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2010.04.21

消費者庁の機能不全

朝日新聞より「消費者庁、届かぬ事故報告 「情報の一元化」看板倒れ

食中毒や製品事故など、消費者の安全が脅かされた事例を一元的に把握しているはずの消費者庁に、重大な事故情報が通知されない事態が相次いでいる。

通知すべき事故かどうかの判断を通知義務者の省庁や自治体側に任せてしまっているため、「消費者視点」を欠いた判断になったり、見落とされたりしているからだ。

消費者庁の「待ちの姿勢」が、看板倒れにつながっている。

通知制度は、消費者安全法に定められている。中国製冷凍ギョーザ事件での対応の遅れを受け、昨年9月発足の消費者庁に事故情報を一元化し、被害拡大の防止や注意喚起につなげようという制度の根幹が揺らいでいる。

都内で3月22日、乗用車の後部座席にいた母親がパワーウインドーを閉めた際、ひざに座っていた生後11カ月の女児が右手を挟まれ、小指を切断した。

昨年9月には4歳の男児が、後部座席の窓から頭を出していて首を挟まれて窒息し、運ばれた病院で生命に危険がある「重症」と診断された。

だが、2件とも発表後に報道機関が指摘するまで、東京消防庁から総務省消防庁に報告されておらず、消費者庁も発生を知らなかった。

東京消防庁生活安全課によると、交通事故と急病搬送を除き、同課には事故データが年間約11万件届く。
係員5人が、救急隊員の出動記録を1件ずつ点検し、被害状況や傾向を調べる。その作業が膨大なため、昨年9月の事故は見落とし、今年3月の事故は通知に思いが至らなかったという。
同課は「消費者安全法をより意識し、点検態勢の強化を考えたい」と話す。

東京都大田区の東急東横線多摩川駅下り線ホームでは昨年9月、女性(81)が車いすごと落ちて死亡した。

消費者庁は報道で知ったが、発生数時間以内に通知義務のある重大事故の疑いがあったため、国土交通省に問い合わせた。
同じ場所ではその2年前にも車いすの女性(95)が落ちてけがをしていたが、東急電鉄は利用者に注意喚起を十分にしていなかった。

しかし、国交省から

(1)介助者が車いすのストッパーをかけず手を離した
(2)カーブした線路に沿ったホームで傾斜は避けられないとして、商品やサービスが安全性を欠いたことが原因の「消費者事故」ではない
と説明を受け、そのままに済ませた。

消費者庁は「消費者事故かどうかは省庁や自治体側が判断する仕組みになっている」として、幅広い通知を求めていない。

このため通知がなければ事故が存在しないかのような状態になっている。

09年9月から今月11日までに、通知された事故は1399件ある。このうち133件を今年1月~今月14日に消費者庁が消費者安全法上の「重大事故など」として公表した。

これをみると、総務省消防庁の通知分は製品火災だけ。

国交省分は乗り合いバスでの転倒、経産省分はガス火災とガス爆発がそれぞれ大半を占める。

パターンにはまった事故は通知されるが、当てはまらない事故は漏れている可能性があり、通知されない事故は潜在的にはさらに多いとみられる。(茂木克信)

消費者庁の設置を求める集会に何度か参加しましたが、その時に問題点として指摘されていたことの一つが現実になった、ということでしょう。

消費者庁の設置を求める側の意見としては、役所のかきねを越えるといった観点での万能性を要求するわけですが、そうなると行政組織としては二重になってしまいます。
しかし、既存の各役所の判断に問題があって、隙間に落ちてしまうような問題を救済するために、幅広くチェックできる仕組みが必要なのは言うまでもありません。

つまり、消費者庁は出発以前からかなり大変な問題を抱えていたわけです。
そのために、自民党案と民主党案が正面衝突していたわけですが、それとは別に組織としても集中化を図るために、地方にあった消費者相談機能を中央直結にする、という「できるのか?」といった計画を進めて、これがいまだに旨くいっていません。

記事に紹介されている例は、いずれも各役所では情報が挙がっているのに、消費者庁に行かなかったということですが、元もと日本の行政は縦割り構造であり、消費者庁がやることが横串なのですから、消費者庁が情報を待っていても来なくて当たり前ではないでしょうか?

通知すべき事故かどうかの判断を通知義務者の省庁や自治体側に任せてしまっているため

というところは、最初からダメだろうといわれていた点で、ここらをさっさと直すのが最優先でしょう。

4月 21, 2010 at 10:17 午前 国内の政治・行政・司法 |

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コメント

>通知すべき事故かどうかの判断を通知義務者の省庁や自治体側に任せてしまっているため
>というところは、最初からダメだろうといわれていた点で、ここらをさっさと直すのが最優先でしょう。

そりゃそうですね。自分で判断してよいのなら、通知するはずがありません。自分の仕事には何のメリットもなく、報告しないことが何らかの規則に抵触することもないのに、消費者庁のために面倒なことをする気にはよほど暇じゃないとなりませんね。

投稿: zorori | 2010/04/21 22:42:54

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