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2010.07.04

非実在都条例問題は面白い

サンケイ新聞より「【日本の議論】「子供を守る」どこ行った? 大人の都合で“政争の具”へ 漫画児童ポルノ条例をめぐる議論

2010.7.4 07:00

東京都議会6月定例会が閉会した6月16日。子供を性的対象にした漫画やアニメといった商品の区分陳列など、販売規制を目指す都青少年健全育成条例の改正案が最大会派の民主などの反対多数で否決された。

だが、石原慎太郎知事は9月議会への再提出を目指す考えを明言。「表現の自由」と「子供の健全育成」をめぐって交わされた議論は、いつの間にか“政争の具”に発展してしまった。

否決を前提として建設的な議論を避けた民主への批判に加え、都議会や関係先への根回しを怠ってきた都最高幹部や担当部局による“不作為”を指摘する声もある。(宮原啓彰)

“汚い花”を断つと植物全体が滅ぶ

都条例の改正案をめぐる議論は3カ月にわたって迷走を続けた。発端は今年3月議会の会期中、改正案に反対する著名漫画家のちばてつやさんや里中満智子さんらが都庁で記者会見を開いたことだった。

「表現で新しいものが起きるときは色んな種類の花が咲く。スミレなどかれんな花も、ジャングルのラフレシアのような花も、根っこですべて繋がっている。この花は汚いと根を断つと植物群全体が滅ぶ」
ちばさんは、漫画文化を生態系に例えて改正案を批判した。

この会見により反対運動が一気に拡大した。

日本ペンクラブや出版倫理協議会などの各団体の反対表明に加え、反対派によるインターネットでの呼びかけで、都だけでなく民主、自民など各会派にメールやファクスで抗議が殺到した。

議論の焦点は改正案条文の文言の定義と適用範囲だった。

規制対象となる漫画などの18歳未満と想定されるキャラクター「非実在青少年」や「青少年性的視覚描写物」など用語の定義のほか、行政による恣意(しい)的な運用を招き、表現の自由を脅かすというのが主な主張だ。

民主幹部は当時、条文について

「まるで警察用語。わざと分かりにくくしているのかと思った」
とあきれた。
その一方で、改正案を提出した都青少年・治安対策本部の幹部は
「『非実在青少年』とは『非、実在、青少年』という意味だ。何が分からないのか、分からない」
と余裕の笑みを浮かべていた。

しかし、実際には3月議会で改正案の可否を問う集中審議はなく、その余裕も都議会にはなかった。

なぜか-。

当時、都政で最大焦点となっていた築地市場の移転関連予算を盛り込んだ平成22年度の中央卸売市場会計予算案審議が佳境を向かえていたことが理由だ。

賛否をめぐるさまざまな思惑が交錯する中で、改正案は結局、全会一致で継続審議となり、結論は6月議会に持ち越されることとなった。

しずかちゃんの裸はOK

一方、都庁内には、継続審議となったことで改正案をまとめた担当局の不手際をなじる声も上がった。

都幹部の1人は

「舐(な)めてかかっていたのではないか。明らかに業界や都民、議会への根回し、説明不足だ」
と眉(まゆ)をひそめた。
担当幹部も
「正直、ここまで反発が強くなるとは思わなかった。事前の説明不足は否めない」
と述べる。

強まる批判に担当者らは巻き返しにやっきとなる。

「都民に条例改正の周知が不十分だった」
(都担当者)として、
「ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンやサザエさんのワカメちゃんのパンチラなどは規制に該当しない」
などとする質問回答集を都のHPに掲載。

また、改正案を象徴する用語となった

「非実在青少年」についても「年齢、学年の明確な描写やセリフ、ナレーションで明らかに18歳未満に設定されたキャラクター」
と規定し、その
「性行為がメーンとなっているもの」
が規制対象になることを明記した。

しかし、5月初旬に起きたある“事件”が情勢を一変させた。

石原知事が定例会見で

「「(条文は)説明不足。『非実在青少年』という言葉は何だこれ一体? 幽霊の話か? 役人が作るくだらない言葉は世間に通用しない。誤解を受ける文言が悪い。どんどん変えたらいい」
と述べたのだ。

都幹部は

「あの発言が条例に反対する民主につけ込む隙(すき)を与えた。記者会見を補佐する知事本局や執行部は、知事答弁の打ち合わせをしていなかったのか…」
とため息をつき、公明幹部も
「明らかな失言だった」
と肩を落とした。

落とし所を失っていた民主は、これに乗じて反対姿勢をさらに強めていった。

「まさに、渡りに船とはこのこと。民主も助かったんじゃないか」
と、別の野党幹部は苦笑いを浮かべた。

都議会総務委員会の参考人招致で民主は反対派の急先鋒(せんぽう)、宮台真司首都大教授(社会学)らを招致。

宮台教授は

「主観だけで何でも規制できる。こんな条例を掲げること自体が東京都の恥」
と批判。
「非実在青少年」について
「設定が問題なら『これは成人コスプレ』と断れば何でもありで、ナンセンスだ」
と述べ、都の質問回答集を
「法律は条例を含め条文がすべてで無意味だ」
と切って捨てた。

これに対し、条例改正に賛成する自公は改正案の条文作成にかかわった前田雅英首都大教授(法学)を招致した。

前田教授は

「改正案は子供が見にくい場所に置くことはできないかという提案だ」
と改正案の趣旨を説明したが、
「条文にあいまいな部分がないわけではないが、法律は素人が分かる言葉でできていない」
と主張した。

民主都議の1人は

「反対派の主張の方が説得力があった」
とニンマリ。
「改正案に賛成意見なんて実際はPTAにさえない」
と述べるなど、自信をのぞかせる発言が目立つようになっていった。

「民主の方が無責任」?

勝負となった6月議会。民主幹部は代表質問で早速、

「自ら責任を持てないものを議会に提出したのは無責任」
と知事の発言を非難し、撤回を受け入れない場合は否決する方針を打ち出した。

だが、担当局幹部によると、石原知事サイドを無責任となじった当の民主幹部は、改正案を答申した「都青少年問題協議会」に名を連ねながら、一度も会に出席していなかった事実も発覚。

「最初から関心がなかったことの表れで、どちらが無責任か。一度、議会で受けた議案の撤回要求は責任放棄。民主こそ修正案を出すべきだ」
と自民幹部は憤った。
また、公明幹部も
「民主から民主案について『会派内がまとまらないので今回は出せない』といわれた。これが、最大会派のやることか」
と憮然(ぶぜん)とした表情を浮かべた。

自公は早期成立を求める保護者の署名が約4万5千筆集まったとし、対抗措置として独自の修正案を提出した。「非実在青少年」を「描写された青少年」に、また「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に変更するなど用語を変えた上で、表現の自由を侵害するとの懸念に対して、付則で「条例施行3年経過後に検討の上、必要な措置を講じる」とした。

ところが、民主幹部は

「改正案の文言を変えただけだ。自公が担当局に作らせたに決まっている」
と批判、別の幹部は
「民主の独自案はできている」
と明かしたが、それが白日の下にさらされることは最後までなかった。

都議会で民主と自公がさや当てを行う一方、石原知事は

「7、8歳の女の子をセックスの対象にする漫画を子供の目に触れさせないようにすることがなぜいけないのか」
と強調。
「反対のための反対で都民が迷惑。ばかなことをやっている。抽象論ではなく具体的な対案を出すべきだ。(出さないなら)『現状を認める』と都民の前で言えばいい」
と怒号した。

落としどころは…

6月議会閉会後、都議会各会派を回った石原知事。

民主の控室で

「日本語の解読能力がないな、君らは」
とチクリ。
これに対して大沢昇幹事長は
「自分だってそうじゃないか。言われたくないよ」
と言い返す場面もみられた。

改正案に反対する藤本由香里・明治大准教授は

「都はエロ漫画に限定しての規制というが、条文では拡大解釈ができるようになっている」
と改正案の否決を喜び、
賛成派の赤枝恒雄・赤枝六本木診療所院長は
「未成年者が漫画の影響でレイプされている現実があることを知るべきだ」
と肩を落とした。

都幹部は

「条例規制か、それとも自主規制か。議論はそこで平行線をたどっただけ」
と総括。結局、着地点を見いだせないまま時間切れになった格好だ。

石原知事は、9月議会への再提出を目指す意向だが、インターバルはわずか。

「もっと時間がほしいのが本音。誰もが6月議会で流れは否決といった状況を感じていたはずだが、『俺に任せとけ』と言って問題を抱え込んだものの、民主対策を怠っていたにもかかわらず、知事には耳障りの良い情報しか伝えていなかった担当の最高幹部は責任をどう感じているのか」
などの“恨み節”も庁内からは聞こえてくる。

一方、自民幹部も

「民主はこの問題を知事選まで引き延ばすつもりだ。再提出は少なくても12月議会まで待った方が良い」
とうめいた。

いつの間にか“政争の具”と化した改正案をめぐる議論に、子供を守るという当初の目的が薄れ始めている。文字通り“非実在青少年”化しているようだ。

右派のサンケイ新聞のまとめ記事ですから、それなりでありますが、いや面白い。

と言うか、時間切れで何も決まらずというのは当然ではないだろうか?
逆に言えば、こんなややこしい問題を条例で何とかしようと考えるところが、まずいでしょう。

じゃあなんでこんな大騒ぎになったのか?と言えば、一方に石原都知事、片方に表現の自由の侵害に敏感な人たち、という大きな力があって、それを正当が担いだからで、サンケイ新聞が言う

いつの間にか“政争の具”と化した改正案をめぐる議論に、子供を守るという当初の目的が薄れ始めている。文字通り“非実在青少年”化しているようだ。
というのは、「いつの間にか」ではなくて「最初から」でしょう。

社会全体が、なんとなく安定性が無くなって来て、法律に安定を求める傾向が強くなってきているのだと思います。
そのために法律がどんどんビッグブラザー化してきている。

法律のビッグブラザー化の速度に対して「それは急ぎすぎだろう」というのが、今回の反対運動の根本だと思う。

だから、条例案に「いかなる内容でも反対」という意見はなくて、対案がどうのこうのと言ったことになっている。
しかし、条例がなければ野放しか?と言うと、自主規制とか世論の批判は当然あるわけで、自主規制でよいでしょう。という意見に対して、石原都知事は

「7、8歳の女の子をセックスの対象にする漫画を子供の目に触れさせないようにすることがなぜいけないのか」
「反対のための反対で都民が迷惑。
ばかなことをやっている。
抽象論ではなく具体的な対案を出すべきだ。(出さないなら)『現状を認める』と都民の前で言えばいい」
と言わざるを得ないということなのだろう。

ここまで来ると、さすがにまとまるとも思えないわけで、完全に「言った言わない」レベルの、政争の具になった、ということですね。

7月 4, 2010 at 10:58 午前 国内の政治・行政・司法 |

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