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2010.06.11

口蹄疫・防疫の失敗

読売新聞より「止まらぬ感染拡大、10年前の成功で油断

宮崎県で口蹄疫(こうていえき)の感染拡大が止まらない。

10日には日本トップクラスの畜産基地、都城市で感染が確認されたほか、日向市や宮崎市でも新たな感染の疑いが浮上した。戦後最大の家畜被害を生んだ背景には何があるのか。

畜舎の床一面に剥(は)がれた豚の爪が無数に散らばっていた。
蹄(ひづめ)を傷めた親豚が何度も立とうとしては崩れ、横には息絶えた子豚たちが折り重なっている。

「こんな状態で生かしておいてもつらいだけ。いっそ早く殺してやりたいが、埋める場所もなく身動きがとれない」。
宮崎県川南(かわみなみ)町で30年以上養豚業を営む男性(52)は涙ぐんだ。

止まらない被害を前に、男性は

「これほど広がるなんて。これは人災ではないのか」
と憤った。

「これじゃ無理だ。感染は防げない」

同県都農町で感染第1例が発表された4月20日。都農町から川南町、宮崎市と県東部を縦断する国道10号を眺めながら、宮崎市の畜産業、尾崎宗春さん(50)は焦った。

消毒ポイントは設けられているものの、消毒するのは畜産農家の車ばかり。
一般車両は素通りしていた。

尾崎さんの危惧(きぐ)通り、感染はその後、10号沿線に広がっていく。

10年前の2000年3月、宮崎県は国内では92年ぶりとなる口蹄疫に見舞われた。この時は封じ込めに成功し、殺処分は3農家35頭にとどまっている。尾崎さんは

「当時の方が対応が迅速で徹底していたような気がする」
と振り返る。

発生初日に設置した通行車両の消毒ポイントは、10年前は13か所だったが、今回は4か所。

前回は、家畜の移動制限区域を20キロ圏内、搬出制限区域を50キロ圏に設定したが、今回はそれぞれ10キロ圏内、20キロ圏と大幅に縮小した。

危機意識の薄さも目立った。感染が分かった4月下旬には、感染の飛び火を恐れ、県内外では様々なイベントの自粛が始まった。

こうした動きに、県の渡辺亮一商工観光労働部長は4月28日の対策本部会議の席上、

「ちょっと過剰な反応なのかな、とも思います」
と語っていた。県が非常事態宣言で県民に活動の自粛を求めるのは、それから3週間も後のことだ。

蔓延(まんえん)の背景には、埋却地や人手不足による処理の遅れもある。

赤松前農相は6月1日の記者会見で、

「(県に要請して)今週中には、感染した牛や豚の殺処分を終えたい」
と、早期処理を明言した。

ところが実際には、川南町周辺などで感染したとされて殺処分対象になった約19万頭のうち、殺処分も埋却もされていない家畜は6月9日時点で3万1820頭も残っている。

このうち約1万7000頭は豚だ。

豚はウイルスを体内で増殖させやすく、牛の100~1000倍も拡散させやすいとされており、

「いわばウイルスの火薬庫を放置している状態」(農水省幹部)
だ。

蔓延の原因について、農水省や県は

「今回のウイルスの感染力が10年前に比べて格段に強かったこと」
と説明する。だが、口蹄疫問題の対策などを決めてきた同省の牛豚等疾病小委員会の委員は明かした。
「甘かった。10年前はうまくいったという自信が、失敗の始まりだった」
(東京社会部 十時武士、畑武尊、西部社会部 本部洋介)

(2010年6月11日03時05分 読売新聞)

典型的な、戦力の逐次投入、でしょうね。
ニュースでも、ブランド牛の話題ばかりが出ているのが不思議でした。ブタの感染はいつでも大問題でしたから。

その意味では、マスコミも「忘れていた」なのでしょうか?

この問題に関心のあるブロガーが以前から指摘していますが、日本で突如発生したのではないのですね。
韓国・台湾で大問題になっていて、元もと十分に警戒するべきでした。
しかし、この記事の中にあるようにテレビ映像で見ても消毒も防疫とはほど遠いもので、10年前に比べてもはるかに小規模だった、となります。

なんか、日本の劣化そのものを見ているような気がしてきます。

6月 11, 2010 at 11:28 午前 医療・生命・衛生 |

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コメント

対応側に10年前に(運よく)封じ込めに成功したという経験が、悪い意味で作用したようですね。
口蹄疫の恐ろしさは少なくとも獣医であれば、誰もがしっかりと認識しているはずなのですが・・・。
農水省や宮崎県において、それをはっきりと述べる事ができる人材が居なかったのか、或いは上層部がその苦言に聞く耳持たなかったのか。
恐らく双方が原因でしょうが、何れにせよ宮崎県の畜産が元の状態にまで戻るには、少なく見積もっても5-6年間は掛かるでしょう。
その間に経済的な理由等から「不幸な事態」が起きる事も十分予想されます。
その様な不幸な出来事が出来るだけ少なくて済むよう、祈らざるを得ません。

投稿: 我楽者 | 2010/06/12 7:20:42

>ニュースでも、ブランド牛の話題ばかりが出ているのが不思議でした。ブタの感染はいつでも大問題でしたから。
>その意味では、マスコミも「忘れていた」なのでしょうか?

これもマスコミのミスリードの典型の一つと言ってもよいでしょう。些細だと思ったミスリードの為に事件事故の解決が進展しないことは過去の例から見ても明らかです。
マスコミって反省心が無いんですね。反省心が生まれる取り戻すまであと何十年かかるのでしょうか。それまでマスコミの犠牲となる人やモノが累々と重なっていくのでは困ります。世間がマスコミ報道の適切性に対して、今よりもっと強く厳しく監視していくべきだと思います。
あのJR西の尼崎脱線事故だってマスコミのミスリードのおかげでいまだに本当の原因究明に至っていないのですから。

投稿: 昭ちゃん | 2010/06/13 12:01:11

ようやく、車輌の消毒義務化になりましたが、これも指定地点だけだそうで、抜け道もあるという。

だから、防疫という観点では「隔離」の徹底しかないはずなのに、いまだに対策として徹底していないですね。

それをマスコミも問題にしていない。

マスコミに必要なのは、ビジョンだと思うのですが、そういったものが感じられなくなってきましたね。

投稿: 酔うぞ | 2010/06/13 13:27:17

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