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2011.01.01

出版業界はもう限界

サンケイ新聞より「“新刊洪水”行き詰まり 自転車操業に限界、9カ月連続前年割れ

2011.1.1 17:07

書籍の新刊点数が減り続けている。

出版界は“新刊洪水”と呼ばれる増加傾向が10年来続いていたが、ここ9カ月連続で前年を下回る異例の事態となり、年間でも前年比4%台の落ち込みになりそうだ。

出版不況が深刻化し、売り上げの減少を新刊の点数増で補う自転車操業が限界に来たとの見方が広がっている。

出版科学研究所(東京)によると、昨年1~10月の書籍の新刊点数は前年比4・6%減の6万2492点。月別(取次経由)では9カ月連続で前年同月を下回り、特に5月(11・8%減)と10月(8・6%減)の落ち込みが大きかった。

点数減の要因にあげられるのが、大手取次が昨年1月に打ち出した配本の「総量規制」だ。

書籍・雑誌の販売金額は一昨年、21年ぶりに2兆円を割り込んだものの、新刊点数は約8万点と依然高水準。
今回の「規制」は、約4割という高返品率の温床とも批判されてきた“新刊洪水”を抑制する狙いがあった。

実際、出版科学研究所によると、1~10月の返品率は39・3%に改善しており、年間返品率が3年ぶりに40%を割り込む可能性もある。

同研究所は「(縮小する)市場に見合った出版活動への転換期に差しかかった」とみる。

“新刊洪水”の行き詰まりが顕在化したのは平成21年9月の「ゴマブックス」(東京)の経営破綻だ。
同社は売り上げ不振で資金繰りが悪化する中、すべての誕生日ごとに1冊ずつ占い本を出すなど、点数を雪だるま式に増やして赤字を埋めようとした。
ところが、返本率も約5割に達し、不良在庫が経営を圧迫する格好になった。

出版不況を背景に、出版社の破綻は相次いでおり、ピークだった9年の4612社から、21年は3902社にまで減っている。

出版ニュース社の清田義昭代表は

「出版各社は促成栽培のような新刊を大量に出す体質から脱却し、吟味した本作りに注力すべきだ」
と指摘している。(海老沢類)

配本の総量規制なんてことをやっているとは知りませんでした。

出版業界は非常に不思議なところで経営だけ考えたら自転車操業になるのも当然と言えます。

よく知られている通り、日本の書籍雑誌は再販指定商品ですから、メーカーである出版社が決めた定価が店頭まで行き届きます。
販売店(書店)が販売努力で値下げするといったことはできません。

つまりは、書店は出版社のために店頭を貸しているようなもので、書店から見ると書籍雑誌は預かり品であり、期限が来ると返品するものです。

このために、出版社の売り上げはよく分かりません。書店の店頭に置いてある物も出版社の在庫なのです。

これで、消費者が本を買ったら初めて出版社の売り上げになる、とやったら出版社は成り立ちませんから、取り次ぎが出版社から本を引き取った時点で仮払いをします。
仮払いですから、いずれ精算するのですが、それまでの期間出版社は存続できます。

そうなると、出版社は本当に困ってくると「売れるわけがない」と分かっていても出版する、という例が出てきます。これが新刊洪水の原因です。

あからさまに言えば、再販制を止めてしまって、書店なり取り次ぎなりが買い取り制にした方が良いと思うのです。
そうすれば、売れるはずがない本、は安く仕入れる(出版社にとっては安売り)ことになりますから、売れない本の洪水といったこと自体は自然と無くなるでしょう。

出版界の活性化のためには、再販制の廃止が手っ取り早いと思うのです。

1月 1, 2011 at 08:07 午後 経済・経営 |

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コメント

つまり「売れない本はこの世に必要ない」ということでしょうか。
学術本とかは一切なくなりそうですね。マイナーな趣味の本も。
残るのはワンピースとか1Q84とかKAGEROUばかりですか。
それを活性化というのならそれもいいでしょう。

投稿: 高橋 | 2011/01/02 23:30:43

>つまり「売れない本はこの世に必要ない」ということでしょうか。

ちょっと以上に違います。

出版社が資金繰りのために、出版している本が多数あるのです。

売れるか売れないか、必要か必要でないか、なんて全く考えないで、出版されている本があるのです。

普通は「そんな事はいくらなんでもないだろう」と考えますが、わたしはたまたまある出版社の経営実態に10年ぐらい前に関わったので、こういうことあることを理解しました。

何しろ、1600部発行して売れたのが4冊といったことがあるのです。

常識的に、何でそんな売れない本を作って、編集者の責任問題が発生しないのか?と思うわけですが、資金繰りのために安直に編集した本だ、ということでOKになっているのです。

しかし、ご指摘の通り、本の質はなかなか決めがたいわけで、それなら市場原理に任せた方がマシではないのか?と思うわけです。

投稿: 酔うぞ | 2011/01/02 23:39:34

個人的には、本の質と値段を上げるのが妥当かな。
でも滅ぶ……今のとこ解決法はないな。

>再販制の廃止
滅びが加速するだけかと。
薄利から完全赤字化で、書店が激減(複合点は本の扱いを縮小)→市場縮小の無限ループかな。
現実に書店が何とかやってけるのって返本があるからだし。

まあ、廃止しても本が無くなる事はないと思うけど、DVDやゲーム並みに縮小するんじゃないかな。

投稿: | 2011/01/04 3:34:45

>現実に書店が何とかやってけるのって返本があるからだし。

う~ん・・・・・・確かに、全品が売れるようにするために、大幅に品揃えを減らす必要がありますからね、再販制を全廃した場合、今の書店の形を維持するのは全くの無理で、純粋に量的に捉えても、半分から1/3にしないといけない。

しかし、元もと半分とか1/3しか売れない商品のために、今の規模を維持するのは話に無理がありすぎるでしょう。

結局は、出版界が無くなるか、規模を縮小して存続するのか?というぐらいの選択になる、ということでしょうかね?
通販が主体になって、アマゾンの一人勝ちでしょうか?

投稿: 酔うぞ | 2011/01/04 8:20:04

長い先には、ペーパーレスになるのでしょうか?
在庫とか、家での置き場所とかがなくなって、いいと思うのですが、
やっぱりペーパー本も捨てがたい。
単なる習慣なのか、本質的に、取って代わることはできないのか。
電子化には歴史がないことは確かですが
(推敲の後とか、習作とか)。

投稿: tambo | 2011/01/05 10:17:19

12月11日に情報ネットワーク法学会・研究大会に参加しました。
「ネットジャーナリズム分科会」に出たのですが、パネラーが「コンテンツとコンテナー」と言っていました。

新聞はコンテナーであって、記事がコンテンツであるから・・・・。
という議論でした。

このコンテンツを載せるコンテナーが、新聞であったり書籍であったりと理解すると、書籍が紙媒体である場合と電子本である場合とで、区別する積極的な理由は無い、となっていくでしょう。

わたしも、以前は「電子本は神の書籍より安くて当然」のような考え方をしていたのですが、こういう比較論がそもそも神の書籍を基準にして論じているのだな、と感じるようになってきました。

コンテンツにお金を払うと考えると、比較することが無意味です。
本で言えば、ハードカバーと文庫本はどちらが価値が高いか、といった議論そのものでしょう。

こんな風に考えると、電子本によってより多くのコンテンツを流通させる方が、社会にとってはよいことのように思います。

投稿: 酔うぞ | 2011/01/05 10:41:36

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