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2010.07.04

大阪府が金融特区案

毎日新聞より「大阪府:「貸金特区」設置提案へ 上限金利引き上げを検討

大阪府は3日、改正貸金業法の完全施行で導入された、個人の借入総額を年収の3分の1までに制限する「総量規制」と、年15~20%の上限金利規制を一部緩和する構造改革特区の設置構想を政府に提案する方向で最終調整に入った。

規制の強化で中小事業者などが違法な「ヤミ金融業者」に流れるのを防ぐことが狙いだが、実施されれば全国の貸金業界に影響が出ることは必至だ。

政府との交渉は難航が予想されるが、提案で同法のあり方に一石を投じる意味もあるとみられる。

構想によると、中小事業者向けの1年以内の融資は上限金利を改正前の年29.2%に戻すほか、個人に返済能力があれば総量規制を超えた無担保融資ができるよう緩和。

府内に本店を置く貸金業者が府内の店舗で融資する際に適用することを想定しており、借り手は府民でなくてもいい。

改正法による金利引き下げで、貸金業者はリスクの高い中小事業者向け融資を縮小。

廃業する業者も多い。府は、担保の少ない中小事業者に「金利が高くても無担保で即日融資を受けたい」との声が強い点を重視。
また、返済能力のある利用者への融資まで一律に制限する総量規制は硬直的だと判断し、多重債務者の救済体制を充実したうえで規制緩和を実施したい考えだ。

近畿財務局が3~4月に実施した調査によると、近畿2府4県の貸金業63業者の利用者のうち、総量規制に抵触する人は49.4%と全国平均の42.0%より多い。

また、府が個人債務者500人に実施した調査では、7人に1人が「ヤミ金融利用は仕方ない」と回答したため、府はヤミ金融に利用者が流れる可能性があることを懸念していた。

政府は、9月末をめどに特区設置の可否を判断する。しかし、6月18日に完全施行されたばかりの改正貸金業法の一部緩和は、消費者団体などからの反発も予想され、すんなり認められる可能性は低い。
ただ、府の動きで改めて規制強化の是非論が浮上する可能性はある。
【中井正裕、宇都宮裕一】

毎日新聞 2010年7月4日 2時30分

いくら何でも「貸金特区」は無理がありすぎでしょうが、総量規制が現実的ではないのも明らかで、早晩こういった議論になるだろうとは思っていましたが、ビックリするほど早いですね。

参議院選挙の最中だからこういう話を大阪府は打ち上げたのでしょうか?

問題なのは、この種の話は全国レベルで一斉にやらないとダメなわけで、地域特区では明らかに実現性がないです。
その一方で、総量規制の是非は議論するべきです。

昨日(2010年7月3日)車で放送大学を聞いていたら、金融政策論をやっていました。
この中で、戦後の高度成長期を支えた、金融政策は国が全部を主導してその実施を銀行に任せるという形であった。
この時代には、先進国アメリカをキャッチアップすれば経済は成長したから、製造業が進歩するための情報も国が収集し提供することが出来た。
しかし、製造業の競争市場が最先端になると、国が関与できなくなった。
必然的に、国が関与するよりも、金融の自由化も含めて、企業活動を市場原理に任せることになって、その後、現実にはバブルと不景気を繰り返すようになった。

この授業を最後までは聞いていなかったのですが、講師はこの問題について、高度成長期に銀行の支店の設置にまで、行政がチェックすることで、供給側を強くコントロールして、全体の経済秩序を維持していた。

国は銀行を通じて、資金供給を事前にチェックしたから企業の暴走も抑えることが出来た。
金融自由化によって、企業の資金調達のルートが直接金融(株式公開など)に変わったのだから、事前チェックが出来なくなった。当然、結果チェックに切り替えるべきであった。

要するに、決算を含めて情報開示の義務化、重罰化するべきだ。と言うのです。
しかし、現実は情報開示と責任追及の体制は全くできず、その結果が北海道拓殖銀行や山一証券といった予想しがたい倒産事件になり、今度は大きすぎてそのまま潰せないから、結果的に救済する。つまりは、罰であるところの市場からの追放すら出来ない、という意見であったようです。

今回の、大阪府の「総量規制骨抜き特区」案は、結局は金融市場の透明性の管理が出来ないまま、「とりあえずず金融業者を抑え込む」という「総量規制」に対して、同じく「どうでも良いから金を供給しろ」という市場無視、つまりはヤミ金公認とどこが違うのだ?という種類のものです。

先に紹介した放送大学の授業では、金融の自由化に伴う、市場のチェック機能の不十分さ問題は、日本に限ることではない、とのことでした。
実際アメリカのノーベル賞を取った金融工学という名のトンでもないマネーゲームは世界の経済を不安定にしています。

これでは、国に対する信頼が無くなるのも当然というべきでしょう。
問題は、国に対する信頼=未来に対する信頼を、金融がぶち壊しつつあることで、早晩国という存在そのものが壊れるでしょう。
それに対して各国政府が何の手も打てないことが問題ですが、このような国イコール行政に対する信頼の崩壊は、軍事クーデーターなどになっていくしかないのですよね。
今後の数十年間は、各国政府の崩壊、貿易の途絶といったことになっていくのかもしれません。

7月 4, 2010 at 10:12 午前 国際経済など |

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