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2011.02.26

郵便割引事件の大混乱

朝日新聞より「「凛の会」元会長、二審も無罪 虚偽文書作成で大阪高裁

2011年2月25日19時0分

郵便不正事件で起訴された自称障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)元会長(75)の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。

湯川哲嗣裁判長は、虚偽有印公文書作成・同行使罪について無罪とした一審・大阪地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。

「凛(りん)の会元会長は郵便法違反罪でも起訴されたが、罰金540万円とした一審判決が確定している。

「凛(りん)の会元会長が問われた虚偽有印公文書作成・同行使罪は、凛の会が障害者団体向けの郵便割引制度の適用を受けるため、厚生労働省元局長に偽の証明書の発行を働きかけたとされる内容。

厚生労働省元局長の無罪判決確定後、検察側は「凛(りん)の会元会長の起訴内容から同氏の関与の部分を外すことを求めたが、湯川裁判長は必要ないとして結審。
25日の判決では、厚生労働省元局長が事件に無関係だったことを踏まえて

「厚生労働省元局長との共謀が認められない以上、(厚生労働省元局長を証明書の作成権者として検察側が立件した)虚偽有印公文書作成・同行使罪は成立しない」
と判断した。

同事件では、偽の証明書発行の実行犯とされる厚労省元係長(41)と、凛の会元幹部(70)の公判が継続中。

厚労省元係長は、大阪地検特捜部の元主任検事が被告のフロッピーディスクのデータを改ざんした事件を踏まえ「検察には被告の処罰を求める適格性がない」とし、地裁に公判打ち切りを求めている。

凛の会元幹部は一審で懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の判決を受け、4月からの控訴審では無罪主張に転じる方針。(平賀拓哉)

NHKニュースより「郵便事件 元会長2審も無罪

2月25日 22時7分

郵便の割引制度を巡る事件で厚生労働省のうその証明書を作成したとして起訴された団体の元会長の裁判で、大阪高等裁判所は、無罪が確定した厚生労働省の元局長との共謀が成立しない以上、罪に問えないとして、1審に続いて無罪を言い渡しました。

自称、障害者団体の「凛(りん)の会元会長(75)は、障害者団体向けの郵便割引制度を巡って、無罪が確定した厚生労働省の元局長に依頼して、うその証明書を作成したとして起訴されました。

検察は1審の無罪を不服として控訴し、2審では、厚生労働省元局長の無罪を受けて、事件の構図を見直し、起訴の内容を変更するよう主張していました。

25日の判決で、大阪高等裁判所の湯川哲嗣裁判長は

「2審は、1審の判決内容が正しいかどうかを判断すべきで、起訴内容を変更して審理することは妥当ではない」
として、検察の主張を退けました。

そのうえで、「厚生労働省元局長との共謀が認められない以上、罪は成立しない」と述べ、1審に続いて、「凛(りん)の会元会長に無罪を言い渡しました。

「凛(りん)の会元会長は「すがすがしい気持ちだが、つらい日々だった。捜査に関わった検察官が逮捕・起訴されたが、これがきっかけで特捜部の取り調べが改善される契機になれば不幸中の幸いだ」と話しています。

一方、大阪高等検察庁の松井次席検事は

「主張が認められず遺憾だ。最高裁判所への上告は慎重に判断したい」
とコメントしています。

毎日新聞より「郵便不正事件:凜の会元代表の無罪判決を支持 大阪高裁

障害者団体に郵便料金の割引を認める偽証明書が発行された郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた「凜(りん)の会」(解散)の元代表(75)=1審で一部無罪、検察側が控訴=の控訴審判決が25日、大阪高裁であり、湯川哲嗣裁判長は1審の無罪判決を支持し、控訴を棄却した。

「凛(りん)の会元会長は厚生労働省元局長(55)に偽証明書の発行を依頼したとして起訴され、1審・大阪地裁判決は、郵便法違反は有罪としたが、虚偽有印公文書作成・同行使罪については無罪とした。
そのため、検察側が同罪について控訴していた。

控訴審で、検察側は厚生労働省元局長の無罪が確定したため「有印公文書偽造・同行使罪」への訴因変更を請求したが、前回公判で却下された。

湯川裁判長は判決で、検察側の訴因変更請求などを

「訴因変更を求めた上で1審判決に事実誤認があるとするのは失当」と批判。
「1審判決には明らかな事実誤認はない」
として控訴を棄却した。

「凛(りん)の会元会長は判決後に会見し、「私と家族にとってはつらく長い約2年間だった」と振り返った。

松井巌・大阪高検次席検事は

「検察官の主張が認められず遺憾。上訴すべきか否か慎重に判断したい」
とコメントした。【久保聡】

毎日新聞 2011年2月25日 21時08分(最終更新 2月25日 21時23分)

予想通りとは言え、ひどい展開になりました。

郵便料金の不正割引の事実があり、厚労省元係長が割引の書類を作ったとなっていますが、それを元局長まで話を広げると、虚偽有印公文書作成・同行使罪となります。

これは、公文書の作成は元局長の権限と責任において行われるものなので、元係長が書類を作った場合、作成ではなくて偽造になるわけです。

そこで、検察は元局長の無罪確定後に控訴審で、元会長の犯罪事実を「有印公文書偽造・同行使罪」へ訴因変更の請求をしました。
これは、元会長(被告)が元局長(無罪確定)に虚偽の公文書を発行するように依頼し実行した、としていたものが、元局長の無罪が確定したために、元係長が実行した公文書偽造に話をすり替えたと言えます。

これに対して、高等裁判所は

湯川裁判長は判決で、検察側の訴因変更請求などを

「訴因変更を求めた上で1審判決に事実誤認があるとするのは失当」と批判。
「1審判決には明らかな事実誤認はない」
として控訴を棄却した。

と全面否定しました。

こんな事を認めていたら、「とりあえず殺人罪で起訴」といったことを許してしまうことになりますから、これは認められないでしょう。

一審で訴因変更していたら、話が違っていたのでしょう。

元会長が郵便割引制度の悪用をしたのは確かだと思いますが、刑事事件として無罪になってしまうと、実行犯である元係長の罪をどう考えるのか?といったことになってしまいます。

今後の展開はどうなるのでしょうか?
それにしても、犯罪事実がありながら、それを無にするようなことにした検察の責任は極めて重いものです。

2月 26, 2011 at 11:43 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.02.21

高速フェリーの軍事転用・小説そのものだわ

サンケイ新聞より「フェリーを高速輸送艦に 防衛省が転用検討 離島奪還で陸自輸送の切り札

防衛省が、民間フェリーを高速輸送艦として転用することを検討していることが20日、分かった。

中国による東シナ海の離島侵攻の脅威が高まる中、新規建造はコスト高で困難なため、転用によって、奪還作戦で陸上自衛隊部隊を機動展開させる際の輸送手段の「切り札」として位置づけている。

高速輸送艦は在日米軍再編に関する平成17年の日米合意で導入が明記された。

転用を検討しているのは「津軽海峡フェリー」(北海道函館市)が2隻所有する高速フェリー。
全長112メートル、時速約67キロの双胴型で高速フェリーとしては世界最大級。乗客774人、トラック33台、乗用車195台を運べる。

Up

同社は1隻約90億円で購入し、青森-函館間で運航させたが、燃料高騰による赤字で20年10月から運航を休止している。

東シナ海での島嶼(とうしょ)奪還作戦では、西部方面普通科連隊(長崎県)が中核となる。西普連は隊員約600人で、同社のフェリーは輸送能力を満たす。
高機動車や軽装甲機動車といった装備も搭載可能だ。

昨年12月の「防衛計画の大綱」は「(島嶼攻撃には)機動運用可能な部隊を迅速に展開」と明記した。
だが展開させる輸送手段が担保されていない重大な問題点を抱えていた。

防衛省では民間フェリーの転用でその穴を埋め、本州の部隊を南西方面に展開させる「スイング戦略」の輸送手段としても有効と判断している。

また、東南アジアをはじめ海外での災害時、国際緊急援助活動に部隊を派遣する際にも活用を想定する。

在沖縄米海兵隊は日本本土や西太平洋に展開する際、オーストラリアの民間高速フェリーをチャーターし、高速輸送艦として利用している。

自衛隊がフェリーを導入して海兵隊の輸送機能を代替すれば、本土への訓練移転拡充を米側に求める交渉材料になる。

転用を図るフェリーについて中国が購入に興味を示しているとの情報もあるため、防衛省は検討を急いでいる。
6月までに結論を出し、24年度予算案概算要求にも盛り込みたい考えだ。

写真を見ただけでも、すごい形の船なので、ちょっと検索してみました。
ウィキペディアの記事「ナッチャンWorld

ナッチャンWorldはナッチャンReraに続く双胴式の高速フェリーとして、オーストラリアのインキャット社ホーバート造船所で建造された。

同社の112m級ウェーブ・ピアーサー2 番船で、船体番号は065。

Up1

青森港 - 函館港間をおよそ夏季1時間45分、冬季2時間15分、深夜便2時間30分で結んだ。船体には、2007年11月に「パレード」をテーマとして児童より公募したイラスト538点の中から選ばれた恐竜や海の生物など18作品が描かれている。

2008年2月19日に進水し、4月3日に公試、同月8日に完成記念式典が行われた。その後、同月10日にオーストラリアを出航、ブリスベンを経由して17日の午前7時に函館に到着した。就航に先立つ4月30日には函館港に停泊中の船内でテロ対処訓練が行われたが、この訓練は同年7月7日から9日にかけて開催される北海道洞爺湖サミットに備えたもので、北海道警察と東日本フェリーが合同で実施した。

就航式は同年5月2日に青森市の青森高速船ターミナルで行われ、同時に函館港開港150周年記念イベント「津軽海峡・海と大空のフェスティバル」が開催された。また、本船の就航に合わせて青森フェリー埠頭では新しいターミナルビルと搭乗橋の使用が開始された。

しかし同年8月4日、東日本フェリーは原油高にともなう燃料高騰を理由として、運賃の3割値上げと秋・冬季の減便を発表した(これにより1日6往復12便運航されている便数が9月から4往復8便、11月から2往復4便に減少することになった)。さらに同年9月8日、燃料高騰の影響によりナッチャンRera・Worldの函館 - 青森航路と在来船で運航している函館から青森、室蘭、大間への3航路の合計で本年度49億円の赤字が見込まれることから、同年11月末をもって国内フェリー事業から撤退することを発表するとともに、2隻の高速フェリーは同年11月1日から運航を休止した[1]。

その後は青森・函館の両港に係船されていたが2009年3月、函館開港150周年記念事業のPRのために、同じく開港150周年を迎える横浜港の大さん橋で展示された[2]。また、東日本フェリーから青函航路を承継した道南自動車フェリー(現・津軽海峡フェリー)が国土交通省への期間限定での運航申請が2009年5月20日に認可され、同年7月18日から9月30日までの期間限定で青森港 - 函館港の間を運航した(地元漁協に配慮し減速して運航したため、両港間の所要時間は2時間45分となった)。さらに、2010年も7月17日から10月 31日までの期間限定で運航している。

ウエーブ・ピアーサー型というのは、ウィキペディアの記事中の写真のように水面下に伸びる先端がある船型のことです。

ディーゼルエンジン、ウォータージェット推進、最大36ノット、アルミ合金製、総トン数1万712トン。

これでフェリーですから、軍事輸送にはピッタリと言えるでしょう。

しかし、わたしには「これでは大石英司の小説世界じゃないか」と思うわけであります(^_^;)
すでにご本人がblog で取り上げています。

※ フェリーを高速輸送艦に 防衛省が転用検討 離島奪還で陸自輸送の切り札
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110221/plc11022101000000-n1.htm

 これって「ナッチャン」のことですよね。いきなり1万トンですか。アルミ軽合金製というのがあれだけど(戦車を積めるような強度はあり?)。これでシーデビル以来久しぶりにウェーブピアサーの表紙イラストを描いて貰えるかも(^_^;)。島嶼防衛と言わず、東南アジア方面の災害派遣に転用すれば活躍しますよ。ただ産経お得意のアドバルーンで無ければ良いですが。
 早速、あんな部隊やこんな部隊を乗せて、目指せ! 上海w

サンケイ新聞が「中国が購入に興味を示しているとの情報もあるため、防衛省は検討を急いでいる。」と書いていますから、牽制の意味では有効な記事なのかもしれません。

まあ、軍事技術は第二次大戦ぐらいまでは、飛び抜けてハイテクという位置づけでありましたが、どんどん民需との区別がなくなり、民需の方が性能が高くて有用、という時代になってしまいました。

その意味では、直接兵器以外の品物については、民間品の転用は行うべきでしょう。
1980年代には「なんで軍需品は単価が高いのか?」という批判本が出てました。

そんな流れからすると、実現性はそこそこ高いかと思います。
これで、鳩山前首相が大反対すれば、予想通りと言ったところでしょうか?

2月 21, 2011 at 10:41 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2011.02.20

本格的受信料裁判・NHK敗訴

朝日新聞より「受信料未払い、NHKの請求棄却 敗訴2例目 神戸簡裁

NHKが神戸市内の男性に未払いの受信料15万円の支払いを求めた訴訟の判決が神戸簡裁であり、吉田新生裁判官は請求を棄却した。

NHKは判決を不服として神戸地裁に控訴した。

NHKの受信料不払い世帯をめぐっては、簡裁の督促に応じなかった計約550件が訴訟に移行しているが、NHKの敗訴は昨年3月の札幌地裁判決(高裁は逆転勝訴)以来2例目。

先月27日付の神戸簡裁判決によると、NHKは2004年12月~昨年5月分の受信料計15万3440円の支払いを請求。
一方、男性は04年11月に神戸放送局に電話で「契約は解約する」と伝え、テレビのアンテナコードを外していた。

NHKは訴訟で

「解約を受け付けていない」
と主張したが、判決は
「受信できなくしており解約が認められる」
と判断した。NHK広報局は
「被告の主張を一方的に認めたもので遺憾」
としている。(沢木香織)

記事中にある、札幌地裁の判決とは原告男性が妻が勝手に男性名義で契約した、という主張であって、家事行為についての夫婦間での連帯責任の問題でした。

つまり、受信そのものについての争いは、今回の神戸簡裁の例が初めてとなります。

NHKの「日本放送協会放送受信規約」によると、受信機の定義は以下の通りになっています。

2 受信機(
  • 家庭用受信機
  • 携帯用受信機
  • 自動車用受信機
  • 共同受信用受信機等
で、 NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備をいう。以下同じ。)のうち、地上系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置(使用できる状態におくことをいう。以下同じ。)した者は地上契約、
衛星系によるテレビジョン放送を受信できるテレビジョン受信機を設置した者は衛星契約を締結しなければならない。

ただし、難視聴地域または列車、電車その他営業用の移動体において、衛星系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置した者は特別契約を締結するものとする。

設置した者は、となっていますから設置せずに保管している場合には、受信契約は不要だと当然の結論になります。
そうなると、「設置とはなんぞや?」となりますが、受信機が稼働することが条件ですから、電力の確保と、信号受信の双方が同時に成立することが最低条件だと、なります。

被告男性は、アンテナコードを取り外して、NHKに受信できないことを通知して、契約解除を伝えた、ということですが、NHKの主張は「解約は受け付けていない」ですがこれでは、上記に書いた「設置状態でなくても、解約を受け付けなければ、受信料支払いの義務が生じる」となってしまって、設置ではなくて所有あるいは、保管の状態でも受信料契約が成立する、となってしまいます。

そもそも、受信機の定義に、携帯用受信機とか自動車用受信機と書いてしまうと、所有者が機能を知らない可能性が出て来るわけで、このような契約には少々問題があるでしょう。

結局、NHKの従来からの受信料契約というビジネスモデルが破たんしている、ということでしょう。

2月 20, 2011 at 11:22 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)