2011.10.19

ようやく出てきた天然放射線の話

朝日新聞より「新潟知事が汚染マップ批判 「天然放射線を配慮せず」

東京電力福島第一原発事故を受け、文部科学省が航空機で各地の放射性セシウムの蓄積量を測り、公表した汚染マップについて、新潟県の泉田裕彦知事は19日の記者会見で

「天然の放射線を配慮していない。いい加減な数値である可能性がある」
と激しく批判した。

マップの値は、新潟県内に幅広く分布する花崗岩(かこうがん)から出る放射線の影響を踏まえていない、と同県は主張している。

文科省が12日に公表した汚染マップによると、新潟県では福島県境や北部で比較的、高い蓄積の地域が見られ、一部で1平方メートルあたりの蓄積量が3万~6万ベクレルに上った。

新潟県は花崗岩分布とマップの「汚染地域」がほぼ一致しているとして、発表直後から

「すべてが原発事故による影響ではない」
としてきた。

最近になって、TVでも石造りの橋の放射線量を測ったり、という報道が流れ来ましたが、ようやくこの話が出てきたな、と思うところです。

しかし、放射線量を心配する方の多くはどうも「放射線の数値があること自体が問題」と考えているようで、事故以前にはどの地区の放射線量(バックグラウンド)がどれくらいか、なんて知らなかったでしょうから「ゼロだと思っている」」なのでしょうね。

結果として、心配は収まらないわけです。
今日も、発言小町に「原発から100キロ地点に転勤、付いて行きますか?」という相談が出ていました。

TVの「石造りの橋」「温泉」「トンネルの中」といったところのバックグランウド放射線量を示した、番組でコメントする人は「だから注意して」のごとき、どっちつかずの発言をしていましたが、これではますます不安感を煽るだけでしょう。

放射線量は、0ではあり得ないのだから、これをはっきりさせることが肝心でしょうね。
仕組みを無視して、危険だ・安全だと言い合うのは、無駄な論争だと思います。

10月 19, 2011 at 05:37 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011.10.14

続・世田谷の不思議な放射線

「世田谷の不思議な放射線量」はラジウムの放置でした。
読売新聞より「世田谷の高放射線量…民家床下にラジウムか

東京都世田谷区の住宅街の区道で高い放射線量が検出された問題で、文部科学省は13日、区道に隣接する民家の床下にあった瓶の中の放射性物質が原因だったと発表した。

がん治療などに使われるラジウム226と推定され、鉛容器などに封入して安全対策を取った。

同省では「セシウムは検出されておらず、原発事故の影響ではない」としている。
同省や警視庁世田谷署は適切な届け出がされていなかった可能性があるとみており、保管状況の調査を急いでいる。

同省や区によると、民家の床下から見つかったのは、木箱の中に入った数十本の試験管のような瓶など。茶色に変色しており、中に白い粉状の物質が見えたという。
瓶の上で放射線量を調べると、胃のX線検診の1回分に相当する毎時600マイクロ・シーベルトだったという。

同省職員が鉛容器に入れて金属管で封入し、民家の敷地境界から離れた場所に置いた。

放射線量はこの日午前、敷地内の木の根元付近では同約8・40マイクロ・シーベルト、建物の壁面で同約18・6マイクロ・シーベルトが検出されたが、応急措置により、敷地と道路の境界付近の放射線量は同0・1~0・35マイクロ・シーベルトにまで下がったという。

同省の簡易検査の結果、ラジウム226とみられることが判明。
一般的に時計の文字盤などに塗る蛍光塗料や医療器具などに使われるという。

半減期は1620年。同省では「民家付近を歩いて通過する程度では、年間の被曝線量は1ミリ・シーベルト以下にとどまり、健康への影響を心配する状況にはない」とした。

(2011年10月14日03時05分 読売新聞)

さすがにこれにはいささか驚きました。
何十年か前には、ラジウム紛失や夜光塗料を塗る筆をなめて被爆、といった事件がありましたが、近年は聞いたことが無いし、そもそも床下に放置なんてのは昔から無かった。

こんなものを放置したけしからん奴がいたことには驚くし、探し出して調べるべきだろうと思う。
しかし、もっとビックリしたのは一部の人たちが、「国の責任だ」と喚いていることだ。

ある意味、プロパガンダとして振り上げた拳が下ろせなくなったからなのだろうが、どうも以下のような論理になったらしい。

  1. 国の放射線発表は信用できない。
  2. 世田谷区でホットスポットが見つかったのは、国が原発事故汚染の発表をごまかしている証拠
  3. ラジウムが見つかって、放置であることが明らかになったから、放置を見逃した国の責任
  4. 放射性物質の行方は国が完全に把握するべき
  5. 国に怒りをぶつける

普通に考えて、放置した個人の責任が優先だろう。
そりゃ国には管理する責任はあるが、事務処理の問題であって、日本中をくまなく放射線量測定する義務があると言うことなのか?
有名な話しであるが、ローマは日本の何倍もバックグラウンドの放射線量が多かった、おそらくは大理石の多用のためだろう。

どうも、ヒステリックに放射線量と騒いでいる人たちは、以前は放射線量が0だったと思いこんでいるのではないのだろうか?
放射線以外にも、重金属とか、有毒ガスとかは、火山などから放出されている。

だから、0であるべきだ論は意味がないのであって、健康被害がどのような仕組みで起きるのか?を理解する方が優先だ。

0であるべきだ論のような架空の話しを信じ込む人たちが、健康食品被害とか、カルト宗教被害とかに陥るのではないのか?と思ってしまう。

3月の時点で、多くの技術者が発言を抑制したと感じるし、わたし自身も抑えてしまった。
しかし、今振り返ってみるとそれゆえに、とんでもない発言が多数出てきたのに、評価されずに一人歩きしてしまったと感じる。
3月の時点で、多少とも考えている人たちは、世のために発言を増やして、科学的知識の平均値を維持するべきだったのではないのか?

なぜ、風評被害になるのか?と親しい知人の女性に聞いたら「なんとなく怖い」だそうだ。
これ自体はもっともだと思うが、判断基準の安全な方を0という現実的では無い物に置いているから、当該産地のデータが基準以下だと聞いて「ほら基準以下とは言え汚染されている。他の産地のは報告がないから汚染は0なのだ」ということになってしまうのだそうだ。

これでは、どうにもならない。

10月 14, 2011 at 09:45 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2011.10.13

世田谷の不思議な放射線量

NHKニュースより「世田谷区の道路で高い放射線量

10月12日 18時18分

今月初め、東京・世田谷区の区道で1時間当たり最大で2.7マイクロシーベルトという高い放射線量が検出され、世田谷区は、この場所に立ち入らないよう呼びかけるとともに今後の除染を検討しています。

高い放射線量が検出されたのは、世田谷区弦巻の区道の歩道部分です。
世田谷区によりますと、今月3日、区民から「放射線量が高い場所がある」という情報が寄せられたため、区が測定したところ、1時間当たり最大でおよそ2.8マイクロシーベルトと周辺に比べて高い放射線が検出されたということです。

このため高圧の洗浄器を使って歩道部分の洗浄を行いましたが、放射線量はあまり下がらず、1時間当たり最大で2.707マイクロシーベルトが検出されたということです。

原因について世田谷区が専門家に聞いたところ、問題の場所は雨水が集まって放射線量が高くなったことが考えられるということです。

この区道は小学校の通学路にもなっていることから、区は、12日朝からこの場所をコーンで囲って立ち入らないよう呼びかけるとともに今後の除染を検討しています。

世田谷区は、ことし7月から8月にかけて区内の小中学校や保育園、それに幼稚園で放射線量を測定しており、その際、高い放射線量は検出されていませんでした。

世田谷区は、子どもへの影響を重視し、今月下旬から来月下旬にかけて区内の砂場がある258か所の公園について調査することにしています。

東京・世田谷区で検出された1時間当たり2.7マイクロシーベルトという放射線量は、文部科学省が積算の放射線量を計算する際に用いている、1日のうち、屋外で8時間、屋内で16時間過ごすという条件で計算すると、1日の被ばく量が38.88マイクロシーベルト、1年間にすると14.2ミリシーベルトになります。

これは国が避難の目安としている年間の放射線量の20ミリシーベルトを下回っています。

計画的避難区域に指定されている福島県の飯舘村役場では、12日、移動式のモニタリングポストを使って計測された放射線量が1時間当たり2.1マイクロシーベルトで、世田谷区の値はこれよりもやや高くなっています。

首都圏では、比較的高い茨城県の北茨城市で、12日、0.14マイクロシーベルトが計測されています。

放射線影響研究所の長瀧重信元理事長は

「文部科学省などによる上空からの測定では、世田谷区では放射線量の高い場所は確認されなかったので、このような値が出たことに驚いている。
ただ、地形や天候の関係で局地的に高い線量になることはあり得ると思う。
周辺の土壌や草木などから放射性物質の種類を調べたり、どこから放射線が出ているのか調べて原因を突きとめるとともに、ほかにもこうした場所がないか調査する必要がある」
と話しています。

世田谷区環境総合対策室の斉藤洋子室長は

「現場は小学校の通学路で、近くには幼稚園や保育園もある。心配する保護者の方がいると思うので、専門家とも相談してできるだけ速やかに除染などの対応をとりたい」
と話していました。

NHKニュースより「世田谷 放射線量下がらず対応検討

10月13日 4時11分

東京・世田谷区の区道で、1時間当たり最大で2.7マイクロシーベルトという高い放射線量が検出されました。

世田谷区は、道路の表面を除染しても放射線量が下がらないため、専門家に相談して対応を決めることにしています。

世田谷区によりますと、高い放射線量が検出されたのは、世田谷区弦巻の区道の長さ10メートル、幅1メートルの歩道部分です。

区が今月4日に測定したところ、1時間当たり最大でおよそ2.8マイクロシーベルトと周辺に比べて特に高い放射線量が検出されたということです。

このため世田谷区は、高圧の洗浄器を使って道路の表面を洗浄しましたが、1時間当たり最大で2.707マイクロシーベルトと放射線量はあまり下がらなかったということです。
これは年間の放射線量に換算すると14.2ミリシーベルトで、国が避難の目安としている20ミリシーベルトを下回っていますが、計画的避難区域に指定されている福島県の飯舘村役場の12日の測定値よりもやや高くなっています。

この区道は、ふだんは小学校の通学路になっていて、近くに幼稚園もあることから、区はこの場所をコーンで囲って立ち入らないよう呼びかけています。

放射線量は、通常、汚染されている路面に近いほど数値が高く、路面から離れて高い場所で測ると低くなります。

ところが今回の場合、路面付近よりも50センチから1メートル離れた場所の方が高い数値が検出されたところもあるということです。

さらに道路の表面を除染しても放射線量が下がらないことから、世田谷区はどのように除染していくべきか、専門家に相談して今後の対応を決めることにしています。

テレビの画面を見ていただきたいのですが、文字通りの「10メートル×1メートル」の範囲だけなので、普通は雨で流された堆積物で高い放射線量を示した、と考えるわけですが道路表面を洗っても放射線量が下がらない、という不思議な結果が出ました。

そこで改めてテレビ画面をよくよく見てみると、歩道に民家の植木というか整理されていない植物がはみ出ています。
さらに地面よりも50センチ上の方が高く放射線レベルを示した、というのですからこの植物を調べる事が必要でしょう。

仮に、この植木?が原因で高い放射線量が出ていたとして、その理由が問題になりますね。
10倍程度は高いといって良いでしょうから、単なる誤差の範囲とも思えない。
もし、バラツキがこれほどあるのなら、もっと綿密な調査が必要だとなります。

どのような結論になるにしても、非常に重要な問題だと思います。

10月 13, 2011 at 09:49 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011.08.21

医療自動化の落とし穴

埼玉新聞より「誤調剤容疑75歳死亡 薬剤師2人書類送検

調剤ミスで春日部市の無職女性を死亡させたとして、県警捜査1課と春日部署は19日、越谷市七左町、「小嶋薬局本店サンセーヌ薬局」の管理薬剤師(65)を業務上過失致死容疑で、同薬局の経営者で県薬剤師会会長の経営者(76)を業務上過失傷害容疑で、それぞれさいたま地検に書類送検した。
同課によると、自動錠剤包装機で調剤された薬の誤調剤による死亡事故は全国初という。

管理薬剤師の送検容疑は昨年3月25日、脳梗塞の後遺症で同薬局を利用したYさん=当時(75)=に自動錠剤包装機を使って「胃酸中和剤」を調剤した際、厚労省から毒薬指定され、重症筋無力症などの治療に使う「コリンエステラーゼ阻害薬」を調剤。同年4月1日、誤調剤に気付いたが服用中止の指示や薬剤の回収をせず、同月7日にYさんを臭化ジスチグミン中毒で死亡させた疑い。
経営者の送検容疑は、薬局開設者として注意義務を怠り、同中毒の傷害を負わせた疑い。

同課によると、昨年2月下旬ごろ、別の薬剤師がパソコンで自動錠剤包装機に「胃酸中和剤」の番号を登録した時、既に登録されている「コリンエステラーゼ阻害薬」と同じ番号を打ち込み二重登録。
「胃酸中和剤」を選択しても、実際には先に登録されていた「コリンエステラーゼ阻害薬」が調剤されていたという。
誤調剤は2月下旬ごろから、ミスが発覚した4月1日まで行われ、Yさんを含む約20人に計約2700錠が処方されたとみられる。

管理薬剤師は

「失敗を叱責(しっせき)されるのが嫌で、回収の指示や報告をしなかった」
、経営者は
「客を待たせたくなかったので(部下に)薬の中身を確認させなかった」
と話しているという。

死亡したYさんは「小嶋薬局本店サンセーヌ薬局」を10年ほど前から利用していた。
同薬局は薬剤師2人が書類送検されたこの日も営業。薬局内で約10人が薬の処方を待っていた。
同薬局に勤める女性は埼玉新聞の取材に「(書類送検された2人は)今日は来ない。(事件についても)分からない」と繰り返した。

Yさんは事故当時、長男(46)と2人暮らし。長男は県警を通じて「薬局には二度とこのような事故を起こさないように、しっかりした対応をお願いしたい」とコメントした。

■人為ミスで重大結果

高齢女性が誤って調剤された薬を服用して死亡した事故は、1回に飲む分量ごとに、数種類の薬を同じ袋に詰める自動錠剤包装機で分けられたものだった。
この機械は多くの種類の薬を使っている患者が薬を服用し忘れたり、誤飲するのを防ぐために開発、普及してきたもの。
だが、どれほど技術が進歩しても、人為的ミスが原因の事故は完全に防げるわけではない。

自動錠剤包装機は、数百個に分けられた「引き出し」に、薬を種類ごとに収納。
そこから、1回に服用する薬を、処方せんに基づいて数百種類の中から必要な種類と分量だけ選び出し、1包みごと袋に小分けしていく装置だ。
「引き出し」には番号を割り当て、管理用のパソコンで薬剤名を登録。
今回の死亡事故は「胃酸中和剤」と「コリンエステラーゼ阻害薬」の「引き出し」に、同じ番号をつけてしまったために起きた。

正しく使えば患者が医師の処方した通り薬を服用でき、治療の効果が上がる。さらに、患者側の誤飲防止にも役立つ。
だが、「引き出し」に違う薬を補充してしまったりした場合は、大規模な誤飲事故を招きかねない。
そこで不可欠となるのが、「監査」と呼ばれる確認作業だ。

さいたま市内の中規模病院では、外来と入院患者を合わせて、1日約600人以上に約500種類の薬を処方。
新しく番号を割り当てて登録する場合は2人で確認するか、試しに動かしてみて正しいものが出てくるのを確かめるという。
調剤するときも、処方せんと実際に小分けした薬が一致するかを毎回チェック。薬局長男性は「どんなに忙しくても、確認は欠かさない。調剤薬局は千種類以上の薬を扱うはずだから、チェックはさらに重要だ」と指摘した。

メーカーによると、一部の小規模施設を除けば、自動錠剤包装機はほとんどの病院や調剤薬局に導入されているという。県薬務課は事故の報告を受けて昨年4月23日、県薬剤師会や県内の保健所を通じて、県内2488薬局に機械の適正管理と「監査」の徹底を注意喚起。
同課は「自動錠剤包装機による誤調剤事故は、年に数件報告されていたが、昨春に対策を強化してからはない。今後も指導を継続していく」としている。

自動化したら大規模事故になった、というのは自動化技術の歴史では当たり前のことで、少なくとも同じ番号を二重に登録できるようになっているシステムを使っていてはダメでしょう。

さらに、出てきた薬が間違っているときに、全体をストップする仕組みを自動化するのは当然で、例えば薬のパッケージのバーコードをスキャンする、といった手法ですら回避できます。

ところが、今回は「失敗を叱責(しっせき)されるのが嫌で、回収の指示や報告をしなかった」と、一人で穴を開けることが可能であったのだから、自動化でもなんでもないですね。
自動化=機械が動くこと、とだけ考えた仕組みの失敗です。

電子カルテも含めて、医療の自動化では、結果として安全性が高まるのが目的であって、一幅なれも含めて部分的にでも安全性が低下するようでは、自動化を達成しているとは言いがたいし、自動化システムに人の作業を合わせるというのでは、自動化になっていません。

8月 21, 2011 at 08:49 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.12.09

レーシック手術・過失傷害罪

毎日新聞より「レーシック:元院長、オゾン水で洗浄 開院1カ月で変更

「銀座眼科」(東京都中央区、09年閉鎖)のレーシック手術を巡る業務上過失傷害事件で、元院長(49)が開院1カ月後に、手術器具の滅菌手段を高圧蒸気滅菌器から殺菌効果が落ちるオゾン水による洗浄に変更していたことが捜査関係者への取材で分かった。

警視庁捜査1課は、元院長が多くの手術をこなすために時間や労力が掛かる滅菌器の使用を避けたとみている。

捜査関係者によると、元院長は06年8月、銀座眼科を開院した。当初は眼球に触れる電動メスなど手術器具を使う際には滅菌器を使っていたが、1カ月後には、従業員に対して滅菌器の代わりにオゾン水で洗浄するよう指示したという。

コンタクトレンズの消毒などに使われるオゾン水でも消毒は可能だが、感染症を引き起こす菌の死滅は困難だという。
一方で、1回の使用に数時間かかる滅菌器に比べ、大幅に時間を短縮できた。

角膜炎などの集団感染を受けて滅菌器の使用が再開される09年1月まで、滅菌器を動かすために必要となる蒸留水が納入された形跡もほとんどないことも判明したという。

感染した患者が相次ぐようになったのは、元院長が従業員に滅菌させることを禁止し、1人で担当するようになった08年10月ごろ。

それまでは従業員らがオゾン水で手術器具を丹念に消毒していたが、元院長は手術器具を軽くオゾン水につける程度だったこともあったという。

元院長は捜査1課の調べに「オゾン水で洗っただけ」と滅菌器を使っていなかったことを認めているという。

元院長は08年9月~09年1月、20~40代の患者5人の手術時に滅菌処理を怠った器具を使用し、患者に角膜炎を発症させたとして逮捕された。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

「高圧蒸気滅菌器」とは「オートクレーブ」という機器のことですね。
圧力釜で医院などにも置いてあります。しかし、先日わたし自身が骨折して外科治療を受けたときに見た機材はピンセットやハサミにいたるまで、滅菌封印してあるパッケージから取り出していました。

注射器(注射針)はとっくの昔に使い捨てになっています。
こんなことを考えると、オートクレーブを使うのは、使い捨てが出来ない機材が対象なのだろうと思うし、今回の事件のように手術器具ではオートクレーブの使い方が非常に重要になっている、と言えるでしょう。

これに対して、オートクレーブを使わない選択をしたところが、インチキだと思うのです。
しかも事実上最初から使う気がない。
こんなことを、思いつくものでしょうか?なんか、背景がありそうに思うのです。

12月 9, 2010 at 10:10 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.12.01

健康食品の宣伝問題

毎日新聞より「誇大広告:健康食品、業者名公表へ 消費者庁が方針

「飲むだけで確実にやせる」「がんに効くといわれている」といった誇大な広告を使用する健康食品について、消費者庁は30日、悪質な業者名を12月から公表する方針を固めた。

健康被害や効果がないなどの苦情が絶えないことから、健康増進法の運用を強化し、同法に基づく行政処分に初めて踏み切る。

健康食品で「がんが治る」などと医薬品のような効能をうたうと、薬事法に触れ、刑事罰の対象になる。

しかし、同法には触れないが、消費者を誤解させる広告は、インターネットを中心に少なくなく、国民生活センターには、健康食品について「飲んだら吐き気がする」「利用してもやせない」などの相談が、毎年1万5000件前後寄せられている。

健康増進法では、病気の予防効果や栄養成分の効果などをうたう広告で「著しく事実に相違したり、著しく人を誤認させるような表示」を禁止している。

消費者庁は今年6月以降、「最高のダイエット食品」「血行を整え、むくみを緩和」など、表現が不適切なネット広告を出している業者約300社に改善を求めてきた。
12月になっても改善されない場合は、勧告を行った上で業者名を公表する方針だ。

消費者庁はまた、商品を著しく優良と誤認させる表示を取り締まる景品表示法の運用も強化する方針。

消費者庁が昨年9月に発足する以前は公正取引委員会の所管だったため、健康被害の防止よりも公正な競争の確保が重視されやすく、同法で健康食品の表示が取り締まられることは少なかった。【山田泰蔵】

◇健康増進法に違反する広告の表示例◇

▼明らかに違反(カッコ内は理由)

  • 「がんに効くと言われています」(治療が必要な疾患が治ると誤解を与える)
  • 「最高のダイエット食品」(「最高」とは立証できない)
  • 「厚生労働省から輸入許可を受けた健康食品です」(実在しない制度や許可をかたっている)

▼以下のような広告でも根拠が薄い場合、表現方法が不適切な場合は違反

  • 「3カ月で10キロやせると実証済み」などの実験結果を示す
  • 「『飲むと体調が良くなりました』(東京・男性55歳)」など体験談を示す
  • 「『がんを○○食品が治した!』(△×出版)に掲載された食品です」などと関連書籍を引用する

◇所管変更 野放し是正

事実でない表現や誇大広告が少なくない健康食品は、効果を信じて医療機関を受診せず、適切な医療が受けられなくなるなど、長年問題が指摘されてきた。

03年には健康増進法の改正で、不適切な表現が禁止され、勧告などの行政処分や罰則規定が盛り込まれた。

しかし、当時同法を所管していた厚生労働省は財源難から違反調査の専従職員を定員配置できず、勧告など処分実績はゼロ。
事実上の野放し状態だった。

昨年9月に発足し、同法の移管を受けた消費者庁は執行のあり方を見直し、体制を強化。専従職員は1人だが、来年度予算で4人の増強を要求している。インターネット上の広告監視も年1回から4回に増やし、来年度も調査件数を1000件以上に倍増する計画だ。

ただ、同法の運用強化だけでは無数に生まれている不適切な広告を抑え込めない。
薬事法を所管する厚労省などと連携を深め、複数の法律や制度を一元的に運用できるかが重要だ。【山田泰蔵】

2010年11月8日(月曜)に霞ヶ関の弁護士会館で「シンポジウム・健康食品被害の実態とその対策 ~適切な医療を受ける機会を失わせてよいのか~」が開かれました。

  • 健康食品に関する相談事例 国民生活センター・消費生活専門相談員・小坂潤子氏
  • なぜ消費者は健康食品に依存するのか?・静岡県立大学准教授社会心理学博士・西田公昭氏
  • 健康食品に関する法制度の現状と課題・弁護士・中下裕子氏

上記の方々が、パネラーで登場しましたが、短時間では全体像を整理するというところまでは行かず、あっちこっち問題がある、という提示にとどまりました。 それだけ、危険な状況にある、ということなのでしょう。

興味をひいた点を列挙します。

西田准教授

素人の意志決定はミスを犯す

日常的には合理的な決定をしない。経験により意識せずに決定している。
その方が楽に決定できるからであり、考えていないからなぜ決定したのかも記憶に残らない。

健康食品(何でも同じ)を処方(摂取)した時の効果は

  1. 処方して、健康になった
  2. 処方して、変わらなかった。
  3. 処方せず、健康になった。
  4. 処方せず、変わらなかった
の4つに分類できますが、このように合理的には考えず
飲んだから効いた、飲まなかったから治らなかった、と考えがちだし、商売はそこを突いてくる。

中下裕子弁護士

健康食品には法律上の定義はない

  1. 健康食品には、特定保健用食品・栄養機能食品・特別用途食品・それ以外の健康食品になる
  2. 特定保健用食品 883種類ある。
  3. 特別用途食品 病者食、妊産婦・授乳不要粉乳、乳幼児調製粉乳など

非常に深刻なのが、健康食品を採ることで、本来の治療用の薬を禁止することがあり、患者が死亡などにいたる例が、報告されていることです。

わたしが、そのような事例を知ったのは、1993年頃にアムウェイの健康食品を白血病の子供に与えて、病院での治療を積極的に妨害した結果、子供は亡くなった。という事件を知ったときです。

今、同じような事件として真光元事件があり、12月14日11時に東京高裁の824号法廷で控訴審の結審があります。

よく考えれば、テレビCMで個人の感想として「○○は効きました」なんて言っているのや、タレントが「推奨します」という「出演」をなぜ信用するのでしょうか?
西田准教授の専門である、社会心理学的に考えるべきです。

わたしは「感想です」という宣伝手法は、健康食品などでは禁止するべきだと考えます。
医薬品ではあり得ない宣伝手法です。しかし、効果については医薬品と区別の付かない内容を強調しています。

消費者庁が、一歩を踏み出したと評価はしますが、もっと根源的なところで対策するべき事柄です。

12月 1, 2010 at 12:01 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.09.17

ホメオパシー・流況大学の対応

朝日新聞より「琉球大、必修授業にホメオパシー 来年度から取りやめ

2010年9月17日5時30分

琉球大学医学部が6年前から、助産師の卵たちに民間療法「ホメオパシー」を必修授業の中で教えていた。日本ホメオパシー医学協会認定の療法家(49)が講師だった。

ホメオパシーに傾倒する助産師が通常医療を拒否するトラブルも起きており、同大は来年度から取りやめることを決めた。
今後は学生に「リスクがある」と伝えていくという。

大学や担当した講師によると、ホメオパシーの授業は、代替療法の一つとして、保健学科の「助産診断・技術学」の中で年1回、3年生を対象に行われた。

今年度も8月10~11日、学生10人を対象に、ホメオパシーの歴史やレメディーと呼ばれる砂糖玉が体に作用する仕組み、症状が緩和できる病気について、教えたという。
講師が学生から「どうしたら(ホメオパシー療法家の)資格が取れるか」と聞かれたこともあるという。

講師の療法家は助産師で、沖縄県内に日本ホメオパシー医学協会と提携する助産院を開設。
2004年度に非常勤講師として採用された。
この療法家は取材に「ホメオパシーは素晴らしい。症状が改善する」と話している。

今夏、山口市でホメオパシーを実践する助産師が女児にビタミンK2シロップを与えず頭蓋(ずがい)内出血により死亡させたとして、損害賠償を求める訴訟が起きたことが明らかになった後も、学内で授業内容に異論は出なかったという。

しかし、日本助産師会が8月下旬、ホメオパシーを使用したり、勧めたりしないよう会員に求めたのを受け、担当教員らが「適切ではない」と判断
来年度以降は中止することを、医学部教授会などを通じて決めることにした。

ホメオパシーを取り入れている助産師は多く、日本助産師会の調査でも、1割弱の助産院が実践していた。

担当の教授(母性看護・助産学)は

「お母さん方から質問された時に、説明できるように取り入れた。今後はホメオパシーはリスクがあるものと伝えていく」
と話している。(岡崎明子、長野剛)

朝日新聞のホメオパシー追求記事はなかなかすごいですが、今回の記事が事実であるとすると、琉球大学の大学としての姿勢にはかなり問題があるとなってしまいますね。

損害賠償を求める訴訟が起きたことが明らかになった後も、学内で授業内容に異論は出なかった

こういうときにタイムリーに判断することを社会は、大学に要請しているはずなんですがね。
異論が出なかったではなくて、判断の結果、責任を持って講義を継続することに決めた、と発表するか、判断が遅れていると発表するべきだったでしょう。

一言で言えば放置したわけで、その結果

日本助産師会が8月下旬、ホメオパシーを使用したり、勧めたりしないよう会員に求めたのを受け、担当教員らが「適切ではない」と判断

と担当教員の責任で、変更を決めた。
あきらかに、講座を担当していた助産師にとっては不利益処分だから、担当教員個人に対して損害賠償請求訴訟を起こされる可能性がある。

こんな可能性について、大学はどう考えているのだろうか?

9月 17, 2010 at 09:41 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.09.12

がんのワクチン治療

CNN.co.jp より「ワクチンが花嫁の父に与えた至福の時

2010.09.11 Sat posted at: 13:58 JST

(CNN)

カリフォルニア州フォルサム在住の生物学者、スティーブ・ホール氏(61)は、脳腫瘍の中でも最も死亡率の高い膠芽腫を宣告されたおよそ1年後に娘のエリンさんの結婚式で踊っていた。

通常、膠芽腫の患者で1年間生きられるのは3人に1人以下にすぎず、まして1年後に踊れるほど元気な人などほとんどいない。

実は、ホール氏は放射線治療や化学療法よりも効果のある治療を受けている。

それは、オーダーメイドのワクチンを使った治療だ。
同氏は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の臨床試験の一環としてワクチン接種を受けた。

「やっていることは手術と同じだ。腫瘍を除去し、各患者の腫瘍から直接ワクチンを作る。そして、そのワクチンを患者の体に戻す
と語るのは試験の責任者、アンドリュー・パルサ医師。

膠芽腫の死亡率が特に高い理由は、どんなに腕の良い神経外科医でも腫瘍をすべて取り除くことは不可能だからだ。
一部のがん細胞が脳内に残り、再び増殖する。その期間は通常、数カ月程度だ。

しかし、パルサ医師の行っている臨床試験は、今のところその逆境を克服している。

試験開始から1年以上経過したが、自分の腫瘍から作ったワクチンの接種を受けた8人の患者にがんの再発は見られない。

パルサ氏は、いつか膠芽腫が「死刑宣告」ではなく、高血圧や糖尿病のようなごく普通の慢性疾患として扱われる日が来ると期待する。
そしてホール氏も自分の未来を楽観的だ。「ワクチンが効果を発揮し、さらに20年間生きられることを切に願っている」(ホール氏)

こんなことが、あっさりとできるものなのでしょうか?
本当にできたのであれば、大したものですが、今までこんな考え方はあったのでしょうか?
それとも、コロンブスの卵のような、見落としていた手法と言えるのでしょうか?

9月 12, 2010 at 09:56 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.09.02

ホメオパシーと中学校

朝日新聞より「保健室でホメオパシー 沖縄の養護教諭、生徒に砂糖玉

沖縄県名護市の公立中学校の養護教諭が5年以上前から、保護者や校長、校医の了解を得ずに、民間療法「ホメオパシー」で使う「レメディー」という砂糖玉を、保健室で生徒に日常的に渡していたことがわかった。複数の生徒や卒業生によると、教諭は「普通の薬はいけない」と話していたという。

保健室に特別の装置を持ち込み、砂糖玉を加工していたという。

校長や同市教育委員会は本人から事情を聴き、中止するよう指導した。

この養護教諭は、普及団体「日本ホメオパシー医学協会」が認定する療法家。

卒業生によると、この中学校に赴任した2006年度当時から、体調不良を訴える生徒にホメオパシー療法で使うレメディーという砂糖玉を渡していたという。
レメディーは、植物や昆虫の成分など「症状を起こす物質」を水に薄めて、しみこませた砂糖玉。

日本学術会議は先月下旬、ホメオパシーについて「科学的根拠がなく荒唐無稽(こうとうむけい)」とする会長談話を出している。

生徒や卒業生は

「頭痛や生理痛で保健室に行くと、『レメディーは副作用がない』と言って渡された」
「普通の薬はダメと言われた。部活の遠征にもレメディーを持たされた」
などと話している。ある生徒は
「熱が出た時も『家で飲みなさい』と渡された」
という。

新型インフルエンザが流行した昨年、

「インフルエンザを予防できるレメディー」
を渡され、予防接種を受けなかった生徒もいる。

また、この養護教諭は、砂糖玉をレメディーに変換するという装置を保健室に持ち込んでいた。
縦横が約30~40センチほどの装置で、症状に応じて生徒の目の前で砂糖玉を加工していたという。

一部の生徒は、このレメディーについて「思いこみ薬」と呼んでいた。

この養護教諭は、沖縄の全小中学校の養護教諭約440人が加入する任意団体「県養護教諭研究会」の元会長で、07年12月には、日本ホメオパシー医学協会の由井寅子会長を沖縄に招き、養護教諭向けの講演会も開いている。

同協会の会報誌に「教育現場で利用して10年になる。改善したことは多々あるが、トラブルは一度もない」と書いている。

養護教諭は朝日新聞の取材に

「直接の取材は受けない。質問は文書でホメオパシー医学協会に」
と話した。同協会からは回答がなかった。

同校の校長は

「許可した覚えはない。砂糖玉であっても『病気が治る』と言って渡しているのであれば問題」
と話し、即、中止するよう指導した。
校医も
「効果があるかわからないものを、生徒に勧めるのはよくない」
と話した。(岡崎明子、長野剛)

助産師会でも、地域支部でホメオパシーを普及させる、という団体活動をしていたわけで、日本ホメオパシー医学協会の標準的なやり方なのでしょう。

朝日新聞が集中してホメオパシーを取り上げていますが、この記事は卒業生まで取材しているのだから、かなり時間と手間を掛けてまとめたものでしょう。
逆に言えば、この養護教師はかなり有名だったのではないか?

それにしても、

養護教諭は朝日新聞の取材に
「直接の取材は受けない。質問は文書でホメオパシー医学協会に」
と話した。
同協会からは回答がなかった。

というのはずいぶんひどい話ですね。

9月 2, 2010 at 02:49 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2010.08.29

ホメオパシーは「荒唐無稽」その4

「ホメオパシーは「荒唐無稽」その3」で、
●その7 日本学術会議「ホメオパシー」についての会長談話へのJPHMAコメント詳細は、後日掲載予定です。
と紹介しましたが、昨日(2010年8月28日)コメントが出ました。

Up

えらく長ったらしいのですが、全文を読みました。
どこかで、見たような論法だな、と考えていたら「トンデモ本」の論理構成そのものですね。

最初に目につく特徴は、「○○と考えます」が連続して出てきます。
反論として「と考えます」で済めば、これほど強力なものは無いわけで、これは反論ではなくて反発と言うべきでしょう。

もう一つは、権威の拡大解釈というか、テコとして利用していますね。

例えば、学会誌に権威があるとして、その上で反論があったから、反論された論文には価値がない、といった展開です。

しかし、元もと学術の世界では絶対的権威はないわけで、「トンデモ本の世界」で指摘されている、アインシュタインの相対性理論の追試を誰もやっていないかのように「アインシュタインが言ったから」のごとき「一方的に権威がある」と決めつけてから、議論があったことを根拠に全体を否定する、という手法になっています。

なんだかよく分からないのが、プラシーボ効果について何を考えているのか?という点です。
わたしは、効き目があるのならプラシーボ効果でも結構ではないか、と思う者です。さらには、例えば体操とか、散歩といったことが健康増進に有効なのは分かっていることで、カイロプラクティックでも「歩きなさい」と言い、内科でも「歩くのは良い」と言います。

これを、内科の医師の指導は医療行為で、カイロプラクティックの指導が代替医療だ、と分けてどうなるというのでしょうか?

要するに、この「見解」では、極端な拡大解釈をつなぎ合わせて、正当性を主張しているとなって、「つなぎ合わせて」というところは「トンデモ本」であるな、と思うのです。

「トンデモ本の世界」の著者、山本弘氏も「山本弘のSF秘密基地BLOG」で、ホメオパシー問題を取り上げています。(間接的な話題ではあるが・・・・)

●その7 日本学術会議の声明文に対するJPHMAの見解NEW!

『日本学術会議』という機関は、政府から独立した特別の機関であるため、本会議自体に行政・立法・司法の三大権限を有していません。つまり、今回の「ホメオパシー」についての会長談話の公表内容は、日本学術会議という一機関の見解であり、政府の見解ではありません。 日本学術会議の声明文を見ていきます。

■日本学術会議
ホメオパシーはドイツ人医師ハーネマン(1755 - 1843年)が始めたもので、レメディー(治療薬)と呼ばれる「ある種の水」を含ませた砂糖玉があらゆる病気を治療できると称するものです。

★日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)
ハーネマンはあらゆる病気を治療できるとは言っておらず、当時の水銀治療や瀉血治療など有害で症状を抑圧する治療や体力を消耗する治療を行うことで治癒不可能になると考えていました。また不自然な環境や不自然な食生活によって生じた病気は、それを変えない限り治癒しないと考えていました。したがってあらゆる病気を治療できるなどと称していません。この文章を読むと、ホメオパシーはどんな病気でも治せるとハーネマンあるいはホメオパス(ホメオパシー療法士)が言っているかのような誤解を与えるもので正しくありません。もちろん現在も日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)、ホメオパスも、あらゆる病気を治療できるとは言っておりません。

■日本学術会議
近代的な医薬品や安全な外科手術が開発される以前の、民間医療や伝統医療しかなかった時代に欧米各国において「副作用がない治療法」として広がったのですが、米国では1910年のフレクスナー報告に基づいて黎明期にあった西欧医学を基本に据え、科学的な事実を重視する医療改革を行う中で医学教育からホメオパシーを排除し、現在の質の高い医療が実現しました。

★日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)の見解
日本学術会議が「近代的な医薬品」と称するものが、症状を止めたり、不足する物質を補うための化学合成された薬のことを称しているのだとしたら、それは重病人などには有用と考えますが、多くの場合、多くの人には有用ではないと考えます。
多くの人は、現代医療の多くが症状の緩和を目的とした対症療法であることを知っており、根本治療とは異なることを知っています。そして臓器や器官の機能障害による症状は別として、基本的に症状とは、体の防衛機能や浄化機能の現れであるという考えは、現代の生理学でも支持されています。したがって症状を安易に薬で止めることは正しいやり方ではないと考えています。多くの「近代的な医薬品」は、症状を止めることはできても、その症状を出している原因を治療することはできません。

もちろん、命にかかわる症状や辛い症状には緩和や手術が必要であり、症状を止める必要がある場合も多々あります。その意味で「近代的な医薬品」は必要なものであり、JPHMAとしても薬は必要なものであるし、医学も薬学も必要な学問であると認識し表明しています。

これらのことをふまえてJPHMAではひとつの提案をしています。体内への異物の侵入を阻止しようとして生じていると思われる症状や体内を浄化しようとして生じていると思われる症状に対しては、「近代的な医薬品」を使用する前に、まずはホメオパシーのレメディーを使ってみてはどうですか、という提案です。
もし「近代的な医薬品」が正しい使われ方をしないとしたら、それは症状の抑圧によって後の慢性疾患を作り出す原因になったり、「近代的な医薬品」のもつ副作用によって健康が損なわれる可能性があると考えています。
そのようなことから、第一に求められる療法とは、対症療法ではなく根本から治癒をもたらす療法です。つまり、それは化学物質で生体をコントロールする類の方法ではなく、自分のもつ自己治癒力を触発し、自ら健康になる自然療法が大切だと考えています。日本学術会議は、かつてのアメリカの民間療法をまとめて時代遅れであるのような書き方をしていますが、知恵ある療法は長い歴史の中で伝承されてきた民間療法の中にこそ多くあったと推測します。長い年月使われるということは十分に時間をかけてその療法が実践的に評価されてきていると言えるからです。

個々の「近代的な医薬品」は必要なものですが、50年後も同じような薬品がそのまま使われていることはあまりないと思います。ホメオパス(ホメオパシー療法士)が200年間一貫して変わらずハーネマンが使っていたのと同じレメディーでホメオパシー療法を行っているという事実が、ホメオパシー療法がいかに優れているかの証拠となることはあっても、時代遅れと批判する根拠にはなりません。JPHMAは「近代的な医薬品」には「近代的な医薬品」のよさがあり、レメディーにはレメディーよさがあると考えています。もちろん、手術や検査は現代医学の素晴らしい技術であり、これに勝るものは他にありません。

また日本学術会議は、ホメオパシーが欧米において「副作用のない治療法」として広がったと主張されていますが、ホメオパシーが広がったのは、副作用のない治療法(「近代的な医薬品」にはない優れた特質です)であることはもちろんですが、それ以上に、その目覚ましい治癒効果ゆえに広がったのです。
ホメオパシーの有効性を示す典型的な出来事として、英国で1854年にコレラが大流行したことがあります。記録によるとこの大流行の期間中、ホメオパシーの病院では死亡率がわずか16.4%だったのに対して正統派医学の病院では50%でした。しかしこの記録はロンドン市の衛生局によって故意に隠蔽されました。しかしホメオパシー治療が有効であることは多くの人の知れるところとなり、その後、ハーネマンの著作を読んで欧米の多くの開業医がホメオパシーを取り入れるようになっていきます。また、19世紀のアメリカでホメオパシーが草の根的に広がった背景として、ホメオパシーで家族の体調が劇的に改善した体験をきっかけに多くの母親がホメオパシーを真剣に学ぶようになったということもあります。
ホメオパシーを一度も使ってみたこともない人が、いくら声高に「効くわけがない」と叫んでみても、そのような言葉は、「近代的な医薬品」とホメオパシーのレメディーの両方を十分に使った者がホメオパシーの素晴らしさを語る言葉にはかないません。どちらが優れているかを語ることができるのは、両方の方法を使ってみたことがある者だけです。また実体験には、机上の知識(単なる思考あるいは空想)がとうてい太刀打ちできない力をもっています。もし「それは極めて個人的な体験であり、それこそが妄想である」と反論する者がいるならば、これだけ多くの人が体験していることを妄想或いはプラシーボ効果で片付けようとするその既成理論へのこだわりこそが彼らの妄想の元凶であると言えます。
過去にもホメオパシーに懐疑的な人物はたくさんおり、ホメオパシーのインチキを暴こうとした者も多数います。しかし実際にホメオパシーのインチキを暴こうと真剣に調査した者は、ことごとくその真剣さゆえにホメオパシーの効果を認めざるをえませんでした。結局のところ、ホメオパシーをインチキとして証明できた人は誰一人いないのです。そのことは、裏を返せば、とりもなおさずホメオパシーの有効性を証明すること同じことになります。ただし詐欺的な手法によって、ホメオパシーは有効でないという世論を形成しようと試みた一部の人を除きます。

次ぎに日本学術会議は、米国では1910年のフレクスナー報告に基づいた医療改革によってホメオパシーを排除し、現在の質の高い医療が実現しましたと主張します。
しかしフレクスナー報告に基づく医療改革よって実際に何が起こったかというと、本来、圧倒的大多数の人に提供されるべき、安価で手軽で副作用が少ない有効な民間療法が排除され、重病人に対して提供されるべき、高価で副作用の多い「近代的な医薬品」による治療が一般の治療法として採用されてしまったために、米国国民は手軽に安全に健康を取り戻す療法を奪われ、症状の抑圧と薬の副作用によって体の浄化の機会を奪われ不健康になっていったということです。

アメリカでホメオパシーが衰退した背景には二つの理由があります。一つはアメリカ医師会によるホメオパシーの弾圧です。当時のアメリカ医師会はあからさまにホメオパシーを叩き潰すという目的のために設立された圧力団体であり、競合相手のホメオパシー医師たちを妨害し、廃業に追い込むという目的のために組織されたものです。これは推測ではなく、実際に米国医師会の設立目的として掲げられているものです。米国医師会がどのようにホメオパシー潰しを行っていたかの詳細は以下の文献をお読み下さい。

▼一九世紀アメリカにおけるホメオパスヘの攻撃
▼一九世紀ヨーロッパにおけるホメオパスへの攻撃

アメリカでホメオパシーが衰退したもう一つの理由が、日本学術会議が主張するとおり、1910年のカーネギー財団によるフレクスナー報告に基づく医療改革があります。
しかし、カーネギー財団と米国医師会は裏で繋がっていた証拠があります。フレクスナー報告書を「設計」したのは米国医師会であると断言している者さえいます(Roberts, 1986)。そして当然『米国医師会ジャーナル(JAMA)』はフレクスナー報告を褒めちぎりましたが、多くの医学誌には、「拙速である」、「間違いだらけ」、「無礼極まりない」、「存在価値のある小規模校に不公平」などと書かれたしろものです(Hiatt, 1999)。当時、アメリカやヨーロッパで最も尊敬されていた医師の一人で、ジョンズ・ホプキンス大学で教授や同大学病院の診療部長を務めたウィリアム・オスラー卿は、フレクスナーの「医療の理解度ははなはだ貧弱であり」、レポートにはあまりにも誤謬が多くて「『不公平や無知』という言葉が効果的かどうかは何とも言い難いが……、いずれにしても、大変な不正がなされた」と述べています(Chesney, 1963, 177-178)。
すなわち米国医師会がホメオパシーを叩き潰すために設立された協会であり、フレクスナー報告書を設計したものが米国医師会であるとするなら、フレクスナー報告書はホメオパシーを叩き潰すためのシナリオだったということが言えます。

実際のところ、米国医師会はホメオパシーをはじめとする代替療法に強い嫌悪感を抱いていて、それらを衰退させるか一掃することできれば、主流派の医師の需要がぐんと増し、ひいては生活も潤うと考えていたわけです。
フレクスナーは「科学的な医学」が「民主的」なものである必要はなく、代替医療への世間の関心に応える必要もないと言い切っていました。異論があれば、それは無知または「ドグマの妄信」で切り捨てていました(Flexner, 1910, 156, 161)。
こうしてフレクスナー報告書に基づく医療改革によって、一九〇〇年の時点で米国に二二校あったホメオパシーの医学部や医科大学は、一九二三年までにわずか二校に減っています。自然療法、折衷医学、カイロプラクティックなどの各種学校も似たような運命をたどり、ホメオパシーを教えていたすべての医学校は、フレクスナーが奨励したガイドラインに沿うようカリキュラムの変更を迫られましたが、このような変化は生物医学的な視座を求めるものであり、その分ホメオパシー教育の量は激減せざるを得なく、ホメオパシー医学校は二流のホメオパスしか輩出できないような状況になり、一九五〇年までにホメオパシーを教えるすべての学校が閉鎖されたわけです。こうしてアメリカにおいて存在していた22のホメオパシー医科大学、100以上のホメオパシー病院、1000を超すホメオパシー薬局が姿を消すにいたりました。これが米国でホメオパシーが衰退した理由です。
こうして米国医師会の強い影響を受けたフレクスナー報告書に基づく医療改革によって、長年の臨床上有効であり、安く副作用の少ない、そして自己治癒力を触発する療法が廃止され、近代的、科学的という名のもと物質的に外からコントロールする医療、そしてお金がかかる医療へと変貌して行ったのです。

フレクスナー報告書にまつわる全貌は、『世界の有名人、文化人がホメオパシーを選択するわけ』(ホメオパシー出版 2010年9月25,26日JPHMAコングレスで発売予定)のホメオパシーを支持したロックフェラーの項目に大変興味深く詳しく書かれていますので参照してください。一歩間違えば、アメリカにおいてホメオパシー医学が主流となっていた可能性があるのです。

■日本学術会議
こうした過去の歴史を知ってか知らずか、最近の日本ではこれまでほとんど表に出ることがなかったホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、ホメオパシー施療者養成学校までができています。このことに対しては強い戸惑いを感じざるを得ません。 その理由は「科学の無視」です。レメディーとは、植物、動物組織、鉱物などを水で100倍希釈して振盪しんとうする作業を10数回から30回程度繰り返して作った水を、砂糖玉に浸み込ませたものです。希釈操作を30回繰り返した場合、もともと存在した物質の濃度は10の60乗倍希釈されることになります。こんな極端な希釈を行えば、水の中に元の物質が含まれないことは誰もが理解できることです。「ただの水」ですから「副作用がない」ことはもちろんですが、治療効果もあるはずがありません。物質が存在しないのに治療効果があると称することの矛盾に対しては、「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っているため」と説明しています。当然ながらこの主張には科学的な根拠がなく、荒唐無稽としか言いようがありません。

★JPHMA
日本学術会議はホメオパシーは「科学の無視」であるから戸惑っていると主張します。何をもって「科学の無視」というのでしょうか? 事実を尊重することが「科学の無視」になるのでしょうか? 事実よりも科学が正しいなどということが一体あるでしょうか? 有り得ないことです。これまでの科学の理論と事実の間で不整合があった場合、それは科学の理論が不完全であることを意味します。ホメオパシーの場合は、理論と事実の不整合というよりも、ホメオパシーが有効である仕組みが科学的に解明されていないという方が正確かもしれません。いずれにせよ、本来科学とは一つでも理論に合わない現象が観察されたならば、それは理論の不完全さを示すものであるにもかかわらず、ホメオパシーの有効性を示すおびただしい客観的事実がある状況において、それらの全てを無視する態度は、極めて非科学的なものであります。
またJPHMAはホメオパシーの有効性を示す資料を随時HPにアップしていきます。
また2010年9月25日、26日に行われる第11回ホメオパシーコングレス(ホメオパシー学術大会)においてホメオパシーの有効性を示す治癒症例を発表しますので、是非コングレスにこられて事実を見ていただきたいと思います。

日本学術会議は、原材料を希釈振盪した水が「ただの水」であると断定していますが、原材料の分子が1分子もないからといって、その水に原材料の情報が何らかの形で保存されていない証拠にはなりません。記録されたDVDと何も記録されていないDVDのどちらも化学的には同じ成分です。しかし記録されたDVDには情報が保存されています。水が情報を保持すると考える根拠の一つしてノーベル物理学賞を受賞しているブライアン・ジョセフソン博士のコメントを紹介します。

「ブライアン・ジョセフソン博士(Brian Josephson)(一九四〇)はイギリスの物理学者で、わずか二二歳のときに完成させた研究によって、一九七三年にノーベル物理学賞を受賞している。現在はケンブリッジ大学で教授をしながら、凝縮系物質理論研究グループの物質・精神統合プロジェクトの主任を務めている。ジョセフソンは、『ニューサイエンティスト』誌(一九九七年一〇月一八日号)の記事への回答として、このように書いている。

 『ホメオパシーに関する主張に対してあなたからお寄せいただいたコメントについてです。希釈を繰り返すことで溶液中の溶質分子がほぼゼロに等しいほど微量になっているということが主な批判点でありますが、この指摘は的外れです。なぜなら、ホメオパシーのレメディーを推奨している人々は、ホメオパシーが効くのは水中に存在する分子の作用ではなく、水の構造に変化が生じたためだと考えているからです。
 単純に考えると、水は液体であるため、そのような観念に合致するような構造をもたないのではないかと思われるかもしれません。しかし通常の液体のように流れるのに顕微鏡的な距離においては秩序だった構造を維持する液晶の例などを考えれば、そのような考え方には限界があります。まさにこの点を考慮に入れるなら、わたしの知る限り、ホメオパシーに対する反論として有効なものはいまだかつて存在していません。
 これに関連するテーマとして「水の記憶」という現象があります。ジャック・ベンベニストとその同僚のヨレーネ・トーマス、さらにその他の研究者も、この現象を経験的に証明したと主張しています。もしそれが確かだとすれば、むしろホメオパシーそのものよりも大きな意味合いをもつでしょうし、また、そうした主張をとりあえず検証してみるどころか、手に余るとただやり過ごしてきた現代の科学界の見識の狭さを証明することにもなるでしょう(Josephson, 1997)。』

 水の構造に関するジョセフソンの発言は、より近年の研究によってその正しさが確認されることになった(Roy, et al., 2005)。材料科学の教授らが、博士号を有するホメオパスと共同で、水の構造についての重要かつ技術的なテーマに関する基礎科学研究の報告書を書いている。これらの一流の科学者たちは、ホメオパシー薬の製造過程がどのように水を薬へと変化させるかを説明し、ただの水とは異なることを明らかにした。現在では、ホメオパシー薬を作るのに不可欠な「震盪」の過程で、ナノバブルと呼ばれる超微細な泡を含む大小さまざまな泡が立ち、それによって水の圧力や構造が変化することがわかっている。
 ジョセフソンは、『ニューサイエンティスト』誌(二〇〇六年一二月九日号)のインタビューで、型破りと目されているような考え方を擁護するようになった経緯についてコメントを求められ、次のように答えている。

 『ある会議に出席したところ、ジャック・ベンベニストという名のフランスの免疫学者が、水にはかつてそのなかに溶けていた化合物の「記憶」が残存している――ホメオパシーが効く理由もここから説明できるかもしれない――と、自分の発見を初めて披露していた。科学者たちはむきになって彼の研究結果に猛反論し、彼があまりにひどい仕打ちを受けていることにわたしはショックを受けた。』

 さらにジョセフソンは、現在の科学者には「病的なまでの不信」に陥っている人、すなわち、「事実だとしても信じない」という言葉がぴったり当てはまる非科学的な姿勢の人が多すぎる、とも述べている。
 ここまでに紹介した過去二〇〇年の数々の高名な科学者や医師の話は、ホメオパシー薬の効き目を裏付ける強力な証拠を突きつけている。こうした意義深い個人レベルの体験に加え、現在も積み上げられつつある基礎科学や臨床研究における多数の根拠を併せれば、ホメオパシー薬は単なるプラシーボ反応だとか、プラシーボ効果による部分が大であるなどと主張するのは、非科学的で閉鎖的な精神の持ち主だけだと言えるし、またそう考えてしかるべきである。」

ホメオパシーに効果があるというのは疑いようのない事実であり、事実が先にあり、上記はそれを科学的に説明するための一つのモデルであるということです。

日本学術会議は、「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っているという説明には、科学的な根拠がなく、荒唐無稽としか言いようがない」と主張します。

しかし、1988年に「ネイチャー」に掲載されたベンベニスト博士の論文『高希釈された抗血清中の抗免疫グロブリンE(抗IgE 抗体)によって誘発されるヒト好塩基球の脱顆粒化』ですでに水の記憶(水がかつて存在した物質情報を保持している)に関しては証明されています。ベンベニスト博士は、2度ノーベル賞にもノミネートされたきわめて優秀なフランス人科学者でした。ベンベニスト博士の論文がネイチャーに掲載された数週間後に、再検証の名のもとにホメオパシー懐疑論者の急先鋒であり、手品師でもあるジェイムズ・ランディーを含む特別な「ネイチャー」の調査チームが組織され、翌年、同じくネイチャーにベンベニスト博士の実験は幻だったとする反対論文が掲載されました。この論文が掲載されるに至った経緯、卑怯な手口などについては、ベンベニスト博士の遺稿となった『真実の告白──水の記憶事件のすべて』(ホメオパシー出版刊)に書かれています。こうして2年後には、ベンベニスト博士はフランス科学界から失脚させられ、ベンベニスト博士の名誉が回復されることのないまま、2004年10月3日に不遇な死を遂げたのです。そして、ベンベニスト博士の死後、上述の『真実の告白──水の記憶事件のすべて』が遺族によってフランスで出版され、ベストセラーとなる中でフランス国民は、この事件の真相を知ることになります。ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー(RAH)ではベンベニスト博士を日本に招き、1998年に最新の成果を含め、日本で講義を行いました。

さて1988年にベンベニスト博士の論文がネイチャーに発表される前に、イタリア(ミラノ)とカナダ(トロント)とイスラエル(テルアビブ)にある3つの研究所でベンベニスト博士の実験結果が再現されています。またフランスマルセイユのある研究所のアレルギー学の大家も肯定的な結果をベンベニスト博士に送ってきます。ですからネイチャーも論文掲載に踏み切ったのです。

その後、ベルファースト・クイーンズ大学のエニス(Ennis)教授によるベンベニストと同様の研究、およびフランス、イタリア、ベルギー、オランダの別々の4大学で行われた追実験により(Belon et al1999)、ベンベニストの研究結果の基本的妥当性が確認されています。エニス教授自身も実験を2回行っています(Brown &Ennis 2001)。興味深いことには、4 大学による追実験はベンベニストの研究の欠陥が明らかになることを想定して正確に科学的な評価を行おうと、クイーンズ大学が扇動し、その調整の下に実施されたものです。ベンベニストの研究結果の有効性と第三者による再現可能性が明らかにされたことは、ホメオパシーの基礎研究にとって非常に大きな意味をもちます(Belon2004:Fisher 2004)。
このような水の記憶を証明する実験結果は多数あるにもかかわらず、日本学術会議は水の記憶に関して「荒唐無稽」と断言します。

「治療効果もあるはずない。」とのことですが、ホメオパシーは、ヨーロッパでは200年の歴史がある伝統ある学問(医学)であり、ドイツ、フランス、ベルギー、ギリシャ、イタリア、スイス、イスラエル、インドをはじめ多くの国で正式に医学として認めらており、医科大学のカリキュラムに組み込まれています。当然、ホメオパシーを実践する非常に多くの医師が存在し、フランスの医師の約3割、ドイツの医師の約2割がホメオパシーのレメディーを使用しているという事実があります。またドイツの医師の約半数が、ホメオパシー薬は有効だと考えています(Kleijnen, Knipschild, and Reit, 1991)。
もちろん、数え切れないほどの治癒実績があります。治療効果があるはずないというのはホメオパシー療法に対する根拠のない偏見であり、間違った認識です。

日本学術会議は「物質が存在しないのに治療効果があるという主張には科学的根拠が無く、荒唐無稽としか言いようがない」と主張します。なにをもって科学的根拠と考えているのかわかりませんが、明らかにホメオパシーで治癒した数え切れないほどの事実以上に科学的根拠はないと考えます。しかしもし、日本学術会議がたとえば二重盲検査の結果をもって科学的根拠の一端と考えているとしたら、以下にHPに二重盲検査に基づきホメオパシーの有効性を示す論文がありますので参照してください。

⇒http://www.jphma.org/fukyu/overseas_090522_ECCH.html

⇒http://www.jphma.org/topics/pdf/evidences03.pdf

また、ホメオパシーの有効性を示す研究はたくさんあります。また、レメディーをテストした何百件もの臨床研究、生物活性を検証した何百件もの基礎科学研究もあります。また、エビデンスリストとして、たくさんあるなかからほんの一例として、アリゾナ大ベル氏の以下の100以上のエビデンス論文がありますので参照してください。

⇒http://www.jphma.org/fukyu/overseas_100124_evidence.html


これだけホメオパシーの有効性が科学的に示されており、科学的にも証明されており、ホメオパシーの治癒効果が世界中で広く認められており、使われており、科学的実証も蓄積されているにもかかわらず、ホメオパシーを真摯に受け止めることもせず、レメディーをテストした何百件もの臨床研究に目を通すこともなく、生物活性を検証した何百件もの基礎科学研究を再検討することもせず、ましてや、おそらく自分自身試してみたこともなく、きちんと調査することなく、「荒唐無稽」と断定するというきわめて非科学的な態度にとても残念に思います。

ホメオパシーの二重盲検査などの科学的根拠については、『世界の有名人、文化人がホメオパシーを選択するわけ』ホメオパシー出版 2010年9月25,26日JPHMAコングレスで発売予定、から引用した以下も参照
してください。

▼ホメオパシーの臨床上の根拠

イギリスでは、古くから王室御用達の健康法としてホメオパシーが長く親しまれており、エリザベス女王来日時には、滞在時のホメオパシー・ドクターを政府に要請されたことも関係者の間では知られています。チャールズ皇太子もホメオパシーの熱心な推進者として知られており、無料で治療が受けられるよう政府に働きかけを行っています。また国立のホメオパシー病院がイギリス各地に5つあり、現代医学で治らない患者が運ばれています。
インドでは、建国の父、マハトマ・ガンジー首相が、ホメオパシーを国の第一医学として推奨した経緯もあり、今もインドでは、医学といえばホメオパシー医学を示すほど盛んです。実際、2005年時点で、インドには30万人の認定ホメオパス、180のホメオパシー大学、7500の政府ホメオパシークリニック、307のホメオパシー病院があります。
ベルギーでは、1824年に、ベルギーの王 Leopold Von Sachsen-Coburgは、イギリスにホメオパシーを紹介したHervey Quin(1799-1878)を侍医に任命し、すでにホメオパシーの治療を受けた経緯があります。現在10を超えるホメオパシーの教育団体がベルギーにはあります。
イタリアでは、1820年代にはすでにホメオパシーが広まっており、現在2000人の医師がホメオパシーの教育を受けています。
マレーシアや韓国でもホメオパシーは自然療法の一つとして国に正式に認められています。
このように世界的にも普及しており、多くの人々に親しまれているホメオパシーですが、日本学術会議の見解、認識は世界の情勢と著しく乖離しており、十分に正確に調査し事実確認をしていただき、ホメオパシーに関する正しい認識をもって声明を発表していただきたいと思います。

■日本学術会議
過去には「ホメオパシーに治療効果がある」と主張する論文が出されたことがあります。しかし、その後の検証によりこれらの論文は誤りで、その効果はプラセボ(偽薬)と同じ、すなわち心理的な効果であり、治療としての有効性がないことが科学的に証明されています1。
1 Shang A et al. Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy. Lancet 2005; 366: 726 2 Evidence Check

★JPHMA
ここで「有効性がないことが科学的に証明されています。」の根拠とされたLancetの論文については、内容的にも疑義のある論文であることが各方面からも指摘されているものです。

以下当協会のHPから引用します。

「ホメオパシーはプラシーボ以下」と結論づけた2005年ランセット論文は、「不備のある」調査結果を掲載、<ランセット>の学術誌としての価値をおとしめた。
http://www.jphma.org/fukyu/country_100804.html
「ホメオパシーはプラシーボ以上のものではない」と結論づけた医学誌<ランセット>2005年8月27日号論文は、欠陥論文であることを、科学雑誌「ニューサイエンティスト」誌のコンサルタント、マイケル・ブルックス氏が「まだ科学で解けない13の謎」(楡井浩一訳 草思社)で言及している。
「13 THINGS THAT DON'T MAKE SENSE THE MOST INTRIGUING SCIENTIFIC MYSTERIES OF OUR TIME」 (邦訳題 『まだ科学で解けない13の謎』)  
この本の中で、ブルックス氏は、ベルン大学のシャン氏とその研究チームが<ランセット>で発表した上記論文については、ホメオパシー共鳴者でないクラウス・リンデとウェイン・ジョナスなど、複数の科学者が欠陥論文であると指摘していることを書いており<ランセット>ともあろうものが、この手の「不備のある」調査結果を掲載したことに愕然としていたことに触れている。
同書の第13章(304ページ)以降もこの件について触れられているので、是非、興味のある方は、読んでみてほしい。 
同書では、まだ科学では解明されていない13のテーマを取り上げて論じている。12番目は、プラシーボ効果(ニセ薬でも効くなら、本物の薬はどう評価すべきか?)、13番目に、ホメオパシー・同種療法 (明らかに不合理なのになぜ世界じゅうで普及しているのか?)など興味深いテーマを取り上げ、現代科学では解明できないテーマであることを述べ、ホメオパシーについても、賛否両論の立場から論じている。そして、そこには非常に示唆に富む内容も含まれている。
結局、ホメオパシーに関係しては、医学誌<ランセット>と科学誌<ネイチャー>という英文学術論文誌の双璧が、科学発展の歴史に汚点を残したのである。 

また、英女王担当ホメオパス ピーター・フィッシャー氏もランセット論文の信頼性を批判しています。
http://www.jphma.org/fukyu/country_100814.html
英国エリザベス女王担当の医師ホメオパス ピーター・フィッシャー氏が2006年に「エビデンスに基づく代替医療」誌でホメオパシーはプラシーボ効果以下と結論づけた 2005年ランセット誌の信頼性について批判しています。
タイトル:Homeopathy and The Lancet 著者:Peter Fisher  (Director of Research, Royal London Homoeopathic Hospital)
英語でのレポート原文はこちらのサイトからもご覧いただけます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1375230/
ピーター・フィッシャー氏
http://commentisfree.guardian.co.uk/peter_fisher/profile.html
なお、ピーター・フィッシャー氏は、英国下院科学技術委員会が出したホメオパシーの有効性を否定し英国健康保険サービスからホメオパシーをはずすべきだとする調査レポートと勧告に反対するために英国会内で開かれたレセプションにもゲストとして参加しスピーチを行っています。


日本学術会議は、これだけホメオパシーの治癒効果が世界中で広く認められており、使われており、科学的実証も蓄積されているにもかかわらず、欠陥論文と言われているランセットの論文をたてにホメオパシーの有効性は科学的に否定されていると断言するわけです。このような事実と異なる声明が日本の学術界の最高峰と言われている日本学術会議から発表されることは誠に遺憾であります。

■日本学術会議
英国下院科学技術委員会も同様に徹底した検証の結果ホメオパシーの治療効果を否定しています2。
2: Homeopathy 2010. 2.8
⇒http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200910/cmselect/cmsctech/45/45.pdf

★JPHMA
この下院科学技術委員会の英国健康保険システム(NHS)から、ホメオパシーを外すように求めた勧告を7月下旬英国政府は斥け、ホメオパシーのNHS適用継続を決めています。また、この委員会の検証自体も、いかがわしい内容のものであったことが、ホメオパシー国際評議会(ICH)のスティーブン・ゴードン秘書官(英国)からの報告でも明らかになっています。
以下当協会HPから引用します。
⇒http://www.jphma.org/fukyu/country_10728_uk.html


英国政府、ホメオパシーに対するNHS(国民健康保険)適用続行を決定

一部の日本に新聞報道等では、「英国国会の一委員会」で、ホメオパシー懐疑派の議員が中心となって提出した報告を取り上げ、英国国会全体がホメオパシーを否定し、NHS(英国国民健康保険サービス)がホメオパシーへの助成を中止したかのような報道がなされましたが、7月27日に英国政府は、英国下院の科学技術委員会の勧告には非常に欠陥があったとし、ホメオパシーの国民健康保険サービス(NHS)適用を維持する事に決定しました。本件、ホメオパシー国際評議会(ICH)のトップページに以下の文章が掲載されております。
⇒http://www.homeopathy-ich.org/ 以下がその和訳となります
(訳:The Japan Royal Academy of Homoeopathy英国本校スタッフ、CHhom監修)

英国政府は、ホメオパシーのNHS(国民健康保険)適用続行を決定
英国議会下院に提出された、科学技術委員会のホメオパシーに関する報告書に対して、英国政府の正式な対応が発表されました。英国政府は、患者が、十分な説明を受けた上で自分の治療法について選択することができ、家庭医が患者に代わって、複数の療法を選択する権利を持つべきであるという姿勢で回答しています。
英国議会下院科学技術委員会は、3月、ひどく落ち度のある取調べの末、例えば、ロイヤル・ロンドン・ホメオパシック・ホスピタル(王立ロンドンホメオパシー病院)などの外来クリニックで適用されている国民健康保険(NHS)は、今後はホメオパシーには適用すべきではないと推奨しました。

科学技術委員会の報告書では、ホメオパシーの有効性に関して証拠がないため、国民健康保険の適用をすべきでないというものでした。「国会議員によるホメオパシーの適用停止推奨」というような大見出しの下でPRされたその報告は、実は、これがたった一人のホメオパシーに懐疑的な国会議員に煽られて始められ、10名以下の国会議員によって実行に移され、最終的にはたったの3名(そのうちの2人は調査に参加したかどうかさえ分からない)の議員によって承認される、といった慌ただしい調査の結果でした。その懐疑的な国会議員は、5月の英国国会選挙で既に議席を失っています。

この報告書に対して、政府の回答は、以下のようなものでした。「患者は、十分な説明を受けた上で自分の治療法を選択することができ、医師は、法律によって定められている規制と方針の枠組みの中で、特定の状況において、その患者に最も適切と思われる治療法を施す事ができるべきである。」

さらに次のように述べています。「ホメオパシーに対する国民健康保険(NHS)適用を引き続き支持する私たちの立場として、ホメオパシーのような補完治療、代替療法を含む、どのような治療法が、患者にとって適切なのかを判断し、その上で提供するのに、最も相応しい立場にいるのは、ホワイトホール(英国政府)よりも、むしろ、各地のNHSと医師たちである、というものである。」

政府の回答文書は、以下のウェブサイトに掲載されています。

⇒http://www.dh.gov.uk/prod_consum_dh/groups/dh_digitalassets/@dh/@en/@ps/documents/digitalasset/dh_117811.pdf

■日本学術会議
「幼児や動物にも効くのだからプラセボではない」という主張もありますが、効果を判定するのは人間であり、「効くはずだ」という先入観が判断を誤らせてプラセボ効果を生み出します。

★JPHMA
今までホメオパシーを大変有効であるとしたたくさんの獣医師の臨床経験はすべて効くはずだという先入観による判断の誤りだったというのでしょうか? どうしてそのようなことを断言できるのでしょうか? そこまで世界中のホメオパシーを実践する獣医師が事実が見えないのでしょうか? 明らかにレメディーで治癒に向かうという現実を見たとき、それは先入観によって治ったかのように見えるだけで本当は治っていないとでもいうのでしょうか? 効くはずだという先入観が、治っていない動物を治ったかのように判断を誤るほど獣医師というものは、客観性がなく、誤診し続けているということでしょうか? 事実を無視し、既成の論理から無理矢理こじつけようとした結果、日本学術会議の声明には、もはや科学的であると言うレベルにはありません。もしホメオパシーを実践している獣医師やアニマルホメオパスに「効くはずだという先入観が判断を誤らせてプラセボ効果を生み出しているのです」と言ったならば、それがもし冗談でないとしたら、これほど失礼な言葉は他にないでしょう。もちろん、乳児、幼児においても同様であり、多くの治癒経験をもつ日本を含め世界のホメオパスに対しても失礼な言葉です。

■日本学術会議
「プラセボであっても効くのだから治療になる」とも主張されていますが、ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であり、時には命にかかわる事態も起こりかねません3。
3 ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた生後2ヶ月の女児が昨年10月に死亡し、これを投与した助産婦を母親が提訴したことが本年7月に報道されました。

★JPHMA
今事実の相違から裁判で争っている事例を、あたかも、一方の言い分を事実であるかのような前提で話をするのは、いかがなものかと思います。現に、助産師は第1回口頭弁論にて、訴えを棄却し法廷にて争う立場であることを表明しています。 まず、日本学術会議は「ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた」と主張していますが、それは本当に事実でしょうか? またマスコミはK2シロップを与えないことで死亡したと断定していますが、それは本当に事実でしょうか? 事実が明確になっていない段階でこのような形でマスコミが報道したり日本学術会議が声名を出すことに問題はないのだろうかと思います。
K2シロップを投与していても出血を起こす事例も報告されており、(第3回乳児ビタミンK欠乏性出血症全国調査成績 S63度 厚生省心身障害研究。S60年7月~63年6月まで3年間に、突発性ビタミンK欠乏出血症が126例、そのうち、K2シロップ投与していたのは16例。12.6%)、確かにリスクは減るものの、100%確実とは言い切れない予防法です。今回の件で、K2シロップは確実に出血を防止するもの、と認識する人が増えているように思われますが、そのような慢心により、実際に出血が起きたときの対処が遅れることを懸念しています。
もし、このK2シロップにそこまでの必要性があるのならば、国は投与を義務化すべきと考えますが、生後わずかな赤ちゃんに、出血を防止するために人工物を投与することが、本当に何も影響がないのか、K2シロップは副作用がないと言われていますが、長期的に見ても本当に何も影響がないのか、誰も追跡のしようがない状況で、義務でない人工物を摂取しない、という自由は、もちろん自己責任においてですが、認められるものと考えています。この件はいずれ法廷で事実関係が明かされるものと考えています。

ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であるとしたなら、ホメオパシー療法は有効でないという嘘の情報を発信しそれを多くの人が信じることによって、多くの人々がホメオパシーを利用しないとしたら、その責任たるや想像を絶するものであると考えます。その責任を一体どのようにとるおつもりなのでしょうか。
もちろん、最初に述べたとおり、重病人などに対して「近代的な医薬」や手術は大変有用なものであり、ホメオパシーを信頼するあまり、それらを否定することは正しくないことであると認識しています。ですから、JPHMAとしても折りにつけ会員にお知らせしています。また、JPHMAとしてもその重要性を認識し、ホメオパス倫理規定においても検査に行くことを推奨しています。しかしながら、仮に会員の中にその点において認識が甘い者がいたり、ホメオパシーを信頼するあまり現代医療を否定的に考える会員がいるとしたら、今一度、認識を深めてもらうために、周知徹底を図っていく所存です。
また、ホメオパシーを推進している団体として、当協会としても、ホメオパシー利用者が、ホメオパシーを愛好するあまり、現代医療を頑なに拒否するということがないよう、当協会や普及団体を通して発信していくと同時に、協会会員に今一度指導の徹底を図っていきたいと考えます。
しかしながら、ホメオパシー利用者であるなしにかかわらず、頑なに現代医療を拒否する人はいます。特に、過去に現代医療を受けてとても辛い経験をしたことがある人は、その傾向が強いようです。 本来、どのような医療を選択するかは、個人の尊厳(憲法13条)で保障されている自己決定権として、個人の自由意志に基づいて行われるべきものであり、個人の信条に立ち入ることができない部分があるということは、理解されなければならない点であると考えます。もし、それを超えて、立ち入ることが許される人がいるとしたら、それは唯一、親ではないかと思います。
長妻厚生労働相も8月25日、「仮に、本人の意思に反して病院に行かないようなことがあるとすれば問題。省内でよく議論し、実態把握の必要があれば努めていきたい」と述べていますが、これは裏を返すと、個人の尊厳がありますから、首に縄を付けて病院に連れて行くことはできないということでもあります。当然JPHMAとしも、本人の意思に反して病院に行かせないようなことがあれば問題であると考えます。

■日本学術会議
こうした理由で、例えプラセボとしても、医療関係者がホメオパシーを治療に使用することは認められません。 ホメオパシーは現在もヨーロッパを始め多くの国に広がっています。これらの国ではホメオパシーが非科学的であることを知りつつ、多くの人が信じているために、直ちにこれを医療現場から排除し、あるいは医療保険の適用を解除することが困難な状況にあります4。またホメオパシーを一旦排除した米国でも、自然回帰志向の中で再びこれを信じる人が増えているようです。 日本ではホメオパシーを信じる人はそれほど多くないのですが、今のうちに医療・歯科医療・獣医療現場からこれを排除する努力が行われなければ「自然に近い安全で有効な治療」という誤解が広がり、欧米と同様の深刻な事態に陥ることが懸念されます。そしてすべての関係者はホメオパシーのような非科学を排除して正しい科学を広める役割を果たさなくてはなりません。

★JPHMA
一体何の根拠があってこのようなことを言われるのかわかりません。1分子もないとわかっていてなぜは世界中の医師やホメオパス、そして世界中の多くの人々があえてホメオパシーを利用しているのでしょうか? 通常の理性と知性があるなら、科学的には説明できないが、ホメオパシーは有効であるからと考えるでしょう。

■日本学術会議
最後にもう一度申しますが、ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います。5
5ホメオパシーについて十分理解したうえで、自身の為に使用するのは個人の自由です。
平成22年8月24日 日本学術会議会長 金 澤 一 郎

★JPHMA
すでに説明していますので、重複を避けます。上記をお読み下さい。
日本学術会議の声明文に付録していたパワーポイント部分に関するJPHMAの見解は今後出していきます。

8月 29, 2010 at 10:16 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.08.28

ホメオパシーは「荒唐無稽」その3

「ホメオパシーは「荒唐無稽」その2」には、コメントをいただいていますが、日本ホメオパシー医学協会のHPがコロコロと変わっているのが何とも微妙です。

Up_2

元々は、このページは

●その7 日本学術会議「ホメオパシー」についての会長談話へのJPHMAコメント詳細は、明日8月25日に掲載予定です。

と記載がありましたが、それが

●その7 日本学術会議「ホメオパシー」についての会長談話へのJPHMAコメント詳細は、後日掲載予定です。

と書き換わりました。

さらに、現在では

⇒日本学術会議の声明についての海外からのメッセージNEW!

が積まれています。
そもそも、コンメント無しに「海外からのメッセージ」というのが「なんなんだよ?」という印象ですが、この海外からのメッセージというのがもろに「トンデモ本」であります。

ホメオパシーに関する海外からの応援メッセージ

今回の報道問題について、海外から続々、応援メッセージが届いています。

No4.ペター・ヴィクスヴィーン
<欧州ホメオパシー中央評議会(ECCH) 会長 ノルウェーホメオパス>

<コメント和訳>

JPHMA理事様

とうとう「ホメオパシー反対運動」が日本にも到着したようですね。
日本学術会議のコメントは、とても典型的です。 このような声明に回答する為の多くの文書が準備されています。 添付でお送りします。

⇒ECCH文書 肯定的なホメオパシーリサーチ

- シンとエルンストの書籍(邦訳版の題名代替医療のトリック)に対するアルダーソン氏のレポート
⇒要約
⇒全文
※全文はページ数が多いのでPDFを開くのに時間が掛かります。

更に私達が何かできる事がありましたら、お知らせ下さい。

敬具

ペター

No3.ライオネル・ミルグロム (ホメオパシーの歴史研究家ピーター・モレル氏から転送を受けてのコメント)

<プロフィール>

ホメオパス。化学博士。英国王立化学協会特別研究員。 1990年代以来ホメオパシー治療を行う。 量子理論の視点から治療プロセスへの洞察において研究をし、発表をしている。 更に、ロンドンのインペリアル・カレッジで化学における研究を続けており、とくに、天然色素から由来する光や染料を使った癌に対する新しい穏やかな治療についての研究をしている。 ホメオパシーと科学について、新聞、雑誌、学術誌に寄稿している。
http://www.homeopathicconsultant.co.uk/aboutlionel.html

<コメント和訳>

JPHMA理事様

知人を経由して、日本学術会議の声明文が書かれたEmailを受信しました。 この無知な声明について、私がどう考えるかお話するのに、非礼にならずにはいられません。 当然ながら、私達もイギリスで、この手の人物から何年間も批判を受けており、最近では、国民健康保険でのホメオパシー使用を政府に止めさせようとする試みもありました。 ですので、英国の全ホメオパスを代表し、現在のあなた方を理解する事ができます。 ホメオパシーに介入してもらわない為には、もちろん、今重要な事は、日本でホメオパスを結集する事ですが、更に重要な事に、ホメオパシー愛用者からの署名をあつめ、国会へ陳情する事です。

また、ホメオパシーをサポートする日本の報道機関へ論文を提示すべきです。 (例えば、日本でホメオパシーを使用する有名人を御存じでしたら、それを公衆で発表するとか?)、そしてそれにに対する論争も必要でしょう。 見ようとする意志のない人々ほど見えない人はおらず、一瞬たりとも彼は何も気づかないでしょう。 しかし、その対応は、可能な限り公なものである事を確実にしなければなりません。

このホメオパシーへの危機が簡単に消え去る事を祈って、ダチョウのように砂に頭を埋め込んでいるだけでは、消え去りませんから。。。! 英国では、ホメオパシーを嫌がる人々から主に「証拠」を聞く国会委員会がありました。 この委員会は、科学と技術委員会と呼ばれ、2009年11月の間、ホメオパシーにおける2回の証拠チェックが行われました。 幸運な事に、私達はこの委員会の活動についての事前に警告を受けており、私達は、文書で対応する事ができ、この文書で証拠を提示し、彼らの報告書に盛り込まれ発表されました。 残念ながら、彼らは、ホメオパシーに否定的な結論をサポートする文書しか読まなかった事が、この報告書の結論から極めて明白です。 その時に、この委員会へ出した、私の発表した文書を添付します。

この論文は、委員会がエビデンスによって何を本当に意味しているかを疑問視しており、また、ホメオパシーは効果がないという仮定をしたいわゆる科学的理由を解体するものである。 また、ランダム化比較試験の欠陥をあらわにし、製薬産業が自分達の薬を売りつくす為に行われている恥ずべき行為の数を指摘しています。 信頼できるソースからふんだんに引用しています。

この文書が役立つ事を祈ります。 ご奮闘の中での幸運をお祈りします。
⇒参考文献リンク

敬具

Dr Lionel Milgrom LCH, MARH, RHom, BSc, MSc, PhD, CChem FRSC

No2.ディディエ・グランドジョージ氏

<プロフィール>

1977年以来ホメオパシー治療を行っている。
フランス・マルセイユにあるClinical Trainingの指導者。 フランス・プロバンス地方にあるハーネマニアン・スクールの設立者の一人。 Ecole Hahnemannienne de Frejus や Fac. de Medicine de Marseilleで教え ている。
「L' Homeopathic Exactement」の著者。

<コメント和訳>

私は小児科医で、ホメオパシーを30年治療し、良い結果を持っています。
日本学術会議の声明に同意する事はできません。
添付ファイルは、私の最近の臨床記録です。
⇒新生児の逆流

敬具

ディディエ・グランドジョージ



No1.トレバー・ガン

<プロフィール>

生化学者、英国のホメオパス。 1989年以来ホメオパシー治療を行っている。
The Japan Royal Academy of Homoeopathy副学長。 「予防接種は果たして有効か」著者。

<コメント和訳>

JPHMAで、ホメオパシーには、当然ながら多くの科学的リサーチがあるという簡潔な声明をすると良いかもしれません、 日本学術会議はリサーチについて何も分かっていません、もし分かっているならば、何故彼らは、自分が出せる意見の制限がある点まで、特定のものを引用したり批判しないのでしょうか、 ですので、ここでの質問は。。。彼はどこで具体的に何について批判しているのでしょうか?

まず第一に、彼は、ホメオパシーと超希釈の違いについて不明瞭でいます。 これは、無知からきている意見である事を知らしめて下さい。。。彼は、少し知識を持つ必要がありますので、彼を先に立たせると良いでしょう。。。 ホメオパシーを弁護したり、弁護のリサーチを引用するよりむしろ(これは簡単に出来ることですから)。 彼らは、気づいておらず、恐れている。。。そしてホメオパシーはより人気が出ているという事を覚えておいて下さい。

幸運を祈ります。。。良い仕事を続けて下さい。

トレバー・ガン

8月 28, 2010 at 03:45 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.08.25

ホメオパシーは「荒唐無稽」その2

「ホメオパシーは「荒唐無稽」」で、

今後、ホメオパシー推進論者からの反撃が予想されます。

で書きましたが、当然のように反論が出始めています。日本ホメオパシー医学協会のサイトには2010年8月25日09:00現在次のように掲示が出ています。

●その7 日本学術会議「ホメオパシー」についての会長談話へのJPHMAコメント詳細は、明日8月25日に掲載予定です。

毎日新聞より「ホメオパシー療法:「科学的根拠なし」学術会議会長

山口県で昨年10月、助産師にビタミンK2の代わりにホメオパシー療法の特殊な錠剤を投与された乳児がビタミンK欠乏性出血症で死亡したことを受け、日本学術会議の金沢一郎会長は24日、「ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されている。医療関係者が治療に使用することは厳に慎むべきだ」との談話を発表した。

ホメオパシー療法は18世紀末ドイツで始まった。病気と似た症状を起こす植物や鉱物を何度も水で薄めてかくはんし、この水を砂糖玉にしみこませた錠剤(レメディー)を服用して自然治癒力を引き出し、病気を治すというもの。元の物質は水にほとんど残っていないが、実践する人たちは「水が記憶している」と主張している。

欧米やインドで盛んだが、最近は効果を巡り議論が起きている。日本でもごく一部の医療関係者ががんやうつ病などの患者にレメディーを投与している。

日本学術会議は政府に科学振興策などを勧告できる、日本の科学者の代表機関。記者会見した金沢会長は国内で死者が出た事態を重視し

「ホメオパシーに頼り過ぎると、有効な治療法を受ける機会を逸する」と指摘。欧米のように普及する前に、医療分野で広がらない手だてが必要と主張した。唐木英明・同会議副会長も「ただの水なので効果はない」
と訴えた。

山口県の乳児死亡では、母親が助産師を相手に損害賠償を求める裁判を起こしている。ビタミンK欠乏性出血症は新生児約4000人に1人の割合で発症する。乳児死亡後、厚生労働省や日本周産期・新生児医学会は、新生児にビタミンK2シロップを与えるよう医療関係者に訴えている。

ホメオパシー療法の普及活動をしている「日本ホメオパシー医学協会」(東京都)は

欧米の実績で分かるように、ホメオパシー療法は治癒効果が科学的に証明されている
と反論している。【小島正美】

毎日新聞 2010年8月24日 20時34分(最終更新 8月24日 22時02分)

日本ホメオパシー医学協会のサイトがどのような「反論」をするのか、注目です。

8月 25, 2010 at 09:37 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.24

ホメオパシーは「荒唐無稽」

朝日新聞より「ホメオパシーは「荒唐無稽」 学術会議が全面否定談話

日本学術会議は代替療法「ホメオパシー」の効果について、「科学的な根拠がなく、荒唐無稽(こうとうむけい)」とし、医療従事者が治療法に用いないよう求める会長談話を24日、発表した。

山口市の女児ら死亡例が出たことを重視し、この療法が広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。同会議が、特定の療法を否定するのはきわめて異例だ。

東京大名誉教授の金澤一郎会長が会見で発表した。

会長談話では、現段階でホメオパシーを信じる人はそれほど多くないが、医療現場から排除されないと「自然に近い安全で有効な治療という誤解」が広がると指摘。科学的根拠は明確に否定されており、医療関係者が治療に用いることは認められないとした。

日本学術会議は、約84万人の科学者の代表として選ばれた210人の会員と、約2千人の連携会員からなる日本の「頭脳集団」。

政府に対する政策提言や、社会への啓発などを行う。唐木英明副会長によると、1年半ほど前からこの問題について議論してきたという。
昨年2月の厚生労働省の厚生科学審議会でも、金澤会長が指摘していた。

唐木副会長は

「十分理解した上で個人的に使うことは自由だが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使うことは、通常医療を遠ざけることにつながり危険。日本学術会議として、『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」
と説明した。

ごく当然のことと思いますが、何でこんなことをわざわざ言うのか?となると、元は「ようやく、周産期・新生児医学会が緊急声明を出した」で紹介した、ビタミンKの投与をしなかったために、乳児が死亡したという事件が裁判になったからです。

しかし、「ようやく、周産期・新生児医学会が緊急声明を出した」に書いた通り、助産師会の一部が積極的に、ホメオパシーを推進しているとなっていて、日本ホメオパシー医学協会の動向が問題視されています。

今回の学術会議の声明は、医療関係でホメオパシーを使ってはならない、となりますから日本ホメオパシー医学協会という名称自体が不適切である、ということになるでしょう。

今後、ホメオパシー推進論者からの反撃が予想されます。

それにしても、社団法人日本助産師会の「ビタミンK2投与に関する日本助産師会の見解」(PDF)

助産師は、安全かつ有効な助産行為を行うことを前提に業務を遂行しているものである。安全かつ有効な助産行為とは、現在の医療水準において、科学的な根拠に基づいた医療を実践することである。

山口県で起こったビタミンK2シロップを投与せず児がビタミンK 欠乏性出血症により死亡した事例については、当該助産師が補完代替医療の一つであるホメオパシーによる効果を過大に期待したためと考える。ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではない。

日本助産師会はこの件を重く受け止め、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう勧告する。

2010 年8 月10 日
社団法人日本助産師会
会 長 加藤尚美

ホメオパシーがK2シロップに代わりうるものではない。というのなら、レメディの処方は禁止する。 が正しいのではないのか?

それが「科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう勧告する。」とはどういう事だ?
実際には、非科学的医療が行われていることを、助産師会は是認しているというのだろうか?

問題の根源には、ある種の「天然信仰ヒステリー」のようなものがあって、以下の投稿にはさすがに反対ばかりが集まっています。
発言小町より「無介助分娩を理解しない実母と義母

妊娠7ヶ月ぐらいの妊婦です。
「ぐらい」と書いたのは、予定日を最終月経から自己計算したためです。

昔から自然なお産に憧れているので、自宅で誰の手も借りずに出産します。
妊娠出産に関してたくさん本を読み、ネットでも勉強しました。

そのため、医師や助産師の手など借りなくても出産できます。
また、病院や医療行為がいかに危険なのかも把握しています。

どこかの自然派出産の先生が「女性には本来生む力が備わっている」と仰っていました。
しっかり体を動かし、食事に気をつければ一人で元気な子を生めます。
医療行為に頼って生むのは、怠け以外のなんでもありません。

しかし、この考えに義母と実母が大反対します。

「母子手帳の交付を受けなさい」
「産婦人科の検診に行きなさい」
「自宅で生むなら、せめて信頼のおける助産師に…」

そもそも母子手帳なんて、病院にかかる人のためにあるものですよね?
他人に自分の体の状態をさらすなんて嫌です。

妊娠出産は病気でもなく順調なのに、なぜ病院に行かなければならないのでしょうか?

助産師だって他人ですので、医師と同じです。
医療従事者という他人に、自分の体を把握されたくないです。

先日、義母が知り合いだという助産師を紹介しようとしました。
余計なお世話です。

ちなみに、夫はこの件に関して一切口を出して来ないのでありがたいです。
出産や育児に関して、男性は不必要ですので。

無介助分娩を経験された方、周りの反対にあいませんでしたか?
なぜ、自分の出産に関して自分で決められないのでしょうか。
経験者の意見をおきかせ下さい。

病院に行けとかの批判は結構です。

細かくは、この種の問題を扱っているブログなどを見ていただくとして、多くのこの種の騒動では「天然成分なら全部安心」のような話を信じ込んでいる人や、医療事故のようなまれに起きる事故を取り上げて「医者にかかると寿命が縮む」のような記事が表れます。
元もと、健康問題一般と、個々の医療事故などを比較することが難しいわけで、基本的にはどちらがリスクが高いのか?という問題になるでしょう。

リスクについて研究するのは「リスク学」と呼びますが、その第一人者が産業総合研究所安全科学部門長の中西準子先生です。
強くお勧めするのは「環境リスク学―不安の海の羅針盤」日本評論社刊です。
こういうバランスのとれた考え方が当たり前でなくなりつつあるところこそが問題なのだと考えます。

8月 24, 2010 at 10:05 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.08.06

ようやく、周産期・新生児医学会が緊急声明を出した

朝日新聞より「ビタミンK2投与を 周産期・新生児医学会が緊急声明

日本周産期・新生児医学会(理事長=田村正徳・埼玉医科大総合医療センター教授)は5日、新生児の頭蓋(ずがい)内出血を防ぐため、ビタミンK2シロップ投与の重要性を再確認するよう、会員の産婦人科医や小児科医、助産師らに求める緊急声明を出した。

代替療法「ホメオパシー」を実践する一部の助産師が、シロップの代わりに「レメディー」と呼ばれる砂糖玉を渡し、新生児が死亡し訴訟になったことを受けた。

緊急声明は長妻昭・厚生労働相にも提出、厚労省として積極的に指導するよう求めた。

緊急声明にしては、時間がかかりすぎているのではないのか?という印象がありますが、かなりデリケート(?)な問題です。

記事中にある「新生児が死亡し訴訟になった」事件とは、朝日新聞のアビタルが特集しています。

問われる真偽 ホメオパシー療法2010/8/3
5600万円の賠償求める 山口地裁 ホメオパシー絡みトラブル2010/8/5
「ホメオパシー」トラブルも 日本助産師会が実態調査2010/8/5

5600万円の賠償求める 山口地裁 ホメオパシー絡みトラブル

2010年8月5日

山口市の女性(33)が同市の助産師(43)を相手取り、約5600万円の損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。

訴状などによると、女性は2009年8月に長女を出産。助産師は出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女はビタミンK欠乏性出血症にもとづく急性硬膜下血腫を発症し、同年10月に死亡したという。

女性は、

  • 助産師が母子手帳にあるK2シロップ投与欄に「投与した」とウソの記録を残していた
  • K2シロップを投与しない場合の出血症の危険性も説明しなかった
などと主張している。

一方、助産師は関係者などに対し、ホメオパシーのレメディーを与えたと説明しているという。

ビタミンK欠乏性出血症は、K2シロップの適切な投与でほぼ防ぐことができるとされる。

この日の弁論に助産師側は出席せず、事前に請求棄却を求める書類を提出したが、詳細については言及していないという。

◇医師ら以外の処方、問題◇

ホメオパシーを治療に取り入れている、東京女子医大自然医療部門の川嶋朗准教授の話

ワクチンを打つなとか薬を飲むななどと主張する過激なホメオパシーのグループも存在する。
山口のケースでのビタミンK2シロップや抗生剤など、西洋医学で明らかに治療できるものは西洋医学で対応するのが当たり前だ。
患者にレメディーを投与するのは医療行為で、医師や歯科医師ら、薬の処方権がある人以外がホメオパシーを使うのは大きな問題だ。

◇考え、科学的におかしい◇

「科学と神秘のあいだ」などの著書がある大阪大の菊池誠教授(物理学)の話

原子や分子の存在が分かった今では、「元の物質の分子が残らないほどに希釈した水を含む砂糖玉が体に作用を及ぼす」との考えが科学的におかしいのは明らか。
科学的なものは不自然で体に優しくないという信念など、「ファッショナブルな自然志向」の存在が、ホメオパシーをはやらせる背景にあるのではないか。
ホメオパシーに頼り、医療を拒否する危険性を理解する必要がある。

代替医療を本当の医療と同格に扱って、保険適用しようという動きが世界的にあって、鳩山前首相は「統合医療を真剣に検討、推進していきたい」と答弁しています。

現時点の「医療」が近代医療技術であって、伝統的医療が世界各地に残っています。
鍼や灸は日本でもずっと続いていますし、カイロプラクティック、整体も根付いています。
わたしの知っている範囲では、アーユルベータ、ホメオパシーといったものも最近は有名になってきています。

イギリスではホメオパシーの保険適用が認められていたのが、7月になって「効果がない」との判定がでて、保険適用を止めるべきだとの声が上がったのですが、利用者の選択の自由を根拠に、適用除外が見送られたようです。

医療費増大を防ぐために、保険的ようにの範囲を狭めようとして、漢方薬の保険適用を外そうといった動きがあったり、その逆に代替医療を促進すれば高度医療で大金を使わないでも良い、といった主張もあったりして、それぞれの思惑の綱引き状態と言えるでしょう。

今回の、K2シロップを投与しないという、一部の助産師会の動きについては多くの方面から問題しされています。
朝日新聞より「「ホメオパシー」トラブルも 日本助産師会が実態調査

「ホメオパシー」と呼ばれる代替療法が助産師の間で広がり、トラブルも起きている。

乳児が死亡したのは、ホメオパシーを使う助産師が適切な助産業務を怠ったからだとして、損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。

自然なお産ブームと呼応するように、「自然治癒力が高まる」との触れ込みで人気が高まるが、科学的根拠ははっきりしない。社団法人「日本助産師会」は実態調査に乗り出した。

新生児はビタミンK2が欠乏すると頭蓋(ずがい)内出血を起こす危険があり、生後1カ月までの間に3回、ビタミンK2シロップを与えるのが一般的だ。

これに対し、ホメオパシーを取り入れている助産師の一部は、自然治癒力を高めるとして、シロップの代わりに、レメディーと呼ぶ特殊な砂糖玉を飲ませている。

約8500人の助産師が加入する日本助産師会の地方支部では、東京、神奈川、大阪、兵庫、和歌山、広島など各地で、この療法を好意的に取り上げる講演会を企画。

2008年の日本助産学会学術集会のランチョンセミナーでも、推進団体の日本ホメオパシー医学協会の会長が講演をした。

同協会のホームページでは、提携先として11の助産院が紹介されている。

日本助産師会は「問題がないか、実態を把握する必要がある」として、47支部を対象に、会員のホメオパシー実施状況やビタミンK2使用の有無をアンケートして、8月中に結果をまとめるという。

また、通常の医療の否定につながらないよう、年内にも「助産師業務ガイドライン」を改定し、ビタミンK2の投与と予防接種の必要性について記載する考えだ。
日本ホメオパシー医学協会にも、通常の医療を否定しないよう申し入れた。

助産師会の岡本喜代子専務理事は

「ホメオパシーを全面的には否定しないが、ビタミンK2の使用や予防接種を否定するなどの行為は問題があり、対応に苦慮している」
と話している。

助産師は全国に約2万8千人。
医療の介入を嫌う「自然なお産ブーム」もあり、年々増えている。
主に助産師が立ち会うお産は、年間約4万5千件に上る。

テレビ番組で取り上げられたこともある有名助産師で、昨年5月から日本助産師会理事を務める神谷整子氏も、K2シロップの代わりとして、乳児にレメディーを使ってきた。

取材に応じた神谷理事は

「山口の問題で、K2のレメディーを使うのは、自重せざるを得ない」
と語る。この問題を助産師会が把握した昨年秋ごろまでは、レメディーを使っていた。
K2シロップを与えないことの危険性は妊産婦に説明していたというが、大半がレメディーを選んだという。

一方で、便秘に悩む人や静脈瘤(りゅう)の妊産婦には、今もレメディーを使っているという。

ホメオパシーをめぐっては英国の議会下院委員会が2月、

「国民保健サービスの適用をやめるべきだ。根拠無しに効能を表示することも認めるべきではない」
などとする勧告をまとめた。

薬が効いていなくても心理的な効果で改善する「偽薬効果」以上の効能がある証拠がないからという。

一方、同国政府は7月、科学的根拠の乏しさは認めつつ、地域医療では需要があることなどをあげて、この勧告を退ける方針を示している。

日本では、長妻昭厚生労働相が1月の参院予算委で、代替医療について、自然療法、ハーブ療法などとともにホメオパシーにもふれ、「効果も含めた研究に取り組んでいきたい」と述べ、厚労省がプロジェクトチームを立ち上げている。(福井悠介、岡崎明子)

〈ホメオパシー〉 約200年前にドイツで生まれた療法。

「症状を起こす毒」として昆虫や植物、鉱物などを溶かして水で薄め、激しく振る作業を繰り返したものを、砂糖玉にしみこませて飲む。
この玉を「レメディー」と呼んでいる。
100倍に薄めることを30回繰り返すなど、分子レベルで見ると元の成分はほぼ残っていない。

推進団体は、この砂糖玉を飲めば、有効成分の「記憶」が症状を引き出し、自然治癒力を高めると説明している。

がんやうつ病、アトピー性皮膚炎などに効くとうたう団体もある。

一方で、科学的な根拠を否定する報告も相次いでいる。豪州では、重い皮膚病の娘をレメディーのみの治療で死なせたとして親が有罪となった例や、大腸がんの女性が標準的な治療を拒否して亡くなった例などが報道されている。

少なくとも、この「レメディー」はオマジナイとか、カルトでありましょう。
こんなモノに命を託すというのは、それ自体が間違っているとしか思えない。

8月 6, 2010 at 07:53 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2010.06.25

バイオセーフティ議定書に原状回復責任を追加

毎日新聞より「遺伝子組み換え:事業者に原状回復責任 輸入国が「被害」

2010年6月25日 2時33分

遺伝子組み換え作物など人為的に改変された生物の国際取引に伴い、移動先の国の生物多様性が悪影響を受けた場合の国際協定案が24日、明らかになった。

被害国は原因を作った事業者に対して原状回復を命令できる。

国連生物多様性条約に基づく「バイオセーフティーに関するカルタへナ議定書」の補足議定書として、10月に名古屋市で開かれる同条約第10回締約国会議(COP10)で採択を目指す。

補足議定書案は、国境を越えて移動した遺伝子組み換え作物などにより「生物多様性の保全と持続可能な利用に影響する被害」が出た場合を想定。
被害を受けた国は、輸出入業者など原因生物を管理する事業者に対して、元の状態かそれに近い状態に戻すことを命令できるとしている。

「被害」については、客観的、科学的に証明可能で、かつ重大なものと規定。
人の健康被害も考慮するとした。

カルタへナ議定書は03年に発効し、締約国は現在、日本を含む157カ国と欧州連合(EU)。遺伝子組み換え作物などが生物多様性に悪影響を及ぼさないよう、輸入に際して事前にリスク評価することなどを定めている。

しかし、実際に悪影響が出た場合の責任と救済については合意できず、「補足議定書」としてまとめることになっていた。

補足議定書の締約国は関連する国内法を整備する必要がある。
日本の場合、カルタヘナ議定書に対応した国内法を04年に施行済みで、政府は同法の改正も視野に入れ補足議定書に対応する方針だ。【足立旬子、江口一】

国際協定なのだから、「被害回復」について定めないわけにはいかないだろうが、実際には機能しないだろうね。
まあ、事業者が無茶をやって大被害が発生するといったケースを想定した場合、この規定が業者に対する牽制にはなるだろう。

  1. 客観的、科学的に証明可能で、かつ重大な被害が発生した場合
  2. 被害国は原因を作った事業者に対して原状回復を命令できる
ですから、ハードルがものすごく高い。

「客観的、科学的に証明可能」と言っても、被害の原因が遺伝子組み換え生物が原因であるとの証明は必ずしも簡単では無いだろう。

「かつ重大な被害が発生した場合」これは、もっと大変だと思う。
基本的には、遺伝子組み換え生物が、他の生物を駆逐したといった場面が、被害なのだろうけれども、元もと人類が「品種改良」してきたことと本質は変わらないわけで、どのような状況を「重大な被害」と認定するのか?は、被害を受けた人の立場によって大幅に変わるだろう。
つまり「被害」そのものが、客観的に確定できるものかが問題だろう。

こんな協定があると知っておくぐらいの意味しかないのかな?

6月 25, 2010 at 09:12 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.17

口蹄疫・現場の決断と政治家の判断力

読売新聞より「大分の豊後大野市…口蹄疫・宮崎住民はお断り

大分県豊後大野市は16日、すべての市の施設で、口蹄疫(こうていえき)が発生した宮崎県内11市町の住民の利用を断る方針を決めた。

豊後大野市は宮崎県境に位置しており、市農業振興課は「人を介してウイルスが運ばれる恐れがあるため」と説明しているが、過剰反応との批判も出ている。

同課によると、利用制限が行われるのは、公民館や体育館、小中学校など約100か所。

対象は川南町や宮崎、西都、都城の各市など5市6町の住民で、終息確認調査が終わったえびの市も含む。

すでに申し込みを受け付けた人には消毒を徹底してから利用するよう求める。新規分は申し込みを受け付けない。

橋本祐輔市長は

「市の責任であらゆる手を尽くして発生を防がなければ」
と述べ、同課は
「法的根拠はないので、過剰反応だと言われるかも知れない。しかし事態は深刻で、口蹄疫が終息するまでは、この対応を続ける」
としている。

同市には畜産農家が341戸あり、牛約5300頭、豚約7300頭を飼育。2007年度の畜産生産額は約29億8000万円。

(2010年6月17日01時37分 読売新聞)

西日本新聞より「「行きすぎだ」副大臣が批判 口蹄疫 感染地住民の利用制限

大分県豊後大野市が、口蹄疫が確認された宮崎県の5市6町の住民の公共施設利用を一部制限する方針を決めたことについて政府現地対策本部長の篠原孝農林水産副大臣は17日、

風評被害の典型例で行きすぎだ。(近隣の自治体として)消毒などで協力することが大事だ」
と述べ、豊後大野市の対応を批判した。宮崎県庁で記者団に問われて答えた。

わたしは、現時点では大野市を支持します。

逆に、篠原孝農林水産副大臣の「風評被害」発言の論拠を聞きたい。

防疫の基本は隔離であって、飛び火している時点で、隔離が不完全だと評価するべきだし、周辺で「立入禁止」になるのは時間の問題だったのは間違えあるまい。

風評被害とは、事実として有り得ない事柄が風評となって、被害が発生することなのだから、篠原孝農林水産副大臣は「人の移動による、口蹄疫の感染は有り得ない」という立場だということになる。
だとすれば、自動車の消毒も不要だということになるではないか。

篠原孝農林水産副大臣のような「何とかなる」「この程度で十分」といった甘い判断が現在の状況を作り出したというべきだろう。
どっちを向いて発言しているのだ?

篠原孝農林水産副大臣のやることは、風評被害云々などではなくて、どうやって封じ込めるか、に全力を尽くすべきだろう。
そのためには、一週間程度の地域全体を隔離するぐらいのことを責任を持ってやるのが仕事だろう。

6月 17, 2010 at 06:27 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.06.14

口蹄疫対策手抜きのひどさ

東京新聞より「口蹄疫 1キロ圏抗体検査へ

宮崎県の口蹄(こうてい)疫問題で農林水産省の牛豚等疾病小委員会が十三日、都内で開かれ、被害が集中した同県川南町周辺を除いた新たな地域で発生が確認された場合、発生農場から半径一キロ圏内の大規模肉用牛経営農家を対象に、一定頭数の家畜の抗体検査を実施するべきだとする意見をまとめた。

農水省が今後、詳細を決める。

抗体検査では臨床症状がなくても感染の有無を確認できる。

早期に感染拡大の程度を把握し、封じ込めの迅速化を図るのが狙い。

また、新たに発生した農場から半径十キロ圏内の移動制限区域内では、大規模農家に家畜防疫員を立ち入り調査させ、異常の早期発見に努める。

宮崎県は十三日、感染疑いが確認された牛や豚が同日は「ゼロだった」といったん明らかにしたが、夜遅くになって新たに西都市のワクチン接種対象地域外で、感染疑いの牛が確認されたと十四日未明、発表した。

また、都城市の発生農場から半径一キロ圏内にある農家八戸の計十一農場を対象に、飼育されている牛や豚のうち計九十六頭から既に検体を採取、動物衛生研究所の検査施設に送った。

十四日から検査を始めるという。

「口蹄疫・防疫の失敗」で、典型的な、戦力の逐次投入と今までの「対策」を批判したのですが、いまだに組織的に抗体検査もしていなかったというのは、驚きです。

動物だけの病気とはいっても典型的な伝染病なのだから、基本的な対処方針は、伝染の防止が他のなによりも優先されて当然でしょう。

そうなると、いちばん簡単なのは「地域全体を隔離する」だとなりますが、これを実したら地域内の生活も経済も大変なことになります。

そこで、全車両の消毒といったことになっていくのでしょうが、当然「あの地区は病気で入ることができない」などといった風評被害のようなことも出て来るでしょう。

しかし、元が「伝染の遮断」なのですから、二次的な損害は覚悟の上で実施するべきだ、というのが人類の知恵となっているはずです。

しかし、今回の「対策」はどう見ても「被害が少ない」と見せるために、対策そのものを小規模にした、としか思えない。

人間の伝染病でも、家庭内や職場で下手に隠すから拡大したというのは、年中聞く話しであって、今回の口蹄疫の拡大が「厄介になるから、対策しない」とか「調べない」といった手抜きをした結果ではないのか?

抗体検査なんてのは、緊急事態だとして可能な限りの多数を継続して調べて当然だろう。
もしそれで検査結果が役に立たなくても議論しているより実施するべきだろう。

こんな「議論」つまり「紙の上の計画」だけをやっている間に事態はドンドン悪化する。

ガダルカナル島の攻略とかインパール作戦と同じか?
最近の日本は、現場を無視して建前論で現実が何とかなるという風潮が強すぎる。
このままでは、もっと大きな事件が起きるだろうと思う。

6月 14, 2010 at 09:33 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2010.06.11

口蹄疫・防疫の失敗

読売新聞より「止まらぬ感染拡大、10年前の成功で油断

宮崎県で口蹄疫(こうていえき)の感染拡大が止まらない。

10日には日本トップクラスの畜産基地、都城市で感染が確認されたほか、日向市や宮崎市でも新たな感染の疑いが浮上した。戦後最大の家畜被害を生んだ背景には何があるのか。

畜舎の床一面に剥(は)がれた豚の爪が無数に散らばっていた。
蹄(ひづめ)を傷めた親豚が何度も立とうとしては崩れ、横には息絶えた子豚たちが折り重なっている。

「こんな状態で生かしておいてもつらいだけ。いっそ早く殺してやりたいが、埋める場所もなく身動きがとれない」。
宮崎県川南(かわみなみ)町で30年以上養豚業を営む男性(52)は涙ぐんだ。

止まらない被害を前に、男性は

「これほど広がるなんて。これは人災ではないのか」
と憤った。

「これじゃ無理だ。感染は防げない」

同県都農町で感染第1例が発表された4月20日。都農町から川南町、宮崎市と県東部を縦断する国道10号を眺めながら、宮崎市の畜産業、尾崎宗春さん(50)は焦った。

消毒ポイントは設けられているものの、消毒するのは畜産農家の車ばかり。
一般車両は素通りしていた。

尾崎さんの危惧(きぐ)通り、感染はその後、10号沿線に広がっていく。

10年前の2000年3月、宮崎県は国内では92年ぶりとなる口蹄疫に見舞われた。この時は封じ込めに成功し、殺処分は3農家35頭にとどまっている。尾崎さんは

「当時の方が対応が迅速で徹底していたような気がする」
と振り返る。

発生初日に設置した通行車両の消毒ポイントは、10年前は13か所だったが、今回は4か所。

前回は、家畜の移動制限区域を20キロ圏内、搬出制限区域を50キロ圏に設定したが、今回はそれぞれ10キロ圏内、20キロ圏と大幅に縮小した。

危機意識の薄さも目立った。感染が分かった4月下旬には、感染の飛び火を恐れ、県内外では様々なイベントの自粛が始まった。

こうした動きに、県の渡辺亮一商工観光労働部長は4月28日の対策本部会議の席上、

「ちょっと過剰な反応なのかな、とも思います」
と語っていた。県が非常事態宣言で県民に活動の自粛を求めるのは、それから3週間も後のことだ。

蔓延(まんえん)の背景には、埋却地や人手不足による処理の遅れもある。

赤松前農相は6月1日の記者会見で、

「(県に要請して)今週中には、感染した牛や豚の殺処分を終えたい」
と、早期処理を明言した。

ところが実際には、川南町周辺などで感染したとされて殺処分対象になった約19万頭のうち、殺処分も埋却もされていない家畜は6月9日時点で3万1820頭も残っている。

このうち約1万7000頭は豚だ。

豚はウイルスを体内で増殖させやすく、牛の100~1000倍も拡散させやすいとされており、

「いわばウイルスの火薬庫を放置している状態」(農水省幹部)
だ。

蔓延の原因について、農水省や県は

「今回のウイルスの感染力が10年前に比べて格段に強かったこと」
と説明する。だが、口蹄疫問題の対策などを決めてきた同省の牛豚等疾病小委員会の委員は明かした。
「甘かった。10年前はうまくいったという自信が、失敗の始まりだった」
(東京社会部 十時武士、畑武尊、西部社会部 本部洋介)

(2010年6月11日03時05分 読売新聞)

典型的な、戦力の逐次投入、でしょうね。
ニュースでも、ブランド牛の話題ばかりが出ているのが不思議でした。ブタの感染はいつでも大問題でしたから。

その意味では、マスコミも「忘れていた」なのでしょうか?

この問題に関心のあるブロガーが以前から指摘していますが、日本で突如発生したのではないのですね。
韓国・台湾で大問題になっていて、元もと十分に警戒するべきでした。
しかし、この記事の中にあるようにテレビ映像で見ても消毒も防疫とはほど遠いもので、10年前に比べてもはるかに小規模だった、となります。

なんか、日本の劣化そのものを見ているような気がしてきます。

6月 11, 2010 at 11:28 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010.05.30

医師不足数が分からない厚労省

読売新聞より「医師の「不足数」地域・診療科ごとに初調査へ

地域医療の崩壊が懸念される中、医師の不足や偏在の実態を把握しようと、厚生労働省は全国の病院を対象とする調査に乗り出した。

これまで医師の数自体を調べる調査は定期的に行ってきたが、「不足数」に着目した実態調査は初めて。

28日に都道府県を通じて調査票の配布を始めた。今夏にも結果の概要をまとめる。

政府は医師養成数を大幅に増やす方針だが、あと何人増やせば充足するかといった目星はついていないのが実情だ。

地域や診療科によっても開きがあるとみられるが、目安になるデータがなかった。

対象となるのは、全国に約8700あるすべての病院。各病院の現状の医師数と、足りない人員を補うために募集している医師の求人数、求人はしていないが不足していると考えている人数を診療科ごとに調べ、地域ごとに、どの診療科の医師が何人不足しているのかを詳細に割り出す。

この調査結果を基に医師の必要数を分析するほか、地域や診療科による偏在解消策を具体的に検討する。厚労省は「全体的な状況を把握し、医師確保策に生かしたい」としている。

(2010年5月30日01時39分 読売新聞)

まあ、ひどい話だ。

足りないと分かっても、何人たり無いのかが分からないというのは、厚労省がどっち向いて仕事をしているのかを良く示している。

堺屋太一氏の短編だったと思うが、「日本の役所は全て供給側から仕事をしている」というのがあって、その中で当時の厚生省について「医療を供給する立場の役所で、患者のための役所じゃない」といった表現があり、そういうものなのか、と思ったものです。

今回の「どのくらい足りないか分からない」というのは正に供給側しか見ていないから、需要側(消費者)側については調査する方法すらない、ということですね。

それにしても、病院における求人状態すら把握していないとは、これで行政としてサービスができるものなのか?
消費者行政という観点から、消費者庁がやるべき仕事なのだと強く思う。

5月 30, 2010 at 09:28 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.03.25

米民主党議員に脅迫や暴言

CNN.co.jp より「米民主党議員に脅迫や暴言、医療保険改革法通過で急増

ワシントン(CNN)
米国の世論を二分する医療保険改革法案が米下院本会議を通過した21日以降、民主党議員が脅迫されたり事務所が破壊される事件が相次いでいる。

下院民主党指導部は24日に記者会見して暴力行為を非難、共和党にも同調を促した。

下院民主党のホイヤー院内総務によると、これまでに同党の議員10人以上から脅迫や器物損壊などの被害の届け出があった。

警察は民主党下院議員に対し「議員本人や家族が危害を加えられる恐れがある」として、身辺に注意するよう促したという。

少なくとも3州で事務所などの窓ガラスが壊される事件があったといい、ルイーズ・スローター議員の地元ニューヨーク州の事務所は窓ガラスにれんがが投げ込まれ、「狙撃」の文字が入った脅迫文が届いたため、地元警察と米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出した。

アフリカ系米国人のジェイムズ・クライバーン議員には首つり縄の写真が入ったファクスが届き、自宅には脅迫電話がかかってきたという。
バージニア州選出の下院議員の親類宅は、保守系運動のウェブサイトで住所が暴露された後、ガス供給管が切断される事件があり、FBIが関連を調べている。

アフリカ系アメリカ人の民主党議員3人は先の週末、首都ワシントンで抗議活動をしていたグループから人種差別的な暴言を浴びてつばを吐きかけられたと報告。
同性愛者であることを公言している別の民主党議員も差別的な暴言を吐かれたと訴えている。

ホイヤー院内総務は記者会見で、民主主義と暴力は相容れないと強調、「このような行為に対して沈黙を貫けば、こうした行為を容認しているような印象を与えてしまう」と話した。

共和党のベイナー下院院内総務は記者団に対し、「国民の怒りは分かるが、暴力や脅迫は不適切であり無責任だ。怒っているなら選挙登録し、選挙運動に参加してほしい」と述べている。

オバマ政権が少々無理なテクニックを利用して成立させた医療保険改革ですが、これほどすごい反発があるとは理解し難いです。

以下の表は「世界保健機関WHO - 世界保健報告2006年度版」から作りました。
1ドルが115円換算です。

順位国名1人当たり医療費
(ドル/年)
日本との比較
1アメリカ5,7112.15
2スイス5,0351.89
3ノルウェイ4,9761.87
4モナコ4,5871.72
5ルクセンブルク4,1121.54
6アイスランド3,8211.44
7デンマーク3,5341.33
8ドイツ3,2041.20
9スウェーデン3,1491.18
10オランダ3,0881.16
11フランス2,9811.12
12サンマリノ2,9571.11
13アイルランド2,8601.07
14ベルギー2,7961.05
15カナダ2,6691.00
16日本2,6621.00
17オーストラリア2,5190.95
18イギリス2,4280.91
19オーストリア2,3580.89
20フィンランド2,3070.87
21イタリア2,1390.110
22アンドラ2,0390.77
23ニュージーランド1,6180.61
24ギリシャ1,5560.58
25スペイン1,5410.58

日本の倍以上の医療費を掛けながら、国民皆保険制度が無いわけですから、恐ろしく効率が悪い。
日本だって誉められものではありませんが・・・・・・。

にもかかわらず、14州の司法長官が憲法違反だと連邦政府を相手取って提訴を起こしています。

アメリカ国民は、世界水準に比べてこれほど効率の悪い医療費で満足しているのでしょうか? 理解し難いです。

3月 25, 2010 at 10:12 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.03.24

日本が出来る世界貢献

サンケイ新聞より「「必要な医療援助できた」チリ派遣の日赤チーム帰国

チリ大地震で被災地の救援活動に当たった日本赤十字社の医療チームが24日、約2週間の活動を終え、米国経由で成田空港に帰国した。

チームは医師や技術職員ら6人。リーダーを務めた熊本赤十字病院の医師、宮田昭さん(53)は「地方都市に対する公的支援が遅れている中で、本当に必要としている援助ができた」と話した。

医療チームは大きな被害が出たチリ中部のパラルで、半壊した地元病院を支援。
提供した医療用資材を使ってテント型の簡易診療所を設営し、現地の医療関係者に使用法を指導するなどした。

お疲れさまでした。

変な話だが、大規模災害でインフラも壊れているような時に、機材と人員さらに技術といったものの優先度がどこにあるのか?となると、医者よりも設営だろう、それよりも機材だろう。

機材が無くては、臨時病院は開設できないし、臨時病院を開設するための設営技術が無くては、キットがあっても有効活用はできない。
もちろん機材が無くては、何もできない。

こんな事を考えると、機材・人員・技術者などの投入に一番有効なのが、C-2輸送機の実用化だと思う。

早く完成しないかなあ。

3月 24, 2010 at 06:34 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.02.14

医療問題・電子化反対裁判をやっていて良いのか?

東京新聞より「レセプト訴訟取り下げへ オンライン義務化撤回で

レセプト(診療報酬明細書)のオンライン請求の義務化に反対し、その義務がないことの確認を求め、横浜地裁で係争中の医師と歯科医師約1740人は13日、昨年の政権交代により厚生労働省が全面義務化を撤回したことを受け、訴えを取り下げることを決めた。
22日の口頭弁論で取り下げる。

原告団は13日、横浜市西区のホテルで総会を開催。平尾紘一団長は「(義務化撤回は)われわれの勝利で、本当にうれしく思う」と話した。

弁護団によると、大阪地裁での同様の訴訟も、既に訴えを取り下げたとの連絡が大阪の原告団からあったという。

厚労省は2011年度からすべての医療機関と薬局にオンライン請求を原則義務化する方針だったが、日本医師会などが反発。昨年11月、省令を改正し、高齢の医師の診療所や零細な病院など一部について義務化を免除した。
(共同)

要するに、医療の電子化に反対しているわけだが、その一方で医療機関が出す薬は患者が調剤薬局で個別に購入することになる。
このために、薬の一元管理が必要だとなるのだが、それを電子化しないでどうするつもりなのだ?

ネットワーク・セキュリティ・ワークショップ in 越後湯沢で、何度も秋山 昌範先生の講演を聴いています。
「医療におけるデジタル・フォレンジック導入の必然性とは」などを読むと分かると思いますが、秋山先生の講演で一番ビックリしたのが、「電子カルテを使ったら事故が増えた」でありました。

要するに、単に電子化だけではダメだ、という話しなのですが、その一方で電子化によって莫大な薬の廃棄が無くなったのだそうです。
わたしが例に挙げた、家庭内で薬を管理しなければならないという問題も、例えばICカードに記録していけば、同じ薬を二重に処方すると行ったことが防げるわけで、医薬分業にしてしまったのだから、情報流通の電子化以外に医薬分業を成り立たせるための方策はない、と思います。

このような状況に対して、医師と歯科医師約1740人が裁判で争うとはどういうことだ。

高齢の医師の診療所や零細な病院など一部について義務化を免除した。
ではなくて、職業としての医師を引退していただくのがスジでしょう。

2月 14, 2010 at 10:09 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2009.12.05

子どもの減る世界

サンケイ新聞より「4割が「子ども必要ない」20~30歳代は6割-内閣府調査

結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はないと考える人が42・8%に上ることが5日、内閣府がまとめた男女共同参画に関する世論調査で分かった。

2年前の前回調査に比べ6・0ポイント増で、平成4年の調査開始以来最高となった。持つ必要があるとする人は同6・5ポイント減の52・9%だった。

少子化の背景に、国民の家庭に対する意識の変化があることを示した結果と言え、内閣府の担当者は「個人の生き方の多様化が進んでいる」としている。

調査は10月1~18日、全国の成人5千人に個別面接方式で実施。

64・8%にあたる3240人から回答を得た。同種の調査は4年以降、数年に一度実施しており8回目。

子どもを持つ必要はないとした人は、男性が38・7%、女性が46・4%だった。

年齢別では20歳代が63・0%、30歳代が59・0%と高く、若い世代ほど子どもを持つことにこだわらない傾向が顕著になった。

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきか」との質問に「反対」と答えたのは、19年の前回調査より3ポイント増の55・1%で過去最多となり、「賛成」(41・3%)を大きく上回った。
結婚後も仕事を続けたいと思う女性が増えたことが背景にあるとみられる。

一方、「結婚は個人の自由だから、しなくてもよい」と考える人は4・9ポイント増の70・0%。
16年以降、2回連続で減っていたが、一気に7割台に戻った。

「結婚しても相手に満足できないときは離婚すればよい」と思う人も3・6ポイント増の50・1%。

9年調査(54・1%)以降、3回連続で減少していたが、反転した。夫婦や家族の生活よりも、自由な生き方を求める人が多い実態が浮き彫りになった。

職場での男女の地位については「平等」と考える人が24・4%で、「男性が優遇されている」が62・1%、「女性が優遇」は5・3%にとどまった。

政治の場での男女の地位では、「男性が優遇」が71・8%、「女性が優遇」が2・1%だった。

今さらな調査という感もあります。
仮定として、男女の就職条件が全く同じで、扶養家族とか年金の掛け金といったものが、家族単位ではなく個人単位になってしまった世界を想像します。
このような世界では、結婚の実態と同棲は区別することができないでしょう。
そのような状況において、結婚の率が変わらないか?と考えると、普通に考えると日本では結婚数は減るでしょうね。

つまり、現状の結婚の数は結婚した方が有利であるという政策的誘導の結果だと考えて良いでしょう。
それが、ドンドン減少してきていて、さらに子供を持たないという方向になると、これはかなり結婚した方が有利ではあるが、子供を作るほどのメリットはないと考えているからだとなります。

こうなると、結婚した方が有利だとしておけば、,子どもができるという政策的での思考放棄的な考え方を修正する必要があるでしょう。

もっと自然に、子どもが生まれるような方向に政策を転換するべきだと思います。

12月 5, 2009 at 07:30 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.11.27

赤ちゃんポストの結果

読売新聞より「「戸籍入れたくない」「不倫」で、赤ちゃんポストに?

「戸籍に入れたくないから」「不倫だから」。

慈恵病院(熊本市)が運営する「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)について、熊本県の検証会議は26日に公表した最終報告で、利用した親の理由を初めて明らかにした。

体面などを優先した身勝手とも言える内容が4割に上り、子育ての大切さを教えるべき福祉・教育関係者もいた。
一時保護という成果の一方で、匿名性が安易な子捨ての助長につながっている側面が浮かび上がった。

運用開始からの約2年5か月で預けられた子どもは51人。置き手紙やその後にあった電話連絡などで39人の親が判明し、うち37人が回答した。

「生活の困窮」(7人)を抑え、一番多かったのは「戸籍に入れたくない」(8人)。出産した痕跡が戸籍に残ることを嫌がったためという。さらに「不倫だから」(5人)、「世間体が悪い」「未婚なので」(各3人)と続いた。子どもの障害が理由だったケースも複数あった。

母親の年齢は20代の21人を最高に、10代~40代までと幅広かった。

出産場所は医療機関を除き、自宅が14人、車内も1人いた。福祉・教育関係者は複数いたが、人数は明らかにされていない。

また、父親が出産後に姿を消したり、避妊を嫌がった揚げ句に妊娠の責任を取らなかったりした例もあった。

ゆりかごは「遺棄されて命を落とす新生児を救う」ことを優先し、匿名というシステムを採用した。

だが、当初の目的を離れ、福祉・教育関係者までが利用していた実態に、26日に記者会見した検証会議の柏女霊峰座長は「倫理観の低下を招いている」と指摘。

「匿名だからといって、親の身勝手で相談もせずに子どもを置いていくことは認められない。安易な預け入れは子どもの利益を最大限に守るという児童福祉の観点から、決して許されるものではない」と力を込めた。

設置を許可した熊本市の幸山政史市長は26日、「『多くの命がつながった』と意義を認められ、ほっとしている。ただ、匿名に伴う倫理観の低下との指摘は、重く受け止めたい」と話した。
(2009年11月27日02時36分 読売新聞)

実はこの記事は朝タイトルを見ただけで中身を見ませんでした。
毎日見ているブログに取り上げられていたので、改めて記事を見たら、グラフが載っていたのでそれを元に作ったのが以下の表です。

理由人数
戸籍に入れたくない15.76
不倫9.84
世間体5.92
その他17.77
   
   
生活困窮13.75
未婚5.92
養育拒否3.91
不明27.410

この表は、新聞のグラフに書かれていた%を回答者37人に割り当てて、人数として表示しました。
複数回答は無いものとしています。

上下に分かれているのは、記事中で問題にされている「匿名に伴う倫理観の低下」の問題とされている分類でしょう。
「その他」については、家族が育てることに反対した、といった例があるようです。

それにしても「戸籍に入れたくない」がトップというのはいかに何でも問題でしょう。
2年5ヶ月の間のデータですから「戸籍に入れたくない」という理由が、4~5ヶ月に一件の割合で起きていると言えます。

11月 27, 2009 at 05:45 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2009.10.14

CNNのハンバーガー論争

CNN.co.jp より「ハンバーガーの是非めぐり激論、大腸菌で死亡や後遺症も

(CNN)
米国でハンバーガーを食べた人が大腸菌による食中毒で健康を害したり死亡したりする事例が報告される中、12日放送のCNN番組「ラリー・キング・ライブ」でハンバーガーや食肉消費の是非をめぐり、専門家が激論を交わした。

「自分はハンバーガーを食べないし、3人の娘にも食べさせない」と断言したのは食中毒絡みの訴訟を手掛けるビル・マーラー氏。

1993年に起きた大手ファストフードチェーンの集団食中毒裁判に携わった経験や、2007年にハンバーグを食べて大腸菌中毒で脳の損傷や左半身の麻痺が残った22歳の女性の事例を紹介し、
「米上下両院でペンディングになっている食の安全法案が通過するよう、地元議員に圧力をかけて欲しい」と訴えた。

マーラー氏によると、大腸菌による食中毒は、牛を解体する過程で腸が裂けたり汚物が付いたりして腸内の大腸菌が肉の表面に付着し、ハンバーグのようなひき肉の場合は内部まで菌が入り込んでしまうことから発生するという。

有名シェフのアンソニー・ボーディン氏はこうした慣行について大手食肉処理業者を批判、「彼らには良心のかけらもなく、犯罪スレスレのことをやっている」と言い切った。

これに対して米食肉協会のパトリック・ボイル会長は「米国で日々消費されている何十億食の圧倒的多数は安全。
大腸菌による死亡や健康被害は過去10年で60%減少し、事態は改善されている」と反論している。

食中毒研究予防センターの専門家バーバラ・コワルシク氏は2001年、大腸菌による食中毒で当時2歳だった息子を失った。
それでもハンバーガー禁止には反対意見で、「消費者が知識を持った上で選択できるよう、食品について必要な情報を提供したい」と同氏。

研究者の立場からはコーネル大学の研究者コリン・キャンベル氏が、長年の研究の結果として肉類を一切採らない食生活を提案。
「自然食品を中心とする植物主体の食生活に近付くほど、私たちみんなが健康になれる」と指摘した。

一方、コネティカット大学のナンシー・ロドリゲス教授は「特に乳幼児などは必要な栄養を摂取する上で、動物性たんぱく質が欠かせない」と反論。

シェフのボーディン氏も「もっといい食べ方をした方がいいのは確かだと思うし、肉の消費量を減らすのは悪いことではないかもしれないが、肉を全面的に廃止しろという論議は馬鹿げている」とロドリゲス氏に同調した。

最近は、ラリーキングライブを見ていませんが、この記事を読むだけでも画面が彷彿としますね。

日本でも、つい先日成形肉のレストラン・チェーンで食中毒がありましたが、結局は肉を加工する事でリスクが高まる、ということですね。

この点からは、消費者が選択すれば良いという意見は、ハンバーガーでは店の評判ぐらいしか判断材料がないでしょうから、いわばお題目ですね。
しかし、妙に安い食品は危ないかもしれない、という判断力は日本でも必要でしょう。

この議論に、肉を食べない論を持ち出したら議論が発散するだけでしょうが、それだけアメリカのハンバーガーは根付いているというなのでしょうね。

10月 14, 2009 at 09:59 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.26

新型インフルエンザと厚労省

イザ!ブログ・宮田一雄記者の記事より「2010 どうしてこうなるのでしょうか 新型インフルエンザ

どうも言い出したら止まらないというか、はずみがついちゃっているというか。よく分からない勢いのようなものに乗ってばたばたとモノゴトが決められていく印象です。
麻生太郎首相が25日の閣議で新型インフルエンザ対策について、万全の態勢を取るよう指示し、舛添要一厚生労働大臣は不足するワクチンを輸入する考えを表明したそうです。

しかも、《新型インフル輸入ワクチンの治験専門家ら集め決定》という記事によると、舛添厚労相は閣議後の会見で「明日にも専門家や薬害被害者などを集めた会合を開き、治験(臨床試験)をするかどうかを決めたい」と述べています。
「治験するかどうか」ということは、治験をすっとばしてワクチン接種を始めてしまうこともありうるということでしょうか。
こうなると、明日、つまり26日に急遽、集められる専門家の意見は重要です。大臣の鼻息についつい押され、安全性の確認は外国まかせで構わないから、できるだけ速くワクチンを輸入して接種を開始しようといった意見に落ち着いてしまう。
そんなことにはまさか、ならないでしょうね。

1000万単位の人を対象に接種を行うインフルエンザのワクチンでは、極めて小さな割合ではあっても、副作用を訴える人が出てくるのは避けられません。問題はその程度です。重篤な副作用が多数の人に見られるようだとしたら、感染拡大の防止効果や感染した人の重症化回避といった利益よりも、副作用の不利益の方が大きくなり、ワクチン接種は行わない方がよかったということになります。

今回はインフルエンザという旧知の病気であるとはいえ、病原体のウイルスは新しいタイプのウイルスであるうえ、欧米のワクチンと国産のワクチンでは製造法や用量などが異なるといった事情もあります。おまけに《海外メーカー側は緊急に作られたワクチンであることを理由に、副作用が出た際の免責を求めており》というような状態です。少なくともワクチンの安全性に関しては、治験をしっかりと実施し、従来の季節性インフルエンザのワクチンの場合も参考にして、副作用は許容限度の範囲内にとどまるのかどうかといったことを判断する必要があります。

そうした手続きもすっ飛ばしてまで、ワクチンを輸入するようなことには、とうてい賛成はできません。場合によっては、自らの将来を賭してもというぐらいの覚悟で、専門家の皆さんには苦言を呈していただきたい。

それにしても、舛添さん、どうしてそんなに輸入に固執し、しかも、これほどまでに急ぐのか、理解できません。新型インフルエンザの拡大に対して、必要な手を打っていくことはもちろん必要ですが、それは社会としての総合力の勝負です。
ワクチンがすべてではありません。
新型インフルエンザのワクチンは誰も受けていない現状でも、感染した人の大多数は、重症化することなく、一週間程度で回復しています。
ただし、重症化のリスクが高い人もいるので、そうした人たちが死亡しないようワクチンや治療の提供を考えていく。何度も書いているように、これが対策の基本です。

舛添厚労相の会見では、《国がワクチンの必要量としてきた5300万人分の内訳》も公表されたそうです。

ぜんそくなどの持病を持つ人約1000万人
妊婦約100万人
乳幼児600万人
小中校生約1400万人
65歳以上の高齢者約2100万人
医療従事者約100万人

地域的な流行状況をにらみつつ、ぜんそくなどの持病を持つ人、妊婦、乳幼児、医療従事者らに優先的にワクチン接種を進め、ワクチンが不足する分は、重症化する前の早期の治療提供などで対応する。

特定の医療機関に一時期に患者が集中してしまい医療現場が混乱するようなことさえなければ、これから先の半年くらいは、こうした態勢で乗り切ることができるのではないでしょうか。あわてて1日か2日のうちに結論を急がなければならない理由はありません。あるとすれば、それは何か別の政治的な理由(あるいは思惑)ということなのかもしれませんね。今回の新型インフルエンザの流行は、日本の社会が、いま使えるリソースを活用して対応することが十分に可能な病気だということを基本にして対策は考えるべきでしょう。

宮田記者の記事を読んで、なんとも言えない違和感を感じました。

確かに「とりあえずワクチンを輸入すればOK」といった調子で突っ走っているように見える政府の「対策」には、宮田記者の指摘の通りに問題ありだとは思うのですが、それが

今回の新型インフルエンザの流行は、日本の社会が、いま使えるリソースを活用して対応することが十分に可能な病気だということを基本にして対策は考えるべきでしょう。

と断言できる根拠が分からない。

宮田記者は、予防と治療をゴッチャにしているのではないだろうか?

新型インフルエンザのワクチンは誰も受けていない現状でも、感染した人の大多数は、重症化することなく、一週間程度で回復しています。

それはその通りで、確かに人がバタバタ死ぬような状況にはなっていない、近い将来、強毒性に突然変異して大量の死者が出る可能性も高くはないだろう。

しかし、強力な伝染性があることは確かで、予防は極めて重要だと言えます。
一週間で回復するのだから、社会にとって問題ないとは言えないです。

NHKニュースより「米“半数が感染のおそれも”

アメリカ、ホワイトハウスの専門家委員会は、新型インフルエンザについて最悪の場合、アメリカの人口の半数が感染するおそれがあるとの見方を示すとともに、感染のピークが当初の想定よりも早い10月の中旬に訪れる可能性を指摘し、政府に態勢の整備を急ぐよう求めました。

ホワイトハウスの専門家委員会がオバマ大統領に提出した報告書によりますと、アメリカ国内ではこの秋から冬にかけて新型インフルエンザに感染する人の数が、人口の30%から50%、およそ9000万人から1億5000万人にのぼるおそれがあるということです。

さらにこのうち180万人が入院し、死者の数は子どもや若年層を中心に、3万人から9万人にのぼる可能性があるとしています。

ただ、アメリカ国内では、季節性のインフルエンザでも毎年3万人から4万人が死亡しており、今回の新型インフルエンザは、1918年に始まった「スペイン風邪」のようには致死率は高くないとしています。

また、報告書は新型インフルエンザの感染が学校の始まる来月から拡大し、当初の想定よりも早く10月の中旬にピークを迎えるおそれがあるという見方を示したうえで、10月の中旬からワクチンの接種を始めようとしていたアメリカ政府に対し、来月中旬にはワクチン接種が行えるように態勢の整備を急ぐよう強く促しています。

日本では従来型のインフルエンザ(季節性インフルエンザ)での死者数は年間に1000人前後です。
決して軽視できない伝染病であることは明らかです。

新型インフルエンザが、重篤化する可能性が季節性インフルエンザに比較して低いのは、明らかになってきていますが、社会にとってはインフルエンザで活動できなくなる人が出てくる方が明らかに被害は大きくなります。

人口の半数が感染するといった事になると、一週間で回復するのだとしても人口の5%~10%の人が社会活動が出来ないかもしれません。

これは明らかに大問題でしょう。
一週間すれば治るから、といっても交通機関・行政組織・日常的なビジネスといったものが普通に運営できない可能性は極めて大きいでしょう。

アメリカが注目しているのは「社会を動かすこと」であって、そのためにワクチンを必要としている、はずなのです。

宮田記者の意見は、予防よりも治療や、ワクチンの副作用といったことに中心があるようですが、新型インフルエンザが大流行した時に社会活動をどうやって維持するのか、そのために何が必要なのか、といったことには触れていません。

この点については、厚労省が何もしていないし、戦略的に考えていないから、今ごろになってもワクチン不足といった事になっているのは、明らかですが、宮田記者は厚労省や政府を批判するのであれば、この面からの追求を強くするべきだと思うのです。

8月 26, 2009 at 09:28 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2009.08.17

アスベストをめぐる話題

日経新聞より「石綿建材、マイクロ波で無害化 クボタ松下電工外装が処理技術

クボタとパナソニック電工が折半出資する住宅用外装材大手のクボタ松下電工外装(大阪市)は、建材に含まれるアスベスト(石綿)を低コストでほぼ完全に無害化する技術を開発した。

電子レンジに使うマイクロ波でセ氏850度に熱し、有害な繊維構造を壊して無害な粒子に変える。

処理後は建材などに再利用でき、埋め立て処分が不要という。年内にも環境省に事業認定を申請する。

石綿を完全に無害化するには同1500度以上の溶融処理が必要だが1トン当たり約20万円もかかることがある。
石綿を別の物質に変える安価な処理法の開発が進んでいるが、悪影響を及ぼす恐れがある繊維が残るため、実用化は遅れている。

アスベストの繊維が体内に入ってガンを発生させるというのが一般的な理解で、上記の記事はこの対策としては有効だとなるのですが、ちょっと前にビックリした記事があります。
共同通信ニュースより「ラジウム被ばくで中皮腫か 石綿、喫煙で蓄積

中皮腫など肺にできるがんは、吸い込んだアスベスト(石綿)や喫煙により肺に放射性物質のラジウムがたまって“ホットスポット”ができ、非常に強い局所的な体内被ばくが続くのが原因とする研究結果を岡山大などがまとめ、27日に発表した。

岡山大地球物質科学研究センターの中村栄三センター長は「こうしたがん発生の仕組みは、考慮されていなかったのではないか」と指摘。

研究チームの山口宇部医療センターの岡部和倫外科系診療部長は「肺にたまったラジウム量を測定すれば早期診断につながる。ラジウムを排出する薬ができれば中皮腫などが予防できるかもしれない」と話している。

中村センター長らは、鉄を含むタンパク質「フェリチン」などの固まりと中皮腫の関係を研究。
6人の悪性中皮腫患者の肺からこの固まりを採取すると、いずれもごく微量だが海水の100万~1千万倍の濃度のラジウムが検出された。

5人の患者の肺からは鉄分が多い青石綿と茶石綿を検出。

もう1人は石綿はほとんどなかったが喫煙者で、たばこにも鉄が含まれることから、過剰な鉄分が肺でフェリチンを沈着させて固まりを成長させ、ラジウムが蓄積するのではないかとみている。

ラジウムは食物にごくわずかに含まれ、通常は体外に排出される。
だがタンパク質の固まりに取り込まれると排出されず、放出する放射線が周囲のDNAを傷つけて、がんができると考えられるという。

は~~、なのでありますが、体内にラジウムが蓄積する場合、アスベストの繊維がどれほど影響するのか?という問題になってしまいますね。

期せずして、同じような時期にアスベストをめぐる、今まで聞いたことが無い話が出てきことに驚きます。

8月 17, 2009 at 04:54 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2009.06.11

WHO新型インフルエンザでパンデミック宣言

日経新聞より「WHOが「世界的大流行」宣言 最高度の「6」に、深刻度は「中」

【ジュネーブ=藤田剛】 世界保健機関(WHO)は11日、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)を最高度の「6」に引き上げ、世界的大流行(パンデミック)を宣言することを決めた。

チャン事務局長が同日に世界各国の専門家で構成する緊急委員会を招集し、南半球を含めた地球規模の感染が始まったとの認識で一致した。

WHOによると、新型インフルエンザの世界的大流行は1968年に発生した「香港風邪」以来41年ぶり。

ただ、今回の新型インフルエンザは弱毒性のため、渡航制限や国境封鎖の勧告は出さない。
現段階では経済や社会に与える影響は限定的なものになりそうだ。

WHOは地理的な広がりを示す警戒水準を引き上げると同時に、健康被害の「深刻度」に関する基準を発表。

深刻度は強度(シビア)、中度(モデレート)、弱度(マイルド)と3段階あり、北米などでやや重症者が目立つため、中度とした。 (21:53)

オーストラリアでの急拡大を受けての決定ですね。
日本ではこの決定によって、どのような施策が行われるのでしょうか?

6月 11, 2009 at 10:25 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.24

新型インフルエンザ対策に大穴

朝日新聞より「集団感染の「予兆」大型連休明けにあった 関西大倉高校

新型の豚インフルエンザは、ここまで高校生を中心に感染が広がっている。

関係者を含め100人以上が発症した関西大倉高校(大阪府茨木市)では、

国内感染が初めて確認される16日より前、大型連休明けに地元の開業医が「予兆」に接していた。

しかし、医師の診断基準のポイントとされていた「海外渡航歴」が思わぬ足かせになっていた。

16日午前、「国内初感染を確認」というニュースが流れた。
感染したのは神戸市の兵庫県立神戸高校3年の男子生徒。
「海外渡航歴はない」と報じられた。

「えっ?ひょっとしたら……」。大阪府豊中市の住宅街にある診療所。
ニュースを見て、男性医師(57)は15日に診察した中学1年の女子生徒のことが頭をよぎった。

女子生徒は39度近い高熱と頭痛を訴えて来院した。

関西大倉高校2年の兄がいる。兄も12日、似たような症状で受診し、簡易検査で「A型陽性」と出ていた。
しかし、海外渡航歴も渡航者との接触もなかったため、季節性のインフルエンザと診断した。

女子生徒も15日の簡易検査の結果はA型陽性。同じように渡航歴はない。
「お兄さんのがうつったんやな」。兄と同様、リレンザを投与して帰宅させた。

これまで国が示していた新型インフルエンザの診断基準の大きなポイントは発熱などの症状と渡航歴だった。
医師もそれに忠実に従っていた。

しかし、神戸高校の生徒に渡航歴はなかった。

急きょ、女子生徒を診療所に呼んだ。

16日は土曜日。休診となる午後に来るよう指示した。神戸の事例を挙げ、詳しい検査が必要だと告げた。

付き添いの母親とともに不安そうな表情の女子生徒の、のどと鼻から検体を採取。
遺伝子検査のために保健所経由で府公衆衛生研究所に検体を回した。

同日深夜、感染が確認された女子生徒は、翌日から2日間、豊中市内の感染症指定医療機関に入院。
医師はタミフルを予防的に服用した。

兄は最初の受診の12日、高校にはインフルエンザの症状を訴える生徒がいて、「僕もインフルエンザかもしれない」と漏らしていた。

「今の時期にA型インフルエンザはおかしい」とひっかかったが、渡航歴という診断基準から外れるため、検査をするまでには至らなかった。

医師は「女子生徒が来院した時、お兄さんはすでに回復していたが、彼も『新型』だったことは間違いない」と振り返る。

神戸高校の生徒を診た神戸市灘区の医師(52)も11日夕の最初の診察では症状が軽いうえ、「渡航歴はない」との説明を聞き、「ただの風邪」と診断していた。

翌日、再受診の際に発熱があったため簡易検査をしたところA型陽性。
生徒のかかりつけ医でもあるこの医師は、昨年秋、インフルエンザの予防接種をしたのを覚えていたため、「おかしい」と思い、保健所に遺伝子検査を依頼。国内初感染の確認につながった。

「神戸のニュースが流れて、私と同じように『ひょっとして』と思った医師は多いはず」と豊中市の医師は話す。

実際、地元の別の開業医も、関西大倉高校の生徒の検体を保健所に回し、同校関係者の感染確認は17日だけで約40人にのぼった。(稲垣大志郎)

つまりは「海外渡航歴」でチェックしたことが間違えであって、当初から有効性がないと指摘されていた「水際作戦」そのものが最初から破たんしていた、ということですね。

厚労省の失敗と明確に結論づけるべきでありましょう。

5月 24, 2009 at 02:25 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.17

新型インフルエンザで国内の対応が必要

サンケイ新聞より「神戸の高校生8人が確定 疑いは100人規模 厚労省

厚生労働省と神戸市は16日、神戸市内の同じ高校に通う生徒3人、別の高校に通う5人の計8人が新型インフルエンザに感染していることが確定したと発表した。

また、大阪府からも女子高校生1人が、感染の疑いがあると報告がある。厚労省によると感染が疑われる例は、兵庫と大阪を中心に100人規模に拡大する可能性もある。
国内で一気に感染拡大している可能性が出てきた。

検疫通過した後の、国内で感染が確認されるのは初めて。政府の対策本部専門家諮問委員会は同日、「地域での感染がすでに広がっている可能性を否定できない」との見解を示し、政府府は警戒態勢を「海外発生期」から「国内発生早期」に引き上げた。
個人や企業活動に影響がでる可能性がある。

最初に感染が確認された3人は、いずれも県立神戸高校に通う、3年の男子と、同校2年の男女。

5人の感染が確認された県立兵庫高校は、神戸高校と部活の交流試合をしていた。

厚労省によると、神戸高校の3人は、11日から15日かけて次々と発症。

2年生の男子生徒が39・7度の熱があるが、他の2人は落ち着いている。
8人はいずれも感染症法に基づいた入院をしている。

兵庫県や神戸市によると、神戸高校では最近、発熱での欠席者が続出。同校と部活で交流試合をした県内複数の高校生10数人も発熱を訴えている。
感染が大規模に広がっている可能性があり、県では全県立学校で生徒の健康調査をする。

県や市では8人の最近の行動の追跡調査を開始、厚労省も専門の担当者を現地に派遣した。濃厚接触者には7日間の外出自粛を要請。

また、神戸市内東部の学校施設99校の22日まで休校を決定。私立校や隣接市の学校にも休校要請する。

緊急会見を開いた舛添要一厚労相は、「正確な情報に基づいて行動することが最も重要。冷静な対応をお願いする」と呼びかけた。

サンケイ関西より「検体検査 後回し3日間 「渡航歴なし」が盲点

新型インフルエンザへの感染が確認された神戸市の高校3年の男子生徒の検体は、診察した医師が市に提出してから、市の環境保健研究所で詳細(PCR)検査をするまでに3日間かかっていた。
生徒に海外渡航歴がなかったことが盲点となり、海外帰国者の診察をした発熱外来からの検体が優先されたという。

神戸市などによると、男子生徒は12日に開業医の診察を受け、簡易検査でA型陽性となったため、医師は検体を市に提出した。

午後5時ごろ、同研究所に男子生徒の検体が到着したが、同日、発熱外来を通じて別の患者の緊急の検査依頼が入ったため、そちらが優先されたという。
男子生徒の検体は遺伝子の抽出が行われた段階で冷凍保存された。

生徒に渡航歴はなく、医師も新型インフルエンザではなく、「Aソ連型」と「A香港型」の識別を求めていた。

その後も他の発熱外来からの検体や、市内での食中毒の検査のためにPCR検査の機械が使われ、男子生徒の検体検査が行われたのは15日午後になってからだった。

市では「国内発症事例がまだなく、渡航歴がないことなどから考え、発熱外来の検査を優先した。残念な結果になった」としている。

バレーボールの試合が接点で他校に感染が拡大したのだとすると、感染力そのものはけっこう強いのかもしれません。

臨時休校など集団生活の一時的な停止は必要でしょうね

今のところ、どういうわけか成人の発病者は世界的にも少ないようですから、すぐに社会生活で問題が発生することはないでしょうが、発病しなくても感染していてキャリアーになる可能性は高いのだろうか?

「水際阻止」から「国内での封じ込め」に移行せざるを得ませんね。
そういう観点からは、検査機関で検査が遅れたのはちょっと問題であったでしょう。ここらの対応力が試されます。

大阪でも、高校生の集団感染があるようで、感染ルートや感染のメカニズムなどを早急に解明することが一番の対策だと言えます。

個人的には社会人講師で学校に頻繁に行っているし、今年は白浜シンポジウムにも行くし、イベントなどのスケジュールが変わるのが一番の問題だなあ。

5月 17, 2009 at 08:54 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.04.02

刑務所の医療すら出来ない、医療の貧困

毎日新聞より「透析受刑者:島根の新刑務所、収容見合わせ

刑務所で透析が受けられず全国で100人以上の受刑者が刑の執行を停止されている問題の解決を期待され整備された、PFI刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)が、医師・看護師不足のため透析が必要な受刑者の受け入れを見合わせていることが分かった。
国は刑務所内の診療所を運営する島根県に対し、早期受け入れを強く要請している。

PFI刑務所は民間の資金や運営ノウハウを導入、殺人などの凶悪犯罪以外の受刑者を収容。
全国4番目の「島根あさひ」では、刑務所で全国最多の人工透析治療装置15台を診療所に備え、透析が必要な受刑者30人を受け入れる予定だった。

ところが、刑務所がある同県西部の深刻な医師不足から08年10月の開所時に人工透析専門医を確保できず、県は受け入れを半年間延期。
この間に地元医師会の協力で開業医5人が交代で透析治療をするめどがついたが、今度は看護師不足の問題が浮上した。

診療所は9診療科で常勤医1人、非常勤医19人、常勤看護師9人が勤務する。
ところが既に入所した男性受刑者約500人の健康診断で約8割が内科などで受診が必要なことが判明。
「想定以上」(島根県医療対策課)の受診者数で、9人の看護師だけでは透析治療の対応が困難に。

さらに同刑務所は今秋までに約2000人を収容予定で、看護師からは仕事量増加に対する不安や過酷な労働環境への不満の声もあがっている。県は看護師3人を追加募集しているが、応募は1人だけという。

法務省によると、全国69刑務所中で人工透析治療装置があるのは「島根あさひ」を除くと8施設計35台。
3月末で透析治療が受けられず、115人が刑の執行を停止され、自宅などから通院治療している。
こうした事態に、同省矯正局は「遅くても5月中に受け入れてほしい」と話し、受刑者の選定手続きを進めている。【御園生枝里】

どこをどう論評すればよいのか考えてしまいます。

一番の問題は、現在の医師不足と同じことが起きていて、服役者という少人数に対しても対処できないほどの近視眼で医療行政が行われているという事実でしょう。

「成長の限界」を読んだのは、1972年の発売直後だったと思います。ワールドシミュレーションが可能になったということだけで、感激したものですが、すぐにメドウズらのこの研究についての批判が出てきました。

「成長の限界」では食料をカロリーとして計算していたのですが、食事は文化であって、食糧不足はカロリー不足ではない、といった批判でした。

要するに、シミュレーションの対象を一律であると仮定することの危険性の指摘でした。
今日の医師不足問題などは、正にこのような「バカバカしい一律あつかいの破たん」なのだろうと思っています。

刑務所での一方の有名な問題に、高齢化があります。
そうなると、当然医療問題も出てくるわけで、そのために医療対応刑務所を作ったのは正しいのに、医師・看護師が不足であるというのは「一体何を検討して設置したのか?」となるでしょう。

刑務所の面倒すらみることが出来ない、日本の医療行政の貧困さはほとんど18世紀並みなのではないか?とすら思います。
ここまで、先の見通しが出来ない人たちが行政を運営しているのでは、将来への希望も持てないし、政府を信頼しないでしょう。
わずか、十数年で日本はなんと多くのものを壊してしまったのか、と強く思います。

4月 2, 2009 at 10:08 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.03.15

「親権」の重さを示す例。

東京新聞より「即日審判で父母の親権停止 家裁、息子への治療拒否で

東日本で2008年夏、消化管内の大量出血で重体となった1歳男児への輸血を拒んだ両親について、親権を一時的に停止するよう求めた児童相談所(児相)の保全処分請求を家庭裁判所がわずか半日で認め、男児が救命されていたことが14日、分かった。

子供の治療には通常、親の同意が必要で、主治医は緊急輸血が必要だと両親を再三説得したが「宗教上の理由」として拒否された。

病院から通報を受けた児相は、児童虐待の一種である「医療ネグレクト」と判断した。

医療ネグレクトに対しては過去に1週間程度で親権停止が認められた例があるが、即日審判は異例のスピード。
児相と病院、家裁が連携して法的手続きを進め、一刻を争う治療につなげたケースとして注目される。

関係者によると、当時1歳だった男児は吐き気などを訴えてショック状態となり、何らかの原因による消化管からの大量出血と診断された。

病院は「生命の危険がある」と児相に通告。
児相はすぐに必要書類をそろえて翌日昼、両親の親権喪失宣告を申し立てるとともに、それまでの緊急措置として親権者の職務執行停止(親権停止)の保全処分を求めた。

こうした輸血拒否への対応については日本小児科学会など関連学会が08年2月、合同で指針をまとめており、今回のケースでも病院側はこの指針に従って対応した。
(共同)

ちょっと前に、知人である山形大学の apj さんのサイトで、高校で授業料未払いによって卒業証書を渡さない、といった報道を元に複数の議論が活発に交わされました。

今回この記事を取り上げたのは、apj さんのところで行われた議論の中に「親権を制限する」といった話が複数出てきて、親権を一時的にしろ停止することの大変さと、厳密な手続があり、法的には極めて大げさな事である、というのがよく分かる記事として紹介します。

apj さんのサイトでの話題は

などで活発に行われました。
その中に、高校生が未成年であるから、親の意に反して高校に通う場合、親が授業料を支払わないときに、除籍といった生徒(子供)が不利になる事態にならないように、親権を制限できないものか?という意見がありました。

その他いくつかの議論があったのですが、親権問題に代表されるように、高校生ぐらいの年代は、いわば過渡期であるかのように、あっちにもこっちにも問題が出てきて、庶民的な判断としては「法律の方がおかしい」と感じることも多いのですが、今回の報道で、親権の強さがよく分かると思い、紹介しました。

3月 15, 2009 at 10:25 午前 医療・生命・衛生, 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.22

市立厚木病院の産科医師問題

神奈川新聞より「厚木市立病院/11月の産科再開を断念

全国的な産科医不足の中、産科を休止している厚木市立病院(同市水引)が予定していた十一月の再開を断念したことが、二十一日までに分かった。

他の公立病院に比べて“破格”の手当を産科医に導入しているが、常勤の医師二人が相次いで退職したためだ。

県内では産科医不足で分娩(ぶんべん)を休止したり、件数を制限したりする自治体病院が出ているが、産科医確保の難しさがあらためて浮き彫りとなった。

同病院の産婦人科のベット数は四十(産科二十二、婦人科十八)。二〇〇三年には年間六百二十例の分娩を扱った。しかし、昨年、産婦人科医を派遣している東京慈恵会医科大が人員不足を理由に常勤、非常勤の医師計八人を引き上げた。このため、昨年八月から産婦人科を休止していた。

市は医師の確保に努め、今年四月から非常勤医三人で婦人科の診察を再開した。産科については基本給のほか、他の公立病院に比べても破格の年間約一千万円になる特殊勤務手当を制定し、医師募集を行った。

今年四月に常勤医一人を採用したが六月末に退職。
さらに七月に新たに採用した常勤医も十月末に退職
するなど七カ月間で二人の医師が退職する事態となった。

同病院は「いずれも個人的な事情」と説明しているが、産科の再開には「最低三人の常勤医が必要」と話している。

小林常良市長は婦人科の再開時、産科についても「秋には再開したい」と表明していた。しかし、相次ぐ常勤医の退職に「再開は厳しい状況だが、募集の反応は良く複数の採用に向けて引き続き努力する」としている。

厚木市内には市立病院のほか、分娩を扱う医療機関は三施設(病院一、診療所二)。厚木市市民健康部は、各医療機関とも医師や看護師などの配置から分娩の受け入れにも限りがあると見ている。

また、厚木保健所では、県央地区(七市町村)の分娩を扱う医療機関(十一施設)が厚木市内分をカバーしていると説明。取扱件数も〇七年度は七千八十九件だったものが、〇八年度は六月時点の見込みでは七千百七十八件になるという。

普通に考えて、3ヶ月で退職する職場の方に何か問題があると考えるべきだと思いますがねぇ。
可能性としては、外部からの干渉(学閥など)もあるでしょうが、それらも含めて金銭的な待遇だけで何とかなるものではない、ということですね。

10月 22, 2008 at 08:47 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.29

鳥インフルエンザに警戒

陸奥新報より「十和田湖で白鳥の死骸から鳥インフルエンザ検出

秋田県は28日、十和田湖畔で回収した死んだ白鳥3羽と衰弱した白鳥1羽から、H5亜型の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。発見場所から半径10キロ以内に養鶏農家はないが、農水省は秋田、青森、岩手各県に対し養鶏場への緊急指導を要請した。本県は同日、県内養鶏場に異常がなかったことを確認。鶏への感染防止のため警戒を強めている。

発見されたのは秋田県小坂町の十和田湖畔。今月21日に白鳥の死体と衰弱した白鳥が2、3キロにわたって点在しているのが見つかった。

同県が23日実施した簡易検査でA型インフルエンザウイルスと推定されたため、検体を動物衛生研究所(茨城県つくば市)に移送。

同研究所で27日夜、「H5亜型」のA型インフルエンザウイルスと判明した。強毒タイプか弱毒タイプかなど詳細は検査中。水鳥など野鳥が低病原性の同ウイルスを保有していることは知られており、同省は「鶏への感染がなければ、大きな問題はない」(動物衛生課)としている

本県は26日に第一報を受け、27日夜に鳥インフルエンザウイルス検出の連絡を受けた。半径10キロ以内に本県の養鶏場はないが、30キロ以内に黒石市、平川市など4市町の39農場がある。
県は28日、黒石市と平川市の2農場で、野鳥が敷地内に入らないよう改めて指導したほか、1000羽以上を養鶏する農場163戸すべてで鶏の異常死がなかったことを確認。
また十和田湖周辺や県内の白鳥飛来地を調査した結果、ほかに白鳥の異常死はなかった。県農林水産部畜産課は「鳥から人に感染することは通常ない」とした上で、「ウイルスが鶏に伝染する事態はなんとしても避けなければ」と警戒を強めている。

Up

こんな事になったので秋田魁新報より「ハクチョウの餌付け自粛を要請へ 県、鳥インフルウイルス検出で

鳥インフルエンザウイルスの検出を受け、県は今冬、ハクチョウの餌付けが行われた県内7カ所に対し、来季に向けて餌付けの自粛を求めていくことを決めた。

渡り鳥の持つウイルスが、人を介して鶏舎などに持ち込まれるのを防ぐための措置。大館市の長木川では、すでに今冬から餌付けが禁止されている。

県自然保護課によると、今冬県内で餌付けが行われていたのは秋田市の雄物川や横手市の皆瀬川など7カ所。同課は「これまで野鳥に触ったら手を洗うとか、靴に付いたふんを落とすといった対応を呼び掛けてきた。だが、具体的にウイルスが確認されたことで、注意喚起にとどまらず、自粛の方向に向かわざるを得ない」と説明。地元自治体を通じ、保護団体や市民らに協力を求めていく方針だ。

日本では現時点では、白鳥から鳥インフルエンザのウイルスが見つかったという警戒・予防レベルですが、韓国の事態はずっと深刻です。

韓国朝鮮日報韓国KBSより

2008/04/04 10:37:35全北・金堤で鳥インフルエンザ発生
2008/04/11 11:18:54鳥インフルエンザ、全南地域でも発生
2008/04/16 13:50:06鳥インフルエンザ、京畿道でも感染確認
2008/04/17 11:17:51鳥インフルエンザ警報、韓国全土に拡大
2008/04/18 09:19:47鳥インフルエンザ:防疫活動に軍隊を投入
2008-04-22 10:39:02鳥インフルエンザに感染か、作業の兵士1人を隔離
2008/04/26 08:18:33]鳥インフルエンザ:忠清南道でも感染確認
2008-04-28 15:44:00鳥インフルエンザの被害、最大規模に

4月1日に全羅北道金堤の養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザ(H5N1)が発生して、18日には軍隊を貿易作業に200人投入しました。
結果として現時点では沈静化しつつあるとのことですが、処分した鶏やアヒルは634万羽に達しました。

警戒しすぎることは無いと言えるでしょう。

4月 29, 2008 at 01:21 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.15

神戸大学・全学で遺伝子実験を停止

読売新聞関西版より「神戸大、遺伝子実験を停止

操作菌を違法廃棄 全学に調査命令

神戸大医学研究科の久野(くの)高義教授(57)の研究室が、遺伝子を組み換えた大腸菌や酵母を違法に廃棄していた問題で、同大学は11日、学内のすべての研究室に、遺伝子組み換え実験の停止を命じた。広範囲の科学実験を差し止めるのは極めて異例で、大学は「疑惑がある以上、万一を考えて全学的な調査が必要と判断した」としている。

実験の停止は、野上智行学長名で、医学、理学、農学、工学、自然科学などの研究科と各種センター、付属病院など計12部門に電子メールで通知された。

マウスなど遺伝子組み換え動物の飼育継続は認めたうえで、「全学における全(すべ)ての遺伝子組み換え実験を本日から直ちに停止することを命じます」とし、解除の時期は示していない。

同時に、学生まで含めた研究関係者全員に、これまでの処理の実態を問う調査票を配った。

  1. 遺伝子組み換え実験の経験の有無
  2. 実験内容
  3. 廃棄する時の不活化処理の有無
  4. 封じ込めレベルに従った実験室で行ったか

の4項目で、署名と押印も求め、16日午前10時までに提出しないと、実験停止を解除しない場合もあると警告している。

大学側は「久野研究室の大学院生らに対する聞き取り調査で、教授の説明と矛盾する内容が複数出てきた」としている。

突然の命令に、生物学系の教授の一人は「とばっちりに怒っている教員も多い。実験停止が長引くと、国の研究費の一部を返したり、新たにもらえなくなったりするかも」と苦い顔。

理学部の教官は「当面は別の研究をするが、1か月以上になれば大問題で、研究成果を出せなくなる」と心配する。農学部の教官は「学生の教育にも影響が出るだろう」と話した。

この事件は2008年4月11日の朝日新聞の記事「遺伝子操作の大腸菌、下水に 神戸大教授が不法投棄指示」を承けたのものです。

神戸大大学院医学研究科(神戸市中央区)の久野(くの)高義教授(57)の研究室(分子薬理・薬理ゲノム学)で、がん発症のメカニズムを研究するために遺伝子を組み換えた大腸菌や酵母を滅菌処理せず、違法に処分していたことがわかった。同教授によると、滅菌処理は手間がかかるため、院生らに違法な投棄を指示していたという。文部科学省は同大に調査と報告を求めている。

久野教授らによると、同研究室では、発がんの仕組みなどを調べるため、大腸菌や酵母の遺伝子を組み換えて培養。少なくとも4年ほど前から、大腸菌などが入った培養液や寒天状の培地を加熱処理して死滅させず、そのまま下水に流したり、一般ごみとして捨てたりしていたという。

遺伝子組み換え生物を扱う実験では、危険度に応じて管理方法が4段階に区分されているが、同研究室は危険度が最も低い「P1」レベルだった。遺伝子組み換え生物等規制法は、生態系へ影響を与えないよう、拡散防止措置を取らなければならないと定めている。違反すると、懲役1年以下か100万円以下の罰金と定められている。

久野教授は朝日新聞の取材に「実験に使っていた大腸菌が人体に無害であることから、安全だと過信して処理に手を抜いてしまった」と話している。同研究室には助教、助手、大学院生ら約25人が在籍している。

文部科学省生命倫理・安全対策室によると、3月17日に、処理について匿名の通報があり、神戸大学に調査を指示した。同大は今月4日、遺伝子を組み換えた大腸菌を廊下で違法に培養していたと発表。菌の処理方法については「調査中だが、流出は確認されていない」と説明していた。

大阪大微生物病研究所の菊谷仁所長(免疫学)は「遺伝子を組み換えた大腸菌は生命力が弱く、自然界に出してもすぐに死んでしまうが、環境や人間への実害がほとんどないからといって、違法に処理するのは、倫理上の観点からも問題がある」と話している。

モトケンさんのところでも活発に議論されています。遺伝子組み換え大腸菌
各方面の専門家のコメントが多いのですが、

  • 正直な話を申し上げますと、この程度の垂れ流しはどこでもやっているのが現実です。
  • 時期的(人の入れ替わる年度末)に見ても内部告発でしょう。
  • 今回も告発者が告発した動機は、嫌いな教授をつぶしたいだけだったようです。

といった核心的なコメントが付いています。
周囲がこのような見方をしているところにこの記事が出たことになりました。

大学側は「久野研究室の大学院生らに対する聞き取り調査で、教授の説明と矛盾する内容が複数出てきた」としている。

いくら何でも関係者(教授)はもう一寸分かりやすい説明をして「全学で実験停止」なんてことにならないように出来ると思うのですが、どんな説明をしたのでしょうか?
一番安直に想像できるのは「どの研究室も同じようなことをやっている」でしょうか?

今後何がでてくるのか注目ですね。

4月 15, 2008 at 09:48 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.03.14

野菜を食べてヤギが死んだのだそうで

佐賀新聞より「同一野菜のやりすぎ注意 ヤギ死因は硝酸塩

昨年12月、佐賀市内の小学校で飼育していたヤギ3匹が死んでいた問題で、県の中部家畜保健衛生所は解剖の結果、餌の野菜くずに含まれていた硝酸塩の体内蓄積による中毒死と診断した。
急性硝酸塩中毒は、ヤギや牛など胃を4つ持つ反すう動物に特徴的な症状という。
スーパーから譲ってもらった白菜に高濃度の硝酸塩が含まれており、これを一度に大量に与えたことが原因。

厚生労働省や農林水産省は「市販の野菜を食べて動物が硝酸塩中毒を起こした事例は聞いたことがない」と話す。

家畜保健衛生所による病性鑑定で、ヤギの血中から正常値の百倍以上に当たる硝酸態窒素濃度がみられた。また、餌の白菜から飼料の安全基準ガイドラインを大幅に超える高濃度の硝酸塩を検出。加えて、外傷や病変がないことから、急性硝酸塩中毒と診断した。

同校によると、夏場は校内に自生している草をヤギの餌にしていたが、草が枯れる冬場はスーパーからの野菜くずを譲り受けており、ヤギが死んだ数日前から、白菜ばかりを与えていたという。

植物は栄養分の窒素を硝酸塩に変えて吸収し、成長するが、堆肥(たいひ)などの窒素肥料を与えすぎると植物内に硝酸塩がたまり、濃度が上がる。
この硝酸塩が動物の体内に入ると、健康に害を及ぼす物質に変化する。

このため家畜保健衛生所は「特定の野菜ばかりを与えると中毒になるリスクも高くなる」「餌を長時間切らせると次に与えるとき、食べ過ぎてよくない」などの注意点を同校に通達。
現在は、残ったヤギ1匹にわらや草など数種類を混ぜた餌を与えている。

近年、野菜の硝酸塩について農水省には人間の健康に対する影響についても問い合わせが寄せられているという。

食品添加物としてチーズや食肉製品から取り込む硝酸塩については、1日許容摂取量を定めているが、野菜については基準値を設定していない。そのため「今回の白菜が人間に与える影響については化学的データがなく、答える立場にない」といい、「とにかく初めてのケース」と戸惑いを隠せない。

ただ、野菜の硝酸塩は「ゆでる」ことや「漬ける」ことで減少することから、農水省は「現時点で人体に問題があるとはいえない。野菜を食べる健康上のメリットを大切にすべきで、一定の種類に偏らずバランスよく取ってほしい」と強調する。

硝酸塩対策

農水省は硝酸塩を減らすための栽培技術開発や産地への研究支援を実施。海外では国連食糧農業機関(FAQ)と世界保健機関(WHO)の合同専門家会合が「野菜を摂取することの利点からみて、野菜中の硝酸塩量を限定することは適切ではない」と報告したが、一方で、EUは1997年から、レタスとホウレンソウについて含有量の基準値を定めた。

つまり、スーパーにあった白菜が肥料過多で硝酸塩過剰であったということになるのでしょうか?
それにしてもヤギが死んでしまうとは、ヤギでも分からないような今までには無いような野菜ということなのでしょうか?
ちょっと驚きであります。

3月 14, 2008 at 08:10 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2008.01.14

心臓が出来た!

AFP BB より「死んだ心臓を細胞注入で再生、ラットで成功 米ミネソタ大

【1月14日 AFP】

米ミネソタ大の研究チームが、死んだラットから取り出した心臓を拍動させることに成功したとする論文を13日の英医学誌ネイチャー・メディスンの電子版に発表した。研究成果が人間にも応用されると、ドナー(提供者)不足問題が解消され、心臓移植を待つ患者数百万人の命が救われると見込まれる。

実験では、死んだラットの心臓を薬剤処理してすべての細胞を取り除き(脱細胞化)、内部に誕生直後のラットの子の心臓から採取した細胞を注入して実験器具内で培養した。
4日後に収縮が始まり、8日目に拍動が始まったという。

心臓再生研究においては、これまで組織の再生は実現されていたが、心臓そのものの再生に成功したのは今回が初めて。

将来的には、心臓移植手術が必要な患者を対象として、死亡者の心臓に患者自身の幹細胞を注入して再生し、移植されることが期待される。この方法では、拒絶反応の問題も解消される。

研究を主導するドリス・テイラー氏は、「患者自身の細胞に由来した臓器が利用できるようになると、数百万人の患者が恩恵をこうむるだろう」と語る。

研究チームは現在、心臓再生の効率化を目指し実験を進めており、この技術を腎臓や肝臓やすい臓、肺に応用したいとしている。(c)AFP/Marlowe Hood

この記事のタイトルが「死んだ心臓が再生」と読めたのですが「どういう意味があるのだ?」と感じました。
ちょっと読んだだけではかなり分かりにくい内容ですが、手順をまとめると以下のようなことになるようです。

  1. 死んだラット心臓を取り出す
  2. 死んでいる細胞から細胞を取り除いてしまい(何が残るのだか理解できないが)
  3. 別のラット(生まれたばかり)の心臓の細胞を注入した
  4. 注入された細胞は増殖して、心臓になった

つまり、死んだ心臓を利用して

新たな心臓を作ることに成功した。

だから「臓器再生」と言っているわけです。
記事の通り組織の再生は出来ていましたが、それだけではあまり役に立たないわけで、臓器再生とか臓器創生が出来て初めて、交換可能な臓器を作ることが出来るようになった。と言うべきなのでしょう。

その点からは、大きな一歩ですが、一方で「本当かな?」とちょっと思っていたりします。
ともあれ、こういう具合に進んでいくというのは実にすごいことだと思います。

1月 14, 2008 at 09:58 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.12.11

鳥インフルエンザ・人同士の感染?

朝日新聞より「鳥インフルエンザ、人同士で感染か 中国・江蘇省

厚生労働省は10日、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染して死亡した中国江蘇省の男性(24)から、父親(52)に感染した疑いがあると発表した。

世界保健機関(WHO)によると、男性は11月24日に発症し、今月2日に死亡。その後、父親もH5N1に感染したことが確認され、治療を受けている。ほかの感染拡大は確認されていない。

鳥インフルエンザは、人から人に感染する「新型」に変異し、大流行する懸念がある。
厚労省は、父親の感染が発表された9日以降、父親の住む江蘇省南京市を経て10日以内に日本に入国、発熱症状のある人らを対象に、検査を強化している。

11月24日に発病して12月22日に死亡ですから、10日以内に亡くなってしまった事になります。

父親は感染は確認されたが発病していない、ということなのでしょうか?

心配ですね。

12月 11, 2007 at 10:40 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.05.23

医師の書類送検

産経関西より「呼吸器外し女性死亡 50代医師を書類送検 和歌山県立医大

和歌山県立医科大付属病院で昨年2月、延命措置の中止を目的に80歳代の女性患者の人工呼吸器を取り外し、死亡させたとして、県警が殺人容疑で、50歳代の男性医師を書類送検していたことが22日、分かった。
終末期医療をめぐっては、延命措置を中止する明確なルールはないが、県警は家族の強い希望や病状を考慮して「悪質性は低い」とみており、和歌山地検は処分を慎重に検討するとみられる。

調べなどによると、男性医師は脳神経外科が専門で、県立医大の助教授だった昨年2月27日、脳内出血で同分院に運ばれた女性の緊急手術を行った。手術後に女性は脳死状態に陥り、家族から「遠方の親族が来るまで延命措置をしてほしい」と頼まれ、人工呼吸器を付けたという。

その後、女性の家族が「苦しませるのは忍びない。お別れができたので自然死させてほしい」と要請。医師は「できない」と断ったが、翌28日午後9時半ごろ、脳死判定のため自発呼吸の有無を調べようとして人工呼吸器を外し、女性はまもなく死亡した。

医師は3月2日に分院長に報告。同病院では調査委員会を設置した上で、同月28日、県警妙寺署に届けた。

県警は呼吸器取り外しと女性の死亡との因果関係を捜査。診療記録の鑑定などを行った結果、呼吸器を付けていても女性が死亡した可能性は高いものの、外したことで死期を早めたと判断。
今年1月9日に書類送検に踏み切った。

22日に記者会見した和歌山県立医大病院は、医師の措置に問題はなかったとの認識を示したうえで、「明らかな犯罪性や過誤があるとは思っていなかった。(書類送検は)非常にびっくりしている」と困惑した表情で語った。

説明によると、呼吸器外しが発覚した後、調査委員会を設置して検討。
家族の依頼で呼吸器をつけた行為が患者の延命措置にあたるかどうかが問題となったが、明確な結論は出ていないという。

自ら県警に届けた理由は、「医療現場における問題は非常に判断が難しい。犯罪性があるわけではないが、警察にも判断を仰いだほうがいいだろうと決めた」と述べた。

最初この記事を見つけたときに「事件なのか」と思ったのですが、よくよく読んでみたら誰も自分で決定したことにしたくないのでたらい回しにしているのだ、と分かりました。

  1. 家族は呼吸器の取り外しを医師に要請
    医師は断る
  2. 脳死判定のために呼吸器をとりはずした
    患者死亡
  3. 医師は病院に報告
    病院は調査委員会を設置
  4. 調査委員会は問題ないと判断した
    が警察にも届けた
  5. 警察は書類送検に踏み切った

その時々で妥当な決断をしているとしながらも、その後に自身の判断の妥当性を他者に確認するつもりで渡していったら、書類送検になってしまった。
というところでしょうか。

こういう手順で厳密な判断を得ることが、社会にとって有用なことなのでしょうか?
逆に命が助かった場合でも救命行為が法律違反になる場合もあるわけです。なんか個々には正しいように見えても全体としておかしいことになっている、といった印象がぬぐえません。
工程管理では、各工程でその工程自体は最善である状態を組み合わせても、全体が最善になる結果には結びつかないのはよく知られていることで、各部分が全体の整合性について考えていることが重要とされています。
各部分(部門)が全体について考えていないケースに繋がっているように思います。

5月 23, 2007 at 09:49 午前 事件と裁判, 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (2)

2007.04.03

心臓弁の培養に成功

CNN.co.jp より「幹細胞から心臓弁を作る実験に成功 英チーム
ロンドン(ロイター) 2日付の英紙ガーディアンによると、同国の研究チームがこのほど、骨髄の幹細胞を培養して人間の心臓弁を作り出す実験に成功した。
今年中に予定される動物実験が成功すれば、3-5年で心臓病患者への移植が可能になるいう。

研究の成果は今年8月、英学術団体、王立協会の専門誌に掲載される。

心臓弁に異常がある病気では、人工弁を埋め込む治療法が一般的だが、患者は手術後も合併症を抑える薬の服用を続ける必要があり、子どもの場合は成長に応じて交換しなければならない。
一方、幹細胞からできた弁は正常な弁と同様、血液の流れに応じて形や大きさを変えるなどの複雑な機能を持つ。

チームでは次の段階として、この弁を動物に移植し、体内での働きを確認する方針。心臓全体の再生についても、「10年以内に実現し得る」との見通しを示している。
これはちょっとすごいですね。
世界中で研究競争でしたからこのような発表があることは予測していましたが、もうちょっと時間が掛かるだろうと思っていました。

「今年中に動物実験の成功」
「3-5年で心臓病患者への移植」
「心臓全体の再生が10年以内実現」

どれもこれもすごいことだと思います。

その一方で「医師不足」というのはどうなっているのでしょうか?

4月 3, 2007 at 09:38 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.01.17

不二家は悪しき実例か?

毎日新聞の不二家関係の記事をまとめています。
16日がココログのメンテナンスだったので、半日遅れになりました。

最新更新日時
     
記事のタイトルおよび概要

1月16日 朝刊     不二家:期限切れ原料使用 社長辞任表明(その1) ずさん、苦い代償
                                    1月15日午後3時、東京・銀座の不二家本社で藤井社長らが会見に臨んだ。
100人以上の記者が詰めかけた。会見は2時間40分の異例の長さに及んだ。

埼玉工場(埼玉県新座市)で新たな消費期限切れの牛乳使用が分かったことや、札幌工場でも基準を上回る細菌を検出していたことを明かす。
続けて「私は責任を取り、辞任したい」と、幹部社員と一緒に頭を下げた。

ところが、消費期限切れの材料を使った経緯や関与した社員の人数など、事実関係を確認する質問には「調査中なのであいまいなことは言えない」「従業員からのヒアリングの内容が手元にない」と繰り返した。
記者からは「そんなあいまいな情報で発表しているのか」と厳しい声も。

会見開始から1時間以上が経過したころ、札幌工場で洋生菓子から基準以上の細菌が検出されていたことに関して質問されると「回収や出荷停止にしなかったのは問題だった」と初めて深刻な事態だったことを明かした。
「モラルの低下で出来なかった」と謝罪するものの、会見は「重要事実」が小出しになるためズルズルと長引くだけで、実態解明とはほど遠い内容となった。

工場従業員に本社かん口令

15日夕、埼玉工場では、従業員の多くが固く口を閉ざしたままゲートを出入りした。
帰宅途中という男性従業員は「ご迷惑をお掛けしてすみません」と頭を下げたが、質問には一切答えなかった。
従業員の一人によると、本社がかん口令を敷いており、工場の電話に出た従業員も「本社総務部に聞いてほしい」と繰り返した。
10日の問題発覚後、工場は操業を停止し、食品衛生法の順守などの教育を従業員に行っているという。

洋生菓子の中から国の基準を超える細菌が見つかった札幌工場は、11日に在庫をすべて処分して操業を停止しており、15日は社員や一部のパート従業員が出勤し、工場内の清掃などを行った。
男性職員は「休日だったがニュースを見て、慌てて出勤した。詳しいことはわからない」と戸惑った様子だった。

1月16日 東京朝刊     不二家:期限切れ原料使用 社長辞任表明、「同族」弊害指摘も
                                    藤井社長も会見で「同族会社ということが法令順守の欠如につながるとは考えていない」と説明。
後任社長の人選についても「同族であるかどうかは、現時点ではお答えできない」と述べ、取締役の2人に名を連ねる従兄弟(いとこ)を起用する可能性に含みを持たせた。

同社は12日、社内のチェック体制を強化するため、各工場の衛生状態を徹底的に調査する対策委員会を設置。マニュアルを点検するチームと消費・賞味期限の適正表示を点検するチームも置き、食の安全・安心に万全の対策を取るとしている。

しかし、その対策委員会のトップは藤井社長。
市場からは「社内の隠ぺい体質を醸成し、3カ月後をめどに引責辞任する人間に徹底的な見直しができるのか」と疑問の声が上がる。
事実を公表せず法令順守をおろそかにした背景に同族企業の弊害があったのか。不二家の再出発には、その検証も必要だ。

1月16日 東京朝刊     クローズアップ2007:不二家社長辞任表明 不正、工場ぐるみ
                                    不二家の調査で新たに分かった問題

不二家が消費期限切れの牛乳などを使って洋菓子を製造していた問題は、藤井林太郎社長が引責辞任を表明する事態に発展した。
埼玉工場では過去7年間にわたって不正使用され、工場長が容認していたことも判明し、「組織ぐるみ」ともいえる不正体質が露呈した。
これを受け、大手スーパーなどで不二家製品を撤去する動きが広がり、同社経営への打撃は深刻さを増す一方。
構造的な市場縮小に悩む菓子業界再編につながる可能性も否定できなくなってきた。

製造作業を担当する現場の従業員にとって重要なはずの「食品衛生マニュアル」が「運用の段階できちんと生かされていなかった」(同社幹部)こと。
多量の細菌検出など大きな問題が生じても、現場の判断で処理され本社の経営陣の耳には届いていなかったようだ。

商品撤去の動き波及 経営苦境、資産売却も

イオンなど大手小売業が一斉に同社商品の撤去に踏み切り、不二家の経営が大きな打撃を受けることに関し、藤井社長は同日の会見で、資産売却や同業他社などとの提携の可能性も示唆。
不二家の経営の行方は不透明感を増してきた。

「大手スーパーが商品を撤収するとなれば、我々が被る影響は大きい」。藤井社長は、渋い表情でこう説明した。

その会見の直後、イオンやセブン&アイ・ホールディングスは、自社の各店舗に対し、チョコレートやキャンデーなど不二家製品の撤去を指示した。
イオンの担当者は、

「一度で終わるかと思ったら、
追加で問題が出てくるとは。
小売業としては慎重に対応せざるを得ない」

と説明。
この日の会見でも、不正問題収束のメドを示せなかったことが、大手小売りの製品撤収を招いた格好だ。

不二家の06年3月期の連結売上高は848億円。
うちスーパーやコンビニエンスストアなどで販売している一般菓子の売り上げは約5割の419億円に上る。
バレンタインシーズンを控え、チョコなどの売り上げ増が見込まれる時期だけに、不二家の痛手は計り知れない。

一方、不二家は、洋菓子販売の全面休止に伴って営業を休止している全国707のフランチャイズ店に対し、毎週、休業補償をすると明らかにした。
補償額は1週間で1億円を超える。1日6000万~1億円を売り上げる洋菓子販売の再開時期について、藤井社長は「何とか(11日の休止から)20日間をめどにしたい」と述べたが、全国の工場の調査は継続中。さらに問題が浮上する可能性もあり、先行きは見通せない。

藤井社長は、こうした事態が資金繰りの悪化につながる可能性について、「当面は大丈夫だが、資産売却を考えたい」とし、厳しい現状を明らかにした。
経営の立て直しについては「自力でやっていきたい」と強調したものの、同業他社などとの提携について問われると、「これから検討していきたい」とも述べ、業界再編につながる可能性も否定しなかった。

1月16日 東京夕刊     不二家:期限切れ原料使用 農水省、JAS法違反の有無調査
                                    農林水産省は16日、食品の表示について定めたJAS法に違反する点がないか、調査を始めた。

JAS法上の問題になる可能性があるのは、プリンとシュークリームについて、消費期限を社内基準より1日長く表示していた点。

食品は消費期限か賞味期限の表示を義務づけられているが、期限の設定は事業者の合理的判断で行うことになっている。
このため、社内基準を超えたことが直ちに違法とはいえないが、社内基準の設定の仕方などによっては問題になりうるという。

1月16日 東京夕刊     不二家:札幌工場・細菌検出 国のマニュアル無視、生イチゴ除かず検査
                                    不二家札幌工場が昨年夏に製造した洋生菓子の中から、国の基準(1グラム当たり10万個以下)を超える細菌が見つかった問題で、同工場は国の検査マニュアルに従わず、生のイチゴを除去しないまま細菌検査をしていたことが分かった。
生のイチゴを除去しないで検査した場合、細菌数が多く出やすく、札幌市保健所は「この方法では多い数値が出て当然で、検査の意味がない」と指摘。
15日、浅野敏工場長らを呼んで、国の基準に沿って検査するマニュアルを整備するよう指導した。

1月17日 3時00分     不二家:工場に担当者派遣し安全確認 ファミリーマート
                                    ファミリーマートは16日、不二家の工場に担当者を派遣し、自ら衛生や品質管理体制を確認する方向で検討に入った。

不二家製の飲料を委託されて販売しているサッポロ飲料も製造工場を独自調査しており、不二家に対する不信感が食品・小売り各社に広がりつつある。

ファミリーマートは同日から不二家製品の販売を見合わせているが、消費者の不安が高まっていることを重視し独自調査を決めた。
具体的な手法は今後検討する。流通業界で調査に追随する動きはいまのところないが、「品質管理の徹底は時代の流れなのに、ここまで遅れている会社があるとは」(小売り企業)と怒りの声も上がっている。

サッポロ飲料は今回の問題発覚後に不二家から飲料の安全性を証明する文書の提出を受けているが、「対外的な説明などその後の対応が悪い」と批判の声も漏れる。
飲料業界では「不二家製品を同じ自動販売機で扱うサッポロ飲料のイメージダウンも避けられない」との見方も出ている。

1月17日 13時11分     不二家:埼玉工場、県が2度目の立ち入り検査
                                    埼玉県は17日、食品衛生法に基づき同社埼玉工場を立ち入り検査した。
県の検査は発覚直後の11日に次いで2度目。

県は16日に同工場から報告書の提出を受けたが、15日に本社が発表した消費・賞味期限切れなどに触れておらず、こうした点を詳しく聞く。

県は、報告書の内容を検討した結果、前回検査で確認できなかった品質管理に関する記録が工場内にまだ多数あるとみている。

モトケンさんが「●ずさん以前(不二家の品質管理)」をアップされていて、そのコメントで消費者の食品衛生について過度な潔癖性を問題にするべきかという議論になりましたが、わたしも含めて多数意見は「不二家の問題は衛生問題と言うよりも不二家の経営や商売の問題」と捉えるべきだとなりました。

紹介した、毎日新聞の記事にファミリマートが工場を確認に人を派遣するといった記事が出ていますが、こんな事はあり得ない事態です。

わたしは、不二家が社長も工場長もよくもまあここまで社会(記者)に呆れられような発言できるモノだと驚きますが、よく考えてみると戦前からの洋菓子メーカとしてまた戦後に大飛躍した成功した会社として自負を抜きには不二家を語ることは出来ないと思います。

そもそも、今回の事件は雪印の事件のように現実に大食中毒事件になって大騒ぎというのとは違います。
雪印の時には、1万4千名以上の中毒症状の届け出があり、1,272名が受診し、79名が入院と大騒ぎになりました。
それで、工場を止めて調べてみたら管理がなってないと分かりました。

今回の不二家の事件は、まず管理に問題があることが内部告発なのでしょうかマスコミに流れました、この問題による直接の食中毒事件は報告されていません。

雪印はモロに食中毒事件であり、その意味では不二家は事件になっていません。
それがなぜここまで大騒ぎになるのか?
簡単に言えば「不二家が信用できない会社」と知れ渡ってしまったことでしょう。

ところで、会社の不祥事には色々なものがあって、ひどいのがエンロンでした。
これで、SOX法が出来てしまって、日本版SOX法も成立して2008年3月期決算(2007年の事業決算)から適用になります。
広くは「内部統制」にISOの認証が守られているのかといったことも問題になるわけで、これについてはまるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記に「経済産業省 不二家に対するISOの臨時審査を要請?
 ISOの認証は形骸ですから経営者の倫理観や意識が重要なんですよね。。。統制環境。
だから、財務報告に係る内部統制の評価と監査の制度では、これも評価の対象となります。
とさらっと書かれていますが、丸山さんから10月に越後湯沢でセミナーを聞いたときには現実がこんな形で出来ることが想像できませんでした。
逆に言えば、内部統制がちゃんと機能しているのかを担保するためにはSOX法も仕方ないのかね、というのが今回の不二家事件の一番の印象です。

1月 17, 2007 at 06:07 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (5)

2007.01.15

不二家は出直しするしかないか

「不二家、予定通りに・・・・・」の続きです。

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記事のタイトルおよび概要

1月14日 03時00分     不二家:数年前も期限切れ卵…従業員証言 常態化の疑い
                                    2~3年前にも同工場が消費期限の切れた卵を使ったシュークリームを出荷していたことが分かった。
昨年9月に設置した社内の構造改革チーム「2010推進プロジェクト」の調査に対し、パート従業員の1人が証言していた。

同社によると、この従業員は消費期限を1日過ぎた卵をシュークリームに使用していたことを認めたという。
ただ、使用した食材の記録などが残っていないため、出荷数量や出荷先、詳しい時期までは調べられないという。

これまで判明した管理不備の事例は、いずれも昨年の出荷分だったが、新たに明らかになった消費期限切れの卵使用は数年前で、少なくとも数年間はずさんな管理が行われていた疑いが濃くなった。

同社幹部は11日の記者会見で「継続的に常態化していたと受け止めている」と話していた。

1月14日 19時20分     不二家:ISO認証で事実関係の調査依頼 経産省
                                    経済産業省は同社が取得しているISO認証が「実態に適合していない可能性がある」として、ISOや日本工業規格(JIS)などの認証制度全般を統括する財団法人「日本適合性認定協会」に事実関係の調査を依頼した。

これを受け、同協会は不二家のISO認証取得を担当した民間認証機関に調査を要請。
臨時審査の結果、品質管理の問題点が確認されれば、認証が取り消される可能性もある。

1月14日 21時38分     不二家:チェーン店で「ペコちゃん焼」の販売継続 東京
                                    東京都新宿区の飯田橋神楽坂店は独自商品の「ペコちゃん焼」を販売し、営業を続けている。

同店などによると、ペコちゃん焼は同店がフランチャイズ店になった67年直後から販売を始めた。
ペコちゃんの顔をかたどった生地にあんを入れ、1個105円。子どもの握り拳ほどの大きさだ。
当初は全国十数店舗で売られたが、現在はこの店だけという。

販売を続ける理由について、「原材料は店で直接調達し、この場で焼いて販売している。一切工場とは無縁」と説明。
一方で、今回の問題を「重く受け止め、フランチャイズの一員として、本社にも社会的責任を全うするよう強く進言していく」としている。

店頭には14日も常時20人程度の行列ができ、従業員が休む間もなく製造にあたった。

1月15日 03時00分     不二家:消費期限切れの牛乳、パート従業員に押し付け
                                    消費期限切れの牛乳を使用したパート従業員は、工場内で使い切れなかった牛乳を別の部署から押し付けられていたことが同社の調査で分かった。
同社幹部は「工場からの廃棄物が増えると、是正報告を求められる。弱い立場のパートにしわ寄せがいった」と話し、再発防止策を検討している。

関係者によると、同社は季節や連休などによる変動要因を元に各商品の需要を予測し、それに見合った量の材料を仕入れている。
ところが、昨年10~11月ごろには商品の需要が予測を大幅に下回り、埼玉工場の牛乳が大量に余ってしまった。
このため、牛乳を最も多く使用するシュークリームの製造ラインに、他の部署から余った牛乳が集中した。
牛乳を受け取ったのは、正社員や契約社員に比べて社内での立場が弱いパート従業員だったという。
「ISO14001」を取得し、廃棄物削減などに取り組んでいる。
廃棄物が増えると是正方法を報告することが義務付けられており、この報告義務が従業員へのプレッシャーになっていた面もあった。

さらに、牛乳が余っても廃水処理場に流してはいけないという社内ルールがあったにもかかわらず、牛乳の廃棄方法を明確に決めていなかった。


同社は「牛乳が余ることを、
そもそも想定していなかった」

といい、今回の問題を受けて牛乳の廃棄場所を新たに定めた。

ただただマネージメントの情けないところが次々に出てきますが、ISO14000を取得していて廃棄を想定していないとはどういうことです?
よくまぁ審査を通ったものですね。
どういう審査をしていたのかを問題にするべきでしょう。

廃棄するのが大変だから他部署に回すというのは、たしか雪印でも同じ事があったはすです。

最初から期限切れの材料が来るわけ無いし、それなりに受け入れ検査や記録はあるでしょう。
それが工場の中で何だかワケ分からなくなってしまって、雪印の場合は後から検査したら細菌の巣になっていた。
仕入れ・加工・出荷が順調に行われているときには、極論を言えば検査も管理も不要です。
滞ったときにこそ管理が必要で、検査もは管理の一部を校構成しています。
それを管理不可能な状況に追い込むと、検査しても不合格ならどうするのだ?といったことに展開していくわけで、管理が面倒だから他部署に回した方が簡単だ、という管理体制は管理とは言わない。

これで分かることは、不二家には管理が出来ていなかった。これではISO14000もISO9000も取消になる可能性があるでしょう。

1月 15, 2007 at 10:36 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (2)

2007.01.14

不二家、予定通りに・・・・・

「不二家の不祥事」はその後予定通りの進行になっているようです。
「予想」ではなくて「予定」であります。

不二家では問題発覚直後に「雪印の二の舞だ」として隠蔽に走ったわけですが、わたしはさっぱり分からないのが「隠しおおせると判断したこと」です。

現実は、ものすごいことになりつつあります。

読売新聞より「不二家製品、全国のスーパーなど31社が撤去
全国のスーパーなどで、不二家製品を撤去する動きが広がっている。

不二家によると、同社製品を撤去した小売り企業は、13日までに31社に上った。

クイーンズ伊勢丹は、18店舗すべてで、不二家の全製品を撤去した。
同社で販売していたのは、チョコレートやクッキー、キャンデーといった加工菓子で、今回問題となった洋菓子は扱っていなかったが、同社は「安全性が確認されるまでは、販売を見合わせる」と話す。

東急ストアも、「安全性が確認できていない」として、全101店舗に対し不二家の全商品の撤去を指示。
各店舗では13日の開店前に撤去した。
高橋一郎社長は「不二家商品全般に対して、お客さんから不安の声が出ており、

『疑わしきは販売せず』

という観点から販売自粛を決めた」と話している。

イトーヨーカ堂や、「ジャスコ」などを展開するイオン、ローソンといった大手スーパーやコンビニでは販売を継続しているが、「様子を見ている」(イトーヨーカ堂)、「今後については状況次第」(ローソン)と、行方を見守る姿勢だ。
どう考えても、隠蔽工作をするような会社の品物は信用できないと思うのが普通でしょう。
結局、不二家の現経営陣にはリスク管理といった観点で見ると経営能力がないに等しいのではないだろうか?

1月 14, 2007 at 11:21 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (2)

2007.01.12

不二家の不祥事

不二家の洋菓子製造ラインで消費期限切れ牛乳の使用から工場と店舗の全面休止という大騒動になっていますが、毎日新聞が時間を追って記事を出しています。

最新更新日時
     
記事のタイトルおよび概要

1月11日 16時13分     不二家:洋菓子販売を全面的に休止 社長陳謝
                                    昨年11月8日に埼玉工場で製造したシュークリーム2000個に前日が消費期限となっていた牛乳を使用していた。
シュークリームは1都9県で販売された。
このほか、社内調査によって、りんごの加工品「アップルフィーリング」を期限切れのまま出荷したり、殺菌検査で出荷基準に満たない洋菓子「シューロール」を出荷していたことなども新たに判明したという。

同社は今後、問題のあった埼玉工場を含む全5工場で操業を休止。
同日から全国の不二家チェーン約800店舗での洋菓子販売を休止する。

一方、この問題を受けて、埼玉県は11日、同社埼玉工場を立ち入り検査した。

1月12日 01時27分  不二家:基準超す細菌検出の菓子出荷…消費者から厳しい声
                                    昨年6月8日に埼玉工場(埼玉県新座市)で製造したシューロールで、基準を超える細菌を検出した113本をそのまま出荷した。
昨年9月、洋菓子事業の再建に向けて設立した構造改革チーム「2010推進プロジェクト」の調査で分かった。

一連の問題の発端となった「期限切れ」も、同チームによる職員のヒアリングで分かった。
同11月8日、前日に期限切れになった牛乳を使用していたケースが判明。
同13日にこの事実をまとめた報告書を管理職など約30人に配布したが、報告書には「期限切れの原料使用がマスコミに発覚すれば、雪印(乳業)の二の舞となることは避けられない」と記した文書が添付されていた。
この時点での公表見送りは、雪印乳業の事例におびえ、隠し続けようとしたとも受け取れる。

混乱ぶりは、休業を決めた店舗でも垣間見られた。

1月12日 01時16分  不二家:問題隠ぺいの形跡?「雪印の二の舞い」と内部文書
                                    藤井林太郎社長は、食品衛生法の規定の10倍、社内基準の100倍の細菌が検出された洋菓子「シューロール」を出荷していたことを明らかにした。
同社は「発覚すれば(解体的出直しを迫られた)雪印乳業の二の舞いは避けられない」との内部文書を作成しており、問題を隠し続けようとした形跡もある。

内部文書は社内の調査チームが作った報告書に添付されていた。

藤井社長は、自身の責任について「社会的に信頼回復を図ることを一義に考えたい」と述べるにとどまった。

1月12日 10時56分  不二家:株が続落 昨年の最安値割る
                                    12日の東京株式市場で、消費期限切れ原料の使用で洋菓子販売を全面休止した大手菓子メーカー・不二家の株に売り注文が相次いだ。
不二家株は3日続落。
一時、前日終値比22円安の189円まで値を下げ、取引時間中としては昨年7月27日以来、約5カ月半ぶりに200円を割り込んで昨年の最安値194円も下回った。

1月12日 12時43分  不二家:埼玉工場、安全管理マニュアルなし
                                    埼玉工場には製品ごとに使われた原料の消費期限などの記録や、安全管理マニュアルがないことが、埼玉県の11日の立ち入り検査で分かった。

同県によると、製造日報はあったが、製品ごとの使用原料の記録の詳細は残っていなかった。
国の衛生規範には義務化されていないが、県は「大手企業なら記録するべきで安全管理がお粗末」と話した。
食品衛生法上の立ち入りで、同法違反は見つからなかったが、県は同工場に安全管理体制が確立されるまで製造を停止し、今後の対策をまとめた報告書を提出するよう指導した。

1月12日 14時08分  不二家:北海道、栃木、佐賀の3工場に立ち入り検査
                                    北海道、栃木、佐賀の3工場に対して、各道県の保健所が12日午前までに、食品衛生法に基づく立ち入り検査を実施した。



テレビニュースによると、記者会見での質問で「誰が期限の過ぎた牛乳を使用すると判断したのか?」という質問に対して「60代のベテラン職人が独断で決めた」といった趣旨の返事をしてテレビ側がかなり批判していました。
また、細菌の数値が食品衛生法を上回っていた製品を出荷したという情報をわたしは「どうやって分かったのだ?」と思っていたら、検査して記録したのに出荷指示票(検査合格)には反映していなかったのだそうです。
これではなんのために検査しているのか分からない。対策を「2名から3名に増やす」というのですが、そういう問題じゃないでしょう。

マスコミも厳しく批判していますが、なんか鋭い決定の出来ない生ぬるい会社、という印象になりましたね。
株価への影響は大きいでしょうが、そもそも2006年12月13日に系列子会社でレストラン経営の不二家フードサービスをファンドとの共同会社にして経営再建をする、発表したところです。

株価は12月12日は前日比+5%、出来高は15倍。
それが1月11には、前日比-9.5%、出来高は51倍(12月13日の4倍)となりました。

経営判断として厳しく責任を追及されています。

1月 12, 2007 at 03:04 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (3)

2007.01.09

入院日数を一定にする?

日経新聞より「入院医療費、1回あたり定額に・厚労省検討
厚生労働省は入院医療を対象に、病気やケガの種類が同じなら検査・投薬の数量や日数にかかわらず医療費を入院1回あたりの定額とする新制度を導入する検討に入った。
過剰診療を減らして医療の効率化を促し、欧米より長い入院日数を短縮する狙い。2008年4月の診療報酬改定で導入を目指す。

現在の医療費は入院・外来にかかわらず投薬や検査など診療行為ごとに決めた報酬単価を積み上げて算定する「出来高払い」が原則。
診療行為をすればするほど医療機関が受け取る報酬が増えるため、必要性の低い検査をするなど過剰診療になりやすい面がある。
このニュースは日経新聞にしか出ていないので、どこまで本当なのか?という気はしますが。

ちょっと無理ではないだろうか?
事前に入院回数を決めるとは、標準入院日数といったものを作っておくことになるだろう。
標準的な入院では標準入院日数で十分な治療が出来ることが必要なるが、そうなると標準入院日数は必要な日数ではなくて十分な日数になる。
つまり、標準的には常に入院日数が過剰である、となるような気がする。

言うまでもなく、患者の体力とか体質といった個々の違いがあるからそもそも標準入院日数が定義できるのか?という問題も出てくる。

どっちかというと、明らかに過剰な入院日数のある亊案をチェックして保険診療の停止といった措置を取る方が実際的ではないだろうか?

1月 9, 2007 at 09:15 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.18

救急車が搬送を断り重体に

読売新聞より「救急隊員、家族の搬送要請を拒否…けがの男性重体に
奈良県橿原市の県警橿原署の駐車場内で今月15日、頭にけがをしているのを見つかった同県大淀町内の木工業男性(42)が、同署の通報を受けて来た中和広域消防本部橿原消防署の救急隊員から、「搬送先の病院を探すのに時間がかかる」などとして、搬送を拒否されていたことがわかった。

その際、隊員は搬送先を探しもしなかったという。
男性は家族が家に連れ帰った後も、意識が戻らず、運ばれた病院で外傷性脳内出血と診断され、約9時間後に手術を受けたが、重体のまま。

消防本部は「結果的には搬送すべきだった。職務怠慢と言われても仕方がない」とミスを認めている。

橿原署や消防本部などによると、男性は15日午前2時10分ごろ、同署駐車場で頭から血を流しているのが見つかった。
同市内の飲食店で飲酒後、店近くの駐車場で転倒、頭などを強打したとみられ、約300メートル離れた署の駐車場に迷い込んだらしい。

当初は意識があり、署員が氏名と連絡先を聞き出したが、約50分後に意識を失ったため家族を呼び、橿原消防署に搬送を要請した。

救急隊員は、男性を見て転倒による軽傷と判断。
家族が「大淀病院の妊婦が死亡した問題のこともあるので、病院に運んでほしい」などと懇願したが、消防隊員は搬送先を探さず、「朝まで大丈夫なので、様子を見て病院に運んでほしい」と説得して引き揚げた。
この際、家族は「私の都合により、救急搬送をお断りします」という内容の「救急搬送承諾書」に署名を求められ、書いたという。

男性は自宅に戻ったが、朝になっても、意識が戻らず、家族が同市の県立医大病院に搬送。
午前11時ごろから手術を受けたが、意識は戻っていない。
男性の父親(72)は「近くに医大病院があると何度も頼んだのに搬送してもらえなかった。
すぐに病院で治療を受けていればこんな結果にならなかったはず」と憤っている。

当時の近隣の救急病院の受け入れ状況は不明だが、県内の他の消防本部によると、家族から救急搬送の要望があった場合、断ることはなく、たとえ近隣の病院が満床であっても、見つかるまで受け入れ先を探すという。
高橋善康・橿原消防署長は「脳内出血かどうかを見極めるのは難しいが、結果的に判断ミスをした。再発防止に努めたい」と話している。
なんか背景がありそうな印象ですが、消防署長が「怪我の程度の判断を誤った」とコメントしているのは現状で正しいことなのでしょうかね?

今救急医療で問題になっていることの一つに、救急車の有料化問題というのがあります。

四国新聞より「シリーズ追跡 増える救急車出動/有料化は必要か
「一年間に五十回近く救急車をタクシー代わりに呼んだ男逮捕」(三月)「公務執行妨害や傷害の罪で同男に懲役三年六月の判決」(七月)―。
高松発のショッキングなニュースが全国に流れたばかり。折しも総務省消防庁は、増える救急車出動の対策として有料化や民間活用をテーマに専門家による検討会を五月に発足させた。
緊急度の低い不適切な利用のために、本当に必要としている人が「後回し」になる懸念が現実味を帯びているからだ。
救急の現場はどうなっているのか。県内一出動件数の多い高松市消防局の救急出動の現場を密着ルポするとともに、専門家たちの話から有料化をめぐる問題に迫った。
この記事は2005年7月に新聞に掲載されたものですが、この頃に救急車の有料化や(財)救急振興財団から「救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書(平成16年3月)」(PDF)などが発表されています。

これは、阪神淡路大震災などであらわになった救命の順序を判断するトリアージの必要性からの研究の必要性によるものなのでしょうが、救急車をタクシー代わりにするという問題も含んでいるようです。
ちょっと記事が探せないのですが、救急隊員外資に変わって現場で判断できるのか?という実験は始まっているようですが、現在のところは本当に必要なデリケートなところは分からないようです。
今回の奈良の事例がこれらの問題と関係しているのかは分かりませんが、いずれは問題として出てくるでしょうね。ちょっと注目の事例だと思います。

11月 18, 2006 at 12:49 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006.11.16

中国の外国人向け臓器移植が制限か?

読売新聞より「“移植ビジネス”締め出しへ…中国が外国人向け禁止
15日付の中国共産党機関紙・人民日報によると、中国の黄潔夫・衛生次官は、中国の医療機関が臓器移植を望む外国の患者を募り、中国国内で手術を行うことを禁じる方針を表明した。

広東省広州市で14日開かれた臓器移植関係の会合で明らかにした。
深刻な臓器不足に悩む国内患者への移植を優先する措置で、国外向け“移植ビジネス”を締め出す狙いがある。

中国では、医療機関が募った外国人患者を旅行名目で訪中させ、手術を行うケースが横行していると指摘されている。

一方で黄次官は、「特殊な状況下で、外国人が提出した臓器移植申請は、特定の手続きを経て実施できる」と述べ、外国患者の臓器移植を一部容認する考えを示したが、具体的な条件は明らかにしなかった。
最後のコメントが怪しげでですが「外国の患者を募り、中国国内で手術を行うことを禁じる」の「募る」は禁止になるのでしょうね。
結局は、これは「値上げ」になるのではないかな?

臓器移植の公平性の確保のために大変な手間を掛けているし、法律も作っているわけですが、現実の医療では法律を無視しても出来ることを腎臓移植事件は示してしまいました。
極めて難しい問題になってきましたね。

11月 16, 2006 at 11:45 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

鳥インフルエンザ・人に感染のメカニズム解明か?

毎日新聞より「鳥インフルエンザ:人に感染する重要な「変異」発見
人に感染した鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を調べたところ、ウイルスが人間の鼻やのどの細胞に取りつけるようになるために重要な変異2種類を、東大医科学研究所の山田晋弥研究員と河岡義裕教授らのチームが見つけた。

各地で出現するウイルスについて、2種類の変異を監視していれば、人での流行が近づいているかどうかの目安になるという。16日発行の英科学誌「ネイチャー」に発表した。

河岡教授らは、ベトナムやインドネシアなどと共同研究。
鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)のうち、ベトナムで人に感染した2株と、タイで人に感染した1株について、ウイルスが人や鳥の細胞に取りつくのに使うトゲ(ヘマグルチニン)の構造を分析した。
トゲはたんぱく質で、アミノ酸が560個並んでできている。

他の鳥インフルエンザウイルスとの違いを調べた結果、トゲの中でも細胞とじかに接する部分にある182番目と192番目のアミノ酸のうち、どちらかが別のアミノ酸に変異すると、ウイルスが人の細胞に取りつく能力ができると判明。
この2カ所以外でも、特定の4カ所の変異が組み合わさると、人の細胞に取りつけることも分かった。
【高木昭午】
これが正しければ、記事の通り「人での流行が近づいているかどうかの目安になる」でしょうね。
あるいは、人に流行しているのは根拠がある、となるかもしれません。
また、ウィルスが取り付くのをブロックできれば、人には感染しないとできるのでしょう。
この発見が正しければ重要なことだと思います。

11月 16, 2006 at 11:33 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.04

臓器移植法初の違反事件・続編

宇和島徳州会病院を舞台にした「臓器移植法初の違反事件」はヘンテコな展開になってきた。

朝日新聞 「病気で摘出の腎臓移植 宇和島徳洲会、過去に11件
宇和島徳洲会病院は2日、過去に実施した生体腎移植の中で、病気によって摘出した患者の腎臓を別の患者に移植したケースが計11件あった、とする調査結果を発表した。

こうした移植は安全性に疑問があるうえ、同病院が移植の可否を検討する倫理委員会も置いていなかったことから、日本移植学会の倫理指針に明白に違反する。
専門家からは「医療行為として問題が多い」と疑問の声が出ている。
これだけ読むと「倫理規定に反したのか」と思ってしまうが、テレビでインタピューされた専門家が「取り出した腎臓に問題がないのなら元に戻すのが当然でしょう」と言っていてそりゃ当然だと思った。
この点についてどう説明するのか?と注目しているのだが。

日経新聞 「腎臓移植執刀医「無理に摘出していない」・宇和島徳洲会病院
執刀した万波誠医師(66)は3日、共同通信の取材に対し「決して無理やり臓器提供者(ドナー)から摘出したり、(移植に絡んで)金をもらったりしたことはない」と話した。


臓器売買事件発覚直後の10月2日に開いた記者会見で「今までの移植はすべて親族間だった」と説明したことには「今回(11件)は例外。うそをついたわけではない」と釈明した。

万波医師は、ドナーの病気は腎臓がんや腎動脈りゅうなどで、患者(レシピエント)にはがんが再発する恐れがあることなども説明し、同意した患者にのみ移植したといい、ドナーも摘出を望んでいたと説明した。〔共同〕
いくら何でもこの説明は無理がありすぎだろう。
全体の手術件数は77件、その内の11件だから14%で「例外」はないだろう。
しかも「取り出した腎臓が問題ない場合も他人にタダで渡しても良い」なんてコトを言う人間は居ないだろう。
どう考えてもこれでは説明になっていない。

読売新聞 摘出2病院、移植は知らず…病気腎 同意書提出なし
腎臓の摘出が実施された岡山県内の2病院が3日、読売新聞の取材に対し、移植に使われることを知らず、患者からの同意書も提出されていないことを明らかにした。

摘出手術を行った万波(まんなみ)廉介医師(60)(岡山県在住)は70歳代の女性から摘出した際、「病理組織を見るために持ち帰る」と病院側に話していたことも判明。
虚偽の説明で腎臓を移植した可能性もあり、厚生労働省や愛媛県は情報収集を始めるほか、日本移植学会も13日、臨時理事会を開き、対応を検討する。

宇和島徳洲会病院で、病気の患者から摘出した腎臓を移植したケースは11件あり、すべて廉介医師の兄で、同病院泌尿器科部長、万波誠医師(66)が行った。

岡山県東部にある公立病院によると、廉介医師はこの病院で週に2回、泌尿器科で診察を担当。
摘出手術を受けた女性は、同県内の医院で治療を受けていたが、腎臓がんの疑いがあるとして、公立病院に紹介され、今年6月に廉介医師の執刀で、摘出手術を行った。

終了後、廉介医師は「特殊な事例で、病理学の専門家に見せるために持ち帰りたい」と申し出たため、院長は腎臓を院外に持ち出すことを許可したという。

廉介医師は「女性は結果的にがんではなく、石灰化した組織がこびりついた状態で、石灰化部分を切除して移植した。
患者の了解は得ている」と説明。
ところが、院長は「腎臓がんなので摘出したと思っていた。移植は寝耳に水で、患者も知らないはず」と驚く。

また、同じころに、廉介医師が50歳代の男性から良性腫瘍(しゅよう)の腎臓を摘出したとされる岡山市内の大学付属病院も摘出後、腎臓が移植されたことを知らなかったという。

この病院は、移植に関係する手術は、院内の倫理委員会に諮るが、男性の事例は審議されていない。

廉介医師は「2例とも患者から同意は得ている。公立病院の院長には、口頭で説明した記憶がある」と語り、病院側の説明と食い違いを見せる。

誠医師は「臓器の提供を受けられず、困っている人のためを思った苦渋の判断だった。
(患者と臓器提供者の)双方に同意を得ているので問題はない」としている。
どうも摘出する側にはウソを言ったとしか言いようがないようです。
ウソを言ったとなると、これは臓器詐取ではないだろうか?
こういうデタラメを防止するのも倫理委員会の大きな役目であるはずだが、倫理委員会を開かなかったからすり抜けてしまったわけだ。

毎日新聞 「疾患腎移植:執刀医師「倫理より患者」と主張
売買事件の手術を担当した泌尿器科部長の万波誠医師(66)が取材に「倫理を持ち出されるが、私には患者の方が大事。患者の了解も得ている」と述べ、手術に問題はなかったとの認識を示した。
しかし、同病院では当時、倫理委員会がなく、臓器を摘出した病院でも11件のうち少なくとも5件は倫理委員会に、移植をはかっていないことも新たに分かった。
毎日新聞はこの問題の重大さを解説している。
■解説 移植の前提揺るがす事態に

移植医療はレシピエント(移植を受ける人)の生命を守るために、ドナー(臓器提供者)という第三者を必要とする特殊な医療だ。
そのため、ドナーの自発性や移植機会の公平性などが最も重要となる。病気を理由に摘出された腎臓が、宇和島徳洲会病院で他の患者に移植されていたことは移植医療の大前提を揺るがす事態といえる。

臓器の摘出は患者の身体に大きなダメージを与える。
慎重な判断が必要だが、今回の11例に関しては、移植できる臓器を本当に摘出する必要があったのかと、専門医から疑問が出ている。
また、ドナーとなった患者は自分の治療のために摘出に同意したのであり、その後、他の患者へ移植することを納得したからといって、もともと自発的な提供意思があったかどうかは分からない。
また「使える臓器を使う」という発想は、臓器の商品化を認めることになりかねない。

一方、レシピエント決定の経緯も不透明だ。
脳死や心臓死後に提供された臓器は、公平公正を期すため、臓器移植法のもとで、日本臓器移植ネットワークが重症度や血液型、待機日数などからレシピエントを選ぶ。

今回の移植は生体移植だが、ドナーとはつながりのない第三者に移植されている可能性があり、脳死などでの移植に形態は近い。
だが、宇和島徳洲会病院には10月まで倫理委員会はなく、医師の裁量でレシピエントが決められたかもしれない。
また、病気で摘出された臓器を移植されたレシピエントのリスクを、同病院や関係した医師らがどこまで配慮したか、疑問が残る。

同病院で腎臓移植を受け、命を救われた患者がいたことは否定できない事実だ。
しかし、移植の原則を無視して不透明な医療を進めてきたことは見過ごせない。
日本の移植医療への信頼を揺るがし、その普及を妨げることにもなりかねない。

【大場あい】
手続き的に不透明であること自体がトンでもない話しだし臓器移植法を初めとする法律や法律以前の医師の倫理といったところ問題があるとされても仕方ない亊案であるが、実際にどんな感じだったのかというと

iza(サンケイ新聞) 「万波医師「いいのあったら、やろうか」病気腎臓移植、患者に安易な斡旋
今年2月に病気の他人から提供された腎臓の移植手術を受けた50代の男性が、産経新聞の取材に応じた。
男性は昨年12月に同病院で母親をドナーに生体腎移植を受けたが、今年1月、移植した腎臓が機能しなくなり、入院しながら透析治療を始めた。
入院中、万波医師から「(腎臓の)いいのがあったらやろうか」と聞かれ、男性は「透析でも大丈夫だから無理してドナーを探さなくてもいいよ」と答えた。

しかし、2月に万波医師が「手術してみないとわからんが、(腎臓が)出るかもしれん。
だめならやらないから、期待しないでくれ」と予告。
その数日後に男性は実際に移植手術を受けた。

男性は、腎臓をもらった謝礼などはしておらず、要求もなかったという。
男性はドナーについて知らされていないが、同じ日に同病院で手術を受けた70代の男性患者ではないかとみている。

移植を受けた男性は20代からネフローゼを患っていた。
母親の腎臓をもらう数カ月前に症状が悪化し、自身の2つの腎臓を同病院で摘出した。

このとき万波医師から「あんたにはこの腎臓が合わないので取るしかないが、ほかの人には合うかもしれない。
その場合、ほかの人にあげてもいいか」と聞かれたという。
男性は「自分にはいらないので、捨てるならほかの人にあげてもいい」と万波医師に口頭で伝えた。

結局、男性の腎臓はほか他の患者に移植されなかった。
しかしこの経験から、ほかの患者が摘出せざるを得なくなった腎臓でも、受け入れに抵抗はなかったという。
どう考えればよいのだろうか?
肝臓移植では病気の発生までに何十年も掛かるからという理由で病気で切除した肝臓を移植することが行われているが、それと同じ事なのだろうか?

技術的にOKだとしても、未知の人の臓器を移植する医療を少数の医師の裁量で実行するのではまずいだろう。
一番分からないのが、移植した臓器が生着しないから取り出して別の患者に移植するというのは分かるが、びょきだとして取り出した臓器が問題なく移植できるものであれば、本人に戻すのが筋というものだろう。
この違いは天と地ほども違うわけで、そこをどう説明するのだろうか?

ちょっと想像しがたいことが起きたと言うことだろうか?

11月 4, 2006 at 10:12 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.10.02

臓器移植法初の違反事件

読売新聞より「生体腎移植で提供者に金品、患者ら2人逮捕…愛媛

このニュースが最初に伝えられたときには、まるで臓器故買事件であるかのように伝わってきて、それも病院が斡旋したのではないか?といった感じだった。
「いくら何でもそれはないだろう?」と直感的に思ったのだが、犯罪容疑が臓器移植法の売買の禁止に違反しているというのだから「やはり故買なのかね?」とも思っていたが、読売新聞の伝えるのが真実であるとすると、これは法律で完全にコントールするのは難しいのではないか?と思う。
昨年9月に行われた生体腎移植手術をめぐり、患者らが臓器提供の見返りに現金30万円と乗用車(150万円相当)を女性ドナー(臓器提供者)に渡したとして、県警は1日、患者で水産会社役員と、内縁の妻の同社社長の両容疑者を臓器移植法違反(売買の禁止)の疑いで逮捕した。

また、同病院など計3か所を捜索、カルテなどを押収した。1997年の同法施行以来、臓器売買での摘発は初めて。

県警は同日、特別捜査本部を宇和島署に設置し、ドナーの女性からも立件を視野に同法違反容疑で事情を聞くとともに、病院側が臓器売買を認識していたかなどを調べる。

調べに対し、男性(患者)の容疑者は金品の提供を認めているが、臓器提供の経緯についてはあいまいな供述を繰り返している。
女性(妻)容疑者は容疑をほぼ認めているという。

調べでは、重い糖尿病だった男性(患者)容疑者は女性(妻)容疑者の仲介で、貸しビル業の女性から提供された左側腎臓の移植手術を昨年9月28日、同病院で受けた。
両容疑者は同11月、女性の口座に30万円を振り込み、今年4月に新車の乗用車を渡した疑い。
手術は成功し、患者は約1か月後に退院した。

女性(妻)容疑者はこの女性と知り合いで、女性から200万円を借りていたが、昨年8月ごろから「ドナーになってくれたら、借りた金に300万円を上乗せして返す。うちの人を助けたい」と再三、頼み込んでいたという。

県警は、今年2月に(腎臓提供者)女性から、「頼まれて手術を受けたが、貸していたお金や約束のお金も渡してくれない」との相談を受け、内偵していた。

男性(患者)容疑者は女性(妻)を妻、ドナーの女性を義妹と、病院に説明していた。
執刀した泌尿器科部長(65)は、読売新聞の取材に「きちんと提供者本人の確認はしていない」と話した。
この記事を読んだときに「話が逆じゃないのか?」と思って何回も読み直してしまいました。

腎臓を買った方が売った方に借金があった、というのです。

臓器売買を禁止するのは、借金のカタに臓器を売るのを禁止するといった意味合いが大きいでしょう。
一方、実際に全く謝礼を禁止して菓子折一つも出していけないとしても、厳守されることは無理でしょう。
そうなると、今回の事件は一体どういう事なのか?
形の上では、言葉巧みに臓器を詐取して口封じに対価を支払うと約束した、といった事が想像できます。
いずれにしろ、臓器移植法が売買の禁止を規定していて今回の事件では、それが破られたと認定することは問題がないと思いますが、そもそもの売買禁止の規定が想定している範囲の事件だったのか?となるとちょっとはずれているのではないか?と思います。

さらには、臓器移植は輸血のように提供者側が再生しないのですから、絶対的な判断が必要でそこに何らかの思惑やいきさつが全くないと考えるのは非現実的でしょう。

「メスよ輝け」というマンガがありました。
1989年から連載された作品で、中核は肝臓移植でした。

現実の脳死臓器移植が1996年の臓器移植法の成立をうけた、1999年のことですからこのマンガは10年先を描いていました。原作者は現役の医師で現場の立場からの議論が延々と出てくる作品で、印象深かったのは「親が子どもに臓器提供することが美談となると、世間が親に臓器提供のプレッシャー書ける可能性がある」というところでした。

これだけでも、実に色々な問題を含んでいることは明らかで、今回のような「借りている側が貸している側に臓器を提供させる」という想像外のことも起きる、ということなのでしょう。
詳細に調べて、例えば倫理委員会が調査して記録を残す、といったことも必要ではないでしょうか?

10月 2, 2006 at 10:53 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006.09.15

遺伝子の外科治療

北國新聞より「傷ついたDNA、光で修復 北陸先端大の藤本准教授が確立 がんの遺伝子治療に光
傷ついたDNAを光で瞬時に修復する方法を、北陸先端科技大学院大の藤本健造准教授(化学生物学)が世界で初めて確立し、英国王立化学会の「化学生物学誌」九月号に発表した。

修復したい部分に張り付く人工DNAを作り、そこに”修復装置”を組み込んで、光を当てて作動させる。
DNAの一部を狙い撃ちする全く新しい遺伝子操作となり、がんの遺伝子治療や農作物の遺伝子組み換えなど、DNAを扱うすべての分野で威力を発揮する可能性がある。

藤本准教授が確立したのは、長い暗号(DNA)の中から、狙いを定めた一文字(一塩基)だけを光で書き換える手法である。

長い暗号のうち修復したい部分のコピーを修復作業の鋳型とし、鋳型の先端に書き換え用の一文字を装着した。鋳型は修復したい部分を探し出し、張り付いて待機する。そこに光を当てると、鋳型の先端が活性化し、一文字だけ書き換えられる仕組みだ。

DNAを書き換えるには従来、数多くの酵素を使ってDNAを切ったり、つないだりしなければならず、作業に二、三日もかかる上、成功率は六、七割どまりだった。

藤本准教授はこれまでに特定の光でDNAを切ったり、つないだりする方法を開発している。これをDNAの書き換えに応用し、数時間の作業で、ほぼ100%の確率で成功できるようになった。

すでに「C」と「T」の書き換えに成功し、「A」「G」の書き換え技術の確立も急いでいる。藤本准教授は「がん治療に応用する場合は、鋳型となるDNAを注射した後、がんだけに特定の光を当てることで、がん細胞を正常細胞に戻すことができる」と話している。

ジェリー・デービス英クイーンズ大教授(DNAの構造と機能) 生きている細胞のDNAを修復できる初めての方法となるだろう。四つの塩基すべての修復が可能になれば、真に実用的な手法として普及すると考えられる。さらなる研究の発展を期待する。
DNAへの物理的な=外科手術ということでしょうか?
酵素利用に比べて短時間で確実にということであれば遺伝子治療の速度が格段に進みますね。
もっとも、遺伝子治療自体がかなり危険な副作用の報告もあるので、なかなか大変なのでしょうが技術が進むことはマクロには正しいことですね。

こんな事が出来るようになる時代が来るとは予想していませんでした。技術的に完成して欲しいものです。

9月 15, 2006 at 09:33 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

自治医科大病院の死亡事故原因

下野新聞より「洗濯水再利用で菌大量発生 自治医大病院の院内感染
自治医大付属病院(下野市薬師寺)でセレウス菌の院内感染が起きた問題で、感染源となった病院のタオルなどに通常の1万倍ものセレウス菌が付着したのは、クリーニング業者による洗濯水の再利用が原因だったことが14日までの同病院と県の調べで分かった。洗濯水の再利用は法令違反ではないが、県は15日にも県内22カ所のクリーニング業者に水の再利用を行わないよう指導する。

自治医大や県の調査によると、同病院のシーツやタオルを納入するクリーニング会社(本社・宇都宮市)の工場には、七つの大型洗濯機があるが、うち一台で、同病院のタオルやシーツを洗っていた。
これは工場で唯一の節水タイプで、すすぎで使った水を再び、洗濯に使い回せる仕組みになっていた。

院内感染を八月に把握した同病院が洗濯機で再利用された水を分析したところ、セレウス菌が大量に見つかったという。
同病院などは水の再利用が菌の大量発生を招き、タオルなどに付着したとみている。
すすぎで使った水を洗濯に回せるとはどういう仕組みなのだろうか? 水の利用の仕方で、排水をより汚い洗濯などに使うのは昔からの生活の知恵としてあるから、最終的にすすぎをする水が水道水つまりセレウス菌が増殖していない水を使ったのだとすると、どこでセレウス菌が一万倍にも増えたのだろうか?
なんか仕組みが良く分からない。

9月 15, 2006 at 09:18 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006.08.16

ドクターヘリの仕組みはヘンな気がする

産経関西より「即席“ドクターヘリ”妊婦救った 消防と医療連係プレー 京都―大阪 搬送
医師が同乗して救急患者を治療、搬送するドクターヘリが導入されていない京都、大阪の両府間で14日、京都市消防局の消防用ヘリが緊急出動し、出産目前の妊婦を大阪市内の病院に搬送、無事に双子を出産していたことが分かった。

お盆期間中の道路渋滞を考慮した京都市消防局が、救急車よりヘリが確実と判断、ヘリポートを備えた大阪の病院に迅速に運び込んだ。
縦割り行政にとらわれない機転を利かした消防、医療機関の連係プレーが、小さな命の誕生を救った。
タイトルの「即席“ドクターヘリ”」と「消防用ヘリで搬送」は矛盾じゃないか?と思った。
ドクターヘリがヘリコプターの救急車版であるのと思っていたから「ドクターヘリは消防が運用しているのじゃないか?」と思っていたから。

ようするに「ドクターヘリ」という別組織を作ったんだ。

ドクターヘリ
救急機器を装備し、医師を同乗させて救命救急処置を行う専用ヘリコプター。
国の補助事業として平成13年度以降、岡山県など9道県で導入され、全国に10機(静岡県だけ2機)が配備されている。
運航費は国と自治体が折半で負担。
記事は「縦割り行政にとらわれない機転を利かした」となっているが、ドクターヘリという仕組みを作った方が変ではないか?縦割り行政を増やしただけだろ。
警察や消防はヘリコプターを独自に運用している。
そりゃ確かにドクターヘリは医師が常駐しているという理由で、基地を中核病院(大学病院など)に置くとして、騒音問題が発生したり苦労している。

どうもテクニカルな問題と、ヘリコプター側の運用問題の複雑化を避けるために縦割り行政にしてしまった、という印象ですな。

救急車にも普通の救急車と救急車内で医師が治療も出来る高規格救急車があるように、消防や警察のヘリコプターに救急救命士が同乗する形の「普通の救急ヘリ」の促進も大事じゃないのか?

8月 16, 2006 at 09:26 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (13) | トラックバック (2)

2006.08.09

ザ・ミートリックス

MIXI でとても面白いものを紹介してもらいました。 「The Meatrix is」

「MEATRIX」です。

基本的にアメリカの畜産業についての批判を映画マトリックスに準じてアニメにしたものです。 現在のところ、その1その2があってその1では日本語字幕版もあります。

面白いとは言え、ちょっと背筋がゾクゾクします。

8月 9, 2006 at 12:40 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.06.22

日米牛肉交渉

日経新聞社説より「米国産牛肉、不信の構図から脱却を
どんなに改善策をとったとしても、不注意、過失で条件違反が起きることもありうるだろう。
米政府も違反皆無の保証はしていない。
むしろ輸入再開後は違反が見つかれば輸入の全面停止でなく、違反業者だけの制裁を求めている。
違反発生時のルール明確化は望ましいかもしれないが、一概にルール化もできまい。
認証制度などリスク管理のシステム全体にかかわるようなら、日本政府は果断に輸入を停止し、米側に協議を申し入れ改善策を迫るべきである。大事なのは国民の食の安全を守るという視点である。

米国産牛肉の輸入はともすれば政治問題化しやすい。
食の安全を科学的に評価する食品安全員委は、政治に惑わされずに日米政府のリスク管理が適正なのかを常に監視し、不備の指摘を怠ってはならない。
この社説はかなり冷静で中立的意見であると言えるでしょう。
社説の前提は「リスク管理が明快である」あるいは「アメリカはリスクやその根拠を把握している」なのだろうと思うのです。

「BSEはちょっとでも禁止」と声高に主張しても、完璧というのはコスト面で不可能のでしょうから、どうしてもリスクという確率の問題に転化します。
国産牛肉にもBSEリスクを低く見る(安全だと思う)のは、全頭検査しているからですが、もし全頭検査ではなく抜き取り検査であればどうか?というと、今度は生育歴追跡は出来るわけです。これは、ICタグまで動員して一頭ずつ記録を取っているからです。

これらが総合して「リスクは低く管理されている」と皆理解しているのでしょう。
問題は「管理されていることが分かる」であるのは当然でしょう。そういう意味では全頭検査をしても、特定危険部位を検査しているわけで、本当に食べるところに危険がないのか?なんて議論になったら、議論のための議論になってしまうでしょう。

さらに「妥当なリスクとは?」という社会保険的な考え方も「リスク」「確率」といった言葉の中には含まれていますが、これを「妥当なコストで」枠をはめるのは仕方ないでしょう。

アメリカは「日本の全頭検査は科学的に意味がない」とか言っていますが、どうもこの「科学的」というのは「リスク」の部分らしいのです。つまり統計的に意味がない。ということらしい。
それを説明しているのが、中西準子先生の「環境リスク学―不安の海の羅針盤」日本評論社刊 です。
詳しいことは本を読んでいただくとして、早い話が「元になる、BSEの発生率のデータがないと議論できない」なのです。BSEというか人がBSEに最初に感染したと言われるイギリスではBSE発生率を捕捉していて、その数字を使ってリスクとコストを計算できているのだそうです。
それから見ると全頭検査はいささかコストの掛けすぎかな?といった常識的な判断になるようです。

ところがアメリカはどうもこの基礎データを公表していない。
政治的な思惑が大きいのでしょうが、以後が将棋倒しになってしまって「抜き取り検査の制度の妥当性も分からない」なんてことになっているようです。
結局のところ、これは昔の自動車生産で「不良が出来ても、検査で不合格にした方が有利」として品質低下になってしまったビッグ3がやっていたことと同じでしょう。
認証制度などリスク管理のシステム全体にかかわるようなら、日本政府は果断に輸入を停止し、米側に協議を申し入れ改善策を迫るべきである。
これは牛肉輸入問題でず~とやっていたことそのもので「リスク管理システムには疑問アリ」なままです。
だからこそ、アメリカは検査態勢そのものについて日本の要求を呑まざるを得なかった。
アメリカの現場としてはものすごいコストアップなのだろうけど「その方がまだマシだ」という政治的な判断があったということでしょう。
見かけよりもずっと問題は大きいですよ。

6月 22, 2006 at 08:10 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.04.14

父の死後に冷凍精子で妊娠した子は認知されるべきか?

朝日新聞より「凍結精子で出産、「認知」判決見直しか 最高裁で弁論へ
西日本に住む40代の女性が夫の死後、凍結保存していた精子による体外受精で男児を出産したとして、男児を夫の子として認知するよう求めた訴訟について、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は14日、認知訴訟で被告となる検察側の上告を受理し、7月7日に弁論を開くと決め、関係者に通知した。
死亡した男性の子と認知した高松高裁の判決が見直される公算だ。
これはどういう判決になるでしょうか?
昔、教わった法学では「法的には人とは生まれから死ぬまでの間」でした。
胎児や死者は、人(自然人)ではないということですね。

古来からの人の概念に一致していますから法的にも是認されている考え方ですが、医学の進歩によって「それで良いのか?」というのがこの裁判の本質でしょう。
わたし自身は、この認知は認めないのが法的には正しいと思ってます。最高裁の判決はどうなるでしょうか?

4月 14, 2006 at 06:31 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.04.12

アスベスト汚染・ようやく疫学データ

産経新聞より「4キロ先でも基準以上の濃度 クボタ旧工場の石綿調査
クボタの旧神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺のアスベスト(石綿)被害で、アスベストを扱っていた当時の気象データをもとにアスベスト繊維数濃度を推定したところ、大気汚染防止法で定められている基準値を超える濃度が、工場から4キロ離れた地域まで及んでいたことが11日、分かった。大阪府立公衆衛生研究所の熊谷信二課長が調査、報告した。

熊谷課長は当時の気象データをもとに、旧神崎工場周辺のアスベスト相対濃度を算出。その結果、南南西の方向に最も多く飛散し、実際の中皮腫患者の発生分布状況と一致していることが分かった。
患者の発生状況に一致しているというのは、1848年のロンドンのコレラ発生が井戸であると解明した、ジョン・スノーの研究と同じですね。

クボタは中皮腫患者への見舞金支払いの範囲を「工場からおおむね1キロ以内に居住」と考えたようですが、どうも半径1キロではくくれないようで環境基準では半径4キロ、対象居住者数12万人とのことです。

環境リスク学で評価しないと水掛け論になってしまいそうですね。
それにしても、後知恵ではあるけどもっと早く対策出来たのですよね、総合的に判断することがいかに必要かを示すニュースだと思います。

4月 12, 2006 at 11:26 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.04.10

米国牛輸入で・リスク評価を

ニッポン消費者新聞より「米国BSE対策の実態を踏まえ独自に再度リスク評価を」=「委員半数辞任問題」で消費者団体が松田担当大臣などに申入れ

ニッポン消費者新聞のWebは新聞記事の概略だけですので、細かいところは分かりません。
関連記事はニッポン消費者新聞4月15日号に掲載予定、となっています。
日本消費者連盟に事務局を置く「食の安全・監視市民委員会」や主婦連合会などの消費者団体は食品安全委員会「プリオン専門調査会」の「委員半数辞任問題」を重視し、米国のBSE対策を踏まえ「改めて米国産牛肉のリスク評価を実施すべき」とする申し入れを食品安全委員会・寺田委員長と食品安全担当・松田大臣に提出した。 これまでの調査会での検討について「輸入再開を前提にしていた」とする指摘が辞任委員から提起されたため。
アメリカ産牛肉の輸入に関する問題はかなりワケの分からない経過を辿って、遂には「プリオン専門調査会」の「委員の半数辞任」問題になってしまった。
そこで「リスク評価の実施」という意見が出てきたのだろうけど、元は「日本の全頭検査」と「アメリカの目視検査」との対立が解消しないからだろうと思います。
「リスク管理」という言葉だけでは「BSEの牛が市場に出てしまうリスク」なのか「異常プリオン部位の流出のリスク」なのか「BSEによって人がクロイツフェルトヤコブ病に感染するリスク」なのか分かりません。
これについて整理した記事が中西準子先生の「環境リスク学」に出ています。

アメリカの牛の生産量 年間4000万頭
そのうち1/40の100万頭が日本に輸入される。
アメリカでのBSE発見の率から推定すると、年間4000頭がBSEに汚染されている
そこで、実際の汚染率が400頭、4千頭、4万頭の3段階、
危険部位除去作業後の残留率を1%、5%、10%、100%(除去せず)
検査の程度を、無検査、全頭検査、1%(40万頭)の検査
といったパラメータで計算しています。説明として次のようになっています。
無検査、年間400頭汚染、異常プリオン残留率1%では、日本では1年間で0.1頭分の以上プリオンが市場に出ると計算されるそうです。これはアメリカの方式ですね。
これに対して日本での方式を適用計算すると、全頭検査を実行、年間400頭感染、異常プリオン残留率1%と同じ条件では、0.001で全頭検査は無検査の1/100になります。
確かに検査を強化することでリスクが減ることは間違えないが、どこまで減らすべきか一頭分の異常プリオンは大問題なのか?と中西先生の説明はクロイツフェルトヤコブ病のリスクに進みます。
どのくらいの異常プリオン量なら受容できるかを考えてみよう。米国牛を100年間食べ続けて、vCJD の発症が一人以下を目標にした場合、米国からの以上プリオン量が年間10頭相当量程度ならいいということになる。
米国牛の年間4000頭が感染し、異常プリオン残留率が10%以上だと10頭相当になるので条件を満足できない。
対策として全頭検査をすれば、条件を満足できる。
100年間の全頭検査の費用を2000億円とすると、0.001人弱の命を救うために2000億円をかけることになり、全頭検査によるリスク削減対策の経済効率は極めて低い。

したがって、日本が米国に要求するべきは、米国ではBSE感染牛が年間400頭、4000頭、4万頭のいずれのレベルにあるのか、また、危険部位除去はどこまでできるのかをはっきりさせることで、とるべき対策が決まるのである。
元データは累積値として5万7千頭((0.001%)を検査して1頭が陽性、から出発しています。
アメリカは検査数を今後0.1%(4万頭)にすると言っていますが、全頭検査(100%)を主張する日本との意見の差が問題になっています。
これについて中西先生は、年間40万頭(1%)を検査(10倍にする)しても、無検査で異常プリオン残存量が10頭当量に比較して9.901頭当量であってほとんど減少しない。
と指摘しています。


なかなか大変な話だとは分かりますが、詳しくは「環境リスク学」をお読み下さい。
つまり「リスクの検討を科学的にやっていないのでは?」ということが委員の半数辞任の背景にあるようですが、与えられた条件の中で判断するのが科学者の仕事、という見解もあるようです。
しかし、どうも「環境リスク学」的な検討をしていないのではないでしょうか?中西先生も「アメリカはもっとちゃんと説明するべき」と書かれています。

いずれにしろ「きちんとリスク評価をするべき」というのは当然のことですね。

4月 10, 2006 at 10:43 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2006.04.03

心筋梗塞の新治療技術か?

NHKニュースより「心臓の組織再生 実験で成功
脂肪から取り出してつくった特殊な細胞を、心筋こうそくを起こした心臓にはり付けて死んだ組織を再生させることに大阪の国立循環器病センターのグループがマウスを使った実験で成功し、人の心臓病の有効な治療法につながるものと期待されています。

グループではさらに安全性と効果を確認したうえで、早ければ1年後に心臓病の子どもの治療に応用したいとしています。
このニュースを各新聞社の記事をザッと見たところ「早ければ1年後に心臓病の子どもの治療に応用したい」と書いてある新聞記事は無くて、NHKニュースだけしか見つかりませんでした。

詳細が分からないので、細胞を取り出す相手に制限があるのかどうかも分かりません。しかし、もし一年後に実験的であっても治療に取りかかれるのであれば、実に大きなニュースですが・・・・・。
気になりますね。

4月 3, 2006 at 02:44 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.03.25

病院で警報が聞こえないでは済まないだろう

読売新聞より「5か月女児、カテーテル詰まり死亡…アラーム気付かず
埼玉県川口市立医療センターは24日、2005年10月、生後5か月の女児がカテーテルにたんが詰まり、異常を知らせるアラームが作動していたにもかかわらず、看護師が気付かなかったため、13日後に多臓器不全で死亡した、と発表した。

同センターの大山哲朗事務局長は、「アラーム音が聞きづらかったことは知っていたが、施設の改善をしていなかったことが原因」とミスを認め、謝罪している。
「アラームが聞きづらかった」って何?
普通は「機能していませんでした」と言わないか?製造業界ではこういう問題の対策を「バカよけ」と言ってます。
最近はさすがに減りましたが、病院で(麻酔や酸素など)のガスのパイプの接続を間違えてというのがありますが、こんな問題は1950年代ぐらいに工業界では大事故を経験しつつ、異なったパイプの接続は出来ないようにとかなってます。

どうも「仕組みがあっても結果が出ない」といった問題の評価が甘いのではないか?と感じることが多くなってきたと感じます。
10月に行ってきた「ネットワーク・セキュリティワークショップ in 越後湯沢」の講演で医療システムの説明がありました。これは、基本的にはリアルタイム処理の重要性の話でありました。
4.リアルタイムとは2秒以内

具体的には、例えば投薬や注射を行う場合、医師や看護婦等の医療スタッフの個人識別を行い、処方内容のバーコード、薬剤や注射液の識別のためのバーコードを、バーコード対応携帯端末で次々と読みとり、誰がいつの時点で何を処方し、誰がいつの時点で実際に患者に投与したか、あるいは投与出来なかったという場合等も含め、すべての診療行為のデータ化を図ることとした。
実施入力時点でのエラーチェックにより事故を防止でき、血液製剤、輸血などのロット管理が電子的に行え、輸血記録などの管理が容易になる。
このシステムでは、従来のシステムで把握できなかったリアルタイムの指示変更が、調剤時、処方監査時、混注時、投与時それぞれに最新データと2秒以内にリアルタイムに照合する。したがって、オーダ後の指示変更や破損、破棄などの情報も正確かつリアルタイムに扱えるので、安全対策のみならず在庫管理も正確になる。
逆に言えばなんでこんな事が話題になるのか?と言えば、Windows に代表される「万能システム先にありき」といった調子で、ソフトウェアとか狭い意味でのシステム優先で仕組みを組み立てることだけを重要視するような傾向が強すぎるのでしょう。
システムを構築しても現実の出力が有効でなければ意味ないのですが、この点をどうも見落としがちのようです。

3月 25, 2006 at 02:23 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006.03.04

臓器移植・新聞社説

西日本新聞社説より「患者の不安を解消したい 臓器移植
中国の上海や遼寧省瀋陽などの病院で肝臓や腎臓の臓器移植手術を受けた日本人患者が、過去二年間で少なくとも七人死亡していたことが分かった。


訪中して移植手術を受けた日本人は、百八十人以上にも上っているという。
へ~と思った。そもそも中国の臓器移植については死刑囚の臓器が使われていることが問題になっているのだが、その上さらに何か問題があるのかを、社説は指摘しているのか?と読んでみた。

こうした動きを受けて、厚生労働省の研究班はやっと渡航移植者の実情や移植施設、術後の状況などの実態調査を行う方針を打ち出した。

遅きに失した感は否めないが、世界保健機関(WHO)や各国政府にも協力を求め、渡航移植者の実態把握に努めてもらいたい。特に、患者と医療機関を結ぶサポート組織の役割が重要となる。組織の実態も正確に調査してもらいたい。

海外で移植を受ける際は、手術前の十分な検査やドナー選定の情報開示が不可欠といえる。帰国後のアフターケアも重要となる。国を越えての継続的な医療体制を築くことが求められる。
どんなものなのであろうか?日本は現在のところ経済力があることと、日本国内での臓器移植の環境が法的にも倫理的にも厳しいために外国で臓器移植を受ける場合が多い。
これについては「現地での臓器移植の機会を奪う」といった指摘は以前からあって、小説・マンガなどでは「臓器強奪」は以前から取り上げられていた。

社説が「患者の不安を」というのは間違えなく不安があるのだろうから、タイトルが間違っているとは言えないが、他のところに問題がないのか?というとむしろより大きな問題があるのではないだろうか?
極めて難しく問題のある話で、しかも解決不可能で問題を抱えたまま進んでいくのだろう。

3月 4, 2006 at 12:42 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.02.11

高齢者用見はり付き住宅で孤独死

神奈川新聞より「入居者の死亡、1カ月気付かず/横浜の高齢者用住宅
横浜市の生活援助員派遣サービス付き同高齢者用住宅で、一人暮らしの六十代男性が部屋の中で病死したまま約一カ月間も放置されていたことが十日分かった。
横浜市の生活援助員派遣サービス付き高齢者用住宅とはモニターシステムが付いているようで、水を12時間使用しない場合にアラームが送信されます。
実際にこのシステムを運用しているのは警備会社ですから技術的には確立しているのでしょう。にも関わらず「一ヶ月も分からない」とはなぜだ?ですが、記事によると大きな落とし穴があるようです。
水を12時間以上使用していないと警報が出た。
警備員がかけつけたら、本人が出てきて「寝過ごした」と言った。
警備員は生活援助員(の事務所)に報告した。
生活援助員が1時間半後にモニターで確認したら「外出(不在)」していた。
その後、週二回のペースで生活援助員はモニターをチェックするが「不在」。
17日後に生活援助員は「周囲の人が見かけない」と情報を本部に通報。
本部には「見かけない」と情報が相次いだ。
一ヶ月後に親族に知らせ許可を得て、家に入り遺体を発見。
実際に起きたことは、最初に訪問した警備員が外から施錠したことでシステムは「外出」として「不在」と送信した。
というのですが、これはシステムでは回避できないですね。
実際に外出した場合に区別が付くのかを考えると、外から鍵を掛ける、水道、トイレは使わないといったことは当たり前ですし、まして「見かけない」も当たり前です。

確かに期待していたのとはおよそ違う結果ですが、担当者の情報交換によってなんとか出来るのか?を考えると「それでは高く付くからシステム化を推進」といった側面もあって、果たして解決策になるのかどうか、分からないですね。

2月 11, 2006 at 07:51 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2006.01.15

厚労省・病院に老人ホーム経営を許す計画

読売新聞より「病院の有料老人ホーム兼営、厚労省容認へ
厚生労働省は14日、病院や診療所を経営する医療法人に、有料老人ホームの兼営を認める方針を固めた。
あらま、です。
ビジネスという観点では、病院を経営できるのは医療法人です、医療法人は事業内容が極めて制限されていて老人ホームなどの経営は出来ません。

老人ホームなどを経営するのは福祉法人などです。
これでは不便だということで、郊外に広大な土地に病院と老人ホームを造って、隣り合わせであるが医療法人と福祉法人と別法人にする、といったアクロバティックなビジネス展開がされてました。
ただこの方法では、地主も土地を提供し法人の理事として給与を受け取るといったことも出来、また資金負担の分散がビジネス展開のリスク軽減になる、など現実的には良い面も多々ありました。

厚労省は病院経営についての考えはこのようなものらしいです。
政府の規制改革・民間開放推進会議や経済界は、病院経営への株式会社参入などの大幅な規制改革を主張してきた。しかし、厚労省は「病院経営は営利法人の事業にはなじまない」として、株式会社などによる病院経営はあくまで認めない考えだ。今回の方針は、こうした規制緩和の要請に、部分的に応える狙いもあると見られる。
確かに以前から病院の老人ホーム化と問題にされていましたが、それを病院が老人ホームを経営すれば解消するのは医療費の問題だけであって、それもごく短期的な「入院継続か退院か」が問題の時期だけでしょう。
下手すると無理な退院が病状の悪化になって、かえって医療費が増える可能性があります。

アメリカは国民保険制度無いために無保険者が20%を超えているとか言うが、実は医療費はアメリカの方が日本より高い。
健康保険制度の基本は、治療費を国家などが負担して早期に治療してしまった方が社会的なコストは安くなる、という直感的には分かりにくい原理で行われます。つまり保険料の収支の問題ではないのです。
年金問題や少子化問題なども経済原理では長期には成立しない(一時期の不均衡修正は長期問題の解決にはならない)という話を忘れて進んでいるのが、今の政治・行政ではないかと感じます。
近視眼的に過ぎる。

1月 15, 2006 at 10:23 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

自衛隊・空飛ぶ救急救命室を作る

朝日新聞より「有事・災害時、自衛隊機を「治療室に」 新年度に編成
防衛庁は06年度、航空自衛隊の輸送機内で集中治療室(ICU)並みの高度医療を施しながら、重篤な傷病患者を遠隔地の病院まで迅速に運ぶ「機動衛生隊」を新設する。
C130に乗り組み、救急車やヘリコプターで傷病患者が運ばれてくる空港・基地へ、まず飛ぶ。患者の収容後は機内で容体を監視・安定させながら、受け入れ先病院の最寄り空港・基地まで緊急空輸にあたる。

機内は「空飛ぶICU」となる。ユニット1基は最大で重症患者3人を収容。
C130に積んで中で機能するユニットであれば、地上に降ろしても使えるだろうし、大型トラックに積むとか、牽引して移動するとか出来るのでしょうか?

アメリカ軍はベトナム戦争で病院機をベトナムから日本・ハワイ・アメリカ本土などに飛ばしていたようです。

災害救助だと、阪神淡路大震災や昨年のニューオーリンズのハリケーン被害、新潟中越地震でも飛行機で飛ぶほどの距離を移動する必要は無かったです。
ヘリコプターによる救命の方がずっと必要で、C130が積む救命ユニットを飛行場で運用する方が実際的でしょう。

自衛隊の設備を救命や避難などに使うのであれば、輸送艦に病院能力や上水供給能力などを与える方が有効ではないでしょうかね?
後は各基地を避難所に使うことでしょう。いずれにしろ、自衛隊が災害用に救命体制を用意するのは悪いことではないです。

1月 15, 2006 at 09:25 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.12

WHO・電磁波被害防止基準案をまとめた

読売新聞より「健康被害予防、電磁波対策でWHOが初の国際基準案
WHOは、電磁波対策の必要性や具体策を明記した「環境保健基準」の原案をまとめた。
電磁波に関する初の本格的国際基準で、WHO本部は「今秋にも公表し、加盟各国に勧告する」としている。日本政府は電磁波について「健康被害との因果関係が認められない」としているが、基準公表を受け、関係各省で対応を協議する。
世界的基準が提起されたから議論も研究も進歩するでしょう。 諸説がバラバラに出ているようで、有名なのは送電線の近くでは白血病が増えるといったものです。
電磁波環境の測定では明確な差がないという説もあり、また電気が通じた明治時代から「電気は健康に悪い」「電気は健康によい」といった諸説があって、今でもそれなりに続いています。

トンデモ説もあるでしょうし電磁気ではない影響もあるでしょうね。
農業の記事でしたが、荒れ地に一直線にしっかりと植物が生えていて、どういうことか?と一生懸命に研究したが理由が分からなかった。
上を見上げたら電線が通っていた、電線から微量な銅が地面に落ちてそれが植物が生えることの差になって現れた。
なんてこともあるようです。

疫学の問題なのでしょうね。
はっきりした影響があるのかどうか良く分からないというレベルでしょうから、疫学的にも難しいのだろうと思いますが、基準が出来れは世界的に研究は広まるわけで結果に期待したいです。

1月 12, 2006 at 07:57 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.06

北海道のドクターヘリ

北海道新聞より「ドクターヘリ、出動素早く 手稲渓仁会、昇降装置を導入

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四月からドクターヘリを本格運航している手稲渓仁会病院(札幌市、松波己(おさむ)院長)は、冬場にヘリを迅速に出動させようと、ヘリを格納庫からヘリポートまでエスカレーター式に運ぶことのできる昇降装置を導入した。

雪が降ると、氷雪の付着を避けるため格納庫に収納しなければならない。格納庫はヘリの運航の妨げにならないよう、ヘリポートよりも低い位置に設置されている。

昇降装置は鉄製で、全長四十メートル。高低差二・八メートルの坂に敷かれたレール上の台車にヘリを載せ、格納庫内からヘリポート上まで移動する。格納庫から車でけん引する方式よりも、出動時間を約三分ほど短縮できるという。総工費は五千万円。

同病院のドクターヘリ出動回数は、四月から十一月末までで百五十五件。
最初この記事を見たときに「これは軍艦だな」と思ったのですが、雪対策と言われると「そりゃそうだ」と納得するところです。

四月から十一月末までで百五十五件の出動というのは、2日に3回出動していることになりますね。
オーストラリアではあの大陸のどこでも救急のための時間を3時間とかに出来るように航空による救急ネットワークを完成させました。
日本は航空機利用の救急体制はヨーロッパ各国に比べて遅れていると言われ、高速道路上での救急などにもっと活用できるはずと言われていますが、はっきり言ってこれは許認可の縦を割り行政の壁に阻まれてなかなか運用できないといった問題のようです。
最近では病院にヘリコプターが降りることが航空騒音問題として取り上げられることもあるようで、北海道の例は頑張って活用している良い例だと言えます。

12月 6, 2005 at 09:07 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.27

心臓再生に成功か?

毎日新聞より「心臓治療:骨髄細胞移植で血管再生 人工心臓患者で成功
埼玉医大は27日、重い心筋梗塞のため補助人工心臓をつけた男性(61)に、骨髄の細胞を移植して新しい血管を作り出す治療を同大病院が試み、心臓を回復させることに成功したと発表した。
なんか画期的な治療方法なのか?と判然としない報道ですが、読売新聞の記事日経新聞の記事などを総合して読むと、

2005年2月3日に心筋梗塞で倒れ、2月4日に埼玉医科大総合医療センターに入院
一時的に心停止状態になったが、補助人工心臓を着けて命を取り留めた。
糖尿病が原因で腎臓の働きが低下し透析治療をしていることなどから、心臓移植も受けられる状況になかった。
根本的な治療K心臓移植を受けられる上限年齢の60歳を超えていた。
心臓機能維持のため体外型の補助人工心臓を装着した。
人工心臓をつけた患者の治療は難しく、回復せずに死亡する例も多い。
というにっちもさっちもいかない状態で、患者自身の骨髄から抽出した細胞を、心臓の周囲の血管に注入することで、新たな血管を作り出すはず、という実験的な治療した結果、人工心臓を外すことが出来た、ということのようです。

しかし、
許教授は「回復が細胞注入だけの効果だとは断言できないが、人工心臓と細胞注入の組み合わせが、重い心不全の新しい治療法となり得ることが確かめられた。副作用は出ておらず、安全性がある程度確認できた意義は大きい」と話している。
と結果についてはっきりと断言してはいません。
ただ、本人の細胞の移植ですから副作用は無いでしょう。さらに人口補助心臓は心臓移植までのつなぎという使い方が多かったので、実用的な範囲で人工心臓を補助心臓として付けて治療によって外すことが出来た、というのはなかなかすごいです。

8月 27, 2005 at 12:56 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.04.09

タテマエ社会になりつつあるのではないか?

読売新聞より「大館の救急救命士、病院内で違法の除細動を実施」

秋田県大館市で3月、男性救急救命士が心肺停止状態の患者に対し、電気ショックを与える「除細動」を搬送後の病院内で行った。救急救命士法違反にあたるとして、同本部は大館署に報告した。

要するに病院内では医療行為は医師の専決事項だ、ということなのでしょうがごく最近になって病院内での対応測定などについて医療資格(医師・看護師)が無い人でも出来る、と改正になるという報道があった。
これなどは、体温測定に資格が必要という方が驚きだ。

血圧測定ですら街頭で出来る時代である。
除細動器も街頭などに設置するという話しがある。そこでこんな話しになる。

同本部の鳴海義衛消防長は「原点に返って再発防止に努めていく。救命士の処分も検討したい」としている。救命士は同法違反容疑で書類送検される可能性もあるが、総務省消防庁は「現場の状況や流れを把握しないと一概に違法とは言えないのではないか」としている。

大館市の消防本部はこの救急救命士の行為を処分するべきとするが、総務省は「実態に合わせろ」と言っているわけだ。

このところの「手続き過多社会」はなんとかならないものかね?
個人情報保護法もその代表で「群盲像に触れる」状態で自分が関係する部分だけを取り出してルールを作るから各会社のそれぞれの担当部署で微妙に手続きが違う、というトンデモ状態になりつつある、そして個人レベルでは個人情報保護法は情報コントロール権である、という解釈になりつつあって、この先いったいどうなるのだろう?

常識というのを見直すべきだと思う。

4月 9, 2005 at 09:44 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (2)

2005.01.31

医療事故裁判で患者側が敗訴

読売新聞より「日医大病院の「脳にワイヤ」訴訟、両親の請求棄却」

この事件は

被害者の女性は1997年に川に転落して重傷を負い、同大付属病院に入院。同年12月15日に折れたあごの骨をつなぐ手術を受けたが、高熱や下痢などの症状が出始め、同17日に多臓器不全で死亡した。その後、手術に立ち会った医師(46)が両親に「あごの骨にワイヤを入れて固定する際、ワイヤが脳に刺さった」と告白したため、両親が2001年5月に提訴。大学側は「脳に刺さっていない」と反論していた。

というものだが、今回の判決は
片山裁判長は、「女性の頭部を撮影したレントゲン写真の中には、ワイヤが脳に刺さっていないように見えるものもある」と指摘。「ワイヤが勢いよく頭の中に進んだのを見た」とする医師の法廷証言についても、「ワイヤは少しずつしか進まないはずで、信用できない」と否定した。

というのだ。

判決文を読まないと、証拠・証言の内容がどのようなもので、裁判長はそれをどう判断したのか分からないが、この記事で引っかかるのは

「ワイヤが勢いよく頭の中に進んだのを見た」とする医師の法廷証言についても、「ワイヤは少しずつしか進まないはずで、信用できない」

の部分である。
「別冊宝島real「困った」裁判官」にいくつか紹介されている「裁判官だけが○○のはずだ」と物理学や工学の法則や原理を無視した思い込みを元に判決したという事例に似ていると思う。
そもそもワイヤを頭部(顔)に差し込む場合に「少しずつしか進まない理屈」なんてモノがあるとは思えない。例えば機器や機材によってワイヤーがゆっくり進むようになっていたとしても、故障の可能性はあるわけでこの部分は「ワイヤは少しずつしか進まないはずで、信用できない」という言い方が報道の通りだとすると、判決文としておかしいという印象があります。

1月 31, 2005 at 10:53 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2004.10.28

新潟地震・母子3人探索でハイテク装置活躍

FujiSankei Business i より「母子3人探索で活用 人命探査装置「シリウス」 心肺が電波を反射」

地震による土砂崩れの現場で、ワゴン車ごと埋もれていたのを発見したのが「シリウス」と呼ばれる人命探査装置だ。シリウスはアンテナから放射した電磁波と、反射して返ってきた電磁波の波形を比べ、土砂やがれきの中に生存者がいるかどうかを探る。電磁波は、動かないものに反射して返ってくると、発信時と同じ波形のままだが、動くものに反射した場合は発信時とは波形の位置にズレが生じる。こうした電磁波の特性を生かし、がれきや土の中に向けて送受信機から電波を発信すると、生き埋めになっている被災者の心臓や肺の動きに反応して電磁波が反射し、コンピューターにデータ表示される仕組みだ。価格は1台3000万円。日本国内には10数台輸入されているという。

すごい仕組み!こんなことが出来るんだ。

なんであのほぼ全没している車の中の生きている子どもを見つけたのか不思議に思っていました。闇雲に掘ってみたら居たというのはちょっと無理だと思ったので・・・。

その一方で、テレビのニュースによると山古志村はすでに全員避難で無人のようですが、土砂崩れが川をせき止めてあふれた水がため池を作っていて、さらにそれもあふれている。もし、せき止めているところが決壊すると下で土石流の可能性がある、とのことで何百人かが避難場所を移すとのことです。

あれだけの土砂崩れがあったのだから、こんなのは予測の内でしょう、であるならパトロールして当然だし、土石流被害も予想の内にあるべきでしょう。なんか「対策の小出し」という感じがつきまといます。

10月 28, 2004 at 09:17 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2004.10.25

被災地に100トンを越える食料を自衛隊機で送ると言うのだが

毎日新聞より「新潟中越地震:13万食を輸送 政府、自衛隊機で」

被災地の食料が不足している問題で政府は25日午前までに乾パンやレトルト食品など13万2000食を自衛隊機で輸送し、同日午後から26日朝までにさらに20万食を追加する。

13万+20万となると33万ですが、一個が500グラムで165トンになります。
まあ100トンにはなりますね、自衛隊機で運ぶと言っても大型輸送機では新潟空港ぐらにした行かないわけで、ヘリコプターになるのでしょうか?
最大でも4トンぐらいしか積めない。これでは、40回(ソーティー)が必要になってしまい、かなり大変なことになりそう。
物流としての全体計画をしないとダメだと思うが、政府の指導力はどうなんだ?

10月 25, 2004 at 08:49 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.10.23

日米牛肉輸入問題次官会議一応終了

日経新聞より「日米BSE協議、米産牛肉輸入早期再開で一致」

BSE(牛海綿状脳症)の発生で輸入禁止が続く米国産牛肉の問題を話し合う日米の次官級協議が23日午後、終了した。BSE検査などに関する問題がクリアされれば、早期の輸入を再開するという点で意見が一致した。ただ、対立点となっていた月齢判別の問題は今後協議を続けるとした。日本はこれまで輸入再開の条件として全頭検査を求めていたが、食品安全委員会が9月に「全頭検査を緩和しても病気に感染するリスクは増えない」とする報告書をまとめた。これを受け、日本は国内措置の見直しを決め、米国にも全頭検査を撤回して若い牛は検査なしで輸入を認めることにした。

この会議、昨日で終了の予定がまとまらないので、一日延びたのだ。もともとはアメリカが「日本の全頭検査は非科学的である。その根拠は異常プリオンの蓄積が生育期間によるのだから月齢の若い牛は検査しなくても安全である。」
と主張し日本は検査基準を月齢20ヶ月未満の牛には適用しない。と決めたのだ。
ところが実際に交渉に入ったら実はアメリカの牛は月齢管理をしていないから、月齢20ヶ月以下の牛の保証が出来ない。のだと言う。どこが「科学的」なんだ?単なる野放しではないか。まぁ「この牛肉はBSEの危険があります」とか表示して売れば科学的なのかもしれないが・・・・。

10月 23, 2004 at 03:49 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.09.12

鳥インフルエンザ・大流行かWHOが警告

産経新聞より「鳥インフルエンザ、「大流行の可能性」と警告 WHO」

WHOの尾身茂・西太平洋地域事務局長は11日、中国上海での記者会見で、アジアで再発している鳥インフルエンザについて、ウイルス(H5N1型)が想像より広い範囲に伝染していると指摘、「拡大防止の取り組みを強化しなければ、大流行する可能性が高い」と警告した。
人間への感染は39件、死者28人とのことだが、先日猫に感染することが確認された。こうなると人間に感染しないという話しにどこまで根拠があるのか?ということになるだろうし、人間のインフルエンザが何年かごとに世界的に大流行するのは、免疫が長続きしないとか、ウイルスが少しずつ変異するからだなどと言われます。つまり撲滅はかなり困難なのでしょう。
しかも、鳥にとっては感染力が強いのですから、大流行になると封じ込めには莫大な手間が掛かることになります。

9月 12, 2004 at 12:07 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.09.03

鳥インフルエンザ猫に感染

読売新聞より「猫にも感染!鳥インフルエンザウイルス」

新型インフルエンザに変異して人間に被害を及ぼす可能性のある鳥インフルエンザウイルス「H5N1」が、猫にも感染することがオランダ・エラスムス医療センターの研究でわかった。

人から猫、鶏肉から猫、感染猫に接触した猫で感染ルートが確認されたとのこと。
猫は勝手に歩き回るから感染拡大の可能性はありますね。
猫から人のへの感染実験は難しいでしょうが、猫から鳥への感染はどうなんでしょう?
日本で鳥インフルエンザの感染が確認された時に渡り鳥なのかといった感染ルートが問題になり、さらに同一地域内での感染のルートはどうなのかと議論にはなったのですが、新たに猫が媒介するとなると、これは防ぐのが難しいでしょうし、猫以外の動物の感染も感染拡大という観点では心配です。

9月 3, 2004 at 11:31 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.08.21

小学校にガラスの扉というのはアリか?

20日午後4時ごろ、広島県福山市立山手小学校の校舎2階の渡り廊下で、裕哉君が出入り口のガラス戸にぶつかり、割れたガラスが左胸に刺さった。裕哉君は病院に運ばれたが、約3時間後、出血多量で死亡した。福山西署の調べによると、ガラス戸は4枚あり、1枚は縦1・9メートル、横0・8メートル。この日、同小では学童保育で児童23人が登校していた。当時、児童らは校舎内を掃除中だったが、裕哉君は1人でガラス戸に飛びつく遊びをしていたという。
この記事では今ひとつはっきりしないのが、今時破片が刺さって死ぬほどの大けがをするような素材を使った扉が小学校にあることが許されるとはとうてい思えない。
中学の時にガラス窓を突き破って肘の血管を切って縫ったことがある。その程度の怪我は学校ではあり得ることだと思うが、扉がガラスというのは理解しがたい。
常識的には渡り廊下というのだから、壁まで開くスチール扉の両開きで、ガラスで透明な部分が非常に大きいものでないかと思う。
この手の扉のガラスは破りにくくするためにも普通は金網入りか、安全ガラスを使うものだろうと思う。この種のガラスは割れても刺さる程の大きな破片は出ないはずだ、どういうガラスだったのだろう?
それにしても、ひどい話しだと思う。ガラス扉ではない単なるスチール扉ならこんなことにはならないし、価格も圧倒的に安いのだから、何を考えてこんな設備になったのだ?

8月 21, 2004 at 12:53 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2004.07.30

リピーター医師問題・今回も諮問なし

毎日新聞より「医道審:民事での過失認定、処分はまた見送り

旧富士見産婦人科病院(埼玉県所沢市)の被害者同盟の小西熱子代表らは、元院長と元勤務医4人の医師免許取り消し処分を29日、厚生労働省に要請した。さらに、新方針を一日も早く適用して、リピーター医師などを処分するよう求めた。しかし、担当者は「独自の調査権限がないため、事実確認に限界がある」と説明するにとどまった。

医道審議会は厚生労働相の諮問機関で医師免許の剥奪などを答申することになっている。
医道審議会が医師免許の剥奪を答申しない限り、問題のある医師も診療を続けその結果として同じような事故を繰り返すリピーター医師が問題になっていた。

 
厚労省が02年末に打ち出した「民事裁判で過失が認められたケースも処分対象にする」新方針を出しのだが、それでも対象となケースの試問を厚労相はしなかった。

被害者同盟がただしたのは「なぜ諮問しないか」なのだろうが、その回答が「独自の調査権限がないため、事実確認に限界がある」だったという。
これヘンではないか?
事実関係として裁判所が過失を認めている亊案について、さらに調べる必要があるということが意味不明である。
調査の結果、判決がひっくり返るとでも言うのだろうか?
さらに、「事実関係の調査が出来ないと医師免許剥奪に直結する諮問が出来ない」というのでは、調査しなければどんな医師でも免許剥奪は無い、ということにならないのか?
将来、民事で過失認定された医師が同様の過失を犯した場合、諮問しなかった責任を厚生労働省に追求することになるが、それでもいいのか?

これは、いまだに厚生労働省が「生産者=医療業界」の意向で仕事をしているという意味に他ならない、まもなく時間切れになるぞ→厚生労働省

7月 30, 2004 at 10:29 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.07.14

拡張性心筋症に再生治療

読売新聞より「拡張型心筋症、心筋・血管の同時再生めざす手術実施

拡張型心筋症は重症になると心臓移植適用の代表的な症例で、心臓移植以外の方法で治療効果があるというのは素晴らしい。

治療としては、本人の骨髄から取り出した「間葉系幹細胞」と呼ばれる細胞を培養して約100万倍に増やし、それを心臓全体の44か所に注入したのだという。

患者は心不全状態だった61歳の女性で、移植後2か月で心臓から血液を送り出す能力が治療前より約10%上昇、息苦しさが改善とのことである。
先日も印刷技術で血管を増殖させるという技術が発表になったが、本人の幹細胞などを利用して再生治療というのは副作用が無いことがなど、大変に有望な技術であると思う。

拡張性心筋症に治療効果があって、しかも副作用が無い、拒絶反応も無いというはとても有望な治療法だと思う。

7月 14, 2004 at 11:03 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.03.16

鳥インフルエンザ・韓国の渡り鳥は感染していない

読売新聞より「韓国の渡り鳥からウイルス検出せず…環境省が中間報告

環境省は15日、感染ルート解明のため韓国に職員派遣していた渡り鳥調査の結果を中間報告し、韓国でも発生地周辺の渡り鳥からは鳥インフルエンザウイルスが検出されていなかったことがわかった。

とっくに流行は終息しているのだから、今ごろ野鳥を調べても出てこないのは当たり前だろう。その一方で、韓国での鳥インフルエンザのウイルスが無いとはどういうことなのか?これは縦割り行政に弊害か?

3月 16, 2004 at 12:06 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.03.15

鳥インフルエンザ・一元説

朝日新聞より「感染源、海外からの「一元説」有力、鳥インフルエンザ

山口―大分―京都と続く鳥インフルエンザウイルスがどこから来たのか。専門家の間ではこのところ、強い毒性を持つウイルスが海外からもたらされたとする「一元」説が有力になりつつあり、韓国から感染した野鳥が飛来したとの見方も強まっている。

今月3日、農林水産省は、京都で検出されたウイルス遺伝子の塩基配列が、山口や大分の感染鶏のものと、ほぼ一致したことを明らかにした。
強毒性を持つウイルスが海外から入ったと考えたると、日本の感染は海外の強毒性ウイルスに「一元化」される。

では、どこから強毒性ウイルスはきたのか?
鳥取大農学部の大槻公一教授(家畜微生物学)は、韓国からの野鳥に注目する。韓国の鳥インフルエンザは、昨年12月初旬から下旬に、韓国中部から南部に広がった。

12月19日から20日にかけて1500メートル上空で秒速20メートル強の風が吹いていた
山口で鳥インフルエンザが出たのが12月28日。潜伏期間は4~5日とされるから、感染が23~24日ごろならば符合する。

2例目の大分県九重町での感染死は2月14日ごろ。山口のウイルスが運ばれたのか、韓国からかは、わからない。
専門家らの間では、京都で連続発生したケースを除き、「人やもので伝播した」との説は消えつつある。面的な感染の広がりがないからだ。野鳥が運ぶから、発生地が転々とするのだという。
日韓のウイルスは果たして同一なのか。農水省は動物衛生研究所を通じ、韓国政府の研究機関に対してウイルス提供を依頼し、解明を急いでいる。
すでに、感染が広がったベトナムや香港とは異なることが判明し、残る韓国やタイ、中国との比較が重要だが、韓国のウイルス入手は「調整に手間取った」と同省。

もし韓国とウイルスが一致すれば、感染経路の解明に役立つとの期待がある一方で、動物衛生研の山口成夫・感染病研究部長は「仮に韓国と山口が同系統だと判明しても、韓国以外の国から山口に来た可能性もあり、それだけで経路は確定できない」と慎重な見方だ。


韓国の鳥インフルエンザウイルスを入手せずに、ベトナムなどのウイルスと比較していたというのだが、この情報が伝わってからすでに何週間かになる。動物衛生研究所はいったいどういうつもりなのだろうか?確かに、日常的にあることではないから、手不足であるとか、優先する業務があるだろう。しかし、防疫という観点からは戦略が不可欠なことは常識ではないか。緊急問題対応チームと防疫戦略計画チームに分かれて活動することが不可欠だったはずで、現状では後追いになっていないのだろうか?

最近の日本の企業活動に著しく欠けているいるものに、戦略的視点や行動があると思う。問題が起きてから「不祥事を起こさない」と喋るだけなら、機械でも出来る。

3月 15, 2004 at 04:53 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.03.11

鳥インフルエンザ・カラスの3例目

読売新聞より「鳥ウイルス感染、大阪・茨木市で3例目のカラス

大阪府は10日、同府茨木市北部で捕獲されたカラス1羽の死がいから、鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。
カラスが見つかったのは、浅田農産船井農場の南東約30キロで、鶏や卵の移動制限区域内。


野鳥は沢山いるし、鳥インフルエンザに感染していないと考えるのは無理がある。
しかし、鳥インフルエンザが伝染病であり、鳥にとっては致命的な病気であることは、養鶏業という大量飼育の場で問題になることであるから、野鳥と家禽とを接触させないようにすることが一番大事であろう。
潜伏期間が数日とも言われるので、数日間は厳重な隔離、通常も野鳥と家禽が接触しないようにする、といった対策が有効なのではあるまいか。

3月 11, 2004 at 12:09 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

鳥インフルエンザ・抜き取り検査

読売新聞より「鳥インフルエンザ、処理場搬入前に抜き取り調査へ

厚生労働省は10日、食鳥処理場へ搬入する前の生きた鶏について、鳥インフルエンザ感染の有無を判定する抜き取り調査を行う方針を決めた。
これまで鶏肉や鶏卵を通して鳥インフルエンザに感染した例はないが、流通前にチェックすることによって消費者の安心感を確保したい考えだ。


あまり釈然としない決定だと感じる。
そもそも、ウイルスが増殖するためには生きた細胞が必要で、かつ鳥インフルエンザは筋肉組織内などには入らない、その上通常の調理をすれば死滅する。あえてウイルスが残存する可能性はタマゴと言えるが、これも実際には表面をかなり丁寧に洗浄というより削るという感じの処理をしている。
確かに、生きたニワトリが持ち込まれる処理場内でニワトリ同士の感染はあり得るかもしれないが、問題になることなのだろうか?また、この処置で需要減退が回復するものだろうか?
むしろ、開放型の鶏舎に野鳥の出入りが出来ないように、網を二重にするとか、野鳥がよってくる餌の管理施設を強化するといった養鶏業者への事業補助をする方が効果的だと思うのだが、厚生労働省だから農水省の分野には手を出さないという縦割り行政では、ちょっと無駄金の使いすぎということにならないか?

3月 11, 2004 at 12:08 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.03.07

国内でBSE11頭目

朝日新聞より「北海道の牛がBSE感染 国内11頭目、死亡牛検査で初」

農林水産省は7日、北海道標茶町の農場で飼育され、けがで殺処分された7歳10カ月の乳牛BSEに感染していたと発表した。国内で11頭目。
これまでの10頭はすべて食肉処理される段階などで見つかっており、飼育中に死亡した牛のBSE感染が分かったのは初めて。
この感染牛は96年4月生まれで、これまでもBSEが多く見つかっていた時期と重なる。

飼育中に死亡した牛を対象にした検査は昨年4月から順次始まっている。農水省は「死亡牛検査からBSEがいずれは出ると考えていた。発生予防策などの新しい手がかりにつながると思う」としている。

死亡した牛の検査をしていたというのは、なかなか素晴らしいことだと思う。
またもや、96年生まれの牛からBSEが確認されたということは、飼料の原料などについては、追跡は困難とは言えかなり狭い範囲に絞られることも確かだろう。
京都府の鳥インフルエンザ事件が物語るように、今回のBSE発見のように地道な管理体制の維持が公衆衛生には欠くことが出来ないという証拠であろう。

3月 7, 2004 at 10:45 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

鳥インフルエンザ・処理開始だが

日経新聞より「(3/6)京都の鶏処分支援、災害派遣の陸自660人増員

京都府の山田啓二知事は6日、陸上自衛隊に災害派遣を要請。陸自第三師団(兵庫県伊丹市)は各地の駐屯地から計約660人の派遣を決めた。
自衛隊は、高田養鶏場の鶏を埋める穴の掘削作業のため、既に35人を同町に災害派遣している。


「(3/7)カラスから鳥インフルエンザのウイルス検出

京都府は7日、浅田農産船井農場と、隣接する園部町でそれぞれ見つかったカラスの死がい計2羽から鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。
野鳥からウイルスが検出されたのは初めて。府は、ウイルスを動物衛生研究所(茨城県つくば市)に送り、高病原性かどうかの最終確認を求める。

自衛隊の動員は総数で820人だそうで、船井農場に隣接する山林に掘られた埋設用の穴は、長さ50メートル、幅8・5メートル、深さ4・5メートル(1900立方メートル)という巨大なものであるが、さらに同地区で4700トンの廃棄物を処理する必要がある。

カラスが鶏舎の近くで死んでいたというニュースは4日の段階であったが、検査の結果は陰性だったとのことで、今回はじめて野鳥から検出された。

人は病気を恐れることで、寿命を伸ばして来たと言っても良いだろう。
中には、よく分からないままに過剰に恐れられたりした病気も数多くあるが、病気を無視したりバカにしたりするとトンでもないことになるのは、風邪とインフルエンザを取り違えて致命的な結果になることもあるくらいで、人類の中に条件付けられた病気を恐れるという気持ちを、公衆衛生とか予防措置とかに当てはめるのが知的現代社会のあり方だろう。
今回は、明らかにそれに反した行動を浅田農産が取ったために、膨大な人員と費用を掛けて後始末することになってしまった。

3月 7, 2004 at 10:15 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.03.02

鳥インフルエンザ・ますます混沌

長崎新聞より「4時間交代、感染農場の鶏処分3日目、作業は難航

浅田農産船井農場で続く鶏の殺処分は3月2日に作業開始から3日目に入った。
処分する約20万羽のうち、2日間で処分したのは9000羽足らず
当初10日間ほどで終えて埋める方針だったが、府職員が作業に不慣れなこともあり遅れている。この日の作業も、農林水産部などからの応援組を含め、府職員約200人が参加。浅田農産の社員や町職員も加わった。4班に分かれて進め、健康を考慮し各班の作業は1日4時間に制限した。


京都新聞より「鶏埋める掘削作業で自衛隊は「災害派遣に該当」と回答

京都府の山田啓二知事が1日、電話で掘削作業について自衛隊に部隊派遣を打診した。陸上自衛隊中部方面総監部(兵庫県伊丹市)は2日までに、「鶏の遺骸(いがい)を埋める溝の掘削については災害派遣に該当するので派遣可能」と回答した。
自衛隊は京都府から正式な派遣要請があれば、派遣に応じる方向というが、活動時期については「民間業者の作業が着手されるまで」としている。


毎日新聞より「浅田農産、大量死中に20万羽引き取り要請

浅田農産船井農場の鶏インフルエンザ問題で、鶏が大量死を続けていた最中の2月23日、浅田社長が兵庫県八千代町の鶏肉処理業者「アリノベ」(有延秀男社長)に対し、当初予定していた取引とは別に急きょ、同農場にいる20万羽すべての鶏を引き取るよう依頼していたことが1日、アリノベの有延秀棋専務が明らかにした。
船井農場で大量死が始まったのは2月20日。
有延専務によると、もともと2月25~27日に2万5000羽の引き取りを予定していた。ところが、23日になって浅田社長から「卵の相場が低落しており赤字になるだけなので、鶏を全部出して鶏舎を空っぽにしたい」と、合計20万羽分の追加取引の要望が来たという。
唐突な申し出は十数年来の取引でも初めてだったが、鶏卵相場は昨年12月から低落し、養鶏業者の倒産が相次いでいることから「浅田社長も大変なんだろう」と承諾したという。
数量が多いため、他の加工業者にも声をかけ、3月20日までかけて引き取る段取りをしたという。この日程についても有延専務側は「3月23日までに」と提示したのに対し、浅田社長は「(3月)20日までに」と求めたという。
その後、アリノベが2月25、26日に計約9900羽を引き取ったところで、27日に船井農場での鳥インフルエンザ陽性反応が明らかになった。


産経新聞より「全羽出荷と大量死とは無関係 養鶏場が謝罪会見

浅田農産の浅田秀明社長(41)らが2日、姫路市の同社で記者会見し「農場で飼育しているすべての鶏の出荷を計画したが、大量死とは一切関係ない」と説明した。
引き取りを持ち掛けられたアリノベ側は「大量死を知り、出荷を延長したかったのでは」(有延秀棋専務)と指摘していた。

浅田社長らによると、陽性反応が出る前日の26日には有延専務に大量死の事実を伝えたが、専務は「インフルエンザの解剖所見は一切見られないから大丈夫だろう」と話し、入荷を拒まなかったという。
さらに「26日夕、アリノベ側に出荷停止を申し入れたが、『枠を空けてあるから止められたら困る』と断られた」と述べた。
出荷は陽性反応が出た27日からストップした。


毎日新聞の記事では、アリノベは浅田農産から20万羽の引き取りを緊急に求められたと述べている。
産経新聞の記事では、これを受けて、浅田農産はアリノベが20万羽を継続して納入してくれないと困ると述べている。
ここまで、事実関係が相反するというのは珍しい。アリノベ側は、おそらくは極めて安く契約できたから「納入してくれないと困る」とは言ったであろう、しかし契約自体が「健康なニワトリ」を対象にしているのは明らかで、常識的に言えば、動物(魚も同じ)は食材や飼料の原材料であるから、使用に耐えるつまり新鮮で問題が無いのであれば、実際の動物の生き死には直接には関係しない。しかし、あくまでも商品として流通可能なものを対象にした契約であることは自明であり、家畜伝染病予防法で移動禁止になるような病気では無いことを出荷者は保証する義務を負って契約すると考えるべきだろう。
20万羽(24万羽ともいわれる)を飼育している鶏舎で1日で1万羽近くが死ぬような状況で、鳥インフルエンザを疑わないというのは合理的な判断とは思えない。

3月 2, 2004 at 01:27 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2004.02.28

鳥インフルエンザ・大事件化?

日経新聞より「(2/28)鳥インフルエンザ、兵庫に出荷の鶏も陽性

浅田農産船井農場から兵庫県八千代町に生きたまま出荷された鶏について簡易検査の結果、鳥インフルエンザ陽性反応を確認した。
浅田農産(兵庫県姫路市)の対応の遅れが指摘されており、陽性反応の広がりで、今後同社の姿勢が厳しく問われそうだ。

同農場は卵を産まなくなった鶏を25日に約8800羽、26日に約6700羽、八千代町の食鳥処理場に出荷した。
八千代町に出荷された鶏合計15500羽のうち5600羽は愛知県豊橋市の処理場が生きたまま引き取った。
この5600羽はすでに食肉用に加工され冷凍室に保管されており、近く廃棄する。豊橋市までの運搬では名神・東名高速道路が利用されることが多いことから、愛知県は同道路の両側5キロの範囲にある養鶏農家の健康状態の聞き取り調査を進めている。

「(2/28)死んだ鶏は6万7000羽に」

浅田農産船井農場では、28日までに死んだ鶏は6万7000羽になった。山田啓二京都府知事は28日、同農場に対し、生きている鶏を含め飼育していた20万羽すべてを自主的に処分するよう指導する方針を明らかにした。

産経新聞より「大量死発生、慌てて出荷…京都の養鶏場」

鳥インフルエンザウイルス陽性発覚前に生きたままの鶏約1万5000羽を出荷した浅田農産(兵庫県姫路市)の浅田肇会長は28日、大量死に気付いた直後に「死んだら引き取ってもらえない」と当初予定を早めて出荷していたことを明らかにした。
出荷した鶏から陽性反応が出たことについて、浅田会長は「移動させた判断が甘かった。責任を感じている。謝罪したい」とし、日本養鶏協会(東京都)の副会長など業界関係の役職を辞任する意向を示した。
浅田会長は「体が弱った鶏を処理場に出すのは業界では一般的。鳥インフルエンザとは思わなかった」と釈明した。

浅田農産の一連の行動は防疫上の観点から論外であって、ほとんど犯罪的とも言えるが、法的には違法とは言えないようです。しかし「鳥インフルエンザだとは思わなかった」というのは、一般常識としてこの時期に大量死が起きても鳥インフルエンザだと思わないというのが無理があるし、第一防疫の観点からは移動させずに検査することが優先されて当然だろう。まして浅田農産の会長は日本養鶏協会の副会長である。業界の指導的な立場にある会社のやる事ではない。

2月 28, 2004 at 10:15 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)

京都の鳥インフルエンザ問題・深刻化

朝日新聞より「生きた鶏1万5千羽出荷、京都の鳥インフルエンザ問題」

浅田農産船井農場で鶏が大量死が続いているさなかにも、生きたままの鶏1万5000羽以上が出荷されていたことがわかった。

この養鶏場には、10棟の鶏舎があり約19万羽を飼育していた。
採卵をし採卵に適さなくなったニワトリを生きたまま出荷していたようです。
ニワトリの死亡は、18日101羽、19日118羽、20日1043羽、26日に7000羽と急激に増加した。しかもこれが、2棟の鶏舎で集中しているというだが、19万羽を10棟で均等に割れば、1棟当たりのニワトリの数は2万羽で、あるから2棟で4万羽が飼育されていたことなる。その4万羽の中で、2万羽以上が死んだ。これでも異常だと届け出しなかったというのはどういうことなのだろう?いったいどうなれば届け出したというのか?
これでは、浅田農産船井農場には鳥インフルエンザに対処する当事者能力は無いと言わざるをえまい。

2月 28, 2004 at 01:18 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.27

京都の鳥インフルエンザ続報

読売新聞より「京都で鶏1万羽死ぬ、5羽から鳥インフルエンザ陽性」

京都府は27日、同府丹波町の養鶏場「浅田農産船井農場」で鶏計約1万羽が死に、高病原性鳥インフルエンザウイルスの簡易検査で、死んだ3羽と生きている2羽から陽性反応が出たと発表した。検体を茨城県の動物衛生研究所に送り、最終的な確認を急ぐ。

山田啓二府知事は同日、対策本部を設置、養鶏場から半径30キロ以内にある府内の養鶏場39か所に対し、鶏卵や鶏肉の移動自粛を要請した。この範囲には大阪府と兵庫、福井両県の一部も入り、兵庫県も鶏・卵の移動自粛を要請した。京都府は、船井農場を経営する浅田農産(兵庫県姫路市)に対し、出荷済みの鶏と卵の回収を命じた。


「鳥大量死、1週間通報せず…業者の対応に政府が憤り」

1週間近く前から鶏が大量死していたにもかかわらず、業者が関係機関へ通報しなかったことに、厚生労働省や農水省では憤りの声が相次いだ。

厚労省では、地元の保健所を通じてただちに国に報告するよう各自治体に要請している。今回は業者側の協力がなかなか得られず、同省によると、地元の保健所では、27日朝の時点で、まだ養鶏場の従業員名簿も入手できていない状況だ。
坂口厚労相は「全国的にインフルエンザウイルスが広がり、どこでも起こりうると考えなければならない」と危機感をあらわにした。
亀井農相も、最初の鶏の死亡から約1週間後の発覚に、「対応が遅れたと考えられる。残念な結果だ」と述べた。


「連絡なく、残念…鳥インフルエンザで府が会見」

午前6時半、京都府庁で農林水産部長ら3人が緊急会見した。「鶏舎の責任者は『1万羽が死んだ』と言っている」と報告したが、この段階では、簡易検査の結果は、まだ陰性だった。

午前9時、知事を本部長とした対策本部を緊急招集、青合部長が「3羽が陽性でした」と説明すると、幹部約20人らは一様に厳しい表情になった。

すでに死亡した鳥の処分などについて府は「具体的には把握できていません」と言うだけだった。


政府や自治体でなくても「1万羽の死んだニワトリの処理が分からない」では「これは大問題だ」と思わざるを得ない。
当該企業である、有限会社浅田農産は検索した範囲では大きな会社である。それが、なぜこのような対応をしたのか?これは非常に大きな問題だと思う。

2月 27, 2004 at 01:37 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (0)

鳥インフルエンザ・京都府丹波で発生か?

産経新聞より「京都の農場鶏で1万羽死ぬ 鳥インフルエンザか」

京都府は27日、同府丹波町の採卵養鶏場で鳥インフルエンザの疑いがある事例が発生したと発表、養鶏場に対して卵の移動自粛を要請した

養鶏場は10数万羽を飼育し、府に対し「2月20日ごろから毎日約1000羽、合計約1万羽が死んだ」と説明しているという。

家畜保健衛生所は27日未明に立ち入り検査を実施。簡易検査を実施したが、結果は「陰性」だった。

府に26日、「丹波町の養鶏場で鶏が毎日死んでいる」との匿名電話があったという。

今月19日、府は鳥インフルエンザへの注意を呼び掛けるため同養鶏場に立ち入り調査したが、その際は「異常はない」と説明を受けたという。


伝染病は、情報を公開してその地域を隔離するのが一番古い対策で、一般に防疫と呼ばれます。家畜や農産物の伝染病流行では、直接的に経済的な被害が生じるので今までも何度と無く、情報が隠されてかえって流行が大規模になった例がいくつもあります。
非常に根強いうわさといった感じで、今回の鳥インフルエンザは中国で1997年以来ズーと小規模な流行が続いていた、という話しもあります。
また、タイでの大流行は、鳥インフルエンザであると確定して隔離などの処置をとるまでに、何ヶ月もかかったためにこの間に全国にウイルスがバラ撒かれた、とも言われます。

10数万羽のニワトリを飼育している施設で、このような情報隠しのようなことが起きたことの方が重大なことだと思います。

2月 27, 2004 at 10:13 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.22

BSE、10頭目を確認

産経新聞より「10頭目のBSE確定診断 神奈川県が酪農家を検査へ

厚生労働省の専門家会議は22日、神奈川県平塚市の牛について、検査データから国内10頭目のBSEだと確定診断した。国内8頭目のような「新型プリオン」ではなく、従来のものと同じ型だった。神奈川県は同日、家畜伝染病予防法に基づき平塚市の酪農家に、一緒に飼っていた牛約60頭の移動制限を指示、23日に立ち入り検査して感染ルートなどの調査に乗り出す。この牛は1996年3月生まれの雌のホルスタイン。平塚市の酪農家が、昨年6月に廃業した同県秦野市の酪農家から購入した。秦野市の酪農家は廃業前、今回の牛を含めて20頭程度を飼育しており、神奈川県がほかの牛の行き先を調べる。

日経新聞によれば、「これまで感染を確認した9頭のうち、7頭が1995年12月から96年4月に生まれていた。

10頭目も96年3月ということで、この範囲内の牛であった。乳牛の寿命は3年~7年程度らしく、この点から推定すると日本国内でのBSE発生があるとすると、新たな感染源からということになりそうです。


朝日新聞より「米のBSE汚染、93年からか?米専門家が見解

米政府に報告書を提出した国際専門家委員会のユーリッヒ・キム委員長(スイス)は21日、東京都内で開かれた国際シンポジウムなどで、カナダが英国から93年に輸入した牛からBSEが見つかった事例があることに加え、米-カナダ国境では年間100万頭単位で生きた牛が移動していることなどを根拠に挙げた。

BSEの拡大は飼料に動物由来成分が入っていることで拡大した、食物連鎖とでも言うべき問題なので、牛の産地などを特定するよりも、飼料の追跡をした方が良いに決まっているが、量が膨大であることと、製造コストの問題で追跡のために品質保証をすることが出来ない、といった事情があるのだろう。
カナダとアメリカの間に牛の国境があるとは到底思えないわけで、島国である日本の方が検査態勢が簡単に出来るということなのだろうが、最初に問題になったイギリスでは1986年であり、96年つまり10年後に人間の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者が10人発生していたと報告された。食用の牛の年齢が平均5歳だとすると、最短であっても80年頃に感染した牛を食べた人がクロイツフェルト・ヤコブ病を発症したのが95年という15年つまり牛としては3世代目になって、人間への傷害が明らかになる計算だから、下手すると北米では今年あたりからクロイツフェルト・ヤコブ病の患者が見つかる可能性が出てきた、とも言える。

2月 22, 2004 at 11:56 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.17

鳥インフルエンザ・2件目

読売新聞より「大分の鳥インフルエンザ、「H5型」感染を確認」

大分県九重(ここのえ)町でペットとして飼われているチャボが死に、農水省は17日、高病原性鳥インフルエンザ・H5型の感染を確認した。大分県と、隣接する熊本県は17日、家畜伝染病予防法と農水省の防疫マニュアルに基づき、発生場所から半径30キロ以内の鶏や卵の移動を制限した。山口県阿東町の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは、感染が周囲に拡大していないことが確認されたため、農水省は、新たな発生がなければ当初予定通り、今月19日に移動制限を解除する方針。

この感染は、製材所がペットとして長年飼っていたチャボなので、感染した鳥を人が持ち込んだ可能性はほとんど無いでしょう。つまり、ウイルスそのものが野鳥が持ち込んだか、人が靴や衣服に付けて持ち込んだ可能性が高いことになります。それにしても、ごく小規模な感染でも発見できるというのは防疫体制として優秀だと思います。もっとも、半径30キロの範囲では、養鶏業者にとっては出荷はもちろん移動禁止であり、防疫のために人や車の移動などにも制約が掛かり大変だと思います。

毎日新聞より「タイ産の鶏肉加工品の輸入再開で合意」

亀井善之農相とタイのソムキット副首相は17日、農林水産省内で会談し、鳥インフルエンザで輸入停止になっているタイ産の鶏肉などの加工品について、早ければ今月中の輸入再開を目指すことで合意した。ウイルスを死滅させる加熱基準や施設の衛生条件について合意した後、日本の専門家が現地調査したうえで輸入を解禁するが、現地調査などの時間が必要で、3月にずれ込む可能性もある。加熱していない鶏肉などは、タイ国内での発生が終息するまで輸入しない。

加熱(70度と言われる)すればウイルスが死滅するので、現地において適正な処理をすれば、食肉の輸出入に問題が無いことの実際的な証明になります。アメリカのBSE問題に対しても影響すると良いと思います。

2月 17, 2004 at 11:06 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.14

鳥インフルエンザ・最新情報

日経新聞より「(2/14)鶏・卵の出荷、19日解禁へ」

山口県阿東町で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、農林水産省は14日、今後感染の兆候がなければ発生農場から半径30キロ以内の鶏や卵の移動制限を19日午前零時で解除できるとの見通しを山口県に伝えた。

山口県阿東町の鳥インフルエンザは半径30キロを移動禁止して、とりあえず拡大を食い止めることに成功したというべきでしょう。他国での感染拡大は、半径3キロの移動禁止など、日本の対策とのレベルの差によって生じたとしか思えません。


「(2/13)中国産鳥肉加工品も輸入再開へ」

日中両政府は13日、都内で事務レベル協議を開き、鳥インフルエンザの発生で輸入を停止している中国産の焼き鳥など鳥肉(家きん肉)加工品の問題を巡って話し合った。日本は中国側が一定の衛生条件を満たすことを確認したうえで、輸入再開する方針。

まぁ食肉ではなく、加熱調理したものであれば、人間はもちろん鳥にも伝染性は無くなります。従って、中国もタイも日本が認めるレベルで加工品つまり調理すれば、問題なく輸入できるわけですが、そのための工場設備は日本が衛生規準を満たしていると認定したところに限らざるを得ないわけで、これから作ることになるでしょう。その費用や、その後の継続的な輸入を保証しないと先方もなかなか踏み切れないでしょうね。ODAを当てはめるべきなのでしょう。

2月 14, 2004 at 11:44 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.12

鳥インフルエンザ・拡大

東京新聞より

「7カ所で新たな感染疑い中国の鳥インフルエンザ」

中国農業省は鳥インフルエンザが45カ所に広がったと発表した。

日経新聞より

「(2/11)ベトナムの鳥インフルエンザ、感染者20人に」

ベトナム、世界保健機関(WHO)は10日までに同国で18人の感染と、うち13人の死亡を確認している。


「(2/10)米の鳥インフルエンザ拡大の兆し、2例目が発生」

米デラウェア州で2例目の鳥インフルエンザが発生した。新たな発生地点は第1例目の発生地点から8キロ以上離れたところ。


鳥インフルエンザは今も急速に拡大しています。日本の山口県での鳥インフルエンザ発生は、発生地点の半径30キロを隔離してニワトリ類の移動を禁止しました。その結果、今タマゴが余って処理に苦労しています。
一方、日本よりちょっと先に発生した韓国では半径3キロを隔離しましたが、その後もジワジワと感染地域が広まっています。アメリカのデラウェア州の隔離措置も半径3キロのようです。これらの例から見ると、半径3キロの隔離では、感染防止には不十分であるようです。


「(2/11)ベトナム、鳥インフルエンザ感染防止策を緩和」

ベトナム政府が鳥インフルエンザ感染防止策の緩和に動きだした。処分拡大が養鶏産業に打撃を与えかねないうえ、環境問題も浮上しているためだ。
感染地区の半径3キロ以内のすべての家禽類の処分を命じ、3200万羽を処分し感染のおそれがある物品の移送を禁止してきた。
しかし処分の拡大が続けば「養鶏産業の回復が難しくなる」(レ・フイ・ゴ農業・地方開発相)。補償が財政を圧迫する恐れもある。家禽類への感染は全体の23%にすぎず、非感染地区では飼料不足により飼育が困難になりかねないとの苦情も出ていた。さらに、家禽類は焼却したり土に埋めたりしているが、土壌や地下水が汚染するとの懸念も強まっている。

「(2/11)WHO、東南アジア以外で人への鳥インフルエンザ感染を警告」

世界保健機関(WHO)は11日までに、鳥インフルエンザ(H5N1型)感染が急速に広がっているベトナムやタイ以外の国でも、人への感染が起きる可能性が十分にあると警告した。WHOは、当面の経済的損失よりも、人に感染して大流行になる事態の方がはるかに深刻なので、鳥インフルエンザ対策を最優先すべきだと強調した。


ところが、容易に理解できますが、日本でも所沢の野菜など生産物の出荷停止や隔離措置そのものが地域の産業に大きな影響を与え、規模が大きくなれば国家経済にも深刻な影響を及ぼすでしょう。
今回の鳥インフルエンザ騒動の大きな問題は、中国やタイなどで鳥インフルエンザとして、早急に情報公開し厳重な措置を取るのが遅れたことが、大規模な感染になった一因であることは確かでしょう。
また、東アジアでは日本以外で広く生きたニワトリなどが市場で取引され家庭にそのまま入り込むことが、感染拡大の要因でしょうが、これはライフスタイルの問題ですから、簡単に変わるはずもありません。
依然として、鳥インフルエンザは危機的な状況にあり、人間への感染も少しずつ増えていくのではないかと思います。

2月 12, 2004 at 12:42 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.10

鳥インフルエンザ情報いろいろ

日経新聞より

「(2/10)中国、新疆など4カ所で鳥インフルエンザ感染確認」

中国農業省は10日、江西、湖北、雲南の3省と新疆ウイグル自治区で鳥インフルエンザ感染を確認した。

今回の鳥インフルエンザの流行の原因が1997年の香港での、人への感染・死亡事件以来、潜伏していたものが中国国内で少しずつ感染範囲を広げてきたのだが、それを中国政府が公開しなかったために、タイやベトナムで一気に広がったという説があります。


「(2/9)ベトナムで新たに感染3人確認――WHO発表」

世界保健機関(WHO)は9日、ベトナムで新たに3人が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染したと発表、6歳の子供と24歳の男性はホーチミン市の病院で死亡。ベトナムの死者数は13人となった。

ベトナムだけが圧倒的に人への感染と死亡が多いのは、単に他の国では発表がないからでしょうか?であるとすると、「人への感染の可能性は少ない」という話し自体が怪しいということになってしまいます。


「(2/8)米、日韓の家禽肉輸入停止に楽観論――鳥インフルエンザは一部の地域」

農務省報道官はデラウェア州の鳥インフルエンザはH7型で、アジアで流行しているH5型とはタイプが違うとしたうえで「人間に感染するという証拠は何も見つかっていない」と強調した。

この報道官の発表は、家畜伝染病に関する基本的な知識の欠如と言えます。
なぜ、何万羽ものニワトリを殺処分するのか?人間への感染の可能性が無くなるからなのか?そんなことはありません。
ニワトリからニワトリへの感染を防止するために、殺処分にするわけですから、輸入禁止措置や日本や韓国などの移動禁止措置も同じ事です。どこまでいっても、人間への感染の危険性とは別の問題であって、この報道官の言う「人間への感染への可能性が無いに等しいから、輸出再開が出来る」では、農務省としての責任ある発言とは言えません。

国立感染症研究所(IDSC)感染症情報センターが発表している、鳥インフルエンザの分布地図が次の通りです。

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2月 10, 2004 at 11:45 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.08

続・アメリカで鳥インフルエンザ

日経新聞より

(2/7)農水省、米国産鳥肉の輸入を一時停止

農水省は7日夜、鶏肉など米国産の鳥肉(家きん肉)と加工品の輸入を一時停止したと発表した。シンガポール、韓国も同日、同様の措置をとった。米国産鳥肉は日本の国内供給量の約3%を占めている。米国からの鳥肉の輸入量は2002年度で約5万トンで、全輸入量の約1割を占める。タイ、ブラジル、中国に続く4番目の輸入元。

こうなると、鶏肉の価格上昇は確実ですし、ブラジルの対応も時間がかかるとのことで、とりあえずは相当な品不足になりそうです。

FAフォーラムに書きましたが、一斉にウィルス性の病気が人間では SARS 動物では鳥インフルエンザとして世界的に一斉に現れた感じですが、これは抗生物質の使いすぎの結果じゃないでしょうか?

今回の鳥インフルエンザの原因が、1997年の香港での人間への感染を完全に封じ込めるのに失敗したので、より強い伝染性を獲得した結果として大流行になったという説があります。

2月 8, 2004 at 11:22 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

アメリカで鳥インフルエンザ?

読売新聞より

米国東部デラウェア州の当局者は、6日、同州ケント郡の養鶏農場で鶏の間に鳥インフルエンザ感染が確認されたため、農場の鶏約1万2000羽の処分を命じた。州当局によると、確認されたウイルスはH7型でアジアで拡大しているH5N1型ではない


ということなので、デラウェア州のサイトをウロウロしたのですが、探し方が悪いのでしょうが、読売新聞の記事の内容を見つけることは出来ませんでした。また、他の新聞(CNN、AFPを含む)でも見つけることが出来ませんでした。現時点(2004/02/08 01:10)ではこの記事だけのようです。
つくばの動物衛生研究所鳥インフルエンザに関する説明によれば

わが国では1925年H7N7、2004年1月山口県でH5N1亜型の発生
香港(1997年、H5N1)、オーストラリア(1997年、H7N4)、イタリア(1997年、H5N2)およびイタリア(1999年、H7N1)、オランダ(2003年、H7N7)、韓国(2003年、H5N1)、ベトナム(2004年、H5N1)、
2004年にH5N1亜型の感染がベトナム、タイ、カンボジア、中国、ラオス(H5亜型)、インドネシア(亜型不明)、
台湾では弱毒のH5N2亜型、パキスタンでは強毒H7亜型が。

との発生事例が報告されている。

2月 8, 2004 at 01:42 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.02.07

ヘンなニュース

塩と間違え“粉せっけん”でおにぎり小学校児童が吐き気。
産経新聞などによれば、神戸の市立小学校で、女性教諭(53)が教室にあった粉せっけんを塩と間違えておにぎりを作り、口にした児童が吐き気などを訴えた。教諭は「容器の中身をずっと塩だと思い込んでいた」

なんでつまみ食い」でも「試してみるでもしないのだ?
なんかモノを食べるということ自体がヘンになってないか?そりゃ好き嫌いとかはあるだろう、しかし自らの身体を守るという観点から、落ちているジュースなんか飲まないように、教えるべきだろうし、それは常識でしょう。なんか、自分の安全を他人にゆだねて、それが当たり前だと言うのは間違えだと思うが、悪徳商法に引っかかる人も「この会社は信用できるのでしょうか?」と他人に判定をあずけている、ヘンだと思うぞ。


住基カード不正取得で男逮捕・佐賀県警
朝日新聞などによれば、住基カードを不正取得した男が逮捕された。予想通り消費者金融での身分証明に使っていた。不正取得された被害者と犯人は知り合いであった、被害者が「あいつではないか」と指摘したことで逮捕されたのだが、
どうやってカードを自分で受け取ることが出来たのか?であるが、犯人の知人に「封筒が届くから渡してくれ」と頼んだとのことです。この程度のことで他人になりすますことが出来るのでは、住基カードなんて危なくてしょうがないではないか?なんで本人の現住所に通知が行かないのだ?

アメリカでは社会保障番号に身分証明を一本化してしまったために「身分を盗まれる」という事態が深刻化している。日本でも、健康保険証を使うことでニセの身分を作ることが出来るが、健康保険証、免許証・・・・と身分保障の手段が分散しているから、ニセの身分証明を作ること自体が大変で、これが身分を盗まれることが少ないということになっている。

住民基本台帳については、ネットの安全性の話しばかりがニュースで取り上げられ、長野県、杉並区、横浜市などでは混乱ぎみであるが、住基ネットはコンセプトが古すぎて、インターネット以前のデータ集積型データセンター方式である。つまり、物理的な破壊には極めて弱いもので、ネットワーク関係者からは批判が多い。また、集中化の欠陥についてはカード取得といういわばセキュリティホールの問題だということは気づいていなかっただろうか?無視しているのだろうか?

2月 7, 2004 at 11:15 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.06

鳥インフルエンザ豚に広がる?

読売新聞より

AFP通信などによると、国連食糧農業機関(FAO)ベトナム事務所長は6日、ハノイのすでに鶏からこのウイルスが検出された地域の複数の豚から鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を検出したことを明らかにした。

豚は鳥と人のウイルスの両方に感染しやすいため、豚の体内では、人への感染力を強めた新型ウイルスが出現する恐れがある。

バンコクのFAOアジア太平洋地域事務所は検査結果について「正式発表まで話せない」としている。

国立感染症研究所の谷口清州・感染症情報センター室長は「新型ウイルスの出現の可能性を正確に把握するため、豚への広がりを早急に調べる必要がある」と話している。

ジュネーブの世界保健機関(WHO)の報道官は6日、ベトナムで豚から鳥インフルエンザH5N1型のウイルスが見つかったとされる問題について「現在、米国、ベトナムの研究者が、鳥インフルエンザの感染地域にいる豚約300頭から検体を採取し、調査を行っているが、現段階では、豚の感染は確認されていない」と述べた。

インフルエンザは、中国のアヒルとブタを同時に飼っている地域でブタのインフルエンザ感染(抗体)を検査することで、人のインフルエンザ予想を出してワクチンを準備できるほど、ブタが鳥インフルエンザに感染したのであれば、人にも鳥インフルエンザの感染が予想の範囲に入った来たと言えます。

いまのところ、ブタの感染が確認されてたとは言えませんが、いままでの経緯から、ある程度以上は危険度の上昇と言えます。

インフルエンザの史上最初の流行はスペイン風邪と言われています。1914年に勃発した第一次大戦の最中である1918年5月末、マルセイユで風邪が流行し始め、15日間で西部戦線の両軍兵士の間で蔓延し、全世界に広がり、全世界で2000万人から6000万人が死亡しました。

最近になって、スペイン風邪の死者でアラスカに埋葬されていた遺体から鳥インフルエンザのウイルスが確認されたという話しが伝わって来ています。

2月 6, 2004 at 10:53 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.05

鳥インフルエンザあれこれ

いろいろな情報が出てきましたが、どうやら今回の鳥インフルエンザの流行は1997年に香港での人への感染以来中国本土で潜伏していたウイルスがより毒性を高めて大流行に至ったという説が出てきました。

中国農業省も国内の防疫体制が不十分あると認め、さらに拡大の可能性があることを示唆しました。
また、新たに7カ所で感染の疑い出て、12の省、自治区、直轄市の21カ所になりました。

英国タイムス紙は中国で鳥インフルエンザですでに数十人が死亡している可能性があり、それを中国当局が隠蔽していると伝えた。

ベトナムでは11人目の死者が出ました。

タイでは、タイの鶏肉の総輸出額の約半分を占める日本が輸入禁止措置を取ったために大打撃を受け、ワタナー商業相は「これ以上禁輸が続けば、日本などへの報復措置も検討する」と語った。

2月 5, 2004 at 11:27 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.29

鳥インフルエンザ、色々な問題

タイでは全国76県の内、前日の25県から31県に拡大したことが確認された。タイで処分された鶏は1000万羽にのぼった。

英科学誌ニュー・サイエンティストの電子版は28日、鳥インフルエンザの発生時期は「昨年上半期」で、流行源は中国と見られると報じた。

動物園に大丈夫か?学校の飼育当番は安全か?との問い合わせ。

台湾でアヒルに感染、1万羽を処分。

鳥インフルエンザの人への感染が確認されたのは、1997年に香港で感染した18人のうち6名が死亡した例とされています。ニュー・サイエンティストはこの時に中国で防疫に失敗したと報道しています。タイでの大流行も当初タイ政府が鳥コレラであるとして、対処が遅れたことが原因であるとされている。これらはいずれも、昨年のSARS流行における情報開示の遅れが世界的な流行にしたと言われたことと、同根であると言われても仕方ないだろう。EUではペットの鳥の輸入を規制した。

1月 29, 2004 at 11:18 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.28

拡大続く鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザは、バンコックで13ヶ国の閣僚級会合を行った先から、バンコック市内でウイルスが検出されるなど、拡大は続いています。
単に家禽の大量死とか日本では輸入先が確保できない、といった問題から価格の上昇、人間への感染、渡航注意勧告とさまざまな方面に同時に問題が起こり始めました。

バンコックでの緊急閣僚会議の共同声明案では「鳥から人への感染について、深刻な問題である」とする一方で「人から人への感染の証拠はなく、観光旅行などには影響がなく、渡航制限の必要はない」となるもようです。

感染地域は、タイ、ベトナム、中国、香港、日本、韓国、パキスタン、インドネシア、カンボジアの9ヶ国と地域が確認されていいます。
WHO(世界保健機関)は鳥インフルエンザが人の伝染病とはしていませんが、アメリカ疾病対策センター(CDC)は渡航者に「家禽の飼育場や、家禽のふんで汚染されている可能性がある場所に足を運ばないように」と注意を呼びかけました。

ベトナムで女性2人の死亡が確認され、ベトナムの死者は8人になりました。タイでは2人の死亡が確認されています。

タイから鶏肉の輸入先を中国に変更する計画をした、牛丼チェーン、ファーストフード、コンビニ、ファミレスなどはさらなる輸入先の変更を迫られていますが、鶏の3大供給地の最後の一つブラジルは来日中の農業使節団が記者会見を開き、積極的な鶏肉輸出体制をアピールしています。
すでに、ブラジル産鶏肉の卸値は前週末より45%の値上がりとなっています。

1月 28, 2004 at 11:30 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

中国で鳥インフルエンザ

26日に「中国ではアヒル200羽が死亡しました」と書きましたが、27日午前中の段階では外交ルートで「中国政府は中国では鳥インフルエンザは確認されていない」という報道がありました。ところが、夕方には日経新聞に「(1/27)中国産鳥肉の輸入停止、鳥インフルエンザ確認で」との記事が出ました。

この記事によれば、
中国からの鶏肉の輸入は12万2000トン(2002年度)で全輸入量の24%。
タイ、ブラジルに続く3番目の輸入先。
焼き鳥など加工品の輸入は14万6000トンで、全輸入量の65%。

タイ、中国産を合計すると、国内需要の2割近くの鶏肉。
鶏肉の加工品(焼き鳥など)については輸入量の約98%。となっています。

日本は鶏肉を年間173万トン消費(2002年度)し、約54万トンを輸入している。
鶏肉の輸入はタイから19万トン、中国から12万トンで合計31万トン。単純に言って鶏肉の輸入は6割減となってしまう。
言うまでもなく、輸入している鶏肉と加工品は安いもので、高級品は国産であるので、鶏肉は価格上昇になることは確実でしょう。

1月 28, 2004 at 12:27 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.27

2004年1月は大事件連発

SARSふたたび

SARSの感染者が確認された。幸い、素早い患者の隔離と、事実の公表によって流行になる気配は無いが、前回に流行した地域でまた患者が出たこと、ハクビシンからSARSウイルスが検出されたことを考えると、公衆衛生の問題というべきだろうと思う。

鳥インフルエンザの大流行

人間への感染によって死者が出ている。現在のところ人間の間での感染は起きていないが、可能性はあるとしてWHOも警戒態勢に入っている。
東アジア全体が感染地域と言ってよいので、伝染病としては近年にない大規模なものと言える。

イラクの大量破壊兵器は元々無かった?

大量破壊兵器発見のための米調査チームのデービッド・ケイ団長(CIA特別顧問)は「イラクに大量破壊兵器は存在しない」との見解を示した。
パウエル米国務長官も「開戦前に旧フセイン政権が保有していなかった可能性がある」との見方を示したと伝えた。

ドル安

円が買い支えた形になって、円・ドル安のユーロ高になってしまった。
そのために金価格などが上昇している。2003年10月から10%も上昇してしまった。さすがに、アメリカの経済立て直しの話しが出てきているが、日本は参議院選挙でアメリカは大統領選挙があるために、為替はそうそう動かせないだろう。

BSE騒動決着の見通し無し

アメリカでカナダ産といわれるBSE(狂牛病)発見は、一方では牛丼業界の右往左往とか、シカゴ市場での牛の価格の暴落、オーストラリアでの暴騰といった経済問題の側面を明らかにした。
その一方、アメリカのBSE対策が日本や韓国など輸入国の消費者を納得させるようなものではないことも明らかになり、BSEに耐性のある牛を遺伝子操作で作ろう、などという話しも出てきて、さすがに「牛には動物性の資料を与えなければよいだけの話しだ」と強い非難が起きた。

自衛隊のイラク進出

わたし個人としては、国際関係の点からは自衛隊を送るのは正しい選択だと思うが、NGOの派遣が済ませることが出来る今まで国際協力をしてきた地域に比べると、かなり危険だろう。だからこそ、武装を強化して送り出したわけだ。
事実上の戦闘になった場合に、対処する法律が体系的に整備されていないことを考えると、無謀に近いのでは?という面も強く感じる。何事もなく無事な帰還を願うばかりである。

1月 27, 2004 at 01:43 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.26

鳥インフルエンザ深刻化

鳥インフルエンザについては、一度に幾つかの問題が出てきたようです。
一つは感染地が、複数の国に広がっていることが明らかになってきたこと。
もう一つは、人間が感染して死亡したとされる例が出てきたこと。
三番目は、政治危機になりそうなことです。

タイは初の鳥インフルエンザによる六歳男児の鳥インフルエンザ感染による死亡を発表しましたが、ベトナムで6人が死亡しているので、7人目ということなります。ベトナムでの6人目の死者はホーチミン市で初めて発生しました。これまでの5人の死者はいずれもハノイであったので、北部ベトナムから南部ベトナムに拡大したことになります。

さらにインドネシアでも流行が報告され、中国ではアヒル200羽が死亡しました。

これら鳥インフルエンザの急速な拡大に対する、政府の対応について、タイのタクシン首相は、情報を隠していたというして非難されています。
同様にインドネシア政府に対しても、公表が遅れたとして政府が非難されています。

このため、大量の家禽が死んでしまい、タイ900万羽、インドネシア1000万羽、といったばく大な損害になっています。以前紹介したように日本の鶏肉需要は年間173万トンですから、およそ日本の需要の内1%程度が数の上で消えてしまった、と推定されます。もちろん、処分されたり病死した鳥のすべてが日本に鶏肉として輸出されるはずもないわけで、もし日本が全量を輸入している場合には、鶏肉需要の10%程度が生産地で減少するといった事態だろうと想像できます。

1月 26, 2004 at 02:28 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.23

タイ産の鶏肉、輸入一時停止

農水省はタイからのニワトリの肉など家禽(かきん)類の肉の輸入を一時停止した。
これは、タイの上院議員(医師)が3人の鳥インフルエンザ感染者とみられる患者を検査した結果、1名が鳥インフルエンザ感染者であることを確認した、との情報を受けてのものである。

日本は鶏肉を年間173万トン消費(2002年度)しており、約54万トンを輸入タイ産の鶏肉は約19万トンである。つまりタイは日本が輸入する鶏肉の1/3を供給し、日本全体の鶏肉消費の1割をまかなっていたことになる。

タイ政府は3万羽の鳥コレラ感染を確認し、予防措置として85万羽を処理したとしている。

タイ産の鶏肉は、低価格ということでコンビニや外食産業で多く使われ、スーパーで販売されているのは、ほとんどが国産鶏肉、ケンタッキー・フライドチキンも国産鶏肉を使用している。

今回の農水省の措置は家畜伝染病予防法にもとづき「感染の有無がはっきりするまで、念のための措置」としている。確認以前の段階で家畜伝染病予防法を適用したのは、BSEでのアメリカの輸入禁止措置解除要求に対して「全頭検査と同等の措置」を要求しているのと軌を一にする行政姿勢であると評価できる。
ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)では、外食産業も「消費者の安心を保証するためには全頭検査と同等の保証が必要」と主張していた。
つまり、農水省が消費者向きの行政を海外向けとは言え実施しているのは、かつての農林省が米の生産を代表とする、生産者保護の行政を行っていた時代から見ると180度の方向転換とも言えるが、これには背景があって、食糧庁が廃止され総合食料局になった時点で決まっていた方向と言えるだろう。

BSE対応について、アメリカが「消費者は心配するのではなく。理性で判断するべきだ」という消費者をバカにしたとしか思えない発言とは対照的であると思う。

読売新聞より
東京新聞より
ZAKZAKより
毎日新聞より
日経新聞より

1月 23, 2004 at 12:42 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.22

鳥コレラもすごいらしい

ロイターより

タイ政府、鳥コレラの感染拡大阻止に数百万羽の鶏を処分へ

 [バンコク 21日 ロイター] タイ政府は、鳥コレラの感染拡大を阻止するため、数百万羽の鶏を処分する意向を示した。

 昨年11月から鳥コレラが発生し蔓延した5地域で、大規模な処分を実施するという。

 同国の副農業・協同組合相がロイター通信に述べたところでは、鶏の大量処分が始まっており、向こう数週間のうちに、さらに数百万羽が処分される。

 鳥コレラの発生により、毎年10億羽を養鶏し、輸出により10億ドルの利益を生み出している国内主要産業が打撃を受けている。

鳥コレラというのは知らなかったので、ちょっと検索してみました。
2000年ぐらいから、韓国での水鳥の大量死があるようで、症状としては敗血症のようです。ただ、水鳥で大流行になった理由が、越冬時に一ヶ所に集まるために急速に伝染したとのことで、ニワトリについても集中飼育が流行の原因なのでしょうね。

それにしても、100万羽のニワトリの処分とは、ちょっと想像しがたいですね。

1月 22, 2004 at 12:56 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.01.19

BSE問題・続報

アメリカとカナダでのBSE調査の結果が出始めました。

日経新聞より

禁止肉売る闇ルートも、米BSE検査官らが証言

BSEでは規制のすり抜けによってかなり時間を掛けて広まったことが知られています。イギリスでのBSE(当時は狂牛病)が報告されたのは1986年です。これは、今のアメリカの言い方では「へたり牛」と呼ばれる牛が歩けないという病気でした、これが人間に感染し新型クロイツフェルトヤコブ病とした知られるのが1996年です。羊の経験などで草食動物に肉骨粉などを餌として与えることで、病気が広まっていると考えられて、イギリスでは肉骨粉の販売が禁止になります。その結果、販売先がヨーロッパ大陸に広がり、ヨーロッパで禁止になると、日本などに販売されるという形で、広まって来たと考えられています。
食肉の流通にも同じような面があって、規制とすり抜けの繰り返しであったと言えます。そして、北米大陸でも同じ事が起きている、と言うべきなのでしょう。

そして予想通りに、動物性の飼料がカナダで使われていたことが判明しました。

カナダ産家畜飼料に動物性物質、米当局が確認

しかし、カナダ首相は日本が要求している全頭検査の必要を認めないと記者団に述べました。過去の経験では、政府首脳などがパフォーマンスとして安全性を強調するのは、かえって問題を目立たさせることになって、消費者が離れるという結果になっています。この記者会見はマイナスの効果になるでしょう。

カナダ首相「全頭検査は必要ない」

1月 19, 2004 at 12:48 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.17

鳥インフルエンザ、徐々に拡大?

読売新聞の記事によれば、台湾で鳥インフルエンザの感染が確認され約2万羽のニワトリを処分することになりました。一方、中国中央テレビは「中国では鳥インフルエンザの感染は確認されていない」と放送しました。

日経新聞によれば、山口県阿東町の鳥インフルエンザの感染原因が、一時有力だと思われた渡り鳥説に対して、農水省系の専門家から否定的な見解が出てきました。

阿東町の鶏舎では、7つある鶏舎のうち「1号鶏舎」「3号鶏舎」「2号鶏舎」「4号鶏舎」と感染した。つまり約半数の鶏舎で感染・死亡したのだが、距離が離れている鶏舎では全く死亡していなかった。阿東町の鶏舎は成鳥を飼育するところで、ヒヨコは系列会社の別の鶏舎で成鳥したものは導入していて、阿東町のニワトリはすべて同じ導入元(系列会社)から来たニワトリであるが、この系列会社の鶏舎では鳥インフルエンザは発見されていません。このため調査した農水省の食料・農業・農村政策審議会「家禽(かきん)疾病小委員会」は「1号鶏舎の1羽から感染が広がったとみられる」との見解をしめし、さらに、
韓国からの渡り鳥による感染に否定的見解を示した。感染源として、人やトラック、飼料などを挙げたうえで「元々病原性を持ったウイルスがこれらに付着して1号鶏舎の鶏に感染したのではないか」と推測した。

1月 17, 2004 at 09:47 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.01.14

鳥インフルエンザなど

鳥インフルエンザなど

山口県阿東町で発生した鳥インフルエンザは、新たに約2300羽が死に、これまでに死んだ数は計約8300羽になり、残りのニワトリ2万6千羽も埋め立て処分することになりました。半径30キロで規制すると言われますが、実に地図の通りです。韓国で昨年末に発生した鳥インフルエンザでの規制は半径3キロだったと言われます。

コイヘルペスウイルス、BSE、鳥インフルエンザと連続していてシャレになりませんが、アメリカのBSEは大変な問題になりつつあります。

米農務省は12日発表した最新の農産物需給予測で、同国初のBSEで各国の米国産牛肉輸入禁止が長引けば、今年の牛肉輸出額が前年比で91.5%減る恐れがあるとの見通しを示した。

アメリカとカナダは日本の全頭検査の要求に応じない姿勢のようですが、

国連食糧農業機関(FAO)は「多くの国でBSE管理体制は依然不十分。日本同様に全頭検査をするべき」と発表した。

アメリカの牛肉を各国が輸入禁止にしたために、オーストラリア産の牛肉の価格が急上昇している模様です。

感染牛が確認されていない豪州産に代替需要が集中した。東京地区の指標品(冷蔵)は5日、1キロ950円と米国産輸入停止直前の昨年12月23日と比べ270円(39.7%)高い。

鳥インフルエンザのウイルスは韓国・ベトナムで発生したものと同一の型であると確認されました。

農林水産省は13日、同県で確認されたウイルスは韓国やベトナムで流行しているものと同一のH5N1型だった、と発表した。

韓国では、鳥インフルエンザは制圧したと思われていましたが、新たな大量死がありました。

韓国の慶尚南道・梁山市は13日、の養鶏場で約1万8000羽の鶏のうち約4000羽が9日に大量死したため精密検査をした結果、鳥インフルエンザへの感染が確認されたことを明らかにした。
韓国では昨年12月15日に忠清北道・陰城郡で鳥インフルエンザ感染が確認されて以来、今回が16カ所目。今年に入ってからは2日に忠清南道で確認された1例だけで、発病時期も昨年であり、農林省では、韓国の鳥インフルエンザの流行は峠を越し、沈静化しつつあるとみていた。

鳥インフルエンザが大流行にならないのであれば、良いのですが鳥の価格が上昇するようだと、外食産業にとってはかなり大変な状況になるでしょう。

mfwmapserv

1月 14, 2004 at 12:17 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (3) | トラックバック (3)

2004.01.09

続・SARS混とん

広東省で大陸で二人目のSRAS感染者が確認された。患者は、野生動物を提供するレストランの女性従業員とされるが、一時否定の報道もあった。WHOも現地調査に入った。
一人目の感染者とされる、フリーのテレビプロデューサーは回復して退院したとのこと。

一方、香港で広州を取材したテレビクール3人がSARS感染との報道があったが、一部報道では内2名についてはSARSでは無いと確認されたとも言う。
SRAS(新型肺炎)の病原体であるコロナウイルスの宿主としてハクビシンが危ないということで、広州ではハクビシンの大量の処分が行われたが、これについて国際社会の多くから批判が出ている。

総合的にみて、ちょっと過敏反応では無いか?という印象が強いが、前回の流行と同じ地域での流行という点には、注意する必要があるだろう。
香港と広東省では相対的に大規模な流行になったが、上海では感染者が出ていない。疫学調査の必要があるのではないか?環境問題、食生活習慣の問題などがありそうに思う。

産経新聞より
読売新聞より

1月 9, 2004 at 11:26 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.01.05

SARS騒動混とん

台湾で研究者がSARSに接触感染して以来、二人目の患者として広州市で隔離されていた、フリーのテレビプロデューサーの感染が香港での検査の結果確認された。
その一方、フィリピンのマニラでは香港で家政婦として働いていて12月20日に帰国した女性が、SARS感染の疑いで隔離された。

さらに、一部報道では広州市で野生動物を扱うレストランの従業員の女性がSARS感染との報道があったが、広東省の衛生当局は記者会見を開いて感染に否定的な見解を示した。

予想以上に感染者が出ていると思うし、油断はできないと思う。

日経新聞
中国衛生省、広州市男性のSARS感染を確認
比保健省、新型肺炎感染の疑いで女性を隔離

CNN
広州SARS患者を確認、 フィリピンでも隔離

読売新聞
広州の女性、新型肺炎か…香港紙報道も当局否定的

1月 5, 2004 at 09:53 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.01.03

アメリカのBSE騒動

産経新聞にはBSEについて次の記事が出ている。
原則として、上が新しい記事である。

米、カナダ牛の輸入再開先送り
メキシコで牛肉価格30%上昇へ
DNA鑑定結果は来週前半 米BSE感染牛
「へたり牛」食用全面禁止 米農務省が追加安全策
米BSE余波…牛丼が消える? 吉野家、新メニューや休業増加へ
米、全頭検査に難色、BSEで初の対日協議
日本政府、米産牛禁輸緩和を検討
BSE感染牛 米政府発表「カナダから」輸入再開変更も
それでも食べる牛肉BSE感染牛がみつかった米
「結論は時期尚早」カナダ側が反論米BSE感染牛
カナダから輸入米BSE感染牛


記事のタイトルだけでもアメリカのBSE政策は支離滅裂であります。
この先どうなるんでしょう。

1月 3, 2004 at 09:10 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2003.12.20

RE2:SARSのデータ

>ところが注目するべきことは、上海はSARSの報告がありません。
>同じ中国でも北京、天津という大都会では報告あるのに、
>上海には無い。

トロントでは流行状態であり、アメリカ、ロンドンでも患者に接触したことで感染したと推定される患者が出ています。
日本ではアメリカやロンドンと同様に患者の報告はあったようですが、流行していないのは上海などと同じじです。

日本は島国ですから、ロンドンで流行しなかったのと同様なのかもしれませんが、ハノイやトロントの流行を考えると中国国内でありながら、上海では流行しなかった、ということの方が注目に値するでしょう。

明らかに、ほんの僅かな都市の機能の差がSARSを流行させてしまうか、どうかの分かれ目であったように見えます。
そして、上海は中国でもっとも近代化が進んでいる都会です。また、豊かな地域でもあります。

この都市によって流行した・しなかったことの理由として、下水道など衛生設備の程度の問題が挙げられています。最初の流行地になって香港では、高級マンションの風呂場の流しのトラップが生活の習慣の問題で機能せず、他の部屋と下水管を通じて空気が通っていた、という報告があります。

トロントの流行は院内感染であったようで、この点については日本でも院内感染は他の病気では確認されているので、トロントの例では当初SARSだと認定されない肺炎患者からの感染が原因らしいとされています。

いずれにしろ、かなりきわどいところで感染を逃れることが出来た、というのが本当のところのようで、衛生状態の管理などを、個人レベルから都市レベルまで上げることが、伝染病の流行を抑えるということでは、ロンドンで1854年にコレラの流行が共同井戸の利用者に感染したことを突き止めて、疫学の研究が一気に進んだ時代となんら変わりがない、と言えるでしょう。

酔うぞ拝

12月 20, 2003 at 12:18 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2003.12.19

RE:SARSのデータ

>「そもそも、感染地域はどこだったんだ?」
>ということが気になって、
>WHOのデータを当たったら、
>3月から「この地区で感染があった」という
>データが出ているのですが、
>4月になる毎日積み上げられていて・・・・・

結局2003年3月16日から7月4日まで、88回の報告がありました。報告の無い日もあります。また、SRASそのものは2002年11月1日から2003年11月21日までの流行地域の報告もありますが、これは国別に流行の始まりから終息までを報告したデータでした。

88回の報告は、要するに「今日はここは流行地域である」という場所を並べたものですから、早期に終息したことで有名なハノイは4月26日で報告から消えます。その逆に長々と続いたのが台湾です。

そこで、報告が上がった回数をカウントして並べてみました。報告の回数(地域と回数)の総数は787です。
台湾、香港、トロント、広東省、シンガポール、山西省の6地域で、56%を占めます。広東省は香港に隣接し深セン市、広州市で有名です。山西省は北京の南側で比較的内陸部です。

このことから分かるのは、SARSの流行地域はかなりの大都市とその周辺であるということです。
ところが注目するべきことは、上海はSARSの報告がありません。同じ中国でも北京、天津という大都会では報告あるのに、上海には無い。
同じようなことは、台湾に言えることでWHOのデータの大半は「台湾」となっています。台北という地域を特定したデータは87回中の11回です。しかし、報道では台北の院内感染が流行に引き金になったと記憶しています。

酔うぞ拝

12月 19, 2003 at 11:52 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2003.12.18

SARSのデータ

台湾でSARS感染者が出たとのニュースが来ましたが、以前から「冬に流行するとインフルエンザと区別がつかないので危険だ」という話がありました。
台湾での感染者は、研究者でありSARSウイルスの容器を壊したことで、感染したようですが、本人は発熱の後にインフルエンザのぢ治療をしたが良くならないので、SARSの検査をして感染を確認した、とのこです。つまり、初期症状をインフルエンザと取り違えるという懸念は現実のものになりました。

そこで、「そもそも、感染地域はどこだったんだ?」ということが気になって、WHOのデータを当たったら、3月から「この地区で感染があった」というデータが出ているのですが、4月になる毎日積み上げられていて、30個まではダウンしましたが、どうも100回以上の報告があるようです。

4月は毎日のように報告がありますが、地域は固定していて、ざっと見た範囲でも北京が連日出ていたりします。
何を調べたいのか、というとローカルなレベルつまり、どの都市で感染があったのかを見てみたいのです。
なんとか数日中にはここに示したいと思っていますが、非常に激しい片寄りがあるようで、もちろん旅行者が持ち込んだという例はあるでしょうが、ある地域で次々と感染が広がった、つまり長期間WHOから感染地域に指定されたところと、たまたま発病者が居た地域は、かなりはっきりと分かる、という話しを聞き込んだので「本当かね?」と思って、一番基本的なデータであるWHOのデータを見ています。
さて、どういう結果になりますか。

酔うぞ拝

12月 18, 2003 at 12:00 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2003.12.03

すごいな

ニフコンの事務局にウィッチハンター・ロビンの11巻までを持ち込んだのだが、11月28日に最終の13巻が発売されて完結した。
ウィッチハンターだから魔女狩りなのだが、なんとまぁ最終回での種明かしは遺伝子操作の話しであったとなった。
人間に対する遺伝子操作というのはかなり限定的で、例えば発症確実な遺伝病を抑止するといった用途が主だろうと思っていたら、なんと、人口DNAという話が出てきた。

日経新聞より

  > 神戸大医学部(神戸市)の松尾雅文教授らは3日、
  >デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対する
  >合成DNAを使った世界初の治療について、
  >遺伝子の働きに変化がみられ効果が確認されたと発表した。
  >
  >患者は副作用もなく、同日退院した。
  >松尾教授は「治療はほぼ成功したといえる」と話している。
  >
  > 松尾教授によると、患者筋肉を形作るタンパク質
  >「ジストロフィン」をつくる遺伝子が欠けているため、
  >今年10月29日から11月19日まで計4回にわたり、
  >人工合成したDNAを投与したところ、
  >リンパ球で一部の遺伝子の作用が改変された。
  >合成DNAの投与は、今後も定期的に続けられる。

すごい時代になったもんだ。

12月 3, 2003 at 02:57 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (5) | トラックバック (0)