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2010.12.01

健康食品の宣伝問題

毎日新聞より「誇大広告:健康食品、業者名公表へ 消費者庁が方針

「飲むだけで確実にやせる」「がんに効くといわれている」といった誇大な広告を使用する健康食品について、消費者庁は30日、悪質な業者名を12月から公表する方針を固めた。

健康被害や効果がないなどの苦情が絶えないことから、健康増進法の運用を強化し、同法に基づく行政処分に初めて踏み切る。

健康食品で「がんが治る」などと医薬品のような効能をうたうと、薬事法に触れ、刑事罰の対象になる。

しかし、同法には触れないが、消費者を誤解させる広告は、インターネットを中心に少なくなく、国民生活センターには、健康食品について「飲んだら吐き気がする」「利用してもやせない」などの相談が、毎年1万5000件前後寄せられている。

健康増進法では、病気の予防効果や栄養成分の効果などをうたう広告で「著しく事実に相違したり、著しく人を誤認させるような表示」を禁止している。

消費者庁は今年6月以降、「最高のダイエット食品」「血行を整え、むくみを緩和」など、表現が不適切なネット広告を出している業者約300社に改善を求めてきた。
12月になっても改善されない場合は、勧告を行った上で業者名を公表する方針だ。

消費者庁はまた、商品を著しく優良と誤認させる表示を取り締まる景品表示法の運用も強化する方針。

消費者庁が昨年9月に発足する以前は公正取引委員会の所管だったため、健康被害の防止よりも公正な競争の確保が重視されやすく、同法で健康食品の表示が取り締まられることは少なかった。【山田泰蔵】

◇健康増進法に違反する広告の表示例◇

▼明らかに違反(カッコ内は理由)

  • 「がんに効くと言われています」(治療が必要な疾患が治ると誤解を与える)
  • 「最高のダイエット食品」(「最高」とは立証できない)
  • 「厚生労働省から輸入許可を受けた健康食品です」(実在しない制度や許可をかたっている)

▼以下のような広告でも根拠が薄い場合、表現方法が不適切な場合は違反

  • 「3カ月で10キロやせると実証済み」などの実験結果を示す
  • 「『飲むと体調が良くなりました』(東京・男性55歳)」など体験談を示す
  • 「『がんを○○食品が治した!』(△×出版)に掲載された食品です」などと関連書籍を引用する

◇所管変更 野放し是正

事実でない表現や誇大広告が少なくない健康食品は、効果を信じて医療機関を受診せず、適切な医療が受けられなくなるなど、長年問題が指摘されてきた。

03年には健康増進法の改正で、不適切な表現が禁止され、勧告などの行政処分や罰則規定が盛り込まれた。

しかし、当時同法を所管していた厚生労働省は財源難から違反調査の専従職員を定員配置できず、勧告など処分実績はゼロ。
事実上の野放し状態だった。

昨年9月に発足し、同法の移管を受けた消費者庁は執行のあり方を見直し、体制を強化。専従職員は1人だが、来年度予算で4人の増強を要求している。インターネット上の広告監視も年1回から4回に増やし、来年度も調査件数を1000件以上に倍増する計画だ。

ただ、同法の運用強化だけでは無数に生まれている不適切な広告を抑え込めない。
薬事法を所管する厚労省などと連携を深め、複数の法律や制度を一元的に運用できるかが重要だ。【山田泰蔵】

2010年11月8日(月曜)に霞ヶ関の弁護士会館で「シンポジウム・健康食品被害の実態とその対策 ~適切な医療を受ける機会を失わせてよいのか~」が開かれました。

  • 健康食品に関する相談事例 国民生活センター・消費生活専門相談員・小坂潤子氏
  • なぜ消費者は健康食品に依存するのか?・静岡県立大学准教授社会心理学博士・西田公昭氏
  • 健康食品に関する法制度の現状と課題・弁護士・中下裕子氏

上記の方々が、パネラーで登場しましたが、短時間では全体像を整理するというところまでは行かず、あっちこっち問題がある、という提示にとどまりました。 それだけ、危険な状況にある、ということなのでしょう。

興味をひいた点を列挙します。

西田准教授

素人の意志決定はミスを犯す

日常的には合理的な決定をしない。経験により意識せずに決定している。
その方が楽に決定できるからであり、考えていないからなぜ決定したのかも記憶に残らない。

健康食品(何でも同じ)を処方(摂取)した時の効果は

  1. 処方して、健康になった
  2. 処方して、変わらなかった。
  3. 処方せず、健康になった。
  4. 処方せず、変わらなかった
の4つに分類できますが、このように合理的には考えず
飲んだから効いた、飲まなかったから治らなかった、と考えがちだし、商売はそこを突いてくる。

中下裕子弁護士

健康食品には法律上の定義はない

  1. 健康食品には、特定保健用食品・栄養機能食品・特別用途食品・それ以外の健康食品になる
  2. 特定保健用食品 883種類ある。
  3. 特別用途食品 病者食、妊産婦・授乳不要粉乳、乳幼児調製粉乳など

非常に深刻なのが、健康食品を採ることで、本来の治療用の薬を禁止することがあり、患者が死亡などにいたる例が、報告されていることです。

わたしが、そのような事例を知ったのは、1993年頃にアムウェイの健康食品を白血病の子供に与えて、病院での治療を積極的に妨害した結果、子供は亡くなった。という事件を知ったときです。

今、同じような事件として真光元事件があり、12月14日11時に東京高裁の824号法廷で控訴審の結審があります。

よく考えれば、テレビCMで個人の感想として「○○は効きました」なんて言っているのや、タレントが「推奨します」という「出演」をなぜ信用するのでしょうか?
西田准教授の専門である、社会心理学的に考えるべきです。

わたしは「感想です」という宣伝手法は、健康食品などでは禁止するべきだと考えます。
医薬品ではあり得ない宣伝手法です。しかし、効果については医薬品と区別の付かない内容を強調しています。

消費者庁が、一歩を踏み出したと評価はしますが、もっと根源的なところで対策するべき事柄です。

12月 1, 2010 at 12:01 午後 医療・生命・衛生 |

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コメント

「個人の感想」とテレビでで宣伝しているサプリは山ほどありますよ。最近地上波でも増えていますね。

「血圧を下げる」「コレステロールを下げる」には、薬の方が安い・・と思いながらも、
薬よりも、サプリの方が、身体によいような気がしてしまいます。
病院に行くのがめんどいということもあるかもしれませんが、考えたら、おかしな現象ですね。  
マインドコントロールの一種でしょうかね。

投稿: tambo | 2010/12/01 14:59:23

>マインドコントロールの一種でしょうかね。

確かに、そういう面はあります。
結局は、権威付けして判断力をずらしてしまうのでしょう。

西田先生によると、自分でしっかり調べるのは誰とっても面倒なことなので、自分でという部分を権威に丸投げするわけです。

そこで、紹介された権威が信用できるのか?となると、放送だから信用できる、というシフトが掛かっているわけです。

その上に著名人とか持ってくると、その分野に無関係でも、より信用度が上がってしまう。

ここらは冷静な判断ではないので、程度問題として処理するのは無理かもしれません。

まあ、そもそも「健康食品」というのがヘンなのであって、薬もどきだから禁止する、でも良いように思います。

投稿: 酔うぞ | 2010/12/01 18:13:50

私も、まずは誰もが気軽に情報に接することができるテレビのCMから手をつけるべきだと思っています。
薬事法では、明示的・暗示的を問わず医薬品、医薬部外品等以外の効能・効果の標榜は認められていませんので、現行でも厳密に法を適応すれば、体験談も感想も違法です。
なので、CMから体験談は勿論、病名や病気を連想する言葉を排除する必要があると思います。
その為には、総務省とも連携してCMを流した放送局にも、ペナルティーを科すべきだと考えています。
金さえ貰えれば、なんでもOKでは、放送局としての公共性に欠けるでしょう。
CMを流す方も、内容に違法性がないか確認させ、責任を持つというは、真っ当な事だと思います。

投稿: HuM | 2010/12/03 10:44:06

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