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2010.02.14

少子化問題に取り組むのにはどうするのか?

サンケイ新聞より「【静かな有事】特別版 小宮山宏氏インタビュー 創造型需要を喚起せよ

世界で最も早く進む少子高齢化を乗り越えるために、われわれは何をしたらよいのか。前東京大学総長で三菱総合研究所の小宮山宏理事長に聞いた。

Q 少子化を止めるために必要な対策は

「やるべきことは3つ。

  • まずは午後5時になったら家族が一緒に暮らせる雇用環境をつくる。
  • 2番目が保育所の問題。
  • 3番目が家庭への経済的支援。

この3つがだいたいできれば、かなり変わる。フランス、デンマーク、スイス、スウェーデンでは、夕方になるといったん家に帰った人が再び街に出る。子供が走り回るのをみると『家庭はいいな』と思う人が増える」

Q 政府は4月から「子ども手当」を支給する

「やらないよりはいいが、順序でいえば1、2、3の3番目だ。

保育所に子供を預けたい人が確実に預けられる体制をつくらなくてはいけない。

父親が働いて家族を支え、妻が子供を育てて必死に頑張るというモデルは終わった。
これに早く気づかなければいけない。

核家族化した家庭に入り、夫は午後9~10時まで帰ってこないと、女性は子供を産む気になるだろうか。
そこが一番遅れている。

1、2、3の順番通りに大事だ。
決して逆ではない」

Q 将来的な労働力不足も心配される

「現実にはむしろ仕事が少ない。この対応が重要。

今は変な状況で、

  • 若い人が職を探せない。
  • 高齢者も60歳の定年後、65歳で年金をもらうまで“穴”があいている。
  • 労働力が余っているから失業率が上がる。

もう少し経済を活性化し、仕事を増やさなければいけないという部分が今は顕在化している」

Q 政府は需要重視の経済成長を目指している

「需要には2つある。『普及型需要』と『創造型需要』だ。

例えば日本では自動車や家はもうみんなが持つようになった。道路などインフラもだいたいできている。これが『普及型需要』だ。

しかし、人口はピークアウトしている。

需要があるのは買い替えのときなどだ。
ほとんどの先進国では普及型需要が飽和し、需要不足を招いている。
だから普及型需要が旺盛な中国を中心に発展途上国にモノを売る」

Q 創造型需要とは

「中国でも普及型需要は早ければ2020年ごろには飽和する。遅くても2030年だ。

次はインドに行くかもしれないが、こうした需要のあり方では人類の経済はやっていけない。

じゃあ、もう需要がないのかとなるが、そこで重要となるのが『創造型需要』だ。

これは新しい状況に対する需要であり、ひとつが環境分野、もうひとつが高齢化分野。
これを意識して開発することができるかが重要だ。

グリーンイノベーションを重視するのは正しい。
日本はグリーンイノベーションに絶対に勝たなくてはいけないし、勝てる」

Q 高齢化社会に対する需要とはどのようなものが考えられるか

「例えば装着すると力が出て介護やリハビリで使えるロボットスーツ。角膜の再生も新しい技術だ。

高齢者が社会参加できなくなることが高齢化社会を一番悪くする。

誇りを持って社会参加する高齢者はなかなか要介護の状態にならない。
モノをつくることが人々を幸せにするし、介護の負担も減り医療費も減る」

Q うまくいっている例は

「『葉っぱビジネス』で有名な徳島県上勝町では高齢者が元気で、一番多い人で2000万円近く稼ぐと聞く。
県内でも高齢者1人あたりの医療費が少ない。

高齢者は稼ぐ以上に使うそうだ。
もともと蓄えがあるから、稼ぎがあり安心すればそれを使う。

どういう高齢社会をつくらなくてはいけないの。高齢者ができる限り長く動け、できればお金を稼ぐ形で働ける。
社会に尊敬されて働ける社会を作れれば、いい高齢社会になると思う」

Q 「日本は課題先進国だ」と指摘しているが

「高齢化は先進国共通の課題だ。

高齢化社会の日本に必要なものをつくり、日本の課題を解決することは世界の課題解決につながる。

ゼロからモノを作れる力は世界にそんなに残っていない。

ロボットスーツなど世界にいまだない高齢化社会用商品をつくっていけば、巨大な産業を日本が引っ張ることになる。

高齢化社会の社会制度の点で引っ張っている北欧やフランスにはモノづくりの力がない。

日本はモノづくりが強い国であり、それを生かすべきだ」

Q 地方は若者が流出し厳しい状態にある

「私はいま『プラチナ構想ネットワーク』というのを呼びかけており、三十数カ所の自治体が参加したいといっている。

エコや高齢化への対応などをキーワードに地域が特徴を生かしたまちづくりを行い、大学が地域間の連携の起点となる。

ある自治体でやった実験の知識を大学を通じて別の自治体に伝える。

国主導で産業を引っ張り人々を幸せにしてきたが、これからは強い自治体をつくり、企業や大学と連携してまちづくりを進める。国は制度をつくるなど支援に回る」

Q 社会のあり方が大きく変わるということか

「発想を転換させなくてはいけない。

産業を興せば、国内総生産(GDP)が増え、人が幸せになる。
これが明治以降の日本のモデル。それは『坂の上の雲』の時代、つまり途上国のモデルだ。
そのための国策が所得倍増論であり、日本列島改造論だった。

先進国になったら、さらに自分らの暮らしをよくしようと考え、そこに新しい産業が興る。
結果的にGDPも増えて経済も成長する。これがこれからのモデルだ」

Q モデル転換は容易でないのではないか

「簡単にいかない。

明治時代は外国人教師を呼んできたが、今度は新しいことをやろうとしているので先生がいない。
だが、始めなければいけない。

失敗もあるだろうが、やらないと人も育たない。
これが先進国の苦しさだ。

『坂の上の雲』の時代は先進国が美しい雲だった。
われわれはそこに入ってしまった。雲に入れば中は霧だ。

霧の中で前に進むのは勝手が違うが、進む以外にない。
逆に初めておもしろい時代に入るということでもある。

これはチャンスだ。どれほどの人がチャンスだと思えるかが重要だ」

サンケイ新聞の連載【静かな有事】はなかなか興味深く読んでいますが、今回の記事は一連の提言をキチンと説明しているところがよいですね。

少子化問題は、私が知っている限りでも20年ぐらいは新聞に出ているほどの問題ですが、歴代の政権はもちろん、政治家も直視した意見を避けてきたから「少子化問題は誰かが何とかしてくれる」的な事で政治的な課題としては避けてきました。

いまだに、ニュータウン開発の小型版のようなものが各地で計画されていますが、現実は巨大住宅団地の統廃合こそが一番の問題でしょう。

地方都市では、マンションが新築されると、隣のマンションが空き家になるといった減少が20年ぐらい前から報告されています。
人口が増えずに減っていくのですから、新築住宅を100軒建てて旧住宅100軒分に相当するのか?というと、110軒とかになるわけです。
トータルでは10軒が減る。

量的な投資に効果がなくなることの象徴ですね。

クリフォード・D・シマックの「都市」では、エネルギー革命によって、人類は都市から郊外に移り住み、巨大な敷地の中でロボットに世話をされながら孤立した生活をしつつ、人として衰退していく。という世界が描かれていました。

わたしの住んでいる、横浜市北部のちょっと先には、多摩ニュータウンがあります。
このあたりが開発される直前の様子を良く覚えていますが、分かりやすく言えば丘陵地でありました。人口が減るということは、また丘陵地に戻るということでもあります。

天然自然に人口も経済規模も量的に増えるという前提では、すでに社会が進めない状況になっています。
やはり、高等教育の作り替えが重要ではないかなあ?

2月 14, 2010 at 11:03 午前 人口問題 |

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コメント

これはかなりの勘違い
なんで偉い人の頭ってこうなんだろ

そもそも若い奴が就職できないか、できても不安定低賃金の日雇い仕事
バイトや派遣と結婚したい女の子も、娘をヨメにやりたい親もいない
まずやるべきことは、安定して人生設計が立てられる「良質な」雇用の創出
そもそも結婚しないしできないのでは、いくら「家庭を支援」しても
少子化は解決しない

投稿: ・・ | 2010/02/14 11:33:10

どこにそんなことが書いてあるのかな?
と思いますけどね。

家庭の支援をしているからダメだ、と読めるけど。

投稿: 酔うぞ | 2010/02/14 11:39:30

正直、日本国民の私は、日本の将来に絶望的な危機を感じています
次の参議院選挙に民主党が勝って衆参ともに単独過半数をとった時点で日本はおしまいになると、私は確信しています。
こども手当によって、日本の国家財政は必ず破たんします。
外国人参政権によって、日本は外国勢力に必ず乗っ取られます。
そして、民主党政権は国防を軽視しています。

以上3つがそろえば国が滅びることは、歴史を学んでいる人であれば容易に予測できます。
子どもたちの将来が心配です・・・。

かわいそうに・・・民主党政権が続けば、将来日本は外国に乗っ取られて、日本人の子どもたちは民族浄化されるでしょう。

男の子は仕事を与えられずに野たれ死にさせられ、女の子は連れ去られて知らない外国人と結婚させられるか、売春婦にさせられます。
・・・これは、中国共産党政府が侵略したチベット、ウィグル、内蒙古で実際に行っていることです。日本の危機はもう他人事では済まないところまできているのです。
民主党政権のつくる未来に「日本国民の幸せ」はありません。
日本の大人の皆さん、子どもたちのために、日本のとるべき道を誤らないでください。

お願いします。

お願いします。

お願いします。

投稿: ゆうこ | 2010/02/14 21:09:50

少子化にも当然悪い面もありますが、どちらかといえば良い傾向だと思っていたんですけどね。

少子化だけをなくすのだったら、発展途上国に戻ればよいのだけど、そんなことは誰も望んでいないわけですよね。

少子化をなくすのではなく、少子化の悪い面をなくすという風に、もう少し緻密に考える必要があるのじゃなないかと。

投稿: zorori | 2010/02/14 21:22:34

天邪鬼なんで(笑)、

>こども手当によって、日本の国家財政は必ず破たんします。
>外国人参政権によって、日本は外国勢力に必ず乗っ取られます。

どうして「必ず」なのか、わからないなぁ…。

>そして、民主党政権は国防を軽視しています。

別に(小沢一郎とか、)国防を軽視してないと思うが、じゃあ(特に沖縄の)米軍基地問題をどうすればいいと思っているのか聞きたい。

投稿: エディ | 2010/02/14 22:42:45

こんな話題で盛り上がるとは(^_^)

ゆうこさんのコメントがわりと端的な例だと思うのですが、間違えなく「民主党・自民党」とかいうレベルは少子化問題には影響しません。

なぜかと言えば、少子化とかは最短でも40年ぐらい経たないと結果が見えない。現実に社会に大きな影響を及ぼすのには、100年以上かかります。
だから「政権政党が・・・・」といくら言っても、あるいは「政府の無策が」とか「政治がチャンとすれば」とやっても、結果が分かるのは50年とか100年後ですよ。

つまり、政治マターにはなり得ない。

ところが、それだからこそ「歴代政権は話題することすら避けてきた」と言うべきなのです。
その結果として「誰が見てもまずい」という段階になった。

そのダメさ加減に民主党政権が拍車をかけているかもしれない、という範囲で言えばゆうこさんの意見があってるかもしれませんが、本質ではないですな。
地味党政権が、民主党政権に真っ向から反対向きの政策を取ったとしても、少子化を食い止めるなんてことにはならない、せいぜい拍車をかけるのを弱くするぐらいにしかならない。

じゃあ、なんでそんな「五十歩百歩の議論から抜け出さないのか?」となりますが、それこそが一番の論点でしょう。

因果はめぐるであって、おそらくは輪のようになっているのです(工学的にはフィードバック回路)その一部を取り出して、そこだけ何とかすればと言うのでは、絶対に状況は変わりません。

全体を見通して、どうするのか?ということを間がる事が必要で、それは政治の仕事ではないように思います。

投稿: 酔うぞ | 2010/02/14 23:11:53

>全体を見通して、どうするのか?ということを間がる事が必要で、それは政治の仕事ではないように思います。

「国家百年の計」とかの言葉もあります。

じゃあ、それはどこの仕事か、とした場合、民間の仕事でも市場原理で決まることでもないですよね、となれば、私は「政治の仕事」とするしかないように思います。
結果がでるまでのスパンが長いため、政策上の得点にはならないのですが、スパンが長いため適度な修正も必要でしょうし、複数の政権に渡って取り組まれるべき課題なんでしょうけども。

投稿: 北風 | 2010/02/14 23:55:57

北風さん

>「国家百年の計」とかの言葉もあります。

正にその通りですが、日本の政治状況で「国家百年の計」で何かをやったのは、明治の初めぐらいでしょう。

少なくとも戦後の60年以上は、「計なぞ無しに先進国のキャッチアップ」だけやってきたのが日本の政治です。

その意味では、「国家100年の計」自体が現代の政治家の手に余ることは間違えありますまい。

投稿: 酔うぞ | 2010/02/15 1:42:22

>その意味では、「国家100年の計」自体が現代の政治家の手に余ることは間違えありますまい。

「手に余る」ことは確かでしょうが・・・。

ただ、上のコメントにも書いたように「では、それはどこの仕事か?」となると、「政治の仕事」とするしかないので頭が痛い・・・。

投稿: 北風 | 2010/02/16 21:59:16

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