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2010.03.07

飛行場で気圧の大間違え

東京新聞より「気圧誤報で着陸できず 気象庁がデータ入力ミス

先月12日、気象庁が松本空港(長野県)の気圧データを取り違えたため、着陸降下中の旅客機の高度計に誤差が生じ、着陸をやり直すトラブルが起きていたことが分かった。

航空機は気圧を基に高度を補正しながら飛んでおり、気圧が違うと正確な高度が把握できない。
当時は雪で視界も悪く、航空関係者は「事故につながりかねない危険な状態だった」と指摘している。

気象庁などによると、松本空港では同日朝、滑走路付近の気温計が氷点下2度前後で動かなくなり、凍結と判断。
同庁の松本空港分室の職員が、手持ちの気温計で代替観測した。

これに伴い、通常は各種気象データを記した航空機向けの電文が自動作成されるが、手作業による気温や気圧の入力が必要となった。

職員がコンピューターの計算ソフトで気圧を算出した際、海面気圧(標高ゼロメートルに換算した気圧)を電文に取り込むべきところ、一緒に表示された現地気圧(滑走路上の気圧)など別の値を入力した。

松本空港は標高657・5メートルと日本の空港で最も高所にあり、海面気圧と現地気圧の差が大きい。

同庁は午前10時~10時半すぎに電文を計3回発信。1014ヘクトパスカルとすべき値を、999、937、938ヘクトパスカルと誤った。

このため、大阪発で午前10時半に松本着予定のプロペラ旅客機ボンバルディアDHC8は、空港まで数キロの地点で、発信されたデータを基に計器上の高度300メートルまで降りて着陸体勢に入ったが、実際は420メートルまでしか降りていなかった。
そのまま滑走路に入ると急角度での着陸となるため、目視で危険を察知した機長の判断で着陸を中止し、ことなきを得た。

同機は、上空を旋回しながら無線でデータを照会。
管制塔を通じ、指摘を受けた気象庁が発信した訂正報を確認後、正常に着陸した。この影響で、到着が41分遅れたが、乗客乗員27人にけがなどはなかった。

■重大な問題と認識

松本空港分室を所管する東京管区気象台総務部業務課の話

 気圧の誤報は大事故につながりかねず、重大な問題と認識している。
国土交通省航空局と航空会社には、その日のうちに経過を説明、謝罪した。
データを取り違えないよう計算ソフトの表示を変えるなど、改善策を検討する。
通風筒(気温を測るステンレス製の円筒)の材質や形状にも、凍結防止の工夫をしたい。

(中日新聞・東京新聞)

ずいぶんひどい話ですね。

基本的には、飛行機の高度計は、滑走路の気圧で補正します。
だから、全く同じ気圧の時に出発した空港に戻る、といったケース以外は常に高度計の補正をして、着陸した時に高度0になるようにしています。

飛行機への通報は、データで送信されるのかは、分からないのですが基本的には管制官とパイロットの間で確認をしていくはずです。
しかし、パイロットは上空にいるから地上の気圧は知りようがない。

管制官が、気象庁のデータをそのまま伝えていた、となります。
気象庁の測定値と、空港事務所の測定値がある、なんてのはまずいですから情報一元化の観点では、気象庁のデータをそのまま送るのは正しいことではあります。

しかし、今回は「コンピュータで計算したから間違えた」という話しですが、どこをどうやれば気圧を間違えたままで、いられるのか?

気圧計なら、わたしだって自宅にもあるし、腕時計にも付いてます。

気象庁職員も、管制官も「チラッと確認」すれば、すぐに間違え気づくものでしょう。
それがなぜ見逃されたのか?

ハイテク旅客機で、機首にある静圧孔などの大気取り入れ口のカバーを取り損ねて離陸してしまったら、フライトコントロールがデタラメになってしまって、そのまま墜落したという事件がありました。
昔なら「速度計が動かない」ということだったはずなのです。

Up

「1014ヘクトパスカルとすべき値を、999、937、938」ということですが、典型的なアネロイド気圧計の目盛りで見ると、指針の位置が90度も違うことになります。
アナログ的に見落とすような状況では無いです。

デジタルの落とし穴、というべき事でしょう。

今回の「測定誤差」は150~600メートルぐらいに相当します。
これでは、飛行機が山に衝突しても不思議は無い。
今回がたまたまラッキーだったわけで、鉄道が赤信号を無視したが事故にならなかった、ぐらいの話しですよ。

3月 7, 2010 at 11:50 午前 事故と社会 |

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コメント

記事からは読み取りの間違いではなく手入力すべき数値を海面気圧か現地気圧かを取り違えた感じで、アナログ、デジタルの問題ではないと思います。

投稿: tune | 2010/03/08 13:46:28

>読み取りの間違いではなく手入力すべき数値を海面気圧か現地気圧かを取り違えた

読み取りミスを防止するために、デジタル化するというのはわたしが40年ほど前に大学で聞いたことですが、わたしの感覚としてはその後、デジタルであり数値だから正しい、という思い込みが蔓延していると思うし、わたし自身もそういう「量的」な感覚が落ちてきた、と自覚しています。

つまり、現代のアナログデジタル問題とは、デジタル数値をアナログ量に置き換えて判断することができないことを問題にしています。

アナログでもデジタルでも測定量を取り違えることはあります。
それを検証するために、複数回の測定を実施することを測定技術では基本とするわけですが、その真髄は「こんなデータは正しいのか?」と疑ることでしょう。

そういう意味で、今回の事件は非常に深刻なことだと捉えています。

投稿: 酔うぞ | 2010/03/08 17:52:11

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