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2010.12.04

表現の自由の自殺の道連れにされたくはない

サンケイ新聞より「テロ情報本 「公益性」か「プライバシー」か 2度目の出版差し止め

2010.12.4 00:54

ネット上に流出した資料をほぼそのまま掲載した書籍について、東京地裁は「プライバシー権を侵害する」と認定、2回にわたって販売を差し止める仮処分を出した。

出版社側は一部を削除して再出版する構えだが、これを疑問視する専門家もいる。

類似のケースで過去にも議論になってきた「公益性」と「表現の自由」「プライバシー保護」。
関係者らはこの問題に改めて直面している。(森浩、滝口亜希)

「これがテロ対策刑事の素顔だ」「特に目をつけられた在日イラン人」

11月25日に出版された469ページの書籍は、扇情的な見出しでイスラム教徒らの住所、携帯電話番号などを掲載。
捜査側の警察官も同じ扱いだ。

第三書館は見出しをつけた程度で、ほぼ流出データのまま出版した。

取材に対し、同社の北川明社長は

「公安警察の違法捜査を問題にした本。流出より、こんな捜査が行われていたことが問題」
と、出版の意義を強調していた。

イスラム教徒らは、プライバシーが侵害されたとして販売差し止めを求め、地裁は11月29日と、今回の3日に差し止めを命じる仮処分を決定した。

同社は決定には従う姿勢だが、申立人分の記述を削除した上での再出版を計画している。

多くの個人情報は残されたままとなるが、北川社長は

「プライバシー侵害の意図はない。ネットで誰でも見られる情報で、出版をとやかく言うのはおかしい」
としている。

これまでも、出版物とプライバシー侵害をめぐる議論はたびたびされてきた。ただ、出版差し止めが認められた例は少なく「例外的」な措置とされる。

今回、地裁の仮処分決定が根拠としたのは、いわゆる「北方ジャーナル事件」で最高裁が昭和61年に示した判断だ。

54年に月刊誌「北方ジャーナル」が中傷記事掲載を予定しているとして、五十嵐広三元官房長官が札幌地裁に出版禁止の仮処分を申し立て、即日認められた。

ジャーナル側は国に賠償などを求めて提訴したが1、2審ともに認めず最高裁も上告を退けた。

最高裁大法廷はプライバシー侵害による出版差し止めが可能なケースについて、

  1. 「出版が公益を図る目的でないことが明白」
  2. 「著しく回復困難な損害を被る恐れがある」
と判断。今回、東京地裁もこれを踏まえて仮処分を決定した。

一方、「表現の自由」を重んじた判断もあった。

平成16年3月発売の「週刊文春」の記事でプライバシーを侵害されるとして、発売直前に田中真紀子衆院議員の長女が出版禁止を求める仮処分を申請、東京地裁は認めた。
しかし、東京高裁は「憲法上最も尊重されなければならない権利の一つである表現の自由を制約する」と、出版禁止の仮処分決定を取り消した。

専修大学の山田健太准教授(言論法)は

「表現の自由などの観点から、出版差し止めは原則として認められるべきではない」
と指摘。その上で、
「今回は住所など取り扱いに注意が必要な情報もあり、書籍に高い公益性があるのか疑問。一部削除して出版しても、他に掲載された人もおり、問題の根本的解決にはつながらない」
と話している。

出版や販売が差し止められた書籍をどう扱うか。
出荷済みのものなどについては、書店や流通に携わる取次会社の判断に委ねられているのが現状だ。

大手書店の丸善では一部店舗で入荷したが、店頭には並べなかった。

「仮処分とは別に、この書籍が特定の個人の名誉を著しく侵害している恐れがあり、慎重に対応すべきだと考えた」
と説明する。

紀伊国屋書店もいったん店頭に出したが不適当と判断し、すぐに店頭から回収した。

一方、東京都新宿区の書店「模索舎」は300冊以上販売。

「表現の自由の観点から、内容を審査せず、すべて店頭に置く方針」
という。

大手取次会社の日本出版販売は
「東京地裁の判断を考慮して書店への送品をやめた」
としている。

「公安警察の違法捜査を問題にした本」が、ネット上に流出した情報のログだけというのは、無理がありすぎでしょう。
著作権の概念に、引用と転載の二種類があるのはなぜか?といったレベルの問題です。

普通に出版社の意図は、「公安警察の違法捜査を問題にした本」では無い何かがあるのだろうと思ってしまいます。

つまり、構造的にダメな本つまり出版するべきものではない、ということになりそうですが、こんなことを指摘されること自体が、ジャーナリズムとしては自殺行為だと思うのです。

12月 4, 2010 at 08:50 午前 ウェブログ・ココログ関連 |

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