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2009.12.30

日航・銀行団法的処理をとりあえず拒否

読売新聞より「日航法的整理案、再生機構が提示…銀行は拒否

日本航空の主要取引銀行の頭取らと企業再生支援機構の経営幹部、前原国土交通相が29日、都内で会合し、日航の再建問題を協議した。

支援機構が法的整理と支援決定の併用案に絞った再生方針を提示したのに対し、銀行団は損失額の拡大や運航への悪影響などを理由に受け入れを拒否し、年明け以降に再協議する方向となった。

一方、政府では関係5閣僚が30日に協議する予定で、再建手法を巡る関係者間の調整が加速している。

銀行側で29日の協議に参加したのは、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行の頭取らだ。

機構側が、会社更生法の適用申請を行った上で、日航を正式に管理下に置く「支援決定」を行う考えを提示した。

機構はこれまでの銀行団との協議で、私的整理を軸に再建策の検討を進めてきた。

法的整理と支援決定を併用する機構側の提案に対し、銀行団には「法的整理が前提の再建案は承服しがたい」(メガバンク首脳)と反発の声がある。

法的整理を行う場合、10月時点で前原国交相直轄の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」が金融機関に示した約2500億円の債権放棄を、大きく上回る規模の損失が生じるとみられる。

機構は支援決定の判断にあたり、日航と主要取引銀行が協議してまとめた事業再生計画を基準にする。

法的整理の適否を含め、銀行団との調整が長引けば、再生計画策定が遅れる可能性がある。
(2009年12月30日03時06分 読売新聞)

これはちょっときわどいことになってきた感じですね。
日航株価は、25%の下落です。

まあ、前原国交相の思いつき的な方針が現実のお金の問題になって、拒否されたということでしょう。
とは言え、どうにもなりませんから、今後どういう展開になるのでしょうか?

12月 30, 2009 at 11:31 午前 経済・経営 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.12.29

日航問題・法的整理に動き出すか

朝日新聞より「日航に法的整理活用案 支援機構 透明性確保を

日本航空から支援依頼を受けている半官半民のファンド「企業再生支援機構」が、日航支援に法的整理を活用することを最有力に検討を進めていることが28日分かった。

会社更生法を使ったうえで機構が資金を提供して再建を担う「プリパッケージ(事前調整)型」で、機構は裁判所との事前調整にも入った。
ただ、政府内にはなお慎重論もある。

機構幹部は

「私的整理は何度も(政府や日航が)試みた。それができなくて、機構に持ち込まれた。透明性を確保するのは裁判所を絡ませる法的整理しかない」
と話す。

日航への融資に対する政府保証の予算計上が先週先送りされ、金融機関が日航に追加融資する可能性は極めて低くなり、機構の出融資が極端に大きくなりかねない情勢だ。

機構は支援を3年で終了することを目指すとされているうえ、再建に失敗すれば国民負担が発生する。
確実に日航を再建するためには、透明性の高い法的整理の活用が不可欠だと判断している。

機構は10月末に日航から支援依頼を受け資産査定を進めてきた。

すでに再建計画策定を目指して大手金融機関と協議に入り、先週には法的整理を軸とする方針も伝えた。
来年1月中に正式に支援決定する考えだ。

機構案では、日航が会社更生法を申請すると同時に機構がスポンサーになり資本を提供。当面の資金繰りも、金融機関の融資に機構が保証を付けるなどして機構が主体となる。

事前に金融機関などと債権放棄の大枠について合意しておき、航空機の運航など事業は継続したい考えだ。

顧客のマイレージは保護する。
また西松遥社長ら経営陣には責任を問い、辞任させる。
企業年金を対象者の同意なしに削減できる可能性も出てくる。

ただ法的整理になると、燃油の購入などが現金取引になるため、運航の継続には巨額の現金を用意しておく必要がある。

客離れの懸念があるほか、経済全般への影響も未知数のため、政府内や金融機関には私的整理を望む声が根強く、最終決定までには曲折もありそうだ。(高野真吾)

まあ、事前調整型で更正法による法的処理、というのは一番妥当でしょう。

いくら、政府を含めて「法的処理はイヤだ」と言っても、何千億という金をどうするのか?という話しなのですから、先ずは世界中の金融機関が協力できる体制を作らないことにどうにもなりません。

再建策の原理としては、航空会社は吉野家と同じ客商売ですから、現金収入をうまく回せば企業存続は出来ます。
その意味では、純粋に経営の失敗であったと言えるでしょう。

12月 29, 2009 at 09:42 午前 経済・経営 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.12.28

衆議院選挙・一票の格差2倍で違憲判決。

サンケイ新聞より「大阪高裁「一票の格差2倍は違憲」 衆院選の無効確認請求は棄却

「一票の格差」が最大2.3倍になった今年8月の衆院選は憲法に違反するなどとして、大阪府箕面市の60代の男性が府選挙管理委員会に選挙の無効を求めた訴訟の判決が28日、大阪高裁であった。

成田喜達裁判長(菊池徹裁判長代読)は

「憲法は投票の価値の平等も要求しており、現在の選挙制度は憲法の趣旨に反する」
とした上で、
「格差が2倍に達する事態は著しい不平等で違憲の評価は免れない」
として、原告が居住する大阪9区の選挙は違法との判断を示した。
選挙の無効確認請求は棄却した。

9月に全国の8高裁で起こされた一斉訴訟で初めての判決。

訴状によると、8月の衆院選の各選挙区の当日有権者数は、最多の千葉4区と最少の高知3区とで2.3倍の格差があった。

大阪9区と高知3区との格差は2.05倍で、原告の男性は憲法15条などの解釈について「1人につき同じ価値の1票を保障している」とし、「選挙区割りは人口分布に基づいておらず違憲」と主張。

これに対し、府選管側は「投票価値の平等は他の政策との関連で調和的に実現されるもの。
区割りは国会の裁量の範囲を逸脱していない」と反論していた。

衆院選の定数配分をめぐる訴訟では、最高裁が最大格差が約5倍となった昭和47年と4.4倍だった58年の選挙を違憲と判断。

また、最大格差3.94倍の55年と3.18倍の平成2年は「憲法の選挙権の平等に反する程度に至っていた」などと判示。

一方、3倍未満のケースはすべて合憲と判断されている。

ようやく、2倍は違憲だという判決が出ました。
当然、サンケイ新聞の解説記事「【解説】一票の格差、現行制度の見直し迫る」のようなことになります。

最大格差が4.86倍だった平成19年の参院選の定数配分を合憲とした30日の最高裁大法廷判決。

違憲かどうかの判断基準は、

  • (1)著しい不平等状態がある
  • (2)その状態が相当期間継続している
の2点だった。

多数意見は「大きな不平等状態にある」と述べたが、「相当期間の継続」については、現行選挙制度の仕組みを大きく変えるには時間がかかることに一定の理解を示し、違憲判断を避けた。(酒井潤)

多数意見の10裁判官のうち、6人は明確な指摘を避け、2人は「違憲状態」との認識を示した。
違憲と判断して反対意見を述べた5人を加えると、裁判官7人が違憲性を示している。

過去、衆院選は「3倍程度」が合憲か違憲かの基準とも取れる判断が下されてきたが、参院選では、議員が都道府県代表との性格を帯び、3年ごとに半数を改選するため偶数配分される特殊性から、5倍を超えても合憲判断が続いていた。

しかし、最高裁は大法廷判決で格差縮小を求め続けている。

最大格差が5・06倍だった13年の参院選では、15人の裁判官のうち6人が違憲とする反対意見を述べ、合憲判断した裁判官も「次回も現状が漫然と維持されるなら、違憲の余地がある」と警告した。

16年参院選は、選挙制度の見直しを含めた検討を国会で継続するように注文をつけ、15人中5人が違憲とした。

今回の判断もこの流れにある。

18年の公職選挙法改正で「4増4減」が実施され、今回の対象となった19年参院選から適用された。

しかし、最高裁は定数振り替えの改善策は小手先の数合わせに過ぎないと明確に指摘したと言える。
多数意見の中で初めて、「選挙制度の仕組み自体の見直し」の必要性を強く訴えた。

民事や行政訴訟の判決言い渡しでは、判決主文を告げるだけでよいと規定されているにもかかわらず、竹崎博允裁判長は理由を朗読した。
異例の措置からも、抜本的改革を求める最高裁の姿勢がうかがえる。

18年の公選法改正以降、格差是正のための具体的な検討が国会などでなされた形跡はない。

最高裁の強いメッセージを受け止め、国会が抜本的改革に重い腰を上げるかどうか。
政権交代で勢力図も大きく変わった中、動向が注目される。

人口比例という考え方で進める場合、区割りの枠組みを自治体単位で止めるためには、最小の自治体を意を基準にして、国会議員の定員を決めることになってしまう。

以下の表は、有権者数ではなく人口を元に計算したものだから、厳密出はないが傾向を理解するためにはこの方が分かりやすいだろうと思う。

人口順に県を並べ、最小である鳥取県に対する、各県の人口比を計算し、按分比例で衆議院小選挙区の議席数300を割り当てたのが「人口比例」です「現状」は現在の選挙区に指定されている選挙区数で、計算上の数字と現状との差を「差異」としました。

 各県人口人口比人口比例現状差異
鳥取県590,880112+1
島根県720,9871.2220
高知県770,7811.323+1
徳島県785,2781.323+1
福井県801,9151.423+1
佐賀県841,9701.423+1
山梨県866,8931.523+1
香川県986,1251.723+1
和歌山県1,014,3051.723+1
富山県1,086,2711.8330
秋田県1,116,7521.9330
宮崎県1,121,5731.9330
石川県1,143,7591.9330
大分県1,173,4952330
山形県1,191,0722330
沖縄県1,332,1182.334+1
岩手県1,351,0752.334+1
滋賀県1,361,7782.334+1
奈良県1,394,1672.434+1
青森県1,400,3662.434+1
長崎県1,429,0512.434+1
愛媛県1,433,2132.434+1
山口県1,448,6552.534+1
鹿児島県1,697,0192.945+1
熊本県1,789,077345+1
三重県1,833,2733.145+1
岡山県1,907,6653.2550
栃木県1,980,6963.4550
群馬県1,989,1503.4550
福島県2,055,2063.5550
岐阜県2,072,3493.5550
長野県2,157,8043.7550
宮城県2,316,6533.9660
新潟県2,379,5704660
京都府2,582,2984.4660
広島県2,798,1124.7770
茨城県2,922,9754.9770
静岡県3,728,5216.398-1
福岡県4,904,2308.31211-1
北海道5,467,9659.31312-1
兵庫県5,482,2099.31312-1
千葉県5,955,25610.11413-1
埼玉県6,951,27311.81715-2
愛知県7,128,18912.11715-2
大阪府8,627,87014.62119-2
神奈川県8,637,17414.62118-3
東京都12,246,41420.72925-4

この考え方では、最小の県では各県が一選挙区になってしまって、一人しか小選挙区議員が出ない県が出来てしまいます。
現状では最低でも一つの県を2小選挙区に割って、2名の小選挙区議員が一つの県から出て来るようにしています。

そこで、鳥取県に現有通りに2議席を与え、人口比例で各県に議席を割り当てると、総数が427議席となってしまって、小選挙区の議員数が50%近く増えてしまう。
実現するために、比例区の180議席を大幅に減らすことになるでしょう。

元はと言えば、ここまで放置した国会の責任ではありますが、いよいよ後がない、という状況に追い込まれたと言えます。

12月 28, 2009 at 04:00 午後 衆議院選挙 | | コメント (1) | トラックバック (1)

布川事件の背景

毎日新聞より「布川事件:証拠開示十分ならば結論変わっていた…元裁判官

強盗殺人罪などで無期懲役判決を受けた2人の再審開始が確定した「布川(ふかわ)事件」で、70年代の有罪判決を担当した元裁判官と、80年代の第1次再審請求棄却を担当した元裁判官が毎日新聞の取材に応じた。

元裁判官は再審開始決定の根拠となった証拠が当時開示されていれば「結論は変わっていた」と振り返り、検察側に不都合な証拠が開示されにくい刑事裁判の問題点を指摘。

証拠の全面開示や取り調べの可視化の必要性を主張した。刑事司法制度の改革議論にも一石を投じそうだ。【原田啓之】

逮捕された2人は、捜査段階の自白と現場付近の目撃証言により有罪とされた。

第1次請求審を担当した元裁判官は

「被告は公判で否認しており、自白調書は捜査官の作文の域を出ないと思っていた。立証のポイントは目撃証言だった」
と明かした。

しかし、08年の第2次再審請求東京高裁決定は、いずれの信用性も否定した。
根拠としたのは再審請求後に検察側が開示した

  1. 2人と特徴が異なる人物を見たという近隣女性の証言
  2. 取調官の誘導をうかがわせる桜井さんの自白テープ
などの新しい証拠だった。

元裁判官は近隣女性の供述調書について

「こんな証拠があれば最初から結論が変わっていた。こういう証拠を隠していたことが問題」
と検察側の対応を批判。
「検察はすべての証拠を裁判所に提出し、裁判所が争点を決めるよう制度を改めるべきだ」
と主張した。

一方、自白テープは捜査段階で複数作成され、一部は1審から提出されたが、弁護側は

「検察側に都合のいいものばかり」
と指摘。10カ所以上の編集痕跡があるとも主張していた。

2人に有罪判決を下した元裁判官は

「録音を聞いて『おかしい』と見抜けなかったのは不徳の致すところ」と謝罪。
そのうえで「一部の録音で間違ってしまうのは困る。全面的な録音が必要で、制度的な課題を立法につなげることが大切だ」
と語った。

◇布川事件とは……

茨城県利根町布川で67年8月、大工(当時62歳)が自宅で殺害された。約2カ月後に茨城県警が2人を強盗殺人容疑で逮捕し、2人は捜査段階で自白した。

公判で否認に転じたものの、70年に1審で無期懲役判決を受け、78年に最高裁で確定。

弁護側は83年に第1次再審請求をし、最高裁まで争ったが、92年に退けられた。

01年に第2次再審請求を申し立て、05年に水戸地裁土浦支部が再審開始を決定、今月14日付の最高裁決定で確定した。

1967年の事件ですから、実に40年以上経っています。 物証無しで、自白のみであったからずーと問題になっていたわけですが、実はいくつもの証拠を検察が提示しなかったことが、明らかになって再審となりました。

それらの物証は、被告が犯行現場にいた証明が無いものばかりで、検察に不利だから出さなかった、となります。
この点を元裁判官は問題だとして取材に応じたのでしょう。

毛髪については、採取した証拠には被害者の毛髪と、不明の毛髪があったものの、被告の毛髪はなかった、だから毛髪を証拠収集していないことにしたのですね。
こういう立証方法では、被告弁護側は反論しようがないわけで、本来なら検察側の立証不十分として最初から無罪宣告するべきだったのではないでしょうか?

日本では、検死解剖が十分に行われないなど、科学的捜査を尽くしていない面がまだまだ多いですね。

12月 28, 2009 at 09:11 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

日航・法的整理に向かわざるを得な

日経新聞より「日航再建、法的整理を含む支援案 企業再生支援機構

官民が出資する「企業再生支援機構」が日本航空の経営再建を巡り、会社更生法適用などの法的整理を含めた再建案を取引金融機関に提示したことが27 日わかった。

透明性の高い法的整理で債務の削減やリストラを進め、そのうえで同機構が出資する構想だ。

ただ政府内には法的整理への慎重論も残っており、事態はなお流動的だ。

日航は10月に同機構に支援を要請。
同機構は日航の資産査定と再建計画づくりを進めてきた。

同機構はすでに日本政策投資銀行や3メガバンクに再建案を提示しており、週明けから本格的な交渉に入るとみられる。 (07:00)

この報道内容は妥当なものだと思うが、東京新聞の記事はもうちょっと踏み込んでいます。「日航再建、法的整理の併用検討 企業再生機構が提示

官民出資の企業再生支援機構が日本航空に対し、法的整理を併用した支援を検討していると伝えたことが27日、分かった。

機構の支援に、法的整理による透明な手続きを組み合わせる。

法的整理併用型の案とは別に、日本政策投資銀行などの金融機関に2千億円超の債権放棄を求める案も提示した。

いずれの場合でも政府は日航を全面的に支援、国内外の運航は継続される。

支援機構は主力銀行と調整を進め、日航が会社更生法などを申請する法的整理の併用型と、債権放棄を軸にした私的整理型のどちらが日航の再建に最適かを判断。来年1月下旬にも日航支援を決定する方針だ。

複数の関係者によると、支援機構の西沢宏繁社長らが25日に、日航幹部らと協議し、両案を検討していることを提示したという。

日航は、退職者に対し企業年金を大幅削減する案への同意を求めており来年1月12日が回答期限。
支援機構は削減案の同意が得られなかった場合には法的整理の活用を求める構えだ。

ただ、削減案が実現した場合は、日航側は債権放棄による再建を支援機構側に強く要請する考えだ。
(共同)

日航の年金問題は、政府の事実上の出資と、民間金融機関への政府の保証がセットに実施するために必要な手立てとされていますが、政府が保証しないとなると年金問題が削減する方向で決着しても、事態に変わりが無く資金ショートの可能性が続くし、クレジット会社から拒否されるようなことになるでしょう。

では、金融機関が債権放棄に応じるのか?というと、これは法的整理の結果しか受け入れないでしょう。
一部の金融機関が債権を放棄し、他の金融機関が債権回収に向かうようなことになれば、金額が金額だから、大騒動になってしまいます。
結局は、裁判所が決定する法的整理しか手がない、となります。

東京新聞
ただ、削減案が実現した場合は、日航側は債権放棄による再建を支援機構側に強く要請する考えだ。

日航側は、年金削減案が実現した場合「民間金融機関の債権放棄で再建する」という無茶苦茶なことを考えているわけです。
先に書いた通り、政府保証のための条件が「年金削減」であると誰もが思っているわけで、政府が保証するから債権放棄の可能性がある、という理解であったのに、日航は年金削減=債権放棄なのですからこれでは世間に通用しない。

普通に考えて、さっさと法的整理にした方が良いでしょう。

12月 28, 2009 at 08:46 午前 経済・経営 | | コメント (0) | トラックバック (0)