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2010.07.21

裁判員裁判の無罪判決に検察が控訴なのだが

サンケイ新聞より「裁判員裁判2例目 放火「無罪」検察が控訴へ

2010.7.21 00:55

空き巣に入りアパートに放火したなどとして、現住建造物等放火などの罪に問われた無職(40)について、同罪を認めず窃盗罪などで懲役1年6月(求刑懲役7年)とした東京地裁の裁判員裁判判決について、東京地検は20日、「事実認定に誤りがある」として、東京高裁に控訴する方針を固めた。

裁判員裁判での検察側控訴は2例目。

被告は昨年9月、東京都葛飾区のアパートに侵入して現金を盗み、灯油をまいて放火したとして起訴された。

今月8日の判決は

「被告が放火した可能性はかなり高い」
としながらも、アパートの住人が部屋を留守にした時間から出火までが5時間以上と長時間なことから、
「被告が立ち去った後に第三者が放火した可能性を完全に否定できない」
と判断した。

東京地検は控訴理由として、第三者が侵入した形跡がなく被告以外が放火した可能性があるとした認定は誤りがあると主張するとみられる。

「検察の無罪論告」と同じですよね。

疑わしいから、無罪にした。
それを控訴するということは、その疑わしい点を検察は立証できるのだろうか?

5時間後に出火するように火をつけるというのは技術的に難しいだろうから、事故とか過失ではなく故意に放火したこと自体が証明不可能ではないだろうか?

控訴審は注目です。

7月 21, 2010 at 09:30 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

検察の無罪論告

朝日新聞より「「防犯カメラ映像は別人」金沢地検、被告の無罪求め謝罪

2010年7月21日2時41分

防犯カメラに映った人物と窃盗罪で起訴した男性(62)は別人だったとして、金沢地検が20日、金沢地裁で開かれた論告求刑公判で男性に無罪判決を出すよう求め、異例の謝罪をした。

地検の古賀栄美(えみ)次席検事は閉廷後に記者会見を開き、「証拠の見方が甘かったことに尽きる」と語った。入子光臣(いりこ・みつおみ)裁判官は9月1日の判決公判で無罪を言い渡すとみられる。

男性は昨年8月に石川県白山市内のコンビニの現金自動出入機(ATM)で、盗難キャッシュカードを使って計100万円を引き出したとして松任署に逮捕され、否認のまま同11月に起訴された。男性はすでに釈放されている。

古賀次席検事は会見で

「男性と映像の人物の同一性について慎重に判断すべきだった」
と釈明。起訴の取り消しではなく、無罪判決を求めたことについては
「公の場で男性の名誉が回復されるべきだと考えた」
と述べた。

今回の事件で、地検はカードの入手方法や引き出された現金の使途を解明しないまま起訴していた。

古賀次席検事は「得られた証拠を総合的に判断した」とし、起訴手続きは適正だったとの見方を示した。県警は松任署の松本邦寛署長が20日午後に男性宅を訪れ、本人に謝罪したという。

一方、男性は同日の公判の最終意見陳述で

「警察に連れられて写真を見せられ、『お前だろう、お前だろう』と聞かれた。身に覚えがなく、とてもつらい思いをしました」
と逮捕当時の心境を語った。閉廷後には、弁護人の織田明彦弁護士と、日弁連刑事弁護センター副委員長の奥村回(かい)弁護士が会見。奥村弁護士は第三者機関か、または県警と地検、弁護士会が共同で今回の事件を検証する必要があると提案した。(山岸玲)

裁判では、民事でも刑事でも社会が納得するように、事件にいたる一連の経過がしめられます。いわば起承転結のようなことですね。
それが、以下のようなことでは裁判になりませんね。

地検はカードの入手方法や引き出された現金の使途を解明しないまま起訴していた。

どう考えても、ATMの防犯カメラ映像によって事件を解明しようとするのであれば、

  1. 動機
  2. カードの入手
  3. 現金の使い道
  4. 証拠としてのカードの確保

は不可欠でしょう。

結局防犯カメラの映像以外の証拠が無いから、弁護側が映像の再鑑定をしたら別人であったとなって、ほかの証拠が無くて当然だから、無罪論告になった。ということです。

どう見ても「証拠不十分」でそもそも起訴するべきではなかった、逆に言えば捜査不十分でなぜ起訴したのか?となります。

この点については、「デキる弁護士、ダメな弁護士」(講談社プラスアルファ新書)で、弘中惇一郎弁護士が述べています。

今抱えている事件も、以前にやって、結局、有罪になった事件もそうなのですが、おそらく、痴漢というのはプロがやっています。プロの痴漢がいます。

プロの痴漢の犠牲になるタイプの女性がいるのです。つまり、被害女性は絶対に痴漢にあっている。けれども、実際に手出ししたのは被告人とされた男ではなくて、その側にいたプロです。やり口を見ていると、それが真実です。ところがそいつは出てこない。

女の子は、絶対に被害に遭ったと言う。「振り向いたらコイツだったから間違いありません」というわけです。やられている最中は顔を見ていない。けど、やり終わって振り向いて手をつかんだのだから「この人に違いない」というわけです。そうなってくると、両者どちらが正しいかという議論になってしまうと、大体が負けます。

そもそも刑事裁判には「疑わしきは罰せず」という格言がある。きちんと立証できないのであれば、裁判では無罪な言い渡されるはずではないか。

しかし、そのような運用はなされていないという。

「今の日本の刑事裁判は証拠が曖昧でも有罪になりますよ。立証責任は被告側にある、「疑わしきは罰する」ですから、真犯人を自分で連れてこない限りは有罪です。立証責任は被告人にあるんだもの」

弘中惇一郎弁護士とは中西裁判でおつきあいしましたが、ウワサ通りの「カミソリ」ぶりですが、その方が誇張して述べたのだとしても「立証責任は被告にある」と説明すると、今回の事件についても納得せざるを得ないわけです。

7月 21, 2010 at 09:15 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)