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2010.03.17

平和神軍裁判・上告棄却有罪決定・その3

判決文が、最高裁判例として掲載されました。

よく分からないですね。
そもそも原判決、つまり東京高裁は事実調べをしていないとのことです。
その上での、認定事実ですから、早い話が地裁判決がどうして異例なものになったのか、という判断の違いについて論じていません。

その上で、

原判決の認定によれば,
被告人は,
商業登記簿謄本,市販の雑誌記事,インターネット上の書き込み,加盟店の店長であった者から受信したメール等の資料に基づいて,摘示した事実を真実であると誤信して本件表現行為を行ったものであるが,
このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること,
フランチャイズシステムについて記載された資料に対する被告人の理解が不正確であったこと,
被告人が乙株式会社の関係者に事実関係を確認することも一切なかったこと
などの事情が認められる
というのである。

これは何を言いたいのだろう?
真実相当性が不十分だ、ということになるかと思うが、そもそも高裁ではこの点の審理をしていない。
地裁では正反対の結論を出している。

というのである」では、裁判の本質的使命である真実の解明の放棄ではないのか?

百歩譲って、これを認めるとして、なぜ上告棄却になったのか?は

以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないから,これと同旨の原判断は正当である。

だって、最高裁は事実調べをしないわけだから、これではどんな場合でも高裁判決の踏襲になることにならないか?
そもそも、高裁判決が地裁判決と比して妥当ではない、というのが争いではないのか?

しかも、この部分は「職権で判断する。 」なのだが、何を判断したのか?

名誉毀損罪は、多くの方がかつてわたしが誤解していたのと同様に、「名誉毀損の内容が名誉毀損に当たることが立証されると罪になる」と理解されているでしょうが、そうではありません。

名誉毀損ですから、簡単に言えば悪口です。悪口を言ったことが事実であって、それを公表すると名誉毀損に該当する、と考えるしかありません。

しかし、現実問題として、井戸端会議や職場での悪口を刑法の名誉毀損罪で取り上げることは、今までも極まれにしかありませんでした。
つまりは、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」という刑法の規定での「公然と事実を摘示し、」の部分が日常生活と多少は違う基準であることを示しています。

それがインターネット時代になって、個人がマスメディア並みのパワーも持つようになった。
日常生活が変わった。

こういう時代だからこそ、この裁判には大きな意義があったし、以前から名誉毀損と表現自由はどこに落とし所見つけるかで、いくつもの裁判が起きていました。
そういう時期に、新しい判例を求めていましたが、結局はそれに何を触れることなく、まるでインターネットがないかのような基準を示してきました。
国民のほとんどが使おうというインターネットに対して、旧来の基準を当てはめていては、司法の自殺ではないでしょうか?


主    文

本件上告を棄却する。

理    由

 弁護人紀藤正樹ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は 単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらな い。

 なお,所論にかんがみ,インターネットの個人利用者による表現行為と名誉毀損 罪の成否について,職権で判断する。

1 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は,次のとおりである。

被告人は,フランチャイズによる飲食店「ラーメン甲」の加盟店等の募集及び経 営指導等を業とする乙株式会社(平成14年7月1日に「株式会社甲食品」から商 号変更)の名誉を毀損しようと企て,平成14年10月18日ころから同年11月 12日ころまでの間,東京都大田区内の被告人方において,パーソナルコンピュー タを使用し,インターネットを介して,プロバイダーから提供されたサーバーのデ ィスクスペースを用いて開設した「丙観察会逝き逝きて丙」と題するホームペー ジ内のトップページにおいて,「インチキFC甲粉砕!」,「貴方が『甲』で食事 をすると,飲食代の4~5%がカルト集団の収入になります。」などと,同社がカ ルト集団である旨の虚偽の内容を記載した文章を掲載し,また,同ホームページの 同社の会社説明会の広告を引用したページにおいて,その下段に「おいおい,まと もな企業のふりしてんじゃねえよ。この手の就職情報誌には,給料のサバ読みはよ くあることですが,ここまで実態とかけ離れているのも珍しい。教祖が宗教法人の ブローカーをやっていた右翼系カルト『丙』が母体だということも,FC店を開く ときに,自宅を無理矢理担保に入れられるなんてことも,この広告には全く書かれ ず,『店が持てる,店長になれる』と調子のいいことばかり。」と,同社が虚偽の 広告をしているがごとき内容を記載した文章等を掲載し続け,これらを不特定多数 の者の閲覧可能な状態に置き,もって,公然と事実を摘示して乙株式会社の名誉を 毀損した(以下,被告人の上記行為を「本件表現行為」という。)。

原判決は,被告人は,公共の利害に関する事実について,主として公益を図る目 的で本件表現行為を行ったものではあるが,摘示した事実の重要部分である,乙株 式会社と丙とが一体性を有すること,そして,加盟店から乙株式会社へ,同社から 丙へと資金が流れていることについては,真実であることの証明がなく,被告人が 真実と信じたことについて相当の理由も認められないとして,被告人を有罪とした ものである。

2 所論は,被告人は,一市民として,インターネットの個人利用者に対して要 求される水準を満たす調査を行った上で,本件表現行為を行っており,インターネ ットの発達に伴って表現行為を取り巻く環境が変化していることを考慮すれば,被 告人が摘示した事実を真実と信じたことについては相当の理由があると解すべきで あって,被告人には名誉毀損罪は成立しないと主張する。

しかしながら,個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといっ て,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないの であって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手 段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。

そして,インターネット上に 載せた情報は,不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,これ による名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,一度損なわれた名誉 の回復は容易ではなく,インターネット上での反論によって十分にその回復が図ら れる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,インターネットの個人利用者 による表現行為の場合においても,他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真 実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由がある と認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であっ て,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない(最高裁昭和 41年(あ)第2472号同44年6月25日大法廷判決・刑集23巻7号975 頁参照)。

これを本件についてみると,原判決の認定によれば,被告人は,商業登 記簿謄本,市販の雑誌記事,インターネット上の書き込み,加盟店の店長であった 者から受信したメール等の資料に基づいて,摘示した事実を真実であると誤信して 本件表現行為を行ったものであるが,このような資料の中には一方的立場から作成 されたにすぎないものもあること,フランチャイズシステムについて記載された資 料に対する被告人の理解が不正確であったこと,被告人が乙株式会社の関係者に事 実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのであ る。

以上の事実関係の下においては,被告人が摘示した事実を真実であると誤信し たことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があるとはいえないか ら,これと同旨の原判断は正当である。

よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で, 主文のとおり決定する。

裁判長裁判官白木 勇
裁判官宮川 光治
裁判官櫻井 龍子
裁判官金築 誠志
裁判官横田 尤孝

3月 17, 2010 at 03:01 午後 裁判傍聴 |

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