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2011.01.15

児童相談所の親権強化

東京新聞より「児童虐待防止 児相側の親権強化へ

2011年1月15日 朝刊

虐待防止などのため児童相談所が一時保護している子どもらについて、親が親権をたてに不当な主張を繰り返す場合に、児相側が必要な措置をとれるよう児相長の親権を強化する厚生労働省・専門委員会の報告書が来週中にもまとまる。

法相の諮問機関・法制審議会が創設することを決めた親の親権の最長二年間の停止と連動した改革で、同省は児童福祉法の改正案を通常国会に提出する方針。

同省によると、親が不当な主張をする場合

  • 児童養護施設に入所中の児童に施設長と里親が必要な措置がとれるようにする
  • 児童相談所に一時保護中の児童に対し、所長が必要な措置をとれるようにする
  • 一時保護中などで親権者がいない児童について児相長が機関の長として親権を行う
などが改革の柱。

現行法では、施設入所中の児童や里親中の児童に対する親権は施設長や里親が代行するが、親の親権とどちらが優先するか法律上、明確ではない。

また、一時保護中の児童については親権代行のような規定がなく、一時保護中などで親権者がいない児童の場合も誰が親権を行うかの定めがない。

このため、現場では児童に必要な手術を受けさせる場合や進学・進路の決定、携帯電話など生活上の契約など、親権者の同意なのに親が拒むケースがあり、支障が出ている。

同省は同法改正により、こうした事態を解消し、将来的に親権停止を行うほど重大な事案ではないが、親権が問題となる事態に対処していく方針という。

児童相談所について、具体的に知ったのは2004年の「ホームオブハート事件」の発端である、那須での児童相談所による「一時保護」でした。

その後も、色々な場面で児童福祉施設や法律に近づくことになって、2004年当時とはわたし自身の関心も全く別になってきました。

昨日、ある高校で「職業講話」をしてきたのですが、学校の説明に「片親の家庭も多い」との説明もありましたが、その中に「直接施設から通学している生徒もいる」とのことでした。

一昨年ですが、ある小学校でのもの作り教室では「生徒の写真を撮る場合に、写っている生徒を確認します」と初めから申し入れがありました。
当時は、写真をほとんど撮らなかったので「特に撮りませんが・・・」と返事したところ「通学していること自体を隠している生徒がいるのです」とのことで、これで「あ、シェルターから通っているのか」と理解しました。

現在のところ、子供が親から離れるために、自ら児童相談所に駆け込む、というのは法律的に無理なのです。
子供に対する親の権利(親権)は非常に強大で、記事中にあるような各種契約や医療(入院など)も「親の権利」となっているために「権利の名の下に放置」つまりネグレクトが起こりえます。

適切な教育を受けさせない、というのはカルト宗教系ではよく見られることですし、もっとひどくなると適切な医療を拒否する「医療ネグレクト」が起こります。

子供が医療を受ける権利を親が否定する、といった状況には現在のところ法律は無力なのです。
その意味では、児相の親権強化はかなり重要なポイントなのです。

1月 15, 2011 at 11:24 午前 国内の政治・行政・司法 |

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コメント

日ごろ養護を必要とする子どもたちに対して、温かなご配慮をいただきありがとうございます。
仰ることの趣旨はもっともなことで、お書き頂いたことに感謝いたします。
ただ、以下の点については、少々気になりましたので、資料提供をさせていただきます。


>現在のところ、子供が親から離れるために、自ら児童相談所に駆け込む、というのは法律的に無理なのです。

⇒少ないとはいえ、児童本人からの訴えによるケースも存在しています。
≪出典≫
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02010101.do

平成20年度 福祉行政報告例
児童 第26表 児童相談所における児童虐待相談の対応件数,児童虐待相談の相談種別×児童虐待相談の経路別
注:本表は年度分報告である。


(報告表 49) 児童本人
総   数⇒ 558
身体的虐待⇒ 248
性的虐待⇒ 73
心理的虐待⇒ 147
保護の怠慢・拒否(ネグレクト)⇒ 90

⇒※児童本人からの数値のみ抜粋いたしました。

また、自治体によって異なりますが、児童相談所のホームページで児童本人に「虐待を受けたら相談に乗りますよ」と呼びかけをしています。小中高の学校を通して、同様のチラシを配布しているところもあります。

投稿: まに | 2011/01/16 2:28:19

コメントありがとうございます。

わたしが承知している例は、親が親権を主張し、子供が児童相談所に保護を求めた場合であって、かつ警察などが関知しないような状況でのことです。

ちょっと具体的な事例は、問題がありすぎて詳しくは書けないのですが、法律論としてはもともと親権は非常に強いもので、それ故の悲劇をなんとかするために児童相談所に強大な力を与えつつあるわけですが、それでも那須の事件については、いまだに議論が交錯しています。

なんというか、一方でご紹介のような事実があることは理解できますが、それが万事OKとはとうてい言い難く(万事OKでないから、児童相談所の存在意義は大きい)、法律としてはどこら辺を主軸にするべきか、という議論は難しいところであると思っています。

投稿: 酔うぞ | 2011/01/18 22:53:27

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