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2010.08.09

第四回高校生模擬裁判選手権東京大会

2010年8月7日に、霞ヶ関の弁護士会館で「第四回高校生模擬裁判選手権」を観戦してきました。
様子は、NHKニュースに流れています。「模擬裁判員裁判 高校生が体験

8月7日 16時34分

裁判員制度について理解を深めてもらおうと、高校生たちが検察官役と弁護士役を務め、どちらの主張が裁判員に支持されるかを競う大会が、全国4か所で開かれました。

この大会は、日本弁護士連合会が開いたもので、東京、大阪、福岡、高松の4つの会場で開かれたことしの大会には、あわせて22の高校が参加しました。

このうち、東京地方裁判所で開かれた大会には、関東地方の8校が参加し、42歳の男が知人の男性の腹をけって死亡させた罪に問われているという事件を題材に、模擬裁判を行いました。

高校生たちは、実際の法廷で検察官役と弁護士役に分かれて対戦し、裁判員役を務める審査員がどちらの主張に説得力があるかを判断します。

高校生たちは、証人が話した内容の矛盾を鋭く追及したり、主張のポイントを大きな画用紙に書いて説明したりして、裁判員に向かって懸命にアピールしていました。

大会に参加した女子生徒は

「相手の主張を聞いて臨機応変に反論するのが難しかったです。裁判員に選ばれたらどのような気持ちだろうと考える機会になりました」
話していました。

日本弁護士連合会では、若い人たちを対象にしたこうした取り組みを今後も続けて、裁判員制度への理解や関心を深めてもらうことにしています。

東京大会の参加校は次の通りです。

  1. 公文国際学園高等部
  2. 湘南白百合学園高等学校
  3. 千葉県立東葛飾高等学校
  4. 東京都立西高等学校
  5. 日本学園高等学校
  6. 山梨学院大学附属高等学校
  7. 早稲田大学高等学院
  8. 早稲田大学本庄高等学院

このうち、東葛飾高校だけが初出場で、湘南白百合は過去三回を三連勝しています。

山梨学院が、中央線の事故のために午前の第一試合には間に合わず、13時近くになってようやく到着して第二試合だけに参加しました。

今回の教材(事件)は、昨年の春に行われた、法曹三者による「裁判員裁判のための最後の模擬裁判」で使われた、教材そのものだそうで、わたしの目でもきわめて難しい事件です。
これが現実の裁判となったら、捜査が不十分などと警察批判なども起こりそうですし、裁判も上訴しては差し戻しでいつまで経っても終わらない、といった事になるかもしれません。

登場人物は、被告、被害者(死亡)、同僚(証人)の3名。
被告は、被害者と証人の雇い主。

朝から、3人は被告の指示の元で働いていた。
午後になって、仕事を切り上げ(日曜日であった)、証人はいったん帰宅、被告と被害者は、一軒目の店で飲食。
夕方、そろそろ日が暮れる頃、二軒目の店に移動。この頃に、被告は記憶が曖昧になった。

二軒目の店で、被害者は退店して路上に出た。
そのとき、被告はトイレに行って、15分後に店の外に出たところ、被害者が歩道に倒れていた。
その後、被告は車を取ってきて、被害者を車に乗せ、コンビニに向かうが、被害者が怪我していることには気がつかなかった。

被告がコンビニで買い物をして、車に戻ったときに、被害者の様子がおかしいことに気がついて、証人に電話をして相談する。

証人は、色々アドバイスし、何度目かの電話で「救急車を呼んだ方がよい」とアドバイスするが、被告は証人に「コンビニに来てくれ」と頼むのみで、証人がコンビニに着いたときには、被害者に心臓マッサージをしていた。

証人が、車を運転して、病院に3人で向かうが、被害者は病院で死亡。
死因は、小腸腸間膜破裂による腹腔内出血によるショック死。

被害者には、シャツに被告のサンダルと思われる左足の足跡、顔面左目の下に小さな殴打痕とみられる傷。
被告は、証人・従業員に「殴ったかもしれない」と話した。

被告は、病院に被害者を搬送した後、血の付いてシャツを車で着替えた、このシャツの血痕は、被害者のものと一致した。

簡単に言えば、物証はあるものの、被告と直結していない。(鑑定結果がない)
その一方、状況証拠は被告の犯行を伺わせる。
しかし、動機が全く無い。
さらに、被害者が歩道に横たわっているときに、被告は15分間トイレに入っていた。この間の、被害者の状況については全く情報が無い。(空白の時間)

というものです。
これを、検察側は裁判所に有罪を認めさせ、弁護側は無罪を勝ち取るという争いです。

公表で指摘がありましたが、弁護側にとっては「証拠不十分で無罪」を主張すれば、基本的にOKで、そのためには、証人の信頼性を崩せば、もともと物証がアイマイだから、弁護側の勝利となる裁判でしょう。

高校生模擬裁判選手権は、午前と午後の2試合で、組み合わせは次の通りでした。

 第一試合(1時30分~12時20分)第二試合(13時20分~15時10分)
 検察側弁護側検察側弁護側
101号法廷都立西高校日本学園山梨学院早稲田高等学院
102号法廷早稲田本庄学院混成チーム公文国際千葉県立東葛飾
103号法廷早稲田高等学院公文国際湘南白百合都立西高校
104号法廷千葉県立東葛飾湘南白百合日本学園早稲田本庄学院

試合は、東京地裁一階の、4つの大きな法廷を使います。
このうち、104号法廷は裁判員裁判が行われる法廷で、ニュース映像に見える通りモニターなどがたくさんあります。

わたしが、見た試合は、午前中が早稲田本庄 vs 混成チーム、午後が湘南白百合 vs 都立西高校です。
なぜ、この組み合わせでみたのか?ですが、大本命の湘南白百合は、午後の試合を見ることを決めていて、午前中は別の学校をみることにしたので、早稲田本庄を見に行ったのですが、試合の相手である山梨学院が到着しないので、急遽混成チームを作りました。

混成チームの構成は、公文国際、東葛飾、日本学園から2名の合計4名、弁護側なので被告を出す必要があり、これは弁護士が被告役になりました。
この4名は、検察役だったそうですが、じつに速成のチームとは思えない対応で、4人ともよく事件を読み込んでいて、個人としてのスキルの高さを見せました。
この4人には、特別に表彰がありました。

法廷の様子は、以下の写真の通りで、裁判官席に審判役が7名座ります。
裁判官席(法壇)に向かって、左側が警察官役、右側が弁護士役です。
この写真は、被告人尋問のシーンですね。

Up_3

午後の湘南白百合は、103号法廷で都立西高校と戦ったのですが、ある意味手慣れているというか、裁判員裁判のあるべき形を示していました。

Up1_2

写真の3人の生徒は、模造紙に書いてあるプレゼンテーションを裁判官席に向けて掲示しています。一番端の生徒が、サシ棒でプレゼンテーションを指しながら、論告しています。

全部の学校に言えることなのですが、目をつぶって聞いているだけなら、高校生がやっているとはとても思えない、どうどうとした発言をしています。

この模擬裁判がなぜ試合いと言えるのか?は自分たちの発言は練習できますが、相手の発言はその場にならないと分からないわけです。
だから、堂々と臨機応変に発言する、というとても難しいことを要求されているわけで、現実の裁判でも、準備不足のためか口ごもってしまう弁護士もいます。

この点について、観覧に来ていた父兄の方と話したのですが、間違えなくあらかじめ、ありとあらゆる問答を書き出して、それを必要なところだけを選んで、発言するように準備していたはずです。 これは、実際の裁判での証人尋問でも弁護士が用意するもので、こんなことが出来るのは、各学校に指導弁護士が付いているからです。

この点について、アンケートで「高校生にこのようなシナリオをどうやって訓練するのか?」と質問があったそうで、主催者が特に強調して「シナリオはありません」と言っていました。
裁判は人間が行うものですから、よく考えれば高校生でも同じように対応出来ることを示しています。
しかし、大変なことに代わりはない。

課題が配布されたのは、5月になってからだそうで、実際には湘南白百合では週末に集まって練習したというのですから、よくぞ短期間でここまで仕上げたと感心します。
さらに驚いたことに、連続優勝の湘南白百合ですが、1名の2年生を除いて全員が1年生だそうです。

校長先生も「今年は1年生ばかりだから」と心配されていました。

わたしにとっては、夏の楽しみになってしまいました。
こういう風景を見ると、若者に大いに期待できます。

8月 9, 2010 at 04:00 午後 裁判傍聴 |

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コメント

前から興味はありましたが、やはり一見の価値ありですね

ところで優勝、準優勝はどこになりましたか?

投稿: なるほど | 2010/08/09 21:39:28

優勝は、4連勝の湘南白百合
準優勝が早稲田大学高等学院
でありました。

投稿: 酔うぞ | 2010/08/09 21:49:10

ありがとうございます

惜しい・・早稲田学院は準優勝でしたか

それにしても湘南白百合の4連勝は凄いですね

投稿: なるほど | 2010/08/10 0:33:07

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