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2012.11.03

シンドラーー社製エレベータでの二度目の死亡事故

NHKニュースより「なぜ起きた エレベーター事故

金沢市のホテルで清掃会社の従業員の女性がエレベーターに挟まれ死亡した事故は、これまでの調べで死亡した女性はエレベーターの扉が開いたまま上昇しているのに気付かず、つまづいて中に倒れ込み、上半身がエレベーターの床と4階の天井の間に1時間近く挟まれていたことが分かっています。

警察は、エレベーターの機能に何らかの障害が起きていたとみて、メーカーや保守点検会社の担当者から話を聞くなどして原因を詳しく調べています。

エレベーターの仕組みは

今回のエレベーターの仕組みは、人を乗せる「かご」と、釣り合いをとる「おもり」が、滑車を介してワイヤーでつり下げられていて、滑車をモーターの力で回転させることでかごを上下させます。

ある階にかごを停止させるにはまず滑車の動きを止め、さらにモーターの回転を滑車に伝える部分をブレーキで押さえつけ、ロックをかけることで、かごが勝手に動きださないようにします。

平成21年以降に義務づけられた、いわゆる「ブレーキの二重化」は、このブレーキを1か所ではなく2か所にして安全性を高めようという仕組みです。

さらに扉が閉じた状態にならないとモーターに電気が流れないようにするなどして事故を防ぐ仕組みもあります。

エレベーターは、「かご」より「おもり」の方が重くなっていて、ブレーキがかかっていなければかごが上昇するようになっているということです。

今回の事故の原因は分かっていませんが、扉が開いた状態でエレベーターが上昇を始めていることから、専門家は、何らかの不具合で、ブレーキの効きが弱くなったり、扉が開いている時は止まっているはずのモーターが動きだしたりするなどのケースが考えられるとしています。

ブレーキ「2重化」に課題も

今回の事故と同じように、エレベーターの扉が開いたまま動き出した事故は、6年前の平成18年に、東京・港区のマンションでも発生し、男子高校生が、エレベーターの床部分と出入り口の間に挟まれて死亡しました。

その後の警察などの調査で、エレベーターのワイヤーを巻き上げる機械でブレーキの板が摩耗し、ブレーキが効かなくなっていたと見られることがわかりました。

この事故を受けて国土交通省は、3年前の平成21年9月に建築基準法を改正し、新たに設置されるエレベーターには、ブレーキを二重にするなど安全装置の設置を義務づけました。

しかし、法改正以前に設置されたエレベーターについては、既存の建物にはただちに法律を適用せず、増改築などの際に適用するという建築基準法の原則から義務づけの対象になりませんでした。

国土交通省によりますと、法改正前に設置されたエレベーターは、全国におよそ70万台あり、このうちおよそ40万台は、ブレーキが二重になっていないと見られています。

改修を進めるには、ワイヤーを巻き上げる機械やブレーキの板を交換するなど、大がかりな工事が必要で、2週間程度エレベーターを止めなければならず、数百万円の費用がかかるということです。

国土交通省は、今年度からホテルやマンションなど、一定規模の建物のエレベーターを対象に、改修にかかる費用のうち最大3分の1を補助する制度を始めました。

また、業界内では、ワイヤーを巻き上げる機械を交換せずに、短い工期で比較的安く取り付けることができる小型のブレーキを開発する動きもあります。

しかし費用と期間の問題に加え、商業ビルなどでは、エレベーターを止めると営業に支障が出るところがあるほか、マンションでは住民の合意が必要になることから、なかなか進んでいないのが実情です。

大変に分かりやすい説明で、一言で言えば芝浦の事故とほぼ同じであった、という事のようです。

芝浦の事故の際に明らかになった、シンドラー社製エレベーターの設計はわたしには理解し難いモノでした。

一言で言えば、オモチャや模型の制御と同様な設計思想で出来ていました。
オモチャや模型でも最近は自動制御機構が入っていて、その気になればエレベーターの模型ぐらいは作れます。

しかし現実の機械では、安全のための設計も組み込むべきであって、例えばエレベーターのかごが動いたら扉が閉まってしまう。扉が開いているときには、ブレーキが掛かっている。
といった「チェック機構」を使うべきなのです。

これらの「チェック機構」は機械が正常に機能している時には、全く無駄な機能になります。
その無駄な機能を働かせるのかどうかを判定する「確認スイッチ」を設置します。

一定の位置で止まるためには、位置検出スイッチが必要になりますが、これが壊れたら止まらなくなります。
そこで、正しく止まっているのかどうかを検出するスイッチも付けるわけです。
だから正常に機能して止まっている間は「確認スイッチ」が機能することはありません。

こういった制御は、動作部分が大きくなるとだんだんと大変になります。
ブレーキが壊れたら、別のブレーキで止める、といった機構が必要になります。

エレベーターの場合、落下防止のためにケーブールが切れた場合はガイドのレールを掴んで停止させる機械的ブレーキが安全装置として必ず付いています。
だから、人を乗せるエレベーターの落下事故はありません。

しかし、説明にある通り、エレベーターは錘で引き上げられる構造のため、上昇を止めるためにはブレーキが必ず掛かっていることが必要です。

これは形を変えた自然落下なので、ブレーキは電力がONになると解放され、電力がOFFになると効くように設計されています。
従って、ブレーキの摩擦力が正常であれば、停電になっても止まっています。

芝浦の事故では、電力でブレーキを解放する、という仕組みがうまく機能せず、ブレーキが半分効いている状態で稼働させたために、ブレーキパッドが摩耗してブレーキが効かなくなってしまいました。

芝浦の事故を承けて、ブレーキの二重化などを義務づけたのですが、記事の解説によるとエレベーターを止めること自体が出来ないから改造できない、となってしまいました。

では、どんな対策が考えられ、実行されるべきだったのかを考えてみますと、以下のような選択があっだでしょう。

  • 日常点検の厳重化=機構の変更は一切しない
  • ブレーキの二重化=機構の大改造
  • センサーの増設=制御機構の交換
  • 使用禁止

安全面からは使用禁止が一番ですが、これは「使用禁止にする論理」が難しいです。
「きちんとした維持管理」対「壊れても安全を確保する」という思想的対決、といえる問題になります。
国が物作りの基準を決定することは、技術の進歩を妨げるといった面もあって、法的に決めれば良いとも言いがたいと思います。

しかし、エレベーターのかごが上昇して死亡事故を起こす、といったまれなことが特定のエレベーター製造会社で起きては、他のエレベータ製造会社にとっては迷惑この上ないわけで、これをなんとかするべきだとなります。

今回は同じ事故を二度起こしたわけで、一度目の事故の際に「懲罰的責任賠償」を課すべきだったのかもしれません。

少なくとも、事故調査委員会の能力を大幅に高くするべきだったでしょう。
例えば、事故調査委員会が原因不明としたら、使用禁止になってしまう、といった仕組みであるべきでした。

わたしは、今回の問題は技術上の問題というよりも社会的あるいは文化的な問題だと捉えています。

11月 3, 2012 at 12:30 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.11.01

下ヨシ子裁判結審

下ヨシ子事件控訴審第一回口頭弁論の続きです。

この事件は、宗教団体に悩みを相談したところ、結果的に多額の金銭被害を受けたとする被害者が損害賠償を求めて提訴し、名古屋地裁で原告(被害者)勝訴となった裁判の控訴審です。

控訴したのは一審で敗訴した宗教団体側です。

車で行ったので13時45分開廷に合わせて13時30分に名古屋高裁の駐車場に着いたら、ちょうど一台が駐車場から出るところで、ラッキーと右折して駐車場に入ろうとしたら、対向車線から左折で駐車場に入った一台に先を越されて満車。
仕方ないので、名古屋城の駐車場に駐めました。

13時35分ぐらいに10階の法廷に入ると、傍聴席(48人分)の半分が宗教団体側の傍聴者(応援者)で埋まっています。
前回より増えているみたい。

対して被害者側の傍聴人は、わたしを含めて2名。

開廷時刻になっても、裁判官が入廷しないので、事務官が
「本日提出された証拠申請を検討していて遅れているのだと思います」
と発言して、わたしは「へ~」と待っていると、13時47分に裁判官が入廷して、開廷。

宗教団体側から、新たな証拠の提出があって、細かい点の確認が進む。

この新たな証拠申請の中核が証人尋問の申請で、六人の証人尋問の必要性を宗教団体側の弁護士が述べました。

そもそも控訴審なのだから、全く新しい証拠が出てきたといった事情がないと、
証拠調べも事実確認以上の意味はないわけで、
まして証人調べとなると、なぜ証人調べが必要なのかという証拠が事前に出ているべきで、
いきなり「証人尋問が必要」と主張しても、反論されるだけです。

被害者側弁護士は「証人尋問の必要がない理由」と反論を淡々と述べます。

裁判の技術としては、当日になってこのような証拠申請をすると
反論する弁護士が自信を持って法廷で反論しないで
「持ち帰って検討」などと言ってしまうと、当然裁判は延びる事になります。
判決を先延ばしするという狙いからは、事件そのものではなくて相手弁護士などの
体制を攻撃することもあります。

後になって考えてみると、証人尋問が必要だ、という主張を打破する反論を即座に論理的にまとめるのは大変な事だと思います。
慎重になれば「持ち帰って検討」となってしまうでしょう。

裁判官は13時59分「合議します」と退廷。

時間がかかるのかな?とノートを整理していると、14時01分に裁判官が入廷。

3分間の合議でした。起立した傍聴人が着席したとたんに裁判官が

証拠申請は却下。弁論を終結します。判決日は・・・・

と一気に述べてしまい、宗教団体側弁護士がここで「証拠を出す」と発言すると、
裁判長は「分かりました」とでもいった対応で

「判決は、1月24日、2時半」

とのべて14時2分に閉廷しました。

わずか15分の法廷でしたが、非常に興味深い点が幾つもありました。

  1. 当日の証拠申請
  2. 裁判官の合議
  3. 証拠申請却下
  4. 弁論終結、判決日確定

これらのそれぞれに思惑があって、まさに裁判の攻守が凝縮していて「これぞ裁判」といった感じでした。

11月 1, 2012 at 01:22 午後 裁判傍聴 | | コメント (2) | トラックバック (0)