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2012.05.01

神世界事件判決

今日(2012/05/01)は神世界事件裁判の判決を見に行きました。
神世界事件については、以下の記事が良くまとまっています。

サンケイ新聞より「神世界「教祖」に懲役5年 横浜地裁

2012.5.1 21:42 (1/2ページ)

有限会社「神世界」(山梨県甲斐市、清算手続き中)グループによる霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われた、「教祖」と呼ばれたグループトップ(54)ら4人の判決公判が1日、横浜地裁で開かれた。

朝山芳史裁判長は「悩みにつけこんで多額の現金を詐取した巧妙かつ悪質な犯行」として、教祖に懲役5年(求刑懲役10年)を言い渡した。

教祖は即日控訴した。

判決理由で、朝山裁判長は「教祖はグループの最高責任者であり、絶対的な地位を占めていた」と指摘。

「詐欺のシステムを考案、構築し、傘下の法人から上納させた売上金を自己の報酬として、高級ブランド品を購入するなどしていた」とし、「犯行に対する指示など、その責任は極めて重い」と批判した。

教祖のほか、「会主」と呼ばれたグループ幹部でサロン運営会社の元経営者(43)には懲役3年、執行猶予5年(同6年)、同社役員(49)と妻(48)には懲役2年6月、執行猶予4年(同4年)を言い渡した。

判決によると、教祖は元サロン経営者(48)=組織的詐欺罪で有罪判決=らと共謀し、平成16~18年、病気などに悩んでいた顧客5人から祈願料名目で計1340万円を、会主ら3人は18年、2人から計150万円をそれぞれだまし取った。

     ◇

【神世界事件】
グループが経営する全国のサロンで、スタッフが手をかざし健康上の問題を取り除く「ヒーリング(霊能力による治療)」の施術をうたい、客の悩みにつけこんで多額の現金を詐取した。

神奈川県警の元警視(56)=平成20年に懲戒免職、有罪確定=がサロン経営に関与していたことが捜査の端緒。

被害対策弁護団によると、被害額は判明しているだけで計約180億円に上る。

これだけですと、洗脳と金銭詐取としては同じようなホームオブハート事件が刑事事件とはならず、長い民事裁判が続き、X-Japanのトシの突然の脱会で一気に民事裁判和解になったのに比べれば、刑事事件で有罪になったところが「進歩」であると言えます。

しかし、教祖に対する求刑が懲役10年であったところが、懲役5年の判決であり、かつ被告が直ちに控訴していることも含めて、より深い分析が必要です。

被害者は、詐欺罪(組織的詐欺)での被害回復のために、民事訴訟を起こしていてこれは判決以前に和解が成立しています。
今回の刑事裁判では、この和解の成立つまり損害を賠償した、ことが被告に有利に働いて求刑10年が5年になったと理解するべきです。

しかし、詐欺で取ったお金を返したから、罪を半分にするほどのことでしょうか?
考えようによっては、「うまいったら儲けもの、つかまったら返せば良い」という考えを助長しかねない判決だと思います。

まして、組織的詐欺つまり詐欺を実行するための組織を作って、現実に損害を与えた。
普通に考えて、損害を完全に賠償しても「詐欺のための組織を作って犯罪を実施した」という一点で、処罰されて当然でしょう。

損害額の倍とか3倍の賠償を行ったというのならとにかく、被害者が請求した分だけを払って「賠償した」言うのもおこがましいと感じるのです。

一方、被告側が控訴したというのは、この点をもっと過大に評価していて、執行猶予を取ることを目的に、会社を清算したり賠償に応じたりした、ということでしょう。
その意味は、活動を続けたいからでしょうね。

この控訴から見えてくるのは、会社を清算しても同じような組織的詐欺を行うような事業の継続を目指していたのだろう、という点です。

日本経済新聞より「神世界「教祖」に懲役5年 横浜地裁、霊感商法「責任重い」

山梨県甲斐市の有限会社神世界グループの霊感商法事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪に問われた「教祖」と呼ばれたグループトップ(54)ら4人の判決公判が1日、横浜地裁であった。

朝山芳史裁判長は「最高責任者として組織を形成する上での役割、犯行に対する指示など責任は極めて重く、実刑を免れない」と、教祖に懲役5年(求刑懲役10年)を言い渡した。教祖は即日控訴した。

このほかヒーリングサロン運営会社の元経営者の会主(43)は懲役3年、執行猶予5年(同6年)、いずれも同社元役員(49)と妻(48)の両被告には懲役2年6月、執行猶予4年(同4年)が言い渡された。

判決によると、教祖は元サロン経営者(48)=組織的詐欺罪で有罪判決=らと共謀し、2004~06年に顧客5人から計1340万円を詐取。会主被告ら3人は06年に2人から計150万円をだまし取った。

事件の被害対策弁護団は閉廷後、横浜市内で記者会見を開き、弁護士の荻上守生事務局長は「宗教行為に仮託した金銭収奪が組織的詐欺と認定された」と判決内容を評価した上で「被害者は経済的被害に加え、適切な医療を受ける機会なども失った。量刑は軽すぎる」と指摘した。

元顧客の女性は「教祖らの反省は表面的。被害者にちゃんと謝罪してほしかった」と悔し涙を流した。
同弁護団によると、神世界グループによる詐欺被害はのべ約1万人、総額は少なくとも180億円に上る。

裁判後に、記者会見に参加し、その後の食事会で、被害者と直接お話を伺いました。

カルト宗教問題と言って良いのですが、被害者が勧誘する側に回って加害者になる、というのがほとんどです。
このために、ねずみ算式に被害が拡大する構造になっています。

もちろん、被害者がイヤイヤ勧誘するわけがないのであって、洗脳されて信じ込んでしまうから、加害者になるのです。

そこで「どのようにして引きずり込まれたのか?」と聞いてみました。

友達がある程度、のめり込んでいる状態で、サロンに行った。
当時は家庭に心配事があったが、そんなものに入会するつもりはなかった。
そうすると、その友達を攻め始めた。

つまり、心配事を共有している友達を揺すって、被害者に友達を心配させるようにして・・・と一種の増幅をするわけです。
これでは、入会することは大いにあり得るでしょう。

ホームオブハート事件では、被害者のコンプレックスをことさらに取り上げて、抵抗力を奪ったようです。

心配事やコンプレックスがない、という人はほぼいないわけで、誰もが被害者になりうる、といえます。

ようやく、真正面から組織的詐欺で有罪判決を得たというのは、大いなる一歩ではありますが、求刑の半分というのでは検察が控訴してくれることを願うばかりです。

5月 1, 2012 at 11:57 午後 裁判傍聴 |

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