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2011.09.02

安愚楽牧場・被害者説明会(東京)

全国安愚楽牧場被害対策弁護団(東京)の被害者説明会の手伝いをしてきました。

霞が関の弁護士会館の講堂クレオを仕切り無しで使って、3回の入れ替え制。
2000人以上は確実に参加していました。

クレオは定員800人ぐらいらしいのですが、

  1. 1回目 17:00~
  2. 2回目 18:20~
  3. 3回目 19:40~
で実施しました。

わたし自身は、15時に会場入りして、設営から手伝いましたが、1時間もしないうちに参加者が増えてきて、16時に入場を始めた頃には500人ぐらいが入場待ちしていました。

早めに来た参加者は、1時間以上も待ったことになりますが、17時に1回目が始まった時には、すでに2回目の参加者が一杯といった状況で、18時頃には弁護士会館前の歩道に長蛇の列が出来ていました。

非常に心配したのが、クレオは二階で一階への上り下りには階段を使わざる得ないので、転倒者が出たりすると大事故になる、と思っていましたが誘導が上手で全く心配なく進みました。

一回あたりの時間が1時間程度なので、若干の質疑応答あったものの、基本的には弁護団に参加するのための書類の作り方、その意味の説明といったところが中心でした。

被害者の方々が、弁護団に参加するかどうか?について、着手金が幾らぐらいになるのだろうか?と不安の声が飛び交っていますが、今日の説明で「弁護団としては着手金の額を、被害額の1%未満に抑えたい」との説明がありました。

弁護団への参加は、かなりの量の書類の提出が必要なのですが、一応のメドとして9月末を締切にしたい、との意向も発表されました。

もちろん、個別の事情で書類の完成が遅れるといった場合には個別に相談する、となっていますから、参加してみたいと思っている被害者の方は、「とりあえず参加の意思表明をする」事が重要かと思います。

9月 2, 2011 at 02:11 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2011.09.01

セシウム汚染除去技術

NHKニュースより「新技術でセシウムを除去

8月31日 21時23分

土壌に含まれるセシウムだけをより分け取り除く新しい技術を開発したと茨城県つくば市の産業技術総合研究所が発表しました。汚染土壌の表面を削り取る方法に比べて廃棄物の量が大幅に少なくなるということです。

発表したのは茨城県つくば市にある産業技術総合研究所の川本徹研究グループ長らのグループです。

この技術は、土壌に含まれるセシウムを低い濃度の酸で抽出したあと、顔料に吸着させるもので、99.5パーセントのセシウムを取り除くことができるということです。

東京電力福島第一原子力発電所の事故で広がった放射性セシウムに汚染された土壌への対策として、現在、表面を削り取る方法が主に行われていますが、削った土壌の廃棄方法が課題となっています。

研究グループによりますと、この技術はセシウムだけを分離するため、表面を削り取る方法に比べて、廃棄物の量がおよそ150分の1と大幅に少なくなるということです。

川本研究グループ長は「廃棄物の量が少なくなるのが最大の特長です。低濃度の酸で抽出するため、土壌に与えるダメージが少ないのもメリットです」と話していました。

研究グループは、今後、さらに技術改良を進め、企業の協力を募ったうえで福島県などの土壌を使った実証試験を行い、実用化を目指したいとしています。

実用になれば、有用であろうと思いますが、それ以上に気になるのは、放射性物質の環境からの分離といった技術は今まで使い道がほとんど無かったから、開発されてこなかったのでしょう。

しかし、今回の原発事故が地震国日本で今後起きないと保証できるものではないし、だからといって直ちに原発全廃も出来ない。
つまりは、被害回復技術を幾つも確保しておくことが肝心だ、となります。

一番の問題は、実験室規模で成功した技術を、環境全体といった広範囲で適用するのは、ビッグプロジェクトにならざるを得ない事です。
要するに、新たな公共事業にせざるを得ない。

公共事業・公共投資として今までやったことがない方面に資本を投下することは、将来の発展そのものだという考えで進めるべきでしょう。

高速道路の無料通行が廃止になりますが、こんなものは集金システムのソフトウェアの改修で対応出来るはずです。
例えば、下りたICからすぐに高速道路に再進入した場合には、無料扱いにしない、という設定は出来るでしょう。
現実的には3時間以内に、のったら認めない。

早い話が今の日本では「知恵を出してなんとかする」姿勢に欠けすぎているのではないか?
出来ない条件のようなものを並べて、だから止めるのようなことだけでは、滅んでしまうのは確実で、原発事故といった世界的にも珍しい現象に対応するための技術開発は、新産業の育成そのものだ、という姿勢に切替えるべきだと強く思います。

9月 1, 2011 at 09:34 午前 もの作り | | コメント (1) | トラックバック (0)

2011.08.31

安愚楽牧場・夏原武氏の解説

SAFETY JAPAN より「隣は詐欺師--遂に来た「すぐそばに詐欺師」の時代」で、作家の夏原武氏が、安愚楽牧場事件についてズバリと解説しています。

非常に分かりやすいのですが、長文でもありわたしが注目したところを赤文字で示します。

夏原氏は、最後で

仮に詐欺としての認定がなかったとしても、被害額が史上最大になるという意味では、同じことなのである。
として、締めくくっています。
詐欺あるいは極めて詐欺的な事件であり、被害の構造は詐欺であると言っています。

このような見方に対して、民事再生でスポンサーを見つけて売却するべきだ、とする安愚楽牧場側の主張はまあ勝手だとしても、被害者の中にも事業を売却して出資金の一部を回収しようと考える方々は、このような「詐欺物件」にどれほどの価格がつくとお考えなのでしょうか?

ビジネスになんの問題が無く、価値が減るはずがない不動産ですら、買い叩かれるのが普通です。
今回の民事再生手続で、まっとうなスポンサーが名乗り出ない可能性も少なからずあるだろうと思います。
悪事には悪者が寄ってくるものなのです。

非常に大きな事件であることは確かで、間違えなく歴史に残るものです。

安愚楽牧場4300億破綻。そもそも悪名高い「和牛預託商法」の「生き残り」安愚楽牧場に、なぜ大金を預けるのか。――出資詐欺の悪党手口を全部書く!

作家 夏原武
2011年 8月31日

豊田商事の2倍以上、空前絶後の被害額

 

 豊田商事事件は、永野会長の凄惨な最後で強く記憶されているが、なによりも注目すべきは、2000億円と言われる被害額だろう。

 マルチや詐欺・詐欺商法では他にもオレンジ共済組合事件(96億円)、経済革命クラブ事件(350億円)などがあるものの、2000億円という被害額は目を疑うほどであった。

 2000億はとにかく巨大で、これ以上の巨額な被害を生む事件は起きないだろうと言われていた。

 しかしつい最近、豊田商事の2倍以上もの被害額の事件が起きてしまった。和牛オーナー制度運営「安愚楽牧場」倒産である。

 2011年8月22日時点において「詐欺である」と認定されたわけではなく、今のところは「経営不振によるもの」とされている。だが、疑わしい部分もあり弁護団からは「詐欺的」という言葉が出ている。

 筆者も長年詐欺や詐欺商法を見てきた「プロ」として、とてもではないが、現時点での牧場側のコメントには首肯できない。

 今日はこのあたりのカラクリを全部書いてしまおう。

安愚楽牧場は、悪名高い「和牛預託商法」とどう違うのか

 

 最初に以下の記事を読んでもらおう。

 4300億円を超える負債が判明した和牛オーナー制度を運営する「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)。

 全国安愚楽牧場被害対策弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)は、違法な勧誘が行われていた可能性があるとして消費者庁に行政処分などを求め、「5000億円以上の被害規模が確実な情勢で、豊田商事事件を上回る戦後最大の消費者被害となる」と危機感を強める。

 同社は経営が悪化した7月中旬、これまでより高利回りで新たなオーナーを勧誘しており、被害拡大につながったとみられる(読売新聞2011年8月16日)

 まず考えてもらいたい。そもそも「和牛オーナー制度」というのが、真っ当な商売なのだろうか?

 この名称を聞いて思い出されるのは、90年代に「和牛預託商法」と呼ばれた悪徳ビジネスである。

「和牛預託商法」のイカサマ手口

 

 「和牛預託商法」とは、簡単に言えば、和牛仔牛の飼育に出資することで「成牛となって売買されたときに、高額な配当を得られる」と謳うもの。

 きちんと機能すれば理論通りになるのかもしれない。しかし実際には「高配当」がひとり歩きし、実際には「飼育も牛保有もしてない」などという会社が続出した。

 早い話、単に出資金を集めるだけの詐欺が行われていたのである。

 これまでに弁護団が結成されただけでも「和牛の里共済牧場」「あさぎり高原共済牧場」「ふるさと共済牧場」「みちのく都路村共済牧場」などの事件がある。

 こうした事件が起きた背景には「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」に家畜が含まれていなかったことがある。

安愚楽牧場は、和牛預託商法の「生き残り」

 

 1996年から97年に被害が続発した和牛預託商法を鑑みて、同法律にの特定商品に家畜が含まれることになった。

 それにより、前述の牧場をはじめ、最盛期に17社もあった預託会社は、出資金返還に応じざるを得なくなり、次々に破綻。

 軽井沢ファミリー千紫牧場とジェイファームの両社長は、出資法違反と詐欺で逮捕・起訴に到っている。

 つまりはっきり書けば、「和牛預託商法」はかなり怪しい商売だったわけである。

 安愚楽牧場の「和牛オーナー制度」、どことなく「和牛預託商法に似ている」と思わないだろうか。

 それもそのはず。実は安愚楽牧場はこの「和牛預託商法の元祖」と呼ばれていたのである。破綻せずに生き残ったのは、曲がりなりにも牛を飼育する実態があったからだ。

なぜ安愚楽牧場に何千万も金を預ける

 

 早い話、安愚楽牧場は「和牛預託商法」グループ「最後の生き残り」なのである。

 つまり、出資法違反や詐欺で逮捕者が出たビジネス業界の一員であったことは間違いないのだ。

 この話は当時さんざん報道されていたわけで、そのような企業に出資するリスクは明白だったはず。なのに疑問も抱かず、なぜ何千万も虎の子の金を預けるのか。

 和牛預託商法の話に戻そう。

 この商法をやっていた連中は、集めた金を牛の飼育などには使わず、不動産投資など他のことに使っては費消していったのが実態。集めた金から「配当金」を払うという、詐欺独特の自転車操業状態であったこともわかっている。

 要するに「和牛」という高級商品をお題目にしてはいるものの、中身はずっと以前から存在している出資詐欺や投資詐欺の類と同じなのである。

エビ養殖、和牛飼育……、毎度おなじみ「出資詐欺」

 

 出資詐欺は手を変え品を変え登場する。なぜならある商法が行き詰ってバレると、別の品に変えてカモを探すからだ。

 考えてもみてほしい。真珠養殖詐欺だの東南アジアでのエビ養殖詐欺など、大規模な詐欺事件の報道を思い出すはずだ。

 もちろんいずれも「養殖」実態はほぼなく、金を集めるだけが目的という悪質なもの。被害者も多数出ている。

 金を集めるだけ集めると配当が滞り、「台風でエビの養殖が打撃を受けた」とかなんとか言い訳しながら、悪党は撤退を始めるわけだ。

 養殖というビジネスが重要なのはたしかだが、それによって高配当が得られるという絵図には、なんの保証もない。

高配当なら、なぜ銀行に行かない?

 

 そもそも、もし高配当が本当であれば、一般投資家などに小口で売る手間を掛けるより、銀行に話を持ち込めばいい。喜んで出資してくれるはず。

 ――なのになぜ年寄りの退職金を狙ってくるのか。

 投資する前にたったこれだけ考えれば、「怪しい」とわかりそうなものである。

 こういった怪しい出資・投資話は、枚挙に暇がない。ラスベガスカジノ出資から始まり、ブラジルで金鉱山に出資しないかとか、果てはアフリカの砂金産出地域の不動産購入などまである。

 毎年のように話が出てくるのだが、ここ数年では、マカオカジノ出資があちこちで勧誘されていたのが記憶に新しいところだ。

安愚楽牧場「手口」は、撤退期の詐欺ビジネスに酷似

 

 和牛預託というのは、本質的には素人が関わるものではない。

 生産農家や共同組合員などがリスク分散の意味も込めて出資を募集するもの。本来、成牛が売買されたとしても「高級和牛肉がもらえる」程度のものだ。

 つまり、和牛預託「商法」とはまったく違うし、そもそも儲かるものではない。

 今回の安愚楽牧場事件で弁護団が指摘しているのは、破綻が明らかになった時点でも、新たに勧誘し、しかも配当率をアップしている点。

 これは撤退期の詐欺商法がよくやる手口に、きわめてよく似ている。

 つまり、詐欺商法業者の話だが、もう破綻必須と悟った悪党が、社会で目立つ危険性を犯しても、「行きがけの駄賃」で被害者を増やして逃げるパターンだ。

安愚楽牧場「配当」はどこから出ていたのか

 

 そこがきわめて「詐欺的」なのである。

 今回の安愚楽牧場も、この「逃走パターン」に酷似している。

 これに対し安愚楽牧場側は「末端にまで情報が行き渡っていなかった」と言い訳している。

 まさに盗っ人猛々しい言いぐさだ。破綻が見えているのなら、細かな話は伏せていたとしても新規勧誘の全面禁止を通達することぐらい、いくらでもできるはずだからだ。

 被害者の話も報道されているが、これまで配当が滞ることはなかったと話している。

 たしかに配当さえ続いていれば、問題はない。

 問題は、その配当をどこから出していたかだ。生育牛の売却利益から出ていたならいいが、集めた金額を考えるに、出資金から配当を捻出していたのではないかと思えてしまう。

出資金は保全されていたのか?

 

 穿った見方だとは思うが、この手の「商法」には、よくあることだからだ。

 つまり「配当を出し続けている」という事実が、新規顧客を呼び込むための「餌」になるからである。

 筆者のこれまでの同様事件の取材例の話をしよう。

 被害者が見せてくれる通帳には、きちんと決まった日付で配当が記されていることが多い。

 ただし、出資した金額に比べれば微々たるものだ。たとえば1000万円出資して年8%配当であれば、わずか80万円。5年受け取っても、元金の半分にもならない。

 それなのに配当を受け取った「カモ」は、知り合いなどに「いい出資先」として紹介したりする。そのときに圧倒的な効力を有するのが、「配当の事実」なのである。

残るものなどない

 

 しかし、ここで「もしこの出資先が詐欺企業だったらどうするか」、ちょっと考えてみよう。

 前述の計算でもわかるように、事業など一切していなくても、配当は預かった金から払うことができてしまう。

 つまりひとりの出資金で、12人くらいのカモに1年配当を出せる。残り11人の1億1000万円は、まるまる懐に入れればいい。たった1年でこれだ。

 早い話、「約束した配当」を続けても、詐欺師の手元には莫大な金が残るのである。

 つまり、配当などはなんの保証にもならないというわけだ。

 この手の詐欺でいちばん困るのは、兌換できるものが一切手元に残らないことである。

 契約証であろうと預かり証であろうと、そんなものは私企業が発行しただけのものであり、公的な保証とはまったく関係ない。

 現物が存在していればまだいいが豊田商事事件でもわかるように、そもそも投資事業をしていないのだから、現物すら存在しない。

生き物に投資する危うさ

 

 今回の場合、現物は存在するのだが、なにしろそれは生きた牛である。被害弁済として受け取れるものではない。

 さらに、売却したとしても被害額を埋めることなど絶対に不可能なのである。

 たしかに、311の東日本大震災による影響はあっただろうし、原発による放射能の影響もあったのだろう。

 だが「それがすべて」と思えないのは、和牛預託商法というビジネスの範疇に存在しているからである。

 高級和牛は高級マグロ同様、宝石のような取引価値を有している。が、それは消費が前提にあるわけで、需給バランスが大きく影響してくる。

 安定した一定相場が続くという保証はどこにもない。

怪しい投資話には乗るな

 

 震災も原発もなかったとしても、だから大丈夫だったという理屈にはならない。

 最低金利が続き、景気の先行きも不透明、そこに加えての震災・原発という未曾有のアクシデントが起きている日本では、資産をどう運用したらいいのか誰もが迷うことになる。

 だが、だからといって、理論ばかりが先走りし、自分に都合のいい経済見通しや市場分析ばかりの業者に預けることは絶対に避けなければいけない。

 今回は、その典型的なケースであることだけは間違いない。

 仮に詐欺としての認定がなかったとしても、被害額が史上最大になるという意味では、同じことなのである。

夏原武(なつはらたけし)

作家
1959年生まれ。雑誌編集者を経てフリーランスに。著書に「サギの手口」(データハウス)「現代ヤクザのシノギ方」(宝島社)「バブル」(同・共著)など多数。漫画原作として「クロサギ」(小学館ビッグコミックスピリッツ)「ギャングスターズ」(秋田書店プレイコミック)を連載中。

8月 31, 2011 at 06:07 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.30

安愚楽牧場・現実は簡単では無いはずです

紀藤弁護士のtwitterからたどって、「弁護士近藤早利のいいたいこと」を読んでみました。
紀藤弁護士がtwitterで批判し、近藤弁護士がブログで反論する、という形になっていました。

最初に、近藤弁護士が「安愚楽牧場 債権者説明会 レポート」をアップしたところから、始まったようです。
債権者集会の報告に、近藤弁護士の「感想」が最後についています。

感想です。

1 安愚楽牧場は破産させるべきか?

被害者弁護団は、民事再生手続えは、現経営陣が事業に携わるので、手続きが不透明になり、保有資産の食いつぶしが懸念されるなどの理由から、破産手続きによるべきだ、と主張しているようです。

しかし、本件は、扱っているのが和牛という「生き物」ですから、製造業とちがって、操業を停止する、という選択肢は事実上ありません。

破産させて、15万頭の和牛を、破産管財人に管理せよ、といったって、それは無理です。そうなった場合にも、専門家の補助者を雇用せざるをえませんが、いきなり、外部からきて、全国にちらばる15万頭の牛を管理できるはずもありません。

そうなれば、破産管財人も、現経営陣、従業員を管財人補助者として雇用して、牛を飼育せざるをえないでしょう。それなら、民事再生と同じことです。

申立代理人の栃木先生は、個人的にも尊敬している胆力も能力もある弁護士です。

ただでさえやることの多い、申立代理人に余計な手間をかけず、現在の手続きの上で、最善の策を探ってもらうのがよいと考えます。

2 被害者弁護団に加入するべきか?

上記の理由で「破産させたい」という理由なら賛成しません。

手続きを遅延させ、資産を目減りさせるだけでメリットはありませんから。

同じような立場人との連帯がほしい、弁護士の情報分析がほしい、ということなら、着手金に見合うサービスを受けられるかどうか、よく考えて参加してください、ということになります。

3 民事再生手続きで配当は期待できるか。その率は。

あまり多くを期待するべきではないでしょう。

直近の決算で安愚楽牧場の有する現預金は63億円しかありません。

これは相当程度、目減りしているとみるべきでしょう。

そのほかの資産としては、仕掛品が256億円あります。これは、加工中の和牛だとすれば、実質価値は、限りなくゼロに近いのではないか。

不動産は、本社、各地の牧場でしょうか。市街地なら銀行担保に入っており、農地なら市場価格はほとんどつきません。
長期貸付金の76億。これはなんでしょうか。オーナーや役員へのへの貸付、だとすれば、そう多くは回収できないでしょう。

負債は、再生手続き申立前のものについては、裁判所の保全命令で支払わなくていいので、とりあえず措きます。
しかし、税金の9億は支払いが必要です。

一番の問題は、牛の飼料代と飼育代です。毎月20?30億円かかる。
申立後の費用は、随時弁済しなければなりません。

したがって、現在有している現預金が尽きるまでに、安愚楽牧場を(できれば一括で)引き取ってくれるスポンサーがみつからなければ、安愚楽牧場は現預金を使い切って、破産、牛は餓死を免れない、ということになりそうです(契約農家のみなさんは、手弁当でも飼育してくれるかもしれませんが、その牛を、出資者の皆さんが現金化する方法はなさそうです。引き渡してもらうには、それまでの飼育料を支払わなければなりません)。

こうみてくると、申立代理人の説明どおり、牛を早期に一括売却してもらい、その代金がもらえれば、それ以上は望まない、というのが一番、リアリティのある解決に思えます。

以上

この説明の構造は、「○○は選択できない。××も出来ない」となっていて、それ自体は問題無いし、現実には出来ないことは多いでしょう。
しかし、それが

申立代理人の説明どおり、牛を早期に一括売却してもらい、その代金がもらえれば、それ以上は望まない、というのが一番、リアリティのある解決に思えます。
に直結するのか?というと、そこにもまた判断が入ってくるでしょう。

例えば、一括売却した結果が、赤字だったらどうするのか?

一括売却=代金が入る、という前提が無条件で成立するから、民事再生手続で旧経営陣による一括売却がよい、と断言できる根拠があるのですかね?

わたしの理解では、個々の出資者が買った価格は、市場価格を上回っています。
これを売却するとなると、1/10とかそれ以下になるでしょう。

多少とも収入になれば、あきらめろというにしても、その金額が「0」とか赤字になると分かれば、7万人が合意するわけがない。

つまり、近藤弁護士の「一括売却」というのは「売却」が常識的な範囲で成立する場合の話しであり、売り手と買い手の合意が成立するのかが怪しいような状況で、一括売却するべき、と言い切るのは、全てを明らかにしていないのだから、想定が入って来るわけで、売却に当たっての価格をどう見るか?というぐらいは付け加えないと、根拠無く煽っている、と思われてもしかたないでしょう。

宮崎の口蹄疫と原発事故が破たんの引き金だというのが、安愚楽牧場側の主張ですが種々の情報は、ずっと前から事業としては赤字であって、それを新規入会者からの入金で穴埋めする、自転車操業であったことは、確実です。

破たんの直接の原因が、売上げ不振であったとは思えない。
そもそも、牛肉のような物の売上げが、全部無くなったり、半分になることはないでしょう。
だから、売上げ不振になったとしても、10%・20%といったところではないか?

そして、市場取引で価格が決定するのだから、元本保証は出来るはずがない。
逆に言えば、安愚楽牧場の価格決定は、市場とは無関係に決めていた。

それが、口蹄疫とか原発事故で、と市場の問題を持ちこむこと自体が、話が違うでしょう。

だから、新規入会者が止まった、おそらくは新規入会者と退会者の割合が限界を超えた、のが直接の理由でしょう。
だとすると、被害者の声として「老後の資金として取り崩して・・・」といった理由こそが、退会者の増加の理由でしょうから、新規会員が増加し続けなくては、存続自体が出来ない(事業縮小できない)ことが破たんの原因で、口蹄疫とか原発事故に注目するのは、本当の問題から目をそらすことになります。

8月 30, 2011 at 11:32 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・管理命令申立

朝日新聞より「安愚楽牧場の管理命令申し立て 弁護団、資産流出防止に

「和牛オーナー制度」を運営する安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)が民事再生法の適用を申請した問題で、被害対策弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)は29日の会見で、新たに選任された管財人が財産を管理する「管理命令」を出すよう、東京地裁に申し立てたと明らかにした。同社の資産の流出などを防ぐ目的という。

申し立ては25日付。

同社の申請通りに民事再生法が適用されると、現経営陣が留任して財産の管理・処分をできる。
管理命令が出れば権限は管財人に移る。

また、弁護団は9月1日午後5時から、東京都内でオーナーら債権者向けの説明会を開く。
問い合わせは(03・3261・3026)。

4300億の負債には、使途不明金3500億が含まれるという、ワケの分からない状況で、旧経営陣が処理を進めることに問題ありとの指摘がありました。
そこで、民事再生法ではなくて、破算手続に直接移行しろという意見と、早急に売却するために民事再生手続を推進するべきだ、という意見が衝突していたのですが、こんな手があるのですね。

記事中にもありますが、申立が25日(木)なのに、発表が週明けの月曜日というのは、単に「申し立てしました」というだけの発表ではないですね。
9月1日に霞が関の弁護士会館で、被害者説明会がありますから、その時に詳細ないきさつが語られるかもしれません。

8月 30, 2011 at 07:37 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.08.28

安愚楽牧場・さいたま市説明会

毎日新聞より「安愚楽牧場:破綻 被害対策弁護団、さいたまで説明会 刑事告訴も /埼玉

和牛オーナー制度で資金を集め、民事再生法の適用を申請した「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県)について、被害対策埼玉弁護団が27日、さいたま市の浦和コミュニティセンターで被害者説明会を開いた。

集まった約430人に現状と今後の見通しについて説明。
損害賠償請求訴訟で責任追及する方針を改めて示し、詐欺罪などでの刑事告訴の考えも明らかにした。

弁護団の中村弘毅弁護士は

「安愚楽牧場は赤字経営で、自転車操業状態だった事実を隠し、次々に契約金を払わせた」
と話した。

会場からは質問が相次いだ。県内に住む看護師の女性(43)は、数年前に100万円余りを契約したという。

「銀行は利息がよくないから使わないお金を回した。自分にとって大金なので返してほしい」
と不安げな表情を浮かべた。
数千万円を契約したという60歳代の無職男性は
「震災後、利率がよく短期の契約コースへの勧誘が増えたので心配はしていた。自己責任と言われるかもしれないが悔しい」
と憤りを見せた。

弁護団は今後も相談を受け付け、弁護団への参加を呼び掛ける。

問い合わせは、さいたま市浦和区高砂2の1の16浦和大熊ビル3階、つきのみや法律事務所中村弘毅弁護士に郵送またはファクス(電話048・799・3405)。

【平川昌範】

東京新聞より「安愚楽牧場の債務弁済問題 オーナー説明会に430人

和牛オーナー制度で金を集め、東京地裁に民事再生法の適用を申請した畜産会社「安愚楽牧場」(栃木県)の債務弁済問題で、埼玉弁護士会の有志が結成した弁護団が二十七日、さいたま市でオーナー向け説明会を開いた。

説明会後に個別相談を受ける予定だったが、「参加者数が予想を上回った」として急きょ中止。
説明会を二回に分けて開き、延べ約四百三十人が参加した。

弁護団によると、埼玉は全国で三番目にオーナーの数が多いという。

説明会では、担当の弁護士が民事訴訟の流れや現状を説明。

  1. 同社が地裁への申し立ての中で「約四千三百億円の負債がある。
  2. 一九九一年の牛肉の輸入自由化以来、一頭当たりの利益は赤字傾向。
  3. オーナーには投資金の1%程度が戻る試算」とみていることを明らかにした。

弁護士は

「会社は客観的価値の約十倍で牛を売っていた。少しでも多くの債権を回収し経営責任も問う」
とし、訴訟の原告になるよう呼び掛けた。

長野県に住む家族と合わせて三千万円以上を支払った川口市内の主婦(26)は

「親が二十年以上続けていて、安定的だと思っていたのに。一円でも多く取り戻したい。裁判への参加を検討する」
と話していた。

(池田宏之)

この2本の記事は、8月27にさいたま市で開かれた「被害者説明会」の様子を伝えています。
430人が参加したというのはちょっと驚きですが、9月1日に東京霞が関の弁護士会館で予定されている「被害者説明会」は、3回制になりました。
2000人から3000人ぐらいが参加する可能性がありますね。

わたしが注目したのは、

  • 一九九一年の牛肉の輸入自由化以来、一頭当たりの利益は赤字傾向。
  • 会社は客観的価値の約十倍で牛を売っていた。

「安愚楽牧場・あり得ない高利回り」で示したように、どう見ても安愚楽牧場は配当を支払うと赤字になっていたはずです。
そして、それはビジネスモデルそのものの問題だから、ネズミ講のように新規入会者を集め続けないと、破たんするものでした。

何人かの弁護士が、安愚楽牧場の民事再生手続をすすめるべきで、早急にスポンサーを見つけて牧場事業を引き継ぐべきだ、と主張していますが、これはビジネスとしてまともな経営が行われていた場合の話しでしょう。

そもそも、個々の商品(この場合は牛)が市場価格で評価されていれば、事業を譲渡できますが商品の評価が極端に市場の評価とかけ離れている場合には、譲渡価格が1/10とか1/100といったことになりかねません。

評価に関しては、きちんとやれば破算手続でも民事再生でも同じですが、その過程で安愚楽牧場の経営陣が出資法違反とか詐欺の疑いがある、となりそうなのですから普通に考えて、民事再生手続にすると後々かえって混乱する、その間に現在でも多額の使途不明金がもっと増える、という可能性が大きいでしょう。

消費者被害事件は、出発点はビジネスの顔をしていますが、結局は情報格差を利用した詐欺的手法で、大勢を騙します。
これに対して「外見的にビジネスだから、ビジネスの処理をするべきだ」と声高に主張するのは、わざわざ主張するまでもなく「自己責任ですあきらめて下さい」と言えば良いことでしょう。
そして、「消費者被害というようなものはあり得ない」という昔の話しを言っているだけです。

次の国会で、最終的にどのようになるのか分かりませんが、消費者被害救済のための集団訴訟に関する法律改正が成立しそうです。
このような背景を踏まえた上で、安愚楽牧場のような「インチキ経営」にもビジネス的手続を優先するべき、という発言が出来る人に驚きます。

8月 28, 2011 at 12:55 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

安愚楽牧場・被害者説明会(東京)

全国安愚楽牧場被害対策弁護団HPが更新されました。

2011/08/27

被害者説明会のご案内

正式に、「全国安愚楽牧場被害対策弁護団」による「被害者説明会」が決まりましたので、ご案内します。

当日は当弁護団への委任事務に必要な書類一式もお渡ししますので、この問題にお困りな方は、ぜひこの機会にお越しください。

なお被害者説明会の会場にお越しできない方で、別途委任事務に必要な書類一式が必要な方は、本ホームページの末尾記載の当弁護団あてに、ご住所、ご氏名、お電話番号等の連絡先の明記のうえ、送料等を含めた実費相当分として、郵便切手500円分を同封のうえ、封書で、お申込みください。当弁護団への委任事務に必要な書類一式をお送りします。

今後も、お電話による登録も受け付けていますが、電話が通じにくいというご意見もいただいていますので、上記封書による方法もおとりいただければと思います。

当弁護団からのご連絡は、一律に、弁護団名ではなく、弁護士の肩書のない、弁護団事務局次長の「氏名」のみでお送りしています。

既に8月1日から昨日までの間に、当弁護団にご住所ご連絡先を登録された方には、来週中に「委任事務に必要な書類」の発送事務を終了する予定です。

送付がなされない場合は、別途、ご連絡をください(この間、電話以外の、手紙、FAX、メール等でご連絡の方の登録事務は完了しておりません(電話以外の方法を取られた方で、当弁護団から連絡が行っていない被害者の方は、当弁護団への登録が済んでいない可能性があります。
お電話でお問い合わせください。)。
またご連絡先の明記のない被害者の方もおられますので、当弁護団から連絡のできない方もおられます。
この点、心当たりの方も、お電話でお問い合わせください。

株式会社安愚楽牧場被害者の皆様へ

下記の日程で全国安愚楽牧場被害対策弁護団主催の被害者向けの説明会を開催しますので、ご案内申し上げます。

日 時2011年9月1日(木) 3回入れ替え制 事前予約不要(無料)
 17:00~(1回目)、18:20~(2回目)、19:40~(3回目)
場 所東京都千代田区霞が関1-1-3  弁護士会館 2階 クレオ
 地下鉄:霞が関から(丸の内線・日比谷線・千代田線)B1-b出口から直通
 地下鉄:桜田門駅から(有楽町線)5番出口より徒歩5分
 地下鉄:日比谷駅から(三田線)日比谷公園を通り徒歩8分
 JR:有楽町駅から(山手線・京浜東北線)日比谷口より徒歩10分

8月 28, 2011 at 11:48 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

欠陥マンションの建て替え

サンケイ新聞より「構造欠陥、建て替え 柱に発泡スチロール 大京マンション

2011.8.28 09:06

分譲マンション大手の大京(東京)が平成8年から販売した川崎市川崎区の築14年のライオンズマンション京町(7階建て、72戸)で、柱への発泡スチロールなどの異物混入や鉄筋不足など構造上の欠陥が判明し、大京と施工会社が費用を全額負担して異例の建て替えをすることが27日、川崎市などへの取材で分かった。

全国で約6千棟のマンションを手掛ける大京は

「築十数年であれば通常は修繕工事で済むので、こうした建て替えは過去に例がない。あってはならないことで反省している。住民の不安解消のため、誠心誠意対応している」
としている。

大京の説明や川崎市に提出された建て替えの事業計画書類によると、同マンションは川崎区京町2丁目に9年3月完成。
施工は東亜建設工業(東京)だったが、実際は都内の別の建設業者に工事を一括外注した。

20年ごろから一部の部屋で雨漏りするようになり、21年に住民の管理組合が業者に依頼して補修工事や調査をした結果、ベランダの柱と梁(はり)の結合部分などに発泡スチロールや木材の混入と空洞が確認された。

柱の鉄筋が設計図より不足しているなど、構造上の欠陥も複数見つかった。
その後、大京が委託した第三者機関の審査でも、強度の基準を満たさない恐れのある階があると指摘された。

管理組合は「修繕工事では補強は不可能」として建て替えを要望。

大京と東亜建設工業が建て替え費用約16億6千万円と引っ越し代などを払うことで今年3月に合意した。

今後解体し、来年夏に着工、25年完了の予定。

東亜建設工業は

「元請けとして建て替えには真摯(しんし)に対応したい。工事の外注先は大京から紹介された業者で、その後会社を分割して別会社になっており、施工不良の原因は問い合わせたが分からなかった」
と説明している。

サンケイ新聞より「震災時、複数ひび割れ…構造欠陥に住民絶句「ひどい」「悪質な手抜き」

2011.8.28 09:08

ベランダの壁のタイルをはがすと、次々と出てきた発泡スチロールや木枠、網…。

数々の欠陥が判明し、異例の建て替えが決まった川崎市のライオンズマンション京町。
欠陥を目の当たりにした住民たちは「これはひどい」と絶句した。

東日本大震災でも建物は大きく揺れ、壁面に複数のひび割れが生じたという。

「壁の中身はめちゃくちゃ。驚かない方がおかしい」「一刻も早く危ないマンションから出たい」。

住民は団結し、大京側と協議。震災後の3月27日に建て替えを決議し、既に引っ越しを進めている。

欠陥住宅問題に詳しい1級建築士の岩山健一さんは

「発泡スチロールや木材はコンクリートを流し込む型枠に使った物が残ったのだろう。悪質な手抜きがあったとしか思えない」
と指摘する。

マンション施工を下請けした業者はその後会社を分割し、取材に

「今は別会社なので当時のことは分からない」
と回答。
なぜこのような工事が行われ、大京や元請け会社が見抜けなかったのかは不明のままだ。

建設工事を一括して下請けに出す「丸投げ」は平成18年の建設業法改正で全面禁止された。
だが、岩山さんは

「大手が建設費を差し引いて下請けに出し、工事がいいかげんに行われるという業界の体質は今も残っていると感じる」
と話した。

平成9年(1997年)完成だから、ITバブルになっていく頃ですね。

この頃は、この現場に近くの事務所に良く顔を出していました。
丁度、阪神淡路大震災(1995年1月17日)、地下鉄サリン事件(1995年3月20日)の当日に、この事務所で話しをしたのを覚えています。

ある種の世紀末感が、社会の感覚にもあって、投げやりと挑戦が同時に台頭してくるような時期でもあったと思います。
そんな中で完成したマンションではありますが、構造的な基準などはこの頃には完成していて、工事の記録なども取っているはずですから、ここまでひどいことになるのは計画的な犯行、と言わざるを得ないでしょう。

逆に言えば、現在でも意図して、このような「積極的な手抜き工事」が行われたら、欠陥建物を作ることは可能であろうと思います。

このような現場での手抜きを防止するためには、現場に対する評価を弾力的にすることが必要であろうと考えます。
良いものには、高い評価、悪いものには懲罰的評価、といった事でしょう。
単に「高いか安いかだけ」の評価では、品質も当然どんどん落ちていきます。

8月 28, 2011 at 11:22 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)