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2013.09.02

著作権法に電子書籍出版を追加する問題

毎日新聞より「電子書籍:出版権新設へ 海賊版対策 文化庁

毎日新聞 2013年09月02日 11時29分

 インターネット上で急増する電子書籍の海賊版被害対策として文化庁は、出版社(者)による差し止め請求を可能とする「電子出版権」を新設する方針を決めた。

5日開催の文化審議会小委員会で中間報告書をまとめてパブリックコメントを募り、来年の通常国会に著作権法改正案を提出する考えだ。

 出版権とは、出版社と著作権者が契約を結び、著作を独占発行できる権利で、現行法は紙の出版物だけを対象としている。
電子書籍に対応するには、出版社は著作権者から著作権の一部を譲渡してもらう必要があるが、新規の同意を取り付けるのは困難だった。
そのため出版社独自の訴訟を起こせず、著作権者も自らで対応するしかなかった。

 一方、契約文化が浸透する米国の場合、出版社は著作権者から著作権を譲り受ける商慣行があり、自ら侵害対策に乗り出している。

 電子書籍にまで出版権の対象を広げることで、日本国内で配信されている違法な電子書籍の作成・流通の差し止め請求訴訟を起こせるようになる。

さらに著作権者の権利が保護されることから、電子書籍ビジネスの進展につながると期待されている。【中澤雄大】

日本の著作権法は、非常に複雑でこれ以上複雑にしたら使えないのではないか?と強く思う。

日本の著作権法は、著作することで自然に著作権が発生する「無方式主義」です。
しかし、本来の著作物の創造とは別に、著作物に関わる色々な権利があります。
複製、上演、演奏、上映、口述、公衆送信、翻訳、翻案、展示、頒布、譲渡、貸与などが著作物に関する権利であり、さらに著作隣接権がある。

十分に複雑なのだが、これに電子書籍出版権を増やすというわけだ。

やっかいなのは、著作権が無方式で発生するから、放棄が出来ません。

もっとも、財産的価値なら放棄するのも理解出来ますが、「誰それの作品」という著作人格権の放棄というのは原理的にあり得ないでしょう。

東洲斎写楽は謎の絵師として「誰が東洲斎写楽なのか?」という謎解きには多くの人が色々な推理を発表していますが、東洲斎写楽が誰それだと変わってしまったということはありません。

同様に、紫式部と清少納言が入れ替わる、なんてこともあり得ない。
著作人格権は移動しません。(ゴーストライターはどうするのだとは思うが)

そうなると、著作物を作ると自然に発生するのは「著作人格権」であって「著作財産権」は普通の財産として扱う方が自然だろう。

ならば、元著作物が無いと出来ない、複製いかの諸権利は「財に対する権利」として譲渡や放棄が出来るもの、とした方が実際的ではないのか?

著作権法だけで、その上にいろいろと積み上げるのは、いわば重さでつぶれてしまうと思う。
著作物の創造がその複製のためにつぶれてしまう、なんてことになったら本末転倒だ。

「電車男」を例に考えたら、どうなるのだろう。

  • ネットに公開した文章。
  • まとめて紙の本にした。
  • 紙の本を電子書籍にする。
なんか不自然ではないか?
この例では、電子書籍化は著作権そのものというよりも、変なものになってしまうだろう。

9月 2, 2013 at 02:09 午後 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)