2008.04.20

フィリピンの米騒動

東京新聞より「穀物価格高騰 フィリピン 『不足』報道で米騒動

国際的な食糧価格の高騰が深刻化している中、コメ輸入国であるフィリピンでも政府供給米の販売所に毎日長蛇の列ができ、政府が矢継ぎ早に対策を打ち出している。
価格高騰が庶民の懐を直撃しているのは事実だが、背後には「コメ不足」の不安を盛んにあおるメディアの姿もちらつく。(マニラ・吉枝道生、写真も)

毎日三万三千トンのコメを消費するフィリピンは、おかずは買えなくてもコメは食べるというお国柄。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンのメニューにさえライスがある。コメの価格はことしに入って約30%高くなっており、庶民の財布を直撃した。

一方で、「コメ不足の可能性」を報道するメディアや、政府の無策を訴える反政府勢力が、国民の不安を駆り立てている面も否めない。飲食店には「半ライス」も登場し、“コメ危機”のイメージを増幅した。

一キロ一八・二五ペソ(約四十四円)の政府供給米には毎日早朝から市民が殺到し、長蛇の列をつくる。

マニラ市内で政府米を販売するアンジェリーナ・チャンさん(52)は「コメは十分にあるのに、報道がパニックを引き起こし、お客は買いだめしている」と話す。貧困層ではない人が何度も列に並び、必要以上のコメを買っている例が目立つという。

マニラ首都圏パラニャーケ市に住む男性(35)は、セブ島の親類がコメを持って訪問してきたことに驚いた。「マニラはコメがないとテレビで見たから」。セブ島では昨年より収穫が多かったと聞き、男性は「コメはある。問題は値段だけ」と答えたという。

社会不安につながる事態だけに、既にベトナム、米国などからの輸入を確保したアロヨ政権は「コメは不足していない」とパニック防止に必死。
備蓄量は昨年同期より約30%多い百九十四万トンで、今年六月までの国産米収穫量も昨年同期を上回る見通しと発表した。国内で毎日千二百五十トンが食べ残されて捨てられているという研究報告も出された。

国連食糧農業機関(FAO)などはフィリピンでも暴動が起こったと報告した。
しかし、テオドロ国防長官は「暴動など起こっていない」と憤る。

三月末に新人民軍(NPA)がコメ倉庫を襲撃した例はあるが、NPAによる各種襲撃事件は頻発しており、即座にコメ問題と結び付けるのは早計といえる。

ラグナ州の国際稲研究所(IRRI)によると、フィリピンは輸出国であるタイに比べて一ヘクタールあたりの収穫量は三割以上も多いが、水田の総面積は約四割にすぎない。多くの稲田が失われてきた。

騒動が長引く中、貧困層などを対象とした当面の対策に加えて「国内農業のあり方や人口問題、社会構造を根本的に見直すべきだ」との中長期的な論議も始まっている。

<コメ国際価格の高騰>国連食糧農業機関(FAO)によると、1998-2000年を100とした全米価指数は、昨年3月には130だったのが今年3月には216と66%も上がり、現在も上昇を続けている。世界各地で暴動などが続発し、FAOは「貧しい人たちが一番打撃を受ける」と警告。世界銀行や世界食糧計画(WFP)なども対策を打ち出している。

フィリピンで米不足の報道があって、その中には「ベトナムが輸出を止めた」という記事までセンセーショナルに取り上げられました。

例えば日本農業新聞は「アジア米騒動/自国優先鮮明に 逼迫感 相場押し上げ」で以下のように説明しています。

世界第2、第3位の米輸出国インドとベトナムは、昨年秋から米輸出を厳しく抑制してきた。国際相場が高騰する中で、アジアのそのほかの国にも実質的な輸出規制の動きが広がる。自国優先の姿勢が鮮明になってきた。

■インドネシア 事実上の輸出禁止

インドネシア政府は17日までに、今年産米の輸出を事実上、禁止する方針を打ち出した。国際的な需給逼迫(ひっぱく)を受け、国内備蓄を積み増すとともに価 格高騰を抑制するためだ。

この記事は慎重に読まないと「米の絶対量が足りない」と受け取りますから、東京新聞の記事にあるように「マニラでは米がない」と思いこんだ人も出てくるわけです。
これは日本の石油ショックの時のトイレットペーパー買いだめ事件のようなものでしょう。

国際商品が実際に不足するといったことは非常な長期変動であって、実際の過不足よりもはるかに急激な価格変動が起きます。
価格変動は最終的には実需の範囲に収まるのであって、突如として物が足りなくなること自体がありません。

しかし、投機的判断で国レベルの機関が国際商品価格を操作することは原油価格などでは何十年も続いてきたことで、そういう手法が米の国際価格に及んだと考えるべきなのかもしれません。

原油の国際価格が操作可能なのは、需要が全世界規模なのに生産が僅かな国に偏っているからで、米についても同じ事が言えるのかもしれませんが、米の生産はアジア地域では特に困難な要素はありませんから、米の国際価格の暴騰と貿易制限はすぐに収まるでしょう。

合理的に考えると、問題は無いのになぜフィリピンでは大事件になっているのか?は東京新聞の記事のように、メディアがアロヨ政権批判と連動させているからであり、ベトナムやインドネシアも米が国際戦略商品になったことをテコとして利用するために国家管理に乗り出した、ということでしょう。

米不足なのではなくて、各国の内外の政治問題だ、となります。

4月 20, 2008 at 12:45 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.05

アメリカ・貸し渋り・下請け倒産・自動車メーカ操業ストップ

読売新聞より「米で貸し渋り広がる、米銀が融資基準・条件を厳格化

【ワシントン=矢田俊彦】米連邦準備制度理事会(FRB)が4日発表した銀行の融資に関する調査で、米国内の銀行が個人や企業に融資をする際の基準や条件を厳しくしていることがわかった。低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題をきっかけにした貸し渋りが広がっていることを示した。

調査は、四半期に1度実施しており、アメリカで営業している79の銀行(米銀56行、海外の銀行23行)を対象に1月中旬までの3か月間の融資姿勢を聞いた。

企業向けの融資では、米銀の3分の1、海外の銀行の3分の2が融資姿勢を厳格化させたと答えた。

理由(複数回答)としては、8割以上が「景気見通しの悪化」を挙げた。「(資本不足など)銀行側の経営悪化」も2割以上あった。サブプライム問題による損失の拡大で、融資を慎重にせざるを得ない銀行が相次いでいるとみられる。

商業用の不動産融資も、米銀の8割が融資条件などを厳しくしたと回答し、1990年の調査開始以来、最も高い比率となった。

個人向けでは、サブプライムローン以外の優良な顧客向けの住宅ローンでも、米銀の5割以上が融資の条件を厳しくしたと答えた。

(2008年2月5日10時26分 読売新聞)

完全に日本のバブル崩壊の時と同じ展開ですね。
こんな事が起きているところも「いつか来た道」です。

AFP BB より「クライスラー、4工場の操業停止

【2月5日 AFP】米自動車大手クライスラーは4日、国内の組立工場4か所で操業を停止すると発表した。これは国内全工場の5分の1にあたる。同社に部品を納入していた部品メーカー、Plastech Engineered Productsが経営破たんしたことが影響した。

操業を停止するのは、イリノイ、デラウェア、ミシガン、オハイオの各州の工場で、従業員1万500人が影響を受ける。オハイオ州のもう1つの工場でも、生産に遅れが出ている。

クライスラーによると、今後の作業スケジュールについては、各工場の責任者を通じて発表する予定だという。

同社は、「生産の遅れは間もなく解消される見通しだが、状況を注意深く監視し、在庫を調整して、効果的かつ迅速な操業の再開を目指す」との声明を発表した。

同社は1日、Plastech Engineered Productsへの部品発注を中止した。Plastech社はクライスラーに、プラスチック部品を幅広く供給していた。

米メディアはPlastech社が1日、破産を申請したと報じたが、同社は報道内容についてコメントしていない。

クライスラーは、投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントに74億ドル(約8400億円)で売却されて以来、経営見直しで数千人の雇用削減を行ってきた。

クライスラーは1日、1月の国内販売台数が12%減少し、13万7392台だったと発表している。(c)AFP

Plastech Engineered Products なるプラスチック部品メーカを検索してみるとここが出てきます。大企業ですね。

普通に考えて、資金ショートなのでしょうが AFP BB の記事がクライスラー本体の不安も書いているところが不気味です。

日本では生産側のコストダウンなど全体に縮小均衡でバランス回復を図っているときに、アメリカでは合法非合法を含めて移民とその家族によって人口拡大による消費拡大によって不況に陥らないように経済運営を進めてきたのだと理解しています。

実際に人口増加なのですから先行投資であって決して先送りではないというのは分かるのですが、それにしてもサブプライムローンはバクチであったのではないでしょうか?

下手をすると、アメリカも長期不況に突入するのかもしれません。

2月 5, 2008 at 09:37 午後 国際経済など | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.01.16

サブプライム問題

日経新聞より「米シティ、サブプライム損失2兆5000億円・欧米10兆円超す

【ニューヨーク=財満大介】米大手銀行、シティグループは15日、2007年10―12月期決算で、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に絡み、235億ドル(約2兆5000億円)の損失を計上したと発表した。

米大手証券メリルリンチも損失計上が必至で、

欧米大手金融機関20社
の関連損失は合計で
1000億ドルを超えたもよう。

資本不足に陥るのを防ぐため、メリルはみずほコーポレート銀行などから、シティはシンガポールや中東から合計で200億ドルを超える出資を受け入れる。

追加損失計上が続いているのは、金融市場でサブプライムローン関連の証券化商品の価格下落に歯止めがかからないため。

シティの10―12月期の損失の大半は有価証券の評価損で、計181億ドル。さらに消費者ローンの貸倒引当金の増加などで54億ドルを計上した。シティは7―9月期にも64億ドルの関連損失を計上しており、合計の損失は約300億ドルに達した。(07:03)

1000億ドル(10兆円)の損失(資金不足)はすごいなと思って、世界のGDPと比較してみました。
2006年のデータですが、GDPが1000億ドルから2000億ドルの国を並べると

Portugal1,947
Hong1,778
Malaysia1,489
Singapore1,322
Pakistan1,280
Czech1,240
Philippines1,176
Hungary1,129
New1,099

だそうです。
結構なレベルの一国のGDPに相当するわけで、これは世界恐慌のようなことになりかねないのでは?とすら思ってしまいます。

当然のように、ニューヨーク・東京と株価は大幅続落になっていますね。

1月 16, 2008 at 09:32 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.10.11

787大幅遅延

毎日新聞より「ボーイング787:納入が半年遅れに…次世代中型機

【ワシントン斉藤信宏】
米航空機大手ボーイングは10日、来年5月に予定していた次世代中型機「787」(ドリームライナー)の納入開始時期が6カ月以上遅れて来年11月下旬~12月になると発表した。
部品不足が主因という。1号機が引き渡される予定の全日本空輸(ANA)は北京五輪に合わせて来年8月に羽田-北京便に787を就航させる計画だったが、変更を余儀なくされる。
日本航空(JAL)など導入準備を本格化させている航空各社も影響を受けそうだ。

ボーイング社は納入遅れの原因について、組み立ての際に使う留め具などの部品不足や運航管理機器のソフトウエア開発の遅れを挙げており、初の試験飛行も来年3月末に延期する。

787は、機体の35%の開発・生産を三菱重工業、川崎重工業、富士重工業の3社が担当。主翼など機体の約50%を「鉄より強くアルミニウムより軽い」と言われる炭素繊維の複合素材で製造しており、燃費効率は同型機比で20%改善する。
軽量化効果で、中型機(標準機種の座席数210~250)にもかかわらず、航続距離は最大1万5200キロと大型機並みで日本から米東海岸へも直行できる。

これまでに、世界全体で約50社から700機以上を受注。燃料価格の高騰で疲弊している日本の航空各社は、経営改善への効果に期待を寄せていた。

欧州の航空機大手エアバスも、超大型機「A380」の引き渡しが大幅に遅れ、業績が悪化した経緯があり、ボーイング社の経営に影響を及ぼす恐れがある。

ANAは「機材計画の見直しが必要で、策定中の08~11年度の中期経営戦略に納入遅れを反映させなければいけない」(広報室)と話している。
JALは「期待していたので残念。機材運用計画を見直し、影響を最小限に抑えたい」(広報部)としている。

エアバス社のA380の引き渡し大幅遅れはエアバス社の業績悪化から地方経済問題、国際政治問題にまで拡大していました。
それに対してボーイングの787は妙に順調な情報ばかりで「本当に心配ないのか?」と思っていましたが、結構すごいことになったようですね。

日本航空では747の退役をどんどん進めています。
朝日新聞(昨日の記事)さらばジャンボ 燃費に難、世代交代へ

ジャンボの愛称で知られ、前方が盛り上がる2階建てのボーイング747型機が日本の空から消えつつある。超大型機で燃料を多く消費するため、天井知らずの原油高が直撃。航空会社が「満席でも経費に合わない」と、燃費が良い新型機への交代を急いでいるためだ。機長、副操縦士、航空機関士の3人が乗り組む旧型(在来型)はあと2年半で完全に消える。空の旅を身近にした名機だけに、惜しむ声が上がっている。

94年の関空開港時、国際線の5割以上はジャンボだった。今は1割弱で、香港、台北、ソウルなど6路線の週50便だけだ。貨物便は3割余り残るものの、一般の人が乗れる機会は減っている。

ジャンボは70年、日本航空の羽田―ハワイ線で日本にデビューした。席数は当時の主力機DC8の約3倍。日航は「空飛ぶ豪華船」と宣伝した。

85年にDC8からジャンボの副操縦士に転じた若林一男機長(57)は「初めて離陸した時、まさに大型艦船が浮き上がる感じがした」と振り返る。操縦席の高さはビルの3階並み。地上が遠く見え、感覚が狂って車輪走行中につい速度を出しすぎるのに苦労した。

席を埋めるために安いツアーが広まり、海外旅行は身近になった。若林さんは「年末年始はハワイの空港にずらっと日本のジャンボが並び、壮観だった」と懐かしむ。

「ジャンボは航空をあらゆる面で変えた」と、日航広報部で歴史資料を収集する伊藤勝久マネジャー(59)は評する。女性客室乗務員が大量採用され、ビデオ、オーディオといった機内サービスも一般化した。

空港が込み合う日本では大勢の人を一度に運べるジャンボが国内線でも重宝された。関西には77年の大阪(伊丹)―羽田線で初就航。85年に同路線の日航ジャンボが群馬県の山中に墜落し、520人が死亡した。

騒音対策で伊丹空港は06年4月からジャンボの発着が禁止された。関空も国内線は全日空の羽田線1便のみ。

エンジンが四つあるジャンボは燃料消費量が多い。エンジン二つでジャンボに近い席数を持つボーイング777型機(94年初飛行)と同じ東京―パリ間(約1万キロ)を飛ぶと、1回で約4万リットル(ドラム缶約200本分)かさむ。席が減った分を引いても年15億~20億円の差になるという。

航空会社はジャンボの退役を急ぐ。ボーイングから世界最多の通算108機を購入した日航は、現59機のうち旧型10機は10月にまず1機が引退し、9機も10年3月までに全廃する。通算45機の全日空は06年に旧型を全廃し、機長、副操縦士の2人で飛べる新型についても、21機中7機の売却がすでに決まっている。

次の空の主役は来年登場するボーイング787型機になりそうだ。全日空が50機、日航が35機を発注している。最大330席の中型機だが、ジャンボより60%程度燃費が向上するといい、両社は「2回飛ばしてもジャンボを1回飛ばすより安上がり」と期待する。

朝日新聞の記事は、企画記事でしょうからだいぶ前に取材して書かれたものでしょう。
それが翌日になったら、大幅な納期遅れの発表。まるで、図ったようです。

すぐに、日本航空は「747の退役は予定通りに進める」と発表してダメージが影響しないようにアピールしていますが、このところの燃料高騰は非常に問題になっているようで、低燃費と運行で小回りを利かせるための「ダウンサイジング」だったのでしょうから、ここでつっかかるとというのはエアラインにとっては大問題でしょう。

一方、ボーイングについてはこのところヘンで、航空自衛隊(とイタリア空軍かな?)が発注している、KC767空中給油機が完成しているのに納入されません、契約でボーイング社はかなりの違約金を支払い続けているようですが、かなりの問題があるようで最終的に検査をパス出来ていないとのことです。

航空機メーカが合併によって大型化し、同時に大幅なコストパフォーマンスの向上をクライアントに提示することで、技術的な高度化とコストダウンの厳しい途を選択肢、同時に予備の航空機メーカがないから次善の選択も出来ない、という脆弱性が表れてきたのでしょう。

同じようなことは、自動車メーカでは十数年前にあって、フォードグループが非常に巨大になったり、ベンツとクライスラーが一つの会社になったりとありましたが、最近ではフランス・イタリア・ドイツなどで小規模メーカも成り立つようになってきました。

これからは、企業の小型化の時代に向かうのかもしれません。

10月 11, 2007 at 02:00 午後 国際経済など | | コメント (3) | トラックバック (0)

2006.10.20

日本は国際標準規格に乗り出せるのか?

毎日新聞より「国際標準規格:日本主導へ人海戦術 脱欧米目指す
パソコンのような製品の規格から品質保証の管理に関する国際標準まで、幅広い分野の国際規格づくりで、日本が影響を強めることを目的とした政府の「国際標準総合戦略」の原案が19日、分かった。

欧米主導で進んできた国際標準策定の流れを変え、日本企業に有利な競争環境を整えるのが狙いだ。政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)で年内にまとめる。

95年に発効したWTO(世界貿易機関)協定では、国内の標準規格は国際標準をもとに作ることが義務付けられた。このため、自国の技術を国際標準にできれば、国際的な競争を有利に戦うことができるわけだ。
しかし、国際標準を決める標準化機関での日本の存在感は薄い。
ISOを制定する国際標準化機構(本部・ジュネーブ)で733ある主要会合のうち、議論の仕切り役をする「幹事」を日本人が務めているのは47会合(6.4%)だけ。
ドイツ、米国、英国に遠く及ばない。関係者によると、欧米のペースで議論が進められ、日本の技術が優秀でも、不利な規格を決められるケースが多いという。

このため政府が主導し、初めて戦略を取りまとめることになった。

ただ、海外で作られた標準規格を受け入れたうえで、優秀な製品を作り成長してきた日本企業にとって、「国際標準を自分たちで作るという意識は薄い」(関係者)のが実情。

一方で米国や中国はすでに自国に有利な国際標準作りに力を入れ始めており、他国との標準化競争は激烈になりそうだ。
昔に比べればインターネットの普及などで規格や条文といった情報の流通はずいぶん良くなったと思いますが、どうもそういう公式情報を流通させるのがお役人を中心にする専門家が独占する業務だ、といった雰囲気を感じます。

10年ぐらい前に、新たに決まった何かの条文のコピーが必要になって、関係団体に出かけたところ「いつかは紙が来ますが、いつになるのか分かりません。他にはどこでも手に入らないでしょう」というトンでもない話を聞かされました。もう、情報を流通させる意志はない、としか言いようありません。

その頃に比べれば、今は遙かに良くなっていますがそれでも規格については入手の困難性は他の情報の比ではないです。特に海外の規格ですね。お金を掛けて収集するより手がないと思いますが、やっているのかねぇ?

国際標準規格に乗り出す前に国内での規格の利用について実務的に促進することが必要ではないだろうか?少なくとも規格を求めてあっちこっちの団体をウロウロするといったことは国家的な大損失だと思う。
日本では、国家規格以前に国鉄規格があったりしたから、統一管理が出来ないといったところがあった。そういう日本における規格とはどういうものだったのか、といったところまで振り返ることが必要だと思う。

10月 20, 2006 at 09:07 午前 国際経済など | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.10.04

A380大幅納期遅れ

日経新聞より「エアバス超大型機「A380」、納入1年遅れに
欧州航空大手エアバスは3日、総2階建て超大型機「A380」の航空各社への引き渡しが平均1年遅れると発表した。
生産工程の問題が予想以上に深刻なためで、計画の遅延はこれで3度目。

年内就航を目指していたシンガポール航空への1号機の引き渡しも2007年10月にずれ込む。

信頼失墜は避けられず、エアバスは生産体制見直しやコスト削減を急ぐ。
エアバスはA380の生産をいったんほぼ中断し、新たなソフトウエアを各工場に投入して生産方法を改善する。

07年には当初25機の引き渡しを予定していたが、新計画では1号機だけ。
08年は13機、09年は25機と、いずれも当初計画の半分前後となる。
A380は16社から159機を受注している。

航空各社は運航計画に狂いが出るとしてエアバスに遅延補償金支払いを求めており、利益を圧迫する見通し。
A380は初飛行が2005年4月だから、2006年中に就航というのはいくら何でも無理だろうと思っていたのが、現実になってしまった。

報道では客室内の仕様を航空会社ごとに大幅に自由にしたために生産性が悪くなったとされています。
これではキャンセルが出てくるでしょうね。
もっとも、就航して人気が出れば注文が増える可能性はあるわけで、エアバス社としては頑張りどころでしょう。

全面的にボーイングに依存するのはなんかの時に困るから、保険という意味では日本ももっとエアバス機を買うべきではないかとも思うのですが、最近ではさっぱりですね。

10月 4, 2006 at 11:43 午前 国際経済など | | コメント (1) | トラックバック (1)

2006.09.26

特許条約が出来る?

日経新聞より「特許、出願優先に統一へ・米が転換、主要41カ国大筋合意
日米欧など41カ国は特許を認める基準を統一する新条約を作ることで大筋合意した。

米国が自国の「先発明主義」を放棄し、早く出願した企業や個人に特許を与える日欧の「先願主義」に統一することで一致したのが最大の柱。
どんな発明が特許に値するかの判断基準も統一する。
新条約ができれば、日米欧の企業にとって審査時間の短縮や特許を巡る係争の減少につながる見通し。

11月に東京で開催する各国特許庁の長官級会合で条文の正式合意を目指す。
最短で来年にも開く会議で各国は条約を採択する見通しだ。
アメリカの先発明主義が国際間の特許問題をややこしくしていて、結果的に例外だろうといったものが多数あったので、先願主義に統一することで便利にはなりますが、そんなにうまく話がまとまるものなのか?と思ってしまいます。
先発明主義も公表が条件のようですから先願主義にしてもあまりかわりはない、ということなのでしょうか?
それにしても今後の展開は、常識的に条約の採択、各国での批准、各国の特許法の改正、という手続きになるのでしょうから今すぐに取りかかっても、何年がかりになるのでしょうか?

9月 26, 2006 at 09:16 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.04.20

原油最高値・問題はどこにあるか?

FujiSankei Business i より「【FOCUS原油高】市場を翻弄 投機マネー
原油価格の高騰が止まらない。価格をつり上げている“主犯”は、巨額の投機マネーだ。
大富豪や機関投資家から出資を募った「ヘッジファンド」のほか、証券会社など金融機関の自主運用資金、企業や公務員の年金資金が、その代表例。

大量の資金を原油先物市場に注ぎ込んでいるのだ。
投機マネーは激しく短期の売買を繰り返しており、WTI(West Texas Intermediate)の一日の原油取引量は、全世界の一日当たり原油消費量の三倍に相当する約二・五億バレルにも膨らんでいる。

「米国債市場から原油先物市場に資金が流れ込んでいる可能性が高い」。
WTIは取引が膨らんでいるとはいえ、一日の出来高は百五十億ドル前後。
これに対し、米国債市場の出来高は五千億ドル前後とされ、はるかに巨大だ。
市場規模が小さい原油市場が、巨額の投機マネーのターゲットにされれば、ひとたまりもない。
WTI というのは、石油の銘柄ですから先物市場で「WTI を(将来)売る/買う」と取引するのが本来の姿です。
先物市場は将来の生産や消費を予測して取引するのですから、現実の生産量や消費量よりも多くの取引が成立するのも先物市場の特徴です。一種の人気投票のようなものです。
しかし、いくら原油と言っても「一つの銘柄だ全世界の一日あたりの原油取引量の3倍相当」とはやり過ぎでしょう。バブルと言ってよさそうです。
長谷川慶太郎氏は「2006年 長谷川慶太郎の大局を読む」(2005年10月刊)で次のように書いています。
原油に無限の値上がりはあり得ない
WTI は1983年、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)に上場された。
NYMEX の参加者のうち、約7割が実需を背景にした石油関係者、約3割が投機筋と言われる。 WTI の生産量は日量50万バレル、世界の原油供給量は日量8000万バレルだが、WTI における取引量が2億バーレルに達することもある。つまり、実際の需給バランスとは関係のない思惑によって・・・・
さらに、FujiSankei Business i の記事のように「債券市場に比べて WTI の規模が小さいから債券市場での運用資金で WTI 全体の価格が動く」のでより一層の債券市場からの資金が流入するということでしょう。
しかし、実需ではないし、実際の原油の取引では WTI を売り買いするわけではなく、あまりに現実的でない値付けになると指標としての意味を失ってしまうこともあります。
もちろんその一方で、生産の先行き不安や消費の拡大予想などで敏感に上下するから、上昇/下降が現実の原油の価格の傾向を示すことに間違えはありません。ただ、報道される「ニューヨークの原油先物が上昇」とか「70ドル台」といった数字が灯油やガソリンなどにそのまま反映して「15%の上昇」といったことになるものではない、という理解は必要でしょう。

むしろ FujiSankei Business i が指摘する、債券相場→金利 の関係の方が切実な影響があるかもしれません。

4月 20, 2006 at 08:10 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.03.17

アメリカの経常赤字

読売新聞社説より「[米経常赤字]「潜在リスクを未然に回避したい」
2005年の米経常赤字が前年比2割増の8049億ドル(約95兆円)に膨らみ、過去最悪を4年連続で更新した。

ブッシュ政権が発足した2001年から倍増し、国内総生産(GDP)比で6・4%に達した。
ひえ・・・・・、そんなことになっていたんだ。
経常赤字ですからアメリカの輸出入が赤字だとということで、すごい金額ですがアメリカは国債をはじめとして他国に借金が出来る信用がありますから、他国は投資という形で資金をアメリカに戻しています。
読売新聞社説は以下の指摘をしています。
しかし、順調に見える現在の資金の流れが、ひとたび崩れたら、好循環は悪循環に変わる。その時、起きるのは次のような悪いシナリオだろう。

各国が米国への投資を見直し、資金流入が収縮する。その結果、米長期金利が急上昇して、住宅投資にブレーキがかかり、個人消費も委縮して、景気が減速する。米国の輸入減少は、輸出頼みの各国経済に打撃を与える。

不均衡是正には為替調整しかないとの思惑が広がり、ドルの信認が揺らげば、大幅なドル安が進む。為替乱高下は株式市場の混乱も招く――。

もちろん、そうした破局のシナリオに陥らないよう、各国の政策当局は様々な対策を講じるはずだ。

だが、巨大な米経常赤字をいつまでも維持できる、と楽観するのは禁物だ。
ハードランディング・ソフトランディングということなのでしょうか?
「赤字のたれ流しをいつまでも続けるわけにはいかない」に尽きるのですが、今後どういう展開になるのでしょうか?
あれこれ考えると、かなり大変なこともあり得ますね。

3月 17, 2006 at 08:51 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.03.02

中国の資源利用効率

中国人民網より「中国の発展、まだ「粗放型」 中国科学院報告
中国科学院(科学アカデミー)が1日に発表した「2006年中国持続可能な発展戦略報告」によると、世界の主要国家59カ国の資源利用効率を評価した番付のうち、中国は56位で、最下位グループに含まれた。

資源利用効率の番付では、首位から順に、デンマーク、スイス、アイルランド、英国、オランダ、ノルウェーが上位を占めた。一方、中国は、5種類の資源を対象に算出された単位GDP当たりの資源消費量で、世界平均の1.9倍に達した。
中国の経済成長は素晴らしいもので、日本を抜くかという話題も出ていますが人口が一桁以上多いので、豊かさという観点で一人あたりGDPを見ることになります。

もう一つの大きな要素が、資源利用効率で中国自身が「工業国としては世界最低ランク」と発表したのは大きいですね。
資源利用効率では、鉄鋼生産などが効率の差が付きやすい代表です。鉄鉱石から粗鋼を得るために使用するコークス=石炭の使用率が問題になるわけです。
エネルギー多消費型の重厚長大産業にとって高率はものすごく利くわけです。

ここらの極めて高度な技術は日本から出ていない(というより使いこなせない)ので日本のような水準になるのは大変でしょうが、世界水準の2倍ではこれはせめて世界水準になって欲しいものです。

3月 2, 2006 at 05:54 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.05.11

30年後に中国がGDPトップだそうだが

毎日新聞より「「人口力」がカギ/日本の活路は「文化力」?」

30年後の世界の先進国を探ってみた。
結論から言うと、国内総生産(GDP)で見た2035年の経済大国は(1)米国(2)中国(3)インド--の順である。現在米国に次ぎ2位の日本は4位に後退。11年後の16年には中国に抜かれ、32年にはインドにも追い越され、その距離は開くばかりだ。これは米国証券会社ゴールドマン・サックスが03年に発表した予測だが、第一生命経済研究所経済調査部の門倉貴史・主任エコノミストの意見も5位ロシアまでの順位は変わらない。日本の30年後の経済規模が今の2・6倍なのに対し、中国は16・5倍、インドは20・6倍に達している。

中国・インドは現在でも人口大国なのだから、総生産で世界のトップにいないというのがヘンだとも言えるのだが、じゃあどれほどのものか?というと。

現在のGDPトップはもちろんアメリカで中国は7位、インド12位である。
そこで国民一人あたりのGDPは?と見ると、ルクセンブルグ、アイスランド、ノルウェイ、スイス、デンマーク、カタール、アイルランド、アメリカ、スウェーデン、日本と並ぶ。
中国は85位、インド96位です。
アメリカを1にすると、日本は0.9となります。同様に中国0.03、インド0.01です。

毎日新聞の論調は国家の総和での国家間の競争を無条件で論じているのですが、国民一人あたりにして、ここまで差があるモノを一律に扱って良いのか?という気はしますし、そもそも中国がGDPで世界一になったとしても、ある種の「お国のために」という国内統一が前提になっています。

やはり国民一人あたりのGDPなどで見るべきでないでしょうか?
量じゃなくて質の問題だと思います。

5月 11, 2005 at 05:37 午後 国際経済など | | コメント (4) | トラックバック (2)

2005.05.07

自動車に国境は無いよ

Rwsponse より「【ソウルモーターショー05】ルノーサムソンとインフィニティ、どっちが元祖?」

ルノーサムソンのブースで取材中、なにやら憤慨している様子の韓国人記者と遭遇した。彼はインフィニティのプレスキットと、ブースに展示された『SM7』の実車を眺めながら「似ている、似ている」と繰り返している。
気になったので話を聞いてみると、彼は「SM7と、インフィニティ『G35』や『M45』が似すぎている。ルノーサムソンはインフィニティのデザインを模倣したんじゃないか」とカタログを見せ、SM7のフロントやリアなどを指し示しながら怒っている。
彼はその3モデルが同一メーカーのものだとは知らなかったようなのだ。

Rwsponseはオートアスキーの営業権を引き継いだ自動車情報専門サイトです。
このレポートはソウル自動車ショーのエピソードなのですが、自動車産業は多国籍というよりも無国籍というべきで、特にエンジンについては日本がかなりの量を供給していると言っても間違えでは無いです。

日産がルノー傘下になったことで、日産設計のエンジン工場が何ヶ国かに出来たようです。もちろん日産自動車の工場ではないところもあります。
ボルボのエンジンの一部はマツダの設計です。

こうなると「似てる・似てない」という以前の問題になってしまいますが、自動車は極めて多くの部品を組み合わせたモノですから、部品の寿命とかサービスの環境などで色々なバリエーションが出来るわけで、ユーザとしてはそこらを承知して使うが一番なのでしょう。

しかし、日本の環境は自動車生産国の中ではかなり特別なのではないでしょうか?夏は熱帯モンスーン気候地帯と同様で、冬には北欧と大差ないほどの寒気にもなる国。エアコンが発達するわけです。こういう使ってみないと差がないところ以外は共通化していくのでしょう。

5月 7, 2005 at 08:56 午前 国際経済など | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.05.01

世界経済を概観してみる

以前から興味はあるしまんざら知らないデータではないのだけど、アルゼンチンの対外債務危機の問題から世界各国のGDPのデータを調べてみました。
財団法人国際貿易投資研究所が公開しているデータを基本にしてみた。

良く知られているデータとしては、日本のGDP=500兆円=4兆3千億ドルなどでしょう。
世界全体のGDP=36兆ドルはあまり知られてないでしょう。
アメリカのGDP=11兆ドルといったところです。

これらを並べてみると、世界のGDPの50%はアメリカ・日本・ドイツの3ヶ国の合計です。
では世界経済の半分に相当するGDPを生みだしている3ヶ国の人口を世界の総人口60億人に比較すると、8.3%となります。

では、世界のGDPのほとんどという意味で90%を生みだしている国は何カ国か?と見てみると、上位26ヶ国のGDPの合計で90%になります。
そしてその人口合計は63%です。

国家の数なのか地域などを含むのかなど問題はありますが、ザッと160ヶ国とすると、GDPの10%を分け合っている約140ヶ国の人口の総計は22億人ぐらいです。機械的な平均値は意味がありませんが、1500万人となります。

世界はかなり偏っていますね。

5月 1, 2005 at 05:54 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.11.03

アジアの携帯サービス共通化へ連合

日経新聞よりアジアの通信大手7社、携帯サービス共通化へ連合」

シンガポール、インド、 豪州などの大手通信会社7社は3日、アジア太平洋地域で携帯電話サービスの共通化や研究開発を共同で進める連合体「ブリッジ・モバイル・ アライアンス」の創設で合意した。

ただでさえ、世界の孤児状態の日本の携帯電話だが周辺でこんなことも起きている。
もちろん各種の方法で携帯電話の国際化は不可能では無くなっているが、国内基準があることの方がおかしい、という時代になってきたのではないか?

11月 3, 2004 at 04:20 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.10.24

新潟大地震を考える

新潟の大地震で被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

現在のところで報道されている範囲から考えられることとして、新潟と東京圏の物流に大問題が出るでしょう。
関越自動車道は越後湯沢から長岡ジャンクションまで不通ですが、空撮ではのり面の崩壊で二車線がまるごと横にずれてしまったり、つなぎ目が車では通過不可能なほどの段差になってしまったところが何ヶ所もあるようです。
単なる、土砂崩れで土砂を取り除けばとりあえず復旧というレベルではないので、修復に相当の期間を要するでしょう。

阪神淡路大震災の経験では、精密工場は当分の間使い物にならないでしょう。
機械のレベルが調整しても地盤が動くためにすぐに狂ってしまって、いつまでも経っても正常で安定した状態を取り戻せないからです。
阪神淡路大震災では結局、かなり遠隔の工場に設備を動かした例がありました。
新潟ですから、長岡、柏崎、三条などにこの種の影響が出るでしょう。

電力は復旧しつつありますが、橋やマンホールが地面から飛び出している例などがあり、地面に直接位置づけられている構造物の不具合の修正には相当な手間が掛かるのではないか?と想像できます。
関越自動車道の問題も含めて、道路の復旧に相当時間を要しそうですが、有数な豪雪地帯でもあり、2ヶ月ぐらいである程度の復旧が出来ないと工事そのものが大変になりそうです。

10月 24, 2004 at 10:44 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.10.18

原油高騰の解説

日経新聞社説より「新タイプ“石油危機”と世界経済の不安」

今回の価格急騰の背景には、世界的な石油製品需要の構造変化があることにも注目したい。ガソリン、軽油の消費量が急増する一方、重油の消費が減る現象だ。

なるほど、と感じる。
電力や船舶の燃料として重油が使われていたが、電力では天然ガスにシフトするといった重油の使用量が減っている。その一方でガソリンを使用する自動車は増えているから、ガソリンの使用量は増えていて原油の産地別の価格に差が付いたということか。
しかし、それだと経済指標としては、天然ガスなども見ないとまずいわけで、原油価格についても一方だけを見ていてはダメだということか?

自動車の燃料としてヨーロッパでは軽油をディーゼルで多用している、日本はディーゼルは規制する方向であるが、ヨーロッパは積極使用している。これもガソリンの使用比率を下げる方向になっているのだろう。

頭を使った対応が必要だが、水素の使用を積極的に進めるのが一番だろう。というのは、実は水素は現在かなり余っているというのだ。化学・鉄鋼などで中間生成物として水素が大量に発生する。それを現在は燃やしているというのだが、燃料電池用に外販すればメーカとしても収入増になることになる。
もう一つは、発電機を住宅などに付けてしまうことの推進だろう。

電力の困ったところは、貯めておくことが出来ない点であるが、ガスは貯蔵可能である。そこで住宅にガスを燃料とする発電機を付けてしまうと、電力が不要の時にはガスを使わないとなる。さらに実は長距離高圧送電のロスという問題も大きい。技術的なロスもあるが、メンテナンスが大変という問題も当然ある。無制限に電力送電のレベルを高めるのはムリであることが見えてきている。

実際には、長距離送電、ガス発電、太陽光発電の組み合わせといったことになると思うが、エネルギー需要に柔軟に対応するためにはヨーロッパで乗用車のディーゼル化を進めているように、多様化が一番であろう

10月 18, 2004 at 09:50 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.10.06

原油価格上昇

産経新聞より「NY原油、初の51ドル突破 世界経済減速の懸念強まる」

7月には、40ドルでしたからちょっとひどいですね。アナリストは「高値安定になる」という説のようですが、価格は最終的には市場が変える価格になるの決まっています。その点で、原油だけが高いというのはムリがあるというか続きません。

アメリカが一番の問題なのでしょうが、ブッシュ大統領がテキサス出身ですから石油産業を保護する方向であると見ているから、投機筋が価格の釣り上げをしているのだと思います。中国が石油輸入国になり、今後も消費が増えるから原油価格も上昇するという意見もありますが、7月に40ドルだったものが3ヶ月後に25%も上がるというのは、実需とは無関係であることは明らかでいずれ下がります。

もっとも原価高による企業収益の悪化は株価を下げるでしょう。その結果として株式市場から資金が原油市場に向かうと、原油高騰になる可能性もあります。

投機資金による原油市場だけの現象であると思ってはいますが、コレを見ると先行き元の水準まで下がるとも言えないかな?と思います。かなりの先渡しの価格もけっこう高い水準になっています。つまり市場は長期的にも高いはずだ、としていることになります。世界の政治状況の全体的な不安定がこんなことを許しているのでしょう。アメリカは大統領選挙、イラク戦争などで中東の石油生産は不安定かもしれないと感じる、ロシアはまだ安定になるとも言えない、日本・イギリスはなんとなく政変も織り込んでいる、などといったところで、世界を主導する国が内政問題で手一杯というのが一番の問題なのでしょう。

10月 6, 2004 at 11:26 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.09.25

塩ビの柔軟剤のオモチャ類への使用、EUで禁止決定

東京新聞より「フタル酸エステル類を禁止 EU、おもちゃへの使用に」

EUの競争理事会は24日、子供の健康に有害だとして、塩化ビニールを柔らかくする軟化剤として使われているフタル酸エステル類のおもちゃへの使用を禁止する決定をした。

EUへのおもちゃの輸出はアジア各国が大半を占めており、今回の決定は、アジアのおもちゃ業者にも大きな影響を与えそうだ。  

以前から話題になっていたことで、とうとう正式に禁止となった。環境ホルモンであるとされていて、オモチャにというのは、環境ホルモンで問題になっている雌雄性別に影響があるということなのだろう。フタル酸エステルで検索してみると、賛否両論があってなんとも言えないが、オモチャといった分野については疑わしきは禁止ということなのだろう。

9月 25, 2004 at 02:09 午後 国際経済など | | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.08.21

石油価格上昇の解釈

石油価格が急上昇して50ドル間近になり「60ドル、70ドルになるのでは」といった声もある。確かにこれを見ればそんな気分になる。
さすがに今日になると新聞記事がいろいろ出てきた。
日本経済に大きな影響は無い(読売)、世界のエネルギー構造は変化する(産経)、省エネを考えるべき(東京)、アメリカは石油備蓄を取り崩さない(日経)などである。どれもがそれなりに正しいと思うが、当然のことながら「絶対にこれ」というのは無い。マクロな視点だと日本が石油依存度を大幅に下げ、現在も省エネルギー・省資源の方向に産業構造を大幅に変えつつあることが世界にどう影響するか?であると思う。
ちょっと考えれば当たり前のことであるが、石油の価格が上昇して困る経済(国)と好ましい経済(国)がある。さらに、短期的な利益追求と長期的な経済成長を狙うのかなどによって、それぞれの利害は衝突する。
日本は資源輸入国であり輸出によって経済が成り立っているのだから、原材料は安く輸出先の国々が経済成長していることが一番である。ところが輸出先の代表であるアメリカは省資源とはとうてい言えないエネルギー多消費国であり、石油価格の上昇はアメリカ経済を直撃する。一方中国はいまやアメリカ・日本などにとっては大変なお得意様であるが、急速な経済成長に伴って輸入急増であるから、これも石油価格の上昇は経済を直撃する。それにしても、日本というモデルがあるのだから石油価格の上昇は省エネ経済への転換を世界中に促すとも考えられる。つまり石油価格の上昇→不景気、というほど単純な話にはならない、と考えます。
 
  「日本経済の抵抗力は増している」
原油高の影響は、日本でも表れつつある。ガソリン価格の上昇は急ピッチだ。電気料金も標準世帯で、十月から月42―161円値上がりする。 ただ、原油高に対する日本経済の抵抗力は大幅に向上している。 第二次石油危機に襲われた一九七九年度、原油の平均輸入価格は一リットル=33・5円だったが、今年六月は25.9円にとどまる。総輸入額に占める原油の比率もかつての39%から15%に下がっている。
 原油高騰 需給の構造変化に備えよ」
わが国は二度にわたる石油危機を経て、かつては八割近くもあったエネルギーの石油依存率を、今では五割程度にまで減らし、企業の省エネルギーも進めた結果、原油高の影響はかつてほど大きくはなくなった。しかし、このまま原油価格の高騰が続けば、回復基調をたどる日本経済にも影響が出てくる。原油価格が四十五ドルで推移すれば、二〇〇五年度の実質成長率は0・3ポイント下がる-という電力中央研究所の試算もある。世界の石油需給の大きな構造変化を直視して、エネルギー、原材料の不足や高騰に備えるとともに、原子力を含めた総合エネルギー政策を常に見直していく必要がある。
「原油高騰 再び『省エネ』努力を」
 とくに、経済発展が進む中国やインドの増加が目立つ。中国の石油消費量はすでに日本を上回り、石油輸入国になった。自動車社会への転換や重化学工業化が進むことを考えれば、今後も需要が増えることはあっても減ることはないはずだ。  企業や家計は省エネルギーの重要さをいま一度、思い起こす必要がある。過度の冷房や電気製品のつけ放しなど、いつの間にか石油危機当時の真剣さが失われていたのではないか。サラリーマンも、たまにはネクタイを外してみてはどうか。
米政府、石油備蓄の取り崩しを否定」
 マクレラン報道官は「大統領もエネルギー価格の動向を注視している」としながらも、SPRの積み増しを継続する方針に変わりはないと述べた。SPRを取り崩すのは「石油供給の途絶など不測の事態が起きた時に限る」という従来の主張を繰り返した。

8月 21, 2004 at 11:58 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.01

EU拡大

5月1日、拡大EUがスタートする。25ヶ国体制となり、巨大経済圏が動き出す。
域内格差は大きく、人口動向についても今のところはっきりしないが、うまくいけばアメリカのように巨大消費市場が誕生するかもしれない。その場合には、域内生産を域内消費することが可能になるかもしれない。

EU   4億5千万人、   7% GDP9兆ドル 30%
日本  1億2千7百万人  2%  4兆1千億ドル 13%
インド  6億6千5百万人 10%    5千億ドル  1.6%
中国 12億9千5百万人 21%  1兆1千億ドル  3.8%
USA  2億8千万人  5% 10兆7百億ドル 33%
全世界 60億5千5百万人 30兆ドル

もちろん現時点では主権国家の集合体であるから、アメリカや日本などと直接比較するのは適当では無いが、EUの歴史そのものが1951年から始まったに過ぎないことを考えれば、経済的には単一国家となるのもそうそう時間がかかることでもあるまい。
改めて驚くのは、アメリカ、EU、日本だけで世界経済の76%を占めているのだが、その人口は世界人口の14%に過ぎないことである。
また、すでに世界経済の76%を2ヶ国と1地域で占めていることを考えると、安易にアジア経済圏を構想しても、人口は多いが経済的に影響力が少ないということになる。

5月 1, 2004 at 06:09 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.04.19

中国経済の正念場

日経新聞社説より「中国経済の軟着陸が緊急課題だ(4/19)

中国の今年1―3月期のGDPが2兆7106億元(1元=約13円)と、前年同期比で実質9.7%増えた。昨年7―9月期から3四半期連続の9%台成長だが、需給関係を無視した過剰投資でエネルギーや資材の不足、価格高騰などの弊害が深刻化している。この状態が続けばいずれバブルが崩壊し、企業の大型倒産や金融危機を招く恐れもある。
急成長の最大のけん引役は昨年と同様、投資と輸出だ。1―3月の公共事業と企業の設備投資は約8800億元と、前年同期比43%増の異常な伸びを示している。過剰投資の典型は鉄鋼、アルミ、セメントなどの素材産業で、この1―2月の鉄鋼産業の投資は前年同期比で172%も増えた。

輸出は34%伸びたが輸入が42%も急増し、84億ドルの貿易赤字を出した。工業生産は18%増えたが、国内消費は実質9%増にとどまっている。膨大な投資に見合うだけ内需が伸びず、最終消費財は慢性的な在庫過剰状態にある。

電力消費はさらに16%増えた。石炭、電力、石油の供給不足が深刻化し、全国24の省・自治区が電力の供給制限を実施。鉄道輸送は需要の約4割しかこなせない状態だ。9%台の成長を持続するのはあらゆる面で無理がある。

しかし、国務院が大幅利上げなどの本格的な引き締め策に踏み切れば、バブルが崩壊して経済が失速する恐れもある。インフレとデフレのどちらにも陥る可能性があるだけに、細心のかじ取りが必要だ。


中国経済の最大の弱点は国有企業の極端な低生産性であると言われていた。
とは言え、多くの雇用を抱えているので、消費市場も作っていたことに間違えはあるまい。つまり所得の再配分の機能を果たしていたわけだが、過度に暴走する市場原理に頼っていては、売れる見込の無い商品の過剰生産やさらに二輪車メーカーの乱立といった、バブル状態が企業数から商品生産まですべてというのでは、景気が停滞曲面に入った時に不況下の物価上昇にすらなりかねない。
一気に急成長した中国経済であるが、原材料の高騰と通貨レートを事実上の固定相場制から変動相場制に移行することによる輸出力の低下といった難問が待ちかまえている。
なんとか、国内消費市場を成長させるべきだと思うが、銀行機能も庶民生活までは及んでいない様子なので、かなり難しい舵取りになるし、ソフトランディングが可能なのか、疑問に感じる。

4月 19, 2004 at 10:47 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.04.18

IMF世界成長予測を上方修正

ロイターより「IMFが今年の世界成長見通しを4.6%に上方修正へ、日本は3.4%に

国際通貨基金(IMF)は、2004年の世界経済見通しを見直し、経済成長率を昨年9月時点の4.1%から4.6%に上方修正する。
ロイター通信が入手したIMFの春季リポート最終案で明らかになった。正式には来週21日に公表される。

2005年の世界経済の成長率は4.4%としている。
2004年のユーロ圏成長率は前回の1.9%から1.7%に下方修正、
2005年は2.3%としている。
2004年ドイツの成長率は1/5%から1.6%に小幅上方修正、
2005年は1.9%成長と見通している。

2004年の日本の成長率は前回9月の1.4%から3.4%に大幅上方修正する。
その上で「日本の予期していなかった堅調な成長とデフレ克服への首尾よい努力は喜ばしい」と指摘した。


本当にこの通りだと良いのだが、このところIMFの予測は当たらないからねぇ~・・・・。
さらに、中国の原材料の輸入急増で、石炭・石油・スクラップ鉄材などが高騰していて、この傾向はすぐには収まらないだろうし、さらには需要増加を見越した産油国の生産制限などもあって、特にアメリカの貿易収支と国内生産力の低下は計算せざるを得まい。
その場合、ドル安傾向が加速する可能性も考慮せざるを得ない。

4月 18, 2004 at 11:18 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.03.17

韓国で徳政令?

韓国・朝鮮日報より「不良債務者の元金も減免、人気取り政策論議

政府が不良債務者に対する元金帳消しは無いと公言してから1週間後、元金まで帳消しにする不良債務者対策を発表した。
これにより金融界では弾劾政局を利用した総選挙用の人気取り対策だという論争が起こっており、借金を返さずに開き直るモラルハザード(倫理観の欠如)が増えるだろうといった懸念も高まっている。

財政経済部の金錫東(キム・ソクトン)金融政策局長は17日記者団と会い、不良債務者対策の一つであるバッドバンク(個人の不良債権を一ヵ所に集め処理する機関)と関連し、「バッドバンク対象者が1~2年間債務を真面目に返済すれば、残りの元金の一部を減免する案を検討中」と話した。
金錫東局長は「真面目な債務者に対しインセンティブ(元金減免など)を与えることが金融機関の立場から考えるとより効果的」としながら、「インセンティブは8年間の分割償還期間に複数回受けられる」と話した。金錫東局長はまた「信用回復委員会も類似したインセンティブ制度を導入する」と付け加えた。
バッドバンク・プログラムの対象者を5000万ウォン未満の負債を6カ月以上滞納中である不良債務者に確定した。
バッドバンク・プログラム対象者になると元金の3%だけを返済すれば不良債務者から解除され、それまでの滞納利子は全額減免される。残りの負債は最長8年に渡って分割して返せばよい。
バッドバンク・プログラム申請資格がある不良債務者は約179万人(債務総額28兆ウォン)で、このうち約40万人程度が申請し、不良債務者の烙印から脱するだろうと政府は推定している。

韓国のクレジットカード利用者の破綻は経済危機のレベルに達していて、慎重で着実な対処が必要なのであるが、大統領職を首相が代行し、4月15日には総選挙というこの時期に、局長クラスから徳政令を思わせるような発言が出るのは問題だと思う。

3月 17, 2004 at 10:26 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.01.10

LGカード、危機を切り抜ける

韓国の大手クレジットカード会社LGカードの危機が救われたようです。
韓国・中央日報「LGカードが劇的回生…10日からキャッシングサービス再開」との記事を9日付で掲載した。ところが、前日8日には「LGカード、キャッシングサービスをまた中断」とのという記事が出ていたくらいの、ピンチでした。。
ここ一週間ぐらい世界的なニュースのレベルになっていてBBCがビジネスニュースで詳しく現地取材をしたほどでした。
韓国は1997年のアジア通貨危機でいわゆるIMFショックを経験しています。
これは、完全に貿易決済資金が不足してしまって、企業で言えば倒産状態つまりディフォルト(支払不能)宣言を出すかどうか?という状況まで追い込まれました。
BBCによれば、この時の経験で韓国内での消費セクターの成長の必要性を感じた政府が、政策として個人にクレジットカードの所有を勧めたのだそうです。

その結果、個人のクレジット破産や踏み倒しなども多く、大手クレジットカード会社のLGカードが多額で、かつ回収の見込の無い不良債権を抱え込んでしまった。
ということだそうです。LGと言えば有力財閥で日本でも有名な会社ですが、LGグループがサジを投げたので、銀行団などが救済に入るということになったようです。

BBCでは若い女性が「すべての銀行のクレジットカードを持っていた」とか、料理屋さんのご主人がクレジットカードで1000万円(?)の負債がある、といった過剰借り入れを反省しているというトーンの放送でした。
これが事実だとすると、韓国の消費者はクレジットカードの利用を初めとして、消費抑制に向かうのでは無いでしょうか?

1月 10, 2004 at 02:22 午後 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

2003.12.24

朝鮮日報

わたしは、大体、毎日30紙ぐらいの新聞サイトを見ています。
その中に朝鮮日報の日本語Web版 http://japanese.chosun.com/ があります。
その中に「技術格差の前で崩れ落ちる先進国への夢」というタイトルの社説がでました。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/12/23/20031223000087.html

> 韓国銀行は90年代以降から韓国が先進国との
>技術格差を縮められないといった「落とし穴」
>に陥た可能性が高いと指摘した。
(中略)
> 世界最高という韓国のメモリー半導体産業は
>設備投資費の70%を日本の製造機器メーカーに
>ロイヤリティとして支払っている。
>DVDプレイヤーやPDPといったデジタル家電製品も
>製品価格の10~30%を
>外国企業にロイヤルティとして支給している。

これは、かねてから指摘されていたことで、輸出によって外貨を稼ぐことでは同じ日本と韓国では経済構造がかなり違うということが言われていました。
日本の外貨収支は長い間、貿易黒字つまり原材料を