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2010.03.03

電子書籍・「国内出版社」を保護する理由は無い

読売新聞より「電子書籍普及へルール作り、流通や著作権研究へ

総務、経済産業、文部科学の3省は2日、本や雑誌をデジタル化した電子書籍の普及に向け、国内での流通や著作権に関するルール作りに乗り出す方針を固めた。

出版社や通信会社、著作権団体、国立国会図書館などによる官民合同の研究会を3月中に発足させ、今夏までに具体策をまとめる。

米国では、2007年に発売されたインターネット小売り最大手アマゾン・ドット・コムの情報端末「キンドル」がヒットし、電子書籍が急速に普及している。

日本では出版社や通信会社などの準備が遅れており、アマゾンなどが進出すれば、日本でも主導権を握る可能性が指摘されている。

そのため、3省は国内ルールを整備して日本企業によるビジネスを後押しし、中小・零細の出版業者の保護を図る必要があると判断した。

研究会では、ネット配信する電子書籍のデータ形式の共通化やコピー制限などの著作権管理、書店での「立ち読み」に相当する一時的な無料閲覧に関するルール作りなどを検討する。

印刷会社、書店、インターネットの検索サイト運営企業や、著作権団体代表として現役の作家らもメンバーとして参加する予定だ。

電子書籍では、アマゾンが1月、米国で販売価格の7割を著者に報酬として支払う事業モデルを発表し、印税が約1割にとどまる紙の書籍などのビジネスを脅かしつつある。
(2010年3月3日03時05分 読売新聞)

「「政治主導」の電子書籍対応」の続きですね。

前にも書いていますが、何で今ごろになってこんな事を「研究」するのでしょうか?
アマゾンが日本語化ビジネスに成功したら、アマゾンから「出版する日本人」がたくさん出るでしょう。
私だって考えるもんね。

「電車男」を代表にして良いかと思いますが、ネット上に溢れる日記などを電子出版して、70%が版権として著者に戻るのであれば、国内で出版する理由は全く無いのです。

別に日記じゃなくても良い、団塊の世代が一斉に現役を離れれば、仕事の記録が、科学者や技術者も同じように「出版」することが出来る素材は持っているでしょう。

出版できない最大の理由は「ビジネスとしてハードルが高すぎた」からです。
コストが高すぎた。
著者に10%しか払わなくても、採算が合わない、というのでしょうから、コストを下げればよいと誰でも考えるわけですが、その評価基準としてアマゾンは著者に70%支払えるということは、コストを1/7に出来るという宣言ですよ。

電子書籍では、アマゾンが1月、米国で販売価格の7割を著者に報酬として支払う事業モデルを発表し、印税が約1割にとどまる紙の書籍などのビジネスを脅かしつつある。

日本で出版を維持するために、著者に80%を支払う、とでもしない限りどんどんと「アマゾンからの出版」に雪崩のように著者が移動するでしょう。

3月 3, 2010 at 09:47 午前 書籍・雑誌 |

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コメント

同感です。そもそも、今まで「マズイ、マズイ」と言われ続けて、何の対策も取らずにサボってきたとこに対して、何でわざわざ貴重な税金を投下する必要があるでしょうか。

「印刷会社、書店、インターネットの検索サイト運営企業や、著作権団体代表として現役の作家」いずれも現在の権利者の代表です。彼らに、これからのビジネスを考える能力があれば、既に問題は解決していたでしょう。集めて相談するだけ税金のムダです。

もっともその一方で、amazonのビジネスモデルが普及した時に編集者というのはどうなってしまうのかという危惧は持っています。単に流通の革命、即ち取次の淘汰だけで済むのであればよいのですけど、出版社の機能が低下するというのはコンテンツ作りに良いことではないと思います。

方策としては、amazon以外ににもう一本くらい電子流通の軸が出来る流れを作り、独占が発生しないようにすることで『健全な競争を促す』のが政府の仕事であって、現在の権利者を保護する事が仕事ではないと思います。

投稿: わくたま | 2010/03/03 12:07:55

わくたま さん

編集者問題も「ネット編集者」が出てきますよ。

わたしはこっちをやっても良いな♪

どっちにしても、取次を頂点とする、身動きの取れない出版界、が壊れるための条件がインターネットであった。
ということでして、今までの「出版界」の中に電子書籍出版を納めようとする考え方自体が「バカだろう」という話しですよ。

投稿: 酔うぞ | 2010/03/03 12:21:10

電子書籍が進んで欲しい者としては、遅すぎるのはともかく、やること自体はいいと思うんですが。
研究会が既存業界に関連したとこだけじゃ、そりゃ既存利益保護にばかり目がいってロクな内容にならないのは目に見えている。
アップルがくるまで死んでた音楽配信の二の舞ですな。
アマゾンやアップルを入れるか、日本企業に限るってんなら過去失敗したパナソニックやソニーを入れればまだマシな内容になりそうですが。

電子書籍が本を駆逐することはないと思うんで、うまく連携させれば勝てると思います。
ああでも、問屋以下はこのままだと死亡かなー、ここを守りたいんだろうけど、まぁ無理としか。
#本との連携は逆にアマゾンあたりがやりそう
#製本所さえおさえればすぐできるような

投稿: めいさいらっぱ | 2010/03/03 16:07:24

めいさいらっぱ さん

わたしも最初は「紙の本との関係」で考えていたのです。

しかし、アマゾンが「70%を著者に」とやっていたことを思いだして、それならば今まで出版という冒険ができなかったレベルの「書籍の純電子本出版」というのがあり得る事に気づきました。

実は、わたしはネット上で今も延々と続いているサイトのCD-ROM版の「本(?)」を買ったことがあります。
紙ではない本が現実に出回っているわけです。

しかし、CD-ROMでは物理的流通が必要だから、紙の本とCD-ROMでは保管用の空間が小さくなるぐらいのメリットしかありません。
データのダウンロード型の出版が本命でしょう。
そして、読む側にとっては特に問題にするところが無いから、いわば手軽さと価格競争、紙の本並みの安定性、といったところが決め手になると思います。

つまりは、競争としてはそれほど高級な話では無い。

しかし、アマゾンの打ち出した「70%を著者に返還」というのは、著者を激増させる可能性があります。

その場合、紙の本の電子化ではなくて、電子書籍の紙化という問題に直面します。
こんな競争で紙の本が勝てるわけがない。

しかし、著者にとっては「メジャーな出版社から出したい」とは思うでしょうから、「世界最大の出版社アマゾンから出版」というキャッチが世間に認知されたら、紙の出版社は全部揃ってマイナーになってしまうでしょう。

こういう状況の時に、日本の出版界はどうするのだ?ということですね。

これまで放置と言えば聞こえはよいけど、見ないフリをしていたのだから、今さら何かできるとは思えません。

アマゾンの電子書籍をオンデマンド出版で印刷する、なんてなったら、出版社も書店もどこに存在意義を見つけるのでしょうか?

投稿: 酔うぞ | 2010/03/03 18:41:30

私は電子書籍が実際の本に対してどれだけの訴求点があるのか?という考え方をしていたのですが、「アマゾンが「70%を著者に」とやっていた」のであれば、著者には印税、読者には価格、という大きなメリットがあるので、実際はもはや逆の話ですね。

著者と読者という両端にメリットがあるのですから、勝ち目のある戦いではないので、すみわけするにしても、大幅な淘汰・リストラは避けえないのでしょう。

投稿: 北風 | 2010/03/03 20:36:08

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