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2009.12.18

中学・高校の柔道で傷害を負った事件で正反対の結論

教師が生徒に柔道の指導で、傷害を負わせた同種の二つの事件についての法的判断の報道がありました。
一つは、2004年に横浜私立中学校で起きた事件。
もう一つは、2002年に埼玉県立高校で起きた事件です。

横浜市立中学校の事件

朝日新聞より「教諭改めて不起訴へ 奈良中柔道部事故

横浜市青葉区の市立奈良中学校で2004年、当時中学3年の男性(20)が柔道部顧問の男性教諭(31)との練習中に脳障害などのけがを負った事故で、横浜第一検察審査会の不起訴不当の議決を受けて再捜査していた横浜地検は17日までに、改めてこの教諭を不起訴処分(嫌疑不十分)とする方針を固めた。

横浜地検は「十分に検討したが、当初の判断を覆すには至らなかった」としている。同地検は17日、男性の両親に不起訴の方針を伝えた。

地検の不起訴方針を伝えられた男性の両親は「審査会の議決を横浜地検が真剣に受け止めたのか疑問。最初から結論が出ていたのではないか」と話した。

代理人の落合洋司弁護士は「極めて残念。審査会の議決を顧みておらず、憤りを感じる」と語った。

県警は07年、何度も技をかけて男性に急性硬膜下血腫などのけがをさせたとして教諭を傷害容疑で書類送検。

横浜地検は10月、教諭を不起訴処分としたが、同審査会は今月2日付で不起訴不当を議決し、業務上過失傷害罪について再考を求めていた。

読売新聞より「息子に何と伝えれば…

柔道部員重傷 教諭再び不起訴

検察の判断は、覆らなかった――。

横浜市立奈良中学校(青葉区)で2004年末、当時中3の男性(20)が柔道部の活動中、脳挫傷などの重傷を負った事件で、横浜地検は17日、傷害容疑(不起訴)で書類送検された元顧問の男性教諭(31)について、横浜第1検察審査会が再捜査を求めた業務上過失傷害容疑を改めて不起訴とする結論を下した。

「息子に何と伝えれば……」。地検の説明を受けた男性の両親は、拳の震えを止めることができなかった。

同審査会は12月2日、業務上過失傷害罪の適用を検討したうえで教諭を不起訴とした地検の判断に対して「不起訴不当」を議決し、同罪での起訴を促していた。

しかし、両親はこの日、午後5時から約1時間半、新たな担当検察官から「技をかけた時点で教諭が傷害の結果を予見していたとはいえない」として、不起訴となることを伝えられた。

「決定は覆りません」と述べる担当者に対し、両親は「せめて教諭が加害者であることを明記した文書が欲しい」と求めたが、応じてもらえなかったという。

説明後、両親は偶然、エレベーター内で最初に教諭を不起訴とした前担当者と出会った。「良く捜査して頂き、本当に感謝しています」と声をかけた両親に、前担当者は「すみませんでした」と深々と頭を下げたという。

同審査会の議決に「(不起訴を)『おかしい』と言ってくれる人がいた」と男性は喜んだという。
両親は、「裁判員と同様、検察審査委員も市民の代表。その声は検察に伝わると思ったが……」と述べ、言葉を詰まらせた。

埼玉県立高校で起きた事件

埼玉新聞より「教諭らの過失認める 県に1億円賠償命令 県立高生合宿事故

2002年7月に県立越谷総合技術高校の柔道部合宿で、顧問の女性教諭に投げ技をかけられ意識不明となった元生徒斉野平いずみさん(23)側が、県に約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は17日、請求を棄却した一審さいたま地裁判決を変更、約1億円の賠償を命じた。斉野平さん側の逆転勝訴。

渡辺等裁判長は「斉野平さんは事故の3日前から頭痛や嘔吐(おうと)、食欲不振などを訴え、明らかに体調が悪化していた」と指摘。女性教諭ら顧問について「医師の診察を受けさせることなどをせず、逆に練習に参加させたのは著しい注意義務違反だ」と判断した。

昨年3月の一審判決は「顧問らが体調の異変を事前に察知するのは困難だった」としていた。

判決によると、斉野平さんは合宿最終日の02年7月31日、女性教諭に「体落とし」をかけられ急性硬膜下血腫を発症、現在も意識のない状態。

母弘子さん(50)は「判決はうれしく思うが、娘の体は元には戻らない。学校には再び同じ事故を起こさないようにしてほしい」と話した。(共同)

主張認められず残念県教育長

県教委の島村和男教育長は「県の主張が認められなかったのは大変残念。今後は、判決内容を検討して慎重に決めたい」とコメントした。

この二つの事件に対する法的判断が、同じような事について判断基準そのものが全くの逆方向というのは、司法判断として問題ではないかと思います。

横浜市立中学の事件では
「技をかけた時点で教諭が傷害の結果を予見していたとはいえない」
だとして、再度の不起訴になりました。

対する、埼玉県立高校の事件では
「医師の診察を受けさせることなどをせず、逆に練習に参加させたのは著しい注意義務違反だ」 となっています。

横浜市立中学の事件の再度の不起訴決定について、疑問に感じるのは「柔道の技によって、傷害を負ったのが事実であれば、技をかける時点の結果の予測があるか無いかは、別の問題だろう」と思うところです。

「傷害を負うことを予測して技をかけ」て結果として傷害を負ったのであれば、これは傷害罪以外の何ものでもないわけで、意図せずに傷害を負わせた場合には、過失傷害罪が適用でしょう。
この考え方は、予測しているかしていないかに無関係なはずです。
さらに踏み込めば、元もと柔道などでは傷害を負う可能性があるのだから、予測していて当然という考え方があるでしょう。
それが、具体的になったのが東京高裁の判決だろうと思うのです。

今回の、横浜地検の判断は、説明不足であることは確かで、検察審査会が納得するとは思えません。

12月 18, 2009 at 11:00 午後 事件と裁判 | | コメント (10) | トラックバック (0)

2009.12.17

建設途中で建築許可が取消。新宿区

NHKニュースより「最高裁 建築確認取り消す判決

東京・新宿区で、「たぬきの森」と呼ばれる豊かな自然が残る一画に建設中のマンションについて、最高裁判所は、区が行った建築確認は違法だとして取り消しました。

これによって、すでに7割ほど完成している建物は違法な建築物になり、区や業者は取り壊しなどの異例の対応を求められることになります。

新宿区下落合に建設中の3階建てのマンションをめぐっては、周辺の住民たちが、敷地に接した道路の幅が狭く条例の安全基準を満たしていないと主張して、区が3年前に行った建築確認を取り消すよう求めていました。

1審は訴えを退けましたが、2審は条例の基準に違反していることを認め、区の建築確認を取り消しました。

17日の判決で、最高裁判所第1小法廷の宮川光治裁判長は区の上告を退け、住民の勝訴が確定しました。

マンションの建設予定地にはたぬきが生息していることから、周辺の住民から「たぬきの森」と呼ばれ、住民たちは区に保全を求める運動を進めていました。

建築中の建物の建築確認が取り消されるのは異例で、これによって7割ほど完成している建物は違法な建築物になり、区や業者は取り壊しなどの対応を求められることになります。

判決について、原告の住民たちは

「貴重な自然を後世に残すために大きな意味のある判決だ。木々は伐採されてしまったが、区には敷地を買い取って公園として整備するよう求めていきたい」
と話しています。一方、新宿区は
「司法の最終判断をしんしに受け止め、適切に対応していきたい」
とコメントしています。また、マンションの建設業者は
「区の認可を基に建設を進めていたので、困惑している。今後は区への賠償も視野に入れて対応を検討したい」
としています。

建設中の建物の建築許可取消が決定というのは驚きです。

敷地に接した道路の幅が狭く条例の安全基準を満たしていない
ということなのでしょうが、そんなきわどい状況で建築許可を出したというのが、何をやっているのだ?ということですね。

どうも、地方行政での法律の扱いが甘いと判断される例が増えてきたように感じます。

12月 17, 2009 at 06:10 午後 事件と裁判 | | コメント (4) | トラックバック (0)

小1プロブレムに対応策

読売新聞より「小1プロブレム 解消へ教員増…都教委

集団生活に適応できない児童で授業が混乱する「小1プロブレム」など小中学校の児童・生徒の入学直後のトラブルを解消するため、東京都教育委員会は17日、来年度から小1と中1の学級について、各校1人ずつ教員を増員することを決めた。

1学級の児童・生徒数が39人以上の学年が対象。
増員した教員の活用方法は各区市町村教委に委ね、小1、中1については1学級当たり20人を下限とする「少人数学級」を編成することも例外的に認める。

都教委はこれまで「社会性が身につかない」などの理由で少人数学級の導入には慎重だった。

しかし、都教委の調査で、都内公立小の4校に1校で、児童が授業中に歩き回るなどの「小1プロブレム」が報告されたことなどから、例外措置として導入を決めた。

今回の措置は3年間の限定措置。
都教委は効果を検証して継続するかどうか決定する。3年間で計約550人の教員が必要で、計53億円の予算を見込んでいる。

都教委では、増員した教員の活用方法について、少人数学級のほか、生活指導を専門に担当させたり、2人の教員が授業を行う「チームティーチング」の導入を想定。2011年度からは小2学級も対象に加える。

都教委はこれまで「社会性が身につかない」などの理由で少人数学級の導入には慎重だった。

社会性を身につけさせることは、小学校低学年では最も重要な教育で、小学校の学習指導要領に「生活」という項目があります。

「小1プロブレム」とはこの学校での生活指導そのものが出来ない子どもの問題でしょう。
ところで、少人数学級だと社会性が身につかない、というのは言い過ぎでしょう。
そりゃ、一クラスが数人といった学校では、社会性を身につけるといのは大変だと思いますが、40人学級が20人になったら、格段に社会性が身につかなくなるのか?と言えば、そうとも言えないのは明らかでしょう。

クラスの子どもたちが均一で、先生の話しに対して、全員が同じような反応をする、という前提で考えているから、少人数クラスでは・・・・・、といった議論になるのでしょうが、現実の子どもたちはわたしが直接関わった中でも、自閉症気味でほとんどの人と話さない子ども、外国から転校してきたから日本語が通じない子ども、なんてのがありました。

このような場合、基本的に特定の生徒向けるの指導者を付けてしまった方が、全てが円滑に進むわけで、先生一人で40人の子どもたちを一クラスとして扱う、といったルールに縛られすぎるのは良くないと思うところです。

それにしても、小学校入学段階で、全く学校生活(集団生活)になじめない子どもがいるというのは、そこまでの親など周囲の大人が、幼児期の教育に失敗したとしか言いようがないでしょう。
こんな事で良いのでしょうかね?

12月 17, 2009 at 02:55 午後 教育問題各種 | | コメント (1) | トラックバック (0)

阿久根市長、法律違反の業務命令

読売新聞より「阿久根市長、個人の税務資料提出させる

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が、市民の所得額を把握する目的で、市の税務課長に対し、個人の収入額などが記載された税務資料を提出するよう要求していたことが分かった。

課長は「目的外使用に当たる」として拒否したが、竹原市長が「命令に従わない職員は懲戒処分を検討する」と議会で答弁した翌日、求めに応じて提出した。

税務資料は課税を対象に収集、作成されたもので、鹿児島県は「秘密の漏えいを禁じた地方税法に抵触する恐れがある」と指摘している。

関係者によると、竹原市長は、「市内の民間所得を把握したい」として、税務課に個人収入などが記載された資料の提出を求めた。税務課長は「資料は課税を前提として収集したものであり、目的外の利用は認められない」と説明し、拒否した。

その後、税務課長は15日の市議会一般質問で、市長派議員から「市職員の給与が高すぎる」として税務資料の提出を迫られた際も「目的外の利用は認められない」と同様の説明をした。

竹原市長は「この職員は市長の命令に従わないので、懲戒処分を検討する」と答弁。
税務課は翌16日、名前や住所、生年月日などを伏せたうえで、市長に資料を提出した。

竹原市長は、職員人件費の張り紙をはがしたとして懲戒免職処分になった元係長の男性(45)について、処分の効力を停止した鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の決定に従わず、男性を復職させていない。

ある職員は「次は自分が処分されるかもしれない。市長に意見することも許されない雰囲気で、前向きな仕事もできない」と話している。市長後援会の須崎和馬会長(79)は「障害者の出生を否定するような文章をブログに掲載したことが批判されていることに加え、このような状況では市政は前に進まない」と困惑している。

正に「阿久根市長のやっていることのマズイところ」の続編になってしまいました。

前回は(といってもまだ継続中)裁判所の決定を無視、で今回は行政法の違反ですな。
行政は、行政法に従って執行されるものですから、やっていることが行政法違反では話しにならない。

これでは、完全に実力行使というか、テロ行為でしょう。
最低限、法律に従わないのでは、どんなことをやろうとも首長としては失格です。

阿久根市は、市議会も有権者もこの事態に責任があることを自覚して、このような市長を追放するべきです。

12月 17, 2009 at 11:01 午前 事件と裁判 | | コメント (2) | トラックバック (0)

実物大の初音ミク

サンケイ新聞より「【ネット番記者】等身大の初音ミク誕生

「架空のアイドルに、自分の目の前で歌ってもらいたい」。

そんな願望を持った“職人”が、ボーカロイド(音声合成ソフト)のキャラクター「初音ミク」の等身大ロボットをリアルに作ってしまった。

まずは設計図を描く。
そして、断熱素材で体のパーツを作製。
モーターや制御盤を改良し、体内に埋め込む。
ミシンで布を縫い合わせ、衣装を作る…。分野の違うはずの作業が、高い技術で行われる。
ラストでついに身長158センチの等身大ミクが誕生。
さすがに直立できず、壁にもたれながらもフリつきでバラードを歌ってくれる。

ぐっと見入ってしまう36分間。歌声と職人の愛情に感動しながらも、ちょっと怖さも感じたりした。(織田淳嗣)

不覚にも見逃していた。・・・・・・orz

これです「【等身大】初音ミク作ってみた【01_balladePV】

実際に、30分以上が製作過程のスライドショーなのだけど、実に色々な技術を組み合わせないと、ヒューマノイド型の3Dボーカロイドにはならない、のがよく分かります。

それにしても、ものすごく細かい観察力と、実現するためのアイデアの豊富さには感嘆します。
ニコニコ動画は、会員制ですがいくつかの誰が見てもすごいという作品もあります、この動画はお勧めです。

12月 17, 2009 at 09:05 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.12.16

モンスターペアレントで大もめ

サンケイ新聞より「保護者が「迷惑料」10万円要求、校長は鬱病で休職…学校で理不尽続発

東京都内の公立小学校で、親が子供に対する学校側の指導に不満を持ち、「迷惑料」などの名目で現金10万円を校長に要求していたことが15日、都教委の調査で分かった。

校長は要求を拒否したが、親は給食費の不払いを宣言してトラブルに発展した。

理不尽な要求をするモンスターペアレント(問題親)に悩む学校は急増し、校長が鬱病(うつびょう)で休職するケースも出ている。
事態を重視した都教委は新たにモンスターペアレントへの対応策を示した手引書を作成し、都内公立学校の全教員に配布することを決めた。

関係者によると、トラブルを起こした親は今年夏、子供に対する運動指導中に起きた問題で、学校側の対応の悪さを指摘。

当初は校長に通信費名目で現金1000円の支払いを求めたが、要求はエスカレートし、最後は「迷惑料」として現金10万円を求めた。
校長が拒否すると、親は給食費不払いを宣言した。

今年5月に都教委が専門家らで設置した「学校問題解決サポートセンター」で対応を協議。

「学校側が謝罪することが先」と助言したが、親の理解は得られず、数カ月分の給食費の未払いが続いている。

都教委の調査では、保護者から理不尽な要求を経験したのは、都立高校の約15%、小・中学校で約9%。センターへの相談は、5月から11月末まで112件、延べ181回に上っている。

最近では修学旅行から帰宅後、体調の異変を訴え緊急入院した生徒の親が、「刃物を持って担任を刺しに行く」などと猛抗議。
担任が家族への危害を恐れるような事態も起きている。

こうした事態を踏まえ、都教委は、モンスターペアレントへの解決策を示す「学校問題解決のための手引き」を作成した。

親への対応や問題解決までの方法を事例ごとに紹介。解決策を書き込むワークシート方式が特徴で、「保護者と接する心得10カ条」も示した。

都教委幹部は「教員には苦情を『事実』『推測』『要望』『無理難題』といったように整理して考えられるようになってほしい」と話している。

何ともすごい話しですが、学校というシステムが、運営側と教育側にキチンと別れていないところに、問題の遠因があると思います。

現実問題として、学校は生徒と職員を合わせると、1000人ぐらいが居ることが珍しくない組織ですから、地域内では最大の企業であるといって良いほどです。

もし、1000人もの人が集まっていく企業やビルだとしたら、管理業務とか警備、施設のメンテナンス、など非常に多くの仕事があり、大勢の職員が運営スタッフとして働いているようなところです。
ところが、学校ではそれが明確ではない。

こんな状況だから、何事につけても中途半端になってしまうわけで、中には学校の運営について怒り出す場合も出てきます。
結局のところ、職務分掌の明確化をして、主に先生に教育に集中してもらい、学校の運営スタッフ、教育と運営を繋ぐ教育助手、といった職種の人を増やすべきでしょう。

とは言っても、現状は大学ですら「助手の削減」とかやっているそうですが・・・・・。
なんか、節約は美徳のような感覚がひっくり返って、合理性無き節約に走っているようなところがありますね。
何のために、どこに手間暇を掛けるべきか、という戦略的視点が不可欠だと思います。

12月 16, 2009 at 02:12 午後 教育問題各種 | | コメント (1) | トラックバック (0)

自民・民主のビジョンの無さこそがデフレの原因だ

サンケイ新聞より「菅vs竹中、成長戦略会議で火花 「需要か、供給か」で論戦

政府は16日、成長戦略策定検討チームを開き、自民党政権時代の政策立案関係者として元総務相で経済財政相も担当した竹中平蔵慶大教授を招き経済政策に関するヒアリングを行った。

ヒアリングでは竹中氏が

「成長はサプライサイド(企業の技術力など供給力)にないといけない」
と主張したのに対し、菅直人副総理・国家戦略担当相が
「まず需要を作ることが大事ではないか」
と反論するなど、両者の間で成長に向けた論戦が繰り広げられた。

竹中氏は成長戦略の基本方策として

減税などで民間企業への資本投入を高めるとともに、
労働力を充実させることの重要性を強調。

具体案として「都市環境立国宣言」「アジアゲートウェイ宣言」などを通じて重点分野を明確化することと、税制改革・規制改革を通じた民間企業の活力を最大限に発揮させることを提言した。
そのうえで
「税制改革、規制緩和、民営化の伴わない成長ない」
と指摘した。

一方、菅副総理は竹中氏の提案を受けて

「需要がなくて供給過剰になる中で不況が起きた。
今はデフレが起きている。
需要サイドをいかに生み出すかがより重要」
として需要側の政策が重要だと反論した。 さらに、竹中氏が進めた規制緩和など供給サイドの取り組みは
「失敗したと思う」と指摘し、雇用が新たな需要を生むとして需要サイドのテコ入れを重要性
を主張した。

同会議は来週中にも成長戦略の骨格をまとめる方針だ。

竹中氏は

「需要サイドから説明しないと国民は分かってくれない」
と菅副総理の主張に一定の理解を示した上で、
「需要だけを付けるだけになってはいけない」と改めて供給サイドの施策を主張。「世界のトップ100社に日本企業は数社しか入らない」
と日本企業が世界でどんどん弱くなっているのが最大の問題と指摘した。

竹中という人は、何を言っているのか?と思う。

  1. 自由競争にして
  2. 投資を自由化して
  3. 技術力を高め
  4. 労働の質的向上をする

この目的が、企業の収益改善というのは話しに無理があるだろう。
自由競争なのだし、投資も自由なのだから、当然即戦力というか直ちにリターンのある投資が優先される。
技術力を高めるとは研究投資であり、労働の質的向上とは、長年の訓練以外の何ものでもないだろう。

普通に考えて、短期間で投資を回収するためには、目先の利いた買い手が世の中に出る直前の物件を買収して売り飛ばして利益を上げる、という投資行動になる。
当然「研究開発」や「人材育成」は短期間での投資回収という観点では、やってはいけないことだろう。

竹中氏はこの根本的な矛盾をどう説明するのだろうか?

今や、日本の最大のピンチは労働の質の急速な劣化です。
若人たちに十分な教養を身につけさせるといった根本的なところが崩れ始めています。
とてもではないが、「労働力を充実させる」なんてのはかけ声で何となるものではない。

どうしてこんな事になったのか、というのは要するにデフレで家計がうまく回転しなくなってきたことが大きい。
そして、竹中氏らが主唱する「自由化」が就労制度から賃金に及んだから、庶民の生活が不安定になってしまった、ことが最大の理由でしょう。

少なくとも「自由化すれば万事問題なし」でなかったことは確かで、どこをどう手当てするべきかについて、私案を出す責任が竹中氏にはあるだろう。

対する、民主党政権の「デフレ退治」は、ほぼ効果がないだろう。
デフレは結局は「金を使わないで待っているる方が有利だ」と考えるからで、それはとりもなおさず、時の政権が信用されていないことの表れ以外の何ものでもない。

では現在の民主党政権は信用されているのか?
期待は大きかったが、支持率の低下速度(微係数)が信用度だとすると、民主党政権の信用度はおそろしく悪い。
このために、ますますデフレ傾向は続くだろう。

製造業における登録型派遣労働の禁止が決まったが、派遣労働を完全自由化して、最低賃金を大幅引き上げて、時給1万円を最低とする、労働の実績は派遣労働者が個々に持っている電子カードに記録して、課税も含めて全部一元化する、といったような政策を取るべきだろう。

竹中氏が必要だという技術開発も圧力が無ければ始まらないのは決まり切っていることで、労働コストも技術開発を促す程度に高くするべきだ。
他に策がないから、技術開発を進める、という方向に誘導するべきだ。

また、知的財産の保護という観点からは、会社などの売買には、高額の取引税を課した方が良いかもしれない。
安直に企業を売るのは、売買以外の社会に対する影響があるから、そういう面への安定化のそちとして、企業売買の取引は自由だが、金額ではなくて規模などに応じた取引税を課すといった方向があると思う。

12月 16, 2009 at 01:40 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.12.13

北朝鮮・武器の密輸に空路

昨日(2009/12/12)の夜に飛び込んで来たニュースが、大騒動になりそうです。

2009.12.12 20:51サンケイ新聞北朝鮮発の貨物機から大量兵器 タイ空港で押収、ベラルーシ人ら拘束
2009/12/13 00:47共同通信北朝鮮製兵器35トン押収 バンコク着陸の貨物機から
2009年12月13日8時0分朝日新聞北朝鮮製兵器を大量押収 バンコクに着陸の貨物機
 東京新聞タイ 北製武器?を大量押収 緊急着陸貨物機から
 毎日新聞タイ:貨物機の兵器35トン押収 「北朝鮮から輸出」情報受け--バンコク

毎日新聞より「タイ:貨物機の兵器35トン押収 「北朝鮮から輸出」情報受け--バンコク

【バンコク西尾英之】
タイ当局は12日、バンコクにあるドンムアン空港に給油のため着陸した貨物機から、北朝鮮製とみられる対空ミサイルなど約35トンの兵器を押収、乗員5人を拘束したと明らかにした。

タイ空軍は、貨物機は北朝鮮から輸出目的で兵器を積み込み、目的地に向かう途中だったとみている。

押収された兵器は対空ミサイルや可搬式の対戦車ロケット砲など数十基に上る。

タイ外務省の副報道官は、6月に採択された国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に基づく措置だと述べた。北朝鮮の2度目の核実験を受けた6月の安保理決議には、同国からの武器禁輸拡大などが盛り込まれている。

タイ当局は、同機が北朝鮮からの兵器輸出を企てているとの情報を米国から得て、機内を捜索した。

貨物機は旧ソ連で設計されたイリューシン76型で、国籍はグルジア。出発地は平壌とみられる。

一部地元メディアは、同機の目的地はウクライナと報じているが、スリランカとの情報もあり錯綜(さくそう)している。

拘束された5人のうち1人はベラルーシ人で、残る4人はカザフスタン人とみられる。

北朝鮮にとって武器輸出は重要な外貨獲得源の一つ。
安保理による制裁強化後も、8月にイランへ向かう貨物船から北朝鮮製兵器が見つかり、安保理決議違反だとしてアラブ首長国連邦(UAE)に押収された事件が明らかになっている。

いやはや、貨物機で武器の輸出をするというのはちょっと驚きでした。
貨物船であれば、どこかを経由しないでも目的地にたどり着けますから、船舶を対象に海上臨検といったことが話題になっていたわけです。
大型貨物機だと、中継地も相応に大きな空港になるから、検査で簡単にバレてしまうでしょう。

今回はアメリカの情報とのことですが、35トンの武器を買うことが出来るのはどこなのでしょうかね?

12月 13, 2009 at 10:11 午前 海外の政治・軍事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

裁判員裁判・初の無罪主張その4

「裁判員裁判・初の無罪主張その3」などで紹介してきたさいたま地裁での裁判員裁判の判決が出ました。

埼玉新聞より「無罪主張の男に懲役8年 「公判長く疲れた」和光の強盗致傷

少年らと共謀し、現金などを奪ったとして強盗致傷などの罪に問われ、共謀はしていないと無罪を主張していた探偵業(33)の裁判員裁判の判決公判が11日、さいたま地裁であり、中谷雄二郎裁判長は、懲役8年(求刑懲役10年)を言い渡した。

選任から判決まで、過去最長の12日間。裁判員経験者らは「内容からして適切な期間」と理解を示したが、「大変疲れた」と話した。

裁判員裁判で共謀の有無が争点となったのは初めて。

検察側は、

被告が実行犯の少年らに「とことんぶっ飛ばして、金や金目のものを取って来い」などと犯行を指示したと主張し、
弁護側は
「強盗の指示はしていない」と反論した。

中谷裁判長は、「実行犯の少年らの証言は具体的、迫真的で矛盾は認められず、十分信用できる」と共謀を認定。

その上で「犯行は計画的で、自分は犯行に関与していないと装うなどずる賢い。被告は首謀者で、果たした役割は極めて大きい」と述べた。

判決後の記者会見には裁判員2人と、補充裁判員1人(いずれも男性)が参加。有罪か無罪かを争った長丁場に、60歳代の自営業男性は「2週間にわたったので、長かった。内容も非常に複雑で難しかった」と感想を述べた。

被告は控訴する意向を弁護士に伝えた。

判決によると、被告は少年ら(4人は少年院送致など、成人1人は公判中)と共謀し、昨年9月21日、和光市の男性宅に押し入り腕時計などを強奪、同居の女性に軽傷を負わせ、コンビニのATMで、46万円を引き出させた。

判決文は争点に対する判断が詳しく記載され、裁判員裁判としては異例の長さの12㌻に上った。

■「12日間」周囲の理解力カギ

閉廷後、4番の会社員男性(60)、6番小売業男性、20代の男性補充裁判員の3人が記者会見に応じた。

有罪か、無罪か。異なる主張に耳を傾け、下した判決について、補充男性は

「一つのチームとして出した結論。妥当だと思う」。日程が長期間に及んだ点には3人とも「これくらい必要だった」
と話した。

選任手続きから判決言い渡しまで、最長の12日間。

事件の背景が複雑な上、7人の証人尋問と被告人質問が行われるなど、中身が濃い公判だったことに、6番は

「大変疲れた。内容が複雑で難しかったからかな」
と息をついた。補充男性も
「少々疲れがある」
と話した。

公判日程については

「3日目くらいまでは出ていただけで、後から難しさが分かってきた」
と6番。4番も
「不都合はなかった」
と理解を示した。それでも
「公判が終わってから会社に行き、遅い時は夜9時まで働いた日もあった」、6番も「戻ってから仕事をした」
という。

判決内容を決める評議を前に、補充裁判員3人が解任されたことには「かかわった以上は最後までいたかったと思う」と気遣った。

公判では検察側、弁護側双方の主張が真っ向から対立。

4番は

「公平公正な立場で、と決めていた」
。補充男性も
「ありのままを受け止めようと思っていた」
と先入観をなくして挑んだ。

有罪、無罪を決めるプレッシャーは

「精神的にきつい部分はあったが、平常心で臨めた」
と4番。判決については
「妥当だと思う」
と答えた。

今後も否認事件や、審理が長期間にわたる裁判員裁判が開かれることが予想されるが、4番は「(家庭や会社などの)周囲の理解をいかに得られるか。制度ではなく、個々の問題だと思う」と話した。

■「旧来踏襲の判決文」 弁護人が会見

判決後、無罪を主張してきた被告の弁護人の村木一郎弁護士は

「証拠は証人の証言が軸で、どの切り口を見るかで、結論が変わる裁判だった」
と話した。その上で、
「少年たちの証言が正しいという前提で話が進んだ。有罪の結論を出すために、いろいろな疑問点を消していった。旧来の裁判のやり方の特徴だ」
と述べた。

判決文については、

「旧来のものを踏襲し、裁判員裁判としてはがっかり。全員一致で有罪だったのか、疑問を感じた人はいたのか、市民の視点から、有罪か無罪で悩んだ様子が書いてあってもおかしくなかった」
と不満そうだった。

事件から裁判に至るまでの経過は、「裁判員裁判・初の無罪主張その3」などに書きましたが、被告の主張などについては、サンケイ新聞の記事「【法廷から】被告と検察の全面対決に裁判員どう判断」には次のようにあります。

共謀は成立しているのか-。

さいたま地裁で11日に判決が言い渡される強盗致傷事件の裁判員裁判は、無罪主張の被告側と懲役10年を求刑した検察側が対立。
初公判から判決まで12日間という長期間を要した裁判での裁判員の判断に注目が集まる。

強盗致傷罪に問われているのは、東京都墨田区の探偵業(33)。

起訴状によると、被告は平成20年9月21日未明、数人と共謀して和光市の男性会社員宅に押し入り同居の女性を鉄パイプで脅して転倒させ軽傷を負わせた上、現金約7万5000円を奪うなどしたとされる。

被告が強盗の現場にいなかったことに検察側、弁護側双方に争いはない。

争点は被告が東京都新宿区のカラオケ店で実行犯に強盗を指示していたかどうかに集約されている。

出廷した証人は7人。特に注目されたのは、実行犯の少年3人だ。

1日の証人尋問で、少年が被告とカラオケ店で初めて会ったときの印象を

「暴力団かと思った。肩に入れ墨を入れ、色眼鏡にセカンドバッグを持ち、派手な服だった」
と証言した。

この日の被告は黒色のスーツに青色の取り付け式ネクタイに、縁なし眼鏡で出廷。
法廷での印象との違いに裁判員は驚きの表情を見せていた。

また少年は

「被告から『手足を4本折ってでもカネや金目のものを持ってこい』と指示された」
と証言した。

共謀を決定づけるように思えるこの証言。しかし、被告は4日の被告人質問で、こう反論した。

弁護人「暴力を振るってカネを持ってこいと言ったのか」
被告「それはあり得ない。少年の証言は意味合いが全然違う」
弁護人「『死ぬ気で行けと指示した』と供述調書にはあるが」
被告「少年は貧弱なので、金銭トラブルの解決で被害者宅に行っても恫喝(どうかつ)されて戻ってくるのが分かっていたから、軽口をたたいている意味で言った」
弁護人「被害者が抵抗してきたら、手足を折るくらいやってもいいという意味か」
被告「その通りです」

被告は、「手足を折っても-」の発言の趣旨は強盗の指示ではなかったと供述したのだった。

終始、事件への関与を否定し続けた被告。
裁判員は時折首をかしげたりしながら思案顔でこうした証言や供述を聞いていた。

「疑わしきは被告の利益に」は刑事裁判の原則。一方、犯罪の“やり得”を許すことは社会正義に反する。法廷でうそをついているのは誰なのか。(西尾美穂子)

まあ、この記事で見る限りは被告側の主張が無理すぎるという感じではあって、少年院にいった証人の証言には勝てないように感じます。
ところが別の事情もあったようです。

毎日新聞より「裁判員裁判:全国最長12日間…裁判員「妥当な日程」

評議を含めて7日間の期日を要し、初公判から判決まで12日間かけた全国最長の裁判員裁判の判決公判が11日、さいたま地裁(中谷雄二郎裁判長)であった。

強盗傷害罪などに問われ、無罪を主張した東京都墨田区江東橋、探偵業、赤谷拓治被告(33)に懲役8年(求刑・懲役10年)を言い渡し、判決後の記者会見で裁判員は「妥当な日程だった」と感想を述べた。

裁判員2人と補充裁判員1人が会見に出席した。

期間の長さについて60代の小売業の男性は「3日間では訳が分からなかったと思う。他の裁判が3日間で終わることが信じられない」。会社員の男性(60)は「裁判後に午後7時や9時ごろまで働き、仕事に支障はなかった」と話した。

被告人質問で裁判員が直接質問したのは1回だけだった。

「被告も被害者も暴力団とかかわりがあったからか」
との質問に、小売業の男性は
「非常にはばかられた。事件の内容が複雑だったことも理由」
と話した。

赤谷被告は、少年ら5人に強盗を指示したとされたが、公判で「指示していない」と無罪を主張。

証人7人が出廷するなど、関係者の証言の信用性が争点となり、中谷裁判長は「被告は責任を転嫁しようとしている」として実刑判決を言い渡した。【飼手勇介、浅野翔太郎】

これでは、裁判そのものも大変だったでしょうし、まして裁判員一人ひとりのプレッシャーも大変だったろうな、と思います。

今回の裁判員裁判は、被告が無罪を主張しているとはいえ、実行犯への指示に相当する発言が、指示に当たるかどうか?というものであって、言葉の解釈の問題です。
従って、解釈そのものは社会の基準で判断するべき事ですから、社会の基準では発言には被告の意志が犯行に及ぶ、と判断して問題は無いでしょう。

私が応援しているホームオブハート裁判でも、ホームオブハート側の証言にはしばしば言葉の解釈が違うという主張が出てきます。
確かに相手に応じて言い方を変えるのは社会で普通に行いますが、例えば、大人に向かって「幼児に声をかけるのと同じように」といった普通はあまり考えられない主張があった場合には、そういう証言の背景にある事情に普通ではない意図がある、と解釈するのが当然です。

これが、足利事件とか、東金市の幼女殺人事件といったことになると、事実関係そのものが信用できるのか?となりますから、裁判員裁判であった場合、検察側に求められる立証の精密さは、格段に重要になるでしょう。

12月 13, 2009 at 09:31 午前 裁判員裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)