2008.05.13

名古屋市営地下鉄エレベータ破損事故その2

「名古屋市営地下鉄のエレベータ破損事故」の続報が、朝日新聞と中日新聞に出ましたが、どちらの記事も何が起きたのが疑念を感じさせる内容です。

朝日新聞より「ブレーキ利かず、乗客一気に落下 エスカレーター事故

名古屋市営地下鉄で乗客が転倒してけがをしたエスカレーター事故の当時、乗客の大半はブレーキがまったく利かない制御不能のなかで最下部まで一気に落下していた状況がわかった。
名古屋市交通局によると、乗客が最下部に重なるように倒れ込んだ際に踏み板の側面のパネルが押されるまで、ブレーキを動かす安全装置は作動していなかった。

この事故では、高さ約9メートル、長さ約20メートルの上りのエスカレーターが突然逆走を始めたことで、乗っていた約25人のうち14人がけがをした。

Up

けがの程度がいずれも軽傷だったことなどから、異物を挟んだときなどに感知する安全装置がどこかで作動し、ブレーキはある程度利いていたとみられていた。

しかし、市交通局の調査で、乗客が倒れ込むまで安全装置が働いた形跡はどこにもなかった。このエスカレーターは、安全装置の稼働で電磁ブレーキが利かなければ、逆走しても、踏み板に動力を伝えるチェーンが切れるなどしない限り緊急停止はしない仕組みになっている。

市交通局によると、踏み板を動かすための、エスカレーター本体と制御装置の歯車をつなぐ金属製チェーンがたるみ、制御装置が載った台座もずれていた。また、制御装置の一部が踏み板にぶつかった跡もあった。

乗客の転倒まで「異常」が感知されなかったことなどから判断すると、台座がずれたことでたるんだチェーンが、制御装置がさらに踏み板にぶつかった衝撃でかみ合わせもはずれ、空回り状態になったと市交通局はみている。踏み板は制御不能状態になり、乗客の重みで加速度的に逆走したとみられる。

事故機の制御装置の台座をとめるボルトは昨年9月に2本が「金属疲労」で折れているのが見つかり、補強工事をしていた。しかし、今回も一部のボルトが折れていたことから、市交通局は疲労破断によってボルトが取れ、台座ごと制御装置が動いたとの見方を強めている。

こういう場合は、金属疲労とは呼ばないで強度不足というべきだと思うのですがね。
もっと怪しげな内容になっているのが中日新聞の記事「補強工事先延ばし、なぜ? 名古屋地下鉄エスカレーター」です。

名古屋市営地下鉄久屋大通駅のエスカレーター事故で、本格的な補強工事の準備が昨年10月には一部、整っていたことが市交通局の調べで分かった。

その時点で、早急に対応していれば、今回の事故は回避できた可能性もある。

昨年9月下旬、久屋大通駅のエスカレーターの機械室でボルト2本の「疲労破断」が見つかり、応急工事した際、製造元の日本オーチス・エレベータ(東京)は計19基の恒久工事がさらに必要と申し出ていた。

ただ「部品がそろうのに時間がかかる。施工は今年4月以降」と市側に伝えていた。しかし、事故後、市交通局の調べで、昨年10月25日には11基分の製造を終えていたことが判明した。

残る8基分の製造がなぜ遅れたのか、当初めどとしていた4月以降もなぜ工事を始めなかったのか、12日現在、オーチス社は市にも、本紙の取材にも明確に答えていない。

市交通局は、製造済みの部品を使い、12日夜から一晩に1基ずつ、ボルトの直径を16ミリから20ミリに交換するなどの本格的な工事を開始。残る8基分も14日までには準備が整うという。

なんでこんな怪しげなことになっているのだろうか?
エスカレータはユニット化されているのだから、建物に設置するところが場所によって工事が変わってくるのだろう。それぞれの現場特有の工事があるわけで、そこに強度不足があったのだとすると、少なくとも同時に工事したところは全部に危険性があると考えるべきだと思う。

大体「2本のボルトが折れたから、補修する」というが問題だろうと思う。
なぜ折れたのかが問題だし、ボルトの強度不足であれば設計段階からの見直しが必須であろう。早い話がエスカレータの使用中止となったはずだ。

今回の事故は、補修したが壊れたのが現実であって、ボルトを太くすれば大丈夫と言えるのかは大いに疑問である。

16ミリから20ミリに変えるとのことだが、それでは剪断強度は1.5倍になるだけだ。
飛行機の軽量化設計じゃあるまいし、強度が1.5倍になったからOKとはとうてい言えないだろう。

普通に考えて、16ミリのボルトは数トンの負荷までは破断しないから、複数のボルトが切れたというのは10トンといった負荷が掛かったことになるが、それだとチェーンが先に切れるのではないだろうか?

一体何がどうなっているのか?根本的に、負荷対策が出来ていないとかではないのか?
原因不明であるのなら、使用中止にするべきだと考えます。

5月 13, 2008 at 10:20 午前 もの作り | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.05.12

名古屋市営地下鉄のエレベータ破損事故

中日新聞より「同型式のエスカレーターに補強工事 名古屋市営地下鉄

名古屋市営地下鉄の久屋大通駅で9日朝、急停止後に上りエスカレーターが後退して11人が軽傷を負った事故で、市交通局は事故が起きたのと同じ型式の18基の本格的な補強工事を、12日夜に開始することを明らかにした。

補強工事は製造元の日本オーチス・エレベータ(東京)が昨年9月、ボルト2本の破損が判明した際に、必要性を申し出ていた。

工事には8、9時間を要するため、終電前の午後9時ごろから、始発後の午前6時ごろまで毎日行う。1日1基ずつ補強し、30日までに全基を終えたいとしている。

全基の工事完了までは毎朝の始発前に、工事を終えていない同型式のエスカレーターの機械室で、モーターやブレーキが載っている架台とエスカレーターの骨組みをつなぐボルトに問題がないか、ハンマーでたたいて点検する。

市交通局によると、補強工事は、ボルトを現在の直径16ミリから20ミリに交換するほか、今回のように架台がステップからの圧力でずれるのを防ぐことを徹底するため、新たにボルトを上下に1本ずつ打ち込む。

同型式のエスカレーターは久屋大通駅に6基、桜通線の野並駅(天白区)に9基、桜山駅(瑞穂区)に3基ある。事故後は全基を止めたが、安全点検後、10日朝までにすべて運転を再開している。

市営地下鉄のエスカレーターは今回の同型式を含め計377基。今後は他社製も月1回、ハンマーでの安全点検をする。ボルトの点検はこれまでオーチス社が申し出た昨年9月に緊急実施しただけ。

元々6本のボルトでモーターと減速機を一体にしたフレームを取り付けていたようです。
それをさらに、補強工事していたものが今回は1本を残して全部が破断。
フレーム全体がチェーンに引っ張れてずれてしまい急停止し、さらに重量によって下がってしまったようです。

中日新聞より「補強した4カ所も破損 エスカレーター事故

名古屋市営地下鉄の久屋大通駅で9日、急停止後に後退して11人が軽傷を負う事故を起こした上りエスカレーターは、昨年9月に破損が見つかり補強した4カ所も、今回の事故後の調査で破損していたことが分かった。

市交通局は製造元の日本オーチス・エレベータ(東京)が実施した補強が強度不足で他のボルトの破損を引き起こし、事故につながった可能性があるとみて調べている。

Up

破損していたのは、モーターやブレーキが載っている架台とエスカレーターの骨組みをつなぐ個所。もともとは6本のボルトで架台と骨組みを固定していた。このうち2本が昨年9月、モーターなどの振動による疲労で破断し、根元からちぎれるように折れていた。

オーチス社は、この2本をそのままにした上で、破断個所近くの骨組みに厚さ2センチのL字形の鋼板を溶接、その上に架台とつなぐように2本のボルトを上から、別の2本を横から埋め込んだ。

この結果、架台についているボルトは、10本(昨年9月に破断した2本を含む)となり、市側はオーチス社から「この補強でこれまでと同等の強度が出る」と説明を受けた。

しかし、わずか7カ月後の今回の事故で、補強した4カ所すべてが破損していたことが判明。うち少なくとも2カ所は、鋼板そのものが溶接個所の根元から外れていた。もともとあった6本のうちの1本のボルト以外すべてが破損していたことになり、架台は反時計回りにずれていた。

市交通局は「補強が適切でなかったか、設計通りに施工が行われなかった可能性がある」として、オーチス社から当時の状況を聴いている。

市交通局は10日、事故のあったエスカレーターの機械室を点検。11日はへこむように破損したステップ以外に異常のあるステップがないかを調べる。

市営地下鉄には、同型のエスカレーターが事故機のほかに、久屋大通、桜山、野並の3駅に合計18基ある。緊急点検の結果、安全が確認できたとして、10日朝までに順次、運転を再開した。

今回の事故では、ステップが破損しているようで破片が噛み込んで過負荷になったのではないかとも思うのですが、動力部がフレームから脱落したのですから機械設計としては落第でしょう。

ちょっと信じがたいのは「厚さ2センチのL字形の鋼板を溶接」「鋼板そのものが溶接個所の根元から外れていた」という部分で、よほどひどい溶接をしない限りは、壊れるとは思えません。

さらには、シアピンなどはどうなっているのでしょうか?

この状態で、ボルトを太くするというのは修理と言えるのでしょうか?
原因が不明のまま補強しているようにしか思えないのですが、なんか三菱自動車のハブ破損事故を思い出してしまいます。

5月 12, 2008 at 09:26 午前 もの作り | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.05.09

大日本スクリーン製造・有機EL製造装置

京都新聞より「有機ELディスプレー・量産技術を開発 大日本スクリーン製造、米デュポンと

大日本スクリーン製造と米化学大手デュポンは8日、次世代の薄型テレビ用として普及が期待される「有機ELディスプレー」の量産に向けた技術を共同開発したと発表した。

2009年度に携帯電話など小型機器向け有機ELディスプレーの製造装置の納入を予定、
10年度からは32-36型テレビ用の装置の供給も始める方針。

スクリーンは、装置供給で10年度に100億円以上の売り上げを目指すとしている。

有機材料に電圧をかけて発光させる有機ELディスプレーは薄くて消費電力が少なく、画像が鮮明なのが特長。パネルの大型化や製造コストの引き下げが課題で、企業が技術開発の競争を繰り広げている。

両社は約3年前から有機ELディスプレーの共同開発に着手。発光材料を超高速でガラス基板に塗り分けるといったスクリーンの独自技術と、デュポンが持つ有機素材や材料技術の知見を組み合わせることで、従来は困難だった大型化や低コストでの量産にめどを立てたという。

当面の製造装置は十インチ程度の小型パネル用だが、大型パネル用の装置開発も進め、将来は40-50型テレビ用の装置も量産できるようにするという。
京都市内でデュポン担当者と会見したスクリーンの矢追善也FPD機器カンパニー社長は「デュポンとの提携で他社より一歩も二歩も先行した。市場の拡大が見込まれており、製品化にあらゆる技術を結集したい」と語った。

大日本スクリーン製造と米化学大手デュポンの組合せは、素材供給側ですからもくろみ通りに2010年度に装置を売上げベースで100億円規模に出来るとすると、一気に有機ELを使用した製品が増えるでしょうね。

大型液晶の試作現場を見たのが1990年頃で、その頃には両さんは不可能ではないのか?というほどの不良率だったのが、今では大型テレビが大量に作られようになっているのですから、すぐに有機EL時代になるのかもしれません。

5月 9, 2008 at 08:47 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.12

静粛な自動車禁止法?

Response より「プリウス に騒音は必要?…車の静かさ防止法案

アメリカ議会では早ければ2010年の実施を目指し、車が出す音の最低限レベルを決定する法案を検討中。

「ハイブリッド、EVなどの音が静かすぎて危険」という不満が、特に視覚障害者などから聞かれることから、歩行者の安全を守るために、車が出す騒音の最低レベルを決定する必要があるかどうか、米運輸省にリサーチを実施させる。

実はこうした法案は州レベルではすでに実施されており、今年3月メリーランド州では実際に音の最低レベルを設定する法案が州議会を通過している。

法案は各自動車メーカーに対し2年間のコンプライアンス期間を設定するもので、今年中に法案が可決されれば2010年に販売予定のモデルから、「最低騒音」が義務づけられることになる。

しかし問題視されているハイブリッドの無音は特にトヨタの『プリウス』、ホンダ『シビックハイブリッド』などが対象で、より大型の2モードハイブリッドを採用しているビッグ3のモデルは特に問題が指摘されていない。

アメリカでは「プリウスは日本政府の支援で作られた」発言など、日本のメーカーに対する警戒感を思わせる動きが高まっており、今回の「騒音は必要」議論も結局は日本車をターゲットにしたもの、と言えるかもしれない。

まあ確かにアメリカがなりふり構わずに日本のハイブリッド車の増加を抑えに掛かるというの大いにあり得ることですが、ハイブリッド車(正確には電動自動車)がエンジン駆動の自動車と騒音発生レベルのが全く違う、というのは社会的に問題になると思います。

たまたま今日「ありゃ??」という経験をしました。

今日(2008/04/12)の昼過ぎに歩いてとなり駅まで行ったのですが、途中の信号付き交差点でエスティマハイブリッドが目の前を横切っていきました。

今エスティマハイブリッドには非常に興味があるために、普通のエスティマと僅かな外形の違いを見分けることが出来ます。
それで、ちょっと向こうにいるエスティマハイブリッドを見て「ハイブリッドだ」と分かったのですが、目の前を通りすぎていく車の姿と音が頭の中で合成しないような感じになりました。

思い出してみますと、目の前を通るところと通り過ぎた後の音が期待していた音ではないと感じたのですね。 明らかに「ヘンな音」というより「なんだこの音の変化は」でした。

エスティマハイブリッドは十字路の交差点をまっすぐに通り抜けてきたのですが、道は交差点に進入する前にはダラダラと続く下り坂です。交差点を通り抜けるとすぐに上り坂になって一時停止になります。

普通のエンジン付きの車であれば、近づいてくるときの音はエンジンを吹かしていない下り坂、通り抜けてすぐに一時停止という状態では、通常走行からエンジンブレーキで減速中でしょうから、非常に静かでしょう。
目の前を通り過ぎると、排気音がはっきり聞こえるから「通過後に音が大きくなる」と判断するようです。

それが、通過前も通過中も通過後も同じような音でした。ほとんどはタイヤの音だったと思います。

これが違和感の原因だと思うのですが、決して無音ではないのです。しかし、聞き慣れている自動車の音でもありません。

そういう違和感を無くそうというアメリカの考えは分からないでもないですが、法律で決めるよりも社会の慣れの方が有効だろうとは思います。

以前、初代プリウスが目の前でバックを始めたときにもビックリしましたっけ。難しいものですね。

4月 12, 2008 at 08:54 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.10

ホーイング787・納期の再々延期

CNN.co.jp より「787型機の納入、3度目の延期 米ボーイング

航空機製造大手の米ボーイング社は9日、製造中の次世代中距離機787型「ドリームライナー」の引き渡し時期を、2009年7─9月期に延期すると発表した。
同社が787型機の納入を延期するのは、今年1月に続いて3度目となる。

最初の納入先は全日本空輸。当初の予定では、今年5月に引き渡す予定だったが、昨年10月に部品納入の遅れが原因だとして、2008年11月から12月に。

今年の1月には、再度の延期で引き渡しは09年にずれ込んでおり、3度目の延期に全日本空輸は「非常に落胆した」としている。

引き渡しの延期理由は、製造工程の遅れや各国企業が生産する部品の到着遅延などとしている。

  • 2008年5月
  • 2008年12月
  • 2009年3月
  • 2009年9月

と引き渡しが延びてきたわけで、もう単純に四半期単位で延びてますね。
それにしてもまだ初飛行していないんですよね。
「納期がいつになるのか言えない」ということなのでしょう。

もうすでに複数の機体が完成しているという情報もあり、必ずしも1号機を先に飛ばすということにはならないのかもしれませんが、それでは1950年代のジェット機揺籃時代と同じです。
作ってみなければ分からないというか作ってみても分からない、なのかもしれません。

同じく飛べないのが、川崎重工が作っている自衛隊の次期輸送機C-Xでこれは強度不足で設計からやり直ししたそうです。

飛行機はすでに100年の歴史がある技術で、設計については充分に枯れていると思っていたのですが、複合素材を使ったりすると、とんでもないことが起きるのでしょうか?
全日空・日航共に燃料費高騰と787の導入遅れが株価に影響しているそうで、788カスタマーはボーイングに対して続々と賠償請求を起こす可能性があると、AFP BB は報じています。

4月 10, 2008 at 08:23 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.05

もんじゅの誤警報問題の原因解明

サンケイ新聞より「もんじゅ 県、全検出器の点検要請 誤警報 施工ミスの可能性

高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で3月下旬に1次系配管でナトリウム漏れの誤警報が相次いだ問題で日本原子力研究開発機構は4日、接触式ナトリウム漏えい検出器の施工ミスの可能性が高いと発表、国や県、同市などに報告した。
県は、原子力機構に対しもんじゅの全検出器の健全性と整備体制の確認を要請した。また3月26日の誤警報の連絡が遅れたことについても教育や訓練を求め、原子力機構は応じる考えを示した。

◇原因を報告

原子力機構によると、問題の検出器は電極と電極の根本にあるさやが、ナトリウムなどの導電性物質に同時に接触することで警報を出す。

今回の検出器は平成2年2月の施工時に、留め具の設置ミスで予定より約1センチ深く入り、電極が配管内の開閉弁の一部(弁棒)に接触して曲がり、さやだけが接触した状態になったという。
その後、120回以上弁棒が動作する中でさやがこすれ、電極と同時に接触。3月26日と同28日に誤警報が出された。

原子力機構では「検出器としての機能は確保されていたが、施工時に、意図したとおり設置されていなかったことは、改善が必要だ」として、もんじゅに設置された検出器479台の内、今回と同じく1次系に斜めに取り付けてある22台について、6月中旬までに検査を実施する。

また、残りの検出器についても検査を検討しており、プラント確認試験の行程内で適切な時期を選んで実施する方針。もんじゅは10月の運転再開を目指しているが、行程が遅れる可能性があるとしている。

この日、早瀬佑一・敦賀本部長が県庁の旭信昭副知事を訪問。誤警報の原因が部品の製造ミスだったことを伝えた。また、県への連絡が誤警報から3時間後になったことについて所長らが通報を確認していなかったと説明。早期に1次系の検出器の点検、通報体制の確認や意識改革を行うと対策を説明した。

これに対し、旭副知事は昨年来2次系でも誤警報が発生したことを踏まえ、1、2次系すべての検出器の点検を求め、連絡体制のマニュアル整備や見直し、通報責任者の複数配置を行うよう文書で要請。また「漏れの確認手段については県原子力安全専門委員会での要請もあり、複数の方法を講じるようお願いする」と述べ、早瀬本部長は「重く受け止め、信頼回復に努める。委員会の要請も検討し、対策を取りたい」と答えた。

一方、敦賀市役所を訪れた原子力機構の伊藤和元理事は誤警報の原因を説明した後、地元自治体などへの連絡が遅れたことに触れ、「(通報遅れは)市民の皆さまの信頼を損なう重大な問題。一報を入れることより、事実確認を優先してしまった」と謝罪。河瀬一治市長は「電話一本いただければ済んだ話。今回の問題を教訓にしてほしい」と苦言を呈した。

検出器が誤警報を出したのに、「機能が確保されている」というのは無理でしょう。

原子炉の歴史ではナトリウム冷却炉は失敗の連続で成功した例はあるのですかね?

もんじゅがナトリウム漏れ事故を起こしたのは、1995年で以来止まったままです。
とは言っても、ナトリウムを暖め続けるために膨大な電力を消費しているのですから、原子炉として機能停止ではあっても、プラントは動き続けているとも言えるでしょう。

1995年の事故は、二次冷却配管(だから人が立ちいることが出来る部分)の温度計のサヤが破断してナトリウムが漏出して発火した、というものでした。

温度計のサヤが破断した原因は、設計不良による応力集中と管内のナトリウム流によって温度計のサヤが振動したことによるとされましたが、機械工学的にはかなり初歩的なトラブルでした。

今回の「工作ミス」も同じように「機械工学上の初歩的ミス」の印象を受けますが、それがかなりやっかいな事態に展開しているところが「ナトリウム炉は大変だ」と思うのです。

日本での高速増殖炉の計画は、実験炉・常陽、原型炉・もんじゅ、実証炉ということになっていますが、増殖炉・原子炉という以前にいわばボイラーとしてナトリウム冷却機構を使いこなせるのか?という問題のように見えます。
こんな段階でつまずいているようでは、高速増殖炉は本当に「夢の話」になってしまうように思えます。

それにしても、本当に10ミリも間違えて工作したのに、それがチェックできなかったのでしょうか?
そこまでいい加減な設計なのでしょうか?これほどの誤作を許してしまう設計自体が問題じゃないのでしょうか?

4月 5, 2008 at 10:13 午前 もの作り | | コメント (12) | トラックバック (1)

2008.03.28

MRJはどうなるか?

「MRJ事業化決定」はあっちこっちで取り上げられていますが、専門家の鋭い指摘がありました。

松浦晋也のL/Dより「MRJへの不安」から引用します。

 この半月ぐらい、「MRJ、三菱リージョナルジェット」の検索で当ページを訪れる人が急増している。去年の秋に書いたMRJ、大丈夫か?続・MRJ、大丈夫か?が引っかかるらしい。

 三菱重工業が開発を目指す国産旅客機「MRJ」を巡る情勢は急速に動いている。本日、全日空が25機を発注してローンチカスタマーになると発表した。ベトナムや中東への売り込みを行っているというニュースも流れている。

 YS-11以来の国産旅客機の開発だ。もちろん喜ばしい。

 しかし、私にはどうにも引っかかることがある。それは「三菱の技術者は本当に旅客機を設計できるのか」ということだ。

 「何を失礼なことを言っているのか」と怒らずに、以下読み進めて欲しい。三菱の航空技術者の質を疑っているわけではない。経験値が足りているかどうかを気にしているのである。

 長々と書いてきたが、私はMRJが失敗すればいいなどとは決して思っていない。おそらくMRJが失敗すれば、日本の航空機産業は半永久的に旅客機参入の機会を失ってしまうだろう。その意味では、MRJは失敗を許されないプロジェクトとなっている。

 ただただ、心配なのだ。営業面も技術面も。

さらに「MRJ、大丈夫か?」「続・MRJ、大丈夫か?」を読むと、三菱重工のセンスの悪さがはっきりと指摘されていて、わたしが前回書いた「営業的に一度も成功していない」ということが実に大きくのしかかってきています。

大上段に振りかぶってしまいますと、日本はいまだにメーカのプロダクトアウト的な側面が強すぎて、なぜ売れるのかといった問題を追及する姿勢が弱いと言えます。
その中でも三菱重工は営業が得意とは言えないのですから、ここ一番と言うところでは思いきった人材の登用など考慮するべきでしょう。

それが出だしから、「MRJ、大丈夫か?」なのですからそりゃ多少は事情を知っている人は皆揃って心配するわけです。

技術的に成功して、製品を作ることが出来てもビジネス全体を売却してしまう、という可能性は今まで経緯からは決して低いものではなく、作ることの自己満足に終わるようなことにならないように願うところです。

3月 28, 2008 at 02:28 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.27

MRJ事業化決定

日経新聞より「三菱重のMRJ、28日にも事業化決定・全日空は25機、日航も検討

三菱重工業は国産初の小型ジェット機「MRJ」の事業化を28日にも正式決定する。

全日本空輸が27日の取締役会でMRJ25機の購入を決めるほか、日本航空やベトナム航空も導入する方向で検討しており、一定の受注数を確保できると判断した。全日空はMRJの燃費性能などを評価しており、第一号顧客として今後の開発作業に参画し機体設計などに自社の意向を反映させる。約40年ぶりの国産旅客機事業が動き出す。

全日空が購入するMRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)は座席数が70―90席で、1機30億―40億円程度。2012年から地方路線などに順次導入する方針だ。

全日空はボンバルディア(カナダ)、エンブラエル(ブラジル)の2社の小型ジェット機も導入候補として検討してきたが、ボンバルディアは今月中旬に自ら辞退。エンブラエルと比較検討した結果、燃費の3割改善を目標としているMRJを選んだ。

「MRJ発進!?」の続報です。

燃費の3割改善というのはすごいですが、メンテナンス全体のコストダウンということですと、経験が大きくものを言うでしょうから三菱でなくても後発メーカはどこも苦労しています。

顧客のニーズをうまくキャッチアップするだろうか?となりますと、三菱重工が航空ショーでMRJを発表した時点でもかなり強く非難されていますから、心許ないですね。

技術的には一見ハイテクのように見えても、旅客機は元々結構保守的ですから特に問題にはならないでしょう。
超大型とか超斬新でもありません。

しかし民間機ビジネスということを考えますと、今まで一回も成功していないのが日本の航空機製造ビジネスで、個人的には「また売ってしまうことになるのでは?」と心配です。

3月 27, 2008 at 10:53 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.26

全日空787で損害賠償を請求

毎日新聞より「全日空:米ボーイング787納入遅れ、賠償請求へ

全日本空輸(ANA)の山元峯生社長は毎日新聞のインタビューに応じ、納入が遅れている米ボーイングの新型中型機787について、損害賠償請求する方針を明らかにした。
日本航空(JAL)など世界の航空会社にも同様の動きが広がる可能性がある。
一方、三菱重工が事業化を目指す国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」については期待を寄せつつも検討中とし、近く最終判断する意向を示した。

燃油高が続く中、燃費性能の優れた787の納入が遅れたことについて、山元社長は「08年中はもう入ってこないと思った方がいい。頭が痛い」と述べた。ANAは08~11年度の中期経営計画で機材調達の変更を余儀なくされた。米ボーイングに対する損害賠償請求は「当然、その話になる。燃費効率で収益に貢献するとはじいていたのだから」と述べ、納期が決まれば具体的な手続きをとる考えを示した。

◇MRJ導入は近く最終判断

MRJについては「日本の需要より、世界市場で売れる飛行機を作ってほしい。10年たって部品がなくなるというのでは困る」とくぎを刺した。購入判断には、部品供給などの条件の見極めが重要との認識を示した。社内の機種選定委員会から近く答申を受け、最終判断する。

また、10年10月に供用開始が予定される羽田空港の国際線の発着枠について「(国土交通省が予定する)3万回といわず6万回に増やしてほしい」と注文をつけた。羽田を拠点に近距離の国際線を拡充すべきだと主張している。【後藤逸郎】

2007年8月にロールアウトしましたが、いまだに初飛行していません。
計画は、2007年9月に初飛行、引き渡しは2008年5月とされていて、どう見ても「そんなにうまくいくものか?」と思われていましたが、ロールアウト時点で機体が完成していなかったというのですからすごいです。
もっとも日本の次期輸送機C-Xもロールアウトはしましたけど、強度不足で設計のやり直しとか言っていますから、別にボーイングだけの問題でもないようです。

しかし、大量に売れてしまった旅客機ですから各航空会社が経営計画に織り込んでいるのは当然で、賠償問題が出てくるもの当然でしょう。

初飛行が2008年第一四半期と計画されていますから、あと一月の内に飛行テストに入れるものかどうかを注目しましょう。

3月 26, 2008 at 11:01 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.20

4脚ロボット発展す

Engadget Japanese より「動画:蹴られても滑っても立ち直る四脚ロボ BigDog

DARPA出資のもと開発されている四脚ロボBigDogの新しい動画が公開されました(続きに掲載)。Boston DynamicsのBigDogは軍用・荷役用を想定したガソリンエンジン駆動の4脚ロボ。体重は約105kg (旧バージョンは約75kg)、体高約70cmくらい。

エンジン音を鳴らしながらよたよた歩く、蹴られても上手くバランスをとって立ち直るといったあたりは以前の動画でも公開されていましたが、今回の動画に含まれる「約150kgの荷物を背負いつつ、氷の上で同時に2本以上の脚が滑っても一瞬ヒザをついて立ち直る」場面は必見です。下の動画では開始1分20秒くらいから。

Defense Advanced Research Projects Agency は日本語訳だと色々あって、国防高等研究事業局、国防総省高等研究計画局、国防高等研究計画庁、などがありますが有名な無人車での走行実験などを莫大な金額を掛けてやっています。

この4脚荷役用ロボットは発表当時から「気味が悪い」などと言われてましたが、YouTube にアップされている動画「BigDog - Boston Dynamics (2008)」(Engadget Japanese のリンク先そのもの)を見ると、非常に難しいことに挑戦しています。

アシモにはこれは出来ないでしょう。
なんかタチコマを思い出してしまうわけです。

3月 20, 2008 at 03:19 午後 もの作り | | コメント (1) | トラックバック (0)

MRJ発進!?

日経新聞より「三菱重工、小型旅客機事業化へ・国産40年ぶり

三菱重工業は国産初の小型ジェット旅客機を事業化する方針を固めた。

全日本空輸と日本航空が最大で合計70機を購入する方向で最終調整しており、アジアの航空会社からの打診を含め一定の受注数が確保できると判断した。

今後高成長が見込める小型旅客機市場に参入し、航空機事業を拡大する。国産旅客機の誕生は「YS―11」以来、約40年ぶりで、部品や素材など日本の製造業に幅広い波及効果が期待できそうだ。

三菱重工は小型ジェット旅客機「MRJ」について航空各社と価格や保守、納期遅れの際の補償などで詰めの交渉をしている。条件面で合意すれば、全日空は早ければ月内にも購入を決める見通し。その後、三菱重工が取締役会で事業化を正式決定する段取りだ。

新規にビジネスに挑戦すること自体は大歓迎でありますが、競争激甚のリージョナルジェットの業界に参入することがそれほど良いビジネスなのかな?と思います。

YS-11の研究が始まったのは、戦争が終わってすぐで世界的にも純民間機はどうあるべきか?といった構想が色々と提案されて、世界の航空技術者たちが「戦争用の飛行機から民間機に」と競争していた時代でした。
その意味では「民間機を作る」こと自体に大きな意味がありました。

同時に、少量生産であるために部品製作レベルまで人的資源を投入でき、しかも技術的に高度であるところが波及効果が大きいとされました。

その後、飛行機に使われるバーツも専業メーカが出来て航空機メーカはかなり組み立て産業になってしまい、ボーイングとエアバスの両者は大型部品を結合して飛行機にするメーカとなっています。

今では、パーツの大型化など人手の削減の方向で競争が激しくなっていて、量産効果もビジネス上必須になっています。
つまり以前ほどの波及効果はないと言えるでしょう。

もちろん、航空機製造技術の基盤維持のために航空機開発をすることが必要との意見はその通りだと思いますが、それがビジネス的に厳しいだろうという事実を変えることにはなりません。
第一、YS-11でもビジネス的な失敗でその後が続かなかったのです。
当時よりも現在の方が遙かにライバルは多く、ニーズからすると高級・高価格の機体は売りにくいでしょう。

確かに、技術的な研究や波及効果については飛行機を作ることで得られるものは大きいかとも思いますが、それがビジネスとして良いのか?というのは別問題でしょう。
高級で低価格の商品を少量生産する、というものすごく難しい問題になりそうです。

少量生産にしかならないリージョナルジェットの製造がビジネス的に成功するのか?それこそが大いなる挑戦と言えるかもしれませんが、少なくとも今までのやり方の延長上にはビジネス的にはマイナス要素の方が大きいだろうと思います。

3月 20, 2008 at 12:02 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.19

超伝導モーター実用化?

FujiSankei Business iより「世界最大365キロワット 超電導モーター IHIが船舶推進装置向け開発

IHI(旧石川島播磨重工業)は17日、世界最大出力365キロワットの超電導モーターを使った船舶用推進装置=写真=を完成させ、横浜事業所(横浜市磯子区)で報道陣などに公開した。同社は出力を400キロワットに高めた超電導モーターの販売を2009年度から始める。超電導モーターの販売は国内メーカーでは初めてという。

Up

公開した超電導モーターは、福井大学や住友電気工業など7社1大学の産学グループが共同開発した。船舶の分野も二酸化炭素(CO2)の排出削減が課題になっており、この推進装置を搭載した船は従来型のディーゼル駆動船に比べ燃費が15~40%向上する。

一定の温度以下になると電気抵抗がゼロになる超電導材に、高温タイプのビスマス系線材を採用。冷却剤に液体ヘリウム(マイナス269度)に比べて高温の液体窒素(約マイナス200度)が使え、断熱が容易で扱いやすいという。

4月から耐久性を検証するための24時間連続負荷運転に入り、7月から400キロワット超電導モーターの製作に着手する。将来は「船舶以外の分野にも超電導モーターを売り込みたい」(舶用超電導推進事業室部長)としている。

船舶用に普通のモーターとして超電導技術が使われるとは「なるほどねぇ」といったところです。

400キロワットでは、それこそ潜水艦の巡航用でしょうか(^_^;)

液体窒素の冷却で機能するのであれば、充分に実用出来るとは思いますが、冷やし続けなければいけないわけですから、そのエネルギー収支はどうなのでしょうか?
その分を入れても、燃費向上なのでしょうか?

超伝導モーターの制御はどうするのでしょうか?興味深いですね。

3月 19, 2008 at 10:57 午前 もの作り | | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.03.02

野村精機倒産とその影響

帝国データバンク・大型倒産速報より「NC旋盤製造・野村精機株式会社

野村精機(株)(資本金3億円、西多摩郡奥多摩町棚澤437、代表佐藤悟氏、従業員129名)は、2月22日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日、同地裁より保全監督命令を受けた。

申請代理人は泉義孝弁護士(港区虎ノ門2-5-4、電話03-3500-3655)ほか1名。

当社は、1959年(昭和34年)10月に創業、78年(昭和53年)1月に法人改組した工作加工機械製造業者。66年には山梨県小菅村に工場を開設し、NC旋盤の製造販売を専門に手がけ、海外企業とも提携を行い、88年12月期の年売上高は約58億400万円を計上していた。

しかし、米国子会社における営業展開の失敗に加えて、国内設備投資需要の冷え込みによって受注が落ち込み、93年12月期の年売上高は約22億9000万円に減少。連続欠損を余儀なくされていたうえ、新社屋建設などの設備投資に伴う過剰な借り入れ負担も重荷となり、多額の累積損失を抱え、債務超過に転落していた。

その後、販管費削減などの経営合理化を行い、民間設備投資の回復や海外の需要増によって経営環境も上向いたことで、近時は国内30%、海外70%の比率で国内外2000社以上の得意先を抱え、2004年12月期の年売上高は約55億9700万円に回復していた。

中国・台湾向けなどの輸出が好調に推移し黒字も確保していたものの、多額の債務超過状態が続いていたため、厳しい資金繰りを強いられ支え切れず、今回の措置となった。

負債は2006年12月期末時点で約82億5400万円。

債権者説明会は、3月4日午後3時から、ニッショーホール(港区虎ノ門2-9-16)で開催される予定。

以前は倒産速報を見ていたのですが最近はほとんど見ていませんでした。

今回この情報を拾ったのは、サンケイ新聞・東京地方版の記事「会社経営危機 お見合い中止」を見たからです。

山梨県小菅村は、村内の独身男性のため23日に予定していた「お見合いパーティー」を急遽(きゅうきょ)中止することを決めた。

同村教育委員会によると、参加予定の男性10人のうち6人が勤務する会社が会社更生法を申請。男性らが職を失うことも考えられ、将来的に不透明の中で開催することは応募した女性らに迷惑がかかるとして中止を決定した。

同村教委は応募した女性10人にわび状を送るとともに、電話で謝罪した。奥秋利一教育長は「関係者にご迷惑をかけ、大変申し訳ない」と話している。

小菅村はバイクでは良く行っていたところで知らないところではありませんが、問題になるほどの企業があるのか?と検索した結果が「野村精機の倒産」でした。

野村精機本社は奥多摩町棚沢ですから、小菅村とはかなり離れています。沿革によれば

1959野村精機製作所設立
1966山梨県小菅村に小菅工場を開設
1981埼玉県入間市に入間工場設立
1986野村精機株式会社へ社名改称
1992青梅新町ビル竣工

とのことですから、小菅工場が新聞に報道された工場なのでしょう。

たしか創業者が山の中での気温の変化が工作機械のベッドの製造によい影響を与えるというような理由で場所を選んで工場をつくったと聞いています。

日本の工作機は電子技術などによる高級化で世界に冠たる地位を今も占めていますが、元々のベッドの安定といったようなヨーロッパからの技術が相対的に価値を減らしてきて、国際的な低価格競争で利益にならない商売が続いていたのだろうなと思います。

3月 2, 2008 at 01:40 午後 もの作り | | コメント (1) | トラックバック (0)

湘南モノレール・ブレーキディスクが割れていた

朝日新聞より「事故3両の全ディスクブレーキが破損 湘南モノレール

神奈川県鎌倉市で湘南モノレールの下り電車(3両編成)が単線でブレーキが利かず対向電車の直前で停止した事故で、同社は1日、

車両すべてのブレーキディスク
計24枚が破損していた

、と発表した。車両は昨年12月に運転を始めた最新型で、同社は破損した原因を調べている。

同社によると、ディスクは内径195ミリ、外径410ミリ、厚さ16ミリ、重さ11.2キロで砂型鋳物製。各ディスクは3~1本の破断やひびが入っていた、という。

1車両に二つの台車があり、各台車には4輪の駆動タイヤが装着。それぞれにディスクがつき、空気の圧力でブレーキをかける仕組み。ディスクをはさむブレーキパッドには異常はなかった。モーターの抵抗を利用したブレーキは作動していたという。

同社は6日に1回検査をしており、この車両は事故発生5日前の2月19日に検査していた。ディスクはタイヤの裏にあるため詳細な点検は難しかったが、目視では異常は見つからなかったという。

事故は2月24日午前、西鎌倉駅を約40メートルオーバーランして、対向車両の19メートル手前で止まった。オーバーランした車両には22人、対向車両には16人の乗客がいた。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も調査を進めている。

同社によると、車両は三菱重工、三菱電機による共同企業体が納入。原因が究明されるまで同系車両を含めた運行をやめており、間引き運転をしている。

ブレーキが利かなくなったとのことだったので制御システムのエラーだと思っていたのですが、ブレーキディスクが割れていたというのは驚きです。

3両編成の全てのディスク24枚とのことですから、一両あたり8枚、ボギー台車のような構造で左右2個ずつの車輪4つで一つの台車を構成しているのでしょう。

12月に営業運転を始めたばかりとのことですから、2月24日には全てのディスクプレー気が割れていたというのは品質の安定という意味ではすごいですから、設計の問題ですね。

湘南モノレールはすごいアップダウンなので、ブレーキの負荷はかなりのものだろうと思いますが、ディスクブレーキ自体は特に新しい技術とは言えず実績も沢山あるわけで、今ごろディスクが割れるといったことが起きるとは本当に予想外です。
ましてモノレール(鉄道)なのですから極端な軽量化など技術的な冒険を犯す理由も見あたりません。
なんでこんな事が起きたのでしょうか?

ブレーキ装置自体が壊れると、全てが信用できなくなってしまいます。
シンドラー社のエレベータ問題でもメンテナンスの問題なのか設計の問題なのかという原因解明以前に「信用できない」となってしまいました。

ブレーキが働くから無事に止まることが出来る、というのは最終的な信頼そのもので、ブレーキが機構的に機能しないとなると、全ての信用が失われてしまいます。

全てを公開しながら原因の解明を進めないと、原因は解明できたが信用は取り戻せない、ということもあり得るでしょう。

3月 2, 2008 at 01:21 午前 もの作り | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.01.29

無茶苦茶なニッポン(になりつつある)

神戸新聞より「活況で安全後回し 社内規定違反 川崎造船クレーン倒壊

死傷者七人を出した川崎造船神戸工場のクレーン倒壊事故で、極めて危険な作業だったにもかかわらず、元工作部長(55)らが根拠なく安全と過信し、漫然と作業を進めようとしていた実態が、兵庫県警の捜査で浮き彫りになった。

送検された一人は、作業計画の作成を定めた社内規定を認識していたが、「クレーンを休ませることはできない」との理由で、規定に違反したという。

同工場は当時フル稼働の状態で、捜査関係者は業績を優先し、安全対策がおろそかになっていたことを指摘する。

神戸工場で行われたベアリング交換は、ほかの会社では専門業者に委託したり、事前準備に二十日間程度かけたりしているという。

しかし、同工場はクレーンメーカーだけでなく、経験のある社内の別工場にも問い合わせていなかった。

倒壊の直接の原因はクレーンの重心位置を誤ったためだったが、県警は事前にしっかり検討さえしていれば容易に防ぐことができたとみている。

当初、同工場はクレーンの総重量を約八百トンとしていたが、県警の鑑定で約六百七十トンだったことも判明、重量さえも正確に把握していなかった。

事故の背景として、捜査関係者らが指摘するのは好調な業績だ。川崎造船は二〇〇七年度には三年ぶりの営業黒字を見込み、一〇年度の売り上げ目標は〇六年度の倍増を掲げていた。

事故当時はアジア各国から三十一隻の船を受注し、三年先に造る船が決まっていた。送検された一人は「クレーンを休めることはできないと思った」と供述したといい、船の建造を優先させたことをうかがわせている。

活況の陰で、安全がないがしろにされかねない状況は製造現場全体に広がっているという。兵庫労働局の八田雅弘局長は二十八日の会見で「受注が増えている時期だからこそ安全の意識を高め、しっかりと取り組みをしてほしい」と注文した。

川崎造船神戸工場クレーン倒壊事故

2007年8月25日午前9時40分ごろ、船体をつり上げる「走行式ジブクレーン」の部品を交換するため、油圧式ジャッキで持ち上げたところ、上部がバランスを崩して倒壊。地上31メートル付近で作業をしていた同造船社員(40)、派遣会社社員(55)の2人と、同12メートル付近にいた同造船社員(55)の計3人が落下するなどして死亡したほか、4人が重軽傷を負った。
同9月には、兵庫労働局が労働災害の防止を徹底するよう行政指導し、川崎造船は、安全対策などを含む経営体制を強化するため、非常勤の会長ポストを新設した。

このニュースは事故当時気にしていたのですが、遠めがねの記事にはなっていませんね。
この時には中華航空機が炎上という事件がありました。
それで飛ばしてしまったのでしょうが、 最近ちょっと手抜きではありますが、検索機能を付けたので検索してみました。

通りすがりの懐かしい顔 氏がコメントに書いています。

ある程度予想はしてましたが、こんな整備だと船は沈没するし自動車でもブレーキ踏んだ途端にキャリパー脱落なんて事故になりかねません。
(クレーン倒壊の修理手順もかなり怪しいので日本も他人事ではないな)

予想通りに「修理手順を何にも考えていなかった」というべき結論ですね。

何で専門家が存在するのかを考えていないというところが恐ろしいです。
さらに、先日の三菱ふそうのクラッチハウジング破断・死亡事故で被告側の主張が「細かいことまで知らなくて当然」のようなものなのですが、知らないのは当然ではなくて知っているべきなのですね。
その知っているべきとは、専門家がいることを承知している事であって、

「専門家の何が専門の価値なのかよく分からないから、専門家を利用することを無視しても大丈夫だろう」

というのではムチャクチャだ。

1月 29, 2008 at 10:54 午前 もの作り, 事故と社会 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.24

後方警戒レーダ・マツダ車

NIKKEI NET より「マツダ、後側方障害物警報システムを新型「マツダアテンザ」に採用

マツダ株式会社(以下、マツダ)は、高速走行時に後方から接近してくる車両を検出するリアビークルモニタリングシステムを国内で初めて実用化し、今月末に発売予定である新型『マツダアテンザ』に採用する。

この警報システムは、高速走行時に左右の後側方車両を検知し、車線変更により衝突の危険性がある場合にはドライバーに警報を発して注意を喚起する自立型運転支援システムである。今回、検知範囲が広く悪天候の影響も少ない24GHzレーダーの採用により、高速走行時の後方接近車両が検出可能となった。

今回実用化されたリアビークルモニタリングシステムは、60km/h以上の高速走行時に、後方から接近する車両を左右のレーダーモジュールで検出、フロントAピラー部のLEDを点灯させてドライバーに報知する。この状態で方向指示器を操作した場合、LEDが点滅するとともに警告音を発してドライバーに速やかな車線変更の中断を促す。本システムは、後方約50mにわたる広い検知範囲を有しているとともに、悪天候に影響されにくい安定した検出性能を備えている。

ボルボなども提案しているサイドミラーの補助という考え方ですが、ミラーと併用で良いから、後方を見るテレビモニターを付けてくれないでしょうか?

ミラーを見るために、かなり視線を動かさなくてはならないので、もっと見やすいところにモニターを置いて、テレビカメラで見せるというのはレーシングカーのスーパーGTでは使われているんですよね。

レーダーまで行かなくてもだいぶ変わるし、第一トラックやバスなど視角の多い車で常時周囲を見ているカメラがあっても何の不思議も無いだろう。

テレビカメラ使用を制限する理由は「前から決まっているから」という以上のものは無いと思うんですけどね。

1月 24, 2008 at 11:34 午前 もの作り | | コメント (3) | トラックバック (0)

F2墜落事故の対策?

毎日新聞より「F2戦闘機墜落:三菱重工が陳謝 重く受け止め改善したい

三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所は23日夜記者会見し、山田陽二所長が「防衛省と近隣自治体、住民のみなさまにご迷惑をかけて申し訳ありません」と陳謝した。

同社は再発防止策として、昨年11月から工場にある戦闘機やヘリコプター16機について特別点検を行い、

  • 誤接続の有無を確認
  • 配線と接続部を色分けして判別できるようにする
  • 作業手順書の記載内容やイラストを分かりやすくする
  • 水平尾翼や方向蛇の作動確認

などを導入する。山田所長は「設計上の配慮や作業上の注意、システムに対する理解が不十分だった。重く受け止め改善したい」と述べた。【加藤潔】

これは対策とは言えないだろう。

何かを隠しているとしか思えないのだが・・・・・・

1月 24, 2008 at 10:05 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.17

ボーイング787再度の納入延期

ボーイング787の納期が再度遅れることについて、AFP BB と CNN.co.jp に記事がでいてますが、原因について微妙に異なっています。

AFP BB より「ボーイング「787ドリームライナー」またも納入延期

【1月17日 AFP】

米航空機器大手ボーイング(本社:シカゴ)は16日、次世代中型機「787型ドリームライナー」の納入が2009年初めにずれ込むと発表した。当初2008年末と予定されていた。

同社民間航空機部門のスコット・カーソン社長兼最高経営責任者は声明の中で「787の基本デザインと技術は問題ないが、工場と世界規模の供給網の立ち上げ問題が解消していない」と述べた。
787は世界各地のメーカーが各部品を製造する手法を採っている。ボーイングは、これによる財政面への大きな影響はないとしている。(c) AFP/Rob Lever

CNN.co.jp より「ボーイング787ドリームライナーに再度の遅れと米紙

シアトル(AP)

米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナ(WSJ)は16日、米航空機製造大手ボーイングがまもなく、開発中の次世代中型旅客機787(ドリームライナー)の納入が遅れること発表すると報じた。
ボーイング社は昨年10月、納入時期の半年遅れを発表しており、再度の延期となる。この報道を受け、ボーイング社の株価は同日、4.7%下落した。

WSJは787開発計画に詳しい人物の話として、同機の電気系統に不備が出ており、技術者が問題を解明するために2─3カ月が必要だとしている。

787は、1995年に投入された777シリーズ以来のボーイングの新型旅客機。機体の大部分を炭素繊維素材で製造し、軽量化と耐久性を向上させ、燃費効率も改善している。日本メーカーが初めて主翼の生産などを請け負っている。

最初の引き渡し先は全日本空輸。当初の予定では、今年5月に航空会社へ引き渡しを予定していたが、昨年10月に部品納入の遅れが原因だとして、2008年11月から12月に延期されていた。

なんだかわけの分からない事になってきましたね。

当初はボーイングの発表が「ファスナーが無い」ということで「それは無いだろう」という批判がありましたが、その後「客室の情報システムが出来ない」という、これまた「初飛行が出来ない理由か?」と突っ込まれる情報が出てきました。

同じく話題の大型機のエアバスA380の場合は、初飛行後の航空会社向けの開発に手間取って大幅に納期が遅れました。
ボーイング787は、当初の計画では2007年7月に初飛行して2008年5月に全日空に一号機を納入の予定でしたが、2008年になっても初飛行が出来ません。

一号機の組み立てが遅れているのなら分かるのですが、一応ロールアウト(完成披露)しているのですから、外見などではないシステム上の問題があるのだろうと想像されます。

そうなると、初飛行しても航空会社に納入できるレベルになるのはいつなのか?と考えてしまいますが、今回の発表では「2009年初めに納入」ですから、ここ2~3ヶ月ぐらいの内には初飛行しないと間に合わないでしょう。

問題の解明に2~3ヶ月掛かるというのはどういう意味なのでしょうか?

一方で、エアバス社の2007年の受注は過去最高の1341機だそうです。
747の燃費が悪いとのことで、全日空・日航とも747の退役を計画的に進行中で787の納期が何年もずれるようだとかなり大きな影響があるでしょう。

1月 17, 2008 at 02:08 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

三菱ふそう・刑事裁判についての社説

三菱ふそう経営陣への有罪判決についての社説が、朝日新聞、日経新聞、毎日新聞、東京新聞、北海道新聞、中国新聞にありました。

その中から、面白い部分を紹介します。

朝日新聞

ほかの欠陥のクレーム隠しが発覚したのは、今回の事故の2年前だ。当時の運輸省は改善が必要な欠陥をすべて報告するように求めた。ところが、同社はクラッチ系統の欠陥を隠し続けた。

当時社長だった被告は、自社製品のクラッチに欠陥があること自体は知らなかった。しかし、部下が一部の欠陥を隠して運輸省に報告することを承認し、記者会見してリコール隠し問題に区切りをつけるとまで宣言した。

判決はこうした経過を認め、「事故は予測できなかった」という無罪主張を退けた。

そもそも被告は、社長に就任した当初から長年にわたるリコール隠しを知っていたのに、発覚するまで何も手を打たなかったというのだから、なんとも理解しがたい。

日経新聞

判決の「量刑の理由」に並ぶ言葉を見れば、有罪になったのは個人であっても、裁かれたのが「企業の犯罪」であることは明らかだ。

厳密な証拠評価と「疑わしきは被告人の利益に」を原則に行う刑事裁判で、3件で三菱自の隠ぺい工作が指弾され、2件で「リコールなどの改善措置をとっていれば事故は起きず人命は奪われなかった」と断罪された事実を三菱自の経営陣、従業員は重く受け止める必要がある。

自動車の“安全偽装”は、食品表示偽装などとは比べものにならない重大な危険をはらむことを、改めて肝に銘じてもらいたい。

毎日新聞

判決によれば、三菱自動車では30年も前から、販売した車の不具合情報を運輸省(現・国土交通省)に報告するものと秘匿するものに分けて二重管理し、指示改修の名でリコールの届け出をせず、独自に点検・改修していた。本件事故につながった不具合も90年以降、多発し、人身事故も起きていたのに、指示改修で済ませていた。河添被告らは安全対策が不十分だと承知していながら、手を打たなかったというのだから悪質極まりない。

しかも、社長被告は00年にリコール隠しが発覚した後、「今後はオープンにしよう」と指示していながら、実際にはその後もリコール隠しを了承し、自ら虚偽の事実を公表して批判をかわそうとしたという。大企業トップとしてのモラルもプライドも失っていた、と言わざるを得ない。

それにつけても、企業犯罪に対して社会は寛容すぎる。家庭でまで「仕事のため」という言い訳が容認されたり、いつの間にか利益のために不正や不法行為に目をつむることを是とする風潮までがはびこっている。社会を挙げて改善すべき点は少なくない。

業務上過失致死傷罪の法定刑も、妥当と言えるだろうか。いずれは事故を起こす車を世に送り出していた企業のトップの責任が、飲酒運転で人を死傷させた罪よりも軽くてよかろうはずはない。

不祥事が起きると、トカゲのしっぽ切りよろしく末端に責任を転嫁するのが企業体質の常であることにかんがみても、トップの刑事責任を厳しく問う必要がある。偽装トラブルの一掃のためにも、法的責任追及のあり方を見直すべきだ。

東京新聞

経営トップへの欠陥報告が適切にされなかったとすれば、それは組織に欠陥があり、企業統治そのものの問題といわざるを得ない。

消費者の生命や健康、安全を預かる企業であればこそ内部統制システムの確立が欠かせない。

不祥事を起こした企業に求められるのは、隠ぺい体質を打ち破り、速やかな原因分析、情報公開を進める姿勢である。そうした危機管理こそ、企業トップの役割でなければならないことを判決は、あらためて教えている。

いずれの社説も「イライラ感」を感じさせますが、パロマのストーブ事故を引き合いに出しているのは、ちょっと違うと感じます。

パロマの例は、違法修理なども含めて元の原因の大半は経年劣化でした。
死亡事故に至った原因は、メーカのパロマが「経年劣化すれば買い換え需要がある」と考えたようで、その結果修理部品が無くなり、違法修理になり、死亡事故に至った、と判断できることで、商品の経年劣化がガス中毒事故を引き起こすガス器具であったのに対応策を意図的に用意しなかった点が問題になったのでしょう。

三菱の事故は、他社のトラックなどでは起きないところが壊れているのですから、技術的には経年劣化の問題ではないし、点検をしないところが壊れている、つまり突然壊れていて、ガス湯沸かし器の「ガスが着かなくなったから違法修理した」という使用者やサービス業者に相当するところが三菱の事故では関わっていません。

製品が破損して死亡事故になったというところは同じでも、内容が全く違うでしょう。

それを「経営者の責任だ」とだけ言うのは、正に「失敗学」が扱うべき範囲であって、原因はいまだに解明されていないと言うべきだし、原因が未解明であるのなら、「本当の責任(者)はどこにあるのか」を困窮するべきです。
その意味では、社説はいずれも表層的な論に止まっている、と見るべきです。

1月 17, 2008 at 12:45 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

三菱ふそう・刑事裁判の記事

「三菱ふそう・クラッチハウジング破断事故で経営者に刑事責任」の続報です。

東京新聞神奈川版が

と3本の記事を、読売新聞神奈川版が

と2本記事を出しています。裁判は弁護側の即日控訴で東京高裁で続くことになりました。

ここまで大量の記事が出てくるのは異例だと思いますが、読売新聞・東京新聞ともにかなり踏み込むことで間接的に強い批判をしていると感じます。

この事件を刑事裁判で社会的な責任追及をすることが正しいのか、わたし自身は疑問があります。
確かに、O-157による集団食中毒事件での業務上過失致死傷罪での有罪判決と同じ構造という指摘はその通りだと思いますが、弁護側の主張にある「部下がやったこと」というものまた事実でしょう。

もちろん、責任者として社長や上司が事件の責任を追及されるのは当然ですが、責任ではなくて原因はどこにあったのか?を考えると、欠陥部品を設計してしまう会社全体であって、社会的な観点からは「会社があることが良くない」となります。

仮に、会社が潰れてその経営責任を経営者に取らせたらその方が理解しやすかったかもしれない。

法的には「リコールするべきところ隠した」で十分なのかもしれませんが、もう一歩踏み込んで「なぜリコール隠しをすることになったのか?」を解明するべきだったのかもしれません。

技術上のトラブルで事故になった例はたくさんあって、非常に有名なのは最初のジェット旅客機コメットの構造疲労による空中分解事故が連続したのがあります。

コメットの墜落は当時は与圧キャビンの疲労試験が行われていなかったことなど、未知の領域の技術を使用したことによる事故と解釈できます。

その一方で、100年・200年前から知られている技術上の問題に引っかかって事故になることもあるわけで、そのために技術者を高等教育して育成しています。

今回の三菱ふそうのハブ破損事故・クラッチハウジング破損事故は、最終的にリコールになるのですが、公表された範囲でも国交省が「リコールの説明になってない」と突き返していた例があったと記憶しています。

以前から繰り返し書いていますが、ハブ破損事故は他社の例を考えると材質の問題ではないのです。
部品の形状そのものが強度不足を生みだしている、と考えるべきです。
しかし、ハブは周辺に多数の部品があるために、部品の形状を変えると交換する部品数が増えすぎてコストアップになる、という判断があったのだろうと想像しています。

裁判がこのレベルまで踏み込んで判断していれば、後のためにも大変に良かったのではないか、と考えますが今回の判決が法的追求の限界であろう事は分かります。

読売新聞神奈川版より「