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2011.02.05

もんじゅの事故は、回復できないと思う。

朝日新聞より「もんじゅの装置落下 復旧に9億4千万円

2011年2月5日7時31分

日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で燃料交換装置が炉内に落下したトラブルで、落下した装置を引き抜くための追加工事や試験などの復旧作業に、新たに約9億4千万円の追加費用がかかることが4日、わかった。

機構によると、1月28日にもんじゅの復旧作業について東芝と契約した。

復旧作業では、炉のふたにひっかかった燃料交換装置を取り外すのに必要な機器を新たに設計・製作したり、外した燃料交換装置を分解調査したりする。

もんじゅにはこれまで約9千億円の費用がかかっている。
運転開始後の1995年に冷却材のナトリウムが漏れる事故を起こした後、事故現場を撮ったビデオを改ざんしたことなどが発覚して批判を受け、長期間停止していた。

昨年5月に運転を再開したが、第1段階の試験終了後の8月末、燃料交換に使う「炉内中継装置」(重さ3.3トン)を原子炉に落とした。

装置の一部が落下の衝撃で膨らみ、ふたにひっかかって抜けなくなり、運転できない状態になっている。

次の段階の試験開始は2011年度中を目指すが、復旧作業に時間がかかるため、当初より半年ほど延びている。
(小堀龍之)

これはずいぶんひどい話で、「炉内中継装置のこれまでの状況及び今後の進め方(PDF)」独立行政法人日本原子力研究開発機構、に説明が出ていますが、なぜ落下したのか?というところがすごいです。

  1. 平成22年8月26日(水)14時48分頃、原子炉機器輸送ケーシングを用いて炉内中継装置を取り出す作業中、原子炉容器内より約2m吊り上げた時点で、炉内中継装置が落下した。
  2. 落下した原因は、爪開閉ロッドの回転により、グリッパの爪が正常に作動せず、つかみ不足により落下したものと推定。
  3. 作業を実施したところ、炉内中継装置が ・平成22年10月13日に炉内中継装置の引抜き引き抜けないことを確認。
  4. 引き抜けない原因は、落下時の衝撃により炉内中継装置の接続部で変形が生じ、燃料出入孔スリーブの入口部で接触しているためと推定。
  5. 炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜きによる炉内中継装置の引抜き復旧工事(準備含む)の方法を検討

PDFの図を見ると分かりますが、マシニングセンターなどの自動工具交換装置の考え方で出来ています。
しかし、爪が回転してしまう構造であり、それによって片吊状態になってしまった。
何でこの段階で停止する仕組みになっていないのかが理解し難いところです。

そもそも、まっすぐ引き抜く仕組みなのだから、穴の構造は基本的にはストレートか上開きであるべきところが、中に段差というか出っ張りがある。
そこに引っかかってしまって、それを無理に引っ張ったものだから変形してしまって、身動きできなくなってしまった。

そのために全体を引き抜く事になったという事のようです。

しかし、爪が回転すると開き角度が変わってしまう、といった危うい設計があっちこっちにあるとしか思えないのですから、今後順調に動くとは思えないです。

仕組みとして、国(独立法人)がやること自体に無理があるのではないかと思いますね。

2月 5, 2011 at 11:48 午前 もの作り |

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コメント

”団藤保晴の「インターネットで読み解く!」”にもんじゅの記事が出ていますが、良くまとまっていると思います。
http://dandoweb.com/

上記に有る様にもんじゅの事故は回復不能でしょう。

投稿: tadys | 2011/02/06 6:24:08

 物作りの素人から見ても開発機構のPDF中にある構造にツッコミが
いくつも入れられそうな所が怖い。
例えばグリッパの爪も外爪、内爪があるので汎用の部品と思えるが
 ・開閉ロッドの開閉の接触面が球面、平面と異なる
 ・球面で接触すると回転トルクがかかる可能性がある
 ・なぜ2本爪なのか
 ・回転止め機能がない(U字金具の溶接は弛み止め、タイガー戦車の
  転輪のボルトを溶接しての弛み止めを思い出しました)
なんだかシロウト工作みたいで他の所も物作りのプロがみたらそれこそ
問題だらけになるような感じです。

投稿: tune | 2011/02/11 9:23:02

tuneさん

おっしゃる通りなのですが、わたしには設計年次が古すぎて、設計が要求している操作に必要な技術水準が、失われているからだろうと思っています。

元の設計としても、いわば学者が設計した、脆弱なもの、という印象がありますが、実は日本では、この手の問題は戦前からありました。

古くは、長距離飛行実験機のA26を実用機にしようとしたら、全く無理であった。

近くは、JAXAのH2ロケットを三菱重工に任せて、H2Aにしたら大幅に改良できた、などです。

どうも、日本の先端技術は、学者が現場をバカにして、勝手にやっているところがいまだにあるようなのです。

投稿: 酔うぞ | 2011/02/11 17:35:41

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