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2010.10.26

中西準子先生が文化功労者に

毎日新聞より「文化勲章:安藤忠雄氏ら7人 文化功労者には17人

政府は26日、10年度の文化勲章受章者7人と文化功労者17人を決定した。文化勲章は

  1. ▽原子核物理学・学術振興の有馬朗人氏(80)
  2. ▽建築の安藤忠雄氏(69)
  3. ▽有機合成化学の鈴木章氏(80)
  4. ▽演劇の蜷川幸雄氏(75)
  5. ▽有機合成化学の根岸英一氏(75)
  6. ▽服飾デザインの三宅一生氏(72)
  7. ▽日本中世史の脇田晴子氏(76)
に贈られる。
文化功労者はスポーツの王貞治氏(70)ら17人に決まった。
ノーベル化学賞に決まった鈴木氏と根岸氏は文化功労者にも選ばれた。

安藤氏は現代建築の分野で実績を上げるとともに、歴史的建造物の再生にも手腕を発揮。国内外で大規模な改修に携わった功績が認められた。

蜷川氏はシェークスピア全作品上演や「ハムレット」の英国公演など、多年にわたる国内外での活動が評価された。

王氏は現役時代、長嶋茂雄氏(74)と組んで読売ジャイアンツの3、4番を務め、「O・N砲」と呼ばれるなど国民的ヒーローとして人気を集めた。プロ野球界からの文化功労者は、いずれもジャイアンツの選手・監督だった川上哲治氏(90)、長嶋氏に続き3人目。

NHK朝の連続ドラマのモデルになった漫画の水木しげる氏(88)=本名・武良茂=も文化功労者に選ばれた。

そのほかの文化功労者は

  1. ▽指揮の大野和士氏(50)
  2. ▽映画の吉永小百合氏(65)=本名・岡田小百合
  3. ▽歌舞伎の市川猿之助氏(70)=本名・喜熨斗政彦
  4. ▽X線天文学・学術振興の田中靖郎氏(79)
  5. ▽環境リスク管理学の中西準子氏(72)
  6. ▽日本近世文学の中野三敏氏(74)
  7. ▽詩の中村稔氏(83)
  8. ▽ 光化学・電気化学の藤嶋昭氏(68)
  9. ▽書の古谷蒼韻氏(86)=本名・古谷繁
  10. ▽写真の細江英公氏(77)=本名・細江敏廣
  11. ▽刑事法学の松尾浩也氏(82)
  12. ▽生化学の松尾寿之氏(82)
  13. ▽幹細胞生物学の山中伸弥氏(48)。

文化勲章授与式は11月3日に皇居で、文化功労者顕彰式は同4日に東京都内のホテルで行われる。【篠原成行】

文化功労者に選ばれた、中西準子先生は「雑感」に次のように書かれています。

私は平成22年度文化功労者を頂くことになりました。11月4日に顕彰式があり、その後天皇陛下ご主催の皇居でのお茶会に招待されることになっております。

詳しくは11月4日の式が終わりましてから書きますが、

文化審議会の推薦文の冒頭には「環境リスク管理学の分野において、『人の損失余命』と『生物種の絶滅確率』という人の健康と自然環境に対するリスク評価軸を提案・確立するなど、定量的な環境リスク評価と環境リスクマネジメントの研究において優れた業績を挙げ、斯学の発展に多大な貢献をした」
と書かれています。

私がこの賞を頂くことも驚きですが、それ以上に、環境リスク評価・管理という研究分野にこのような権威ある賞が与えられることになったことに、ただただ、驚いています。

私の行ってきました研究は、在来の伝統ある学問とはひどくかけ離れています。一つのことを突き詰めて、新しい発見に至るというのではなく、多くの知識を集めてそれらを体系化し、我々が進むべき道の指針にしようとする研究です。

在来の科学がかっちりした枠組の中で作られ、正しさが証明されるのとは異なり、枠組自体が研究対象であり、しかもそれは相当のやわらかさを持っています。それにも拘わらずこの研究結果を認めて頂いた、そのことに驚き、感激します。

同時に、科学はもっと現実の複雑な問題、人類が苦しんでいる現実問題に真正面から向き合い、その解決に貢献せよという強いメッセージを感じます。

先日、受賞のことを野間口有(のまくちたもつ)理事長に報告に行きました。
その際、理事長は

「数年のうちに、ノーベル賞もこういう分野を選考対象にするだろう。時代は確実にその方向に進んでいる」
と言いました。

そうか、そういうことか、時代が必要としている研究として選ばれたのだとひとつ納得がいきました。

私の研究は未熟です。どう見ても足りないところばかりで恥ずかしいです。しかし、今回文化功労賞のような権威のある大きな賞を頂くことができました。これは、時代が選んでくれたと思っています。科学は、もっとこういう問題に取り組めという意味で選ばれたと思います。

特に私の研究を推薦する大きな団体があるわけでもありません。それにも拘わらずこのような賞を頂くことができました。未だに、どなたが私を選ぶことに賛成してくれたのか全く見当もつきません。時代の舵を切るという強い意思で、選考委員の皆さんが選んで下さったと思います。

そのことに敬意を表し、今後とも精進を続けたいと思います。

この賞の栄誉は、家族と友人、同僚、さらには積極的に研究支援をして下さった文科省、経産省、JST、 NEDO、 産総研の関係者の皆さんと分かち合うべきものと思っています。皆様、本当にありがとうございました。

(詳しくは、11月5日に書くことにいたします)

わたしは通称「中西裁判」あるいは「環境ホルモン濫訴事件」と呼ばれる裁判で、山形大学の天羽先生(apj さん)と一緒に「応援団」と称して、裁判を傍聴しリポートしていました。
「中西 vs 松井裁判・第二回口頭弁論」に概略を書きました。

これが縁で、中西先生のお話を聞く機会も多かったし、いわば自伝である「環境リスク学―不安の海の羅針盤」を読んで、ひたすら「すごい方だ」と感心していました。

わたし自身は、高校一年だったと思いますが、アイザックアシモフの「銀河帝国の興亡」を読んで、未来予測のシミュレーションに興味を持ちました、その後、現実に世界をシミュレート(ワールドシミュレーション)した研究として世界的に話題になった「成長の限界」が発売されました。

成長の限界で使われたのが、大型コンピュータ用の言語 dynamo でありシステムダイナミックスという分野であることを知って、後にパソコン用のソフト stella を買いました。

まあ、ちょっと練習してみて「自分にはこういう問題を扱うセンスがない」と自覚したわけですが、それ以上にシミュレーションでは一見無関係な事を、結びつけて調べてみるところがとても大変であることを理解しました。

中西先生は、この「一見無関係な事を比較してみる」手法を、環境という曖昧な分野に当てはめたわけで、一番ものすごいのが「ダイオキシン問題の真実」を暴いてしまったことでしょう。

わたしから見ると、中西先生はほとんどハリーセルダンであって、世の中のほとんどの人が疑っていないことを「それは違う」と証明してしまうのです。

学者として、このような考え方と手法を学問として定着させたことは、日本と言うよりも世界の宝というべきで、将来のノーベル賞の分野になる、というのも当然のように思います。

なんかの機会にお会いして、お話を伺いたいものです。

10月 26, 2010 at 04:26 午後 日記・コラム・つぶやき |

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コメント

私は、「応援団」には参加しませんでしたが、国大出身ですから、裁判の時には、ひそかに中西さんを応援していました。上申書を公募なさったときに、ひとことだけでも書こうかと思いましたが、気がついたら、そうそうたるメンバーから立派な文面がたくさん届いていまして、出しそびれちゃいました。
そんな関係(?)で、「いのちの水」なんていう古い本も大切に持っています。
なにしろ、文化功労賞の受賞は、めでたいことだと存じます。

投稿: mimon | 2010/10/26 20:09:13

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