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2011.09.24

安愚楽牧場・自転車操業確定であるが

サンケイ新聞より「安愚楽牧場、口蹄疫や震災以前からビジネスモデル破綻か

2011.9.24 07:44

和牛オーナー制度が行き詰まり、4千億円超の負債を抱えて破綻した畜産会社、安愚楽(あぐら)牧場(栃木県)が、遅くとも5年前には新たな出資金で既存の出資者向けの配当などを調達していた疑いが強いことが23日、財務諸表を検討した複数の専門家の指摘で分かった。

専門家は「自転車操業状態に陥っていた」と指摘。破綻の最大の理由について、同社は昨年発生した口蹄(こうてい)疫や東京電力福島第1原発事故による経営悪化としていたが、ビジネスモデル自体がそれ以前に破綻していた可能性が出てきた。

経緯を確認する同日までの取材に対し、安愚楽牧場の回答はなかった。

和牛オーナー制度は、安愚楽が雌の繁殖牛を1頭当たり300万~500万円程度でオーナーと呼ばれる出資者に売却し、数年後に買い戻す仕組み。
飼育は安愚楽が担当し、その間に生まれた子牛を売却して、年3~4%程度の配当が得られると宣伝していた。

最近5年間の財務諸表によると、毎年3億~5億円程度の当期純利益を計上しているが、資産運用に詳しい大手町会計事務所の大黒崇徳代表税理士は

「本業のもうけの割合を示す数字は0・1~0・8%。年3%以上の利益が出る事業ではなかった」
との見方を示す。

さらに

  1. (1)自己資本比率が低く資本の大半はいずれ出資者に返還する必要がある
  2. (2)現金が40億円減少する一方で固定資産が65億円増加し、資金繰りが悪い-
などから
出資が増えると、それ以上のお金が必要になるビジネスモデルだった可能性が高い」
と指摘している。

大手信用調査会社の担当者も

オーナーを募集し続け、必然的に簿外債務が膨らむ構造
と分析している。

なるほど自転車操業のことを、「出資が増えると、それ以上のお金が必要になるビジネス」と呼ぶのですね。

自転車操業で出資詐欺というのは良くあることですが、安愚楽牧場の場合ここまで巨額の被害を生み出した原因は決算がチェックされていなかったことに尽きるでしょう。

出資金を利益扱いにしていたのだから、会計監査を通るわけが無く会計監査も義務だったのですから、義務を履行しないで巨大な被害を生み出したと言うことは、義務を課した側に責任があるとも言えます。
履行せずに被害を生じさせるような義務というのは存在意義が無い。

その意味では農水省はこの問題をどう捉えるのか?業務内容をどこまで見ていたのか?

とは言え、最近の10年間ぐらいで見ると日本の畜産業は飼料の高騰などで極めて採算性が低く苦労している中で、なんで安愚楽牧場だけが高配当が出来るのか?という根本的なところに疑問を持たずに投資した方々が多いのでしょうね。

いかにも和牛という現物に投資したように見えますが、実態は金融でありハイリスク商品でした。
基本的に「○○に見せかけて」というの許されないわけで、例えばパチンコの景品引き換え用の商品が問題にされた時期もありました。
こういった解釈だと、和牛という見せかけの商品にお金を出した、とも言えるでしょう。現物(和牛)が手元にないのだから、せいぜい手付け金ぐらいがお金を出す限度かと思います。商品価格の1/10程度でしょう。

ところが、実態は市場価格以上で出資していた、だから返済額は市場価格を大きく超えてしまい、安愚楽牧場は返済するたびに赤字が増えていく。

こんなからくりを全出資者が見抜ける保証は無いわけで、だからこそ決算・会計監査などが確実に履行されなければならないとなっています。

あっちこっちに法令違反があるわけで、この事件を単なる倒産で片付けて良いとはとうてい思えません。
これで「単なる倒産」として許されたら、日本は詐欺師の天国になってしまいます。

投資の自己責任という前に、決算や会計監査などの実施状況については、問題がある場合に監督官庁が公表するべきではないでしょうかね?
それによって、危ない企業に第三者が関わることを防ぐのは、広い意味での行政の責務だと思うのです。

9月 24, 2011 at 09:58 午前 事件と裁判 |

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コメント

私はオーナー歴6年弱でした。
もうその頃から自転車操業だったなんて。

安愚楽牧場の案内のパンフレットに一貫生産体制で無駄をなくしているから、配当を出せると記載されているのを信じ、投資してしまいました。

肥料の高騰も手紙には自社の生産で安く費用を抑えているとありました。
大規模農場だから、困難にも立ち向かえられると信じて疑いませんでした。

昨日の紀藤弁護士のブログにもありましたが、消費者庁に被害者の声を届けてみようと思います。

投稿: powerpuff me | 2011/09/25 8:47:41

コメントありがとうございます。そしてお疲れさまです。

>一貫生産体制で無駄をなくしている
>肥料の高騰も手紙には自社の生産で安く費用を抑えている

日本は自由競争なのですから、コストダウンできる手法があれば、他の企業も同じ手法を使うのに決まっているわけで、高度な技術製品のように特許で技術を独占使用する、といった条件がないと一社独占はそもそも不可能です。

肥料の高騰についてこんな説明をしていたとは、ビックリです。
いうまでもなく、牛の飼料は畑で取れたもので、これはアメリカのとうもろこしが原料です。

このアメリカの農産物は、独占的な穀物会社が技術開発(遺伝子操作)で、他では競争できないような価格で作り出して、市場を独占しました。

その結果として、価格操作がしやすくなったわけです。
だから、日本の畜産業はどこもが大変になってしまった。

わたしは、アメリカが農業生産を独占するために、各国の農業を潰さないように、しかし成功しないようにコントロールしているのだろうと思っています。

パンフレット自体は、証拠としての価値がありますね。

投稿: 酔うぞ | 2011/09/25 11:49:42

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