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2010.08.01

最低賃金について・読売新聞社説から

読売新聞社説より「最賃引き上げ 政府の成長政策こそ重要だ

最低賃金の今年度の引き上げ額の目安を決める中央最低賃金審議会の着地点が、大詰めの段階でも見えてこない。

最大の論点になっているのが、民主党政権が新成長戦略で掲げた、

できる限り早期に全国の時給の最低額を800円とする
という目標の扱いだ。

長妻厚生労働相は、こうした目標を踏まえた審議を求め、暗に大幅な引き上げを促した。
労働側委員も同調し、「3年間で800円の実現を」と主張している。

最低賃金は中央審の目安を参考に各都道府県が決定するが、

  1. 現在の全国平均は713円
  2. 最低は長崎県などの629円だ。
しかも、過去10年の最大の上げ幅は全国平均で16円にすぎない。

最低800円は、短期の目標としては、あまりに高い。この目標を踏まえた論議に経営側が抵抗するのも、当然だろう。

パートなどの場合、800円未満の賃金で働く人が50%以上を占める県が10県以上もある。
こうした県で急激に最低賃金を引き上げたことによる、企業経営への打撃や失業者の増加など、地域経済に及ぼす影響も考えるべきだ。

各国ごとの最低賃金の水準をみると、日本は先進国の中で最下位に近い。

全体の賃金の底上げを図らなければ、消費も盛り上がらない。最低賃金を着実に引き上げていくことは重要である。

政府の新成長戦略は800円の前提として、経済成長やデフレ脱却を掲げている。
経営側が主張するように、これらは、まだ何も実現していない。

経営環境が好転してこそ、賃金の上昇にも弾みがつく。まず、そのための施策を政府が打っていくべきだ。その上で最低賃金の引き上げを求めるのが筋だろう。

もう一つの論点に、生活保護との逆転現象がある。

最低賃金法が改正され、生活保護の水準に配慮することが義務づけられて3年目になるが、なおも12都道府県で、最低賃金で得られる月給が生活保護の水準を下回っている。
時給換算で、神奈川県の47円が最大の乖離(かいり)幅だ。

仕事がないなどの理由で、高齢者でも母子家庭でもない、若い世代の生活保護の受給者が急増している。
こうした人に就労を促すためにも、生活保護より、働いて得られる最低賃金の方を魅力あるものとしなければならない。

ただ、地域ごとの経済の実情もある。速やかな逆転現象の解消を促すには、ここでも政府の成長政策による後押しが不可欠だ。
(2010年8月1日01時24分 読売新聞)

新聞の社説というのは、いつも同じことだと思うのだが、この社説は見事に「鶏と卵があります」的な書き方で「何を言いたいのだ?」と思う。

企業側に有利になるように、派遣労働の範囲の拡大や、裁量労働の拡大を図る一方で、年金制度はそのまま、健康保険もそのまま、つまり雇用される側にとっては、特に有利になる事情はなかった。

現実に、雇用は流動化し賃金コストが下がったのだが、

もともと「賃金だけが下がる」なんてことはあり得ない。
何かをごまかしているのに決まっている。

それが、労働者の持っているスキルの先食いである。

現代の高度工業社会では、労働者のスキルは非常に高度なことが要求されていて、社会全体として次世代の労働者のスキルを維持するべく、より高度な教育を若者に与える義務がある。
つまり、労働者のスキル再生産だ。

この労働者のスキルの再生産には、企業内訓練が一番効率が良かったわけだが、派遣労働(臨時雇用)においては、当然これを行わないから労働コストが下がる。
その意味では、派遣労働は労働者のスキルを再生産することなしに、先食いしていると言える。

「賃金は下がったが、将来の労働者の質は落ちた」というのが真実だろう。

最低賃金をどう定義するのかは、専門家の領域だろうが、賃金が個々の家計を再生産出来ない額では意味がない。
人々は、どんどんと福祉に依存していくだろうし、社会は崩壊の一途をたどるだろう。

根本原則として、社会全体として再生産が可能な賃金を配分しないことには、いわば栄養失調で社会が衰弱していく。

諸政策について、原理的に整合性がとれているのか?という観点からのチェックが必要だと思う。

小泉改革に代表される「○○をすれば、後は放っておいてもうまく行く」という乱暴な議論は、世界レベルでダメだったことが実証されていて、政治は当然のことだが「あっちにもこっちにも目配りが必要」ということだ。

民主党政権に期待したのは、そういった面ではないのかと思うのだが、現実は自民党政権よりももっとひどい超短期的な視点しかない政府であった。
視野の広がりもなく、距離もない。これは政治とは言えないだろ。

では、自民党や官僚になんとか出来るのか?と考えると、これもとてもではないが任せられそうもない。
そもそも、日銀がデタラメだ。

つまりは、このままで行くと、革命というか暴動というか、クーデターとか内乱、といった事になりかねないと思う。

8月 1, 2010 at 11:32 午前 国内の政治・行政・司法 |

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