2011.07.27

軽率ツイートって、そういう問題か?

サンケイ新聞より「「軽率ツイート」大騒動に 高級ホテル、有名メーカー相次ぐ謝罪

2011.7.27 10:19

短文投稿サイト「ツイッター」をめぐっては軽率なツイート(書き込み)が騒動に発展するケースが絶えない。

関係者の謝罪も相次いでおり、専門家は

「注目を集めたいだけの軽率な書き込みが多い。何百万人が見ているという意識が重要」
と呼びかけている。

「今夜は2人で泊まるらしい」。今年1月、サッカー元日本代表と人気モデルが東京都内の高級ホテルで会食している様子を、女性従業員がツイッターで暴露。
ネット利用者から批判が殺到し、ホテルが総支配人名で謝罪した。

5月には有名スポーツ用品メーカーの従業員が、同社直営店を訪れたJリーグ選手を中傷するツイートを投稿し、同社が選手に謝罪。
この従業員は騒動後、同社を退社した。

今月に入っても、なでしこジャパンの熊谷紗希選手(20)が出席した飲み会の会話や写真が同席した男子大学生によって投稿され、熊谷選手が謝罪。

共同通信社などが立ち上げたサイトの公式ツイッターでは、スタッフが「やはり死刑は世界に誇れる極刑ニャーッ」などと書き込み、内部の注意処分を受けた。

ネットの表現に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑法)は

「ツイッターはフォロワー(登録読者)だけが見ていると錯覚しがちだが、転送で何百万人にも広がる可能性がある」
と指摘。
「職務上知り得た情報は特に注意が必要。自分は『情報を発信している』というある種の緊張感が必要だ」
と話している。

この記事で紹介されている事件は、今までのネットワーク利用とツイッターはちょっと以上に違うことを示していると感じます。

パソコン通信時代には、多くの企業から「パソコン通信を使ってユーザーサポートをしたいのだが」という相談がありましたが、わたしはほぼ全部の企業に「止めた方がよい」と説得しました。
インターネット以前ですから、ネットを使える人が非常に少なくて、企業で考えた場合、担当者一人が企業を代表してユーザーと対面することになります。

今なら、企業HPでは複数の担当者が多くの視点でチェックするのが常識になっていますが、当時はそのような人材を企業内で用意することが出来ませんでした。

しかし、パソコン通信にしろHPにしろ、個人が勝手に情報発信できるものではなかった。

その後、匿名掲示板などが出来ますが、これにも管理者がいて外部からの発言削除要請に対応する、などが機能していました。

その意味では、ツイッターは即時であり、個人が勝手に書ける、なのですから今までのネット上の問題発言とは、今のところレベルが違います。
特に、即時に転送しますから、情報伝達のコストパフォーマンスがよいとでも言うのでしょうか、いわば「拡大しすぎ」の傾向に進むのは当然でしょう。

今後考えられるのは、職場からの個人的情報発信は、それだけで懲戒事由になる、といったところでしょう。

普通に考えると、企業内のうごきを電話で実況中継する奴が許されるわけがないのであって、ツイッターに書き込むとは電話どころか放送しているようなもの、被害があろうが無かろうが厳罰に処する、となって不思議は無いです。

7月 27, 2011 at 11:44 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.02.28

入試問題・ネット流出事件を考える

サンケイ新聞より「阪大「受験1.3万人、携帯禁止ムリ」 他大学も困惑

2011.2.28 08:45

京都大などで発覚した入試問題の投稿。どのように試験中に投稿したのかは不明だが、受験生らは怒り、大学側は困惑。大学側は被害届を出し、告訴も辞さない構えだが、不正行為はどこまで広がっているのかはわからず、捜査も含め今後の見通しは不透明だ。

怒る受験生

京大ではこの日、医学部の面接試験が行われた。 試験会場にいた神戸市の高校3年の男子生徒(18)は

「不正をして合格できるなら自分も…と思ってしまう。みんな一生懸命勉強して試験に臨んでいるのだから、ルールは守ってほしい」。
金沢市の高校3年の男子生徒(18)は
「試験会場は監視が厳しかったので、どういう方法でやったのか。投稿のせいで、受かるはずだった受験者が落ちることがあれば、本当に許せない」
と話した。

文学部を受験したという京都市の男子浪人生(20)は

「ネットに投稿された英訳問題は、僕の出来は良くなかった。不正をして合格になるのだとしたら絶対に許せない」
と怒りの表情をみせた。

携帯、口頭指示のみ

入学試験真っ最中のほかの大学にも困惑が広がった。

来月に後期試験を控える大阪大の入試担当者は

「どんな方法で行われたのか分からないので、対策の立てようがない」
と当惑。試験中は携帯電話を預かる対策も考えられるが、阪大の受験生は約1万3千人に及ぶ。
「管理が大変で混乱を招く。間違えて他人に返却すると個人情報が漏れる恐れもある」
と否定的だ。

携帯電話の持参禁止も現実的には困難。
最近は親が試験会場の近くで待機したり、車で送り迎えすることもあり、携帯電話がないと試験後に親子が連絡を取れず困るという。

同志社大はこの日、京田辺キャンパス(京都府京田辺市)で、文化情報学部の入学試験(英語、数学)を実施。同志社大の問題も投稿されたと疑いが強いが、この日の試験は従来通り、携帯電話は電源を切ってかばんに入れるよう試験前に口頭で指示するだけとどめた。同大は

「教室への携帯電話持ち込みを禁止するなら受験者全員の持ち物検査をしなければならず、現実的には難しい」
とした。

必然なのか?

京大は27日夜、初の記者会見。塩田浩平副学長は

「厳正かつ公正であるべきわが国の入試制度の根幹を揺るがす重大事件であり、犯罪行為への強い憤りを覚える」
と非難した。

教育・入試担当の淡路敏之副学長は、京都府警に被害届を提出する理由を

「入試は大学の中で最も重要な業務であり、著しくその業務に支障をきたす恐れがある」
と説明した。一方、試験当日の監督態勢については、各会場に受験者の数に応じて2~10人を配置し
「万全な態勢をとった」
と強調した。

試験会場が携帯電話を預かるなんて事を考えるから「無理だ」となるわけで、単に「持ち込み禁止。持ちこんだ場合は自動的に失格」とすれば良いだろう。
試験会場は試験のことだけがまともに出来れば良いのであって、その前後のことなど責任の取りようがない。

ところで、こういった方法で携帯電話の試験会場持ち込みを完全に阻止できるのか?というとそれは無理だと思う。
本当にやるのであれば、基地局の機能を止める必要があるだろう。

要するに携帯電話システムそのものを止めようとなるのだが、これがどれほど難しいのか?となると、現在争乱が続いている中東各国でも、内部の情報がどんどんでてくることを見ても、全く止めることが出来ていない。
中国も北朝鮮すらも、携帯電話は止めることが出来ない。

大石英司氏の「対馬奪還戦争」では、兵士が携帯電話でツイッターに書き込んで戦局を動かしてしまうことがテーマになっています。

現実も小説も、携帯電話は止められません。
となると、たかが入試で携帯電話利用のカンニングを阻止することは不可能でしょう。
よって、ペナルティーだけが有効策だ、となります。

逆に言えば、携帯電話ぐらいではどうにもならない試験方法を開発する方が妥当かもしれません。

2月 28, 2011 at 03:13 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011.02.04

IPv4 終了

読売新聞より「IPアドレス枯渇迫る、日本分10月在庫切れも

インターネット上の住所を示す現行のIPアドレス全43億個が、まもなく“枯渇”する。

世界各地のアドレス管理団体に対する最後の配分は4日未明にも終了し、日本の割り当て分は今年10月頃にも底をつく見通しだ。

接続事業者(プロバイダー)が新規ユーザー用に次世代アドレスの導入を進めているが、今後、ユーザー自身が端末の設定変更などを求められるケースもありそうだ。

1981年から使われ始めた現行のアドレスは数字の組み合わせで約43億通りあり、国際管理団体「ICANN」が世界5地域の管理団体を通じて配分してきた。

既に42億個以上が使用され、4日未明に配分される約8400万個で在庫切れとなる。

アジア・太平洋地域には約1680万個が割り当てられるが、中国で経済発展に伴い需要が高まっているほか、日本でもスマートフォンの普及などで必要数が増えていることから、10月頃にはなくなる見通しだ。

(2011年2月4日03時05分 読売新聞)

ずっと以前から指摘されていた問題ですが、現時に来ちゃいましたね。

色々な問題は指摘されていますが、現実にどのような事になるのか、ぢょっと注目している必要があるでしょう。

2月 4, 2011 at 08:13 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.05.02

日本ペンネット発足

「日本ペンネット」旗揚げのお知らせ。

やや日刊カルト新聞「日本ペンネット」結成、5月22日に都内で旗揚げイベント
紀藤正樹弁護士のブログ日本ペンネット(英語名 THE JAPAN PEN NET or PEN NET JAPAN 略称 JPN or PENN )結成記念イベントが開催されます。
山口貴士弁護士のブログ「日本ペンネット」旗揚げ!

この話にはわたしも絡んでいますが、やや日刊カルト新聞にいきさつの説明があります。

「日本ペンネット」は、先日有罪が確定した「橋爪事件(平和神軍観察会事件)」を契機に、ジャーナリスト、ブロガー、一般市民を中心に結成されました。

「橋爪事件」とは、「平和神軍観察会 逝き逝きて平和神軍」の運営者・橋爪研吾氏が、ラーメン花月チェーンの運営会社「グロービートジャパン」と右翼カルト集団「日本平和神軍」との関係などをネット上でリポートし、グロービート社から名誉棄損を理由に告訴されていた事件です。

今年3月に最高裁が上告を棄却し有罪が確定してしまいました。また、この判決について、読売・産経・東京といった大手新聞が、事実確認取材もしないまま橋爪氏について事実無根の誹謗中傷報道を行いました。

「日本ペンネット」は、こうした状況を憂慮し、一般市民(特に社会的問題に関係する情報を扱う人々)の表現の自由を委縮させないことを目的として結成されました。

初期メンバーは11名で、そのうち代表に本紙主筆・藤倉、顧問に紀藤正樹弁護士が就任しました。今後、規約や入会規則等を整備し、イベントを開催するなど、広く一般市民の参加を呼びかけていきたいと考えています。

この記事に紹介されている通り、橋爪事件の最高裁有罪確定を受けて、今後のために何かをしようという話は、裁判を応援していた人たちの間では以前から話題になっていたことを形にしようというものです。

一つには、記録を残すという意味で「書籍化」が採りあげられています。
もう一つが、「旗揚げイベント」です。

2010年5月22日(土)12:30~

「日本ペンネット」旗揚げ!
最高裁と大マスコミはネット表現の敵ですか?
有罪確定の「平和神軍観察会」運営者を囲む会


ラーメン花月チェーンと右翼カルト「平和神軍」の関係(事実です)を暴いたら、訴えられて最高裁でも負けちゃった。大手新聞からは、取材もないまま愉快犯扱いされて誹謗中傷されちゃった。最高裁も大マスコミも「ネット表現の自由」の敵確定。いま、ブロガーは何をすべきか。“前科一犯”にされた「平和神軍観察会」運営者を囲み、裁判(係争中含む)経験者のブロガーたちが語る。
ネットで活動する一般市民を中心に、ネット表現の自由を守るため結成された「日本ペンネット」旗揚げイベント。紀藤正樹弁護士のサプライズ参加あるかも!?

【場所】
NakedLoft
東京都新宿区百人町1-5-1 百人町ビル1F
TEL: 03-3205-1556
【時間】12:00開場/12:30開演
【料金】前売¥1,000/当日¥1,200(共に飲食代別)、現在、Naked Loftにて電話予約受付け中
【出演】橋爪研吾(「平和神軍観察会 逝き逝きて平和神軍」運営者)/山口貴士(弁護士) /Beyond(「悪徳商法?マニアックス」運営者)/天羽優子(「水商売ウォッチング」運営者)
【司会】藤倉善郎(日本ペンネット代表、やや日刊カルト新聞社主筆)
【主催】日本ペンネット
【協賛】やや日刊カルト新聞社
【開場地図】

2003年に悪徳商法?マニアックスの主催者 Beyond 氏が、民事・刑事で訴えられて「考える会」を作った時に、わたしは会長を引きうけました。

当時は「インターネット上の表現の自由」という言葉が社会的にも有効だったと思います。
しかし、今では「インターネットってなあに?」という時代に変わってしまったと考えます。

インターネット=PC的だったものが、携帯電話を中心とするモバイル環境に移り、単なる「ネット」になってしまった。
そこで「インターネット上の・・・・」といった表現はまずいだろう、という意見を出しました。

要するに、より大きな市民的な表現の自由、同時に日本だけでなく世界的にも通用するように、そして長期的に続けられるように、といった観点から「日本ペンネット」と決まりました。
紀藤弁護士のブログより

市民の表現の自由を委縮させる「橋爪事件」のような事件をなくすため、
表現の自由を守るため、4月29日、この問題を憂えるジャーナリスト、ブロガー、一般市民を中心に、日本ペンネット(英語名 THE JAPAN PEN NET or PEN NET JAPAN 略称 JPN or PENN )が結成されました。
僕は、この団体の顧問に就任しました。

ペンネットという言葉には、もちろん表現者にとって「ペン」が重要である、という思いが込められています。
つまり、社会情勢や文化が変わっても市民の情報発信の重要性を確認する場として続けられるようにしたい、といったことで決まったネーミングです。

イベントが5月22日(土曜)なので、それまでにいろいろな事が急速に進む予定になっています、今後も随時進行状況をお知らせします。

5月 2, 2010 at 10:31 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.15

海賊党の主張

CNET Japan より「「著作権は5年で十分」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る

「著作権は5年で十分」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る(前編) 末岡洋子 2009/08/05 15:58 と
「特許は要らない」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る(後編) 末岡洋子 2009/08/12 08:00
を繋ぎました。

注目ヶ所を赤字にしました。

個々の主張は今まで色々な人が述べていた事ですが、それをまとめしまうとこうなるのか、とちょっと感心しました。

医薬品の特許については、ず~と問題になり続けていてエイズ治療薬がエイズが蔓延している開発途上国で入手できないといった問題に直結しています。

発明者は特許が無くても先行者利益があるという主張も以前から指摘されている点で、歴史上で著名な発明家の何人もが特許を取得せず歴史に名を残しています。

また、特許を取ることがその技術を墓穴に埋めてしまうというのはわたし自身が経験したことで、もったいないことだ思っています。
特許から公知というか自由使用の宣言、といった知的財産登録の切り替え制度があっても良いかと思います。

16歳で起業した経験を持つソフトウェア開発者が、インターネット時代の知的所有権問題を考えるうちに政党を作ってしまった。「海賊党」(Pirate Party)という名の政党は、特許システムの廃止、著作権法の改正、ファイル共有の無料化を訴えて6月の欧州議会選挙に出馬したところ、1議席を獲得。ファイル共有問題に悩む欧州に大きなショックを与えた。

「世界を変えるために、自分に与えられたチャンスと強く感じた」――海賊党の設立者で党首を務めるRickard Falkvinge氏に、海賊党を結党した経緯や主張について話を聞いた。

――先の欧州議会選挙で1議席を獲得しました。おめでとうございます。海賊党結成後、初めての議席獲得となりますね。まずは海賊党結成の理由を教えてください。

海賊党は2006年に結成しました。同じ年に行われたスウェーデンの選挙では、得票率0.63%で、議席獲得には至りませんでした。しかし今回は7.1%の票を得て、1議席を獲得しました。

次に、なぜ海賊党を結成したのかの理由をお話しましょう。

2005年、スウェーデンで著作者が許可していないファイルのダウンロードを違法とする法律が成立しました、これを受け、著作権法に関する議論が高まり、カフェやテレビ、ラジオ、学校など、さまざまな場所でこの問題についての話し合いがなされました。

ですが、ここに政治家の姿はありませんでした。政治家がこの問題に関心を持たなければ、これが国民にとって重要であることすらわかってもらえません。この問題は、橋の建設や失業率のようにわかりやすいものではありません。どうやったら政治家の関心を得られるのか?――そこで、政治の場に参加すればどうか、と考えました。そうすれば、この問題を政治家に突きつけることができます。

――海賊党の主張について教えてください。

文化の共有、知識の無料/自由化、適切なプライバシーの3つを掲げています。

ですが、海賊党の意義は個々の主張というより、「情報政治学」の登場だと思っています。われわれのことを“単一争点政党(single-issue party)”と呼ぶ向きもありますが、あらゆる大きな動きが登場するとき、焦点はまず単一の問題に向けられます。1920年代に労働者の権利問題から政党が生まれ、その後、労働者の権利が生活のあらゆる面に関与することがわかりました。最近では環境問題から政党が生まれています。

海賊党もこれらと同じで、情報時代の問題に着目して発足した政党です。そして、実際のところ、情報は福祉を除き、社会のほとんどに関係があります。

たとえば税金の場合、われわれは税率を1%上げろ/下げろとはいいません。そうではなく、「税務署は容疑なしに納税者の個人情報を詮索してはならない」と主張します。

――著作権から伺います。著作権では、保護期間を短くすることを提案していますね。

著作権について、われわれはいくつかの主張を掲げています。

まずは、「正直者の寝室(プライベートな空間)に忍び込むな」という主張です。著作権はほんの15年前まで、主として出版社のみが関係するものでした。しかし今日、著作権は普通の市民を脅かしています。この事態をストップさせなければなりません。

著作権の適用範囲を縮小し、商用のみ(著作物から収益を上げている場合のみ)、著作権で保護されるべき、というのがわれわれの考えです。これに基づき、ファイル共有は完全に無料とすることを提案します。ファイル共有はプライベートで行われているもので、お金儲けが目的ではないからです。

友人とのチャットで、ビデオを一緒に見ながらチャットすることがあるかもしれません。もし、このような私的なファイル共有にも著作権を押し付けるのであれば、ユーザーがコンピュータでやりとりするすべてのプライベートなやりとりが監視されることになります。レコード会社はこれを推進しているのです。われわれには、プライベートでコミュニケーションする権利があり、現在レコード会社が押し付ける著作権のコンセプトは、われわれの権利にとって脅威といえます。

今後、政治家として、このような形で著作権が押し付けられることが適切かどうか、議会の場で突きつけていきます。プライベートにコミュニケーションできるという権利は、レコード会社が独占的に著作権を押し付けることよりも、重んじられるべきです。政治家は著作権そのものだけでなく、そのコストと利点、弊害を見る必要があります。

次に、著作権で保護される期間が長いということも主張します。著作権は著者が報酬を得るための仕組みで、これがあるから作家は創作活動で生計が立てられます。ですが、現在の著作権では、作家が生きている間のみならず、死んだ後70年も保護されます。死んだ後も本を書き続けている人がいるでしょうか?こういった背景から、われわれは商業目的で著作権を利用する長さを5年と提案します。

たとえば、『The Da Vinci Code(邦題:ダ・ヴィンチ・コード)』は2003年に出版されました。当時は話題になりベストセラーとなりましたが、現在はブームが収束しました。今年、もし著作権が切れて無料になっても、誰も害を受けないはずです。

――ファイル共有が(合法で、かつ)無料となると、ミュージシャンはどうやって収益を得るのでしょう?

著作権の範囲を縮小すれば、肯定的側面が見えてきます。実は、1世帯がエンターテインメント(音楽、映画など)に費やす予算は、ファイル共有サービス登場前と後で変わっていません。ファイル共有によりCDの購入は減ったとしても、コンサートなど他のものにお金を費やしていることになります。これは、アーティストにとっては朗報です。CDの場合、アーティストはCDの売上金額の5%しか得られませんが、コンサートは50%といわれています。ファンの支出が CDからコンサートにシフトすれば、アーティストの報酬は増えることになります。

レコード会社は「音楽業界の売り上げが減っている」と主張します。これは正確ではなく、「レコード(CD)の売り上げが減っている」と言うべきです。音楽業界全体の売上高は減っていないからです。レコード(CD)はもう、必要とされてないのです。そして、これはアーティストにとって悪い知らせではありません。

個々のアーティストによって、CD売り上げへの依存が高い人もいれば、コンサートがメインの人もいるので一概にはいえませんが、お金はレコード会社からアーティストの手に移っています。

――では、ファイル共有を問題視しているのはレコード会社だけで、アーティストらは反対していないということでしょうか?

海賊党の支持メンバーの3分の2がクリエーターや、アーティスト、詩人、作家、ソフトウェア開発者など、創作に関わる人です。

ミュージシャンが「ファイル共有をやめよう」と呼びかけるキャンペーンがありますが、このようなキャンペーンの99%は、レコード会社や業界団体がアーティストを表に出しただけです。ファイル共有に反対しているアーティストでも、われわれの主張を聞くと、ほぼ全員が賛成に転じます。これは自信を持っていえます。

――CDが不要という時代に、アーティストはどうやって自分の音楽を配信すればよいのでしょう?

アーティストがファンに音楽を伝える上で、これまでレコード会社が担っていた役割は、インターネットにより直接アーティストとファンがやりとりできるので不要になりました。アーティストの中には、MySpaceなどの自分のチャンネルで音楽を配信する人も増えています。

The Pirate Bay(注:人気のファイル共有サービスで、BitTorrentのファイルが検索できる)には、たくさんの独立系アーティストが音楽を提供しています。レコード会社がThe Pirate Bayを閉鎖しようとしているのは、The Pirate Bayがライバルだからです。これまではレコード会社がどのような音楽を配信するのかを決定してきましたが、いまではインターネット経由で誰でも好きな音楽を配信できるようになったのです。これは、すばらしいことです。

――アーティストも変わる必要があるということでしょうか?

そうともいえますし、チャンスだともいえます。

さらに言えば、チャンスはアーティスト以外にもあります。アーティストの支援やコンサルティング、楽曲の分類やアグリゲーションなど、新しいビジネスの可能性は無限です。

新聞が編集方針に従って記事を束ねるのと同じように、音楽でもラジオ局のような形で楽曲を配信するという方法が考えられます。音楽が配信されるプロセスがまったく新しいものになるということです。これはすでに始まっています。Pandoraなどのサービスが生まれており、ユーザーは自分が気に入ったサービスにならお金を払うと思います。

レコード会社は資本が尽きるまであと10~15年はビジネスを続けるでしょう。レコード業界に携わる人の中で、変化を理解し、変化を受け入れられる人はすでに業界を去っています。変化を理解せず、受け入れられない人だけが残ります。そして、最期を迎えるまで踏ん張るのではないでしょうか。

――映画業界はどうでしょうか?

ハリウッドは2008年、過去最高の年を迎えました。危機に陥っているとは思えません。コンサートと同様、ユーザーは体験を求めて、映画館に足を運んでいます。

――特許システムの廃止、中でも製薬関連の特許は不要と提案していますね。製薬会社は、新薬の研究開発に時間とお金をかけていると主張していますが。

製薬会社が公開している売り上げや研究開発などの数値を調べました。平均すると、製薬会社は約15%を研究開発に費やしています。このうちの3分の2が、ライバル企業の特許を回避するための研究開発です。つまり、研究開発の3分の2が、新薬開発ではなく、模倣した薬を開発するのに充てられています。別の見方をすると、製薬業界が純粋に新しい薬の研究開発に注ぐ資金は5%ということになります。これは、特許を持たない他の業界と同程度の比率です。

欧州では、製薬企業の収益の83%が社会保障などの税金から支払われています。専売が生むお金をなくせば、税金を抑えられます。

――特許がなくなると、製薬業界のビジネスはどのように変わるのでしょうか?

製薬でも、ハイブリッドカーの設計や製造でも、あらゆるプロセスの模倣は時間がかかる作業です。最初に始めた人は(特許をとらなくても)常にアドバンテージがあります。

よく、「特許を取得できないのなら、発明する意味はあるのか?」と聞かれますが、特許からはお金を得られなくても、製品販売を通じてお金を得られます。

――特許が守ってくれないとすれば、企業は、模倣するライバルからどう身を守ればよいのでしょう?

特許弁護士は特許は必要と言うし、企業の幹部も自分たちの業界には特許が必要と言います。ですが、研究開発に関わっている人に聞くと、特許は障害だといいます。

スウェーデンの代表的な技術企業であるEricssonの研究ディレクターと話をしたことがあります。Ericssonは膨大な特許ポートフォリオを持ちますが、「特許がなければ、仕事は変わると思うか?」と聞いてみたところ、「お役所仕事が減るぐらいで、大きな変化はないだろう」と答えました。

模倣する企業が現れるのは、市場には良いことです。これこそ競争です。

実際のところ、特許が下りるのは製品が古くなってからのことです。携帯電話を見てみましょう。6カ月で新しい携帯電話を買い換える人もいると思いますが、携帯電話で申請した特許が下りるのは、ユーザーがすでに新しい電話に買い換えた後かもしれません。

成熟市場になると、大企業が集まり、お互いの特許リストを基にクロスライセンス契約を結びます。お互いの特許の利用を認めるものですが、これは市場の競争に悪い影響を与えます。イノベーターは、既存技術を積み重ねて(特許を利用して)革新を生み出しますが、クロスライセンスはイノベーションや競争を排除します。このように、特許は多くの場合、不要であるだけでなく、悪い害を与えているのです。

――現時点でわれわれの知的インフラが特許や著作権を土台としていることを考えると、海賊党の主張は急進的に映ります。われわれは個人レベル、社会レベルで、海賊党の主張する世界に移行する準備ができているのでしょうか。

インターネット企業はすでに新しい考え方でビジネスをしています。Googleはあらゆる技術で特許を出願していますが、その目的は、他の人のイノベーションを防御することではなく、特許訴訟を起こされないため、つまり特許システムから自社を保護するためです。

特許システムはイノベーションを妨げます。特許システムは機能していません。ソフトウェア特許はよい例です。欧州ではソフトウェア特許は認められていませんが、われわれはソフトウェア特許導入にも強く反対しています。

――欧州議会で獲得した議席を利用して、最初に取り組むことは何でしょうか?

この問題に関心が集まった結果、全体の7.1%を得票しました。これは、われわれの考えの正当性が支持されたということになります。

最大の成果は、問題の存在を政治家に知らしめたことです。われわれが1議席を確保したということよりも、この問題を理解しなかったために他の政治家が議席を失ったということ。これは、すべての政治家への強いメッセージです。政治家はファイル共有などの問題に気が付き、理解しようとするでしょう。でなければ、先に理解した対抗勢力に支持が流れるということが実証されたからです。

次に、欧州議会でわれわれがやろうとすることですが、欧州のインターネット活動家の意見を表明していきます。まずは、欧州テレコム規制の改正に向けた見直しです。見直しにより、著作権を主張する側の意見が盛り込まれようとしており、ファイル共有者のインターネット回線を切断できると解釈できる文章が検討されています。われわれは、裁判官の命令がない限り、市民のインターネット接続を切断できないことを確実にする文言を導入するよう推進します。

インターネットへのアクセスは市民の基本的権利として認められるべきであり、接続が切断されないことが望ましいと考えています。自分の郵便箱や電話がチェックされるべきではないのと同じです。

フランスで議会を通過した3ストライク法(「Creation et Internet」、著作物を違法ダウンロードしたユーザーは、2回の警告の後、3回目にISPが回線を遮断する取り締まり法)は現在、この点について審議がされています。われわれはネットへのアクセスが、全欧州レベルで人権として認められるよう戦っていきます。

――そのような主張に対し、他の政党はどのような反応を示していますか?

われわれのように最優先ではないけれども、オンラインにおける自由に同意する政党はあります。大政党では、党員レベルで理解が進んでいる状態です。

楽なスタートではないかもしれません。ですが、連立できればわれわれの主張が審議されると期待しています。

――最後に海賊党の支持者について教えてください。今年4月、The Pirate Bayの創業者4人に対し有罪判決が下りましたが、これはどのような影響を与えましたか?

スウェーデンでわれわれは、30歳以下の層では最大の支持を得ている政党です。支持者の多くは男性です。ただ、これは性別の問題ではなく、この問題を最初に認識したのが技術者で、男性の方が技術に関心を持つ傾向が高いからです。

30歳以下は先の選挙で投票者の半分を占めましたが、残りの半分なしに7.1%もの票は獲得しえませんでした。

われわれが引き金となり、ドイツなど他の国にも海賊党ができています。ドイツの海賊党は、欧州議会選挙では得票率0.9%にとどまりましたが、それでも国の助成金を受けることができるようになりました。

The Pirate Bayの影響は大きいと思います。The Pirate Bayが警察から強制捜査を受けた週、海賊党の支持者は2000人から6000人へと3倍になりました。判決が下った週は、1万4000人から4万人に増えました。

8月 15, 2009 at 01:22 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.08

学校裏サイトの監視を業者に委託

読売新聞より「「学校裏サイト」監視、民間任せの自治体相次ぐ…教師多忙で

同級生への誹謗(ひぼう)中傷など「ネットいじめ」の温床になる学校裏サイト。その監視を民間業者に委託する自治体が相次いでいる。

東京都、北海道、三重県、札幌市、宇都宮市、北九州市、東京都江東区の7自治体で、教師が多忙で裏サイトの監視やサイト管理会社との折衝に費やす時間を割けないためだ。
ただ、識者には教師自体がネットを見守る力をつけ、指導していくことが大事と指摘する意見もあり、教育現場で論議を呼びそうだ。

学校裏サイトの監視委託は、2007年頃から一部の私立中高で始まったという。
東京都は6月初め、入札を行い、都内のIT関連企業が初年度分として約1900万円で落札した。
今月中にも都下の公立小中高約2200校を対象に監視活動に入る。

江東区では独自予算を組み、この4月から先行実施している。予算は年347万円。全区立の中学(22校)の学校裏サイトが対象で、都内のIT関連企業「ガイアックス」に委託した。
同社は福岡県に置く監視センターで毎日、裏サイトへの書き込みを監視している。

同区によると、4月だけでも、「死ね」「きもいし!チビデブ」などの悪質な書き込み48件を発見。同社はそのほとんどについて、サイト運営会社に削除要請し、すでに消されたという。
見つかったものは区教委に報告される仕組みで、同区立中の男性教諭(49)は「監視してもらえれば、こちらはデータを基に、生徒指導に専念できるから助かる」と委託を歓迎する。

このほか、札幌市で5月から、市立約320校を対象に委託業者による監視が始まった。他の4自治体も秋頃までに相次いで業者委託に乗り出す。都内の区教委の担当者によると、昨年頃から「監視を請け負いたい」と業者からの売り込みが絶えないという。

「サイトをかぎ回っている」。学校裏サイトで悪口の書き込みをされた生徒の相談を受け、サイト管理会社に削除依頼をした横浜市の市立中学の教諭は昨年、同じサイト上でこんな中傷をされた。悪質な書き込みから生徒を守ろうとする教諭まで中傷の標的になることを示したこの問題は、学校関係者に衝撃を与えた。「学校だけでは対処できない現状がある」(江東区教委)との危機感が、業者委託が相次ぐ背景にあるようだ。

一方、業者委託に否定的な自治体もある。石川県教委は4月から、金沢市内の県教育センターにパソコンと携帯を2台ずつ設置。教員8人を含む対策チームで監視活動を始めた。同県教委は「民間に比べると、技術や効率で劣るかもしれないが、『先生が見ている』と生徒に感じてもらうのが大切。民間に丸投げはできない」と話す。

元群馬大教授で、ネット時代の教育を考えるNPO法人・青少年メディア研究協会理事長の下田博次さん(66)も、「ネットの書き込みは子供たちの本音。教師自身がネットを見守る力を伸ばし、子供たちを指導していくべきだ」と指摘している。

◆学校裏サイト◆

在校生らが運営するインターネット掲示板。本来は情報交換のために使われているが、匿名で級友の悪口を言い合ったり、特定の個人を中傷したり、いじめに直結することが問題になっている。文部科学省の調査によると、学校裏サイトなどを使った「ネットいじめ」は2007年度、全国で5899件(前年度比2割増)確認された。
(2009年6月8日15時00分 読売新聞)

問題点を何ヶ所も指摘できるようで、少なくとも新聞記事のタイトルが臭わせる「教師が管理するのが本来の姿だ」という主張は間違えだろう。

そもそも学校裏サイトと呼ばれる物は、非公式掲示板であって、それ自体が誹謗中傷のために作られているわけではないから、大問題に発展するような書き込み自体はそうそう見かけるものではない。
さらにこの新聞記事が取り上げているように「単語で引っかける」と言ったことでは、なかなかまともな結果がでないわけで、ちゃんと見張るのにはかなりの手間を割かなくてはならない。

そうなると、ある程度の技量がないとやってられないわけで、そこを業者に依存するというのは仕方ないところかもしれないが、どのようなところまで業者が対処するのか?という問題は簡単には決まらない。

おそらくは、この「簡単には出来ない」ということ自体を学校側が了解していないのではないか?と思う。
大変な暴言が単なるコピペであったり、何気ない一言が大事件の予兆であるなど、質的な面では学校が見ないと分からないのは確実です。
ところがそのこと自体が分からないのではないのか?と強く感じるのです。

学校裏サイトが非常に混沌とした世界を作っているのは間違えないところで、それを「チェックすれば大丈夫」と本当に思いこんでいる人たちが居るであろうところが、怖いです。

ところで、実際に事件になった例を研究した報告がありましたが、始まったのが20時で終了したのが午前3時とかで、深夜の6時間であった。というのがありました。
これでは、明らかに学校では対応不可能ですよ。

問題に対応ではなくて、予防という意味でのネットリテラシーの向上こそが重要でしょう。

6月 8, 2009 at 05:35 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.18

学校裏サイトの監視・東京都

毎日新聞より「学校裏サイト:都教委が2200校監視 削除要請・通報も

いじめを誘発するとされるインターネットや携帯電話の「学校裏サイト」について、東京都教育委員会は来年度から、民間の専門業者と連携して監視を始める方針を決めた。監視対象は都内の全公立校約2200校に上り、都教委の担当者は「これだけ大掛かりな自治体の対策は全国初では」と話している。

都教委が委託した業者が学校裏サイトなどを監視し「死ね」「殺す」などの悪質な書き込みを見つけたら各校に連絡。必要に応じてプロバイダーに削除を要請する。
危険性が高いと判断すれば警察にも通報する。各校に関係するサイトの情報を分析した資料も定期的にまとめ、指導の参考にしてもらう。

都教委が7月にネットと携帯電話の利用状況を調査したところ、小学生の11.9%、中学生の23.4%、高校生の29.2%がトラブルを経験していた。一方、教員の約4分の3は学校裏サイトについて「見たことがない」「よく知らない」と答えていた。【木村健二】

とうとうこんな事を始めましたか、というのが正直な感想ですな。
いくらで委託するのか知りませんが、パソコン通信時代の管理費よりはコスト高になるでしょうね。

さらに、元もと隠れてやる側面は否定できないから、規制するともっと隠れる、隠語に変わっていくといったことになる決まってます。

誹謗中傷の自由はない、宣言しても発言行為そのものが止まるわけではないから、取締ではない何かの方法も模索するべきなのですが、そういった様子はないですね。

10月 18, 2008 at 09:23 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.09.11

株価暴落の原因がSEO?

ITmedia News より「UAL株価暴落はなぜ起きた――アルゴリズム検索も一因に

United Airlinesの株価暴落は、Google Newsのクローラーが古い破産記事を拾ってしまったことがきっかけだった。さらに自動的に株式を売買するシステムが、被害を大きくした。
2008年09月10日 17時07分 更新

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)

GoogleとTribuneが、9月8日のUAL株価急落を引き起こした問題をめぐって互いを責め合う中、自動的にWebのニュース記事を収集したり、株式取引を実行するシステムにも非難が及んでいる。

この日、UALの2002年の破産申請に関する古い記事が、新しい記事であるかのようにGoogleのニュースサービスに現れた。UALの親会社 United Airlinesの株価はすぐさま約12.50ドルから3ドルに急落、NASDAQ市場は取引を一時停止し、UALは新たな破産申請はないとする声明文を発表した。

UAL株は9日の取引で、2.8%安の10.60ドルで引けた。8日の取引開始前の株価を約13%下回る価格だ。

NASDAQ、またTribuneとUALの弁護士はこの件を調査中だが、詳しいことはまだはっきりしていない。

Googleが調べたところ、問題の2002年の記事が同社の検索エンジンに拾われたのは6日の夜だった。午後10時36分(太平洋夏時間)に Googleのクローラー(Webページを見つける技術)が、Tribune傘下のSouth Florida Sun-Sentinel紙のWebサイトの「最も読まれている記事:ビジネス」セクションに新しいリンクを見つけた。その記事――日付は載っていないが、2002年12月にChicago Tribuneが掲載した記事だ――はGoogleのクローラーが前回アクセスしたとき(午後10時17分)にはそのセクションにはなかったと Googleは説明している。

この古い記事がどのような経緯で人気記事ランキングに躍り出たのかは依然不明だ。Tribuneによると、6日夕方からトラフィックが増え始めたという。一部のUAL投資家は、UALの財務状況への不安を広めるために、何者かがWebトラフィックを操作しようとしたのではないかと考えている。

だがもっと無難な説明もできるだろう。フロリダと西海岸が激しい嵐に見舞われていたことから、フライトの遅延についてのニュースを見ていたWeb サーファーが、偶然UALの破産申請の記事を見つけた可能性もある。少数のユーザーがアクセスしただけでも、この記事が人気記事のリストに入るのには十分だったのかもしれない。Tribuneの広報担当者は、問題の記事にどの程度のアクセスがあったのかを明らかにしていないが、不正行為の兆候はないとしている。

この記事は、ユーザーが「United Airlines」などのキーワードを検索した場合に、Google Newsを介してアクセスできるようになった。記事はGoogle Newsトップページの見出しには表示されなかったが、UALや関連する話題についてGoogle Newsアラートを受け取るよう設定していたユーザーには電子メールで届けられた。

8日の株式市場の開場時には、UALの株価は下がっていなかった。だが、調査会社Income Securities Advisorsの投稿で、問題の記事が広く出回り始めた。この投稿は、ウォール街関係者が注目しているBloombergのニュースサービスの利用者向けに提供されたものだった。午前10時45分ごろ、この記事の見出しがBloombergの画面に現れた直後、UALの株価は急落した。それから15分で株価は3ドルにまで下落し、NASDAQは取引を一時停止した。

誤報で株価が変動することは以前にもあったが、Google、Yahoo!などのニュースアグリゲーターへの依存度が高まっていることで、情報――正しいものでも、間違っていても――が世界中に広まるのが速くなっている。

ニュースアグリゲーションサイトには多くのタイプがあり、その数も種類も増え続けている。Google Newsのように、表示するニュースをアルゴリズムで決めているサイトもあれば、Digg.comのようにユーザーの評価に大きく依存しているところもある。多数の新興企業が新しいアプローチを試しており、ユーザーの友人が読んでいる記事を、ユーザーが関心を持ちそうなニュースとして提供するなどしている。

SlateやHuffington Postなどニュースや論説を掲載したオンラインのみのサイトは、印刷メディアや放送局よりもかなり懐疑的に見られていると、Pew Research Center for People & the Pressは最近の調査で報告している。だがGoogle NewsやYahoo!ニュースのように単に従来メディアからニュースを集めているだけのサイトは信頼度が比較的高く、ユーザーは日刊新聞と同じくらいこの種のサイトを信頼していると答えている。

検索エンジンはニュースサイトにとって依然、重要なトラフィック流入経路だ。調査会社Hitwiseによると、2008年8月に、検索エンジンはニュース・メディアサイトへのトラフィックの20%を占めていた。この割合は前年同月からほぼ横ばいだった。その中で最大の流入経路はGoogleで、ニュース・メディアサイトへのトラフィックに占める割合は、前年同月の13%から14%に上がった。

一部の人にとって、UALの一件は、従来の報道機関が、Googleなどの検索エンジンがニュースを取り上げる仕組みをまだ完全には理解していないことを指摘するものだ。検索エンジンの専門家は、Sun-Sentinel紙が元のTribuneの記事に掲載日を記していれば、このような混乱は避けられただろうとしている。そうしていれば、Googleのニュースクローラーが問題の記事を無関係のものとして避ける可能性はずっと高くなっていただろうとインターネットアナリストとGoogleは主張する。

この問題は、Sun-Sentinelの「SEO(検索エンジン最適化)がまずかった結果起きたようだ」と検索・ソーシャルメディアマーケティング企業Reprise Mediaのマネージングパートナー、ピーター・ハーシュブルク氏は語る。

人間の介入なしで自動的に株式を取引するプログラムの利用がウォール街で増えていることも、被害を大きくした。ニュースの見出しや業績データを基に株式を売買するアルゴリズム売買メカニズムによる取引は、8月最終週にはニューヨーク証券取引所の取引の約4分の1を占めていた。

投資家は、人間が簡単に確認するだけでUALの記事が古いことが分かっただろうが、コンピュータの取引システムはそうした判断はできないと指摘する。

「トレーダーは執行前に注文を取り消すことができるが、あまり高度でない取引システムにはそれはできない」とニューヨークの証券会社Cuttone & Co.の上級副社長バーニー・マクシェリー氏は語る。

全くの人にとっては誤解の余地がない情報でも、株価はすぐさま約12.50ドルから3ドルに急落・NASDAQ市場は取引を一時停止というほどの惨事になるのですねぇ。

トンデモ商法問題でしばしば出てくるのか「専門家はこんなことは認めていない」のようなもので、最後には詐欺事件だとなるのですが、いわば機械同士がニセ情報に従って動いた、と解釈するしかないですね。

元が新聞社の記事が人気ニュースとして古い記事をフレームアップしてしまった、というのだからこれ自体は人手ではよく行われていることで「だからネットの情報は信用できない」と指摘される大きな理由になっています。
それが、新聞社の「人気記事ランキング」のようなものだと「新聞社だから」 → 「人が監視しているはずだから」 → 「信用できる」という構造なのでしょう。

これは、Google がサイトランキングに採用した根本原理であって、考えてみると「Google が評価するサイトは、人手で作られているから。機械的な信用性が低い」 → 「だから、Google があらかじめ設定した信用度が高い、新聞社などの情報は優先度を高くしたランキングを作っている」ということなのでしょう。

もしこういう原理であれば、「世界は Google のみがランキングしている」でいわば公平性が保たれたのかもしれませんが、「人が見ていないサイトのランキング」であったとなると、Google の基礎原理である「信用できる人の社会」が反映していないのだから、けっこう重大な問題なのかもしれません。

9月 11, 2008 at 10:06 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.13

続・ネット犯罪予告に対応可能なのか?

「ネット犯罪予告に対応可能なのか?」の続編です。

パソコン通信のNIFTY-Serveでは管理者(SYSOP)はニフティ社と契約していましたから、管理は契約上の義務でした。

その中には、発言削除から通報まであったわけですが、当初はそもそもネット対応の法律が無くて、ずいぶんと勉強したものです。

最初に考えたのは著作権法への対応でした。パソコン通信最後の方には、児童ポルノ児童売春禁止法とか、個人情報保護法なども出てきました。

今回問題になっているような、重大な刑事事件に発展するかもしれない情報をチェックして必要であれば警察に通報するというのは、NIFTY-Serve時代にも理論上はあり得ました。
しかし現実の事件にはならなかったようです。

今回の「殺人予告」とはまったく違いますが、インターネットを利用した殺人事件は、2001年1月にイスラエルで16歳の少年が射殺された事件で、当時ネット界で「とうとう殺人か」と話題になります。

それ以前にわたしが人に説明するときに「ネットワークは普通の実社会と同じで、犯罪もあります。詐欺などは多いが、今のところ殺人事件はない」と言っていましたが、この事件以後それは言えなくなりました。

しかし、ネットワークが日本で一般に公開されたのが1985年、16年経って世界初の殺人事件が起こり、さらに7年経ってネット予告の大量殺人事件となりました。
大量刺殺事件は歴史的にはかなり昔からありますから、ネット予告が初めてとなります。
ネットの歴史から見ると、凶悪犯罪にネットワークを使うのはかなり最近の事だと言えます。

パソコン通信のNIFTY-Serveの時代にも、裁判員裁判になりそうな事件はありました。
わたしが記憶しているのは、チャットの相手がネットオカマだと知って、アパートの部屋に灯油を撒いて放火した。という事件がありました。

つまりは、凶悪事件のタネになるような人と人の出会いもネットワークだから当然あるという事です。
しかし、管理者のサイドから見ると色々と段階を追って見るしかありません。

  1. まったく問題なし、非常に平和。
  2. いわゆる、荒らしなどにどう対応するか?
  3. 他人にを欺したりする、危険がないか?マルチ商法などが代表ですね。
  4. 度の過ぎたいたずらにならないか?浮気・不倫が代表かな?
  5. 本当に危険な情報ではないのか?自殺・誘拐・襲撃・・・・・
  6. ネットワーク活動自体が犯罪ではないか?著作権侵害、名誉毀損

この程度はすぐに思いつきます。
しかし、実務的には参加者の刑事にあらかじめ「本当に殺人を実行します。住所氏名」なんて書いてないわけですよ。
まして「あのヤロ~ぶっ殺す」と書く(発言)する事は珍しくない。

つまり、管理者にとって「危険な発言」が事実かどうかが先ず分からない。
これが「殺します。何月何日」とか見つければ、その段階で警察に通報できるでしょうが、そこまで問題のある掲示を放置しておくべきなのか?となります。
人間の心理として事件を予告するような場合「多くの人に見せたい」という気持ちが重要なのだそうです。

そこでパソコン通信時代のNIFTY-Serveのように管理者がマメに発言削除すると、そういう発言自体をしなくなります。
この「予防的な発言削除」については、当時から評判が悪くて多くの人が「自由に発言できて消されない」という事で2ちゃんねるに書き込みました。

延々と書いて何を言いたいのか?というと、ネット上で管理者が見ている範囲では殺人でも文字だけから、実行してしまうのまであるわけですから、その判断は極めて難しい。フィルタリングソフトなどはうまくいかないでしょう。

そこで、判断をするために必要があれば調査しないと削除することも通報する事も出来ない、という事になります。
管理者としての実態はこの場面になることが圧倒的に多いでしょう。
著作権法違反とか、名誉毀損といったことがらであれば、被害者が分かりますから被害者に連絡を取ってみれば、争いの内容が分かる事が多いです。

しかし、無差別殺人の計画なんてのは場所が特定されない限りは予防も出来ません。
今回、総務省と警察は「通報してくれ「となりましたが、じゃあ「明日、地下鉄で無差別に殺します」とか書き込まれても、警察だって対応できません。どの地下鉄なのか分からないのでは、あっちこっちの都会が警戒態勢を敷く事になります。

つまり「通報する」事だけでも、大変な手間が発生するものなのです。 まして、書き込み内容をマメにチェックしている掲示板や、読者がいない掲示板などには「見せたいのだから」書き込みはありません。大量に発言があって読者が多い、匿名で発言出来る、削除が少ない掲示板。となりますから、そういう掲示板で「発言をチェックする」には新たに人員を配置する必要があります。

その上で、上記のような「作業」が必要なのだから、わたしには実行不可能に近い話だろうと思われるのです。

6月 13, 2008 at 05:40 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (9) | トラックバック (2)

ネット犯罪予告に対応可能なのか?

読売新聞より「ネットの犯罪予告情報、警視庁に事件後100件超

東京・秋葉原の無差別殺傷事件以降、警察に「インターネット上に犯罪予告が書き込まれている」という情報が次々と寄せられている。

事件翌日の9日から12日までに警視庁に寄せられた情報は100件超で、事件前4日間の約10倍に上った。
同庁では掲示板に同様の犯行をほのめかす書き込みをした男を山形県警に通報、同県警は12日、同県天童市中里、団体職員(29)を威力業務妨害の容疑で逮捕した。

発表によると、団体職員は8日午後10時過ぎ、自宅のパソコンから掲示板サイト「2ちゃんねる」に、山形市内の楽器店の名前を挙げて「トラックで突っ込んでやる!」などと書き込み、同店の業務を妨害した疑い。
「秋葉原の事件のニュースを見て、まねをして書き込んだ」などと供述している。

警視庁によると、同庁のホームページにメールで届けられたり、110番通報されたりした「犯罪予告」情報は事件前は1日2~3件だったが、秋葉原大量殺傷事件で、携帯電話サイトに犯行予告をしていたことが明らかになった9日から急増。
「原宿で連続殺人をする」「13日に渋谷で人を殺す」などの繁華街を狙ったもののほか、「秋葉原で、より多い10人殺す」といった書き込みもあったという。

同庁幹部は「事件を模倣したいたずらが増えるとともに、事件の影響でネットの書き込みに敏感になって通報が増えた」と分析。摘発に向け、書き込みをした人物の特定を進める。

これには、同じく読売新聞より「ネット上の犯罪予告は110番通報を、業者に総務省要請

総務省は東京・秋葉原の無差別殺傷事件を受け、全国約1万4000のインターネット接続業者やサーバー管理会社などに対し、ネット上で殺人などの犯罪予告を確認した場合、速やかに110番通報するよう文書で要請を始めた。

13日中に通知を終える予定だ。

要請は、電気通信事業者として総務省に届け出たすべての業者が対象。

ネット上で犯行予告を見つけたり、利用者から情報を提供されたりした場合、速やかな通報を求めている。

なのだから、当然でもあるのだが、続けていくことが出来るのだろうか?
ネット上の刑事事件捜査は、広域捜査になってしまうことが多く、通報が警視庁にあって、山形県警が逮捕したという記事になっています。

これだけで、通報者、警視庁、山形県警が事件捜査に関わったことになります。
2ちゃんねるの書き込みで、これだけの手間が掛かるのですから大変だ。

100件の通報だそうですが、普通に考えても「タチの悪いいたずら」がほとんどでしょう。
この手の問題は、ネット利用者の増加に対しては加速度的に増えるもののように思います。
それを「悪化」というのかもしれませんが、だからと言って簡単に対策できるものではありません。
大変にコストが掛かるようになります。

警察が動くというのは限界が低いと思わざるを得ないのですが、他に有効な手立てもないですね。

6月 13, 2008 at 09:23 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.12.17

平和神軍裁判・論告

今日(2007/12/17)は「平和神軍裁判」を傍聴してきました。

被告の次瀬氏(ハンドル)のサイト「平和神軍観察会」より

お知らせ

「ラーメン花月・平和神軍事件」の刑事裁判の第二十一回公判が終わりました。
論告、弁論が行われました。
検察側の求刑、罰金30万円に対し、私は無罪を主張しました。
これにて本件は、結審となりました。

次回、判決は2008年2月29日(金)
13:30~15:00 428号法廷です。

是非ご傍聴頂けるよう、よろしくお願いします。

ご傍聴頂いた皆様、本当に有難うございました。

今日は、論告・求刑・判決日の指定でした。

この裁判は、インターネット上の名誉毀損事件が刑事裁判になった初めての例のようで、しかも内容が名誉毀損なのか否かを十分に争う余地があるものでしたから、野次馬的な感想としては「なんで検察は起訴したのか?」とずっと思っております。

わたし自身が平和神軍問題を知ったのは、NIFTY-ServeのBBS8の騒動の頃ですから、98年頃だとなります。
当時は「なんだいこの団体は?」でありました。どう見てもいたずらレベルのことにパソコン通信ですらそれなりのお金を突っ込んでいるわけで「何のつもりなのだろう?」にしかなりませんでした。

2004年にホームオブハート裁判と平和神軍裁判の両方を応援することになって現在に至っているわけですが、次瀬氏の言によると「裁判の間にはっきりしたこともをたくさんあった」とのことで、事実が明らかになった面も大きいです。

現在の名誉毀損事件の考え方にはわたしは「古すぎるのではないのか?」と強く思っていて、刑法が出来た当時(明治40年=明治40年=1907年)状況をそのまま固定的に法的判断をしているのだが、主に技術的進歩が社会を変革して法律と現実の接点がどんどん希薄なっているのではないか?と感じています。

名誉毀損

第二百三十条

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

(公共の利害に関する場合の特例)

第二百三十条の二

前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

(侮辱)

第二百三十一条

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

基本的に「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」は処罰されるとなっていますから、「公然と」とは何か?が問題となるでしょう。
公然ではない、とされているものには「他人が聞いていないところで、本人だけに言う」とか「家族内の会話」などは公然ではないとされています。

これで「公然」とは放送・出版・チラシの配付といったものが対象になりそうだ、と分かりますが、では明治40年(1907年)にはどんな「広報手段があったのか?」を考えてみます。

電報1869年
新聞1870年
雑誌1873年
謄写版1894年
日清戦争1894年
日露戦争1904年
大正デモクラシー1905年
ラジオ放送1925年

こういう時代に「公然と」とはどういうことかを想像してみると、なにしろ謄写版の発明は日清戦争での情報伝達に非常に有効だったとして軍隊が大量に使用したという位の時代ですから、チラシを大量に作るなんてことは出来ないわけです。

「公然と」とは「多くの大衆に」といったほどの意味でしょうから「情報の量産」が前提になっているわけで、1907年に情報の大量生産が出来たのは新聞と雑誌だけと言って間違えないでしょう。

名誉毀損の対象は「個人の名誉=個人」ですから、個人を新聞や雑誌を使って責めると言う図式の中で考えられた法律であろうと思われます。

「公然と」と定義するだけで、「資力を使って」という意味に相当したのではないか?と考えています。
逆に言えば、個人の情報発信力の程度では名誉毀損は成立しない。だから、個人の言い分の自由は保障される。という考え方だったのでしょう。

確かに、政治家を雑誌などが名誉毀損に相当する記事で誹謗中傷した場合に、法的に全く追求できない社会には、正義は無いと言えるでしょうから、名誉毀損罪は必要だと思います。

現在でも、週刊誌は名誉毀損事件になることが多いのですが、これこそが刑法の名誉毀損の典型なのでしょう。

このような1907年頃の社会情勢に対して、戦後のコピーから始まる個人による情報の大量生産が可能になった現代では、機械的に「公然と」を1907年当時の判断基準に置いては無理がありすぎる、と言うべきであって行き着くところが今回の刑事裁判になった、と考えています。

事件としては求刑が罰金30万円の小型の事件ではありますが、ネットワーカとしては注目するべき裁判です。

12月 17, 2007 at 11:41 午後 ネットワーク一般論, 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.12.08

総務省がフィルタリングの原則加入を打ち出したが

日経新聞より「携帯有害サイト制限、未成年者は原則加入・総務省、各社に要請へ

総務省は7日、未成年者が携帯電話の出会い系サイトなど有害サイトを閲覧できないようにするフィルタリングサービスに原則加入するように携帯電話会社に要請する方針を固めた。

出会い系サイトなどで犯罪に巻き込まれる未成年者が後を絶たないため。10日にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの首脳を総務省に呼び、増田寛也総務相が要請する。携帯各社も対応する見通しだ。

現在、携帯各社はフィルタリングサービスに加入するかは保護者の意思に任せている。

今後は保護者が未成年者のために新規契約する際は自動的に同サービスに加入する仕組みとし、希望しない場合のみ申し出てもらう。既契約者についても加入していない人には加入を強く促すよう求める。

まぁ一歩前進だとは思うが、なんでこの程度の「対策」しかできないのか、という方がよほど問題だと思うのだが・・・・・。

効果という点では、子ども用の携帯電話がどうあるべきかをちゃんと提示することが先決だろう。
現在、保護者にフィルタリングサービスの加入を選択させていて、その結果がどうも芳しくないというのだから、保護者がフィルタリングサービスの意味や必要性を理解していない。さらに言えば子どもに持たせる携帯電話がどんなものなのかを知らない事の証明でしょう。

であるからして「子供用携帯電話」を普及させることが一番分かりやすい、とわたしは主張するのです。
子どもが、社会人のそれもバリバリのITエキスパートが使うような携帯電話を持つ必要性はないでしょう。
今回の総務省の方針は、高性能携帯電話を子どもに買わせて、かつ能力制限をしようというある種の詐欺的商法を促進しているようなところがあって、第一フィルタリングサービスはいわば「最低限の対策」に過ぎなくて「どういう携帯電話が子どもには必要か?」という視点が全く欠けているとしか思えない。

では、この問題を文科省はどう見ているのか?というと「携帯電話は学校で必要としない」という理由で全くチェックしていない。確かに「校内での活動」には不要だろうが、子どもたちの生活全般から言えば「不要」とは言えないだろう。
どう考えても「関わりたくないから知らない」と文科省が言い張っているようにしか思えない。
その結果が、「この程度の対策」になったのだろう。

12月 8, 2007 at 11:01 午前 ネットワーク一般論, 教育問題各種 | | コメント (27) | トラックバック (0)

2007.10.28

出会い系サイトの規制なんて有効ではない

サンケイ新聞より「出会い系サイト規制強化へ

政府が11月9日のIT戦略本部(本部長・福田康夫首相)で決定する「有害サイト集中対策」案の全容が27日、判明した。出会い系サイトを通じた児童買春が後を絶たない実態を重視し、「出会い系サイト規制法」(平成15年施行)の改正で未成年者利用の防止を徹底する方針を明記。学習指導要領を改定し、有害サイトへの適切な判断力を育成する「情報モラル教育」を推進することも盛り込んだ。

集中対策案は、闇サイトを通じて知り合った男3人による女性拉致・殺害や、自殺サイトを舞台にした嘱託殺人などの事件続発を踏まえ、関係各省でつくる「IT安心会議」が策定した。首相が掲げる「国民の安全・安心を重視する政治への転換」を印象付けたい狙いもある。

ただ憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから、出会い系を除く有害サイトの法規制は引き続き見送られ、実効性の確保が課題になりそうだ。

現行の出会い系サイト規制法も未成年者の利用を禁じ、事業者に年齢確認を義務付けている。しかし、対策案は少女を中心に「犯罪被害者が毎年1000人以上いる」と指摘し、本年度中に法改正の結論を得るとした。運転免許証、健康保険証のコピーの送付や画像の送信など年齢確認方法の厳格化を求める方向だ。

出会い系サイト被害者の96%以上が携帯電話からのアクセスだとして、携帯電話でのサイト閲覧を制限するフィルタリングの普及促進も柱に据えている。このほか関係機関による「ネット安全・安心全国協議会」設置や、警察によるサイト監視「サイバーパトロール」の民間委託、特定電子メール送信適正化法改正による迷惑メール規制強化を列挙。

闇サイト対策は「サイバーパトロールや、(一般からの通報を受け付ける)インターネット・ホットラインセンターの体制強化を図る」との内容にとどまった。

出会い系サイト対策案のポイント

有害サイト集中対策案のポイントは次の通り。

  • 出会い系サイト規制法を改正し未成年者利用の防止を徹底。
  • 有害サイトへの適切な判断力を育成するため、学習指導要領を改定し情報モラル教育を推進。
  • 出会い系以外の有害サイトの法規制は見送り。
  • 有害サイト閲覧を制限するフィルタリングの普及促進。
  • 関係機関による「ネット安全・安心全国協議会」設置。警察のサイバーパトロールを民間委託。

出会い系サイト規制法

インターネットの出会い系サイトを利用して18歳未満の未成年者に性交渉を持ち掛けることや、未成年者がサイト掲示板に相手を募る書き込みをすることを禁止する法律。

年齢、性別を問わず一律100万円以下の罰金。

事業者には未成年者の利用禁止の明示や、未成年者でないことの確認を求めている。

携帯電話の普及で出会い系サイトをきっかけにした児童買春などが急増したのを受け、被害防止を目的に平成15年9月に施行された。

「小中学生の携帯電話」に書いたことそのものなのですが、情報発信側の規制をしてもダメですよ。

ネットでの情報は、一元化されていてありとあらゆる情報が同じところ(同じ次元)にあるわけです、だから情報の選別は受信者側が行わなくてはならない。

技術的にはフィルタリングなどであって、「フィルタリングの普及促進も柱に据えている」などと言っているところで、すでに間違っていると言うべきでしょう。

子どもに無制限のアクセス権を与えてしまっているのが、実は携帯電話の使用なのですが、現実は携帯電話は安全面などから無くてはならない物になっていますから「携帯電話を持たせなければよい」では観念的な暴論に過ぎません。

なんでこういう問題について具体的な、いわば現場からの積み上げの話にならないのでしょうか?

フィルタリングの有効な携帯電話(子供用携帯電話)しか持たせないようにすればよい。
それは学校が強制してしまえばよいことです。

10月 28, 2007 at 09:45 午前 ネットワーク一般論, 教育問題各種 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2007.07.21

通信についての縦割り行政

朝日新聞より「ブロック!有害サイト 警察と携帯各社が団結

夏休み中の子供が携帯電話の出会い系サイトなどに接続して犯罪に巻き込まれるのを防ごうと、警察や行政、携帯電話会社が、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングサービスの普及に力を入れている。携帯各社が加盟する電気通信事業者協会は「新規申し込みの際、フィルタリングの要否を必ず確認しているので、利用してほしい」と呼び掛けている。

大阪府警少年課はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの協力を得て、フィルタリングの利用を呼び掛けるチラシを120万枚作成。府教育委員会を通じて府内の全小中高約1860校に配った。全児童・生徒にチラシを配布しての啓発活動は全国でも異例という。

同課は「夏休みになると自由な時間が増え、子供が犯罪に巻き込まれやすくなる。子供だけでなく、親にもフィルタリングを知ってもらうことで犯罪を抑止したい」と話す。大阪市内のある中学校は三者面談の席で保護者と生徒に説明しながら、チラシを渡した。

一方、京都府は電気通信事業者協会に要請し、今月2日にJR京都駅でイベントを開催。特設ブースを設け、子供向け携帯電話の展示やフィルタリングサービスの案内をした。早速、近くの携帯ショップへ行き、サービスを申し込む来場者もいたという。

何年も前からこの種の「対策提案」は見ていますが、極めて不思議に思っているのが

何で学校が出てこないのか?

です。
基本的に警察主導で、コンテンツや配信、契約などの問題のはずなのに総務省系統は出てこない。
学校も出てきません。

携帯電話機は各社とも子供向け向けのサービス(フィルタリングサービス)の他に子供向けの電話機を発売しています。
先日は、航空会社で問題になった機種でありますが

記事を読んでも「フィルタリングサービスを設定せよ」と親に要求するトーンなのですが、そんな難しいことを要求するよりも、学校が「子供用携帯電話しか認めない」と取り締まってしまえばよろしい。

先日、中学校を訪問したときに生徒同士の会話を聞いていたら「携帯はまだ早いよ。高校からでよい」と話していました。
これは一つの価値観ですが、当事者である生徒の間でもこんな話題になっている。
一方、大学生になると「携帯メールが必須」という大学が沢山あります。

中学で携帯電話そのものが不要と言いつつ、大学になると持っているだけでなく使いこなすことを要求されている。
これを何とかするのは高校の3年間しかない。
いったいどうやって、中学生を大学生(社会人)と育てていくのか、という観点でネット利用の教育プログラムを考えるべきなのに、こんなところで縦割り行政をしていること自体が大問題だと思う。
日本の将来をどう考えているのか?

7月 21, 2007 at 11:59 午前 ネットワーク一般論, 国内の政治・行政・司法, 教育問題各種 | | コメント (4) | トラックバック (0)

サイトにアクセス→処分

神奈川新聞より「私用接続でサーバーダウンさせた職員を処分/川崎市

川崎市は二十日、業務に無関係なインターネット接続が原因で、市の接続用サーバーをダウンさせたとして、環境局の課長級(主幹)の男性職員(54)を減給二カ月(十分の一)の懲戒処分にしたと発表した。

同市によると、同職員は五日午後四時三十七分から約十七分間、飲食店のホームページ(HP)を閲覧したところ、同HPからのアクセスが市サーバーに集中し、約七分間、市役所や区役所など大半の職員用インターネットが使えなくなった。

同HPのトラブルなどが原因とみられるが、市パソコンの個人情報などに被害はなく、市HPの外部からの閲覧にも影響はなかったという。市は同HPへのアクセスを遮断した。

市は従来、内規でネットの私的利用を禁じ、有害サイトへの接続もできないようにしている。

正直に言って「意味不明」な記事あるいは処分だと思う。

そもそも、この「処分」はサーバーをダウンさせたことに掛かるのか、ネットの私的利用に掛かるのか?が分からない。

もっとも「食店のホームページ(HP)を閲覧」→「同HPからのアクセスが市サーバーに集中」というのでは、どういう飲食店なのだよ?と強く問題にしたいが、それで処分?

いわば「道義的に問題だ」ということなのかもしれないが、どうなんだろう?
そもそもサーバーがダウンしたというのは技術上の問題であって、回避できなかった川崎市のネットワークの安全性の方は問題にしなくて良いのか?

推測すると

  1. 怪しげなサイトにアクセス
  2. 川崎市のネットワークに攻撃
  3. ネットワークがダウン

であろうから「原因を元から絶たないとダメ」という発想で「アクセスしたのがけしからん」→「予防するためには処分する」担っているのだと思う。

では、市のネットワークがダウンすることがこの処分で防げるのか?と言えば「そんな保証はない」のは明らかで、処分したことで技術的あるいは教育的な対策が進まない可能性は少なくないだろ。

何でこういうところから一歩も前進しないのだろう?

7月 21, 2007 at 11:38 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2007.06.19

ネット問題こそアナログ的な判断を

読売新聞が「教育ルネサンス」という連載を続けています。
2007/5/29~2007/6/16の15回に渡って「ネット モラル」と題する記事がありました。

全体として意欲的で良くできていると思うのですが「こういうまとめ方で良いのかね?」と感じるところがあっちこっちあります。

例えば最新の「(15)【読者の声】学校・家庭を「教習所」に」はこんな内容になっています。

「ゲームサイトで知り合った男子高校生に、小学6年の娘が会いに行ってしまい、肝を冷やした」と、東京都内の母親(41)が、ファクスやメールで体験を寄せた。

サイトは携帯電話専用で、日記や掲示板の機能もある。昨年末の登録直後から、小学生の女児目当てと思われる男性から娘に大量のメールが届き、娘はその中の一人と近所の駅で待ち合わせをした。

「友達も利用しているサイトだから大丈夫」と言う娘に、「これが出会い系サイトだよ」と教え、携帯電話のフィルタリング(有害情報の遮断機能)もあわててかけた。「このようなサービスの宣伝が、電車のつり広告やテレビのCMで流れていることに不安を感じる」と訴えた。

携帯電話がほしいという小学6年の娘と家族会議をしたというのは神奈川県の父親(39)だ。

「みんなが持っているから」「何に使うの?」「学校の友達とメールとか……」「絶対に必要なのか。家の電話ではだめなのか。学校で会った時に話せば」

そんなやりとりの末、娘は自ら「今は必要ない」と結論を出した。「こういうことを言うと、すぐに『時代が違う』という方がいるが、変わったのは、子供ではなく、育てている大人の考え方では」とつづった。

ネットでの深刻ないじめについても便りが届いた。

「孫の知人が、ブログ(日記風ホームページ)で孫の名を使って他人を中傷した。いわれのない批判や脅迫を受け、我慢できなくなった孫は暴力を振るってしまい停学処分を受けた。夫と胸を痛めている」といった事例だ。

千葉県の女性も、息子がネットで中傷を受けているが対処の手だてがなく、人間不信に陥って途方に暮れていると手紙で訴えた。

「18歳以下はネット禁止にしてもよいくらい危機感を持っている」というのは愛知県の女性(37)。「自分の子供にはフィルタリングを使っていても、友人のだれかが有害情報を持っていたらボタン一つで流せる」と無力感をつづる。

山口県の大学教員(59)も「携帯電話に時間を取られ、勉強が二の次になっている。親が携帯電話の使い方を学ばなければならない風潮は愚の骨頂。最初からモラルを考えた電話を販売すればいい」と主張した。

「携帯電話を販売する時に、子供に危険性を説明してほしい」という声のほか、「大人のモラルをまず正せ」という意見も目立った。現実でもネットでも、子供は大人を見て育っていることを忘れてはいけない。

なんかヘンに感じるのです。そもそも携帯電話を持たせることを善悪なんかで評価できないからこんな事になっているわけです。
同様に出会い系サイト問題もネットワーク問題であって、フィルタリングするとなったようですが、そもそも小学生がネットワークを使用する必要があるのか?となります。

一方で、大学生になるとネットワークが使用できないと授業に出席できない学校があります。
就職に至っては、ネットワークでしか会社説明の資料を出さない会社も多い。

これはいわば、国語の学習のようなもので、小学一年生に「将来書くのだから、履歴書を書きましょう」とは誰も思わない、もっとふさわしいテーマがあるわけでネットワーク利用についてももっときちんとした、小学生から社会人までの使い方を組み立てないと意味無いだろう。

最近つくづくと思うのだが、どうして日本はここまでデジタル的価値観だけになってしまったのだろう?
ネット利用は是か非かなんて議論をしても意味がない、便利もあれば危険もある、それぞれの必要に応じて使えばよいのであって、小学生が出会い系サイトにぶつかるなんのてはいわば呑み屋街に小学生を送り込んだら酒を覚えてしまった。というくらいもので親の責任だ。
それを「酒は怖い」とか「小学生に酒を呑ませるな」というのは当然での主張ではあるが、そういっていれば無くなるものではあるまい。

ネットをめぐる諸問題についてはもちろん、ネットに無関心な親の子供、という問題だからあと10年も経てば親の世代がネットを利用しているから全く事情は変わると思うが、問題は「デジタル的価値観による判断」であって、新しい技術や問題など登場したときに「大丈夫なのか?」と疑る能力の低下、になっていると思う。

デジタル技術を万人が利用できるようになった現在こそ、アナログ的な価値観や表現力を重視し、またそれを受け取る能力を磨くことが大事だと、強く思うのです。

6月 19, 2007 at 09:52 午前 ネットワーク一般論, 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.18

ネットやPCの特別扱いは終わるべきだ

サンケイ新聞社説より「警察官不祥事 モラルの欠如が甚だしい

警視庁北沢署地域課の巡査長の私物のパソコンから、約1万件の捜査資料が流出した事案は、警察からの流出件数としては過去最大規模だ。

なぜ、このような内部資料が流出したのか。巡査長の私物のパソコンが、ファイル交換ソフト「ウィニー」のウイルスに感染していたことで、膨大なデータがインターネットを通じ外部に流れたようだ。

ウィニーをめぐっては、昨年、全国の警察で同じような流出が続出し、警察庁はウィニー使用を禁止する緊急通達を出した。

にもかかわらず、この巡査長は通達を無視し、私物のパソコンにウィニーを使用していたわけで、情報管理のずさんさ、危機管理意識のなさが、一線警察官の現場でまかり通っていたことになる。事態は深刻である。

ウィニー問題だけではない。愛知県警では、事件捜査にあたる巡査長が捜査情報を事件関係者に漏らし、捜査自体が失敗するという不祥事が明るみに出た。

大阪府警の捜査2課に勤務するベテランの警部補は、大阪府枚方市の清掃工場をめぐる談合事件で、大阪地検に逮捕されるという前代未聞の事件を引き起こした。捜査2課といえば、汚職や談合事件を摘発する部署だが、自らが談合の中心的役割を担っていたというのだから、話にならない。

住民の警察への信頼はまだまだ厚いが、このような不祥事の続発は、警察への信頼を根底から崩していくことになる。警察の全組織を挙げてモラル低下を防ぎ、職業倫理を高めていかないと、住民の信頼をつなぎ留めることはできない。

この社説にはなんか違和感を感じます。

  1. winny 問題
  2. 捜査情報を当事者に漏らした
  3. 談合事件に関わった

コレでは全く別の性質の事件だろう。
確かに「警察官がモラルとして守るべき事を怠った」とは言えるだろうが、対策が「モラルを守れ」にはならないと思う。

そもそも、この3つの事件の内で winny 問題がなかった場合に、この社説は「モラル」を全面的に出してきただろうか?
捜査情報を当事者に漏らした、談合に関わったでは古典的な悪徳警官像にしかなるまい。
モラルに言及するとしても「悪徳警官撲滅」のような記事になるだろうし、第一行為そのものが法律違反だ。結果ではなく、行うこと自体が犯罪と言える。

これに対して、winny 使用は行為としては現在のところ法律違反ではない。
では、winny を使っていない私物PCに捜査情報をコピーして、そのコンピュータを他人が見るとか、盗まれたとかといった場合には法律違反にならないのか?
ごく普通に考えて、捜査情報を自宅に保管するようなことが許されて良いわけがないだろう。

つまり、winny の使用は現在のところ法律違反でないにしても、私物のPCに捜査情報をコピーすることは、紙の資料を持ち出すことと何が違うのか?ということになる。

にもかかわらず、社説は「モラルの問題」としているのはなぜか?と考えるのですが、結局はPCの情報は紙とは別のものだ、という前提で書いているのでしょう。
ちょっと前には裁判でも掲示板のログを印刷したのもの証拠能力を問題にする、といった特別視がありましたが、今ではそんなことはない。
時代はドンドン変化して、すでにPCや通信は特別のものでは無くなりつつあるのだから、winny だからといった理解ではダメでしょう。この社説は時代の変化を表すものとして記憶して良いかもしれません。

6月 18, 2007 at 08:28 午前 ネットワーク一般論, 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.06

中学校で事務管理情報がハッキングされる

信濃毎日新聞より「テスト成績データなど生徒が見て持ち出す 小諸東中

小諸市加増の小諸東中学校で、生徒が校内のパソコン教室の端末から、学校のサーバー内にある教員用データを集めた「フォルダー」を閲覧し、勝手にテストの成績や生徒の住所録などのデータをコピーして自宅に持ち帰っていたことが5日、分かった。
同校は管理ミスがあったとして同日の朝会で生徒に報告し謝罪、夜に保護者説明会を開く。
市教育委員会も同日、市議会全員協議会で報告した。

市教委や同校によると、持ち出されたデータは、1学年分個人ごとの中間・期末テスト得点をまとめた成績表と名簿、住所録、学級編成資料。男子生徒2人がパソコン教室で昨年10月ごろから放課後の部活動の時間に閲覧していたとみられ、4月以降に何回かに分けてUSBメモリーなどの記憶媒体にコピーして自宅に持ち帰った。
さらに別の2人の男子生徒にデータをコピーして渡したという。

5月25日に「情報が漏れている」と別の生徒が教員に訴え発覚。

業者が調べたところ、本来なら教師用パスワードを入力しないとアクセスできないフォルダーが、生徒用パスワードで開ける状態になっていた。
システムは一昨年9月に更新。
教員側が何らかの設定変更をした際にアクセスが可能になったとみられる。学校はデータの入った記憶媒体や自宅のパソコンの提出を受けてデータを消去した。

校長は5日、取材に対し「学校の管理ミスで生徒に申し訳ないことをした」と述べた。
データを持ち出した生徒には厳重注意したという。
同市教委は「生徒が閲覧できる環境をつくってしまい、ミスを発見できなかったのは学校や教育委員会の責任。
生徒のケアに努めるとともに、教職員を対象にした研修会を開いて再発を防止する」としている。

学校(校長)や教育委員会が「再発を防止する」と言っても、調査段階で業者が調べたらパスワードの設定が混乱していた、と言うのですから技術的には当事者能力が無いですね。

高校では情報の授業が必修になっていて、一クラス40人が同時にコンピュータ実習が出来るようにコンピュータ実習室があって、ちょっと昔のことを考えると隔世の感というよりもウソみたいといった印象です。

当然のことながら、学校自体でもネットワーク利用環境の整備は進んでいますし、教育委員会は教員1人ずつにメールアドレスを配付することも多いのですが、実情はかなりお寒いところもあります。

学校での事務合理化を考えると、何十人かの教員・職員がいる職場ですから複数の端末を置いて、サーバに情報を集中して、ネットワーク構築をしなければならない。となりますが、学校でネットワーク管理を任せるのが適任の方、となると情報の先生が当てられてしまうことがあります。

情報の授業をする先生が、ハードウェアの故障診断から工事に至るまで担当しているのが現実で、ネットワーク環境を活かすことが出来る可能性はあるとは言えますが実際には「担当者が多忙で」とかなっても不思議ではありません。

こんな実情なので、教員が学校でメールを使う(メールアドレスを取得する)のも個々の事情によるとされていて、必ずしもメールが機能していない学校も少なくありません。
また、中途半端にネットワークが機能しているので、メールを受信する専門の担当者が印刷して宛先の先生に配付する、なんてこともありネットワーク活用とは言い難い状況もあります。

問題の中学校で事務管理と授業用の情報が同一ネットワークに流れていたこと方が問題じゃないかと思います。
学校・教育委員会の認識は「間違えないようにする」なのだと思いますが、人間は間違えるものだ、間違えても重大事故にならない、という対応こそが大事でどうも基本的なところを理解していないのではないか?と感じます。

6月 6, 2007 at 10:44 午前 セキュリティと法学, ネットワーク一般論, 教育問題各種 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007.06.02

大物スパマー逮捕

CNN.co.jp より「世界有数のスパム送信者を逮捕、米連邦捜査当局

米国の連邦捜査当局が5月30日、インターネットを利用して膨大な迷惑メール(スパム)を送信していたとして、27歳男を逮捕、起訴した。
電子メール関連の詐欺罪や資金洗浄、通信不正行為など、35件の罪に問われている。
当局などによれば、世界でも10本の指に入る、悪質なスパマー(迷惑メール送信者)だという。

他人のIDを不正に利用し、他人のドメインを悪用して罪に問われるのは、初めてとなる。

捜査当局によると、容疑者は2003年から、不正なプログラムに感染させたコンピューターを悪用し、膨大な数のスパムを送信。

2005年に米マイクロソフトと、オクラホマ州のプロバイダが被告を相手取って起こした訴訟で、それぞれ700万ドルと1億ドルの損害賠償を命じられたにも関わらず、その後もスパムの送信行為をやめなかったとしている。

また、乗っ取ったコンピュータを使って大量のスパムを送信。送信したスパムにあるリンクをクリックすると、同被告のウェブサイトにつながり、495ドルの費用で、2000万通の広告メールを15日間で送信できると宣伝していた。

記事のタイトルだけを見たときには「どういう罪名で逮捕したのか?」と思いましたが、結構な確信犯のようですね。

警察の講演を聴くとサイバー犯罪であっても犯罪は最終的には利益を得ることを目的にしている、断ずることが多く、それを逆に考えると全くのいたずらと犯罪は区別できると言っています。

今回は、スパムの送信を業務として宣伝していたというのでは、FBIも黙ってはいない、というところでしょう。

インターネットが社会で実用になってほぼ10年強ですが、実用になったということは「インターネットだから」と特別視する対象ではないということです。現実に利益もあれば損害もあるリアルな存在になったということです。今後警察分野でも普通の犯罪扱いされていくのでしょう。

6月 2, 2007 at 10:48 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.05.06

電子メールについて考えるその2

「電子メールについて考える」の続きです。

「電子メールシステムと sendmail」は届きましたが、3000円に近い本としてはまぁ役に立たない。
全部ダメということでもなく、資料的な意味は認めますが、現在の問題についても将来の方向についても見解が出てません。

そんなタイミングでコメントをいただきました。

前には書かなかった事情があって、それが電子メールの高度化(?)に私が注目する大きな理由です。

最近の高校生はインターネットを
積極的には使わないらしい。

これは高校に社会人講師として話に行って高校生に聞いてみた結果です。
また、ネット上での大学生や新社会人の行動などを見てもどうも昔我々がネットに熱くなって色々なことを探っていたのとは違うような雰囲気を感じます。

今の高校には情報の授業が必修ですから、コンピュータが使えない・使ったことがないという生徒はいません。
しかも、携帯電話を持っていない生徒は皆無に等しくメールやゲームをやっているのは当然。
その上で「インターネットはあまり見ない」とかいうからとまどってしまいます。

自分自身のことを考えると子供の時から「情報を調べるのが大好き」でありました。こういう人は少なくはなく、パソコン通信に入ったら「知識自慢」がゾロゾロ居るのには驚いたものです。
しかし当時は「通信をすること自体が特別なこと」だったから、通信をしなくても社会生活にはなんの問題もありませんでした。

ITバブルは社会的にインターネットバブルとなっていきますが、会社の中では「IT化=誰でもパソコンが使えて当然」となりました。
パソコン通信に手を出している人たちは別にパソコンを使うことが商売でなくてもパソコンを使わないとパソコン通信も出来ないのだから、パソコンを使うこと自体を問題にする人は居なかったのですが、普通の会社員にインターネットの利用やパソコンの使用をさせるとなると、その抵抗は激烈なものがありました。

当時は「個人の得手不得手の問題だろう」ぐらいにしか感じなかったのですが、今になると当時の判断は間違っていたのではないか?と思うようになってきました。

子供の頃を思い出してみると、わたしは情報収集癖というか野次馬根性は他を圧していたと思います。なにしろ、小学校の時のいつもの遅刻の理由が「新聞を読んでいて遅れる」だした(^^ゞ
たまたまパソコン通信で知り合ったメンバーは似たような人ばかりで、今でも「ちょっと相談」と年中電話しています。

そういう経験があったので「いずれは誰もがインターネットを利用して野次馬になる」といった感覚があったのだと思うのですが、先の高校生などの例を見ているとインターネットが普及して10年にもなるのに「立場上メールのやり取りは出来ます」といった人が実はもの凄く多くて、鑪野次馬は増えていないと気づきました。

野次馬は放っておいても自力で情報を取りに行きますが、野次馬で無い人は情報が来るまで待っている。
こういう図式であるとすると「ホームページからダウンロードしろ」というのをメールアドレスを知っている人に指示しても実行されない、のは当然ではないのか?となりました。
そこで「メールの高度(?)な利用を考える」となったわけです。
これは社会的な問題のような思えてきました。技術は社会の要請に応じるものでしょうから、メール以外のポイントキャスト(ブロードキャストに対抗する)的な何かが出来ても良いですよね?
調べれば調べるほど、メールシステムでは無理があるような印象が出てきました。

5月 6, 2007 at 12:38 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.05.03

リナックスの販売!強化だって

日経新聞より「無償基本ソフト「リナックス」販売で連合・米オラクルなど

米オラクル、IBM、NECなど有力IT(情報技術)企業10社以上が無償基本ソフト(OS)の「リナックス」を日本で本格販売するための企業連合を発足させる。

政府調達でリナックスの採用を促す方針が打ち出されたことに対応。
オラクルが各社と契約を結んで保守を一手に担うほか、特許侵害の賠償も全面補償する。

OS市場で圧倒的なシェアを持つ米マイクロソフトに対抗する。

6月にも日本オラクルの主導で発足する企業連合は情報システムの中核となるサーバー用OSが対象になる。

NECなどのほか、日立製作所、ヒューレット・パッカード、デルなど大手サーバー各社が軒並み加わる見通しだ。
NTTデータなど大手システム開発会社の参加も内定している。

う~む・・・・・・。
これはこれで色々な問題が発生しそうですね。

ちょっと(だいぶ)前に気になるニュースがありました。

slashdot.jp より「中央省庁では互換性を重視し、Word、Excelは購入の対象外へ?

NHKニュース(12/31の19時~)によると、「中央省庁で使うコンピューターソフトについて、国は、特定の製品への依存を防ぐため、平成19年からはほかの製品との互換性を重視して調達することになりました。
これによって、現在広く使われている「ワード」や「エクセル」などは、今のままでは原則、購入の対象外になります。」

他にもタレコミがあったが、既に記事は消滅。
よって詳細は不明だが、中央省庁のどこかがそうしたいと思っているのだろう。

わたしもこのニュース確認しているので「おっ!!」と思ったのですが、瞬時にして後続のニュースがないので「ガセですか」と思ったりしています。

しかしながら、行政のように広範囲に影響するところで「ワードでやり取りします」なんてわざわざ注釈するようなことは全くのムダで、OSやアプリケーションを無視しても情報交換がで切る方向に向かうのは必然であります。

実際問題として平成15年度(2003年度)から国土交通省は電子入札に切り替えています。
技術的には XML だそうですが、情報伝達の標準化だと考えると特定メーカのフォーマットといったものは社会的に許されない、という時代が見えてきたということなのでしょう。

5月 3, 2007 at 10:59 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.04.28

電子メールについて考える

ちょっと電子メールについて調べてみたらなんかすごいというか手が付けられないような状況であることが分かってきました。

事の発端はNPOのMLに html メールでカレンダーなどを配信するようにしたらかなり好評で、もうちょっと積極的に利用することを考えてみると「そもそも html メールとはなんなのだ?」となりました。

もちろん、html メールが www 用の html の応用であることぐらいまでは承知したのですが、その html についての教科書を読んでも www についての説明は将来の方向についても書いてあるのに、メールについてはなんの説明もない。

ネット上で「htmlメール」をキーワードにして検索すると html メールを否定するページばかりが出てきますが、そのいずれもがかなり古いページで更新しているページですら「IE6 で対策されたので・・・」などと説明しています。

もう一つが、html メールマーケッティングに関するコンサルタントの営業ページ。

さらに、迷惑メール対策が出てきます。特に総務省。

一方、アマゾンの書籍検索で「電子メール」とやると技術解説なんてのは出て来なくて、多くがアフィリエート稼ぎの指南書だったりします。

ひょいと思いついて国会図書館の書籍検索で「電子メール」と「2005年以降」で検索したら一冊しかない。
これが迷惑メール対策だった。

要するに今どき電子メールについての解説書なんてものを書いている人は居ないわけで、html メールについての研究といったものも、実質的には数年前で止まっています。仕方ないから直近の本ということで、「電子メールシステムと sendmail」榊正憲 著 アスキー社刊 2003年04月発行を注文しました。

だれかが書いていましたが、www 用の(ヘンな言葉だ)html は css が推奨されてます。基本的に文章構造と文章の修飾の分離です。しかし、html メールでは構造を問題にするほどの文章量には通常ならないけど、修飾するために html にしているわけですから W3C の勧告を厳守すると html メールに css を使うということなって、こんな事は考えられないと言って良いでしょう。タダでさえ「html メールは不当にサイズ大きくなる」というのが批判の一つとしてしっかりあります。

だからと言って、html が各ターミナルが共通して使っている表示機能を利用して相対的にコンパクトに情報を送ることができるのは厳然たる事実であって、これが今更別の修飾機能としてリッチテキストに戻すなんてのは不可能でしょうねぇ?

一体メールの今後はどうなるのでありましょうか?

4月 28, 2007 at 03:50 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.02.19

ネットワーク指導員?

毎日新聞より「ネット教育:子供の安全利用で指導員育成 総務省計画
総務省はネットの安全で適切な利用の仕方を子どもや親に教えるボランティアの地域指導員を全国規模で育成する計画を決めた。
子どもの携帯やパソコンで1割にも満たないフィルタリングの普及率アップも目指す。

同省とネット業界団体は昨春以降、全国の小中学校からの要望を受け、業界関係者らを1日講師として派遣する「e-ネットキャラバン」(e-ネット安心講座)を展開。
ネットの有害情報への対処方法や、有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリングソフトの使い方を指導している。

これまで都市部を中心に約500回の講座を開いたが、地方からの応募が少ないことや、地方では講師の引き受け手がいないことから、目標にしていた年間1000回の開催には届かない見通しだ。

このため、子どもや親、教師がネット利用の問題を気軽に相談でき、正しい利用法のアドバイスも受けられる指導員の育成が必要と判断した。具体的には、地域のNPO(非営利組織)のメンバーや教育大学などの大学院生、電器店の店主らパソコンやネットの知識が豊富で地域の実情にも詳しい人から指導員を募集。
「e-ネットキャラバン」の講師役を務めてもらうことから始める。
昨日、10年来の知人である矢延洋泰先生とお話しする機会があったのだが先生は現在の教育批判について「現場の先生は教育問題を考えない日は一日もない」とおっしゃって「誰でも教育評論家状態で現場を見たこともない教育再生会議のメンバーは・・・」という展開になりました。

わたしも実際に何十校かで授業をやって生徒達と話してみると軽々しく「最近の若い者は」とは言えない、と感じるようになっています。

ネットワーク利用の指導というのは、ネットワークを使用してそれなりにひどい目に遭ったり、ひどい目に遭った人の相談に乗ったりという経験がないと無理だと思うのです。

その上に「子どもたちに教える」だから教室に入ったことがない人には無理だよ。


つまりネットを指導できるほどの経験者で、かつ子供を教育したことがある人、なんて居るわけ無いだろ。
そもそも、学校この先生がなぜネットに疎いのか?という根本問題をどうにかしないとダメでしょう。
高校で情報の授業が始まって3年経ったことなるのかな?つまり4年前にコンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウムでも「情報の授業はこれで良いのか?」といった議論をしています。

なんで、こうも取って付けたような話ばかりが出てくるのだろう?
ここらは社会教育そのものであって、指導者の育成すら簡単ではないよ、ということを明確にしないと無理だよ。

2月 19, 2007 at 10:04 午前 ネットワーク一般論, 教育問題各種 | | コメント (9) | トラックバック (2)

2007.02.01

ネットトラブルとリテラシー

昨日(2007/1/31)にだいぶ前に書いた「ママメール」にコメントをいただきました。
元の毎日新聞の記事は教師がママメールと呼ばれる伝言網に萎縮している、ということだったのですが、コメントをいただいた bunbunmew さんのブログによると「学校からお知らせが来た」とのことです。
「ママメール」で児童を誹謗中傷してる保護者がいるとのことで、注意を促してはるねん。
ママメールなんて、初めて聞いてんけど、結局お母さん同士のメールでの連絡のことみたい。みんなが知ってる言葉なんかなあ。

ほんで、そんな行為は悪質な犯罪行為やからって、早々に警察に相談して被害届けを出すようにって。

学校への連絡も、って、最後には書いてあるんやけど、なんか、変な感じ。


学校では対処しきれません
ので、警察へ!

みたいな感じやねん。
実際問題として、ネット上の誹謗中傷や名誉毀損などについては、専門家の間でも色々な意見があって、プロバイダ責任制限法についても警察庁サイドは法律自体にすごく否定的だし、プロバイダ責任制限法の背景にある「法的解決よりも当事者の交渉」を現実的ではないと主張しているように思えるのが小倉秀夫弁護士です。

突き詰めてみると、ネット上の誹謗中傷などに関わるのは、被害者・加害者・管理者と三者があるわけで、それぞれが問題を解決するのに当たって、自分の手間が一番少なくなるように、と考えるのはある意味では当然ですが、それは他人に丸投げすればよい、ということではないと思います。

ところが、プロバイダ責任制限法が「丸投げ公認」といった意味に取られているようにも思うし、法的解決についてもほとんどの人は現在の刑法上の名誉毀損事件の解決は極めて大変であることを知らないでしょう。
そうなると、小倉弁護士の主張する「もっと法的解決を使うべきだ」という意見にもいささか以上に抵抗があります。

さらに、最近感じてきたことなのですが、どうもわたしを含む古手のネットワーカの考え方や行動原理は少数派なのではないのか?というがあります。


わたしは情報を求めることに昔から貪欲で、いまや「酔うぞ@野次馬」という名刺まで作っています(^_^;)
NIFTY-Serveで知り合った人たちのほとんどは「自分で情報を求めて調べる」人たちばかりだったから、お互いに知人として付き合ってきました。
同じ情報を取ると言ってもテレビを見ているとか新聞を読むといったことが、流れてくる情報を受け取るだけ、というのとは全く違っていると思っていました。

お互いの立場を上記のようなものだと認識していたので「自己責任」は非常に現実的でありました。
一言で言えば情報を受け取る時に誤解するのは読み手が悪い、書いた情報を誤解されるのは書き手が悪い。
といったことで、どっちに責任があるのか、なんて議論そのものが普通はない、という世界でした。

そういう事が身につくと、自分が知っているあやふやな情報をもっと調べて確実なものにしたり、専門家に相談するといったことを自然に行うようになります。

こうなると、権威ある情報は無いのか?となりますが、古手のネットワーカの理解では情報それ自体に権威はない、世論が権威を作るといったところがあって下手に「○○教授の説では」などと自分の発言を権威づけたりすると、○○教授を論破した教授が反論してくる、といった恐ろしい世界であったわけです。

ところが、最近ではネット利用もごく一般のことになった結果、どうもこのような「調べるまでもなく」といったところが出てきたようです。
数年前に聞いて驚いたことに「Googleで検索したけどGoogleで出てこないから、その情報は間違っている(存在しない)」と判断する人たちが居る、ということでした。

つまりは、ネットワークが個人レベルで持っている根源的な疑問解消のための装置ではなくて、テレビと同様の情報丸投げ装置に変質したのではないのか?と思うようになってきました。

最初に紹介した「学校からのお知らせ」に感じる違和感は、正に「丸投げ」のところなのでしょう。
しかし、「人の口に戸は立てられぬ」であって、ネットワークが個人レベルの情報装置である限り「編集すれば何とかなる」なんてことはあり得ないのであって、編集と同時に教育が不可欠です。
つまり、被害者・加害者・管理者とあった場合に、管理者は当事者じゃないから手続きだけ正しければ丸投げしておしまい、ということはあり得ません。

管理者として何よりも重要なことは「問題を直視して積極的に解決を図る」ことです。
そういう観点から「学校からのお知らせ」を考えてみると「学校は何もしませんよ」と言っているのに等しいわけで、事の是非は別にしても「それじゃ学校を信用するなという意味か?」と受け取られても仕方ないでしょう。
「お知らせ」で済ませるべきではなかったですね。
父兄集会でも開いてきちんと勉強するべきでしょう。

参考に ITmedia News に出ていたウォールストリート・ジャーナルの記事「ネットいじめ に学校はどう対処するか」をリンクしておきます。
カイリー・ケニーさんが歩くにつれて、ささやき声やヤジは次第に大きくなっていった――それがなければ、平凡な8年生の学校生活のはずだった。
その理由は、同級生の何人かが作った「Kill Kylie Incorporated(カイリー・インコーポレイテッドをつぶせ)」というタイトルのWebサイトの噂が広まったことにあった。

 このサイトでは、「あの子はおかしい。なぜかというと……」という見出しの下に、
粗野な侮辱の言葉が並べられていた。学校の全員がこのサイトを見たようだった。
困った彼女は学校にこのサイトを報告したが、このいじめの影響があまりに深刻だったため、結局転校したという。
「まだ感情的なダメージが残っている」と話すカイリーさんは、今は10年生だ。






2月 1, 2007 at 10:58 午前 ウェブログ・ココログ関連, ネットワーク一般論, 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2006.11.21

「わたしはメールが嫌いだ」とは

東京新聞より「加藤寛一郎 電子メール 私は嫌いだ
私は電子メールが嫌いである。自分のメールアドレスも知らない。どうしても必要なときは、家内に打ってもらう。

手紙も好きではない。しかし、必要なものは書く。自分の仕事を編集者に説明するような場合、むしろ手紙にする。この方が、考えが整理される。口頭より、互いの理解が正確になる。

研究仲間の話を聞くと、一日の半分くらいをメールに使う人もいる。手紙嫌いでも、メール好きは多い。友人の一人によると、メールはワープロのフォーマットを考える煩わしさがないのがいいらしい。体裁を考えずにすみ、気が楽だという。しかし、暇つぶしの要素もあるのではないか。

数年前、アメリカから手紙が届いた。差出人は日本人の物理学者で、このご夫婦には三十年前、夫婦ともども彼の地で世話になった。たまたま私の著書を知り、連絡してきた。

夫婦連名のメールのやりとりが始まった。相手は大学者である。私も少しずつ深みにはまった。減量に関する本を書いたとき、本を送ると、メープルシロップが来た。礼状にテレビに生出演をした話を書くと、そのビデオが見たいという。さらに、航空に興味がある友人が市の振興財団にいて今度日本に行くから…。

私は日本学術会議会員に選ばれた時の話を書き送った。

「事務局が私のメールアドレスを聞いてきた。あえて誤ったアドレスを伝えたが、それでも毎日、山のようなメールが届いた。読む前にすべて破棄した」

これでしばらくメールが途絶えている。少し後味が悪い。しかし、このくらいしないと、自分の流儀は通せない。(かとう・かんいちろう=東大名誉教授)
今や「メールは嫌いだ」では通用しない世界になっているんですが、加藤先生。
と言うか、メールだけが嫌いなんですかねぇ?
PCが嫌いなのじゃないでしょうか?
携帯電話は論外だと思いますが、世の中でメールを使っている人の中にも「PCは苦手だ」という人は多いです。
つまりメールを使っている人の中で「好きだから使っている」の意外なほど少ないと思いますよ。

1997年に1155万人だった利用者数は、2005年には8529万人となっていてこの間に1997年から2000年までは増加率が倍増して、2000年には4708万人になっています。
1997年以前のデータがないですが、1987年にパソコン通信が始まったことを考えると1997年に1155万人になるためには大変な成長率ではありましたが、それでも人口の1割以下ではありました。

こんな事を考えると、今どき「メールが嫌いだ」とはどういう位置づけで理解すればよいのか?それは加藤先生が文章中で述べられています。
手紙嫌いでも、メール好きは多い。
もうトレードオフなわけです。
メールが嫌いだ=手が意味が嫌いだなんですね。こんなのは個人の好みの範囲であって、わざわざ言うことですかね?
すでに「メールが」とか「PCが」とか「インターネットが」とわざわざ名付けて論評する種類のものではなくなった、ということですね。

11月 21, 2006 at 08:49 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.26

有害情報削除は可能なことか?

サンケイ新聞より「大麻は消して! ネット有害情報削除に指針 総務省
わいせつ情報や麻薬などインターネット上に氾濫(はんらん)する違法・有害情報の削除方法を検討していた総務省は25日、ウェブサイトの管理者が削除しなければならない情報の具体例を列挙し、どの法律に抵触するかなどを明示したガイドラインを作成した。
今後、業界などから意見募集を行い、11月末をめどにガイドラインを公表する。
そもそも、ネットワークの掲示板などの管理者は内容を見ているという前提はパソコン通信時代のフォーラムの形にとらわれているのではないだろうか?

多くの人に記事を見せることがある種のコミュニティであると仮定すると、一対一のメール以外をすべてコミュニティと考えことができます。

しかし、その形には色々なものがあり得るわけで、誰が管理者で何を管理しているのか?が一義的に決まらない。

通信全体の大半を管理しているのはNTT東西だろうが、総務省も記事削除をNTTにやらせることは考えていないだろう。

現実的に不可能なガイドラインを作ってどうするのだ?

10月 26, 2006 at 11:14 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.20

続(一年ぶりの)地域FM放送から考える

「地域FM放送から考える」を書いたのは見事に一年前のことでした。
話の中心はFMサルースという横浜市青葉区の地域FM放送局で朝一番の番組をやっている、シンディー鈴木さんに注目という内容だったのですが、実のことをいえば記事を書いた頃からラジオのある部屋で仕事をしないようになったために肝心のラジオを聞かなくなって閉まった。(^^ゞ
今日、久しぶりに聞いたら「ブログ始めました」ということなので、さっそく「シンディ鈴木ブログ」を見に行って、コメントしちゃいました。

なにしろ地元の駅ですから時間を図って行けば、サテライトスタジオの窓越しに挨拶できるのです。
ところが、なにしろ放送時間が午前7時から9時だから、通勤客は通り過ぎてしまうのですね。
シンディ鈴木さんはメールを入れておくと「行ってらっしゃい」とラジオを通して言う方なんですよね。
もっと駅前なのだから、言い切れないほどの挨拶があっても良いと思うのだけど、実際は通勤者は通り過ぎてしまう。
そこで、わたしは手を振って挨拶して行ったりするので、顔なじみになってしまいました。

そんないきさつがあって、ブログにコメントしたわけですが、いや~さっそくお返事が戻ってきました。
なかなか、放送というところでも注目される強いキャラクターを感じます。 注目していきますよ~。

6月 20, 2006 at 07:08 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.05.19

送信ドメイン認証は有効な SPAM 対策か?

落合弁護士の「日々是好日」経由、MYCOM ジャーナル より「送信ドメイン認証による迷惑メールの排除、法的に認められるのか
迷惑メールは、ISPや受信者にとって大きな問題であり、現在はさまざまな技術が導入されてきているが、送信者が送ったメールを、ISPが排除することに対する法律的な整合性はどうなっているのだろうか。

送信ドメイン認証は、送信者のメールアドレスのドメイン部分を偽装していないか技術的にチェック、認証に失敗した場合はそれを受信拒否するなどの手段を行うものだ。

一般的には送信者側のISPがチェックして送信元を明確化、それに対して受信側のISPがチェックを行う。
記事は細かいことが色々でているので、読んでいただきたいのだが落合弁護士
私も同意見ですね。スパムメールを無差別に受け取りたい、という人は、絶対に存在しない、とまでは言えませんが、皆無と言っても過言ではなく、また、上記のような措置を講じることにより、受け取りたくない大多数(ほとんぞ全員と言ってもよいでしょう)の受ける利益には多大なものがあり、スパムであることが確実である以上、個別の同意なく一律に制限しても、正に「正当業務行為」という評価を受けてしかるべきだと思います。
と述べていて、一般的な感想はこの通りだと思います。

わたしは、「迷惑メールの排除」というのが、具体的にどんなことで、どこにメリットがあるのか?ということが明確になってはいなのように思います。
記事はこの部分について次のような説明をしています。以下、木村氏とはニフティの木村孝氏、今泉氏とは総務省消費者行政課の今泉宣親氏で、木村氏についてはよく存じ上げています。

  1. 送信ドメイン認証については、広い意味でフィルタリングに分類されると木村氏。
  2. 今泉氏によれば、送信ドメインを機械的に認証し、認証成功/失敗といったヘッダーを埋め込むことも「通信当事者(送信者と受信者)の同意なしにラベリングする行為」として通信の秘密を侵害する。
  3. このため、ISP側は法的な整合性を確保する必要がある。
  4. SPは送信ドメイン認証でラベリングを行うことの法的整合性は確認できた。
  5. 最終的には、迷惑メール(ドメイン偽装メール)とラベリングされたメールを破棄などのフィルタリングすることが可能なのか、という点。
  6. 送信ドメイン認証の導入に際してISP側は、
  7. (1)オプションサービス利用者全員に提供する
  8. (2)会員全員に提供するが、デフォルトはオフ
  9. (3)全員にデフォルトオンで提供するが、利用者が個別に解除可能
  10. (4)全員に提供し、設定が解除できない――という提供形態が考えられる。
  11. (4)に関しては法的に利用者から同意が得られたとは認められない。
  12. ユーザーが選択して選べる(1)と(2)については同意が得られたと判断されるが、
  13. (3)については、利用者が変更可能、設定を解除することで料金が高くなるなどの不利益を被らない、事前に十分な説明があることなどの条件が必要だ。
  14. これらのことから、ISP側は送信ドメイン認証によるラベリングまでは、利用者の同意なく導入を進めてよく、
  15. 最終的なフィルタリングをするかどうかは利用者に任せることができる。
  16. 木村氏は、「送信ドメイン認証は論理的に誤判定の問題は生じない」
  17. 「一部の問題が生じるケースは、後別に対応可能」
  18. 「送信ドメイン認証を導入しても、正当なメールの送受信には支障がない」
  19. 「送信ドメインを詐称したメールを、受信者が受信したいケースは、通常あり得ない」といった特徴があるとし、
  20. このことを踏まえると、送信ドメイン認証による詐称メールの破棄を全利用者(受信者)に対して適用してもいいのではないか、と主張している。
つまり、技術的に受信側のISPがメールのドメインをフィルタリングして「これは登録してあるISPからのメールです」と正常処理する場合と「このメールのドメインは登録してありません」と区別するところから話は出発して、最終的には通信経路の途中であるISPがメールを廃棄しても良いだろう、という話ですね。

なんでメールのドメインを後から正当性をチェックする意味があるのか?というと、送信の際にはドメインは全くの無関係という技術的な取り決めがあるからです。
いわば、マンションやビルの集合郵便箱のようなのイメージで取り出す(POP3)では鍵(バスワード)が必要ですが、メールボックスに投げ込むのはだれでも自由だからです。
そうなると「送信ドメイン認証」とは何をするのか?となります。
「ほとんどの人が受信用のドメインと同じドメインでたまたま送信している」とでも言うべきことであって、技術的に保証されているわけではない。
だから認証の精度の問題はついて回るんじゃないでしょうかね?
そこで「このメールのドメインは怪しいですよ」=「SPAM の疑いが強いメールです」とラベリングして配信するの問題ないと思うし、受信側のユーザがローカルなソフトウェアでチェックして自動削除したり、ISPのフィルタリングサービスによって自動削除するのは問題ないと考えますが、全ユーザに対してISPが確実に排除できるのか?となると、これは宛先のメールアドレスがが見つからないから配信できないというのと同等の扱いにする敷かないように思います。

そこで最初「いったい何を狙っているのだ?」に戻るのですが、現実は大量の SPAM で通信線上の負荷が高くなりすぎることはあるわけで「通信線上の負荷を下げるために排除したい」というのは、線としてのネットワークからの希望でありましょう。
一方、個々のユーザにとっては「自分にとっての SPAM はこないでくれ」では確実にあるでしょうから、これはISPにサービスとして要求するところでもあります。
問題は「個人の要求は共通だという保証がない」ところにあって、そうなると回線の負荷はあがることになるような気がします。

確かに、「このドメインはインチキ」とラベルすれば以後の処理は簡単でわたしのようなローカルで処理している者にとっては福音ではありますが、最近は正当なドメインで SPAM を受ける量が急激に増えてきていて「無効だな」とも思うわけで、総合的にはどうなんでしょうかね?

5月 19, 2006 at 01:41 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.04.17

ネットライフ・安心に必要なこと

「中西裁判・中西応援団サイトの意義」に書いたことは、ある意味で

「下手に裁判を起こしたりするとネットで晒し者にされる」

と感じる方は少なくないでしょう。
apj さんと裁判所でこの話をしたのですが、二人の結論は一致していて

「ネットでも実社会でも同じ事を言い、行うしかない」

です。

よく「ネット人格」とか「ネットでの匿名発言」といったことを重要視する意見があります。この考え方は分かりますが、匿名あるいはネット人格を強調するとネットで知り合った人と実社会で会うことが出来ないとなります。わたしの尊敬するネット上の知人で「あくまでもネット人格ですから」としてメールのやり取りも断っている方がいらっしゃいます。個人的にはそこまでやるのはちょっと厳しすぎるでしょう、と感じます。

匿名での発言をしている人がたまたま裁判とは言わないでも現実社会に引っ張り出されるとネット人格と全然違うじゃないかと評価されて、ネット上の信用を一気に失うという例を何回も見てきました。
こんな点からも「ネットと実社会で区別するのは大変すぎる」というのがわたしの考えです。

うまくネット人格も実生活もズレがなく送ることが出来たなら、裁判に呼び出されてもネット上でも同じように対応できるでしょうから信用も変わらないことを期待できるでしょう。
何事も、あまりに策を弄すると外れたときに反動が恐ろしいということでしょう。

4月 17, 2006 at 05:39 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2006.04.07

読売新聞社説が著作権法改正反対

読売新聞社説より「「ネットと放送]著作権法だけで融合するのか
テレビとインターネットに垣根があるのは、著作権法のせいだ、という声が出ている。
政府も、ネットで番組が流しやすくなるよう、著作権法の抜本改正を検討している。
そんなに単純な問題だろうか。

放送には、公共性を考慮した著作権法上の特例があるためだ。音楽や映像などの著作物は原則として、著作者の許可なしに複製・利用できないが、放送は事後承諾でいい。
総務省などは、こうした特例をネット配信に広げることを目指している。放送との垣根をなくすことで、番組の流通促進と制作の活性化を狙っている。
だが、特例の拡大は、音楽会社や作曲家、歌手たちのような著作権者の権利を縮小することを意味する。
権利縮小を補う方策なしでは、制作現場は活発にならないだろう。

電波という公共財を使う放送は地域別の免許制だが、ネット配信は、こうした規制がしにくい。特例を利用する配信事業者や個人が、次々に出て来る事態も想定しておかなくてはならない。

同時に、在京のキー局が人気番組を全国にネット配信するようになれば、地方局は立ち行かなくなってしまう。

著作権法の改正は、こうした番組の活用も目的としている。欧米では、放送局などが特例に頼らず、著作権者らと事前に契約を結ぶ方式を取っているため、ネット配信も日本より広がっている。
法改正しなければ何もできない、と考えるのではなく、過去の慣習を見直すなど、幅広い方策を検討したい。
こんなに長々と引用するのは本意ではないのだが、この立論が全体としてトンチキだと思うので致し方ない。
三段論法の典型じゃないのかね?全国紙の社説のやることか?論点を整理してみると
放送とネットの垣根に著作権がある。
放送は著作権法上、特別扱いだ。
ネットにまで放送同様の特別扱いをすると地方の放送局が成り立たなくなる。
だから著作権法の改正ではなく、商習慣の見直しなどをしろ。
ということになりそうだが、これでは

「現状維持が良いのだ

と言ってるだけじゃないか。
ネットワークを新メディアだとするのなら、新聞社はマスコミという旧メディアであり放送局も旧メディアだ。その放送局の問題を著作権法の観点からだけで論じることに無理があるというより「改革反対」としか聞こえない。

そもそもなんで一般の国民が地方放送局の経営を心配しなくてはいけないのだ?社会が必要とする会社なら残るだろうし、不要ならどうやっても無くなる。地方局が無くなってもネットから放送に流せればテレビでの情報流通に問題は無くなるかもしれない。

すでにネットワーク配信ビデオのネットワーク(すごい分かりにくい表現)のロケットブームが世界的に広がってしまった。
これはNHKの特集で知ったのだが、二人で始めた全世界ネットワークだ。素人ビデオを再配信しているのだから、れっきとしたテレビ番組ネットワークでいわばインターネット版のCNNになる可能性がある。

だいたい「習慣を見直して成功した例」なんてものがあるのか?
権利者の擁護ばかりで流通が止まってしまったCDについてどう考えるのか?新聞は「特殊扱い断固維持」といったことでも、あまりに保守的に過ぎる。NHKの受信料問題についても、強制徴収を推し進めると「テレビは見ない」という層がかなり増えるだろう。旧メディアは土俵際に押し込まれている。

4月 7, 2006 at 09:27 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.04.04

愛媛県警事件・流出内容で告発か?

朝日新聞より「愛媛県警が架空捜査報告書 ウィニーで流出
愛媛県警捜査1課の男性警部の私有パソコンからファイル交換ソフト「ウィニー」を介して捜査情報などがインターネット上に流れた問題で、流出した捜査報告書の中で02年に未解決殺人事件の情報を提供して謝礼を受け取ったと記載された住民2人が、県警から事情をまったく聴かれていなかったことが3日、関係者の証言で分かった。
捜査報告書通りに捜査報償費が支払われていれば、実態のない捜査報告書に基づいて公費を支出していたことになる。
「あら、出ちゃった」といったところでしょうか?

よく調べたモノだと思いますが、こういうことがあるからネットワークの情報流通を制限すれば良いというのは違うと思うのですよね。

何もしないでもリスクが全くない社会が良いのか?というのは何かがすごく違うと感じます。
ビッグブラザー」とか「地上人・地底人」といったキーワードを思い出してしまいます。

ネットワーク利用が社会や生活のあり方を大幅に変えつつあって、それをネットワーク時代以前の評価軸で「良い・悪い」と考えること自体が間違っているのでは無いか?と思います。
インターネット利用が一般に普及し始めた時期が1995年であったとすると、今の中学生は物心ついた時にはインターネット時代だったわけです。
彼らに「インターネットは是か非か」と言ってもインターネットの無い社会を知らないのですから以前の社会なんて分からないはずです。

2015年ぐらいには、今と全く違う判断基準の時代が来ているのだろうと思います。
それは単に時間の経過に他ならないのですから、誰にもどうにもなりません。

4月 4, 2006 at 09:41 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.04.03

ネットの人権侵害と言うが

朝日新聞より「ネットの人権侵害、急増 法務省救済、5年前の7倍に
インターネット上の掲示板への悪質な書き込みなど、ネットを悪用した人権侵犯があったとして法務省が救済手続きに乗り出したケースが、昨年1年間で272件にのぼったことが同省のまとめでわかった。
5年前(39件)の約7倍と急増しており、法務省人権擁護局は今後も件数は増えるとみて、「さらに対策に取り組む必要がある」としている。
「5年前に比べて」という表現ではミスリードになるような気がします。

5年前に39件というのは、2000年度に救済した事件の数を2001年春に集計した、という意味だと思うのです。
「インターネット白書2005」(PDF)によれば
2005年末では、7320万人とされています。
2000年末には、3040万人とされていて実に2.4倍に増えました。
1999年末には、1830万人となっています。この時点からは4倍です。
このことから、インターネットに関われる年齢の人口で考えると日本国民がインターネットを利用する率は

1999年時点での17%から2005年末には70%になった、

と言えます。
少数派の人たちがやっていた時代から国民全部が使うに等しい状況に変化したのがこの数年なのですから「5年前に比べて」を額面通りに受け入れると「周囲の状況とは無関係に変化した」と受け取れますが、実は状況が変化したからこんなことになった。と理解する方が正しいでしょう。

4月 3, 2006 at 12:26 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.03.26

インターネットでの国家機関の認証?

日経新聞より「ネット接続業に認証制、災害対策など審査・経産省と総務省
経済産業省と総務省は、全国に約9100社あるインターネット接続事業者(ISP)を対象にした通信の安全管理の認証制度を今夏にも始める。
認証制度なのか許可制度なのか免許事業なのかと色々と考えてしまいますが、まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記の記事「経産省・総務省 ネット接続業に認証制、災害対策など審査?」にこんな説明がでています。
 紙の新聞ではもう少し書いていて、
認証申請はあくまでネット事業者の自主的判断にゆだねる。
申請に対し、民間の第三者機関が審査し、
経産省・総務省が管轄する日本情報処理開発協会が報告に基づき認証する。
ということは、天下り先作りなんですかねぇ?

わたしは「プロバイダ事業は終点が見えた?」に書いたとおりで今までのISP事業の中核である会員を集めて通信線を集中させるという事業モデルが9100社もある現状が今後も続くわけがないと思っています。
通信事業は結局は現物の回線を持っている事業者とその販売を引き受ける業者に分かれますから、最後まで残るのは回線を持っているNTTを先頭として、電力会社、鉄道、衛星・ケーブルテレビ放送といった事業者でしょう。

一方、会員から会費を集めるというのは基本的に金融機関や決済代行会社の仕事で、ニフティIDで買い物が出来るということは実はニフティ社が決済代行会社であるわけです。
決済代行事業では金融機関(カード会社)を別にする(代行だから)ので、宅配便会社(ヤマト・佐川・郵政公社)あたりが強いでしょう。

結局、ISP事業は「通信・会員集め・各種決済」といったネットワーク社会で必要とする様々な事柄に昔は応じてくれる会社がなかったので「大きな量を仕入れて、小口に販売する」事業だったんですね。 ニフティ社はパソコン通信として成功したが、アスキー社は回線を仕入れる段階で負けてしまった。
こういういきさつから考えると、ISP事業が社会に確立していくと、実はISP事業者は社会から融けて消えてしまう、ということでしょう。
そういう事業者の仕事の一部である「災害対策の審査・認証」なんてやってどういう意味があるの?日経新聞は
今後、政府機関がネット接続事業者を選ぶ際に、認証の取得を条件にする。企業顧客なども含めたネット事業者の選別が進む可能性がある。
なんて書いていますが、こんなの「じゃNTTにしよう」としかならないでしょう。現時点でネットユーザーが単に「ここが安いから。内容なんて考えない」なんてのはほとんどが個人ユーザーでしょう。
政府機関が何を選ぶんだ?どうもなんかワケの分からない思惑でもあるんでしょうかね?例えばインターネットの接続そのものをコントロールするとかですかね?
基本的にはネットユーザーがISPというか回線の信頼度などを評価というか考えないのは、情報流出とかウイルスの危険性を知らないで済ませてしまう、なんてことと裏表の関係じゃないですかねぇ?

インターネットが個人や個性の独立を促進する強力なツールであったのに、インターネット利用のキーになる部分の判断を国の保護に預けてしまうのではインターネット利用では無くなってしまうのではないか?というのは心配しすぎなんですかねぇ?

3月 26, 2006 at 11:07 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.03.24

プロバイダ事業は終点が見えた?

朝日新聞より「NECと住商、ネット事業で提携へ ビッグローブ独立
NECと住友商事はインターネット事業で提携する方針を固めた。NECのネット接続(ISP)サービス事業部門の「BIGLOBE(ビッグローブ)」を7月に新会社として独立させ、そこに住商などが出資する。ビッグローブの電子商取引や動画配信のサービスを強化して、ヤフーや楽天などと対抗できる総合ポータル(玄関)サイトに脱皮させる狙いだ。28日に正式決定し、発表する。
NIFTY-Serve が PC-VAN(BIGLOBE の前身)に比べて強かったのは、日商岩井と富士通の50%ずつ出資で独立した会社であったゆえに、休日無しのサービスを簡単に実現できたという面が大きいです。

NECのパソコン販売部隊の課長から「パソコン通信で業務サービスが出来ないか?」と相談された事がありましたが「PC-VAN は会社だから、休日のサービスとか無理ではないか?」と返事して、その計画は止まってしまいました。
時代が進んで、コンテンツ・サービスに乗り出さざる得ないということでしょうか?

朝日新聞は以下のように解説しています。
NECは93年にISPに参入し、96年にネットサービスを合わせたビッグローブ事業に発展させた。ネットサービスのシステムを支えるデータセンター事業もあり、部門売上高は約800億円とみられる。ISP会員は現在約400万人おり、ヤフーBB(ソフトバンクグループ)、ニフティ(富士通の子会社)、OCN(NTTコミュニケーションズ)に次ぐ規模だ。

大手電機各社がこぞってダイヤルアップのISP事業に進出したのは90年代半ば。ところが大容量高速通信時代になり、ヤフーBBなど新規参入組にシェアを奪われ、価格競争も激化したため、電機系のISPの利益や会員数は伸び悩んでいる。ビッグローブも最近は、売り上げの半分を稼ぎ出すネットサービス事業の強化に躍起だ。
ちょっと解りにくいですが、会員数というのがポイントで例えば光回線の TEPCOひかり を利用しようとすると、プロバイダ経由で料金を支払うことになります。元々 TEPCO は東京電力なのですから、東京電力に電力料金を支払うのと一緒に通信回線使用料を支払うでも良いと思うのですが、これをプロバイダ経由にしているのです。
当然、プロバイダに会費として支払われます。これはプロバイダの側からすると「会費収入」であって「サービス収入」ではありません。営業努力は回線事業者に向けるだけですから、ビジネス上は非常に楽な収入構造です。

ところが記事にあるように「競争激化」で価格低下しているわけで、こんな仕組み頼った収入構造が壊れるのは時間の問題です。
さらに、インターネットの仕組みの本質として「サーバーはどこにあっても良い」のでいったプロバイダとはどういう仕事をする事業者なのだ?と思ってしまいます。 この疑問については、1年ほど前にプロバイダ協会の重鎮の方がおっしゃった一言で納得してしまいました。

プロバイダとはナロー回線会員にブロードバンド回線を切り売りする事業

そうなると各家庭にブロードバンド回線が入ることで、切り売り自体が不要になってきます。そこでコンテンツ・プロバイダといった表現で有料コンテンツを販売するような事業者に変わることが今回の BIGLOBE の独立の表看板になっていますが、これも映画会社などが直接情報発信すると本質的事業ではなく、会員による会費の徴収が仕事と言えます。
これでは、ライブドアも大変な会員を持っていて機能しています。

よく考えると、インターネット上にクレジットカードの情報をあまり手広く出したくないから、ニフティ社などに会員番号(ID)とパスワードによって支払通知をしているだけです。
それなら、よく使うECサイト(通販サイト)などが全部代行したらOKではないのか?あるいはカード会社そのものがコンテンツ販売のチャンネルを開いたらどうなんだ?

というわけで、プロバイダ事業の終焉が始まったのではないでしょうか?
ブロードバンド回線はすでに家庭に入っているわけで、次はサーバをどうするか?ですがビデオ踏み台事件で明らかになったのは、PCの形をしてないサーバがすでにあるわけでサーバー機能をハードウェアにしてしまえば、誰でもサーバを安全に運用することは不可能では無いでしょう。
インターネットはネットワークとしてサーバを分散して設置することに意味があるのですから、現在のニフティ社などがやっているデータセンター運用がいつまでも続くわけもなく、そういう観点からもけっこう大きな転換点が見えたということだと考えます。

3月 24, 2006 at 08:32 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.03.23

ネットワークとカスケード

Matimulog さんの記事「裁判所siteにリンクしたら電話しろと」は、タイトル通りで「裁判所のサイトにリンクしたら電話しろとあった。時代錯誤だ。電話の数に対応出来のか?」なんて話になってます。

「裁判所もかよ」とは思いますが、最近は企業サイトなどでもどうやって連絡しら良いのか分からないといったものを含めて、インターネットに流れる情報も自分でコントロールしようという風潮がちょっと強くなった気がします。

何回も書いていますが、わたしは近代産業社会が軍隊の指揮命令系統の考え方をほとんど全ての業界で取り入れて20世紀に大幅に経済の成長、病気の克服、寿命が大幅に伸びた、といったことで総合的には人類社会の福祉に大いに貢献した、と考えています。

実際に学校や企業などの中では、指揮命令系統とは関係の無い、県人会とか学閥といった組織があります。このような組織でも構造としては「会長・・・・・」となっている場合が多いので、指揮命令系統と同じような構造で頂点から枝分かれているカスケード構造である、言えます。

会社などでは業務用のカスケード構造を上から下に描いたとすると、県人会・学閥などはいわば横向きのカスケード構造であって、この二つの系統が重なるとネットワーク同然の機能が成立しているのだと思います。


会社などの組織に属していない家庭や地域になると、個人のつき合いとが出来ますが、この場合の情報伝達は多くの場合は個人から個人にであって「誰それに伝達してくれ」というの玉突き的な情報伝達はマレです。これはネットワーク構造なのですね。
最初に書いたように、カスケード構造が社会的に全面的に取り入れられたのは20世紀になってからのようで、ネットワークによる情報伝達の方が先にあったのであろうと思います。例えば橋の下に落書きするといったことは何百年も前から行われていました。


インターネット利用の広がりで、またネットワーク型情報伝達が広がってきたわけですが、企業などにとっては縦方向のカスケード構造、横方向のカスケード構造の上にネットワーク型構造が乗ってくるとイメージすると、これは3次元構造になってしまいますね。

会社の組織図に描くのにも3次元構造では極めて描きにくいです。もちろん説明も出来ない。
そこでカスケード構造の中に無理矢理ネットワーク構造を押し込もうとしているのではないでしょうか?
それが「リンクしたら電話しろ」になっていくのでしょう。
それは分からないではないですが、それこそ「木に竹を接ぐ」ではないでしょうか?カスケードはカスケード、ネットワークはネットワークとしてそれぞれの役割ややり方があって、取って代わるの極めて難しいでしょう。
つまりは摩擦としての「リンクしたら電話」とか「言いっぱなし(情報発信だけ)のインターネット利用」といったネットワーク利用とは言えない例も等分無くならないでしょう。

3月 23, 2006 at 01:32 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.03.20

読書・ウェブ進化論その2

「読書・ウェブ進化論その1」の続きです。

「ウェブ進化論」は全体として、Google などを取り上げて「あっちの会社」といった説明をして、あっちの世界がこっちの社会と競争して勝つだろう、というトーンで貫かれています。
これ自体は現実に Google を有料会員制ネットワーク検索なんて仕組みで凌駕することが不可能であることを考えても正しい指摘でしょう。

そしてこの指摘は「今までの社会を壊すぞ」という意味であり、有料会員制パソコン通信が崩壊した例から考えても一部では確実であると思います。

しかし、このようなネットワーク社会が現在のカスケード構造社会を全面的に壊して無くしてしまうことは直感的にはありそうもない。

しかし一部では既存のやり方にネットワークが確実に影響しているところがあって、大企業ではインターネット上の情報や顧客の意見に極めて大きなコストを掛けて対応しています。 わたしが印象的に覚えているのは「HDD付きDVDレコーダーがインターネットを攻めてくる」で紹介した、DVDレコーダーがネットワークの踏み台にされてしまった事件です。これはたまたまブログに書かれて盛り上がったわけですが、メーカの東芝はかなり素早く対処しました。東芝がネットワークをチェックしていたから素早く対応できたといって良いでしょう。

つまり実社会や商品・サービスといった商業・実務活動に個人がインターネットに流す情報は確実に影響しているのです。
これが、直接的に影響しているのが「相談事」で相談を仕事にしている「士業」の方々の業界には多大な影響を及ぼしています。
誰が考えても「悪徳商法に引っかかったのだが」とかだとネットワークに相談するでしょう。この相談を出発点にして裁判になるといったことも当然あるわけで、この間には内容証明がどうのこうの、といったことになっていきます。これらは元々士業(弁護士・行政書士など)の方々が専門に引き受けることであって弁護士法などで「素人はお金を取って弁護士の仕事をしちゃダメよ」と書いてあります。

しかし「法律的な相談を、専門家にしかしてはいけない」でないのは社会的常識であって、たまたま知人にちょっと法律に詳しい人がいたら相談するのが普通でしょう。この「普通のこと」をインターネットを利用することで弁護士さんが個人的に持っているネットワークを遙かに突破してしまう多くの人の回答が出てきてしまいます。
もちろんネットワーク上の特に匿名での回答と契約して回答してくる弁護士さんの回答のどちらが信用できるのだ?ということを比較すれば、普通は弁護士さんの回答ですが中には弁護士さんよりも良い回答があるかもしれません。

結局は新たに出てきたネットワーク構造と従来のカスケード構造社会を比較して、どちらかが取って代わるわけではないというのはこの説明からも明らかでしょう。
では Google とはなんだったのか?これが「ウェブ進化論」の指摘している重大なところで、わたしの理解では「タダ同然でかなり高品質な情報を流通させることが出来ます」から話が出発するのですね。
この出発点を元になんらかのビジネスを考えるというのは分かりますが、それがすべてのビジネスを変えてしまうなんてことはムリで、例えばミスを許されない多くのビジネスや、極めて小さいとか狭い専門的な分野について広く一般に情報を回してもあまり意味がないでしょう。

社会のビジネスなどを中心とする世界はカスケード構造で出来ている方がコストが安いというのは、おそらく確実でそこにネットワーク構造をどう取り入れるのか?ということが今の問題なのでしょう。
まだまだ分からないことが多すぎます。「ウェブ進化論」の指摘は鋭いとは思いますが、すべてに回答しているのではないでしょう。個人がネットワークに関わるだけ、というきわめて小さな力も大きな影響を及ぼしうるという指摘こそがこの本の重要なところかもしれません。

3月 20, 2006 at 12:00 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.03.19

読書・ウェブ進化論その1

アマゾンの和書で売上ランキング6位(2005/03/19 08:40)の「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」梅田望夫著 ちくま新書 を読了しました。

著者の梅田氏は1960年生まれで1973年に慶應義塾の中学でコンピュータに触れたそうです。
80年代になるとパソコンが実用化されます。その以前の70年代にコンピュータに触れるとは、大型コンピュータでカードパンチやバッチ処理時代を実体験しています。わたし自身も同時期に大型コンピュータを使っていて、自分のコンピュータを所有することにあこがれていて、パソコンの登場に感激した人たちの一人です。梅田氏は「パソコンの登場した時代の人」として代表をビルゲイツであるとしています。

しかし、Google の創業者が1973年生まれだから「コンピュータを私有できること自身には感動しなかった」P219 には「そうかPCの所有そのものに、それほどの意味が無いのか。そらそうだろう」と納得してしまいました。
この本は基本を Google とは何かをベースにして社会を論じています。

わたしは、ネットワーク構造の社会を非常に重要視しています。ネットワーク社会とは元々人類が持っていた社会構造のはずで、近代の社会組織の基本であるカスケード構造が確立したのが近代になってからだろうと考えています。
ネットワーク構造では原理的にノードがありますが、血縁の族長のようなところがノードでもあったのでしょう。それが経済とか法律が出来るに従って、法治や支配として上位下達構造が出来ていきカスケード構造の社会が出来たのだと考えています。

国の運営といったことは上位下達である方が明快だと思いますが、経済はコストの競争で決まりますから自由放任で地方あるいは地域だけの経済が徐々に進歩して全国規模になっていったのでしょう。
これには通信の進歩が非常に重要な意味をもっていて、通信を集中させることで全体を素早くコントロールできることを証明したのが、第一次大戦のプロイセンの陸軍参謀総長モルトケで、計画的に電話網を作り参謀本部が前線を指揮して、能率を向上できることが証明されました。

このことが、全国レベルで上位下達(カスケード構造)を実行できる事を証明しました。企業や学校も軍隊組織をマネし、通信能力を向上させることで、大規模になっていったと考えています。実際に20世紀はカスケード構造で国家も会社も成り立っている社会でありました。
現代人は国家による中央集権的統治をあらゆる面で認めています。商品や技術において「国家規格」があることを当然としています。大岡越前守が大工の尺(モノサシ)を統一して江戸の橋の工事をしたという話(伝説か?)もあります。これはこの当時は日本全国ではモノサシが統一されていなかったことを伝えています。
建築では「京間」とか「団地サイズ」といったローカル規格があるわけですから、全国から大工を集めて橋を作るという工事に規格とか基準といったものに直面した時のとまどいは大変なものだったでしょう。

何を言いたいのか?というと現在の世界標準である国家の国内統治や国際規格といった概念が意外なほど短い期間しか使われていないので、カスケード構造ではない世界観を考えてみることも出来るだろう。ということです。 ところでネットワークは国家レベルのカスケード構造よりももっと身近で日本の会社では会社の指揮命令系統とは別に県人会とか同期会といったいわば横串的な組織があることが多いです。これによって会社の組織にもネットワーク構造があり「あの話は、○○部のAさんが詳しい」なんて話が出てくるのです。

個人が県人会とか同窓会といった個人レベルでの知り合いを作るのに会社の構造と同じことをやるのは、コスト的に個人ではとても出来ない、というのが個人が知り合いを組織化できない最大の理由でしょう。これを無理矢理やっているのが政治で、政治家の組織作りには大変に費用が掛かります。
それがインターネットによって技術的にコストダウンが出来たので、個人がネットワークを作ることが可能になってしまった。
このインターネットがコミュニケーション=ネットワーク構築をタダ同然までコストダウンしたことに着目したところが「ウェブ進化論」の中核です。

しかし、個人がネットワーク利用をすることがタダ同然になったとしても、なんらかの形でビジネス展開をしないと社会に定着しません。これは恐ろしく難しいことで「原価はタダですが、お金を払ってください」と言ってもほとんどの人は払わないでしょう。タダのモノから何らかの価値を生み出すというのは全く別のビジネスを作る必要があるでしょう。
梅田氏はそれを「Google がやっている」として「あっち側の会社」としています。

3月 19, 2006 at 11:27 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.03.13

朝日新聞のネットワーク利用は?

大石英司の代替空港の記事「朝日新聞の〝変〟 「メールチェック」で記者たちが大ブーイング」経由、毎日新聞より「朝日新聞の〝変〟 「メールチェック」で記者たちが大ブーイング

毎日新聞と朝日新聞はケンカ状態ですのでそれをご理解の上でどうぞ(^^ゞ
社員のメールを保存して、後でチェックできるようにする。「訂正しない」と宣言したはずのNHK特番改変問題の記事を書いた記者を読者サービス部門に異動。高らかに「ジャーナリスト宣言」しているわりには、やることが何だか変だぞ、朝日新聞―。

朝日新聞社によると、3月1日に「ネットワーク記録・分析システム」が導入された。全社員を対象に、会社のサーバーを経由したメール送受信、ウェブサイトの閲覧記録を3年間保存、その記録をチェックできる。
「個人情報や企業に関する情報が社外に漏洩するなどネットワークが不正に使われたり、当社のシステムやサーバーが外部から攻撃を受けたりした際に、危機管理上、通信内容を調査し、対応措置を整えるのが目的です」(広報部)

しかし、社員、特に記者たちの中から大ブーイングが起きているのだ。
「情報源と微妙なやり取りもある。会社に見られる可能性があれば使えなくなりますよ。自由な言論を掲げる報道機関が検閲まがいのことをするのかと、みんな呆れてます」(中堅記者)
まったく別のところでも、自衛隊・警察などの情報流出をきっかけにして色々な議論が起きています。
匿名性についての議論 Winny について簡単な説明が必要とする議論 Winny の作者がウイルス対策が裁判中なので出来ないという議論 などなど
昨日買ってきた「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」梅田 望夫・ちくま書房新書は、落合弁護士や町村先生が注目している本で、後ほど読んでから書きますが、読み始めでもかなり注目するべきところがあります。
(日本の若者が)ショックを受けた米国の「インターネットの中」とは何なのか。
それはネット社会という巨大な混沌に真正面から対峙し、そこをフロンティアと見定めて新たな秩序を作りだそうという米国の試みが、いかにスケールの大きなものであるかに対する驚きだったのである。
日本の場合、インフラは世界一になったが、インターネットは善悪でいえば「悪」、清濁では「濁」、可能性よりは危険な方ばかりに目を向ける。良くも悪くもネットをネットたらしめている「開放性」を著しく限定する形で、リアル社会に重きを置いた秩序を維持しようとする。

この傾向は、特に日本のエスタブリッシュメント層に顕著である。「インターネットは自らの存在を脅かすもの」という深層心理が働いているからなのかもしれない。 米国が圧倒的に進んでいるのは、インターネットが持つ「不特定多数無限大に向けての開放性」を大前提に、その「善」の部分や「清」の部分を自動抽出するにはどうすればいいかのかという視点で、理論研究や技術開発や新事業創造が実に活発に行われているところなのだ。
この本が述べている「ネットワークが作る社会」と「リアルに出来ている社会」との摩擦といった面が実は極めて大きいのではないか?と強く思います。

Winny+ウイルスで起きた情報流出で、愛媛県警は「Winnyをインスートルしない・誓約書」を取ることをしましたが、問題は「情報流出を防止すること」であるはずなのに「流出後に処罰できる根拠を得る」しか出来ないというバカなことをやっています。

これは、警察も含むリアル社会にある指揮命令系統によってネットワーク利用を制御しようというのものですが、指揮命令系統はカスケード構造であって、ネットワーク構造と相容れません。
ネットワーク構造ではノード(結節点)があって、情報はバラバラに蓄積されています。その情報はどこからもアクセスできるからネットワークであって、セキュリティ対策はすべて一様に対策しなければ意味がない。
カスケード構造であれば、上流の一点を絞るとか緩めるとかで以下の組織に一度に影響します。
これを取り違えているところに問題があるのですが、じゃあネットワーク構造の会社が成立するのか?と言えば現時点では無理でしょう。

その無理なことをやっているから、警察も自衛隊も朝日新聞もトンチカンになってしまうのでしょう。

3月 13, 2006 at 11:19 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.02.06

迷惑でないことを保証するメール・米AOL

東京新聞より「有料メール事業を計画 米、AOLとヤフー
【ニューヨーク5日共同】米娯楽・メディア大手タイム・ワーナーのインターネット事業部門アメリカ・オンライン(AOL)とインターネット検索大手ヤフーは、安全性を強化した企業向けの有料電子メール事業を計画している。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が4日、報じた。
迷惑メールや詐欺メールではないことを送信先に対して保証する内容。こうしたメールに対する警戒が強まり、企業からのメールも顧客に届かなくなる恐れがあったが、この問題を解消できるとしている。
これは無理だろう。
迷惑か迷惑でないかは、送信側が決めることではなくて受信側が決めるものだ。
送信側が「これは迷惑メールではありません」として送りつけたものが「迷惑だ」となったら、AOLはその企業とのメール配信契約を打ち切るのかね?
打ち切る条件は苦情が何件来たら?

とかになってしまう。まして「保証するから有料で」ってどう考えても無理。
フィルタリング・ソフトとの関係をどうするのか?とか、ウイルス入りのメールについてどうするのか?といったことも含めて問題だらけでうまく行くとは思えない。

2月 6, 2006 at 08:37 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

音楽著作権・もう一つの著作権管理団体

NIKKEI NET IT+PLUS より「ネット番組配信、許諾業務一括代行へ――業界団体
放送番組のインターネット配信について、レコード会社や芸能人の業界団体が簡便な権利処理の仕組みづくりに動き出した。個別交渉が必要だった出演タレントや使用音楽の演奏者からの許諾を各団体が処理する仕組みを4月にも導入する。
一見「これでネット配信が簡単になる」がごときに見えますが、よくよく読むと全く違うというか受け取る側の誤解が確認できる、といったものですね。

音楽の著作権というと「日本音楽著作権協会(JASRAC)」が全部やっているように誤解しがちですが、JASRAC は著作権管理団体で著作権者からの委託で管理をしている団体です。だから委託していない著作権者も居ます。
JASRAC が管理の対象にしている著作権者は「国内の作詞家(Author)、作曲家(Composer)、音楽出版者(Publisher)など」となっていて、演奏家・歌手などの著作権は管理してません。

これで「著作権とはなんなのさ?」となってしまいますが、今回の著作権管理業務をやる団体とは
レコード会社の集まりである日本レコード協会(東京・港)と、歌手や楽器演奏者、俳優などの所属事務所が集まる団体の上部組織である日本芸能実演家団体協議会(芸団協=東京・新宿)。
芸団協は付属組織である実演家著作隣接権センター(CPRA)を通じ、出演俳優、歌手などの許諾や、音楽CDの中で演奏している歌手や楽器演奏家の許諾などを代行する。
だそうで、 これで、著作権法上は当然であった演奏者(歌手)への著作権料支払い(使用許諾)が統一されたとはなりますが、JASRAC と並ぶ強力な団体が出来て、双方と契約することになるでしょうね。なんかもっとスマートに処理できるようにならないモノでしょうかね?

2月 6, 2006 at 08:28 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.01.25

インターネット実名制で被害防止・韓国

韓国中央日報社説インターネット実名制で悪質なコメントを追放しよう
検察が、林秀卿(イム・スギョン)さんの息子の死亡記事について悪質なコメントを書き込んだ25人を刑事処罰することにした。悪意的なコメントに検察が動き始めたのだ。インターネット掲示板に根拠がない誹謗や名誉を棄損するコメントを載せて処罰された事例はあるが、悪意的なコメントを刑事処罰するというのは今回が初めてという。時遅しという感はあるが、当然の措置だ。
今インターネットでは悪口や誹謗、人身攻撃が乱舞している。一言で‘無法天下’だ。最近は林秀卿さんの事件のように他人の不幸を楽しむ加虐的、変態的なコメントも多い。
これは弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」さんが1月23日に取り上げた「[インターネット事件]インターネット「悪性レス」に法の処罰」と同じ事件について、中央日報が社説を出したものです。

どこの国にでもあることなのだと思うし、小倉秀夫弁護士名義のコメントは「某巨大匿名掲示板の管理人を名誉毀損又は侮辱の共同正犯ないし幇助犯の疑いで刑事告訴する被害者が現れたときに、警察ないし検察がどう動くのかということは、難しい問題としてあり得ますね。」とまで述べていますが、わたしは管理者経験をもってすると実名制などをもってしても管理することは不可能だろうという気が強くします。

確かに「これは論外」という発言があって、それを削除するのは簡単なのですが、削除したからといって問題は隠されただけで社会として解決したのか?となると、削除で解決できるのは「確信犯的落書きをした場合だけ」です。

以前、見るに堪えない掲示の内容を追いかけてみたら、刑事事件そのものであった、ということすらありました。
関係者(弁護士さん)にコンタクトしたから分かったことで、また弁護士さん(被害者も)わたしの管理するところに書き込みがあったことの情報を得たことを喜んでいて「ほとんど管理者は反応ありません」とおっしゃってました。
ルール化を強化してもどこかに抜け穴は残るわけで、ルールによる機械的な排除と並列して、途中や結果に対して判断する受け手側の能力向上も図らないといけない。
しかし往々にして事前の対処は利用者の油断に直結するところがある、というのが悩ましいところです。

わたし自身は、「実名制で・・・・」といった手法はムダであるという観点で反対する者です。

1月 25, 2006 at 10:34 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2005.10.16

新刊(一応)宣伝

一応新刊書の宣伝でしょうねぇ(^_^;)
「ハッカージャパン」の発行元・白夜書房から新刊本「ブログ&掲示板 攻撃・防御マニュアル」にコラムを一つ書きました。
タイトルが「インターネットで野次馬する人々」です(^_^;)

著者の三沢武士氏はペンネームで10年以上のつき合いのある人です。

昔の良き時代にはネットワークは善意だけで成立しているとされていましたが、今やネットワークを普通の社会の一部になって、日本でもインターネット利用者か8000万人と言われます。
こうなると、ネットワークには何でもアリになって実際に自殺サイトで殺す相手を探したという時代です。
法律による処罰なんてこと以前に管理者による適切な行動が期待されるわけですが、これほど重要な職務である管理者を教育する機関はありませんし、一般論としてのノウハウの共有化すら出来ていません。
この本にはそういう「管理者のノウハウの共有化」の一つですが、他の方も色々なことを考えていて、来年から動きが出てくるのではないかと期待しています。

10月 16, 2005 at 04:57 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.06.03

地域FM放送から考える

2002年10月に横浜市青葉区をエリアとする地域FM放送局「FMサルース」がスタートしました。
地域FM放送局は国道246沿いだとFM世田谷渋谷FMとありますが、地域FM放送局は聞く側にとっては住人に合わせるためか、たの放送局に比べて気分が良いと感じします。

時間的にも良く聞く番組にCindy鈴木のRise&Shineがあります。

シンディー鈴木さんのことは、だいぶ以前から知っていてFMサルースで番組があると知って「おっ!」と思ったものです。

ラジオのパーソナリティも最近では個性的というか自分の言葉で話す人が増えてきたと感じます、これは市場が求めていることでしょう。その中でわたしが以前から知っているというのは、今振り返ってみると「自分の言葉出話す人」ということあったのだと思います。
ま、公式サイトのDiaryを見てみるとなかなか個性的な人だとわかります(^_^;)

そんなこんなで、この番組はメールで勝手なことを書いて送ると読まれて、けっこう常連と化してます(^_^;)
ニュースをバリバリにあつかうパーソナリティというのも少ないのではないかと思いますが、これも自分の言葉を放送しているので、ほとんど blog のノリの放送か?なんて感じです。

FMサルースはわたしの住まいのある、たまプラーザの駅の構内のようなところにあって、写真のサテライトスタジオは喫茶店の一角のようなところで、駅前広場に面しています。
昨日、たまたま放送時間中の朝8時に電車に乗るので駅前を通るので、ちょっとスタジオの前に行って聞いている携帯電話を振って「これで聞いてますよ」と挨拶したら「行ってらっしゃい」と放送されました♪。

当然のように「どなたなのでしょうか?メール下さい」なんて放送されたので、今朝になって「わたし、酔うぞでした」なんてメールをしたら「酔うぞさんのHPを見ました」なんて言われてしまいました(^_^)

「いや~これは、放送と blog のコラボレーションか?」なんて思ってしまいました。
最近は「blog はジャーナリズムになるか?」とか旧来のメディアとネットとの関係について論じられることが増えてきましたが、ラジオ放送について言えば戦前はNHKだけだったわけですが、民放が出来て、DJが出来て、地域FMが成立するようになってきたなどと変化しました。
新聞についても全国紙から地域新聞などが生まれています。
全体として情報発信の仕組みや技術が小さくなってきている、と理解しています。
そこにインターネットで個人が情報発信出来るようになった。

これは大きく言うと情報発信の手段が個人レベルで使えるようになってきた一連の流れの中にあると思います。
シンディ鈴木さんは多分こういった大きな流れに自然にあるいは無意識に乗っている人で、なおかつパーソナリティ・ライターとしてマスコミサイドで活躍している人、といったところでしょうか?

よく「所詮はインターネットで個人がデタラメを言っている」といった評価の意見がありますが、情報について完璧に客観化するなんてことは不可能です。
その意味では情報を発信する側になった場合にどこからかは「デタラメを言うな」的な感想を持つ受け手も居るということを意識しているべきです。

客観化を目指せば無味乾燥になりかねない、そこのバランスこそが発信者に求められていることでしょう。そんな観点から、自分の言葉でラジオ放送しているシンディー鈴木さんには注目です

6月 3, 2005 at 09:09 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005.05.11

迷惑メールについてプロバイダと行政

INTERNET Watch より「プロバイダーと行政の双方が考える迷惑メール対策に向けた法整備」

財団法人インターネット協会(IAjapan)は10日、迷惑メールに関する技術や対策に関する「迷惑メール対策カンファレンス」を開催した。午後のセッションでは、迷惑メール対策と法律の関係についてのパネルディスカッションが行なわれた。

こりゃ見るべきだったな・・・・。

記事によると、プロバイダがメールのフィルタリングをすることの法的問題を検討するいったことのようです。
メールをプロバイダが見てフィルタリングするのは、見ようによっては盗聴です。
では受信者がプロバイダに「メールをチェックしてくれ」と委託したのだから問題がないか?というと、発信者は委託してないわけでプロバイダとしては裁判を起こされるリスクから逃れられません。

さらに行政が関わるとしても、インターネットに国境は無いわけで特に迷惑メールについては海外からのものが多いのですかから、国内でしか有効でない行政になにが出来るのだ?とも言えます。

こんな事情があるので、プロバイダが行政にお墨付きを求めるのは分かりますが、パネルディスカッションのコーディネーターを務めた慶應義塾大学の村井純教授は、以下のように述べています。
わたしもこの意見に賛成です。

「迷惑メールへの対策は、メールという重要なツールが生きるか死ぬかという問題にもなってきている。こうした対策については、民間が主導で行政がサポートするといった形が望ましいと考えている。的を外した法律や規制ができてしまっては意味がなく、民間の側から新しい技術の導入や協力体制の構築を行ない、これを行政がサポートしていく形でどこまで対策が行なえるかが重要になるだろう」

5月 11, 2005 at 12:33 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.04.07

安全は仕組みだけでは守られない

悪徳商法?マニアックス雑談の部屋で知った話しなのですが、こんなのがありました。

同じような目にあった方、いらっしゃいますか? 甲
この話は甲というハンドルの方が

納品後に連絡が取れなくなり、
代金が回収できていません。
それでこんなページを作って呼びかけています。

と言っているので、在宅ワーク系の悪徳商法被害者の相談のように見えます。ところが、この掲示板を読んでいくと

私が誹謗中傷されている本人です。 名前: 今野郁男 mail 日付: 2005/04/04月02:29[5082] 私は逃げも隠れもしておりません。この方に何度も何度もメール を送り一体誰なのか?また本当に私または会社が債務をこの方に あるのならば法的に処理すればいいとまで申しております。しか しこの件はすでに警察に告発しており刑事事件として逆にこの方 の行くへを警察も追っております。すでにほとんどのことが判明 しております。また関係プロバイダ、ドメイン関連などなどすべ ての会社の方も警察の指導の下、削除または撤廃をしておりま す。
という人が出てきます。つまり「連絡が取れない」というのに対して「本人だ」となりました。その後、甲氏のサイトは休止したようです(わたしは休止前の内容を知りません)さらにこんな話しも出てきます。
まさか同一人物ではないと思うのですが・・・ 名前: 都内の会社経営者 日付: 2005/04/05火19:13[5126] 昨日の『今野さんを探しています』の件でひとこと言わせてくだ さい。 私も会社を経営しております。 そして、実は私も、『今野さんを探しています』と同じ目に遭っ たものです。

そこで、本人であるとする今野郁男氏で検索してみると、「今野郁男さんを捜しています 」というのが複数のサイトに出てきます。少なくとも「本人・今野郁男氏」はネット上に出てきているのですから「連絡が取れない」という問題は解決しているはずですが、甲氏の発言ではどうもそうではないらしい、さらに「都内の会社経営者氏」が紹介した事例は、勝手に持ちこんだ作品を「だまし取られた」とネット上に知らないうちに発表されて営業上の問題になっている、ということです。

甲氏と今野郁男氏の実社会の争いの真実は分かりませんが、都内の会社経営者氏の事例とてらし合わせると「押し売り名誉棄損」とか「押しかけ詐欺」のネット版が実現可能なのだな、ということです。

プロバイダ責任制限法や個人情報保護法では、真実は何かということについて争いがないという前提で手続きを進めるようになっています。
真実を争うとなると裁判所が決着を付けるとか警察が捜査するなんてことが必要で、ネット上の対応として必要な迅速性が保てないからです。

プロバイダ責任制限法ではネットワーク管理者が「信ずるに足りる」で判断して、その判断に対して免責するということで、ある意味で合理的ではありますが、双方がネットワークにアクセスしている、つまりネット上の当事者にしか対応しないのです。
ところが、今回のようにネットを使った大規模ないたずら(?)が簡単に出来るというのもネットワークの特徴であって、こういう場合にどう対応すれば良いのか?をネットワーク管理者の立場で考えると、頭の痛いことになります。
どっちにしても「個人情報保護法対応のノウハウ」のようなシステマチックな方法論だけでは対処法として正しくても社会的には判断を誤る可能性があることを示している例でしょう。

4月 7, 2005 at 10:16 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (28) | トラックバック (0)

2005.01.05

まだまだ続く Mozilla Thunderbird

いささか慣れが必要なのはどんなソフトウェアでも同じだから、メーラーのように目的がはっきりしている場合には使用上の大問題が起こらないのであれば、利点だけが生きてくると言えます。
(利点があるから、取り替えるのであるから)

Mozilla Thunderbird を継続して使うことにして、以前のメールを移しました。
数万通のメールを移動して、改めてディレクトリーに割り振るというおよそ非能率なことになってしまいました。
(ディレクトリー単位で移動すること出来るのだから・・・・)

結局の所、メーラーも時代々々で変わらないとダメなのだな、と確認しましたね。
なんのかんのと今日は100通来ました。その半分が迷惑メール・・・・。
これが、一日の間に平均してくるわけではないから、10分ごとに読みに行くと、必ず来ているといった感じになります。
しかし、2年ぐらい前を考えると1日に100通のメールが連日来るなんてことは滅多にあることでは無かったです。

実際、携帯電話にメールを転送していたら、MLを転送してしまい、あわててMLのアドレスを変えたことがありました。
その後、携帯電話も定額制になったから遠慮無く転送できるようになった、という経緯があります。

ところが今では、特別に忙しいMLを使っているわけではないのに、迷惑メールが半分とは言え1日に100通来ることが珍しくないのですから、その頃のメーラに比べて自動化を要求するのも当然だ、となります。
そういうタイミングで出てきたのが Mozilla Thunderbird ですから特に何をしないでも、快適に動くというのは何気ないことではありますが、今の時代に合っているのでしょう。

1月 5, 2005 at 11:51 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.01.04

Mozilla Thunderbird その後

「Mozilla Thunderbird を使ってみます」を書いた時にはとりあえずインストールして普通に動くようにしただけといったとこでしたが、別の3台にもインストールしました。

「自動受信の設定が無いようです。」と書きましたが、ツール→アカウントの設定→サーバ設定の中に「新着メッセージが無いか」10分ごとにチェックする。
となっていました。

今まで使っていたのは ShurikenPro3 でこれで、メーラにアカウントを追加するとディレクトリーがアカウント毎に作られます。
これに対して Mozilla Thunderbird ではディレクトリーはそのままでアカウントだけが追加になります。従って送信用のデータを作る時にはエディタを開いてからアカウントを選択することになります。

ちょっと不便かな?と思うのが、送信フォームが出来ないようで、bcc: で自分に送るといった設定が出来ません。毎回、アドレスを追加することになります。
もう一つはこれもエディタにルーラが出ないことで、それでも72字で自動改行に設定されていて、ちょっと違和感があります。

とは言え、学習型迷惑メールフィルターの実力は大したもので、Spam Mail Killer に手動で設定していた時よりも確実にチェックしています。

いささか立ち上がりが遅いかな?というのが気になるところです。
ログを圧縮しないとかなり大きな形(htlmメールのまま)で保存しているようですが、所詮はメールですから大したことにはならないでしょう。

1月 4, 2005 at 03:05 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.12.31

Mozilla Thunderbird を使ってみます

Mozzila Thunderbird を試しています。
最新版のメーラだけのことあって「迷惑メール対応」がうたい文句になっています。
わたしの現在の迷惑メール対応は、Spam Mail Killer で対処しています。
最近はSpam Mail Killerでは対処しきれなくなってきて、もっと簡単に迷惑メールに対処できないか?というのが動機です。

Spam Mail Killer はメーラで受信してみて迷惑メールであるかどうかを判定するものです。
問題点としてはフィルターの登録を手動で行う必要があって、常に新しくなる迷惑メールに完全に対応することは不可能であり、ある程度の手動操作が必要だという点です。
@nifty も学習型の迷惑メール対応機能を提供しているように、手間を掛けずに効率よく迷惑メールをブロックするのには学習型のフィルターが必要のようです。

Mozilla Thunderbird の迷惑メール対応は、迷惑メール・フォルダーがあらかじめ用意されていることから分かりますが、受信したメールが迷惑メールであると判断すると迷惑メールフォルダーに移動してしまいます。
この判断が学習型となっています。

最初にこの学習をどうするのか?と思っていたら「迷惑メールに迷惑メールとしてマークして下さい」とあるので本当に効き目があるのか?と思いつつチェックを付けました。
先ほど見たら、自動的に迷惑メールに分類されていました。

ついで言いますと、自動受信の設定が無いようです。
つまり Mozilla Thunderbird が立ち上がっている間は常時受信のようです。
全く手間が掛からないのは便利かな、と思います。

12月 31, 2004 at 02:54 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2004.11.24

国語力の低下だって

サンケイ新聞より「「日本語力」低下 4年制私大、国立さえ… 「留学生以下」お寒い大学生」

大学生の「日本語力」が低下し、中学生レベルの国語力しかない学生が国立大で6%、四年制私立大で20%、短大では35%にのぼることが独立行政法人「メディア教育開発センター」(千葉市)の小野博教授(コミュニケーション科学)らの調査で分かった。

最近の掲示板での質問で投げかけた問題の本質がこれなのかもしれない。

わたしは1989年以来ネットワーク管理者(SYSOP)をやっているので、ネット界全体にも注意を払っているつもりです。先に書いたことは「最近の掲示板の書き込みには何を言いたいのか分からないものが増えてきた」ということだったのですが、もう一つの側面として掲示板の書き込みそのものが減っているのではないか?とも感じます。

そろそろ頭打ちか?と言われますが、それでもインターネット利用者は増えているわけで、掲示板の書き込みが減るというのは不自然だと思うのです。
その一方で、blog を開設する人は多く以前はパソコン通信で書いていた人たちが blog で書いているという例も多く見ます。

それだけだと「掲示板で書くのを止めて blog に移ったのだ」という解釈もありますが、それでも全体として書き手が減っている、という印象を変えるほどではありません。

書き手個人々々の事情で言えば書き続ける人は少数で、常に書き手の入れ替わりはあると思いますから、書き手が減っているというのは新たな書き手が登場しないことになるでしょう。
その背景として「日本語力の低下」があるのなら、インターネット掲示板の書き込みが減るのも当然か?となりますし、それはインターネット利用者の中での読み手と書き手の比率が読み手が増加して書き手が減っていることでしょう。つまり書き手はより多くの読み手によって選別される方向になるのかと思うのです。

11月 24, 2004 at 01:15 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2004.11.22

最近の掲示板での質問

最近、インターネット掲示板の発言で途中から始まっているような感じを受ける発言が増えたような気がします。
それも blog とか個人HPなど本質的に独り言であるのなら問題無いのですが、悪徳商法?マニアックスとか、SOHOの資格商法といった相談する掲示板などでの発言だからちょっと気になるのです。

具体的には「わたしも○○さんと同じです、どうしましょう」といったようなものが多いのですが、○○さんの話しというのは、当然のように最初のきっかけから途中経過を経て、相談せざるを得ないところに追い込まれている現在があるわけです。
それと「同じです」と言われても何が同じなのかが読んでいる(聞いている)側には分かりません。
当然のように「別にあなたの相談を書いて下さい」といった注意が飛びます。

説明に不慣れな人を誘導するとか自分自身の発言を明確化するためのルールといったものを考えてみます。

わたしはもともと金型屋ですからNC工作機械を使っていました。
NC工作機械のプログラムのルールに、インクリメンタルとアブソリュートというのがあります。
漢字で表記すると増分値表示、絶対座標などと言います。

NC工作機械のプログラムは工具が移動するべき座標の羅列で、その表現の仕方にインクリメンタル、アブソリュートという二種類があります。
インクリメンタルは増分値指令などとも呼ばれ「現在地から幾つ進め」という表現です。
アブソリュートは絶対座標指令の意味で「次は(全体から見て)この位置に進め」という表現です。

簡単に分かることですが、インクリメンタル法では、途中から開始することが出来ません。途中を間違えると以後が全部、間違えた量だけずれてしまいます。
アブソリュート法ではこれはありません。途中を間違えても以後の正しい位置に移動します。


この事は、道を教える場合などにも良く出てきます。
一つは地図を見せて「今ここに居ます」「目的地はこちらです」と全体を見せて教える方法です。
もう一つ、「この道を真っ直ぐ行って、突き当たりを左に、2本目の交差点を右に・・・」という方法もあります。前者がアブソリュート法で後者がインクリメンタル法に相当します。


最初に「発言が途中から始まっている」と感じたものはインクリメンタル法での表現だ、ということになります。
そこで、NC工作機械でのインクリメンタル法の実際の使い方を参考にして話しを明確にするのにはどうするか?ですが、これは話の出発点を明示することです。
例えば、いきなり「Aさんがお金を返してくれません、どうしたら良いでしょうか?」では分かりませんが、Aさんと相談者の関係、なぜお金を貸したのか、などといった話の最初の条件を明確化してくれて話しを聞いている人が情況を理解していれば「Aさんがお金を・・・」でも通じるわけです。

もちろん、アブソリュート法的な表現の方が途中で誤解しても修正が効くことになるので、説明としては良いでしょう。例えば「常に隣家のAさん」とするといった表現ですね。

それにしても、話がうまく伝わらないかもしれない、という判断無しに相談も含めてインターネットでつまり全くの他人に話しかけるというのはあまりに乱暴ではないか?と思うのですが・・・。

11月 22, 2004 at 03:34 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2004.09.19

続・インターネットで発信者の信用をどう確保するか?

9月1日に「インターネットで発信者の信用をどう確保するか?」を書いた。発信者がどう信用を確保するか?としているのだから、受信者が発信者を信用していないことを前提に書いている。しかし、これは全体としては極めて少数派の意見であるようだ。

パソコン通信時代からネットワークを利用しているので友人・知人もネットワーカとして古手の人が多い、そのためそういうベテランと話すと「インターネットはいかがわしいものだ」という合意の元に話しをしている。ところが一般的にはそうではないという認識らしい。

高木浩光@茨城県つくば市 の日記さんの記事「セキュリティに関わる解説を素人に書かせる銀行たち」に三井住友銀行のオンラインバンキングの新サービスとして「口座の入出金をメールで知らせるサービス」を始めたことを取り上げて具体的にサービスの説明など解説して そもそも、電子メールなどという信用性ゼロのメディアを使って、こういう連絡をしてはいけない。 」という原理を守っていない、だからセキュリティに関わる解説を素人に書かせる銀行たち」と題して問題だとしている。

この銀行の件については文句なく高木氏に同意であるけど、それ以前にこのサービスを企画し実行した銀行の方はフィッシングなどについて検討したのかね?スッパリ言えば高木氏の言う「メールは信用出来ない」や私の言う「信用を発信者が保証するしかない」という考えたをすれば、電子メールで通知する以外の方法や電子メールによって詐欺などが起きた時に補償するとかをセットにしないといけないとなる。

現実問題として電子メールで通知するのはコストダウンが目的なのだから、電子メールで通知して補償するなんてことをしたらコストダウンが吹っ飛んでしまうから意味がない。つまりやらない方がマシという事だろう。

しかし問題はこんな誰からも追求されるような仕組みを「安全だ」と思って進めてしまった銀行が想定しているインターネット像とは何なのだ?なのである。最初に書いたようにベテラン・ネットワーカーでインターネットに怪しげな部分が無いと思っているのは誰もいないし、フィッシングも架空請求も知っている。インターネットにそういう事があるのだと思っている。そこに「単なるメールで通知する」というのはどんなもんだ?

なぜ紙など出てくる情報は信じて、インターネットの情報は信用しないのか?という問題もあるだろう。例えば銀行からの通知は紙で来ると信用して、メールでは信用しないのはどこが分かれ目なのか?となる。これは簡単で、紙であるとか人に会って話すとかは内容(データ)以外の色々な情報が伝わってくるから総合して「大丈夫だ」と判断しているのだ。この色々の部分はデータに対して余分なものであり、情報としては冗長の部分に属する。これをムダだと省いてもデータ例えば金額などには影響はしない。つまり合理化が可能と言える。

結局この問題は「合理化出来る」と「合理化は危険だ」という話しの衝突であって、時間が経てば技術も社会常識も変化してメールでも大丈夫という時期が来るかもしれない。今は納得出来ないところが多々ある。

現在、インターネットを利用している人のほとんどは情報は信用出来るものとして扱っている。これが「ほとんど信用出来ない」となると、インターネットは実用性を一気に失ってしまう。これは週刊誌が良い例だろう。週刊誌には報道系や経済系といったものから、マンガやエロ専門といったものがある。これらが別々の雑誌として販売されているから、ニュース系の週刊誌を読む時には情報のほとんど信じるだろうと思う。これに対してマンガとエロ専門を読んでその情報を信じて実行したら大変なことになるかもしれない。

ある時、ニュース系の週刊誌の中身が記事の体裁は同じで、内容がマンガの話しだったらどうだろう。やはり信用してしまうのではないだろうか?

もし「週刊誌はどれもこれも信用出来ない」となったらどうなるか?ニュース系の週刊誌は買う人が居なくなるだろう。マンガを買っても同じなのだから。これがインターネットにも当てはまると思っているのです。

ちょっと前までは「インターネットなんて」という面も確かにありました。しかし、今や電子政府・電子自治体などと言ってる時代です。インターネット・バンキングも常識になりました。しかし、インターネットにはいかがわしい面があって当然なのです。普通の社会の反映なのですから。銀行からのメールに話しを戻すと、銀行からの郵便も配達証明といった郵便も使っています。メールもその内容に応じて使い分けるべきでしょう。

9月 19, 2004 at 11:27 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2004.09.01

インターネットで発信者の信用をどう確保するか?

週刊!木村剛にトラックバックしたら大勢がみてくれましたm(_ _)m(さすがに有名人は違うな~)

インターネットの根本問題?はちょっと前から気になっていたことを大勢の方がうまく説明してくれたということがきっかけです。
しかし気になっていることはなんなのか?と言えば「インターネットで情報発信者はどうやって信用を保証するのか?」であります。

意外とこの方面についての意見がない事が分かってきました。元をたどるとどうも住基ネット問題あたりにたどり着くようです。

基本的に情報には冗長度という概念があります。余分な情報を利用して情報そのものが信用出来るのか、をチェックする仕組みのことです。一言で言えば冗長度が高いと信頼性は高くなりますが能率は悪くなります、逆に言えば能率を上げると信頼性が落ちます。

この実例が「オレオレ詐欺」や「架空請求」であります。
では例えばわたしが「わたしの発言は、間違えなくわたしが書いている」と信用してもらうのにはどんな手段があるのか?これが発信者の正当性の確認ですが、これをインターネットの掲示板などを例に考えると「会員制にするべし」となって全然「インター」では無くなってしまう。

住基ネットなどに代表される役所(経由)の情報発信については「役所がやっているから大丈夫です」というのが根底にあるとしか思えないし、「ICカードを発行するからコピー出来ないので大丈夫です」と言っている先から偽者がカードを取得したことが発覚してしまった。これではコピーが出来るか出来ないかという問題では無い次元での対応が不可欠だということだが、どうするんだろう?

Tigerさんのコメントの通り大手プロバイダなどは非常に多くのかつ内容が高度な個人情報を一括して保持していることになっていますが、その元となる個人の発信情報の真実性については当然誰も保証はしない・・・・・。

<紀藤正樹弁護士の最新著書「インターネット犯罪大全」には「もともとインターネットは政府の干渉を排して、無政府状態に保ちたいという意見もあった」P024とあります。

要するに情報を発信するために無名や匿名もありだという考え方で、これはこれで納得できます。
しかし、それでは情報の信用度は街のうわさ話の域を越えないわけで、ビジネス利用などトンでもない、まして電子政府なんてどうやって保証するのだ?となります。
そりゃ確かに「郵便物だってのぞき見することは出来る」のは確かですが、問題はその手間であって、最初に書いた「冗長度の問題」そのものなのでしょう。

インターネットという一つのバケツの中にあまりに違う情報の入れすぎなのではないか?と思うようになりました。わたしが今論じているのは「インターネットは信用出来るのか?」であり、その理由は「信用する必要がある情報があるから」であるのですが、逆の見方もあるようで、例えば電子政府や新聞などは「政府だから」「新聞だから」といったいわばタイトルで信用を担保しているように思えます。
これに対して、そっくりのニセサイトを作るというのは以前からあって、最近ではフィッシングと称する、ニセサイトでパスワードなどを吸い上げるという手法も出てきています。
フィッシングについてはアメリカなどで「厳罰にあたる」という議論になっていますが、キリがないのではないでしょうか?じゃあ電話なら信用出来るのか、郵便なら信用出来るのか?どうも先に書いた「○○(タイトル)だから信用しろ」という仕組みそのものが無理だと思うわけです。

フィッシングについてもニセサイトについても注意深くURLを見て正当なサイトにアクセスすれば回避出来ます。では、通常はサイトを公開していない場合はどうすれば良いのでしょうか?こうなると本物かニセモノか区別自体が出来ません。「そんなことはそうそう無いだろう」と思う方も多いと思いますが先週末にNTTから「@ビリング登録完了のお知らせ」なるハガキが届きました。これは電話料金の通知をインターネットで行うというものですが、わたしは複数の電話を契約しているので@ビリングの使い方を知りたかったのですが、これが簡単には見つからない。

http://www.ntt-east.co.jp/
http://www.ntt-east.co.jp/shop/
http://www.ntt-east.co.jp/shop/annai/atto/atto-k.html

という深いレベルにありますが、トップページにはshopのリンクはありません。これでは無いも同然で、にもかかわらず「インターネットで料金通知」というのはちょっと問題じゃないですか?身近にこういう実例があるのです。確かにNTTの対応はヘンだと思いますが、先の「もともと信用するためにどうあれば」ということから言えば、トップページから辿れれば良いだけの話しで、そうでなければ郵送すればよいわけです。今回はハガキだったから信頼性が高かったわけですが、これがメールだったらフィッシング扱いでしょう。


このように「信頼を必要とする情報」の他にも「信用する必要は無いけど面白い情報」というのもたくさんあります。代表は2ちゃんねるでしょうか?問題は2ちゃんねるでもしばしばある例ですが「信用するほどの情報じゃない」はずのものを信用してしまう例や、その逆に「信用して欲しいのに信用されない」例などです。

これは分かりやすい例としては「オオカミと少年」でしょう。日ごろウソを言っているといざという時に信用されない。インターネットが個人にとって遊びであった時代にはオオカミと少年もあまり問題にはならなかった、しかし電子政府とか電子商取引という時代になると、ウソをつくことが相応のペナルティを食らうことになります。
何も罰金とか損害賠償という直接的なことだけではなく人望であるとか面接といった場面で問題になるでしょう。

結局のところ今後のインターネット利用では少なくとも情報を発信する側としては、一般の社会生活とネット上の発言を一致させないと、どこかで不利益を被るのではないか?と考えるものです。
この点については「技術系サラリーマンの交差点」さんが「自分の発言ログを管理する目的」という考察を書いていらっしゃいます。確かに自分の発言を管理するというのは直接的な方法で分かりやすいですが、わたしは自分のネット上での発言だけを管理することで自分のネット上も含む信頼性を確保出来るとは思えません。そこまでの自信は無いというべきです。もちろんだからといって「全部を公開するべき」ということではありません、ネットと実生活を同じ次元に置くということですね。
その狙いは「酔うぞというのは、ネットでも実生活でも同じだね」ということで信頼を得ようというものです。

まるでネットの匿名性には反するのですが、これはウェディング社との交渉で分かったことで、ウェディング社の言い分の中核は「匿名の相手と匿名ではない相手と同じレベルで交渉するのは怖い」です。これは直感的に良く分かります。
ビジネスの交渉では面会し名刺交換をし会社案内(自己紹介)をして・・・・。と常識的な手順があります。これも情報の冗長度の範疇なのでしょう。ではインターネットビジネスではこの手順が全く無視されるか?そんなことはあり得ません。ビジネスを含む社会のあらゆるつき合いには信頼度が非常に重要なファクターです。そのために外出する時には身だしなみを整えるなどするのです。

結局はインターネットを実務に使うのか、遊びに徹するのか?という違いになるのでしょうか?それとも個人の信頼性を広く知らせる技術的な手段が完成するのでしょうか?いずれにしても、コストダウンが目的だったインターネット利用はここにきて実務に使う場合のコスト負担をどうするのか?という問題に直面していると考えるべきでしょう

PS 「技術系サラリーマンの交差点」さんにリンクしているのに、トラックバックしていませんでした。m(_ _)m

9月 1, 2004 at 11:42 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (4)

2004.08.30

インターネットの根本問題?

福岡で講演を聞いてにわかに注目し始めた週刊!木村剛ですが、さっそく「バカはサイレンで騒ぎ、インターネット利用者は激減する!?」なる重要な記事が出ています。
要約すると「インターネットのシステムを知っている開発者はインターネットのセキュリティについて信用していない、その理由は・・・」ということなのだが、紹介されている「Tinkle-Tinkle」さんの「バケツリレーではなくて回覧板方式といった方が理解しやすい」はずいぶんうまいこと言うなと感心します。

メールについては基本的に暗号化することになるのでしょうかね?
現状はなんて言うかな、私書箱センターのようものかもしれません。
私書箱を開けてメールを読むのには鍵(パスワード)が必要ですが、メールを送るのは私書箱に入れるだけ。どこから来たのかという保証は無いです。つまり来たメールが信用出来ない。これがメール偽装が出来る理由ですが、これでは架空請求やオレオレ詐欺と同じで、来るメールの信用がないというのは困る。

紙に手で字を書いていれば、筆跡をごまかすのが困難だから、今でも「家康の直筆」などと何百年も前の手紙を歴史資料として検討できるのですが、デジタル情報では分からない。
ネットワークは秘匿ではなく公開することによって情報の真実性を担保するような仕組みなのかもしれません。
ということは正にネットバンキングなどは非常時の策の範囲を出ないかもしれませんね。
e-Japanなんてどうするのだ?根本的にセキュリティが無いものにわざわざセキュリティ対策をしてから使うのがコストダウンになるのかね?

8月 30, 2004 at 10:38 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2004.08.27

着うた談合

 
もともと26日の記事で
 公正取引委員会は26日午前、大手5社などに独占禁止法違反(不当な取引制限)などの疑いで立ち入り検査した。 
だった。ソニー・ミュージックエンタテインメント、エイベックス、ビクターエンタテインメント、東芝EMI、ユニバーサルミュージック、の5社と 音楽配信会社の レーベルモバイルだった。
それが、 日本クラウン、ポニーキャニオンも新たに検査されたということだ。
 レーベルモバイルは音楽配信会社としてレコード会社が共同出資して出来た会社である。
売り上げが100億円に達する業界に成長し、配信ビジネスは今後の有望な市場であるのだが、楽曲を提供するレコード会社は レーベルモバイルにしか配信させなかった。
 
この背景には先に出来た携帯コンテンツビジネスである着メロが原曲の作家にだけ著作権料が入り、演奏(楽曲)の権利を持っているレコード会社には収入にならなかったという事情がある。
そのために新たに着うたを開発しかわけで、それを独占して配信することにした。
つまり構造的に独占しているわけで、音楽ビジネスの構造に穴を開ける事件になるかもしれない。

8月 27, 2004 at 04:58 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.08.19

産経新聞に著作権について記事があったが

産経新聞より「【横車】著作権意識

著作権意識の徹底は重要だが、記事や論評的な紹介については、キャラクターや図版の掲載許諾を版権所持者や継承者の考え方だけにゆだねるのではなく、しかるべき場で明確な判断基準を示すべきではなかろうか?(獲)

マンガなどの紹介記事を書く時に著作権をクリアーするのに掲載料を請求されるのが問題だという記事だが、ちょっと待て!

新聞協会の著作権に関する見解である。

最近、新聞・通信社が新聞や電子メディアで発信する記事・写真などの情報を、インターネット上などで無断利用する事例がかなり目に付きます。

「利用」なのだ、転載も引用も含むということだろう。つまり無断引用という概念をそれとなく出している。
この件については新聞協会が「著作権法に抵触しなくても、違反の例がある」というトンでもない見解を出したことをリアルタイムで見ているので、新聞協会を厳しく見ています。
その上で、産経新聞の記事はより現実を直視したものだと思うが、一方で新聞各社は著作権に関する独自見解を出さずに新聞協会の見解をそのまま使っている例が多い(全部かも)これではネットワークを始めとして他のメディアから使用料金を請求されても仕方ないだろう。新聞協会の見解の修正の方が先決だと思う。

8月 19, 2004 at 11:19 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.07.15

飛行機からインターネット接続

毎日新聞より「航空機内ネット:ルフトハンザ・ドイツ航空機に搭乗 実際に使用してみると

旅客機の中からインターネットに接続するサービスが始まった。

「フライネット」のシステムは、米ボーイング社の衛星通信部門である「コネクション・バイ・ボーイング」(CBB)が作った。赤道上に浮かぶ8つのKuバンドテレビ中継用通信衛星に航空機の上部に搭載したパラボラアンテナから電波を発信し、衛星経由で地上局に降ろして、地上のインターネット網に接続する。アンテナ部などのハードウェアは日本の三菱電機製。通信速度は上り1Mbps、下り5MbpsとADSL並み

実は、飛行機の運航について情報の交換は基本的に無線通話である。
よく地上のレーダー画面に航空機のシンボルに便名などが表示されているのは、トランスポンダというレーダー応答装置が返事をしているだけで、特別に高度な情報交換はしていない。

一番の問題はアナログ通信それもAMで通信していることで、聞き漏らしなどがどうしても起こる。また、計器着陸装置(ILS)などの周波数選択などもパイロットの仕事になっている。航空機運航が自動化されたとは言っても、その操作はすべてパイロットの作業であり、外部からチェックが出来ない。
このために、高度と降下率を間違えて設定して墜落した例などもある。

ここらの情報をデジタル通信にすれば総合管制でき、かつ地上・機上でのチェックなど色々なことが出来るようになるが、その基本はインターネットのような(インターネットそのものでも良いけど)通信体系になるだろう。

そのためのテストとしての意味は大きい。

7月 15, 2004 at 12:21 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.04.14

インターネットいよいよ全世帯化

日経新聞より「インターネット人口普及率60%超に

総務省が14日発表した通信利用動向調査によると、2003年末時点のインターネット利用者は7730万人と前年末に比べて788万人増えた。総人口に占める普及率60.6%となった。インターネットの普及が進む半面、利用者の3分の1がウイルスや「迷惑メール」による被害を受けるなど情報社会のひずみも広がっている。

自宅からのインターネットの接続方法は、ブロードバンド接続が47.8%と前年末より18.2ポイント増えた。非対称デジタル加入者線(ADSL)の急速な普及が背景にある。

いよいよ、インターネット人口の増加は限界に達したと考えるべきだろう。
これからは、内容による読者からの選別が始まる。
この手のサービスというもの全体に日本は不慣れであるから、色々な問題が起きるだろうし、その解決の方法について試行錯誤が続くだろと考えます。

4月 14, 2004 at 08:38 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.19

Google が検索対象から除外するのは、いかがなものかと

ここにもリンクを付けているけど、ず~と以前から見ているサイトで「悪徳商法?マニアックス」というのがあります。
あっちこっちで売り込みをしていたからご存じの方も多いかも。

これが、

「Google から外された」

というのです。

サイトオーナーのBeyond氏が Google に理由を尋ねたところ

掲示板で非難対象

となった会社からのクレームで

検索出来なくした。

ということのようです。

まぁ、これはインターネット的に言えば

「言論の自由の危機」

でもあるわけで、スラッシュド・ジャパン

Google Japanがクレームのあった検索対象を結果から除外

として盛り上がっております。

実のことを言えば、プロバイダー責任制限法がプロバイダーも含むネットワーク管理者の一部を萎縮させている傾向はあるようで、辛口のサイトが昨年1年間で随分なくなりましたし、2ちゃんねるも大人になった。

結果自由というか、原始表現の自由論とでも言うのでしょうか?最初期のインターネットでの基本的な考え方は、この時代になるとさすがに無理とは思いますが、間接選挙よりもよほど直接的に庶民の声を反映することが出来る、社会的・政治的なツールとして、ネットワークは頑張るべきだと思います。その意味では、今回の Google の措置は大いに議論の余地はあると思います。

1月 19, 2004 at 10:14 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2003.12.21

UNIX問題が現実になった

2000年問題で「UNIX問題が控えているぞ」という話しがありました。
CADの有力メーカーPTC社が、自社製品に問題があることをユーザーに通知してきました。(わたしにもDMが来ています)
ZDNNに解説記事がでました。

詳細は、
「1970年から20億秒」という数字を選択。1970年はUNIXが開発された年で、UNIXアプリケーションの多くはこの年が元年に当たる。
PTC製ソフトは1月10日でこの期日を迎える。

ということですが、

UNIX自体も、同じような手法を用いて日付の問題を解決している。しかし32ビットシステムが処理できる限界の40億秒で設定されているため、UNIXプログラムのほとんどは2038年まで稼動できる計算になる。

なので、今後もこの手の問題は増えるでしょうね。

酔うぞ拝

12月 21, 2003 at 08:43 午前 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)