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2011.07.31

集合訴訟シンポジウム

昨日(2011/07/30)、霞が関の弁護士会館で開催された「集合訴訟シンポジウム」に参加してきました。

繰り返される大規模な消費者被害。

その一方で被害を受けながら、泣き寝入りを強いられている消費者は少なくありません。
そのような消費者の権利を糾合して、消費者が容易に被害回復を求められる画期的な訴訟制度の検討がいま大詰めを迎えています。

本シンポジウムでは、内閣府消費者委員会に設置された集団的消費者被害救済制度専門調査会の最終報告案の内容についてわかりやすく紹介すると共に、当連合会がこれまで公表した提言(「損害賠償等消費者団体制度要綱案」等)の内容を踏まえて評価すべき点や問題点を明らかにします。

当連合会は、本シンポジウムを通じて、市民の皆さまとともに、集団的消費者被害救済制度はどうあるべきか、同制度導入の必要性について改めて確認し、より良い制度の実現に向けて、今後どのような取組が必要かを考える機会としたいと考えています。是非、御参加ください。

消費者庁及び消費者委員会設置法の付則

   附 則

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(検討)

2 政府は、消費者委員会の委員について、この法律の施行後二年以内の常勤化を図ることを検討するものとする。

3 政府は、この法律、消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成二十一年法律第四十九号)及び消費者安全法(以下「消費者庁関連三法」という。)の施行後三年以内に、消費者被害の発生又は拡大の状況、消費生活相談等に係る事務の遂行状況その他経済社会情勢等を勘案し、消費者の利益の擁護及び増進を図る観点から、消費者の利益の擁護及び増進に関する法律についての消費者庁の関与の在り方を見直すとともに、当該法律について消費者庁及び消費者委員会の所掌事務及び組織並びに独立行政法人国民生活センターの業務及び組織その他の消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。

4 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、消費生活センター(消費者安全法第十条第三項に規定する消費生活センターをいう。)の法制上の位置付け並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。

5 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)による差止請求関係業務の遂行に必要な資金の確保その他の適格消費者団体に対する支援の在り方について見直しを行い、必要な措置を講ずるものとする。

6 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年を目途として、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。

この、赤字にした部分について、新たに法律を作る必要がある、ということで「集団的消費者被害救済制度専門調査会」で検討が進んできて、8月に最終報告のとりまとめを行い、平成24年通常国会で法案提出の予定になっています。

消費者被害と言っても、極めて軽微なものから、人命に関わるものまであるわけで、集合訴訟がどんな亊案を対象にして、どのように運用するべきか?というところに興味があって、覗いてきました。

わたしの感想は「いやはや、難しい」です。

シンポジウムを主催している方々、参加している聴衆の多くが、集合訴訟を強力に推進する、という立場の方々だったのですが、正直に言って「生煮え」な感じであり、個人情報保護法が使い物にならない、あるいは誤解している人が多い、という例を思い出してしまいました。

基本的な考え方としては、従来の訴訟が原告一人一人が、同じ被告を訴えるという形であったのに対して、原告を代表するもの一人が被告を訴える形になります。

逆に言うと、原告の意志はどのように反映されるか?がいくつか想定できます。

  • 被害者(利用者)全員を機械的に対象とする
  • 被害者(利用者)の内、訴訟に参加する意志を表明した人を対象にする

なんでこんな事になるのか?というと、「被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪」が利いてくるわけです。
不当利得だとして、剥奪した財産を被害救済として被害者に給付することになりますから、訴訟と給付という二段階があります。

こんな当たり前のことが、なんで問題になるのか?というと、事件の内容によっては被害者自身が被害に遭っているのかどうか分からないのです。
例えば、食中毒事件の場合、中毒症状が出た人と出ない人が居るわけですが、これを厳密に分けているから従来の訴訟では莫大な手間が掛かった。
そこで「製品に欠陥があったのだから、出荷した製品に応じて賠償するべき」といった考え方なのです。

そうして、賠償金を代表原告の手元に入ったとして、それをどのようにして給付するのか?というところは、従来の訴訟の手間がそのまま代表原告のところに来るでしょう。
被害者の中には、給付金を受け取らない、という人も出て来るでしょう。

こんな状況が分かりました。

わたしには、「これで法律に出来るものなのか?」という印象が極めて強いです。
広範な消費者に被害を及ぼした被告から、まとめて賠償金を取り上げるのは悪徳商法撲滅などにも有効なはずですから、賛成なのですが、その先をどうするのか?

諸外国の例の説明はあまりありませんでしたが、消費者教育のために寄附になる、といったこともあるようです。
日本では、寄附する先があるのだろうか?なんて考えてしまいました。

7月 31, 2011 at 11:10 午前 セキュリティと法学 |

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