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2011.03.11

おとり捜査・無罪判決

神奈川新聞より「客引きに無罪判決、「おとり捜査」は適法、協力者の供述を退ける/横浜地裁小田原支部

2011年3月11日

厚木市内の路上で客引き行為をしたとして、風営法違反罪に問われた厚木市在住の社交飲食店従業員(30)の判決公判が10日、横浜地裁小田原支部で開かれ、西野光子裁判官は

「相手を特定して客になるように勧誘したとはいえない」
などとして、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。争点となっていた協力者を使った捜査手法の是非については「適法」とした。

判決では、客引き被害を受けたとされる2人が報酬を受けた捜査協力者であったことから

「供述の信用性については慎重に検討する必要がある」
と指摘。
その上で、2人の供述調書の内容と客観的状況とが符合せず、公判廷での供述内容とも異なる点について
「被告とのやりとりなどの核心部分が『捜査協力であることを隠すため』との理由で異なっているのは不合理」
として、2人の供述が信用性に欠けると判断。

被告が先に声をかけたとする検察側の主張は「立証不十分」として認めなかった。

また、「ビラを示し料金を説明するなど一連の行為が客引きに当たる」との検察側の主張についても

「ビラを示す行為自体は客引きに当たらず、料金の説明は聞かれたことに答えたもので勧誘したとはいえない」
と退けた。

閉廷後、被告は

「無罪はうれしい」と笑顔を見せる一方、
「捜査手法を適法と判断した点は悔しい。今後も捜査協力者のでっち上げの調書が適用され、冤罪(えんざい)を生む可能性がある」
と顔を曇らせた。

無罪判決を受け、県警生活保安課は

「判決を真摯(しんし)に受け止めている。内容を確認していないので詳細はコメントできない」
、横浜地検小田原支部は「判決内容をよく検討し、本庁とも協議した上、適切に対応したい」とコメントした。

おとり捜査そのものを禁止してしまうと、差し支えが大きすぎるとは思いますが、「これはおとり捜査で、掴まえました」と正々堂々と裁判に臨めないのでは、えん罪でしょう。

しかし、今回の裁判ではおとり捜査の手法の一部を隠すために、証拠として矛盾が生じてしまったから、証拠採用されず「立証が不十分」ということになったのではないのか?

要するに、おとり捜査の難しさであって、おとり捜査は簡単には出来ない、と分かったということかと思います。

3月 11, 2011 at 10:32 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.03.09

郵便不正事件・虚偽公文書作成罪について、元会長の無罪確定

サンケイ新聞より「「凛の会」元会長の無罪確定へ 検察側、上告断念の方針 厚労省文書偽造事件

2011.3.9 23:04

厚生労働省の文書偽造事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた自称障害者団体「凛の会」元会長(75)=郵便不正事件では有罪確定=を無罪とした大阪高裁判決について、大阪高検が上告を断念する方針を固めたことが9日、検察関係者への取材で分かった。控訴期限は11日。

文書偽造事件では、厚労省元局長、(55)を含め4人が起訴されたが、同罪の無罪が確定するのは元局長に続き2人目。

昨年4月の1審大阪地裁判決は、凛の会への証明書が不正に発行されたと認識していなかった可能性を指摘し、元局長との共謀も否定し、同罪の無罪を言い渡した。

上告断念ですか・・・・・。
まあ、これまでのいきさつから考えると、当然と言えますが、それにしてもこれほど無様なことにした、特捜部というのは、なんなのでしょうね。

郵便不正事件が起きたこと自体もけしからんわけですが、それを係長が独断で出来てしまう、というのも管理体制としてはひどく情けないもので、検察が「トップが指示したのは間違えない」と思いこんだのも無理からぬとは言えます。

そういう、なんというか「普通は有り得ないだろう」といったことが連鎖したのが一連事件のポイントであり、逆に言えば、こんな事になるのは日本の社会がかなり危うい証拠だと言えるのではないでしょうか?

3月 9, 2011 at 11:40 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

FX取引、121問題。集団提訴

サンケイ新聞より「FX勧誘、集団提訴へ 「香港200億円運用」流用2社に

2011.3.9 14:28

香港の投資会社が外国為替証拠金取引(FX)の運用をうたって集めた出資金を私的に流用し、投資家らの返金に応じていない問題で、運用実態がないのに虚偽の説明で勧誘され、多額の損害を受けたなどとして、東京や兵庫、大阪など22都道府県と海外在住の出資者計39人が、東京の代理店2社と役員6人に総額3億2900万円の損害賠償を求め、近く東京地裁に集団提訴することが9日、関係者への取材で分かった。

問題の投資会社は、香港に法人登記がある「121インターナショナル・インベストメント・リミテッド」。

原告らを勧誘した代理店2社は、いずれも東京都品川区に本社があるソフトウエア販売会社「エイ」と通信販売会社「Truth Company」。

訴状によると、2社はエイ社が開発したFX自動売買ソフトを活用した資金運用で

「年利30%以上の利益が安定的に得られる」
などの触れ込みで出資者を勧誘。
実際は運用委託先とされる121社でFXの運用がされていなかったことが疑われ、昨年7月ごろから元金も返還されない状況が続いているとして、原告1人につき最高で約1億2千万円の賠償を求めている。

原告の39人は、セミナーなどを通じて紹介されたが、リスクの十分な説明はなく、金融商品取引法(断定的判断の提供禁止)などにあたると主張している。

121社では昨年10月、最高責任者が「運用資金を事業に流用し、資金がなくなった」と出資者らに説明し、トラブルが表面化。
被害対策弁護団(東京)によると、集めた金は100億円とも200億円ともいわれる。エイ社は産経新聞の取材に応じていない。

【用語解説】外国為替証拠金取引

顧客が業者に預けた証拠金を担保に、その数倍から数十倍の外貨の売買ができる、個人投資家に人気の高い金融商品。

ハイリスク・ハイリターンが特徴で、平成10年の外為法改正で登場したが、詐欺的な勧誘や返金に応じないなどトラブルが相次いでいる。

121関連ファンド被害対策弁護団のホームページ」に、弁護団が説明しています。

これによると、

「121関連ファンド 最高責任者」と称し,平成22年6月24日まで121証券の取締役(平成20年7月14日までは代表取締役)であった林云(リン・ユン。JACK LINとも名乗っている。)が同年10月4日,深?(シンセン)に集まった代理店関係者らに対して,「

私は,MFGlobalで運用していると言っておりました運用資金ですが,実際は運用をしておりませんでした。事実を隠しておりまして大変申し訳ございません。ここで謝罪いたします。」
との「謝罪文」を交付し,そもそも資金の運用の事実自体がなかったことを明らかにした。

また林云は,同月7日,出資者らに対して「121関連ファンドの返済遅延について」と題する書面により,「みんなさま(ママ)の運用資金を事業に流用し」,流用した資金を返済することができなくなったこと等を理由として,「返済の遅延が発生し,運用できなくなり,資金がなくなりました。」と公表した。

とのことですから、国際犯罪だと言えるようです。

さらに下記に、マルチネットワークで、代理店をたくさん作ったとのことです。

4 商品及び代理店について

  商品名は代理店毎に様々な名称が付されており,出資者らにとって121INTでの運用がされていたのかどうか,一見して分からないものも存在する。現在寄せられている情報によれば以下の名称の商品が存在するようである(ただし,この名称を付されたシステムが全て121グループに利用されているかどうかは定かではない。)。

 「Art FX」,「All Empower Trading」,「121fund」,「121BANKCARD(Vision Pay Card)」,「FXウルトラマスターAL121」,「TG=FXミラクルマスター」,「usd.121fund」,「JIP SYSTEM」,「121FXファンド」,「FX SUPER MASTER」,「121FUND LUCK」,「AL121FX」  このように,各代理店の付けた名称が異なり,かつその名称中に必ずしも「121」の文字が冠されていないことから,出資者らの中には当該商品が121関連ファンドであることを知らない者,加入時には知らなかったが事後的に知らされた者も存在する。

 121関連ファンドは,ある者はマルチネットワークを利用して,ある者はブログ等を用いてインターネット上で(CFPなどの資格を示して行う例もある。),ある者は従来から勧誘を行っている各種ファンドの中の一商品として販売勧誘するなど,要するに各代理店にとって販売勧誘しやすい様々な方法で勧誘を行うことが可能であった。

 契約態様についても様々であり,代理店が勧誘した出資者らが121INTとシステム利用契約または外国為替証拠金取引契約を直接締結するもの(もっとも,自動売買システムを自ら使用して運用するのではなく,運用は121INTに委ねる。),代理店が組成する組合(投資事業有限責任組合等)と利用者が組合契約を締結して出資の預け入れをする形式を採るものから,いかなる契約形態かを示さずして代理店に対して口座開設申込みを行わせるものまで様々である。また,口座開設のためのツール(「CD」。All Empower Limited」,「f(x)=function」等)を配布する例もある。

 料金体系も各代理店毎に異なる。

ところが、Webサイトは一括管理されていたようです。

また,121関連会社のウェブサイトについて調査したところ,下記のウェブサイトは同一IPアドレス(208.109.191.59)のサーバー(米国アリゾナに所在)で運営されており(www.121ats.com,www.121fund.com,(sky.121fund.com,usd.121fund.com,oval.121fund.com,mini.121fund.com,al.121fund.com,tg.121fund.com),www.121fx.com,www.121bank.com,www.fxasp.com(report.fxasp.com,demo.fxasp.com),www.all- empower.com,www.just-smart.net,www.jiphongkong.com,www.phl- channel.net,www.ml-bank.com,rose.qrcode.net ,wis.qrcode.net),マルチアドレス,サブアドレスを各代理店や関連会社に割り当てるなどして,全体を組織的に管理・運営していたようである。

 代理店によっては,自らも運用がされていないことを知らずに投資をした被害者であるとして,利用者に呼びかけて集団的に弁護士に依頼すると称して,そのための「委任状」,「被害者同盟賛同書」を徴求するなどの例があるということである。しかし,代理店が仮に自らも資金を出していたとしても,後述するように利用者との関係においては賠償責任を負う(少なくとも負い得る)立場にあるというべきであり,そのような利益相反する当事者間において,そのような関係にあることを説明することなく,共に被害者であると説明して「委任状」等を徴求しようとする行為は自らへの責任追及の矛先をかわすことをその目的とするものであると考えられる。

まあ、ひどいものですが、はたして裁判で何とかなるものなのか?と思うところです。

3月 9, 2011 at 03:40 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

四万十町の選挙で

高知新聞より「当選議員が棄権者叱責 1月の四万十町議選

2011年03月09日08時33分

1月30日に投開票が行われた高岡郡四万十町の町議会議員選挙で、当選した議員(68)の後援会長を務める男性(74)が、投票所の「投票立会人」となっていた上、同日夜に議員の自宅で開かれた祝賀の酒席に出席し、議員に特定の有権者名を挙げ

「投票所で顔を見なかった」と伝えていた
ことが3月8日までに高知新聞社の調べで分かった。

議員は翌日、その有権者宅で、投票に来なかったことを叱責(しっせき)していた。

2人の行動は「投票の秘密は、これを侵してはならない」などと定めた憲法第15条に反し、自由な選挙を妨害する行為として批判を浴びそうだ。

四万十町選挙管理委員会が発表している情報が見つからず、よく分からないのですが、有権者は16,782人で、町議会議員の定数が20人らしいです。

これでは、投票率を60%と仮定すると、投票総数が1万票しかない。
それを20人で機械的に割ると、一人の議員あたり500票だとなります。

これでは、誰が投票に来たのかは丸わかりで、それが後援者だったら「なぜ来なかった」とかなるでしょうなあ~。

まあ、この議員が有権者宅に「投票に来なかった」と叱責した、というのが痛すぎます。

四万十町の全人口は、19,625人となっています。
人口2万人で、議員が20人というのは、議会制民主主義としては限界ではないだろうか?
議員数を減らすのか、合併で自治体としての人口を増やすのか、という観点から考えるべき問題だと思う。
単に「法律違反だ」とか言い出すと、地域として住みにくくなる方向に向かうような気がする。

3月 9, 2011 at 12:08 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011.03.07

ちょっと注目の裁判

サンケイ新聞より「目撃者なし、供述調書なし、食い違う「火の元」…無罪主張の放火殺人事件、7日初公判」

2011.3.6 21:29

自宅に放火し母親を殺害したとして、殺人罪などに問われた被告の裁判員裁判が7日、東京地裁(近藤宏子裁判長)で始まる。

被告は逮捕時に否認した後は黙秘を続け、供述調書はない。
目撃者もなく、火の元をめぐり検察、弁護側の鑑定結果が真っ向から対立する異例ずくめの公判廷だ。
裁判員は25日の判決で難しい判断を迫られそうだ。

■「やっていない」

起訴状などによると、配管工(36)は平成21年9月3日、大田区南馬込の自宅で灯油を使って火をつけ、母親(60)=に全身やけどを負わせ、殺害したとされる。
被告も負傷し、昨年3月に逮捕された。

被告は母親と姉(38)の3人暮らし。

警視庁の調べによると、事件直前に病死した父親=当時(61)=の葬儀をめぐり、母親と口論になるうちに火を付けたとされる。姉にけがはなかった。

被告は搬送時、救急隊員らに犯行を認めたが、逮捕時は「やっていない」否認。
弁護側に対し、認めたことを「覚えていない」と話しているという。

■食い違う主張

弁護側によると、渡辺被告が話す状況はこうだ。

父親の遺体を自宅に運ぶことに姉が抵抗。
話し合いがこじれ、母親は

「姉と死ぬ。練炭を買ってきて」
と言い出した。

母親は過去も「死ぬ」と何度か言った経緯があったため、いらだった渡辺被告は練炭を手渡した。

その後、渡辺被告は別の部屋にいたが、悲鳴がして廊下へ出ると母親が燃えていた。
灯油がかかっていた形跡もあり、火を消そうと覆いかぶさったという。

弁護側は「本人は火は付けていない。別人の犯行か、母親の自殺」とする。

■鑑定も対立

出火場所は本人のいた部屋に近い「階段下付近」とする検察側に対し、弁護側は離れた「台所」とする別の鑑定結果も得ている。

被告自身も重いやけどを負ったことで事件発生から逮捕まで半年。
犯行の直接の目撃者はおらず、黙秘していることなどから、公判前整理手続きに約1年を要する異例の展開となった。

検察側は姉や救急隊員を証人申請。関係者の証言などから犯行を立証する。

この事件は、読売新聞の当時の記事には次のように報道されています。

3日午後4時半頃、大田区南馬込2、方から出火、木造2階建ての同宅をほぼ全焼した。

母親と被告(34)が全身にやけどを負って病院に運ばれ、長女(37)も左手に軽いけが。

池上署幹部によると、被告「廊下に火をつけた」と話しているため、同署は被告の回復を待って現住建造物等放火などの疑いで事情を聞く。

これが、今回の記事の
被告は搬送時、救急隊員らに犯行を認めたが、逮捕時は「やっていない」否認。
弁護側に対し、認めたことを「覚えていない」と話しているという。
そのものなのですね。

そして、その後は全て黙秘だから、調書がない。

これで裁判に出来るものなのだろうか?
あまりに、捜査が足りないのではないのか?

裁判員は難しい判断、と記事は書いているのが「この捜査は理解できない」とでもやられたら、警察・検察はどうするのだろうか?

3月 7, 2011 at 11:19 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.03.06

法律の基礎的な面を見直すべきである

毎日新聞より「反射鏡:「参議院の優越」を何とかしなければ=論説委員長・冠木雅夫

「参議院の優越」。それが最近の日本政治を動かす原則である。
と言うと、おや?と思う向きも多いだろう。わが憲法が定めているのは「衆議院の優越」のはずだと。

目の前で起きているのはこういう図柄だ。

衆院では過半数(241議席)を大きく上回る307議席(国民新党と合わせ311)を有する菅政権が参院で立ち往生しつつあるのだ。

参議院で与党が過半数割れしている以上、衆院での再可決に必要な3分の2を確保できないと予算関連法案を通せない。予算修正で合意できなければ政権は窮地に陥る。

参院が政権の生殺与奪の権を握る形である。

自民党が強い時代は両院で与党が過半数を確保するのが常だった。だが、2大政党が拮抗(きっこう)し、民意が振り子のように変わる最近では難しくなった。まして衆院で3分の2以上というのは難易度が高い。

この条項については<むしろ「参議院の優位」を帰結する効果をもたらす>という憲法学者の指摘もある(只野雅人・一橋大教授「岩波講座 憲法4」所収の論文)。

欧米の政治制度に詳しい大山礼子・駒沢大教授が「日本の国会--審議する立法府へ」(岩波新書)で問題提起している。
内閣提出法案の審議に内閣の関与を強める、国会審議を通じて合意形成する、参院の権限を弱め言論の力で存在感を発揮することなどにより、国会の機能を高めようというのだ。

先日、大山さんの研究室を訪ねて話を伺った。

今の事態は「それみたことか」という印象だという。同書は

「カリスマ性をもたない弱いリーダーもある程度指導力を発揮でき、
逆に強いリーダーが登場した場合にはその権限行使をチェックできるような枠組みを」と記す。

要するに「程度の悪い議員でも何とかできるような制度にする必要があるということです」。

政治学者の北岡伸一・東大教授も昨年末刊の「グローバルプレイヤーとしての日本」(NTT出版)で国会改革を主張している。

「首相を決めるのは衆院議員選挙であるということの再確認」が重要であり 「参議院の敗北くらいで責任問題を問うべきでない」と強調する。

両教授とも3分の2条項を過半数にという主張だ。

2大政党の政策の違いが少なくなっている今、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ」はむしろ常態になる。
「ねじれ」を嘆かず、それを前提に物事を決める仕組みが必要という。

菅直人首相は平成の23年目にして16人目の首相である。うち2年以上在任したのは小泉純一郎氏ら3人だけ。

今世紀に入ってからでは、小泉氏以外の森喜朗、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫の各氏とも約1年かそれ以内の短命政権だった。政権がコロコロ代わる理由は一口では言えないが、参院選敗北直後の辞任、参院選に備えての首相交代、参院多数派工作の失敗など、
「参院の重圧」が大きな比重を占めている。

政権が頻繁に代われば政治の問題解決能力は小さくなるし、国際的な信頼度も低下する。

デフレにあえぎ国内総生産(GDP)の2倍もの借金を抱えつつ少子高齢化社会に突入している日本である。
政治の機能不全で問題を拡大再生産している場合ではない。

もちろん「政治は可能性の芸術」であるから、高いハードルがあれば備えるのが当然だ。できなくてブツブツ言うのはみっともない。
だが、こう短命政権が続くと、高すぎるハードルの問題も大きいことになる。

両院のあり方の改革は9条の問題よりもはるかに重要で緊急性が高いとしているのが京大教授の大石眞氏(憲法)である。

1999年に斎藤十朗議長のもとに設置された「参議院の将来像を考える有識者懇談会」に参加し
「再議決要件を過半数に、ただし一定期間は再議決権を行使できないようにする」などの改革案を提起した。
だが参議院の権限を弱める提案には「参議院をおとしめる気か」と反発する議員もいたという。

「強い参院」にはさらに昨年7月時点で最大5・00倍という1票の格差問題がある。
高齢者の多い地区が過剰代表になっていて、それが政策をゆがめているという議論もある。

敗戦後、GHQが示した1院制の憲法草案に対し、日本側が追加を要求して受け入れさせたのが参院だった。

創設当初から今に至るまで衆院との関係や性格付けが延々と議論され続けている。
日本の政治の力を回復するために今こそ本格的な国会改革をする時期だろう。

憲法も含めて、根本的なところをチェックする必要があると強く思う。

この記事の通り、なぜ参議院が反対すると衆議院は2/3の賛成多数を集めないと参議院の決議をひっくり返すことが出来ないのか?その理由が分からない。
こんなことには、もっと明確で国民が誰でも理解できる説明がなければいけない。
例えば、参議院議員は無給のボランティアである、とでもすればだいぶ話が違ってくるだろう。

そもそも、国民から見て、衆議院と参議院の区別が付くものなのだろうか?だから参院廃止論も出て来る。
そして、唯一参議院が力を発揮するのが、2/3条項だというのでは、逆に言えば衆議院の議決を過半数から2/3に変更すれば、参議院は廃止できるとも言える。
この程度のことで、存在意義が無くなってしまう参議院とはなんなのか?

最初に憲法に触れたのは、先日の京都大学で起きたネット利用カンニングで事件について、IPアドレスなどを「任意」で提出したのですね。

確かに、社会的に緊急事態であって、捜査の必要はあると言えるのだが(たかがカンニング論は別にする)、じゃあ警察がこれを捜査できるのか?というと、法的にはかなり怪しい。

要するに、盗聴ではないのか?となるのだが、憲法では禁止されているように見える。
しかし、実体法では何が盗聴なのかが規定されていない。

情報通信では、情報の本文と、住所など宛先の情報があるのに決まっているが、通信の秘密には通信したことを隠すこと含まれるから、宛先の情報も通信秘密であり、盗聴が通信秘密全体に及ぶのであれば、IPアドレスの任意の提出なんて事は許されない、となってしまう。

それ以前に、複数のノードを経てくる通信を遡って発信者を突き止める、というインターネットでは日常的に行われていることも、憲法上は違反になってしまって、要するにインターネットは使えないとなる。

なんでこんな初歩的なところで、混乱しているのか?というのは、通信の秘密についてまともに憲法から実体法まで整理していないからで、国民全体で適当にやっている。
こんな事では、政治がちょっといい加減になったら、近代の国家Toshi地球上に存在許されないことになりかねない。

憲法の改正も含めて、法的な基礎を再建する必要があると強く思います。

3月 6, 2011 at 09:20 午後 セキュリティと法学 | | コメント (0) | トラックバック (0)