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2010.07.15

口蹄疫問題・宮崎県の隠蔽体質?

読売新聞に宮崎県の口蹄疫に関する記事が二本出ています。
獣医師「典型的な症状」…口蹄疫疑い未報告

特集 口蹄疫

厳戒態勢で口蹄疫(こうていえき)に対峙(たいじ)していた宮崎県で、口に赤い斑点のある牛が、検査も国への報告もなされないまま埋却処分されていた。

県の担当者は「口蹄疫ではないと信じている」と正当性を主張するが、その場に居合わせた獣医師らは「少しでも疑いがあれば調べるべきだった」として、県の対応を疑問視している。

「教科書で見たような、典型的な症状だった」。同県新富町の肉牛農家で6月25日、殺処分にかかわった男性獣医師(34)は、こう振り返る。

読売新聞の取材に応じた複数の獣医師によると、問題の牛は、殺処分中の同日午後4時頃、発見された。舌の奥に白い水ほうができ、赤い斑点が歯茎に数個浮かんでおり、現場に居合わせた別の30歳代の男性獣医師も「ついに出たか、と思った」と話す。

当時、この牛の周囲には10人近い獣医師らが集まり、「血液を採って、検査すべき」との意見が相次いだ。しかし、現場にいた県の家畜保健衛生所の防疫員は、獣医師らに、「疑わしい牛がいたが、殺処分を続ける」と命じたという。

問題の牛の殺処分をした男性獣医師は「注射しながらも、『検査するのが当たり前なのに』と疑問が頭から離れなかった」と話す。別の獣医師は「しばらく発生がなかった時期だったので、感染の事実を認めたくなかったのではないか」とも振り返る。

動物衛生研究所(茨城県つくば市)によると、ワクチンを接種した家畜はワクチンが効果を発揮すれば、体内でウイルスの増殖力が失われ、臨床症状を示すこともウイルスを排出することもほとんどなくなる。しかし、ワクチンの効果には個体差があり、

「症状が出ているということは、ワクチンが効果を発揮せず、ウイルスを排出していた可能性があった」
(疫学情報室)という。

県畜産課の児玉州男(くにお)課長は

「唇に赤い斑点はあったが、疑わしい症状とまではいえなかったと報告を受けている」
と説明。複数の獣医師らの所見を聞き入れなかった防疫員の判断については
「県知事から委嘱を受けた家畜防疫員の現場での権限は大きい。その判断は絶対だ」
としている。

(2010年7月15日08時09分 読売新聞)

宮崎県に口蹄疫隠しの疑い…検査拒否し殺処分

宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、県の家畜保健衛生所の職員らが先月、同県新富町の農家で口蹄疫が疑われる症状の牛1頭を発見しながら、検査や国への通報をしないまま殺処分していたことが14日、わかった。

県は「口蹄疫ではないと判断した」としているが、農林水産省が殺処分に関与した獣医師らから事情を聞いたところ、「明らかに口蹄疫の症状で、検査を求めたが県側に拒否された」と証言。家畜伝染病予防法は疑似患畜を発見した場合、国への通報を義務づけており、同省は同法違反の疑いもあるとみて近く、県に事情を聞く方針。

口蹄疫のような症状が出ていた牛が見つかったのは先月25日。

この時点で同町では同12日を最後に感染が確認されておらず、県全体でも同19日以降発生がなかったため、県は7月1日に「非常事態宣言」を一部解除した。農水省では「解除を遅らせたくないための“感染隠し”と受け止められかねない。検査すべきだった」としている。

農水省によるとこの牛が見つかった場所は、感染が集中した移動制限区域内にある同町内で、約500頭を飼育する畜産農家。5月24日にワクチン接種を終えていた。

6月25日には県家畜保健衛生所の家畜防疫員と獣医師ら計約40人が殺処分を進めていたところ、1頭に口蹄疫のような症状が見つかった。

この症状を確認した獣医師らはその場で、「口蹄疫の典型的な症状」として、口内の写真撮影と血液の採取を求めたが、現場責任者で獣医師の資格を持つ県の家畜防疫員が「必要ない」として、その日のうちに殺処分と埋却を終えたという。

読売新聞の取材に対し、県畜産課の児玉州男(くにお)課長は、現場で異議が出たことは認めたが、

「軽微な症状だったので、口蹄疫ではないと判断した。殺処分と埋却の権限は県の防疫員にあり、対応に問題はない」
としている。

しかし、農水省が現場に居合わせた獣医師ら3人に聞き取り調査を行ったところ、

「牛の舌には水疱(すいほう)ができ、鼻や歯茎などにただれと潰瘍(かいよう)が複数あった」
「典型的な口蹄疫の症状で、獣医師らで家畜防疫員に検査するよう何度も迫ったが、聞き入れられなかった」
などと話したという。

家畜伝染病予防法は、疑似患畜を発見した場合、獣医師や農家に対し、速やかに県を通じて国に報告することを義務づけている。

同省は

「軽微な症状でも、まず検査するのが防疫の鉄則。仮に感染していた場合、人や車を介してウイルスが拡散した危険性もあった」
として県から事情を聞く方針。
(2010年7月15日03時03分 読売新聞)

宮崎県の対策が後手後手になったと感じていましたが、どうも「少しでも小さく見せよう」とした県の姿勢があったようですね。

「牛の舌には水疱(すいほう)ができ、鼻や歯茎などにただれと潰瘍(かいよう)が複数あった」
「典型的な口蹄疫の症状で、獣医師らで家畜防疫員に検査するよう何度も迫ったが、聞き入れられなかった」

というのはけっこうすごい話で、聞き入れない根拠が

「県知事から委嘱を受けた家畜防疫員の現場での権限は大きい。その判断は絶対だ」

ということであれば、全責任を県が取るべきだとなりますね。
しかし、現実には口蹄疫は拡大したわけで、その点について宮崎県はどのように責任を撮るのでしょうか?

どう考えても、疫学や防疫といった科学的な根拠に基づく決定に対して、経済とか行政の裁量といったことを優先したとしか思えません。
要するに、非科学的であり、防疫の観点では数百年前の水準での判断と言えるでしょう。

先ずはこの点を整理して、問題を明らかにしないことには、疑いは残り続けます。
将来の宮崎県の畜産業に相当な損害をもたらす可能性があるでしょう。

7月 15, 2010 at 10:02 午前 事故と社会 |

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コメント

動物衛生研究所によりますと、
> 口蹄疫のワクチンは不活化ワクチンである。
とのことです。
ですから、ワクチンが「効かなくて」発症したのか、ワクチンの「不活化が不十分」だったのか、大きな違いがあります。
今回の口蹄疫に限らず、今後の研究のためにも、「血液を採って、検査すべき」だったと感じます。

投稿: mimon | 2010/07/16 2:19:36

2010.07.15 宮崎県 口蹄疫関連ニュース  MRTニュースNext①
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=bcjWAOSt9jM
副大臣の見解があります。

7月1日に毎日新聞もこの件について取材しているのに記事にすらならなかったのは何故なんでしょうね。それは、副大臣の見解と同じで、問題が無かったと判断されたからでは?

投稿: m | 2010/07/16 10:23:43

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