指示したと立証しようとしたが、公判に出廷した上村被告ら検察側証人が次々と供述を覆し、村木元局長の関与を否定した。横田裁判長は5月、公判証言と異なる調書43通のうち34通の証拠採用を却下していた。

判決で、横田裁判長は供述調書について

「人間の供述は認識、記憶、表現の3段階で誤りが混入する可能性がある」
と述べ、検察側が証拠の柱とした供述調書について
「相互に符合しても、その他の客観的証拠に符合しなければ信用性を高めるものにはならない」
と指摘。調書に頼った捜査への警鐘を鳴らした。

事実関係ではまず、事件の発端とされた障害者団体「凛の会」元会長、倉沢邦夫被告(74)=1審・同罪は無罪、検察側控訴=による石井一参院議員(76)への口利き依頼について検討。
倉沢被告の手帳に面会予定が記載されていた日時に石井議員がゴルフに行っていたとして「予定変更の記載がなく、手帳という客観的証拠上は面談した事実は存在しなかった疑いがある」と判断した。

また、口利き依頼に基づく上司から村木元局長への指示も否定。上村被告が独断で証明書を偽造し、凛の会発起人の河野克史被告(69)=1審有罪、被告側控訴=に渡したとしても

「一般人なら不自然だが、上村被告の性格、行動傾向を前提にすると不合理とはいえない」
と指摘した。

村木元局長が倉沢被告に偽造証明書を手渡したとの検察側主張についても、2人の手帳をもとに

「客観的証拠と符合せず、不合理」
と指摘し、村木元局長の関与を否定した。

村木元局長は障害保健福祉部企画課長だった平成16年6月、障害者団体としての実体のない凛の会が割引郵便制度の適用を受けるために必要な証明書を上村被告に偽造させたとして起訴された。

【郵便不正】村木・元厚生労働省局長と文書偽造事件の経過

2010.9.10 14:16

平成15年秋自称障害者団体「凛の会」(現・白山会)設立
16年6月上旬凛の会の偽証明書作成
21・4・16大阪地検特捜部が郵便法違反容疑で凛の会設立者の倉沢邦夫被告らを逮捕
21・5・26稟議書を偽造したとして厚生労働省の上村勉元係長らを逮捕
21・6・14証明書を偽造したとして村木厚子元局長ら4人を逮捕
21・7・4村木元局長ら4人を起訴
22・1・27村木元局長が初公判で起訴状の内容を否認
22・4・27大阪地裁が倉沢被告の文書偽造について無罪の判決(郵便法違反罪は有罪)
22・5・11凛の会元会員、河野克史被告に懲役1年6月、執行猶予3年の判決
22・5・26村木元局長の公判で大阪地裁が大半の供述調書を証拠採用せず
22・6・22村木元局長の公判で検察側が懲役1年6月を求刑
22・6・29村木元局長の公判が結審
22・9・10村木元局長に無罪判決

【郵便不正】判決の骨子

2010.9.10 16:18

一、村木厚子元局長は無罪

一、元局長が「凛の会」を障害者団体と認める偽造証明書を発行した事実はない

一、部下だった元係長が証明書を作成したことは認められる

一、元係長が元局長の指示で証明書を作成した事実はない

一、凛の会側や元係長との共謀は認められない

【郵便不正】郵便不正事件とは

2010.9.10 16:20

【用語解説】郵便不正事件

障害者団体が発行する定期刊行物を支援者らに送る際、月3回以上発行などの条件を満たせば1通8円(正規料金120円)で郵送できる割引郵便制度を悪用し、定期刊行物を装った企業広告が格安で大量発送された事件が発端。

制度の適用を受ける際に必要な厚生労働省の証明書の偽造にかかわったとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪で村木厚子元局長と元係長の上村勉被告、障害者団体「凛の会」幹部2人の計4人が昨年7月、起訴された。

【郵便不正】「無罪請負人」の異名 村木元局長の弘中弁護士

2010.9.10 16:59

村木厚子元局長の主任弁護人を務める弘中惇一郎弁護士(64)=東京弁護士会=は、検察側の証拠や構図の矛盾点を鋭く突く手法に定評があり、法曹界では「カミソリ弘中」「無罪請負人」と呼ばれる。

これまでにロス疑惑銃撃事件の三浦和義・元会社社長や薬害エイズ事件の安部英・元帝京大副学長=いずれも故人=などの無罪判決を勝ち取った。

現在は郵便不正事件のほか、受託収賄やあっせん収賄罪などに問われた衆院議員の鈴木宗男被告(62)=1、2審有罪、7日に上告棄却決定=の控訴・上告審や証券取引法違反罪で起訴された元ライブドア社長、堀江貴文被告(37)=1、2審いずれも有罪、上告中=の上告審を担当している。

【郵便不正】検察、当初は有罪を確信…論告前に無罪覚悟

2010.9.10 17:05

郵便不正事件をめぐる一連の公判は、取り調べを受けた証人が次々と供述を覆し、検察は劣勢に立たされた。

公判部副部長や捜査に当たった特捜検事が公判を担当し、取調官6人に証言させるなど異例の態勢で立証を試みたが、供述調書の大半が証拠と認められなかった。

当初、有罪を確信していた検察からも、論告求刑公判前には無罪を覚悟する声が聞かれた。

全23回の公判から、主な局面を当時の検察内部の反応を交えて振り返る。

第4回公判(2月4日)

村木厚子元局長から偽造証明書を受け取ったとされた凛の会の倉沢邦夫被告(74)が出廷。
自身の手帳を見ながら、検察側の主張する平成16年6月上旬に受け取った可能性はないと答えた。

検察幹部は

「倉沢被告は手帳に予定をすべて書いていたわけではない。
元局長から手渡されたこと自体は生の記憶としてあり、公判でも一貫して供述した」
と話した。

第5回(2月8日)

当時の村木元局長の上司、塩田幸雄・厚生労働省元部長が、石井一参院議員から要請され元局長に便宜を指示したという検察側の構図を否定し「壮大な虚構」と証言。
これについて検察幹部は「元局長が否認し通すので、ああいう証言にならざるをえないのだろう。巧妙な言い訳だ」。

第8、9回(2月24、25日)

厚生労働省元係長の上村勉被告(41)が証人尋問で、元局長から指示はなく独断で証明書を偽造したと主張。

「供述調書は検事の作文」と発言した。

取り調べ時のやりとりを記す「被疑者ノート」のコピーが法廷のモニターに映しだされ、後に証拠採用された。

「(上村被告が)単独犯としての動機が不自然。被疑者ノートこそ作文で、勾留後に書き足したのではないか」と検察幹部。

第11回(3月4日)

石井参院議員が出廷。倉沢被告と会ったとされた日は「ゴルフ場に行っていた」と明かし、自身の手帳やゴルフ場の伝票で裏付けられることが判明した。

“アリバイ”成立について、検察幹部は

ゴルフの後に会った可能性はあるが、取り調べ検事が手帳を確認しなかったのはミスといわれても仕方ない
と漏らした。

第14回(3月18日)

捜査官が調書作成前に作った取り調べのメモを「廃棄した」と証言。
後に6人全員の廃棄が発覚した。

《メモがなければ公判で弁護側と戦う武器がない。残しておくべきだった》と検察幹部。

第20回(5月26日)

横田信之裁判長が、検察側から証拠請求のあった捜査段階の供述調書43通のうち、34通を却下した。

この際に検察幹部は

非常に厳しい判決が予想される。なんとなく結果が見えた。
控訴審勝負になる
と話していた。

第21、22回(6月22、29日)

検察側が懲役1年6月を求刑し、弁護側の最終弁論を経て結審した。

ここまで崩れるとはまったくの想定外。率直に言って論告に無理はあったが、最終弁論はよくできていた
と検察幹部は言う。

第23回(9月10日)

無罪判決が言い渡された。

【郵便不正】「取り調べに屈してしまった」 村木元局長の元部下

2010.9.10 18:04

村木厚子元局長の無罪判決を受け、かつての部下と上司がそれぞれコメントした。

捜査段階で元局長から指示があったとの供述調書が作成された元係長の上村勉被告は

「無実の人に無罪の判決が出てほっとしました。無実の人を冤罪(えんざい)に陥れようとする取り調べに屈してしまったことを深くおわびします」。
また、検察が元局長に指示したと位置づけた塩田幸雄元部長も
「無罪判決を心から喜んでいます。常に国民に信頼される検察庁であってほしいと願います」
とした。

【郵便不正】「強引な取り調べ明らかに」 日弁連会長が検察を批判

2010.9.10 19:20

厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)に大阪地裁が10日、無罪判決を言い渡したことを受けて、日本弁護士連合会の宇都宮健児会長は談話を発表。

「検察官の強引な取り調べにより、あらかじめ描いたストーリーに沿った内容の供述調書に押印させるという違法な捜査が明らかになった」
と検察側の手法を批判した。

また、宇都宮会長は村木被告の逮捕・勾留(こうりゅう)が続いたことに関し

長期間休職をせざるを得ない状況に追い込まれ、回復できない損害を被った
とし、無罪主張の容疑者、被告に対する勾留・保釈の運用を改めるよう求めた。
さらに、取り調べ全過程の録音・録画の必要性を指摘した。

【郵便不正】「調書裁判」の終焉? 特捜事件でも法廷重視

2010.9.10 20:21

村木厚子元局長(54)の無罪判決に大きな力を発揮したのが、元係長の上村勉被告(41)が「調書は作文」などと拘置所で記録し続けた「被疑者ノート」だった。

大阪地裁は、検察側が証拠請求した供述調書の大半を却下した上、10日の判決では残された調書の信用性もほとんど認めない判断を示した。

国民参加の裁判員裁判の導入で調書よりも法廷のやりとりが重視されるようになり、判決も「調書裁判」の終焉(しゅうえん)を示唆したといえる。

被疑者ノートは取り調べの可視化(全過程の録音・録画)を求める日本弁護士連合会が平成16年に作成、全国で使用されている。

上村被告も弁護人からの差し入れを受け、昨年5月26日の逮捕から7月4日の最終起訴まで検事に言われたことや自分の考えを詳細に書き込んでいた。

「不明なら、関係者の意見を総合するのが合理的では。いわば、多数決」。
上村被告は逮捕の5日後、検事にこう言われて調書への署名を求められた-と記入し、法廷でも同じ証言をした。

取り調べ検事は否定したが、大阪地裁は5月の証拠採否決定の際、公判証言の信用性を認め、あらかじめ想定した調書への署名を強要する取り調べを批判。

上村被告のすべての調書を証拠として認めなかった。

かつての刑事裁判は、公判供述が捜査段階での検察官調書と食い違っても、調書を信用して事実認定されることが多く、弁護士から「調書裁判」とも批判されてきた。

しかし、昨年5月から裁判員制度が始まり、裁判官が調書を証拠採用する基準は厳格化した。
「調書却下の例はここ数年、はるかに増えてきた」というのが弁護士らの実感だ。

今回の公判は、裁判員制度の対象にはならない知能犯罪の特捜事件についても、同じように法廷のやりとりが重視されることを印象づけた。

【郵便不正】弁護側の“捜査”無罪引き寄せる

2010.9.10 21:09

村木厚子元局長の弁護団は、大阪地検特捜部が見過ごしていた物証を精査し、積み上げられた厚い供述調書の「壁」を突き崩した。

偽造証明書の文書ファイルの記録から、検察の主張が文書の保存状況と矛盾していることを指摘。

事件関係者の手帳や持っていた名刺などの物証を丹念に調べる作業も怠らなかった。
今回の無罪判決は弁護側の周到な“捜査”が引き寄せたといえる。

弁護人が着目したのは、元係長の上村勉被告(41)が作成した偽造証明書の文書ファイルに関する記録。

作成日時は平成16年6月1日未明となっており、

「村木元局長が6月上旬、上村被告に5月中の日付で証明書を作成して持参するよう指示した」
とする検察側主張と明らかに矛盾していることを指摘した。

また、特捜部がよりどころとした凛の会元会長、倉沢邦夫被告(74)の手帳の記述についてもうのみにせず、反証を試みた。

特捜部が村木元局長らの起訴後に形式的な事情聴取しか行わなかった石井一参院議員の協力を得ることに成功。

石井議員の手帳の記載を精査し、口利き依頼があったとされた日時に石井議員が千葉県のゴルフ場にいたことを突き止めた。

逆に倉沢被告の手帳に記載がなかった村木被告からの偽造証明書の受け取りについては、倉沢被告への反対尋問で日付を一つひとつ徹底的に確認。

受け取った可能性のある日が「ない」との証言を引き出し、「村木元局長から証明書を受け取った」という倉沢被告の記憶が実は不確かなものに過ぎないと印象づけた。

さらに、特捜部が行わなかった厚生労働省企画課など数カ所の“現場検証”をし、写真や図面を地裁に提出。

倉沢被告が村木元局長に会うために通った-と証言した通路が当時の企画課にはなかったことや、村木元局長を見たという場所からは実際は姿が見えないことなどを明らかにし、倉沢被告の証言の信用性に疑問符を付けた。

弁護側は6月29日の最終弁論で

「大阪地検特捜部は客観的証拠を軽視もしくは無視し、関係者を呼び出してはストーリーに沿った調書を作成することに力を注ぎ、冤罪(えんざい)を発生させた」
と批判。

今回の判決はこれに呼応するように

客観的証拠に照らして供述に不合理な点がある場合には、供述の信用性は大きく低下する
と指摘し、無罪との結論を出した。

【郵便不正】石井一議員「検察必要か問題提起した」

2010.9.10 21:10

「一体この事件は何だったのかと言いたい。検察の存在が必要かどうか社会に問題提起した事件だ」。
村木厚子元局長の無罪判決を受けて会見した石井一参院議員(76)は顔を紅潮させ、語気を強めた。

石井議員は判決について

「無罪になったのは当然」
とし、
「“議員案件”として私がかかわった事実がないと証明され、非常に気分がすっきりした」
と感想を述べた。その上で
「事実と違うことを認めるよう強要する捜査手法はおかしい。犯罪を製造しているようなものだ」
と検察を批判した。

一方、報道についても

「マスコミは検察捜査の検証をするだけでなく、自らの報道の検証もすべきだ」
と話した。

【郵便不正】村木元局長「これ以上、私の時間を奪わないで」

2010.9.10 21:12

これ以上、時間を奪わないで-。大阪地裁で10日、無罪が言い渡された厚生労働省の村木厚子元局長(54)。昨年6月の逮捕から1年3カ月、無罪判決を勝ち取ったが、笑顔になったのは閉廷後だった。検察の取り調べに何度も心が折れそうになりながら、家族の存在と支援者の励ましを受けて無罪主張を貫き通した。

「(1年3カ月は)価値があったと思うが、もうこれで十分」。控訴しないよう検察に求めた言葉と目線は力強かった。

「被告人は無罪」

横田信之裁判長が主文を告げると、傍聴席から拍手が起きた。だが、村木元局長自身は表情を崩すことはなかった。4時間近くにわたって判決文が読み上げられる間、淡々とメモをとり続けた。一方、3人の検察官は終始、厳しい表情で判決に聞き入った。

閉廷後の会見には村木元局長は一転して笑顔で登場。無罪判決を聞いた瞬間について「心臓が1回、大きな鼓動を打った。うれしかったが、どういう理由を述べるのか聞きたいと思い、緊張が解けなかった」と振り返り、「もう一度、元いた職場に戻りたい。(検察側が控訴して)これ以上、私の時間を奪わないでほしい」と訴えた。

「将来の次官候補」として順調に歩んできたはずの人生が暗転したのは昨年の6月14日。大阪地検特捜部に呼ばれ、検事から障害者団体「凛(りん)の会」や厚労省の証明書について尋ねられた。「記憶にない」と否定すると「あなたを逮捕します」。きつく締まった手錠と腰縄に、逮捕されたことを実感した。

「私の仕事はあなたの供述を変えさせることです」。逮捕直後、検事にそう告げられた。

凛の会元会長の倉沢邦夫被告(74)に証明書発行を依頼されたか-と聞かれて「記憶にない」と答えたが「会っていない」と書かれた。

何度訂正を求めても応じてもらえず、「わなにはめられているんじゃないか」と不安になった。

「裁判になったら長くなる」「否認していると実刑が出る」と検事から何度もいわれた。否認を貫く自信を失いかけた時、社会人と当時高校生の娘2人の顔が思い浮かんだ。「もしここで負けてしまったら2人が将来苦境に立たされた時にがんばれなくなる」。娘たちのためにも何としてでも耐え抜こうと決心した。

起訴まで無罪主張を貫き通せたのは支援者からの励ましも大きかった。
接見時に弁護士が「信じているからしっかり闘いなさい」などと支援者らのメッセージが書かれた寄せ書きをアクリル板越しに見せてくれた。
毎日増えていくメッセージに自信を取り戻し、人の優しさや家族の絆を再確認した。

今年2月、厚労省元係長の上村勉被告(41)の証人尋問を傍聴した次女(19)から掛けられた言葉が今も印象に残る。

「ママ、私、もう上村さんのことを怒ってないよ」。母親に罪を着せた怒りよりも、そういう供述をさせられた苦しみに思いをはせられるようになった娘の成長がうれしかった。

「閉廷後、娘にちょっとだけ肩をもんでもらいました」。この日の会見で最大の笑顔を見せたのは、やはり娘の話題に触れた瞬間だった。

【郵便不正】捜査手法の見直し必至

2010.9.10 21:15

村木厚子元局長に対し、大阪地裁が10日言い渡した無罪判決は、大阪地検特捜部が捜査段階でとった供述調書の信用性を全面否定した。

特捜部への批判には直接言及しなかったものの、取り調べ手法に事実上、見直しを迫ったといえる。

今後は取り調べの「全面可視化」を求める声が高まる可能性はあるが、検察側の反発は必至で、すでに幹部やOBからは現場の萎縮(いしゅく)を危惧(きぐ)する意見や、今回を特殊なケースと考えるべきだという声が上がっている。

 ■メモ

供述内容の具体性、迫真性は後で作り出すことは可能」。
横田信之裁判長は特捜部が証人たちから取った整合しすぎる供述調書を、こう批判した

判決は争点となった各証人の供述内容について、手帳や文書データのファイルなど物的証拠と照合するところから検討。

調書単独では不自然に見えなくても、裏付けがない場合は公判供述に比べ「信用性は認められない」と判断した。

検察側にとっては、取調官全員が取り調べメモを廃棄していたことが、調書を補強する材料がなかったという点でも不利に働いたとみられる。

メモの保管については最高検が平成20年7月と10月、各地検に2度にわたって通知したが、警察の場合は公判への出廷を見越して捜査段階から詳細なメモを残しておくよう規則で定められている。

検察OBによると、検察庁にこうした規則がないのは

「容疑者の表情やしぐさに集中するため取り調べ中にメモをとらない伝統があるため」
という。
今後は警察同様、調書の作成過程を記録に残す手法への転換が求められる可能性がある。

■自白

村木元局長の当時上司だった塩田幸雄元部長(59)は、石井一参院議員(76)と電話した交信記録があると聞かされ、検事の作った調書に署名したが、交信記録がなかったことが公判で判明。
「ない」物証を「ある」と偽った“引っかけ”だった

判決は電話に関する塩田元部長の供述について、こうした手法には触れず「検察官の強い誘導もなく供述した」と認定したが、「取り調べ時点で塩田元部長が思いこんだ可能性がある」とも指摘した。

信用性が全面否定された今回の調書は、聴取対象となった証人たちの否定を押し切る形で作成されたが、そもそも特捜検事は否認調書を作成しない傾向にある。

ある検察幹部はその理由を「本人が弁解を聞き入れてくれたと考え、自白をしなくなるため」と解説するが、今後は否認調書を作らないやり方が、かえって不適切な取り調べを疑わせる事態にもなりかねない。

 ■可視化

こうした問題を解決できるのは、全過程を録音録画する全面可視化とされている。

村木元局長の無罪判決直後、大阪弁護士会は

「もし全面可視化が行われていれば、元局長が身体拘束されなかったことは明らか」
との声明を発表。
日弁連と民主党の議員連盟も相次ぎ声明・談話を出した。

だが、法務省政務三役らの勉強会は今年6月の中間報告で、報復の恐れや羞恥(しゅうち)心から容疑者が真実の供述をためらったり、調書の作成を前提としない情報の獲得が困難になったりすることへの危惧を示している。

ある検察OBは

「捜査の現場が萎縮しないか心配している」。
幹部の一人は
冤罪(えんざい)を生み出さないという意味では大切かもしれないが、事件が全然できなくなる。可視化は劇薬であり、毒薬だ
と指摘した。

【郵便不正】「コメントは何もない」小林検事正

2010.9.10 21:20

厚労省文書偽造事件の判決公判に臨む検察側=10日午後、大阪地裁 大阪市福島区の大阪地検では幹部らが夜まで対応を協議。小林敬検事正が「コメントは何もない」と言葉少なに話すなど重苦しい雰囲気に包まれ、記者会見もなかった。

ニュースで無罪判決を知ったという地検幹部は

「供述調書を積み重ねて立証していくのが特捜事件の手法なのだから、それを否定されるとつらい」
とぽつり。
別の幹部は
「予想された判決だが、裁判所もどこかに落とし所を見つけてくれると思っていた」
と不満げに話した。

一方、ある検事は

「普通なら絶えず見通しが正しいか検証しながら捜査を進めるが、今回はそれがおざなりで強引だった」
と振り返った。

【郵便不正】検察は「シロにする捜査」も必要

2010.9.10 21:36

厚労省文書偽造事件の判決公判に臨む検察側=10日午後、大阪地裁 大阪地裁が厚生労働省の村木厚子元局長に言い渡した無罪判決は、検察側が描いた構図をことごとく否定した。「調書主義から口頭主義への転換」という裁判員制度の導入がもたらした刑事裁判の大きな変化を象徴するものとなった。

逮捕当初、検察幹部は

「証拠でがんじがらめ。有罪は確実」
と強い自信をみせていた。「がんじがらめの証拠」とは、検察が描いた“ストーリー”に合わせて得た供述調書だった。しかし、公判では相次いで供述を翻され、調書の証拠採用を却下された。検察捜査に対する国民の信頼は失墜したと言わざるを得ない。

判決は

「異なる人物の供述調書が相互に符号した場合でも、客観的事実に合わなければ十分な信用性があると認定できない」
と指摘。構図に合わせた供述を取ることで事実を「作り上げる」検察の捜査手法の見直しを迫ったものといえよう。

そもそも法廷のやりとりを重視する「口頭主義」は刑事裁判の原則でありながら、これまでは裁判官が検察官調書に強い証拠能力を認め、有罪判断の根拠としてきた。その慣例に「調書さえ取ってしまえば有罪をとれる」という甘えが生じ、裏付け捜査がおざなりのまま強引な取り調べにつながったのか。

検察が突っ走った背景にあるのは

「一係長が誰の指示も受けず、公文書を偽造するはずはない」
という同じ公務員としての思いだ。決裁を取らずに部下が独断でするわけがない。その思い込みが事件の構図をゆがめたのだ。

思い込みが人の人生を狂わせる-。検察はその怖さを常に認識しながら慎重に捜査すべきだ。自らに不利な証拠にも目を向け、必要ならば勇気ある「撤退」もする。そうして初めて国民の信頼を取り戻すことができるだろう。(梶原紀尚)

9月 11, 2010 at 11:24 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.04

窓ガラスの自然破損で、損害賠償1億3800万円

毎日新聞より「東京大学:医科研のガラスが破損 賠償求めて提訴

東京大学医科学研究所(東京都港区)の研究棟外壁の強化ガラスが自然破損したのは設計・施工の欠陥が原因だとして、東大が日本設計、大林組、セントラル硝子の3社に賠償を求めて東京地裁に提訴したことが分かった。

破損したのは1枚(縦1.7メートル、横2.15メートル、厚さ1.5センチ)だが

「再発防止などのために外装全体の改修が必要になった」
として、約1億3800万円を求めている

訴えによると、事故は07年10月。最上階の8階部分の外壁に設置されたガラスが含有していた不純物の膨張で自然破損し、約35メートル下の敷地内に落下した。けが人はいなかった。

東大側は

「強化ガラスは自然破損の危険性が問題視されていた」
としたうえで、設計した日本設計や施工した大林組に
「専門家として払うべき注意義務を怠った過失がある」
と主張。セントラル硝子も
「不適切と考えずに漫然と注文に応じた」
としている。【和田武士】

これは興味深い提訴ですね。

破損したガラスの大きさは、極端に大きいものではないから、破損して落下することはごく一般的なリスクと言えるでしょう。

そのための対策に、1億3800万円、というのはどういう事なのか、詳細が分からないから何とも言えません。

論点がどこにあるのかも、あまり判然としませんね。

9月 4, 2010 at 11:10 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.08.25

囲い込み屋の収益を没収せよ

読売新聞より「会社員をホームレスに偽装、生活保護費を詐取

大阪市に内容虚偽の書類を提出し、生活保護費を詐取したとして大阪府警の捜索を受けた同市天王寺区の不動産会社「家のはしら」の社長(57)が、知人の会社員をホームレスに仕立て上げ、市から保護費約40万円をだまし取った疑いが浮上し、大阪府警は24日、詐欺容疑で社長と会社員の逮捕状を取った。

25日にも逮捕する。同社は150人以上の生活保護受給者をマンションに住まわせ、保護費の一部をピンハネする〈囲い屋〉とされ、府警は今後、同社の貧困ビジネスの全容解明を目指す。

捜査関係者によると、社長と会社員は共謀。昨年9月、会社員にホームレスを装わせ、給与収入や資産があるのに「なし」と偽って同市浪速区役所に生活保護を申請させ、市から生活扶助や住宅扶助など約40万円をだまし取った疑いが持たれている。

社長は、会社員に「ホームレスになりすましてほしい」と持ち掛け、申請時も同席していたという。区役所では職歴や成育歴などを面接で詳しく聞かれるが、矛盾がなければ申請が通ることが多く、府警は、手続きに詳しい社長が虚偽申請による保護費詐取を主導、会社員に説明方法などを指南していたとみている。

同社を巡っては、無職男性に生活保護を申請させる際、申請を通りやすくするため、入居予定のマンションの家賃が4万5000円なのに、住宅扶助の支給上限額の「4万2000円」と偽った重要事項説明書を提出させていたことが、市の調査で発覚。市は、内容虚偽の書類で保護費を詐取したとする詐欺容疑で社長らを告訴し、府警が先月、同社を捜索した。府警は、この詐欺容疑についても立件を検討する。

市などによると、同社は昨年7月頃から、ホームレスらを勧誘し、生活保護の申請に同行。同市淀川、住吉両区などに所有するマンションや、同市東住吉区、大阪府吹田市などで借り上げたマンションの計約10か所に受給者を住まわせていた。同社が申請に関与したのは大阪市で約130人、吹田市で約20人に上るという。

(2010年8月25日07時02分 読売新聞)

東京新聞より「貧困ビジネスで会社社長に逮捕状 住宅の保護費詐取の疑い

2010年8月25日 02時02分

生活困窮者を自社が管理する物件に入居させて、大阪市から住宅関連の生活保護費をだまし取る「貧困ビジネス」を行っていた疑いが強まり、大阪府警浪速署は24日、詐欺容疑で不動産会社「家のはしら」=同市天王寺区=の社長(57)ら2人の逮捕状を取った。25日に逮捕する方針。

捜査関係者らによると、同社は同市西成区などの路上で声を掛けた生活困窮者に生活保護申請を指南し、保護費をピンハネする「囲い屋」とみられる。

社長らには、内容を虚偽記載した重要事項説明書を大阪市に提出、入居に伴う礼金や仲介手数料などをだまし取った疑いが持たれている。府警は詳しい手口の実態解明を進める。

社長は共同通信の取材に対し「これまで100人以上に生活保護を受けさせた」と説明。同社が管理する複数のマンションなどに居住させていたとみられている。

同社は生活困窮者を家賃扶助の上限額(4万2千円)以上の部屋に住まわせながら、家賃を4万2千円と大阪市に虚偽申告して受給資格があると見せ掛け、保護費の一つである住宅扶助費約31万円を詐取したとして、7月に大阪府警が家宅捜索していた。

(共同)

東京新聞の記事だと

生活困窮者に生活保護申請を指南し、保護費をピンハネする「囲い屋」とみられる。

となっていますが、読売新聞の記事では

給与収入や資産があるのに「なし」と偽って同市浪速区役所に生活保護を申請させ

なのだから、これではピンハネではない。
最初から詐欺目的だとなります。しかも、これを会社組織でやっていたと考えられますから、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」で、収益全体を没収するべきだと考えます。

8月 25, 2010 at 09:23 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.08.24

変圧器260トンを盗む?

朝日新聞より「柱上変圧器945台、計260トン盗難 関西電力

2010年8月24日12時57分

関西電力は23日、電柱上に設置する柱上変圧器945台が、大阪府高槻市の関連業者の倉庫から盗まれたと発表した。

同日、この業者が府警高槻署に被害届を出した。

関電によると、補修のために電柱から取り外していたもので被害総額は約5200万円。1台約100~560キロで総重量は約260トンもあるが、どう運び出されたかは不明としている。

柱上変圧器は電柱上に設置するバケツのような形をした機器で、家庭などへ電気を送る際の電圧を調整するもの。電力会社しか使わないが、鉄や銅の金属スクラップとしても、計約1300万円分の価値があるという。

総重量約260トンのものは普通盗めないと思います。
普通に考えると、横流しじゃないでしょうかねぇ?

一個当たり、0.5平方メートルで並べたとすると、20メートル角を超える面積が必要です。
それがそっくり無くなるなんて、非常に短時間で運び出すしかないですが、今度は、トラック10台とかなりますから、それはそれで大変。

真相はどうなっているのでしょうか?

8月 24, 2010 at 10:43 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.12

最悪の名古屋中央児童相談所

FNNニュースより「大阪・2幼児放置死事件 1年前に名古屋市で警察が長女を児童相談所に保護するよう通告

大阪市西区で母親が子ども2人を放置し殺害したとされる事件で、1年前に住んでいた名古屋市で、警察が長女を児童相談所に保護するよう通告していたことがわかった。

無職のS容疑者(23)は、2010年6月初旬から2カ月近く、長女(3歳)と長男(1歳)をマンションに放置し、衰弱死させた殺人の疑いが持たれている。

その後の調べで、S容疑者が家を出た6月初旬には、2人が会話もできないほど衰弱していた疑いが強いことがわかった。

また2009年8月には、当時住んでいた愛知・名古屋市で、長女を保護した警察が、「ネグレクトに発展するおそれがある」と児童相談所に通告していた。

名古屋市中央児童相談所は

「虐待としての緊急性は、(警察は)感じていなかった、考えていなかったということでしたので、そこまで踏み込んだ深い調査っていうのは、してなかったです」
と語った。

児童相談所は、住民票がない世帯への支援方法を検討したいとしている。

名古屋市中央児童相談所には、警察から「ネグレクトに発展する可能性がある」であり、その対象が、当時おそらく2歳の長女であったわけです。
それで、結局はろくろく調べていなかったわけですが、その言い訳が

「虐待としての緊急性は、(警察は)感じていなかった、考えていなかったということでしたので、そこまで踏み込んだ深い調査っていうのは、してなかったです」
要するに、警察が調べてから児童相談所にもって来い、という風に見えます。
じゃあ、一般市民からの通告だったらどうしたというのか?

なんで、報道記者はそこを突っ込まなかったのか?

誰がなんと言おうと、このケースは「児相が本来業務を積極的にサボタージュした」としか評価できません。
「誰それが、積極的でないから、調査しない」なんてのは言い訳にすらならない。

8月 12, 2010 at 04:24 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.11

ホメオパシー問題とは医療ネグレクトだ

朝日新聞より「代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む

2010年8月11日5時46分

代替療法ホメオパシーを利用している人の中で、病気が悪化して死亡する例が相次いでいる。

通常の医療は末期になるまで受けていなかった。

東京では5月、国立市の女性(当時43)が、がんで死亡した。

埼玉でも昨年5月、男児(同生後6カ月)が死亡した。
女性の遺族らは先月、「憂慮する会」を設立し、ホメオパシー療法家らに真相解明を求めて運動を始めた。

5月16日、東京都東大和市内の病院の集中治療室。
女性は、悪性リンパ腫が悪化して人工呼吸器を付け、声も出せない状態だった。
親交のあった荒瀬牧彦牧師=めぐみ教会(東大和市)=が見舞うと、手話で3回、「ごめんなさい」と訴えた。
ホメオパシーに頼り、前日に救急搬送されたばかり。入院から11日後に死亡した。

荒瀬牧師は「最後の最後になり、自分の誤りに気づいたのかもしれない」と話す。

両親によると、女性がホメオパシーを始めたのは3年前。

離婚直後で精神的に不安定な時に友人に紹介された。

昨春から体調を崩し、全身の痛み、強い肌荒れを訴え始めた。
荒瀬牧師は何度も病院受診を勧めた。だが女性は「今までのホメオパシーの努力が無駄になる」と拒み続けたという。

5月には外出も困難に。
激しい胸の痛みに母親(69)が救急車を呼ぼうとすると、「西洋医学はダメ」と最後まで拒んだ。
気を失いかけたすきに、母親が救急車を要請。
搬送先で、初めて悪性リンパ腫と診断された。

さいたま市では昨年5月、生後6カ月の男児が体重5千グラム前後の低体重のまま死亡した。

両親は助産師の勧めでホメオパシーに傾倒。
市によると、病院での男児のアトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。

市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。

保健師の指導で男児が4月に入院した際、両親が連れ戻さないよう病院に要請していた。
男児は5月2日に死亡した。

ホメオパシーでは、病気の症状が重くなっても、自然治癒力が増した証拠の「好転反応」ととらえる。これが患者を病院から遠ざけているとの指摘がある。

女性や男児の両親が頼った療法家を認定した日本ホメオパシー医学協会は取材に「現代医療を否定してはいない。
(女性が死亡した)案件は調査中」と回答した。(長野剛、岡崎明子)

ようやく新聞に

病気の症状が重くなっても、自然治癒力が増した証拠の「好転反応」ととらえる
と出たか、と思います。

「好転反応」は、この手の事件にしばしば登場するもので、わたしが応援している「真光元裁判」でも登場しました。

に書いた通りです。

好転反応という言葉を誰が言い出したのか分かりませんが、平たく言うと「好転反応」=「症状が悪化」です。
現実は順序が逆で、症状の悪化した患者に対して、「それは好転反応だ」と通常の医療を拒否するように説得する言葉として使われているわけです。

真光元事件で、小児糖尿病の被害者が、意識不明の状態になっても「好転反応」だとしていて、医療機関への搬送が遅れて亡くなりました。

真光元裁判では、一審で被害者(原告)が敗訴していますが、控訴審が8月26日に始まります。

  1. 8月26日(木)
  2. 午前10時30分~
  3. 東京高等裁判所824号法廷

わたしには、強力な洗脳がセットになって、事件を引き起こしているように思えます。
新聞に紹介されている例はいずれも、患者本人や、親が積極的に通常医療を拒否しているわけで、その理由が、代替医療が通常医療を否定しているから、患者本人や患者の親が代替医療を信じ込むと、通常医療を否定する、となるのです。
そのように信じ込むのは、強力な洗脳によるものだ、と解釈するべきでしょう。

人が何かを信ずるのは、程度の差はあっても自然なことですから、それを否定することは出来ません。
しかし、積極的に通常医療を拒否するというのは、患者本人ならとにかく、親が子供の医療を拒否するのは「医療ネグレクト」です。

わたしの考えでは、通常の知識(常識)のある人が、積極的に医療を拒否する場合、周囲の人たちの影響が大きいでしょう。
真光元事件は、まこも神社という宗教組織の影響を受けての事件ですし、新聞の記事のように「ホメオパシー」、「手かざし」「浄霊」などが挙げられます。
これらすべてを説明するのには、代替医療問題の本質が「カルト問題である」と言うしか無いです。

8月 11, 2010 at 09:26 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.06

携帯電話4500台を不正入手

サンケイ新聞より「携帯電話4500台不正入手か 主犯格の「社長」ら逮捕

他人名義の運転免許証を使って携帯電話をだまし取ろうとしたなどとして、警視庁捜査2課は6日、組織犯罪処罰法違反などの疑いで、川崎市多摩区菅、無職、S容疑者(37)ら5人を逮捕した。

同課によると、主犯格のS容疑者は容疑を認めている。

警視庁はすでに実行役の配下11人を詐欺容疑などで逮捕している。

同課は都内の関係先から他人名義や偽造された免許証約1千枚を押収

平成21年1月から今年7月にかけ、同様の手口で携帯電話約4500台を入手、1台約5万円で振り込め詐欺グループに転売していた可能性があるとみている。

逮捕容疑は今年3月中旬、東京都江東区内の携帯電話ショップで他人名義の免許証を提示、電話2台を詐取しようとしたなどとしている。

S容疑者のグループは身分証を詐取する部署や、携帯電話を詐取する部署などに分けられ、S容疑者は「社長」、幹部は「専務」「常務」などと呼ばれていた。

実行役はコンビニで店員に偽の警察手帳を見せ、「事件の証拠品として預かっていく」とうそをつき、落とし物として保管されていた免許証を押収、犯罪に使用していたという。

何でこんな大がかりな犯罪が抑止できなかったのか、不思議に思います。

4500台の携帯電話を5万円で売ると、2億2500万円となりますね。
それを振り込め詐欺が使っているとなると、その被害額は何百億とかになるのでしょうか?

すごすぎます。

何で、登録時点で引っかからなかったのでしょうか?
携帯電話の販売ビジネス自体に穴が空いている、ということではないでしょうか?

8月 6, 2010 at 08:03 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.04

タコイカウイルス事件・やっかいなクセ

東京新聞より「PC『イカタコウイルス』 器物損壊疑い 初摘発

イカやタコの画像が特徴のコンピューターウイルス「イカタコウイルス(通称)」を作ってばらまき、感染したパソコン内のデータを破損させたとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは四日、器物損壊容疑で、大阪府泉佐野市、会社員N容疑者(27)を逮捕したと発表した。

同センターによると、ウイルス作成者を器物損壊容疑で摘発するのは全国初という。

逮捕容疑では、五~六月、音楽ソフトを装ったファイルにイカタコウイルスを仕掛け、ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を通じて誰でも視聴できる状態にし、ファイルを取り込んだ北海道内の無職の男性(37)のパソコン内蔵ハードディスクに保存してあったデータを破損させたとされる。

同センターによると、イカタコウイルスは、アニメ音楽や映像ファイルなどに見せかけて、ファイル共有ソフト上に仕掛けられ、ダウンロードすると、パソコン内のファイルがタコやイカなどの画像で上書きされて修復困難になる。
昨夏から流行し、被害は二万件以上とみられる。

同センターの調べにN容疑者は

「リーマン・ショックの影響で会社から自宅待機させられることが多く、むしゃくしゃしてやった」
と容疑を認め、
「自分のプログラミング技術がどれだけ向上したか試したかった」
とも供述しているという。

N容疑者は二〇〇八年一月にも、アニメ画像などを無断使用してウイルス「原田ウイルス(通称)」を作ったとして、京都府警に著作権法違反容疑などで逮捕され、その後、執行猶予付き有罪判決が確定している。

2008年の原田ウイルスの作者がまた逮捕されました。

当然、執行猶予が取り消されて、現実に刑務所に行ってもらうわけですが、そんな事は本人が一番よく知っていたでしょう。
また、「を器物損壊容疑」というのもはじめてですが、毎日新聞にいきさつがありました。

毎日新聞より「タコイカウイルス:N容疑者、08年に有罪判決

パソコン内のファイルを勝手に上書きするウイルスを作り、器物損壊容疑で逮捕されたN容疑者(27)は大阪電気通信大大学院生=無期停学処分=だった08年、感染すると、ある同級生の名前や顔写真などを画面上に自動表示させるウイルスをウィニーでばらまき、著作権法違反罪などで懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

当時の公判では

「ウイルス作成以外のプログラミング技術で社会の役に立ちたい」
と述べていたが、再びウイルス拡散に手を染めることになった。

08年当時のN容疑者は京都府警の調べに

「(ネット掲示板の)2ちゃんねるでウイルスが話題になって有頂天になった」
などと供述。今回も
「自分で作成したキャラクターを使えば逮捕されないと思った」
と話し、自己顕示欲がエスカレートしていったことをうかがわせる。
一方で
「リーマン・ショックの影響で会社の仕事が減って自宅待機となり、むしゃくしゃしていた」
とも話したという。

前回のウイルスは、感染パソコンからファイルデータをN容疑者のホームページに無断転送させる点で、タコイカウイルスと酷似している。

しかし、前回の感染画面にはタコイカではなく、同級生のほか実在のアニメが登場する場合があり、著作権法違反罪が適用された。

今回のタコイカは誰が作成したか不明で、著作権法違反罪は当初から検討対象外だった。

私用文書等毀棄(きき)罪や電子計算機損壊等業務妨害罪などの適用も検討されたが、いずれも構成要件を満たさず、最終的に器物損壊に落ち着いたという。
【町田徳丈】

結局、前回は他人が作ったキャラクターを使ったから、著作権法違反とされたので、タコイカにしたようですが、それは罪の本質ではなかった。
こんなことが分からないはずがないので、「それでもやってしまった」というところに注目することになりますが、それはなぜだろうか?

わたしは「依存症」ではないのか?と思います。
今回は2万以上の被害だそうですが、迷惑きわまりない「癖」ですね。
まあ「手鏡教授」もクセであったのでしょうから、こういうのは出てくるかと思いますが、何とかしないと「再犯」「再々犯」「再々再犯」となるかもしれません。

犯罪心理学の観点からの「治療」を試みるべきでしょう

8月 4, 2010 at 05:26 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.08.01

東京23区の清掃工場で水銀被害で操業停止中

朝日新聞より「一体誰が…ごみ焼却炉に大量の水銀 都内4施設が停止

2010年8月1日10時11分

東京都内4カ所のごみ焼却施設で大量の水銀が検出され、炉が停止する事態になった。施設を管理する東京二十三区清掃一部事務組合によると、部品の交換など被害額は約3億円とみられ、三つの焼却炉が今も停止したままだ。

処理できないごみも増えている。なぜ、水銀が検出されたのか。組合は「非常に悪質」として、警視庁にも相談し、ごみの搬入経路を調べている。

ごみの山にハエが群がる。6月11日から約50日間、二つの焼却炉の一つが停止している足立清掃工場は、焼却を待つごみがあふれ始めている。

いつもなら、地下12メートルまで掘られた収集場に収まるはずのごみは、一部が高さ8メートルの山になっていた。「ごみが滞留しているからハエが発生しやすくて……」と職員は苦り切っている。

足立工場の1焼却炉のごみ処理能力は1日300~350トン。これが処理できないでたまり、一部を江東区の工場に運んではいるが、ごみの山はなかなか低くならない。ハエ対策に毎晩、15分かけて殺虫剤を散布している。

焼却炉は、排ガス中の水銀濃度を知らせるモニターの数値が急激に上昇したことに監視員が気づき、緊急停止させた。

調べると、有害物質を取り除くフィルターのほか、煙が通る道など全体に水銀が付着していたという。

焼却を続けると、水銀を含んだ排ガスが外に出てしまうため、フィルター交換や、煙道を清掃しなければならなくなった。

修理費は2億8千万円にのぼり、停止した焼却炉で最も被害が大きかった。

復旧は9月上旬になる見込みだ。

佐藤進一副工場長は「フィルターはすべて特注品で、時間がかかる。本当に頭にきている」と憤る。

23区内では、

  1. 足立工場の1炉のほか、
  2. 7月1日に板橋で1炉、
  3. 8日に光が丘(練馬区)で2炉、
  4. 18日に千歳(世田谷区)で1炉
と、ほぼ1週間おきに相次いで水銀が検出され、停止した。板橋と千歳は運転を再開したが、光が丘は復旧まであと半月程度かかる見通しだ。

組合の山田裕彦・管理課長は

「被害は深刻だ。これ以上の被害を出すわけにはいかない」
として、工場のごみ収集場に監視員を増やして警戒を強めている。

しかし、なぜ、焼却炉を停止させるほどの水銀が検出されたのか。これらの工場に運ばれるのは一般家庭ごみを中心とした可燃ごみだ。

組合は、産業廃棄物の不法投棄の疑いが強いとみて、廃棄物の特定を急いでいる。

足立工場では、1時間当たり200グラムの水銀を取り除く排ガスの浄化装置を備えているが、今回、炉が停止される直前にこの処理能力を超える排ガスを検出した。

どの程度の量の水銀が混入されたかは不明だが、少なくとも200グラム以上の水銀が一度に持ち込まれたことになる。

水銀を含む製品には、蛍光灯や水銀血圧計などがある。いずれも産業廃棄物として細かく砕かれ、専用炉で燃やされるが、一般的な蛍光灯なら2万2千本以上に相当し、組合は

「家庭ごみと混ざったとは考えられない」。
水銀血圧計には約50グラムの水銀が入っており、4台で200グラムになることから、
「可能性があるが、はっきりしたことは分からない」
という。

工場へ出入りできるごみ収集車にはICカードが渡され、搬入日時が記録されている。

足立工場の場合、事故があった6月11日に持ち込まれたごみから水銀が発生している。

他の工場も、検出の数日前までに出されたごみに混ざっていたとみられるため、組合は、該当搬入業者から聞き取り調査をしている。(長谷文)

いきなり、水銀が200グラム以上捨てられた、というのはすごいですね。
収集段階でチェックできなかったのかな? 東京23区のごみ収集手順に問題は無いのだろうか?

8月 1, 2010 at 11:45 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.07.29

商船三井のタンカー攻撃された?

読売新聞より「商船三井のタンカー爆発、攻撃?…ホルムズ海峡

28日午前0時半頃(日本時間同5時半頃)、商船三井が運航する大型原油タンカー「M・STAR」(全長333メートル、16万トン)が、ホルムズ海峡のオマーン領海内を航行中、船の右舷後部で爆発が起きた。

同社から国土交通省に入った連絡によると、乗務員が水平線に光を見た直後、爆発が起きており、強力な火器で襲われた可能性がある。

同社によると、タンカーは原油27万トンを満載し、アラブ首長国連邦のダスアイランド港を出発し、千葉港に向かっていた。

乗組員に日本人はおらず、フィリピン人16人とインド人15人の計31人。

船橋の鋼鉄製ドアや窓が壊れ、インド人1人が破損したガラス片で腕に軽いケガをした。

ホルムズ海峡は中東の原油を日本に運ぶための重要な海上交通路(シーレーン)で、日本船主協会によると、昨年は協会加盟社の計約3400隻が通過した。

M・STARは商船三井が保有するタンカーの中でも最大級の船舶。原油への引火などはなく自力航行も可能で、爆発後はアラブ首長国連邦のフジャイラ港に入った。同社は現地に社員らを派遣し、損傷などの状況を詳しく調べる。

防衛省によると、ホルムズ海峡とその周辺では、海外の船舶を含め、海賊被害はほとんど報告されていない。

海賊行為が頻発しているソマリア沖のアデン湾からは千数百キロも離れており、同省幹部は「ソマリア沖の海賊が行ける距離ではなく、別の勢力ではないか」とみている。

ソマリア沖の海賊が小型銃器を使用するケースが多いのに対し、今回は爆発が起きるほどの武器が使われた可能性があり、国交省は同社の調査を待って報告を求める方針。

(2010年7月29日00時48分 読売新聞)

こんな航路たどって、ホルムズ海峡で右舷側つまりオマーンの陸上から攻撃された、ということのようです。 Photo

出発地点のダスアイランドはここ

Photo_2

大きさが2×1キロぐらいの小さな島で、島全体が原油掘削装置のようになっています。
産油国が成立するのも当然ですね。

乗務員が水平線に光を見た直後、爆発が起きており、強力な火器で襲われた可能性がある。

ブリッジのドアと窓が損傷したというのですから相当な爆発ですが、「光を見た直後に爆発」というのはちょっとありそうにないので、どういう感じなのか疑問があります。

ホルムズ海峡は、一番狭いところで、幅50キロぐらい。東京周辺だと、伊東市から館山ぐらいの距離です。船にとっては狭い航路なのかもしれませんが、陸戦用の兵器にとっては10キロ先の船というのは、遠距離だし対戦車ミサイルをぶち込める距離でもないですね。

何が起きたのか興味深いところです。

7月 29, 2010 at 11:08 午前 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.07.25

車から降ろし損ねて死亡

毎日新聞より「81歳死亡:車に8時間置き去り 熱中症か…千葉・木更津

24日午後5時40分ごろ、千葉県木更津市羽鳥野の高齢者福祉施設「めぐみの家」駐車場に止めた送迎用ワゴン車内で、同市貝渕の無職、Uさん(81)が倒れているのを施設職員が発見し119番した。

既に心肺停止状態で、駆け付けた医師がその場で死亡を確認した。

炎天下の車内に約8時間置き去りにされたとみられ、県警木更津署は熱中症の可能性もあるとみて死因などを調べるとともに、業務上過失致死容疑も視野に施設側から事情を聴いている。

同署によると、Uさんは施設のデイサービスを受けるため、午前8時45分ごろ自宅へ迎えに来たワゴン車に乗り、他の利用者ら4人とともに施設に向かった。

同9時15分ごろ着いたが、炎天下の屋外駐車場に止めた車内に放置されたとみられる。

施設関係者は

「いつもより乗せた人数が多かったためUさんを降ろし忘れた」
と話しているという。

帰宅準備を始めた施設職員が午後5時半ごろ、Uさんがいないことに気付き、車を確認して発見。

Uさんは朝に着席した3列シートの最後部で、倒れていたという。

歩行が不自由で、自力では車外に出られなかったらしい。ワゴン車には、委託を受けた男性運転手(70)の他に施設職員は同乗していなかった。

独立行政法人福祉医療機構のサイトによると、めぐみの家は定員は12人で、木更津・君津両市でデイサービスを提供している。

気象庁によると、24日の木更津市は晴れで、午後0時26分に最高気温34.6度を記録した。【黒川晋史】

TBS Newsi より「介護施設の車に8時間放置か、女性死亡

24日、千葉県木更津市の介護施設で、利用者の81歳の女性が8時間近く施設の車内に放置された末に死亡しているのが見つかりました。

24日午後5時40分ごろ、木更津市羽鳥野の介護施設で「利用者の女性がデイサービス送迎用の車内で死亡している」と職員から警察に通報がありました。

警察によりますと、死亡したのは市内に住む無職・Uさん(81)です。Uさんは24日午前9時すぎに自宅から介護施設の車に乗って施設に到着。

しかし、Uさんは車に取り残され、午後5時ごろに職員に発見されるまで8時間近く車内に放置されたとみられていて、熱中症になった可能性があるということです。

警察は業務上過失致死の疑いもあるとみて施設の職員らから詳しく事情を聴いています。
(25日00:08)

TBS Newsiを見ると、車はホンダのステップワゴンです。
小型ミニバンで、なんでこの車で降ろし忘れるなんてことが起きるのか?と思います。

デイサービスでは、誰が来るのかは、当日確認するはずで、さらには昼食など所内でのサービスの参加者の把握も必要でしょうから、それらすべてが見逃されたというのが、信じがたい話です。

以前、子供を降ろし忘れたという事件がありましたが、このときも小型ミニバンで、より大型の車ではあまり起きていないようです。
小さい車で大人数を運ぶという場合、このような車内の見落としが起きやすいのかもしれません。

7月 25, 2010 at 08:27 午前 事件と裁判 | | コメント (6) | トラックバック (1)

2010.07.21

裁判員裁判の無罪判決に検察が控訴なのだが

サンケイ新聞より「裁判員裁判2例目 放火「無罪」検察が控訴へ

2010.7.21 00:55

空き巣に入りアパートに放火したなどとして、現住建造物等放火などの罪に問われた無職(40)について、同罪を認めず窃盗罪などで懲役1年6月(求刑懲役7年)とした東京地裁の裁判員裁判判決について、東京地検は20日、「事実認定に誤りがある」として、東京高裁に控訴する方針を固めた。

裁判員裁判での検察側控訴は2例目。

被告は昨年9月、東京都葛飾区のアパートに侵入して現金を盗み、灯油をまいて放火したとして起訴された。

今月8日の判決は

「被告が放火した可能性はかなり高い」
としながらも、アパートの住人が部屋を留守にした時間から出火までが5時間以上と長時間なことから、
「被告が立ち去った後に第三者が放火した可能性を完全に否定できない」
と判断した。

東京地検は控訴理由として、第三者が侵入した形跡がなく被告以外が放火した可能性があるとした認定は誤りがあると主張するとみられる。

「検察の無罪論告」と同じですよね。

疑わしいから、無罪にした。
それを控訴するということは、その疑わしい点を検察は立証できるのだろうか?

5時間後に出火するように火をつけるというのは技術的に難しいだろうから、事故とか過失ではなく故意に放火したこと自体が証明不可能ではないだろうか?

控訴審は注目です。

7月 21, 2010 at 09:30 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

検察の無罪論告

朝日新聞より「「防犯カメラ映像は別人」金沢地検、被告の無罪求め謝罪

2010年7月21日2時41分

防犯カメラに映った人物と窃盗罪で起訴した男性(62)は別人だったとして、金沢地検が20日、金沢地裁で開かれた論告求刑公判で男性に無罪判決を出すよう求め、異例の謝罪をした。

地検の古賀栄美(えみ)次席検事は閉廷後に記者会見を開き、「証拠の見方が甘かったことに尽きる」と語った。入子光臣(いりこ・みつおみ)裁判官は9月1日の判決公判で無罪を言い渡すとみられる。

男性は昨年8月に石川県白山市内のコンビニの現金自動出入機(ATM)で、盗難キャッシュカードを使って計100万円を引き出したとして松任署に逮捕され、否認のまま同11月に起訴された。男性はすでに釈放されている。

古賀次席検事は会見で

「男性と映像の人物の同一性について慎重に判断すべきだった」
と釈明。起訴の取り消しではなく、無罪判決を求めたことについては
「公の場で男性の名誉が回復されるべきだと考えた」
と述べた。

今回の事件で、地検はカードの入手方法や引き出された現金の使途を解明しないまま起訴していた。

古賀次席検事は「得られた証拠を総合的に判断した」とし、起訴手続きは適正だったとの見方を示した。県警は松任署の松本邦寛署長が20日午後に男性宅を訪れ、本人に謝罪したという。

一方、男性は同日の公判の最終意見陳述で

「警察に連れられて写真を見せられ、『お前だろう、お前だろう』と聞かれた。身に覚えがなく、とてもつらい思いをしました」
と逮捕当時の心境を語った。閉廷後には、弁護人の織田明彦弁護士と、日弁連刑事弁護センター副委員長の奥村回(かい)弁護士が会見。奥村弁護士は第三者機関か、または県警と地検、弁護士会が共同で今回の事件を検証する必要があると提案した。(山岸玲)

裁判では、民事でも刑事でも社会が納得するように、事件にいたる一連の経過がしめられます。いわば起承転結のようなことですね。
それが、以下のようなことでは裁判になりませんね。

地検はカードの入手方法や引き出された現金の使途を解明しないまま起訴していた。

どう考えても、ATMの防犯カメラ映像によって事件を解明しようとするのであれば、

  1. 動機
  2. カードの入手
  3. 現金の使い道
  4. 証拠としてのカードの確保

は不可欠でしょう。

結局防犯カメラの映像以外の証拠が無いから、弁護側が映像の再鑑定をしたら別人であったとなって、ほかの証拠が無くて当然だから、無罪論告になった。ということです。

どう見ても「証拠不十分」でそもそも起訴するべきではなかった、逆に言えば捜査不十分でなぜ起訴したのか?となります。

この点については、「デキる弁護士、ダメな弁護士」(講談社プラスアルファ新書)で、弘中惇一郎弁護士が述べています。

今抱えている事件も、以前にやって、結局、有罪になった事件もそうなのですが、おそらく、痴漢というのはプロがやっています。プロの痴漢がいます。

プロの痴漢の犠牲になるタイプの女性がいるのです。つまり、被害女性は絶対に痴漢にあっている。けれども、実際に手出ししたのは被告人とされた男ではなくて、その側にいたプロです。やり口を見ていると、それが真実です。ところがそいつは出てこない。

女の子は、絶対に被害に遭ったと言う。「振り向いたらコイツだったから間違いありません」というわけです。やられている最中は顔を見ていない。けど、やり終わって振り向いて手をつかんだのだから「この人に違いない」というわけです。そうなってくると、両者どちらが正しいかという議論になってしまうと、大体が負けます。

そもそも刑事裁判には「疑わしきは罰せず」という格言がある。きちんと立証できないのであれば、裁判では無罪な言い渡されるはずではないか。

しかし、そのような運用はなされていないという。

「今の日本の刑事裁判は証拠が曖昧でも有罪になりますよ。立証責任は被告側にある、「疑わしきは罰する」ですから、真犯人を自分で連れてこない限りは有罪です。立証責任は被告人にあるんだもの」

弘中惇一郎弁護士とは中西裁判でおつきあいしましたが、ウワサ通りの「カミソリ」ぶりですが、その方が誇張して述べたのだとしても「立証責任は被告にある」と説明すると、今回の事件についても納得せざるを得ないわけです。

7月 21, 2010 at 09:15 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.07.15

宝塚音楽学校・万引き・退学処分・提訴・和解・調停

サンケイ新聞より「宝塚退学処分の女性 「万引の事実なし」と卒業認定の調停成立

2010.7.15 08:14

宝塚歌劇団の劇団員を養成する「宝塚音楽学校」(兵庫県宝塚市)から退学処分を受けた女性(19)が、処分の理由とされた万引の事実はないとして、学校を相手取り処分の取り消しと慰謝料など1千万円の支払いを求めた訴訟は14日、処分を撤回することなどを条件に、神戸地裁で調停が成立した。

原告側の代理人が明らかにした調停条項によると、学校は退学処分を撤回して卒業資格を与えるが、女性は宝塚歌劇団へ入団しないとしている。慰謝料の支払いや謝罪の有無は明らかにしていない。

女性は平成20年4月に入学。同級生から「コンビニで万引した」などと報告され、退学処分となった。女性は「報告は捏造(ねつぞう)」とし、昨年11月に提訴。
和解協議を経て今月からは、調停に切り替えて協議が進められてきた。

女性は「処分が取り消されうれしいが、宝塚の舞台に立つ夢がかなわなかったのは残念」とのコメントを発表。宝塚音楽学校は「裁判という形で争うことになってしまい遺憾」としている。

この記事によれば、同級生の報告によって退学処分を受けた、との事ですから法的には宝塚音楽学校に客観的な事実を示す義務があるところ、それが不十分であったということでしょう。

昔は、このような問題について報告した側にもそれなりの責任と根拠があるということで、報告内容と現実のバランスが取れているのだと考えられていましたが、最近では情報の先走りというか、必ずしも現実とバランスが取れていない情報が出てくることが多くなったように思います。

刑事裁判で問題になっている、自白偏重問題なども同様の傾向のなせるところでしょう。
別の例では、学校でのいじめ問題で「調査したが分からなかった」といった例も同様だと思います。

やはり、情報と現実に起きている事件の調査は、平行して行うべきだとなります。

7月 15, 2010 at 09:40 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.07.14

雑誌が訴訟されたことを訴訟し返す。

共同通信ニュースより「前会長らを提訴へ FACTAの振興銀報道

前会長(48)らが銀行法違反容疑で逮捕された日本振興銀行の報道をめぐり、不当な名誉棄損訴訟を起こしたとして、ファクタ出版(東京)は14日、振興銀や前会長らに約3千万円の損害賠償を求め今月中にも東京地裁に提訴することを明らかにした。

ファクタ出版によると、発行誌「月刊FACTA」は2009年5月号から4回にわたり、商工ローン大手SFCG(破産手続き中)の債権二重譲渡や、融資の採算性などに関する問題を報じた。

振興銀側は名誉を傷つけられたとして、損害賠償や謝罪広告掲載を求める3件の訴訟を東京地裁に起こしたが、警視庁による6月の家宅捜索直後、すべて取り下げたという。

ファクタ出版は

「訴訟対策のため膨大な時間と経費を使い、ほかの取材や報道にも支障が出た」
として
「不当な訴訟を起こした行為は、表現の自由を圧殺するもので断じて許されない」
としている。

FACTAは阿部重夫氏が設立した出版社です。
ログのプロファイルより

発行人 阿部重夫
編集長 阿部重夫

  • 1948年、東京生まれ。
  • 東京大学文学部社会学科卒。
  • 73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。
  • 日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、
  • ケンブリッジ大学客員研究員。
  • 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、
  • 05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

なかなか華々しい経歴の方で、ブログは当初は読んでいました。
現在見ることが出来る一番古いエントリー「ソニーを包む「奇妙な沈黙」」2005年12月10日

新雑誌「FACTA」で何をめざすのか。一例をあげよう。「2ちゃんねる」などネット掲示板ではソニーが袋叩きにあっている。携帯オーディオ市場で6割のシェアを奪ったアップルの「iPod」に対抗し、かつての王者ウォークマンが巻き返しの決め手として11月19日に発売したばかりの「Aシリーズ」に対する怨嗟の嵐が、ネットで吹き荒れた。

不思議なことに新聞・雑誌はそれをほとんど報じない。広告主ソニーに気兼ねしているのかと疑われてもしかたがない。この奇妙な沈黙はまた、ソニー自身が演出しているのだろうか。苛立ってネットに殺到するクレームはほとんど一方的に「ソニー憎し」で、返品をあおるばかりだ。同情的な声があっても「おまえはGK(ゲートキーパーの略語、「仮面をかぶった回し者」の意味)か」と一刀両断である。

ブログは怖い。ネットの“蛮人”たちは落ち目のブランドと見るや、ここぞとばかりに痛めつける。だが、なぜソニーに直あたりしないのだろう。「臭いものにフタ」式なら日光消毒になるし、意識的または無意識の世論操作装置と化している既存ジャーナリズムを破って風穴をあけられる。落書きみたいなソニーの悪口を掲示板に書きこむだけではあまりに悲しい。対象からのフィードバックを欠いたネットは、対人恐怖症の裏返しである。

それなら、と思った。幸い、人に会って喜怒哀楽を引き出すのは苦にならない。どんなジャーナリズムも、取材と回答の往復運動から生まれる。それをネットで見せればいい。ソニーの「沈黙」を俎上にのせよう。だが、ウォークマンAシリーズやコピー制限機能付き音楽CDという、ソニーにとって致命傷と思える問題が続いたせいで他意はない。

そもそも、阿部氏がバリバリの紙メディアの人で、しかも「日経ベンチャー」、「選択」の編集長であった、という方がネットで発言していると非常に注目したわけです。

そのココロが、新雑誌FACTAの発行にあったとしても、その当時の状況が、新雑誌を出しただけではビジネスとして成功する、つまり雑誌ブームのような状態とはかけ離れていたので、「どうするつもりなのだろう」という興味も大きかったです。

しかし、紹介したエントリーにも見られるように、ネットに対する上から目線が段々と強くなったと感じて、ブログを読んでも仕方ないと思うようになりました。

そして今回の報道ですが、なんというか「どっちもどっち」だと感じるのですね。
メディアとして、企業でも個人でも直接叩けば、反発されるのに決まっている。訴訟もあり得る事でしょう。
そして、問題になっている恫喝訴訟もわたしは何度か見ています。

しかし、それはある程度以上に計算しないと、評論なんて出来ないわけです。
逆に言えば、「批判したら反発した、やっばり批判は正しかったのだ」というぐらいが本心でしょう。
本心で「雑誌に書いても、訴訟なんて起こされない」とでも思っているのであれば、それでは「痛すぎる」であります。

というわけで、今回のファクタ社が訴訟を提起することについて、わたし個人としては、ますますFACTAは「ちょっと違うぞ」感が増えました。

7月 14, 2010 at 09:16 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

国税庁が、偽装請負で訴えられる

毎日新聞より「偽装請負:国税寮の管理人、国など提訴へ…時間外手当求め

国税局の単身者寮で「偽装請負」が行われ、管理人が劣悪な労働環境で働かされていた問題で、埼玉県内の寮などで働いていた茨城県潮来市の男性(74)が14日、不当な長時間労働を強いられたとして、国と雇用主の会社を相手取り、時間外手当約900万円の支払いを求めて東京地裁に提訴する。

この問題で管理人が訴訟を起こすのは初めて。

訴えによると、男性は雇用主だったさいたま市のビルメンテナンス会社から「週休2日制で1日8時間労働。時給1000円」と条件を提示され、07年4月に埼玉県内の関東信越国税局の寮の管理人に採用された。

しかし、雇用主の会社からは指示がない一方で、国税局からは「朝6時半から駐輪場の整頓や玄関の掃除を実施する」「午後10時半まで外のパトロールを行う」と記載された業務マニュアルを渡され、15時間労働を強いられた。国税局からは日常的に電話でも指示を受けていたという。

土日も職員のために風呂を沸かす仕事があったほか、週末に分別しないと大量のゴミがたまるため、結局、休める日は1日もなかった。08年4月には、東京都内の東京国税局の寮に異動したが、同様に盆や正月も休むことができなかったとして、2年間の時間外手当に当たる金額の支払いを求めている。両国税局は「訴状を見ていないのでコメントできない」と回答した。

国税局による管理人への業務の直接指示は、使用者責任があいまいになるとの理由で職業安定法が違法としている「偽装請負」に当たるとされ、一部の管理人が労働環境の改善を求めていた。【伊藤一郎】

毎日新聞 2010年7月14日 2時36分

こんな事件が起きていること自体を知りませんでした。
だからと言って、原告の主張を現段階で全部が正しいとも思えません。

むしろ問題はなんでこんな事になったのか?でしょうね。

派遣会社が「週休2日制で1日8時間労働。時給1000円」と条件を提示したのはごく常識的というべきでしょうが、それが実践されているかどうかは、派遣労働という性質上分かりにくい。
その意味では、この事件同様なことがいつでも起こりうると言えます。

一方、国税庁の現場は、おそらく契約が「週休2日制で1日8時間労働。時給1000円」を知らなかったのでしょう。
どういう人が働いているのかを意識しないでも何とかなる、と思っているところがおかしいです。

じゃあ、国税庁の現場が、派遣されている人一人ひとりについて「この人のは今日は公休日」とか有給休暇とか管理するのだとすると、それはそれで大変でしょう。

こういう落とし穴のようなところは、どうしても出て来るでしょう。
これに対する、総合的な「対策」は、派遣労働の最低時給を1万円程度(現在の10倍以上)にしてしまえば良いと思う。

今回提訴した人に、1日8時間、365日勤務したとすると、2920万円を支払う事になる。
これだったら、正規職員の方がはるかに安くなります。
また、派遣される人は大変でも喜んで1年間頑張るでしょう。

労働条件が良く分からないのだから、賃金は高くなる、という当たり前のことを実践すれば、起きない事件ですよ。

7月 14, 2010 at 10:04 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

再捜査で、ひき逃げが追加になった

朝日新聞より「ひき逃げ死傷、不起訴を一転在宅起訴 大津地検が再捜査

2010年7月14日1時20分

滋賀県草津市で昨年11月、歩行者2人が軽乗用車にはねられて死傷する事故があり、車を運転していた女(31)=同県栗東市=について、大津地検がいったん不起訴処分(嫌疑不十分)とした道路交通法違反(ひき逃げ)罪で在宅起訴したことがわかった。

自動車運転過失致死傷罪だけに問われた女は3月に有罪判決(検察側控訴)を受けたが、地検は遺族の求めなどを受けて異例の再捜査をした。

今後、女に対しては大津地裁でひき逃げの罪についてのみ審理され、判決が言い渡されるとみられる。

起訴状などによると、女は昨年11月6日、草津市内の市道で軽乗用車を運転中、同市のSさん(当時69)と妻(64)を後ろからはね、そのまま逃げたとされる。Sさんは頭を強く打って死亡、妻は胸の骨が折れる重傷を負った。

女は約1時間後に現場に戻って110番通報。

ひき逃げと自動車運転過失致死傷の疑いで逮捕されたが、

「人をはねたと思わなかった」
と供述したことなどから、地検はひき逃げについて不起訴処分とした。

これに対し、遺族が大津検察審査会に審査を申し立てたほか、大阪高検などに起訴するよう申し入れていた。

大津地検の広上克洋次席検事は「再捜査をした結果、有罪に持ち込める証拠を得た」と説明。

妻は「主人の無念が晴れたらと思う」と話した。

今回の起訴について、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は

「検察が被害者目線、市民目線で積極的に事件をとらえ直していこうとする変化の表れだ。
改正検察審査会法に基づく強制起訴制度も少なからず影響しているのだろう」
と話す。

何度も読み直して、やっと理解できました。
加害者の行動と、検察の動き

  1. 軽自動車で、被害者夫婦を轢いた
  2. その後1時間逃走
  3. 現場に戻って、110番
  4. 自動車運転過失致死傷の疑いで逮捕
  5. 「人をはねたと思わなかった」と供述
  6. 検察は、ひき逃げについては不起訴

検察の判断は、1時間後に現場に戻ったことについて、逃走していたのではない、救助などを求めて、現場を離れたということにしたのでしょうね。

確かに「5分間離れた」を「逃走した」とは出来ないでしょう。
じゃあ、1時間なら逃走か?とも言えない。

そうなると必要なのは、逃走なのか、それ以外の何かをやっていたのか?であって、それは検察が捜査するべき事であった。
再送したら有罪に持ち込めることが分かった。

これは、検察としては「事件の解明に全力を尽くしていない」ということではないのか?
ちょっと情けない話だと思う。

7月 14, 2010 at 09:45 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

いよいよ振興銀行に捜査が入るが

サンケイ新聞より「振興銀、SFCGに違法取引持ちかけ 警視庁、出資法違反でも捜査

2010.7.14 01:30

日本振興銀行(東京都千代田区)の銀行法違反(検査忌避)事件に絡み、金融庁が違法性を指摘している日本振興銀行と、商工ローン大手、SFCG(旧商工ファンド、破産手続き中)の債権買い取り取引は、同行側が持ちかけていたことが13日、関係者の話で分かった。

同行の当時の役員らが取引の違法性を認識し、関連するメールを消去して隠蔽(いんぺい)しようとしたことが、検査忌避に発展したとみられる。警視庁は、取引の際に同行が受け取った「手数料」は事実上の金利に相当すると判断、出資法違反の疑いでも捜査している。

捜査関係者や同行元役員らによると、同行は平成19年ごろ、SFCGに持ちかける形で、中小企業などへの貸付債権を買い取る取引を開始した。

この際、SFCGは1・5%の手数料を払っていた。

同行側は手数料収入で潤うほか、債権買い取りは「債務者に融資をしたという扱いになり、融資実績にカウントされることにもなる」(同行元役員)。

一方でSFCGは当時、資金繰りが悪化していたため、債権売却代として当座の現金を受け取れるメリットがあった。

複数回にわたって同行に債権を売り、同行からの資金調達額は最終的に約1千億円に達したという。

しかし、20年以降は同行が買い取った債権の多くが回収不能となり、SFCGに債権を約1カ月後に買い戻させる取引を提案。
その際に手数料を増額し、45・7%に設定した。

金融庁は、買い戻し契約を設定したうえで債権を買い取る取引について、発生する手数料は「実質的に金利に当たる」と指摘。

警視庁は検査忌避容疑の裏付けを急ぐ一方、手数料が出資法の上限金利(29・2%)を上回っているとして、同法違反の疑いでも調べている。

同行元役員によると、同行の木村剛前会長(48)は、SFCG元社長、大島健伸被告(62)=民事再生法違反(詐欺再生)などの罪で起訴=の経営手腕を評価し、親交があったという。

また、同行はSFCG出身者を大量に採用するなどしており、両者は長年にわたって近い関係にあったことがうかがえる。

振興銀行とSFCGの、出資法違反(上限金利を上回る)という記事が流れたときに「ずいぶん強引だな。(捜査側は)大丈夫なのか?」との印象がありました。

その点についての説明が

また、同行はSFCG出身者を大量に採用するなどしており、両者は長年にわたって近い関係にあったことがうかがえる。
ということですか・・・・。

とは言っても、これはけっこう難しい話でしょう。
果たして、事件としてキチンと解決が出来るものなのだろうか?

7月 14, 2010 at 09:25 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.07.12

浄霊で子どもを死なせてしまった夫婦の裁判

サンケイ新聞より「信者両親が起訴内容認める 「教義こだわった」と検察

2010.7.12 18:28

重い皮膚炎を患う生後7カ月の長男に、信仰を理由に治療を受けさせず死なせたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた、いずれも宗教法人「新健康協会」職員の父親(32)、母親(31)両被告=福岡市東区=の裁判員裁判の初公判が12日、福岡地裁(林秀文裁判長)であり、両被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

冒頭陳述によると、両被告は、昨年6月下旬以降、重いアトピー性皮膚炎なを患い体重が激減した長男に「浄霊」と呼ばれる手かざしなどをするだけで医師の診察を受けさせず、昨年10月9日に敗血症で死亡させたとされる。

弁護側は「祖父母の代からの信仰で、教義は生まれたときからある空気のようなものだった。今は誤っていたと認識している」と述べた。

この被告夫婦は、祖父母の代からと述べているとおりで、そもそも医療に頼らないで、大人になっているわけですから、子どもが重体になっても分からなかった、ということなのかもしれません。

問題の宗教法人は、実際に医療に頼ることを教義として抑制しているわけで、その意味では間違えなく、被告はカルト宗教の被害者であるとなりますが、じゃあ今後、カルト宗教から離れて生活できるのか?と考えると「祖父母の代から」なのだから無理でしょう。

見かけ以上に深刻な問題なのです。

7月 12, 2010 at 07:00 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.07.10

シーシェパードはカルト団体

サンケイ新聞より「ベスーン元船長「調査捕鯨妨害を継続」 裁判終え一転表明

2010.7.10 11:36

【シンガポール支局】
フランス通信(AFP)によると、環境保護を標榜(ひようぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」による調査捕鯨妨害事件で東京地裁の執行猶予付きの有罪判決を受け、強制退去処分となったSS抗議船のピーター・ベスーン元船長(45)が10日、母国ニュージーランドに帰国、今後も反捕鯨活動を継続する考えを明らかにした。

公判でベスーン元船長は、南極海での妨害活動に参加しない意思を表明、それが執行猶予の理由の一つとなった。

しかし、この日は記者団に

「日本の捕鯨をやめさせるのをあきらめることはない」
などと強調。
再び抗議船に乗り込むかどうかは明言しなかったものの、
「次に何をするか、何人かと話をしなくてはならない」
と述べ、SS幹部らと今後の活動について話し合う姿勢を示した。

妨害活動に参加しないとのベスーン元船長の発言についてSS代表のポール・ワトソン容疑者(59)=国際指名手配中=は、公判後、「単なる法廷戦術だ」と述べていた。

この記事だけ読むと、判決を受けたのに無視かよ、といった印象を受けますが、同じサンケイ新聞のイザ!記者ブログ佐々木正明記者が拘置所でベスーン被告とのインタビューについて感想を書いていました。

「【SS船長判決】ベスーンはニュージーランドに帰って何を言うのか?」   2010/07/07 18:00

調査捕鯨妨害事件で立件されたニュージーランド人、ピーター・ベスーン被告に、7日、判決が言い渡されました。懲役2年、執行猶予5年の有罪判決です。

東京地裁の多和田隆史裁判長は「シー・シェパードの調査捕鯨は違法だという主義主張に基づいて、IWCの決議や声明を無視して、危険で悪質な妨害行為を繰り返していたもので、独善的な考えで妨害行為に加わった被告の刑事責任は重い」と指摘。

一方で、「被害者の一部に被害弁償を行ったほか、今後は南極海での反捕鯨活動に参加しないという意向を表明している」として刑の執行を猶予する決定を下しました。

ベスーンはこのまま日本にとどまることはなく、かねてから「家族に会いたい」と切望していましたので、判決後すぐに強制送還の手続きに入り、ニュージーランドに帰国するようです。

このブログでもお伝えしてきましたし、拙書「シー・シェパードの正体」にも詳細に記しましたように、私は東京拘置所に何度も出向き、拘留中のベスーン被告に接見してきました。

1回わずか15分の面会時間。それでも、10数回は回数を重ねましたから、だいぶ、彼の考え方がわかったように思います。

語弊がある言い方かもしれませんが、ベスーン被告は狂信者ではありませんでした。体育会系のノリがあって、裏表があまりない人のように見えました。

会うたびに、「ササキサン」と呼びかけ、礼を尽くそうとする。活動家というより、根っからの船乗りなんですね。

彼はかつて世界一周最速航行の記録を持っていたニュージーランドの英雄であり、キャプテンとしてクルーたちを束ねていましたから、自分の言動には責任を持っているような印象も持ちました。

しかし、私は、それが日本の拘置所という特別な空間で会っているからとも深く認識していました。

彼がシー・シェパードの理念や暴力を受け入れて、別の側面では、笑いながら日本の捕鯨船を攻撃している姿も知っていましたので、注意深く彼の言葉に耳を傾けてきたつもりです。

ベスーン被告は、なぜ、世界的な批判を受けながら、日本は南極海まで出向いて調査捕鯨を続けるのかということを何度も口にしていました。

そして、自らの愛する船、アディ・ギル号を沈没させた第2昭南丸の行為を日本の捜査当局はなぜ追及しないのだとも嘆いていました。

私は聞き役に徹することを心がけました。限られた空間、そして時間の制約があるなかで、彼にしゃべってもらうことを第一に考えました。

日本の文化が好きだと言っていましたので、彼には「武士道」など多くの本も贈りましたし、四方山話で、ワールドカップでニュージーランド代表が奮闘していることや海洋での航海がどんなものなのかも話し合いました。

そんな中で、彼がもらした「私は娘2人を持つ父親であり、ワトソンが言うように戦士ではない。彼は間違っている」という言葉も本心だと思います。

ベスーンはシー・シェパードやその活動の実態をよく知らないようでした。

彼が初めて代表のポール・ワトソンと会ったのは昨年の夏です。
ワトソンとも数回しか会っておらず、情報はワトソンやSSのメンバーからの受け売りで、私が知っているような正体も知らないようでした。

私がワトソンは暴力を否定しないテロリストであり、

「これまで人を傷つけたことがないなどというのは嘘だ」
と言って、数々の例をあげて隠された情報を教えてあげると、急に無口になって戸惑っているような素振りも見せました。

そのためか私の言っていることにも信用しようとせず、自らの妨害行為を冷静に振り返ることはあっても、ワトソンについては

「偉大なリーダーであり、優れた環境活動家だ」
などと言って、否定的な見解は語りませんでした。

私は「洗脳は解けていないのか」とも思いながら、日本にクルーを騙して送り込むことさえ容易なワトソンのカリスマ性と決して自分に負い目がこないようにするしたたかな戦略が怖くなったりもしました。

だからこそ、数々の嘘を重ねても、騙された人々が彼の元をついてくるのでしょう。
シー・シェパードはまさに、ワトソンをトップとするカルト集団なのです。

ベスーンはニュージーランドに帰ります。現地では「英雄」として出迎える人たちもいるはずです。もちろん、「馬鹿なことをした」と冷静に受け止める層も半々ぐらいでいるのではないかとも思います。

空港に着くなり、ニュージーランドの報道陣に囲まれるはずです。一気にこの4ヶ月の情報の埋め合わせをして、自分がどのように語られていたかを知るでしょう。

そして、しばらくはテレビにも引っ張りだこになり、捕鯨を決して許さない記者達の誘導尋問にも答えるはずです。

もう歯止めがないわけですから、気を許して、一気にたまったものを放出するでしょう。
手のひらを返したように、私の前で言ったこととは別のことを語り始める可能性もあります。

私はベスーンをいい奴だといいましたが、それはあくまでフリートークができない状況の中で受け取った仮の印象です。

彼は手記を公表するため、拘置所の中で昨年夏にシーシェパードに加わってから、南極海で拘束されて、裁判を受けることまでの日常について文章を書きためていました。

そのうち、手記が発表されるはずです。私はベスーンがニュージーランドのメディアに何を言うのか、手記にはどんなことが書かれているのか、そして、日本やシーシェパードについて、どんなことを語るのかを注意深く見守りたいと思います

場合によっては、ベスーンがシー・シェパードの暴力を止める大きな役割を果たすかもしれないと接見中に思ったこともありますが、それは今後の彼の言動次第です。

あっさりとその期待も泡となって消えることだってあるでしょう。
そのときには、また彼とコンタクトをとって、今度は制約もありませんから、シー・シェパードの正体をじっくりと伝えるつもりでいます。

ニュージーランドではさっそく、この判決についてかなりのボリュームで報じ始めています。

娘達は父親を心から尊敬しており、「動物を殺すことは残酷。だから私はベジタリアンになった。将来は動物を守るために手伝いたい」と言って、活動家になることを夢見ているようです。

ベスーンは今後、ニュージーランドの社会に少なからぬ影響を与える人物になりうるかもしれません。
謀略家、ワトソンも彼の役割を考えていることでしょう。

佐々木記者が特にカルトについて詳しいとも思えないのですが、わたしが何年もホームオブハート裁判に付き合って、教えてもらったり本を読んだりして知ったカルトの特徴を実にうまく捉えたと思います。

カルトが社会と摩擦を起こしたときに、普通の人は問題について客観的事実や、科学的な根拠でカルト内部の人の考えを変えることが出来るだろう、と考えます。
というよりも、それ以外に改宗を迫る方法がない。

事実の前には騙されていたとしても、考えを改めざるを得ないだろう、と誰もが考えます。

これで、簡単に考えが変わればカルト問題なんて起きないと思います。
客観的に騙されている、と証明されても「わたしの信仰が足りないから」といった方向に行ってしまうのです。

カルト内部の人のやることは、一般的に話が繋がっていません。
だから、前の日に理解した事を翌日にはひっくり返す。
自分自身の考えよりも、教義などが正しいのです。

カルトでは、リーダーの見解が最優先ですから、個々の信者を説得しても、すぐにリーダーにひっくり返されます。
そして、カルトのリーダーの考えそのものが、社会的には認めがたいものですから結果として、カルトは集団として社会と摩擦を起こします。

ワトソンは、ベスーンをシーシェパードから除名していますが、すでにコロッと変わって「法廷戦術だった」などと言っています。

カルトの一つの側面として

  • 約束を守らない(もっと優先することがある)
  • 社会生活上のルールについても同じ(犯罪の実行も含めて法規範がない)
  • 追い詰められるのが組織強化だと思っている。
こんなところがありますが、ワトソンに当てはめると、一直線といった感じで、シーシェバードはテロ的なカルト集団、と言えるでしょう。

と言うことは、今後シーシェパードの発言自体を信用してはいけないです。
何を言い出すか、やるか予測が付きませんから、信用すると社会が振り回されてしまいます。
カルトが極端なことを言うと、どういうわけかお金も集まったりするものなのですよね。
ベスーンが失った、アディ・ギル号をワトソンは寄附させたと言えるわけですから。

7月 10, 2010 at 01:35 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2010.07.08

学者同士の名誉毀損事件ではあるが

読売新聞より「東北大、学長が教授を提訴…論文で全面対決

論文に不正があったという告発文を、個人のホームページ(HP)に掲載されて名誉を傷つけられたとして、東北大の井上明久学長らが、HPに掲載した同大の大村泉教授ら4人を相手取り、1650万円の損害賠償などを求める訴えを仙台地裁に起こした。

井上学長らは、謝罪広告の掲載やHP上の告発文の削除も求めている。

原告側の弁護士によると、大村教授らは昨年10~12月、井上学長と同大の横山嘉彦准教授が1996年と2007年に共同で執筆した金属ガラスに関する論文2本について、データの改ざんや捏造(ねつぞう)があったとする告発文をHPに掲載。
井上学長らの社会的評価を失墜させた、としている。

井上学長の研究を巡っては、大村教授らが09年10月、「07年の論文などに改ざんの疑いがある」と同大に告発したが、受理されなかった。

大村教授らはさらに、今年6月下旬にも井上学長が日本金属学会の論文賞を受賞した99年の論文にも捏造があるとして、同学会理事会に授賞取り消しを申し入れた。

大村教授は

「学術的な説明を求めただけなのに、名誉棄損とは理解に苦しむ。訴えには全面的に争う」
とし、不当提訴として反訴する方針だ。

(2010年7月8日10時24分 読売新聞)

う~ん、特に舞台がHPということで「ネット上の表現の自由問題」と捉えることができますが、その一方で、学者同士の意見の衝突が裁判沙汰になった例としては「中西裁判」を思い出します。

中西裁判では環境問題の専門家として互いに認める二人の学者の学術上の見解について、表現の仕方が名誉毀損に当たるのか?という事件でした。
わたしは、被告である中西先生の応援をしたのですが、学問上の発表について意見の相違は学問上の議論として戦うべきであろうという比較的単純な考え方でした。

今回の東北大学を舞台にした事件は、ちょっと不思議なことに、原告と被告の専門分野がまるで違っていることです。
記事にあるとおり、問題となった論文はどう見ても工学系の論文ですが、HPで告発した大村教授は、経済学の先生です。

要するに、大村教授のコメント

「学術的な説明を求めただけなのに、名誉棄損とは理解に苦しむ。訴えには全面的に争う」
とは専門分野の争いではなくて、研究者あるいは教育者としての、態度について「告発」した物らしいです。

「井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)」というHPがあったようです。
http://sites.google.com/site/httpwwwforumtohoku/Home

これをざっと読んでも、「告発者」は自分の手の届かない研究内容について、他の研究者の結果などを引っぱっていますが、これでは「トンデモ本の手法」でしょう。
「「研究者の作法」に合致しない、というのが主張の根幹なのでしょうが、それは「告発」者があきらかにできる範囲のことだったのだろうか?

なぜ自らは詳細部分については、説明できないような範囲で「告発」をしたのか?という動機の問題になるが、普通に考えて学内の権力争いと見るのが普通だろう。

というわけで、これは「表現の自由」問題以前の争いなのかもしれない。

7月 8, 2010 at 12:32 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.07.06

高校生二人水死、一年がかりで事件になった

NHKニュースより「高校生水死 過失致死で送致へ

去年7月、東京・大田区の多摩川で、川遊びをしていた男子高校生2人がおぼれて死亡した事故で、警視庁は、いっしょにいた同級生の少年と少女が、2人の背中を押して川に落として死亡させた疑いが強まったとして、近く過失致死の疑いで同級生2人の書類を家庭裁判所に送る方針です。

この事故は、去年7月、東京・大田区の多摩川で、いずれも私立高校1年生で16歳の男子生徒2人が川に転落しておぼれて死亡したものです。

警視庁は当初、2人はいっしょに川遊びをしていて、1人が川に飛び込んでおぼれたところをもう1人が助けようとして2人ともおぼれて死亡したものとみていました。

しかしその後、2人といっしょに川で遊んでいた同級生の携帯電話に、死亡した生徒の背中を別の生徒が押している動画が残されていたことがわかり、警視庁が当時の状況についてあらためて同級生から事情を聞いたところ、いっしょにいた同級生の少年と少女が死亡した2人の背中を押して川に落としたことを認めたということです。

警視庁は、同級生の少年と少女が男子高校生2人を川に落として死亡させた疑いが強まったとして、近く過失致死の疑いで同級生2人の書類を家庭裁判所に送る方針です。

事件のあった場所は、わたしが小学校から就職するまで住んでいた大田区矢口の工場街です。

もちろん、遊び場であってよく知っているところですが、テレビニュースで見ると護岸工事のために水に落ちると上がれないのですね。

それにしても、落とすところをムービーで撮っていながら、救助努力をロクロクしていないように見えるのはなんとも分からないです。

7月 6, 2010 at 08:05 午前 事件と裁判 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.07.03

裁判員裁判無罪判決に検察控訴

朝日新聞より「検察、裁判員無罪判決で初の控訴へ 千葉の覚せい剤密輸

2010年7月3日3時2分

裁判員裁判で被告を全面無罪とした6月22日の千葉地裁の覚せい剤密輸事件の判決について、検察当局が東京高裁に控訴する方向で検討を進めていることが分かった。

週明けに正式に決める。裁判員裁判で検察が控訴すれば全国で初めてとなる。

検察内部で協議した結果、今回の事件でも間接的な証拠は多くあり、裁判官だけで審理する控訴審では有罪が得られる可能性がある、との判断に傾いた。

無罪を確定させれば、同じような事件での有罪立証のハードルが高くなるとの懸念があり、今後の捜査への影響も考慮したとみられる。

裁判員裁判で初の全面無罪判決を言い渡されたのは、覚せい剤取締法違反などの罪に問われた神奈川県相模原市の会社役員の男性被告(59)。

昨年11月に被告がマレーシアから成田空港に到着した際、ボストンバッグに入れたチョコレート缶3缶に、合計約1キロの覚せい剤を隠して輸入しようとしたとして起訴された。検察側は懲役12年、罰金600万円を求刑していた。

争点は、被告に違法な薬物を運んだ認識があったかどうかだった。

「別の覚せい剤密輸事件で日本で裁判中だった人物から、偽造旅券を日本に運ぶよう頼まれ、30万円の報酬を約束された。チョコレート缶はマレーシアの委託者から、土産として他人に渡すよう頼まれて預かった」
とする被告の供述などから、判決は
「缶の中に違法な薬物が隠されていると被告が分かっていたとまではいえない」
と結論づけた。

検察側は、缶が不自然に重いことや、税関での検査時に白い結晶が発見されて

「これは何だと思うか」と質問され、「見た目から覚せい剤じゃねえの」
と答えたことなどから、違法薬物が隠されていることを認識していたはずだ――と主張していた。

判決後の裁判員の記者会見では、無罪とした理由について、

被告の犯行を裏付ける客観的な証拠が欠けていた
ことを指摘する意見が相次いだ。

裁判員裁判で検察はこれまで、主張する罪名通りに認定されなかったり、求刑の半分以下の年数の懲役刑の判決が出たりしても「市民の判断を尊重する」として控訴しなかった。

東京地裁立川支部では6月、被告の一部の罪が初めて無罪とされたが、捜査の不十分さを認めたうえで控訴を見送った。

何かヘンな印象を受ける記事ですなあ~。

この被告には、偽造旅券に関わった件について有罪の判決が出ているようです。

裁判所(裁判員)の判断は、

被告の犯行を裏付ける客観的な証拠に欠けている
つまり、客観的な証明をしなさいよ、という意味であったのだが、検察が控訴する理由は、
と答えたことなどから、違法薬物が隠されていることを認識していたはずだ
ということだそうです。
ここが二重の意味でおかしい。

裁判所が客観的に証明されていない、としたのがこの部分であるとすると、検察の主張は、客観的に証明されているその理由は、ということではなくて客観的に証明する必要性があるほどのことではない、と言っていることになる。

これでは、議論としてかみ合っていない。

次に、裁判所がなぜ「客観的証拠が無い」と言ったのかを考えると、検察の主張する「被告がこう言った」という客観的証明は、録音録画を証拠として提出すれば良いだけの話だろう。
捜査側が、証拠を出し損ねて無罪になることは大いにあり得る事だろう。そういうことも含めて、「証拠が無い」のであって「心証が真っ黒だから客観的証拠は必要ない」とか「以前はこの程度の証明で有罪にできた」では、時代の変化について行けないだろう。

指紋の発見や、血液型の発見は、犯罪捜査を大いに進歩させたが、採用当時は客観的証拠たり得るのか、という議論が盛んであったそうだ。
このようにして、社会は進化してきたのであって、検察の主張は「今までのやり方でなきゃイヤだ」とダダをこねているレベルではないのか?

結局は、この話は「取り調べの録音録画の義務化」の阻止のための無理筋控訴だとわたしには見える。

7月 3, 2010 at 10:22 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.29

郵政不正事件・最終弁論

毎日新聞より「郵便不正事件:被告側、冤罪主張し結審…9月に判決

2010年6月29日 19時22分 更新:6月29日 19時26分

郵便料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、障害者団体と認める偽証明書の作成を部下に指示したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長(54)=休職中=の公判が29日、大阪地裁(横田信之裁判長)で結審した。

弁護側は最終弁論で

「検察は被告が関与したとする構図をあらかじめ立て、強引な取り調べで関係者に認めさせた。冤罪(えんざい)は明らか」
と主張。被告は
「一日も早く無実が明らかになり、普通の生活がしたい」
と意見陳述した。
判決は9月10日。

この事件では、大阪地検特捜部の取り調べに問題があったとして、横田裁判長が検察側の証拠の中核である重要な供述調書を証拠採用しなかった。
被告に無罪が言い渡される公算が大きい。
検察は懲役1年6月を求刑している。

最終弁論で、弁護側は

「被告は(証明書を発行する)最終決裁権者。正規に証明書を発行することも可能で、偽造を指示する理由などない。荒唐無稽(こうとうむけい)な構図だ」
と、検察側主張の矛盾を指摘した。

検察側は証明書の発行は、石井一・民主党参院議員(75)から厚労省元部長に口添えがあった「議員案件」と主張する。

弁護側は

「石井議員も厚労省元部長も公判で口添えを否定しており、何の証拠もない」
と反論。
「強引な取り調べや誘導で構図に沿う調書の作成に力を注ぐ一方、被告の無実を裏付ける客観的証拠は無視した」
と特捜部の捜査を批判した。

【日野行介】

弁護人は、弘中淳一郎弁護士です。さすがに「カミソリ弘中」だと感じました。

被告は(証明書を発行する)最終決裁権者。正規に証明書を発行することも可能で、偽造を指示する理由などない。荒唐無稽(こうとうむけい)な構図だ

確かにこの通りで、検察側が全ての主張の前提として、この点を証明する必要があったでしょう。
本物があるのに、なぜニセモノを作ったのか?という極めてありそうにない事件です。
こんなに珍しい事について、どうも検察には主張がないわけで、証拠採用されなかった内容のほとんどが「局長がやった」といった種類のものですが、全部ひっくるめて「なぜ?」の説明がありません。

どんな事件でも、理由の説明はあるわけで、この事件ではどう説明するつもりだったのでしょうか?
そういう意味では、これは刑事事件といえるものなのか?

6月 29, 2010 at 08:04 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

交通事故裁判・高裁で、逆転無罪というのだが

東京新聞より「交通死亡事故で逆転無罪 「注意義務認められず」

トラックを運転中、バイクと衝突し男性=当時(37)=を死亡させたとして自動車運転過失致死罪に問われた京都府八幡市の男性(37)の控訴審判決で、大阪高裁は29日、罰金30万円とした一審木津簡裁の有罪判決を破棄し、無罪を言い渡した。

判決理由で上垣猛裁判長は

「被告に注意義務は認められず、一審判決は証拠を見誤った」
とした。

判決によると被告の男性は2008年1月、京都府城陽市の三差路をトラックで右折中、右後方から走ってきたバイクと衝突。
バイクの男性は路上に転倒し全身を強く打って死亡した。

上垣裁判長は、トラックの右折のウインカーを確認した後続車が停止できたことや、さらに後方にいたバイクが制限速度を超えてトラックを追い越そうとしていたと指摘した。
(共同)

この記事を読むと、

三差路をトラックで右折中、右後方から走ってきたバイクと衝突。

となっていますから、いきなり右折したから追突した、と読めますが、
トラックの右折のウインカーを確認した後続車が停止できたことや、さらに後方にいたバイク
というのですから、この右折中のトラックに何が出来たのでしょうか?「注意義務違反は認められない」と当然の判決が出たと言うべきでしょう。

逆転というよりも、異常な一審判決、という種類のものではないだろうか?

6月 29, 2010 at 01:12 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.06.23

郵便制度悪用事件・検察論告

東京新聞より「元局長に懲役1年6月求刑 厚労省文書偽造事件

2010年6月22日 21時29分

郵便制度悪用に絡む厚生労働省の文書偽造事件で、虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた元局長(54)=休職中=の公判が22日、大阪地裁であり、検察側は

「元局長の指示か了解がなければ、偽造は実行不可能だった」
として懲役1年6月を求刑した。

横田信之裁判長は5月の公判で、検察側が立証の柱としていた元係長(40)=公判中=の捜査段階の供述調書15通をすべて証拠採用しないことを決めており、元局長が無罪となる公算が大きくなっている。

検察側は論告で、当時の厚労省が、民主党の石井一参院議員の口添えによる「議員絡みの案件」として偽造証明書作りを組織的に行ったと指摘。

捜査段階で元局長の関与を認めた元係長が「単独でやった」と法廷で証言したことについて

「1人でリスクを冒す必要性はなく『上司にとがめられない』という確信があったはずだ。法廷証言は不自然で荒唐無稽ともいえる」
と、信用性を否定した。
(共同)

1人でリスクを冒す必要性はなく『上司にとがめられない』という確信があったはずだ。
法廷証言は不自然で荒唐無稽ともいえる

いくら何でも、この論告はないと思いますよ。

「○○が無いのだから、××があったはずだ」というのは刑法の概念としてアウトですよ。
こんな論告には反論のしようがない。

荒唐無稽であろうが、信じがたい事であろうが、事実(真実ではないかもしれないが)を示して戦うのが裁判です。

事実はないが、信じられないから、否定する。というのは、本来必要ないことだし、検察側が、被告側証言を否定するのは当然であるから、理由を特には必要としないでしょう。
否定する合理的な事実を示すのであれば、意味があるけど事実が無く、不自然だと考えるでは、いわば失敗の糊塗です。

いったいどういう事になっていくのでしょうか?

6月 23, 2010 at 12:51 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.18

柳ケ浦高バス事故・判決」

朝日新聞より「柳ケ浦高バス事故、運転の元副部長に2年6カ月の判決

大分県日出(ひじ)町の大分自動車道で昨年7月、全国高校野球選手権大分大会の開会式に向かっていた柳ケ浦高校(同県宇佐市)の大型バスが横転し、野球部員38人が死傷した事故で、自動車運転過失致死傷の罪に問われた元野球部副部長(27)の判決公判が18日、大分地裁であり、西崎健児裁判官は禁固2年6カ月(求刑禁固3年6カ月)を言い渡した。

判決によると、元野球部副部長は昨年7月11日午前8時半ごろ、部員46人を乗せた大型バスを運転し、制限速度40キロの左カーブを時速80~90キロで走行。
バスはバランスを崩して道路側面に衝突して横転し、2年の吉川将聖さん(当時16)を死亡させ、37人にけがを負わせた。

検察側は、不破被告の無謀運転の結果は重大で悲惨で、被害者の処罰感情が大きいと主張しており、弁護側は、バスにシートベルトがついていなかったことや学校側の安全運転指導が不十分だったとして執行猶予付きの判決を求めていた。

この事故は、台風の影響で大雨のインター出口での事故だったと思います。

なんか、たまたま大型免許を持っていたから部員を乗せるバスの運転手もやっていたとかで、ちょっとずつの不十分が積み重なって、事故になったという印象があります。

結果はかなり重大ですが、ドライバー一人に責任を全部課して良いのかな?と感じるところがあります。

6月 18, 2010 at 02:42 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

都筑区の看護師3名死亡事故の裁判始まる

サンケイ新聞より「起訴内容を一部否認 横浜の3人死亡事故初公判

横浜市都筑区の市道交差点で昨年6月、乗用車同士が衝突し、信号待ちの看護師の女性3人が巻き込まれ死亡した事故で、自動車運転過失致死傷罪に問われた川崎市宮前区の少年(19)の初公判が18日、横浜地裁(小池勝雅裁判長)で開かれた。

少年は罪状認否で、3人を死亡させたことなどは認め「申し訳ない」と述べたが、「信号を無視したのではなく、黄色信号で交差点を通過できると思った」と起訴内容を一部否認した。

起訴状によると、少年は昨年6月1日夜、交差点の手前約45メートルで黄色信号を見たのに停止せず、時速約70キロで直進し、右折しようとした対向車と衝突。

弾みで歩道に突っ込み、信号待ちをしていた看護師の女性3人をはねて死亡させ、対向車の男性に軽傷を負わせたとしている。

この記事に出て来る看護師は、事故現場に事実上面している昭和大学横浜市北部病院に勤務していました。
病院内に「危険運転致死罪の適用を求める」というチラシがあって、チラシには報道されていなかった事実が書かれていました。

神奈川新聞より「都筑区3人死亡事故から1年…「危険運転」適用求め署名9万2000人/横浜

2010年5月31日

横浜市都筑区の市道交差点で当時18歳の少年=自動車運転過失致死傷で起訴=の乗用車が、信号待ちをしていた女性看護師3人をはね、死亡させた事故から6月1日で1年が経つ。

30日には、より刑罰の重い危険運転致死傷罪の適用を求める遺族ら15人が、事故現場と近くの横浜市営地下鉄センター南駅で経過報告を兼ねた署名活動を行った。
遺族らがこれまでに集めた署名は約9万2千人になる。

遺族らは午前10時前に事故現場の交差点に集まった。花を手向け、そろいの黄色いシャツ姿で、駅前と事故現場で署名を呼び掛けた。

用意した千枚のビラには、危険運転致死傷罪の適用を求める遺族の思いが書かれていた。

事故で亡くなった加藤智子さん=当時(43)=の義兄、可児直行さん(49)は

「署名に集まった9万2千人という数字は、とてつもなく重い。
この事故が危険運転ではなく単なる交通事故で終われば、次の抑止にもならない」
と理解を求めた。

亡くなった岩山典子さん=当時(49)=の妹(44)は「本当に苦しい1年だった」と振り返り、「亡くなった3人の、事故をしっかり伝えてほしいという強い思いがこの数字になった。10万人を目指したい」と懸命に署名を呼び掛けていた。 

加藤智子さんの母親は「娘の部屋に入りたくない」と遺品はそのままにしている。智子さんの義兄の可児直行さんは「寂しさは計り知れない」と義母の心境を代弁した。

配ったビラに

少年は、ブレーキ操作をするはずの右足の指を骨折し、サンダルを履いて左足で運転していた。赤信号も無視した
と記した。
遺族は事故の詳細を捜査で知った。あまりにも無茶な運転に衝撃を受けた。
「無謀運転による、特殊な事故」
と、可児さんには思えてならない。

6月1日に開かれる公判前整理手続きで同月中旬の初公判が決まる。

「ルールを守らない運転が許され、今後も横行していいのか、と問いたい」
。被害者参加制度を活用し、加藤さんともう一人の遺族が法廷で意見陳述する予定だ。

危険運転致死傷罪の適用を求め、起訴後の昨年7月から署名活動を続けてきた。ほかの交通事故遺族や、亡くなった3人が看護師として過去に受け持った患者が協力した。罪名変更はなかったが、可児さんはあきらめ切れない。

可児さんは署名を公判で提出する予定だが、それ以外でも、法改正を要望する際にも活用させたいと考えている。「同じ悲しみをほかの人に味わってほしくない」。それが唯一の願いだ。

◆都筑区の3人死亡交通事故 昨年6月1日午後9時35分ごろ、横浜市都筑区茅ケ崎中央の市道交差点で乗用車2台が衝突。弾みで歩道に乗り上げた少年(18)の車に、信号待ちをしていた女性看護師3人がはねられ、死亡した。県警は計4人を死傷させたとして、自動車運転過失傷害容疑で、少年を逮捕。家裁から検察官送致(逆送)され、昨年7月に同致死傷罪で起訴され、公判に向けた手続きが進められている。

左足で運転していた、と言うのはチラシで見たときにビックリしましたが、だとすると今日の地裁での「信号を無視したのではなく、黄色信号で交差点を通過できると思った」と言うのは、信用できませんね。

むしろ、左足でアクセルを踏んでいるのだから、反射的にブレーキを掛けるつもりで踏み込んだ、と解釈する方が妥当でしょう。

あの事故は、交差点を直進する少年の車と、右折発進したばかりの車の衝突ですから、直進車がちょっとでも減速すればあれほどの暴走事故にはならないだろう、と当初から感じていました。

これを、ブレーキではなくてアクセルを踏んだから、と見ると納得出来るところです。

そうなると、このような結果をもたらす、「右足でアクセルが踏めない」状態で車を運転したことが、危険運転致死罪に当たらないのか?という被害者家族の意見はもっともだとなりますが、危険運転致死傷罪は

第208条の2(危険運転致死傷)

アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。

2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。

赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。

まとめると、

  • 泥酔運転
  • 暴走
  • カーチェイス
  • 赤信号への意図的突入
が対象だから、左足運転なんてのは対象にならないと言うことなのでしょう。

まあ、いわば法の不備と言って良いでしょうね。

6月 18, 2010 at 01:32 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.17

岡本倶楽部事件・藤森弁護士の調査

岡本倶楽部事件は、突然警察の捜査が入り、破産申立があり、大規模弁護団が結成されるという、多少はこの種の事件の進行に知識があるわたしとしても「あれよあれよ」でありました。

藤森克美弁護士のHPに現在に至るまでの、岡本倶楽部の状況についての説明がありました。

2007/2/20株式会社岡本ホテルシステムズが損賠請求訴訟で請求認諾
藤森弁護士のHPに最初に登場する事件です。
  1. 2006年1月30日に被害者は岡本倶楽部に入会
  2. 翌日事件報道があり、解約を求めたが拒否された。
  3. 2006年4月6日不法行為で提訴。
  4. 2007年1月24日、岡もの倶楽部の認諾によって事件解決
この間に、藤森弁護士は
預託金集めが出資法に抵触していると考えています。
又、数年先の償還期に果たして多数の会員に元金が返還されるのか、危惧しています。
と書いています。
2010/5/26岡本倶楽部へ入会し、お金を預託した会員の皆さんへ
  1. 私の事務所のHPで2007年2月20日に取上げ、危惧していた岡本倶楽部預託金の償還期限である2010年4月が過ぎ5月に入ってしまいました。
    私の「危惧」は「杞憂」に終らず現実のものとなっております。会員預託者から委任を受け、2010年2月、3月に静岡地方裁判所と東京地方裁判所に会社と役員等を被告として損害賠償請求の集団訴訟を起こしております。
  2. また、私の依頼者である熱海岡本ホテルグループの取引先であった3社(熱海市、伊東市)は、2009年4月と2010年1月、静岡地方裁判所沼津支部で訴訟上の和解を成立させ、債権の回収に当って来ましたが、A社については14回分割中の10回目の2010年1月末の一部支払いを最後に支払いが止まりました。
    B社については21回分割中の3回のみ、C社についても21回分割中の4回中の一部支払いが止まりました。

    A社については日本産業株式会社(代表取締役:岡本久美子氏)、株式会社オカモト(代表取締役:大東順子氏)、株式会社鈴幸(代表取締役:藤井恒男氏)が債務者で、訴訟上の和解においてはそれぞれの代表取締役が連帯保証人となりました。
    分割の支払いが止まったため、連帯保証人の銀行口座があると思われる口座の差押を試みましたが、殆ど空振りでした。
    そこで代表取締役1人につき個人名義の不動産があることが判ったので、競売申立をしましたところ、一足先の3月18日に神戸市の会社に名義変更されており、功を奏しませんでした。
    1. 以上の事実から、皆さんの預託金の運用先である岡本ホテルグループの支払不能は明らかであり、運用先から株式会社オー・エム・シーへの債権回収が困難となれば当然株式会社オー・エム・シーから皆さんへの預託金等の返還が困難となるのは必至です。少しでも多く被害回復を得るためには、株式会社オー・エム・シーの資産の保全が必要です。紆余曲折はあったのですが、同社より5月13日に第1~3期分の決算報告書が私の事務所にFAXされて来ました。
    2. 貸借対照表(第3期)によれば、「負債の部」「預かり金会員」科目で、2009年9月30日時点において「191億8340万円」とあることから、株式会社オー・エム・シーが岡本倶楽部会員7854名から集めた預託金は、上記金額であることが判明しました。
    3. これに比し、同期の「資産の部」「有形固定資産」は、「80億8909万9351円」(上記預託金の42%程度)であり、資産を全部処分しても到底191億8340万円の預託金債務を支払うことはできないと判断できます。更に第1~3期とも赤字決算で、繰越損失は殖え続けているもので、入会者に支払を約束した残ポイントの買上げを実行できる能力はないし、元金を返済する能力が無いことも判断できます。従って株式会社オー・エム・シーが株式会社岡本ホテルシステムズを引継いだ直後から、毎年の残ポイントの買上げも、2010年4月からの元金返済の能力もその意思もなかったことは明らかであり、株式会社オー・エム・シーが会員募集に際して使用した「資産価値を踏まえ、万一の場合でも全員に返金できるだけの人数しか募集を行っていません」との説明は、不実であると判断できます。
    4. また、同期「資産の部」「投資その他の資産」中の「長期貸付金」が「39億7988万5572円」(上記預託金の20%程度)であり、その主な貸付先が岡本倶楽部のオーナー・幹部らになっており、株式会社オー・エム・シーを中継して入会者のお金がオーナーや幹部に流れたと見るのが自然であります。
    1. そこで、株式会社オー・エム・シーの資産を保全し、公正な配当と関係者の責任追及をする方法としては債権者(被害者)申立による破産、株式会社オー・エム・シーとグループ会社の役員や幹部等の民事責任の追及、刑事告訴・告発しかありません。そこで、私は被害対策弁護団を結成し、岡本倶楽部に入会し、お金を預託した皆さんに、当弁護団が提起しようとしている被害対策活動に参加していただくことを提案します。
    2. 具体的には、私に従前依頼のあった12名の方が申立人となって、5月21日、東京地裁破産部に破産手続開始申立書を提出し、受理されました。裁判所からは予納金1000万円を納付するよう指示されております。被害者が数多く当弁護団の活動に参加していただき、予納金の分担に協力して下さることを希望します。
2010/6/12010年5月31日,東京地裁で(株)オーエムシー,オーナー,役員ら11名に賠償命令の判決おりる!
  1. 私が担当し,2010年3月24日付で東京地裁に岡本倶楽部の被害者4名(神奈川在住3名,東京在住1名)が(株)オーエムシーとオーナー,役員ら合計11名を被告として実被害と弁護士費用合計5513万0826円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していた事件の判決が,5月31日午後1時30分,民事18部合議係(植垣勝裕裁判長)で,原告全面勝訴の判決が言渡されました。
    認容額は5513万0826円全額です。
  2. 第1回口頭弁論期日が5月24日午後1時30分にあり,被告らからは答弁書の提出が無く,法廷への出廷もなかったために終結され,5月31日の判決に至ったものです。
    欠席裁判とは云え,(株)オーエムーシーに対する勝訴判決を得たことにより,同社に対する破産開始決定の申立の審理にはずみが付くことになります。

このような経緯を経て、破産申立に至ったことが判ります。
一見、普通の会社の乱脈経営事件のような印象を受けますが、裁判に応じない、会計監査に通りそうもない、といったことを考えると普通の会社ではないですね。

このような様子を見ると、大事件になるかと思います。

6月 17, 2010 at 10:50 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

全国岡本倶楽部被害対策弁護団発足

「全国岡本倶楽部被害対策弁護団」で紹介した「被害者説明会」が予定通りに開催されて、その報告が出ています。

紀藤弁護士のブログより「全国岡本倶楽部被害対策弁護団の説明会 補足説明

岡本倶楽部被害の説明会

午後7時の開場前から被害者があふれ、急きょ、2回に分けて説明会を開きました。

日弁連会館最大のホールである「クレオ」が、2回ともほぼ満員となり、優に 1000人以上が、来られたと思います。

被害者の皆さんの関心事は、主に

  1. ①いくらぐらい戻ってくるのか?
  2. ②弁護士に依頼する意味は?

ということであったと思いますが、①については、現状では明確にお答えできませんが、できるだけ努力するということに尽きます。

この点、ただ漫然と、管財人に債権届け出をするだけで、努力しなければ、得られるであろう金額が減るだけです。
今後の手続が、個々人で債権届け出を出すだけなら、弁護団は不要に見えます。

しかし弁護団は静的な組織ではありません。弁護団は、単に破産債権届け出を出すだけでなく、管財人に協力して資産をあぶり出し、被害回復につなげる努力や、役員や幹部に対して、破産とは別に、民事の損害賠償請求をすることも視野に入れています。警察との折衝なども行っていきます。

そして1人の被害者の力では、今後必要となる管財人折衝、警察折衝、行政折衝などの力を持ち得ません。
まさに多数の被害者が結集した弁護団が必要なゆえんです。

2回目の説明会の会場で、弁護士に頼まなくとも、自分でできるのではないかのような御質問がありましたが、これは弁護団の活動に対する②の内容の誤解に基づくものです。この点、説明不足をお詫びします。

弁護士に依頼する意味は、努力によって、将来の可能性を広げる作業です。

この点を、誤解なきようお願いします。

弁護士費用の説明も求められましたが、着手金の2万、3万、4万円という額は、実費も含めたもので、とても良心的だと思います(通常の法律相談料さえ、1時間1万円です。)。

被害者の方は、岡本倶楽部側が、その保身から流す情報(有志6人による手紙が、被害者に送付されてきていますが、個々の被害者が知るはずもない、宛先の顧客情報はどこから入手したのでしょう。
その郵送費用は誰が負担したのでしょう?80円×5000人=40万円かかります。)に惑わされず、破産決定、暴力団担当の警察が捜査しているという現実を踏まえ、まさに御自分の判断で、弁護団への依頼判断をしていただければと思います。

岡本倶楽部側の工作というのは初めて知りましたが、それでちょっと調べてみると、坂井崇徳弁護士のブログより「全国岡本倶楽部被害対策弁護団」文責: JackDaniel: 10/06/12 23:45

僕は東京弁護士会の消費者問題特別委員会の副委員長をやっているのですが,先日の正副委員長会議で全国岡本倶楽部被害対策弁護団を発足する必要が述べられ,先般有志が集まって相談した結果,弁護団を作ることになりました(団長:青木秀樹弁護士(第二東京弁護士会所属),事務局長は一応僕です)。

この岡本倶楽部の被害者については,強制捜査が入るまではほとんど消費者相談がなかったのですが,新聞報道されるようになって,110番をやったら電話が鳴りっぱなし,全くかからない状態になってしまうくらいの反響がありました。

今でも毎日5~60件の問い合わせが東京弁護士会だけできているようです。被害者は8000人とも言われておりますが,この電話のかかりかたはちょっと普通ではないです。

もしまだ岡本倶楽部の被害者の方で弁護団に参加していない人がいらっしゃれば,6月16日7時30分から霞ヶ関弁護士会館内のクレオで東京三弁護士会が主催して行う被害者説明会に参加され,弁護団の説明を聞くか(資料配付予定),参加しなくてもhpから問い合わせをして弁護団に参加されたらどうか,と思います。

この弁護団は東京三弁護士会の消費者委員会委員長を含むメンバーで構成された弁護団です(もっとも,弁護士会が直接特定の弁護団と提携するわけにはいきませんから,あくまで公式には無関係です。霞ヶ関のクレオを使った説明会を弁護士会でやってもらうなどの間接的な支援を受けているにとどまります。細かく説明するといろいろ面倒なのです・・・)。

昔は消費者被害の弁護団を作るというのは広告禁止規定があったことなどもあり,このような弁護士会が事実上支援するような弁護団しか成立し得なかったのですが,最近は広告規定が緩和されhpで事実上の顧客集めができるようになったからなのか,事実上単一事務所の作る弁護団というのが増えています。

なので,他にも弁護団というのがあるのが普通になってきましたので,一応情報提供です。

ちなみに自分でアップするのは面倒なのであれですが,リンク総合法律事務所の紀藤弁護士のブログに最新情報が載りがちです。

また,静岡の方で藤森弁護士という弁護士がやっている弁護団(昔の日弁連の消費者委員会の委員長経験があるそうですが,事実上お一人でやられているようです)のhpの情報が先行しているので詳しいですが,当弁護団でも徐々にキャッチアップしていくつもりです。 また,他にも弁護団はあるとの噂も聞きます。

時代は変わりました。弁護団を選ぶのも一苦労です。

 

頂いたコメント

1 : JD : 10/06/15 13:01 ID:???

岡本倶楽部会員をまもる会とか,その他の直接連絡が来るものは全て岡本倶楽部側のリストを使用している可能性が高いわけですから,基本的にはオー・エム・シーその他の岡本倶楽部側の破産防御や詐欺性減弱の為の工作の可能性もあります。

もしであれば,情報としてPDFなどいただければ幸いです。

2 : Anonymous : 10/06/15 12:50 ID:???

先日の相談日(7日)に電話して相談をしました。弁護団も熱海もあるようですね 何も分からない私は、どの弁護団に登録したらいいのか考えてしまいます。

昨日、岡本倶楽部会員をまもる会(仮称 有志の会)から手紙が来て倶楽部存続のために向けて・・・となんだか訳がわかりません。

全国岡本倶楽部被害対策弁護団結成!」文責: JackDaniel: 10/06/17 08:34

全国岡本倶楽部被害対策弁護団結成へ。

この前のエントリーでhpにリンクしたら,作成中なのに勘弁してくれと言われてしまいましたので,改めてここでリンクを張りますが,昨日上記被害者説明会があり,弁護士会が全面バックアップしますとの理事者のコメントとともに弁護団を結成すること,その応募方法についてなどを発表しました。

700人以上収容できる霞ヶ関の弁護士会館内の会場,通称クレオで行いましたが,当初予定していた2倍以上の人が押しかけ,1700人ほどがきていたようです。

1時間以上前から人がたくさん押しかけていたために,会場を1時間ほど早めて何とか混乱を乗り切りました。

早く始めすぎてしまったために団長もまだきておらず,人が多すぎるため,急遽二回制にして入れ替えで行うことになりました。ご協力いただいた方はありがとうございました。

もっとも,質問者の中には費用が気になる,結局弁護士に頼んでも同じではないのかというような質問を何度もされる方もいて,どうやら後から聞くと被害者の有志の方のようでもあり,なかなか信用して,みんな被害者を団結して,というのは簡単ではないのかな。とも思いました。

説明は主に当職が行った部分も多く至らないところもあったかと思いますが,今後掲示板や被害者団体を名乗る方面からネット,電話,郵便などで混乱させるような情報もでてくるとは思います。

なるべく弁護団側からも情報を提供するようにして,出資法違反,おそらくは集団詐欺のような行為を行った岡本倶楽部を利するようなことがないように,責任をとれる人には責任をとらせるように,していきたいと考えています。

そのためにはまず被害者の皆さんの情報提供・弁護団参加が必要です。よろしくお願いします。

藤森克美弁護士のHPより「2010/6/16 岡本倶楽部有志の会(仮称)発足説明会には参加しないで下さい」

  1. 6月12日付で被害者の皆さんのもとに、岡本倶楽部有志の会(仮称)が、発足説明会のお知らせとして、「6月28日(月)~7月24日(日)期間中毎日開催(15:00~17:00)、開催場所:熱海岡本ホテル大宴会場」という案内が送られています。
  2. 当弁護団の活動に委任された方々は、決して参加しないで下さい。
    参加する旨のFAXをした方は、取消しのFAXを送って下さい。
    諸事情で取消しのFAX送付が困難な方は、当弁護団に申出て下さい。当弁護団が代りに取消しの FAXを送ります。
    弁護士に委任をするということは、弁護士を通して解決をするということですので、弁護団の方針に従っていただきますので、説明会には参加しないで下さい。
  3. 2007年暮れ、Aさんから委任を受け、藤森弁護士が(株)オー・エム・シーと交渉して、損害額全額を一括返済することで合意に達した後に、担当営業マンが被害者本人と直接交渉し、被害者を翻意させて、藤森弁護士を解任し、契約を続けた方が、今回の当弁護団の破産手続に参加しております。
    有志の会(仮称)の説明会に参加した場合、当弁護団の委任契約の解除を迫られることは必至です。
    前記Aさんが2次被害に遭ったように、有志の会(仮称)の説明会への参加が2次被害へと続くことを深く危惧します。
    絶対に参加しないで下さい。
  4. 裁判所が(株)オー・エム・シーの言い分も聴き、慎重に判断した結果が6月10日の破産手続開始決定です。当弁護団は裁判所、破産管財人、警察に協力して行動して行きます。
    当弁護団に依頼された皆さんには、岡本倶楽部側の作戦に惑わされることなく行動されることを要望します。

これでようやく昨日の状況が分かってきましたが、1700人ぐらい参加したというのはすごいですね、わたしは確か近未来通信の集会だったと記憶していますが、800人ぐらいの集会を見学して「わっ!すごい」と思ったのですが、その倍です。

集めてみないと、何人来るのか分からないのが被害者説明会で、二回に分ける、二会場に分ける、といったことをやると集会の運営問題に引っぱられて、肝心の説明がうまく行かなくなるというのは良く分かります。

しかし、よく分かるわたしは野次馬ですからそれで済みますが、被害者の方はそうもいかないわけですから、なんとか全体状況をご理解いただくしかないですね。

円天(L&G)事件は、捜査が入る以前からテレビが注目していて、広く報道されていたといって良いわけですが、円天の主催者(首謀者というべきか)の波会長は、テレビに積極的に出て事件になった後も「自分を信じて」と被害者の引き止め工作をしていました。

そして、どうも被害者の一部というか利益を得た人たちなのかしれませんが、相当数の人が捜査や被害者弁護団などを非難していました。

こういう点は、今までの大規模消費者被害事件で多く見られたことで、今回の岡本倶楽部事件も同じだと言えるでしょう。

全国岡本倶楽部被害対策弁護団のスタートは6月16日ですが、藤森克美弁護士が5月26日に岡本倶楽部被害対策弁護団への参加を呼びかけています。
これだけでも、けっこう分かりにくいですが、その上に岡本倶楽部側の工作のようなものがあるのだから、被害者の方はとても迷うでしょう。

6月 17, 2010 at 10:11 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.16

全国岡本倶楽部被害対策弁護団

紀藤弁護士のプログより「今日夜、全国岡本倶楽部被害対策弁護団が結成します。

本日の夜の説明会で、全国岡本倶楽部被害対策弁護団(弁護団長青木英樹=二弁)が、結成します。

ようやくですが、お待たせしました。

東京の3つの弁護士会の消費者問題対策委員会の有志約50人の弁護士が参加します。
紀藤は副団長に就任することになりました。

被害の全額回収が難しい情勢ですが、多くの被害者が結集することが重要です。
被害に泣き寝入りすることは、犯罪者に利益を温存させることにつながります。
被害に泣き寝入りせず、ぜひ弁護団に参加していただけることを、望みます。

岡本ホテル側の被害救済を妨害する動きも活発となっていますが、ぜひ騙されないように、ご注意ください。
今日の説明会で、弁護団の今後の方針なども、説明させていただきたいと思います。

全国岡本倶楽部被害対策弁護団

「岡本倶楽部のオー・エム・シー破算手続開始」で紹介した「被害者説明会 」が本日(2010年6月16日)19時半から霞が関の弁護士会館2階講堂クレオで開催されます。

これに合わせて、全国岡本倶楽部被害対策弁護団が起ち上がりました。

これを見ると、

弁護団長青木英樹弁護士(東京御茶の水総合法律事務所)
弁護団事務局リンク総合法律事務所内 全国岡本倶楽部被害対策弁護団
さらに、「東京の3つの弁護士会の消費者問題対策委員会の有志約50人の弁護士が参加」ですから、大規模消費者被害事件と言えます。

すでに、岡本倶楽部の運営会社であるオー・エム・シーには、消費者被害事件では有名な藤森克美弁護士が破算手続を申立、6月10日には破算手続が開始されています。

「元本保証」とやっているのですから、出資法違反は確実だろうと思いますが、詐欺に相当するのではないか?という印象があります。

岡本倶楽部の会員が、昨年9月末時点で7854人とされていますから、これらの人たちに会員としてのサービスの提供は無理だったのではないのか?と感じます。

岡本倶楽部のHPによると、現在も「第四次会員募集」となっていますね。
「ホテル紹介」のページには

岡本ホテルグループは2008年4月末日現在、
計11ホテルございます。
これからも全国へ展開してまいります。
となっています。

ベイサイドリゾート伊勢志摩岡本ホテル2009年8月オープン
熱海シーサイドヴィラ岡本ホテル2008年12月オープン
赤穂岡本ホテル呑海楼2008年10月オープン
芦原岡本ホテル2008年年7月オープン
旅籠おかもと2007年12月オープン
南箱根ダイヤランド岡本ホテル2007年12月オープン
伊東マンダリン岡本ホテル2006年11月オープン
下部夢の庄岡本ホテル2006年2月オープン
赤倉岡本ホテル2005年12月オープン
熱川岡本ホテル2004年10月オープン
熱海岡本ホテル1932年岡本旅館開業

これで見ると、熱海岡本ホテルは正に老舗なのですが、2007年から2009年までの1年8ヶ月の間に、6ヵ所をオープンしているのですね。
これらを見ると「全体としてはどうなっているのだ?」という印象が強くします。

6月 16, 2010 at 01:01 午後 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

運転免許証をコピーした事件

読売新聞より「採用面接、そのウラで免許偽造・高額商品詐取

架空の採用面接会に参加した求職希望者の運転免許証から偽造された免許証を使い、クレジット契約を結び、高額商品をだまし取ったとして、宮城、岩手両県警が、詐欺グループ4人を偽造有印公文書行使や詐欺などの容疑で逮捕していたことがわかった。

4人は既に仙台、盛岡地裁に起訴されている。

逮捕、起訴されたのは、住所不定、無職O(37)、F(31)、U(34)、U(44)の4被告。O被告は容疑を否認しているが、F、U、Uの3被告は認めている。

宮城県警幹部らによると、O、F、Uの3被告は2月23日、岩手県奥州市内の大型スーパーで、偽造運転免許証を店員に提示して分割払い契約をして、液晶テレビ1台(約10万円相当)をだまし取るなどした疑い。

U被告は24日、盛岡市内のスーパーで、同様の手口で高級ネックレス(約24万円相当)をだまし取るなどした疑い。

同県警は、だまし取った商品をリサイクル店に売って現金化していたとみている。

O被告らは、求人情報誌やインターネットなどで、架空企業の社員募集を行い、今年2月頃、盛岡市内のホテルなどで数回、採用面接会を開いた。

参加した求職者に身分証明のために運転免許証を提出させ、それをスキャナーで読み取り、顔写真を張り替えていたとみられる。

(2010年6月16日10時07分 読売新聞)

確かこの事件は、2~3日前に報道があったと思いますが、その時点では今ひとつわけが分からないので、採りあげませんでした。

この読売新聞の記事が正しいのだとすると、

  1. 取り込み詐欺を企画した
  2. 分割払いのために偽造運転免許証を用意することにした
  3. 運転免許証を偽造するために、全くの赤の他人の運転免許証をコピーしようと考えた
  4. そのために、架空の就職面接会を開催した
  5. 面接会の宣伝を、就職情報誌に掲載した
正直な話が信じがたい程手が込んでいる、と言わざるを得ません。
とは言え、こんな方法で逃げ切れると思っていたのでしょうか?

当然、免許証をコピーされた本人のところに、問い合わせが行くわけで、そうなればほとんど無い「免許証をコピーされた可能性があること」としてすぐに警察に情報が集まるでしょう。

これを大学生などが企画したのなら「世間知らずのバカ者」ですが、3~40歳代がやったというのが驚きです。

本当にこれだけの事件なのかなあ?

6月 16, 2010 at 11:14 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.11

岡本倶楽部のオー・エム・シー破算手続開始

朝日新聞より「岡本ホテル関連会社、破産手続き開始 出資法違反事件

静岡県熱海市の老舗(しにせ)ホテル「岡本ホテル」などを舞台に、預託金を不正に集めたとして出資法違反(預かり金の禁止)容疑で警視庁などに家宅捜索を受けたホテル会員権管理・販売会社「オー・エム・シー」(東京都中央区)について、東京地裁は10日、破産手続き開始を決定した。

被害対策弁護団が明らかにした。民間信用調査会社によると、負債は約198億円。

弁護団によると、同社は昨年9月末時点で会員7854人から約192億円を集めたという。

債権者の会員12人が5月、同地裁に破産手続き開始の申し立てをしていた。

新聞記事はえらく地味ですが、紀藤正樹弁護士のブログによると、とんでもない大被害が出ているようです。

紀藤正樹弁護士ブログより「岡本倶楽部110番の結果と被害対策弁護団の結成へ

本日110番を実施しましたが、午前10時の開始と同時にひっきりなしに相談が来る状態であり、電話が、つながらないという苦情が、弁護士会、そして僕への連絡でも多数、ありました。

大変申し訳ありませんでした。

相談件数は83件、但しつながらないということで、東京弁護士会事務局に電話をされた方が外に110件いらっしゃり(二弁、一弁への相談については調査中。)、被害相談の最高額も、110番では2500万円、東弁事務局への電話では5000万円という高額なものでした。

110番への電話よりも、弁護士会に直接の電話の方が上回る事態は、弁護士会主催の110番史上、初のことであり、被害の深刻さを十分うかがわせるものでした。

110番への相談の年齢構成も、

30代 2人 50代 6人 60代 33人 70代 25人 80代 2人 不明 15人

と、給与収入のない高齢者の被害者が多いことがうかがえました。

そんなわけで、被害の深刻さを考えると、来週、水曜日に開かれる、相談会が、きわめて重要な情勢となりました。無料ですので、被害者の方で、心配な方は、ぜひ説明会にご参加ください。
第二東京弁護士会ひまわり | 臨時無料相談「岡本倶楽部(岡本ホテル)被害110番・被害者説明会」のお知らせ

開場は立ち見なら800人、座席でも600程度入る開場ですから、入場につき、人数多数で、若干混乱するかもしれませんが、全員が収容できると思います。多くの参集を、呼びかけたいと思います。また不参加の方へは、弁護団で、ホームページを立ち上げる予定ですので、受任方法などは、そちらをぜひご覧ください。

また弁護団をその日結成することも、今日110番の後の会議で、本決まりとなりました。弁護士費用も、泣き寝入りがないように、低額化の方向性で検討中です。

泣き寝入りは、結局、加害者側に、利益を温存させることにつながるからです。
すべての違法収益を被害者へ返そう!-「消費者庁の設置と違法収益の被害者還付制度の必要性」-

弁護士費用や体制もその日の説明会で、発表できると思います。

またこの間に、情報提供のある方は、引き続き、当ブログで受付いています。
2010.06.05 岡本倶楽部に関する情報提供の募集

[参考]
岡本倶楽部:財務局の違法性指摘後も口頭で「元本保証」 - 毎日jp(毎日新聞)

岡本倶楽部:財務局の違法性指摘後も口頭で「元本保証」

2010年5月27日 15時0分 更新:5月27日 15時0分

 「岡本倶楽部」を運営するホテル会員権管理・販売会社「オー・エム・シー」(東京都中央区)による出資法違反事件で、オ社は関東財務局から「元本保証」と記載した勧誘パンフレットの違法性を指摘された07年以降も、高齢者らに口頭で元本保証を約束していたことが分かった。警視庁などの合同捜査本部は26日の家宅捜索で押収した資料を分析し、不法勧誘の実態の解明を進めている。

 オ社は05年から、100万~1000万円の会費を納めれば、5年後に預託金(会費の8~9割)が全額返金されるうえ、全国11カ所の系列ホテルで使える宿泊ポイント(5年で60万~815万円)が付与され、未使用のポイントは換金できると勧誘していた。

 捜査関係者らによると、関東財務局は07年、オ社にこうした勧誘方法や預託金システムが元本保証を禁じた出資法に抵触する可能性があると指摘した。

 オ社は勧誘資料から「キャッシュバック」や「元本保証」といった記載を削除。その代わりに預託金を「預かり保証金」と言い換え、ポイント券の換金制度を廃止して形式上、全額返金制度を停止した。

 しかし、元本保証をうたった勧誘は続いていたという。

 07年に入会した神奈川県の主婦(64)は「必ず全額返ってくると誘われ、住宅購入に充てるはずだった資金で入会した」と証言する。【酒井祥宏、伊澤拓也】

  1. 岡本倶楽部110番に83件
  2. 東京弁護士会に110件
の相談があって、さらに第二東京弁護士会、第一東京弁護士会にも電話があっただろうというのでは、200件越えは確実ですから、すごい話です。

被害の最高額が、5000万円というのもビックリです。

被害者説明会については第二東京弁護士会のHPひまわりに記事があります。
岡本倶楽部(岡本ホテル)被害110番・被害者説明会

被害者説明会
【日  時】2010年6月16日(水)午後7時30分~午後8時30分
 (受付:午後7時から)
【場  所】弁護士会館2階講堂クレオ
 〈住所〉東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館2階
【相談対象】岡本倶楽部の被害者
【交通アクセス】
 ・東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」B1-b出口より直通
 ・東京メトロ有楽町線「桜田門駅」5番出口より徒歩8分
 ・都営三田線「日比谷駅」から日比谷公園を通り徒歩8分
【参加料】無料
【主  催】東京弁護士会/第一東京弁護士会/第二東京弁護士会
【お問い合わせ】第二東京弁護士会 人権課
 TEL:03-3581-2257

東京弁護士会館のクレオは、大ホールでここで被害者相談会を実施するのは、近未来通信などの大規模被害の場合ですね。
近未来通信や、平成電電といった禍々しい事件に比べると、名前が「岡本倶楽部」と地味だから、事件も小規模のように感じてしまいますが、実際には大違いということでしょう。

昨年9月末時点で会員7854人から約192億円を集めたという。
これを機械的に計算すると、一人あたり244万円となります。
元が「元本保証」を示していたので、集まったのでしょうか、それにしても良くもここまで拡大したものです。

6月 11, 2010 at 11:12 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

日本振興銀行・刑事告発

朝日新聞より「振興銀を近く刑事告発 金融庁、悪質な検査妨害と判断

金融庁は10日、中小企業向けの融資を専門にする日本振興銀行と役職員らを、銀行法違反(検査忌避)の疑いで近く警視庁に刑事告発する方針を固めた。

金融庁が立ち入り検査に入った際、業務にかかわる電子メールを大量に削除して隠蔽(いんぺい)を図るなど妨害行為があり、悪質性が高いと判断した。

今後、告発に必要な証拠などについて警視庁との詰めの協議を進める。

金融庁は昨年6月から今年3月にかけて振興銀を検査した。

この検査で、検査忌避や出資法違反など7項目の法令違反が見つかったため、金融庁は5月下旬、大口融資や融資・預金の勧誘業務など一部業務を今月7日から約4カ月間、停止するよう命じる行政処分を出した。

金融庁の処分によると、振興銀は貸金業者から貸し出し債権を買い取り、一定期間たってから業者に買い戻させる約束をするという手法で事実上の融資をしていた。

その際に金利にあたる手数料を年45.7%相当もとり、出資法が定める上限金利の年29.2%を大きく上回っていた。

さらに、この取引を記した行内の電子メールが保管先のサーバーから大量に削除されていたという。
これらのメールには法令違反にかかわる重大な事実が記されていたといい、銀行法が定める検査忌避にあたるとして処分した。

金融庁は振興銀が意図的に違反を隠そうとした疑いがあり、悪質性が高いとみている。

このため、同行とメールの削除にかかわった役職員らを刑事告発する方向だ。

金融庁が国内銀行の刑事告発に踏み切るのは、2004年に当時のUFJ銀行(現・三菱東京UFJ銀行)と関係した役員らを銀行法違反(検査忌避)の疑いで告発して以来になる。

UFJ銀行は融資先の財務関連資料などを隠したとして、元副頭取らが起訴された。(津阪直樹、畑中徹)

〈日本振興銀行〉

2004年に開業。
設立メンバーで社長、会長を歴任した木村剛氏は小泉政権時代に金融庁顧問として、大手銀行に不良債権処理を迫る金融行政の指針づくりにかかわった。

木村氏は今年5月、業績悪化の責任をとって会長を辞任した。

10年3月期の貸出残高は4219億円、預金残高は5932億円。自己資本比率は7.76%。本店は東京都、全国に125店舗。

以前から色々言われていましたが、今どき刑事告発とはちょっと驚いた。

普通に考えて、電子メールを削除し、検査を妨害したということであると、電子メールの中身はもっとヤバイ内容だったのだろう、となりますね。

いったいこの銀行は何をやっていたのだ?

新銀行東京も、日本振興銀行も、どうも銀行が作れるとなった途端に変な意図を持った人物が入ってきて、無茶苦茶なことをやったという印象が強いですね。

小泉改革の、あまりの乱暴さゆえの負の面が強く出てきた、という例でしょう。
それにしても、小泉改革で少しはまともだと思っていた、郵政改革を元に戻そうというのは別の意味で大問題だ。

6月 11, 2010 at 10:36 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.09

郵便不正事件、とんでもない展開に

毎日新聞より「郵便不正事件:元局長の指示を否定 元係長初公判

2010年6月9日 11時45分 更新:6月9日 12時42分

障害者団体への郵便料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、実体のない団体を障害者団体と認める証明書を作成したなどとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元係長(40)の初公判が9日、大阪地裁(横田信之裁判長)であった。

元係長は「(偽証明書の作成は)単独でやった」と述べ、厚労省元局長(54)が指示したとする起訴内容を否定した。

この事件では4人が起訴されたが、元係長は「他の3人と共謀はしていない」と、自分一人で偽証明書を作ったと強調した。

同罪は文書作成権限のある公務員を処罰する「身分犯」。証明書の作成権者は元局長で、元係長は「身分なき共犯」として起訴された。

弁護側は

「元局長は偽証明書作成に無関係なので、元係長の身分なき共犯は成立しない」としており、この日の公判で「(身分犯ではない)有印公文書偽造罪なら成立する」
と主張した。

元係長は大阪地検特捜部の取り調べで、元局長に証明書作成を指示されたとする供述調書に署名した。
しかし今年2~3月に元局長の公判に証人出廷した際、「元局長から指示されていない」「検察のでっち上げ」などと供述調書を否定。
この日の公判でも改めて元局長との共謀を否定した。

起訴状によると、元係長は04年6月上旬ごろ、元局長や実体のない障害者団体「凜(りん))の会」(解散)のKS(74)、KN(69)両被告と共謀し、同会を障害者団体と認める偽証明書を作成したとされる。

また同年5月中旬ごろ、証明書の作成手続きが進んでいることを示す内容虚偽の稟議書(りんぎしょ)を作成し、ファクスで同会に送ったとされる。

元係長は公判前整理手続きが長引き、この事件の4被告の中で最後に公判が始まった。

これまでの公判前整理手続きで、

  • 元局長ら他の3被告との共謀の有無
  • 元局長の関与を認めた供述調書の任意性
  • 適用する罪名
などに争点が絞られている。

今後の公判では、元係長を取り調べた検事やKS、KN両被告、厚労省の前任係長ら8人の証人尋問が行われ、11月に結審する見通し。【日野行介】

【ことば】身分犯

容疑者が、公務員の地位や犯罪の常習者など一定の身分を持っていなければ成立しない犯罪。

収賄罪や虚偽有印公文書作成・同行使罪などでは、公務員など権限のある一定の身分がなければ罪とならない。

刑法は、身分のない人が身分犯に加担した場合は共犯に問えるとしており、一般的に「身分なき共犯」と言われる。

「元局長は偽証明書作成に無関係なので、元係長の身分なき共犯は成立しない」としており、この日の公判で「(身分犯ではない)有印公文書偽造罪なら成立する」

これはさすがにビックリです。

逆に言えば、元局長の犯罪が証明可能だから捜査したわけでしょう。
しかし、どうも事実がないらしい。
そうなると、警察は事実がないところに事件を作った、となります。

下手すると、有印公文書偽造罪も無罪になってしまうかもしません。
そうなると、事実はあるけど事件ではない、となってしまうわけで、いくら何でも、これは無いでしょう。
どういう事なのか、キチンと解明する必要がありますね。

6月 9, 2010 at 12:58 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.05.31

仮想不動産取引事件?・その3

毎日新聞より「仮想空間事件:「マルチ人脈」で拡大

インターネット上の仮想空間事業をうたう「ビズインターナショナル」(さいたま市)が、延べ約2万8000人から約100億円を集めたとされる特定商取引法違反事件。

ビズ社は会員を7ランクに分け、最上ランク(5人)のうち3人は、I社長(48)がかつてかかわった別のマルチ商法(連鎖販売取引)の元幹部だったことが、内部資料や元幹部の証言から分かった。

こうした“マルチ人脈”とIT(情報技術)が結び付いた結果、被害拡大につながったとみられる。【町田結子、飼手勇介】

内部資料によると、ビズ社の会員は

  1. 最初は「エージェント」と呼ばれる最下ランクからスタート。
  2. 新たに会員を勧誘すると「チーフエージェント」
  3. 「マスター」と昇進。
ランクに応じて10種類の「ユニボーナス」などの報酬を受け取ることができる仕組みだ。

「ピラミッドの頂点にいる数人は、私が以前かかわったマルチ(商法)で幹部を務めた」。

I社長は会員組織について、毎日新聞の取材にこう明かした。

I社長は95年ごろ、メール機能付きのファクスを購入して会員になり、新規会員を獲得して報酬を得る商法に参加。

その商法を手がけていた組織の元幹部3人が、ビズ社の会員ピラミッドで「トリプルプレミアムマスター」と呼ばれる最上位ランクにいた。

元幹部のうちの1人は「顧問」として運営にも参加。

I社長は「以前のネットワークを使って勧誘したからこそ、会員を2万8000人も獲得できた」。

ただ、それだけではなかった。

元幹部は

「ビズ社が仮想空間の前に手掛けていたマルチは、人を集められなかった。だから売れる商材を探していた」
と話す。

登場したのが、システム開発を手がけたとされ、ビズ社とともに埼玉県警の家宅捜索を受けた「フレパー・ネットワークス」(東京都港区)だった。

「こんなすごいソフトなら、10万人は集められます」。07年3月。フレパー社を訪れ仮想空間の映像を目にしたI社長や元幹部は、こう驚きの言葉を発したという。

同7月15日、フレパー社の元社員が代表となって設立された「I・D・R」(港区)と、ビズ社との間で80億円の契約書が交わされた。

ビズ社が10万人集め、1人あたり8万円を仮想空間開発費としてI社に支払う。「10万人×8万円=80億円」という計算だった。

ところが仮想空間は未完成のまま、事件へと発展した。

「冗談のつもりで言った『10万人』という数字からスタートした。多くの会員を勧誘した責任はある」。
I社長は振り返った。

【ことば】ビズ社を巡る特商法違反事件

ビズインターナショナルなどは07年6月~09年11月、ネット上の仮想空間「エクシングワールド」に都市を構築し、会員は「土地」を先行取得できる上、テナント料や広告収入が得られるとの触れ込みで募集したとされる。

埼玉県警は特定商取引法違反(不実告知)の疑いで家宅捜索。ビズ社からフレパー・ネットワークスやI・D・Rへの資金の流れを捜査しているとみられる。3社を巡っては、大阪地裁に損害賠償訴訟が起こされている。

予想通り、マルチ商法経験者が仕組んだようですが

95年ごろ、メール機能付きのファクスを購入して会員になり、新規会員を獲得して報酬を得る商法に参加。

「そんなのがあったなあ~、と検索している内に思い出しました。
たぶん「かもめサービス」「MOJICO」の事でしょう。
「かもめ・MOJICO」のケースは話がドンドン拡大して、何が何だか分からなくなっていましたが、検索したらずいぶん前にキチンとまとめてくださった方が居ました。

http://mojico.cside5.com/の中にあるhttp://mojico.cside5.com/ajol-set7.htmに年表としてまとまっています。

なんというか「本格派」とでも言うのでしょうか?
かもめサービスが大々的に活動していたのは、2000年以前で「これからインターネットの時代なのに、なんでファックスが流行るというのだ?」とずいぶんと話題にしたものです。

その時には「インターネットは年寄りが買い物に利用するのは難しい」とか言うことで「何でもアリだなあ」と呆れていました。
もっとも、マルチ商法では最終消費者のことはどうでも良いのでしょうね、売り子として仕入れてくれる会員を集めるだけの話であって、強いれる人が納得出来る内容なら事実であろうと無かろうと構わないのでしょう。

それにしても架空不動産が取引の対象になる、なんて話に引っかかるというのはいまだに理解できません。

5月 31, 2010 at 09:14 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.05.29

ロマンシング詐欺事件と被疑者叩きについて

サンケイ新聞より「ウイルスを使った架空請求摘発

2010.5.26 09:50

ファイル共有ソフト上でウイルスを仕掛けたゲームをダウンロードさせて「著作権を侵害した」とうそを言い、和解金名目で現金をだまし取っていたとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは詐欺容疑で、ネット関連会社「ロマンシング」社長の男(20)と会社員、O容疑者(27)を逮捕した。

同センターによると、コンピューターウイルスを使った詐欺事件の摘発は全国初で、ウイルス作成者の摘発は2例目。

同センターの調べによると、男らは昨年11月26~30日までの間、ファイル共有ソフト「シェア」上に実名のアダルトゲームを装ったウイルスを公開。

ダウンロードの際に品川区の20代の男性ら4人に入力させた個人情報などを、男らが開設した架空の著作権団体のサイトに掲載した上、ダウンロードが著作権法違反に当たることを警告。

同サイトに掲載された個人情報などの削除と合わせ、和解金名目でそれぞれ5800円計2万3400円を指定口座に振り込ませた疑いが持たれている。

2人は大筋で容疑を認めており、男は

「名前を公表すれば驚いて利用者が金を出すと思った」
と供述しているという。

同センターによると、昨年11月26日現在で、1456人がウイルス入りのファイルをダウンロードした形跡が残っていたという。

この事件そのものは報道された時点で知りましたが、ある意味では「どっちもどっち」的に捉えていました。
しかし、夏井高人先生のブログCyberlawのエントリー「ロマンシング詐欺首謀者に対する個人情報暴露が横行」を読んで、こんな事になっているのか、と驚きました。

下記の記事が出ている。

ロマンシング詐欺首謀者、ネットは個人情報暴露で“逆襲”
IT Media: 2010年05月27日
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1005/27/news054.html

この事件の容疑者は逮捕されたばかりで,有罪判決を受けたわけではない。あくまでも机上の理論としては,全額を被害弁償することにより起訴猶予や執行猶予付きの判決もあり得る。

また,実刑の有罪判決となったとしても,被告人としての名誉権が奪われるわけではない。

かつて,ロス疑惑の亡三浦氏は,有罪判決となったあとも,新聞社を相手に,名誉毀損を原因とする多数の損害賠償請求訴訟を次々と提起し,その大半が勝訴で終わっている。つまり,有罪と確定した者であっても名誉権はあるのであり,その侵害をする者は,マスコミといえども巨額の賠償責任を負わされることがあるということになる。

どういうわけかマスコミはこの事実をあまり報道しようとしないし,自己批判をしたとの報道に接したこともないからあまり知られていないかもしれない。しかも,上記の記事においても,むしろ個人情報暴露を煽るかのような論調のようにも読めるから,そのセンスを疑いたくなる。

ところで,マスコミのように強力な組織と潤沢な資金があって有能な弁護士を雇うことができるところならまだしも,一般人を被告として名誉毀損を原因とする損害賠償請求訴訟を提起された場合,弁護士を雇うことは難しいことが多いだろう。だから,まず間違いなく敗訴し,賠償を命ずる判決を受けることになってしまうだろう。このことをきちんと理解しておく必要がある。マスコミは潤沢な資金をつぎ込み,有能な弁護士を多数雇って亡三浦氏が提起した損害賠償請求訴訟において徹底的に防戦したのにもかかわらず,ほぼ全面的に敗訴しているのだ。

ちなみに,匿名で書き込みをした場合でも,その行為が名誉毀損罪を構成する場合には,告訴することによって警察が強制捜査をしてくれるから,匿名がひっぱがされ,書き込みをした者を明確に特定することができる場合がある。発信者情報開示請求がうまくいかなくても,被害者として告訴すれば良いわけだ。だから,匿名の書き込みだから大丈夫と楽観するのは馬鹿だ。

ネット上の電子掲示板でいい気になって書き込みをするのは良いが,あとになって損害賠償責任を負わされるかもしれないというリスクをよく考えるべきだ。

なお,誤解のないように言っておくと,私は,このようなロマンシング詐欺のような違法行為を許す気は全くない。その犯人は,厳罰に処するべきだと考えている。しかし,その加害者がどういう人物であるかについてはあまり興味がないし,ましてその加害者の経歴や私生活については全く興味がない。刑事判決における量刑は,基本的に法益侵害の大小・程度・性質または法益侵害の可能性の大小・程度などを重視すべきだと考えている。

夏井先生のエントリーを読んだ時点では、IT Media の報道を批判しているのか、報道している内容だと思われるロマンシング事件首謀者の個人情報をネット上に暴露していることに向かっているのか、よく分かりませんでした。
そこで、元の報道である ZAKZAK の記事「ロマンシング詐欺首謀者、個人情報暴露され“返り討ち”に」を読みましたが、返り討ちということで良いとは思えない内容です。
つまり、夏井先生は ZAKZAK に報道された、返り討ちにしているネットワーカーの行為が、名誉毀損に当たる可能性が大である、という観点からのご意見をエントリーされたのです。

2010.05.27

ファイル共有ソフト上にウイルスを仕込んだフォルダを配信し、ダウンロードしたユーザーの個人情報を「著作権法違反者」としてインターネット上に公開。削除に際し「和解金」名目で金を振り込ませていた男らが、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。男らの行為を苦々しく見ていたネットユーザーたちは逮捕を機に猛然と“逆襲”。男らの個人情報を大量にネット上にさらし始めている。

《ざまぁwww》《最高にかっこ悪いな》《流出したやつも逮捕、ウイルス作ったやつも逮捕、万事解決》《大勝利》

今回の逮捕の一報直後から、これまで容疑者らに煮え湯を飲まされてきた被害者や、これまでの容疑者らの行為をつぶさに観察していたネットユーザーらは一斉に歓喜した。

警視庁ハイテク犯罪対策総合センターによると、逮捕されたネット関連会社「ロマンシング」社長の男(20)=事件当時未成年=とプログラマーのO容疑者(27)は昨年11月ごろ、個人情報暴露ウイルスを仕込んだフォルダをアダルトゲームに偽装してファイル共有ソフト上に配信。これをダウンロードして感染した数人の個人情報をネット上に公開し、著作権法違反を警告したうえで、「1500円で情報を削除する」と持ちかけ、現金計数万円をだまし取った疑い。コンピューターウイルスを使った詐欺の摘発は初という。

社長は「金がほしかった」と容疑を認めているが、O容疑者は自身の名を冠したウイルス「Kenzo」の作成を認めつつ、詐欺容疑についてはあいまいな供述をしている。

たしかに、ファイル共有ソフトのユーザーは映画や音楽などを違法にダウンロードして著作権法に抵触している可能性がきわめて高い。

だが、その弱みにつけ込む行為はさらに悪質だ。

実際、O容疑者らの犯行で人生を狂わされた被害者が多数いるとみられる。

昨年3月に詐欺に引っかかった九州地方の中学校校長は、自身や家族の個人情報から学校関係書類、アダルト動画の収集歴まですべて暴露され、学校や教育委員会に電話が殺到。教委が処分に乗り出す事態になった。

因果応報というべきか、今回の逮捕を受け、ネット上では被害者や悪行を知るネットユーザーが大逆襲。

犯行当時未成年だった社長の個人名はもとより、O容疑者の経歴から音楽系の活動歴、本人や妹の幼少期の写真、さらには妹の結納日程まで公開。

情報は今後ますます増えていくとみられる。

夕刊フジでは昨年11月と今年3月、2人の犯行が「ロマンシング詐欺」と呼ばれ、被害が相次いでいることを指摘した。

ロマンシング社は当初、振り込みを促すメールを送りつけるだけだったが、最近ではインチキ著作権団体「ICO国際著作権機構」を名乗り、情報削除料も1500円から5800円に値上げするなど悪質さを増していた。

この報道で例として採りあげられた中学校校長のPCデータの暴露については、ZAKZAK に「長崎ロリコン校長もハマった!「ロマンシング詐欺」って何?」がありました。

2010.03.23

長崎市立江平中学校の男性校長(51)の自宅パソコンから、全校生徒や卒業生計約200人分の個人情報が、インターネット上に流出している可能性があることが分かった。

流出情報には、違法にダウンロードした幼女や女子中学生の性的画像も大量に含まれていた。

きっかけはまたもファイル交換ソフトだが、今回は新手のネット詐欺も絡んでいるという。

校長のパソコンは家族共有で、生徒の個人情報や指導内容、教諭の勤務査定に加え、妻や大学生と社会人の2人の娘のフォルダも含まれていた。

さらに、ファイル交換ソフト「Share(シェア)」や「Winny(ウイニー)」で違法ダウンロードした多数のロリコン動画も同時に流出した。

ただ、今回の流出はファイル交換ソフトを狙う暴露ウイルスの仕業ではなく、ユーザーの間で「ロマンシング詐欺」と呼ばれるネット詐欺の延長だという。

ファイル交換ソフトのヘビーユーザーが解説する。

「ロマンシング詐欺の一味は、ファイル交換ソフトのネットワーク上にウイルスを仕込んだフォルダを置き、それをダウンロードした者に個人情報を入力させます。

その入力が完了した瞬間、画面は『ICO 国際著作権機構』という架空の団体のホームページに移り、今回のダウンロードが著作権に違反することを警告する画面が表示されるのです。

そのうえで和解金の支払いを要求し、集金代行会社を名乗る『株式会社ロマンシング』の口座が表れます」

ニセ団体であるICOの画面には、直前に入力した個人情報や、パソコンで管理しているすべてのデータなどが表示され、これは支払いが確認されるまで削除されない。

そのため、被害者は実際に“和解金”を支払う可能性が高い。校長の流出情報も、ICOのページにすべて列挙されていた。

「ウイルスが仕込まれているのはエロ系タイトルのフォルダとはかぎらない。今回の校長は、セキュリティーソフトのつもりでダウンロードしてワナにかかってしまったようです。ユーザーには、自分が違法ダウンロードをしているという負い目があるため、犯行は表沙汰になりにくいのです」
(前出のユーザー)

夕刊フジは昨年11月、「ロマンシング」という名称を伏せたうえで詐欺の実態を報じたが、当時はICOなどというインチキ団体のホームページは存在せず、1件あたりの要求額も1500円と少額だった。

だが今回は、要求額が5800円にアップ。手口は巧妙かつ悪質化している。

夕刊フジは前回同様、ロマンシング社に電話取材を申し込んだが、やはり回答は得られなかった。

なんというか、まるで決闘罪の適用であるかのように、両方ともアウト、ということでしょう。

夏井先生の指摘は、正に調子に乗って、犯罪者などをネット上で叩く記事を書くと、それは名誉毀損に当たる可能性が極めて高い、ということを注意喚起したということなのでしょうが、それ以前に「なんでこんな情けない世の中になったのだ?」という感が強くします。

5月 29, 2010 at 06:17 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.05.27

仮想不動産取引事件?・その2

朝日新聞より「仮想空間マルチ業者、強制捜査へ 埼玉県警

インターネット上の仮想空間の「土地」投資話で会員を集めるマルチ商法(連鎖販売取引)を展開していた「ビズインターナショナル」(ビズ社、さいたま市)と、その取引会社について、埼玉県警は特定商取引法違反(不実の告知など)の疑いで、27日にも家宅捜索する方針を固めた。

捜査関係者によると、ビズ社は2007年から約2年間で、約2万6千人の会員から約100億円を集めたとされ、強引な勧誘などに関する苦情が全国の消費者相談窓口に殺到していた。

捜索の対象は、ビズ社の関係先のほか、仮想空間の開発を手がけた「フレパー・ネットワークス」(東京都港区)など十数カ所。

県警や関係者によると、ビズ社は東京、大阪、広島など全国各地で、3次元の仮想空間「エクシングワールド」事業の説明会を開催。

日本中の街を再現すると称し、分譲する仮想の「土地」を先行取得すれば、転売や賃貸で必ず高収入が得られると勧誘。

新規会員を獲得すればボーナスを支払うとも説明する一方、仮想空間を利用する条件としてパソコン用や携帯電話用の「ビジネスキット」を約30万~40万円で販売していた。

捜査関係者によると、ビズ社は勧誘の際、「大手自動車メーカーが参加。航空会社が協賛」などと企業名を挙げていたが、参加や協賛の実態はなかった。

また、仮想空間を利用するには高性能パソコンが必要なのに、当時普及していた基本ソフト(OS)で動くと告げていたという。

仮想空間は昨年6月に一部の会員限定で公開。
同10月には名称を変えて一般公開されたが、いずれも東京の銀座や新宿、大阪・ミナミなどごく一部の都市だけで、「土地」取引に必要な機能も備えていなかった。

消費者庁は昨年11月、ビズ社に特定商取引法に基づいて6カ月(今月27日まで)の業務停止命令を出し、フレパー社など2社の社名も「関連事業者」として公表した。

今年4月には大阪市の会員ら17人が、「仮想空間の開発は不可能だったのに多額の入会費を払わされた」として、3社と各代表取締役を相手に計約700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。

国民生活センターと全国の消費者窓口には25日までに、ビズ社の事業について1719件の相談が寄せられている。

昨日のエントリー「仮想不動産取引事件?」が強制捜査になりました。

消費者庁が、業務停止にしていたのですよね。
その期間が終了する直前に強制捜査とは、「いかにも」だと思いますが、特商法違反ねぇ・・・・と思います。

「仮想不動産取引事件?」に書きましたが、こんな売り込みを信じることがあり得るのかな?と思います。
確かに、マルチ商法であり、システムが完成していない、という事実はあるでしょうが、普通の取引であり、システムが完成していたとしても、とても思惑通りにいくとは思えない。
つまり、儲からなかっただろう。

そうなると、「被害者の損失」とは具体的にはなんなのだろうか?

昨日、「仮想不動産取引事件?」にあったコメントの情報では、マルチ商法の関係者が販売活動をしていたとのことで、高額なスターターキットとか、先行取得といったところが、いかにもマルチ商法の手法だな、と思うのです。

しかし、それでもなお、被害者が「どこに騙された」となるのか?と感じます。
一番の問題は、1万円ぐらいのモノを40万円で売ったことなのでしょうか?
それだと、客観的に「騙した」とはいいがたいのではないのか?と思います。

ここまで話が遡ってくると「そもそも、詐欺的とはどういう事を指すのか?」となりそうです。
客観的に犯罪が成立しない手法で犯罪を試みた場合、その罪には問えない、となっています。
例えば「呪い殺す」とか「単なる水を毒物として与えた」といった場合です。
つまり、刑事事件には「客観性がある犯罪事実」が必要であって、今回の事件では被害者が被ったとされる損害は何によって発生したのか?被害者の主張は当然「騙された」なのでしょうが、「何がどうなると信じ込まされたのか?」「信じてしまうことは、客観的に妥当なのか?」といったところが問題になると思うのです。

5月 27, 2010 at 08:54 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.05.26

凜の会事件・検察の証拠ほとんど採用されず

毎日新聞より「不正:元局長、無罪の公算大 部下の供述不採用

2010年5月26日 19時29分 更新:5月26日 21時45分

障害者団体への郵便料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長(54)の第20回公判が26日、大阪地裁であった。

横田信之裁判長は、元局長の事件への関与を認めた厚労省元係長(40)の捜査段階の供述調書15通すべてを「(大阪地検特捜部の)取り調べに問題がある」として証拠採用せず、捜査を批判した。

元係長は公判では元局長の関与を否定しており、捜査段階の供述調書は元局長の有罪を立証する上で重要だった。証拠採用されず、元局長は無罪判決を言い渡される公算が大きくなった。

この事件では、実体のない障害者団体「凜(りん)の会」に郵便料金割引制度の適用を認める偽証明書を作成したとして、4人が起訴された。

横田裁判長は

「証明書の作成は自分1人でやったと伝えたのに、元局長から指示された内容の調書を検事がでっち上げた」
とする元係長の公判証言について、
「(元係長が拘置中に記載していた)被疑者ノートの内容は公判証言に合致する。検事は元局長関与のストーリーをあらかじめ抱いていた」
と指摘。さらに、元係長が自身の犯行を認めている点にも触れ、
「虚偽の公判証言をする理由が見当たらない」
と公判証言が信用できると判断した。

取り調べ段階の供述調書に特信性(高度な信用性)を認めず、証拠採用を却下した。

また元係長のほか、横田裁判長が先月、一部無罪の判決(検察側が控訴)を言い渡した「凜の会」代表(74)ら2人の調書についても

「検察官による誘導があった」
などとして証拠採用を却下した。

検察側は、元係長や厚労省元部長(58)ら8証人の捜査段階の検察官調書計43通について、

「公判証言と内容が食い違うが、調書に特信性がある」
とし、証拠として採用するよう地裁に請求していた。

横田裁判長は、部長ら計5人の調書9通については
「証拠能力までは否定できない」
として証拠採用した。

元局長の公判は6月22日に検察側が論告求刑をし、同29日に弁護側が最終弁論をして結審する予定。判決は9月10日前後になる見通し。【日野行介】

【ことば】郵便不正・偽証明書事件

実体のない「凜の会」を障害者団体と認める厚生労働省の証明書を偽造したとして、元局長・元同省局長ら4人が大阪地検特捜部に起訴された。

特捜部は「証明書の偽造は元局長に指示された」とする同省元係長、元係長勉の捜査段階の供述を立証の柱に据えたが、元係長は裁判で

「自分1人でやった」
と主張を一変。
凜の会代表も捜査段階では
「元局長に証明書を依頼した」
と供述し、公判では
「元局長に依頼はしていない」
と翻した。

落合洋司弁護士が、「[刑事事件]郵便不正 村木被告無罪の公算大 元部下の供述調書不採用」とエントリーしていて、検察(特捜部)を強く批判しています。

検察庁としては、立証の主要な柱が軒並み倒壊してしまったようなもので、論告すら書けない可能性もあって、極めて深刻な事態と言っても過言ではないでしょう。

このような事態を招いてしまった捜査の在り方について、猛省の必要があることは明らかです。

従来の検察庁における独自捜査では、

  1. 警察よりもはるかに頭の良い、経験も備えた主任検事等(ロッキード事件における吉永祐介氏のような人)が、内偵に基づき実態に即したストーリーを作る
  2. 低調な弁護活動を遥かに凌駕する圧倒的な捜査力が集中的に投入され、そのような捜査力に屈服し「しゃべる」被疑者が確保される
  3. 裁判所が、検察捜査を信頼してくれ、多少の無理には目をつぶってくれる

といった好条件に恵まれ、それなりの成果を挙げてきたと言ってよいでしょう。

しかし、今や、1のストーリー作りが、かつての完成度が8、9割とすれば、3、4割程度がせいぜいというレベルにまで落ち込んきている上(その背景には世の中が複雑になってストーリーが追いつかないことや、うまくストーリーが作れる熟達者がいなくなったということがあるでしょう)、2についても、弁護活動が、熾烈化、活発化し、その一方でかつてよりも捜査力が低下する中、被疑者側としても安易にぺらぺらと自白しなくなって、「しゃべる」被疑者が確保しにくくなっているということもあると思います。

3についても、裁判所の事実認定が厳格化し、かつてのように、検察庁にはおまけしてくれたり目をつぶってくれるといった検察寄りの裁判官が、まだ残ってはいるものの徐々に減ってきているということも言えると思います。

検察の独自捜査というものを根本的、抜本的に見直して行かないと、今後、ますます、無理な捜査により墓穴を掘り無残な結果に終わり国民の信頼をますます失墜させて行く、ということになりかねない(と言うか、確実にそうなって行く)と思います。

「論告すら書けない」とはすごい話ですが、素人目にも「これでいったい何を論告できるというのか?」と思います。

被告自身は、当然有罪に繋がるような発言は無いでしょうし、捜査段階での関係者の供述が証拠採用されないとすると、実際問題として有罪を論告するための根拠がない、というすごいことになりそうです。

いくら何でも、これはひどすぎるでしょう。
実態は典型的な人質司法であったわけで、そのあげくに事実上論告できないとなった場合、いったいどういう事になるのか?

検察は、「後半での証言より、捜査段階の調書の方が信頼性がある」と主張したのですが、それ自体を被疑者ノートでひっくり返されているのですから、どうしようもない。

これでは、控訴審に持ちこむことも難しいのではないのか?
どこをどうやるとこういうことになるのか、検察に大疑惑が発生してしまった、というべきでしょう。

5月 26, 2010 at 10:36 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

仮想不動産取引事件?

毎日新聞より「マルチ商法:仮想空間巡り提訴へ 会員「違法勧誘された」

インターネット上の仮想空間での土地取引を売り物にしたIT会社「ビズインターナショナル」(さいたま市大宮区)をめぐるマルチ商法で、新たに広島県内の会員十数人が「『必ずもうかる』と違法な勧誘をされた」として、来月にも同社などに損害賠償を求めて広島地裁に提訴する方針を固めた。

この商法をめぐっては4月に大阪地裁で会員17人が損害賠償を求め提訴。

会員は全国に約2万8000人いるとみられ、提訴の動きがさらに広がる可能性もある。

会員らによると、ビズ社は仮想空間「エクシングワールド」に参加する会員を募集。

「有名企業も参加予定で、空間内の土地取引や広告収入で利益が得られる」
などと勧誘し、販促キットと呼ばれるDVDソフトなど=写真=を約40万円で会員に販売。
新しく会員を勧誘した人にボーナスを支払うとうたっていたが、仮想空間は一部が稼働しただけだった。

消費者庁は09年11月、特定商取引法に基づきビズ社への業務停止命令(6カ月)を出した。

今年4月28日には、会員17人がビズ社など3社と各社長を相手取り、計約730万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

さらに広島の被害対策弁護団によると、広島県内に住む十数人の会員が6月にも、ビズ社、ビズ社が仮想空間開発を委託したとされる東京都内のIT業者2社、各社長などを相手取り、広島地裁に提訴する方針という。

ビズ社の関係者によると、問題のソフトは07年6月から09年10月まで販売され、関東や関西を中心とした都市部の約2万8000人が購入。総額は約94億円に上るという。

ビズ社への業務停止命令の期間は今月27日までだが、同社幹部は毎日新聞の取材に

「仮想空間はほぼ開設できない状況。金を集めた責任は感じている。現在、開発を委託したIT業者に返還を求めている」
と話している。

IT業者2社は取材に応じていない。【町田結子、飼手勇介】

2万8千人に売ったというのですから、典型的な大規模消費者被害事件ではないかと思うのですが、2万8千人の人たちはどういうもくろみで買ったのでしょうかね?

仮想の土地が、現実の土地と一致しているから、仮想とは言え利用価値がある、だからその権利が売れる、という触れ込みだったわけですが、これって言わばオンラインゲームの景品のようなものでしょう?
うまく、ゲームつまり土地取引をやれば仮想の土地が増える、というほどのことでしょうか?

そのような事への参加費(?)に40万円払えるものなのでしょうか?
近未来通信とか平成電電のように実態の無いビジネスに「投資」した事件のようにも感じますが、この場合はどうなのだろう?

もっと言えば、システムが完成しても、企業などが来なかった場合に、仮想不動産はゴーストタウンになるわけですが、そういうリスクを考えて40万円を出したのだろうか?

わたしには「どのみちうまくいかない計画だったのではないのか?」という感じが強くします。

5月 26, 2010 at 04:43 午後 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.05.20

北教祖のデタラメ

サンケイ新聞より「【法廷から】北教組違法献金事件 「民主的教育」 でもその前に 原資解明されず

2010.5.19 22:56

「競争主義の転換を図るため、今回の選挙で政権交代し、とりわけ(北海道)5区での転換を図らなければいけないと判断した」

19日に開かれた民主党の小林千代美衆院議員陣営への北海道教職員組合(北教組)違法献金事件の初公判。北教組委員長代理(50)は、違法献金を支出した動機のひとつに「政権交代」を挙げた。

弁護側の被告人質問で、「教育改革の実現を図るためには政治で課題を解決するする場面が多いことから、(政治活動は)必要」と主張、北教組の政治活動の“正当性”をことさらに強調してみせた。

検察側が冒頭陳述で「対策費」の原資を明らかにできなかったのにはワケがあった。

北教組が「対策費」として出金した計1600万円の振替伝票の写しなどは証拠採用されたが、「直接証拠」となる直近6年分の会計帳簿は、北教組本部や被告宅の捜索で発見することができなかったからだ。

帳簿の存在について、あくまで「知らない」とする被告。

これに対し、検察側は帳簿が組織的に隠滅されたと指摘。

弁護側の質問にははっきりした口調で次々と持論を展開した被告だったが、帳簿をめぐる検察側の追及に対しては、あいまいな供述が目立つようになった。

検察側の論告などによると、

被告と委員長(故人)は、小林氏陣営への違法献金に使う1600万円を組合の「対策費」から出費したとされる。
検察側の質問はまず、この「対策費」の原資を突くところから始まった。

「必要と判断したから出金した」

被告は対策費について、

「緊急的に課題ができたときに使う(金)」と“定義”。出金の判断は基本的に北教組トップである自分の裁量で決められる
と答えた。

しかし、検察官から

「このお金は組合員から集めた組合費ではないのか」
と問われると、
被告は力なく「はい」
と答え、「組合員に(使途を)説明したのか」と追及されると、
「いいえ。これから説明したい」。
それまでの自信は急速にトーンダウンした。

次に検察側は、被告がなぜ、昨年12月から違法献金計1600万円の原資のわかる会計帳簿の提出要請を拒否したのかただした。

被告は、直接は提出要請を受けていないと否定したうえで、

「必要なものは提出した」
と反論。検察側が
「捜索では帳簿類が発見できなかった。どこにあるのか」
とたたみかけても、
「必要な書類は保管してある」
「どこに保管しているかはわからない」
などと、やり取りはかみ合わなかった。

さらに、検察官が

「会計担当ら他の人に聞いていないのか」
と質問すると、
「聞いていない」
と応じ、聞かなかった理由についても、顔をゆがめながら
「わからない」
とだけ答えた。

そんなかみ合わないやりとりに業を煮やしたのか、裁判官からも質問が相次いだ。

「対策費」の使途は毎年6月に行われる定期大会で組合員に報告していると説明した被告。

裁判官のひとりが

「(今回の違法献金は)大会でどう報告するつもりだったのか」
と疑問を投げかけた。被告が
「そこまでは考えなかった」
と答えると、裁判官の表情は曇った。

「組合員をごまかせると思ったのか」

被告は裁判官の意外な反応に驚いたのか、

「いやそういうことでは…」
と消え入るような語尾で答えるのがやっとだった。

やりとりを聞いていた裁判長も最後には身を乗り出し、

「会計帳簿は保管する必要あるでしょ」
「帳簿が発見されないとすると、今度の(定期)大会でどう説明するの?」
とただしたが、被告はいずれも
「わからない」
という答えにとどまった。

弁護側は最終弁論で、民主教育の確立や教育格差解消のためには

「政治の力が必要」
との主張を繰り広げ、北教組の政治活動について理解を求めた。

教職員の政治活動とカネをめぐる疑惑を解明する場として期待された法廷だったが、小林氏側に渡ったとされる裏献金の原資は結局、明らかにされることはないまま、結審した。

被告は公判終了後、記者団に対し、会計帳簿が見つかっていないことについて、

「隠蔽(いんぺい)ではない」
と強調、
「これからは社会的責任を果たしていきたい」
と語った。

公判で明らかになったのは、当然あるはずの会計帳簿が北教組から忽然(こつぜん)と消え、しかも、その帳簿が過去6年分にも及ぶということだけだった。

そもそも、被告が逮捕された当初、北教組は

「法に違反する事実は一切なく、不当な組織弾圧」
と声明を出したはず。
しかし、その“トップ”が、法廷では手のひらを返したように、
「声明は誤りだった」
とする始末。しかも、法廷では特別傍聴席に座っていた北教組の関係者とみられる男性が居眠り。
それに対して、裁判長が「ここは寝る場所ではありません」とたしなめる場面があった。

「民主的な教育政策の実現」という理念を掲げるより前に、事件によって保護者や子供たちから失った信頼を回復するために、まず、やるべきことがあるような気がしてならない。(大竹直樹)

まあ、こんなモノでは無いか?という予測はあったものの、想像以上にひどいですね。

莫大な、組合費を集めているのに、帳簿がないで済むわけがないでしょう。
株式会社なら、株主代表訴訟になって、経営陣が個人で弁済することになってしまいます。

そういった、子供会並みの社会的責任すら果たせていないのに、「これからは社会的責任を果たしていきたい」 では子供会にも笑われるだろう。

組合員は、結局は組合費の使途が不明である、ことを是認するのでしょうか?

5月 20, 2010 at 12:36 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.05.12

パロマ湯沸かし器事故で有罪判決・その3

山口利昭弁護士が「パロマ工業元社長・有罪判決への感想」を書かれています。

本文はリンクを読んでいただくとして、わたしが注目したところを示します。

本事案に特有の問題点として、製品の欠陥はかなり事故に対しては限定的な寄与しかないにもかかわらず、製造元会社の経営トップに過失犯は認められるのだろうか?といった疑問もありましたが、判決はこれを肯定しております。

当判決では、パロマ工業社と修理業者(関連会社といっても良いかと思います)との平時における業務上の関係性をかなり詳細に論じたうえで、パロマ工業社が十分な安全対策を講じていれば、たとえ関連会社の不正改造に起因する事故であったとしても重大な結果を回避することはできたとしています。

ここはかなり規範的な評価がなされている、といった感想を持ちました。

なお新聞報道では「製品に欠陥がないにもかかわらず、メーカーは責任を負うか?」といった問題提起をされているものもみかけられますが、当判決はそこまで言っておらず、修理業者が容易に不正改造できるような安全装置自身が被害発生に一定の寄与をしていた、と言及しております。

この点にも企業としては注意が必要であります。

パロマ工業社だけで事故を防止できるのではなく、ガス事業者や経産省などの事故防止対策が万全でなければ防止することはできなかったのではないか、といった疑問もありましたが、
判決では詳細な事実認定のもと、
事故防止は他の事業者や行政当局に頼るべきものではなく、被告人らによる積極的な行動でも十分に防止できたのであり、被告人らの「刑法上の義務」であった、としています。
製品事故を知ったメーカーとしての有事の「被害拡大防止義務」についても触れられており、
重大な製品事故を認識した経営者としては、
マスコミを利用して製品の使用停止などを広報すべきであり、
また徹底した製品回収に努めなければならない
ことが具体的に明示されています(結果回避可能性に基づく回避義務違反)。
製品事故が多発している状況を知った経営者としては「より上位の者(組織)によって事故防止対策が行われる必要がある」とされ、全社的なリスク管理体制が構築されている必要性が謳われているのが印象的であります。

製品利用者への切迫した危険性の認識ということではなく、製品に関連する事故が多発している状況を認識している以上は「未必の故意」ではありませんが、結果の予見可能性は認められる・・・とされるようです。

たしかに品質管理部長は事故発生の原因事実を認識していたようですが、経営者が容易に品質管理部長と同様の情報を共有できたのかどうか、またたとえ共有しえたとしても、パロマ工業社としては、一定程度の安全対策は講じていたようですから、それらの対策によって少なくとも経営者の(事故発生にかかる)予見可能性が低減されるのではないか、とも考えられそうであります。

しかしそのあたりは予見可能性の判断において考慮されていないようです。

つまり誤使用の可能性があろうと、他の事業者による不正改造が原因であろうと、自ら供給している製品の重大事故発生の事実を認識した以上は、安全対策を最優先すべき経営者の義務(しかも高度な義務)があることが、このあたりから理解できそうに思われます。

山口弁護士は以下のようにおっしゃっています。

私の個人的な感想としては、経営トップへの刑事責任が認められ、企業側にとっては相当厳しい判決が出たなぁ・・・というところです。

控訴された場合、結論がどうなるのかは、私もわかりません。

事件の内容から考えると、刑事罰が全くもって不当である、とは言いがたいと思います。
15件の死亡事故で、時効になっていなかった唯一の事件だとのことです。

ガス器具なのですから、死亡事故は避けられないでしょう。
その中に、メンテナンス不良があった場合にどうするか?と言うことが問題になったわけです。

山口弁護士の説明では、責任は限定されないとしたから、下請けの会社のメンテナンス不良についても責任があるとされました。
ここも微妙なところで、出荷時には正常に作動していたものを、メンテナンスの必要上安全装置をカットすることになった、ところにメーカーの設計上の責任がある、と裁判所は認定したのではないかとも思います。

このような認定に対して、メーカーは反論できるのだろうか?
実際、その後の製品は改良されていて、問題ある製品が、設計上の問題で、メンテナンスとして、安全装置を殺す場合があった、ということです。
これで、メーカー側に全く責任が無い、とは言いがたいと思いますね。

とは言え、メーカー側に責任があるとして、それが刑事罰に相当なのか?というのは法律論的には議論のあるところでしょう。

やはり、これは事故であって、事故原因の解明と対策を最優先するべきであり、回収のルールやメンテナンス業者との関係性など、実務的に整備するべきことは沢山あるはずで、本来は消費者庁がユーザー側からの問題提起をするべきでしょうね。
経産省側つまり製造・供給側の視点としては、「事故は起こさない」と言った抽象的な目標になってしまいそうです。

5月 12, 2010 at 08:23 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

パロマ湯沸かし器事故で有罪判決・その2

サンケイ新聞社説より「【主張】パロマ事故判決 安全確保への義務に警鐘

パロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、東京地裁は業務上過失致死傷罪で被告の元社長(求刑禁固2年)ら2人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

製品そのものの欠陥ではなく、湯沸かし器の修理業者による不正改造から起きた事故だが、元社長らは事故防止の対策を取る義務があったと判断した。

メーカートップには状況に応じて厳しい注意義務が課せられるとした判決であり、産業界は「他山の石」として重く受け止めるべきだ。

都内の大学生がパロマ製のガス瞬間湯沸かし器の不正改造による一酸化炭素中毒で死亡し、兄も重症にさせた。

同じような中毒事故は全国各地で起き、判決によると昭和60年以降、平成13年までに計15人が亡くなった。

元社長らは

「パロマは修理業者を指揮監督する立場にはない」
と無罪を主張したが、東京地裁は
「パロマ側が製品の点検や回収を適切に行っていれば、死傷事故を未然に防止できた」
と被告側の過失を認めた。

判決でも指摘する通り、生命の危険を伴う製品を提供する企業は、機器それ自体の安全性の向上を図るだけでなく、消費者が安全に使用できるよう配慮することも求められている。

今回の事故はパロマの系列業者も改造工事を担当しており、元社長らは事故の多発を認識する立場にあった。

消費者の安全を守るためには、メーカー責任をより厳格にとらえるのは当然だろう。

監督官庁にも、責任の一端がある。

この問題は平成8年に起きた別の事故の遺族の要望で再捜査した警視庁が経済産業省に連絡し、18年7月に事故情報を公表して表面化した。

それまで、経産省内で情報が集約化されていなかったことも明らかになっている。

もっと早く行政が手を打っていれば、少なくとも同様の事故が相次ぐ事態だけは防止できた可能性がある。

この事故を契機に、安全点検や重大事故の報告などを義務付ける消費生活用製品安全法が強化された。

省庁ごとの縦割りの弊害が指摘された消費者保護を一元的に管理するため、昨年9月には消費者庁も創設された。

今後とも行政とメーカーが情報を共有し、実効性のある安全対策を講じてゆくことが何よりも重要だ。

「パロマ湯沸かし器事故で有罪判決」では、コメントをいただき、他にもネット上では「製造責任を課題に捉えた判決だ」と有罪判決に対する批判意見も多いようです。

わたし自身は、判決を批判するか是認するかについて、判断できていません。
判決自体には「あり得るかな?」といった感想ですが、判決に対する批判の多くが、「この種の判決が一般的になると、製造販売ができない」とメーカーなどが減ることに危惧の念を持っている、と述べています。

つまり、この判決が

「一般的に製造業者は・・・」
という観点からの判決である、という見方での批判だと思いますが、わたしには
「この判決は、かなり特異な事件だと捉えての判決だろう」
という思いがあります。

社説中に紹介されている

「パロマ側が製品の点検や回収を適切に行っていれば、死傷事故を未然に防止できた」

この部分をどう読み取るか、だとなりますがわたしは「適切に」がもっとも重視されていたのではないのか?と思います。

裁判所の認定は、「適切ではない」で決定であって、「回収しなかった」ではない、と考えます。

適切に処置したが回収できなかった場合には無罪、つまり適切な処置をする努力を評価した上での判決だろうと思うのです。

どこが適切でなかったのか?が問題になりますが、

「パロマは修理業者を指揮監督する立場にはない」

もし被告会社側がこれしか主張がなかったのであれば、「いかなる状況でも、修理業者の行動については関知しない」と受け取られて仕方ないでしょう。
これは、普通に考えて通用しないし、事実注意喚起を業者に行っているのだから、部分的には指揮監督しているわけです。

いわば「言っていることとやっていることが一致していない主張」となってしまいます。
これでは裁判所は納得しないでしょう。

有罪判決批判のご意見は、被告会社が裁判を正当に戦ったのだが、裁判所は被告会社の立場を無視した判決を下した、といった見方なのだろうと思います。

しかし、わたしには今回の裁判で被告会社は、正面から裁判を戦っていないのではないか?という印象が強くあります。
つまり、自分の主張を尽くしていない。

そのために、裁判所が「こういう会社が、こういう問題を起こした」といった具合に、決定した上での判決だったのではないのか?
もしそうであれば、判決の批判は被告会社の裁判に対する姿勢に問題があった、となっていくのかもしれません。

判決文を見ないことには決定的に言えないのですが、現時点でのわたしの考えは、どこに問題があり、判決が問題に沿っているのかどうかも、今ひとつ分かりません。

5月 12, 2010 at 09:58 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.05.11

パロマ湯沸かし器事故で有罪判決

毎日新聞より「パロマ中毒事故:元社長らに有罪判決 東京地裁

2010年5月11日 13時38分 更新:5月11日 13時54分

パロマ工業(名古屋市)製湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、東京地裁(半田靖史裁判長)は11日、業務上過失致死傷罪に問われた元社長(72)に禁固1年6月・執行猶予3年(求刑・禁固2年)、同社元品質管理部長(60)に禁固1年・執行猶予3年(求刑・禁固1年6月)の判決を言い渡した。

販売後の改造による事故でメーカー側の責任が問われていたが、トップに厳しい判断が示された。

検察側は、問題の湯沸かし器について、不完全燃焼を防ぐ安全装置が故障しやすく、装置が動かないままでも湯沸かし器を使えるようにする不正改造が横行していたと指摘。

「元社長は社長として安全確保を含む業務を統括し、元品質管理部長は事故対応の責任者だったが、事故を認識しながら抜本的な対策を取らずに放置した」
と主張した。

これに対し弁護側は

  1. パロマは修理業者を指揮監督する立場になかった
  2. 修理業者に不正改造の禁止を連絡しており、事故はなくなったと思っていた
  3. 全国的な防止策を取ることができたのは経済産業省だけだった
などと無罪を主張していた。

検察側は、元社長らが不正改造された湯沸かし器の事故で85~01年に計14人が死亡していたことを認識しながら、回収などの安全対策を怠り、05年11月に東京都港区のマンションで大学生(当時18歳)をCO中毒で死亡させ、兄(29)に重傷を負わせたとして起訴していた。

マンションの湯沸かし器を不正改造したパロマ系列の販売店員は07年8月に病死している。

一連の事故は全国で28件あり、死者は21人に上る。96年に起きた別の事故の遺族の要望で再捜査した警視庁が経産省に連絡し、同省が06年7月に事故情報を公表して初めて問題が表面化した。【伊藤直孝】

メーカーが出荷した製品を市場で不正改造したものについて、メーカー側に責任があるのか?という正面衝突型の裁判ですね。

NHKニュースより「パロマ元社長に猶予付き有罪

ガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒で大学生が死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われたパロマ工業の元社長に、東京地方裁判所は「事故が起きることは予測できたのに、対策をとらず漫然と放置し続けた」と指摘し、執行猶予の付いた禁固1年6か月を言い渡しました。

この事故は、平成17年に、東京・港区の大学生(当時18歳)がパロマ工業のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒で死亡し、兄が重傷を負ったものです。

パロマ工業の社長だった元社長(72)は、修理業者によって安全装置が不正に改造されて死者が出ていたのに対策をとらなかったとして、業務上過失致死傷の罪に問われました。

検察が禁固2年を求刑したのに対して、元社長側は「製品自体には欠陥はなく、パロマには点検や回収を行う義務はなかった」と無罪を主張していました。

判決で、東京地方裁判所の半田靖史裁判長は

「昭和60年以降、不正改造が原因の事故が13件起きて15人が死亡し、このうち12件の事故についてパロマは情報を入手し、独自に点検や回収を行うことができたのに、対策をとらず漫然と放置し続けた」
と指摘し、元社長に禁固1年6か月、執行猶予3年を言い渡しました。

また、いっしょに起訴された元品質管理部長(60)には禁固1年、執行猶予3年が言い渡されました。

判決は、製品そのものの欠陥がなくても修理業者の不正改造によって起きた事故をめぐって、メーカートップの刑事責任を認めるものとなりました。

結局、この判決では「実態として事故が起きていることを知っているのだから、何とかしろ」という考え方だと見えます。

対して、弁護側の主張が「指揮監督する立場になかった」といった、外形的条件を重視したものですが、これは悪徳商法裁判で被害者側が勝訴した時の型式にそっくりですね。

おそらくは、改修漏れであって、不正改造した業者が系列販売店ではない、といったことであれば、「偶然の事故」であったとされたかと思います。

簡単に言えば、「安全の確保が不十分であった。その理由についてメーカー側が納得出来る説明がなかった」ということかと感じます。

なによりも、不正改造があった場合に、どう対策するのか?という問いかけに対して、「不正改造の禁止を通達していた」だけでは、弁明としては弱すぎるでしょう。

それゆえ「回収の義務がなかった」という主張になったわけですが、普通に考えて、不正改造の事実を知ったら、それは回収し不正回収した業者に、ペナルティーを課すべきだったでしょう。
そうでなければ、結果として不正改造機が市場に増えてしまう。

全体として、メーカーの主張は矛盾があった、ということだったのだと思います。

5月 11, 2010 at 06:41 午後 もの作り, 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.04.30

春日大社の鹿にボーガンを撃ったヤツ

読売新聞より「野生難しいから…春日大社の鹿、ボウガンで

奈良市の春日大社境内で3月、雌の鹿がボウガンの矢を受けて死んだ事件で、津市の飲食店経営(39)が、奈良県警の調べに対し「三重県で2月に野生の鹿を撃った後、人に慣れた奈良の鹿に狙いを変えた」と供述していることがわかった。

県警は、容疑者が、警戒心の薄い奈良の鹿を撃って持ち帰り、肉を売ろうとしたとみている。

奈良地検は30日、飲食店経営者と、三重県亀山市、飲食店員(37)を文化財保護法違反(天然記念物き損)で起訴した。

捜査関係者によると、飲食店経営者はラーメン店経営が行き詰まり、知人から「鹿肉は高く売れる」と聞いたことから、2月に旅行先のアメリカでボウガンを購入。
通信販売で矢を買い、同月、飲食店員と三重県の山中で鹿1頭を仕留め、知人らと食べたという。

その後も何度か鹿を撃ちに行ったが、いずれも失敗した。

2人は野生の鹿を捕まえるのは難しいと考え、「奈良の鹿なら、観光客に寄ってくるので簡単に仕留められるはず」と計画。

3月12日夜から、同大社境内で、飲食店員がパンで鹿をおびき寄せ、近づいて来たところを飲食店経営者が射たが、逃げられたという。

起訴状では、2人は3月12日午後11時~13日午前0時頃、同大社境内で、国の天然記念物「奈良の鹿」1頭をボウガンの矢で射て死亡させた、としている。ともに起訴事実をおおむね認めているという。

(2010年4月30日22時10分 読売新聞)

春日大社の鹿にボウガンを撃ち込んだ、というニュースは「バカなヤツのいたずらだろう」と思っていましたが、想像をはるかに超えたトンデモぶりですね。

やっていることが、ギャグというかマンガみたいです。
こんなことでは殺された鹿が化けて出そうですね。

  1. ラーメン店経営が行き詰まり
  2. 知人から「鹿肉は高く売れる」と聞き
  3. アメリカでボウガンを購入
  4. 山中で鹿1頭を仕留め、知人らと食べた
  5. その後も何度か鹿を撃ちに行ったが、いずれも失敗
  6. 「奈良の鹿なら、観光客に寄ってくるので簡単に仕留められるはず」と計画。
  7. パンで鹿をおびき寄せ、近づいて来たところを射たが、逃げられた

これでは、鹿肉が売れたとしてコストはどうなんだ?
まあ、この程度の計算もできないから、ラーメン店も行き詰まるのだろう。

4月 30, 2010 at 11:35 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.04.15

自己啓発セミナーで死亡事故・賠償請求訴訟に

時事ドットコムより「啓発セミナー参加の男性死亡=賠償請求、遺族が提訴-大阪地裁

人材能力開発会社の自己啓発セミナーで今年1月、大阪市在住の元美容師の男性=当時(26)=が死亡したのは、主催者らが注意を怠ったのが原因として、男性の遺族が12日、同社などを相手に計約1億2000万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

この会社は「ASKグローバル・コミュニケーション」(東京都豊島区)。遺族は、健康用品販売会社「ニューウエイズジャパン」(横浜市神奈川区)と「ワンダーランド」(大阪市福島区)も提訴した。

訴状や原告側によると、男性は会員制交流サイト(SNS)でワンダーランドの会員から誘われ、2008年10月に同社の会員となった。「セミナーを受ければ自分が変わる」と言われ、ワンダー社に18万円を支払い、東京都内でASK社の自己啓発セミナーに参加。1月27日、手足を激しく動かすダンスを踊っていた際に倒れ、搬送先の病院で急性心不全による死亡が確認された。少なくとも約30分間踊っていたという。

セミナーは「限界を突破する」と称し朝から夜まで続き、手足を激しく動かすダンスを踊ったり、反省の言葉を叫んだりするという。原告側はASK社とワンダー社の代表が現場におり「事故を予見できたのに予防措置を怠った」としている。

ワンダー社はニューウエイズ社の会員が集まり、同社が扱う化粧品などを販売。同社は08年、マルチ商法で、経済産業省から特定商取引法違反で3カ月の一部業務停止命令を受けた。

ASK社とワンダー社は取材に対し「セミナーは受講生の皆さまの生命、身体に危険を及ぼすものではない」としている。ニューウエイズ社は訴状が届いていないとし、コメントしなかった。(2010/04/12-19:58)

4月12日のニュースですが、何かヘンに分かりにくい事件ですね。

  1. ASKグローバル・コミュニケーションが主催した、自己啓発セミナーで死亡事故になった。
  2. 被害者は、自己啓発セミナーの参加費用をワンダーランドに支払った。
  3. ワンダーランドはニューウエイズの下部組織である。

ということのようです。
しかし、連鎖商法の常識として、商品(サービスでも良いですが)を売っていく構造ですから、売り手として自己啓発セミナーに参加したのか、消費者として参加したのかによって評価はだいぶ変わるように思います。

ただ、記事にある

セミナーは「限界を突破する」と称し朝から夜まで続き、手足を激しく動かすダンスを踊ったり、反省の言葉を叫んだりするという。
というところは、ホームオブハートでの「フィードバック」を彷彿とさせます。
ホームオブハートでのフィードパックとは洗脳の一手段です。ホームオブハートは全体が洗脳のための活動をしていたわけですから、目的が洗脳でした。
今回の、ASKグローバル・コミュニケーションが主催した自己啓発セミナーの内容も、洗脳の一手段と考えて良いでしょう。

問題は、洗脳の目的がなんであったか?ですね。
ホームオブハートの場合には洗脳することで繰り返し金銭を出させることが目的でした。
今回の自己啓発セミナーの目的は、直接的に金銭を出させることではなくて、連鎖商法により深く誘導することだったのかもしれません。

非常に興味深い話で、裁判の進行を知りたいものです。

4月 15, 2010 at 02:10 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2010.04.14

検察は取り調べの真実性を証明できるのか?

サンケイ新聞より「【郵便不正公判】「話した記憶ない」 村木被告、偽造指示を否定

障害者団体向け割引郵便制度をめぐり偽の証明書を発行したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)の第17回公判が14日、大阪地裁(横田信之裁判長)で開かれた。被告人質問が行われ、村木被告は証明書を偽造したとされる厚労省元係長、上村勉被告(40)について「一対一で話した記憶がない」と述べ、偽造の指示を否定した。

また、取り調べ検事に「執行猶予ならたいした罪ではない」と言われたとして「私にとっては罪人になるか、公務員として30年やってきた信用を失うかの問題です、と泣いて抗議した」と涙ながらに振り返った。

検察側はこの日、厚労省元部長や障害者団体「凛の会」関係者ら計4人の供述調書を証拠申請。

横田裁判長は、供述の経過を示す物として採用し、供述調書としての採否は持ち越した。

供述調書が証拠採用されずに、取り調べの経過を示すものとして記録された、ということ自体が検察にとっては大汚点でありましょう。

そもそも、村木事件は物的証拠がほとんど無いわけですから、供述の信用性の争いになるに決まっています。
供述が信用できるかについて、証明しようとするのであれば、取り調べの録音・録画などを示すしかないでしょう。
今後検察はどうするのでしょうか?

4月 14, 2010 at 11:14 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.04.07

名張毒ぶどう酒事件・全然知らなかった。

イザ!記者ブログ・にしてんま傍聴日記より「半世紀に向けて

にしてんま傍聴日記は、サンケイ新聞の司法担当記者だった福富正大記者が書いているブログです。

今回のエントリーは、「名張毒ぶどう酒事件再審へ」ニュースに関しての記事です。

足利の次は、名張でしたか。


 4月25日のJR福知山線脱線事故の発生5年に向けた準備が佳境を迎える中、どうしても言及しておきたくて、業務終了後にしこしこと更新に励んでおります。


 ついに、名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求をめぐり、最高裁の決定が出た。高裁への差し戻しである。
 決定は4月5日付。なぜ新年度が始まったばかりのこのタイミングでの決定なのか不思議だったんだが、さっき最高裁のHPで第3小法廷の構成をみたら、腑に落ちた。藤田宙靖判事が4月5日付で定年退官だからなんだな、きっと。
 ちなみに毒物カレー事件の上告審が係属していたのも第3小法廷で、カレーよりも毒ぶどう酒の方が先に結論が出るだろうという観測だったのだが。


 さて、名張毒ぶどう酒事件についてはこれまでにも、

  ◇平成18年12月25日付「扉は開くか」
    http://fukutomim.iza.ne.jp/blog/entry/92258/
  ◇平成18年12月31日付「できる限りの長生きを」
    http://fukutomim.iza.ne.jp/blog/entry/94914/
  ◇平成19年1月15日付「Happy Birthday」
    http://fukutomim.iza.ne.jp/blog/entry/102135/

の各エントリで触れてきたのだが、フクトミがこの事件を取材したのは、名古屋高裁刑事2部の異議審からである。

 平成17年4月に名古屋高裁刑事1部が再審開始決定を出したときには、すでに大阪府警担当を終えて司法担当になっていたのだが、まったくの不意打ちで何もできなかった。判決ではなくて決定なので出るのは突然だし(高裁から連絡を受けた弁護団も、メンバーがそろわなかったぐらいだという)、弊社の場合中部本社がないため名古屋は大阪本社の管轄なのだが、大阪の司法担当が名古屋まで出張ることは当時あまりなかったし(これを教訓にその後フクトミは広島やら奈良やらの裁判に首を突っ込んでいくようになったのだ)、そもそも再審開始決定を、しかも地裁でなくて高裁が出すなんて思いもしなかった(ここしばらくの足利事件布川事件をみるとうそのようだ)。

 だが、検察側の異議申し立てを受けた異議審の決定は事前に出る日取りが決まっていたから、それなりの準備をして名古屋に乗り込んだ。まさか再審開始決定が覆るなんて思いもせずに。決定書を受け取った後に高裁庁舎から出てきた鈴木泉弁護団長の姿は、いまも忘れることができない。

 ちなみにまったくの余談ながら、異議審決定を出した門野博裁判長はその後、東京高裁に異動し、平成20年7月には布川事件の第2次再審請求の即時抗告審で水戸地裁土浦支部の再審開始決定を維持。その後も昨年12月に狭山事件の第3次再審請求審で検察側に取り調べ時のメモの開示を勧告するなど再審開始に前向きな判断を続けて示した後、今年2月に定年退官した。


 ここで余談ついでに。刑事裁判に興味がある方(そもそも弊ブログをご覧になっているような方はそういう方なのだろうが)でも、即時抗告審とか異議審なんて言葉はあまり目にする機会がないと思う。
 公開の法廷で言い渡す「判決」であれば、不服申し立てする際の手段はみなさんご存知の控訴と上告である。つまり

   地裁判決→控訴→高裁判決→上告→最高裁判決

という流れだ(刑事事件の場合、最高裁判決に対して判決訂正申し立てもできるが)。
 これに対し書面だけの「決定」の場合、不服申し立ての手段は抗告になる。つまり、通常の再審請求の場合、

   地裁決定→即時抗告→高裁決定→特別抗告最高裁決定

という流れになる。ところが、名張毒ぶどう酒事件の場合、確定判決が高裁判決なものだから、再審請求は高裁にしなければならない。で、高裁の決定に対しては即時抗告ができない代わりに異議申し立てが認められていて、その場合の異議審は高裁で行われる(当然、審理する部は別になるが)。だから

   高裁決定(刑事第1部)→異議申し立て→高裁決定(刑事第2部)→特別抗告最高裁決定

という流れになっているんである。


 で、先ほど記した確定判決が高裁判決だという点が、名張毒ぶどう酒事件の大きな特徴でもある。つまり奥西勝死刑囚死刑を宣告したのは名古屋高裁で、1審の津地裁は無罪を言い渡しているのだ。現在100人余りいる確定死刑囚のうち、1審が無期ならともかく無罪だったケースなど、奥西死刑囚ただ1人である。有期懲役だったケースすらない。
 奥西死刑囚は昭和44年9月10日の名古屋高裁判決の当日、自宅から裁判所に向かっている。逮捕後、無罪判決を受けて釈放されていたからだ。なんで高裁判決の日付がすらすら出てくるかというと、フクトミの誕生日の翌日だからである。以来、奥西死刑囚は獄中にある(死刑囚となったのは、正確には昭和47年の上告棄却後だが)わけだが、その月日の長さが、しみじみと実感できるわけである。

 さて、特別抗告から3年余りを経て出された今回の決定であるが、その評価は難しい。フクトミが決定書そのものにまだ目を通していないこともあるのだが。


 再審開始には「新規性」と「明白性」がある証拠が必要とされる。第7次再審請求において、弁護側が提出した新証拠は5点ある。ぶどう酒のびんに関するものが3点と、中身のぶどう酒そのものに関するものが2点だ。詳しくは以下のようになる。

  ①開栓実験
    同種のびんで実験した結果、栓の開け方によっては封緘紙を破ることなく、再び栓を閉じることで元通りの状態に戻せることが判明した
  ②四本足替栓の鑑定
    びんの内栓の4本の足のうち折れ曲がっていた1本について、人間の歯で折り曲げることは不可能で、「内栓を歯でこじ開けた」とする自白とは一致しない
  ③封緘紙の破断状況
    自白通りにびんの外栓を火ばさみでこじ開けても、封緘紙は自白のようには破れない
  ④ニッカリンTの成分
    混入された毒物が自白通りのニッカリンTなら、その副生成物がぶどう酒から検出されるはずなのに検出されていない
  ⑤ニッカリンTの色
    ニッカリンTには赤い着色料が含まれており、当日出された白ぶどう酒に混入したなら赤くなっているはずだが、その形跡がない


 もっと詳しく知りたい方には再審開始決定と異議審決定、それから今回の決定の要旨をアップできればいいのだが、とてもじゃないが4月25日が過ぎないと無理である(過ぎたからといっていつアップできるかは確約できませんが)。かいつまんで言えば、これらのうち再審開始決定はの①②④の3点を新証拠と判断し、自白の信用性に疑問があると結論づけた。もちろん異議審決定は5点いずれも退けている。これに対し、今回の決定が証拠価値を認めたのは④の1点だけである。そこのところが、難しい。


 弁護側にとってみれば、もちろん棄却よりもはいいし、再審開始への道がつながったことは事実だ。ただ、その道は、再審開始決定と今回の決定の証拠評価の違いをみても分かるように、太く短い道とはいえない。特別抗告審に3年を費やしたことも考えれば、最高裁に再審開始決定を出してほしかったところだろう。

 今後、名古屋高裁で差し戻し審が行われ、その末に再審開始決定が確定したとしても、それから再審公判が待っている。再審公判では足利事件山県氷見市の強姦冤罪事件のように、検察側が最初から白旗を掲げて無罪論告するなんてことには、まずなるまい。

 来年1月14日で、奥西死刑囚は85歳になる。来年3月28日で、事件は発生から半世紀である。
 あの帝銀事件でさえ、事件発生から39年後、第18次再審請求中の平沢貞通元死刑囚の獄死によって冤罪の主張は途絶えている(死後も第19次の再審請求が行われてはいるが)。

 フクトミは、名張毒ぶどう酒事件の再審こそが記者生活の最後のテーマと思い定めていた。この事件には、江川紹子さんの「名張毒ブドウ酒殺人事件 六人目の犠牲者」という高い高い山がそびえたっている。それを乗り越えることはできなくとも、来年3月28日のタイミングに合わせて、きっちりとしたモノを書き記したいと思っていた。

 現場にも足を運んだ。名古屋にも何度も行った。とりあえずは勝手に取材しているだけだから、異議審決定と特別抗告の2回を除けば、出張ではなくて自費である。もう記者として思い残すことがない、と言えるだけのモノを書きたいと思っていた。

 だが、いまの立場では難しかろうなあ。

 もうこんな時間だ。帰宅したら弁護団の活動を追ったドキュメンタリーのDVDを見ようかと思っていたのだが、無理ですな。ちょっとだけでも寝よう。

この中で、

名張毒ぶどう酒事件の場合、確定判決が高裁判決なものだから、再審請求は高裁にしなければならない。
で、高裁の決定に対しては即時抗告ができない代わりに異議申し立てが認められていて、その場合の異議審は高裁で行われる(当然、審理する部は別になるが)。だから

   高裁決定(刑事第1部)→異議申し立て→高裁決定(刑事第2部)→特別抗告→最高裁決定

という流れになっているんである。

これは全く知らなかったし、

死刑を宣告したのは名古屋高裁で、1審の津地裁は無罪を言い渡しているのだ。

現在100人余りいる確定死刑囚のうち、1審が無期ならともかく無罪だったケースなど、奥西死刑囚ただ1人である。有期懲役だったケースすらない。

昭和44年9月10日の名古屋高裁判決の当日、自宅から裁判所に向かっている。

逮捕後、無罪判決を受けて釈放されていたからだ。

これも知りませんでした。

福富記者が

フクトミは、名張毒ぶどう酒事件の再審こそが記者生活の最後のテーマと思い定めていた。

この事件には、江川紹子さんの「名張毒ブドウ酒殺人事件 六人目の犠牲者」という高い高い山がそびえたっている。

それを乗り越えることはできなくとも、来年3月28日のタイミングに合わせて、きっちりとしたモノを書き記したいと思っていた。

現場にも足を運んだ。名古屋にも何度も行った。

とりあえずは勝手に取材しているだけだから、異議審決定と特別抗告の2回を除けば、出張ではなくて自費である。

もう記者として思い残すことがない、と言えるだけのモノを書きたいと思っていた。

というのも、よく分かります。
是非とも、キッチリとしたものを書いて欲しい。

4月 7, 2010 at 11:02 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2010.03.24

振り込め詐欺は懲役20年

サンケイ新聞より「振り込め詐欺「キング」に懲役20年 東京地裁

振り込め詐欺で計約1億4600万円をだまし取ったなどとして組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)などの罪に問われた、グループ内で「キング」と呼ばれた元リーダー、(31)の判決公判が24日、東京地裁で開かれた。

菱田泰信裁判長は「振り込め詐欺集団を主宰し主導的で重要な役割を果たした責任は極めて重大」として懲役20年(求刑懲役23年)を言い渡した。

菱田裁判長は「このグループが組織的に犯罪を実行できたのは被告の指揮命令があったからこそで、被害が甚大になったのも被告が複数の実行グループを統率していたからだ」などと指摘した。

判決によると、「キング」は仲間と共謀し、平成18年5月~19年8月、電話で被害者の家族を語るなどして計38人から計約1億4600万円を詐取するなどした。

「キング」らに対しては被害者約100人が東京地裁に損害賠償訴訟を起こし、うち34人分、計約1億7千万円の支払いを命じる判決が出ている。

懲役20年ですか・・・・・。
さすがに、振り込め詐欺に対しては抑止効果があるでしょう。

3月 24, 2010 at 12:58 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.19

NHKの落日

サンケイ新聞より「NHK受信料未払いはダメ!東京地裁「自由意思で契約、解約できた」

放送受信契約を結んでいるのに受信料の支払いに応じなかったとして、NHKが東京都練馬区の男性(35)と江東区の男性(40)に、未払い分の支払いを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。

綿引穣裁判長はNHK側の訴えを認め、請求通り男性2人にそれぞれ8万3400円ずつの支払いを命じた。

被告側はこれまで

「男性らは思想に基づいて受信料の支払いを拒否しており、自宅に受信機を設置してあるだけで受信料の支払いを強制されるのは、『思想・良心の自由』を定めた憲法19条などを侵害している」
と主張していた。しかし、綿引裁判長は
「男性らは自由な意思に基づいて受信契約を結んでおり、解約の方法も事前に知ることはできた」
と指摘した。

また、被告側が

「民放のテレビ番組だけを見ていた」
などと主張していたことについては、
「NHKの番組を一切視聴せず、民放番組のみを視聴することが日常生活において一般的とはいえない」
と退けた。

判決によると、男性らは平成14~15年にNHKと放送受信契約を締結。いずれも16年3月31日まで受信料を支払っていたが、同年4月以降は支払いをやめていた。

被告側代理人は会見で、

「『契約書があるから契約が成立している』ということしか書いておらず、極めて形式的な判決」
と批判。NHK側は
「全面的に主張が正当と認められた適切な判決」
とコメントした。

NHKの受信料というビジネスモデルはもう限界でしょう。
WOWOWやCATVが有料放送を実施して何年になるのでしょうか?
結局、ペイテレビは成立しているわけであって、同時にいわゆる「テレビ」がディスカバリーチャンネルなど専門分野の放送に負けている、という事実はすでに露わになっています。

他の商売の例にたとえると、昭和50年(1975年)頃に、カメラ売り場がデパートから消えたのに当てはまるでしょう。

ユーザーのニーズが深化するに連れて「何でもアリ」の商売が厳しくなってきた。「百貨店」とか「ユニバーサルサービス」の行方に疑問符が付くわけです。
そしてNHKもその例に漏れない。

どうしてもNHKを存続させたいのであれば、国営放送局にするのでしょうかね?
あるいは、地方税の中に通信サービス負担金とでもする項目を作るのか?

以前から、批判しているのですが、地デジなんてのがどう考えても「業界のため」の仕組みであって、CATV局を増やして衛星放送をCATVで配信するようにして、地方放送局を基本的には潰してしまう方が、日本全体としては合理的だと思いますよ。

確かに、山間部などでケーブルを引くことが困難というのあり得るとは思いますが、そういう場合は、直接衛星放送を受信すればOKでしょう。 電力線が通っているところにCATVケーブルが通らない理由は、経済性しかあり得ません。

そんな事を考えると、「電波を出しているから、金を払え」というのはいささか以上に無理があって、今回の判決で注目するべきは「契約したのに払わない」という部分でしょう。

この事で、見えてくるのは「テレビを持っているから、受信契約は義務です」的な、トークが問題だ、となるでしょうし。
さらには、CATV局で「NHKを有料チャンネルの一つ」として、他の有料チャンネル同様に契約しないと送信しない、という展開はもうすぐそこに来ているように思います。

今回のNHKの勝訴は、きわどいものであって、次の段階では「NHKを受信しない自由」が争われるだろう、と思います。

3月 19, 2010 at 05:39 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.14

小林議員の選挙

読売新聞より「北教組の献金直前、残高10万円…小林千陣営

昨年8月の衆院選の準備のため、北海道教職員組合(北教組)から違法な政治資金計1600万円を陣営幹部が受け取ったとされる事件で13日、札幌地検に事情聴取された民主党の小林千代美衆院議員(41)(北海道5区)。

小林氏が代表を務める政党支部は、選対事務所が開設された2008年9月下旬から約2か月半の間に1100万円以上を使い、同年12月上旬には、資金の残高が約10万円にまで減っていたことがわかった。

北教組の資金提供が始まったのも同年12月で、事件の発端になった陣営の資金難の実態を裏付けている。

小林氏の政治活動費の大半を負担している「民主党北海道第5区総支部」について、読売新聞が、政治資金収支報告書や領収書の写しなどを基に収支の実態を分析した。

08年8月末時点で資金残高が約510万円だった同支部は、翌9月1日に当時の福田康夫首相が退陣を表明し衆院の解散ムードが高まったのをきっかけに資金の出入りが活発になった。

同月の支出は、集会の会場費など約240万円。
一方の収入は、民主党からの交付金500万円など計約555万円で、残高も前月より約310万円増加した。

ところが、衆院選の準備のため9月20日に北海道江別市に「合同選対事務所」を設立した直後から支出が急増。

10月と11月は、ポスターやチラシの印刷代など「宣伝費」が計13件約682万円に達し、事務所費なども計約190万円に上った。

この間の収入は、党からの交付金200万円だけで、小口の経費の支払いも合わせると11月末の残高は30万円余りに激減した。

地元の複数の民主党関係者によると、当時、合同選対事務所から配りきれない量のパンフレットが送られてきて一部を処分せざるを得なくなるなど「カネをかけすぎている」と問題になったこともあったという。

しかし同支部は12月にも「宣伝車用アンプ」を約23万円で購入。9月下旬からの支出総額は1100万円を超え、この時点の残高はわずか10万円ほどだった。

この合同選対事務所で資金管理を統括していた「自治労北海道」財政局長(46)(政治資金規正法違反容疑で逮捕)は同年11月下旬、北教組の委員長(昨年6月に急死)に「もう、どうにもならない」と支援を要請。
北教組の委員長が約1週間後、400万円を手渡したのを機に資金提供が始まったとされる。

地元の民主党市議は「リースで借りた事務用品も『買った方が安かったのでは』という議論があった。ただ、小林議員は当時落選中で、現職と違い、選挙にカネをかけないと勝てないという思いもあった」と話している。
(2010年3月14日12時48分 読売新聞)

北海道5区というのは、札幌市厚別区、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、石狩支庁管内で、有権者数45万4千人ですね。わたしの住んでいる横浜8区(緑区・青葉区)の有権者数は、37万7千ですから、北海道5区はかなり多いですね。
それ以上に広いですな。

それでも、

選対事務所が開設された2008年9月下旬から約2か月半の間に1100万円以上を使い
というのは理解し難い。まして、
10月と11月は、ポスターやチラシの印刷代など「宣伝費」が計13件約682万円に達し、事務所費なども計約190万円に上った。
これは有り得ないでしょう。

明細が不明ですが、民主党の候補であるから党からポスターの支給などがあります。
党で用意している選挙用品を買うことはありますが、ポスター・チラシ13件(13種類)682万円は無いだろう。

いわゆる法定ビラというのがありまして、これは配布できる枚数が限定されています。
これに引っかからないようにするために「政党ビラ」というのを配布したり、「団体ビラ」を配布したりします。

政党ビラとか、団体ビラには候補者名が書けませんから「○×△を守る会」といった名称のビラになります。
一人の運動員が一日に配布できるビラは最大で千枚ぐらいでしょう。もし、100万枚も作ってしまったら、1000人日も掛けないと配布できません。
これを50日でやろうとすると、毎日20人が50日間フルタイムで動くことになりますから、絶対に無理ですね。

一人の運動員について考えると、フルタイムで活動できるのは、一週間に2日ぐらいです。その他の日は数分の一しか時間が割けないでしょう。
こんなことを考えると

配りきれない量のパンフレットが送られてきて一部を処分せざるを得なくなる
のも当然だと言えます。

なんというか、浪費型選挙とでも言うのでしょうか?
ザックリ言って、総額1000万円~2000万円ぐらいで選挙をまとめるのが、候補者の義務でしょう。
組織型の無責任体制が引き起こした事件だと思います。

3月 14, 2010 at 01:39 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2010.03.11

カルト事件?霊能者殺人放火事件?

サンケイ新聞にギョッとするような記事が出ています「「インスリン、霊能力者が家族から手に入れた」 殺人容疑の信者供述

どういうことなのか?とたどると、サンケイ新聞に以下の記事がありました。

2010.3.11 02:00霊能力者事件とは 
2010.3.11 02:00霊能力者事件の事例集 盗み、だまし、火付けも
2009.7.23 13:59現金盗み家屋に放火容疑 自称「霊能力者」の女ら逮捕

結局、2009年7月に報道された現金盗み家屋に放火容疑 自称「霊能力者」の女ら逮捕事件を解明していったら、今回の供述にたどり着いた、ということのようです。

大阪市西成区で昨年5月、会社役員宅に放火したとして、東成署捜査本部は23日、現住建造物等放火と窃盗などの疑いで、大阪市東成区中道、自称霊能力者の無職(52)と自称信者で元介護士(53)=別の放火罪などで起訴=を逮捕した。

霊能力者は否認し、元介護士は「霊能力者の指示で盗みに入り、火をつけた」と認めているという。

逮捕容疑は昨年5月25日午前11時25分から午後2時25分ごろ、大阪市西成区松の会社役員宅に侵入。現金約4万円などを盗み、ライターで布団に火をつけ、家屋を半焼させたとしている。けが人はなかった。

捜査本部によると、2人は高校時代の同級生で、霊能力者は「不動明王を信仰する霊能力者だ」と周囲に話していた。元介護士は信者で、お布施としてこれまでに9千万円を霊能力者容疑者に渡したという。

霊能力者は放火された会社役員の家が事件当日は法事のため留守にすることを知っていたという。

元介護士は放火事件など4件で立件されており、霊能力者の指示があったと供述したため裏付けを進めていた。

この記事は、2009年7月に報道された、2008年5月の事件です。
そして、どうもそれ以前から同じような事を繰り返していたらしい。
そこで、今回の「信者供述」という記事になったのでしょう。

霊能力者事件とは

「霊能力者」事件

大阪市東成区の放火事件で平成21年3月に逮捕された元介護士の自供から、自称・霊能力者が関与した窃盗、詐欺、放火、殺人・殺人未遂容疑の計12事件が発覚

捜査の過程で、霊能力者が「お不動さん信仰の教祖」の立場を利用してターゲットを絞り、信者の元介護士に犯行を指示して「厄災」をもたらし、祈●(=示へんに寿の旧字体)(きとう)料名目の現金を引き出す-という構図が浮上した。

霊能力者はすべての事件で全面的に容疑を否認しているが、府警は信者数人から計約1億8千万円を集めたとみている。

うち約9千万円は元介護士からのお布施だった。捜査幹部は「霊能力者は人生に悩む人たちを食い物にした」と指摘している。

霊能力者事件の事例集 盗み、だまし、火付けも

事例1(窃盗)

平成15年10月、私立高のPTA会長だった霊能力者は文化祭のバザーの収益金が職員室の金庫にあることを知り、元介護士に指示し約95万円を盗ませたとされる。
霊能力者は、会計担当者に「お金のことで災いがある」と“予言”していた。

事例2(詐欺)

20年3月、霊能力者は元介護士の次女に貯金があることを知り、次女に「あなたのおばあさんの老人福祉施設の入所費用200万円が半額で済むようにして話をしてあげる」などとウソをつき、約100万円をだましとったとされる。

事例3(放火)

20年5月、霊能力者は信者の1人に「変なことが起こるかも知れない」と予告電話をかけた上で、元介護士に放火を指示、信者の自宅を半焼させたとされる。
霊能力者は数日後、信者に「護摩をたいてあげる」と話し、お布施を要求した。

このような「解説」を元に本来の報道記事「「インスリン、霊能力者が家族から手に入れた」 殺人容疑の信者供述」を紹介します。

大阪市西成区の女性=当時(92)=が多量の薬物を投与され殺害された事件で、殺人と殺人未遂容疑で逮捕された実行役の元介護士(53)が犯行に使ったインスリンについて、「自称・霊能力者で指示役の霊能力者(53)が家族から手に入れた」と供述していることが10日、大阪府警への取材で分かった。

霊能力者は全面的に否認しているが、府警は霊能力者の主導性を裏付ける供述とみている。

捜査1課によると、平成19年4月~5月にかけて、霊能力者は、元介護士が訪問介護していた女性を「逝(い)ってもらわなあかん」と指示、インスリンなどを投与して殺害したとされる。

元介護士は「女性の腹部にインスリンを注射した」と供述。
女性は直後に具合が悪くなり、当時入院していた大阪市内の病院がすぐに検査したところ低血糖と判明。
それ以前にも元介護士から精神安定剤や睡眠導入剤を何度も投与された影響で容体が悪化し、5月27日に死亡した。

霊能力者はインスリンについて「名前は知っている」と供述するだけで、「元介護士と女性の殺害を相談したことは一度もない」と否認している。

インスリンの入手には医師の処方箋(せん)が必要だが、元介護士の家族や知人に糖尿病患者はおらず、犯行現場となった病院で盗まれた形跡もなかった。

霊能力者容の家族にはインスリンを常用している糖尿病の患者がおり、府警は入手経路は元介護士容疑者の供述どおりだとみている。

霊能力者は女性の死亡から数カ月後、親族に「女性が死にきれていない」と多額の祈●(=示へんに寿の旧字体)(きとう)料を要求。
他の事件でも同様の行為を繰り返しており、入手した現金は家族旅行のほか、日常生活で浪費していたとみられる。

両容疑者は高校の同級生で卒業後も友達付き合いを続けていた。

不妊問題に悩んでいた元介護士が約30年前、霊能力者の助言に従ったのを機に「霊能力者と信者」としての上下関係ができていったという。

元介護士は「霊能力者容疑者のように幸せになりたくて、ずっとお布施をしていたが、結局幸せになれなかった」と供述している。

誠に不気味な話しですが、わたしの考えではこれはカルト問題が殺人・放火に向かったと考えるべきでしょう。
府警は信者数人から計約1億8千万円を集めたとみている。という点からも、宗教活動の実態はあったようです。

カルト問題で殺人に至った例としては、人民寺院集団自殺事件1978年とかシャロンテート殺人事件1969年などが有名です。

直近では、2007年の紀元会事件もカルト宗教での殺人事件と言って良いでしょう。

普通は、殺人とか放火に至るものか?と思いますが、わたしが裁判を応援しているホームオブハート事件でも、普通の主婦が半年で2000万円を貢いだ事実が裁判で認定されました。

「ホームオブハートとToshi問題を考える会」には「今もホームオブハートに残る人たちへ」とのメッセージが上がっています。

この一つを見ても、カルト的団体に取り込まれてしまうと、抜け出すこと自体が大変であることが、何となく分かります。
そして、その逆に深入りすると、殺人や自殺などに結びつくと言えます。

しかしながら、カルトであると法律で団体を取り締まるのは、宗教弾圧になるでしょうから難しい。 だからと言って、今回の事件やオウム真理教事件などでは、首謀者が直接犯罪行為を実行しない場合が多いわけで、首謀者が命令しなければ起きなかった殺人事件をどう考えるのか?といった重大な問題に直面します。

今回の一連の報道が事実であった場合、殺人であり放火ですから、カルト問題解明はより重要になったと言えるでしょう。

3月 11, 2010 at 09:59 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.05

児童虐待・家裁の判断が間違っていないか?

読売新聞より「衰弱死の4歳児、児童相談所が強制保護断念

4歳の次男を衰弱させて放置したとして、埼玉県蕨市中央の無職(47)、妻(37)両容疑者が保護責任者遺棄容疑で逮捕された事件で、県南児童相談所(南児相)が

次男を職権で強制的に保護することを検討しながら、
さいたま家裁に相談し、
「明確な虐待が認められなければ難しい」とする回答を受け
て断念していたことがわかった。

南児相や蕨市によると、両容疑者は03年3月頃に家賃滞納でアパートを追い出され、3歳だった長男と公園を転々とする路上生活をしていた。

次男のは同年9月に生まれたが、両容疑者が「ホームレス状態で育てられない」と訴えて乳児院に保護された。

市などは長男の保護や生活保護申請を再三働きかけ、04年3月に南児相が長男を保護。
両容疑者は生活保護を申請し、市の紹介でアパートに入った。

保護が解除されたのは、長男が同年6月、次男が06年1月。

しかし、次男は3歳児健診を受けず、入園した公立保育園に一度も行かなかった。
隣室に住んでいた女性(67)は「子どもが泣き叫ぶ声が毎日のように聞こえ、母親は朝から晩まで『うちの子じゃない』『お前なんか養う義理がない』と次男をどなっていた」と話す。

南児相や市は06年5月から08年1月まで13回、蕨署なども交えて対策会議を開き、次男らの職権保護も検討。しかし、さいたま家裁に「暴行の痕跡など、明確な虐待が認められなければ強制保護は難しい」と回答されて断念したという。

南児相は月数回の訪問も続け、虐待を疑わせる痕跡は確認できなかったが、事件直前の08年1、2月、容疑者は「いない」「昼寝をしている」などと言って会わせなかったという。

次男の遺体は、低栄養状態で複数の打撲痕や擦り傷が確認されており、蕨署は、容疑者が虐待を隠そうとした可能性もあるとみて保護責任者遺棄致死などの疑いでも調べる。

蕨署の高野邦夫副署長は逮捕まで2年余を要したことについて「両親を再三にわたって呼び出したが、『病気だ』などと繰り返し、聴取に応じなかった」と釈明。
蕨市の担当者は、県警に「客観的証拠がないため、立件は困難」と説明されたことを明らかにした。
(2010年3月5日03時10分 読売新聞)

ホームオブハート裁判でも、児童相談所の一時保護が争点になりました。
児童を親から離して保護することができる機関ですから、極めて強大な権力を持っていると言えますが、当然権力の行使については議論の対象になるから、積極論と消極論が出てきます。

今回の事件について、さいたま家裁が「暴行の痕跡など、明確な虐待が認められなければ強制保護は難しい」と回答したというのは信じがたいところです。
言うまでもなく「暴行の痕跡の残らない虐待行為」はいくらでもあるわけで、保護を実施せずにちょっと見ただけで明確に判断できる暴行の痕跡というのでは、命に関わる危険性が相当高い場合になるでしょう。
それを判断基準にしては、マズイでしょうし、実際に今回の事件に至った。

やはり、総合的に考えるべきであって「明確に分かる暴行の痕跡」を必要条件とするのは明らかに間違っている、と考えます。

Up

この説明図を見ますと、2004年に長男が一時保護されています。
2004年に何か法律か規則が変わって、児童相談所は通告があった場合に即座に立ち入り、必要があれば即座に保護する義務が課せられました。
これによって、ホームオブハート事件では児童虐待と認定されて、保護されました。

今回の事件で、長男・次男とも保護になったのは、この頃の影響が大きかったのではないか?と想像します。

それが、2006年2007年と上記のような行政機関間のやり取りをしている間に、死亡事件になってしまった。
どうも、行政で担当者が移動すると、当初の目的も分からなくなってしまう、ということのようです。

3月 5, 2010 at 08:14 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.02.25

警察のやることが頼りない

読売新聞より「万引き誤認逮捕…目撃証言を過信、裏付け怠る

警視庁西新井署が今年1月、40歳代の女性を誤認逮捕した万引き事件。

警察は目撃証言を根拠に十分な裏付けを取らないまま逮捕状を請求し、裁判所も逮捕状を発付していた。

これまでの万引き事件の誤認逮捕は、現行犯などが大半で、捜査に1か月を費やした末に別人の身柄を拘束した今回のようなケースは異例だ。

同庁は全署に対し、「裏付け捜査の徹底」を指導する。

◆警備員証言

事件は、昨年12月20日午後7時20分頃、足立区の東武伊勢崎線・西新井駅前のスーパーで起きた。この日は日曜日で、売り場は師走の買い物客で混雑していた。万引きされたのは、アイロンなど15点(約3万2000円相当)。
犯行の一部始終を警備員が目撃していた。

警視庁幹部によると、警備員は西新井署員に対し、「品物を入れた手提げバッグを持って自転車で立ち去ろうとした女を呼び止めたら、女はバッグと自転車を置いて逃げた」と証言。

さらに、誤認逮捕することになる40歳代の女性を「犯人」と名指しした。

この女性はこのスーパーにたびたび来店していた。当日の防犯カメラの映像で確認を求めると、警備員は「間違いない」と強調したという。

同署はこの目撃証言を重視。

40歳代の女性に当日の明確なアリバイが確認できなかったため、犯人との見方を強めた。

さらに、自転車の所有者だった同区内の女(39)の夫から、「妻は自転車を盗まれたと言っていた」と説明されたことで、心証を固めてしまう。

この時、同署は、この女について調べることも、自転車の盗難届の有無を確認することもしていない。

◆逮捕状

同署が、警備員の証言と防犯カメラの映像を根拠に、窃盗容疑で40歳代の女性の逮捕状を請求したのは今年1月22日。
同日、東京簡裁が逮捕状を発付した。

その後、女性は同26日に通常逮捕されたが、一貫して否認した。

このため、同署で自転車の持ち主の女を捜査した結果、逮捕した女性と髪形や体形、顔つきが酷似していることが判明。

同署は誤認逮捕の可能性があるとして、翌27日に女性を釈放。

その後の捜査で、自転車の持ち主の女が容疑を認めたことから、今月23日に逮捕した。

今回の誤認逮捕について、警視庁の複数の幹部は「犯人は逃走していたため逮捕は必要と判断したが、裏付け捜査が甘すぎた」と反省する。

元検事の若狭勝弁護士も「自転車の持ち主を少なくとも1回調べるという基本に忠実な捜査をしていれば防げたはず」と指摘する。

一方、東京簡裁を管轄する東京地裁は「個々の裁判官の判断にかかわることなのでコメントできない」(総務課)としている。ただ、あるベテラン裁判官は「あくまで書面による審査なので、根拠となる証言内容などにおかしな点がなければ、逮捕状を出すことになる」としたうえで、「人違いはあってはならない。一層注意深く書類を見るしかない」と話した。

◆誤認逮捕後絶たず◆

警察庁によると、昨年1年間に全国の警察に届けられた万引きは前年より4463件増の14万9892件。摘発件数も2816件増の10万8802件に上った。
一方で、店の従業員の目撃証言を過信し、誤認逮捕するケースは後を絶たない。

昨年3月、警視庁大崎署が当時高校1年生の男子生徒を万引きで誤認逮捕した際も、被害にあったコンビニ店の店員の証言をうのみにしたのが原因だった。

同署は少年を現行犯逮捕したが、店内の防犯ビデオを分析した結果、万引きしたのは別の少年だったことがわかり、約1時間半後に釈放した。
(2010年2月25日14時41分 読売新聞)

非常に注目するのは、物的証拠の自転車より警備員の証言、容疑者の夫の証言を優先しているところですね。

40代の女性が自転車盗んで、その自転車で年中行っているスーパーにあらわれて万引きする。
なんて状況は小説にだって書けませんよ。

全体を考えないで、入ってきた情報に振り回されていた、ということでしょう。
警視庁でもこんな頼りない判断力で「捜査」しているというの大問題ではないのか?

その一方で、犯罪の広域化とか高度化という現実もあるのだから、地域警察と競争させる意味でも、日本版FBIを作るべきではないだろうか?

2月 25, 2010 at 05:13 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

検察官の取り調べに対して、国家賠償を認めた判決

小倉秀夫弁護士のブログ la_causette の記事「自分が覚えなくても,やったかもしれないって言ったら丸く終わるやん。」これは以前から気にしていた事件です。

平成19年(2007年)9月28日に、原告の少年を含む4人が京都のコンビニで万引きして、止めようとした店員に暴力をふるった事件が発端です。

読売新聞 2007.10.01 の記事「コンビニで強盗致傷 五条署、4容疑者逮捕=京都

五条署は30日、岐阜市、土木作業員派遣業(24)、同市、会社員(22)、岐阜県関市、無職(22)の3容疑者と岐阜市内の土木作業員の少年(19)の計4人を強盗致傷容疑などで逮捕したと発表した。

調べでは、容疑者らは共謀。
29日午前5時45分ごろ、中京区のコンビニエンスストアで、おにぎりなど7点(計1887円)を盗み、呼び止めた店員(24)に殴りかかった。
止めようとしたほかの店員2人にも暴行、3人に1週間のけがを負わせた疑い。

成人の刑事事件は、検察捜査 → 起訴 → 地裁 → 高裁 → 最高裁と進んでいきますが、少年の場合は検察捜査 → 家裁 → 処分であって、外見上は控訴がありません。
実際には、家裁の判断が刑事処分が必要であるとなる、検察に戻されて再度捜査が始まりますから、家裁だから問題だということでありません。

家裁も裁判所ですから、検察の手を離れることは明らかです。

また、家裁が普通の裁判ではないので、やり直しが利かない(上訴がない)ところが問題で、紹介する事件とは別にやはり成人と少年がそれぞれ通常の裁判と家庭裁判所に分かれて、審判があり。
成人は長年闘って、無罪が確定したのに、少年は家庭裁判所の決定が変わらない、という事件がありました。

読売新聞 2008.06.17 の記事「「検事が自白強要」元少年らが提訴 国に賠償求め/京都地裁

逮捕されて京都地検検事の取り調べを受けた際、自白を強要されるなどしたとして、当時少年だった男性(20)と弁護人を務めた京都弁護士会の谷山智光弁護士(32)が16日、国に660万円の損害賠償を求め、京都地裁に提訴した。

京都弁護士会の弁護士61人も「脅迫的な取り調べをなくしたい」と、原告側代理人として参加した。

訴状によると、男性は昨年9月、京都市内で、友人3人とコンビニ店員の顔などを殴ったとして、京都府警に傷害容疑で逮捕、強盗致傷容疑で送検された。

男性は容疑を否認したが、担当検事は机をけって「お前らは腐っている」と罵声(ばせい)を浴びせ、別の検事は「あんな弁護士が付いて運が悪いな。やったかもしれないと言えば丸く収まる」と虚偽の供述を迫ったという。男性は同11月の少年審判で、傷害の非行事実により保護観察処分になった。

大仲土和・京都地検次席検事の話「原告が主張するような事実はなかったと認識している」

この裁判に判決について、小倉秀夫弁護士が記事を書かれていたので、判例検索で判決文を引っ張って来ました

結構長いのですが、弁護士も頑張ったことよく分かるものです。
リンクはPDFで、しかも判決文そのものですから、改行が少ないとか、前の記述を文節を示す記号で示したりしているので、可能な限り html 化してみました。

本文は章番号も書き換えていないので、間違えないと思いますが、リンクは間違っていることがあるかもしれません。
また、PDFにはあらわれないインデントになっているのも、html 化によるものです。
赤文字・青文字・太文字といった変更もしています。

判決文を読んで興味深いのは、4人ですから「共謀して」となるわけですが、20代前半ぐらいだとなんとなくつるんでいる、といったノリなので「共謀して」ということ自体が、証拠上明らかになりにくい。
店員を負傷させていますから、傷害罪であり、万引きですから窃盗で、止められているから強盗である可能性があります。
そこに共謀が出て来るわけですが、コンビニの商品(おにぎりなど)を4人で一斉に万引きする、というのはなかなか無いことでしょう。
そうなると「万引きを共謀した」という証明も意外と難しい。

結局、

成人であって本件事件の端緒を作ったEが起訴猶予,
成人であるFとGが,とりわけFは原告Aよりも激しい暴行を振るったことが明らかであったのに,いずれも傷害罪で起訴,
少年である原告Aが強盗致傷罪で家裁送致
ということなりました。

ここで、先に書いた「家庭裁判所一度だけで検察逆送もあるから、より重い罪であるとして家裁に送付したのではないのか?」と問題になったわけです。
同時に、弁護士を「信用するな」と検事が言っちゃダメでしょう。

さらに、驚嘆したのは、防犯ビデオの扱いです。
最終的には、行方不明のようです。
そのために、今回の民事裁判で検察側(被告側)は「暴行しているビデを見せた」と主張し、弁護士側(原告側)は「ビデオを見せられたが、暴行しているところは確認出来なかった」供述しているのです。
つまり決定的な証拠が行方不明のままで、「言った言わない」という争いを検察官がやっている。

何とも粗雑な検察捜査だな、というのが印象でありました。

PS しかし、判決文の html 化は面白いけど、美しくは出来ない・・・・・。

以下、判決文です。


事件番号:平成20年(ワ)第1839号
事件名:慰謝料等請求事件
裁判年月日:H21.9.29
裁判所名:京都地方裁判所
:第1民事部
結果:一部認容

判示事項の要旨:

被疑者として逮捕勾留中の少年を取り調べた検察官の言動の中に,少年の尊厳や品位を傷つける言動,虚偽自白を誘発しかねない言動,及び少年と弁護人との間の信頼関係をみだりに破壊しようとする言動があり,違法であるとして,少年及び弁護人の国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

主        文

  1. 1 被告は,原告Aに対し,金44万円及びこれに対する平成19年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 2 被告は,原告Bに対し,金22万円及びこれに対する平成19年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. 3 原告らの被告に対するその余の各請求をいずれも棄却する。
  4. 4 訴訟費用は,これを10分し,その9を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 当事者が求めた裁判

    1 原告ら(請求の趣旨)

    1. (1) 被告は,原告Aに対し,金330万円及びこれに対する平成19年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    2. (2) 被告は,原告Bに対し,金330万円及びこれに対する平成19年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    3. (3) 訴訟費用は被告の負担とする。
    4. (4) 仮執行宣言

    2 被告(請求の趣旨に対する答弁)

    1. (1) 原告らの被告に対する各請求をいずれも棄却する。
    2. (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。
    3. (3) 仮執行宣言を付する場合には,執行開始時期を判決が被告に送達された後14日経過した時とし,担保を条件とする仮執行免脱宣言

第2 事案の概要

    本件は,被疑者として逮捕勾留された原告A(当時19歳)が,①検察官が原告Aに対し,威嚇,侮辱及び脅迫を伴う取調べをしたこと,②検察官が取調べの場において原告Aに対し,原告Aと弁護人との信頼関係を破壊する言動をしたこと,③検察官が,原告Aについて,客観的には嫌疑がないのに,報復を目的として重い罪名で家裁送致したことが違法である等として,原告Aの弁護人であった原告Bが,検察官の上記②③の各行為は弁護人の弁護権を侵害する行為であって違法であるとして,それぞれ被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,各損害(原告Aについては,慰謝料300万円及び弁護士費用30万円,原告Bについては,慰謝料300万円及び弁護士費用30万円)及びこれらに対する最後の不法行為の日(家裁送致日)である平成19年10月19日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。なお,以下の文中の日付は,特に断らない限り,平成19年である。

    基礎となる事実(争いのない事実並びに各項末尾記載の証拠等によって容易に認定することのできる事実)

      (1) 当事者等

        原告A(昭和62年12月30日生)は,平成19年9月当時,岐阜市内で居住し,土木作業員として稼働していた。保護観察処分を受けた前歴はあるが,逮捕勾留された経験はなかった。〔乙91,原告A本人(38頁)〕
        原告Bは,平成18年10月に第59期司法修習を修了し,弁護士登録をした京都弁護士会所属の弁護士である。
        C検事及びD検事は,いずれも検事であり,平成19年9月及び10月当時,京都地方検察庁に配属されていた。

      (2) 本件事件の発生

        平成19年9月28日夜,原告Aは,知人ないし友人であったE(24歳),F(22歳),G(22歳)及びHと連れ立って自動車で岐阜市内を出発し,翌29日午前零時ないし午前1時ころ,京都市a区内の京阪b駅付近に到着し,駐車場に自動車を駐車させて,京都市内の著名な歓楽街であるいわゆるc付近で遊興した後,上記駐車場に戻ろうとした。
        同日午前5時40分ころ,原告A,E,F及びG(以下「原告Aら4名」という。)が京都市d区e町f地所在のコンビニエンスストアL(以下「本件店舗」という。)前に差し掛かった。
        原告Aら4名は,順次本件店舗に入店した。
        数分後,原告Aら4名は,何も購入することなく本件店舗から出たが,その際,Eは,本件店舗から,調理麺,おにぎり等7点を,レジを通すことなく持ち出し,万引きした。
        Eの万引きに気付いた本件店舗の店員被害者Iは,原告Aら4名を追いかけ,声をかけた。
        その後,被害者Iは,本件店舗前路上で,F,G及び原告Aから,こもごも,胸ぐらを掴まれ,顔面を殴打され,身体を足蹴りされる等の暴行を受け,さらに,これを制止しようとした本件店舗の店員被害者J及び同Kも同様に暴行を受けた。(乙11ないし13)
        これらの暴行により,被害者Iは,加療約1週間を要する頭部顔面打撲等の,同Jは,加療約1週間を要する左顔面打撲等の,同Kは,加療約1週間を要する顔面打撲の各傷害を負った。(乙14ないし16)(上記イないしエの事実を,以下「本件事件」という。)

      (3) 原告Aらの身柄拘束等

        9月29日午前6時ころ,原告Aは,E及びFとともに,傷害(共謀による被害者I及び同Jに対する犯行)の現行犯人として逮捕され,京都府五条警察署司法警察員に引致された。
        同日午後5時39分ころ,共犯者Gは,強盗致傷(原告A,E及びFとの共謀による,万引きした商品を取り返されることを防ぎ,逮捕を免れるためにした被害者I,同J及び同Kに対する暴行による傷害)の被疑事実で通常逮捕され,京都府五条警察署司法警察員に引致された。
        同月30日,京都府五条警察署司法警察員は,原告Aら4名につき,強盗致傷の被疑事実(上記Gの逮捕事実と同一)で,京都地方検察庁検察官に送致した。
        10月1日,原告Aに対して,勾留場所を五条警察署留置施設として勾留状が発布され,同月10日,勾留期間が同月20日まで延長された。E,F及びGも,同様に勾留され,勾留期間が延長された。
        同月1日,原告Bは,原告Aの国選弁護人として選任された。

      (4) 捜査の経緯の概要

        逮捕時の弁解録取において,傷害罪で逮捕された3名のうち,原告Aは,「相手の胸倉を掴んだことは認めるものの,怪我をさせるような暴行は加えていない」旨,Eは,「友達を止めただけで手を出していない」旨弁解し,Fは,事実を認めた。
        強盗致傷罪で逮捕されたGは,殴ったことは認めたが,Eが万引きしたことは知らなかったと述べた。(乙32,34,36,38)
        9月29日に行われた司法警察員の取調べで,被害者Iは,Eが万引きをした旨,Fと原告Aに殴られた旨を供述し,被害者Jは,Fから殴られた旨及び原告AかGのどちらかが被害者Iを殴打するところを見た旨,被害者Kは,Fから殴られた旨及び原告Aが被害者Iの胸倉を掴んだり殴っているのを見た旨,Gが被害者Iを殴っているのを見た旨をそれぞれ供述した。(乙57ないし59)
        9月29日,司法警察員は,本件店舗に備付けの防犯ビデオに原告Aらの犯行が撮影されていることを確認し,デジタルカメラで重要な場面を撮影し,その写真55葉を添付した捜査報告書を作成した(以下「本件ビデオ写真報告書」という。)。
        10月2日,司法巡査は,このビデオテープ(以下「本件ビデオテープ」という。)を本件店舗の店長から任意提出を受けて領置した。(乙8,163ないし166)
        Eは,万引きの事実について,逮捕当初は,覚えていないと供述していたが,やがて,この事実を認めるに至った。
        もっとも,万引きは一人でしたことであると供述し,F,G及び原告Aとの共謀の事実は否認した。
        他方,本件店員らに対する暴行については,Eは,これを否認し,暴行を振るったF,G及び原告Aとの間の共謀についても否認した。(乙93,112,134)
        Fは,本件店舗から出た後,Eが万引きしたことに気付き,Eを守るため,本件店員ら3名に対して暴行を振るったことを認めた。(乙2,4,10,122,125,135ないし137)
        Gは,10月9日に行われたC検事の取調べの際には,本件店舗の店員を殴ったことを認めたものの,よく覚えていない旨供述していたが,その後,被害者Iを殴ったことを認めるに至った。もっとも,Eが万引きをしたことに気付いていたことについては最後まで明確には認めなかった。(乙3,5,6,111,124,138,139)
        原告Aは,捜査段階を通して,被害者Iの胸倉を掴んで揺する等の暴行を加えたことは認めたものの,被害者Iを殴打,足蹴りしたことは否認し,本件店舗から出た後にEが万引きをしたことに気付いたことは認めたものの,Eと万引きを共謀したことについては否認した。(乙1,9,92,116,121,156,159)

      (5) 原告Aに対する取調べ等

        C検事は,本件事件の捜査の担当となり,10月9日午後1時16分から28分までの12分間,京都地方検察庁で原告Aを取り調べた(以下「10月9日取調べ」という。)。(甲149)
        原告Bは,同月10日,京都地検検事正に対し,10月9日取調べにおいて,C検事によって違法な取調べがなされた疑いがある旨を記載した通知書(以下「本件通知書」という。)を発送し,本件通知書は,翌11日に京都地検検事正に配達された。(甲5)
        同月15日,本件事件捜査の担当がC検事からD検事に変更された。
        D検事は,同月15日午前10時01分から午前10時43分までの42分間京都地方検察庁において,及び同月17日午後7時18分から午後7時42分までの24分間五条警察署において,それぞれ原告Aを取り調べた(以下,同月17日の取調べを「10月17日取調べ」という。)。(甲142,143)
        原告Bは,同月18日,京都地検検事正及び検事総長宛に,10月17日取調べにおいて,D検事によって違法な取調べがなされた旨を記載した抗議書(以下「本件抗議書」という。)を発送し,本件抗議書は,翌19日,京都地検検事正及び検事総長に配達された。(甲8,9)

      (6) 原告Aら4名の処分状況等

        D検事は,10月19日,Eについて,窃盗の単独犯と認定した上で不起訴とし,F及びGについては,原告Aとの共謀による傷害罪として京都地方裁判所に公判請求し,原告Aについては,刑事処分相当との意見を付して京都家庭裁判所に送致した(以下「本件家裁送致」という。)。
        なお,送致書の「審判に付すべき事由」欄には,「送致書記載の犯罪事実」と記載され,司法警察員作成にかかる京都地検検事正宛の9月30日付送致書(罪名「強盗致傷」)が引用されていた。また,送致書の「参考事項」欄には,F及びGが傷害罪で公判請求したことが記載されていたが,Eを起訴猶予としたことは記載されていなかった。(甲11,25,乙17)
        京都家庭裁判所は,同日,原告Aにつき観護措置決定をすると共に,その住居地を管轄する岐阜家庭裁判所に移送する旨の決定をした。
        これに先立つ同月18日,原告Aは,原告Bを付添人に選任した。(乙167)
        同月22日Gが,同月26日Fがそれぞれ保釈された。
        11月14日,岐阜家庭裁判所は,原告Aについて,原告A,F及びGとEとの間で窃盗についての共謀の事実を認めることができず,Eが盗品の取り返しを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪証を隠滅するために暴行脅迫をした事実があったとはいえず,Eと原告A,F及びGとの間で暴行について共謀が成立したということもできないから,原告Aについて強盗致傷罪は成立しないとし,F及びGとの共謀による被害者I,同J及び同Kに対する傷害の犯罪事実を認定した上,保護観察に付する旨を決定した。(甲12)
        F及びGは,12月11日に開かれた第1回公判期日において,いずれも公訴事実を認めた。12月18日,Fについて懲役1年(執行猶予3年),Gについて懲役10か月(執行猶予3年)の各判決が言い渡され,いずれも確定した。(乙20,21)

3 争点及び当事者の主張

    本件の主たる争点は,C検事及びD検事に国家賠償法1条1項の適用上の違法行為があったか否か及び原告らに損害が認められるか否かであり,争点についての当事者の主張は次のとおりである。

    (1) 10月9日取調べにおけるC検事の言動は,国家賠償法1条1項の適用上,違法か

    (原告Aの主張)
      C検事は,10月9日取調べにおいて,原告Aが「被害者Iを殴っていない」旨の供述したのに対し,机を蹴って威嚇し,
      「そんなん嘘や,おまえらの事なんて信じへんわ」と大声で怒鳴りつけ,「お前らは腐っている。くず」と侮辱した上,「お前としゃべてても,話にならへん。
      お前らが何と言おうと強盗致傷で持って行く。とことんやったるからな」
      と脅迫した。
      このような取調べは,取調検事としての職務上の法的義務に違反するもので,国家賠償法1条1項の適用上,違法である。
    (被告の主張)
      原告Aの主張事実は否認する。
      C検事は,被害者Iの胸ぐらを掴んだだけで,殴打,足蹴りについては覚えていない旨の原告Aの供述が不合理であると判断し,原告Aを更生させるためにも真実を語らせる必要があると考え,正直に話すように諭したが,原告Aが,覚えていないとの供述を維持するため,
      「君は,根性が腐っとるな。ちゃんと思い出そうとする努力をしているのか。本当にきちんと思い出す気持があるのか。」
      等と言い,これ以上取り調べても進展はないと考え,原告Aに対し,
      「君の言っていることは全く信じられない。これ以上君としゃべってても話にならへんので今日は帰っていい。ちゃんと思い出してくれ。」
      と述べて,取調べを終了したにすぎない。

    (2) 10月17日取調べにおけるD検事の原告Aに対する発言は,国家賠償法1条1項の適用上,違法か

    (原告らの主張)
      D検事は,10月17日取調べにおいて,原告Aに対し,
      「君の弁護人は,弁護士になってから何年目か知っているか。少年の君になめられるのが嫌やから年数言ってないけど,1年経ってへんねんぞ。あの弁護士は,刑事のこと何もわかってないで。あんな弁護士がついて君も運が悪いな。」,
      「このまま行ったら,家裁へ行って,鑑別所に入り,逆送になって,刑事裁判になる。裁判になったらたくさんの人を調べるのに時間がかかるから,君が話すのは7回目くらいになる。そうなったら,成人式なんて到底でられへんな。」,
      「自分は覚えがなくても,警察や検事,相手がやられたって言ってるやん。自分は覚えていなくても,やったかもしれないって言ったらまるく終わるやん。」,
      「弁護士と話すなら,私はもう帰る。私を信じるのか,弁護士を信じるのか。」,
      「あんな人のことをよく信じるね。君はかわいそうだよ。」
      と述べた。
      被疑者には,弁護人依頼権(憲法34条前段)が保障されている。
      この弁護人に依頼する権利は,身体の拘束を受けている被疑者が,拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり,人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。
      したがって,右規定は,単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく,被疑者に対し,弁護人を選任した上で,弁護人に相談し,その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。
      被疑者・被告人は,法律の専門家である検察官とは異なり,通常法的知識に乏しいので,法律の専門家である弁護人の保護なくしては防御権を適切に行使しえず,保護者としての弁護人が適切な弁護活動をすることによって当事者主義が初めて実質化する。
      よって,弁護人は,被疑者・被告人の単なる代理人ではなく保護者としての地位にある。そして,弁護人が保護者としての役割を果たすためには,「他から不当な干渉を受けることなく有効に弁護活動をする権利」(以下「弁護権」という。)が保障されている必要がある。
      なぜなら,このような権利がなければ,弁護人は保護者として弁護活動を全うすることができず,その結果,被疑者の弁護人依頼権及び弁護人選任権(刑事訴訟法30条)は結局のところ有名無実化してしまうからである。
      したがって,被疑者の弁護人依頼権及び弁護人選任権を実質化するためには,このような権利と表裏一体のものとして弁護人に弁護権が保障されるのである。
      このような弁護人の弁護権は,敷衍すれば,「弁護人が,その固有権として,捜査機関などの公権力からの妨害を受けることなく,被疑者・被告人に対して刑事手続上の実質的な援助を与える権利」である。この弁護権は,①接見交通権など,明文上弁護人の固有の権利として保障されている弁護活動を行う権利を内包し,②捜査機関などの公権力からの妨害を受けないという性質から,自由権としての側面を有する。
      被疑者と弁護人との間に信頼関係がなければ,弁護人依頼権も弁護権も画餅に帰する。
      被疑者と弁護人の関係は,ほとんどの場合当該刑事事件の受任を契機として始まるから,当初から十分な信頼関係が成立していることは少ない。したがって,弁護人は,被疑者との接見その他の弁護活動を通じて,弁護人の保護者たる地位を説明し,取調べ等に向けて適切なアドバイスをし,あるいは家族等との連絡役となって,被疑者から十分な情報を得て,被疑者と意見を交換したりしながら,被疑者との信頼関係を構築していくのである。
      このように,被疑者と弁護人との信頼関係は,被疑者の弁護人依頼権を具体化し,同時に弁護人が弁護権を行使していくための不可欠の前提となっており,このような被疑者と弁護人との信頼関係は,捜査機関から不当な干渉をされないという意味で,法的な保護を受ける。
      そうすると,捜査機関が,弁護人の弁護活動を契機として被疑者に違法不当な対応や不利益な処遇を行い,もって被疑者と弁護人との信頼関係を破壊し,あるいは動揺させようとして被疑者に不当に働きかける行為は,弁護活動に萎縮的効果を及ぼすものであって,被疑者の弁護人依頼権及び弁護人の弁護権を侵害する違法な行為となる。
      したがって,検察官には,被疑者と弁護人との信頼関係を破壊し,動揺させることのないよう注意する職務上の法的義務がある。
      D検事の上記ア記載の発言は,原告Aと原告Bの信頼関係を破壊することによって,虚偽の自白を獲得しようとしたものであり,原告Aの弁護人依頼権及び原告Bの弁護権を侵害し,取調検事としての職務上の法的義務に違反する行為であって,国家賠償法1条1項の適用上,違法である。
    (被告の主張)
      原告の主張アの事実は否認する。
      D検事は,原告Aが,勾留の満期に釈放されると思っている口ぶりであったことから,そうではないことを伝えるために,原告Aに対し,今後の手続について,家庭裁判所に送致されること,鑑別所に入ることがあること,審判の結果,逆送され,刑事処分を受けることがあること等を説明するとともに,原告Aが成人式に出席したいと話していたことから,「成人式は晴れの舞台であり,嘘をついてやましい気持のまま出る資格はない。君は,成人式に出る資格がない。」と説諭し,折から,原告Bが接見を求めているとの連絡が入ったので,原告Aに対し,「先生が来ているけど会いますか。接見しますか。」と尋ねたところ,原告Aが「会う。」と答えたので,「私は,じゃ帰ります。」と告げて,取調べを終えたにすぎない。
      原告Bは,弁護人には「弁護権」が保障されていると主張するが,その主張には根拠がない。
      そもそも弁護人には「固有権」があると解されているが,これは,接見交通権(刑事訴訟法39条1項),証拠書類・証拠物の閲覧・謄写権等,弁護人の権限として法が特別に規定した権利であり,これを超えて,「捜査機関などの公権力からの妨害を受けることなく,被疑者・被告人に対して刑事手続上の実質的な援助を与える権利」が一般的に認められるものではない。
      被疑者と弁護人との信頼関係は,接見交通権が保護されたことに伴って付随的に受ける事実上の利益にすぎず,国家賠償法上,直接に法的保護の対象になるものではない。
      したがって,本件において,D検事の行為によって,国家賠償法1条1項における権利侵害行為があったか否かは,原告Aと同Bの信頼関係の破壊により,刑事訴訟法39条1項によって保障された被疑者又は弁護人の接見交通権が侵害されるに至ったかどうかによって判断されるべきものである。

    (3) 本件家裁送致は,国家賠償法1条1項の適用上,違法か

    (原告らの主張)
      検察官が,
      ①収集した資料の証拠評価を誤るなどして,経験則上到底首肯しえないような不合理な心証を形成し,客観的には当該犯罪の嫌疑が認められないのに,当該犯罪の嫌疑があるものとしてその少年事件を家庭裁判所に送致した場合,もしくは,
      ②少年が被疑事実を認めなかったこと等に対する報復を目的として,
      その少年事件を重い罪名で家庭裁判所に送致した場合には,その家裁送致は,検察官の職務上の法的義務に違反する行為と言うべきである。
      D検事は,
      万引きをしたEについては不起訴とし,
      本件店舗の店員に暴行を加えたF及びGについては,強盗致傷罪ではなく,傷害罪で起訴した。
      それにもかかわらず,少年である原告Aの事件だけを,強盗致傷という罪名で家庭裁判所へ送致し,かつ,刑事処分相当との意見を付した。
      しかしながら,原告Aに対する法律記録を検討しても,原告AとEとの間に窃盗についての共謀を認定し得るだけの証拠はなく,暴行行為に及んだ原告A,F及びGとEとの間に,暴行についての共謀を認定しうるだけの証拠もなかった。
      つまり,本件においては,捜査が終了した段階で,原告Aについて,客観的に強盗致傷の嫌疑は認められなかった。
      したがって,D検事は,検察官が,捜査資料の証拠評価を誤るなどして,経験則上到底首肯しえないような不合理な心証を形成し,客観的には強盗致傷罪の嫌疑が認められないのに,これがあるものとして,その罪名で本件家裁送致をしたものである。
      また,D検事は,原告Aに対する法律記録を検討しても,強盗致傷罪の嫌疑がなかったにもかかわらず,原告Aが被疑事実を認めなかったことに対する報復及び原告Bが本件通知書や本件抗議書を発したことに対する報復を目的として,原告Aの事件を強盗致傷の罪名で家庭裁判所に送致したものである。
      本件家裁送致は,原告Bによる被疑者弁護活動の一切が無駄であったという決定的なメッセージ