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2011.01.01

警視庁資料流出は確信犯の行為

サンケイ新聞より「警視庁テロ資料 流出2日前に別サイト掲載 警察官らにメールで知らせる

2011.1.1 11:23

警視庁公安部が作成したとみられる国際テロ捜査資料がインターネット上に流出した事件で、流出2日前に同じ資料がネットのサイトに掲載され、十数カ所に掲載を知らせるメールが送信されていたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。

十数カ所には国内のイスラム教徒が組織する団体や在日大使館のほか警察官も1人含まれていた。

警視庁は警察関係者が犯行に関わった可能性があるとして、引き続き流出元の特定を進めている。

捜査関係者によると、昨年10月26日朝、114件の捜査資料が、オンラインストレージサービスと呼ばれるデータ共有サービスサイトに掲載された。

この後、警視庁から警察庁に出向中の警察官を含む十数カ所に存在を知らせるメールが送信された。
送信元のアドレスは安藤隆春警察庁長官の名前を使用していた。

資料がファイル共有ソフト「ウィニー」上に公開されたのは同28日夜だったが、同日未明には114件の資料が添付されたメールが埼玉県警幹部のキャリア警察官に送られていた。

この際のアドレスは「ヤマダイチロウ」だったという。

迷惑メールを疑ったことなどから受信者がサイトに接続することはなく、警視庁が公式に認めた同30日夜まで流出が発覚することはなかった。

警視庁では、同サービスで流出させようとしたが、反応がなかったためウィニーを使って流出させた疑いがあるとみている。

資料は最終的にルクセンブルクのレンタルサーバーを経由してウィニー上に公開された。

警視庁は偽計業務妨害容疑で国内外のプロバイダから接続記録の提出を受け捜査しているが、匿名化ソフトが使用された疑いがあり特定は容易ではないという。

わたしには、新年早々なかなかの大事件のように見えます。

1995年以降、悪徳商法も含めてネットワーク上の民事・刑事事件に注目して、実際の被害者と話をし始めました。

元もと、1988年にSYSOPになった時点で、著作権法に抵触するアップロードを削除する義務を契約上負っていたので「ネットと著作権」という観点から参考書を探したのですが、ほとんどありませんでした。

仕方ないから、法律的な原理をさかのぼって、現実に起きている事件に自分の判断で適用する、といった手法を採っていました。

その結果、どんどんと法律や刑事捜査の世界に近づいていたわけで、1999年には「コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム」に参加してしまいました。

本格的な、刑事捜査のお話を聞いていると、自然にネットワーク上でも普通の刑事事件と同じように、動機・手段・方法・結果・社会的影響などを考えるべきだと分かってきました。

ネットワーカとしては、ハッキングとかウィルス放流などを技術の自慢の行き過ぎとか単なるいたずらと捉えがちですが、刑事事件として考えた場合は動機はもっと複雑で金銭目的である可能性も当然ある、となります。

数年前から、シンポジウムでは強調されていますが、ボットネットなどは完全に分業体制の産物であって、奪取したメールアドレスが売れるから成立しているわけです。

では、お金を払ってメールアドレスを取得した者はコストに見合う成果として何を得ているのか?
こんな風に考えると、ネット上の事件を「ネットだから」と考えなしにまとめることはきわめて危険だ、となります。

今回の警視庁資料流出は、当初から確信的意図があってのことだろうという雰囲気がありました。
これは、尖閣事件ビデオ映像の流出と同じです。

問題は、おそらくはそのような確信的な意図を持って、脱法的行為をネット上で行う者について、尖閣ビデオ事件でも警視庁資料流出でも、とりあえずそんなことはないことに出来る、と考えてしまう姿勢にあるのでしょう。

ネットを事実上全世界の人が使えるようになった時代に、「ネットだから」的な思考法的な対応では限界であることは明らかで、ケーススタディとしては企業の不祥事対応がBCP(事業継続計画)そのものである、と指摘されているのと同じでしょう。

今後は、この手の事件が起きたら、政府など行政機関、企業を問わず「BCPの観点から正しい対応なのか?」を評価するべきですね。

1月 1, 2011 at 02:36 午後 事件と裁判 |

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