2009.11.06

日航OB怒る

朝日新聞より「日航OB「年金強制減額なら提訴も」 調整大詰め

日本航空の再建を巡り、日航退職者の年金削減問題が大詰めを迎えている。

政府が検討している年金減額に、退職者らは強く反発。強制減額には訴訟も辞さない姿勢だ。

退職者らがつくる「JAL企業年金の改定について考える会」の15人は5日、厚生労働省を訪れ、強制的な年金減額に反対する要請文を長妻昭厚労相あてに提出した。

客室乗務員OBの福島隆宏さん(67)は記者会見し、「(政府が強制減額に踏み切るなど)一般的に不当なことが行われた場合は提訴もやむを得ない、というのは常識的な考え方だ」と述べた。

会が退職者に対し、ウェブサイトで「減額反対」の署名を募ったところ、5日現在で対象者約9千人中4割を超える3740人分の署名が集まったという。

現行法で日航の年金給付を引き下げるには、現役、退職者それぞれの3分の2以上の同意が必要。

さらに引き下げが成立しても、希望する退職者には条件変更前の水準で一括支給しなければならない。

政府内では、現行法に基づく限り大幅な年金減額は困難とみて、強制減額できる特別立法の道を探っている。

日航は事業継続のために11月中に、政府が全額出資する日本政策投資銀行からつなぎ融資を得たい考え。

ただ財務省などは4.5%の給付利率を約束する日航の年金には「国民の理解が得られない」として年金減額を求めている。

5日は関連省庁の副大臣が国土交通省に集まり、日航再建対策本部の第2回会合を開催。
さらに国会近くに場所を移し、前原誠司国交相も加わって話し合いを続けた。
辻元清美国交副大臣は記者団に対し、来週中に対策本部の方向性を出す考えを表明した。

また、日航は4日付で最大労組のJAL労働組合に対し、今春にいったん決めた冬の一時金(ボーナス)の減額について協議入りを申し入れた。

この中で「国民の理解」を一番得られないのは、「特別立法方を作って法律で強制的に年金給付額を引き下げる」でしょう。

確かに、日航の年金給付額が多くて、引き下げるのが公的支援の条件だという、財政当局の主張はその通りですが、それは条件の一つであって、条件が満足されないから日航は法的処理に向かう、でなんの問題もないでしょう。

完全にババ抜き状態になっていて、特別立法はババを押しつける法律ですね。
金融機関などがババを逃れるために誰かに押しつけることを決める法律なんてものが許されませんよ。

こんな法律が成立したら、日本はおしまいですね。

11月 6, 2009 at 09:36 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.04

15.7%の衝撃 朝日新聞社説

朝日新聞社説より「15.7%の衝撃―貧困率が映す日本の危機

日本の相対的貧困率は、07年調査ですでに15.7%だったと長妻昭厚労相が発表した。約6人に1人が「貧困」という事実は何を意味するのだろう。

日雇い派遣で生計を立てる都内の大卒30代男性の生活を紹介したい。

宅配便の配達や倉庫の仕分け作業で一日中くたくたになるまで働いて、手取りは6、7千円。結婚して子供も欲しいが、この収入では想像すらできない……。「明日の仕事もわからないのに、将来がわかるはずがない」

「国民総中流」は遠い昔の話となり、いくらまじめに働いても普通の暮らしさえできない。これが、貧困率15.7%の風景である。

相対的貧困率とは、国民一人ひとりの所得を並べ、その真ん中の額の半分に満たない人の割合を示す。

経済協力開発機構(OECD)の04年の調査では日本の相対的貧困率は14.9%。加盟30カ国中、4番目に高いと指摘されていたが、自民党政権は公表を避け続けてきた。

日本が“貧困大国”となった現実に目を背けてきたのだ。

■数値公表の持つ意味

新政権が貧困率を発表したことには、現実を直視すること以上の大きな意味がある。

英国などのように、具体的な数値目標を設定して貧困対策に取り組むことができるからだ。
例えば、「5年以内に貧困率の半減を目指す」といった目標である。

貧困の病根は何か。そして貧困は何をもたらそうとしているのか。

経済のグローバル化により国際的な企業競争が激化し、先進各国で雇用の不安定化が進んだのは90年代半ばからだった。
日本では労働力の非正社員化が進み、当時の自民党政権も政策で後押しした結果、3人に1人が非正規雇用という時代が到来した。

日本企業は従来、従業員と家族の生活を丸ごと抱え、医療、年金、雇用保険をセットで支えていたため、非正規雇用の増加は、それらを一度に失う人を大量に生んだ。

一方、生活保護は病気や高齢で生活手段を失った人の救済を想定していた。
働き盛りの失職者らは、どの安全網にも引っかからずこぼれ落ちていった。

貧困率の上昇は、安易に非正規労働に頼った企業と、
時代にそぐわない福祉制度を放置した政府の「共犯関係」がもたらしたものだといえる。

日本社会は、中流がやせ細り貧困層が膨らむ「ひょうたん形」に変わりつつある。

中流層の減少は国家の活力をそぎ、市民社会の足元を掘り崩す。
自殺、孤独死、児童虐待、少子化などの問題にも貧困が影を落としている。

さらに深刻なのは、貧困が若年層を直撃していることだ。

次世代への貧困の広がりは、本人の将来を奪うばかりではなく、税や社会保障制度の担い手層を細らせる。
子育て適齢期の低収入は、まっとうな教育を受ける権利を子どもから奪い、将来活躍する人材の芽を摘んで、貧困を再生産する。

これは、国家存立の根を脅かす病である。その意味で貧困対策は決して個人の救済にとどまらない。未来の成長を支える土台作りであり、国民全体のための投資だと考えるべきだ。

■人生前半の社会保障

貧困率を押し下げるには、社会保障と雇用制度を根本から再設計することが必須である。それには「人生前半の社会保障」という視点が欠かせない。

能力も意欲もあるのに働き口がない。
いくら転職しても非正規雇用から抜け出せない。就労可能年齢で貧困の落とし穴にはまった人たちを再び人生の舞台に上げるには、ただ落下を食い止めるネット型ではなく、再び上昇を可能にするトランポリン型の制度でなければならない。
就労支援のみではなく、生活援助のみでもない、両者の連携こそが力となる。

働ける人への所得保障は福祉依存を助長するという考えも根強いが、仕事を見つけ、生活を軌道に乗せる間に必要な生活費を援助しなければ、貧困への再落下を防ぐことはできない。

新たな貧困を生まない雇用のあり方を考えることも必要だ。

企業が人間を使い捨てにする姿勢を改めなければ、
国全体の労働力の劣化や需要の減退を招く。

正規、非正規というまるで身分制のような仕組みをなくすためには、同一労働同一賃金やワークシェアリングの考え方を取り入れなければならない。
正社員の側も、給与が下がる痛みを引き受ける覚悟がいる。

■新しいつながりを

経済的な困窮は、人を社会の網の目から排除し孤立させる。
家族、友人、地域、会社などから切り離され、生きる意欲すら失っていく。

戦後の成長期に築かれた日本型共同体がやせ細る今、貧困を生み出さない社会を編み上げるには、人を受け入れ、能力を十全に発揮させる人間関係も必要だ。
新たな人のつながりを手探りしていくしかない。その姿はまだおぼろげにしか見えないが、ボランティアやNPO、社会的企業などがひとつの手がかりとなるだろう。

鳩山由紀夫首相は所信表明で、「人と人が支え合い、役に立ち合う『新しい公共』」を目指すと語った。この美しい言葉を、現実の形にしていく政治力を発揮できるだろうか。

同時に貧困対策は、自民党などの野党にとっても共通の国家的課題だ。
与野党が真剣に斬新な知恵を競い合って欲しい。危機は待ってくれない。

前半は非常にストレートに書いている社説だと思います。
派遣労働を是とする考え方は、投資をせずに利を増やすという考え方ですから、結局は借金の増大としか言いようがないのに、そういう観点からの指摘はありません。

健康保険制度の問題についても、利用者である国民がどう見るか?という観点からの議論がほとんど何もない。
アメリカなどの例を出して「日本はマシです」のような後ろ向きの話にしたら、国民は全体として希望を失うでしょう。
ハッピーリタイアが無いと年上の人を見る若手社員が仕事に頑張ることが出来るでしょうか?

政治指導者などが提示するべきは希望なのであって、言い訳ではない。
一方で「人口が増加する」といった誰が考えて有り得ないような前提での将来像を語るべきでもない。
日本は現在のところ比較的豊かで安全な国です。これがいきなりピンチになる事があれば、それこそが政治などの失敗でありましょう。
しかし、人口減に向かいます。これは変わらない。
そういう状況で、どうするのが将来ハッピーであると今感じることが出来るのか?を提示することが政治の最大の使命でありましょう。

こう考えると、新自由主義は本質的に「将来の不安を強調し、それを理由に競争の障害になる規制をはずす事」だったように思います。
逆に、規制を外すことを目的に将来の不安を強調し、規制を外すことに反対できなくした、のかもしれません。

しかし、不安は解消せず、日本においては経済も成長しないから不安はかえって増大した。
これが現状でありましょう

人口減社会に向かうことを考えると、人の価値は高くなるばかりだし、価値に見合う能力を人に付けさせるための投資も重要だと言えます。
教育に関して言えば、大学進学率の数字は人に対する投資効率の目安にはならないことが明らかですから、総合的に人の価値をどう認めるのか?というところに踏み込まないとだめでしょう。

これは、市場側(評価する側)の声を教育についても重視するべきだ、ということであって文科省が長年やってきた「資格中心主義」ではダメだ、となります。

なんか、ドンドン話を原点に戻すような印象ですが、それこそが今の日本に必要な事かもしれません。

11月 4, 2009 at 10:51 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2009.10.29

日本航空再建案は三段論法ではないのか?

日本航空の再建策は三段論法のような理屈で、政府主導でやってはいけないだろう。

今日も「国民を税金を日本航空再建に使うのだから、高い年金に注ぎ込むわけにはいかない、だから年金を引き下げる」と言っているが、全く関係ない話をくっつけているとしか思えない。

確かに、年金を支払うために税金を投入するなどということは許されないわけで、だから税金は投入できない、その結果として日本航空が法的整理になって何が問題なのだろう?

前原国交相は「飛行機が飛ばない事態は起こさない」とか言っているが、なんでそれが大事なことなのだ?
飛行機が飛ばないのは日常茶飯事であって、会社を分離するなどすれば問題になるほど運行が差しつかえることになるとも思えない。
もっと言えば、日本航空が無くても全日空はあるわけで、飛行機が飛ばないという観点は問題になるまい。

第一、日本航空を救済できないから年金を引き下げるとか言っているわけでしょう。
そうなると、これからの時代に日本航空が生き残れるのか?が問題なるはずで、年金問題はその条件の一つでしょう。
年金を引き下げるだけで、日本航空は生き延びることが出来るのだから、公的資金を一時的に投入する、という話ではない。

実際、人員削減9000人とか言っている。
そういう色々な物事を総合的に判断して、年金を削減するという合意を取り付けるのなら、まだ分かるが全体の展望がよく分からない段階で、一部分を決定してしまうのではまずいだろう。

日本航空の法的処理はしないどういう理由なのか説明がない
公的資金を投入するますます理由が分からない
だから年金給付を法律で削減する憲法違反の疑いが強い

こんな無茶を批判しないマスコミはどういうつもりなのだ?

10月 29, 2009 at 12:12 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.10.24

日航だけ救済の法律案、日航残って人類が滅びる

読売新聞より「日航救済で特別立法検討…年金強制引き下げ

政府は23日、経営危機に陥った日本航空を救済するため特別立法の検討に入った。

日航再建の障害になっている企業年金の高い給付水準を強制的に引き下げることができる内容だ。

法律が成立し、年金問題が解決に向かえば、金融機関による債権放棄や公的資金の投入なども円滑に進むことが予想される。
日航再建が一気に加速する公算が大きい。

26日に召集される臨時国会への提出も視野に、財務、国土交通、厚生労働の3省が合同で法案作りを急ぐ。

調整が長引けば、提出を通常国会に持ち越す可能性もある。

検討されている法案では、年金給付水準の強制引き下げの適用対象を、公共交通にかかわる公益性の高い企業に絞り込む。

さらに、実際の適用には厳格な要件を付ける方針だ。

具体的には、企業が経営危機に陥って安全な運航に支障が出ると判断された場合や、公的資金による救済対象となった場合などに限る。

老後の生活にかかわる企業年金は、給料などと同様に「労働債権」として法的に強く保護されている。

給付水準の引き下げは、憲法で保障される個人の財産権を侵害する恐れがある。

このため、現行法下では、受給者に不利益となる制度変更をする際は、受給者の3分の2以上の賛同を得なければならない。

日航の再建を巡っては、前原国交相が組織した専門家チーム「JAL再生タスクフォース」が、銀行団に対し2500億円の債権放棄・株式化を求めている。

また、公的支援策でも、約1800億円のつなぎ融資の一部に政府保証をつけたり、公的資金を活用した資本増強を実施したりすることを盛り込んでいる。

一方で、日航は年金の積み立て不足額が3300億円に上り、経営の圧迫要因になっている。

銀行団や財務省は、「金融支援や公的資金が結果的に日航OBらへの年金の給付水準維持に使われる」と反発しており、年金債務を圧縮できるかどうかが、再建策とりまとめの可否を左右する情勢になっている。

今回の特別立法には、日航の従業員やOBも一定の痛みを分かち合うことで、金融機関などの理解を得られやすくする狙いがある。
(2009年10月24日03時05分 読売新聞)

無茶苦茶だ!!
憲法違反だろう。

確かに日本航空は企業年金問題が経営危機に直結しているわけだが、それでは経営危機になったから遡って契約を変える法律を作ることが許される、というのではこれは国家とは言えないだろう。

そもそも、法律を発動する理由をどう説明するのか?安全な運行に支障が出るのなら、運行を止めること、つまりは会社を潰すというのが普通であって、会社を潰すことと救済することをどうやって区別するのか?

何を考えてこんな案を出すことが出来るのか?
法律の原理を無視するような案だと言える。

  1. 人としての社会の構成
  2. 人倫として社会ルールの合意
  3. ルールの明確さの証明として法律の存在
  4. 法律を作るための立法機関への社会の信頼
  5. 法律を作り実施すること

法律は、本来は上記のような順序が前提にあって作られ施行されるものだと思う。
つまり、法律すら支持されないこともある。法律が出来ればOKではなくて、社会にさらには社会以前の個人に受け入れられる内容でなければならない。

会社が倒産して企業年金が無くなってしまった、というのは当事者でも「仕方ない」と言わざるを得ないだろう。
しかし、後になってから「会社がピンチだから、法律を作って年金を取り上げます」ではあまりにひどいだろう。
間違えなく当事者は「政府はもちろん、法律も、裁判所も信用しなくなる」これは国家の崩壊そのものというよりも、人類社会の崩壊だ。

現時点でこういう選択をせざるを得ないのであれば、若い日本人にはさっさと国を出るように、と教育するべきだとなる。

ごく普通に考えて、なんでこんなことをしてまで日航を存続させなければならないのか?
新会社を作って、債務整理する方が現実的だろう。

10月 24, 2009 at 09:19 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.10.01

参議院の一票の重さ、次回は憲法違反となるか?

毎日新聞より「参院選「1票の格差」訴訟:「選挙制度見直し必要」 最高裁、初の指摘

◇07年、格差4・86倍 定数配分「合憲」

選挙区間の「1票の格差」が最大4・86倍だった07年7月の参院選は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、東京と神奈川の弁護士が各都県選管を相手に選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は30日、定数配分規定を合憲と判断し、原告側の上告を棄却した。

その上で「定数振り替えだけでは格差の大幅な縮小は困難で、選挙制度の仕組み自体の見直しが必要。
国会の速やかな検討が望まれる」と指摘した。参院の選挙制度見直しの必要性に言及したのは初めて。(11面に判決要旨、社会面に関連記事)

裁判官15人のうち竹崎裁判長ら10人の多数意見。中川了滋裁判官ら5人は「違憲」と反対意見を述べた。

判決は、「投票価値に著しい不平等状態が生じ、相当期間継続しているのに是正しないことが国会の裁量権の限界を超える場合は違憲」とする従来の枠組みを踏襲。その上で、

  • (1)06年の公職選挙法改正による「4増4減」の定数是正で、最大格差5・13倍の04年選挙より格差は縮小
  • (2)国会が参院改革協議会を設置
  • (3)選挙制度の大きな変更は時間がかかり、07年選挙までに見直すことは極めて困難
として、「定数配分を更に改正しなかったことが、国会の裁量権の限界を超えたとは言えない」と結論付けた。

一方、4・86倍の数字そのものについて合憲か違憲か明言しなかったが「憲法が要請する投票価値の平等の観点からは、大きな不平等がある」と指摘。

「選挙制度見直しには参院の在り方も踏まえた高度に政治的な判断が必要で、課題も多く時間を要する」としながら、国会に投票価値の平等の重要性を踏まえた早急な検討を促した。

金築誠志裁判官は補足意見で

「目安とすべき2倍の格差をはるかに超え、著しい不平等」と違憲状態を指摘。
反対意見の5人は「投票価値の平等を大きく損なう」などとして違憲と指摘したが、公益性を考慮し選挙は有効とした。
近藤崇晴、宮川光治両裁判官は抜本的な見直しがなければ、将来は選挙無効の判断があり得ることも指摘した。【銭場裕司】

◇真摯に受け止めて--原告団の話

選挙制度の仕組みを見直す必要があるとはっきり述べた画期的な判決。国会は、真摯(しんし)に受け止めてもらいたい

◆最高裁判決骨子◆

  1. 07年7月の参院選当時、選挙区選出議員の定数配分規定は憲法14条1項等に違反しない。
  2. 投票価値の平等の観点からは、この定数配分規定の下でも、なお大きな不平等がある状態。
  3. 国会において速やかに、投票価値の平等の重要性を十分に踏まえ、適切な検討が望まれる。

■15裁判官の意見■

 は合憲、×は違憲。-は06年判決後に就任。かっこ内は出身、◎は裁判長
判事名今回06年
◎竹崎博允(裁判官)
藤田宙靖(学者)
甲斐中辰夫(検察官)
今井功(裁判官)
中川了滋(弁護士)××
堀籠幸男(裁判官)
古田佑紀(検察官)
那須弘平(弁護士)×
涌井紀夫(裁判官)
田原睦夫(弁護士)×
近藤崇晴(裁判官)×
宮川光治(弁護士)×
桜井龍子(行政官)
竹内行夫(行政官)
金築誠志(裁判官)

毎日新聞より「参院選「1票の格差」訴訟:最高裁判決(要旨)

07年7月の参院選の定数配分を合憲と判断した30日の最高裁大法廷判決の要旨は次の通り。

■多数意見

憲法は、投票価値の平等を要求しているが、どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるのかの決定を国会の裁量に委ねている。

投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準ではなく参院の独自性など他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきだ。

参院議員の選挙制度の仕組みは、憲法が2院制を採用し参院の実質的内容や機能に独特の要素を持たせようとしたこと、都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも意義と実体を有し一つの政治的まとまりを有する単位としてとらえ得ること、憲法46条が3年ごとに半数を改選すべきだとしていることに照らし、相応の合理性を有する。

しかし、人口変動の結果、投票価値の著しい不平等状態が生じ、かつ、相当期間継続しているにもかかわらず是正する措置を講じないことが、国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には、議員定数配分が憲法に違反すると解するのが相当だ。

最高裁は83年大法廷判決以降、参院選の都度、上記の判断枠組みに従い定数配分の合憲性について判断し、憲法違反に至っていたとすることはできないと判示してきた。

しかし、04年及び06年の大法廷判決では、投票価値の平等をより重視すべきだとの指摘や、格差是正のため国会における不断の努力が求められる旨の指摘がされ、不平等を是正するための措置が適切に行われているかどうかをも考慮して判断されるようになるなど、より厳格な評価がされてきた。

参院では04年判決の指摘を受け、当面の是正措置を講ずる必要があり、定数格差の継続的な検証調査を進めていく必要があると認識された。
06年の公職選挙法改正は、こうした認識の下に行われた。

07年7月29日の参院選は法改正の約1年2カ月後に現在の定数配分の下で施行された初の選挙で、選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大格差は1対4・86だった。
改正前の04年7月の前回選挙の最大格差1対5・13に比べ縮小した。

07年選挙後には参院改革協議会と、その下に選挙制度に係る専門委員会が設置され、定数格差の問題について今後も検討を行うとされている。

そして、現行の選挙制度の仕組みを大きく変更するには相応の時間を要することは否定できず、07年選挙までにそのような見直しを行うことは極めて困難だった。

以上の事情を考慮すれば、07年選挙までに定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものとはいえず、定数配分が憲法14条1項等に違反していたとすることはできない。

しかし、法改正によっても残った格差は、投票価値の平等という観点からは、なお大きな不平等があり、選挙区間の有権者の投票価値の格差縮小を図ることが求められているといわざるを得ない。

ただ、現行の選挙制度の仕組みを維持する限り、各選挙区の定数を振り替える措置だけでは、最大格差の大幅な縮小を図ることは困難で、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となることは否定できない。

このような見直しを行うには、参院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が必要で、課題も多く、その検討に相応の時間を要することは認めざるを得ないが、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤で、投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると、国会において速やかに投票価値の平等の重要性を十分に踏まえ、適切な検討が行われることが望まれる。

<藤田宙靖裁判官の補足意見>

4増4減措置は暫定的と推認されるが、現在に至るまで更なる定数是正の本格的検討を行っているように見受けられず、07年選挙当時に定数配分が違憲状態にあったと考える余地もないではない。

ただ、憲法判断は次回選挙で行うのも一つの選択肢と考える。

多数意見は、選挙制度の抜本的改革を行うにはある程度の時間的余裕が必要となることを一つの理由として、定数配分を違憲とはいえないとしたが、そのことを口実に立法府が改革の作業を怠ることを是認するものではない。

早期の結論を得ることが困難であるというならば、その具体的な理由と作業の現状とを絶えず国民に対し明確に説明することが不可欠で、いたずらに現状を引きずるようなことがあるならば、立法府自らの手による定数是正措置に向けての残された期待と信頼とが消失してしまう事態を招くことも避けられないというべきだろう。

<竹内行夫裁判官の補足意見>

2院制の下で選出基盤が両議院で同じ必要性はなく、異なって当然。衆院選は厳格な投票価値の平等が求められる一方、参院選は多角的民意反映の考えに基づいて、厳格な人口比例原理以外の合理的な政策的目的や理由を広く考慮することが、2院制の趣旨に合致する。選出基盤が同じなら、参院は「第2衆院」ともいうべきものとなろう。

多様な民意は人口比例原理だけでは国政に十分には反映され難い。
地方分権に関する議論等が高まっている現状にかんがみれば、地方の実情と問題に通じた者の国政参画が必要。

単なる数字上の定数配分の是正ではなく、国権の最高機関である国会につき2院制が採用されている趣旨を踏まえた統治機構の在り方についての高度の政治判断に基づく検討が求められるものと考える。

国会が、衆院とは異なった参院の在り方にふさわしい選挙制度の仕組みの基本となる理念を速やかに提示することが望まれる。

<古田佑紀裁判官の補足意見>

竹内裁判官の補足意見に同調。

<金築誠志裁判官の補足意見>

選挙区間の最大格差は、目安と考えるべき2倍をはるかに超え、憲法上合理的範囲内として是認するには、よほど強い明確な理由が存在しなければならない。

■反対意見

<中川了滋裁判官>

都道府県単位の選挙区設定及び定数偶数配分制は憲法上に直接の根拠を有するものではない。

定数改正にもかかわらず、1対4・86の最大格差が生ずる選挙区設定や定数配分は、投票価値の平等の重要性に照らして許されず、国会の裁量権の行使として合理性を有するということはできない。不平等状態は違憲と考える。

<那須弘平裁判官>

投票価値については、選挙区と比例代表を一体のものとして計算するのが自然で、最も投票価値の低い神奈川県を1とした場合、最大格差は鳥取県の2・83。少なくとも1対2未満に収める必要があるが、比例代表を合わせて計算すれば縮小することは可能。

私は06年判決で憲法違反を否定する多数意見に賛同したが、これは対象選挙が04年判決から6カ月しかたっておらず、4増4減の改正が実現したことを重視した。今回は改正を再度評価の材料とすることは相当でなく、国会の審議に見るべき進展や真摯(しんし)な努力が重ねられた形跡も見受けられないから、憲法違反があったと判断せざるを得ない。

<田原睦夫裁判官>

47年の参院議員選挙法制定以後、社会、経済構造は著しく変革し、人口動態も大きく変動したにもかかわらず、制度の見直し作業は長らく放置され、選挙区選挙の改正が行われるのは94年まで待たなければならなかった。
しかも、既存制度への影響をできるだけ抑止しつつ最大格差を5倍以下に抑えるとの方針の下で行われたにすぎず、単なる弥縫(びほう)策との評価を受けてもやむを得ない。

何らの合理的理由もなく4倍を超える投票価値の格差が多数の選挙区で生じる違憲状態が長期間生じ、その解消には選挙制度の抜本的改正が必要であると96年判決で指摘されたのに、抜本的な改正がないまま施行された07年選挙は憲法に反する違法な選挙制度の下で施行されたものとして無効であるといわざるを得ない。しかし、選出議員への影響などにかんがみ違法と宣言するにとどめるのが相当。

<近藤崇晴裁判官>

最大格差は、投票価値の平等がほぼ実現されているといえる最大2倍未満の格差を著しく逸脱。
投票価値の著しい不平等が生じていたというほかなく、定数配分は全体として憲法14条1項に違反していたと考える。

なお、国会においては、4年後に施行される次々回の参院選までには、憲法の要求する投票価値の平等を他の政策的目的ないし理由との関連で調和的に実現するため、例えば選挙区割りの見直しなど参院議員の選挙制度の抜本的見直しを行うことが、憲法の要請にこたえるものというべきである。次々回選挙も抜本的見直しを行うことなく施行されるとすれば、定数配分が違憲とされるにとどまらず、事情判決の法理で選挙無効の請求を棄却することの是非が検討されることになろう。

<宮川光治裁判官>

衆院及び参院議員を選挙する権利は、国民の最も重要な基本的権利である。人口は国民代表の唯一の基礎で、投票価値の平等は憲法原則である。人口に比例して選挙区間の投票価値の比率を可能な限り1対1に近づけなければならない。衆院に対する抑制、均衡、補完の機能を通じ、国会の審議を慎重にする参議院の役割、独自性などを十全に機能させるべく、国会が考慮できる事柄があり得るとしても、最大格差が2倍を超えることがないようにすべきだ。

人口の移動、都市化、産業構造の変化に対応し、国会は奇数配分区の設定や、行政区にとらわれず大規模な区割りを試みる等、選挙制度を抜本的に改革すべきだったし、その試みは遅くとも94年の公選法改正時ころまでに実現すべきだった。

私は、定数配分は違憲無効の状態にあったと考える。将来、選挙結果を無効とすることがあり得ることを付言すべきだと考える。

現行の参議院議員の定員は

選挙区(都道府県単位47区)146人
比例代表選出(全国単位)96人
となっています。参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選ですから一つの選挙区に2名が最小定員です。選挙区は2~6名でその内訳は

北海道4人東京都10(9)人滋賀県2人香川県2人
青森県2人神奈川県6人京都府4人愛媛県2人
岩手県2人新潟県4人大阪府6人高知県2人
宮城県4人富山県2人兵庫県4人福岡県4人
秋田県2人石川県2人奈良県2人佐賀県2人
山形県2人福井県2人和歌山県2人長崎県2人
福島県4人山梨県2人鳥取県2人熊本県2人
茨城県4人長野県4人島根県2人大分県2人
栃木県2(3)人岐阜県4人岡山県2人宮崎県2人
群馬県2(3)人静岡県4人広島県4人鹿児島県2人
埼玉県6人愛知県6人山口県2人沖縄県2人
千葉県6(5)人三重県2人徳島県2人65

これで調整では無理ということは、都道府県を単位とする選挙区制度を崩して、隣接する県が2名ずつの選挙区をあわせて2名、余った2名を都市部の定員とする、ということになってしまいます。

さすがにこれは簡単に出来ることではないですが、その一方で裁判官の指摘には「時間切れだ」との意見もあって、次回の選挙がすでに1年以内になってしまいしたが、次の裁判では憲法違反の判決が出る可能性はかなり高くなったと言えるでしょう。

なによりも「5倍以内だから・・・」が否定されているところが大きいです。

10月 1, 2009 at 10:49 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.09.25

村長が地方自治法に反しても議会を開かない

東京新聞より「議会招集無視2カ月合併めぐり混乱 村長 変心

千葉県本埜(もとの)村の小川利彦村長(63)が地方自治法の規定に反し、村議が求めた臨時議会の招集を二カ月以上、無視し続けている。

隣接する自治体との合併問題で消極的な姿勢に転換した村長に、村議が不信任案を突き付けようとしているためだ。

住民団体も村長の解職請求(リコール)運動を行う事態に発展。人口九千人余の小さな村は揺れに揺れている。 (柏通信部・竹内章)

元村議の小川村長は二〇〇六年三月、隣接する印西市との合併推進を公約に掲げ初当選し、現在一期目。

当選時は「村民が合併を強く望んでいることを実感した」と語っていた。

ところが、印旛村を交えた一市二村で今年一月に合併協議会がスタートして協議が進むにつれて、「財政的に合併しなくてもやっていける」など否定的な言動を繰り返し始めた。

「合併には賛成しかねる」と村民に文書を配布するなど行動はエスカレート。

業を煮やした村民らは今年六月、有権者の73%(五千十三人)に上る合併の賛同署名を村に提出。

だが、村長は「重みはあるが、住民の意見は一カ月後にはどうなるか分からない」とはねつけた。

村長の姿勢に反発する村議たちは七月七日、不信任案提出を視野に臨時議会の招集を請求。

地方自治法の規定では、首長は請求から二十日以内に招集しなければならないが、村長はこれも拒否。

先月には森田健作知事が異例の是正を勧告したが、罰則規定はなく放置されたままだ。

さらに、村条例の規定では今月中に定例議会を開かなければならないが、村長は「開くのが常識だが、不信任案と言ってるし、政治的混乱を招きたくない」などと、いまだ招集の気配はない。
二十五日に議会と協議するが情勢は流動的だ。

こうした事態に、住民団体は二十四日、リコールの是非を問う住民投票の実施に必要な有権者の三分の一を大きく上回る三千四百四十人の署名を、村に提出。住民投票の実施が確実になった。

県は「議員が活動する場を設けるのは、地方自治の基本」と、想定外の事態に困惑気味。
ある村議は「村長がここまでするとは…」とあきれ顔で真意をはかりかねている。

いやはやすごい村長も居たものですね。

臨時議会の開催に抵抗したというのは、法律違反ではあるが、心情的には分かります。
しかし、定例議会を開かないというのは有り得ないでしょう。

どう考えても、時間が経つほど混乱の度は積み重なっていくわけで、どうなっちゃうのでしょうか?

9月 25, 2009 at 07:38 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.09.23

法科大学院をどうするべきか

読売新聞より「多すぎた法科大学院…新司法試験、崩れた構想

法科大学院の修了生を対象にした新司法試験の合格率が低迷している。

4回目となった今年の合格者数は2043人で、初めて前年割れとなり、合格率も27・64%と3割を切った。

法科大学院で充実した教育を行い、修了生の7~8割が合格できる――。そんな当初の構想は崩壊し、受験生たちからは「国による詐欺だ」との声も漏れる。なぜ、新司法試験の合格率はこれほどまでに低いのか。

◆受験資格◆

「幅広い人材を法曹にとの理念はどうなったのか」

合格発表があった今月10日。愛知県内の受験生の男性(26)は、その低い合格率に衝撃を受けた。自身も2回目の挑戦だったが、不合格。新試験は5年間で3回不合格だと受験資格を失うため、次がラストチャンスになる。

大学で美術を学んだが、法曹界が幅広い人材を求めていると知り、受験勉強をして、法科大学院の法学部以外の出身者を受け入れるコース(未修者コース)に入った。勉強のためアルバイトはできず奨学金を受けた。今後約700万円を返さなければならない。「次の試験に失敗したら、その後、別の仕事を探せるだろうか」と不安は募る。

中国地方の法科大学院の教授は、未修者コースを修了した30代の教え子が3回目の受験に失敗し、受験資格を失った。「不況の上、年齢も高いこともあり就職も難しい。学校も支援するが、今後同様の修了生が増えたらサポートしきれるか……」と頭を抱える。

◆過剰定員◆

「法科大学院の数が多すぎて、定員数が膨れあがってしまった」。ある法務省幹部は合格率の低さの原因をそう解説する。

法科大学院と新司法試験は、幅広い見識を持つ法曹を数多く養成するという司法制度改革の一環で生まれた。国が掲げた目標は、2010年頃までに司法試験の年間合格者数を3000人へ引き上げるというもの。新司法試験は、知識詰め込み型の勉強が必要とされた旧司法試験と比べ思考力重視の内容とし、法科大学院は修了者の7~8割が新試験に合格できるような教育を行うこととされた。

当初、適度な学校数と考えられていたのは20~30校。

ところが、実際には74校が乱立し、定員は約5800人に膨れた。今年の試験に失敗した結果、受験資格を失った人は571人。関係者からは「就職困難な人を毎年大量に生み出すのは社会問題」との声もあがる。

◆教育の質◆

14日開かれた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の法科大学院特別委員会。

特に今回の試験で、法学部出身者(既修者)より未修者の合格率が約20ポイントも低かった結果を受け、「合格の基準が未修者をすくい上げるものになっていないのでは」との指摘が相次いだ。だが司法試験を所管する法務省は、「既修者と未修者で合格ラインを変えるわけにはいかない」と言う。

一方、司法試験合格後、司法修習生となった人が法曹資格を得るために受ける卒業試験でも、不合格者数が増えている。
不合格となった法科大学院出身者の答案には、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則などを理解していないものもあり、法科大学院の教育の質も問われている。

新司法試験の合格率の低さから、すでに法曹を目指す人は減り始め、半分以上の学校で入試の競争倍率が2倍を切った。

各校はようやく定員削減に乗り出し、来年の入学者の総定員は4900人程度になる見通しだ。しかし、青山学院大法科大学院の宮沢節生教授は「定員削減はまだ不十分。現状を放置すれば法曹志望者は今後も減り、特に未修者が遠ざかって、多様な法曹を養成できなくなってしまう」と指摘している。(中村亜貴)

◆新司法試験=

2004年以降に開校した法科大学院の修了生を対象とし、毎年5月に実施。法学部出身者向けの既修者コース(2年制)修了生は06年から、他学部出身者や社会人向けの未修者コース(3年制)修了生は07年から受験している。合格率が3%前後と難関だった旧司法試験も10年までは存続する。

(2009年9月23日16時03分 読売新聞)

この記事で注目するべきは

「法科大学院の数が多すぎて、定員数が膨れあがってしまった」。ある法務省幹部は合格率の低さの原因をそう解説する。
特に今回の試験で、法学部出身者(既修者)より未修者の合格率が約20ポイントも低かった結果を受け、「合格の基準が未修者をすくい上げるものになっていないのでは」との指摘が相次いだ。だが司法試験を所管する法務省は、「既修者と未修者で合格ラインを変えるわけにはいかない」と言う。
の二点です。

注意深い人はお分かりかと思いますが、法科大学院を監督しているのは文科省です。
だから中央教育審議会が出てくる。

法科大学院が法曹になるための唯一の道にしてしまったのだから、学校教育ではなくて職業訓練だと考えると、文科省ではなくて法務省が監督するべき「学校」だろうと思います。
しかし、医師を大学の医学部が養成しているのと同じだと考えれば、文科省が監督するのは良いとして、記事中にあるように実務が出来ない学生を教育している法科大学院がなぜ成立するのか?という大疑問が出てきます。

法科大学院では、成績は相対評価なのだそうです。

これを聞いたときにはさすがにビックリしました。
どこまでいっても実務家の養成が目的の学校なのだから、最終的に資格試験を通過できることが絶対条件で、そのためには在学中から絶対評価をして、無理な学生を排除するべきでしょう。

「なんで絶対評価ではないのか?」と聞いたら「文科省の所管ですから」と言われました。

こんな事だから、未修者をすくい上げる、なんて言葉が出てくるのでしょう。
文科省は、法科大学院という教育機関を用意したが、法曹人を送り出すことは考えていない、ということになります。
法務省がヘソを曲げるのも当然だ。

こんないびつな法科大学院を制度として続けていくことが出来ないのは明らかで、例えば法務省が、絶対評価の試験を在学中に複数回実施して、不合格者は排除するといったことにでもしないと、全体が成り立たないでしょう。

もう一つ、法科大学院以外のルートでも司法試験の受検を可能にするべきです。

法科大学院とは、単なる予備校と何が違うのだろう?

9月 23, 2009 at 04:56 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2009.09.21

市場原理主義の放棄を

サンケイエクスプレスより「【国際政治経済学入門】新政権は「デフレ病」を退治できるのか

民主党主導の連立政権がスタートした。政権交代の真の意義は、自公政権が不作為に終始したデフレ病克服にある。

鳩山政権は経済のパイ拡大を目指すことを大目標に設定し、必要な政策を総動員すべきだ。

歴史的にみると、国家をリードする経済哲学は二分されてきた。

政府の役割を最小限に抑え、民間の市場原理にまかせればよい、という市場原理主義と、政府が経済拡大のために大きな役割を果たすケインズ主義である。

負のスパイラル

1年前の「リーマンショック」により、米国消費者の購買力の3割以上が一挙に消滅した。

米国はもとより日本、中国などの輸出産業も巨大な供給過剰に陥った。放置しておくと、製品価格は下がり続け、企業は破綻(はたん)し、失業者が街にあふれだす。
すると需要はさらに縮小し、倒産と失業増が加速する。「デフレスパイラル」と呼ばれる現象である。

そこで政府が国債を大量発行し、貯蓄マネーを吸い上げて社会資本や雇用対策に投入する。

財政出動を呼び水に民間の投資や消費を促し、デフレ不況突入を避ける。米国も欧州も中国も躍起(やっき)となっている。

日本の場合、1990年代初めにバブル崩壊し90年代後半以降、物価が下がり続け経済成長がゼロになるデフレ病にかかっている。

時の政権は当初、公共投資の拡大を試みたが、「財政均衡」を求める財務省官僚の声に促され、橋本龍太郎首相(当時)が1997(平成9)年に消費税増税など緊縮路線に転換すると、経済はデフレに舞い戻った。

橋本政権を引き継いだ小渕恵三首相(当時)は再び財政支出を拡大させたが、効果が出ないうちに病に倒れた。

2001年には「民のものは民に」という小泉純一郎政権が登場し、市場原理主義へと大転換した。
族議員と霞が関官僚による非効率で肥大化した日本経済を構造改革するという主張は国民やメディアの多くの支持を集めた。

自民の無為無策

ところが、デフレ病は一向に改善しなかった。
景気のほうは円安に支えられた輸出産業の競争力再生により好転した。

小泉政権は所得税の配偶者特別控除や定率減税を廃止し、財政均衡を図った。96年度に約40兆円だった公共投資は08年度に約20兆円まで減った。

結果は税収減で、政府は国債発行で財政赤字を穴埋めすると同時に増税に追い込まれた。

結局小泉政権時代、国債発行残高は278兆円増えた。政府は小さくなるどころか逆に大きくなった。
地方交付税交付金も削減され、地方の疲弊もひどくなっていった。

社会の活性化どころか若者の貧困化、自殺者の増加など世相も暗くなった。

「小泉後」安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の各政権はこの成功体験に足をとられ、デフレを放置した。

麻生政権はリーマンショックを受けて、緊急財政出動に踏み切ったが、緊縮財政論の与謝野馨財務相にひきずられて、均衡財政や消費税増税にこだわり続けた。

総額15兆円もの追加経済対策も、官僚まかせの役所関連施設の寄せ集めが目立ち、迫力に欠けた。

先の総選挙での自民党の大敗北の根本原因は、デフレ病というバブル崩壊後10年以上もの間の宿痾(しゅくあ)に取り組もうとしなかった無為無策にあったとも言える。

課せられた歴史的使命

民主党主導の政権はデフレ病を退治できるだろうか。

民主党大勝利を生んだのは、小泉政権以来の格差問題や社会保障負担増にあえぐ有権者に対し、個別の生活支援を乱発、公約する戦術による。

しかし、国民の活力をそぎ、閉塞(へいそく)させる元凶になっているデフレ病に対して、処方箋(せん)を示してはいない。

藤井裕久新財務相は「財政均衡至上主義」にとらわれない考え方を表明しているが、デフレ問題には言及していない。

国家戦略・経済財政・科学技術担当相の菅直人副首相は「脱官僚依存」を指揮するが、単に官僚から予算権限を取り上げ、「政治配分」をアピールするだけなら、財政支出は混乱し緊縮財政と同じ影響が生まれむしろデフレを悪化させかねない。

経済のパイを拡大する成長戦略を作成し、思い切った財政出動と、それに連動する金融政策を動員してデフレから脱出する。これこそが鳩山政権の歴史的使命だ。

(特別記者・編集委員田村秀男/SANKEIEXPRESS)

この記事は、イザの田村秀男の経済がわかれば、世界が分かるブログ「デフレ病」退治の戦略で民主と自民は競えで知りました。

デフレ病退治とはなかなかうまい表現だと思いますが、簡単に退治できるものではないでしょう。
それ以上に、自民党政権が無為無策であった、と断じているところに共感します。

田村記者はブログで

自民党も再生をめざすなら、日本経済の構造に合わない市場原理主義をきっぱりと放棄して政府の役割を再定義し、脱デフレ戦略で民主党に先駆けるべきだろう。

このような意見はあまり出てきていませんね。

橋下大阪府知事に至っては、高校生を相手に「今は自己責任の時代」と言い放っております。

そもそも、自己責任とはどこから出てくるのでしょうか?当然ですが、市場原理主義であるから自己責任の時代となるわけです。

日本において、市場原理主義が失敗したことは、今回の記事でよく分かることで、さらにはアメリカを中心とする金融資本主義の暴走をどうするのか?問題が出てきます。

金融資本主義の暴走はアメリカ経済すら壊しているわけで、暴走を抑制する手段が必要だとなります。
同様に、日本では市場原理主義についても何らかのコントロールを社会は要請しているのですから、これはすでに市場原理主義ではダメであり、自己責任論も言い訳そのものだとなります。

ほぼ20年にわたって自民党政権は経済政策を誘導的にしてこなかった。
この結果、インフラレベルで不整合があっちこっちに見えます。

少子高齢化は、巨大住宅団地の成立を危うくしていますが、これには対策がありません。
団地を適正規模に縮小するしか手がありません。

同様なものに、空港や道路・新幹線などがあります。

人口減社会を健全に維持するには、現在の大都市に人口を誘導するしか無いでしょう。
神奈川県はどこでも都心から、2時間程度でアクセス出来ますから、首都圏の人口を背景にした、人口密度が薄い地域は成立するでしょうが、これが背景となる都会が小規模になっては自治体レベルでもどうにもなりません。

結果として、全国一律が無理で、今後は無人化した地区が出てくることを覚悟して、政策を進めるしかないだろう、と強く思うのです。

まさに国家100年の計であって、今までになかった時代に突入しつつあり、国際情勢(外交)についても今までとは、違った考え方を議論する時代になった、と感じます。

9月 21, 2009 at 05:35 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.09.20

消費者庁の家賃問題

読売新聞より「消費者庁の賃料8億円ビル、近さ重視・値段無視

約8億円に上る年間賃料が「高すぎる」と批判されている消費者庁の入居ビルの選定過程が、明らかになった。

公募に応じた18物件の中には3億円近く安い物件もあったが、同庁は賃料よりも霞が関からの「近さ」を重視して選んでいた。

福島消費者相は19日、記者団に「8億円は正直言って高い。移転も含めて検討する」と述べたが、契約更新の意思表示をする期限は今月末となっており、早急な決断を迫られそうだ。

内閣府の外局として発足した消費者庁が入る「山王パークタワー」(東京・永田町)は、地上44階、地下4階の超高層ビルで、内閣府まで徒歩数分の場所にある。
外資系銀行などが入居し、消費者庁と同庁の監視機関である消費者委員会は、4~6階の計約6000平方メートルを使用している。

物件の選定は、今年3月、内閣府が入居先を公募し、内閣府の局長ら幹部9人だけで作る審査委員会が行った。〈1〉霞が関からの距離〈2〉賃料や広さ〈3〉耐震構造などビルの設備〈4〉警備態勢〈5〉フロアの使いやすさ――など六つの評価項目に基づいて、40点満点で採点した。

各評価項目の中には「最寄り駅まで10分以内か」「建物の周辺に飲食店はあるか」など詳細なチェック事項が例示されていた。

応募してきた18の民間ビルのうち、最も賃料が高かったのは、千代田区大手町のビルで、1平方メートル当たり月額1万2957円(年間賃料約9億3000万円)。
最も安かったのは文京区本郷の物件の7576円(同5億4000万円)で、年間で4億円近い差があった。

山王パークタワーは1平方メートル当たり月額1万1034円。賃料は7番目だったが、内閣府からの距離が約500メートルと2番目に近いことが高く評価され、32点の最高点を獲得。

内閣府から1・5キロ圏内で7623円だった港区芝公園の物件や、1キロ圏内で9529円だった港区虎ノ門の物件は、いずれも「面積がやや狭い」などの理由で選ばれなかったという。

ほとんどの物件は内閣府から2・5キロ以内で、車や電車で30分以内の距離だが、内田俊一長官は10日の記者会見で「重大事故が起これば参集する事態もあり、距離を優先した」と「近さ」にこだわったことを認めた。

一方、賃料については、当時、内閣府の関係機関が入居していたビルの中で最も高い「1万2220円」を超えなければ問題ないと判断したという。

同庁によると、ビル保有会社に対し、契約を更新するかどうかを今月末までに示さなければ、契約更新はできず、来年3月末までにフロアを明け渡さなければならなくなるという。
同庁職員は、「新大臣が移転を決断したら、また移転先探しや引っ越しなどを行わなければならない。そんなドタバタで本当に消費者行政が出来るのか」と話した。

消費者庁のビル賃料が八億円と聞いて、直感的には「高いなと」思いましたが、すぐに「面積がわからないから何とも言えない」と考え直しました。

今回、面積が約6000平方メートルだと分かって「やはり面積が広いからわずかな単価違いが大きく影響するな」とあらためて感じたところです。

多少でも、コストダウンを考えた場合、単価を下げるか、面積を減らすか、のどちらかになります。
次に、どれくらいの賃料であれば妥当なのか、を八億円から考えてみると、記事中にあるように五億円程度にするのであれば、62%に減らすのですから、面積を4000平方メートル以下にする。あるいは、面積単価を七千円以下にする事になります。

どちらの数字も実現不可能という事ではなくて、少しずつ妥協すれば何とかなるように思います。
つまりは、

賃料については、当時、内閣府の関係機関が入居していたビルの中で最も高い「1万2220円」を超えなければ問題ないと判断したという。

こそが一番の問題だっただろうと考えます。
六億円台に収めることは、さほど難しいことだとは思えませんから、結局は移転することになるような気がします。

9月 20, 2009 at 09:59 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.09.19

インフルエンザワクチンの世界的な品不足

NHKニュースより「ワクチン 85か国で調達困難

先進各国で新型インフルエンザ用のワクチンの接種に向けて準備が加速するなか、WHO=世界保健機関は、世界全体としては発展途上国を中心に85か国でワクチンを調達するめどが立っていないことを明らかにしました。

新型インフルエンザ用のワクチンをめぐっては、今月末から来月にかけて、オーストラリアやアメリカ、日本などが接種を始める方針を示すなど、先進各国を中心に準備が加速しています。

しかし、18日にジュネーブで記者会見したWHOのハートル報道官は、WHOが、当初、世界全体で見込んでいた年間49億回分というワクチンの製造能力について、「このままでは予想を少なからず下回りそうだ」と述べ、世界全体にワクチンを行き渡らせるためには、今の供給態勢では不十分だとの認識を示しました。

そのうえで、ハートル報道官は、ワクチンを調達するめどが立っていない国が発展途上国を中心に85か国に上ることを明らかにしました。

この問題で、アメリカやフランスなど9か国は、自国で確保するワクチンのおよそ10パーセントを発展途上国に供給すると発表していますが、WHOでは、引き続き国際社会に対し、途上国がワクチンを確保できるよう、資金や技術の提供などへの協力を呼びかけています。

この報道はいろいろな問題を指摘しています。

日本ではワクチン製造が間に合わないことが明らかになってきましたが、そもそもはスタートが遅かったからだと考えています。

ワクチンが間に合わないことに対して、厚労省は基本的に「大丈夫」としか言わないのは、当然と言えば当然かもしれませんが、いささか以上に無責任なのではないのか?と以前から思っていました。

そして、厚労省がワクチンの輸入を打ち出したことに対して、安全性の観点から反対する意見が多数あります。

この厚労省の対策の遅れと、輸入に対する反対意見は、基本的に健康問題だけをとらえているのだろうと思いますが、社会的な問題としては病気の人が出ると社会の運営に問題が生じることも考えないと、バランスを失することになります。

新型インフルエンザは免疫がない人が多いために強い伝染力があり、急速に拡大することは分かっているわけですが、現在のところ病気として比較的軽いことが分かっています。

そこで、ワクチン輸入反対の根拠としては、「ほとんどの患者は数日で回復するから危険かもしれないワクチンの投与をすることはない」となります。

もちろん、一番まずいのは厚労省がワクチン製造について判断を遅らせたことですが、社会的に見るとどんな対策があり、どんな問題が生じるのかを冷静に見当するべきところを、病気の治療だけの観点で議論してしまったから「輸入すれば良い」でOKのようなことになったのでしょう。

しかし、今回の報道は「日本がワクチンを輸入しても良いモノか?」という疑問が明らかになった、というべきでしょう。

日本の社会をどうやって動かし続けるのか?というのと同様に、世界を動かすのか?も問題のはずです。

健康保険制度も、社会を動かすためには全国民を対象にした保険制度の方が社会全体としては低コストになる、という原理で出来ています。

この考え方が通用しないのがアメリカで、日本でも健康保険が本質的に全国民を対象にするべきなのに、細分化したものだから単位となる保険組合間で収支のバラツキがドンドン拡大してきました。
これを放置すると、本来の健康保険制度の崩壊になります。

自己責任を重視する意見が、新自由主義で強調されてきましたが、自己責任だけではやっていけないことが、このワクチン報道などで明らかになってきました。
「輸入すれば良い」という判断に対して「金を積んでも輸入できない」という究極の状況が待っています。

自己責任論は、いわば部分最適化(分野別高能率化)を越えるものではないでしょう。
これは製造業などでは否定されているわけで、小さな政府論が自己責任論に転じているところが問題なのかと思います。

社会や国家としては、必ずしもその時点での一番有利な選択だけをして、常に無駄のない状態を維持することは不可能です。
使わないかもしれない、ワクチンを作るべきだったのは今となっては明らかでしょう。

同じような問題は、防衛問題やエネルギー問題、農水産業などに代表されます。
「○○を××するから問題ない」的な即物的な政策には疑いの目を向けるべきだと思うのです。

9月 19, 2009 at 10:27 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.09.17

鳩山内閣の人事

東京新聞より「党内配慮 バランス型 グループ重鎮 参院手厚く

民主党から入閣した閣僚十五人の顔ぶれやポストを点検すると、鳩山由紀夫首相が専門性や党内バランスなどさまざまな面に配慮した形跡がうかがえる。

ただ、入閣できなかった議員などから早速、不満も噴出している。(政権交代取材班)

人事でまず特徴的なのは、民主党内の各グループから幅広くベテラン議員を起用した点だ。

川端達夫文部科学相は旧民社党系
前原誠司国土交通相は前原グループ
仙谷由人行政刷新担当相は前原グループ
赤松広隆農相は旧社会党系

で、それぞれ中心的な役割を果たしてきた。

閣僚ポストが限られる中、できるだけ挙党態勢で新政権を運営していこうという狙いによるものだ。

そこには各グループの重鎮を起用しておけば、ひとまず不満は抑えられるとの計算がうかがえる。

平野博文官房長官は記者会見で「中心的に活動してきた方やベテランを配し、全員野球の布陣をしく」と説明した。

特に目立ったのが参院への配慮。

自民党政権では参院枠は二人のことが多かったが、直嶋正行経済産業相ら来年の参院選で改選を迎える三人が入閣した。

小沢一郎幹事長と連携する輿石東参院議員会長への気遣いもあって、参院重視の姿勢を打ち出したようだ。

また、首相を長年、支えてきた小沢鋭仁氏を環境相に、平野博文氏も官房長官に起用。側近グループへの“恩賞”も忘れなかった。

その一方で、代表選に出馬するなど党内で存在を示してきた野田佳彦幹事長代理や野田グループからの入閣は見送られた。首相の真意は不明だが、挙党態勢の点ではやや違和感が残った。

若手論客からの大抜てきもなかった。

衆院選で掲げたマニフェストの実行に向け、堅実な実務型内閣を優先するあまり、ベテラン中心になってしまった側面は否めない。

こうした新内閣に対し、民主党内では「安定感もバランスもあって、いい人事」(参院幹部)と評価する声がある一方、中堅・若手議員の反応は総じて厳しい。

ある中堅は「清新さがない。この内閣、長続きしないんじゃないか」と酷評。
別の中堅も「働いていた人が入らず、働いてない人が入った。一つのチームとして動けるのか」、若手議員は「入閣させなければ文句を言う人たちを入れた」と批判する。

首相に比較的近い議員でさえ「内閣改造の時に、本当の適材適所で人事をすればいい」と、早くも改造に言及するほどだ。
新内閣の評価を高めるには、これから地道に実績を挙げていくしかない。

この記事は地味ですが、けっこう重大なことを語っていると思います。
参議院選挙は3年に一度で、次回は2010年7月になります。
10ヶ月後ですから、参議院選挙の結果を受けて内閣改造が既定の路線でありましょう。

自民党に対して派閥の集合体であるとの論評があったわけですが、最近の民主党は一連の騒動を乗り切る過程で清濁を併せ持つようになって、良く言えば逞しく、悪く言えば自民党的になったと思っています。

その意味では今回の組閣は派閥均衡形のようなもので、結局のところ自民党でも民主党でも政党の構造はそうそう変わらない、そういう政党を良しとするのが日本人なのだ、ということでしょう。

とは言っても、非常に重要なのが出来たばっかりの消費者庁で、福島みずほ社民党党首が担当するのですが、この人の行政的実力は全く未知であるところが、心配です。
消費者庁は既存の役所とは向いている方向が90度ぐらい違っているわけで、かなり難しい仕事になりますから、実力者が抑える回るべき職務だと思います。

9月 17, 2009 at 09:45 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2009.09.15

亀井氏の郵政問題担当大臣とは何をするの?

朝日新聞より「西川社長に自発的辞任求める 郵政問題相内定の亀井氏

鳩山新政権で郵政問題担当相に内定した国民新党の亀井静香代表は15日、日本郵政の西川善文社長に対し、自発的な辞任を求める考えを明らかにした。党本部での記者会見で答えた。

亀井代表は会見で、「(郵政)見直しが既定事実になっているので、そのなかで続けるのは不可能だ」と述べた。西川社長の去就をめぐっては、鳩山代表も解任方針を示している。

また、亀井代表は、不況で業績が悪化している中小企業に対して3年程度、借金の元本返済を免除する「支払猶予制度」(モラトリアム)を導入する考えを示した。

まあ、亀井氏は持論を展開しているのですから、不思議なところはないのですが、わたしが気になったのは「郵政問題担当相」とはなんだ?です。

そもそも亀井氏が言う「郵政問題」が「小泉改革」による郵政民営化の全面取り消しだと言うのなら、それは今となっては無理でしょう。
やるにしても莫大な費用が掛かると思います。

今では「日本郵政株式会社」であって、民間会社なのです。
つまり亀井氏がいかに問題にしても、全株式を日本政府が保有するとは言え、一民間会社であることに代わりはなく、特定の民間会社担当大臣とはいかにも変でしょう。

まあ、西川社長のやったことが、結果的に郵政会社にとって利益になったのか、損失になったのか、上がるはずの利益を失ったのか、は問題のあるところだろうとは誰でもが思うところでしょうが、それにしても政府に大臣を置いて専門に任せるようなことなのでしょうか?

9月 15, 2009 at 07:40 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2009.09.01

消費者庁発足

朝日新聞より「消費者庁、波乱の船出 住田弁護士が監視委員辞退

消費者行政を一元的に担う消費者庁が1日発足する。
しかし、消費者庁を監視する消費者委員会の委員長になる見通しだった住田裕子弁護士が委員就任を辞退するなど、波乱含みのスタートだ。

全く新しい中央官庁としては71年の環境庁(現・環境省)以来。1日は野田消費者行政担当相による事務所の看板除幕式や訓示、初代長官に就任予定の内田俊一・元内閣府事務次官の記者会見がある。

有識者による消費者委員会(10人以内)の初会合も開かれ、互選で委員長が決まる予定。
住田氏は野田担当相から委員長含みで消費者委員会設立準備参与に任命されていたが、31日までに「一身上の都合」で委員就任を辞退した。
内閣府は説得を続けたものの、本人の意思が固く断念したという。

住田氏については、これまで各地の弁護士会や消費者団体から「消費者問題に詳しくない」などの理由で、人選について見直しを求める声が上がっていた。
委員長就任についても、他の設立準備参与から「互選なのに、あらかじめ決められているのはおかしい」との批判があった。

一方、民主党は長官人事などについて、「旧来型の官僚主導で進めることは極めて不適切」と反発。総選挙前から再考を求めている。

消費者庁は、ガス瞬間湯沸かし器中毒事故や中国製冷凍ギョーザ事件など、製品や食品の事故に対応が後手に回った「縦割り行政」への反省から設立された。

生活に身近な約30の法律を所管し、行政処分・指導や、他省庁への措置要求・勧告をする。各省庁が課題にバラバラに対応して起きる「たらい回し」や、規制する法令のない「法のすき間」の解消を目指す。消費者行政を一元的に担い、「司令塔」としての役割が期待されている。

この問題については、紀藤正樹弁護士が7月16日に「2009年7月17日-日弁連 - シンポジウム動き出す消費者庁と消費者委員会-消費者のための制度に育てよう-」として批判しています。

今週金曜日に日弁連のシンポジウムがあります。

消費者庁の長官人事や消費者委員会の委員長人事を、前者を官僚人事、後者を消費者問題に詳しくない元検察官の住田裕子弁護士とするなど、最低の人事が政府から発表されています。

後者の人事も、消費者問題に精通していないという問題だけではなく、実質民間からの登用ではなく、元検察官からの登用という「天下り」類似のもので、二重に問題です。

これでは官僚の焼けぶとりという民主党や国民の批判に答えられません。、

消費者庁設置までの自民党の動きは、本当に感謝に堪えないものがありましたが、今回、このような人事が発表されること自体が、自民党政権(あるいは旧路線の議員)の限界かもしれません。あるいは、いつから変節したのでしょうか?

消費者庁設置にからみ、民主党は、一貫して官僚政治打破を叫んでしました。消費者庁も消費者委員会も、消費者問題に長年携わってきた民間人からの登用を一貫して主張してきたのは、民主党でした。当初は野田大臣も同意見でした。

正念場です。いろいろ言いたいこともあるので、紀藤も出席します。

参加無料です。皆さんもぜひご参加いだだき、どしどし意見を出していただければ幸いです。

日弁連 - シンポジウム動き出す消費者庁と消費者委員会-消費者のための制度に育てよう-

日時 (金)18:00~20:00(開場17:30)場所 弁護士会館 2階講堂クレオA
(千代田区霞が関1-1-3 地下鉄丸の内線・日比谷線・千代田線 「霞ヶ関駅」B1-b出口直結)参加費等 参加無料・申込不要 

* 消費者庁関連3法についての概要報告
* パネルディスカッション
(1) 消費者庁と消費者委員会の組織機能について
(2) 消費者安全法における消費者庁の権限機能について
(3) 消費者庁の所管法
(4) 地方消費者行政の支援策
* まとめ

主催 日本弁護士連合会
問合せ先 日本弁護士連合会 人権部人権第二課 TEL:03-3580-9508

[参考]

⇒人事 
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090701AT3S0100K01072009.html

 

消費者庁初代長官、内田氏起用を正式発表-日経新聞2009/07/01

政府は1日、9月に発足する消費者庁の初代長官に内田俊一前内閣府次官を充てる人事を正式に発表した。内田氏は同日付で消費者庁設立準備顧問に就任した。消費者行政の監視組織である「消費者委員会」の委員候補には弁護士の住田裕子氏ら10人を選出。住田氏が委員長に就く見通しだ。住田氏以外の消費者委員会の委員候補は次の通り。

池田弘一アサヒビール会長▽ジャーナリストの川戸恵子氏▽桜井敬子学習院大教授▽佐野真理子主婦連合会事務局長▽下谷内冨士子全国消費生活相談員協会顧問▽田島真実践女子大教授▽中村雅人弁護士▽林文子東京日産自動車販売社長▽松本恒雄一橋大法科大学院長(14:15)

⇒消費者団体から反対意見も続々出ています。
http://stuvwxyz.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-0e1c.html

7月17日のシンポジウムに、わたしも参加しました。

新聞記事にもある通り、「互選なのに、委員長が予定されている」ということで、それだけで批判の対象になっていました。

消費者委員会は消費者庁を監視する組織で、このような仕組みは他の中央省庁には無いでしょう。
さらに、消費者庁そのものが行政の縦割り構造に対して横ぐしを挿した形になっていますから、消費者委員会そのものの重要性が問題になるのは当然です。
そこで人事の争いがあった、ということです。

それにしても、政権移行が決まったから「委員長の辞退を発表した」というのでは、あまりにあからさまで「悪あがきであった」と言われても仕方ないですね。

消費者庁の設置について、何度かシンポジウムに参加して知ったことの一つは「国際間の行政組織のあり方として消費者庁が無いことが、大問題になりつつあった」ということでした。

消費者庁とそれに基づく法律で、国際会議があり情報交換が行われているのだそうです。
日本は消費者庁がありませんから、その会議に参加できませんし、もちろん情報も流通しません。
これでは世界の孤児であって、貿易立国であることを考えると「論外」なのですが、元もと日本の行政の仕組み全体が「供給側の方が数が少ないから、供給側を行政がコントロールすればよい」という考え方ですので、消費者側に立った行政組織そのものが設置できなかったのです。

こういう点から、単に中央省庁が一つできるという以上の大きな意味がある、と考えるべきで、最初に話を聞いたときには「10年がかりかな」と思っていたのですが、福田首相が置き土産として推進し、麻生首相が早期に設置を進めた、のです。

早期設置については、反対論がありますが、反対論の背景には「消費者庁そのものに反対する」意見があることは間違えありません。
先の説明の通り、行政組織全体が「今の仕組みになじまないから反対」なのですから、当然でしょう。

その意味では、福田・麻生の両首相のいわば置き土産として、消費者庁が発足したことは、何かを象徴している、とも言えます。

9月 1, 2009 at 09:05 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.31

政権交代に思う

2009/08/30の選挙の結果は、

民主308
自民119
公明21
共産
社民
国民
みんな
日本
諸派
無所属

となりました。

報道のトーンは「一大事」「予想外」のような感じの見出しが多いのですが、小選挙区制なのだから、大いにあり得る事でした。

その意味では、報道の姿勢の方にビックリするべきでしょう。

自民党の一部には「選挙の時期が悪かった」という弁解があるようですが、小泉内閣以後の安倍・福田・麻生と続いた3代の内閣では、どうにも希望が持てなかった。
民主党政権で「なにか希望が持てることが出てくるのか?」が一番の注目点でしょう。

行政は、本質的に欠陥を修正するのが仕事であって、例えば教育水準が世界的な競争では下り坂である、という事実に対して「じゃあ、学力テキストを大げさにやろう」とはなるでしょう。
しかし、将来どういう人材を作るのが良いのか?については「従前通り」なのですから、欠陥を修正しても、以前と同じにしかならず、より良くなる保証は無いわけです。

このようにわかりきったことに対して、小泉が持ちこんだ「新自由主義」を悪用(?)して「個人責任だ」とやってきたのが、上記の3代の内閣でしょう。

「欠陥を埋めることしかしない & 責任は個人だ」という行政を信用しろという方が無理であって、「こっちに進むから協力してくれ」という目標を掲げることが政治の重要な役割のはずです。

自民政権から変わった事以上に重要だとわたしが考えていることは、人口減社会へのソフトランディングプランです。
少なくとも、高度経済成長時代のように「一部だけ推進すれば、他も追従してくる」という社会は今後何十年もあり得ないでしょう。

そういう社会をどう描くか、それによって教育をどうするのか?、人はどのように住むのか、といったところまで整理しないと、社会を描くことができません。

あっちこっちで、団地の高齢化問題が出ていますが、どう考えても「すべての住宅団地の高齢化問題を解決」することはできません。
ある住宅団地の高齢化問題を解決するためには、別の住宅団地を更地にするしかない。

とにかく「こうやれば全部うまく行く」はあり得ないのだから、それでもこっちが良い、と決断する社会にしていくしかないし、セーフティーネットをあらゆる方面に用意して「個人責任だ」などと行政が言い放つようなことは無くすべきでしょう。

8月 31, 2009 at 10:46 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.13

裁判員裁判・読売と朝日の姿勢

読売新聞より「2件目の裁判員裁判、弁護の違いが量刑に影響

さいたま地裁で開かれていた全国2件目の裁判員裁判で12日、判決があった。

先週の東京地裁での第1号事件では、過去の量刑の傾向を表す「量刑相場」より重めの判決が出たが、第2号事件では弁護人の主張がある程度受け入れられた。

3~6日に東京地裁で行われた裁判員裁判では、近隣トラブルから女性を刺殺し、殺人罪に問われた被告に懲役15年(求刑・懲役16年)が言い渡された。判決は被害者の落ち度を強調した弁護側の主張を認めず、ベテラン裁判官が「突発的な殺人事件では10年強を中心に考える」と話すように、従来の相場よりも厳しい結果だったといえる。

一方、さいたま地裁では殺人未遂罪に問われた被告に、検察側が懲役6年を求刑、判決は懲役4年6月だった。判決は被害者が犯行のきっかけを作った面があることや、被告の自首など、弁護側が強調した「被告に有利な事情」に目配りしており、別の刑事裁判官は、「この事件をプロの裁判官だけでやれば、懲役5年を下回ることはなかったのでは」との見方を示した。

裁判員が加わった場合の量刑については、「被害者の生の声に動かされて重くなる場合もあれば、被告の境遇に同情して軽くなる場合もある」(ベテラン裁判官)との予測があった。

被害者の遺族も参加した東京の裁判で、弁護側は「被害者が犯行のきっかけを作った」と主張したが、法廷ではこれに沿う証言をあまり引き出せなかった。最終弁論では、検察側の懲役16年の求刑に対し、「不当に重い」と言うのみだった。裁判員を務めた1人は後日、記者会見で検察側の求刑や被害者の代理人の意見が参考になったとする一方、「弁護人が具体的に何年が妥当と思っているのか知りたかった」と指摘した。

一方、第2号事件の弁護人は、この裁判員経験者の感想も参考にして主張を組み立てたという。罪状認否で被告が起訴事実を認めると、弁護人が「自首が成立しますので、執行猶予を求めます」と、すかさず付け加えた。公判の冒頭に弁護人が刑の重さまで口にするのは異例のことだった。

さらに最終弁論では、最高裁の量刑検索システムを利用した上で、過去の同種事件の量刑分布を示す棒グラフをモニターに映し出し、「懲役6年にグラフの山はあるが、執行猶予の部分にも山がある」と述べた。

一方、検察側も同じシステムを利用したが、「執行猶予がついているのは、被害者が被告の親族で、被告を許しているときだ」などとして、実刑を求めた。

量刑検索システムを土台に、検察官と弁護士が具体的な量刑の主張を展開した今回の第2号事件について、ある刑事裁判官は「データベースの検索結果という同じ客観データを使えば、かみ合った議論を引き出すことができ、非常に有効だ」と指摘している。

朝日新聞より「「一般市民には重い」「苦しい制度」 2例目裁判員会見

全国で2例目となる裁判員裁判を終え、記者会見に応じた裁判員たち。被告に懲役4年6カ月の判決を宣告し、緊張から解かれた表情で語る言葉には、一人の人生を考え続けた3日間の重みがにじみ出た。

さいたま地裁内で12日開かれた記者会見には、裁判員6人に加えて補充裁判員2人も参加した。

「大変疲れました」。感想を問われ、1人が口を開いた。被告人質問では積極的に質問を繰り返していた裁判員3番の男性だ。「やっぱり重いです。一般市民には非常に重い作業だった」「とても興味本位でやることではない」

今回の事件の焦点は、被告の刑の重さをどの程度にするかに絞られていた。まだ有罪か無罪かを真っ向から争う裁判員裁判は行われていない。

「(他の裁判員が)これから有罪か無罪かを決めることを考えると、非常に重くて苦しい制度だなと思う」。1番の男性は、こう語った。さらに、有権者から無作為に選んで審理に参加させる仕組みについて「苦労を強いている。回数を積み重ねることでみえた課題は、改善していただきたい」と要望した。

4番の男性は67歳。高齢者が参加する場合の負担の重さに触れた。「孫には『じいちゃん、大丈夫か』とさんざん聞かれた。もっと若いときにこういう体験をさせていただければよかったと思う」

今回の審理は3日間。出廷した証人は被害者1人だけだった。2番の男性は「精神的にきつかった」と話したうえで、「ふつうのけんかのように両方の話を聞いてから、もう一度聞き直すということができないのが、どうだったのかなと思った」と、短い審理期間の限界について語った。

他の裁判員や裁判官と話し合った内容は明かしてはならない決まりだ。4番の男性は「『守りたい』としかいえないと思いますが、まあ、どうでしょうかね。つらいところです」と実感を込めた。

今回の裁判員たちの服装は、赤や緑、水色などカラフルなシャツが目立った。実名を公表して記者会見に臨んだ6番の菊地健治さんは仕事柄、スーツを着ないという。「あまりに場違いなものではまずいと思ったので、出かける前に妻に一度、見てもらった。『こういう格好で来て』という目安があればいいかな」と話した。(山本亮介、市川美亜子)

■「守秘義務違反の恐れ」回答を制止

裁判員法は評議の内容についての守秘義務を裁判員経験者に課している。記者会見では、質問に答えようとした裁判員が、立ち会っている地裁の職員に違反するかどうかを確認し、職員が事前に回答を制止する場面があった。

裁判長はこの日の法廷で、被告に「十分やり直しがきく」と説諭した。記者の一人が「裁判員のみなさんの気持ちを代弁した言葉か」と尋ねると、裁判員の一人が「言っていいんですか」と前置きして、問い合わせるように職員へ視線を送った。職員が首を横に振るような身ぶりを見せると、裁判員は「控えさせてください」と話した。

この裁判員によると、会見前に地裁側から違反の恐れがあるときにはその場で指摘するか、後で報道機関側に発言の取り消しを求めると聞かされていたため、自ら目配せしたという。地裁側は会見後、事前に制止した理由を「(回答が)判決について裁判員が賛成したのか反対したのかの特定につながる可能性があるので、守秘義務に違反する恐れがあった」と説明した。

読売新聞と朝日新聞の記事を比べてみると、良くもここまで記事が別れるものだと感心してしまうほどだ。

読売新聞は二つの判決について、東京の裁判では重めに、埼玉の裁判では軽めの判決になった、ことを指摘して、その理由が弁護の違いであるとしている。

わたしはこの記事は大変に重要な事を書いていると思います。
「初めての裁判員裁判を終わって」に書いた通り

裁判員裁判の本質は市民感覚を判決に反映させることですから、判決のブレが大きくなって当然です。
裁判員裁判に反対あるいは批判する意見の中核は判決のブレを認めたくない、というところは大きいと思います。
しかしながら、それは「裁判官は神であれ」と言っているのに等しいわけで、それ自体があり得ない。

だと考えていますから、この点を実際の二つの判決が揃ったところで、記事を作るのは絶好の機会であったと言えます。

対して、朝日新聞の記事は「東京での最初の裁判員裁判について全く触れていない」
それ自体が異様です。

結局のところ、朝日新聞の姿勢は、裁判員裁判について反対ために

  1. 消極的報道
  2. ネガティブ面を主にした報道
  3. 全体像を評価せず、個々の裁判などで問題点を取り上げる

という方針のように見えます。
こんなことで良いのですかねぇ?

8月 13, 2009 at 09:22 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.07.31

債務整理のやっぱり

サンケイ新聞より「利息返還金で債務整理トラブル多発 手数料高い・広告と違う

年間1兆円規模で推移している消費者金融からの「利息返還金」をめぐり、債務整理を請け負った一部の弁護士や司法書士に、「手数料が高過ぎる」などといった苦情やトラブルが相次いでいる。

事態を重く見た日弁連が異例の弁護活動指針を打ち出したほか、消費者金融から「法曹の正義はどうした」という批判まで飛び出す事態になっている。

巨額市場に目がくらんだ一部の弁護士や司法書士が、ずさんな活動をしていることが原因のようだ。

大都市圏の電車やバスに最近、「債務整理の無料相談」「いますぐ整理」「借金苦を解決」といった弁護士や司法書士事務所の活字が目立つ。
地方テレビ局を中心に月1千本ものCMを流すところもあるという。

弁護士、司法書士が掘り起こしに躍起となっているのが、過去に高い利率(グレーゾーン金利)で消費者金融を利用したため、当時の利息の返還請求ができる人たちだ。

日本貸金業協会によると、平成19年度に業界から返還された利息金は、利用者の借入金の元本返済に充当されたのが約4200億円、現金で還元されたのが約5200億円の計9400億円。
20年以降は1兆円を超えているという。

消費者金融にとって経営の根幹を揺るがす事態になる一方、返還手続きを請け負う弁護士や司法書士にとり“返還金バブル”となっている。手数料20%と仮定すれば、2千億円もの市場ができた計算だ。

突如出現した大市場に、日本弁護士連合会(日弁連)、日本司法書士会連合会(日司連)ともに「統計はない」というものの、依頼者との間でトラブルが増えていることを認める。

  • 「面会もなく勝手に手続きを進める」
  • 「高い手数料を取られた」
  • 「広告に書いてある内容と違う」

といった声が多いという。

派手な広告で事務所の処理能力を超えた数の依頼を受け、事務が滞っているケースもあるようだ。債務整理で稼いだ2億4千万円もの所得を隠していた司法書士の存在も明らかになった。

6月には、中堅消費者金融のネオラインキャピタル(東京都港区)が司法書士団体などに、「弱者保護の実現のため業界全体で(安価な)手数料体系の統一を検討してほしい」と、法曹の正義感に訴えた要望書を提出。
「高利息などで批判されっぱなしだった消費者金融が“逆襲”に出た」と金融界で話題になった。

相次ぐ苦情に日弁連は23日、債務整理を受任する弁護士に向けて「指針」を打ち出した。弁護活動に関する指針ができるのは、極めて異例なことだ。

指針では、

  • 「債務処理の目的は債務者の経済的更生にある」と明記。
  • 「依頼者(債務者)と直接面談する」
  • 「『家を残したい』といった依頼の趣旨を尊重する」
  • 「再度の融資が難しくなるなど、リスクを告知する」

ことなどを求めた。

指針作成にかかわった宇都宮健児弁護士は「弁護士として当たり前のことが行われなくなっているケースがある」と話す。
日司連でも「広告表現に関するガイドラインの策定作業をしているほか、報酬や手数料についても全国的な調査に乗り出す」(担当者)という。

ただ、弁護士も司法書士も基本は個人業。「最後はそれぞれのモラルを信用するしかない」(日司連)という声が出ている。

田園都市線で東京地裁に行くときに、電車の中でも駅の構内でも「債務整理広告」が大変に目について、こんな事で大丈夫なのか?と思っていたところです。

地方テレビ局を中心に月1千本ものCMを流すところもあるという。

すごい大営業ですよね。
一言で言えば「それほど儲かる」なのですから、中には悪徳商法があっても不思議ではない。

ただ、弁護士も司法書士も基本は個人業。「最後はそれぞれのモラルを信用するしかない」(日司連)という声が出ている。

こういう声がある業界が、変革できないと業界自体が潰れてしまうのは、歴史の教えるところですね。

7月 31, 2009 at 10:22 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2009.07.18

日弁連主催消費者庁シンポジウム

昨日(2009年7月17日)は、日本弁護士連合会主催「シンポジウム動き出す消費者庁と消費者委員会 -消費者のための制度に育てよう-」に参加してきました。

2009年5月29日に消費者庁関連3法(「消費者庁及び消費者委員会設置法」、「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」及び「消費者安全法」)が成立しました。

これまでの産業育成の行政から消費者・生活者のための行政に大きく転換するため、その司令塔としての消費者庁と監視機関としての消費者委員会が今秋にも発足する見込みです。

そこで、消費者庁と消費者委員会とはどういう組織で、どんな権限があるのか、消費者安全法によって何ができるようになるのかなど制度の概要、地方消費者行政の支援策の現状と課題などの論点について、パネルディスカッション等によりご紹介する予定です。

多くの方のご参加をお待ちしています。

開会挨拶日弁連会長宮崎誠 
パネルディスカッション司会鈴木裕美・瀬戸和宏
 パネリスト内閣府大臣官房消費者庁・消費者委員会
設立準備室参事官
川口康裕
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
本部長代行
中村雅人
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
事務局長
石戸谷豊
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
副本部長
池本誠司
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
事務局次長
山本雄大
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
委員
二之宮義人
閉会挨拶日弁連副会長藤本明 

要するに、日弁連の消費者庁問題の担当者が総出でパネルディスカッションと称することをやったのですが、少なくとも「ディスカッション」は全くありませんでした。

司会者が、進行次第に書かれている問題点をパネリストを指名して、その人が「資料の何ページに説明があります」と読み上げるだけ、といったものでした。
同じ問題について、複数のパネリストが意見を言うこともないし、もちろん議論もない。
会場との質疑応答もない。

その一方で、消費市庁設置に関する問題点は色々あって、疑問も多々あるのですが、紀藤弁護士は次のように意見を述べています

今週金曜日に日弁連のシンポジウムがあります。

消費者庁の長官人事や消費者委員会の委員長人事を、前者を官僚人事、後者を消費者問題に詳しくない元検察官の住田裕子弁護士とするなど、最低の人事が政府から発表されています。

後者の人事も、消費者問題に精通していないという問題だけではなく、実質民間からの登用ではなく、元検察官からの登用という「天下り」類似のもので、二重に問題です。

これでは官僚の焼けぶとりという民主党や国民の批判に答えられません。、

消費者庁設置までの自民党の動きは、本当に感謝に堪えないものがありましたが、今回、このような人事が発表されること自体が、自民党政権(あるいは旧路線の議員)の限界かもしれません。あるいは、いつから変節したのでしょうか?

消費者庁設置にからみ、民主党は、一貫して官僚政治打破を叫んでしました。消費者庁も消費者委員会も、消費者問題に長年携わってきた民間人からの登用を一貫して主張してきたのは、民主党でした。当初は野田大臣も同意見でした。

正念場です。いろいろ言いたいこともあるので、紀藤も出席します。

参加無料です。皆さんもぜひご参加いだだき、どしどし意見を出していただければ幸いです。

配られた資料はなかなかのもので、これだけでも十分価値はあるのですが、その最後に人事の名簿があってその中に、住田裕子という名前を見つけて「はあ~?」と言ってしまいました。

参加者は200人は越えていたと思いますが、会場からの質問の時間はなく、パネリストの議論もなく、これでは「ディスカッションではないだろ」と思っていたら、壇上ではなくフロアーに居た(フロアーで参加していた)宇都宮健児弁護士が指名されて発言しましたが、けっこう厳しく現状を非難していて、結果として会場からは多くの拍手を受けていました。

どんな事情があるのか分かりませんが、日弁連主催のガス抜きといった印象で、何か非常にうさんくさい感じを受けました。

法律関係のシンポジウムはいつも興味深い説明があるのですが、今回はまったく面白くないもので、こんなのは初めてです。

7月 18, 2009 at 12:46 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.07.15

無責任な、内閣と国会

朝日新聞より「国会、事実上閉幕 17法案は廃案へ

首相問責決議の可決を受け、野党が今後、衆参両院で審議に応じないため、国会は28日の会期末を待たずに事実上閉幕した。

北朝鮮制裁のための貨物検査特別措置法案や国家公務員の幹部人事を一元化するための公務員制度改革関連法案など、政府提出の17法案(前国会からの継続案件も含む)が廃案になることが確実になった。

問責決議は賛成132票、反対106票で可決された。
民主、共産、社民の野党各党のほか、無所属の田中直紀氏ら3人が賛成した。

内閣不信任決議案は賛成139票、反対333票で否決された。

貨物検査特措法案は14日、野党欠席のまま、衆院海賊テロ特別委員会と衆院本会議でそれぞれ可決され、参院に送られたが、21日にも衆院が解散されると廃案となる。

審議入りが6月下旬にずれ込んだ公務員制度改革関連法案は、衆院で本格審議に入らないまま廃案となる。

日雇い派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案や、原則1割の自己負担を見直す障害者自立支援法改正案など、国民生活にかかわる法案のいくつかも廃案になる。

政府提出法案だけではなく、与党と民主党との間で修正協議が進んでいた児童買春ポルノ禁止法改正案などの議員立法も廃案になる。

ただ、政府が今国会に提出した法案の成立数は69本中62本で、成立率は89.9%。
衆院解散を控え、野党が修正協議に応じるなど協力姿勢を示したことから、「ねじれ国会」以前の水準(90%台)にほぼ回復した。

■廃案となる政府提出17法案

  1. 組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪創設法案)
  2. 被用者年金一元化法案
  3. 地方公務員法地方独立行政法人法改正案
  4. 独立行政法人統計センター法改正案
  5. 行政不服審査法案
  6. 行政不服審査法施行関係法整備法案
  7. 行政手続法改正案
  8. 独立行政法人通則法改正案
  9. 独立行政法人通則法施行関係法整備法案
  10. 労働者派遣法改正案
  11. 独立行政法人気象研究所法案
  12. 成田国際空港株式会社法改正案
  13. 確定拠出年金法改正案
  14. 公務員制度改革関連法案
  15. 障害者自立支援法改正案
  16. 小規模企業共済法改正案
  17. 貨物検査特別措置法案

分かりにくい記事ですが、政府提出の17法案が廃案になりそうだ、ということです。
だから、議員立法法案である児童ポルノ児童買春禁止法改正案は17法案とはべつに廃案になる法律案だとなります。

青字にした組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪創設法案)、労働者派遣法改正案 、貨物検査特別措置法案には注目していたのですが、このままだと廃案になりますね。

読売新聞社説、サンケイ新聞社説が指摘しているように、「民主党の衆参両院で全面的な審議拒否」は強く非難されるべきだと考えます。

一方では、時間切れというルールがあるわけですが、そのルールが有効であるためには、前提として「期限一杯まで通常通りに審議の場で争う」があるはずです。

これは自動車のラリー選手権などでも「時間調整をしやがって」と非難されるくらいの行為で、麻生首相が気に入らないというのなら、三権独立の観点からもドンドン国会審議を進めるのが公開議員の責務でありましょう。

全面審議拒否なんてバカなことを言い出すのは、
国会議員を辞職してから言え!

読売新聞社説より「問責決議可決 民主党は貨物法案を葬るのか

野党4党が衆院に提出した内閣不信任決議案は否決されたものの、麻生首相問責決議案は参院で可決された。

野党は、自らが問責した首相の下では国会審議に応じられないとして、衆参両院で全面的な審議拒否に入った。

このままの状況が続けば、21日にも予定される衆院解散で、北朝鮮貨物検査特別措置法案など政府提出の17法案は廃案になる。児童ポルノ禁止法改正案のように、与党と民主党が法案修正で合意目前だった議員立法も同様だ。

民主党は、貨物検査法案をこのまま廃案にしてよいと思っているのだろうか。法案が成立しないと、北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査や禁輸品の押収を、海上保安庁や税関が実施できない状態が続くことになる。

これらの措置は、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議に基づくものだ。

民主党の鳩山代表は記者会見で、法案の早期成立を是認する意向を示していた。民主党が掲げる国連中心主義にも合致する。法案に賛成するのが筋だろう。

民主党内には、法案が海上自衛隊の派遣も可能にしているため、旧社会党系議員を中心に、消極的な意見がある。法案への賛成は、衆院選を前にして、社民党との選挙協力に悪影響が出ることを懸念したとの見方もある。

国内法の不備を放置するツケが近い将来、民主党に回ってこないとも限らない。

衆院選から数週間後の9月後半にニューヨークで国連総会、ピッツバーグで世界20か国・地域(G20)金融サミットが開かれる。

日本の首相も出席し、その場でオバマ大統領との日米首脳会談や胡錦濤国家主席との日中首脳会談が行われる可能性も高い。

中国はじめ各国の首脳に対し、制裁決議の厳格な履行を促し、北朝鮮に核廃棄を迫る国際包囲網の強化を訴える絶好の機会だ。

衆院選で民主党が勝利し、政権交代が実現すれば、「鳩山首相」の外交デビューとなる。その時、貨物検査法案が成立していなければ、「鳩山首相」の訴えは、まったく迫力を欠くものとなろう。民主党はそれでもよいのか。

審議拒否の理由について、与党は、鳩山代表の個人献金偽装問題を国会で追及されたくないからだと批判している。

与党の批判の当否はともかく、民主党はやはり、北朝鮮貨物検査法案の今国会での成立に協力すべきであろう。
(2009年7月15日01時18分 読売新聞)

サンケイ新聞社説より「貨物検査法案 党首会談で成立の合意を

内閣不信任決議案が衆院で否決された一方、首相問責決議案は参院で可決された。民主党など野党は今後の国会審議に応じないとしている。

このため、北朝鮮関連船舶の貨物検査を可能にするための特別措置法案は、14日に衆院を通過したものの参院の審議に入れず、今国会成立は絶望視されている。

この法案は、国連安保理の対北制裁決議に基づいて禁輸物資の輸送を阻止することを目的にしており、成立は日本の国益に直結している。それを与野党の駆け引きの道具にして法整備ができないのでは、日本の政治の劣化を世界に発信しているようなものだ。

責任の多くは民主党にある。政権担当能力の欠如を露呈していることの自覚はないのか。

相次ぐ核実験や弾道ミサイル発射を強行する北朝鮮の脅威を、日本は直接受けている当事者だ。国連安保理に対し、厳しい制裁措置を外交ルートで求めてきた成果として、対北制裁決議が採択されたことを忘れてはならない。厳しい制裁を求めながら、自国の貨物検査の法体系が整っていなかった問題も大きいが、その穴をふさぐのは党派を超えた義務だ。

政府・与党としては、民主党の賛成を得やすいよう、貨物検査を行う主体を自衛隊ではなく海上保安庁とする内容にした。民主党の鳩山由紀夫代表も、当初は法整備に同意する考えを示していた。

しかし、東京都議選の前後から内閣不信任決議案などの提出を優先させる方針に転じ、衆院審議でも、政府案のままでは賛成しない姿勢を示しはじめた。国連中心の外交を掲げながら、安保理決議を尊重していない。

鳩山代表は10日の日本記者クラブでの記者会見で、衆院解散から政権交代までの移行期間の危機管理に対応するため、与野党連絡協議会の設置を提起した。そう言いながら緊急性の高い重要法案を放置しているようでは「民主党政権」に外交・安保政策を安心して任せられないことになる。

政府・与党も法案提出に手間取った。14日の解散を模索していた麻生首相は法案を成立させようとしていたのだろうか。時間切れ廃案を民主党のせいだと批判するだけでは、指導者の責務を果たしたことにならない。衆院解散を控えて異例の措置となるが、鳩山代表との間で法案の緊急処理について協議すべきだ。

毎日新聞より「児童ポルノ:禁止法改正案は廃案の見通し 衆院解散で

深刻化する児童ポルノ被害を食い止めようと、画像を所持することへの規制強化に向け国会審議が続いていた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案は、衆院が21日にも解散されることで、廃案の見通しとなった。

同法をめぐっては、18歳未満を写した性的な画像を個人で見るためだけに所有する「単純所持」を禁じる自民・公明両党と、「有償または反復して取得」した場合に処罰を限るべきだとする民主党がそれぞれ改正案を提出、先月26日に衆院法務委員会で審議入りした。3党は今国会での成立を目指して修正協議を重ね、「単純所持」を違法とすることで合意したが、処罰対象をどこまで広げるかなどで折り合いがついていない。

ただし、与党、民主党双方の委員らには、会期中に最終合意までこぎ着けたいとの意向もあり、解散ぎりぎりまで協議を続ける可能性もある。【丹野恒一】

7月 15, 2009 at 10:37 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.06.30

国際自動車のタクシーが・・・・・

読売新聞より「国際自動車、事業許可取り消しへ…大手タクシーで初

大手タクシー会社「国際自動車」(東京都港区)が、国土交通省関東運輸局の監査で運転手の違法な超過勤務を指摘され、来月16日に聴聞を受けることがわかった。

聴聞の結果、違反事実が確定した場合、一般乗用旅客自動車運送事業者としての許可が取り消される見通し。大手タクシー会社の事業許可が取り消されれば初めてとなる。

国交省などによると、今年2月に同社赤羽営業所に監査を行い、タクシー運転手の勤務実態を調べたところ、違法な超過勤務が見つかったという。

道路運送法に基づく処分基準では、3年間で一定の累積違反に達すると事業許可の取り消し処分を受けるが、監査の結果、同社の違反点数が規定の水準に達したため、国交省は聴聞を行ったうえで処分する方針を固めた。

同省によると、同社は現在、タクシー321台、ハイヤー589台を所有しており、事業許可が取り消されると、営業が出来なくなる。

国際自動車役員室は「聴聞への対応や、事業停止処分を受けた場合の対応については、現在社内で検討中」としている。

この記事だと、事業許可取消確定のよう感じですが、日経新聞の記事はちょっと違う感じになっています。「タクシー大手、国際自動車の免許取り消し検討 関東運輸局

国土交通省関東運輸局が、タクシー大手の国際自動車(東京・港)の事業者免許取り消しを検討していることが30日、同局への取材で分かった。

過去3年間の監査で、運転手の拘束時間や、乗務距離などの累積違反点数が道路運送法が定める取り消し基準の80点に達したためという。

来月16日に同社の言い分を聞く「聴聞」を実施した上で、8月中にも処分を決定。

一度免許取り消しになれば、2年間再申請できないが、聴聞の結果によって「事業停止」など処分が軽くなる可能性もあるという。 (16:00)

タクシー321台、ハイヤー589台を所有ということは、もし所有台数の倍のドライバーが居るのなら、1820人の職が無くなるとも言えるわけで、少なめに見積もっても1000人以上ですよね。

会社の失態による行政処分でいきなり仕事が無くなるというのは、大問題ですね。

6月 30, 2009 at 10:45 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2009.06.17

出口戦略が必要なのは金融以外ではないのか?

サンケイ新聞より「景気下げ止まりで、早くも「出口戦略」が浮上

景気の下げ止まりの動きが広がる中、政府・日銀が百年に一度の経済危機に対応して発動した超異例の緊急措置をどのタイミングで正常化するのかという「出口戦略」が課題に浮上している。

政府の大規模財政出動や日銀による過剰な金融緩和といった強力なカンフル剤を投与し続けると、財政悪化で長期金利が上昇したり、銀行や企業に甘えの意識が広がるなどの副作用が起きるためだ。

ただ、正常化のタイミングや方法を誤ると、せっかくの景気回復の芽を摘んでしまう恐れもある。

■長期金利上昇

14日にイタリア南部のレッチェで開かれた主要8カ国(G8)財務相会合の共同声明は、「出口戦略」を重要課題に位置付けた。特に懸念されているのが、各国の積極的な財政出動に伴う長期金利の上昇だ。

すでにその兆候は出ている。
財政出動で大量の国債が発行されることを嫌気し、債券市場で国債が売られ、金利が上昇。
日本では先月下旬に、年初の1・2%台から約半年ぶりに1・5%台を付け、その後も高止まり傾向にある。

景気の回復過程で過度に金利が上昇すると、企業や家計の利払い負担が増えるほか、設備投資や住宅投資の意欲も冷え、回復の足を引っ張る。

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相はG8後の会見で、「考える時期で、実行しようとする時期ではない」と、“出口”はまだ遠いとの考えを示した。

ただ、政府としては、経済対策で大盤振る舞いした分、「その後の財政再建の道筋をきちんと示す必要がある」(与謝野財務相)との思いも強い。

政府が16日の経済財政諮問会議に提示した「骨太の方針2009」の原案でも、「国際的な長期金利の上昇傾向が見られる」と懸念を表明。
「健全化への中長期的な取り組み姿勢を明確に示すことが不可欠」と強調した。

さらに、「安定財源の確保」の必要性を強調し、消費税率の引き上げを強くにじませた。

ただ、歳出削減や増税路線に対して与党内からは、「選挙が戦えない」との猛反発が起きており、歳出増大圧力は逆に強まるばかりだ。
衆院選で政権交代の可能性がある民主党も積極財政が色濃く、財政政策の正常化の前途は多難だ。

■モラルハザード

日銀の金融政策でも、企業の資金繰り支援のため、社債やCP(コマーシャルペーパー)を買い入れるという「極めて異例の措置」(白川方明総裁)が相次いで打ち出された。
発行先の企業が破綻(はたん)すれば、日銀が損失を負うことになり、中央銀行としての信認を失いかねない“禁じ手”だ。

さらに、銀行や企業が日銀の支援に甘え、経営のモラルハザードを招く恐れもある。

白川総裁は16日の会見で、出口について、「企業金融の動向、効果なども点検し、(買い入れ措置の期限である)9月末までの適切な時期に判断していく」と述べるにとどめた。

ただ、金融危機による市場の混乱が沈静化する中、CPの買い取りでは、応札額が購入予定額に満たない「札割れ」が続き、今月5日の入札はついに「ゼロ」となった。
社債も大手企業を中心に「発行ラッシュ」(同)となっており、自力で資金を調達できるようになってきた。

このため、水面下で解除のタイミングを模索し始めているもようだ。

日銀には出口戦略で苦い経験がある。平成12年8月に「ゼロ金利」の解除を強行したが、その後、景気が悪化し、政府から激しい批判を浴び、さらに異例の措置である「量的緩和」へと追い込まれた。

かつての経験を生かしスムーズな正常化を果たすためにも、入念な準備が必要になりそうだ。

金融や直接的には金利を適正水準にコントロールし財政を健全化することは政府・日銀にとっては非常に明確な目標ですが、本来の経済政策の目的は経済だけではなく、社会全体を将来とも健全に維持することです。

日本の現状は少子高齢化であり、人口減は免れないわけですから人口減によって経済規模は縮小するはずです。

ところが、政策は基本的に成長路線のままであって、特に公共投資では作ったけど使われない施設が沢山あったりします。
特に地方自治体で何かを企画するときに「誘致する」と良く言いますが、人口減・経済規模縮小の日本では誘致するとは誘致されたところが空き地になるのに等しい。
地方都市では、マンションが新しく建つと、その隣のマンションが空き家になる、といったことは十何年前から言われています。

現在、国も地方も政治がやっていることは「目の前に見えることの対策」だけであって、本来は政治や行政の最大の使命である民間企業ではできない長期的な対策は、以前の成長路線のままかあるいは「成長路線の一時停止」と言えるでしょう。

先に挙げた地方政治での「誘致」案件では、将来の人口減社会の現実の到来の時にどうするのか?と発案者に聞くと「その頃には我々は死んでいますよ」が返事だそうです。
もう、今が通り過ぎればよい、というレベルでのぶんどり合戦で、こんな将来像の国が信用されるわけがないです。

アメリカは、人口増加の国であり原理的に成長段階での金融資源の配分を自由にした方が効率が良い、ということで新自由主義に意味があったのでしょう。しかし、新自由主義は結局は新しくなくて旧来の自由主義と同じことになり、破たんしてケインズに戻らざるを得なかった。

日本は、何十年も一貫して少子高齢化社会であり、現実に人口減社会になれば経済は縮小するのが当たり前なのに、小泉・竹中に代表される日本の新自由主義者は「アメリカが世界標準」と称して、全く似合わない服を強引に日本に着せた、というべきでしょう。

少子高齢化社会から人口減社会になることは、何十年も前から言われていたことで現実に合うはずがない「改革」などに時間を使わなければ、今はもうちょっとマシだったのではないだろうか?

人口という資源不足のために、企業や学校・家庭といった各セクターが自分自身に必要なところを人に強く要求する、ようになってしまった。
その代表が派遣労働の大幅拡大であり、このまま行けば「解雇制限の撤廃」などになっていくでしょう。

政策が政策になっていない、と強く感じるのです。

6月 17, 2009 at 09:00 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.16

骨太の大転換とは言いがたいが

サンケイ新聞より「骨太2009 社会保障費抑制を弾力化へ

政府は15日、月内に決定する経済財政の指針「骨太の方針2009」に、社会保障分野の歳出抑制を緩和する事実上の弾力条項を盛り込むことで与党と調整に入った。

骨太09の素案では、社会保障費について「骨太06等を踏まえ、歳出改革を継続」と明記されている。
平成22年度予算では、社会保障費の自然増分を毎年2200億円削減する目標が残るため、与党から不満が出ていたが、経済情勢を踏まえて、社会保障関係の施策拡充への歳出を可能にする考えを盛り込む方向だ。

素案では予算編成をめぐり、「現下の経済状況への必要な対応等を行う」とし柔軟姿勢を示しているが、社会保障分野で弾力的な予算運用が可能になるように明確化する考えだ。
社会保障で必要な施策を手当てできることを明示し、与党の反発に配慮する。

一方、政府は骨太09に社会保障、経済、国際的貢献の3分野を「最重点項目」として加える方針だ。

最重点項目には予算を重点配分する。
職業訓練の支援強化や、少子化問題に対処する政府組織を拡充する方向を盛り込む。
雇用や年金、医師不足問題などへの不安が高まっていることを背景に、社会保障分野に力点を置く姿勢を鮮明にする。

また、低炭素社会への移行を促す研究開発の支援や、国際的なリーダーシップを発揮するためアジア各国への金融面での協力も重視する。政府は16日に骨太09の原案を経済財政諮問会議に提示、23日に最終決定する。

東京新聞より「大合併打ち切り答申へ 地方制度調査会が首相に

政府の第29次地方制度調査会(会長・中村邦夫パナソニック会長)は16日の総会で、国主導で1999年から推進してきた「平成の大合併」を来年3月末で打ち切ることを柱とする麻生太郎首相への答申案を審議する。同日中に答申を決定、提出する予定だ。

調査会の専門小委員会がまとめた答申素案では、市町村数がほぼ半減した市町村合併について、現行の市町村合併特例法の期限の来年3月末で「一区切りとすることが適当」として、国の財政支援などで誘導してきた合併推進方針の転換を提言している。

一方で「合併は行財政基盤の強化に今後も有効」として、特例法期限後も自主的な合併を支援する新たな特例法を制定すべきだとした。

また、人口1万人未満の市町村が全体の4分の1以上を占めることを踏まえ、小規模自治体の行政サービスを確保するため福祉や保健などの事務を都道府県が補完できる仕組みや、周辺市町村との広域連携など多様な選択肢を用意する必要性を指摘した。

このほか地方議会制度の見直しや、自治体の監査機能の強化を提言。地方自治法で定めている議員定数の上限撤廃や、複数の市町村で監査委員事務局を共同設置できる制度の検討などを求めた。
(共同)

この2本の記事は、微妙に小泉・竹中=新自由主義からの転換を図る意図があるように見えます。

医療費や社会保障費などが増加する理由は、少子高齢化社会の到来に原因があるわけですが、新自由主義論者は「アメリカではこうだ」と日本との比較を無視してコトを進めてきました。

いわば、医療費や社会保障費の削減こそが少子高齢化からの脱出に有効であり、経済が復興するとの論理です。
さすがにこれでは「絵に描いた餅」であって誰もが「そんなにうまく行くわけがない」と感じていても、与野党を通じて「改革こそが正義」であり、その改革とは「削減すれば良い」ですから対案の出しようがなかった。

今回の方針変更は「もうこれ以上の「改革」は無理」ということでもあるでしょう。
しかし、ではどういう社会像を描いているのか?となると、この2本の記事では分かりませんね。

特に「大合併打ち切り」は打ち切ってどうするんだ?であります。
そもそも自治体と成り立たない規模と内容(高齢化)の地域が出てくるわけです。

統計局のデータで生成17年(2005年)の自治体別の人口統計をみると

人口自治体数
1000人以下25
1000~200067
2000~300074
3000~400091
4000~5000104

となっています。

この規模では、すでに行政事務を行う人手を確保すること自体が難しいというべきで、実質的に自治体としては独立して運営は出来ないでしょう。

この段階まで行くと、いわば国の直接管理しかないわけで、これまた「大合併すればなんとかなる」という方針が無理であった、という証明です。

結局のところ、アメリカも含めて新自由主義が結局は弥縫策であったということであり、特に少子高齢化対策なんてものが緊急で何とかなるものではない、長期的な国家戦略として将来の国民が豊かに生活するための施策を明示せずに「改革すればOK」やってきたことがダメであった。という結論でしょう。

6月 16, 2009 at 09:24 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.13

鳩山辞任

朝日新聞より「英断か暴走か 「鳩の正義」どう見る 鳩山総務相辞任

英断か、それとも蛮行なのか。数々の発言で話題を集めてきた鳩山総務相が12日、日本郵政の西川善文社長の人事をめぐる対立で「歴史が私の正しさを証明してくれる」とまで言い切って辞任の道を選んだ。同情や共感を寄せる人がいる一方で、冷ややかな視線を送る人たちもいる。

「世の中、正しいことが通らない時があるんだなと、今はそういう思いです」

官邸で辞表にサインをしたばかりの鳩山氏は、記者団の取材に応じた3分余の間に、9度も「正しさ」「正義」と繰り返した。
「正しいことが通用しなかったら、潔く去るべきだ」。うっすらと涙を浮かべながらも、そのたびに語気を強めた。

東京都内で祖父・鳩山一郎元首相の墓参りをした後、ある病院を訪れた。
「娘の子どもが生まれたんだよ」と報道陣に明かし、「名前はマサヨシがいいかな。『正義』」。

「正義」にこだわった形での辞任。

かつて鳩山氏の秘書を務めていたジャーナリストの上杉隆さんは「『自分が正しい』というスイッチが入ると止まらない性格」が影響したと考える。
「今回の問題でも、一貫して正しいと思っているから、一切妥協はしなかった」

上杉さんによると、この日、鳩山氏は周囲に「西川氏と刺し違えるつもりはあったが、自分だけが辞めることになるとは夢にも思っていなかった」と打ち明けたという。
「麻生さんには裏切られた気がしているだろう」と心中を推し量った。

アルピニストの野口健さんは鳩山氏の数々の「問題発言」も「確信犯的にメッセージを発したものも多く、『よく言った』と思ったものもあった」と受け止める。

環境問題の勉強会で知り合い、政界入りを勧められたこともある。
「今回の発言と辞任も、自民党内では『空気が読めない』感じかもしれないが、一般には鳩山氏に共感する人が多いのでは」

今回、辞任劇の発端となったのは、「かんぽの宿」の売却問題と、東京中央郵便局の再開発計画だった。

「あのとき、大臣は泣いていた」。

鳩山氏が再開発に異議を唱えた東京中央郵便局の保存運動にかかわった芝浦工大教授の南一誠さんは、3月に現地を一緒に訪れたときの姿を思い出した。
日本郵政の経営陣に不信感を持つ南さんは、鳩山氏の手腕を評価する。「国民目線で純粋な気持ちを持った政治家。辞める思いは理解できるが、郵政が今後どうなるか心配だ」

かんぽの宿を地域で活用するため、オリックス不動産への一括売却の撤回を求めていた有馬温泉観光協会(神戸市)の當谷(とうたに)正幸会長は「日本郵政の経営責任が明らかにならないままでは、問題がうやむやになってしまう」と気をもむ。
鳥取県岩美町のかんぽの宿は、1万円で購入した不動産会社が6千万円で社会福祉法人に転売。その法人の関係者も「鳩山氏は転売問題の解明に努めてくれていたので、辞任は気の毒です」。

一方で、冷ややかな声も少なくない。郵政民営化を推進してきた猪瀬直樹・東京都副知事は、都庁で辞任のニュースを生中継で見ながら、「かんぽの宿問題で、ろくに検証しないまま、鳩山さんは言い過ぎた。なぜ今辞任なのか理解できない。西川社長と協力して問題を一つずつ片づけるしかなかったのに」と首をひねった。

安倍、福田の両内閣で法相を務めた時代に、その発言に振り回された経験を持つ法務省幹部らの視線も冷たい。
「主張が通るはずがないのに、なぜあそこまで意地を張ったのか。また、目立ちたがり屋のクセが出たのか」

世論を味方に付ける政治的な勘には、省内でも一定の評価があった。
「かんぽの宿問題で世論から喝采を浴び、今回も世の中がついてくる、と思ったのだろう」。
ある幹部はこう分析した。

ドンキホーテを思い浮かべるところです。
そもそも、西川社長の再任だけを妨げれば全てOKとは普通の人には理解できないことで、それが正義だと言われても「はあ?」であります。

しかし謎なのは「どうしてこんなことになったのか?」ですが、読売新聞にこんな記事が出ています。「首相、当初は「西川交代」…竹中・小泉コンビが封じ込め

麻生首相は当初、日本郵政の西川善文社長を交代させる意向だった。

今年2月、首相官邸の執務室。首相は鳩山邦夫総務相と会い、日本郵政の6月の株主総会で西川社長を含む取締役を一新するよう指示した。「ポスト西川」の候補として、NTTの和田紀夫会長、生田正治・元日本郵政公社総裁、西室泰三・東京証券取引所会長らの名を記したリストも手渡し、水面下の調整をゆだねた。

首相の意を受けた鳩山氏は5月に入り、日本郵政の取締役人事を決める指名委員会の一部委員に「首相は西川氏を代えるつもりだ」と伝え、「西川辞任」に向けた多数派工作を始めた。

しかし、直後から巻き返しにあう。

指名委員会は、委員長を務める牛尾治朗・ウシオ電機会長を始め、郵政民営化など、小泉元首相が進めた構造改革に積極的な財界人が名を連ねる。そうした委員を通じて鳩山氏の動きを察知したのは、構造改革の旗振り役だった竹中平蔵・元総務相だった。

竹中氏は小泉氏に相談した。小泉氏は2005年、竹中氏を通じて西川氏と知り合い、社長就任を要請した経緯がある。すぐに指名委の委員を「西川続投」で説得して回り、首相や鳩山氏の動きを封じ込めた。

結局、指名委は5月18日、西川氏を続投させる方針を決めた。
(2009年6月13日01時49分 読売新聞)

こっちの方がよほど大問題でしょう。

かんぽの宿問題は、結局のところ財産収奪とも言える話であって、これはこれで解明するべき事柄であるでしょう。

一方で、わたしが最近主張している「新自由主義は失敗」という見方からすると、竹中・小泉路線の再検証を必要となります。
そしてそれらの「問題」が結実したところが西川社長の再任問題であって、木を見て森を見ずという言葉に当てはめるのなら、実にこだわって土地を見なかった、とでも言うべきでしょうか?

いやしくも、政治家がやることは土地を整備することであって、個々の実の評価にこだわるべきではありませんでした。
その意味では鳩山氏(兄弟そろって)の視野の狭さには目まいがするほどです。

小泉・麻生・鳩山とこれほど識見のない政治家に政治を任せている現在の日本国民は不幸のどん底にある、とでも言うべきです。

6月 13, 2009 at 08:35 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2009.05.14

暗黒社会を作るつもりか?

神奈川新聞より「入管難民法改正案で「子どもの学習権奪われる」/神奈川 外国人支援者に不安の声

国会で審議中の入管難民法改正案が成立、施行されれば、「ビザがない外国人の子どもの学習権が奪われる」と外国人の支援団体などから心配する声が上がっている。

現行では市町村に外国人登録すれば、学齢期の子どもの家庭にもビザの有無にかかわらず就学通知が届いていた。
だが、改正法案の内容は外国人登録証を廃止し在留カードで国が一元管理するのが柱。

法務省は「改正法施行後は(在留カードのない子どもに)就学通知は出せなくなる」との見解を示している。

「(法改正で)子どもが通学できなくなっても仕方がない。帰国したら仕事がない。子どもに石を食べさせられないから」。県内に住むフィリピン人女性(35)は淡々と話した。

女性は、十七歳でタレントとして来日。日本人男性と結婚、離婚したが、在留資格が切れた後も日本で生活している。子どもは三歳から中学二年の四人。「強制送還されそうで怖かった」が、子どもを通学させるため外国人登録をした。

日本も締約国の国際人権A規約や国連・子どもの権利条約では、在留資格に関係なく学齢期のすべての子どもに教育を受けさせなければならない。
一九九一年一月の旧文部省通知を根拠に、これまで外国人登録をした子どもは学校に通うことができている。

だが、入管難民法が改正されたらビザのない子どもの就学はどうなるかー。
法務省入国管理局総務課は「就学通知を出すような積極的な行政サービスはできなくなる」とし、「改正後から施行まで三年間ある。その間に入管に出頭してもらい、個別状況を見て在留特別許可を出す場合もあり得る」と歯切れが悪い。

外国人の支援活動をする難波満弁護士は「法改正後、外国人に住民票ができることはいいこと」としながらも、「日本で暮らす多くのビザがない外国人をどうするのか、実態に即した制度をつくるべきだろう。
ビザがない子どもの教育機会が奪われないかも心配」と話す。

頭を抱えるのは、外国人の子どもとかかわる県内の学童保育の男性指導員。
「学校とつながることが子どもにとって力になる。つまはじきにしてぶらぶらさせるようなことになっては」と不安顔だ。

在日外国人教育生活相談センター「信愛塾」(同市南区)のスタッフも、滞在資格がない外国人の情報を把握する機関がなくなり、存在が”地下化”してしまうことを憂い、「法的にいない存在にされてしまう子どもは、例えば新型インフルエンザでワクチン投与が必要なときにどうすればいいのか」と指摘している。

◆入管難民法改正案原則3カ月を超えて滞在する外国人に国が「在留カード」を発行し、不法滞在への対処を厳格化する内容。
4月24日に国会で審議入りした。入国管理局によると、ことし1月1日現在の不法残留の外国人は約11万3千人。現行の外国人の情報管理は、入国や在留許可を国が担い、外国人登録を自治体が担当する。
この二元管理でビザがなくても登録できた。改正されれば、入国管理と登録を国が一手に担うことになる。

役人の建前論だけで考えたバカな方策、というべきでしょう。

新自由主義に代表される「改革」が妙に物事を単純化することがよいことだ、とやってきた結果があっちこっちの崩壊であり、余裕が無く将来に期待の持てない社会を作り出していると考えています。

実際に子供が居て、就学させなければ単なる社会不安要素にしかならないでしょう。
産業革命以前のイギリスのような社会にするのでしょうか?

結果が、「地下化」であり、「表社会と裏社会の分離」になってしまうと考えられるわけですが、それが単に外国人への対処の単純化のためだとすると、本末転倒というか単なる手続に社会を合わせろという話です。

社会は複雑であり、正義も悪も同時に存在するのもので、社会システムは基本的に複雑化するはずで、行政も行政自身の合理化は必須であっても、社会を行政によって単純化しようなどという考え方は天を畏れないものとして強く非難されるべきです。

5月 14, 2009 at 08:57 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (10) | トラックバック (0)

2009.04.29

消費者庁の設置

サンケイ新聞より「【イチから分かる】消費者庁誕生へ トラブル解決の「司令塔」

消費者行政を一元化する消費者庁設置関連法案は参院での審議が始まり、年内にも消費者庁が発足する見通しとなった。

「産業重視」とされた日本の行政にあって、消費者の視点に立った初めての行政機関となる。偽装表示、悪質商法、製品事故…トラブル解決の「司令塔」としての役割が期待される

日本の省庁は「殖産興業」を掲げた明治期以来、生産者側の目線で施策を展開してきた。
しかし近年、食品偽装、悪徳商法、欠陥商品といった消費者を巻き込む重大な問題が起きるたび、行政の対応は後手後手に回った。

一例が、昭和60~平成17年に21人が死亡したパロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故だ。
経済産業省内で都市ガスとプロパンガスなど所管する課が分かれていて情報が共有されず、積極的な対策が打てなかった。遺族からは「業者を守るために消費者をないがしろにした」という声も漏れた。

そうした反省から、消費者保護のため、各省庁にまたがる法律や権限を一元化する省庁が消費者庁だ。

所管する法律は29本。

  • 食品表示にかかわるJAS法
  • 悪質な訪問販売を取り締まる特定商取引法
  • 対マルチ商法の武器となる出資法
  • 不当表示などを規制する景品表示法

など生活に密着する法律がずらりと並ぶ。

内閣府を筆頭に、農林水産省、経済産業省などから約200人の職員が集まる見込みで、業者の不正などに対応できるよう警察OBらを非常勤職員として雇用する。

事案に対して対応が不十分な場合は、各省庁に改善を求める勧告をするほか、重大事案は直接業者に立ち入り調査する。「より悪質と判断した場合は捜査当局への刑事告発も辞さない」(内閣府)

窒息事故で平成7年以降17人の犠牲者を出している「こんにゃく入りゼリー」のように、規制する法令がない「すき間事案」についても、積極的に立ち入り調査などを行う。

消費者への直接のメリットもある。全国共通の電話番号が設置され、不満などを感じた消費者が掛けると、最寄りの消費生活センターに転送される。
窓口が一つになることで、「たらい回し」にされることもなくなる。

こうした一連の新しい消費者行政は、有識者の独立組織「消費者委員会」で監視する。

関係省庁との協議を進めていた内閣府は「縦割りだった消費者行政の大きな受け皿となる。これまでの視点と百八十度変わる省庁ができる意義は大きい」と自信をのぞかせている。

≪課題は… 被害者の救済 相談態勢の充実≫ 

課題も多く残されている。悪徳商法で業者が得た不当利益を没収し、被害者に還元する「救済制度」は導入が見送られ、法施行3年後をめどに検討することになった。
消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「業務停止や勧告も重要だが、お金を取り戻すことが消費者救済に直結する」と早期の法整備を訴える。

また、野田聖子消費者行政担当相が「インパクトのある船長を選びたい」と強調する長官人事も注目だ。
「これまでの霞が関にない役所なだけに行政運営の際、各省庁からの抵抗も予想される。能力のあるトップでないと動きが鈍くなる」(紀藤弁護士)

急務なのが相談態勢の充実だ。全国の消費生活センターは586カ所(20年4月現在)。都市部に偏在し、地方には相談員が1人だけという窓口も多い。

センター業務自体は地方自治体の管轄なだけに、首長の“やる気”が問われる。73の消費者団体で作る「消費者主役の新行政組織実現全国会議」の原早苗代表幹事は「消費者庁ができても、窓口が薄いのではどうしようもない」と拡充を呼びかけている。

この記事は、なかなか丁寧に分かりやすく書いてあると思います。

各種の事故でも、事故調査よりも刑事責任の追求を優先するのものだから、事故対策が進まないという指摘は何十年も前からありますが、航空機事故ですら刑事責任追及があるために事故原因そのものがウヤムヤになってしまう、のは今でも続いています。

刑事責任は元もと限定的に負わせるべきものであるけど、賠償に代表される民事責任はより幅広く対応できるようにするべきだし、将来の事故防止といった観点では社会的な責任を明らかにするといったことも重要です。

現在は刑事責任については社会を代表して国家が追求するわけですが、賠償など民事になると「民事不介入」として「ご自身でどうぞ」となってしまいます。
食品偽装などは一種の詐欺ですが、被害者が賠償を求めて裁判を起こすというのは、コストの面で実現不可能です。

結果として、民事的責任も社会的責任も負わないです済む場合が出てきます。
確かに市場経済で市場の評価は下がるでしょうが、社名を替える、ブランドを替えるなどといった事故原因に対策しない対応も出来るし、決してこれは少なくない。

ここらひっくるめて、「被害者救済」であろうし、何よりも「将来の被害防止」の観点で事故原因の解明にも範囲を広げて欲しいものです。

4月 29, 2009 at 11:18 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.03

消費者庁の夜明け前

読売新聞より「産地偽装知りながら公表せず、農水省が千葉県に対応要請

千葉県が県内業者の産地偽装を知りながら、日本農林規格(JAS)法に基づく改善指示をせず、公表もしなかったとして、農林水産省は3日、千葉県に対し、速やかに同法に基づく指示や公表を行うよう文書で要請した。

表示偽装を巡っては、同省と都道府県で業者への指示や公表などの対応に差があり、「不公平だ」という声があがったため、同省は1月、一律公表するようJAS法の運用指針を改定していた。指針改定後、同省が都道府県に対応を要請するのは初めて。

偽装があったのは県内の水産物業者で、今年1~2月に同省と県が合同で計3回調査に入り、業者は「中国産や韓国産の貝を国産と表示し、販売した」と認める文書に署名していた。

同省は県に対し、業者への改善指示を求めたが、県は3月23日に、改善指示よりも一段低い行政指導を行い、公表も見送った。

今回の要請は地方自治法に基づく助言にあたるが、強制力はない。

同県食の安心推進室の伊藤靖雄室長は「偽装をしていたという証拠がなかったので指導にとどめたが、今後の調査で改善指示をする可能性もある」と説明している。
(2009年4月3日21時40分 読売新聞)

今国会では消費者庁の設置に向けて、審議が進んでいます。
先日、紀藤正樹弁護士が衆議院の特別委員会で参考人として議員の質問に答えていました。その状況がビデオライブラリにあります。

わたしも以前は直感的には「消費者庁はあった方が良いだろう」といった程度の認識であったのですが、詳しく話を聞くそのような話では収まらないところに追い込まれているようなのです。

すでに欧米を中心にして「消費者大臣国際会議」というのが機能しているのだそうで、日本には消費者庁がないから、会議に参加できない情報も入ってこない、という状況になりつつあるとのことです。

これでは、貿易立国が成り立たないわけで、なんとしてでも消費者庁は必要だと、ということになって、どっちかというと生産第一の政府与党が旗を振って、野党がそれに応じているという図式で、消費者庁の設置に動いているということのようです。

急速に動き出したのは、福田首相の置き土産でありました。

漠然と消費者庁といったものをイメージしたのは、SFで読んだのが最初だろうと思いますが、具体的にイメージできたのは堺屋太一氏の短編小説に「役所の方向を逆にしたら」というテーマのものがあって、生産と消費、需要と供給といった組合せで見たときに、役所のやるべき事がどちらを向いても役所は成り立つといった趣旨の話を読んだときです。

例えば、工業製品について役所は作る側の立場に立とうが、消費する側の立場に立とうが、本質的な立ち位置は生産と消費の間にあることに変わりはない、あえて言えば「どちらに向いているのか?」ぐらいの違いしかない。

しかし、一旦事が起きるとどちらを向いているのか?は大きな問題になります。それが、今回の千葉県の対応に良く現れています。

偽装をしていたという証拠がなかったので指導にとどめた
これはそっくりそのまま「企業が偽装でないことを証明できないから差し止めた」と置き換えることが出来ます。

ではこれを、当事者同士で争えば良い、行政は関知しないとするとどういう事になるのか?

この場合、食材の原産地表示の偽装ですから、一般消費者向けであって、ここの消費者にとっては、損害額としては10円とか100円といったところになるでしょう。
これでは裁判を起こすことは出来ません。

消費者庁設置の考え方には、消費者行政として、ここの消費者に代わって訴訟を提起できる「父権訴訟」というのも想定されています。

紀藤弁護士が、参考人として強調していたことに「犯罪収益の没収」がありました。
これは、現状では詐欺で有罪になっても、被害金額を取り戻すための手数が大きすぎて、被害者が結果的に放棄してしまうから、懲役の期間にも隠しおおせれば「その方が割がよい」と犯罪を繰り返す、ということだそうです。

これは、犯罪以外でも行政処分が軽いから、法律違反を起こすといったことにも現れています。
例えは談合事件などですね。普通に考えると、談合がばれたら会社が潰れる、なればやりませんよ。

こんな事を考えてみると、たまたまとは言え、よくもまあここまで業界よりの消費者行政をやっているものだ、と記録しておこうという意味で書きました。

4月 3, 2009 at 11:08 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (6) | トラックバック (0)

P3Cをソマリア海賊対策のために、ジブチに派遣

朝日新聞より「P3C、ジブチに派遣へ ソマリア海賊対策

防衛省は3日、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策で、来月にもP3C哨戒機2機を派遣することを決めた。

P3Cはアフリカのジブチ共和国を拠点とする計画で、中曽根外相は同日午後、ジブチのユスフ外務・国際協力相と、現地での自衛隊員の法的立場を保証するための地位協定に署名する。

訓練などを除き、P3Cが実際の任務で海外に派遣されるのは初めて。防衛省は、整備などを担当する部隊を含めて100人前後の海自隊員をジブチに駐留させる予定だ。

署名に先立ち、浜田防衛相は同日午前、ユスフ氏と会談し、協力を要請した。

地位協定は、P3C派遣のために駐留する海自部隊のほか、補給のために寄港する護衛艦の乗組員などに適用される。

P3Cは広い海域で海賊を警戒・監視することができる。海賊の位置や針路など、P3Cのレーダーで得た情報を護衛艦や各国軍艦に伝えることを想定している。

これだと妙にあっさりしている記事ですが、NHKニュースには「海賊対策 ジブチと協力を確認」として動画ニュースがあります。

浜田防衛大臣はジブチのユスフ外相と会談し、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、海上自衛隊の護衛艦がジブチの港を利用することなどに謝意を示すとともに、引き続き協力を強化していくことを確認しました。

この中で浜田防衛大臣は、海賊対策に取り組む海上自衛隊の護衛艦が4日、ジブチ港に入港することについて「日本の護衛艦を受け入れてくれ、感謝したい」と述べました。
そのうえで浜田大臣は、近くより広い海域を監視する能力がある海上自衛隊のP3C哨戒機を派遣する意向を伝え、空港の利用などさらなる協力を要請しました。

これに対し、ジブチのユスフ外相は「日本の海賊対策はたいへん効果的であり、受け入れに万全を期したい。
日本のこれまでの経済支援に対し、こういう形でお返しができてうれしい」と述べ、海賊対策をめぐり、日本とジブチが引き続き協力を強化していくことを確認しました。

ソマリア沖の海賊対策をめぐっては、護衛艦2隻がすでに現場海域に到着し、先月30日から日本の海運会社が運航する貨物船を護衛するなど、任務を本格的に開始しています。

ジブチと哨戒予定のアデン湾はこんなところです。白い線が600海里(1100キロ)に相当します。P3Cが活動するのにちょうど良い範囲と言えますね。

Photo

朝雲ニュースより「どう取り組む 海賊対策<上>まずP3Cで哨戒 艦艇より負担少ない 米欧とも協力

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、海自部隊派遣の公算が強まってきた。しかし、現行法下の派遣では日本船籍以外の船舶は保護できないなど、大きな制約が課せられることになる。新法の整備を待てないとしたら、どのような対応がベターか。海賊問題に詳しい海洋政策研究財団政策研究グループの専門家に、海自部隊が派遣された場合の課題や問題点などについて聞いた。

アジアと欧州を結ぶ海上交通路の要衝に位置する“アフリカの角”ソマリア。長く続く内戦で無政府状態にある同国では、貧しい漁民は海賊行為に走り、近年は武力集団が組織的に大型船舶を襲撃して積荷を奪い、乗組員を人質にして身代金を取るなど、海の犯罪がエスカレートしている。

こうした事態に対し、NATO、EU(欧州連合)、インド、ロシアなどは現地に海軍艦艇を派遣して海賊の取り締まりに乗り出し、中国やイランなども次々と艦艇を派遣、ソマリア沖ではこれまでにない多国籍海軍による海賊掃討作戦が展開されている。

アデン湾では昨年、日本の関係船舶が襲われる事件も5件発生し、日本船主協会は政府に海自艦艇の即時派遣を求めるなど、国内外で日本部隊派遣の声が高まっている。

だが、海自が現地で警察行動を行うには新法の整備が必要で、現行法の「海上警備行動」で送り出した場合は日本船籍の船しか守ることができず、各国と協調した海賊取り締まりは難しい。

では、現段階で海自はなんら期待に応えることはできないのか。これについて海洋政策研究財団の主任研究員を務める海自OBの秋元一峰氏(元海将補)は、「まずP3C哨戒機による情報収集活動が効果的ではないか」と提言する。「空からパトロールするP3Cなら海賊と交戦する危険性は少なく、海警行動で今すぐにでも出せる。固定翼哨戒機を出している国は少ないため、ニーズは高い。海自P3Cが哨戒活動で得た情報を各国海軍に随時提供できるようなシステムを作れば、海自の活動を大きく世界にアピールできるだろう。ただ、P3Cは海賊船からの不意のロケット弾攻撃などに対して脆弱な面がある。これには注意が必要だ」と話す。

現在、アデン湾に固定翼哨戒機を飛ばしているのはフランスとスペインのみ。
これにアルカイダの武器密輸などを監視している米軍機が哨戒飛行しているだけで、海自が加わる余地は十分にある。
これら哨戒機はソマリアの隣、ジブチ共和国の仏・米軍基地から飛んでいる。アデン湾のシーレーンは東西約1000キロで、1日1回、P3Cが往復すれば、継続的に海賊船の動向を探ることが可能だ。

海自P3C部隊の拠点として想定できるのはジブチの米軍基地。ジブチは旧宗主国のフランスと関係が深く、1977年の独立後、現在も仏軍が駐留。
01年の米国同時多発テロ以降は米軍も駐留し、首都ジブチ市の国際空港に近いキャンプ・ルモニエに部隊を配置している。日本はフランスに次ぐ主要援助国としてジブチとの関係も深い。

このためジブチ政府と米、仏両国の協力が得られれば海自P3Cをジブチの米軍基地に展開できる可能性は大きい。ルモニエ基地は航空機の整備・補給施設はもちろん、駐留隊員の生活設備なども整っている。

P3C部隊を派遣する場合の規模は、空自がクウェートに展開した際の派遣規模が参考となる。空自はクウェートのアリ・アルサレム空軍基地にC130H輸送機3機と人員約200人を展開させ、クウェート軍の施設を借り受けて約5年間にわたりイラクへの輸送任務を続けた。同様にジブチの米軍施設が利用できれば、そこを拠点に哨戒任務を行うことができる。

P3C1機を毎日飛ばすと、予備機を入れ3機が必要となる。ただし飛行中に海賊船団を発見し、これを継続して追尾するにはこの機数では足りない。P3Cの航続時間は約10時間で、連続して追跡するには常時、交代機をスタンバイさせておくことが必要になる。このため、最低でも4機が必要となろう。

P3Cを4機派遣する場合の人員は、司令部要員、搭乗員、整備・補給要員、後方支援要員などを含めて約200人程度。艦艇なら1隻で200人、2隻だと500人近くになるため、インド洋補給支援などの任務で艦艇・人員の不足に悩む海自にとっては航空部隊の方が負担は小さい。

P3Cを運用するには、飛行中のアクシデントも考慮しておかねばならないため、ジブチのほか、アデン湾沿いのイエメンやオマーンなど沿岸国の飛行場も緊急時に着陸できるようにしておくことが必要になる。

海自P3C部隊はこれまで海外の平和維持活動に参加した経験はないが、米本土やオーストラリアなどには頻繁に展開して訓練を実施しており、隊員は海外派遣には慣れている。しっかりした飛行場設備と本国からの後方支援が得られれば、P3C運用に大きな支障はないとみられている。

一方、海自艦艇がソマリア沖に派遣された場合も、仏軍が管理するジブチの港湾施設を利用することになりそうだ。ジブチ港はNATOやEU艦艇の補給場所ともなっており、ここに拠点を置けば各国海軍との情報交換にも都合がいい。

ただし、ジブチに日本大使館はなく、今のところ現地で外務省の直接的な支援は得られない。海自部隊が同国に展開する場合は、日本政府の何らかの外交的な支援拠点を現地に設けることが必要だ。

この記事に出てくる、ジブチの米軍基地とは Google Earth で見ることが出来るジブチ国際空港を併用している基地を指すのでしょう。
この基地には、P3C、C130がはっきりと見えますが、かなり狭いです。
そもそも空港としても小さい。滑走路は3000メートルが1本ですね。
ほぼ厚木基地程度の広さのようですが、そこに国際空港があるのですから、やはり相当狭いと言うべきでしょう。

4月 3, 2009 at 04:45 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2009.02.16

続・ソマリアにP3Cを派遣するべし

サンケイ新聞より「護衛艦2隻がセットで護送、4日に1度で護送漏れも ソマリア海賊対策

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、防衛省が検討している海上自衛隊の活動概要が15日、明らかになった。

商船の護送方法は、日本から派遣する護衛艦2隻が商船を前方と後方から護送し、護衛艦搭載のSH60哨戒ヘリ1機が上空から周辺海域の監視にあたる。
防衛省は、全長約900キロのアデン湾の航行に片道2日かかると試算しており、商船の護送は最多でも4日に1回のペースに限定されることになる。

防衛省は、自衛隊法82条の海上警備行動に基づき、3月上旬に海自第4護衛隊群(呉基地)所属の護衛艦「さざなみ」(4650トン)、「さみだれ」(4550トン)の2隻を派遣する方針だ。
2隻は格納庫を使用すれば哨戒ヘリ各2機を搭載可能だが、海自特殊部隊「特別警備隊」が使う特殊ボートの収容で格納庫の活用が不可能なため、各1機の搭載にとどめる。

海警行動では武器使用が正当防衛、緊急避難に限定される。このため、当面の派遣では海賊船が商船団に近づく前に発見し、進路を変えるなどの回避行動をいかに早く取るかが焦点となる。

護衛艦の水上レーダーの監視範囲は十数キロにすぎず、「飛行高度によっては300キロ先まで監視が可能」(海自筋)とされるSH60哨戒ヘリが重要な役割を担うことになる。

哨戒ヘリには、7・62ミリ機関銃を積み込む。海賊船が停船命令などに応じない場合、船団からできるだけ離れた海域で警告射撃などにより接近をくい止める任務も担う予定だ。

防衛省幹部は、哨戒ヘリについて「故障した場合や他国艦船への緊急通報に備え、バックアップを含め2機が必要」としており、護衛艦2隻をセットで運用する判断を固めている。

アデン湾を通航する日本関係船舶は1日6隻程度だが、2隻セットによる護送だと4日に1回程度の護送しかできず、「護送を受けられない商船がかなり出てくる」(自民党議員)との危(き)惧(ぐ)が出ている。
また、防衛省は護衛艦の燃料補給のため、2往復ごとにジブチに寄港させる必要があるとみており、給油による任務中断を含めると護送は1週間に1回ほどのペースに落ちる可能性もある。

ただ、「海賊船の警戒監視をP3C哨戒機に任せれば護衛艦1隻での護送も可能」(海自筋)とされるため、防衛省は護衛艦派遣の数カ月後になるとみられるP3Cの派遣後、護送方法に関する運用の見直しを図る考えだ。

誰が考えても当たり前のことで、なるべく早くP3Cの派遣を実現するしか手がないでしょう。
単なる国際的なシンボルとして「軍艦を派遣しました」という事にするのなら、韓国や中国のように大々的に宣伝しつつ「とりあえず送り出す」という選択でよいと考えますが、こんなに時間を掛けてしまっては「効果あり」とされる方法でないと、意味がないでしょう。

さらに、一過性ではなくて継続的に安全確保に結びつけるのにはどうするか?という難しい問題も出てきます。
どうも、政府のセンスが悪いところが現れている、としか思えません。

2月 16, 2009 at 09:02 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.29

ソマリアにP3Cを派遣するべし

東京新聞より「ソマリアへP3Cも派遣検討 特殊部隊は警告射撃まで

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策について、浜田靖一防衛相から28日、準備指示を受けた海上自衛隊の検討状況が判明した。アデン湾沿岸のジブチに拠点を設け、護衛艦2隻を派遣、P3C哨戒機3機の派遣も検討する。

護衛艦に乗り込む特殊部隊「特別警備隊」は警告射撃は行うが、乗っ取られた船舶の解放は日本政府による交渉に委ねる方針だ。

派遣根拠の海上警備行動で守ることのできる日本関係のうち、アデン湾を航行する船舶は年間約2千隻。2隻の護衛艦がエスコート方式で護衛する。海賊が出没するアデン湾を含む東西に長い約1200キロメートルの航路通過に一日半かかり、警護対象は10隻前後の大船団になる見通し。

船団を2列にすれば先頭から最後尾まで見通せるが、海賊が利用する高速ボートなど小型の船舶は肉眼では見えにくい。護衛艦の水上レーダーが海賊監視の重要な目となる。護衛艦搭載の対潜ヘリコプターによる定期的な監視も実施する。

特別警備隊は護衛艦に乗り込み、高速ボートやヘリで海賊船に近づき、警告した後、水面への警告射撃と船体射撃を行うことまでは想定している。

だが、乗っ取られた船舶に対する武器使用は(1)人質の船員が犠牲になる可能性がある(2)過剰防衛になるおそれがある(3)海賊を逮捕しても身柄の取り扱いが困難-などの理由から、日本政府に交渉を任せる方針でいる。

P3C哨戒機の活用は、防衛省が「護衛艦派遣より現実的」として以前から検討していた。
既に米、独、仏、スペインが哨戒機を派遣している。基地を提供するジブチ政府と地位協定を締結する必要があり、護衛艦派遣より遅れる可能性がある。
派遣は乗員、整備員、後方支援要員など約200人を見込んでいる。

自衛艦に警備隊員を乗せて・・・・というのは、格好はよいかもしれないけど、効果がないでしょう。

P3Cで常時哨戒する方がよほど効果的ではないかと思います。
それには3機では足りないでしょう。さらには、長期的には海上保安庁の管轄範囲になるのではないか思うので、海上保安庁機も出す、というのは出来ないものでしょうかねぇ?

1月 29, 2009 at 11:59 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.01.06

行政関係のニュース

朝日新聞より「消費者情報ネット、設置進まず 昨春時点で26%」
読売新聞より「被害者両親、公判参加へ」

一応行政上の動きについてのニュースです。

PIO―NET(パイオネット)

てっきり「ピオネット」だと思っていました。
だいぶ前の事になりますが、消費者センターをかなり減らしたことがあります。
その時も、現在も「人手不足」なんですよね。消費者庁作り情報一元化をするのは結構なことですが、以前から「人手が足りないぞ」と言われていました。
それが露わになったと言うことでしょう。

09年度に消費者庁がスタートしても半分ぐらいが情報共有化出来るということでしょうか?
最近では、大規模消費者被害は都市部よりも田舎で起こりがちなんですよね。
それに根本的な原因が「人手不足」では、予算を付けて頭数を合わせてもうまく動かない可能性もありますね。

被害者参加制度

わたしは、この制度には反対なのです。

今回、神奈川県内初の被害者参加裁判だそうですが、そもそもこういう報道になるところから問題であるという指摘がありました。
どういうメリットがあるのだか分かりません。

朝日新聞より 消費者情報ネット、設置進まず 昨春時点で26%

消費者被害の情報を共有して対策に生かすため、各地の消費生活センターなどをオンラインで結ぶ「PIO―NET(パイオネット)」の設置が遅れている。

センターなどを通じて消費生活相談事業を行う1276市区町村のうち、昨春時点で26%にとどまることが全国消費者団体連絡会の調査でわかった。

政府は09年度に新設予定の消費者庁の目的に「情報の一元的集約と調査・分析」を掲げる。

パイオネットはその柱。消費生活センターや、センターを持てずに役所で相談を行う自治体などと同庁を結ぶが、整備の遅れで情報一元化の前提が崩れかねない。

08年夏、都道府県を通じて4月時点の市区町村の状況を聞いた。設置は335市区町村。小規模町村など相談事業をしていない分を含む1812市区町村全体(当時)でみると、18%にしかならない。

政府は市区町村に相談事業を促すとともに、できるだけ多くでパイオネットを設置してもらいたい考え。
09年度予算を前倒しして08年度1次、2次補正予算に約14億円を計上し、希望する500市区町村に置く計画だ。
だが、その通り進んでも来春で835市区町村にとどまる。

しかも計画に及ばない可能性が高い。
国は端末代や回線整備費は負担するが、データの入力や活用には相談員が必要。
その費用は市区町村などが負担する。
全国消費生活相談員協会は「多くの自治体では入力・検索要員を雇う予算がないのでは」とみる。

政府は整備の遅れを認め、「週4日以上消費者相談をしている」という設置条件を最近緩和。
今後3年以内に週4日以上相談日を開く予定があるなら認めることにした。
(斎藤智子)

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読売新聞より 被害者両親、公判参加へ

自動車運転過失傷害 県内初、地裁小田原支部で

昨年12月から始まった刑事裁判への被害者参加制度に基づき、横浜地裁小田原支部は、2007年10月に二宮町で少年2人に重傷を負わせたとして、自動車運転過失傷害罪に問われた同町のタクシー運転手(61)の公判で、少年1人の両親の参加を認める決定をした。
決定は昨年12月26日付。最高裁によると、同制度の適用は県内では初めて。初公判は2月5日に開かれる。

少年側の弁護士らによると、タクシー運転手は07年10月21日夕、軽トラックを運転して同町二宮の県道交差点を右折する際、安全確認を怠って、2人乗りのバイクと衝突。
運転していた同町の無職少年(19)と同乗の少年(19)に重傷を負わせたとして、昨年12月11日に在宅起訴された。

審理に加わるのは、運転していた少年の両親。
少年は現在も意識不明の状態という。母親は「今までのように、被害者が心境を読み上げるだけでは、悲しみは伝わらない。法廷で被害者が直接質問することで、被告が深く反省し、交通事故の歯止めにもつながると思う」と話した。

同制度は、殺人、傷害、自動車運転過失致死傷罪などが対象で、昨年12月1日以降に起訴された事件から適用される。
公判に参加した被害者やその家族は、被告への質問だけでなく、検察側の求刑に対して意見を述べることもできる。
(2009年1月6日 読売新聞)

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1月 6, 2009 at 11:38 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.12.25

海上自衛隊をめぐるニュース

「ソマリア沖の海賊対策」

海上警備行動を発令して、護衛艦を派遣する方針を決めた。というのはちょっと驚きです。
記事中にもあるように、海賊対策の実が上がるのか?という問題であって、単に護衛艦を送れば何とかなるとは言えません。

わたしから見ますと、中国・韓国も軍艦を派遣するとしていますが、海賊に軍艦を派遣して何とかなるものなのでしょうか?ということもあります。

さらに本質的には警察活動ですから、コーストガード(海上保安庁)の方が得意な分野でしょう。

確かに現在の、国会が「政治抗争最優先」としている状況では、国会決議ですら得ることも難しいでしょう。実施を最優先とするために、このようなことになったのは分かりますが、実際面としてはやはり「護衛艦を派遣して何になるのでしょうか?」です。

効果としては、P3Cの派遣の方が効き目はあるかもしれませんが、結局は「派遣した」という名目だけでもあれば良いというのが、政府の方針なのでしょう。

「海自の不祥事対策」

ソマリア沖派遣が決まるという一方で、海自の不祥事対策を「抜本的改革委員会」が発表したという記事ですが、人員不足は世界中の海軍で問題になっていることでもあり、充足できるとも言いがたいでしょう。

経済政策としては、現在のような不況期には軍が雇用の受け皿になるのは当たり前のことなのですが、そういう機動的な対応も簡単ではないでしょう。

現代社会一般に言えることだと感じるのですが、省人化することによって社会全体も個々の職場や企業も応用力というか柔軟性を失ってきている、と感じます。
これは、進学や就職といったところにも及んでいて、新卒学生に即戦力を求めるという、無理なことになってきています。
投資効率とか、投資の回転率といったことが重要視されているのでしょうが、結果として「今、必要な事しかやらない」社会になってきているのでしょう。
そのために「予定外のことには極めて弱い日本」となりつつあるのだと感じます。

海自:ソマリア沖に護衛艦派遣へ 海賊対策で政府検討

政府は24日、アフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策のため、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、海上自衛隊の護衛艦を現地に派遣する方針を固めた。

周辺海域を通航する日本船籍の民間船舶などを護衛することで、海賊行為を抑止する。
活動内容の最終調整を進めており、麻生太郎首相が年内に表明することも検討している。

ソマリア沖で海賊による誘拐事件などが多発していることを受け、政府・与党は、自衛隊の派遣を検討してきた。

海賊対策のための新法制定も検討しているが、ねじれ国会で早期に法案を成立させるのは事実上、困難。
各国が軍艦派遣を決めて海賊対策に乗り出すなか、日本も海上警備行動で実施可能な対策を先行させる必要があると判断した。

派遣される自衛隊の護衛艦は、海賊事件が多発するソマリア沿岸のアデン湾などを航行する日本船籍のタンカーなどを護衛する。
新テロ対策特別措置法により派遣されている護衛艦や補給艦とも活動海域が重なるため、活動の連携も検討している。

ただ、海上警備行動では、国内法が適用できない外国船籍の護衛は困難。
武器の使用権限も限られており、逃走する海賊船に向け発砲し、強制的に停船させることも不可能だ。

海自のP3C哨戒機による空からの警戒活動にもニーズがあるが、陸上の基地を使用するための地位協定の締結が受け入れ国との間に必要となる。
関係国との調整が付けば、派遣を別途、検討する。

国際海事局によると周辺海域での08年の海賊被害は11月19日現在で94件。

同月14日には、日本人船員を含む24人が乗った中国のマグロ漁船が乗っ取られるなど日本人が巻き込まれる事件も発生している。【古本陽荘】

◇新法より早期行動

海賊による事件が多発するアフリカ・ソマリア周辺海域への海上自衛隊派遣にあたり、政府が新法ではなく、海上警備行動を発令する方針を固めたのは、早期派遣のために現実的と判断したためだ。ただ、武器の使用などで他国の軍隊に比べ自衛隊に可能な活動は限定的。
現地で関係国とあつれきが生じる可能性もはらんでいる。

24日の閣僚懇談会。ソマリア沖の海賊対策が話題になった。

金子一義国土交通相が「早急に対応する必要がある」と指摘。
河村建夫官房長官も「政府全体として早急に検討し、万全を期す必要がある」と語った。

閣僚懇談会でのやりとりは伏せられるのが通例だが、
河村氏は記者会見で「海賊対策を早期に検討」と自ら発言したことを公表。
中国が軍艦派遣を表明するなど各国が海賊対策に本腰を入れるなか、石油などを中東に依存する日本が参加しなければ「ただ乗り」批判を浴びかねないという懸念もあり、自衛隊派遣に向けた政府の焦りを象徴する河村氏の異例の発言公表だった。

ねじれ国会の下、憲法論議にも発展しかねない新法制定は極めて困難。

そのため選択された海上警備行動の発令だが、これに基づき自衛艦が護衛できるのは、国内法の適用を受ける日本船籍か、他国船籍でも日本人が乗船している場合などに限られる。
他国の民間船舶が海賊に襲撃され、現場に向かうよう関係国から求められた場合、対応に苦慮することが想定される。

また、自船や護衛している船舶を守るための武器の使用は許されるが、逃走する不審船がたまたま自衛艦の付近を航行しても、武器を使って強制的に停船させることは困難だ。
仮に海賊を捕まえた場合に日本で裁判にかけるかなども問題となりそうだ。

一方で政府は、海上警備行動での派遣は、海賊活動という犯罪行為を取り締まるための任務であるため、武力行使そのものについて憲法解釈が問題になることはないと解釈している。【古本陽荘】

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海自の不祥事「心の問題」が要因 改革委が対策の指針

イージス艦衝突事故など続発する不祥事を受けて設置された海上自衛隊の「抜本的改革委員会」が24日、規律の緩みや倫理観の低下など「心の問題」を不祥事の要因と位置付け、根底には冷戦後の任務の増大、多様化に、隊員も組織も対応できていない現状があるとする「改革の指針」をまとめた。

「働く自衛隊」への急激な変容がもたらしたひずみを認めた格好だが、海自内部でまとめただけに、改革の柱に人員不足の解消や業務削減を据えるなど“身内びいき”な側面もあり、組織の病理解明と不祥事根絶への実効性を疑問視する声も上がりそうだ。

指針は一連の不祥事の要因を、法令・規則の軽視、規律の緩み、組織への帰属意識の低下など隊員の「心の問題」と分析。
冷戦後、工作船対処や弾道ミサイル監視、海外派遣など任務が増大、多様化する中で人員不足が浮かび上がったが解決されず、隊員の目的意識やプロ意識が希薄化したことなどが「不祥事の底流」にあると指摘した。

特に指針は、海自の中核である艦艇部隊に不祥事が集中している点を重視。人員不足で隊員の負荷が過剰になり「組織としての注意力やチェック機能が低下する弊害をもたらした」としている。

その上で改革の基本方針を「物(艦艇などの装備)先行型から人・物均衡型への転換」とし、具体策として

  1. 2014年度を目標に護衛艦乗組員の充足率を90%以上にする
  2. 業務の削減と効率化
  3. 女性自衛官の採用、登用拡大
  4. 入隊時教育、中堅隊員の教育、艦長養成課程の充実-などを挙げている。

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12月 25, 2008 at 09:38 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.29

開発指向の行き止まり

読売新聞より「企業団地 県公社が丸投げ案

中井町も支援に難色

県住宅供給公社が中井町で計画中の企業団地建設事業について、民間の開発業者に事業を外部委託する方針であることがわかった。

2005年から進出企業を募集しているが、応募企業がゼロのまま“塩漬け”状態。民営化を控えた公社側に追加支出などの余裕はなく、造成費捻出(ねんしゅつ)のため、新たな財政支援を同町に要請。

町側は難色を示しており、多額の公費を投じた事業完成の見通しは開けていない。(住友堅一)

この問題は、1991年のオレンジ輸入自由化を受け、廃園となった同町井ノ口のミカン園の跡地利用を検討する中で、東名高速秦野中井インターから約2キロと立地の良さを生かした企業団地建設が考案された。

公社は同年以降、ミカン園と周辺の予定地32ヘクタールのうち、約9割を買収したが、予定地内に点在する7人の地権者が、買収に応じなかった。同公社は01年、未買収地を含めた土地区画整理を実施して用地造成を行う方針に切り替えたが、各地権者が少しずつ土地を拠出する「減歩」割合を巡って折り合いが付かず、区画整理も頓挫したままだ。

同公社は05年、この状況を打開するため、進出企業の募集を先行開始。同公社は、「進出企業が、区画整理の解決策を持ち込んでくれないか期待した」としているが、問い合わせしてきた企業も、区画整理や土地造成に5年以上かかることを知らされた途端、検討を取りやめたという。

さらに、ここにきて、県の外郭団体の整理縮小のため、公社の民営化が浮上。公社全体の事業を縮小するため、公社は手間のかかる区画整理を始め、用地造成、進出企業の募集、用地売却までを民間のデベロッパーに一括して発注する方針を今夏、同町に伝えた。

だが、計画当初と比べ地価は約半分に下落。土地売却代で賄うはずだった造成費用を捻出できない可能性が高まっている。

そこで、造成費の足りない分を町の補助金で穴埋めできないか打診したが、同町は「企業団地はもともと、公社が自前で開発する計画だった。財政難の折、町が新たな財政負担をするのは厳しい」と否定的だ。

これまでに支出した土地買収費などについて、公社は「区画整理事業に影響があり、公表できない」としているが、金融機関からの借り入れ利息がかさんでおり、事業が進展しなければ、年間数十万円という固定資産税とともに支払い続けることになる。

県西地区開発事務所の長嶋慎一所長は、「予定地はインターに近く、需要は高いはず。地価が下落している中で、見通しは決して明るくないが、粛々と進めるしかない」と話している。

昔からよく知っているところで、こんな事が起きているとは知りませんでした。
記事を丁寧に読まないといきさつが分かりませんが、こんな事のようです。

1991年ミカン園の跡地を企業団地建設を計画
9割を買収したが、1割は買収に応じず
2001年未買収地を含め土地区画整理によって造成を行う方針に切り替え
地権者が区画整理にも応じず
2005年進出企業の募集を先行開始
企業の問い合わせはあったが、区画整理や土地造成に5年以上かかると知らされ企業は撤退
県の外郭団体の整理縮小のため、公社の民営化が浮上
2008年区画整理、用地造成、企業の募集、用地売却まで、一括して民間のデベロッパーに発注を企画
地価は約半分に下落。土地売却代では造成費用を捻出できない
造成費の足りない分を中井町の補助金で穴埋めできないか打診
中井町は「企業団地はもともと、公社が自前で開発する計画。町の新たな財政負担は無理」と否定的

Up

中井町井ノ口は東名の秦野中井インターの南東に位置していますが、インターの南西側にはすでに工業団地があります。
けっこうな大企業があるのですが、いまだに空き地があります。

いわば商品が余っている市場にさらに品物を持ちこもうと言うほど意味になるわけで、県住宅供給公社の都合だけでこの十年以上やってきて、最後に中井町に押しつけて逃げてしまおう、というほどの意味しかないでしょう。

11月 29, 2008 at 09:47 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.26

公が私にすり寄っているのではないのか?

読売新聞より「無期囚の仮釈放、遺族らが意見…法務省が聴取を義務付けへ

法務省は25日、無期懲役の判決を受けて刑務所に服役している受刑者(無期懲役囚)を仮釈放する際は、被害者や遺族の意見を聴くことを義務づける方針を固めた。

刑事裁判に被害者らが参加し、被告人質問などを行える「被害者参加制度」が12月から始まることにあわせ、仮釈放でも被害者重視の姿勢を示すことが狙いだ。年度内にも関係省令を改正する。

無期懲役は10年以上の服役で仮釈放が可能となる。仮釈放は刑事施設長が申請し、地方更生保護委員会が法務省令に従って

  • 〈1〉更生の意欲がある
  • 〈2〉再犯の恐れがない

などの観点から許可・不許可を決める。現在でも被害者らから意見を聴取できるが、今後は意見聴取を義務づける。
同委員会は、被害者らの意見を、仮釈放の許可・不許可決定の参考にする。

また、法務省は無期懲役囚の仮釈放申請について、許可・不許可すべてのケースについて入所期間などを公表する方針だ。
これまでは許可された場合のみ件数などを年間統計で公表してきたが、今後は、不許可の場合も公表することで、運用の透明化を図る。

被害者や遺族の意見を聴くことを義務づける
というのがどの程度の運用になるのか分かりませんが、必ずしも意見を聴くことができない場合もあるでしょうし、場合によっては聴く相手(遺族など)と服役者との関係が問題になる場合もあるでしょう。

  1. 聴くべきだ
  2. 聴いても聴かなくても、大勢に影響しない
  3. 聴くべきではない

ぐらいに分かれることは当然で、もちろん全く遺族や被害者が居ない場合もあるのですから、法的に義務づけることが良いのか問題になるでしょう。

わたしは被害者参加制度に反対です。
同じくこの「意見聴取の義務づけ」にも反対します。

11月 26, 2008 at 08:46 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.23

人口減社会への対応

朝日新聞より「道路建設計画作りの中心データを下方修正 国交省

国土交通省が、道路整備計画作りのもととなる中心データを「下方修正」する。

今後の交通量見通しでは、2020年ごろまで増え続けるとしていた従来予測を改め、おおむね横ばいから減少に向かうとする。

道路がもたらす時間短縮などの経済効果見積もりも引き下げる。

「道路整備に関する見通しは過大」との批判を踏まえた方針転換で、計画中の道路の選別と見直しにつながるのは必至だ。

交通量の見通しを示すのは「交通需要予測」で、全国の車の台数と走行距離を掛け合わせた数値(単位は台キロ)で示す。

02年の前回予測では、今後も増え続け、2020年から2030年にかけてピークを迎えるとしていた。

今回の予測では、07年度に初めて減少に転じた自動車の保有台数を厳しく見通し、高齢者の免許返納率の上昇、ガソリン価格の変動も加味。数種類の見通しを示すが、全体として「横ばいから減少」という方向を示す。

最も多いケースでも20年時点で06年比微増にとどまり、最も少ないケースでは既に減少に転じているとした。

02年の予測では、人口は05年から減り始めるものの、女性や高齢者のドライバーが増えると指摘。

昨年末にまとめた道路整備中期計画では、この予測をもとに「10年間で最大59兆円の道路整備」を盛り込んだ。
ところが、実績は06年時点で予測を5・8%も下回り、見通しの甘さが批判された。

一方、道路整備がもたらす経済効果の見積もりも改める。

「費用対効果」をはじく費用便益分析の指数の算定で、道路整備での移動時間短縮がもたらす利益をこれまでより1~2割引き下げるなど、根本的に見直す。
この結果、路線ごとに算出されている指数は、全体でこれまでより2割程度下がるという。

「無駄な道路」への投資に批判が絶えないなか、政府は「必要な道路建設は続ける」と反論してきた。
「必要な道路」を判断する際の中心データをそろって見直すことで、道路建設の判断基準が厳しくなるのは必至。
交通量が増え続ける前提で進められてきた高速道路整備や借金返済計画に大きな影響を与えそうだ。
(座小田英史)

もうすでに、新たな道路が出来ると、既存の道路の利用者が移動してしまうという現象になっていて、増やすではなくて、作り直すの方が適切になっているでしょう。

自治体がぶち上げるニュータウン構想といったものも、よくよく聞くと「よその地域のユーザを奪う」事でつじつまを合わせていたりします。

しかし、政治的には大きな方向転換で、国土交通省が打ち出した「将来予測」が政治的に受け入れられるものか?いささか以上に疑問があります。

11月 23, 2008 at 09:09 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.11.20

児童相談所をめぐる報道

神奈川新聞より「女児の虐待死/児童相談所など「軽いネグレクト」と判断/育児指導の最中、最悪の事態に

川崎市多摩区の自宅で三歳の女児が母親と交際相手の男に殴られ死亡した傷害致死事件は、市中央児童相談所(高津区)や女児が通う私立保育園などがネグレクト(子育ての怠慢)と判断して母親と女児を見守りながら、育児指導をしていた最中に起きた。周囲が問題を把握しながら、なぜ最悪の事態に至ったのか。自宅訪問など積極的な措置の必要性があらためて浮かび上がった。

女児が通う保育園は昨年八月、衣服が汚れていることなどに気付き同児童相談所に連絡。「軽度のネグレクト」と判断した児童相談所は、保育園と多摩区保健福祉センターを交えて協議し、母親や女児について情報共有することや育児指導することなどを決めた。

保育園と同センターは女児が死亡する直前の十一月初旬まで、母親が保育園に送り迎えしたり、生活保護費を受給したりするなどのために多摩区役所を訪れたりする際、家庭状況を確認するために面談などを行ってきた。児童相談所によると、その間、女児にあざができるなどの大きな異変はなく、虐待しているような様子は把握できなかったという。

しかし、関係者の証言をつなぎ合わせると、長女の変化が浮かび上がってくる。保育園は今年二月に長女の鼻の下が内出血しているのを確認。また、昨年八月からの約一カ月間と今年十月末から死亡するまでの間、長女は保育園を欠席していたという。

しかし、児童相談所などは「内出血は暴力によるものではない」という病院の診断や、「家族全員がかぜをひいたので(保育園を)休む」という女性の連絡を受け、自宅訪問などの積極的な措置は取らなかった。児童相談所は「軽いネグレクトだと判断していたので、見守りながら育児指導し徐々に改善しようという方針だった」と説明している。

児童虐待の問題に詳しい特定非営利活動法人(NPO法人)「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」の山田不二子理事長は「母子家庭に男性が加わると、子供がなつかないために男性が暴力を振るうことは珍しくない。生活保護や若年出産などの状況を考えると虐待が起きてもおかしくない」と指摘。「ネグレクトから暴力につながるケースは多いので、少しでも異変を感じたら専門家が自宅訪問して様子を見に行くべきだ」と注文する。

児童相談所は「最善の対応を取ってきたつもりだが、今ではもっとやるべきことがあったと考えている。同じことを繰り返さないために課題を検証し改善したい」と話している。

京都新聞より「乳児遺体遺棄、再発防止へ 事件受け、京都市検証委が初会合

生後約1カ月の乳児の遺体を遺棄したとして、11月1日に京都市中京区の両親が逮捕された事件で、京都市は19日、再発防止策を検討する「市乳児遺体遺棄事件検証委員会」を設置し、初会合を開いた。年内に報告書をまとめ、門川大作市長に提出する。

市児童相談所は、今年4月に乳児が生まれた病院から「母親の言動が不安定」という趣旨の通告を受けていたが、両親や乳児に会うことができず、立ち入りまで半年を要した。

検証委は、同志社女子大の宮本義信教授を委員長に、精神科医や民生児童委員ら計6人で構成。児童相談所と保健所の対応内容や時期、関係機関との連携の在り方に問題がなかったか検証する。

初会合は非公開で行われ、今井豊嗣子育て支援政策監が「再発防止に向け、取り組みを強化したい」とあいさつした後、市が事件の概要や市の虐待対応マニュアルについて説明した。

全く別の事件について、たまたま児童相談所の対応が問題になった記事が同時に出ていました。
児童相談所とは以下のものです。

児童福祉法 第11条〔都道府県の義務〕

都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
  • 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
  • 児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずること。
  • 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと。
  • 児童及びその保護者につき、ハの調査又は判定に基づいて必要な指導を行うこと。
  • 児童の一時保護を行うこと。

第12条〔児童相談所〕

  • 都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。
第12条の4〔一時保護施設の設置〕
  • 児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。

第33条〔一時保護〕

  • 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。

第33条の6〔親権喪失宣告の請求〕

  • 児童又は児童以外の満二十歳に満たない者(次条及び第三十三条の八において「児童等」という。)の親権者が、その親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百三十四条の規定による親権喪失の宣告の請求は、同条に定める者のほか、児童相談所長も、これを行うことができる

児童相談所は、各都道府県にあり、児童の一時保護と、親権喪失請求ができる。
という極めて強力な法律です。
もちろんここまで強力な法律が必要な社会情勢であるのは、明らかですが同時に慎重な運用も必要であって、慎重でありすぎるから事件になった、というのが二つの新聞記事でしょう。

わたしが応援している、ホームオブハート裁判のきっかけとなった事件も児童虐待から一時保護でした。
児童相談所の仕組みなどについて、意外と知られていないと思うのです。

11月 20, 2008 at 08:34 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.27

派遣労働と厚労省

朝日新聞より「派遣の「常用型」化を努力義務化へ 厚労省方針

厚生労働省は26日、登録型派遣で1年以上働く労働者について、雇用期間の定めのない「常用型派遣」や正社員などに転換させることを、派遣元企業に努力義務として課す方針を固めた。秋の臨時国会に提出予定の労働者派遣法改正案に盛り込む方向で、28日開かれる審議会の部会で提示する。

厚労省は今回の法改正で、不安定雇用として批判の多い登録型派遣から、比較的雇用が安定している常用型派遣への移行を促す方向だ。ただ、罰則のない努力義務にとどまることから、労働者側からの反発も予想される。

26日明らかになった骨子案によると、派遣元は登録型派遣で働く人について、

  1. 常用型へ転換するか直接雇用する
  2. 常用型への転換を促すための教育訓練などを行う
  3. 派遣先に直接雇用される前提で一定期間働く「紹介予定派遣」に切り替える

のいずれかを実施することが求められる。

派遣労働には、派遣元が労働者と長期に雇用契約を結び、派遣先が見つからないときも給与を支払う「常用型」と、派遣元が仕事があるときだけ雇用契約を結んで派遣先に送る「登録型」がある。

登録型は3カ月程度の細切れ契約が多く、いつ契約を打ち切られるか分からない不安定雇用だとして、社民党や共産党、連合などが専門的な業務に限定すべきだと求めている。
厚労省の統計では、派遣労働者の7割の約230万人(06年度)が登録型だ。

一方の常用型は、雇用の安定度は比較的高いが、全体の6割弱が数カ月から3年の有期雇用というのが実態(04年)。このため厚労省は、特に「期間を定めない」常用型への移行を促すことで、雇用の安定を図りたい考えだ。(生田大介)

厚労省が意図的に示しているのだろうと思うのだけど、朝日新聞も署名記事でありながら問題が雇用の不安定にあると読める見解で良いのか?と思う。

派遣労働 → 不安定な雇用 → ・・・・・・ → 低賃金 → マイナス成長

これでは「風が吹けばおけ屋がもうかる」のような論理展開ではないのか?
問題が何で、問題を解決するために派遣労働をどうするべきか?という話になっているとは思えない。

実際に「派遣労働を禁止したらどうなるのか?」に対する答えとして、「長期間同じ職場に縛り付けられるのはイヤだという人がいる」、といった問答が必ず出てくる。

社会にとっての問題が、マイナス成長などだとするのであれば「低賃金労働」こそが問題だろう。
ところが日本経団連などは「低賃金であることが重要」と言っている。

(将来の)社会不安 ← マイナス成長 ← 低賃金 ← 派遣労働
であるのだとすれば、対策は簡単だ。

派遣労働=高賃金

にしてしまえばよい。正社員よりも短期雇用の派遣労働者の方が賃金コストが高いとなれば、企業は自然に正社員を増やして派遣労働を削減するだろう。

社会全体のマイナス成長が問題になっているが、個人で見れば生涯にわたって考えると、社会に出るまでの子どもから学生の期間は、受益者として勉強しているのだから、社会的にはマイナス成長でしょう。
それが社会に出ると一転して社会をプラス成長させる労働者になります。
その後、介護でも受けるような立場から亡くなるまでは、これは社会の世話になる、社会的にマイナス成長要素です。
では、ニート問題などはどう考えるのか?言うまでもなく親の世代の資産を食いつぶしているわけで、社会的にはプラス成長を促進しているとは言いがたい。

このニート状態を企業のあり方に置き換えると、派遣社員だから労賃が下がる、という経営論理の企業ではないのか?と以前から思っています。

労働コストを下げるとは、労賃と労働の質を比較して「労賃は大いに低いが、労働の質はさほど下がらない」といったところに価値があるのでしょう。

要するに「適当な質の労働をより安く買う」ということにほかならない。
では、その「適当な質の労働」を誰が作ったか?

その企業以外が作った「労働の質」だから、企業自身のコストにはならないわけです。
これはまるで親の資産を食いつぶしているニートではないのか?

大企業から青年までニート化しているのが日本の現代ということなのでしょうか?
厚労省の方針は政策ですらないですね。

8月 27, 2008 at 09:42 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.08.25

大分県教員採用試験問題

朝日新聞より「大分県教委、新たに不正確認 処分人数2ケタも

大分県教育委員会の汚職事件を受け、教員採用や昇任人事をめぐる不正の実態調査を進めている県教委の教育行政改革プロジェクトチーム(PT)は24日、職員の不正への関与を新たに確認したことを教育委員に報告し、職員本人や上司らの処分方針に関する複数の案を示した。

最も厳しい案の場合、処分される人数は2ケタに上るという。処分は月内にも行われる見通しだ。

この日、県庁であった教育委員の協議会で報告された。
協議会は非公開。関係者の話を総合すると、処分される人数は最も厳しい案の場合、事件で起訴され懲戒免職になった義務教育課参事2人と校長、教頭の4人を含めて2ケタになるという。

主に減給や戒告などの懲戒処分が検討されている。
職員が関与したとされる不正の具体的内容については、詳細は明らかにされなかったという。

この日の協議会では、事件の再発防止のための組織改革の一環として、来年度から教員出身の人事担当者を減らす方針も決まった。
麻生益直・教育委員長は取材に対し、代わりに教員以外の県教委職員や知事部局出身者を増やす考えを示した。

大分県教委では今年度、義務教育課人事・免許班に8人、高校教育課人事班に5人が配置されており、多くが教員出身という。
元参事も教員出身で、人事・免許班を総括していた。

これは不正人事に絡む汚職事件などの処分案なのでしょうね。
ということは、誰が考えても不正人事そのものには手が着いていない、と見るだろうし実際の教員が疑惑の目で見られることになるでしょう。

教員採用については、あっちこっちで「コネが絶対に必要」などと以前から言われていました。
大分県では、試験成績の改竄をしているのだからこの部分は人事の信用性を著しく失墜させた、という点で問題です。

この種の大規模な問題になりますと、何が起きたのかを細かく解明することが出来ないのですが、そうすると「先生は信用できるのか?」と疑念が発生するといった展開になるでしょう。

では、刑事事件で強制捜査をすれば問題は解消するのか?というと直感的には「刑事捜査による社会に対する効果は限定的だ」と思うのです。

誰か特定の人物が、引き起こした事件ではなく代々引き継がれてきたのでしょうから、現時点で「犯罪者」となった人たちは「なんでオレだけ」と思うでしょうし、そもそも社会正義の観点からは「以前からこんな事になっていた」と主張することは大いにあり得るでしょう。

よく似た構造の事件について、非常にうまく説明している記事がありました。
NIKKEINET BIZ+PLUS より「そして誰もいなくなった――長銀裁判とは何だったのか

タイトルから分かる通り、長銀裁判の無罪判決について背景などを説明しています。
4ページにわたる長文ですが、見出しを並べてみます。

  • 「法律」と「法律の精神」のはざま
  • 裁判官の補足意見に込められた長銀破綻の本質
  • スケープゴートにされた“バブルの象徴”
  • 大手を振って歩く「同じ穴のむじな」だった面々
  • 権力者たちの責任回避の果て
  • 刑事事件化によるカタルシスの危うさ
  • 皮相な善悪二元論を超えて

筆者の箭内 昇氏は

1947年生まれ。
70年東京大学法学部卒、日本長期信用銀行入行。法律室配属を皮切りに、広島支店、企画部、人事部、公共金融部、ニューヨーク支店副支店長、企画部企画室長などを経て、97年に取締役営業2部長。
同新宿支店長を経て98年4月に執行役員新宿支店長となるが、同年7月に当時の経営陣を批判して辞職。

現在はアローコンサルティング事務所代表として経営コンサルティングを手がける。
りそなHD社外取締役。

ですから、いわば当事者なのですね。
長銀事件が、被告だけの責任ではないと誰もが考えることですが、では銀行を潰すような事件に誰も責任が無いのでしょうか?というとそれはあり得ません。この点については

今回の判決要旨は次のとおりだ。「97年3月の大蔵省通達による経理基準はまだガイドライン的なものだったので、長銀が関連ノンバンク向け貸し出しについて、旧基準を使って不良債権処理の先送りをしたとしても、違法とはいえない」

結局、最高裁は厳密な規定解釈に論点を絞り込み、いわば法技術的な見地から無罪と判断したのであり、その限りでは全く妥当な結論だ。だが、別の視点から見れば、不良債権処理先送りを容認した旧経理基準そのものの適法性については、判断を回避したともいえる。

この大蔵省通達の根拠法であり、決算の憲法ともいうべき商法は、「貸し倒れの恐れがある債権は引当金を積むべし」と規定している。「保守的で健全な決算をせよ」というのが法の精神だ。

その視点からすれば、「銀行が支援する以上、関連会社向け貸し出しの貸し倒れはあり得ない」という牽強付会(けんきょうふかい)の理論を盛り込んだ旧経理基準自体には、重大な問題があったといわざるを得ない。そして、この甘い経理基準に便乗して大胆に関連会社を不良債権隠ぺいや先送りの道具に使っていった長銀経営者の行為は、法律そのものには違反しなかったとしても、法の精神に違背した「広義の粉飾決算」だったというべきだろう(本コラム第20回参照)。

一方、この甘い経理基準を放置することで結果的に長銀の粉飾決算に加担した大蔵省も、「未必の故意」もしくは「重大な過失」による「共犯者」だったというべきだ。

この点、今回の判決における古田佑紀裁判官の補足意見はきわめて重要だ。

「関連ノンバンクについては、(大蔵省の行政指導による)母体行主義が存在していたため、母体行である銀行は、自行の関連ノンバンクに対して原則積極支援を求められる立場にあったところ、税法基準においては積極支援先に対する貸付金には原則として回収不能と評価することはできないという考え方がとられており、この考え方からは、関連ノンバンクに対する貸付金を回収不能とすることは(本判決の結論どおり)困難であったと思われる」

「(だが一方)業績の深刻な悪化が続いている関連ノンバンクについて、この税法基準の考え方により貸付金を評価すれば、実態とのかい離が大きくなることは明らかであると考えられ、長銀の本決算は、その抱える不良債権の実態と大きくかい離していたものと推認される」

「このような決算処理は、当時において、それが直ちに違法とはいえず、また、バブル期以降のさまざまな問題が集約して現れたものであったとしても、企業の財務状態をできる限り客観的に表すべき企業会計の原則や、企業の財務状態の透明性を確保することを目的とする証券取引法における企業会計の開示制度の観点からみれば、大きな問題があったものであることは明らかと思われる」(カッコ内は筆者、一部要約)

まさに的確な指摘であり、古田裁判官の複雑な思いが伝わってくる。

裁判所の判断を肯定しますと、無罪判決は当然となりますが、実際に何が起きていたのかについては次のように説明しています。

日銀と大蔵省は、80年代に俯瞰(ふかん)的な金融情勢を見誤ってバブルを引き起こし、90年代にはグローバル化に逆行する護送船団方式の不良債権処理で、日本経済を危機に陥れた。政治家は、バブルに便乗して金策に精を出し、96年の住専処理では農協擁護の横車を押して、大蔵省に公的資金アレルギーを植え付け、その結果銀行界への公的資金投入を遅らせた。

政府は長銀が破たんするや、旧経営陣を刑事告発することで、問題や責任を限定、極小化しようとした。
事実、その後大手銀行が野合的にメガバンクを誕生させていく中で、国民はこれでバブル処理は終わったと安堵する。

だが、その直後から大手銀行の不良債権問題が再燃し、わが国経済は重大な難局を迎えた。結局、泥沼化した不良債権問題を決着させたのは、竹中平蔵金融担当大臣という、政治家でも官僚でもバンカーでもない1人のエコノミストだった。

実は、そこに「不良債権とモラルハザードは表裏一体」という、わが国不良債権問題の本質が収斂(しゅうれん)している。政治家も金融当局も銀行トップも、関係者は誰一人自らの非を認めず、自らの手で不良債権問題を処理することもできなかった。

箭内氏は刑事裁判の結果が無罪であっても、モラルハザードになってしまったところはどうなんだ、と続けます。

今日、わが国は不信渦巻く混迷の中にある。その最大の責任は、「ノブレス・オブリージ」の精神を失った既得権者にある。高い地位にある者ほど大きな責任を果たしてこそ、国民は権力者に信頼を寄せる。

だが、今のわが国は権力者が責任回避と開き直りを押し通す情けない国に堕落した。筆者には、旧経営者に全責任を押し付けることで国民の目をそらせようとした長銀裁判こそが、その嚆矢(こうし)だったように思える。

そして、長銀の無罪判決がおりた後の「そして誰もいなくなった」状態こそ、壮大なモラルハザードの象徴に思えてならないのだ。

第3に、近年、長銀事件のように不祥事件を刑事事件化することで、かえって本質的な問題が埋没しているような気がする。

長銀事件以降、不祥事件が起きるとワイドショー的雰囲気の中で、企業トップや役職員を逮捕するケースが目立つ。三菱自動車事件、耐震偽装事件、食品偽装事件、賞味期限改ざん事件、コクド事件、ホリエモン事件、村上事件、NOVA事件、日雇い派遣不正事件などなど。

刑事事件化してしまうと、すべて「善か悪か」というステレオタイプに押し込まれ、こうした実態が埋没してしまう。政治家や官僚たちもこれを奇貨として、「クサいものにふた」をし、個別・特殊問題、民間サイドの問題として抜本処理を先送りしがちだ。これでは、食品偽造事件など同根の不祥事が頻発するのは当然だし、国民の意識を変えることも困難である。

この問題に関しては、メディアの役割がきわめて重要だ。中立的で正確な情報や問題の核心を突く深い分析を国民に提供できるのは、メディア以外にない。今回の長銀判決では、多くのメディアが当時の金融行政の実態をかなり正確に分析し、報道している。

「10年前に同様の報道をしてくれていたなら」というのは筆者の恨み節かもしれないが、メディアは、間違っても視聴率引き上げにこだわるあまり事実を脚色したり、扇情的な報道に走ったりすることのないよう、ひたすら祈るのみだ。

この記事は、2008/08/18の配信であり、大野病院事件の福島地裁判決が出たのが8月20日です。
大野病院事件の無罪判決についても、マスコミ批判はかなり強くあります。
箭内氏が指摘する
今日、わが国は不信渦巻く混迷の中にある。その最大の責任は、「ノブレス・オブリージ」の精神を失った既得権者にある。高い地位にある者ほど大きな責任を果たしてこそ、国民は権力者に信頼を寄せる。
は非常に重大だと思うのですが、現在の福田首相はまるで正反対を向いているのではないのか?と感じてしまうところが、現在の日本の病んでいるところだと言えるでしょう。

8月 25, 2008 at 10:26 午前 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法, 教育問題各種, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.08.24

21世紀の自動車税の検討?

サンケイ新聞より「排気量からCO2排出量へ 経産省が自動車税制の変更検討

経済産業省が平成21年度の税制改正で、エンジン排気量の大きさを中心に税額を決めている自動車税制を見直し、走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を基準に税額を決める方式への変更を検討していることが23日、わかった。

同様の仕組みは欧州各国が取り入れ始めており、地球温暖化を防ぐグリーン税制の目玉にしたい考えだ。しかし、これまで優遇されてきた軽自動車の税負担が大幅にアップするため、自動車メーカーなどの反発は避けられず、調整は難航しそうだ。

現行の自動車税は、排気量1リットル以下のリッターカーの自家用乗用車で年額2万9500円、最高の6リットル超で11万1000円など、排気量に応じて税額が定められている。排気量660cc以下の場合は税金が優遇される軽自動車税となるため、年額7200円に抑えられている。

経産省では地球温暖化対策の一環として、こうした自動車税制の見直しに着手する。1リットル当たり2300グラムのCO2が排出されているガソリン消費の削減に向け、CO2排出量そのものを基準にした自動車税制への転換を目指す。すでに同省では自動車メーカーとも協議を始めており、21年度税制改正要望で、CO2排出量を基準とする税制の検討方針を盛り込む。

ただ、CO2排出量を基準とした税制になると、排気量が大きい大型車が不利になるほか、これまで優遇されている軽自動車の税額が重くなる見通し。自動車メーカーの今後の商品ラインアップに大きな影響を与えるほか、軽自動車ユーザーなどからの反発も予想される。

地球温暖化対策を進める欧州では、すでに英国やフランスがCO2を基準にした自動車税制を導入している。来年1月から導入するドイツではCO2排出量を基準として、排出量が少ないほど税金が安くなる仕組み。走行1キロメートル当たりの排出量が100グラム未満の自動車には、自動車税を免除し、燃費のよい中小型車やハイブリッド車への移行を促す計画だ。

日本でも燃費向上を促すため、グリーン税制が導入されており、排気量などをもとにした目標燃費を15%以上上回る自動車には自動車税などの軽減措置を講じている。しかし、経産省ではCO2排出を削減するには自動車税の抜本的な見直しが必要と判断し、今後、関係方面との協議を急ぐ方針だ。

最初は文字通り「CO2排出に比例する税制に改正」と読んでしまいましたが、電池自動車など非内燃機関自動車に対応する税制への変更をしないわけにいかない、ということですね。

自動車では、ガソリンエンジン(オットーサイクル)とディーゼルエンジン(ディーゼルサイクル)がほとんどですが、今までに自動車に使われたエンジンは沢山あって、ロータリーエンジンは上記に種類以外では世界的に普及したエンジンですが、自動車税は日本ではヘンなことになっています。

内燃機関としてはガスタービンエンジンは単体としては大変に効率が良いのですが、自動車向きとはちょっと言いがたいですね。

理屈としては、太陽電池など自然エネルギー利用の自動車というのもあり得るわけで、そういうものにも対応できる税制を考えるのでしょうか?
CO2排出削減を税制で促進すること自体には、反対ではありませんが、それが自動車税に「CO2排出量比例の仕組みを採用」か?と考えますと、ちょっと以上に疑問です。

現在でも、天然ガスエンジンもあるわけで燃料やエンジンの方式によってCO2排出量はかなり変わりますし、電池自動車や内燃機関との組み合わせであるハイブリッドについて合理的な税制が決められるものなのでしょうか?
あまり短期間で変わるような税制ではまずいと思います。

追記

何気なく「自然エネルギー」とか書いてしまったが、自転車はどうするのだろう?
わたしの叔父の山本悌二郎はソーラー電動車いすを作ってます。
もし、電池自動車に自動車税を掛けるのだとすると、電動車いすは性能制限をすることで「自動車ではない」とするのでしょうね。
そうなると「性能とは何か?」になってしまいそうです。

道路整備のコスト負担や、道路の専有面積といった事を考えると、50CCスクーターとリヤカーはどっちが税負担を重くするべきなのか?といった事になりますね。

もし、CO2排出だけについて税負担を変えるというのであれば、これはガソリン税など燃料そのものに課税するべきなのかもしれません。

8月 24, 2008 at 09:58 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.08.17

派遣法の見直し

日経新聞より「派遣労働の規制、4野党が協議へ 法改正案の共同提出狙う

民主、共産、社民、国民新の野党4党は近く「日雇い派遣」の原則禁止など労働者派遣法改正に向けた政策協議を始める。
先の通常国会では足並みがそろわず共同提出を見送っており、規制強化の一部に慎重論があった民主党が譲歩する形で再検討する方向となった。
4党による改正案の臨時国会への共同提出を目指す。

日雇い派遣は人材派遣会社が1日単位の契約で契約先に労働者を派遣する仕組み。与党の作業部会は原則禁止を提言し、政府も規制強化策を検討中だ。野党内では政府・与党より思い切った規制を盛り込むべきだとの方向で一致している。 (11:18)

7月30日の記事に「派遣法見直し、9月中メドに結論 厚労省審議会」がありますから、今回の野党4党共同提案とはこれへの対抗でしょう。

労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会は30日、労働者派遣法の改正に向けた議論を再開した。
日雇い派遣を原則禁止することなどを盛り込んだ厚生労働省の有識者研究会の報告書を受けたもの。
厚労省は会合で「9月中に議論をまとめてほしい」と要望。
秋の臨時国会に改正法を提出するため、2カ月弱で答申を出すよう求めた。

同日の部会では日雇い派遣の禁止について、
経営側委員が「日雇い派遣に問題があるからといって、禁止するというのは論理の飛躍だ」と反発。
一方、労働側からは「研究会の報告をきちんと受けとめたい」と評価する声があがった。

一番の問題は労賃の圧縮を技能に見合わない形で実現しようとする、すでに技術を習得している作業者を新人素人並みの賃金で使うのは結果としてマーケット先食いであって、市場の縮小になってしまっている現状をどうするのか?という事でしょう。

その意味では「日雇い派遣」そのものの問題ではなくて、最低賃金制度の見直しだと思う。
長期雇用で退職金というのであれば、短期雇用ではもっと高コストになるように誘導するべきだろう。
会社は回したいが、金は回したくない、なんて都合の良い話が持続可能なわけがない。

8月 17, 2008 at 01:34 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.07.01

議員報酬改訂案

サンケイ新聞関西版より「大阪府議会 議員報酬15%削減案に各会派応じず、協議決裂へ

大阪府議会の主要4会派(自民、民主、公明、共産)の間で調整が難航している議員報酬と政務調査費の削減幅について、それぞれ15%削減とする正副議長の斡旋(あっせん)案に各会派が応じず、協議が決裂する見通しであることが30日、わかった。
10%の議員報酬削減で一致している民主、公明、共産の3会派と自民が、別々の削減案を1日開会の臨時議会に提案する可能性も出てきた。

月額93万円の議員報酬をめぐっては、自民が20%、ほか3会派が10%の削減を主張。
政務調査費では、自民、公明が20%、民主が議員1人あたり月5万円または10%、共産が10%削減を主張している。

正副議長と4会派の幹事長でつくる議会運営委員会理事会で正副議長は、各会派の主張の中間を取る形で議員報酬、政務調査費ともに15%削減とする斡旋案を示し、案への賛否を1日朝に開く理事会で示すよう各幹事長に通達していた。

議員報酬の削減などをめぐって、各会派で意見の隔たりが大きいのは、橋下徹知事の府政改革案「大阪維新プログラム案」の中で示された、全職員を対象とする今年度総額345億円の人件費削減案への各会派の考え方の違いが根底にある。

自民は「職員の人件費削減について臨時議会で論じるのに、議員報酬の削減案を先に示さないのでは本末転倒」(府議団幹部)と、1日の議会開会に合わせた削減案提案にこだわりを見せる。しかし、公明は「無理に議会の改革案を先に示して、知事の人件費削減案を後押しする必要はない」とするなど、基本姿勢でも各会派の対立は顕著だ。

正副議長が示した斡旋案についても、民主や公明が「削減幅が大きすぎる」などと反対している。

10%案と20%案の中間として15%案を出したらまとまらないとはなかなかすごいですが、それ以前に、大阪府議会議員の報酬が政務調査費込みで月額100万円以上というのがそもそも高すぎるだろう。

それでよい案を思いついた。

各派ごとに独自の削減案で良しとする。

20%削減を良しとする自民党は20%削減、民主党は10%削減。
これの次の報酬改定まで、選挙がどうあろうと続ける。
多分、民主党から自民党に鞍替えする議員が出てくるだろう。それで良いじゃないか。

7月 1, 2008 at 08:13 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.06.21

無戸籍者の再生産にようやく対策

「続・300日と30年、法務省のバカ者」で強く非難した、無戸籍者の再生産問題にようやく対策が出ました。

やれば出来ることを放置していた、ということですね。

朝日新聞より「無戸籍母の子に新たな戸籍作成 法務省方針

母親の夫による暴力が原因で出生届が出されず、無戸籍となった大阪府内の女性(24)が出産後、無戸籍のまま育てている子ども2人について、法務省は、新たな戸籍をつくる方針を固めた。

母親の結婚相手の戸籍に入る形を認めたケースはあるが、子ども自らが筆頭者となって新たな戸籍がつくられるのは初めて

大阪法務局と関係自治体が20日、女性本人に説明した。週明けにも具体的な手続きに入り、女性の長女(2)と長男(1)の戸籍ができる見通し。
女性は子どもに戸籍ができたと同時に、子どもの実父との婚姻届を出す予定で、最終的に子どもは実父の戸籍に入る。これで「無戸籍2世」の連鎖は止められ、同じ境遇にある子どもたちへの救済策となる可能性がある。

法務省は今回、子どもの出生届がすでに大阪府内の自治体に提出されていることから、子どもの祖母にあたる女性の母親の日本国籍などをもとに、子どもが日本国籍であることを確認できると判断した。
法務省関係者は「法律の範囲内でできることを検討した結果」としている。

女性は「話を聞いて本当にうれしかった。選挙権がなく、運転免許証も取れない苦労を子どもにはさせずにすみます」と喜びを語った。無戸籍児を支援するNPO法人「親子法改正研究会」(大阪市)の井戸正枝代表理事は「多くの無戸籍2世を救える方法が示された。無戸籍の母親がシングルマザーであっても、子どもが自立して社会生活を送れる」と評価する。

無戸籍2世をめぐっては、5月末に兵庫県の女性(27)が出産した男児が、女性と結婚した実父の戸籍に入ることを法務省がすでに認めている。このケースでは、男児の出生届が提出される前だったため、結婚相手の戸籍に直接入る形が取られていた。

ただ、このままでは大阪、兵庫の女性とも自らの戸籍がない状態。このため2人は7月初め、自身の実父との親子関係を確認する調停を地元の家裁へ申し立てる。この手続きを経て戸籍ができれば、自らの結婚相手の戸籍に入り直す考えだ。(板橋洋佳)

「戸籍」でブログ内を検索してみると、

2007.01.05戸籍の無い高校生?
2008.05.20300日と30年、法務省のバカ者
2008.05.20続・300日と30年、法務省のバカ者

と2件の記事を扱っています。戸籍の無い高校生?というのは、修学旅行が海外旅行で必要な旅券の申請が受け付けられなかった、という問題です。
選挙権もなく、運転免許も取れないといった社会活動上の不便を強いる事になっていたわけで、さらに今回は次世代の誕生で「無戸籍者の再生産」に向かってしまった。
しかし、当初の法務省の見解は

法務省民事局は
「無戸籍となった人が出産する例は今まで聞いたことがない。
どうすべきか今後検討したい」と話している。

こんな話は「聞かないでも分かるだろう」というか、高校生のパスポートの取得事件が大々的に報道された時点で、聞いているだろう。
単なる無責任としか言いようがない。
比較的早めに決着に向けた動きになったのは、鳩山法務大臣の指示があったからなのだろうが、法務省が起こり得る問題についてのコメントとして「聞いたことが無い」ではどこの世界でも通用しない。

しばしば「法律違反です。そんな法律は聞いたことが無い」とかやるわけです、代表は道路の速度標識を見なかったといってごねる場合に見られますね。

こういうのは「法の不知は救済されず」と言われていて「(法律を)知らないことは考慮しない」という意味です。

これは逆に言えば、法律は将来起きるであろうすべての問題に疑問無く対応できて当然だ、という考え方になります。
もちろん現実には、法律の成立は事件が問題になってから、法律を作るわけですが、その多くは判断に迷うような状況をはっきりさせる場合がほとんどです。

そういった観点から見て、法務省の今までの対応は「いったいどうするつもりだったのだ?」と改めて聞きたいですね。
どう考えても、無戸籍の二世問題=無戸籍の再生産が「起こってみるまで考えられない」というのはあり得ないことだと思う。

6月 21, 2008 at 09:15 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.13

小田原市長選挙で違反の疑い

読売新聞神奈川版より「小田原市長後援会がお礼文書 選管「公選法抵触の恐れ」

5月の小田原市長選で初当選した加藤憲一市長の後援会「おだわらを拓(ひら)く力」が、当選のお礼文書入りの後援会報を会員約5000人に郵送していたことがわかった。

選挙後の有権者へのあいさつは公職選挙法で禁じられており、同市選挙管理委員会は「法に抵触するおそれが高い」と指摘している。

加藤市長は12日、「明確にお礼の言葉があり、指摘は仕方がない。組織として認識とチェックが甘かった」などと釈明。
次回発行の会報でおわびするという。

問題の会報は6月1日付で、「御礼とお願いさらなるご支援を」として、代表(83)の名前で、「これひとえに皆様がたの格段のご尽力のたまものと心から御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました」などと書かれている。

代表は「手弁当で選挙戦を手伝ってくれた人にお礼を言いたかった。私は法律や選挙の素人。指摘があれば、正しく受け止めたい」としている。

同法では、選挙後に当選や落選に関して選挙人にあいさつする目的で、戸別訪問や文書図画の頒布などを禁止しており、違反した場合、30万円以下の罰金と規定されている。

この記事だと、市長も代表もどういう意味なのか分かっていないような感じですね。

市長「次回発行の会報でおわびする」、代表「私は法律や選挙の素人」

選管は「法に抵触するおそれが高い」と言っているわけで、厳密にはこれだけで公選法違反です。
法律違反なのだから「お詫び」とか「素人だから」はまったく意味がないわけで、こんなコメントを出すところが問題だと思いますね。

まあ、選挙実務は難しいところがたくさんあると言えばそれまでなのですが、後援会報の中に当選御礼を書いたという事でしょうから、書き方の問題も含めて選挙事務担当者がチェックしていなかった可能性もあるのかもしれません。

もう少し詳しい状況が知りたいですね。

6月 13, 2008 at 10:05 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

給食費の残額を繰り越し?

埼玉新聞より「桶川市小中11校で給食費 残金翌年度に繰り越し

桶川市の小中学校十一校で二〇〇七年度の学校給食費の残金を翌年度に繰り越し、うち八校では一部を「食用油購入費」として処理していたことが十一日までに分かり、市教委は食材の納入業者から事情を聴くことを決めた。

繰り越しは過去五年にわたって行われていたらしい。

市教委教育部によると、食材費の支払いに関して学校と食材納入業者の間に入っている市施設管理公社の職員が、三月の食用油の請求伝票が 多いことを五月中ごろ市教 委に指摘。市教委と指示を 受けた各校の調査で、判明した。

〇七年度の各校の繰り越し金額は約五万円から約四十五万円。
最も額が多い中学校では一人当たりの金額は七百円程度に当たる。

食用油の購入は八校で行われており、各校の給食担当者と食材納入業者が相談し行ってきた形。
業者が請求伝票を作成し市施設管理公社に提出、学校から同公社を経て、「代金」が業者の手に渡っていた。

この額は〇八年度のアップルパイや冷凍みかんの購入費などに充てたとみられるが調査中。
〇七年度に食用油の請求伝票の偽造を行ったのは一業者で、八校の合計額は約百五十万円だった。

給食費の残金は本来は支払った保護者に返金すべきもの。同部は「基本的には単年度会計なので返金が望ましい」としており、今後、過去五年分の調査がまとまり次第、結果を議会に説明し、保護者にも公表する。

最初に記事のタイトルだけ見たときには「学校に給食費の残金がプールされるわけがないが?」と思って詳細を読んでみました。
読んでみるとどういうことなのかよく分からない。

給食費の流れは、学校 → 市役所 → 納入業者であり、購入の注文は、学校 → 納入業者なのでしょう。
そして、請求が、納入業者 → 施設公社 → 市役所なのかな?

それで、学校が給食費を使い切らなかったから、3月になって架空発注したということなのでしょうか?
問題にならなければ、納入業者に支払われたのでしょう。
その発注はその後どうなるのだろう?これは「翌年度繰り越し」という話なのかな?

6月 13, 2008 at 09:52 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.11

やっぱり出てきた。。地デジ受信機の配付問題

朝日新聞より「地デジ受信機支給へ 生活保護107万世帯に

総務省は、11年7月24日までにすべてデジタル化される地上波テレビ放送を視聴するための専用チューナーなどの受信機器を、経済的に購入が厳しい生活保護世帯に現物支給する方針を固めた。
全国で約107万世帯が対象で、1台5千円の簡易チューナーが開発された場合でも、支給額は50億円を上回る。(橋田正城)

地デジ対策を検討する総務省の委員会が10日、支援策についてほぼ合意に達した。

関係者によると、会合では生活保護の受給基準には当てはまらないが、経済的に厳しい世帯への普及対策も必要だとする意見が相次いだ。現物支給の対象はさらに広がる可能性がある。早ければ来年度にも実施する見通しだ。

対応テレビへの買い替えなど地デジは視聴者の自己負担が原則だが、経済的な事情で対応機器の購入がままならず、視聴できない世帯が生じる可能性がある。
テレビ放送は生活に必要な情報を提供しており、地デジへの完全移行までに必要な対策を講じなければ、日常生活に支障を来す恐れもあった。このため、総務省の委員会で金銭的な支援策を検討してきた。

委員会では(1)支援対象は、経済的な困窮度の高い人に限定する(2)アナログ放送を受信している人が11年度以降も地デジを視聴できるための措置に限る――ことを原則として議論してきた。 具体的には生活保護世帯や、NHK受信料の全額免除世帯(約140万件)、高齢者のみの世帯(約840万世帯)、障害者世帯(約600万世帯)を支援対象として検討。まず生活保護世帯に支援策を打ち出すことにした。

支給方法については、現金、現物、クーポン券の3種類を検討したが、現金配布は「過去に例がなく、本来の目的と違った用途に使われるおそれがある」との意見が大勢を占め、「最もシンプルで合理的な支援策」(委員)である現物支給でまとまった。アナログ放送用のテレビも専用チューナーを取り付ければ、地デジ放送が視聴できる。

総務省は5千円程度という低価格チューナーの開発を電機メーカーに求めている。現在、量販店で主流の2万円程度のチューナーが支給される場合は、支援総額は214億円となる。

地デジについての低所得者対策は、27日に開かれる情報通信審議会(総務相の諮問機関)で第5次中間答申として提出される。その後、総務省が8月末までに細部を詰めて、来年度予算の概算要求に盛り込む。

07年度末の地デジ受信機の世帯普及率は43.7%。増田総務相は今後3年間で、低所得者対策や高層ビルの陰で生じる難視聴施設の改修費など2千億円規模の対策が必要になるとしている。

我が家は、ケーブルテレビですから電波の上では地上デジタルもヘチマもないわけです。
東京タワー方面がすぐに山といった感じなので、もともとテレビが見がたい。

仮定の問題として、ケーブルテレビが地上波を放送していない場合(地上波は電波で受信しているとする)には、地上波受信の設備を付けただろうか?と考えると、今の時点ではやらないように思います。

わざわざ地上波を見るためにお金を掛ける値打ちは無いだろう、という感じですね。

実際には、ケーブルテレビを利用して地上波も地上デジタル放送も見ることが出来ますが、普通の地上波放送をほとんど見てません。
ハイビジョンは見ている、ケーブルテレビ専用の放送は見ている。なのです。

ハイビジョンに関してもテレビを替えてハイビジョンを見たということであって、必ずしも放送局の番組を見るためとは言いがたい。

テレビ放送は生活に必要な情報を提供しており、地デジへの完全移行までに必要な対策を講じなければ、日常生活に支障を来す恐れもあった。

なんだか「見ることを義務づける」といった感じがしますねぇ。
こんな事なら、インターネット設備を配付する方が、電子政府を目指すとも言っているのだから、妥当ではないでしょうか?

地上デジタル放送ってどういう意味があるのだろう?
電波の利用だけを考えれば、衛星デジタル放送の方がコスト総額は安くなるように思うのですがね。

6月 11, 2008 at 08:05 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2008.06.09

沖縄県議会選挙・与野党逆転ではあるが

朝日新聞より「沖縄県議選、自公過半数割れ 高齢者医療への反発響く

沖縄県議選(定数48)が8日投開票され、県政与党の自民、公明は公認、推薦を合わせても過半数に届かなかった。

後期高齢者医療制度などをめぐる有権者の反発が激しく、支持を広げられなかった。就任から1年半を迎える仲井真弘多知事は厳しい県政運営を強いられることになり、米軍普天間飛行場の名護市移設など基地問題にも影響が出るのは必至だ。

自民、公明両党の公認、推薦候補は各選挙区で苦戦。改選前は27議席を占めた与党系は、定数の半数(24議席)に達しなかった。一方、改選前20議席だった野党系は順調に票を伸ばし、初めて公認候補を擁立した民主も議席を獲得した。

政党別の獲得議席は自民16、民主4、公明3、共産5、社民5、地域政党の沖縄社会大衆2、そうぞう1、諸派3で、無所属が9。無所属のうち与党の推薦は3人、野党の推薦が6人。

投票率は57.82%で、前回の58.72%を下回り、過去最低だった。

今回の県議選で野党各党は告示前から党首クラスの幹部が繰り返し沖縄入り。後期高齢者医療制度を争点に据えた選挙戦を展開した。国会に同制度の廃止法案を提出し、県議会での与野党逆転が制度の廃止につながると訴えてきた。

仲井真知事は、県議選の争点を「県政に対する評価」と位置づけ、自ら街頭に立って与党系候補を応援したが、後期高齢者医療制度などをめぐる政府・与党への逆風をかわしきれなかった。

少数与党になる仲井真知事は今後、予算編成などで、野党側に一定の譲歩を迫られることになる。知事が推進の立場をとっている普天間飛行場の移設をめぐっては当面、県議会の同意や了承が必要となる局面は予定されていないものの、野党各党はそろって県内移設に反対しており、仲井真知事は難しいかじ取りを強いられそうだ。

沖縄県議会の過半数は25に対して、選挙前の与党系の議席は27でした。
それが野党系が26になった、ということのようです。

与党系・野党系の他に中立勢力がかなりの数でその勢力の動向で議会の決定が動いていくのは、今までと同じ事のようです。

何よりも、投票率が史上最低で無投票当選の選挙区もあったとのことですから、新聞が騒ぐほどの話題にはなっていなかったとも言えそうです。
後期高齢者医療問題が、政治的な課題であるのは確かですが、それがストレートに県議会選挙の結果に影響するとは言いがたいのではないでしょうか?

6月 9, 2008 at 09:18 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.05

憲法違反

東京新聞より「婚外子訴訟逆転勝訴 これ、夢だよね

出廷した十四人の裁判官が退出し壇上の扉が閉まると、大法廷を埋めた原告や支持者に拍手が広がった。親の事情で日本国籍が得られず、差別され続けた子どもたちに四日、国籍取得の道を開いた最高裁大法廷判決。
「これ、夢だよね」。原告の女の子は喜びのあまり、信じられないという表情を見せた。
数万人に上るとされる同じ境遇の子どもたちに、ようやく光が差す。

「すごくうれしくて言葉にできない」。日本国籍の取得が認められた子どもたちは判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見。こぼれそうな笑みを浮かべたり、目を潤ませたりしながら、裁判を戦ってきた母親や支援者らに謝意を表した。

可能性が広がった子どもたちの将来。小学五年(10)は「日本人でしかかなえられない夢。警察官になりたい」とほおを緩め、時折涙ぐんでいた中学三年(14)が「結婚が楽しみになった」と照れると、母親(46)が「まだ十四歳だよ」とたしなめ、笑いを誘った。

女優になりたいという小学六年(11)は「私のために頑張ってくれてありがとう」と母親への感謝の言葉を口にした。会見の終わりには、子どもと母親らがフィリピンのタガログ語で「フィリピン人移民、万歳」と心を一つにするように声を上げた。

■国籍法の改正法務省検討へ

「真正面から違憲と言われたものをそのままには…」。父母が結婚していないことを理由に日本国籍を認めないとした国籍法の規定を憲法違反とした四日の最高裁大法廷判決の判断を受け、法務省は法改正を含め検討に乗り出した。

ただすぐに法改正できるわけではない。今回の原告と同様に日本国籍ではない子どもは数万人いるとされるが、現時点で国籍取得申請をしても法務局では当面、窓口で申請書を預かるしかないとみられる。

最高裁で一九七三年に違憲判決が出た尊属殺人罪の規定は、九五年の刑法改正で削除されるまで条文上は残っていた。「尊属殺人罪を適用せずに、殺人罪で起訴すればよかった」(法務省幹部)との事情があった。だが今回のようなケースでは、法改正まで違憲とされた国籍法三条一項を適用し国籍を認める必要があり、通達などによる救済は困難とみられる。同省民事局は「トラブルにならないよう対応したい」としている。

■認知に3年以上 母の願いかなう

食品包装工場で働くリリベス・アンティキエラさん(41)=神奈川県相模原市=は、小学六年の長女ジェイサさんの日本国籍が認められたことに「良かった」と涙を流し支援者と抱き合った。

マニラ近郊の生まれ。母は病身で、家計を助けようと一九九一年に観光ビザで来日。不法滞在して働いていた先で、日本人男性と知り合った。

妻子の存在を隠していた男性は、結婚するとうそをついた。妊娠が分かると「おれの邪魔をするな。おまえとは関係ない」と音信不通に。おなかの中にジェイサさんを宿していたリリベスさんは途方に暮れた。

故郷の家族にも言えず、独りぼっちで出産。二カ月で夜の仕事に復帰し、必死で働いた。逃げた男性に胎児認知をさせることなど思いも寄らなかった。支援団体が男性を捜しだし、裁判で認知させたのはジェイサさんが生まれてから三年以上たっていた。

八〇年代に入ると興行ビザの発給やバブル景気で、アジアを中心に大勢の外国人女性が出稼ぎで来日するようになった。ジェイサさんと同じ境遇の子が数多く生まれ、その数は数万人以上ともいわれる。

同じ日本人の父から生まれたのに、なぜ妊娠中の認知だと日本人と認められ、生まれた後の認知だと認められないのか。今もどう考えても分からない。

リリベスさんは、ジェイサさんを一人で育てている。祖国には母子家庭で食べていける仕事はない。日本で生まれ育った娘はフィリピンでの生活になじめない。

自分に何かがあったら日本国籍のない娘が生きていけるか、不安で胸が張り裂けそうだった。学校で「ガイジン」と仲間外れにされて泣かされても、自分には心配をかけまいと黙っている、歌とダンスが好きな優しい娘が無事に生きていけるように…。その母の願いがかなった。

<過去の大法廷違憲判決>

最高裁大法廷がこれまでに、法律について憲法違反と判断した判決は次の通り。

■尊属殺人を死刑または無期懲役にするとした刑法の重罰規定は、一般の殺人に比べ刑が極端に重すぎ不平等とした判決(1973年4月4日)

■薬局の新規開設を制限する薬事法の規定が職業選択の自由を侵害するとした判決(75・4・30)

■衆院選で選挙区により著しい「一票の格差」が生じたとして、公選法の定数配分規定が不平等だとした2件の判決(76・4・14、85・7・17)

■森林の細分化を抑えるために共有林の分割を制限した森林法の規定は財産権を侵害するとした判決(87・4・22)

■郵便法の規定が、損害に対する賠償の範囲を一部制限しているのは、国に対する賠償請求権の保障に反するとした判決(2002・9・11)

■海外在住の日本人が衆院選の小選挙区と参院選の選挙区で投票できないのは選挙権を保障した憲法に反するとした判決(05・9・14)

大法廷が違憲判決を出したこと自体が「事件」とも言えますが、東京新聞の記事を取り上げたのは最後にある複数の違憲判決との対比を考えるのにはちょうど良いだろうと思うからです。

確かに、親の結婚や父親の認知が出産後か出産前かで国籍が取得できたり出来なかったりというのは仏に考えてもおかしいし、世界的も例がないのと言われて当然でしょう。

しかしそれが法律に決められていたわけで「法務省は法改正を含め検討に乗り出した」のも当たり前です。

時代の変化につれて法律も変わらなくてはいけないのは当然ですが、根本的に疑義がある酔うことについては広く議論するべきでしょう。
どうも日本はここらヘンの議論が上手ではないし、その一方で出来た法律を改正する意欲に少々欠けるところがあるようにも思うところです。

6月 5, 2008 at 09:16 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2008.05.28

オンブズマン・監査請求問題

長崎新聞より「裏金返還、長崎市争う構え 長崎地裁で第1回口頭弁論

長崎市の裏金や目的外使用の補助金などを職員に返還させるよう求めた住民監査請求が棄却されたのは不服として、市民団体「ながさき市民オンブズネット」が、総額約三千五百八十万円の公金を職員に返還させるよう田上市長に求めた住民訴訟の第一回口頭弁論が二十七日、長崎地裁(須田啓之裁判長)であった。

市側は訴えを棄却するよう求める答弁書を提出、争う姿勢を見せた。また、地方自治法では住民監査請求を経た人でなければ住民訴訟を提起できないが「原告の一人は監査請求を経ておらず、訴えは不適法」などとして一部却下も求めた。

具体的な主張については「追って行う」としたが、市側は弁論後に「市に損害は与えておらず職員が返還する必要はない」とした。

訴状によると、「市の損害に当たる」と指摘しているのは裏金や目的外使用の被爆者支援事業費など計約三千五百八十万円。一業者が複数業者の見積書を偽造する随意契約の不正「見積もり合わせ」約一万五千件(総額約三十七億円)についても「法令違反で官製談合の温床になる」として契約無効を主張している。

弁論後、ながさき市民オンブズネットの代表は「答えになっておらず、裁判を長引かせることしか考えていない。きちんと反論したい」と話した。

何だかよく分からない話ですが

  1. オンブズマンが住民監査請求を市に求めた
  2. 市は関西請求を棄却した
  3. オンブズマンは市長に棄却したことに対して、職員に3580万円を返還するように求める訴訟を起こした。
  4. 市は裁判で争うとした
  5. オンブズマンは「裁判で争うのは長引かせるためだ」と発言

ということのように見えます。

そもそも住民監査請求が棄却されたから、返還請求というのあり得ないでしょう。
返還する金額が確定するのは、監査請求の結果で決まることですから、これでは監査請求は建前であって返還が目的だとなってしまいます。

もちろん目的が返還でありそのために監査請求を起こすのは当然ではありますが、監査請求が棄却されたから返還請求では目的のためには手段を選ばず、というのと同じ事のように思えます。

その上、市側が裁判で争うとしたことを「答えになっていない」とはどういう事なのだろう?

一業者が複数業者の見積書を偽造する随意契約の不正「見積もり合わせ」約一万五千件(総額約三十七億円)についても「法令違反で官製談合の温床になる」として契約無効を主張している。

何気なく見逃してしまいますが、37億円を一万5千件で割ると一件当たりの金額は24万6千円です。

このレベルの見積について、見積合わせがあったのか?という調査をするための費用がどれほどの金額になるのでしょうか?

一体これはどういう事なのだ?

5月 28, 2008 at 09:20 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2008.05.20

続・300日と30年、法務省のバカ者

「300日と30年、法務省のバカ者」の続きです。同じく毎日新聞より「300日規定:無戸籍の女性-子に同じ思いイヤ

「これ以上、私と同じ思いをさせたくない」。離婚後300日規定により無戸籍となった兵庫県の女性(27)は、自分と同じ無戸籍となる可能性の高い子供の出産を控え、不安な思いを毎日新聞の取材に訴えた。初めて明らかになった母親と子供の「2代に及ぶ無戸籍」。無戸籍児家族の会は20日午前、鳩山邦夫法相と面会し、女性のケースなどを例に規定の早急な見直しを求める。

戸籍も住民票もない女性。私立幼稚園には通えたが、自治体は女性の母親に「小学校には入れない」と説明した。しかし、同じ集合住宅にいる子供は小学校に通う。ふびんに思った母親が校長と掛け合い、入学がかなったのは、3年生の年齢になってからだった。

入学して1年生と同じ授業を受けたが、3カ月後に3年生に編入され、授業についていけなくなった。「1年生に帰れ」。同級生の言葉に傷つき、学校から足が遠のいた。女性は中学でも、あまり学校に行けなかった。高校には行っていない。

小学校の同級生の男性(27)と再会したのは数年前。それまで家に引きこもりがちだったが、そのころから母親の仕事を手伝うようになった。男性とは07年夏、家族だけでささやかな式を挙げた。その日に婚姻届を出す予定だったが、前日に母親から無戸籍と告げられた。

「事実婚」とならざるをえなかったが、女性は「結婚して一緒の姓になるはずだった」と言う。07年秋に妊娠が分かり無戸籍はより切迫した問題になった。保険証もなく、帝王切開になった時の医療費の負担も心配になり、今月に入り家族の会に相談を持ちかけた。【工藤哲】

◇代々続く異常 早急に対策を

「無戸籍の人が子供を産めば、その子もまた無戸籍なってしまう」。無戸籍児の存在が明らかになり、関係者の間では懸念は以前からささやかれていた。今回のケースは、こうした事態が現実になったことを示している。

戸籍法は、出生届に「父母の名前と本籍」の記載を義務付ける。このため、母の戸籍がなければ出生届は受理されず、子供は無戸籍とならざるをえない。女性の母親が、前夫との裁判を経て女性の無戸籍を解消しない限り、無戸籍は代々続くことになる。

無戸籍児の社会問題化により07年以降は行政サービスの徹底が図られ、女性が受けた不利益は改善されてきている。ただ最も公的な証明である戸籍への記載について、300日規定で多くを占める「離婚前妊娠」の場合は従前と変わりがない。

このため、今回の母親のように前夫を巻き込んだ裁判ができない場合などで無戸籍児という状況は今も変わらない。国会や行政は、異常な状態を改めるべく対策を早急に講じるべきだ。【工藤哲】

正に「300日と30年、法務省のバカ者」で指摘したことは、工藤哲記者の主張である「国会や行政は、異常な状態を改めるべく対策を早急に講じるべきだ」そのものであって、法務省のバカ者の存在は国を危うくするものに他ならないだろう。

国内に自然に無戸籍者が増加するなんてのが国と言えるのか?

5月 20, 2008 at 10:44 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (5) | トラックバック (0)

300日と30年、法務省のバカ者

毎日新聞より「300日規定:無戸籍の女性、出産へ 出生届け不受理か

離婚後300日規定により親の出生届が受理されずに無戸籍となった兵庫県内の女性(27)が妊娠し、6月中旬に出産する予定であることが分かった。

戸籍法は、出生届に母親の本籍地記載を義務付けている。地元自治体も「現状では出生届は受理できない」としており、生まれてくる子供も女性と同様に無戸籍となる可能性が高い。

無戸籍となった人が出産するケースが明らかになるのは初めて。

女性の50代の母親は、前夫の暴力などが原因で離婚。離婚から73日後、後に再婚した男性との間に女性を産んだ。母親は、規定を覆す手続きの複雑さや、前夫に居所を知られたくない事情から、前夫を巻き込んだ裁判をすることが難しい状態だった。このため女性は無戸籍となり、小学校には4年間しか行けず、医療関係のサービスも受けられず、選挙の投票もできなかった。

女性は昨年夏、小中学校の同級生の夫(27)と結婚式を挙げたが、戸籍がないため婚姻届を出すことができず、事実婚の状態。昨年秋に妊娠が分かり、順調なら6月中旬に出産する。不安に思った女性は今月、地元自治体に相談したが、「母親の戸籍がなければ、子供の出生届は受理できない」との対応だった。女性は「子供にまで自分がした苦労はさせたくない」と話している。

法務省民事局は「無戸籍となった人が出産する例は今まで聞いたことがない。どうすべきか今後検討したい」と話している。【工藤哲】

法務省民事局は「無戸籍となった人が出産する例は今まで聞いたことがない。どうすべきか今後検討したい」
今後って、すでに30年経っているわけでだから子供の世代の問題になった、孫の世代まで引っ張るつもりなのか?

どう考えても「実情が大問題だから、至急検討する」しか見解としては無いだろう。

5月 20, 2008 at 10:08 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.07

海峡横断6事業棚上げ

日経新聞より「海峡横断6事業棚上げ、国交省方針

国土交通省は大規模な橋やトンネル工事を伴う道路計画「海峡横断プロジェクト」を棚上げする方針を固めた。

計画は神奈川県横須賀市と千葉県富津市を結ぶ「東京湾口道路」など6カ所。
道路建設への批判を受け、採算の見込めない大規模事業をようやく見直す。今後は「10年間で59兆円」という道路整備の中期計画の圧縮が焦点となる。

海峡横断プロジェクトは1998年に閣議決定し、建設を前提に調査してきた。中期計画には含まれない道路計画で、国交省は6カ所とも着工年度や完成年度、建設費など具体的な整備計画を公表していない。
これまで道路特定財源から68億円の調査費が費やされてきた。

6つの海峡横断プロジェクトとは

Up

だそうです。

東京新聞が特集記事「【道路を問う】」の第3部で「怪しい優先順位<中> 懲りない大橋の夢 海峡連結構想 採算遠く」にまとめ記事を書いています。

旧日本陸軍の要塞(ようさい)があった和歌山市の加太(かだ)岬。丘の上にある国民休暇村からは、二つの無人島を挟んで淡路島が見える。

「あそこから見ると近いでしょ。だから淡路島まで橋を架けられそうな気になるんだろうな」と地元の土産物店主(48)。

加太岬と淡路島・洲本市(兵庫県)を橋で結び、神戸淡路鳴門自動車道と接続する構想がある。地域高規格道路の候補路線、「紀淡連絡道路」だ。完成には、神戸淡路鳴門自動車道の明石海峡大橋(三千九百十一メートル)をしのぐ超・長大橋の建設が必要となる。

一九九八年の全国総合開発計画(五全総)に、紀淡連絡道路の名前が挙がった。加太の老舗ホテル従業員(56)は「確かにその前後は盛り上がってた。漁業権を高く売るなんて景気のいい話もあった。でも今は皆、忘れてる。夢だよ、夢」。

対岸の淡路島・洲本市。「地方分権というならそれなりの環境も必要だ」と柳実郎市長(62)は紀淡連絡道路の必要性を訴える。だが、市民からの要望は「非常に低い」と率直に認める。明石海峡大橋についても「宿泊観光客が減り、神戸への買い物客が増えて地元商店街に悪い影響がある。これでよかったのかという思いはある」と複雑な表情だ。

大阪・兵庫・和歌山・徳島の二十五市町でつくる「紀淡連絡道路実現期成同盟会」事務局の吉増健・和歌山市交通政策課長も「機運はかなり冷めてますわ」と認める。ではなぜ、同盟会は存続しているのか。「まだ国が調査を続けているから、こちらからは…」と言葉をのみ込んだ。

国土交通省は九四年、紀淡連絡道路や東京湾口道路、伊勢湾口道路など六カ所で、「海峡横断プロジェクト」を地域高規格道路の候補路線と位置付け、延々と調査を続けている。これまでに道路特定財源から投下した調査費は約六十八億円にも上る。

中でも、国交省の天下り先の財団法人「海洋架橋・橋梁(きょうりょう)調査会」は、過去六年間で約八億円の調査業務を随意契約で受注してきた。同財団は旧建設省道路局長だった理事長をはじめ、国交省や旧日本道路公団幹部OBが理事や監事に十一人も名を連ねる。収入の大部分は道路財源からの委託事業。常勤の専務理事の給与は約千八百万円とみられる。

財団の幹部は受注額や職員数など一切を「答えられない」と繰り返し、「わが社はアカデミックな団体。海峡プロジェクトを推進していたわけではない」と語る。

瀬戸内海に三本の長大橋を建設して三兆八千億円もの借金を抱え、民営化に際して一兆五千億円近い税金が投入された旧本州四国連絡橋公団。一兆四千四百億円の建設費をかけながら、当初見込みの利用者数を大きく割り込んでいる東京湾アクアライン。長大橋道路は採算性からみれば、ことごとく失敗した。

それでも、今月末に閣議決定される見通しの国土形成計画には「湾口部、海峡部等を連絡するプロジェクトについては、熟度に応じた取り組みを進める」と、抽象的ながら構想を維持しようとする文言がある。過去の失敗を顧みず、税金による巨大プロジェクトに固執する道路官僚の「無謀な夢」は、いまだついえてはいない。

<国土形成計画>

国土整備の長期計画として1962年から5次にわたった全国総合開発計画(全総)に代わってつくられる計画。個別事業名を挙げて国主導で開発を推進してきた全総から転換し、国土形成計画は指針のみを掲げ、具体的な計画は全国を8ブロックに分けた広域地方計画で決める。

川崎木更津間のアクアラインと、倉敷坂出間の瀬戸大橋は通ったことがあります。
特に木更津方面にはフェリーを利用して割とちょくちょく行っていた時代もあったのですが、その後東関東自動車道が使えるようになりますと、首都高利用で不便を感じなくなりました。

結局、フェリーで交通需要がまかなえるところに道路を作っても交通量が増えるわけではない、という当たり前のことを証明したのでしょう。

改めて、6つの海峡横断プロジェクトの図を見ると「橋が架けられるところはどこか」を基準に計画したとしか思えませんね。
それでも「棚上げ」なのですから「中止ではない」と言い張るのじゃないでしょうか?

トラック便などのためには、高速道路などは必要不可欠であると思いますが、人の移動についてはもっと航空機利用が使えないかと考えています。
首都圏で見ますと、飛行場は現在でも20キロぐらいに一ヶ所はあります。意外と密集しているわけです。

これをもっと計画的に増やして、例えば東京大阪間を数カ所の飛行場同士を結ぶようなネットワークを作り、小型旅客機で頻繁に運行する、といった方式の方が道路と新幹線を拡大するよりも安いのではないか?と考えています。

4月 7, 2008 at 10:18 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.03.28

矢祭町の選挙騒動

福島民友新聞より「町長の給与削減案否決 矢祭町議会で「辞職の意味込め」

議員報酬の日当制導入を決めた矢祭町の古張允町長(67)が同町議選後に当選者に「当選祝い」として現金を配った問題で、古張町長は27日の臨時議会の開会に当たり謝罪したが、辞職する意思はないことを明確にした上で、自らの処分として3カ月間の給与50%を削減する条例の改正案を追加提出した。町議会は反対6、賛成2(欠席1)の反対多数で否決した。

古張町長は議会開会直前、「議員、町民に大変な迷惑を掛けた。前町長、議員が町民と一体となって築いてきた日本一の矢祭町を揺るがせたことを反省している」と語った。進退については「力の限り全身全霊を持って町政発展のために取り組む」と続投の決意を述べ、「自ら律する」ためとして給与削減案を示した。条例改正案の審議では、議員3人が反対、2人が賛成討論を行った。

議案を否決した議員は「給与の減額だけで済まされる問題ではない。ことの重大さを分かっていない」と指摘し「議会は良識ある判断をした。町長には(辞職を)自身で判断してもらいたい」「辞職の意味を込めた否決だった」などと話した。

町議会選挙の当選者に町長が当選祝い金を出したというのは、かなり問題だと思いますが、それ以上に矢祭町というか町長が行政改革で有名なところに注目しています。

記事にもあるとおり、議員報酬を日当制にしていますがそれ以上にものすごい方針で進んでいます。
「矢祭町集中改革プラン(平成17~21年度)」(PDF)に詳細な報告がありますが、ネット上でも矢祭町の行政改革については賞賛する記事が多数あります。

行政改革のポイントは、周辺自治体と合併しない、町行政の合理化、行政サービス時間のなどの大幅な拡大、などがあります。

これらの革新的な行政改革を実施したのが前町長の根本良一氏で、2007年4月に勇退して副町長の古張允氏が無投票当選で町長に就任しています。

このようないきさつを見ますと、今回の町議会の微妙な対応も何となく理解できるところですが、人口6700人の自治体が自立していけるというのはなんとも頼もしいところで、また町議会議員の日当制度も広まるべきだと考えますから、色々な意味でうまく収まって欲しいものです。

3月 28, 2008 at 12:01 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

暫定税率の処理は

八重山毎日新聞より「ガソリン価格、沖縄は現行通りの可能性 暫定税率期限切れ問題

復帰特別措置で適用受けられず、離島は価格転嫁の恐れも

復帰特別措置法の問題で、ガソリン税の暫定税率廃止後も現行価格が維持される可能性がある県内ガソリン1リットル当たり25.1円を暫定加算したガソリン税(揮発油税、地方道路税)の暫定税率の期限切れが31日に迫っているが、県内では期限が切れた場合でも、暫定税率分の価格が安くならない可能性があることが26日、石油業界関係者の話で分かった。

石油元売りが、復帰特別措置法の網がかかった沖縄は、同暫定税率撤廃の適用を受けないと判断。4月1日以降も従来通りの価格で出荷する方針を示しているという。

また、同税率撤廃が適用された場合は、離島への海上輸送費補助が打ち切られ、その分が価格に転嫁される可能性もあり、離島ではいずれも、同税率撤廃の恩恵は少なくなりそうだ。

国内のガソリン税は、揮発油の場合、暫定税率の25.1円を含め、1リットル当たり53.8円の税金が課せられている。県内では、復帰特別措置法でこれより7円減額し、46.8円とする特別措置が取られている。

県では、これに価格調整税として1.5円を加算して徴収。本島から離島への海上輸送費として補助している。

石油元売りが、沖縄は暫定税率の適用を受けないと判断したのは、復帰特別措置法のガソリン税の軽減等のなかで「租税特別措置法第89条の第2項の規定にかかわらず…」とする文言。

89条2項は暫定税率を加味したガソリン税の税額を定めたもので、復帰特別措置法が優先された場合、租税特別措置法の変更の有無にかかわらず沖縄の税率は変更されないというものだ。

これに対し、県内からは「復帰特別措置法の趣旨に反する」との反発があり、国が態度を示さないなかで、石油業界では対応に苦慮している、と言う。

ただ、石油元売りが、法の解釈を変えず、4月1日以降も現行税率のままで出荷する場合は「ガソリンの安定供給のため仕入れなければならない。その分をかぶることはできない」(県内石油業界関係者)としている。

一方、暫定税率廃止が県内でも適用された場合は、離島への海上輸送費の財源がなくなることから、県が輸送費補助を打ち切る可能性も浮上している。

業界関係者によると、本島から石垣までの海上輸送費は1リットル当たり5~7円。竹富町や与那国町などの離島へは、さらに輸送費がかさみ、輸送費補助が打ち切られると、それがすべて価格に転嫁されることにもなりかねない。

また、旧税率の在庫が卸元を含めて約2週間分程度あるとみられることから、店頭での価格変動は在庫処分の後となる見通し。

ガソリン税の暫定税率の期限切れが目前に迫っていますが、総額2兆6千億円にものぼるのですから、こんな影響もあるということですね。

突然起きた問題ではないのだから、今ごろになってバタバタしている行政も国会も国民から見放されつつあるわけで、こんな事では治安すら信用できないとなります。

民主党案の「完全減税案」も実際問題として不可能なのは明らかで「いったどうするつもりなのか?」が国民のあらゆる階層の一致した見解でしょう。

政治が国民に見捨てられつつあるといっても間違えではないでしょう。

3月 28, 2008 at 11:10 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.27

オンブズマン?

サンケイ新聞地方版より「委員会傍聴不許可訴訟で請求棄却 横浜地裁

横浜市議会の委員会が傍聴を不許可としたのは地方自治法が定める会議公開の原則に反し、「傍聴を求める権利」の侵害にあたるとして、市民団体「よこはま市民オンブズマン」メンバーの男性(68)が同市を相手に、30万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は26日、請求を棄却した。

三木勇次裁判長は判決理由で、「地方自治法のいう会議公開の原則には委員会が含まれるとは解されず、モニター放映など委員会審議の公開性を高めるための処置がなされている」などと指摘した。

判決によると、男性は平成18年9月、横浜市会の「都市経営・行政運営調整委員会」の傍聴許可申請書を提出したが、委員会の採決により反対多数で不許可となった。

市議会の委員会の傍聴不許可に対して損害賠償請求訴訟を起こしたというのはちょっと驚きですが、こんな報道もあります。

神奈川新聞より「主張に理由なしと監査委員/秦野市議選めぐる住民監査請求

昨年8月に行われた秦野市議選の選挙運動公費負担で過大請求があったとして「はだの・いせはら市民オンブズマン会議」が請求した住民監査について、市監査委員は24日までに監査結果を通知。
監査委員は報告書で「請求人の主張には理由がない」と判断した。

同会議は、刑事告発も視野に今後の方針を検討する。

これもよく分からない話です。

選挙運動の、公費負担分について過大請求があった、というのは普通に考えて公選法違反とか、特定の候補者の問題でしょう。
だから刑事告発もあり得るわけです。

それを監査請求するというのは、どういう意味があるのでしょうか?

なんか監査請求とういうものが錦の御旗になっているような気がします。

3月 27, 2008 at 11:05 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.22

広島県知事の選挙疑惑

中国新聞より「県議名閲覧を許可 藤田知事後援会「対策費」疑惑

藤田雄山広島県知事の後援会政治資金不正事件の裁判記録開示をめぐり、広島地裁は二十一日、知事の元秘書らが「一九九七年の知事選で金を渡した」などと広島地検に供述した県議、県議経験者ら十七人の実名閲覧を県議会に認める決定をした。県議会は二十四日に主要会派の代表者会議を開き対応を協議する。

決定によると、十七人のうち十一人は、実名閲覧を許可しない地検への不服を県議会が申し立てた昨年三月時点の現職で、申し立てに賛成し、閲覧による不利益も甘受する意思を示している▽公的地位にあり、地位にかかわる事柄の調査、批判への受忍範囲は一般人より大きい―と判断した。

残る六人も「(知事選当時は)公職に就き、一定の調査、批判は甘受すべき立場」とし地検による実名閲覧の不許可を取り消した。

地検は、実名閲覧について「氏名が一人歩きする」「仮に公選法違反でも既に時効が成立して捜査はできず、疑いだけで落選などの不利益の恐れがある」と主張した。決定は「県議会には個人情報保護条例などの規律があり、必ずしも氏名が一人歩きするとは言えない」などと退けた。

記者会見した県議会の林正夫議長は「申し立てのほとんどが認められた。(対応は)二十四日に各会派の代表者会議を開き、みなさんのご意見を聞いて決めたい」と説明。藤田知事は「司法の場で判断、決定されたものでありコメントは差し控えたい」との談話を発表した。

地検の信田昌男次席検事は「開示するか、最高裁に特別抗告するかどちらかになる。決定の理由などを詳細に検討し、早急に対応を決めたい」としている。

地検が抗告しなければ、議会は訴訟記録を閲覧する予定。ただ、議会は地裁への不服申し立てで、県議の実名は真否が判断されるまで内部資料にするとしており、公開されるかどうかは不透明な情勢だ。(長田浩昌、門戸隆彦)

実名閲覧を求める広島県議会の不服申し立て

藤田雄山広島県知事後援会の政治資金不正事件で、元秘書が1997年の知事選をめぐり、当時の県議17人の名前と金額を記したメモに基づき、広島地検に「金を渡した」などと供述。地検は2006年9月の裁判記録開示で県議会にこの調書の閲覧を認める一方、県議の実名は伏せるなどしたため、昨年3月12日に申し立てた。

藤田雄山 ( ふじた ゆうざん ) 広島県知事のプロファイルが広島県のHPにあります。

昭和57年9月
(~平成元年6月)
元参議院議長藤田正明秘書
平成元年7月参議院議員(広島選挙区)に当選
平成5年11月広島県知事に当選(当時全国最年少)
平成9年11月広島県知事に再選
平成13年11月広島県知事に再選
平成17年11月広島県知事に再選

問題になっている選挙が、1997年ですから3回前の平成9年の選挙のことです。

確かに検察の主張する「いまさら時効だし」というのはその通りですが、議会「やるものを検察が特別抗告してまで止めるとなるとそれ自体が「どういうことだ?」となりそうです。

この事件については全く知らなかったのですが、以下が事件化した始まりだそうです。

広島地検が2005年11月、藤田雄山知事後援会の元事務局長の自宅を捜索した際、1997年の知事選に関する元秘書の手書きメモを押収。県議15人の名前と金額が記載され、10人は今も現職とされる。地検の調べに元秘書は「メモが残っている以上は話すべきであると思う」と現金提供を供述した。地検は、元事務局長がワープロ打ちした別のメモも押収。元秘書の手書きメモにはない県議3人の名が含まれ、元秘書はこのうちの2人に30万円ずつ渡したと供述している。2人が今も現職かどうかは分かっていない。

その後の動きは、2007年5月29日付けの中国新聞が特集記事を作っています。「<特集>強制捜査から1年半 知事選 疑惑の構図

藤田雄山広島県知事後援会の政治資金不正事件は、知事選をめぐる県議への対策費や自民党県連への上納金などの疑惑を次々に浮かび上がらせた。知事、議会とも疑惑解明を目指してきたが、議会での関係者の証言などは実現せず、真相は今も闇の中で県民の政治不信もぬぐえていない。広島地検の強制捜査から29日で1年半。4回の知事選をめぐる疑惑の構図と、知事、県議会の取り組みを検証する。(荒木紀貴)

▽知事の取り組み 元事務局長ら説得続く

二〇〇五年十一月の事件発覚後、「事実が判明した時点で県民に説明したい」と繰り返してきた藤田知事。当初は、元後援会事務局長と面談を重ねたが、裏金の使途は聞き出せず県民に説明できない状況が続いた。

昨年九月の裁判記録開示で、過去の知事選での買収工作を認めた元秘書の供述調書の存在が明らかになると、知事は元秘書の聴取も模索。だが、説明は拒まれたとし、昨年十二月に参考人として出席した県議会調査会では、事実関係は「分からなかった」と連発した。

知事の調査が進みだしたのは、昨年末に県議会が一回目の辞職勧告を決議してから。元事務局長と元秘書が一転して説明を始めたとして、知事は今年二月、元事務局長が「桧山俊宏元県議会議長から暗に金を要求された」と訴えていることも公表した。

同月の県議会定例会で知事は、元事務局長が調査会への出席を内諾したと明言。元秘書も出席の準備をしていると述べた。だが、答弁の一週間後、元事務局長は出席内諾を撤回した。桧山氏が所属する自民党議員会が知事に「名誉を棄損した場合には直ちに法的手法を取る」と通告したことなどを理由に挙げた。

四月の県議選後、議長に選ばれた林正夫氏は今月二十一日、知事に最大限の努力を要請。知事も記者会見で二人の説得を続ける考えを強調した。六月二十一日開会予定の定例会までに、事態を打開できるか否かを議会側は注目している。

▽議会の取り組み 知事の調査結果待ち

事件は当初、藤田知事の個人後援会が舞台だった。しかし昨年二月、検察側が初公判で「毎回の知事選で各種議員へ対策費と称して現金を支払うなど多額の出費が必要だった」と指摘し、事態は一変。県議会を巻き込む展開となった。

県議会は昨年三月に調査会を設置。全県議から自己申告書の提出を受けたが、全員が金の受け取りを否定した。さらに、(1)有罪判決が確定した元後援会事務局長(2)県議への対策費提供を供述した元秘書(3)自民党県連への上納金疑惑で名前が浮上した元県連会長代行の桧山俊宏元県議会議長― の三人に出席を求めたが、いずれも拒否された。

昨年十二月にまとめた報告書は「対策費や使途不明金は明らかにできなかった」としている。

疑惑解明を果たせないまま迎えた今春の県議選では、事件が争点として浮上。自民党系の現職十人が落選した。最大会派だった自民党議員会は離脱者も相次ぎ、所属議員を改選前の二十八人から十四人に減らした。

改選後の今月十八日、主要会派による代表者会議では、早期解決を目指す方針で一致。林正夫議長は知事に面会して最大限の努力を尽くすように要請した。県議会としての今後の取り組みは「知事の調査結果をみて協議する」としている。

(1)期目 参院議員から転身 対策費2、3億円配る?

一九九三年の知事選は参院議員から転身を図った藤田知事が、現参院議員の亀井郁夫氏(広島)や元県教委教育長ら四人と争う激戦だった。開示された元秘書の供述調書によると、知事陣営は票の取りまとめや不評を抑える目的で、国、地方の政治家らに計二、三億円の対策費を配ったという。

「金の出所は藤田家から出たと言うくらいにしてほしい」「使った先は国、地方のバッジ族、関係諸団体」―。元秘書の供述調書は知事選の「舞台裏」を記す。一方で「それぞれの政治生命など重要な問題を多数はらむ」とも述べ、金を渡した相手に関する具体的な供述は拒んでいる。

元秘書は昨年十月、県議会調査会に提出した文書で「法に抵触したことは間違いありません」と回答。参考人招致はずっと拒否している。

(2)期目 事実上の「無風」 メモには17県議の名前 自民県連に上納金渡す?

一九九七年の知事選は共産党系候補との一騎打ちで、藤田知事が大差で再選された。事実上の「無風」だが、元秘書の供述は、「円満に選挙を終えるため」の対策費が三、四千万円に上り、自民党県連には上納金を渡したとする。

裏金の物証がほとんどない中、対策費を渡したという県議十七人の名前と金額を記したメモが元事務局長の自宅から押収された。元秘書は供述調書で「メモが残っている以上話すべきである」とし「折に触れて現金で渡したように記憶している」と述べた。

十七人には、今年四月の改選前まで現職だった十人も含まれていた。ただ、地検は県議の実名を伏せて開示したため、県議会は三月に広島地裁に不服を申し立てた。地裁の判断は、まだ下っていない。現金の受け取りは全県議が否定している。

自民党県連への上納金疑惑は、元秘書が「元事務局長から聞いた話」として三千万円を渡したと供述。だが、県連側は全面否定し、藤田知事も四月の記者会見で「元秘書、元事務局長とも『三千万円を持って行ったという覚えはない』と断言した」と述べ、供述調書と大きくくい違う。

(3)期目 共産候補下す 県連幹部が増額を要求?

共産党候補を大差で下した二〇〇一年の知事選でも、自民党県連への上納金疑惑がくすぶる。

元秘書の供述調書は「元後援会事務局長から聞いた話」として「県連に千五百万円を渡した」と記述する。さらに「信頼できる人から聞いた話」として、県連会長代行だった元県議会議長の桧山俊宏氏が第三者を介して三千万円の増額を求めてきたとしている。

藤田知事は今年二月に元事務局長の聴取結果を公表。桧山氏から知事選前に「参院選が三千万円だから知事選は五千万円かのお」と言われた―との説明を受けたと明かした。実際の金の授受は答えなかったという。

一方、桧山氏は関与を全面否定。県連の中川秀直前会長も今月の県連大会で、上納金疑惑について「調査の結果、事実を裏付けるものは見当たらなかった」と述べた。

(4)期目 初の政治資金パーティー 裏金の使途なお闇の中

知事選を二年後に控えた二〇〇三年十二月、知事後援会は四選に向けた活動資金を集めるため、初めての政治資金パーティーを開いた。八千六百万円を集めたが、県選管には収入が五千万円だったと報告。差額の三千六百万円を裏金にしていた事実が明るみに出た。

裏金の使途について、元事務局長は供述調書で「表に出せない活動費に使った」と説明しただけで、黙秘を続けた。県議会調査会の参考人招致も拒否し、裏金が流れた先は謎のままだ。

県議の一部は今年一月、元事務局長が裏金を私的流用したとして業務上横領容疑で地検に告発。元事務局長は調査会に提出した文書で「いわれない告発だ」と反論した。

●クリック 藤田雄山知事後援会の政治資金不正事件

4期目の任期に入った2005年11月29日、広島地検が強制捜査に着手。03年の政治資金パーティーで8600万円を集めながら、県選管には収入を5000万円と過少報告したなどとして、当時の後援会事務局長が政治資金規正法違反罪で起訴され、禁固1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定した。初公判で検察側は、毎回の知事選で県内の各種議員に対策費と称して現金を渡していたと指摘。裁判終了後、知事や県議会が裁判記録の閲覧を請求し、地検が約1000ページ分の記録を開示。対策費は1993年の1期目の知事選で2、3億円▽2期目が3、4000万円▽2、3期目には自民党広島県連に上納金が渡った―とする元秘書の供述調書が明るみに出た。

最終的に確認されていないとは言えここまで大きな話になっているとは驚きです。
2005年11月に広島地検が事務局長の自宅を捜索したというのは前回の知事選挙に絡んでの捜査ですね。
そして次の選挙は2009年11月に予定されていますから、現時点でほぼ1年半前だとなります。

こうしてみると、すでに次の選挙への影響を考えるべき時期になっているわけで、今後どういう展開になるのか興味深いです。

3月 22, 2008 at 09:27 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.21

座間市長7戦不出馬に

神奈川新聞より「米軍再編で座間市、早期決着へ/星野市長は7選不出馬固める

任期満了に伴う九月の座間市長選で、県内首長最多の六期目を務める星野勝司市長(65)が出馬しない方針を固めたことが二十日、分かった。健康上の不安などが理由とみられる。市長は懸案の米軍再編について、これまで堅持してきた反対姿勢から柔軟路線に転じ、残り約半年となった任期中に「決着をつけたい」として、国側による基地恒久化解消策の提示を待って最終調整に入る。

市長の出馬をめぐっては、座間市に隣接する大和、厚木両市長がいずれも四選を目指したものの落選したことから、後援会幹部の多くが七選を不安視したことも背景にあるとみられる。

同市長は、市議会三月定例会最終日の二十一日、進退を正式に表明する。今後は星野市長による後継指名の有無や、各会派による独自候補の擁立の動きに焦点が移りそうだ。

一方、米軍再編で市長は、キャンプ座間(座間、相模原市)への米陸軍第一軍団前方司令部の新設が「基地恒久化につながる」として反対を堅持してきた。しかし、市長と同じ反対の立場で再編交付金の対象外となっていた山口県岩国市に二月、容認派の市長が誕生。星野市長が本州では唯一の反対派となっている。

こうした状況の中で、市長は昨年十二月、「防衛は国の専管事項と存ずる」などと市議会で発言。防衛省は「一定の理解をいただいている」(幹部)と話すなど、市長の反対の姿勢が軟化していると判断。今月中にも、市長が当初から求めてきた恒久化解消策を提示する方針だ。

恒久化解消策の是非は今後、地元市議や町内会長らでつくる「基地強化に反対する座間市連絡協議会」(会長・星野勝司市長)が最終判断する見通しだが、その内容次第では再び態度を硬化させる可能性もあり、予断を許さない情勢だ。

市長は、一九七二年に座間市議に初当選し、三期を務めた後、八四年の市長選で初当選。二〇〇五年から全国基地協議会副会長を務めている。

市長の任期は4年ですから24年間も市長の交代がなかったことになります。

1972年に市議会議員に当選ですから36年前の話ですね。
それで現在65歳ということは、29歳からずっと市議会議員・市長を務めてきたことになります。

ここまで来ると選挙制度の根幹にも疑問が出てきてしまいそうです。
いくら有能な首長であっても16年とか20年といった長期間を務めるのは問題じゃないでしょうか?

3月 21, 2008 at 11:53 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.06

後席シートベルト高速では義務化

サンケイ新聞より「高速道の着用違反は減点1 自動車の後部座席ベルト

自動車の後部座席のシートベルト着用を義務付ける改正道交法が6月に施行されるのを前に、警察庁は6日、高速道路での違反に対し行政処分の点数1点を科すなどとする政令案をまとめた。

一般道での違反には処分はなく、後部座席の同乗者がけがなどでシートベルトができない場合は、着用義務の免除対象となる。

現在、70歳以上のドライバーは車に高齢者マーク(もみじマーク)を付けることを努力義務としているが、75歳以上の高齢ドライバーについては表示を義務化。付けなかった場合は初心者マークの表示義務違反と同様、行政処分の点数1点と4000円の反則金を科す。

また、自転車は車道通行が原則だが、政令案では、13歳未満の子どもと70歳以上の高齢者らは歩道走行をできるようにした。接触などの危険がある場合には、子どもや高齢者でなくても歩道走行を認める。

そもそも現在のシートベルト着用義務はどうなっているのか?と考えてしまいました。

わたしが免許を取った頃には、シートベルトは義務ではなくその後「高速で義務化」といった具合に段階的に義務化されてきました。
それで「今はどうなっていたっけ?」なのです。

道路交通法で「シートベルト」で検索したら見つからない、座席ベルトでした。
道路交通法 71条の3 普通自動車等の運転者の遵守事項

第七十一条の三  (普通自動車等の運転者の遵守事項)

自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない
ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

2  自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席の横の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この条において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3  自動車の運転者は、他の者を運転者席の横の乗車装置以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転するときは、その者に座席ベルトを装着させるように努めなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

4  自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

「運転者席の横の乗車装置」が助手席ということですね。
だから高速道路一般道を問わず、前席ではベルト着用義務があるですね、

これに対して、今回の改正では「後席は高速道路に限って、後席もシートベルト着用が義務づけられた」ということでしょう。
タクシーに配慮したのかな?

もうちょっと分かりやすい法律に出来ないものでしょうか?

3月 6, 2008 at 11:50 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

政治家のインターネット知らず

Matimulogさん経由で奥村弁護士の見解さん、さらに弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」さんでも取り上げられているのが「有害サイト:閲覧を「18歳以上会員」に規制…自民法案」(毎日新聞

残虐性が高かったり犯罪を誘発しかねない「有害情報」に、青少年(18歳未満)がインターネットで触れないようにする法案の原案が5日明らかになった。自民党が議員立法を目指すもので、サイトの管理者に対し、閲覧を18歳以上の会員に限るよう義務付ける。携帯電話会社には有害情報を遮断するフィルタリングサービスの利用を原則、青少年との契約条件に加える。違反した事業者への罰則も盛り込んだ。ただ、有害性の線引きを国に委ねることや規制自体に慎重論もあり、引き続き議論して今国会への法案提出を目指す

議員立法は、自民党の「青少年特別委員会」(委員長・高市早苗前少子化担当相)が検討してきた。

法案は「有害情報」について

  1. 性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼす
  2. 残虐性を著しく助長する
  3. 犯罪を著しく誘発する
  4. 薬物乱用など健康を害す行為を著しく誘発する
  5. 特定の青少年へのいじめに関する情報で著しく心理的外傷を与える恐れがある
  6. 家出した青少年に非行などを著しく誘発する

--と定義した。

これをもとに、具体的な基準を作成するため内閣府に「青少年健全育成推進委員会」を新設し、ネット上の情報を「選別」する。

その上で、基準に該当するとみなした情報が書き込まれたサイトの管理者には、閲覧を18歳以上の会員制にするよう義務付ける。インターネットの接続プロバイダーにも、サイト管理者に会員制化を促すよう求める。インターネットカフェには、18歳未満の客にフィルタリングソフト付き端末を利用させるよう義務付ける。

さらに、総務相は、違反したプロバイダーや携帯電話会社に是正命令を出せると規定。従わない場合は「6月以下の懲役か100万円以下の罰金」とした。ただしサイト管理者は、「個人で運営し、サイトに書き込まれた情報をすべて把握できないケースがある」として罰則の対象から外した。【堀井恵里子】

こんな乱暴な「意見」で何とかなると思っているのがひどい話だと思うが、Matimulogさんは出だしから

奥村弁護士の見解で知った自民党の「青少年の有害情報閲覧防止法案」原案だが、馬鹿丸出しではないのか?

中日新聞サイト:青少年のアクセス防止法案 有害サイトで自民、罰則も

これがまた、あの高市早苗委員長をいただく青少年特別委員会の作だ。
これだけで既に悪寒がするというものだが、内容はぶっ飛んだもののようだ。

町村先生は温厚な方なんですがねぇ・・・・。それで奥村弁護士はというと

「性、暴力、自殺、売春、麻薬、いじめに関する表現で「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を阻止しないと懲役ですって。

もう、なんでも来い!

落合弁護士

「有害」情報の定義が上記のようなものでは、ありとあらゆる情報が「有害」認定されかねないでしょう。
例えば、本ブログでも、性、暴力、自殺等々、様々な話題を取り上げ、かなり生々しいことも言ったりしていますが、見方によっては「青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」という認定を受けかねません。

有害というのは、かくも曖昧かつ広範囲に及びかねない概念であり、しかも、そういった情報を「18歳未満の者が閲覧できなくするような措置を義務化」するということになると、日本全体を、国民が国民を監視する監視国家化することにすらなりかねず、国民が、有害情報を閲覧させたと言われないかどうか身を潜めながら生きることにすらなりかねないでしょう。

あまりに広範囲にわたって起きている問題について法律で取り締まることが出来るとしてもごく一部しか取り締まることが出来ない、という情況は多々起きています。
身近な実例としては自動車の速度違反でしょうか。ほとんど全ての道路で速度違反なのですが、取り締まっているのはごく一部だししかもかなり大幅な速度違反の場合がほとんどで現状は社会的に妥協しているといったところでしょう。

誰もでもやってしまうようなことを取り締まるのはかなり難しいのでしょう。アメリカの禁酒法は「誰でも守れる法律」ということだったようです。

社会にとって取り締まる対象になるのは、ごく少数の問題であるべきである程度一般化しているよう問題を後から取り締まるなんて考えても無理です。

こういう常識で見た場合に、この自民党の案は「インターネットの情報はごく一部でしか使われていないから取り締まること出来る」という発想が前提になっているのではないか?と思います。

もう一つ不思議に感じるのは、この種の法律がプロバイダが会員管理しているという前提に立っているようですが、パソコン通信時代の管理者であったわたしには、プロバイダが管理しているのは通信の接続だけであって流れる情報の中身ではない、と考えています。

パソコン通信時代だって、情報そのものを見て削除するといった仕事は強烈に大変でありました。
それをインターネットのように格安で使えるときにどうやって管理しろというのか?となります。

まあ、情報の削除なんて面倒なことは出来ないから、プロバイダは線を引っこ抜くのが本来業務としての通信の遮断でしょうね。

結局のところ、この「案」は出来ないことを出来るとした上で出てきているわけで、現実的ではない。

何よりも、管理コストの激増をどうするのだ?

一方で、インターネット利用を促進しつつ、問題については取り締まれとして、その矛盾によって生じるコストについては何も述べない。
これでは政治と言えるのか?

こんなバカなことを言い出すのなら「インターネットは良くないから全面停止にするべきだ」と主張する方がよほどすっきりすると思うのだが。

3月 6, 2008 at 11:04 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.04

立候補 → 自己破産??

読売新聞より「選挙費用返せず自己破産、国民新・福田氏債権者が党提訴へ

昨年の参院選群馬選挙区(改選定数1)に国民新党公認で立候補し、落選した福祉ボランティア団体代表の福田晃治氏(43)が、選挙事務所費などを支払えずに自己破産を申し立てることになり、債権者のうち1社が近く、国民新党を相手取り、約450万円の損害賠償を求める訴えを前橋地裁高崎支部に起こすことが3日、わかった。

福田氏の代理人弁護士によると、福田氏の債務は、選挙費用などとして支援者や金融機関などから借りた約6100万円と、選挙事務所設置費などの未払い金約800万円。先月下旬、前橋地裁に自己破産を申し立てることを決めた。

提訴するのは、プレハブの選挙事務所を設置してリースした同県高崎市内の機械卸会社。代理人の弁護士は「福田氏の選挙事務所は比例選で党の政策を訴える拠点でもあり、党本部に民法上の使用者責任がある」と主張している。国民新党事務局は「党は法的な契約にかかわっておらず、責任を負う立場にない」としている。

福田氏は、昨年の参院選で国民新党が選挙区に擁立した公認候補9人の1人。民主党からも推薦を受けたが、自民党候補に敗れた。

参議院選挙ですから、選挙区は全県一区です。県内に何ヶ所か事務所を置くようなことをすると大変で、参議院選挙は選挙区選挙であってもとても厳しいものです。

それにしても、合計6900万円の借金をしても当選したら返済できるという見通しがあったのでしょうか?

わたしが関わった選挙は地方選挙ですから大変だとされる参議院選挙とでは掛かる費用とは大違いかもしれませんが、所詮は候補者は一人なのですから同じような規模の選挙事務所を県内各所につくるなんてことはナンセンスです。

さらに、県会議員レベルの選挙ですら人集めが大変でこれは国会議員選挙であっても一人で集めたのでは県会議員の選挙とあまり変わりはないでしょう。
政党支部が動く場合は全然違います。

県会議員や衆議院の選挙区選挙と参議院の選挙区選挙で一番違ってくるのは、ポスターなど印刷物の政策と配付ですが、これだって違ってくるのはせいぜい100万200万レベルだろうと思います。

こんな風に考えると、常識的には選挙費用の実態は1000万円前後で2000万円を超えることはあまり考えられない。
それが6900万円というのはどういうことなのでしょうか?また銀行などは、なぜそれほどの多額の貸し出しを実行したのでしょうか?

なんか巨額寸借詐欺(?)のような印象ですね。

選挙では元々人件費はほとんど掛かりません。ボランティアを法律で強制されていて、日当を出すと公選法違反になってしまいます。
同様に、連絡などに使う自動車についても、持ち込みがほとんどで宣車にできる1台か2台についてだけガソリン代と看板やスピーカーなどの装備が選挙費用になります。

事務所も短期契約ですから、うまく探せば3ヶ月で数十万円であるでしょう。
どうやれば6900万円になるのだ?

3月 4, 2008 at 11:16 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.12

法務省のすごいページ

奥村徹弁護士の見解さんに紹介されていた記事「[児童福祉法]成人の刑事事件は廃止へ」のリンク先を見にいって驚いた。

リンク先は法務省の「 (H20.2.12)法制審議会少年法(犯罪被害者関係)部会 第4回会議 議事録・資料」なのだけど内容がこうなってます。

Up

こんな事になっておりました。
拡大すると分かりますが、奥村弁護士が紹介したリンクは、議事録のTXT版でした。
その結果は、横に延々とスクロールしないと見えないものになっていた。

PDF版と対応するのは、html 版じゃないのですかねぇ?
そもそも横に延々とスクロールするテキストは html のソースでしょうが。

PDF版を印刷すればよいということでしょうが、スクリーン上で見るという観点からは「どうしてやろうか?」と考えてしまいますよ。

なにしろ、PDFで表示してみると23ページにもなる大作です。
TXT版の文字数は、3万字を超えています。テキストに改行を入力して読もうと思っても無理というものです。

一体このテキストをどう使えというのでしょうか?

何をやっているのだ?法務省。

2月 12, 2008 at 11:12 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (6) | トラックバック (0)

ロシア爆撃機登場の背景は

2月9日の7時頃にロシア空軍の戦略爆撃機 Tu-95 が日本の領空を侵犯しました。
このニュースは政府がロシアに抗議し、その後ロシアからは領空侵犯していないと回答がありましたが、その後入ってきたニュースがあります。

AFP BB より「ロシア爆撃機が米空母の上を低空飛行

【2月12日 AFP】米国防当局関係者は11日、ロシアの戦略爆撃機「ツポレフ95 ベア」2機が9日、西太平洋を巡回中の米海軍の原子力空母ニミッツの上空を高度2000フィート(約609メートル)の低空で通過したために、同空母のF-18戦闘機をスクランブル発進させたことを明らかにした。

同関係者によると、日本の南を飛行中だったロシアの同爆撃機は9日朝、「ニミッツに向かって針路を変えた。そして空母搭載の戦闘機が緊急発進した」。

F-18は、この爆撃機が同海域を離脱するまで、誘導を行った。

「F-18とロシア爆撃機との間では、会話のやり取りは一切無かった」と、同関係者は語っている。(c)AFP

日本で領空侵犯をしたのと同じ9日にニミッツ接近したというわけです。
「へ~ニミッツねぇ・・・」と思っていたのですが、ニミッツのニュースを思い出しました。

長崎新聞より「米原子力空母ニミッツが初の佐世保寄港

米海軍のニミッツ級原子力空母ニミッツ(九一、四八七トン、マイク・C・マナジール艦長ら約四千八百人乗り組み)が十一日、佐世保に初めて寄港した。

全長三百三十三メートルの甲板などに航空機約六十機を搭載したニミッツは、同日午前八時三十七分、港中央部にいかりを下ろした。海上保安庁の巡視船や米軍警備艇など約二十隻が警戒する中、佐世保地区労などの抗議船二十七隻が「“核空母”は出て行け」などとシュプレヒコールを上げ、ニミッツを周回した。市中心部でもデモ行進し「佐世保の“準母港化”反対」などと訴えた。

放射線測定結果に異常はなかった。

ニミッツを中心とする空母攻撃群のテリー・ブレイク司令官は艦内で会見し、寄港の目的を「乗組員の休養や物資補給」のほか「西太平洋地域の平和と安定のため」と強調。在沖縄海兵隊員が少女に暴行したとして強姦(ごうかん)容疑で逮捕された事件に関連し、上陸する乗組員への対応を聞かれたマナジール艦長は「乗組員は市民との交流や日本文化に触れるのを楽しみにしてきた。一人一人がアメリカの大使だ」と乗組員の自重に期待する姿勢を見せた。

ニミッツは十五日午前十一時ごろ出港予定。横須賀基地で定期修理に入る通常動力空母キティホークに代わり、西太平洋で警戒任務に就く。

今年は、佐世保に日本で初めて原子力空母が寄港した「エンタープライズ事件」(一九六八年一月)から四十年。原子力空母の佐世保寄港は昨年二月の同級のロナルド・レーガンに続き通算九隻目。

2月11日の朝に佐世保に入港しています。

2月9日朝日本領空侵犯事件。
ニミッツ上空進入事件。
2月11日朝ニミッツ佐世保に入港。

という展開だったのです。
何で今ごろ東京急行なのか?と不思議であったのですが、ニミッツ(原子力空母の横須賀母港化)問題に対してのロシアの意思表示だと受け取れば分かりますね。

2月 12, 2008 at 02:11 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.02.06

規制だけなのか?民主党

「奥村徹弁護士の見解」さん経由、マイコミジャーナルより「"自殺サイト"など「有害情報」定義明確化、閲覧防止義務付け - 民主議員案

民主党はこのほど、今国会へ提出を予定している違法・有害情報の規制法案のたたき台となる案をまとめた。同党の「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム(PT)」事務局長の高井美穂衆議院議員が私案としてまとめたもので、有害情報の定義を明確化して規制のための法的根拠を示したほか、プロバイダーに対して閲覧防止措置を義務付けており、違反した事業者に行政指導を行う根拠となりうる内容となっている。

高井議員は、違法・有害情報の青少年に与える影響が大きくクローズアップされ始めた2006年、「出会い系サイトにアクセスして青少年が被害に遭う場合は圧倒的に携帯経由が多い」との認識から、未成年が契約者の場合にフィルタリングサービスを受けるか否かを携帯事業者が保護者と未成年に意思確認をすることを義務付ける「電気通信事業法の一部を改正する法律案」を議員立法で提出した(今国会で継続審議中)。

その後も、「携帯電話経由で閲覧した出会い系サイトが原因となって犯罪の被害に遭う青少年の数が減っていないことや、『闇の仕事人』などのような犯罪に誘引するサイトが後を絶たないなどの現実から危機感を強めた」(高井議員)結果、自らを含む民主党議員16人が昨年末に立ち上げた違法・有害サイト対策PTの事務局長として、私案をまとめた。

私案の作成にあたっては、表現の自由や、閲覧制限が検閲にならないかなどについて、党内の勉強会を通じて検討し、「インターネットの自由な発展の阻害とならないような法案づくりを心がけた」(同)という。

同案では、これまで定義付けが難しいとされてきた有害情報の定義について、

  1. 児童に対し、著しく性的感情を刺激する情報
  2. 児童に対し、著しく残虐性を助長する情報
  3. 児童に対し、著しく自殺又は犯罪を誘発する情報
  4. 特定の児童に対するいじめに当たる情報であって当該児童に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの

と明確化、いわゆる"自殺サイト"や"学校裏サイト"などについても、規制の対象としている。

また、サイト開設者とプロバイダーに対しては、違法・有害情報の「閲覧防止措置」を義務付けた。サイト開設者に対しては、自ら管理するサイト上に違法情報が掲示されていることを知った場合には同情報の閲覧防止措置(同措置として削除を想定)、自ら管理するサイト上に有害情報が掲示されていることを知った場合は、フィルタリングソフトの稼動対象とするための「セルフラベリング(有害情報であることの表示)」の実施など、有害情報が児童に閲覧されないようにするための措置を義務付けている。

また、プロバイダーに対しても、「自らがインターネットに接続する役務を提供するサイト上の違法・有害情報」について、サイト開設者同様の措置を義務付けている。

さらに、保護者の責務として、児童によるインターネット上の違法・有害情報の利用を防止するため、フィルタリング導入などの措置を義務付けると同時に、携帯電話事業者に対しては、保護者がフィルタリングソフトを稼動させないよう申し出た場合などを例外として、原則フィルタリングソフトを稼動させなければならないとしている。

これらの点に関して高井議員は、「これまでは違法・有害情報の基準がなく無法状態だったが、有害情報の定義により、悪意のあるサイト開設者やプロバイダーへの抑制効果が期待される。また、こうした情報の削除に応じないサイト開設者やプロバイダーに対して、行政指導を行う根拠ともなりうる。フィルタリングに関しては、携帯事業者が認めた公式サイトしか閲覧できない現状のホワイトリスト方式だと、SNSなどのコミュニティサイトを閲覧できなくなるというような問題もあり、同方式の見直しも含め、今後の精度向上を期待している」と話している。

法案の日程については、「今回の私案について、党の違法・有害サイト対策PTで議論した後、3月中には民主党案を作成したい。自民党も同様の法案を考えているということなので、できれば衆議院青少年特別委員会での委員長提案による議員立法とするなどして、一緒にいい案を作っていきたい」(高井議員) としており、今後の展開が注目される。

奥村弁護士は

著しく~を刺激・助長・誘発する情報

って、程度が計れない要素について、いかにも絞り込んだように「著しく」という要件をとってつけたようですね。

と評していますが、その他もかなりすごい(ひどい)ようです。

取り上げられているような課題がなぜ現状なのか?という判断をしていないのではないか?という気がします。
「規制するべきだ」「規制すればなんとかなる」「大々的に規制する」という流れしかないです。

そもそも「児童に有害な情報」だけをインターネット上でどうやって遮断するのか?という問題を抜きにして「児童に有害だから、インターネット上に情報を出してはいけない」という発想でない、という説明になっていないように思いますね。

これを考えるから「有害情報の定義が出来なかった」のであって、情報そのものが一般常識の範囲で有害であるという認定は比較的簡単です。
情報ネットワークが機能するためには「一般常識では不要」なんていう乱暴で粗雑な考えでは全くダメです。
個人的な経験や判断がいかに危ないかという例では、以前某有名作家が「学校卒業以来二次方程式なんて使ったことがない」と個人的な経験だけで、数学教育を批判したことがありました。

こんな例で分かるとおり、情報についての評価を「一般常識」とか「学識経験者」なんてところで決めてはいけない。

被害防止にもっと焦点を当てるべきで、発信側を規制する指向がダメですね。

2月 6, 2008 at 10:00 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.04

児童ポルノ禁止法を改正するのか?

読売新聞より「児童ポルノ 単純所持にも罰則規定を、法相が検討の意向

鳩山法相は4日の参院予算委員会で、児童買春・児童ポルノ禁止法について、現在は禁止されていない児童ポルノの単純所持にも罰則規定を設けるなど改正を検討すべきだとの意向を明らかにした。

法相は「児童ポルノは性的虐待と密接に絡んでいる。厳しくていい。(単純所持に)罰則があっていいと思っている」と述べた。福田首相も「(児童ポルノを)許容する社会は決して誇るべき社会ではない。しっかりと手を打たなければならない」と指摘した。有村治子氏(自民)の質問に答えた。

同法が1999年に超党派の議員立法で成立した際、児童ポルノの単純所持について、罰則なしの禁止規定を設けることが検討されたが、プライバシー侵害にあたるなどの反対意見が強く、禁止規定は設けられなかった。しかし、シーファー米駐日大使が1月30日付の読売新聞朝刊の寄稿で「日本の国会が同法を改正し、所有を違法とするよう期待する」などと指摘するなど、海外からも法改正を求める声が出ている。

あらら・・・・・
鳩山法相はビックリするようなことばかりやりますね。

以前の「プライバシー侵害・・」は結局は「文化の問題」だということになっているんですよね。
だから単純所持規制は非常に大変で、考えると不可能だになってしまったんですよね。
罰則規定以前に禁止出来るのか?という問題があって、それが以前は突破できなかった、この時の欧米の圧力は大変なものだったそうですが、一気に罰則規定までとなると「出来ますかねぇ?」ですな。

2月 4, 2008 at 10:09 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (12) | トラックバック (0)

横浜市営地下鉄はどうするつもりだ?

読売新聞より「席譲って 横浜市営地下鉄、マナー向上員導入へ

市営地下鉄に全国で唯一、全席優先席を導入している横浜市は、3月に開業する市営地下鉄の新線の車内で、高齢者などに席を譲るよう乗客に声を掛ける「スマイルマナー向上員」を乗車させる。

全席優先席がステッカーや車内放送だけでは、なかなか浸透しないためだ。向上員が声を掛けることで、席の譲り合いを増やしたいという。

新線は、日吉(港北区)―中山(緑区)駅間を結ぶ「グリーンライン」で、3月30日に開業する。向上員は平日の午後2~5時、2人1組で3チームが活動。車両内を行き来しながら立っている高齢者や妊婦らがいると、「どなたか譲ってもらえませんか」と座っている乗客に呼びかける。トラブルにならないよう、各チームには警備員も付く。

向上員は、市営地下鉄を利用している18歳以上からアルバイトとして募集し、作文や面接で約20人を選び、3時間の活動で1500円支払う。

市交通局は「ステッカーや放送だけでは、いつも利用している人は全席優先席を意識しなくなってしまう。譲り合いは強制ではないが、声掛けによってマナーを浸透させたい」と期待する。

ただ、利用者の向上員導入への受け止め方は様々だ。旭区の主婦(56)は「譲ってあげたくても恥ずかしくて言い出せない場合が多く、声を掛けてもらえれば、背中を押してもらえる」と歓迎する。一方、中区の高校1年の女子生徒(15)は「譲るよう言われたら周りに恥ずかしい」と嫌がり、泉区の男性(81)は「席の譲り合いは本来自発的なものなのに、不自然」と首をかしげる。

加藤諦三・早稲田大教授(心理学)は「高齢者や妊婦に席を譲るのは当たり前のこと。(向上員導入は)当たり前のことを直接声を掛けて実行させなければならないところまで、日本の社会が心理的に崩壊していることを象徴している」と嘆く。

全席優先席は、関西の阪急電鉄が1999年に全国で初めて導入したが、浸透せずに昨年10月、廃止した。横浜市は2003年から取り組んでいる。

全くの地元の問題であります。当然、しょっちゅう利用している路線でもあります。

この「全席優先」には結構強く反対したのですよ。地域政治レベルでも反対したした。
もちろん理由は「優先席として機能しないから」でした。反対理由が証明されたとなりますが、まさか人を動員するとは予想してなかった。

市営地下鉄は高い建設費の問題もあって、大赤字です。
ホームドアを導入して、ワンマン運転にしたばかりで、もちろん人件費を削減するとやっているわけで、その反対側で人手を掛けてどうするの?

普通の優先席にシステムにすれば良いでしょう。せいぜい、シートの表皮を取り替えるぐらいのことで済む。
全く、何を考えているのだ。

2月 4, 2008 at 05:29 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2008.02.03

司法試験は右往左往か?その4

東京新聞より「弁護士希望の修習生 3人に1人が就職難 日弁連調査

司法試験に合格し、二〇〇八年中に弁護士登録を希望する司法修習生約二千二百人のうち、八百人ほどが弁護士事務所など就職先をみつけられない恐れがあることが、日本弁護士連合会(日弁連)の調査で分かった。
司法制度改革による合格者急増が理由だが、三人に一人の就職難という数字は関係者に衝撃を与えそうだ。

日弁連は昨年八月から九月にかけ、全国の法律事務所を対象に来年度の求人計画についてアンケートをした。

司法試験に昨年合格し、その後の司法修習を今年中に終了する予定者は二千四百余人。その九割の約二千二百人が弁護士登録をすると予測されている。

ところが、アンケートに基づく推計では来年度の弁護士の求人需要は千四百人。その差、八百人ほどが就職難に直面する懸念が強まった。

同様の求人調査は一昨年も実施され、やはり数百人の求人不足が指摘されたが、その前年は逆に求人数が求職者数を上回っていたため、大半が吸収された。だが、来年度はそうした「持ち越し」もない。

裁判官や検察官も含む法曹人口約二万九千人のうち、弁護士の数は約二万五千人。司法試験の合格者数は九九年には年千人ほどだったが、政府は〇二年三月、司法制度改革審議会の報告を基に司法試験合格者を一〇年までに三千人に増やす計画を閣議決定した。

だが、合格者の質の低下や年収が極めて低い「ワーキングプア・ローヤーズ(法律家)」の存在が注目され、鳩山邦夫法相は先月下旬、一〇年以降の合格者数削減も視野に入れた見直しの検討を明らかにしていた。

  1. 「司法試験は右往左往か?」
  2. 「司法試験は右往左往か?その2」
  3. 「司法試験は右往左往か?その3」

と司法試験合格者の適正数を考えてないのではないか?とする方向で記事を作りましたが、あまり前提が明確ではないとはいうものの継続的に年間3000人の法曹人を養成する理由はないでは?というが結論になっています。

実際の就職見込についてのリポートが出てきたわけですが、需要が1400人というのは、法曹人口が静止状態であると仮定すると2万9千人から1400人が減るからその穴埋めに必要な人数となります。4.8%に相当します。

データの検討以前に、調査自体が全国の法律事務所を対象に来年度の求人計画についてアンケートなのですから、基本的には法曹人口の増加をどう見るか?と考えた場合の、少ない方の数値であろうと思います。

一方で、法律事務所にとっては工場のように初心者でも出来る仕事は少ないでしょうから(誰でも出来るのなら弁護士資格は不要だから)おそらくは法律事務所自体の継続という観点での新人採用は、学校に似ているのではないか?と想像します。
卒業生と同数が入学することで学校は同じ規模で継続します。

そうなると、元々の法曹人口を増やそうという計画に対して既存の法律事務所の意向を調査しても、元々増えない数字じゃないのか?と思うわけです。
単純にいえば、法律事務所が増えて新人放送かが働く場が増えること、が前提で法曹人口全体の増加になっていくわけです。

もちろん、既存の法律事務所の大型化ということでは弁護士法人制度が出来ましたが、今の段階では意外と少ない。
どうも法律事務所の大型化ということも現時点では活発化しているとも言えないようです。

こんな判断で、1400人の求人があるから2万9千人中の4.8%の人が引退するのであれば、年齢層の片寄り具体的には団塊世代の弁護士が意外と多いのかな?とも思えます。

一方では法曹人口も高齢化問題があり、片方では将来の法曹人口の適正数とそれをまかなうための養成計画がはっきりしないというのは、どうしたものでしょうか?

とりあえず無理と思われるのは、年間3000人養成計画でこれは長期間続くとは思えません。
早急にしっかりした法曹人養成計画を作るべきでしょうし、それも「今年は」といった事ではなく、将来の法曹人口の変化に対応するためにそれなりの計画をしっかり作ることが必要だろと思います。

今回の、日弁連の調査はそういう観点では乱暴すぎます。

2月 3, 2008 at 03:52 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.01.25

司法試験は右往左往か?その3

「司法試験は右往左往か?」にチラッと書いたのですが、一人の法曹人が法曹界を引退するまで35年間法曹人と活動するとして
さらに現在の法曹人口が年齢によるバラツキが無いという乱暴な仮定で考えると、
その年の法曹人口の1/35が法曹界から減ります。

法曹人増加計画ですから、この減る1/35を上回る法曹人を養成する必要があります。

一方、法曹人を無計画に増加させるのなら単に司法試験の合格率を上げればよいだけのことなので、もっと計画的に考えると「どのくらい期間で」「何人増やすか」を検討することになります。

当初の2002年に計画が2018年としていますから、15年計画だと仮定します。
その上で、計画定員を達成したら途端に充足数だけの採用に切り替えるというのでは、あまりに激変ですから、緩和曲線としてSINカーブを採用します。
徐々に養成者数が充足数に近づくカーブを描きます。

このような計算を「法曹人5万人」と「法曹人3万5千人」に15年で増加させる計画の表が下記になります。

年度5万人計画養成者数3万5千人計画養成者数
02500025000
1276133327260451760
2301983374270791778
3327253390280901785
4351683378290671780
5375003336300001763
6396953266308781735
7417283168316911696
8435793043324311646
9452252892330901585
10466512717336601516
11478392521341351437
12487762305345111350
13494542071347811257
14498631822349451157
15500001562350001053

現実の司法試験受験者にとっては法科大学院を経ると大学入学時に決断しても、8年がかりですから、15年間では緩和曲線を使ってもこのようにかなり厳しい変化があるのですから、大変です。

法曹人の養成は国家目標の一つであり、かつ単一の試験制度なのですからこの程度の精密な計画が欲しいところですが、そもそも法曹人口を何人にするのかが決まっているという話を聞いたことが無いのですよね。

1月 25, 2008 at 04:17 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

司法試験は右往左往か?その2

「司法試験は右往左往か?」の続きです。
後になってから、ちょっと調べたら平成17年度(2005年度)の法曹三者の総数が見つかりました。

裁判官3266
検察官2473
弁護士21185
総数26924

検察官は以前から少な過ぎると聞いてはいましたが、これほど少ないとは驚きました。

もちろん、裁判所は民事事件の方を扱うことの方が多いわけで、検察官が裁判官よりも多い方が良いとかではないのですが、検察が事件をよく調べて起訴して裁判に持ちこむのかどうかを決めるという観点からも、十分な人員を配置するべきでしょう。

そこで、裁判官を1.5倍、警察官を2倍、弁護を1割り増しとすると

裁判官4900
検察官4950
弁護士23310
総数33160

といった数字が出てきます。
これに対する、年間に必要な養成数は約千人ですね。
継続的に3千人を養成し続けるというのは無理があるでしょう。
そうなると、グランドビジョンといったものをもっと明瞭になるまで検討するべきです。

1月 25, 2008 at 02:35 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

司法試験は右往左往か?

朝日新聞より「司法試験「年3千人」見直し 法務省、合格者減も選択肢

法務省は、司法試験合格者を2010年までに年間3000人にし、その後も増やすことを検討するという政府の計画について、現状を検証したうえで内容を見直す方針を固めた。

合格者の急増による「質の低下」を懸念する声が相次いでいることに危機感を募らせたためで、「年間3000人は多すぎる」との持論を展開している鳩山法相の意向も受け、年度内にも省内で検討を始める。

同省が慎重路線にかじを切ることで、今後の検討内容によっては現在の「3000人計画」が変更され、合格者数を減少させる方向に転じる可能性も出てきた。

裁判官、検察官、弁護士を合わせた法曹人口は約2万9千人。

政府は司法制度改革審議会の報告をもとに02年3月、3000人計画を盛り込んだ司法制度改革推進計画を閣議決定。将来の法曹人口について、審議会は3000人計画の実施を前提に「18年ごろまでには実働法曹人口が5万人規模に達することが見込まれる」と予測していた。

しかし最近、一部の弁護士会が「就職難が起きている」「質が低下する」といった理由で計画への反対を表明。実際に、司法研修所の卒業試験の不合格者が増えたことなどから、法務省内にも「質の維持や需要動向が当初の予測通りでないなら、計画を変えるしかない」との考えが広がっている。

こうしたなか、政府が今春、閣議決定する予定の「規制改革3カ年計画」の改定では、法務省の働きかけにより、法曹人口の拡大について「社会的需要を踏まえた慎重な検討」を促す文言が初めて盛り込まれる見通しとなった。

法務省は「3カ年計画」の改定を受ける形で省内に検討組織を設け、本格的な見直しを始める予定だ。

  1. 司法試験の結果などから、質の低下を見てとれるのか
  2. 企業や自治体などが弁護士を雇用するという需要はどの程度あるのか
  3. 増員が、法律家がいない地域の解消につながるのか

といった項目を検証。
10年以降に合格者数を減少に転じさせることも選択肢に含めて検討を進める。

日本弁護士連合会や法科大学院を所管する文部科学省など、関係機関による検討の場をつくることも想定している。

ただ、計画が変更された場合、法科大学院の入学希望者にも大きな影響が生じることから、法曹志願者や法科大学院関係者からの強い批判も予想される。法務省幹部の一人は「実際に数を減らすのは先でも、結論は早めに出さなければいけない」と話している。

法科大学院が法曹人を送り出し始めたところで、これでは国の政策は信頼出来ませんと宣言しているようなものです。

弁護士が就職難になることが良くないとか、質が低下するといったあまり根拠の説明がない議論には賛成しませんが、3万人の法曹人口の現状に毎年3000人ずつ新人を増やすというのはいかにも乱暴ではないか?と思います。

旧司法試験時代にも法曹人口は少しずつは増えていたわけで、旧司法試験でのあまりに合格率が低く、また長期間受験する人があるということと、法曹人口の増大、アメリカからの「法科大学院制度にするべし」という圧力、などが渾然一体となってしゃにむに現状にしたと言って良いでしょう。

2002年に2018年に2万5千人の法曹人口を5万人にする必要がある

として計画したとすると、15年で2倍にする計算になります。

法曹人が35年間に渡って仕事をするとした場合、年代が一様であれば年間1500人が法曹を辞めるわけで、1500人の法曹人を養成する必要があると言えます。
旧司法試験時代の合格者数を考えてみると、言わば静止人口で法曹人口は増えも減りもしない状態であった、とは言えるでしょう。

一方、2万5千人では足りないとした場合、3万人ぐらいが適正だとすると、860人を養成すれば静止人口になります。

年度合格者数
20061558
20051464
20041483
20031170
20021183
2001990
2000994
19991000
1998812
1997746
1996734
1995738
1994740
1993712
1992630
1991605
1990499
1989506

こうしてみると、適正な法曹人口がどれくらいなのか?という問題と、何年間で適正な人口にするために毎年何人を養成するのか、という数字が必要なのは明らかです。

法曹人口の年齢分布が常に均等で35年で法曹を辞める仮定すると、その時々の法曹人口の1/35が毎年減ります。
3000人を毎年養成して、かつ法曹人口が静止するのは法曹人口が10万5千人の時です。

「毎年3000人」でないのは明らかで、どういう曲線で法曹人口を増やすのか?という話になりますね。

1月 25, 2008 at 11:35 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.07

新石垣空港の多難

八重山毎日新聞社説より「問われる行政の調整能力

「日本最南端の新聞社」と肩書きが付いています。
社説となっていますが、独自取材記事と言うべき内容だと思います。

2008年が幕を開けた。懸案の新石垣空港建設も順調に進み、一見すると順風満帆のようだ。しかし山積している行政課題は待ったなしで、その対応にスピードが求められよう。

例えば石垣市は新年度予算で市営球場の全面改修が認められ、ロッテキャンプの受け入れ条件整備がひとつ前進するものの、現施設の撤去費用のメドはついていない。また新空港ターミナルの事業主体、資金や運営計画もこれからだ。難航しているアクセス道路選定もまとめ、事業化を急がなければならない。

さらに現空港跡地利用計画や真栄里・南大浜地区の都市計画指定、観光基本計画に八島町新港地区の利用計画、都市計画法に基づく景観地区指定の拡大、国立公園編入による国の管理計画との調整、川平公園整備計画など課題は山積みだ。それをいかに迅速に解決して行くのか、まさに行政の調整能力、真価が問われる年なのだ。

特に今年は財政問題が深刻だ。新年度はすでに5億6000万円余もの歳入不足が見込まれている。おう盛な行政需要に財源が追いつかない。切り売りしていた公有財産も残り少なくなった。市税の滞納金は大きく膨れ上がり、徴収にも万全を期さなければならない。行政課題と財源問題を平行して解決しなければならないのである。

■急を要する新空港ターミナル

その中で最も急がなければならないのは新空港ターミナルの事業主体づくりだろう。新空港建設がこのまま順調に進めば2013年には完成・開港する。逆算すると、あと5年しかないのだ。

それまでに運営会社を設立し、施設規模や財務計画をたて、約50億円前後とも言われるビル建設費をメド付けしなければならない。旅客、貨物量とも石垣を大幅に下回る宮古空港でさえ完成までに5年の歳月を要した。輸送実績や需要予測を踏まえると、総力をあげて準備に取り掛からなければならないのである。

新空港をめぐっては、これまで数百回もの要請や陳情を行っているが、いざ着工すると、地元の対応が遅れた。ターミナル建設で開港が延びる、という状況は避けたい。

また新空港と連動するアクセス道路も見通しをつけなければならない。市は事業主体の県に依存せず、ルート選定の合意形成に積極的にかかわり、県をサポートして早期事業化を図ってほしい。

さらに新空港建設地が現空港より遠くなるため、与那国町や竹富町から急患輸送で不安視されており、八重山病院ヘリポート建設の検討も不可欠だ。同病院の現空港移転新築構想を実現するなら、同時に跡地利用と合わせて関係官庁と事前協議を重ね、市の考えを示す必要があろう。

■戦略的な土地活用計画を

このほか市民の関心が高いのは新港地区の土地利用だ。同地区は71ヘクタールもの広大な面積を持ち、石油やガスなど危険物関係施設と総延長1キロメートルの人工ビーチを中心に大型ホテルやグルメタウン、海洋文化歴史博物館、それに水族館などのコースタルリゾート構想を前提に計画が進められ、埋め立て事業はほぼ完了した。 しかしバブル経済の破たんで、いまやテーマパーク的なリゾート開発の実現は困難だ。だがこれに代わる利用計画を見いだせないまま宙に浮いているのが現状で、このままだとこの広大な土地を国から譲り受け、計画のないまま払い下げて財源不足に充てる可能性も否めない。

新たに生じた土地の利用に関して、県内他市は計画をねり、行政主導による魅力的な街づくりを進めている。

北谷町は民活を活用し、県民ばかりでなく観光客をも集める地域を築いた。那覇市は新都心、糸満市はショッピングゾーンをつくり上げている。石垣市が土地利用計画を十数年も修正できないのは、整備費などの財源問題を差し引いても問題が残ろう。 市には今年、ぜひこれらの課題に積極的に取り組んでもらいたい。行政のスピードアップが図れなければ問題を先送りにするだけだ。そのためには職員1人ひとりが厳しい局面をさらに認識し、危機感を持ってほしい。市民がその事務処理にかかわることはできないのである。

いやはや、正直に言ってビックリです。

石垣島の空港問題は長い間もめていて、政府の決断と工事の開始ですぐに新空港が機能するものだと思っていました。
中部国際空港などは工事が完了したら電車が入っているという完成度でした。

それが「ターミナルビルの事業主体がまだ出来ていない」では、どうなるのでしょうか?
今さら空港ターミナルを自治体が作り運営するというのは無理でしょう。
せいぜい第三セクター方式ですか。しかし、純民間でないとこの手の事業は底なし沼のように税金を吸い込んでしまう、というのも良く経験してきたことで自治体などの関与は減らすべきなのでしょうね。

こんな事情があるとは驚きです。

1月 7, 2008 at 11:11 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.06

国会・速記からパソコン入力に

東京新聞より「国会、速記が消える… 新システムに移行へ

国会は、今月中旬に召集される予定の通常国会から、速記による議事録作成の見直しを本格的に始める。
参院は、やりとりを直接パソコンに打ち込む方式を本格採用。
衆院も月内に、音声を自動で文字に置き換える装置を試験的に導入する。
帝国議会ができて以来、百二十年近くの間、名演説や白熱の論戦を歴史に刻んできた速記は、国会から徐々に姿を消すことになった。

現在、国会では、速記者が本会議場では議長席、各委員会室では委員長席の近くに座り、特殊な符号を使って審議を書き取った後、記録部に戻ってパソコンで議事録を作っている。

二〇〇三年度から議事録の速報化の研究を進めてきた参院は、記録部で担当者が院内中継の音声を速度調節しながら聞き、直接パソコンに入力する方式を開発。
当面は、速記と新システムを併用し、段階的に新システムに一本化していく方針だ。

一方、衆院も〇四年から速報化の研究を進めた結果、院内に「音声自動認識システム」を設置。
京都大学学術情報メディアセンターの協力を得ながら、〇九年秋以降の実用化を目指して開発を進めることにした。

音声を自動で文字に置き換えるシステムを使った議事録作成は、既に静岡県沼津市議会や北海道議会などが採用している。

ただ、「衆参両院で違うシステムを開発するのは無駄ではないか」との指摘もあり、最終的に両院の新システムが固まるまでには曲折も予想される。

速記の問題は、裁判所の速記官の問題も出ていますが、音声文字変換は無理じゃないのかな?

と言うよりも、いわゆるディクテーションで音声を直接キー入力するのは日本語ワープロが出来た直後にそこそこの水準に達していて、高速入力専用のキーボードというか端末も出来てます。

何を今さら「開発」とか言い出すのか分かりません。

むしろ問題は、きちんと議事録になるように音から適切に文字に変換することで、かなり難しいことであって、入力できれば誰でも出来るということではないから、結果として速記官と同じような仕事は残ると考えます。
まぁ、速記よりは人数を減らすことは出来るでしょうが・・・・。

1月 6, 2008 at 01:05 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.28

学位商法の実態調査結果

サンケイ新聞より「不正規学位 46校48人 採用・昇進に使用も 文科省初調査

「学位商法の実態調査が始まる」の結果発表ですね。元記事は日経新聞で

研究や教育活動の実体が確認できず、実在するかどうかさえはっきりしない海外の大学で取得した“学位”が、日本国内で大学教員の採用の際などに悪用されている実態を把握するため、文部科学省は23日までに、国公私立大の人事部局を対象にした全国調査に乗り出した。 今秋にも結果を公表する。

こうした海外の大学は「ディグリーミル(DM、学位工場)」などと呼ばれ、米国では取得した博士号などの学位を就職に悪用するケースが問題化。国内でも最近になって大学案内の教員紹介などで、DMとみられる大学・研究機関の学位が十分にチェックされないまま掲載されている事例が表面化している。

調査は
(1)教員の採用、昇進の審査でDMとみられる機関の学位が重要な判断材料になった例
(2)入学案内やホームページなどでこうした学位を公表している例
などについて、該当する教員数などの報告を求めている。

でした。今回のサンケイ新聞の記事

実態のない大学の“学位”を販売する「ディプロマ・ミル」(学位工場、DM)などによる学位商法問題で、公的な認定を得ていない海外の大学などの“学位”を使用している教員が国公私立大学・短大46校に計48人いることが27日、文部科学省の初の実態調査で分かった。なかには、国立大の採用や昇進の条件を満たすために使用された悪質なケースもあった。文科省は「学生を誤解させ、大学の信頼性を低下させかねない」として各大学に注意するよう求めている。

調査は、国内で学位商法問題が注目されたことを受け、国内の国公私立の全大学・短大計1195校を対象に、今年7月から実施。米国や英国、中国など4カ国の安全な大学を紹介する「ホワイトリスト」に登録されていない大学の学位を使用する教員(教授、准教授、講師、助手)の人数を質問していた。

この結果、今年3月末時点で、該当する“学位”を大学の紀要や入学案内、ホームページなどに記載していた教員は、46校で48人にのぼった。学校名は公表していないが、内訳は、国立大10校に10人、公立大4校に4人、私立大28校に29人、私立短大4校に5人だった。

文科省によると、大学は、記載の削除や使用を慎むよう教員へ注意するといった対応をしているという。

また、平成16年度から18年度までの3年間を対象に調査した結果、教員としての採用や昇進の審査書類に記載していたのは、43校48人。内訳は、国立大7校に8人、公立大3校に4人、私立大26校に28人、私立短大7校に8人だった。

このうち、記載した“学位”が、採用や昇進の審査の開始条件だったり、重要な判断要素だったケースが、国立大1校(1人)と私立大3校(3人)であった。各大学では、今後の対応を検討中という。

この問題をめぐっては、大分大学が今年10月、工学部の准教授が採用時に、応募資格である「修士以上の学位取得」を満たすため、公的な認定を得ていない米大学の「修士号」を使用していたとして、雇用契約の取り消しを決定していた。

同省高等教育局は27日付で各大学へ通知を送り、「正規の学位を授与する機関として(学位商法)問題への教職員の自覚を促すように」などと厳正な対応を要請した。

「教員の学位は、大学の信頼度を測る物差しだから、不正規な学位は本来ゼロであるべき。約50人という数字は大きい」。日米の大学事情に詳しいある大学関係者は、調査結果をこうみる。

これまでに、早稲田大学、聖心女子大学といった有名大学も「学位商法」に汚染されていたことが明らかになっていた。文科省が今回、全大学の実態を把握する調査を実施したこと自体は評価できる。しかし、この数字は“氷山の一角”にすぎない。

まず調査対象には、平成15年以前に採用され、18年度までの3年間に昇格しなかった教員は含まれない。また、ホームページなどへの表記は、すでに文科相が調査実施の意向を示した後の時点を調べたため、該当者が削除してしまったケースもあるほか、各種発行物については、学外のものは対象外だった。

「不正な学位の使用者はもっといる」。学位商法問題に詳しい静岡県立大学の小島茂教授はこう前置きした上で、「数字を把握しただけでは、国際的な感覚からすれば生ぬるい。不正な学位を大学から排除し、高等教育の質を高めるためにより毅然(きぜん)とした態度が必要」と指摘する。

米国では、ディプロマ・ミルが横行している事態を踏まえ、厳格な法整備を行ったうえで、行政訴訟や捜査当局による摘発など厳しい対応をしている州もある。日本でも、立法と行政の両面で、この問題により積極的に取り組む時期が来ているのではないか。(池田証志)

■ 学位商法問題学位や称号を販売する機関「ディプロマ・ミル」(学位工場、DM)や、質が低く公的な認定を受けていない大学などが発行する“学位”が、キャリアアップやビジネスに悪用されている問題。米国ではこれらの所持者が捜査当局による摘発や公職追放を受け、社会問題化している。韓国でも逮捕者が出ている。

大学内での使用が50人ですから、一般企業や各種団体、出版上の名目といったところで使われているの10倍20倍だと考えるべきですね。
かなり多いと言うべきでしょう。

間違えなく、大学をはじめとする研究機関などの信頼性を損ねることになります。
社会的に極めて強く非難し、ディプロマミルそのものを詐欺として取り締まるべきです。

一般社会にとって、学位はいわばお札の印刷のようなものでしょう。
学位そのものを疑ることはない。しかし、学位の持ち主の能力が期待はずれであっても、それ自体が大問題にはならない(個別の判断をすればよいのだから)。

これをお札に例えると「どこから持ってきたお札なのかは調べないのが普通」と言うほどのことでしょう。
それが「実はどこかの国のよく見たこと無いお札だが、調べてみたら国が無かった」のような話ですよ。

社会の信用という面からは強力に排除するべきものです。

12月 28, 2007 at 02:02 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.26

国家基本問題研究所なんだって

IZA 阿比留記者のブログより「来年に向けた一つの希望の光、国家基本問題研究所

阿比留記者の記事とはいえブログですから、少々略しますが「国家基本問題研究所」なんてものが出来ていたとは知りませんでした。

案内してもらったのができたばかりの保守系シンクタンク、「国家基本問題研究所」の真新しい事務所でした。
ジャーナリストの桜井よしこ氏と、田久保忠衛・杏林大客員教授らが中心となって呼びかけたものだそうです。

このシンクタンクは18日に約40人が参加して事務所開きをしたばかりだとのこと。
予定では、来年1月に米国による北朝鮮のテロ支援指定国家指定解除に反対する声明を出し、その後、記者会見やパーティーを開いて活動を本格化させるそうです。
将来的には、米国にあるようなときの政権の政策・方針にも影響を与えるような大きなシンクタンクにしていきたいという話でした。現在のメンバーは以下の通りです(50音順、敬称略)。

理事=石原慎太郎、伊藤隆、稲田朋美、遠藤浩一、小倉義人、城内実、斎藤禎、桜井よしこ、高池勝彦、田久保忠衛、塚本三郎、中條高徳、中西輝政、長島昭久、西修、平河祐弘、平沼赳夫、松原仁、屋山太郎、渡辺周 評議員=荒木和博、井尻千男、上田愛彦、潮匡人、梅澤昇平、工藤美代子、佐藤守、すぎやまこういち、芹澤ゆう、立林昭彦、西岡力、春山満、平松茂雄、渕辺美紀 企画委員=桜井よしこ、田久保忠衛、高池勝彦、潮匡人、遠藤浩一、大岩雄次郎、城内実、島田洋一、冨山泰、西岡力

民主党の若手議員が3人メンバーに入っていて、平沼氏も参加しているのが目につきますね。これがどういう意味を持つのか。
官僚はあえて入れなかったそうです。既得権益保護に走ることを警戒したということでしょうか。すでに支援者も集まりつつあるというこどした。
桜井氏恐るべしです。「趣意書」にはこうあります。

《私たちは現在の日本に言い知れぬ危機感を抱いております。緊張感と不安定の度を増す国際情勢とは裏腹に、戦後体制から脱却しようという志は揺らぎ、国民の関心はもっぱら当面の問題に偏っているように見受けられます。平成19年夏の参議院選挙では、憲法改正等、国の基本的な問題が置き去りにされ、その結果は国家としての重大な欠陥を露呈するものとなりました。

日本国憲法に象徴される戦後体制はもはや国際社会の変化に対応できず、ようやく憲法改正問題が日程に上がってきました。しかし、敗戦の後遺症はあまりに深刻で、その克服には、今なお、時間がかかると思われます。「歴史認識」問題は近隣諸国だけでなく、同盟国の米国との間にも存在します。教育は、学力低下や徳育の喪失もさることながら、その根底となるべき国家意識の欠如こそ重大な問題であります。国防を担う自衛隊は「普通の民主主義国」の軍隊と程遠いのが現状です。

「普通の民主主義国」としての条件を欠落させたまま我が国が現在に至っている原因は、政治家が見識を欠き、官僚機構が常に問題解決を先送りする陋習を変えず、その場凌ぎに終始してきたことにあります。加えて国民の意識にも問題があったものと考えられます。

私たちは、連綿と続く日本文明を誇りとし、かつ、広い国際的視野に立って、日本の在り方を再考しようとするものです。同時に、国際情勢の大変化に対応するため、社会の各分野で機能不全に陥りつつある日本を再生していきたいと思います。そこで国家基本問題研究所(国基研・JINF)を設立いたしました。

私たちは、あらゆる点で自由な純民間の研究所として、独立自尊の国家の構築に一役買いたいと念じております。私たちはまた、日本の真のあるべき姿を取り戻し、21世紀の国際社会に大きく貢献したいという気概をもつものであります。

この趣旨に御賛同いただき、御理解をいただければ幸いに存じます。御協力を賜りますようお願い申し上げます。》

ここに書かれている問題意識は、私も完全に共有します。
日本がこのままで溶けていってしまう、しかし、現在の政治情勢、国会の構成では政治にもなかなか期待できないというときに、こうしたシンクタンクの活動が始まるのは有意義なことだと考えます。
ある程度の規模と広がりを持たないと、社会に意見を十分に発信していくことは難しいでしょうが、その点でもメンバーはまだまだ増えそうですし、将来性に期待が持てる気がします。

来年に向けて楽しみが一つ生まれました。
今年は参院選以降、どうしても日本の将来にとっていい材料が思い浮かばず、煩悶することが多かったのですが、一筋の光明を見た思いです(少しおおげさですが)。
こうした保守系の活動が本格化し、その提言が政権・与党や国民各層の耳に届き、一定の影響力を持つようになればと心から願います。

平沼新党構想に期待をかける人も多いようです。ただ、これもタイミングと状況次第だと思うのですが、新党結成にはリスクも考えられます。例えば、自民、民主両党の保守派がある程度平沼新党に結集した後、保守派がほとんどいなくなった自民、民主両党が大連立し、公明党もついていった…なんてパターンも想定できます。となると、完全なサヨク・リベラル政権ができ、保守派はそれにほとんど影響力も発言権も持たなくなるという事態も生じかねません。逆に、平沼新党がキャスティングボードを握るような展開になれば面白いのですが、どうでしょうね。

まあ、先のことは分かりませんから、今はこつこつとやれることをやるだけですね。私自身も年が変わるのをきっかけに、心機一転したいと思っています。政治はまだまだ、来年もドタバタ劇や離合集散、悲喜こもごもの愛憎劇に脱力してしまうような愚かな現象…といろいろありそうです。

阿比留記者の意見に全面的に同意は出来ませんが、その代表が仕組みの変更に大きく寄りかかりすぎているのではないのか?と感じられるところです。

確かに「国家基本問題研究所」なるシンクタンクを作るのは勝手だし、全くの無意味とも思わないが、理事などに名を連ねている人たちが作ってきた社会が問題なのじゃないのか? そりゃ「わたしたちは野党でした。自分たちの考えていた社会(国家)と現実が違うから作り直す」という意見はあるだろうけど、

教育は、学力低下や徳育の喪失もさることながら、その根底となるべき国家意識の欠如こそ重大な問題であります。

そうなのか? じゃあ、国家意識つまり国家帰属意識以外のところは現在の教育はそれなりの効果を上げているのか?
そんな視点から教育問題を取り上げていたらここまで大きな騒動になっているわけが無いだろう。
単に「近頃の若者に社会を任せることが出来るのか?」という漠然とした不安が誰にでもある、というのが実情で、それを「国家意識の欠如」に理由を求めるのは無理がありすぎだろう。

なんというか、五十歩百歩というか、どちらも古いよという印象が極めて強い。
この際だから、偏見と非難されることを承知で書いてしまうが、阿比留記者も櫻井よしこ氏も「ジャーナリスト」の枠の中にとどまって、周囲に影響力を及ぼすつもりなのだと思う。

広い意味でのジャーナリストつまり何かを伝える人というのは、社会の一人ひとりが伝えたい事がある人の代理人だろう。
ネットワークの実用化は、代理人の必要性を非常に大きく減らしてしまった。あるいは、減って当然なのだ。
だから新聞の販売数は大きく落ち込んでいるし、テレビも見る人が減ってきた。
その分だけジャーナリストの発言力は割り引いて考えなければならない。

では、なぜそのようなマクロな「ジャーナリスト削減論」に対して、現実は個々のジャーナリストは活躍できるのか?
もちろん「使いやすいから」しかないですよ。
ネットに集まる顔の見えない大衆よりも個人が分かっているジャーナリストの方が扱いやすい。

ジャーナリストがネットワークを目の敵のように扱っている事の問題点は、ジャーナリストが本来立脚するべき「大衆からの意見を代理する」という本質的な仕事の「大衆」から足を踏み外しかけている事でしょう。 易きに流れているのではないでしょうかね?

国家基本問題研究所

12月 26, 2007 at 01:35 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (5) | トラックバック (1)

大阪府知事選挙・意外なことが

サンケイ新聞より「ポスター掲示スペース不足は確実? 大阪府知事選説明に15陣営、選管やきもき

来年1月10日に告示される大阪府知事選の立候補者が乱立しそうな勢いだ。候補者用ポスター掲示板のスペースは10人分。
ところが、これまでに15陣営が府選管に説明を聞きに来ており、不足する可能性も出てきた。知事選で過去に10人以上立候補したケースはないものの、府選管は、作り直しやスペースを増やすことも視野に入れている。

出馬表明の記者会見をしたのは、

  • 自民府連推薦の弁護士でタレント、橋下徹氏(38)
  • 民主、国民新推薦の大阪大大学院教授、熊谷貞俊氏(62)
  • 共産推薦の弁護士、梅田章二氏(57)

の3人だが、ほかにも続々と立候補手続きの説明を府選管に聞きに来ており、その数は計15陣営。
選管では、実際に出馬するかの確認を続けているが、立候補予定者の人数は絞り切れていない。

前回平成16年の知事選で説明を聞きに来た人数は9陣営で、実際に出たのは5人。
知事選立候補者で過去最高だったのは昭和50年と平成11年の9人で、今回はそれを上回る可能性が出ている。

他の都道府県では、東京都で平成11年に19人が立候補したことがあるものの、兵庫県では5人(昭和49年)、京都府では6人(昭和45、49年)がそれぞれ最も多く10人以上立候補するケースは珍しい。

今回の事態の背景として、府選管は「候補者がなかなか決まらなかったこと」をあげる。太田房江知事(56)が今月3日に出馬を断念したため、立候補予定者は告示1カ月前になっても梅田氏しかいない状況だった。最近立候補を決意した1人は「知事選をめぐる混乱ぶりをみて立候補しようと思った」と明かす。

掲示板は横約2.5メートル、縦約85センチで、上下2段に5スペースずつとっている。府内約1万3000カ所に設置する予定で、すでに各市町村の選管に作製を指示したが、10人以上が出馬した場合、スペースを増やしたり、掲示板を作り直したりする必要性が出てきた。作り直しになれば、多額の経費が必要になるほかサイズも大きくなり、設置場所を変えなければならない可能性もある。

府選管は立候補予定者の確認に追われているが、「分からない」と答える陣営も多いといい、担当者は「告示まで年末年始を挟んでおり、時間がない。早めに出馬の意思を確認したい」とやきもきしている。

いやはや、ひゃははははは(^_^)

選管のやきもきというのは良く分かりますね。

誰がなんと言おうと、選管も含めて選挙の関係者は「だれが立候補するのか」は把握していますよ。
わたしが関わった選挙でも、公示前つまり公式には立候補していない段階で選管に電話するときに「○○事務所の山本ですが」で十分に通用しますからね。

選管が立候補しそうな人を把握できないというのは実務的には結構深刻な事態です。
説明会などがありますが、一つの陣営に対して3人の出席として計算すると、10候補なら30席が20候補だと60席になってしまうから、部屋の用意を変えないといけない。

もちろん掲示板の作り直しから、腕章やタスキの用意、書類のキットの準備といった細かいことが全部変わるのわけですから、現場としては大変です。

まして、各種の業者も年末・年始で休むでしょうから、極めて融通が利かない時期ですね。
大阪府選挙管理員会の事務局は大変でしょう。

12月 26, 2007 at 12:39 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

入国審査の変更一ヶ月

朝日新聞より「外国人指紋採取制度1カ月 入国拒否は95人

法務省は25日、日本に入国する外国人から指紋採取と顔写真撮影をする制度が始まってから1カ月の運用状況を発表した。11月20日から12月19日までの間に日本に入国した約70万人のうち、制度に基づいて採取した指紋や顔写真が過去の退去強制者のリストと一致したために入国を認めなかったのは95人だった。

内訳は退去命令が77人。より重く、一定期間入国ができなくなる退去強制処分が17人。残る1人は指名手配犯で、警察当局に身柄を引き渡された。他人名義の旅券を使ったり、自分の氏名を変えて新たに旅券を作ったりして入国しようとしたケースが多かったという。

一方、従来の方法で入国拒否された例を含めると、この1カ月の入国拒否者は計588人で、06年の1カ月平均より180人少ない数字にとどまった。同省は「制度が知られるようになり、抑止効果が出ているのではないか」とみている。

「この1カ月の入国拒否者は計588人」。70万人中の588人ですから0.08%ですね。
率としては少ないけれども、絶対数としては意外と多いものですね。

さらに、588人中の95人が新システムで入国を拒否した数で16%。これも意外に多い。 過去の強制退去者と顔写真・指紋が一致したということはニセのパスポートを持ってきて偽名で入国を試みた、ということですね。

確かに抑止効果は出ているのでしょう。

12月 26, 2007 at 10:44 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.06

国政選挙でも電子投票か?

毎日新聞より「電子投票:国政選挙に導入で自公民合意 来年1月施行

自民、公明両党と民主党は電子投票を国政選挙に導入するための公職選挙法特例法改正案に合意した。
法案は7日の衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会で採決され、衆参の本会議で可決のうえ、今国会中に成立する見通しだ。
施行期日は来年1月1日で、次期衆院選では一部の自治体で電子投票が実施される可能性がある

電子投票は、有権者が投票所に置かれたタッチパネルなどを操作し、画面に表示された候補者名などを選んで投票する方法。票数をコンピューターで集計するため、開票時間を大幅に短縮できるうえ、従来の「自書式」より高齢者や身障者の手間が省けるメリットもある。

01年11月に成立した地方自治体電子投票特例法により、自治体では02年6月の岡山県新見市長・市議選で初めて電子投票が行われた。今年4月の統一地方選でも、青森県六戸町議選と宮城県白石市議選の2選挙でタッチパネル式の電子投票が実施されており、六戸町では開票作業29分、白石市も49分で終える実績を上げている。

ただ、最高裁で選挙無効が確定した岐阜県可児市議選(03年7月)などの故障や人為ミスも発生している。このため、今年6月の通常国会では、公明党から「システムの信頼性」に懸念が示され、国政導入の法案は継続審議となっていた。

国政選挙での電子投票導入は実施条例を独自に定めた自治体に限られ、政府は導入する自治体に対し交付金などで財政支援することを検討する。【七井辰男】

何回かわたしの意見を書いていますが、わたしは「電子投票反対」であります。

海外での選挙の紹介番組など大きな投票用紙を使うシーンが紹介されますが、候補者名をチェックする方式なのでしょう。
日本の選挙では、投票用紙に候補者名を書き込むのですがこの方式を「自書式」と呼び世界では珍しいとされています。

候補者名をチェックする方式から派生したのでしょうが、アメリカで何年か前に大問題になったのが「パンチ式」で、これは候補者名のところにパンチで穴を開けるというものでした。
このような自書式ではない投票方法を採用している選挙では電子投票機の採用も、機械の改変といった感じになるのだろと思いますが、自書式から電子投票に改変というのは大きく選挙の方式を変えると言えるでしょう。

記事にも紹介している通り、電子投票のメリットとして

  • 開票時間の短縮
  • 障害者の投票の促進
  • 投票判定の必要がない
  • 開票担当人員の削減によるコストダウン

などが挙げられています。これに対して、テスト結果も含めて問題点として挙がっているのが

  • 機器が作動せず、投票所が機能しなかった
  • データが明らかに間違っていた(おそらくはソフトウェアの不良)
  • メディア(CFカードを使うことなっている)が不適合で開票に問題が生じた
  • 機器の設置(配線)に失敗した
  • 電子データが消滅する可能性がある
  • 投票用機器の大幅なコストアップ

現在の選挙事務を投票用紙の観点から見ると

  1. 投票入場券を有権者の自宅に配付
  2. 投票入場券をチェックして重複投票の禁止
  3. 投票用紙に候補者名を自書
  4. 投票箱に投票
  5. 投票箱を開票所に移動
  6. 開票所ごとに候補者の得票数を確定
  7. 集計した投票用紙は内容(候補者・無効票など)別にまとめて封印し、次回選挙まで保存。

電子投票について考えてみると、赤字で示したところが無くなると考えられるでしょう。
投票箱に投票が操作パネルで投票ですから、おそらくはここは面倒になっているでしょう。
投票結果をどうやって集計するのか?については、開票所をどこに設けるのか?という問題になりますが、データそのもの点検は公開するべきですから開票所はどこかには出来るはずで、現在は神奈川県横浜市では開票所は一つの区に一ヶ所あります。
それを横浜市で一ヶ所だけにするのかどうか?という問題になりそうです。

各投票機から直接データを通信することは現在のところ無いようで、CFカードに投票結果を入れて運び集計する方式で行っています。
つまり「投票箱を運ぶ代わりにCFカードを運ぶ」ようなのです。

投票判定そのものは、無いわけで単に各候補者の得票数だけのデータですから、後からの検証などのたに記録メディアを保管することを除けば、各投票所ごとの得票一覧表を作ることも出来ますし投票機ごとに作ることも出来ます。

問題は、どうやって選挙区全体のデータとして集積するのか?であって、現在は開票所での集計データは選管に「手書きの集計用紙をファックス送信している」のです。
投票用紙に自書するところから、集計に至るまでアナログによって情報の信頼性を高めているわけですから、電子投票にしたときにはどうやって信頼性を確保するのか?という問題が新たに発生します。

こういうことを考えると、わたしには「コストダウンになる」とは思えません。
むしろ安全性を損ねるのではないのか?という印象が強いのです。
ことは選挙であって、コストアップの上に信頼性が落ちる、というのではいったいどこにメリットがあるのか?
これが理由で、わたしは電子投票には反対なのです。

12月 6, 2007 at 12:54 午後 国内の政治・行政・司法, 選挙 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.12.04

太田府知事問題・質の悪さの露呈

産経関西より「太田氏が出馬断念 大阪府知事選 政治とカネ 批判強く

来年1月10日告示、同27日に投開票される大阪府知事選で、3選を目指していた現職の太田房江知事(56)が3日、緊急記者会見し、「今の状況では出馬は不可能」と述べ、出馬を断念する意向を明らかにした。

11月に相次いで発覚した自身の「政治とカネ」の問題で府民の批判が強く、自民、民主、公明、さらに後援団体の主力で過去2回の選挙を支えてきた連合大阪の推薦が得られないことが決まったため。最後まで出馬に意欲を見せていたが、立候補しても勝算はないと判断した。

この日午前、太田知事の後援団体「21世紀大阪がんばろう会」が大阪市内で緊急会合を開き、知事の政務を担当する山田信治・知事秘書(特別職)が、午前11時から太田氏の出馬断念の記者会見を開くことを伝えた。会合は20分ほどで、異論は出なかったという。

太田知事をめぐっては、11月に入り、身辺で「政治とカネ」をめぐる問題が相次いで表面化。

まず東京の政治団体「太田房江を支える東京の会」が、知事の母親のマンションを事務所にしていたことが発覚。さらに母親のマンションに移転するまで、甥(おい)が住んでいた別のマンションを事務所にしていたことも分かった。
また、府内の中小企業経営者らでつくる「関西企業経営懇談会」の会合に計11回出席し、会費から講師謝礼として1回あたり50万~100万円計883万円を受け取っていたことも新たに判明した。

太田氏と山田秘書はこうした次々に明るみに出る問題の説明を一度に行わず、常に後手に回った。この対応の悪さも府議や府民の反感を招いた。

こうした「政治とカネ」の問題をうけ、府議団は11月28日に自民、29日に民主、30日に公明が不支持を決定。
府組織も今月1日にいずれも府議団の決定を了承した。これに加えて、太田氏の後援団体「21世紀大阪がんばろう会」の主力となっていた連合大阪が11月30日、民主との「また裂き」を避けるために、不支持方針を決めたことが、出馬を断念させる決定的な原因になった。

太田氏は緊急会見で、「今の状況では出馬は不可能と判断した。府民の皆様には改めておわびするとともに、この8年間の温かいご支援に対して心から感謝を申し上げたい」と述べ、7日の出馬会見は取りやめることを明らかにした。

太田氏は昭和50年に東京大学経済学部を卒業。同年通産省に入省し、消費経済課長などを経て岡山県副知事を務めた。セクハラ問題で辞任した横山ノック知事の後任を選ぶ平成12年の知事選で、関西経済界や連合大阪が擁立。自民、民主、公明などの推薦を受けて全国初の女性知事として初当選した。任期は来年2月5日まで。

新しい候補者をめぐっては先週末から自民、民主、公明の相乗りを視野に人材探しが始まっているが、有力候補者の名前はまだあがっていない。

何が問題かと言って、センスの悪さでしょうね。

政治家の事務所問題などがあったのだし、どう考えても逆風だったのに対応した形跡が無い。
それで良いと考えていたところが「センスが悪い」=「付き合っていられない」となったのでしょう。

ところで、防衛省の次官のたかり行為も「これで問題ないと考えたのか?」としか思えない「センスの悪さ」を感じるのですが、太田知事も中央省庁の官僚から知事に転じた人で、議員から地方行政に入った人ではない。

行政官が「社会的なセンスが悪い(無い)」というのでは、行政が機能しないでしょう。
日本では、選挙で選ばれる議員よりも行政官の方が実力があるのは以前から変わらないことで、日本の安定は行政の質によるところが大きかったと思います。
一人ひとりの行政官がそこそこ信用できる、極端な破綻的な判断をしない、というある意味では漠然とした国民の安心感が日本を安定させてきた。

これが崩れてしまうと、安定ではなくて切り取り勝手のような世界に近づくことになるでしょう。
行政官が国民から信頼される質を維持しているのか?という観点からチェックしてみることが必要かと思います。

12月 4, 2007 at 09:17 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.12.03

地方新聞だけが名誉毀損とされた事件の控訴審

毎日新聞より「東京女子医大・手術事故:配信記事掲載で名誉棄損 責任の所在、どこに!?

11日から控訴審--1審は地方紙のみに賠償命令

共同通信社が配信した記事について、掲載した地方紙のみに名誉棄損での賠償を命じる判決が9月に東京地裁であった。
定評ある通信社の配信記事を掲載した場合、新聞社は免責されるとの主張を判決は退けた。
これに対し、共同や地方紙は、多様な言論を封じ、国民の知る権利を阻むものだとして猛反発している。
11日に東京高裁で控訴審が始まり、改めて「配信記事の責任」の所在が問われる。
【本橋由紀、北村和巳】

地方紙「知る権利大きく損なう」/共同通信「報道の萎縮につながる」/識者「配信制度に理解がない」

裁判は東京女子医大病院で心臓手術を受けた女児の死亡事故をめぐり、業務上過失致死罪に問われ、1審無罪(検察側控訴)となった医師が起こした。
判決は、医師の基本動作ミスが事故を招いたとする配信記事(02年7月)について「警視庁の記者会見に基づくなどしており、報道内容を真実と信じる相当の理由がある」として、共同の賠償責任を否定した。

その一方で、

  1. 定評ある通信社からの配信を受けたことだけを理由に、記事が真実と信じる相当の理由があったとはいえない
  2. 共同通信の定款施行細則で、配信記事には配信元の表示(クレジット)を付けると規定されているのに、そのクレジットを付けずに自社が執筆した記事のような形で掲載している
として、掲載した上毛新聞社(前橋市)▽静岡新聞社(静岡市)▽秋田魁新報社(秋田市)の3紙に計385万円の賠償を命じた。共同によると、この記事をクレジットを付けて掲載した新聞はなかった。

実情無視と批判

堀部政男一橋大名誉教授(情報法)は「今回のような形で地方紙が責任を負わされるのであれば萎縮(いしゅく)して、読者の知る権利に応えられなくなる」と話すが、地方紙側はどう受け止めているか。

当事者の上毛新聞は「通信社とその加盟社の実情を無視した判決。認められれば配信制度や地方紙の根本にかかわる」と主張する。

他の加盟社も「覆ると思うが、仮に確定すれば知る権利、言論の多様性への悪影響は計り知れない」(河北新報)▽「加盟社は多くの読者を抱え、世界で起きるニュースを提供する責務があり、仮に確定すれば、表現の自由を大きく侵害する」(信濃毎日新聞)▽「通信社制度の存在意義を否定し、国民の知る権利を大きく損なう」(北海道新聞)▽「報道の自由を制限し容認しがたい」(西日本新聞)など、民主社会の根幹にかかわる問題だと指摘する。

背景にあるのが、通信社と地方紙など加盟社との密接な関係だ。

共同は社団法人で、NHKやブロック紙も含め加盟する計57の報道機関は「社員」となっている。運営方針などを決めるのは最高の意思決定機関「社員総会」や社員から選ばれた理事による理事会だ。通信社とは単なる契約関係ではなく、同じ共同体ということになる。

共同の配信記事に誤りや名誉棄損の部分があった場合の責任について、共同通信の安斉敏明・総務局総務は「配信した共同にある」と明言。加盟社も「責任は配信側にあり、地方紙は免責される」との意見でほぼ一致する。地方紙が中心の米国では、この「配信サービスの抗弁」の法理は一般的だという。

この考え方に沿い、加盟社は地域の独自ニュースと世界規模、全国規模のニュースを紙面に掲載できる。新聞社間の無用な競争を避け通信のコストを下げながら、多様な言論が保たれ、国民の知る権利にも応えられることになるという。

判決は判例踏襲

最高裁は「ロス疑惑」をめぐる名誉棄損訴訟で02年1月、「社会の関心を引く私人の犯罪やスキャンダル」報道に関し、「配信サービスの抗弁」を否定した。報道合戦が過熱し、慎重さを欠いた記事があると指摘し、「一定の信頼性を持つとされる通信社の配信記事でも、真実性について高い信頼性が確立しているとは言えない」と結論づけた。今回は、公的な使命を帯びる医師が医療ミスの刑事責任を問われたケースだったが、東京地裁は「社会の関心と興味を引く分野の報道」として、判例を踏襲した。

さらに今回の判決は、3紙が「配信元の表示(クレジット)」を付けなかった点を重視し、「新聞社自ら執筆した記事と体裁が変わらず、読者は配信記事かどうか判別できない」と指摘。共同と3紙は一定の関係があっても別の責任主体で、共同の「(免責とされる)相当の理由」を3紙は援用できないとした。

クレジットについてはロス疑惑をめぐる別の訴訟の最高裁判決(02年3月)で意見が分かれた。2人の裁判官は「報道の自由は、どの社の責任で記事が作成されたか認識できて初めて十分に発揮される」として、クレジットを付さない場合は配信を理由にした抗弁は一切主張できないと述べた。だが、別の3人の裁判官は「クレジットの付いていない記事でも、その内容や記事を掲載した加盟社の規模などから、通信社からの配信記事と推認できる可能性があれば、加盟社と通信社が実質的に同一性を持つと考えて差し支えない」「クレジットがないからといって、配信サービスの抗弁を認めないという意見には賛同できない」と意見を述べている。

「クレジット」は必要か

今回の判決も指摘しているように共同の定款施行細則は配信記事の掲載時にクレジットを付けなければならないと規定。だが、現実には国内のニュースには付けないのが長年の慣行で、共同も問題にしてこなかった。原告医師の代理人の喜田村洋一弁護士は「クレジットがなく自分の記事の形で掲載した以上、責任を問われるのは当然。取材を尽くしたかで個別に名誉棄損を判断するのは妥当だ」と話す。

これに対し、上毛新聞は「すべての記事にクレジットを付けると読者の混乱を招く懸念もある。記事の内容ではなく、クレジットの有無を問うのは本質的ではない」と主張。「クレジットを付けたからといって加盟社が免責になる保証はない」(中日新聞)との疑問の声も消えない。

そのような中、北海道新聞は10月から、話題の人を紹介する囲み記事「ひと2007」について、自社原稿の署名だけでなく、配信記事にも原則としてクレジットを入れることにした。「原稿の出自を明らかにする観点から」と、見直した理由を説明する。

控訴審では何を訴えるのか。共同は「直接の取材手段を持たない加盟社に配信記事の真実性を証明させようとし、報道を萎縮させる判決の不当性を主張したい。クレジットなど個別の主張については訴訟で明らかにしたい」と話す。

通信社の歴史に詳しい秀明大総合経営学部の里見脩教授(メディア史)は「メディアがすみ分けることで成り立ってきた配信制度にとってゆゆしき判決だ。最高裁判例の一部を一方的に解釈しているという印象を受けざるを得ない。『赤福』がチョンボしたからといって、みやげ物屋が責任を負いますか? メーカー責任の原則からもはずれている。クレジットの点もおかしい。共同は社団法人で地方紙は社員。地方紙は社説まで共同から配信を受けるような関係だ。配信記事にクレジットを付ければ地方紙は共同のクレジットで埋まってしまう。すべての記事にクレジットを、という実態を理解しない考え方で、民主社会にとって大切なものを犠牲にすべきではない」と断じる。

共同通信社が配信したニュースをそのまま載せた地方紙が名誉毀損に当たるとされた事件で、控訴審が始まるという解説記事です。

素人考えとして非常に不思議なのは、ニュースを配信した共同通信社に対しては「信ずるに足る情報を伝えたから、賠償責任は無い」としておきながら、そのニュースを掲載した新聞が名誉毀損に当たる、という理屈が成立するのか?です。

地裁判決では「共同通信社が配信したニュースなのか独自取材の記事なのか区別が付かないから、名誉毀損」としているようですが、共同通信については「警察発表など」を根拠に「信じて当然」との情報を「共同通信が配信したから信じてはいけない」と読めるわけで、それでは情報の伝達ということを自体に無理難題を吹っかけた判決となりませんかね?

また、地方新聞社が共同通信と同列で警察を直接取材して書いた記事であれば、やはり名誉毀損に当たらないのでしょうね。だとすると「共同通信のクレジットを表示しない」ことにどういう意味があるのか?
さっぱり分からない判決だと感じます。

12月 3, 2007 at 12:21 午後 セキュリティと法学, 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2007.11.05

在ベルギー日本大使館にドロボーが侵入

読売新聞より「ベルギーの日本大使館からノート型パソコン9台盗難

在ベルギー日本大使館は4日、ブリュッセル中心部にある同大使館からノート型パソコン9台が盗まれたことを明らかにした。

オフィスビル7階にある大使館入り口の鍵が壊されており、空き巣被害に遭ったとみられる。週末の3日未明に侵入された可能性が高いという。

同大使館によると、外交上の秘密情報などは持ち出されていないことが確認されているという。書類などが物色された形跡もなく、同大使館は情報目当ての犯行ではないと見ている。(ブリュッセル・尾関航也)

ノートパソコン9台を盗まれて、「情報を取られていないから・・・」というのはちょっと情けないだろう。
いくらノートパソコンだって9台ともなれば、そこそこの大荷物で服に隠して持ち出す事は出来ない。
それほどのドロボー行為が出来るのが在ベルギー日本大使館ということ以外の何ものでもないだろう。

だいたい、「情報を持ち出していない」なんてことは分かるものなのだろうか?
別にアメリカのように海兵隊を警備に立てろとは言わないが、これでは誰だって不安になるだろう。
回りに対する影響の方がノートパソコン9台よりも遙かに大きい。

11月 5, 2007 at 11:20 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.11.03

大連立は大波乱の始まりか?

昨日(2007/11/02)の福田・小沢会談での「大連立」についての新聞各社の社説です。
タイトルだけで十分に面白いほどバラバラです。

読売新聞党首会談 政策実現へ「大連立」に踏み出せ
朝日新聞「連立」打診―まず総選挙が筋だ
日経新聞ねじれ国会揺さぶる首相の連立提案
毎日新聞自・民党首会談 大連立を拒否するのは当然だ
東京新聞党首再会談 あきれる唐突な連立話
サンケイ新聞党首会談 大連立の前に政策協調を
西日本新聞「自・民連立」は民意でない 党首再会談
北海道新聞連立政権打診 民主党の拒否は当然だ
北國新聞党首会談 局面打開へ話し合いは必要

どちらかというと、大連立の提案について批判的な社説が多いのですが、現状は法案はまるで通らないのですから、何とか現状を打開しようとアイデアを出すのは当然でしょう。

これは、総選挙に向かうことになるのでしょうかね?

11月 3, 2007 at 10:04 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2007.10.25

新幹線新駅騒動・その14

京都新聞より「新幹線新駅、期限切れで中止へ促進協会議、栗東市は合意拒否

滋賀県栗東市の新幹線新駅問題を協議する駅設置促進協議会正副会長会議が24日、大津市の滋賀県庁であり、国松正一栗東市長が新駅「中止」への合意を拒否したため、協議は決裂した。
新幹線新駅事業は、JR東海と結んだ覚書に基づき、設置の是非を決める期限の今月末で「中止」となることが決まった。

会議で、県は9月に示した新駅「中止」の方針案をもとに、28日に開く促進協の総会での報告案を提示し、その中でJR東海との覚書により、駅建設のための現行協定類が今月末で終了することを掲げた。

そのうえで

  • 栗東市を除く関係市が支出した負担金を県が肩代わりする
  • 栗東市の土地区画整理事業に対する県の支援についての協議の場を設ける
  • 県や栗東市などで構成する「南部地域振興会議(仮称)を設けて具体的な振興策を検討する
などを盛り込んだ。

県が新駅推進のために設置した基金(39億円)は当面、そのまま残すことも明記した。

これについて、国松市長は「中止を認める文書は了とできない」と述べたが、総会で嘉田由紀子知事が報告案を示すことについては「知事の判断ですればいい」とした。他の関係市長は報告書案に大筋で同意した。

新駅問題は、「凍結」を掲げた嘉田知事と関係市長らでつくる正副会長会議で約1年間にわたって「凍結を含めた幅広い議論」を進めてきた。

会議後、嘉田知事は「県としては誠意を持って対応した」と話した。国松市長は「県を新駅『推進』に方針転換させることができず、力不足だった。(中止は)残念だ」と述べた。

2007年3月に書いた「新幹線新駅騒動・その13」の続報です。

一連の騒動を整理すると以下になります。

2006/7/2滋賀県知事選挙で選挙公約に新駅の凍結を掲げていた嘉田氏が当選
2006/9/25大津地裁が、栗東市の新駅関連工事の起債を地方財政法違反として差し止め命令
2006/10/5栗東市議会は全会一致で大津地裁判決に対して控訴することにした
2006/10/22栗東市長選挙で、現職で新駅推進の国松市長が再選
2007/3/1大阪高裁は栗東市の控訴に対して地方財政法違反で起債できないと判決
2007/3/13栗東市(国松市長)は高裁判決を不服として上告を決定。これに対して市議会(20名)の半分10名が席を立って反対の意思表明。
2007/3/25市議会が新駅建設負担金を減額した予算案を可決。市長は拒否して市議会の2/3の賛成が必要な再審議にして新駅建設推進予算を含む予算案を可決

国松市長がかなり強引に新駅建設推進を進めてきたのですが、全体像としては

  1. 新幹線新駅だからJR東海が作る物で、自治体が「費用を出して依頼」する事になります。
  2. 栗東市を中心とする周辺の自治体と県が一体となって、推進協議会を作った
  3. JR東海との契約者は推進協議会

この推進協議会が新駅建設断念の方向で、協定の終結に向けて議決しようとしたところ、国松栗東市長だけが反対して、協議会の結論としてはまとまらず決裂しました。
協定書の期限は10月末までなので、自然消滅となります。

実態としてはこれでどうやっても新駅建設を続行することは無理と言えますが、国松栗東市長は新駅建設を推進する立場を引っ込めていないので、今後も新駅建設続行の市政を貫くように思えますが、これに対して滋賀報知新聞の社説は強く非難しています「最高裁の上告棄却で国松市長と新政会らは市民に陳謝せよ 11月以降も推進唱えるなら、市長リコールは必至

編集主幹・石川 政実

栗東市に予定の新幹線新駅をめぐり、同市が市道の拡幅名目で新幹線の仮線工事などに約四十三億円の地方債を発行(起債)して充てるのは地方財政法に違反するとして、地元住民らが国松正一市長を相手取り起債の差し止めを求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は十九日、市の上告を棄却し、「仮線工事費を地方債で賄うのは違法」とした今年三月の二審大阪高裁判決が確定した。

新幹線建設問題をめぐっては、県や栗東市など六市などで構成する新駅設置促進協議会で、JR東海と結んだ覚書きについて今月末までに結論を出すことになっており、中止に向けて二十四日の正副会長会議に続いて二十八日には総会が予定されている。

起債が認められなかったことについて国松市長は「残念だ。しかし起債対応分の財源は、財政計画の見直しの中で対応が可能」と強気の姿勢を崩さなかった。具体的には、市の担当者によれば新幹線新駅に接続するJR草津線新駅の工事費を減額し、残る部分は新駅建設の基金(約三十四億円)を先行的に切り崩して、後は経済波及効果による増収分や国のまちづくり交付金を充てるなどの考えを示した。

しかし草津線新駅については、いまだJR西日本と正式な合意に至っておらず、新幹線新駅の栗東負担分百一億円とはいっさい関係がない。また新駅基金を前倒ししても、実際の負担は変わるものでなく、増収見込みも「とらぬ狸の皮算用」になりかねない。

本紙既報のように同市の一般会計および特別会計の平成十八年度決算を“普通会計ベース”でみると、少ないほど財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」は九九・八%で、十三市の中で断トツに高い。同様に実質公債費比率も、一五・九%と前年度より二・四ポイントも高くなっている。また「市民一人当りの地方債残高」つまり借金も、同市は七十三万円と十三市の中で群を抜いて多い。さらに市土地開発公社は、簿価で約百八十六億円にのぼる事業用地を抱えており、予断を許さない財政状況にある。

新駅の起債差し止め訴訟が起こった段階で、市には敗訴が想定できたはずである。

いずれにせよ違法な起債四十三億円を含む十九年度予算案をあえて提出した国松市長と、この原案を認めた保守系の新政会(当時の新政栗東)と公明党の責任は、たとえ予算の減額修正が今後、臨時議会で行われたとしても、許し難いほど「重大」である。

また中止が決まってもなお、十一月以降も国松市長が事実上不可能な新幹線「推進」を主張し、県との対決をいたずらに続けて区画整理事業の後処理が遅れる事態になるなら、市長のリコール運動も起こってこよう。

また、嘉田由紀子知事も、道義的責任において、地権者に対しもっと誠意ある対応をとるべきである。それこそが知事の目指す対話行政であろう。

新駅建設によって区画整理を実施、街作りをする計画だったのですが、現在の財政状況では無理ではないかと思われる規模のものを進めていたと言えそうです。
新駅が出来ても在来線との乗換できずバスで駅の間を結ぶ必要があると言うのでは、計画そのものに大きな疑問符が付きますし、起債の問題についてはどう考えても法的に無理でした。

期限切れにはなりましたが、整理はこれからなのでまだだいぶ時間が掛かりそうです。

10月 25, 2007 at 09:53 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.10.04

フリースタイルスキー猪苗代大会の大混乱・その4

福島民報より「組織委として開催確認世界スキー問題当初金額軸に

国際スキー連盟(FIS)フリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会の組織委員会長を務める福島県知事と副会長の猪苗代町長は2日、事業費問題が発覚後、初めて県庁で会談した。
大会の開催を前提に、組織委として事業費は当初に計画した5億7900万円を原則とすることで合意した。
ただ、県教委の検証委員会には事業費が21億円余に上る試算が示されており、FISなど関係機関との経費圧縮の交渉や質素な大会運営などの対応を図る。
5日に組織委を開き、正副会長の合意内容を報告して理解を求める。

非公開で約1時間にわたり行われた会談後、佐藤知事は「(当初の財務計画の)5億7900万円を原則に、削減と収入増にみんなで知恵を出し合い組織委員会を進めていくことを確認した」と述べ、組織委員会長として開催を前提に問題の打開を図る考えを示した。
組織委員会内部で当初の金額に沿った新たな財務計画を作り、会長として対応することも明らかにした。

猪苗代町長は「大会運営費がかなりの額になると伝わっているが、そんなにかけてはならない。当初の財務計画を基本に(積算を)見直すことで会長の指示をいただいた」と語った。
その上で、「質素を旨として、選手が公式記録を競うことができる整備をすればそんなに経費はかからない」と説明。
FISや全日本スキー連盟(SAJ)と協議し、国際映像制作費を大幅に削減するなどして、当初計画の事業費でも開催は可能であるとの見方を示した。ただ、事業費が数億円増えた場合でも、SAJと協議しながら開催していく考えを示した。

佐藤知事と津金町長は、当初今月中旬に予定していた組織委員会を5日に開き、委員に当初の事業費で開催に向けて努力することに理解を求めることにした。

両者は5億7900万円を原則とすることで合意したが、新たな大会開催の経費の補助金を支出するかどうかについては明確にしなかった。

なんかメチャクチャだという印象ですが・・・・・。
そもそも「予算が足りない」という話になったきっかけは、FISとの契約書通りの予算取り をしていなかったと発覚したからで、検証委員会は契約書通りの予算を再計算して「5倍になる」という結論を出したのでしょう。

それを「調整して、1/5に出来る」というのはいくら何でも信じがたい。
結局は、事務上のミスについて、FIS向けと県議会向けに別々の話にして時間稼ぎをしているとしか受け取れないのだが・・・・。

誰がなんと言おうと「お金の問題」に過ぎないのであって「結果がどうなるか分からないが努力する」といった話では無いだろう。

ましてや「そんなにかけてはならない」なんてアイマイな話では収拾できる話でもないだろう。
5倍ではダメで4.5倍に収まったから良しとする、なんてことで済む話なのか?
こんな話をそのまま進めるのは、法治国家のやることではないだろう。

10月 4, 2007 at 09:37 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.03

フリースタイルスキー猪苗代大会の大混乱・その3

福島民報より「事業費圧縮し「開催」世界スキーで猪苗代町長

国際スキー連盟(FIS)フリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会の事業費不足問題で、大会組織委員会副会長の津金要雄福島県猪苗代町長は1日県庁を訪れ、県教委の野地陽一教育長に事業費を圧縮して大会を開催する方針を示し、正式に協力を要請した。
事業費圧縮や新たな民間企業の協賛金などで収入増を図る基本的な方向では一致したが、野地教育長は、県の対応は検証委員会の最終報告を受けて判断する意向を伝えた

会談は非公開で約1時間にわたって行われた。県教委のプロジェクトチームは現段階の費用の総額を21億円余としているが、県、町の負担金をどれだけ削減できるかが開催の是非に直結する課題となっている。
このため、会談ではFISや全日本スキー連盟との協議による事業費の圧縮、地元の民間企業などの協力による収入増を図る方向性で共通認識を持ったとみられる。

会談後、津金町長は「開催に向けて積極的に取り組んでいる姿勢を伝えに来た。
誘致した一員として、お互いに成功させるため努力したい」と語った。
検証委員会のプロジェクトチームが積算した事業費21億2200万円については「住民の理解は得にくく開催は難しい。FISと協議しながら事業費の圧縮を図り、支出可能な予算にしていきたい」と語った。

野地教育長は「県教委も大会開催に向け努力すべき立場にあり、事業費圧縮は必要。検証委員会の最終報告を受け最終的に判断していきたい」とコメントした。

大会のホストシティーとなる猪苗代町は大会開催の契約をFIS、全日本スキー連盟と結んでいる。

津金要雄猪苗代町長は1日、福島民報社のインタビューに応じた。津金町長は財源不足による新たな町財政からの負担金の支出について「住民と議会の理解が必要だが、国や全日本スキー連盟、民間などに協力を求めながら町としても財政力に応じた負担を検討する余地はある」と、開催のためにはある程度の町負担の増加に対応する考えがあることを明らかにした。

「フリースタイルスキー猪苗代大会の大混乱・その2」の続報で、猪苗代町や県教育委員会など実行側の協議が始まったようですが、なんか弥縫策の印象がありますね。

元々の予算設定が図が入った契約書(?)の内容を無視して設定したというものですから、基本的には事業費圧縮と言っても、FISとの契約内容の変更はかなり面倒でしょう。
つまりそんな交渉をした後でないと最終的には変更になった事業費が決まらないのでは、市民の理解が云々という以前に時間切れになってしまうのではないだろうか?

これが民間企業であれば、経営者の決断で決まることですから、いわば時間が掛かるのは税金を使う事業であるから慎重にという当然の責務によるものでしょう。
ということは、慎重にであっても「動かせるところと動かし難いところの区別」が必要になるんじゃないでしょうか?

事業費削減の協議対象にFISを含めることが本当に出来るのか?と思うところですが、同列に民家企業の協賛金などで収入増加と言いますが、これだって放映権のスポンサー指定があるのが国際的なイベントでは常識であって、お金を出した企業にとって「金は出したが宣伝は出来ない」では寄附になってしまう。それでは受け入れられないでしょう。

最初から現在に至るまで、総合的なプロデュースの下手さ加減の問題なんじゃないでしょうか?
立て直しをするにしても、お金の問題ですから、国に出させるぐらいしか手がないように思いますけどね。

10月 3, 2007 at 09:19 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.30

フリースタイルスキー猪苗代大会の大混乱・その2

「フリースタイルスキー猪苗代大会の大混乱」の続きです。

福島民報より「本大会費、当初の5倍世界スキー

国際スキー連盟(FIS)フリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会の事業費不足問題で、平成21年の本大会の事業費は当初見込みの約5倍に当たる13億300万円となることが28日の検証委員会で示された。
来年のプレ大会などを含む全体事業費は21億2200万円に上り、詳細な内訳も説明された。
検証委は10月5日の次回に最終報告案を協議し、開催の是非につながる福島県のかかわり方に言及する方針。
開会中の9月定例県議会でも開催の是非が議論される可能性も出てきた。

最も経費がかかるのはFIS規則に基づき参加国などに競技映像をライブで配信する国際映像制作経費の4億1600万円。
内訳は国際映像制作費1億1900万円、映像配信のための衛星回線の使用料2億9700万円となっている。
競技実施経費は2億2500万円で、スキークロス、ハーフパイプ、エアリアル、モーグル・デュアルモーグルのコース設営費のほか、競技ごとの大型ディスプレー設置費がそれぞれ約630万円含まれる。ジャッジハウス設置費も計上された。
大会組織委が策定した財務計画は大会運営経費や輸送交通経費、選手や役員の宿泊・飲食経費などを加えた「大会運営費」の項目に2億5300万円を計上した。
しかし、今回の詳細な積算では約5倍の11億7600万円に上り、大会運営費の見込みの甘さが経費の膨張につながった。
すでに大会組織委の決算が終わっている17、18年度を含めた全体の事業費は大会組織委の財務計画の5億7900万円の約4倍となった。

委員会では事務局が今大会を開催しなかった場合の損失について、FISや全日本スキー連盟などの行事登録料となる「カレンダーフィー」など数千万円になる可能性を明らかにした。
カナダのモントリオールで過去に世界選手権を返上した際の状況などを参考に、損失を提示した。
委員からは「歳出は示されたが歳入がないと判断できない」「FISとの協議を進めさらに削減すべき」などの意見が出た。
さらにこれ以上の財政負担は難しいとする猪苗代町の姿勢については批判の声も出た。

検証委員会は10月5日に開く第7回委員会で、「大会への県のかかわりのあり方」を中心に協議する。開催の是非についての方向性を確認し、第8回委員会で最終報告書をまとめる。
当初、最終報告書は10月中旬を目標にしていた。開催の是非については言及しない方向だったが、県議会からの批判などを踏まえて、県議会の定例会中にある程度の最終的な姿を示すことになったとみられる。
相良勝利委員長は委員会終了後に「県民の理解を得られるのか得られないのかを判断基準に(開催の是非について)一定の方向性を示す」との考えを示した。

会津地方の経済団体でつくる会津方部商工観光団体協議会は1日、県に対して行う要望活動の中で、多額の事業費が問題となっている国際スキー連盟(FIS)フリースタイルスキー世界選手権大会について、予定通り開催するよう要望する。

検証委員会が、費用の積算をしたということなのでしょうが、本来であればこれほどずれた責任はどこにあるのかまで踏み込まないと検証にならないと思うのですが、そこは県議会に丸投げするのでしょうか?

はっきりしたのが「予算が足りない」では、政治的決断がない限り中止になってしまいそうですが、それはそれで後々まで批判されることになるでしょう。中止か予算措置をして実施とするのか、どららを選択するにしても経緯と責任を明らかにしない限り問題は残ると思いますね。

9月 30, 2007 at 11:26 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.23

自宅放火殺人少年事件の調書流出

日経新聞より「調書漏えい、草薙氏がNHK提訴へ 地検に供述していない

リージャーナリストの草薙厚子さんは22日、奈良県田原本町の医師宅放火殺人の供述調書漏えい事件をめぐるNHKの報道に対し、本を出版した講談社と連名で「虚偽であり提訴する」とのコメントを発表した。

NHKは同日午前のニュースで、草薙さんが奈良地検の任意の事情聴取に対し、中等少年院送致となった長男(17)の精神鑑定を担当した京都市の精神科医に頼み、「調書の写しを見せてもらった」と話していることが分かったと報道した。

草薙さんと著書「僕はパパを殺すことに決めた」を出版した講談社は「まったくの虚偽であり、NHKには強く抗議し、訂正放送を求めましたが、応じないため、提訴することにいたしました」とコメントしている。〔共同〕(02:05)

「話していることが分かった」という報道はちょっとどうかと思いますが、それ以上にこんな報道が出ているのが気になります。

調書の写しから草薙氏指紋検出・奈良医師宅放火殺人

奈良県田原本町の医師宅放火殺人の供述調書漏えい事件で、少年院送致された長男(17)を鑑定した京都市の精神科医が使用した調書の写しから、フリージャーナリスト草薙厚子さんの指紋が検出されていたことが21日、関係者の話で分かった。
奈良地検は、指紋が残された経緯を慎重に捜査している。〔共同〕 (14:01)

調書引用本の著者を任意聴取・奈良放火殺人で地検

奈良県田原本町の医師宅放火殺人の供述調書をめぐる秘密漏示事件で、奈良地検は14日、調書を著作に引用したフリージャーナリストの草薙厚子さんを任意で事情聴取した。

中等少年院送致された長男(17)を鑑定した京都市の精神科医から調書の写しを受け取った疑いが持たれており、経緯などを聴いたとみられる。

草薙さんは同日午後、家宅捜索を受けた東京都杉並区の自宅前で報道陣に「率直な気持ちは『嫌だな』という思い。これから地検に向かいます」と話し、係官とともに車に乗り込んだ。

地検に告訴していたのは長男と父親で、長男の祖父(66)は「捜査は当然のこと」と話した。

草薙さんは元少年鑑別所法務教官。地方局のアナウンサーや通信社テレビ部門のニュースデスクなどを経てフリージャーナリストとなった。〔共同〕(00:05)

奈良放火殺人、調書漏洩で鑑定医宅捜索・写し渡した疑い

奈良県田原本町の医師宅放火殺人事件で中等少年院送致となった長男(17)らの供述調書をフリージャーナリスト草薙厚子さんに漏らしたとして、奈良地検は14日、秘密漏示容疑で長男を鑑定した京都市左京区内の精神科医宅や、東京都杉並区内の草薙さん宅などを捜索した。精神科医から事情を聴いている。

同容疑の強制捜査は異例で、少年法と憲法の言論の自由をめぐり、論議を呼びそうだ。

問題となっているのは、ことし5月、元少年鑑別所法務教官の草薙さんが講談社から出版した「僕はパパを殺すことに決めた」。長勢甚遠法相(当時)が6月、「司法秩序、少年法への挑戦だ」として調査を指示。東京法務局も講談社と草薙さんに再発防止を求めて勧告していた。

調べなどによると、精神科医は、昨年6月に母子3人を焼死させたとして、放火と殺人の非行事実で家裁送致された当時高校1年の長男の精神鑑定を担当。その後、草薙さんに、事件の調書の写しを渡した疑いがもたれている。〔共同〕(14:06)

以上はすべて日経新聞電子版に掲載されている共同通信社配信の記事で、上の記事が新しい記事です。
整理してみると

  1. 放火殺人をした長男と父親が地検に告訴
  2. 調書漏洩で鑑定医宅などを奈良地検が捜索
  3. 長男の祖父も被害感情を明らかにしている
  4. 草薙氏は調書の入手ルートなどは明らかにせず
  5. 調書の写しから草薙氏の指紋が検出された
  6. NHKは草薙氏が「調書の写しを見せてもらった」と報道
  7. 草薙氏と講談社はNHKの報道に「地検に供述していない」として虚偽報道で提訴するとコメント

「指紋が検出された」というのはどう考えても地検が公表した情報としか思えないわけですが、捜査過程で出すべき情報なのでしょうか?
その先に「精神科医に写しを見せて貰った」になるわけですが、これも「草薙氏が見せて貰った」でも「精神科医が見せた」でも事実としては同じ事です、そうなるとこれは証拠の信頼性の問題でになってしまって、公判廷で確定するべき事柄とも取れます。

もともとが「報道と秘密」の問題であって、基本的には情報の信頼性や公表手順の公正さを問う事件でしょう。
ところがこの事件の報道そのものが「検察が出した情報だろう」的なことを伝えるのでよいのだろうか?「奈良地検の発表によると」とするべきではないのか?

あえて「藪の中」に持って行くということなのだろうか?

9月 23, 2007 at 11:31 午前 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.09.22

北見市長の不信任案否決

「残業代100万円のどこが問題なのか」の続報というか詳報でしょうか。

北海道新聞 2007/09/20 の記事「失政続き求心力低下 北見市長に不信任決議案

北見市内で相次いだ大規模断水などをめぐり、市議会の野党会派、市民・連合クラブと共産党の所属議員九人は十九日午後、開会中の市議会に、神田孝次市長に対する不信任決議案を提出した。
早ければ二十一日の本会議で採決される見通し。市議会は与党会派が多数を占めるため否決の公算が大きいが、市長のいっそうの求心力低下は不可避の情勢だ。

決議案の成立には、全議員三十六人の三分の二以上の出席と、出席議員の四分の三以上の賛成が条件で、全員出席なら二十七人の賛成が必須。
野党四会派の全議員(計十二人)に加え、与党会派から大量の賛同者が必要になる。

否決の可能性が高いとはいえ、不信任決議案提出の背景となった、断水問題を含む度重なる“失政”により、市政運営への信頼低下は著しい。

三人の犠牲者が出た今年一月のガス漏れ事故では、昨年四月にガス事業を北ガスに譲渡した市の責任も問われた。しかし、当事者意識に欠ける対応をとり、被害者の感情を逆なでした。

さらに三月、旧常呂町の町長交際費領収書を焼却処分した阿部周司・前代表監査委員(旧常呂町助役)を罷免せず、減給処分で済ませ市民の激しい批判を浴びた。市庁舎の改築を絡めた市中心部の都市再生整備事業は、市民の意見をまとめきれず、国への基本計画提出を三年連続で断念。特別職の辞職も今年だけで三人に達する異常事態だ。

しかし、神田市長は続投に意欲的。不信任決議案の提出を受け十九日、「批判はしっかりと受け止めて、安全・安心のまちづくりに全力を挙げて取り組んでまいりたい」とのコメントを出した。

神田市長は一九九九年から旧北見市の市長を二期七年務め、昨年四月の合併後の新市の市長選で圧勝した。にもかかわらず、わずか一年半で市民の離反は著しい。ガス漏れ事故現場近くに住む無職男性(72)は「市のトップでありながら、責任を認めようとしない態度が信じられなかった」と批判している。

と不信任決議が提出される時点で北海道新聞も大批判していますが、2007/09/21不信任案は否決されました。
北海道新聞 2007/09/21の記事「市長不信任案を北見市議会が否決

北見市議会(定数三六)は二十一日の本会議で、野党会派の議員が提出した神田孝次市長(56)に対する不信任決議案を、賛成一○、反対二四で否決した。

決議案は、六月から相次いだ大規模断水や一月のガス漏れ事故の対応などをめぐり「市政の停滞、混乱を招いた」として神田市長の政治責任を追及。野党最大会派の市民・連合クラブ(七人)と共産党(二人)の議員計九人が提出していた。

可決には、定数の三分の二以上の出席と、出席議員の四分の三以上の賛成が必要。

採決では、提出した九人と野党会派の一人(民主党)が賛成、与党三会派の計二十四人は全員反対に回った。野党会派・公明党の二人は棄権した。

神田市長は一九九九年四月に旧北見市長選で初当選し、二期七年務めた。広域合併に伴い、昨年四月に行われた新北見市の市長選で初当選し、現在一期目。

いわば不信任案否決は予定通りではあるのだが、事故そのものよりも後始末というか行政能力そのものに疑問符が付いている。
ガス漏れ事故の時には、住民が19日間も避難したし、水道がダメになった事件も元は大雨で浄水場に泥水が入ったのがきっかけですから、適切な対処をしていれば水道が止まることも無かったでしょう。
その上に今度は水道の復旧に連続残業をして残業代が100万円を超えてしまい、批判が出たから返納させる・・・・・。

これでは理由はとにかくとして、行政として「何をしているのだ!」と非難されるのは当然だろう。

9月 22, 2007 at 09:10 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.09.21

フリースタイルスキー猪苗代大会の大混乱

福島県猪苗代町が2009年3月に国際スキー連盟(FIS)のフリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会が8月から予算が大幅に違っていたとして大騒動になっています。
毎日新聞福島版のバックナンバーを紹介します。

月日記事タイトル
2007/8/2909年フリースタイル世界選手権 大会運営費、当初見込みの2倍 /福島
2007/8/30FIS猪苗代大会運営費倍増問題 県が検証委発足へ /福島
2007/8/31FIS猪苗代大会運営費倍増問題 県、9月議会に検証結果 /福島
2007/9/11FIS猪苗代大会運営費問題 2年前に「予算15億円」、組織委試算 /福島
2007/9/15FIS猪苗代大会運営費倍増問題 検証委、19日に概算再提示 /福島
2007/9/20FIS猪苗代大会運営費倍増問題 県教委試算、3.5倍の20億円強 /福島

8月29日に突如として「見積と違っていた」との記事が出てきます。

県教委総務企画グループによると、組織委は04年の予算計画で、

  1. 今年のリハーサル大会6900万円
  2. 来年のプレ大会2億2800万円
  3. 世界選手権2億8200万円

の計5億7900万円と算定。

しかしリハ大会では、予定外の中継映像の配信を求められ、既に3000万円超の赤字になった。

組織委が全体予算を見直すと、W杯より格上の世界選手権は、映像製作などFISの要求に応えると当初予算でまかなえないことが判明。

当初、競技会場は1~2カ所を想定していたが実際は3カ所となり、カメラ台数やスタッフが増えるほか、通信施設の整ったプレスセンターも求められているという。

同グループは「FISとの契約時に費用の細部まで精査したか、現段階では分からない」と話す。

8月30日の記事は一段と内容が明らかになります。

予算案は、昨年5月の組織委初会合で承認されていたが、事務局は、国際映像製作に多額の経費がかかることや、オーロラビジョンなど想定外の施設の新設が影響していると釈明。

「14億円は粗い数字で、これを上回らないとは断定できない」と、さらに経費が膨らむ可能性も示唆した。

9月11日にトンでない経緯が報道されます。

県教委によると、05年8月に組織委事務局が当時の県教委担当参事にリハーサル大会とプレ大会、本大会の3大会合計で、約15億円の予算が必要との見通しを報告した。

しかし参事は、予算案を見直すよう事務局に指示。事務局は5億7900万円の予算案を、翌年4月の組織委員会初会合に提案したという。

2007/09/20 の時点では「20億円を上回る」ので当初予算の3.5倍となる、となっています。
毎日新聞の記事はリンクで現在読めるのですが、すでにデータベースに移動してしまった読売新聞の記事を見てますと、8月30日付け「フリースタイルスキー世界選手権 契約書一部読まず 検証委で予算見直し=福島」があります。

組織委員会事務局は、同日、同町役場で開かれた緊急会議で、世界選手権の開催場に立候補する際、契約書の記載内容に目を通していたが、「観客を楽しませるための施設を設けることなどと抽象的な文だったため内容を理解することができなかった」と報告。

契約締結後にFISからの様々な追加要望や種目数の変更があったこともあり、当初予定の約6億から約14億に予算が超過したと説明した。

しかし、その後、組織委員会の高橋一浩事務局長は、契約書には、オーロラビジョンをゴール前に設置することや、ジャッジハウスの大きさを3メートル×12・5メートル×2・5メートルにすることなど具体的な文章や図面が記されてあったことを認めたうえで、「該当部分の契約書などの内容を読んでいなかった」と話した。

早い話が、国際スキー連盟の書類と、猪苗代町や福島県が見ていた書類が違っていた、ということのようで、福島県のローカル新聞には「翻訳が完全ではなかった」といった記事が以前にありました。
常識的に見ても「契約書をよく読んでいなかったので契約解除します」では、どんな世界でも通用するはずもなく選択肢としては予算がいくら上積みになろうと実施する事になるでしょう。

しかし、オーロラビジョンの設置とかプレスセンターの設置、国際映像配信の必要性といったことは、現代の国際スポーツ大会では常識だと思うのですが、どこをどうやれば「後から必要だと理解した」なんて事になるのでしょうか?

国際大会の円滑な実施のために今から努力すること、とは別になんでこんな事になったのかを究明するべきでしょう。

9月 21, 2007 at 05:04 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (6) | トラックバック (1)

2007.09.10

共産党・全選挙区に立候補戦略の転換

朝日新聞より「共産党、選挙区候補を半減 2大政党化の影響

共産党は8日の第5回中央委員会総会で、次期衆院選の小選挙区について、擁立する候補者を大幅に絞り込む方針を明らかにした。
新たな基準を適用すると、候補は前回衆院選から半減し、130前後にとどまる計算になる。
参院で民主党が第1党になるなど2大政党化の流れが加速するなかで、全300小選挙区での擁立を目指してきた従来の方針の転換を強いられた形だ。

志位委員長が同日、党本部で講演し、
(1)参院選比例区での同党の得票率が8%以上の小選挙区に絞る
(2)ただし、各都道府県ごとに最低1人以上は擁立する
との新基準を公表。その理由について「従来の方針のままでは、多額の供託金没収による財政圧迫など、マイナスが大きい」と説明した。得票率が10%未満だと、供託金が没収されるためだ。
今後は比例区をより重視し、参院選に続いて650万票の目標を掲げるという。

共産党は03年衆院選では全小選挙区に、05年は275小選挙区に候補者を立てたが、いずれも全敗だった。
公明、社民、国民新各党は一部の小選挙区でしか候補者を出しておらず、共産党の方針転換で、自民、民主両党の候補者の一騎打ちになる小選挙区が増える見通しだ。

05年衆院選では、民主、共産両党候補の得票を足せば、当選した与党候補の得票を上回る小選挙区が約40あった。
共産党の候補絞り込みは、民主党への追い風になるとの見方もあるが、共産党側は「選挙での野党共闘を想定した決定ではない」としている。

小選挙区の共産党票が自民・民主のどちらに流れるのか、あるいは無効票になるのか?と考えると、一番多くなるのが民主票だろう。

衆議院のサイトにある会派名及び会派別所属議員数

会派名会派略称所属議員数選挙区比例区
自由民主党・無所属会自民30522976
民主党・無所属クラブ民主1135360
公明党公明31823
日本共産党共産909
社会民主党・市民連合社民716
国民新党・そうぞう・無所属の会国民642
無所属954
欠員000
480300180

小選挙区選挙で指摘されている「死票問題」そのものであるわけですが、現在のところ共産党は300の選挙区全部に候補者を出していますが、一人も当選していません。
この票が、他党のどこに流れるのか?と考えると自民党に流れる票は皆無でしょう。

仮に、記事の指摘する40選挙区で自民党から民主党にへの逆転が起きたとしても、自民党単独でも過半数を割りません。
まぁ安倍政権下の総選挙で自民党の票がさらに伸びるとはちょっと考えられないので、場合によっては自民単独で過半数維持が不可能というくらいのところまで変わるかもしれません。

今回の共産党の決定は大きな影響を与えるかもしれません。

9月 10, 2007 at 10:24 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.09.07

残業代100万円のどこが問題なのか

北海道新聞より「北見市断水 職員に高額時間外手当 市民から強い批判

北見市で六、七月に相次いだ大規模断水に伴い、市職員の時間外勤務手当が二カ月間で総額約八千五百万円に上った問題で、市民や市議会から強い批判が上がっている。
財政難に悩む北見市は本年度から財政健全化計画を進めており、「百万円以上もの手当を受けた職員には自主返納を求めるべきだ」との声もある。

「命がけの職員もいただろうが、これでは市民の信頼を失ってしまう」。五日に開かれた市議会断水問題調査特別委。与野党の議員からは、専門家による原因技術調査委員会が「断水は人的ミス」と指摘したにもかかわらず、巨額の時間外手当を支給したことに厳しい意見が相次いだ。

北見市職員給与条例は他の道内自治体と同様に、係長以下の一般職員に支払う時間外勤務手当について、通常の勤務時間を超えた分をすべて支払うと規定している。
断水時、時間外が最も多い職員で六月は百二十時間、七月は三百九十四時間に達した。三百九十四時間の内訳は、土日・祝日の出勤分(十日間)が計百八十二時間、平日(二十一日分)の残業時間が計二百十二時間で、すべて実働時間だという。

手当最高額は六月分三十六万円、七月は百十二万円。七月に百万円以上支給された職員は三人で、いずれも浄水場の職員だった。渡部真一・北見市総務部次長(職員監)は「規定されている以上、支払う以外の選択はないが、非常時の支給については再考の余地がある」と話す。

阪神大震災の際、仮設住宅担当の職員一人に年間六百四十万円(月約五十万円)の時間外手当を支払い、議論を呼んだ兵庫県宝塚市は「労働基準法上、時間外は支払う必要がある」(担当者)とするものの、「うちでも月の時間外が百万円を超す職員は皆無だった。信じられない」という。

断水時、独居老人宅に飲み水を届けるなどした北見市内の町内会長は「ボランティアで頑張った人も多いのに、職員だけ優遇するのは納得できない」。数日間の休業を強いられた飲食店主は「市職員が焼け太りのように多額の手当を得るのは市民感覚として許せない。賞与の一部を返納する社会保険庁職員のような対応を取るべきだ」と怒る。

酪農学園大の河合博司教授(地方自治)は「働いた分の給与が支給されるのは当然」としながらも、「最終的な責任は職員ではなく市長にある。市長の責任を明確にした上で議論すべきだった」と話している。

一ヶ月間に土日出勤が10日間ということは、休み無しですね。
さらに21日間に、212時間の残業では、一日当たり10時間・・・。

幾ら緊急事態と言っても、これではまともに仕事が出来なくても不思議ではあるまい。
なんか精神主義的な印象を強く受けますね。
一部の人間に過度の負担を強いるような事業計画の方が問題で、緊急事態対応計画が無かった、と言うことでしょう。

ニセ手当てならとにかく、金額を問題にしては背景の危険を見落とすことになる。

9月 7, 2007 at 10:09 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (18) | トラックバック (0)

2007.09.05

横浜市営バスの集金誤差5%から0.4%に

「横浜市営バスの現金抜き取り事件・回収記録はあった」の後日談です。

横浜市バスの売上金窃盗事件で、同市交通局は3日、プログラムを改修してバスの料金箱データと現金収入額の誤差を0・4%以下に抑えたことを明らかにした。

3日の市議会水道・交通常任委員会で、池田輝政局長らが再発防止策の進ちょく状況を説明した。一連の事件では、料金箱データと実際の現金収入額の差額約1億円が被害額とみられている。窃盗が疑われる差額は03年から出ていたが、料金箱の精度が低く大きな誤差が出るため、現金収入額と照合せず、事件発覚の遅れにつながった。

事件を受けて2営業所の「金庫回収機」を改修した結果、これまで自然に5%出るとされた誤差は0・4%に減った。同局は月末までに、残り8営業所の金庫回収機を改修する。

他にも▽金庫回収機内の現金が入ったコンテナを定められた方法以外で開けられなくする▽回収機に紙幣や硬貨が詰まるトラブルを解消する--など機器の改修が約3080万円をかけて進められている。

また同委員会の市議10人は3日、市バス浅間町営業所(横浜市西区)で再発防止策の進み具合を視察。牧嶋秀昭委員長は「これが当たり前。こんな簡単なことはすぐできる。あの誤差は何だったのか」と話した。【池田知広】

横浜市営バスでは、バスのを料金箱をバスから取り外して「金庫回収機」に差し込むと、人手を介することなく、現金が「金庫回収機」に回収される、という仕組みでした。

バスの料金箱には、支払われた料金が電子的に記録されていて、「金庫回収機」も回収するときに現金を数えて記録しています。

「金庫回収機」の回収ボックスは銀行に運ばれて、開封されて実際の現金が回収されます。
バスの料金箱の記録・「金庫回収機」の記録・銀行で計数、の3つのデータがあるわけですが、現金抜き取り事件ではバスの料金箱の記録と最終的な銀行の記録に「5%の誤差があって当然」としていたから、「金庫回収機」から現金を抜き取られていた、とのことのようです。

ものすごい話だと思うのは、現金を扱っているのに「精度が低いから分からない」で放置していことで、さらにその放置加減が「横浜市営バスの現金抜き取り事件・回収記録はあった」で紹介したように、「あった記録を探さないで、分からない」としていたのです。

さらに、「金庫回収機」は銀行に運ばれるまで人が手を触れることが出来ない、というタテマエなのに「現金が詰まると開けていた」なのですから、どう考えても「分からない」じゃないでしょう。

どこをどう見ても「デタラメをやっていた」としか思えません。

9月 5, 2007 at 09:11 午前 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.08.16

横浜市営バスの現金抜き取り事件・回収記録はあった

サンケイ新聞神奈川版より「回収機のデータ、9カ月で差額1980万 横浜市営バス

横浜市営バス売上金窃盗事件に絡み、横浜市交通局は15日、平成15年度以前の金庫回収機用の光磁気ディスクが、8営業所で計85枚見つかったと発表した。
一部のデータの解析結果から同局は「15年度以前から売上金窃盗があった可能性がある」とみて、引き続き解析を進める方針。データの解析は今月末に終了する見通し。

6月に逮捕された北部サービスセンター保土ケ谷営業所長=懲戒免職=が、警察の調べに対し、15年度以前についても犯行をほのめかす供述をしたため、同局が調査。その結果、7月下旬に以前勤めていた本牧営業所でディスク17枚が見つかった。
そのうち、15年7月から16年3月までの同営業所のデータを解析したところ、銀行に納められた現金収入金額と料金箱データの金額との差額が約1980万円あった。

さらに本牧以外の全9営業所を調べた結果、他にも7営業所で68枚見つかった。
ディスクは金庫室や書庫、倉庫に保管されていた。

この事件でさっぱり分からなかったのは、現金を抜き取っていたことがなんで後から追跡できたのか?だったのですが、やっぱり電子データとして料金箱への入金(乗客の支払)記録があるんじゃないか。

それを日常のチェックに使用しない事にしていたから、堂々と現金を何年にもわたって抜き取っていたわけだ。

しかもこの期に及んで「光磁気ディスクが見つかった」とはなんなのだ?
「入金は記録しているが、その記憶データはどこにあるか分からない」とかやっていたのだろうか?

こんなのダブルチェックをすれば簡単に分かるわけで、記録を残していく複式簿記の徹底だけ解決してしまう内容ではないのか?

8月 16, 2007 at 10:51 午前 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.07.30

選管のひどい判断ミス

読売新聞より「疑問票の処理に遅れ、比例選確定は未明まで…首都圏選管

非拘束名簿式で行われた参院比例選では、集計作業や疑問票の処理に時間がかかり、確定時刻が30日未明までずれ込む自治体が多かった。

首都圏の1都3県では、30日の明け方近くにようやく比例選の開票結果が確定する自治体が続出。
なかでも東京都葛飾区(有権者数約35万7000人)では、午前7時までずれ込んだ。

同区奥戸の区総合スポーツセンター体育館に設けられた開票所では、29日午後8時45分から開票を開始。
確定予想時刻は選挙区が30日午前1時、比例選は同4時だったが、実際には選挙区が同4時46分、比例選が同7時と、いずれも予想より3時間以上遅れた。

同区によると、開票直後の票の分類作業はこれまで区職員約500人に担当させていたが、今回は人件費削減のため、約300人を派遣社員に切り替えた。

ところが、派遣社員の契約時間の29日午後10時半を過ぎても大量の票が未分類のまま残り、結局、これまでより少ない区職員で分類することになって処理が遅れた。
派遣社員のリハーサルは当日まで行っていなかったという。

ほかにも、小学校の投票所から投票箱を運ぶ際、鍵を一緒に持ってくるのを忘れて解錠が約1時間遅れたりする失敗も重なり、後片づけが終わったのは30日午前7時55分。
区職員からは「もう、頭が回らない」と悲鳴に似た声が漏れた。

また、江戸川区(有権者数約52万人)では、30日午前5時26分に確定。前回参院選とほぼ同じ約800人体制で臨んだが、無効票などの判定に手間取り、予定を約1時間半オーバーした。男性職員(36)は、「帰宅して1時間仮眠を取ったら、建設現場の保守、点検の日常業務を始めます」と赤く充血した目をこすっていた。

わたしは開票立会人を何度も経験していて、参議院比例区もやりましたが「二度とごめんだ」といった感じです。

開票は、報道などで流れる投票箱を開けて票を台の上にバサッと広げるところから始まります。
これを開披と呼び台のことを開披台と呼びます。

横浜市選管の開票のしくみをご紹介します。

  1. 開披分類係
    投票を開披します。有効投票については候補者別に分類し、無効・疑問と思われる票はすべて抜き出し、審査係に渡します
  2. 第一点検係
    候補者別に分類された票を一枚一枚点検し、他の候補者の票の混入または疑問票を抜き出します
  3. 第二点検係
    混入票等の再点検をおこないます
  4. 第一計数係
    混入票がないと確認された票を、候補者別に計数機にかけ、100票ごとの枚数点検をおこないます
  5. 第二計数係
    第一計数係で点検した100票束を、再度点検します
  6. 括束係
    計数機で確認した候補者別の100票束を5束あわせて、500票束とします。この係でも、再度、他の候補者の混入票がないかを点検したうえで開票立会人・開票管理者に回します
  7. 審査係
    無効・疑問と思われる票を、法令の定め、あるいは過去の判例・実例を参考にして有効票と無効票とに分類したうえで開票立会人・開票管理者に回します

これで直感的に分かるのは、当然ながら最初が一番混沌としていて人手が掛かるわけで、わたしがやっていた開票立会人のところに来るとすべての票に目を通しますが、2時間程度で10万票以上を見ます。

横浜市選管の実務では

  1. 区役所職員などで一斉に開披
    この段階では点検係などは開披に従事しているから席に着いていない
  2. 点検などを始めると、おそらくは半分以上の職員は作業終了で帰宅
  3. 計数が終わって、結束・記録付けなどになると20人程度に減らしてしまう。
  4. 最後は事務管理者や開票立会人など10人ぐらいになる

このようにして能率向上を図りますが、個々の段階で作業が遅れるようだと、後の方ほど人手がないですからより一層遅れることになります。
開票立会人は直接票を点検するという事ではないので、疑問票を見つけるのが仕事ですが、自分の担当している選挙の候補者名を見ているわけですから、わたしは自分が立ち会う選挙の候補者名を把握していました。
覚えると書かないところに意味があるのでして、例えば「太田」と「大田」は区別するのか?という問題が出てきます。候補者に「大」とか「太」が他にいない場合には「大田」も「太田」も有効ですが、「太田」候補と「大井」候補がいる場合に「大田」と「太井」をどう判定するのか、という問題なのです。

わたしは候補者名や通称なども把握するようにしましたが、これが参議院比例区だと

11の政党名の正式名称と略称、
159人の候補者名
を覚えないといけない

となります。
こんなこと不可能に近いです。

最初に票を集める開披分類係にはこの能力が要求されているわけですが、新聞記事によるとここに派遣会社からの人を当てはめて、リハーサル無しで作業した。
それで出来るほど、参議院選挙比例区の開票作業は簡単じゃない。

一番簡単なのは、補選でしょうね。一般的には3~4人しか立候補しない。国会議員の小選挙区制や地方議員の中選挙区制だと8~10人程度だからこれも何とかなる。
比例区選挙が飛び抜けて大変なのです。

葛飾区の選挙事務を企画した人間は全く現場を知らなかったとしか言いようがないでしょう。
これでペナルティが無かったらそれこそ問題だというべきですね。
実際に作業に当たった区役所の皆さん、本当にお疲れ様でした。

7月 30, 2007 at 03:32 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.07.29

宣伝メールの規制のように見えるのだが

日経新聞より「ネット通販の広告メール、無断送信禁止・経産省が法改正へ

経済産業省はインターネットを使った通信販売のトラブルを防ぐため、新たな規制に乗り出す。

販売業者が商品・サービスの広告メールを消費者の事前承諾なしに送ることを禁止する。

代金を前払いしても商品が届かないトラブルをなくすため、到着後に支払える方法を必ず用意するよう求める。

ネット通販の急成長に伴って増えている不正行為から消費者を保護するのが狙いで、訪問・通信販売を規制する特定商取引法(特商法)を改正する。

パソコンや携帯電話を使うネット通販は特商法の規制対象だが、急速に普及していても現行法では関連規定が整備されていない。

迷惑メールなどネット特有の問題に対応しきれていないとの批判が強かった。

経産省は新たな規制ルールを検討。産業構造審議会(経産相の諮問機関)で今秋をメドに具体的な内容をまとめ、特商法の改正案を来年の通常国会に提出する方針だ。

一見するともっともらしいのであるが、子細に読んでみるとどういうことなのか良く分からないところがある。
この記事では主に二つの規制をするとなっている。

  • 広告メールを消費者の事前承諾なしに送ることを禁止
  • 到着後に支払える方法を必ず用意する

これだけでも、業者に対する規制であって事業を行う前提条件と言えるようなものなのだろう。
だから改正する法律は特定商取引法だとなっているのだが

特定商品取引法

第一条  目的

この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引並びに業務提供誘引販売取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

の通りで、対象が訪問販売、通信販売、電話勧誘販売であるわけです。
ということは「広告メール全般の規制とは言えない」わけで、逆に書籍など店頭でも売っているし通販でも買うことが出来る商品の宣伝メールなんてのはどうするのだ?

以前から特商法の適用にならないとして、ネット利用が拡大したいったことが指摘されていて「もっと広く商売そのものを管理出来ないものか」というこえば多い、確かに「宣伝メール」を規制することは必要だと思うが、それが特商法でやることなのか?となると効果の点からも実務的な混乱といった面からも疑問を感じる。

7月 29, 2007 at 11:55 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2007.07.24

参議院選挙

神奈川新聞より「期日前投票が前回の1・56倍/参院選神奈川選挙区

県選挙管理委員会は二十三日、参院選神奈川選挙区(改選数三)の期日前投票について中間集計をまとめた。
二十二日までの投票者は三年前の参院選の同時期より56%(九万四千三百四十四人)増え、二十六万千九百三十三人だった。
同選管は「有権者の関心の高さを反映しているのではないか」と今後の伸びに期待している。

二〇〇四年の参院選は最終的に四十六万九千九十人が期日前投票をした。
このペースだと、二年前の衆院選(六十一万五千八百四十九人)を上回る可能性がある。

市区町村別では、綾瀬市が前回同時期比で三・五七倍、開成町が二・三四倍、松田町が二・〇七倍と高かった。横浜市は一・六〇倍、川崎市は一・五二倍。

今回の選挙は投開票日が夏休み中で、統一地方選と同じ年に行われることから投票率の低下が懸念されている。
このため、候補者の中には期日前投票を呼び掛ける陣営もある。期日前投票は、投票日前日の二十八日までできる。

期日前投票がすでに、261,933 人というのはすごい数字です。
前回の参議院通常選挙データは次の通り

有権者7,008,142
投票者3,817,887
投票率54.48%

期日前投票なので無効票が無いとすると、380万票に対して26万票ですから、7%に近いわけです。かなりすごい数字と言えるでしょう。

7月 24, 2007 at 10:26 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (2)

2007.07.23

学位商法の実態調査が始まる

日経新聞より「文科省、「学位商法」の調査開始・全国の大学対象に

研究や教育活動の実体が確認できず、実在するかどうかさえはっきりしない海外の大学で取得した“学位”が、日本国内で大学教員の採用の際などに悪用されている実態を把握するため、文部科学省は23日までに、国公私立大の人事部局を対象にした全国調査に乗り出した。
今秋にも結果を公表する。

こうした海外の大学は「ディグリーミル(DM、学位工場)」などと呼ばれ、米国では取得した博士号などの学位を就職に悪用するケースが問題化。国内でも最近になって大学案内の教員紹介などで、DMとみられる大学・研究機関の学位が十分にチェックされないまま掲載されている事例が表面化している。

調査は(1)教員の採用、昇進の審査でDMとみられる機関の学位が重要な判断材料になった例(2)入学案内やホームページなどでこうした学位を公表している例――などについて、該当する教員数などの報告を求めている。

いきなり「大学の教員を対象に学位商法の浸透ぐあいを調べる」と読める記事だから、「Matimulog」さんや「事象の地平線」さんといった大学の先生が取り上げています。

日経新聞は「海外の博士号売る「学位商法」、文科省が実態調査へ」という記事を5月13日付で発表しています。

教育活動の実態がほとんどない海外の大学から、お金と引き換えに博士号などを受ける「学位商法」について、文部科学省は初めての実態調査に近く乗り出す。
国内の国公私立大・短大約1200校が対象で、講義をほとんど受けることなく授与された学位に基づき採用された教員がいないかどうかなどを調べる。
大学教育への信頼低下を防ぐのが狙いだ。

外国の大学を舞台に行われている学位商法は「大学にお金を払い、履歴書を送るだけで学位証明を入手できる」「わずかの授業に出席するだけで卒業資格が得られる」などの方法で知られる。

結局は5月に文科省が「調査するぞ」と言い出して、それが始まったという一連の記事です。
さらに、町村先生が示している調査報告「ディプロマ(ディグリー)・ミル」問題について」は、2003年11月28日付けの「国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議(第3回)議事次第」で報告されています。

つまり、文科省としては2003年には調査に取りかかっていて、かつ問題視もしていたのでしょう。
しかし、それから4年経ってようやく実態調査の結果が出るということですね。

この手のヘンテコな権威付けはすぐに詐欺事件に広がりますから、とりあえず博士号といったものについては、勝手に出せないとするべきでしょう。ちょっと時間が掛かりすぎではないかと思う。

7月 23, 2007 at 10:23 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007.07.21

通信についての縦割り行政

朝日新聞より「ブロック!有害サイト 警察と携帯各社が団結

夏休み中の子供が携帯電話の出会い系サイトなどに接続して犯罪に巻き込まれるのを防ごうと、警察や行政、携帯電話会社が、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングサービスの普及に力を入れている。携帯各社が加盟する電気通信事業者協会は「新規申し込みの際、フィルタリングの要否を必ず確認しているので、利用してほしい」と呼び掛けている。

大阪府警少年課はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの協力を得て、フィルタリングの利用を呼び掛けるチラシを120万枚作成。府教育委員会を通じて府内の全小中高約1860校に配った。全児童・生徒にチラシを配布しての啓発活動は全国でも異例という。

同課は「夏休みになると自由な時間が増え、子供が犯罪に巻き込まれやすくなる。子供だけでなく、親にもフィルタリングを知ってもらうことで犯罪を抑止したい」と話す。大阪市内のある中学校は三者面談の席で保護者と生徒に説明しながら、チラシを渡した。

一方、京都府は電気通信事業者協会に要請し、今月2日にJR京都駅でイベントを開催。特設ブースを設け、子供向け携帯電話の展示やフィルタリングサービスの案内をした。早速、近くの携帯ショップへ行き、サービスを申し込む来場者もいたという。

何年も前からこの種の「対策提案」は見ていますが、極めて不思議に思っているのが

何で学校が出てこないのか?

です。
基本的に警察主導で、コンテンツや配信、契約などの問題のはずなのに総務省系統は出てこない。
学校も出てきません。

携帯電話機は各社とも子供向け向けのサービス(フィルタリングサービス)の他に子供向けの電話機を発売しています。
先日は、航空会社で問題になった機種でありますが

記事を読んでも「フィルタリングサービスを設定せよ」と親に要求するトーンなのですが、そんな難しいことを要求するよりも、学校が「子供用携帯電話しか認めない」と取り締まってしまえばよろしい。

先日、中学校を訪問したときに生徒同士の会話を聞いていたら「携帯はまだ早いよ。高校からでよい」と話していました。
これは一つの価値観ですが、当事者である生徒の間でもこんな話題になっている。
一方、大学生になると「携帯メールが必須」という大学が沢山あります。

中学で携帯電話そのものが不要と言いつつ、大学になると持っているだけでなく使いこなすことを要求されている。
これを何とかするのは高校の3年間しかない。
いったいどうやって、中学生を大学生(社会人)と育てていくのか、という観点でネット利用の教育プログラムを考えるべきなのに、こんなところで縦割り行政をしていること自体が大問題だと思う。
日本の将来をどう考えているのか?

7月 21, 2007 at 11:59 午前 ネットワーク一般論, 国内の政治・行政・司法, 教育問題各種 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007.07.18

投票権がない候補ではバカにしてる

ZAKZAK より「丸川珠代氏選挙権なかった…期日前投票できず発覚

自民党公認で参院選東京選挙区から出馬した元テレビ朝日アナウンサー、丸川珠代氏(36)が米国勤務から帰国後、住民票を長く戻していなかった問題で、丸川陣営は17日、住民税の納付事実を確認した。しかし、問題はこの3年間、一度も選挙に行っていなかった点。「政治を語る資格があるのか」という批判もあり、陣営では頭を痛めている。

これは16日、丸川氏が期日前投票をするため、報道陣を引き連れて新宿区役所を訪れた際に発覚した。何と、選挙人名簿に名前がなく、投票できなかったのだ。

約30分後に役所から出てきた丸川氏は顔面蒼白(そうはく)。ほおを引きつらせながら、「ニューヨークに住んでいたんですが、忙しくて(住民票の手続きを)していられませんでした。申し訳ありません」と語り、そのまま車に乗り込んだ。

こんなヘンな事件は、選挙がらみでは珍しくないですよ。
たまたま有名人(タレント候補)だからニュースになっただけで、そもそも公認で立候補なんてのは本人が望んで出来ることではない。

公認を受けるためには、各党とも規約があって、最終決定は党本部ですから党本部に持ちこむまでの下部機関での決定などが条件です。
ここまで書けば関心あるの方は察することができるでしょうが、多分こんな進行があったのでしょう。

  1. ●ニュースキャスターの丸川珠代氏を出馬させられそうです。
  2. ○そりゃ有名人だ、話を進めてください。□□氏は断ることにする
  3. ●本人を口説きました、話を進めています。
  4. ○ところで、特に問題は無いよね
  5. ●それは大丈夫です。わたしが保証します。
  6. ○なにしろ時間がないから・・・・

「時間を掛けて決定することに意味があるか」ですが、今回のような問題はもちろん、被選挙権があるのか(住民票の問題)とか、支持者が居るのなら反対者はどうか?といったことも必要なので、やはり関係者が「この人を候補で押そう」と決まるまではある程度の時間と、政治的な実力といったものがものを言います。

はっきり言えば、安全確実な候補は半年前には決まっていないとダメだ。
その点、短期間で決めて選挙に勝てるとなるとタレント擁立は党本部などにとっては、安直に選びがちな手法ですが、選挙区の地盤で活動する党員などにとっては正体不明のタレント候補には最初はかなり警戒して接します。
これは、公募候補でも同じ事でわたしもひどい経験をしています。

こんな事を考えると、この事件は担ぎ出した人の責任は重大ですよ。
こんなのは、事前に本人に聞けばよいことだ。もちろん、こんなところに穴が空いてるような人物が国会議員になっては困ります。

7月 18, 2007 at 01:37 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (6) | トラックバック (1)

PSE問題その後

ITmedia News より「PSE問題で経産省がミス認め謝罪 立法時、中古品想定せず

2006年3月にこんな記事を書いています「PSE・電気用品安全法の不思議」

PSEマークは「電気用品安全法」で義務づけられるのですが「電気用品安全法」は昭和36年(1961年)の法律ですね。「電気用品取締法」(電取法)の名前が変わったのでしょう。

(製造・輸入)と販売が同列になっています。

これで中古品販売でもメーカと同列の検査と保証を義務づけたということなのでしょうか? であるとすると、これは一種の「書き間違え」じゃないでしょうか?

メーカは新品を作るのであるからデタラメな製品を作ってはいけない、ということでメーカの技量を法的に規制するのは産業革命当時からある概念でこれに異存のある人は世界にもほとんど居ないでしょう。

さらに輸入品だから保証がないでは通用しないですから輸入業者にもメーカと同等な規制をする、これも分かる。

それが販売業者にも同列にかぶせることが出来るものか?当然、国内メーカが保証した製品を改めて販売店などが検査する必要はない

中古家電品で問題になるのは、旧電取法時代のマークの無いものということなのでしょうか?

そうするとですね、今後も中古の輸入家電品については販売出来ない可能性が続きますね。日本国内で作られる製品にはマークが本体に付けられていますが、輸入品では保証書などの形で付いていることも少なくないでしょう。そして中古品では本体だけになると「マークがない」となるのでしょうか?

どうもこれは法律が世の実態を無視して出来てしまった法律のように見えますね。

本文では色々な法律などを引っ張って「混乱しているぞ」と指摘したつもりでした。これについて「PSE問題で経産省がミス認め謝罪 立法時、中古品想定せず」では

「立法時と本格施行時にそれぞれミスをしてしまった。多くの事業者に迷惑をかけたことを深くお詫びする」――中古電気製品の販売をめぐり混乱が起きた電気用品安全法(PSE法)について、経済産業省の本庄孝志・大臣官房審議官は7月17日、都内で開いた中古事業者との意見交換会の席上、一連の混乱が同法をめぐるミスにあったことを認め、謝罪した。

PSE法は、安全基準を満たしたことを示す「PSEマーク」なしの電化製品は販売できないとする法律で、昨年4月に本格施行された。立法時は新品だけを想定していたが、本格施行時は中古品にも適用されたため、「古い中古品が売れなくなる」と混乱した。

経産省はミスを認め、中古品を円滑に販売できるようにする法改正案を、秋の臨時国会に提出する予定だ。ただ、業者の中には廃業に追い込まれたり、売り上げが減るなどの経済的打撃を受けたケースも多く、補償を含め国の責任を問う問題に発展する可能性もある。

PSE法は2001年に施行され、機器の種類によって5年、7年、10年の猶予期間が設けられていた。最初の猶予期間が切れたのが昨年4月。PSEマークなしのテレビや電気洗濯機、シンセサイザーなどがマークなしでは販売できなくなった。

経産省は、新品を出荷・販売するメーカーなどにはPSE法について告知してきており、猶予期間は新品の流通在庫を売り切るには十分だった。だが中古事業者への事前告知はなく、中古事業者が2005年末から2006年初頭にかけて経産省に問い合わせて初めて、PSEマークなしの中古品も販売できなくなることが発覚した。「中古事業者のみなさんには、寝耳に水だっただろう」(本庄審議官)

中古品は、2001年以前に製造・販売された機器がまだ流通している。特に「ビンテージ品」と呼ばれるような古い機器を扱う中古品販売事業者は「在庫はほとんどがPSEなし。売るものがなくなる」という事態に。マークなしの品を大幅値下げして売り切ったり、従業員の解雇や店舗縮小を余儀なくされた事業者もあった。

本庄審議官は「1999年に法律を制定した当時は中古品マーケットがそれほど大きくなかったため、中古品を念頭に置かずに立法してしまった。これが失敗の出発点。もっと早くから問題に気づいて調査していればよかったのだが、2001年の施行から2006年の猶予期間切れまでの5年の間に、経産省の担当者もどんどん変わり、引き継ぎもできないまま2006年に大きな問題として浮上した。1999年の立法当時の判断ミスと、昨年はじめの判断ミス、2重のミスだった」と失敗を認める。

中古事業者や世論の大きな反発を受け、経産省の対応は二転三転した。坂本龍一さんなどミュージシャンが、ビンテージAV機器のPSE法からの適用除外を求めると、経産省はビンテージ機器を「例外」として除外すると発表。「ビンテージ品だけ除外は不公平」という声が高まると、その他の機器についても「レンタル扱い」で販売を事実上容認したほか、販売店の自主検査でPSEマークを添付できるよう、全国500カ所に検査体制を築くとした。

中古機器でも、旧法(電気用品取締法)に適合していれば安全性は担保されている。それでも当時は「旧法適合品でも安全性が十分確認できない」などとし、中古販売時に再検査した上でPSEマークを貼付して販売するよう求めた。

だが、経産省が改めて検査したところ、旧法とPSE法で安全基準に差がないことが判明した、という。「旧法とPSE法の基準に差がないと気づいていれば、5年や7年、10年という中途半端な経過措置はおくべきではなかった。出荷段階で安全が確保されていればいいというのは、旧法とPSE法で変わらない。中古品の販売時に改めて検査しなくてはならないというのは、いま考えるとおかしい」(本庄審議官)

また、経産省傘下の産業構造審議会製品安全小委員会は、今年7月4日発表した中間とりまとめ案で、旧法とPSE法で安全基準が変わっていないことを確認したことを踏まえて「PSEマークなしの中古機器販売容認を検討すべき」と報告した。

経産省は、PSE法の改正法案を秋の臨時国会にも提出する計画。旧法に適合していれば、再検査やPSEマークの貼付なしで販売可能にする法案を提出する予定だ。「昨年、大混乱を招きつつ、再検査機器を貸し出したり、出張検査も行ってきた。今後は法改正を行い、検査不要で売れるという手当てをしたい。昨年の混乱をお詫びし、過ちを繰り返さないようにしたい」(本庄審議官)

また、新たに、民間による中古品の安全性チェック制度「中古品安全・安心確保プログラム(仮)」も創設する計画だ。

経産省は7月中旬から、PSE法と中古品安全・安心確保プログラムについて、全国で意見交換会を開いている。17日に開かれた都内の会合では、中古事業者から「立法段階では中古品を対象にしていない法律だったのに、2006年前後に、誰かのミスで解釈が変わってしまったのでは」という指摘が。本庄審議官は「条文の文理解釈からすると、中古品にも網がかかる。ただ、法律制定時の内閣や国会が中古品販売まで想定していたかは怪しい。当時の立法担当者も、中古品にまで網がかかるとは思っていなかったようだ」と回答した。

また「PSE法をめぐる混乱で、店舗も従業員も財産も失った。損害を賠償してほしい」という中古事業者からの声については「償いができるなら、方法は検討したい」と前向きな姿勢を示した。ただ、中古業者がPSEマークを自主添付するために購入した検査機器代金の補償については「新たに創設する中古品安全・安心確保プログラムに参加してもらい、その際の検査に活用していただければ」とし、買い取りなどの可能性は否定した。

そもそもの立法趣旨が説明不足というか混乱していると言うべきでしょう。
元々は電気製品の安全性について国が基準を作って、製造段階で保証することは誰も異議のないところですが、製造段階で検査するのでは輸入品には保証がないとなります。

そこで、輸入事業者にも製造段階と同じレベルでの保証をさせる、つまりメーカー扱いにすることも時代の流れとして当然でしょう。

次に出てきたのが「中古品」なのでしょうが、多分問題になるのは「中古品として検査無しで輸入される電気製品」なのです。
それを「中古品」として国内で検査済み商品が中古品になったら検査が必要」というひっくり返った理屈にしてしまった。

中古電気製品が危険な状況はあるだろうけど、社会的に問題になるのはかなり限定された状況だけではないだろうか?

  1. 輸入商品で
  2. 国内検査記録がない
  3. 中古品で
  4. ある程度の数量がある

これなら、国内流通の問題ではなく輸入の段階で検査すればだいたいはカバーできるのではないか?
乱暴に「最終販売段階でチェックすればよい」とメーカに適用する法律を販売店に課すようなことをことをしたことが根本的に間違っているだろう。

7月 18, 2007 at 10:42 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.06.26

風力発電の設置基準の策定

朝日新聞より「台風や雷に強い「日本型風力発電」を 技術基準を強化へ

経済産業省原子力安全・保安院は、日本独特の台風や雷に強い風力発電所の設置を促すため、08年度に電気事業法で定めた技術基準を強化する方針を決めた。
近年、台風や雷などの自然現象による破損が目立っている。

保安院によると、現行の技術基準は、強風に対して「構造上安全であること」などと抽象的に求めているだけだ。
雷対策は規定さえない。欧州主導の国際基準はあるが、日本の台風や雷は、この想定を上回る厳しい条件が必要とみている。

日本の風力発電所は06年時点で75%が海外製だが、最近は国産メーカーを含む新規参入が相次いでいる。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が05年度に全国900基を対象にした調査では、故障や事故が1年間で100件あった。
原因は、暴風や落雷など自然現象によるものが38%も占めた。施工や製造不良などは25%、管理不備など4%、原因不明33%だった。

自然現象のほとんどは落雷だった。
風車の大型化で、羽根の先端部の高さが100メートルを超えるものもあり、より雷被害を受けやすくなっているとみられている。
NEDOによると、東北から北陸にかけての日本海側は、冬季に激しい雷に見舞われ、他地域より被害発生率が4倍以上もあった。

また、台風の襲来が激しかった年は、暴風による故障や事故が13%を占めた。局所的な強風にも襲われやすいことから、すでに三菱重工などでは日本型の気象条件に配慮した設計を取り入れ始めているという。

NEDOは、日本型風力発電ガイドラインの策定に向け、全国で強風や雷を観測、07年度中に状況をまとめる。
保安院は、これらの結果を踏まえ、具体的な数値を盛り込んだ基準改正作業を進める。

日本の風力発電は06年度で1314基、総設備容量は149.1万キロワット。
経産省は地球温暖化対策として、10年度に300万キロワットに増やす計画だ。設置数だけでなく、運転効率の向上も課題になっている。

先日、テレビニュースで「風力発電の騒音問題」が取り上げられていました。
「騒音問題なんて当然あるだろう。なんで問題になるところに作ったのだ?」と思っていたのですが、技術基準すら無かったのですか・・・・・。

つくば市の風力発電企画の大失敗というのがあったし、さらには補助金目当てで無理な設備を作って動かない、など風力発電には色々と問題があります。

ところでこの記事で非常に気になるのは、設置基準を決めるというのは供給側の仕組みを定めようということですね。
堺屋太一氏が書いていたのだと思うのですが「日本の行政はすべてが供給側だけをやっている」というがありました。

文科省というのは、教育を提供する側から教材とか教員の待遇、学校の設備といったことをだけをチェックしている。教育を受ける側のからのチェックが無い。
といった観点からあらゆる行政を需要側から組み立てることが可能ではないか。という小論文だったと思います。

そんな観点で、風力発電について考えると、とりあえず騒音問題とか倒壊事故問題、メンテナンス問題など地域社会との関係を整備しないで、技術基準を決めてもまずいでしょう。
つまりはこの問題は供給者だけの視点からではどうしても問題が残るだろう、と見るべきだと思うのです。
なんで行政が供給をコントロールすればすべてがうまく行くように考えて実行してきたのか?は、昭和30年頃から現実化した「国土の集中利用」で色々な団地を造って、その地域では他の事を考えないでもよい、やったからだと思います。

例えば、住工分離で住宅団地と工場団地を造った。
工場団地では騒音や振動の規制がない、住宅団地では労災事故がない。
実に能率的で、対策を集中できるのですが、結果として社会全体がひ弱になることは間違えない。

今後の政策はこのような「考えないでも仕組みに対策がすでに含まれている」という縦割り行政発想を破らないとダメなわけで、風力発電問題なんてちょうど良いと思うのですがね。

6月 26, 2007 at 10:49 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.06.19

エレベータのワイヤーが破断していたのは問題なのか?

読売新聞より「エレベーターのワイヤ破断、大手5社の38基で新たに確認

エレベーターのワイヤロープの破断が相次いだ問題で、国土交通省は18日、保守管理大手の5社が担当する全国のエレベーター約50万9000基について、既に判明した4基のほか、新たに計38基でロープの一部破断が見つかったとする調査結果を発表した。

これまで破断が確認されていなかった三菱電機ビルテクノサービス、東芝エレベータの保守管理分も含まれ、同省は、両社が管理する計約26万9000基について緊急点検を指示した。

調査結果は、国交省が社団法人・日本エレベータ協会を通じ、昨年6月以降に確認された破断件数をまとめたもの。

計42基の内訳は、日立ビルシステムが最多で21基、日本オーチス・エレベータ7基、東芝エレベータ、フジテック各5基、三菱電機ビルテクノサービス4基。
いずれも破断が判明後、ロープは交換済みで、日立、フジテックの各1基と、オーチス社2基については既に公表されている。

原因については、設置からの時間経過に伴う経年劣化が15基で最も多く、小石などの異物混入が原因とみられる損傷が7基、さびによる劣化2基などだった。

いずれも直前の定期検査では問題がないと報告されており、同省では「ずさんな検査・点検で劣化が見過ごされた可能性がある」として、今後、エレベーターの定期検査の方法や報告について見直す方針。

日本エレベータ協会では「破断の発生をゼロに近づけるよう、検査・点検を見直していく必要がある」としている。

ロープの一部破断を巡っては、今年3月以降、大手5社のほか、シンドラーエレベータ、日本エレベーター製造が保守管理する各1基でも確認されている。

結構微妙なニュースですね。
エレベータの保守について詳しいことは知らないのですが、元々複数のワイヤーで釣られていて、ワイヤーが一本破断したぐらいでは運用に差しつかえないし、釣っているワイヤーが全部無くなってもカゴは落下しないはずです。
だから、近年のエレベータによる死亡事故はカゴの上昇がコントロールできない時に起きています。

記事をよく読むと

調査結果は、国交省が社団法人・日本エレベータ協会を通じ、昨年6月以降に確認された破断件数をまとめたもの。

とのことですから、素直に読むと個々のエレベータを直接一斉に調査した、ということではないようです。
点検や異常の調査などで、ワイヤーの破断が見つかった、と解釈できます。

そうなると

いずれも直前の定期検査では問題がないと報告されており、同省では「ずさんな検査・点検で劣化が見過ごされた可能性がある」として、今後、エレベーターの定期検査の方法や報告について見直す方針。

とは実際には何が出来ればよいということになるのか?
ワイヤーが切れる前に切れそうだと発見するのはかなり難しいのではないだろうか?
そこで問題になってくるのが

原因については、設置からの時間経過に伴う経年劣化が15基で最も多く、小石などの異物混入が原因とみられる損傷が7基、さびによる劣化2基などだった。

経年劣化が一番多いのであれば、いつ設置されたものか、あるいは運転時間がどれくらいか、を問題にすれば対応策も出来るだろう。
そうなると、個々のエレベータの情報はメンテナンス会社にはあるわけだから、ワイヤーが破断したエレベータの台数よりも、緊急にワイヤーを交換するべき可能性のあるエレベータの台数を問題にするべきではないだろうか?

シンドラー社のエレベータが港区で起こした、高校生死亡事故の現場ではエレベータ管理会社を入札によって入れ替えたらメンテナンス費用(契約高)が数年で何分の1かに下がったとも言います。
どう考えても、点検でどこを手抜きするかを競っているわけで、その中でワイヤーについては「破断が分かればよい」であったのでしょう。
先に書いたとおり、ワイヤーの安全性は極めて高いので破断そのものが危険とは言えない、という解釈が成立しています。

これを問題にするのであれば、エレベータのメンテナンスコストは激増するわけで、国レベルではワイヤーの交換時期を定める、といったことの方が優先度が高いでしょう。
どうもここらにも「事故調査委員会」的な機能が働いていない、問題の提起がなされないと強く感じます。

6月 19, 2007 at 09:07 午前 もの作り, 事故と社会, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.06.18

加西市長・自動失職から再選

「加西市長が不信任で失職・市長選挙に出馬する」の選挙結果です。

神戸新聞より「行政停滞 重責の出直し 加西市長に中川氏

改革への強いリーダーシップを、有権者は引き続き選択した。
前市長失職のきっかけとなった職員採用介入問題をめぐり、三つどもえの戦いを繰り広げた加西市長選。「採用権限は市長にある」と正当性を主張した前市長の中川暢三(ちょうぞう)さん(51)が再選を果たした。
「採用問題は真相が分からない。それよりも改革を進めて」という有権者の声が追い風となり、異例ずくめの展開の末、市長の座を奪還した。

「“抵抗勢力”によって失職させられたが、有権者の見識のおかげで返り咲くことができた。市政改革を続行する」。
中川さんは喜びにほおを緩ませながらも、変わらぬ信念を語った。

選挙戦では採用問題を「争点ではない」としつつ「市長が、優れた人材を積極的に選ぶべき」と主張。一方で財政再建を市の重要課題とし「今後十年間で借金を半減させる」と訴えた。

「中川氏再選」の一報に、不信任に賛成した市議らは「今後の対応を話し合わなければ」と重苦しい雰囲気。
「(四月の)市議選で、不信任を出すことを表明して当選したのに、有権者が別の判断をするとは」と困惑した。

また、別の市議は「中川氏の当選は民意として重く受け止めるが、議員として間違ったことをしたとは思っていない」。
悔し涙を流す市議もいた。

前回、今回ともに中川さんに票を投じた五十代の主婦は「採用に関する悪いうわさは過去にもあった。金品の授受もなく失職は納得できない。改革への強い意志に共感する」。
男性(80)は「混乱の原因は中川さんの改革に周囲が反発しただけ。でも今後は、市議や職員と対話を重ね、粘り強く取り組んでほしい」。

一方、新人の民輪正秀さん(53)は採用問題を大きな争点とし「第三者機関を設けて真相を究明し、新しい採用基準をつくる」と訴えた。
不信任決議に賛成した市議十六人のうち大半が支援したが及ばなかった。

元市長の柏原正之さん(64)も採用問題を「リーダーの資質に欠けた行為」と批判したが、返り咲きは果たせなかった。

議会としこりどう解決

出直し加西市長選で、市民が選んだのは、前市長の中川暢三さんだった。
「改革続行」の訴えは民意を得た格好だが、市長選の発端となった職員採用介入問題では、地方公務員法違反容疑で市議が中川さんを告発しており、議会との対立の行方は不透明だ。
財政再建など課題が山積している中、二期目の中川さんが議会との対話をどのように進めるのか。
議員側は今回の民意を受けてどう役割を果たすのか。双方の在り方が問われる。

出直し選のきっかけとなった採用問題。議会との対立の背景には、助役、教育長の全国公募や職員手当のカットなど、中川さんのトップダウンによる改革のやり方が、議員や職員らの強い反発を招いたことがある。
「独断専行」の声が上がり、二度の不信任決議につながった。

決議に賛成した市議だけでなく、市職員や近隣首長も対立する二人の応援に動いた。
中川さんは再選を果たしたものの、得票数は、二人の合計を下回った。
市民の多くは、中川さんのこうした手法に疑問を投げかけた形で、採用問題でも中川さんの主張を認めたとは言い切れない。

借金が五百五十億円を超え、財政再建が最重要課題の加西市。
企業の倒産にあたる「財政再建団体」へ転落する可能性はまだ消えてはいない。
本年度予算案は否決されたままで、市民生活にも影響が出始めている。

一足先の市議選で、市民は新しい議員を選んだ。新しいステップに立った市長と議会。
出直し選で、中川さんは「対話と協調」を訴えた。この実現が、市政正常化の鍵を握る。

なんかすごい経過をたどっていますが、中川暢三市長は2002年8月の長野県知事選挙に出馬して落選しています。

2002年 長野県知事選挙 得票

候補者氏名
党派
得票数
田中 康夫無所属・前
822,897
当選
長谷川敬子無所属・新
406,559
市川 周無所属・新
24,261
中川 暢三無所属・新
15,255
羽柴 秀吉無所属・新
9,061
福井 富男無所属・新
2,058

2005年の加西市長選挙に当選

当落の別
党 派
候補者氏名
年齢
新現元別
男女別
候補者得票数
当選
無所属
中川暢三
49
男性
12,138
無所属
柏原正之
62
男性
11,260

2007年3月29日 市長不信任決議可決・市議会解散

市議会が市長の不信任決議を可決すると、市長は10日以内に議会会を解散しないと失職します。
ところが、2007年4月は統一地方選挙があって、当初から4月22日選挙は動かせませんし、4月15日告示(選挙開始)も動きません。
これでは、市議会議員にとっては市長に市議会を解散されても元々予定指定していた選挙に出るだけのことで、いわば一方的に市長にダメージを与えることができるかもしれない、という立場でした。

2007年4月22日 市議会会選挙

結果は、市議会の定員18人中の16人が反市長派となりました。

2007年5月13日 2度目の市長不信任決議可決で市長は自動失職

そして今回の選挙で市長は再当選です。
これでは、「ちょっとは落ち着いてくれ」ということにもなるでしょうね。

6月 18, 2007 at 07:19 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ネットやPCの特別扱いは終わるべきだ

サンケイ新聞社説より「警察官不祥事 モラルの欠如が甚だしい

警視庁北沢署地域課の巡査長の私物のパソコンから、約1万件の捜査資料が流出した事案は、警察からの流出件数としては過去最大規模だ。

なぜ、このような内部資料が流出したのか。巡査長の私物のパソコンが、ファイル交換ソフト「ウィニー」のウイルスに感染していたことで、膨大なデータがインターネットを通じ外部に流れたようだ。

ウィニーをめぐっては、昨年、全国の警察で同じような流出が続出し、警察庁はウィニー使用を禁止する緊急通達を出した。

にもかかわらず、この巡査長は通達を無視し、私物のパソコンにウィニーを使用していたわけで、情報管理のずさんさ、危機管理意識のなさが、一線警察官の現場でまかり通っていたことになる。事態は深刻である。

ウィニー問題だけではない。愛知県警では、事件捜査にあたる巡査長が捜査情報を事件関係者に漏らし、捜査自体が失敗するという不祥事が明るみに出た。

大阪府警の捜査2課に勤務するベテランの警部補は、大阪府枚方市の清掃工場をめぐる談合事件で、大阪地検に逮捕されるという前代未聞の事件を引き起こした。捜査2課といえば、汚職や談合事件を摘発する部署だが、自らが談合の中心的役割を担っていたというのだから、話にならない。

住民の警察への信頼はまだまだ厚いが、このような不祥事の続発は、警察への信頼を根底から崩していくことになる。警察の全組織を挙げてモラル低下を防ぎ、職業倫理を高めていかないと、住民の信頼をつなぎ留めることはできない。

この社説にはなんか違和感を感じます。

  1. winny 問題
  2. 捜査情報を当事者に漏らした
  3. 談合事件に関わった

コレでは全く別の性質の事件だろう。
確かに「警察官がモラルとして守るべき事を怠った」とは言えるだろうが、対策が「モラルを守れ」にはならないと思う。

そもそも、この3つの事件の内で winny 問題がなかった場合に、この社説は「モラル」を全面的に出してきただろうか?
捜査情報を当事者に漏らした、談合に関わったでは古典的な悪徳警官像にしかなるまい。
モラルに言及するとしても「悪徳警官撲滅」のような記事になるだろうし、第一行為そのものが法律違反だ。結果ではなく、行うこと自体が犯罪と言える。

これに対して、winny 使用は行為としては現在のところ法律違反ではない。
では、winny を使っていない私物PCに捜査情報をコピーして、そのコンピュータを他人が見るとか、盗まれたとかといった場合には法律違反にならないのか?
ごく普通に考えて、捜査情報を自宅に保管するようなことが許されて良いわけがないだろう。

つまり、winny の使用は現在のところ法律違反でないにしても、私物のPCに捜査情報をコピーすることは、紙の資料を持ち出すことと何が違うのか?ということになる。

にもかかわらず、社説は「モラルの問題」としているのはなぜか?と考えるのですが、結局はPCの情報は紙とは別のものだ、という前提で書いているのでしょう。
ちょっと前には裁判でも掲示板のログを印刷したのもの証拠能力を問題にする、といった特別視がありましたが、今ではそんなことはない。
時代はドンドン変化して、すでにPCや通信は特別のものでは無くなりつつあるのだから、winny だからといった理解ではダメでしょう。この社説は時代の変化を表すものとして記憶して良いかもしれません。

6月 18, 2007 at 08:28 午前 ネットワーク一般論, 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.16

捜査情報流出を考えると

朝日新聞より「警視庁情報流出、わいせつ画像コピーがきっかけ

警視庁北沢署の巡査長の自宅パソコンから警察書類を含む計1万件の文書がネット上に流出した問題で、この巡査長が同僚所有の外付けハードディスクから、わいせつ画像をコピーしたのが流出のきっかけだったことが13日、わかった。

調べによると、巡査長は自宅に私用パソコンを2台所有。
ファイル変換ソフト「ウィニー」が入った1台にデータをコピーしたため、同僚のハードディスクの情報がほぼ丸ごと、遅くとも今年4月までに流出していた。

1万件のうち1000件は画像で、逮捕前の被疑者を隠し撮りしたと見られる写真もある。
9000件の文書の中には、強姦(ごうかん)や強制わいせつ、恐喝事件に関する捜査書類や被疑者の携帯電話の解析記録もあった。
暴力団関係者の使用車両などを示した捜査資料もあり、ほとんどが実名入りだった。

警視庁は今年3月、私用の全パソコン約4万1000台に、ウィニー導入の有無を調べるソフトを走らせる一斉点検を実施。
この際、巡査長はウィニーを入れたのが発覚するのを恐れ、流出元になった1台には点検ソフトを使わなかったらしい。

なんで winny を入れたPCに捜査資料のデータを繋いだのか、この巡査長は自分のやっていることが分かってなかったのでしょうか?
しかしこういう詳細が伝わってくると、「winny を使わなければ」といったことでは防げないのではないか?と思うところです。

今回の捜査情報流出は社会システムに影響を与えたことは確実で、DMの名簿が流出したのとはレベルが違うと考えても良いでしょう。
原理的には情報流出で政府が潰れるとか、核戦争が起きるなどといった空想的な可能性も皆無ではないのですが、法的にそういう「社会の安定を壊す可能性がある」として規定されているものに、偽造通貨の扱いがあるな、と思い出しました。

刑法 第十六章 通貨偽造の罪

第百四十八条 通貨偽造及び行使等

行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

第百四十九条 外国通貨偽造及び行使等

行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

第百五十条 偽造通貨等収得

行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。

第百五十一条 未遂罪

前三条の罪の未遂は、罰する。

第百五十二条 収得後知情行使等

貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。

第百五十三条 通貨偽造等準備

貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

こうして調べてみると、通貨偽造や行使の罪が思いっきり重罰であることが分かります。
そこで、今回の捜査資料流出を通貨偽造や行使に比べて社会的な被害はどのようなものだろうか?と考えてみます。

世界中で偽札事件は続いていて、そのために通貨の変更で対策するのが普通です。
米ドルは世界中で流通することあって、頻繁に変更しているという印象があります。
日本でも過去何回も緊急事態扱いで通貨を更新したことがあります。

こういうことがあるから、通貨偽造は世界的に重罪になっているのでしょう。それに比べて、捜査情報流出といっことの被害はどうか?と考えると、現時点で法的にはなんの処罰も無いというのはかなり問題ではないだろうか?
別に捜査情報でなくても、銀行や税金といった情報が流出した場合に、国家としての信用が毀損されて、国際取引に問題が出てきたら偽装通貨問題を上回る被害となりうるでしょう。

それで、片方は無期懲役で片方は全く罪がない、というのはいつまでも通用するものではない、という印象が強くします。

明らかに、P2P技術や winny そのものを規制してもダメで、例えば「電磁的公文書流出罪」とでもいった法律を作って、結果を積極的に処罰するというぐらいしか抑止効果が無いと思うのです。

こんな「対策」にでもしないと、今回のように

  1. 他人のHDDを
  2. 個人的管理下のPCの内
  3. winnny を使用中の機械に接続した
なんていう組合せを事前に回避できるわけがない。
そりゃ元をたどれば、データの入ったHDDを他人に渡すのが論外だ、とは言えますがだからと言って無くなるとは思えない。
結局は、結果に対して処罰するしか無いのかな?と思うところです。

6月 16, 2007 at 11:15 午前 セキュリティと法学, 個人情報保護法, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.14

振り込め詐欺事件を発表しないというのだが

読売新聞より「ネット中傷も 神奈川県警、振り込め被害の個別発表中止

神奈川県警が振り込め詐欺事件の被害発生を個別に発表することをやめていたことが13日、わかった。

県警は被害が減らないうえ、被害に遭った人が中傷される例も起きていると説明。
「特異な手口や発生状況は定期的にまとめて発表したい」(捜査2課)としているが、識者からは「防犯のためには発生直後の公表が必要」と批判の声も上がっている。

県警は5月に県内54署の刑事課長を集めた会議で、被害をそのつど発表しても防犯効果が上がっておらず、被害者保護を優先すべきだとして、被害の判明後すぐに報道機関に発表することは控えるよう見直した。
被害額が数千万円と多額だったり、手口が新しかったりする特異な例も被害者の了解が得られ、県警で検討したうえでなければ発表しないことにした。

被害者中傷について、県警は横浜市の主婦の例を説明。この主婦は4月に情報サイトの登録料などの名目で計約4700万円をだまし取られた。県警は直後に広報したが、新聞などで報道された後、インターネットの掲示板に「なぜ大金があるのか」といった書き込みが行われたという。

なんかヘンな話だと思いますね。

ネット中傷云々はいわゆる報道被害そのものですよね。
報道の情報は5W1Hが基本的にあるわけで、報道被害を皆無にするためには、警察が発表しないというのは一つ手段かもしれませんが、誘拐事件では報道協定があってとりあえず記者クラブ(わたしはこの仕組みには反対)内では「知ってはいるが適当なタイミングまで報道しない」とやっているわけです。
全く報道しないのではない、報道被害削減の手法には少年事件での氏名などを公開しない、というのもあります。

つまりは、報道被害を防止するために警察が公表しないというのは、一種の究極の手段であって、報道側が考えてちゃんとやれば良いことでしょう。
はっきり言えば、報道被害に遭った振り込め詐欺被害者が報道に損害賠償させればよいことになります。
こうして、報道被害を生むようなリスクのある報道の仕方が問題になって、落ち着くところに落ち着く、というのが一番だと思います。

元日本新聞協会研究所長の桂敬一・立正大講師(マスメディア論)は記事にコメントを寄せています。

「発生直後に被害状況を詳しく知らせることが将来の防犯につながるはずだ。(中傷など)被害者の保護はメディアが考えるべき問題」と話している。

全くこの通り、と思います。

6月 14, 2007 at 11:22 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.06.04

犯罪被害者の刑事裁判参加・その2

朝日新聞社説より「被害者参加―「求刑」はいきすぎだ

犯罪にあった被害者や遺族が法廷で検察官の隣に座り、被告や証人に直接問いただす。それを可能にする法律の改正案が衆院で可決された。

この改正については被害者らが熱心に働きかけてきた。犯罪の当事者であるにもかかわらず、裁判が始まるとカヤの外に置かれてきたからだ。

改正案の提出に先だって、私たちは被害者の参加を基本的には支持した。同時に、裁判の使命である真実の解明という役割をそこなうことがないよう注文をつけた。

この点で、検察官が論告・求刑をしたあと、被害者も独自に「論告・求刑」ができる、という改正案の規定には賛成できない。

被害者からの「求刑」はあくまでも意見とされているが、そんなに単純に割り切れるものではない。凶悪な犯罪になればなるほど被害者は被告に強い憤りを持つことが多い。「求刑」は検察官より厳しくなることもあるだろう。

2年後に始まる裁判員制度では、素人の市民が裁判官とともに、有罪か無罪かだけでなく量刑も決める。法廷の最終段階になって聞いた被害者の生の声に大きく影響されないか。それが心配だ。

いまでも被害者には意見を述べる機会がある。そこで被告への思いを語ることもできるはずだ。参院では、被害者が「求刑」まですることの是非について、十分に議論して見直してもらいたい。

改正案が通ると、被害者は被告や証人に直接質問できるようになる。その際、検察官や裁判官が被害者の質問の内容をあらかじめ確かめる。被害者からすれば不満かもしれないが、裁判が報復したい気持ちをぶつける場になってはいけないからだ。

政府案に対しては、与野党の一部議員や日本弁護士連合会などから「刑事裁判のあり方を根底から覆す」といった懸念や反対論が根強くある。

色を変えたところをよく読んで欲しい。

  • 刑事裁判に被害者参加を支持する
  • 被害者は法廷で「意見」を述べる
  • その「意見」が求刑であってはならない

普通に考えて、この社説の意見は矛盾しているだろう。
被害者が刑事裁判に参加して意見を述べるとなれば、被告の罪について論じることになるだろう。被害の実情などについて述べるのであれば、証人の証言として扱う範囲でわざわざ被害者に限定するのであれば意見が罪についてどう考えるかになるのは仕方ないだろう。

わたしは「犯罪被害者の刑事裁判参加」で述べたとおり、被害者の刑事裁判参加制度には反対です。

なんで被害者が刑事裁判に参加する方が良い、という意見になったのか?は元を質すと被害者の意見が現行の裁判制度で十分に反映しないからであって、それは単に検察の仕事のやり方がヘンだということでないのだろうか?

検察側が被害者側の意見を積極的に評価することでかなり解決できる課題であるように感じます。

参考 刑事訴訟法改正案より抜粋

第三百十六条の三十三

裁判所は、次に掲げる罪に係る被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、被告事件の手続への参加の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、決定で、当該被害者等又は当該被害者の法定代理人の被告事件の手続への参加を許すものとする。

前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

裁判所は、第一項の規定により被告事件の手続への参加を許された者(以下「被害者参加人」という。)が当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人に該当せず若しくは該当しなくなつたことが明らかになつたとき、又は第三百十二条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため当該被告事件が同項各号に掲げる罪に係るものに該当しなくなつたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。
犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮して被告事件の手続への参加を認めることが相当でないと認めるに至つたときも、同様とする。

第三百十六条の三十四

被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、公判期日に出席することができる。

公判期日は、これを被害者参加人に通知しなければならない。

裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士が多数である場合において、必要があると認めるときは、これらの者の全員又はその一部に対し、その中から、公判期日に出席する代表者を選定するよう求めることができる。

裁判所は、審理の状況、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の数その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、公判期日の全部又は一部への出席を許さないことができる。

前各項の規定は、公判準備において証人の尋問又は検証が行われる場合について準用する。

第三百十六条の三十五

被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができる。この場合において、検察官は、当該権限を行使し又は行使しないこととしたときは、必要に応じ、当該意見を述べた者に対し、その理由を説明しなければならない。

第三百十六条の三十六

裁判所は、証人を尋問する場合において、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者がその証人を尋問することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、審理の状況、申出に係る尋問事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、情状に関する事項(犯罪事実に関するものを除く。)についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、申出をした者がその証人を尋問することを許すものとする。

前項の申出は、検察官の尋問が終わつた後(検察官の尋問がないときは、被告人又は弁護人の尋問が終わつた後)直ちに、尋問事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら尋問する場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

第三百十六条の三十七

裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者が被告人に対して第三百十一条第二項の供述を求めるための質問を発することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士がこの法律の規定による意見の陳述をするために必要があると認める場合であつて、審理の状況、申出に係る質問をする事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、申出をした者が被告人に対してその質問を発することを許すものとする。

前項の申出は、あらかじめ、質問をする事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら供述を求める場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

第三百十六条の三十八

裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、第二百九十三条第一項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。

前項の申出は、あらかじめ、陳述する意見の要旨を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

第三百十六条の三十九

裁判所は、被害者参加人が第三百十六条の三十四第一項(同条第五項において準用する場合を含む。第四項において同じ。)の規定により公判期日又は公判準備に出席する場合において、被害者参加人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、被害者参加人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、被害者参加人に付き添わせることができる。

前項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者は、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。

裁判所は、第一項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者が、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認めるに至つたときその他その者を被害者参加人に付き添わせることが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消すことができる。

6月 4, 2007 at 09:32 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.05.14

加西市長が不信任で失職・市長選挙に出馬する

産経関西より「職員採用問題 中川・加西市長が失職 2度目不信任

兵庫県加西市の職員採用試験で、中川暢三市長(51)の判断で合格者が入れ替わったとされる問題で、加西市議会は13日、臨時議会を開催。市長不信任案を可決した。
この日の不信任案可決は3月議会に続いて2度目であるため、地方自治法の規定で中川市長は同日付で失職した。
50日以内に市長選が行われることになっており、14日に出直し市長選の日程が決まる。

臨時議会は、中川氏の発案で、傍聴席が800席ある市民会館大ホールを議場とし、市民が傍聴しやすい日曜日に開催。
午前10時からの開会の前から大勢の市民が詰めかけ、傍聴席は満席となった。

臨時議会では、議員から「独断専行による政治手法により市政を混乱させた」などとして、市長不信任案が提出され、出席議員18人のうち、賛成16、反対2で不信任案を可決した。

閉会後に行われた記者会見で、中川氏は2度の不信任について「議会とのコミュニケーションが欠如していただけで、(市政運営は)間違っていない」としたうえで「改めて市民に信を問うため立候補する」と話し、出直し市長選への出馬を表明した。

中川氏は平成17年7月、市政の改革を訴えて市長選に立候補し、当時の現職を破って初当選。今年3月議会で表面化した職員採用試験問題で不信任が決まったが、中川氏が議会を解散。
4月22日に市議選が行われ、市長不支持派が多数当選していた。

この事件は数日前に「日曜日に市民ホールで傍聴人800人で市議会」という記事にビックリして、それから調べ始めました。

そもそも、地方議会と首長の関係は首相と国会議員との関係とは違っています。首長も地方議会議員も直接選挙されます。これに対して首相は国会議員によって選ばれます。
首相は間接選挙で選ばれるので議院内閣制度となっています。

このために、首相が国会全体と対立することはちょっと無いわけで、常に与党がありますが、地方自治体では首長が無党派で押し通すと「議会は総野党」になるし、逆に「総与党」にもなります。
これが「首長は独裁者」などと言われる理由の一つでしょう。

議会と首長が対立すると、不信任決議が議会で可決することが出来ます。
これに対して、首長が応じる方法は

  • 辞任する
  • 失職する
  • 議会を解散する
があります。
この手の「争い」では、基本的には「勝つか負けるか」であると思うのですが、上記に3つ書いててある通り、第三の道があります。

辞職した場合は、次の選挙に出ることが出来ませんが、失職すると知事選挙になりますから、そこで再出馬して民意に決めて貰うという方法があります。
これと田中康夫長野県知事がやった手法で、今回の中川暢三加西市長の行動は形の上では全く同じように見えます。

それで、ちょっと追いかけてみたらこんな記事が見つかりました。
追撃コラム & 取材メモより「元長野県知事候補の中川暢三・兵庫県加西市長が不信任突き付けられ、議会解散!

02年の長野県知事選に出馬し落選したあと05年7月、故郷の兵庫県加西市長になっていた中川暢三氏(51)が同市の職員採用問題で、3月29日議会から不信任決議案を出され賛成18、反対1で可決される騒ぎとなっている。
中川市長は辞職か、議会解散の選択を迫られ、4月6日に議会解散をすると見られていたが、一日早く5日解散権を行使した。

中川市長が悪いようになっているマスコミ報道は、上っ面の客観報道のためで、実態は長年にわたる同市の職員採用問題に中川市長がメスを入れたため、患者の議会が悲鳴を上げているということのようだ。

この問題については同市で百条委員会も設けられている。
百条委員会、不信任決議案可決、首長の辞職か議会解散か─などと聞くと、なにやら数年前の長野県政とオーバーラップするものがある。

同市では市職員の採用について以前からとかくの噂があった。
中川市長が初当選し、市長に就任した05年7月29日から問題の根はあった。
本来なら中川市長の就任以降に行われるはずの職員採用が、中川市長が就任する数日前に駆け込みで行われたのだという。
なぜこんなことが行われたのかは、特に説明しなくてもお分かりだろう。

同市の議員18人のうち4人が市職員OBだという。こんなに多くの職員OBが議員になっている例はそう多くはないだろう。こういうものの統計もないので私の経験から知りえた知識でいうと、この程度の定員の議会では、いてもせいぜい一人か二人だ。議会は行政のチェック機関なので、そこにチェックされる立場の職員OBが多くいるのは好ましいことではない。

この騒動の根底にはこういう問題があるのだが、マスコミ報道はそういうことには触れていない。
ただ、いま起こっている現象の上っ面だけを報じている。事実に肉薄し、掘り下げた報道を─というのはマスコミの決まり文句だが、実態は斯くの如しだ。

中川市長によってきょう議会が解散されたが、元々この4月の統一地方選挙で加西市議会は任期満了の選挙をすることになっていた。議会からの不信任に対抗して市長は議会の解散権を行使できることになっているのだが、実質的に市長の対抗権は封じられた形だ。議員は議席を失うというリスクなしに市長に不信任を突き付けたことになる。いわば、おきて破りの不信任決議でもある。
このような形の不信任決議に市民がどのような判断をするか注目されるところだ。

マスコミも大きく取り上げているのだが、議会側はこれほどの騒ぎになると思っていなかったようだ。
中川市長とこれを支持する市民グループは11、14日の両日、市民向けに千人規模の説明集会を開くことにしている。この集会の盛り上がり具合が今後の加西市政の行方を占うことになる。

市議会選挙は4月15日告示、22日投票で行われるが、反中川市長派が多数当選し、また不信任決議が可決されれば、今度は市長選が行われることになる。
中川市長は出直し市長選に立候補する考えだ。

この記事が書かれたのは、統一地方選挙の前で、最後にあるように

反中川市長派が多数当選し、
また不信任決議が可決されれば、
今度は市長選が行われる

がそのまま現実のものとなったわけです。

まぁ、議場を市民ホールに移して日曜日に議会を開いたというのはいささか違和感はありますが、これで市長選挙になるわけでちょっと結果待ちでしょうか?
正直な話が、こんな背景がある事件だとは思っていませんでした、知事の独善的な動きか?と思っていたのですが、意外と問題はややこしいようですし市民がどういう判定をするのか非常に興味深いです。

5月 14, 2007 at 10:17 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.05.10

犯罪被害者の刑事裁判参加

毎日新聞社説より「被害者の裁判参加 制度導入は論議深めてから

犯罪の被害者らが被害者参加人として刑事裁判に参加して証人や被告に直接質問したり、論告・求刑を行えるようにする刑事訴訟法などの一部改正案への異論が、ここに来て目立ち始めた。
政府は被害者団体の要望に応える形で制度導入を決め、今国会での成立を目指しているが、導入に反対する被害者団体もあり、被害者の総意に基づく施策とは言えない状況になってきた。
裁判の構造まで変える改正案だけに、拙速を避けるべきは言うまでもない。

被害者参加人の制度は、被害者団体の署名運動などから導入への動きが進んだ。
昨年10月には法制審議会での論議が始まり、その答申を受けて今年3月には改正案が閣議決定された。
刑事訴訟法という基本法を改正するにしては異例のスピードで、議論に費やされた期間はいかにも短い。

もともと「被告を犯人と決めつけることにつながりかねず、被告側の防御も難しくなる」として、弁護士からは反対論が強かったが、日本弁護士連合会(日弁連)は今月初め、理事会を開いて現時点での制度導入に

反対する意見書を賛成78票、
反対1票、棄権3票で採択

した。全国の弁護士の圧倒的多数の反対が投影された形だ。

真実を発見すべき法廷が「報復の場」になりかねない、といった懸念を表明する法律家や知識人も少なくない。

裁判での被害者対策は立ち遅れており、被害者、遺族には起訴状さえ渡されず、被害者側からは「立証に必要な時に証言を求められるほかは見向きもされない」との批判や不満が絶えなかった。
対策の充実は急務で、被害者の要望をできる限り取り入れるのは当然だ。
裁判への参加を被害者の人権としてとらえる被害者団体の主張には、説得力もある。

しかし、別の被害者団体からは

  • 「法律の素人の参加は難しい」
  • 「参加しないと、加害者への処罰感情が薄いと受け止められる」
  • 「被告から心ない言葉が返ってくれば、精神的ダメージが増幅される」
といった反対論も聞かれる。

被害者対策は総合的な視点に立って推進すべきでもある。経済的支援策や精神的なケアの充実も急がねばならない。裁判参加への要望は、被害者を軽視しがちだった検察官への批判とも無関係ではない。

国会では慎重に論議し、性急に結論を出してはならない。

わたしは刑事裁判で被害者が検察官側で意見を述べるといった法的な仕組みには賛成しない。

いくつかの問題点はすぐに指摘できるけれども、それ以前の問題として「復讐刑とどう違うのだ?」に説明ががつかないと思う。
おおやけに裁判を起こすこと、つまり犯罪を社会として判断することは人類文明史上で王様などの重要な仕事とされていて、「泣いて馬謖を斬る」とか赤穂浪士の討ち入り(1703年)など法の支配と個人的な感情との衝突を問題にした事件や言葉と残っているが、結論は「法の支配が優位」であることに全世界が同意している。

一方で、被害者は公的にはなんの援助も受けられないという状態が長い間続いていた。
「犯罪被害者等基本法」は平成十六年の法律である。

犯罪の被害者に社会としてもっと援助するべきなのは当然だが、それが刑事裁判で・・・・となるのはどこかがおかしい。

ことの本質は、結局は検察の手抜きではないのか?
社説も指摘しているように、元は(行政・法律として)検察は被害者に極めて冷淡であった。
もし、検察が被害者の立場を十分に法廷に反映しようとするのであれば、莫大な手間の増加になるだろう。
そこで、被害者に検察役をやらせる。ということではないのか。

これでは、検察は不要であるという方向に向いてしまう。検察の存在意義の問題でもある。

最近の政府の施策は妙に薄っぺらに感じることが多いが、この改正案もその代表格だと言える

5月 10, 2007 at 10:09 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.05.05

マニフェスト頼りの選挙活動に反対

読売新聞より「民主党の中堅・若手議員、首都圏マニフェスト作成へ

東京、千葉、埼玉など首都圏を地盤とする民主党の中堅・若手議員有志が、夏の参院選に向けて、党公約の首都圏版(首都圏マニフェスト)の作成に乗り出した。

小沢代表の地方重視に対する懸念が背景にあり、都市部の無党派層対策に焦点を絞る。
5月中に素案をまとめ、執行部に対し、参院選公約に取り込むよう求める方針だ。

首都圏マニフェスト作りは、長島昭久(衆院比例東京ブロック)、高山智司(衆院比例北関東ブロック)両議員らが昨年秋から、準備を進めてきた。
背景には、小沢代表らが格差、農業など地方を意識した政策を重視しているため、都市部の参院選候補らが「これだけでは都市部での支持を失いかねない」と危機感を強めていることがある。

首都圏マニフェストの柱には、教育、税制、社会保障、経済政策、労働の5項目を掲げる予定だ。
所得税の累進税率を見直してサラリーマンの負担を軽減することや、産婦人科医や小児科医不足の解消のため、診療報酬制度を大幅に見直すことなどを検討している。

民主党は従来、都市部で強いとされてきた。
しかし、2005年衆院小選挙区選での獲得議席は、東京都が25選挙区で1議席、神奈川県が18選挙区でゼロなどと、都市部で惨敗した。
長島氏は「都市部の無党派層にアピールできるような政策を打ち出した方がいい。
公約には工夫が必要だ」と話している。

公約の内容を吟味するのは当然のことであって、大いにやって欲しいところですが、マニフェストを作れば良い、というのには賛成できない。

マニフェストは元が目標値設定であって、当然のことながら次の選挙では「達成率が何%だったか?」として論点になります。

マニフェストの達成率が高ければよい政治なのかな?となると、目標設定を低く抑えて高い達成率を誇る、とする政治家が出てくるのは必定です。

ましてや、そもそもマニフェストの項目を設定するのは候補者自身であって、別に世論を直接反映する必要もないし政治的信念の自由の観点からも「候補者がマニフェストを揃える」なんてことをやってはいけない。

とういうわけで政治家が「マニフェストに頼りすぎる」のは政治能力が弱体化していることの現れではないでしょうか?

5月 5, 2007 at 02:41 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.23

電子投票

朝日新聞より「全国2例だけの電子投票が成功 統一地方選

開票作業を大幅に省力化できるとして注目されながら、トラブル続きで普及しない電子投票が宮城県白石市議選と青森県六戸町議選で行われた。
前・後半合わせて約1100の選挙があった今回の統一地方選で電子投票はこの二つだけだったが、ともに成功した。

白石市では過去2回の電子投票がいずれもトラブルに見舞われたが、今回は約50分で混乱なく終了。
電子投票を過去2回成功させていた六戸町の開票作業は29分で終わり、目標の30分以内におさまった。

ウ~ン、電子投票とは開票時間が短くなれば成功なんですかねぇ?

開票終了時刻がが翌日の未明になる、なんてことはほとんど無くて実務的に24時には大体終わりで、開票作業に関わる職員も作業が終わったところから順次帰宅すれば、半分以上は9時の開票開始後1時間程度で開票所を出ます。
電子投票にすれば、関わる人員の数は減りますがその分の機器代が増えるわけで、費用面として高くなったら意味がないから安くはなるでしょうが、それでも後から点検が出来ないといった問題や機器の進歩によってデータの互換性が保証できない、さらには全面導入できないと二重投資になる、といった問題が考えられます。

わたしは電子投票には賛成できないな。

4月 23, 2007 at 10:09 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.01

都選管・政見放送に頭を悩ます

読売新聞より「動画投稿サイトに政見放送、選管 法に抵触の可能性
利用者が急増しているインターネットの動画投稿サイトに、東京都知事選(8日投開票)の立候補者の政見放送や街頭演説の映像が投稿され、いつでも自由に見られる状態になっている。

候補者の映像などの公開は、公職選挙法で決められた方法に限るのが原則だが、動画投稿サイトでの政見放送“放映”は想定外で、明確な定めはない。
都選挙管理委員会は「公選法に抵触する可能性もある」としながらも、映像を前に手をこまぬいているのが実情だ。

現在、複数の候補者の街頭演説や、支持者向けに作成された政策ビデオの映像などが視聴可能だ。

中でも、過激な発言が話題を呼んだ候補者の政見放送は、ネット上でも注目度が高く、3月25日に初めて放映された直後から投稿が相次ぎ、BGMを入れたり、アニメと組み合わせたりするなどした映像も登場。
利用者による再生は既に数十万回に上っている。

公選法は、候補者に関する文書や図画・映像の扱いを細かく規制。政見放送についても、あらかじめ決められた方法や回数を守って流すよう、放送事業者に義務付けているが、ネット上に映像が流される事態は全く想定されていない。

都選管は「候補者の映像がいつでも見られる状態になっているのは好ましくない」としているが、悩ましいのは投稿者の特定が難しく、目的がはっきりしない点。
候補者本人や支持者が選挙運動目的で投稿したことが確認できなければ、明確な違反とは言いがたいといい、都選管は「警告などの対象になるかどうかは、最終的には警察の判断になる」と歯切れが悪い。

あるサイト運営会社の担当者は「利用者から投稿された映像を共有するサービスなので、はっきり違法だという指摘がなければ、当社の一方的な判断で削除するのは難しい」と話しており、事実上、野放し状態になっている。
公職選挙法はある意味で当然ですが、機械的な公平を強く打ち出している法律です。
そのために実務上は「書いてあること以外は全部法律違反」とされていて「これは公職選挙法の解釈上で違反ではない/違反である」といった議論にならないようになっています。

当然、インターネットなんてのは一言も出ていないのでインターネット(パソコン通信)利用の選挙運動は全部違反。
候補者(議員・政治家)のHPの書き換え禁止といったことも公職選挙法で「選挙期間中の(他の政治家の)政治運動禁止」ということで禁止になっています。

しかし、公職選挙法なんてのはどこまで行っても国内法の典型であって海外には通用しませんよ。
インターネットは国境の壁を突破するといったことと表裏一体ですね。

もう一つ「(東京都選挙管理委員会は)投稿者の特定が難しく、目的がはっきりしない点(ことで悩んでいる)」というところに注目しました。

公職選挙法にインターネットは出てきませんが、提灯の使用については書いてあります。また、トラックの荷台に人が乗る場合についても規定があります。
要するに「公職選挙法が古い時代のままだ」ということなのですが、「目的がはっきりしない」というのは名誉毀損と同じようなことではないのか?と思います。

名誉毀損は「公然と」という部分が「お金がある(企業など)でないと公然とは出来ないだろう」(明治時代の初めの方ですから)ということに直結していたのではないか?と思います。

「目的がはっきりしないから禁止できない」ということですが、逆に言えば「公職選挙法が想定してる動画の放送は目的があるモノしか考えていない」となりますね。
つまりは「放送局じゃないと動画の放送なんて出来ないだろう」ということなのでしょう。
動画が見つかる → 放送局を探す → 簡単に分かる → 目的も分かる
この構図が壊れたので、困っているわけですね。

「選挙の動画を日本国内で放送する場合は許可したところでのみ放送」としてしまえばよいわけですが、それでもCNNとかBBCなんてのはどうなるのでしょうか?

まぁ法律が時代に合っていないからこうなるという実例です。

4月 1, 2007 at 01:25 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2007.03.25

新幹線新駅騒動・その13

読売新聞・関西版より「駅費除き予算案可決…栗東市議会 市長“拒否権”行使へ
滋賀県栗東市の新幹線新駅建設問題で、同市議会は23日、「凍結・中止」を掲げる3会派が提出した、2007年度の新駅工事費負担金など約46億円を減額した一般会計予算案の修正案を賛成多数で可決した。

県や周辺7市の負担金は栗東市が窓口になってJR東海へ支払うことになっている。
市側が提出した予算案には、他の自治体分を含んだ負担金約44億円を盛り込んでいるが、県はすでに成立した来年度予算に負担金(21億5000万円)を計上していない。
また、負担金の財源には大阪高裁で差し止め判決が出て市が上告中の起債分約14億円を見込んでおり、3会派は「財源に裏付けがなく、地方財政法に違反する」などとして修正案を出していた。

閉会後、記者会見した国松正一市長は「修正案は市自らが新駅設置を凍結・中止することを意味し、工事協定に反する」として、市長の拒否権に当たる「再議権」を行使する方針を示した。
再審議となれば3分の2以上の賛成が必要なため、修正案は否決される公算が大きい。
「新幹線新駅騒動・その12」の続きです。

栗東市の起債計画について、地裁が法律違反に当たるから起債できないとした判決に達して、栗東市長は高裁に控訴しましたが高裁も地裁の判決を支持しました。これに対して、市長は「上告する」としたのが「新幹線新駅騒動・その12」の内容です。

市議会は、ニュースの通り駅に関する予算を抜いた修正案を可決したのですが、市長は議会の予算案を拒否して再審議にする、ということのようです。

栗東市議会の定員は20名で党派別の議員数は、栗政会4名、栗東市民ネットワーク4名、公明栗東2名、新政栗東6名、日本共産党議員団3名、無所属の会1名で、議長が栗政会に属しているので採決は定員19名なので過半数が10名になります。

これが2/3の多数決だと13名が過半数。

どうも新駅推進は8名のようです。そこで11名が予算案を修正した。再審議になる13名の賛成が得られないと修正予算案は可決しないとなります。

しかしそうなると、予算案が可決しないので暫定予算になりそうですね。大変ですね。

3月 25, 2007 at 11:48 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

自治会長への業務委託費

沖縄タイムスより「村長批判で委託解除/自治会長に中城村通告 信頼損なった
【中城】中城村の新垣清徳村長は、村が自治会長に提示した業務委託費削減案に異を唱えた女性自治会長に対し、「信頼関係が損なわれた」として来年度から業務委託しないと通告したことが二十四日までに分かった。
新年度から村職員が自治会業務を引き取る方針を示した。

地方自治の専門家は、制度がないまま一部で職員を活用すると、業務委託の在り方で住民サービスに差を生じさせないという大原則を踏み外す可能性もあるとみている。

新垣村長は二月下旬の自治会長二十一人が参加した予算説明会で、村の厳しい財政状況を説明。
広報誌配布や募金集金など公的業務の委託費として自治会長に支払われている計約五千四百万円を来年度から計約五千万円にする案を提示した。

これに対し、県営中城第二団地自治会の宮城キミ子会長(59)が「村財政が悪くなったのは行政の責任。村長の行政運営には夢がないから辞めなさい」と非難した。
ほかの自治会長会も削減に反対し、連名の反対請願書を村議会に提出した。

新垣村長は二十日、宮城会長を村役場に呼び出し、来年度は業務委託しないと通告。
同自治会業務は村職員が行うとし、四月までに正式文書で通達する方針だ。
他の自治会長へ業務委託は継続する。

新垣村長は「公衆の面前で非難された。信頼関係のない人とは契約できない」と説明し、非難されたことが委託解除の発端であることを認めた。
村の事務委託要領によると、村長が適当と認める者に事務を委託するとしている。

宮城会長は「感情的に弱者を切り捨てるのか。四月から生活が成り立たない」と反発。
署名活動を始めたほか、法的手段も辞さない構えだ。宮城会長は二〇〇〇年度から業務委託を受けている。

村総務課は「財政難でいかに歳出を減らすかは重要な課題。業務量に対し委託費が高過ぎるという指摘もある」と話している。

今回の村の対応について、琉球大学の島袋純助教授(行政学)は「住民への公平なサービス提供が自治体の大原則。
職員が特定の自治会業務を行うことで、他と差が生じてもいいという既存制度があるなら話は別だが、一時のやりとりで業務委託するしないを決めるのはいかがなものか」と疑問視している。(下里潤)
「なかぐすく」で有名な「中城」ですが、財政が厳しいことからこんな事も起きるかとも思ったのですが、よく読んで「???」なので調べてみました。
どこが「???」かというと、
  • 自治会長に支払われている計約五千四百万円を来年度から計約五千万円にする案を提示した。
  • 宮城会長は「感情的に弱者を切り捨てるのか。四月から生活が成り立たない」と反発。
の二つです。特に自治会長に支払われる委託費の予算規模が5000万円というのは「どの程度の規模の自治体なのだ?」と感じるところですが、参加し自治会長が21名とありますが、この21名がほぼ全員なのか、1割程度の参加だったのかが分かりません。
21名でほぼ全員だとすると5000万円の委託費は一人あたり250万円近くとなります。

そこで、中城村のHPを見てました。
人口データによると、平成15年12月31日現在のデータで1万5366人です。世帯数は5155。
つまり自治会長への業務委託費は1世帯あたり1万円を支払っている、となります。

これが、村総務課の「業務量に対し委託費が高過ぎるという指摘もある」との発言になるのでしょう。

村長は5400万円から5000万円へと徐々に委託費を下げるという方針だったのでしょうが、つまずいてしまった。
それにしても、委託費としては高すぎるのではないでしょうかね?

3月 25, 2007 at 11:10 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.03.21

新幹線新駅騒動・その12

読売新聞・関西発より「新駅訴訟で栗東市上告へ
栗東市の新幹線新駅建設問題で、仮線路の設置費用に起債を充てることを違法とした地裁判決を支持した大阪高裁判決を不服とし、市が上告することを決めた13日、上告断念を求めていた市議からは、批判の声が相次いだ。
同日開かれた市議会(定数20)の全員協議会では、決定を報告する国松正一市長に対し、市議が抗議して退席する一幕も見られた。

全員協議会で国松市長は「控訴審判決が承服しがたく、市の利益を守らなければならない」と上告の理由を説明。
「断念すべきという意見も聞いているが、最終判断を仰ぐことが、市がとるべき道」と力を込めた。
この直後、「上告断念の申し入れを尊重していない」などとして反発した市議10人が席を立った。

残った市議は「勝つか負けるかわからないようなことはしてはならない」「国や県と相談はできるのか」などと質問したが、国松市長は「税金の無駄遣いはあってはならないが、市や市民の利益を守るため、(裁判に)税金を投入する」と強調した。

原告団の1人で、退席した馬場美代子市議(日本共産党栗東議員団)は「(市の主張は)いずれも上告理由に該当せず、受理されることはないと思う。
そういうことを承知の上で上告することは許し難い」と批判。中前純一市議(栗政会)は「上告する法的な根拠と、上告のために支出される財源などが明確にされていない」と市の対応に疑問を呈した。

国松篤市議(栗東市民ネットワーク)は「3月8日に行った上告断念の申し入れの重みについて、市長はどう考えているのか」と憤っていた。
「新幹線新駅騒動その11」の続きです。

栗東市が起債することを地方自治法に違反しているとして、地裁・高裁で起債は違反とされた判決について上告すると言うのですが、基本的に手続きと法令遵守の問題で結局は栗東市の判断はミスしているとの判決であって、これが「市の利益にならないから上告」では通用しないでしょう。

20名の市議会の全員協議会の場から10名つまり半分が退席しては、議会から支持されているとも言えないでしょう。
どうなるのでしょうか?
実際問題として、JR東海としてはあまり極端に予算執行が遅れれば白紙撤回にするでしょう。そのタイムリミットは迫っているのではないでしょうか?

3月 21, 2007 at 10:47 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

祈とう・占いは特定商取引だそうで

東京新聞より「祈とうや助言規制対象に 特定商取法政令改正へ
経済産業省は二十日、占いに来た依頼者の不安をあおり、高額の祈とうを行う契約を結ぶトラブルが全国で増えていることを受け、占い後の祈とうなどを特定商取引法の規制対象に加えるよう政令改正する方針を固めた。
契約のクーリングオフを可能にし、違反業者には最高で一年間の業務停止命令を出す。同省は秋にも規制を始めたい意向だ。

特定商取引法は政令で規制の対象になる「指定商品」と「指定役務」を定めている。すでに占いは「指定役務」に定められ、霊感商法で使われる高額のつぼなども「指定商品」にしている。

だが、占い後の祈とうや助言は規制対象外のままで、悪質業者はこの抜け道を悪用。

国民生活センターに寄せられた同様の祈とうなどに関する消費生活相談は、二〇〇五年度に八百十九件で、〇二年度(四百二十九件)の二倍近くに増えた。

経産省は十二日の消費経済審議会特定商取引部会に、占い後の祈とうや助言(易断を受けて行う助言、指導その他の精神的な援助)を規制対象に加えることを諮問した。
同審議会は認める方針。

一方、同審議会や同省の産業構造審議会では、規制対象を指定しても、悪質業者が規制対象外の手段を生み出す「いたちごっこ」が続く現状に懸念の声も出ており、現行方式を変えることも検討されている。
なんか特商法では制限できないような気がしますが・・・・・。
無いよりもマシにはなるのでしょう。

最近はちょっとなんでも法的解決を重視しすぎているのではないかな?という印象があります。
そもそもはトラブルにならなければ法的解決をする必要自体がないわけで、トラブルを回避するのがうまくなくなったということでしょうか?
こういう政令改正案が出てくるところに日本の社会の弱体化が見えると言っては言い過ぎかな?

3月 21, 2007 at 09:15 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.03.06

新幹線新駅騒動その11

読売新聞・関西発より新駅仮線路設置 2審も「起債は違法」…大阪高裁判決
栗東市長の控訴棄却

滋賀県栗東市の東海道新幹線新駅建設を巡り、市が市道拡幅工事名目で仮線路の設置費用43億4900万円に市債を充てるのは違法として、同市の市民グループ8人(玉田実代表)が国松正一市長を相手に、起債差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が1日、大阪高裁であった。

若林諒(まこと)裁判長は「起債は違法」として、全国で初めて地方自治体の起債差し止めを命じた1審・大津地裁判決を支持、国松市長側の控訴を棄却した。
嘉田由紀子知事が凍結を掲げ、暗礁に乗り上げた新駅建設問題は、資金面でも厳しい状況にあることが改めて浮き彫りになった。国松市長は上告する方向で検討する、としている。

裁判では、栗東市が新駅建設のために負担する予定の費用のうち、新幹線を迂回(うかい)させるのに必要な仮線路(延長1950メートル)の工事費用の一部である約43億円について、市債を財源とすることの是非が争われた。

控訴審判決で若林裁判長は、新駅建設工事の際に仮線路を設置することは、2002年4月に決まっていたのに、財源に市債を充てることを市が表明したのは05年9月だった経緯から、「仮線路工事だけを独立してみれば起債が認められないので、市道拡幅工事と一体として起債するに至った」と認定。
仮線路工事について、「新駅建設のためのもので、市道拡幅工事のためとは言えない」と断じ、地方財政法が起債を認める道路建設の事業にはあたらないと結論付けた。

新駅は12年に開業予定で、昨年5月に起工式が行われたが、同年7月の知事選で建設凍結を掲げた嘉田知事が初当選した後、事実上工事はストップ。
今年10月末までに結論を出すことになっている。

国松正一・栗東市長の話「主張が認められず極めて遺憾。今後の対応については、判決文を読んで決めたいが、3審制であり、上告の方向で考えたい」
「新幹線新駅騒動その10」の続きです。

元々は、2006年7月の選挙で新幹線新駅に反対の嘉田氏が滋賀県知事に当選して新駅建設問題が表舞台に出てきました。
今回の高裁判決は、栗東市の新幹線新駅などに充てる費用に充てる起債計画について地裁が「一企業(JR東海)のために起債は地方自治法違反」との判決を不服とした栗東市が控訴審を起こしたものです。

単純に「駅を作る」であればある意味で明快であるものを、変電所を移動するために道路を作る必要があるからということで、道路を作る費用として本来目的である新駅建設を隠したことが問題とされたようです。

JR東海側は「案駅建設費用は地元負担」としているわけで、高裁の指摘は「資金をちゃんと準備できたろう」と言っているようにも取れますね。
なんか全体として大規模な事業にすることで、ワケ分からなくする手法とも受け取ることが出来るのが、新幹線新駅とそれに伴う都市計画のようにも見えます。
お金が動かせないからという理由で止まってしまうのでしょうか?
栗東市の市議会議員選挙は統一地方選挙で行われますが、市長は2006年10月の選挙で再選されたので市議会議員選挙がどうなるのか?の方が注目ですね。

3月 6, 2007 at 10:38 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.03.02

厚木市長選・選挙違反事件その後

神奈川新聞より「小林市長に対する辞職勧告決議案提出へ/厚木市議会
一月の厚木市長選で当選した小林常良新市長の陣営から公職選挙法違反(供応買収など)容疑の逮捕者が出た問題で、小林市長に対する辞職勧告決議案が二日に開会する市議会三月定例会に議員提出される。賛成多数で可決される見通し。
不信任案とは異なり法的な拘束力はないものの、小林市長は就任後初の議会で厳しい状況を迎えることになりそうだ。

決議案は久崎教生市議が一日、沼田幸一議長に提出した。
同氏が代表を務める最大会派「民政クラブ」の議長を除く八人が賛成者として名を連ねるなど、過半数の賛成が見込まれている。

決議案では、小林市長陣営の選対総本部長で元県議会議長が供応買収の容疑で逮捕されたことに「多くの市民に公正・公明でなければならない選挙に対する失望感が漂った」と強調。
さらに「厚木市が失ったイメージと市民の不信感は、小林市長が今後行政運営を進める上で大変困難と予測されると同時にその責任は重大」として市長辞職を勧告している。

久崎市議は「事件は略式処分で終わった感もあるが、市民はそれで納得しているかどうか。議会としての姿勢を示したい」と話している。
毎日新聞の記事「厚木市長選事件:元神奈川県議会議長を書類送検」 によると、逮捕されたのが
  • 元県議会議長で幼稚園経営、小沢金男容疑者(78)
  • 小沢容疑者は小林氏の後援会最高顧問と選対総本部長を務めていた
なのですから、公選法では連座は制の適用で市長の当選無効となるケースです。

しかし、年齢から見ても選対総本部長というのは肩書きだけで、実質的に選挙を取り仕切っていなかったであろうことは明らかで、結果的に小林市長への連座制の適用は無かったわけです。

それが「辞職勧告決議案」となったのでしょうが、市議会としては無視するとか黙殺するというわけにもいかないと言えるでしょう。
ちょっと調べたら厚木市議会選挙は7月1日投票なんですね。

わたしもただいま現在選挙に関わっていて、わたしが逮捕されれば連座制適用になる地位にあることは自覚しています。
そういう立場から見ると、この選挙違反はあまりに初歩的というかトンデモな事件で、まぁ一部でこの種の選挙違反運動が残っていることは情報として知ってはいますが、県議会議長経験者がやったということは全くの驚きです。
小林市長にしても容疑者は大先輩でもあるし、実際に選挙を戦った経験者だから「まさかこれほどあからさまな違反はしないだろう」とノーチェックあるいは注意することなく任せていた、のではないかと想像します。

しかしその結果は、大いに今後の市政運営で足を引っ張ることなる問題を作ってしまいました。
小林市長は保守分裂のかなりの混乱を制して市長に当選して、どちらかというと「予想外の当選」に近い情況でした。
その後がコレですから、大変です。

それにしても、小林市長からすると「とんでもないことをしてくれた」という感じでしょうね。

3月 2, 2007 at 09:49 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.02.28

首長選挙のマニフェスト

サンケイ新聞より「首長選でもマニフェスト解禁 配布に国政選より厳しい要件
国政選挙で認められてきたマニフェスト(公約集)配布を、地方の首長選挙でも解禁する改正公職選挙法が成立し、13の知事選の告示日である3月22日から施行される。
口約束ではなく、具体的な数値目標を盛り込んだ政策を有権者に訴えるマニフェスト選挙が、地方選挙でも定着するか。

マニフェストは、選挙で候補者が政策の具体的な数値や財源を示すことで、有権者に政策の実現度を判断しやすくするための公約。
英国など欧米で定着し、日本では平成15年の統一地方選前に北川正恭三重県知事(当時)らが提唱した。

しかし、実際のマニフェストの導入は国政選挙が先行した。
15年秋の衆院選から、選挙事務所や街頭演説会場などで配布が認められた。地方選挙では告示後の配布が禁止されていた。

さきの宮崎県知事選で元タレント、東国原英夫氏が当選した要因の一つに82項目のマニフェストがあったと指摘されている。
ただ、実際には告示後に「東国原英夫氏のマニフェスト」は配布されていない。
法律の規制により、自分の名前や出馬する選挙名を記載していないものを配布せざるを得なかったからだ。

東国原氏は告示前にホームページやマスコミを通じてマニフェストの内容を訴えたが、手足を縛られた形であったことに変わりはない。
選挙用に配布すれば公選法違反となるため、マニフェストを作った候補は、名前や選挙を特定しないような工夫を凝らすことが求められてきた。

こうしたことから、地方の首長の一部に不満が募り、17年には地方選挙でのマニフェスト配布を求める「ローカル・マニフェスト推進首長連盟」が結成されるなど、法改正を求める空気が地方から広がった。
今回の法改正は地方の熱に押されたもので、駆け込み的に今春の知事選、政令市・一般市区長選、町村長選から導入されることになった。

ただ、国政選挙で政党が出すマニフェスト並みには、配布条件は緩和されていない。

国政選挙では、書籍やパンフレットの形式でも配布が可能のうえ、枚数にも制限がない。
これに対し、首長選で認められるのは最大でA4判のビラ2種類のみ。配布枚数も知事選、政令市長など選挙ごとに段階的に制限を設けている。

改正公選法は、知事選と市区長選で自治体が条例を定めてビラ作成費用を公費負担することを認めた。
条例制定までの過渡期には「政党ではなく個人が出すので、お金がある人だけが立派なものを出せることになってしまう」(鳩山邦夫自民党選挙制度調査会長)のがその理由だ。

これに対し、早稲田大マニフェスト研究所の草間剛研究員は
「ビラ1枚でどこまで政策の内容が盛り込めるか。これでマニフェスト型選挙ができるのか不安だ」と指摘している。

また、地方の議会選挙でのマニフェスト配布は今回も認められなかった。
国政選挙と同様に政党単位で配布を認めることも検討されていたが、「地方議会選では無所属で出馬する人が多く、所属政党がはっきりしていない」(自民党選挙制度調査会関係者)として見送られたのだ。

17年にできたローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の所属議員は、2月23日現在で542人に上る。

草間氏は「地方議会は民主主義の基礎だ。ここでこそ政策型の選挙に変えなければならない」とした上で、議会の会派単位によるマニフェスト配布を認めるべきだと強調している。
この記事は非常に良く分析して問題点を挙げていると思います。
わたしは現在市長選挙に関わっているので、身近な問題なのですが4月の統一地方選挙まで一月になってしまってから「マニフェストを配付できます」と言われても大変です。

問題はいくつかありますが、個人的には
  • A4用紙2種類で何が出来る?
  • 作成費用を公費負担としても、配付の費用などはどうする?
  • そもそもビラと同じではないのか?
  • マニフェストの本来の意味が「公約の数値的表現」であるのなら、そうそう安直には出せないだろう。
といったあたりが気になります。
実際に、マニフェストの評価をきちんとやっていない例もありますし、首長つまり行政の長に出馬する人が実際に当選して行政の長になってみたら「現実は違っていた」という場面も多々あるから、当選してから「見識が違ってました」と約束がひっくり返るのも仕方ないでしょうが、こういうことに対応するマニフェストの作り方はどうするのか?

いずれは定着するとは思いますが、現行の公職選挙法のヘンテコなところの方がよほど問題じゃないでしょうか?

記事中に紹介されている、東国原県知事選挙の部分
さきの宮崎県知事選で元タレント、東国原英夫氏が当選した要因の一つに82項目のマニフェストがあったと指摘されている。
ただ、実際には告示後に「東国原英夫氏のマニフェスト」は配布されていない。
法律の規制により、自分の名前や出馬する選挙名を記載していないものを配布せざるを得なかったからだ。

東国原氏は告示前にホームページやマスコミを通じてマニフェストの内容を訴えたが、手足を縛られた形であったことに変わりはない。
選挙用に配布すれば公選法違反となるため、マニフェストを作った候補は、名前や選挙を特定しないような工夫を凝らすことが求められてきた。
この部分はいくつかの公職選挙法の規定によった結果としてこうなった、との記事ですが大きく分けると 名前と選挙名を発表できないが大きいです。
有名な話ですが、公選法は法律に書いていないことは全部違反で解釈の余地がないので、HPは選挙期間中は凍結になります。
ちょっと前に、何かの選挙で当選した候補がHPに当選御礼のようなコンテンツをアップしたら公選法違反で注意がありました。
もちろん、事務所に当選御礼の紙を張り出すことは認められているのです。そして、当選後なのですから選挙運動は終了した、と解釈したのでしょうが、それでも違反なのですね。
理由は「HPに当選御礼を掲示しても良いとは書いてないから違反」なのです。多少公選法を勉強した側からは「ちゃんと適用したな」とは思いますが、ネットワーカとして「今どきインターネット特別視してどうするの?」と思うところです。

選挙運動は「告示」があってから「公設掲示板にポスターを貼って」「選挙カーが走り回る」のが選挙運動であって、それ以前は全部事前運動だから「3ヶ月後の○○選挙に出馬します」なんてことを言うこと自体が公選法違反です。
候補の側からすると「これではどうやって選挙に出ることを知らせるのだ?」となっています。

この段階で登場するのが「政党活動」で「時局講演会」のポスターに顔写真を出すなんてことをやるわけです。
政党活動は自由ですから選挙期間中(公示後)まで出来るわけですが、これもちょっと脱法的側面があって「政党の活動であって、(候補者)個人の活動は含まれない」ですから「個人名を出してはいけない」とも言えます。

その結果、横浜・川崎・地区では駅前での街頭活動でノボリに個人名を入れてはいけない、となりました。
「厳格化」ではありますが、日常的に政治家が個人の活動報告や理念を街頭で演説することこそが政治の基礎じゃないでしょうか?
選挙のために政治活動の規制をするのは必要ではありますが、選挙前の半年は事前運動といったことではいわば「角を矯めて牛を殺す」と言ったことになるのではないかな?と危惧するところです。

2月 28, 2007 at 11:15 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (2)

児童虐待防止法改正案

毎日新聞より「児童虐待防止法:改正案で親にペナルティー 方向性固まる
超党派国会議員による児童虐待防止法見直し案で、虐待した親が児童相談所などの指導に従わない場合、子供を施設に入所させて強制的に引き離したり、児相が親権喪失宣告の申し立てを検討することを明記する方向が固まった。

現行法では、指導に応じない親への措置がなく、実効性が乏しいとされていた。また、一時保護された子や施設に入所した子に親が近づかないよう命じたり、面会・通信を制限する措置も盛り込む。

現行では、虐待した親は児相の指導に従わなければならず、応じない場合は知事が親に指導勧告できるが、ペナルティーはない。

改正案は親が知事の指導勧告に従わない場合、子を一時保護したり施設入所させる▽深刻な虐待で児相の指導に応じなければ、親権喪失宣告の申し立てを検討する--などとする。

親の面会・通信について、現行法では親から強制的に引き離して施設に保護した場合、児相や施設長が制限できる。
だが施設や一時保護所では強引に引き取りに来てトラブルになるケースも「年間約100件」(厚生労働省)あり、一時保護や親が同意して施設入所した場合も制限が求められていた。
児童相談所(「児相」と略されることが多いがATOKに登録されない)が介入する問題は極めてプライベートなことでもあり対象が児童でもあるから公表されませんし、弁護士などが調べに行ってもほとんど書類すら出しません。
ホームオブハート裁判ではこれが逆に利用されました。

「公開されない」→「だから事実がない」→「虐待はなかった」という論理展開でした。

しかし、考えてみると「(児童)虐待のシロクロ」なんてのはあまり意味がないわけで、現実は「一時的保護」とか「継続して観察」といった事の方が多いでしょう。また、実際的にもそういう判断の方が良い思います。

しかし、当然のように公開はされない。さらに、記事中にあるように「強制力に乏しい」し「親に対してペナルティがない」その結果として「児童相談所が問題があると知っていたが死亡事件になった」という例が複数続きました。

こんな状況があるから毎日新聞の記事の方向にならざるを得ませんね。
ただ、公表問題は残りますね。
法的手続きをして、それを公表しないでよいモノか?難しいところですね。

2月 28, 2007 at 10:14 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.02.25

カレンダー

3月・4月の予定表であります。 HOH(ホームオブハート)裁判の日程が異様に詰まっております。

さらに、3月22日から統一地方選挙が始まりますが、これは投票日が4月8日と4月22日の二回があります。



2月25日 2月26日 2月27日 2月28日 3月1日 3月2日 3月3日

HOH裁判
判決
東京地裁
611号法廷
13時10分
HOH裁判
東京地裁
611号法廷
13時15分




3月4日 3月5日 3月6日 3月7日 3月8日 3月9日 3月10日

HOH裁判
東京地裁
607号法廷
10時20分





3月11日 3月12日 3月13日 3月14日 3月15日 3月16日 3月17日





HOH裁判
東京地裁
527号法廷
10時

3月18日 3月19日 3月20日 3月21日 3月22日 3月23日 3月24日






春分の日
県知事選挙
告示


3月25日 3月26日 3月27日 3月28日 3月29日 3月30日 3月31日








県議会選挙
告示

4月1日 4月2日 4月3日 4月4日 4月5日 4月6日 4月7日










4月8日 4月9日 4月10日 4月11日 4月12日 4月13日 4月14日
県知事・県議会選挙
投票日

HOH裁判
東京地裁
527号法廷
13時10分





4月15日 4月16日 4月17日 4月18日 4月19日 4月20日 4月21日
市長・市議会選挙
告示









4月22日 4月23日 4月24日 4月25日 4月26日 4月27日 4月28日
市長・市議会選挙
投票日

HOH裁判
東京地裁
611号法廷
13時15分




4月29日 4月30日














2月 25, 2007 at 10:49 午後 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.02.22

番組ねつ造は行政処分するべきか?・その2

読売新聞より「ねつ造はひどい、当然の対応…首相が放送法改正を容認
安倍首相は21日夜、関西テレビの情報番組ねつ造問題をめぐり、放送局への新たな行政処分案を盛り込んだ総務省の放送法改正案を容認する考えを示した。

首相は「報道の自由に対する圧力があってはならないのは当然だ。他方、ねつ造はいくら何でもひどい話だから、それに対して対応があるのは当たり前ではないか」と述べた。
いったい「何がひどい」のか分からない。

  • 納豆が売れすぎたのがひどいことなのか?
  • それだと「ブームを仕掛ける」なんてのは犯罪なのかね?

  • テレビは常に真実のみ伝えなければならないということか?
  • それでは「怪しい情報」はテレビでは流せなくなってしまう。

  • 視聴者を欺した、ということなのだろうか?
  • そんなものは、程度問題だろう。
    ニュースがニセモノで、というのはBBCのエイプリルフール放送などが有名ですが・・・。
要するに「何がひどい」のかを明確にして「だから行政が介入する」という説明が無いと思う。
随分とひどい話にしているのは、政府ではないのか?

2月 22, 2007 at 09:38 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2007.02.21

番組ねつ造は行政処分するべきか?

読売新聞より「放送局への新行政処分案、再発防止計画を要求…総務省
関西テレビの情報番組「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題を受けて、総務省が導入を検討している新たな行政処分案の概要が20日、明らかになった。

新たな行政処分は、放送局が捏造などの番組不祥事を起こした場合、総務相は再発防止計画の提出を求め、意見を付けて報告内容を一般に公表することが柱だ。
総務省はこうした措置を盛り込んだ放送法改正案を、今国会に提出する方針だ。

再発防止計画の提出は、放送局が捏造など虚偽の説明で視聴者を誤解させるような番組を放送し、「国民生活などへの悪影響」や「国民の権利侵害」につながる恐れがある場合を対象とする。
総務相は計画の策定と提出を放送局に求めることができるとし、提出された計画は総務相の意見とともに公表する。

現在、行政指導に基づいて提出された放送局の再発防止策などは一般に公表していない。
新たな行政処分の導入に合わせて、放送局の対応を国民に広く知らせて、一層の自浄作用を促す狙いがある。

総務相が放送局に再発防止計画の提出を求める時や、計画に対する意見の内容は、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に諮問することを義務づけて、透明性の確保を図る。

総務省は、強制力を伴う業務改善命令の導入なども検討したが、「表現や報道の自由を侵害する恐れがある」との懸念が省内からも出た。
このため、再発防止計画の提出を「求める」という姿勢にとどめ、放送局の自主性に配慮した。

放送局が不適切な番組を放送した場合、従来は「厳重注意」「警告」などの法的拘束力がない行政指導と、電波法に基づく「電波停止」「免許取り消し」など、実際の発動が難しい厳しい処分しかなく、実効性に疑問の声が出ていた。
そもそも、行政処分の対象にするべきことなのかね?
まぁ電波は他に変えようがないので地域で独占して試用することが出来る免許制の対象なのだから、国が電波の無駄遣いについて関与するのは当然ではあるが、放送内容がねつ造だということが電波の問題と直接言えるのだろうか?

ましてねつ造か否かというのはそうそう簡単に決着がつくことではあるまい。

個人的には「あるある大辞典」を信用した人が居て、その信用がとても強いものだった、と言うことに驚いてます。
「所詮は娯楽番組の情報」として割り引いて考えると思っていたから。

つまり、ねつ造が問題ではないのでは?「信用を裏切られたから」問題ということでしょう?
これだと、信用されていないが事実だったと言うのは沢山あって、「それでも地球は回っている」とか「ゴダートは正しかった」なんてのが有名です。

天動説の時代に地動説は「情報のねつ造」になるのでしょうか?

信用を裏切ったということは、事実か否かとは本質的に無関係で事実とは「科学的事実」に帰するのだと思いますが、信用は社会科学の分野の問題でまるで別問題です。
判決では「その時点の判断として妥当か」というのは医療裁判などで良く出てくる例で、裁判が社会的な公正を中心にしているから科学的に未解明な問題にも判断が出来るわけです。

こうしてみると、司法や行政は情報の信頼性について直接判定してはいけないのではないかと思います。
市場原理に任せるべきではないだろうか?
今後はあるある大事典のような放送は作りにくくなるでしょうね。実際に、朝日新聞には「テレ東、映像捏造 「血流改善」写真は別人」という記事が出ています。


どうもこの半年間は「強く非難さえすればよい」といった雰囲気があるように感じます。

2月 21, 2007 at 10:28 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007.01.22

2007年は選挙の年

昨日(2007年1月21日)は宮崎県知事、山梨県知事、愛媛県知事、甲府市長がありました。
今年は、統一地方選挙が4月にあって、7月に参議院選挙があります。
このために「選挙の年」とも言われるわけで、昨日の選挙の結果には注目せざるを得ません。

このところ、知事、市長などを選ぶ選挙では、政党の公認候補はほとんど無くて、無所属で出馬する例がほとんどですが、これは一人だけを選ぶので党ではなくて人を選ぶという趣旨からも当然です。
しかし、政党の公認があるかどうかは別として政党が選挙ための集団であるのだから、全くどの政党の支持も受けないで当選する純粋な無所属候補には注目が集まりますが、その一方で選挙は勝負ですから当選者が強かったから当選したのか、ライバルが弱かったから当選したのかは見かけ上は区別が付きません。

知事や市長などは任期が4年ですから、4期目ともなると「16年を目指して・・・・」といったことになります。
最近は長期間に渡って一人を行政の長に置くことには反対意見が多くなってきて、2期目より3期目の方が支持が下がり、4期目となると当選が難しくなるのが現状です。
このために、知事の任期を制限する条例を作ろうといった意見もで出来ました。

さて、こんなことを踏まえて上記の選挙を見てみます。

宮崎県知事
  • そのまんま東  タレント・無所属
  • 川村 秀三郎  元林野庁長官
  • 持永 哲志   元経済産業省課長・自民、公明推薦
これでは、政党支持票は分裂していますから、無所属候補のそのまんま東候補が有利です。


山梨県知事
  • 横内 正明  元衆院議員
  • 山本 栄彦  現職・元甲府市長
現職は、甲府市長・山梨県知事と長期政権であったことに飽きられたという側面が大きいでしょう。


愛媛県知事
  • 加戸 守行  現職  328,640
  • 和田 つかさ      95,368
  • 楠橋 康弘       86,124
愛媛県知事選挙は自民、公明両党が推薦、社民党は支持、民主党も県議全員が支持。で全党相乗りでした。

ちょっと調べてもなかなか面白いです。
わたしも4月の統一地方選挙に向けて、4年ぶりに選挙の応援に動くことになります。

1月 22, 2007 at 10:35 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.01.05

安値落札で公取法違反?

読売新聞より「公取委、低価格入札でゼネコン大手など数十社調査
国発注の公共工事などで極端な低価格の入札が相次いでいる問題で、公正取引委員会が、独占禁止法違反(不当廉売)の適用を視野に、大手ゼネコンなど数十社に対し一斉調査に乗り出したことがわかった。

公取委は、都道府県や政令市にまで範囲を広げ、低入札価格調査の対象となった工事について情報を収集。
落札価格が工事原価を下回り、多数の他業者の参入を阻むような悪質なダンピングについては、行政処分の排除措置命令などに踏み切る方針だ。

国土交通省によると、落札価格が一定基準を下回り、低入札価格調査の対象となった同省発注工事(港湾・空港関係以外)は2005年、前年からほぼ倍増。
自治体発注工事の一部でも低価格落札が見られる。

一般的に落札価格は、工事原価に、営業費など一般管理費を上乗せしたもの。
公取委は「落札価格が工事原価を下回るかどうかを一つの基準にして、低価格入札により受注できなかった同業他社数などを考慮し、独禁法に抵触するかどうかを判断する」としている。
「シンドラーエレベータ・自治体困惑と言うが」で取り上げていますが、もともと入札制度を実施する、行政の側に質的な判断をする能力がないのだから、価格だけで決めているわけで、それを今度は価格が安いから不当廉売ではないかとすると、何をどうしていいか分からなくなりそうです。

今までも、単に以前の実績があるからというだけの理由で、新製品を導入しないといったようなところが、問題点として指摘されてきました。

そもそも不当廉売という考え方が、インフレ時代においてはライバルをつぶすための積極的な攻撃手段とみなされていました。
それが基本的にデフレ基調になった現在も通用する考え方なのでしょうか?
価格維持政策を取れば、まちがいなく技術的には停滞します。
すなわち問題にするべきは、価格ではなく品質であるべきです。
公取委が品質の評価が出来れば良いのですが、それはちょっと出来ないでしょう。
つまりは、不当廉売が法律違反かどうかという法律解釈の問題になってしまいそうに思います。

1月 5, 2007 at 09:15 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

戸籍の無い高校生?

朝日新聞より「DV原因で戸籍のない高1女子、旅券発給保留に
母親が前夫のDVで離婚できなかったために出生届が出せず、戸籍のない高校1年の女子生徒が4日、修学旅行で海外へ行くためパスポートセンターで旅券の発給を申請した。
しかし、同センターは「戸籍抄本がない」として申請書類を保留にした。

女子生徒の母親は、前夫のDVから避難し、その時に助けてくれた男性との間に女子生徒が生まれた。
翌年、裁判で離婚が成立したが、民法上、婚姻解消から300日以内に生まれた子は婚姻相手の子とみなされ、男性の姓で提出した出生届は受理されなかった。
女子生徒の戸籍をつくるには前夫の協力が必要だが、母親は今も前夫の暴力におびえ、住所を知られたくない状況という。
ちょっと前に、別れた夫が法律的に離婚に同意しないために生まれた子供の戸籍がないという事件が紹介されました。
行政の実務としては、義務教育の問題などは支障がないように進めているとのことでしたが、こんなところに問題が出てくるとは想像していませんでした。

確かに戸籍がないと困るという問題は誰にとっても人生において何度かは出てくることで、そこで止まってしまうというのではたまったもんじゃないというべきでしょう。

それにしても高校1年生だから、16年前のことですよね。
公的な処理が私的な理由によって16年間放置してよいものなのでしょうか。
どこかで、何かまちがいがあるような気がします。

1月 5, 2007 at 08:56 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.12.28

ホワイトカラーエグゼンプションなどは

毎日新聞より「ホワイトカラー・エグゼンプション:労政審報告に盛る
労働法制の改正に関する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労働条件分科会は27日、最終報告をまとめた。

報告には、一定の年収などを条件に労働者の労働時間規制(1日8時間など)を除外し残業代を支払わない「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」が盛り込まれたが、労働側は最後まで納得せず、同制度の導入は認めないとの意見が記された。
「認めない」との強い表現が使われるのは極めて異例。

報告を受け、厚労省は今後、法案要綱の作成に入り、来年の通常国会に提出を目指すが、労働側の反発を押し切る形でこのまま作業が進むのか、注目される。

報告は「労働契約ルールの明確化」として▽就業規則の変更で労働条件が変更されるルールなどを盛り込んだ労働契約法の新設▽「仕事と生活のバランスを実現する」としてホワイトカラー・エグゼンプション▽働く時間に労働者の裁量を反映させる企画業務型裁量労働制の適用拡大--などを盛り込んだ労働基準法改正について行われた。

うちホワイトカラー・エグゼンプションでは管理職一歩手前など対象者が示され、年間104日以上の休日確保などの条件は示されたが、具体的な年収などの要件はなかった。同省も具体的に記さないままで法案化を検討している。
全体として、この議論は何か薄っぺらな印象がつきまといます。
年間104日以上の休暇を確保という話にはさすがに驚きました。
実際に、就業カレンダーを作ってみればわかりますが、土日と祝祭日・盆休み・正月休みを足すと現実には、休日は120日~124日程度になります。
これをいくら最低基準とはいえ104日とするのでは、それ自体が問題でしょう。

さらには、年収などの要件を具体的に記さないまま法律だけ作ってどうするのですか。

雇用労働(の契約)という枠組みだけはそのままにしておいて、労働時間と賃金の関係を外注と同等にするというのは、外注事業者にとっても著しく不利でこれは余りにも急激な変化になり、ビジネス慣行や税制といった面までひっくり返りかねない「改革」でしょう。

どうも最近の大幅な政策方針の変更には、グランドビジョンといったようなものを感じることができません。
教育再生会議についても教育の方法論を論じていても、何のために教育するのかという観点からの議論が分かりません。
医療費抑制についても、総トータルで国が負担するコストが下がるのか、わかりません。

個々の問題についてそれぞれに口当たりのいいことを並べているばかりではないかという印象が強くします。
今はその口当たりが、コストの短期的な抑制(リストラ)にだけ向いている、と考えるとわかりやすいでしょう。

投資家への利益還元を重視するあまりに、賃金の抑制を図ると将来的にマーケットが縮小することになるでしょう。
つまりは生産しても売れないという社会が到来します。

政策の要諦は、互いに矛盾する条件を長期的に全体としてより良くすることにあると思います。
そのために、既得権益を廃止するといったことは重要ですが、であっても「長期的にこのようによくなる」という明確な説明は必要です。
それがあるとは思えない。

来年は選挙の年ですが、意外と激変があっても不思議がないように感じます。

12月 28, 2006 at 10:57 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.11.30

パート労働法改正素案の問題

日経新聞社説より「パート社員の適正な処遇を急げ
パートタイム労働法の改正に向けた労働政策審議会の議論が大詰めにさしかかった。 29日に公益委員が示した報告書の素案は、パート社員への労働条件の明示、正社員との均衡待遇の確保、正社員への転換の促進などが柱だ。単なる指針から法令に格上げする規定も目立つ。

雇用者の4人に1人の割にまで膨らんだパートだが、賃金は正社員を100とすると男性52.5、女性69.0と低水準で、正社員への転換も容易でない。
経済的な不安定さや教育訓練の乏しさが、少子化や働き手の質の低下につながる恐れもある。
男女を問わず世帯主パートも目立つ今、働きに見合った形での処遇改善は重要な課題だ。

教育訓練や福利厚生に関する適正な処遇が義務規定なのに対し、賃金を巡る処遇の核心部分が努力義務にとどまった点には、不満も残る。
ただ強引に正社員並みに賃金水準を上げても、パートの門戸が狭まっては逆効果だ。素案の規定はクリアすべき最低ラインといえるが、一層の賃金の改善を目指すには雇用確保とのかねあいも考える必要があろう。

もう一つの焦点である正社員への転換については、転換推進に向けた措置を事業主に義務づけ、国の助成も促した。
ただ、パートも多様化しており、やむをえずパートになる層が増える一方、束縛を嫌う自発的パートもまた多い。正社員化だけを目標にするのでなく、働き手の事情に即したきめ細かい処遇が必要だ。

パート1200万人時代の裏には、不況下でグローバル競争に直面した企業が賃金水準の低さと調整弁的な便利さから雇用の非正社員化を進めた経緯がある。
その時点ではやむを得ない選択でも、景気回復後まで「安価な労働力」に抑え込んだままでは、社会の不安定化は増すばかりだ。
パート法改正は厚生年金の適用拡大などとともに安倍政権の再チャレンジ支援策の柱でもあり、厚労省は年内をめどに報告書をまとめ、来年の通常国会での法案提出を目指す。
格差の固定化を防ぐためにも、実効性のある処遇改善が待たれる。
この日経新聞の社説は割とよく踏み込んでいる方だと思う。
比較対象として京都新聞(共同通信)の記事「正社員へ転換推進義務付けパート労働法改正で素案」は、労働政策審議会の分科会が29日にあきらかになった素案を紹介しています。
パート労働法の見直しを検討している厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会の分科会が29日、厚生労働省であり、学者らの公益委員が報告書の素案を示した。パートの正社員への転換推進を企業に義務付けたほか、処遇改善のため能力や経験を考慮して賃金を決めるよう求めた。

パートの処遇改善は、安倍晋三首相の掲げる再チャレンジ支援の柱の1つ。
素案は、既に策定した同法の厚労省指針で定める内容を法制化し、企業への拘束力を強めた。厚労省は素案を基に年内に報告書をまとめ、来年の通常国会で法改正を目指すが、使用者側委員の反発も予想される。

労働者側は「一定の前進」と評価するが、賃金など具体的な処遇改善は努力義務にとどまるため、格差解消への実効性に疑問の声も出ている。

素案はパートについて職場で中核的な役割を担うケースや若年層が増えていると指摘。
「日本経済を支える労働力としての重要性は高まっており、能力を有効に発揮できるようにすることが必要」として、社員と均衡が取れた処遇確保が「事業主の責務」と明記した。

正社員への転換では、企業は「推進に向けた措置を講じなければならない」と指摘。具体的には
  • (1)社員募集の情報伝達
  • (2)社員応募の機会の付与
  • (3)社員への転換制度の導入-の3つを例示した。
社員と仕事内容が同じで、長期間続けて勤務するパートに対しては「差別的な取り扱いを禁止する」と明示し、賃金などで社員と同水準の処遇にするよう義務付けた。

賃金に関しては社員との間に不当な格差がないよう仕事内容や能力、経験、成果などを考慮して決定することを要請。仕事の実態が社員に近いパートは、賃金の決め方を社員と共通にするよう企業は努力しなければならないとした。
このほか企業側に教育訓練、更衣室や給食施設の利用などの福利厚生の実施を求めた。
この社説と記事の元になった情報が「素案」であるのだが、素案が記事が紹介したとおりであるのなら通りいっぺんであり素案とはいえ突っ込みどころ満載と言えるだろう。だからこそ日経新聞社説は踏み込んで書いた。

簡単に言えば「同一労働同一賃金」をきちんと定義することが重要だろう。
パートと正社員を直接比較して「転勤があるパート従業員」とはどういうことなのだ?
転勤は会社の職務命令によるもので、パート従業員が労働形態の多様化としてパートを選択した場合に、それを踏みにじることにもなる。こんなことは法的に禁止して構わないだろう。

同一労働だが正社員には色々な事情があって賃金が違う、というのが使用者側の一般的な主張であるのだが、それならその「色々とは何か」をはっきりさせるべきだろう。
そうしないと「同一労働とは何か」が決まらない。同一労働で賃金格差があるという社会を是とするのであれば、賃金格差は何によって生じるのか説明する義務があるだろう。

労働と賃金といった極めて基本的なところにごまかしをしていると社会はドンドン不安定化する。
「日本経団連会長の発言は」で強く批判したのは、人材という資源を企業が育成しないで他社が育てた人材=資源をつまみ食いする構図を是認していることだ。

今回のパート問題についても、企業にとって賃金抑制だけすればよいのか?となると、将来の購買層を育てないのだから将来の経営者が挙げることが出来る利益をかっぱらっていることになる。

これでは、世代間格差じゃなくて世代間ドロボーだろう。
日経新聞社説が指摘している「景気回復後まで「安価な労働力」に抑え込んだままでは、社会の不安定化は増すばかりだ」は極めて重い。

11月 30, 2006 at 08:19 午前 国内の政治・行政・司法, 経済・経営 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.24

労働の未来を考えていないのではないか?

今日は全くの偶然であろうが、労働についての記事が並びました。

サンケイ新聞には「労働時間の規制撤廃 法制化へ、成果賃金に対応 厚労省
朝日新聞には「パート待遇「正社員と均衡」明記 厚労省法改正案

同じ厚労省が提案しているだが、労働行政が全体としてどっちを向いているのか分からないではないか。

労働時間の規制撤廃 法制化へ、成果賃金に対応 厚労省」によると
素案は、労働時間にとらわれない働き方を「自由度の高い働き方」とし、適用対象を
  • (1)労働時間では成果を適切に評価できない業務
  • (2)権限と責任を相当程度伴う地位
  • (3)仕事の進め方や時間配分に関して上司から指示されない
  • (4)年収が相当程度高い
の4要件を満たす労働者と規定している。
パート待遇「正社員と均衡」明記 厚労省法改正案」には
正社員との「均衡待遇」の具体策としては、労働時間や就業実態が正社員と同じパートに対し、
  1. 「待遇での差別的な取り扱いを禁止」する。
  2. それ以外のパートについても、本人の職務や意欲、成果などに応じて賃金を決定し、
  3. 残業や転勤があるなど正社員に近い人には、
基本給や賞与の決め方を正社員と同じにするよう努めることを求めている。
この二つの違いはどこにあるのか?さっぱり分からない。
なぜなら、労働時間の撤廃の方では「年収が相当程度高い」しか具体的な指標がないと思うし、パート待遇の方では「正社員と同じ仕事は同じ賃金」と読めるのだが、肝心の正社員の仕事に労働時間というもっとも基本的な定義が無くなってしまったのでは、具体的に賃金が分からないではないか。

非常に簡単に言えば最低賃金が分からなくなる。
最低賃金が意味を持つのは、労働を時間や内容で定義しているからで、特に時間については評価を変えようがないから極めて重要な基準である。
その労働時間を評価しないというのが「労働時間の規制撤廃」であるから、これだけ取り出すと「最低賃金を決めても労働時間の基準がない」という全くの無意味なこともあり得ます。

では、労働内容を基準に最低賃金を決めるれば良いのか?となると、これは実績的には失敗の連続なのですが、それは置いておいても「パート待遇」の方が、パートと正社員の区別が実質的に無くそうというのだから、簡単に言えば「同一労働同一賃金」という意味でしょう。
そこに「同一労働を評価する軸がない」となってしまっては、全体として労働という概念が崩壊してしまうではないか。

一体何を考えているのだ?
こんな基本的なことはもっと分かりやすくするべきで、「こんな条件の時にはあんなことなり、あっちの条件ではこうなる」といった複雑な分類になるようなことを避けて、グランドルールを提示することの方が先だろう。

だいたい「転勤のあるパート労働」なんてものを肯定して良いものなのか?根本的におかしいよ。
厚労省提案の日本の施策に整合性がとれていないというのは、強く指摘するべきだがマスコミはこれをバラバラに扱っている、ここに問題がある。

11月 24, 2006 at 09:10 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.20

名誉毀損裁判・彦根市長のケース・その3

「名誉毀損裁判・彦根市長のケース・その2」にトラックバックがありまして、そこに紹介されていた記事です。

MBSニュースより「<font color="green">滋賀・彦根市長 「バカ市長」記事で新潮社を提訴
獅山市長は、京大法学部出身で検事の経験もある弁護士で、訴えの中で「

自分が『バカ』だという事実はない。


関西人なので『バカ』は『アホ』よりも名誉棄損の程度が著しい」などとして、新潮社に対し、謝罪広告の掲載と2,200万円の慰謝料などを求めています。
正に「名誉毀損裁判・彦根市長のケース」で問題にした
この提訴は「バカ市長」との 4文字の記載だけが名誉毀損に当たる ということでは無いかと思いますが
を理由にして提訴しましたね。

名誉毀損裁判を考えるという点からは極めて憂慮するべき問題だと思います。
本格的に裁判にすると、1年は掛かります。
弁護士も誰でも良いとは言えません。どちらかというとやっかいな裁判です。
そのような裁判を起こすのに「バカ」の二文字で出来るというのはあまりにひどいでしょう。

11月 20, 2006 at 04:29 午後 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.11.19

名誉毀損裁判・彦根市長のケース・その2

「名誉毀損裁判・彦根市長のケース」の発端は「飲酒運転報告義務づけ、「人権侵害」と彦根市長」(読売新聞より)です。
飲酒運転による交通事故が問題となる中、滋賀県彦根市の獅山(ししやま)向洋市長(65)は25日の記者会見で、11月1日から適用する市職員の飲酒運転懲戒基準について「飲酒運転の報告義務づけは、憲法が禁じた不利益な供述の強要にあたり、人権侵害」として、検挙の有無にかかわらず、報告の義務づけは基準に盛り込まないことを明らかにした。

元神戸地検検事の獅山市長は「法的には、職員が飲酒運転しても、市への報告義務はない」とし、全国の自治体が、報告義務化を進めていることに触れ、「公務員にだけ求めるのは職業差別」と断じた。
一方で、職員の自己申告や報道などで市が飲酒運転を知った場合には「処分の対象になる」とした。

同懲戒基準は、飲酒運転による死亡・重傷事故は免職、物損事故の場合は免職か停職、などとしている。
これを週刊新潮が「彦根のバカ市長」との見出しをつけて記事にした。

産経新聞社が西日本の主な自治体に「彦根市長の主張について」アンケートを取ったのだそうです。

産経関西より「彦根市長に賛成ゼロ 西日本自治体アンケート 飲酒運転報告不要
飲酒運転をめぐって、滋賀県彦根市の獅山向洋市長が打ち出した「摘発でも報告不要」という処分基準について、産経新聞社が西日本の主な自治体に行ったアンケートの結果、「反対」とする回答がほぼ半数に上ることが18日、わかった。

「それぞれの任命権者の判断」と一定の理解を示す自治体もあるものの、発言に賛成する首長はゼロ。
獅山市長は「これは問題提起。撤回する気はない」と強気の姿勢だが、周囲の理解を得るのは難しそうだ。

彦根市の処分基準は、今月1日から導入された。

飲酒事故での人身事故を免職とするなど、これまでより厳しい内容になったが、違反したり、摘発された場合の報告義務を削除した。
獅山市長は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」という憲法38条の条項を削除の理由にしているが、市には「時代に逆行している」など、反発する内容の電話やメールも200件以上寄せられている。

今回のアンケートは、大阪府内の39自治体をはじめ、西日本の県庁所在地や政令都市の計79自治体に対して行った。

「報告義務不要」という彦根市の処分基準についての賛否と、それぞれの自治体で処分基準を変更するかどうかを尋ねた。

その結果、賛否については、「回答なし」や「どちらともいえない」が79自治体のうち37自治体。残る42自治体は軒並み「反対」の考えを示しており、「賛成」とする自治体は皆無だった。

特に大阪府内39自治体では25自治体が「反対」としており、3分の2近くが獅山市長発言に「NO」の姿勢を示している。
市というか会社や団体が従業員に何らかの報告を義務づけることについては、それなりに広い裁量が認められて当然だと思います。
社会全体で一律には出来ないし、会社や団体の内部でも一律にしては不都合が生じるでしょう。

それについて「憲法違反」という論理を持ち出すと、これは彦根市の職員だけの問題ではなくなってしまう。

それこそ「任命権者の判断」であり、同時に責任でしょう。
つまりは彦根市長は責任はないとしたのでしょうが、それでよいのか?
というのは、行政というか組織の長としては他にも報告を義務づけている色々な問題があるはずで、明白に法律違反である「摘発」されても「報告義務無し」は一般論として通用するものなのか?

例えばハッキングとか児童買春といった場合にはどうするのだろう?

元々日本の法体系の根本が「解釈の余地あり」でやっているのだから、法的な根拠を引っ張り出すと最終的には憲法なのだろうけれども、それも「憲法解釈」の問題から逃れられない。

「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」を徹底すると、すべての物事について裁判所の判決が必要となってしまって、明らかに現実的でないから「自己申告」とか「報告義務」となっている。

問題は、報告すると不利益処分になることであって「不利益になるから報告するべきではない」というのは近代国家の考え方として正しいとはちょっと思えない。
むしろ「報告」→「司法取引」→「社会的(技術的)対策」といった方向の方が合理的だろう。
「不利益になるから報告しない社会」にはひどく殺伐とした印象を受けます。

11月 19, 2006 at 11:40 午前 事件と裁判, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (3)

2006.11.13

来年に向けて選挙だよ

毎日新聞より「福島知事選:「立会いから女性はぶけ」石川町選管に脅迫状
福島県知事選を巡り、同県石川町選挙管理委員会に
「選挙の立会いから女性をはぶけ。そうしないと子供たちを殺す」
と書かれた脅迫状が投票日前日の11日に届き、町選管が17人予定していた女性の投票立会人を急きょ、全員男性に入れ替えていたことが分かった。
県警石川署は脅迫などの容疑で捜査している。
わたしは開票立会人を何度もやっていて選挙の実務に多少は通じていますが、こんな脅迫をするというのはちょっと想像できません。

投票立会人は、投票所で座ってみている人のことですが、これらの人から「女性を除け」ってなんか意味があるのでしょうかね?
いやだいたい投票立会人について知っている人はそんなに多くないのではないかな?

1993年の衆議院選で日本新党が35人を当選させたのが新党ブームの始まりで、その後は新進党・民主党と変化してきたのだが、そろそろ(元)新党も既存政党になったという感が強くて、候補者個人の選挙戦といった側面が強くなってきたと感じています。
代表的なのが小泉チルドレン vs (復帰してくる)離党議員の戦いでありましょう。
「二階に上がってからハシゴを外された」とかコメントしている議員がいましたが、こんなのは選挙の実際を全く見ていないのは明らかです。

新党ブームの余韻すら消えるとなると、広報車個人の戦いの形としてはかなりどろどろしたものが出てくるのではないか?と考えています。
1993年あたりから見ると、15年になるわけでこれは「失われた10年」にほぼ重なります。
デフレ脱却との言葉が出てくるのと同様に、政治体制や選挙のあり方も変わるのでありましょう。

もっとも、経済状況は旧来の55年体制に戻ることが出来ないような構造なってしまっているので、新たな国家指針を作っていくことが今後の政治の課題でしょう。

そう考えると、このヘンテコな事件も何らかの意思表明なのかもしれません。
来年は、統一地方選挙と参議院選挙があります。けっこうな、転換点になるのかもしれません。

11月 13, 2006 at 01:52 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2006.11.10

合計特殊出生率が1.8になったら

サンケイ新聞より「出生率「1.8」で人口推計 「子育て層」もベース
厚生労働省は9日、潜在的な「子育て層」をもベースにした新たな将来人口推計を年内にも出す方針を固めた。
従来の人口推計は、過去の出生率や未婚率など実績をベースに予測する手法がとられている。
新たな人口推計は、独身者の結婚が進み、夫婦が理想とする数の子供が実際に生まれた場合、合計特殊出生率が平成17年の1.25から1.8程度まで回復するとの試算に基づくもの。
少子化に歯止めがかかる社会の姿を示すことで、少子化対策の機運を高め、具体的な施策を見いだすのが狙いだ。
コリャなんだ?アドバルーン記事とでもいうべきなのか?
  1. 最初は「出生率が1.8になった」という記事なのか?と思った。
  2. しかし、「年内に将来人口推計を出す方針を決めた」であった。
  3. さらに「理想とする子供が実際に生まれた場合」とはなんだ?
三重に予防線を張っているというべきか?
記事は次のように続く。
国立社会保障・人口問題研究所が17年に実施した出生動向基本調査によると、夫婦が理想とする子供の平均数は2.48人、実際に持ちたいと考える「予定子供数」も平均2.11人。
だが、経済的な理由などによる理想と現実のギャップは大きい。
また、独身者のうち将来結婚を考えている人は男性87%、女性90%にのぼる。
厚労省は有効な対策を講じればギャップの大半は埋まり、合計特殊出生率の1.8程度への回復は可能だとの分析結果をまとめた。

こうした潜在的な「子育て層」を含めた1.8に基づき新たな人口推計を出すのは、「楽観的」な数値を示すことで少子化の反転はそれほど困難ではない、との認識を国民にもたせ、年金制度に対する不信のさらなる拡大を緩和したいとの思惑もある。

新たな人口推計は、出生率が1.8まで回復した場合のほか、1.5程度にとどまった場合など複数のケースについて出し、将来の労働力人口など経済的な影響も予測する。
従来の人口推計はこれまで通り年内に公表する。
厚労省は年明けにも、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)に有識者による検討部会を新設し、新たな人口推計結果を基に今後の少子化政策を検討する。
これで明らかと言って良いが「少子化は簡単に緩和できるから、少子化問題を考えないでも良い」という方針でこんな事を言い出したのだろう。
考えたくないからその根拠を作り出す、といった話ですな。

そもそも、合計特殊出生率の計算方法がほとんど知られていないでしょう。
人口統計の「5歳階級」と呼ばれる5歳(5年間)で分類した人口別に15歳から49歳までの7段階(15-19、20-24、25-29、30-34、35-39、40-44、45-49)の女性が出産した率を足し算したものです。正確には「コーホート合計特殊出生率」と呼ぶ手法のようで、期間合計特殊出生率なので「一人の女性が生涯に産む子供の数」そのものではないわけです。

人口統計から見てみると、14歳以下や50歳以上の出産もありますから出産の傾向を示している、ということです。

当然ですが、人口増加になるためには出生率が2以上であることが必要です。つまり1.25から1.8になっても人口が減ることに違いはないのですから、人口が減ることが問題ではないということなのでしょうか?
であるとすると「どのように人口が減るのが良いのか?」という問題になりますね。


それにしても「理想とする出産が実現すれば」は厚労省や人口問題研究所が出す見解としては相応しくないだろ。
そんなデータならパソコンにソフトウェアを入れれば誰だって計算できる。
合計特殊出生率が変化するのは、20-24、25-29、30-34ぐらいの年齢層だろう。
ところがこの世代は当然のように全体の出生率の大半を占めているわけで、そうそう増えるものではないと思う。さらに注目するべきなのはこの世代が次の世代に入れ替わるのには15年掛かるということで、ちょっと上がってすぐ下がるといったことなったらどうなるのか?
かなり強力な対策を100年ぐらい期間続けないと全体の傾向が動くことにはならない。


こんな風に見ると、「見解を発表する方針を決めた」という歯切れの悪いことになっているのは、どっちを向いて言っているのだ?と考えてしまう。

11月 10, 2006 at 10:04 午前 人口問題, 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2006.11.03

2回目の電子投票は実施せず、海老名市

神奈川新聞より「電子投票取りやめへ/海老名市選管
海老名市選挙管理委員会(坂田喬委員長)は二日、県内自治体で唯一導入した電子投票について、来年秋に予定されている同市長選・市議選では実施しない方針を決めた。
同市は電子投票実施を定めた条例の改正・廃止案を市議会に提出する予定。
開票のスピードアップなどを目的に関東で初めて導入された同市の電子投票だが、全国で先行導入した自治体の”電子投票離れ”が進む中で、撤退する形となりそうだ。

二〇〇三年十一月に電子投票が導入された前回の市長選・市議選では、電子データの投票者数が、実際に投票所で受け付けた投票者より多くなり、確認作業で開票が大幅に遅れたほか、落選者が当選の無効を求めて異議申し立てを行うなどトラブルが相次いだ。

市選管は原因について「機械の一時的な障害」と結論付けた上で、次回選挙での実施について協議を重ねてきた。その結果、機器の安定性など電子投票のシステムに不備が残ることなどから取りやめる方針を決定した。

総務省によると、電子投票はこれまで全国で計十三回実施されている。
現在、電子投票実施に関する条例があるのは海老名市を含め宮城県白石市や青森県六戸町など八自治体。
一方、福井県鯖江市など四自治体が高額な実施コストなどを理由に条例を廃止、撤退している。

電子投票の普及に向けた取り組みを続けている同省は、海老名市選管の決定について「正式に聞いていないが、これにぶれることなく普及を図りたい」としている。

同市選管の決定は六日に内野優市長に報告されるが、同市長はすでに市議会などで選管の意向を尊重する考えを表明しており、同市は条例の改正・廃止案を議会に提出する見通しだ。
記事中に紹介されている「2003年の電子投票でのトラブル」とは、電子投票について論評している佐々木俊尚氏が説明しています。

PC-Viewより「開票結果に混乱を引き起こしたハードウェアトラブル――神奈川県海老名市
海老名市の電子投票システムは、各投票機に入力された投票結果が、原本と複本の2枚のCFに保存される。
複本のCFにデータが保存される際、一部の票の読み取りエラーが生じていたというのである。
同市では投票者総数を複本のデータ集計結果から集め、各候補の得票数は原本から得ていた。
このため投票者総数と得票数総数が一致しない結果となったのだ。
今度の不一致数は5票。しかしこの5票のために、本来なら30分ほどで終わるはずの開票結果は大幅にずれ込み、最終確定は日付の変わった午前2時10分。
この日、同時に行われていた衆議院議員選挙の手作業による開票も大きな影響を受け、確定は2時50分にまでずれ込んだ。

ライトエラーの原因について、メーカー側は「エラーはCFドライブがOSから認識不能になる場合に発生しているようだ。
OSから認識不能になる原因は、ドライブへの給電状態が変わるなどハードウエア的な誤作動が考えられ、引き続きハードメーカーと調査している」と市選管に回答している。

原因は実に微妙なハードウエア的要因が介在していると思われる。
だがバックアップシステム自体に内在的な問題があったとも言え、設計ミスの一種といえるかもしれない。
さらに佐々木俊尚氏は自分のブログ「佐々木俊尚の「ITジャーナル」」で、一連の電子投票トラブルについて説明しているのだが、何よりも問題なのは投票無効の最高裁判決が出てしまったことだろう。
岐阜県可児市で2003年夏に行われた市議選の電子投票について、最高裁が(2005年)7月8日、県選管の上告を棄却し、選挙を無効とする判決が確定した。

2003年7月に行われたこの選挙は、10万人規模の自治体で行われる初めての電子投票で、しかも全国初のサーバー・クライアント型電子投票システムを使うという「初モノづくし」の選挙だったのだ。

実際に投票された数と、開票時に各候補者の得票数を合計した数字が食い違い、得票数の合計の方が6票も多くなってしまったのだ。
市選管の説明によると、ムサシの社員が投票所で電子投票機の操作をサポートしていた際、「タッチペンの反応が遅い」と有権者から苦情を受け、感度を調整している際に誤って白票を投じるボタンを押してしまったという。
この6人がその後、再び投票したため、開票数が6人分多くなってしまったのだ。

最下位当選者と次点の得票差は35票しかなかったことから、この次点候補者や有権者らが「トラブルがなければ逆転していたかもしれない」と県選管に審査を申し立てた。
県選管は「トラブルが選挙結果には影響していなかった」と退けたが、有権者らは名古屋高裁に提訴し、そして高裁は選挙無効の判決を下した。
これに対して県が上告し、そしてそれに対して今回の最高裁判決となったのだ。
わたしは電子投票にはかなり批判的です。
特にコストダウンメリットがあるというのは全くのウソだと判断しています。コストアップは相当莫大な金額になります。そもそも、夜中に開票作業をすることがいかにも大勢の人を雇用しているようにも見えますが、実情は行政職員が深夜残業をしているだけですからそんなに莫大な人件費にはなりません。

投票の範囲の可能性を広げるというの意味では、現在の日本の選挙制度が自分で文字を書くことで投票する世界的には珍しい、つまりはとそれ自体がハードルになっているという論には賛成しますが、それを改善するためのコストとして認めることが出来るのか?という問題になってしまうでしょう。現状でも病院などでは投票所に行けない人の投票が出来るようになっています。

また、各級選挙で投票方法が違うという問題をどう解決するのか?というかなり根本的なところに手を付けないのでは、どこまで行っても技術試験でしかありません。
その中で「高すぎでやってられない」と電子投票離れが起きるのは当然のことです。

はっきり言えば、これは電子版の公共事業そのものであって、費用対効果の検証をすることなく突っ走ってみたがうまく行かない、ということに過ぎないでしょう。

e-ジャパン構想によって行政の電子化が進み、多くは非常に有効であると思いますが大きなところで住民基本台帳カードの利用や、電子投票といったハードウェアが絡まるところで、どうも円滑に進んでいません。
何よりもメリットがはっきりしないのが進まない最大の理由でしょう。
まして、今回の海老名市の選挙のように「前回失敗した電子投票を再度実施することが出来るか?」となると、より一層のメリットを示すことが出来なければ現場としては受け入れがたい、となるのは当然かと思います。
理念だけで空回りしている、と感じますね。

11月 3, 2006 at 09:29 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.11.01

新幹線新駅騒動その10

「新幹線新駅騒動その9」では、新駅設置を見直すという方向のでの記事やその背景を紹介しましたが、これには10月末に設置協議会と県がJR東海に10月分の負担分を支払う締め切り日だったからです。

色々なことが起きたようです。

10月30日
栗東市議長が辞任」 読売関西より
栗東市議会が新駅工事費支払い差し控え決議」 滋賀報知新聞より
JR東海会談拒否 滋賀県、予想外の展開に困惑…負担金問題」 読売関西より
支払い延期JR拒否 凍結巡り混迷深まる」 読売関西より

10月31日
滋賀新幹線新駅 負担金支払い「待って」 促進協、JRに猶予求める」 産経関西より
JR東海、支払い延期要請を門前払い」 読売関西より

元々は滋賀県知事選挙で新駅設置見直しを公約にした嘉田氏が当選して、県が新駅設置見直しに動き始めたのですが、地元の栗東市長選挙では比較多数で新駅推進派の国松正一市長が再選されました。

10月末がJR東海と契約した支払期限であったのですが、10月28日に促進協議会の会議が非公開で行われ、その結果について、県は「促進協議会に参加している6市長も支払い延期に同意」と発表しましたが、国松栗東市長はこの会議の結果を「6市長は支払に同意した」と発表して何か起きているのか良く分からない状況になっていました。

10月30日に栗東市議会では「支払差し控え決議案」が賛成十人、反対九人で可決されました。
市議会議長は「見直し派」で議長辞職届けを提出し、10対8の賛成多数で辞職が許可されました。
こんなことになるのには「新幹線新駅騒動その7」で紹介した、市の起債計画が大津地裁によって地方自治法違反と判決が出たためでもあるでしょう。

そこで県は支払い延期要請の会談ををJR東海に申し出ましたが、JR東海は会談を拒否しました。
県は29日、「30日午前中には日時を決定する予定」と発表。
同社に訪問後の嘉田知事や担当者の会見なども想定して準備していた。

しかし、結局この日は同社側に拒否されたまま、結論を出すことができず、午後7時から県政記者室内で、同社とのやりとりについて新幹線新駅問題対策室の川口逸司・政策理事と堺井拡・同対策室長が「JR東海の了解を得られなかった」と説明した。

目片信・大津市長は「双方の考えを否定するつもりはないが、JR側がきちんと話をしようとしないのはいかがなものかと思う。
『請願駅』であるという固定観念を捨て、県民、市民の思いを踏まえながら議論すべきだ。
市としては、県の意向に従うという方針に変わりはない」と話した。
と大混乱の様相になってきました。
JR東海は促進協議会が契約のとりまとめを行う相手側という立場のようで、さらに促進協議会を代表する窓口が栗東市なので県が促進協議会の頭越しに支払い延期要請の会談を持ちかけても受けることは出来ない、ということなのでしょう。

促進協議会が支払い延期さらには新駅設置の延期や取り止めといった合意をしない限り、JR東海は公式には協議には乗れないでしょうからこれは長引きそうです。

11月 1, 2006 at 09:29 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.25

新幹線新駅騒動その9

「新幹線新駅騒動その8」の続きですが、読売新聞社説に「滋賀新幹線新駅 原点に戻って再検討すべきだ」が出ました。
昨年、県や関係市などとJR東海が工事契約を結び、自治体が工費の大半240億円を負担するとして、2012年度の開業に向け、今年5月に着工した。

地方財政の状況はますます厳しくなっている。進行中の事業であっても再検討の目を向けるのは当然のことだ。

もともと新駅建設には、「開業10年後の自治体税収増113億円の県の予測は過大」「アクセスが不便で、『のぞみ』も止まらない」などの批判があった。

推進派が支えにしてきた県の需要予測も、見直しの結果が近く公表されるが、下方修正される見通しだ。
この中に出てくる「開業10年後の自治体税収増113億円の県の予測」の見直しが出たようです。

京都新聞より「税収113億円から半減 栗東新駅問題 経済効果県再検証
新駅開業10年後の1年当たりの県や周辺市町の税収予測が、前回の経済波及効果の調査で出た予測113億円から半減することが24日、滋賀県がまとめた再検証結果で分かった。

再検証結果によると、税収効果は上位が82億円、中位54億円、下位38億円。1年当たりの消費・生産効果は3770億円としてきたが、上位でも2539億円で、中位は1677億円、下位は1166億円だった。

また、開業10年後の県人口予測は、新駅設置にともなって2003年度比で4万5000人増えるとしていたが、再検証では、上位でも2万4000人で、中位1万6800人、下位1万800人と続いた。

経済波及効果は、県や栗東市などでつくる駅設置促進協議会が2004年にまとめた。

県が、2005年度国勢調査や観光入り込み客の推計など最新のデータを活用して再検証を行った。
その結果、開業10年後の県人口は140万7000人と、当初予測よりも約10万人も少なくなるなど、前提条件が大きく変わったことが影響したとみられる。
公共投資の計画の多くが人口増加を前提にしている事が問題だとは以前から言われています。
ある地方議員が「そんな人口の増加をどうやって見込むのだ?」と担当者に聞いたところ「魅力的な地域になると、人が移ってくる。自然増加だけではない」と言ったそうです。

つまり税収のために人口の奪い合いといった面があるわけで、それ自体は住民にとってはよいことですから、大いに推進して欲しいわけですが、注意するべきは過剰投資ですね。

夕張市の例では投資はしたがアテにしていた観光客が伸びなかったという例もあります。


「新幹線新駅騒動が露わになってきた?」に書いたとおりに、新幹線新駅の設置は周辺整備事業とセットになっていて、これまでに177億円を注ぎ込んでいるようです。
これは用地買収費用でしょうか?
新駅の建設費は総額が250億円で、地元が240億円を負担、その中の117億円を県が負担することになっていました。
嘉田県知事は、この117億円の支払を止めると宣言して当選しました。

一方177億円を掛けたらしい用地買収の単価は「一平方メートルあたり三十二万七千円」とのことですから、これではこの土地で何をするにしても、ちょっと事業自体が成り立たないのではないでしょうか?

177億円の土地を単価32万7千円で買収したとすると、5万4千平方メートルにしかなりませんね。
どういう事になっているのでしょうか?

10月 25, 2006 at 09:30 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2006.10.24

新幹線新駅騒動その8

「新幹線新駅騒動その7」の舞台となった栗東市の市長選挙がありました。
京都新聞より「栗東市長に推進派の国松氏 新幹線新駅 凍結派新人破る
新幹線新駅設置問題が最大の争点となった栗東市長選は22日投開票され、新駅「推進」を訴えた現職の国松正一氏(59)=自民党滋賀県連推薦=が、前栗東市議の田村隆光氏(49)=民主党県連、社民党県連推薦=、元県労働組合総連合事務局長の杉田聡司氏(58)=共産党県委推薦=を抑えて再選を果たした。

新駅「凍結」を掲げる嘉田由紀子知事との対立構造が続くが、国松氏の得票率が4割にとどまったこともあり、新駅建設事業は今後も曲折の道を歩むことになりそうだ。

投票率は、63・93%と前回市長選(2002年)から11・98ポイント上昇した。
当日有権者数は4万5926人。
◇栗東市長選開票結果(選管最終)
  1. 国松正一 12,082
  2. 田村隆光 11,053
  3. 杉田聡司  5,992
現職で新駅推進派の国松氏が当選しましたが、新駅凍結・反対派である他の2人の得票数合計の方が多いので、新駅問題は今後も混乱しそうです。

新駅を作るだけであれば費用対効果の問題だけで判断しても良いのかもしれませんが、この新駅計画にはかなり大規模な区画整理事業が含まれているようで、それもあって工事自体が大規模化しているところもあるようです。なかなか難しい判断となりそうですが、嘉田知事は現在の県がJR東海への支払をしないという点については変更がない、としています。

10月 24, 2006 at 09:13 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.12

和歌山県の談合事件

産経関西より「和歌山談合 県出納長らきょう逮捕 受注JV指定の疑い
和歌山県発注のトンネル工事をめぐる談合事件で、平成16年11月に入札が行われたトンネル工事について、県出納長(60)が工事を受注する共同企業体(JV)をゼネコン側に指定した疑いが強まったとして、大阪地検特捜部は、12日に競売入札妨害(談合)容疑で出納長を逮捕する方針を固めた。

工事を落札したゼネコン側が、県内の公共工事に影響力を持つ大阪府河内長野市内のゴルフ場元経営者(55)に対し出納長への働きかけを依頼していた疑いも強く、特捜部は同容疑で元経営者やゼネコン関係者らも逮捕し、談合の全容解明を図る方針。
和歌山県には毎年「コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム」に参加するために行っていますので、気になります。

この2年会場になっている、ビッグ・ユーも大変な建物で、山がちの平地になっていますから一見山を削って造成した土地かとも思ってよくよく見たら、山を削って谷を埋めたようなのです。
しかも谷が結構な急傾斜。聞いてみると地盤沈下で建物の建設が遅れたとか。

そんなわけで「箱物行政だな」と感じてはいたのですが、出納長の逮捕となると知事もタダじゃ済まないでしょう。
しかも大阪地検特捜部ですから・・・・・・・・。

白浜シンポジウムの実施など和歌山県のIT問題への取り組みはとても良いのでこの方面に影響がないことを願っています。

10月 12, 2006 at 12:21 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.08

新幹線新駅騒動その7

「新幹線新駅騒動その4」で栗東市が事実上の新幹線新駅のために市債を起債することが地方自治法違反とされた判決の内容を説明しました。

10月5日付の読売新聞関西版に栗東市議会が全会一致で控訴すると報じています。

読売関西発より「新駅起債で控訴可決 全出席者が賛成
滋賀県栗東市の新幹線新駅建設に絡み、仮線路の設置工事費に市債を充てるのは違法とした地裁判決を不服とし、国松正一市長が控訴の議案を提出するため4日、開かれた臨時市議会。
議員19人のうち、訴訟の原告のため地方自治法の規定で出席できない共産党市議3人と、議長を除く15人で採決が行われ、全員が控訴に賛成した。国松正一市長は「新駅に関し、今後も協力をお願いする」と頭を下げた。
地裁判決が基本的には、起債の理由がインチキだと指摘しているわけで、これを控訴でひっくり返せるセルものなのか大いに疑問です。

そもそも、市長は
「新駅ができれば企業を誘致しやすくなり、雇用や消費が生まれ、街に活力が出る。新駅建設は、将来に向けての投資」と強調した。
そうですが、それならこれを理由として起債すれば良かった。
ところが、

道路工事ために新幹線の線路を移動するための経費

を理由に起債しようとしたから、裁判所は公共事業ではないと判決しました。
控訴できるものなのでしょうか?

10月 8, 2006 at 08:12 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.09.29

新幹線新駅騒動その6

「新幹線新駅騒動その5」の続きです。

滋賀報知新聞より「新幹線新駅 弁護士ら独自で利用見込み調査
新幹線(仮称)南びわ湖駅の建設計画で県が平成十六年三月に公表した利用者見込みは「甘い予測である」として、弁護士の谷澤忠彦氏(大阪市)と京都精華大学助教授で建築家の葉山勉氏(大津市)はこのほど、新駅の利用客について電話による聞き取り調査を実施し、結果を嘉田由紀子知事に提出した。

回答者からは「湖東地区(湖北含む)の住民は新幹線米原駅を利用し南びわ湖駅は利用しない」「湖西地区(大津・湖北含む)の住民のほぼ全体が京都駅を利用し、わざわざ南びわ湖駅まで行くメリットはない」との意見が目立った。

この調査は、九月上旬、人口比率を配慮して無作為に選んだ県民三千人に対して電話がかけられ、このうち七百四十人から回答を得たもの。
県民全体(四百四十人)と、建設予定地の栗東市民(三百人)の二通りに分けて行った。

「県の予測、高めの疑い」

それによると、「新駅を要望するか否か」について「要望する」と答えた人は、
県民四百四十人のうち三十三人(七・五%)にすぎず、「要望しない」としたのは四百四人(九一・八%)にのぼった。
栗東市民でも、「必要でない」とする二百七人(六九%)が、「必要」と答えた八十三人(二七・六%)を大きく上回った。

さらに、新駅が建設された場合、「利用するかどうか」については、
県民全体四百四十人のうち「利用する」としたのは五十五人(一二・五%)で、「利用しない」は三百八十四人(八七・三%)だった。
予定地の栗東市では、「利用する」は百十三人(三七・六%)、一方、「利用しない」が百八十六人(六二%)だった。

結論では「県の調査で“利用する”が二九%と、今回の調査の一二・五%では差が甚だしく、県調査が明らかに高めの予測になっている疑いが濃厚であり、県のデータそのものが採用できない」としている。
わたしは新横浜をよく利用するのですが、今のようにひかりがドンドン止まるようになるまで、東京駅を利用した方が実際には時間短縮になりました。
さらに新横浜駅周辺での買い物の機会やオフィスが出来るといったことが新幹線のダイヤにも影響して、また利用客が増える、といった循環を見てきました。

だから新駅の利用予測が現時点でそれほど高くないというのは大いにあり得ることだと思いますが、それにしても新駅はかなり不便でしょう。

もし新駅を作るのが安くできるのであればあまり問題にはならないだろうと思います。つまりはお金のかけ過ぎという面が一つ、それとは別にあまり便利では無さそうだということでしょう。
それを何とかお金を注ぎ込めば将来の発展が出来る、ということでしょうが、そうなると「高すぎる」となってしまうわけで、適正規模という観点での見直しとなるのでしょう。

9月 29, 2006 at 09:43 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.09.28

新幹線新駅騒動その5

「新幹線新駅騒動その4」の続きです。

京都新聞より「JR東海、事実上の工事見合わせ 新幹線新駅問題で臨時総会
栗東市の新幹線新駅の問題で、滋賀県や周辺市などでつくる駅設置促進協議会の臨時総会が27日、草津市内であり、栗東市が工事の進ちょく状況について「詳細設計は進んでいるが、現場としては動いていない」と説明し、JR東海が事実上、工事を見合わせていることを明らかにした。

市などによると、JR東海は線路の仮線建設に必要な変電所の移設工事を7月5日ごろに始める予定だった。
8月21日に移設の許可を県に申請したが、県の許可が下りておらず、工事が進められない状況だ、という。
嘉田由紀子知事は総会後の記者会見で「工事は予定通りには進んでいないと思う。県が許可を出すべき期限はなく、(出すかどうかは)検討中」と話している。
一方、総会では、規約を改正し、正副会長会議を凍結を含めた幅広い協議をする場と位置づけた。
JR東海としては、地元が駅を建設することになっているのだから、地元の意志が混乱しては工事を見合わせるのが当然、ということでしょう。

10月15日に栗東市長の選挙公示があって、新駅反対の候補が出馬宣言をしたとのことで、この選挙結果は大きく影響するだろうと思います。

滋賀県が発表している「新幹線新駅(仮称)南びわ湖駅整備計画の概要」を見ても、大変な工事で「これでは経費が膨大になるが」と思ってしまいます。

その割に利便性となると、かなり厳しい。
新駅はJR琵琶湖線(京都・大阪方面行き)に直結せずJR草津線にさらに新駅を作ってそれでも新幹線新駅とは300メートルぐらい離れています。
そのJR草津線の現在のダイヤです
一駅先の草津駅でJR琵琶湖線に乗り替えるのですが、JR琵琶湖線のダイヤがこれですから、JR琵琶湖線と新幹線新駅の間の約1キロをバスでつなげばJR草津線に新駅を作ることもないでしょう。

要するに「お金のかけ過ぎではないのか?」と突っ込まれても仕方ない計画で、嘉田知事が「もったいない」をスローガンに当選して当然か?と思うところです。
もっと安くできる方策を探るべきでしょう。

9月 28, 2006 at 09:14 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)