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2010.03.04

高松高裁被告人質問を制限

朝日新聞より「弁護側の質問制限「一審が裁判員裁判だから」高裁裁判長

徳島地裁で昨年11月に開かれた裁判員裁判で、統合失調症の長男(当時33)を殺害したなどとして殺人、死体損壊・遺棄の罪に問われ懲役12年の判決を受けた元トラック運転手(63)=大阪府八尾市=の控訴審第1回公判が2日、高松高裁であった。

弁護側は、長男に対する現在の思いや一審判決への感想などを尋ねようと被告人質問を求めたが、長谷川憲一裁判長は「一審が裁判員裁判ということをかんがみ、控訴審で改めて被告人に話を聞くことはしません」と述べて請求を却下し、結審した。

弁護人の吉田哲郎弁護士は閉廷後、「被告人質問で聞きたかったことは一審判決を受けてのことだった。聞く必要がないという裁判所の判断には納得できない。一審が裁判員裁判ということは関係ないはずだ」と取材に述べた。

被告は「一審判決が重すぎる」として控訴した。判決は3月18日に言い渡される予定。

最高裁の司法研修所は、裁判員裁判の控訴審について、市民が参加した一審の結論をできる限り尊重するべきだとの見方を示している。

福岡高裁は昨年12月、弁護側が求めた被告人質問に対し「すべて(一審)当時の証拠で判断するのが裁判員裁判での高裁のあり方だと思う」として請求を却下している。

毎日新聞より「徳島・鳴門の殺人死体遺棄:裁判員裁判尊重、質問請求を却下--高松高裁初公判

昨年5月、長男を殺害し、遺体を切断して海に捨てたとして、殺人罪などに問われ、徳島地裁の裁判員裁判で懲役12年の実刑判決を言い渡された、大阪府八尾市無職(63)の控訴審初公判が2日、高松高裁(長谷川憲一裁判長)であった。

弁護側は被告人質問を請求したが、長谷川裁判長は示談など新たな動きがないことを確認したうえで「1審が裁判員裁判であることを考えると、改めて取り調べる必要はない」として請求を却下した。判決は18日に言い渡される。【松倉佑輔】

この情報は、ボ2ネタ [ボ2] で知りました。
ボ2ネタ [ボ2]2010-03-04の記事より

■[司法]弁護側の質問制限「一審が裁判員裁判だから」高裁裁判長 弁護側の質問制限「一審が裁判員裁判だから」高裁裁判長

http://www.asahi.com/national/update/0303/OSK201003030010.html
http://mainichi.jp/kansai/archive/news/2010/03/02/20100302ddf041040008000c.html

「裁判長は示談など新たな動きがないことを確認したうえで」

確かこの事件は家庭内の事件で,しかも遺族兼被告人の家族が一審で既に出廷して猶予を求める旨の供述していたんじゃ…。
一審後の示談って想定できたのかな…?

福岡でも同様の訴訟指揮がありましたが,こういう流れが定着するのなら,被告人の一審後の反省という事情は原審判決後の事情としては考慮しない,ということになっていくのでしょうか。
一審としては,ともあれ一審の判決を受けてからもう一度控訴審できちんと考えて欲しいと思って判決することはあると思うのですが…。

ボ2ネタ [ボ2] の書き手は、専門家だと思うので裁判の記事については評価を重視して見ていますが、今回のボ2ネタ [ボ2] の「思うのですが・・・」というところが気になって、元の新聞記事を何度も読み返してみました。

事件は、長男を殺害して海に捨てた、というものでした。
サンケイ新聞より「「家庭内暴力に悩み襲う」 鳴門の死体遺棄 父親逮捕
この記事は、2009年5月13日付けで記事中の日にちはすべて2009年5月です。

徳島県鳴門市の海岸で頭部と両手足が切断された男性の胴体部分の遺体が見つかる死体遺棄事件があり、県警鳴門署捜査本部は13日、遺体の身元を大阪府八尾市の無職、(33)と断定するとともに、死体損壊・遺棄容疑で同居の父親でトラック運転手(62)を逮捕した。

捜査本部によると、容疑者は取り調べに対し、「息子の家庭内暴力に悩み、将来を悲観してやった。寝込みを襲って工具で頭を殴った」と供述しており、殺人容疑でも追及する。

逮捕容疑は2日ごろ、大阪府八尾市の自宅内で、長男の死体の首と四肢を切断し、10日午前3時20分ごろ、鳴門市鳴門町土佐泊浦の神戸淡路鳴門自動車道・大鳴門橋の上から切断遺体を遺棄した疑い。

求刑が懲役15年で、裁判員裁判であって地裁判決は懲役12年でした。
徳島新聞より「鳴門殺人・遺棄、懲役12年 裁判員裁判、検察側求刑に近く

徳島地裁で17日に始まった県内2例目の裁判員裁判で、畑山靖裁判長は20日、裁判員との評議を経て、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた大阪府八尾市、元トラック運転手(62)に懲役12年を言い渡した。

弁護側は懲役5年が相当と主張していたが、裁判員らは検察側が求刑した懲役15年に近い刑を選択した。判決後、裁判員4人と補充裁判員1人が記者会見に応じ、感想を語った。

判決公判には、裁判官3人と裁判員6人、補充裁判員3人が臨んだ。

判決では、統合失調症だった長男=当時(33)=の暴力に悩み、精神的に追い詰められて犯行に及んだ経緯に「同情すべき点はある」としながらも、「いかに苦しい状況に置かれていたにせよ、人の生命を奪うことは許されない」と非難した。

弁護側が主張していた精神障害者の家族への支援制度の不備については「同じように苦しみながら、現実に向き合っている人が少なくないことは忘れてはならない」とした。

自首を考えず、犯行後も平静を装って生活しており、「後悔の念がうかがえない」と指摘。
被告の次男が供述調書の中で、遺体の切断と遺棄に憤りを感じていたことに触れたほか、「被害者への言葉は少なく、社会や制度のためにやむを得なかったような供述もしている」とも指弾した。

量刑については、殺害から遺体の切断、遺棄までを「全体として重く処罰すべき犯罪類型」ととらえ、死体損壊・遺棄罪は重視すべきではないとした弁護側の主張を否定。

殺人罪の法定刑の下限である懲役5年では「被告の犯罪行為に見合っていない」と退け、「当初から死体遺棄を考えたことなどは、厳しい非難を免れない」として懲役12年を導き出したことを説明した。

判決言い渡し後、畑山裁判長は被告に対して、最終陳述で被害者に向けた言葉がなかったことを「残念に思う」と述べ、「人の命の大切さを知っておいてもらいたかった」と語り掛けた。

判決について、豊永寛二弁護人は「被告は刑に服す趣旨の発言をしていた」と控訴しない方針を示した。
一方、徳島地検の織田武士次席検事は「適正な範囲内の結果であり、控訴は考えていない」とした。

こんな経過を経て、当初は控訴しない意向だったようですが、刑が重すぎると控訴した、ということのようです。

高裁で、

  1. 弁護側は、長男に対する現在の思いや一審判決への感想などを尋ねようと被告人質問を求めた
  2. 長谷川憲一裁判長は「一審が裁判員裁判ということをかんがみ、控訴審で改めて被告人に話を聞くことはしません」と述べて請求を却下
  3. 弁護人の吉田哲郎弁護士は閉廷後、「被告人質問で聞きたかったことは一審判決を受けてのことだった。
    聞く必要がないという裁判所の判断には納得できない。一審が裁判員裁判ということは関係ないはずだ」
  4. ボ2ネタ [ボ2] さんは、福岡でも同様の訴訟指揮がありましたが,こういう流れが定着するのなら,
    被告人の一審後の反省という事情は原審判決後の事情としては考慮しない,ということになっていくのでしょうか。
というところが問題だとボ2ネタ [ボ2] さんは述べているわけです。

裁判長が「一審が裁判員裁判ということをかんがみ」と述べたところには「???」と感じるところですが、今回はどうなっているのか分かりませんが、弁護側が漠然と「一審判決を受けてどう思いますか?」のような観点から被告人質問をすると言うのでは、裁判所に拒否されても仕方ないかな?という印象があります。
基本的には、裁判は起こった事件の解明が目的ですから、判決を受けたことについての感想は事件の解明そのものではないですよね。

一方、ボ2ネタ [ボ2] さんが問題にしている「被告人の一審後の反省という事情」という部分は、事件の解明に役に立つ、つまり新証拠の可能性があるのか?ということで決まってくるように感じます。

今回の事件報道を読むと、被告の情動が普通よりもかなり感度が低いのではないのか?と感じます。

  1. 自首を考えず、犯行後も平静を装って生活しており、「後悔の念がうかがえない」
  2. 最終陳述で被害者に向けた言葉がなかったこと
  3. 地裁判決後に、被告は刑に服す趣旨の発言をしていた
  4. 長谷川裁判長は示談など新たな動きがないことを確認した

ボ2ネタ [ボ2] さんが問題にしている点は、わたしの考えでは一審で被告側の状況が十分に解明されていないから、ではないかと思います。
自首を考えず、犯行後も平静を装って生活しており、「後悔の念がうかがえない」というのを「隠ぺいを意図する確信的な行動」と見るのか、これほど重大な事態に対してもあまり感情がないという病的な人だったのか?という全く別評価があり得るでしょう。
そして、どうもそこらが解明されていないのではないのか?

結局、どうも一審の弁護が不十分なものになってしまったから、控訴審でやり直しを企図したと、高裁は判断したのではないでしょうか?
ボ2ネタ [ボ2] さんが「上訴審で、一審後の反省という事情を・・・・」と心配されているところまで、問題として煮詰まっていないのではないのか?という気がします。
あえて言えば、裁判員裁判の「短期間審理」が影響したのかもしれない、という点ではないでしょうか?

3月 4, 2010 at 11:19 午前 裁判員裁判 |

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