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2009.08.15

海賊党の主張

CNET Japan より「「著作権は5年で十分」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る

「著作権は5年で十分」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る(前編) 末岡洋子 2009/08/05 15:58 と
「特許は要らない」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る(後編) 末岡洋子 2009/08/12 08:00
を繋ぎました。

注目ヶ所を赤字にしました。

個々の主張は今まで色々な人が述べていた事ですが、それをまとめしまうとこうなるのか、とちょっと感心しました。

医薬品の特許については、ず~と問題になり続けていてエイズ治療薬がエイズが蔓延している開発途上国で入手できないといった問題に直結しています。

発明者は特許が無くても先行者利益があるという主張も以前から指摘されている点で、歴史上で著名な発明家の何人もが特許を取得せず歴史に名を残しています。

また、特許を取ることがその技術を墓穴に埋めてしまうというのはわたし自身が経験したことで、もったいないことだ思っています。
特許から公知というか自由使用の宣言、といった知的財産登録の切り替え制度があっても良いかと思います。

16歳で起業した経験を持つソフトウェア開発者が、インターネット時代の知的所有権問題を考えるうちに政党を作ってしまった。「海賊党」(Pirate Party)という名の政党は、特許システムの廃止、著作権法の改正、ファイル共有の無料化を訴えて6月の欧州議会選挙に出馬したところ、1議席を獲得。ファイル共有問題に悩む欧州に大きなショックを与えた。

「世界を変えるために、自分に与えられたチャンスと強く感じた」――海賊党の設立者で党首を務めるRickard Falkvinge氏に、海賊党を結党した経緯や主張について話を聞いた。

――先の欧州議会選挙で1議席を獲得しました。おめでとうございます。海賊党結成後、初めての議席獲得となりますね。まずは海賊党結成の理由を教えてください。

海賊党は2006年に結成しました。同じ年に行われたスウェーデンの選挙では、得票率0.63%で、議席獲得には至りませんでした。しかし今回は7.1%の票を得て、1議席を獲得しました。

次に、なぜ海賊党を結成したのかの理由をお話しましょう。

2005年、スウェーデンで著作者が許可していないファイルのダウンロードを違法とする法律が成立しました、これを受け、著作権法に関する議論が高まり、カフェやテレビ、ラジオ、学校など、さまざまな場所でこの問題についての話し合いがなされました。

ですが、ここに政治家の姿はありませんでした。政治家がこの問題に関心を持たなければ、これが国民にとって重要であることすらわかってもらえません。この問題は、橋の建設や失業率のようにわかりやすいものではありません。どうやったら政治家の関心を得られるのか?――そこで、政治の場に参加すればどうか、と考えました。そうすれば、この問題を政治家に突きつけることができます。

――海賊党の主張について教えてください。

文化の共有、知識の無料/自由化、適切なプライバシーの3つを掲げています。

ですが、海賊党の意義は個々の主張というより、「情報政治学」の登場だと思っています。われわれのことを“単一争点政党(single-issue party)”と呼ぶ向きもありますが、あらゆる大きな動きが登場するとき、焦点はまず単一の問題に向けられます。1920年代に労働者の権利問題から政党が生まれ、その後、労働者の権利が生活のあらゆる面に関与することがわかりました。最近では環境問題から政党が生まれています。

海賊党もこれらと同じで、情報時代の問題に着目して発足した政党です。そして、実際のところ、情報は福祉を除き、社会のほとんどに関係があります。

たとえば税金の場合、われわれは税率を1%上げろ/下げろとはいいません。そうではなく、「税務署は容疑なしに納税者の個人情報を詮索してはならない」と主張します。

――著作権から伺います。著作権では、保護期間を短くすることを提案していますね。

著作権について、われわれはいくつかの主張を掲げています。

まずは、「正直者の寝室(プライベートな空間)に忍び込むな」という主張です。著作権はほんの15年前まで、主として出版社のみが関係するものでした。しかし今日、著作権は普通の市民を脅かしています。この事態をストップさせなければなりません。

著作権の適用範囲を縮小し、商用のみ(著作物から収益を上げている場合のみ)、著作権で保護されるべき、というのがわれわれの考えです。これに基づき、ファイル共有は完全に無料とすることを提案します。ファイル共有はプライベートで行われているもので、お金儲けが目的ではないからです。

友人とのチャットで、ビデオを一緒に見ながらチャットすることがあるかもしれません。もし、このような私的なファイル共有にも著作権を押し付けるのであれば、ユーザーがコンピュータでやりとりするすべてのプライベートなやりとりが監視されることになります。レコード会社はこれを推進しているのです。われわれには、プライベートでコミュニケーションする権利があり、現在レコード会社が押し付ける著作権のコンセプトは、われわれの権利にとって脅威といえます。

今後、政治家として、このような形で著作権が押し付けられることが適切かどうか、議会の場で突きつけていきます。プライベートにコミュニケーションできるという権利は、レコード会社が独占的に著作権を押し付けることよりも、重んじられるべきです。政治家は著作権そのものだけでなく、そのコストと利点、弊害を見る必要があります。

次に、著作権で保護される期間が長いということも主張します。著作権は著者が報酬を得るための仕組みで、これがあるから作家は創作活動で生計が立てられます。ですが、現在の著作権では、作家が生きている間のみならず、死んだ後70年も保護されます。死んだ後も本を書き続けている人がいるでしょうか?こういった背景から、われわれは商業目的で著作権を利用する長さを5年と提案します。

たとえば、『The Da Vinci Code(邦題:ダ・ヴィンチ・コード)』は2003年に出版されました。当時は話題になりベストセラーとなりましたが、現在はブームが収束しました。今年、もし著作権が切れて無料になっても、誰も害を受けないはずです。

――ファイル共有が(合法で、かつ)無料となると、ミュージシャンはどうやって収益を得るのでしょう?

著作権の範囲を縮小すれば、肯定的側面が見えてきます。実は、1世帯がエンターテインメント(音楽、映画など)に費やす予算は、ファイル共有サービス登場前と後で変わっていません。ファイル共有によりCDの購入は減ったとしても、コンサートなど他のものにお金を費やしていることになります。これは、アーティストにとっては朗報です。CDの場合、アーティストはCDの売上金額の5%しか得られませんが、コンサートは50%といわれています。ファンの支出が CDからコンサートにシフトすれば、アーティストの報酬は増えることになります。

レコード会社は「音楽業界の売り上げが減っている」と主張します。これは正確ではなく、「レコード(CD)の売り上げが減っている」と言うべきです。音楽業界全体の売上高は減っていないからです。レコード(CD)はもう、必要とされてないのです。そして、これはアーティストにとって悪い知らせではありません。

個々のアーティストによって、CD売り上げへの依存が高い人もいれば、コンサートがメインの人もいるので一概にはいえませんが、お金はレコード会社からアーティストの手に移っています。

――では、ファイル共有を問題視しているのはレコード会社だけで、アーティストらは反対していないということでしょうか?

海賊党の支持メンバーの3分の2がクリエーターや、アーティスト、詩人、作家、ソフトウェア開発者など、創作に関わる人です。

ミュージシャンが「ファイル共有をやめよう」と呼びかけるキャンペーンがありますが、このようなキャンペーンの99%は、レコード会社や業界団体がアーティストを表に出しただけです。ファイル共有に反対しているアーティストでも、われわれの主張を聞くと、ほぼ全員が賛成に転じます。これは自信を持っていえます。

――CDが不要という時代に、アーティストはどうやって自分の音楽を配信すればよいのでしょう?

アーティストがファンに音楽を伝える上で、これまでレコード会社が担っていた役割は、インターネットにより直接アーティストとファンがやりとりできるので不要になりました。アーティストの中には、MySpaceなどの自分のチャンネルで音楽を配信する人も増えています。

The Pirate Bay(注:人気のファイル共有サービスで、BitTorrentのファイルが検索できる)には、たくさんの独立系アーティストが音楽を提供しています。レコード会社がThe Pirate Bayを閉鎖しようとしているのは、The Pirate Bayがライバルだからです。これまではレコード会社がどのような音楽を配信するのかを決定してきましたが、いまではインターネット経由で誰でも好きな音楽を配信できるようになったのです。これは、すばらしいことです。

――アーティストも変わる必要があるということでしょうか?

そうともいえますし、チャンスだともいえます。

さらに言えば、チャンスはアーティスト以外にもあります。アーティストの支援やコンサルティング、楽曲の分類やアグリゲーションなど、新しいビジネスの可能性は無限です。

新聞が編集方針に従って記事を束ねるのと同じように、音楽でもラジオ局のような形で楽曲を配信するという方法が考えられます。音楽が配信されるプロセスがまったく新しいものになるということです。これはすでに始まっています。Pandoraなどのサービスが生まれており、ユーザーは自分が気に入ったサービスにならお金を払うと思います。

レコード会社は資本が尽きるまであと10~15年はビジネスを続けるでしょう。レコード業界に携わる人の中で、変化を理解し、変化を受け入れられる人はすでに業界を去っています。変化を理解せず、受け入れられない人だけが残ります。そして、最期を迎えるまで踏ん張るのではないでしょうか。

――映画業界はどうでしょうか?

ハリウッドは2008年、過去最高の年を迎えました。危機に陥っているとは思えません。コンサートと同様、ユーザーは体験を求めて、映画館に足を運んでいます。

――特許システムの廃止、中でも製薬関連の特許は不要と提案していますね。製薬会社は、新薬の研究開発に時間とお金をかけていると主張していますが。

製薬会社が公開している売り上げや研究開発などの数値を調べました。平均すると、製薬会社は約15%を研究開発に費やしています。このうちの3分の2が、ライバル企業の特許を回避するための研究開発です。つまり、研究開発の3分の2が、新薬開発ではなく、模倣した薬を開発するのに充てられています。別の見方をすると、製薬業界が純粋に新しい薬の研究開発に注ぐ資金は5%ということになります。これは、特許を持たない他の業界と同程度の比率です。

欧州では、製薬企業の収益の83%が社会保障などの税金から支払われています。専売が生むお金をなくせば、税金を抑えられます。

――特許がなくなると、製薬業界のビジネスはどのように変わるのでしょうか?

製薬でも、ハイブリッドカーの設計や製造でも、あらゆるプロセスの模倣は時間がかかる作業です。最初に始めた人は(特許をとらなくても)常にアドバンテージがあります。

よく、「特許を取得できないのなら、発明する意味はあるのか?」と聞かれますが、特許からはお金を得られなくても、製品販売を通じてお金を得られます。

――特許が守ってくれないとすれば、企業は、模倣するライバルからどう身を守ればよいのでしょう?

特許弁護士は特許は必要と言うし、企業の幹部も自分たちの業界には特許が必要と言います。ですが、研究開発に関わっている人に聞くと、特許は障害だといいます。

スウェーデンの代表的な技術企業であるEricssonの研究ディレクターと話をしたことがあります。Ericssonは膨大な特許ポートフォリオを持ちますが、「特許がなければ、仕事は変わると思うか?」と聞いてみたところ、「お役所仕事が減るぐらいで、大きな変化はないだろう」と答えました。

模倣する企業が現れるのは、市場には良いことです。これこそ競争です。

実際のところ、特許が下りるのは製品が古くなってからのことです。携帯電話を見てみましょう。6カ月で新しい携帯電話を買い換える人もいると思いますが、携帯電話で申請した特許が下りるのは、ユーザーがすでに新しい電話に買い換えた後かもしれません。

成熟市場になると、大企業が集まり、お互いの特許リストを基にクロスライセンス契約を結びます。お互いの特許の利用を認めるものですが、これは市場の競争に悪い影響を与えます。イノベーターは、既存技術を積み重ねて(特許を利用して)革新を生み出しますが、クロスライセンスはイノベーションや競争を排除します。このように、特許は多くの場合、不要であるだけでなく、悪い害を与えているのです。

――現時点でわれわれの知的インフラが特許や著作権を土台としていることを考えると、海賊党の主張は急進的に映ります。われわれは個人レベル、社会レベルで、海賊党の主張する世界に移行する準備ができているのでしょうか。

インターネット企業はすでに新しい考え方でビジネスをしています。Googleはあらゆる技術で特許を出願していますが、その目的は、他の人のイノベーションを防御することではなく、特許訴訟を起こされないため、つまり特許システムから自社を保護するためです。

特許システムはイノベーションを妨げます。特許システムは機能していません。ソフトウェア特許はよい例です。欧州ではソフトウェア特許は認められていませんが、われわれはソフトウェア特許導入にも強く反対しています。

――欧州議会で獲得した議席を利用して、最初に取り組むことは何でしょうか?

この問題に関心が集まった結果、全体の7.1%を得票しました。これは、われわれの考えの正当性が支持されたということになります。

最大の成果は、問題の存在を政治家に知らしめたことです。われわれが1議席を確保したということよりも、この問題を理解しなかったために他の政治家が議席を失ったということ。これは、すべての政治家への強いメッセージです。政治家はファイル共有などの問題に気が付き、理解しようとするでしょう。でなければ、先に理解した対抗勢力に支持が流れるということが実証されたからです。

次に、欧州議会でわれわれがやろうとすることですが、欧州のインターネット活動家の意見を表明していきます。まずは、欧州テレコム規制の改正に向けた見直しです。見直しにより、著作権を主張する側の意見が盛り込まれようとしており、ファイル共有者のインターネット回線を切断できると解釈できる文章が検討されています。われわれは、裁判官の命令がない限り、市民のインターネット接続を切断できないことを確実にする文言を導入するよう推進します。

インターネットへのアクセスは市民の基本的権利として認められるべきであり、接続が切断されないことが望ましいと考えています。自分の郵便箱や電話がチェックされるべきではないのと同じです。

フランスで議会を通過した3ストライク法(「Creation et Internet」、著作物を違法ダウンロードしたユーザーは、2回の警告の後、3回目にISPが回線を遮断する取り締まり法)は現在、この点について審議がされています。われわれはネットへのアクセスが、全欧州レベルで人権として認められるよう戦っていきます。

――そのような主張に対し、他の政党はどのような反応を示していますか?

われわれのように最優先ではないけれども、オンラインにおける自由に同意する政党はあります。大政党では、党員レベルで理解が進んでいる状態です。

楽なスタートではないかもしれません。ですが、連立できればわれわれの主張が審議されると期待しています。

――最後に海賊党の支持者について教えてください。今年4月、The Pirate Bayの創業者4人に対し有罪判決が下りましたが、これはどのような影響を与えましたか?

スウェーデンでわれわれは、30歳以下の層では最大の支持を得ている政党です。支持者の多くは男性です。ただ、これは性別の問題ではなく、この問題を最初に認識したのが技術者で、男性の方が技術に関心を持つ傾向が高いからです。

30歳以下は先の選挙で投票者の半分を占めましたが、残りの半分なしに7.1%もの票は獲得しえませんでした。

われわれが引き金となり、ドイツなど他の国にも海賊党ができています。ドイツの海賊党は、欧州議会選挙では得票率0.9%にとどまりましたが、それでも国の助成金を受けることができるようになりました。

The Pirate Bayの影響は大きいと思います。The Pirate Bayが警察から強制捜査を受けた週、海賊党の支持者は2000人から6000人へと3倍になりました。判決が下った週は、1万4000人から4万人に増えました。

8月 15, 2009 at 01:22 午後 ネットワーク一般論 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.14

東京医科大・茨城医療センターの診療費不正請求

朝日新聞より「診療報酬2万人分不正に請求 東京医大茨城医療センター

東京医科大学付属の総合病院、茨城医療センター(茨城県阿見町)が、センター長の同大学理事の指示で診療報酬の不正請求を繰り返していた疑いがあることが、同大学の内部調査でわかった。

総額1億1870万円の診療報酬を不正に請求していたといい、厚生労働省関東信越厚生局が立ち入り調査を始めた。

同理事は7月24日付でセンター長を辞任した。

医療費は患者が1割から3割を負担し、残りは国民健康保険や社会保険などから医療機関に診療報酬が支払われる。
不正請求があったのは昨年4月~今年5月とされ、同大学側は、この間に入院した患者や高度医療を受けた通院患者ら延べ2万人以上が、不正請求に連動して高い医療費を負担させられたとみて、患者らへの返還手続きと、関係者の責任追及を進めるという。

大学側によると、不正請求は、病院の患者数を減らして勤務医の負担を軽減するなどの目的で昨年4月の診療報酬改定で導入された、三つの制度を悪用して行われた。

例えば、一定期間に退院した患者のうち、治癒した人と別の医療機関に紹介した人の合計が40%を超えると、病院は通常より高い診療報酬を請求できる。
同センターは実際は5.6%と適用外だったのに、43.4%と基準を上回っているように装い、昨年4月1日から今年3月31日まで9111万3千円の報酬を不正に受領していた。

ほかの二つの制度でも虚偽の数字や架空の職員名を使うなどして、本来は適用されない加算制度を申請していたという。

今年2月、千葉・茨城の私立医科大学付属病院長会議のアンケートで、新たな加算制度を採用している病院が少ないのに同センターの加算請求が際だっていることが表面化。

センター長は3月、一部の利用だけ辞退し、ほかは不正請求を続けるよう指示していた。5月、内部告発が大学本部にあり発覚した。

同センターは7月21日に診療報酬請求が不適切だったと公表したが、センター長は朝日新聞の取材に「計算間違いや担当職員の勘違い」と説明し、不正ではないと否定。
その後は大学を通じた取材に回答していない。

内部調査の進展を受け、同センターは「センター長が申請した数字の根拠がどこにも見あたらなかった。全容解明と再発防止に全力を尽くす」とコメントした。(沢伸也、吉野慶祐)

〈学校法人東京医科大学〉 大学医学部、大学院などのほか大学病院(東京都新宿区)、八王子医療センター(八王子市)など三つの付属病院と二つの看護学校を持つ。

茨城医療センターは病床数508床の付属総合病院。07年に地域がん診療連携拠点病院の指定を受けた。今年4月に「霞ケ浦病院」から名称変更した。

この事件はどうも朝日新聞しか報道していないようなのですが、どうにもよく分からない事件です。

言うまでもなく、病院内では色々な書類が作成されるはずなので、全体をごまかすのはかなり難しいでしょう。
原理的には、請求の書類だけを書き換えれば済むわけですが、元のデータと全く違うデータを作り直したというのなら、すぐにバレる。

最近の大病院では電子カルテ化が進んでいますが、電子カルテでは基本的に情報が一元化されるので、ますます一部分の書き換えは難しい。

内部告発があったとのことだから、内部で不正が行われていることは知られていたのだろうけど、 組織を挙げて不正を働いたということではないようだから、ますます「どうやって誤魔化したんだ?となってしまいます。

同センターは7月21日に診療報酬請求が不適切だったと公表したが、センター長は朝日新聞の取材に「計算間違いや担当職員の勘違い」と説明し、不正ではないと否定。
その後は大学を通じた取材に回答していない。

内部調査の進展を受け、同センターは「センター長が申請した数字の根拠がどこにも見あたらなかった。
全容解明と再発防止に全力を尽くす」とコメントした。(沢伸也、吉野慶祐)

こうなると「何を言っているかわけが分からない」と言うべきで、現在のところ謎ですね。

8月 14, 2009 at 09:13 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.13

裁判員裁判・読売と朝日の姿勢

読売新聞より「2件目の裁判員裁判、弁護の違いが量刑に影響

さいたま地裁で開かれていた全国2件目の裁判員裁判で12日、判決があった。

先週の東京地裁での第1号事件では、過去の量刑の傾向を表す「量刑相場」より重めの判決が出たが、第2号事件では弁護人の主張がある程度受け入れられた。

3~6日に東京地裁で行われた裁判員裁判では、近隣トラブルから女性を刺殺し、殺人罪に問われた被告に懲役15年(求刑・懲役16年)が言い渡された。判決は被害者の落ち度を強調した弁護側の主張を認めず、ベテラン裁判官が「突発的な殺人事件では10年強を中心に考える」と話すように、従来の相場よりも厳しい結果だったといえる。

一方、さいたま地裁では殺人未遂罪に問われた被告に、検察側が懲役6年を求刑、判決は懲役4年6月だった。判決は被害者が犯行のきっかけを作った面があることや、被告の自首など、弁護側が強調した「被告に有利な事情」に目配りしており、別の刑事裁判官は、「この事件をプロの裁判官だけでやれば、懲役5年を下回ることはなかったのでは」との見方を示した。

裁判員が加わった場合の量刑については、「被害者の生の声に動かされて重くなる場合もあれば、被告の境遇に同情して軽くなる場合もある」(ベテラン裁判官)との予測があった。

被害者の遺族も参加した東京の裁判で、弁護側は「被害者が犯行のきっかけを作った」と主張したが、法廷ではこれに沿う証言をあまり引き出せなかった。最終弁論では、検察側の懲役16年の求刑に対し、「不当に重い」と言うのみだった。裁判員を務めた1人は後日、記者会見で検察側の求刑や被害者の代理人の意見が参考になったとする一方、「弁護人が具体的に何年が妥当と思っているのか知りたかった」と指摘した。

一方、第2号事件の弁護人は、この裁判員経験者の感想も参考にして主張を組み立てたという。罪状認否で被告が起訴事実を認めると、弁護人が「自首が成立しますので、執行猶予を求めます」と、すかさず付け加えた。公判の冒頭に弁護人が刑の重さまで口にするのは異例のことだった。

さらに最終弁論では、最高裁の量刑検索システムを利用した上で、過去の同種事件の量刑分布を示す棒グラフをモニターに映し出し、「懲役6年にグラフの山はあるが、執行猶予の部分にも山がある」と述べた。

一方、検察側も同じシステムを利用したが、「執行猶予がついているのは、被害者が被告の親族で、被告を許しているときだ」などとして、実刑を求めた。

量刑検索システムを土台に、検察官と弁護士が具体的な量刑の主張を展開した今回の第2号事件について、ある刑事裁判官は「データベースの検索結果という同じ客観データを使えば、かみ合った議論を引き出すことができ、非常に有効だ」と指摘している。

朝日新聞より「「一般市民には重い」「苦しい制度」 2例目裁判員会見

全国で2例目となる裁判員裁判を終え、記者会見に応じた裁判員たち。被告に懲役4年6カ月の判決を宣告し、緊張から解かれた表情で語る言葉には、一人の人生を考え続けた3日間の重みがにじみ出た。

さいたま地裁内で12日開かれた記者会見には、裁判員6人に加えて補充裁判員2人も参加した。

「大変疲れました」。感想を問われ、1人が口を開いた。被告人質問では積極的に質問を繰り返していた裁判員3番の男性だ。「やっぱり重いです。一般市民には非常に重い作業だった」「とても興味本位でやることではない」

今回の事件の焦点は、被告の刑の重さをどの程度にするかに絞られていた。まだ有罪か無罪かを真っ向から争う裁判員裁判は行われていない。

「(他の裁判員が)これから有罪か無罪かを決めることを考えると、非常に重くて苦しい制度だなと思う」。1番の男性は、こう語った。さらに、有権者から無作為に選んで審理に参加させる仕組みについて「苦労を強いている。回数を積み重ねることでみえた課題は、改善していただきたい」と要望した。

4番の男性は67歳。高齢者が参加する場合の負担の重さに触れた。「孫には『じいちゃん、大丈夫か』とさんざん聞かれた。もっと若いときにこういう体験をさせていただければよかったと思う」

今回の審理は3日間。出廷した証人は被害者1人だけだった。2番の男性は「精神的にきつかった」と話したうえで、「ふつうのけんかのように両方の話を聞いてから、もう一度聞き直すということができないのが、どうだったのかなと思った」と、短い審理期間の限界について語った。

他の裁判員や裁判官と話し合った内容は明かしてはならない決まりだ。4番の男性は「『守りたい』としかいえないと思いますが、まあ、どうでしょうかね。つらいところです」と実感を込めた。

今回の裁判員たちの服装は、赤や緑、水色などカラフルなシャツが目立った。実名を公表して記者会見に臨んだ6番の菊地健治さんは仕事柄、スーツを着ないという。「あまりに場違いなものではまずいと思ったので、出かける前に妻に一度、見てもらった。『こういう格好で来て』という目安があればいいかな」と話した。(山本亮介、市川美亜子)

■「守秘義務違反の恐れ」回答を制止

裁判員法は評議の内容についての守秘義務を裁判員経験者に課している。記者会見では、質問に答えようとした裁判員が、立ち会っている地裁の職員に違反するかどうかを確認し、職員が事前に回答を制止する場面があった。

裁判長はこの日の法廷で、被告に「十分やり直しがきく」と説諭した。記者の一人が「裁判員のみなさんの気持ちを代弁した言葉か」と尋ねると、裁判員の一人が「言っていいんですか」と前置きして、問い合わせるように職員へ視線を送った。職員が首を横に振るような身ぶりを見せると、裁判員は「控えさせてください」と話した。

この裁判員によると、会見前に地裁側から違反の恐れがあるときにはその場で指摘するか、後で報道機関側に発言の取り消しを求めると聞かされていたため、自ら目配せしたという。地裁側は会見後、事前に制止した理由を「(回答が)判決について裁判員が賛成したのか反対したのかの特定につながる可能性があるので、守秘義務に違反する恐れがあった」と説明した。

読売新聞と朝日新聞の記事を比べてみると、良くもここまで記事が別れるものだと感心してしまうほどだ。

読売新聞は二つの判決について、東京の裁判では重めに、埼玉の裁判では軽めの判決になった、ことを指摘して、その理由が弁護の違いであるとしている。

わたしはこの記事は大変に重要な事を書いていると思います。
「初めての裁判員裁判を終わって」に書いた通り

裁判員裁判の本質は市民感覚を判決に反映させることですから、判決のブレが大きくなって当然です。
裁判員裁判に反対あるいは批判する意見の中核は判決のブレを認めたくない、というところは大きいと思います。
しかしながら、それは「裁判官は神であれ」と言っているのに等しいわけで、それ自体があり得ない。

だと考えていますから、この点を実際の二つの判決が揃ったところで、記事を作るのは絶好の機会であったと言えます。

対して、朝日新聞の記事は「東京での最初の裁判員裁判について全く触れていない」
それ自体が異様です。

結局のところ、朝日新聞の姿勢は、裁判員裁判について反対ために

  1. 消極的報道
  2. ネガティブ面を主にした報道
  3. 全体像を評価せず、個々の裁判などで問題点を取り上げる

という方針のように見えます。
こんなことで良いのですかねぇ?

8月 13, 2009 at 09:22 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.08.12

燃費の基準を作れ

AFP BB より「GM、新型ハイブリッド「ボルト」を11年発売 トヨタ追撃に本腰

【8月12日 AFP】
米自動車大手ゼネラル・モーターズは11日、2010年後半にプラグイン式ハイブリッド車の「シボレー・ボルト」の生産を開始し、11年に市場投入すると発表した。

GMによると、ボルトの市街走行時の燃費は、米基準で少なくとも1リットルあたり97キロとなる見通しだ。対するトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」は1リットルあたり21.26キロ。

GMはボルトについて、「プリウスの約4倍の燃費効率」をうたい、「ガソリン1ガロン当たり100マイル(1リットルあたり42.51キロ)以上の走行が可能な低燃費車としては、世界初の量産車」だとしている。

技術的に見ると、ボルトはハイブリッド車というより電気自動車に近い。

ガソリンエンジンも搭載するが、通常の動力源としては使用せず、主要動力源のリチウム電池の充電が切れた場合の発電用。

プラグインによる1回の充電で最高40マイル(約64キロ)の走行が可能で、ガソリン満タン時には300マイル(483キロ)以上の走行が可能だという。

GMのフリッツ・ヘンダーソン社長兼最高経営責任者は、「データで見る限り、日常走行においてはガソリンを使う必要はなく、純粋な電気自動車として使えるだろう」と語っている。
(c)AFP/Amandine Ambregni

この記事は朝から「プリウスの4倍」といった数字だけが伝わっていて「???」のままだったのだが、どうもキーワードは「現在のアメリカ基準」らしい。

ボルトは、自動車ニュースサイト Respose によると

GM(ゼネラルモーターズ)は9月16日、米デトロイトで創立100周年記念式典を行い、新型プラグインハイブリッドカー、シボレー『ボルト』を初公開した。ボルトは2007年1月のデトロイトモーターショーでコンセプトモデルを展示。今回は市販モデルが発表された。

ボルトは5ドアのFFセダンで、ボディサイズは全長4404×全幅1798×全高1430mm、ホイールベースは2685mm。トヨタ『プリウス』とほぼ同サイズだが、ボルトのほうが全幅は約75mmワイドで、全高は約60mm低い。エアロダイナミクスを徹底追求したボディは、とてもスタイリッシュだ。

ボルトの最大の特徴は、家庭用コンセントで充電できるプラグインハイブリッドカーという点。

最大出力16kWの大型リチウムイオンバッテリーを搭載しており、プラグを差し込んでおけば、240Vコンセントでは約3時間、120Vコンセントでは約8時間で充電が完了する。
GMは「1日あたりの電気代は約80 セント(約84円)と、コーヒー1杯の値段程度」と説明している。

フル充電時の最大航続距離は40マイル(約64km)と、多くのアメリカ人の通勤距離、20マイル(約32km)をカバー。
モーターは最大出力 150ps、最大トルク37.7kgmを発生し、最高速度は約161km/hと実用性も十分だ。もちろん、基本的にEVなので環境に優しい。

ボルトはエンジンも搭載しているが、プリウスとの最大の違いはエンジンが駆動用ではなくバッテリー充電専用という点。

バッテリー残量が少なくなると、発電用の小型エンジンが始動。スムーズに充電が行われ、航続距離は数百マイル伸びる。エンジンの燃料はガソリンだけでなく、エタノール85%とガソリン15%を混合した「E85」燃料にも対応している。

ボルトは2010年後半から生産が始まり、アメリカに2011年モデルとして投入される。

GMのリック・ワゴナーCEOは創立100周年記念式典で、「ボルトがGMの次の100年を切り開く革新的モデルとなる」と自信たっぷりのスピーチ。
ガソリン価格高騰が続く中、GMはボルトの維持コストについて、「同クラスガソリン車の約6分の1」と試算しており、車両価格次第では大ヒットとなる可能性がありそうだ。

ガソリンの他に電気を補給できると考えるべきで、いきなりガソリン消費量で走行距離を割っても、ガソリンを使用しない、20マイルの範囲では「燃費は無限大(の走行距離)」になってしまう。

普通に走行に必要なエネルギーをガソリンから供給したら、リッター当たり100キロなどというのスパーカブを上回ってしまう。
(スパーカブは60km/h定地走行で63.5km/L)

要するに、電池だけで走っている区間も織り込んで「燃費」と言っているわけで、これでは比較のしようがない。

今までは、一種類の燃料だったから「燃費」という分かりやすいデータの比較が出来た。
それがエネルギー源が二種類になったから、こんなことになるのですね。

電池自動車も登場したのだから、もっと分かりやすく間違えようのない「燃費」の定義を決める必要があります。

8月 12, 2009 at 07:58 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.08.11

失神させても体罰というのか?

サンケイ新聞より「はげ に怒り生徒に体罰 兵庫の市立中男性教諭を戒告

兵庫県教育委員会は11日、「はげ」と言われたと勘違いし男子生徒に体罰を加えたとして、同県加古川市立中の男性教諭(56)を戒告の懲戒処分とした。

県教委によると、教諭は4月20日午前、2年の授業中に男子生徒が同じクラスの女子生徒を「はげ」とからかったのを、自分に言っていると勘違いして注意した際、首を右手で押さえて失神させた。

男子生徒はその場ですぐに目を覚まし、ほかにけがはなかった。教諭は「胸ぐらをつかもうとして首に手が入ってしまった」と話しているという。

クビを締めて失神させて、体罰は無いだろう。

刑事事件として捜査するべきだ。

8月 11, 2009 at 09:11 午後 事件と裁判 | | コメント (3) | トラックバック (0)

少年院リンチ事件・とうとう首席教官逮捕

朝日新聞より「少年への特別暴行陵虐容疑 広島少年院元首席専門官逮捕

広島地検は11日、奈良少年院(奈良市)の次長で、広島少年院(広島県東広島市)の元首席専門官(47)を特別公務員暴行陵虐の疑いで逮捕し、発表した。

地検によると、元首席専門官は同少年院の首席専門官だった05年9月ごろ、当時16歳の在院少年の首にシーツを巻き付けて自分で絞めさせたうえ、遺書を書くように言い、さらに洗剤を混ぜてガスを発生させたポリ袋を少年に近づけ、吸わせようとした疑いなどが持たれている。
元首席専門官は地検の調べに「洗剤を使ったことは認めるが、ほかはあまり覚えていない」と話しているという。

広島少年院では、在院少年に暴行を加えていたとして、法務教官4人が同容疑で逮捕、起訴されている。

NHKニュースより「広島少年院 元首席専門官逮捕

広島少年院で教官4人が少年たちに暴行や虐待を繰り返していたとして逮捕・起訴された事件で、少年院の教育部門のトップだった元首席専門官が少年に暴行を加えていたとして、特別公務員暴行陵虐の疑いで新たに検察に逮捕されました。元首席専門官は容疑を否認しているということです。

逮捕されたのは、東広島市にある広島少年院の元首席専門官で、現在は奈良少年院の次長(47)です。

広島地方検察庁の調べによりますと、元首席専門官は平成17年9月ごろ、広島少年院の体育館などで少年の首をシーツで絞めたうえ、洗剤を混ぜ合わせて発生させた塩素系のガスを吸うよう迫るなどの暴行や虐待を加えたとして、特別公務員暴行陵虐の疑いが持たれています。

検察によりますと、元首席専門官は、同じ少年に遺書を書くようにも迫っていたということですが、調べに対し容疑をすべて否認しているということです。

首席専門官は少年院の中で少年たちを教育する部門のトップで、一連の暴行事件で逮捕・起訴されている4人の教官も、元首席専門官による暴行をほかの教官から聞いて知っていて、このうち1人は「参考にして自分もやってみようと思った」などと供述しているということです。

検察は、少年院で大きな影響力を持っていた元首席専門官の言動が4人の教官による暴行や虐待の背景にあったのではないかとみて調べています。

元首席専門官の逮捕を受けて、広島少年院を管轄する広島矯正管区の林和治管区長は「幹部が逮捕され、国民の皆様の信用を著しく損なったと言わざるをえず、きわめて遺憾で深くおわびいたします。今後も調査を進め、再発防止策も含めて適切に対処していきます」とコメントしています。

すでに逮捕されている、4人の教官の中には27歳で新人も居て、どう考えても本人が勝手にやったとは言いがたい状況でした。

仕組みとして、どうすればこのような事ができるのか?を解明するべきでしょう。

8月 11, 2009 at 08:41 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.09

第3回高校生模擬裁判選手権

第3回高校生模擬裁判選手権を見に行ってきました。
去年、見に行ってあまりの面白さにすっかりはまってしまい、何ヶ月も前から楽しみに待っていました。

高校生模擬裁判選手権と言われても、具体的に何をどんな規模でやるのか分からないと思います。

主催日本弁護士連合会(日弁連)
共催最高裁判所・法務省・検察庁・東京地方裁判所・大阪地方裁判所・福岡地方裁判所・東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会・横浜弁護士会・埼玉弁護士会・山梨県弁護士会・大阪弁護士会・京都弁護士会・兵庫県弁護士会・滋賀弁護士会・香川県弁護士会・福井弁護士会・福岡県弁護士会・佐賀県弁護士会・九州弁護士会連合会
関東大会・東京公文国際学園高等部(神奈川)湘南白百合学園高等学校(神奈川)東京都立西高等学校(東京)桐朋高等学校(東京)・日本学園高等学校(東京)・山梨学院大学附属高等学校(山梨)早稲田大学高等学院(東京)・早稲田大学本庄高等学院(埼玉)
関西大会・大阪京都教育大学附属高等学校(京都)・高松第一高等学校(香川)・西宮市立西宮東高等学校(兵庫)・福井県立藤島高等学校(福井)・立命館宇治高等学校(京都)・立命館守山高等学校(滋賀)
九州大会・福岡久留米大学附設高等学校(福岡)・佐賀県立佐賀西高等学校(佐賀)・福岡県立小倉高等学校(福岡)・福岡県立福岡高等学校(福岡)

青で示した学校が、3回連続出場校で、緑で示した学校は2回出場の学校です。
九州大会は今回が初開催ですので、全参加校が1回目の参加ですが、東京は8校が参加して初出場が2校なのですから激戦となりました。

昨年は、8月9日に行われた関東大会に優勝した湘南白百合と関西大会で優勝した京都教育大学付属が、2008年11月8日に決勝戦を行い京都教育大学付属が日本一となりました。

今回は全国大会は開かれないとのことです。

今回の結果は、湘南白百合の3連覇となりました。(大拍手)

模擬裁判選手権と言っても、具体的にどのように闘うのかが分からないと思います。

二校が、検察役と弁護役として法廷で争います。一回の法廷は1時間50分。
これを一日で検察役と弁護役を入れ替えて、別の高校と対決します。一日に2回の対決をすることになります。

刑事事件は、警察が送検すると、検察庁の捜査部が捜査して起訴します、裁判が始まると検察の公判部の検事が弁護側と争います。
つまり、検察官は捜査する検察官と公判に出る検察官は別です。
このために公判部にとっては「なんでこんな起訴をしたのだ?」ということもあるようです。

今回の課題の事件はまさに公判部の検事にとってはかなり大変な起訴になっています。

平成17年1月3日午後8時50分ごろ、被告人は、郡山市の自宅で、
知人の小山実さんらと飲酒だんらん中、
小山さんの自慢話に反論したことから口論となり、
小山さんが鉄砲など怖くないなどと言ったうえ、
被告人が持ち出した散弾銃を見て、「撃てるものなら撃ってみろ」
と開き直ったことに激こうし、殺意をもって約2.6メートルの至近距離から散弾銃を発射し、
小山さんの右肩甲骨部分に命中させたが、
直ちに病院で治療を受けたため、右上腕、胸部などに
全治4か月の障害を負わせたにとどまりその目的を遂げなかった。

罪名及び罰条 殺人未遂 刑法第199条、第203条

これが起訴状に書かれている公訴事実です。

銃を発射して怪我をさせたことに争いはないのですが、起訴が「殺人未遂」ですから、殺意があったのかなかったのかが争点になります。

高校生が検察官役と弁護士役を演じると説明しましたが、他に被告役、被害者役が必要ですが、これも高校生が演じます。

法廷の再現ですから、試合の進行は以下のようになっています

進行時間担当手続時間
0:00裁判官開廷、冒頭手続5分間
0:05検察官検察官冒頭陳述5分間
0:10弁護人弁護人冒頭陳述5分間
0:15検察官検察官証人尋問15分間
0:30弁護人反対尋問15分間
0:45弁護人被告人質問15分間
1:00検察官反対尋問15分間
1:15論告・弁論検討時間10分間
1:25検察官論告10分間
1:35弁護人弁論10分間
1:45被告人最終陳述若干
裁判官結審若干

今回の模擬裁判では、犯意を引き出すことが検察の仕事ですから、被告人質問などが非常に大きな要素で、被告人役をどう形作るかが全体の進行(評価)に大きく影響します。
このために、被告人役・被害者役の生徒の演技力にも注目が集まり、講評では「実にふてぶてしい被告」とか「(銃撃で)怪我しているから右手を動かせない被害者」といった細かい演技も高く評価されていました。

先に挙げた、審査員の講評で「法科大学院の学生の模擬裁判と同レベル」とか「法律知識とは別の才能なのかもしれない」といった評価もありました。

湘南白百合高校は、三連勝であったわけですが、当の生徒たちにとっては大変なプレッシャーの元での勝利ですから、大いに褒めるべきでしょう。

湘南白百合中学・高等学校の学園の概要です。

本学園は、キリスト教(カトリック)の精神に基づいて中高一貫の女子教育を行っている学校です。その設立母体はシャルトル聖パウロ修道女会で、全国に7つの姉妹校があります。

本校で学ぶ生徒には、聖書に示される価値観を指針とした三つの校訓

「従順・勤勉・愛徳」

を日常生活の中で実践すること、そして将来は人類社会に貢献できる愛ある人に成長することを目指して勉学に励み、人格を磨くようすすめられます。

校訓は、私たちにいのちを与え生かされる神とのつながりを示す宗教性に基づくもので、それらの実践による体験は、心に自由と喜びの実りをもたらします。

  • 従順-真理の声に従うよろこび
  • 勤勉-能力を磨き役立てるよろこび
  • 愛徳-互いに大切にし合うよろこび

本校のすべての教育活動は、21世紀の国際社会の中で、周囲の人びとと共に苦しみや喜びを分かち合いながら、地の塩、世の光として生きる、世界に開かれた女性の育成を目指して行われます。

湘南白百合学園中学高等学校長 水原 洋子

校長が、写真のままの姿で応援に来ていらっしゃいましたので、ちょっとお話ししましたが

「三連勝おめでとうございます」
「今回で終わりかとも思っていたのですが、まだ続くということですねぇ」

と校長先生もプレッシャーを感じていた様子でした。

湘南白百合は過去の2連勝したOGが応援に来ていて、私立の良い意味でノウハウの伝承があることを確認しました。
昨年、初めて高校生裁判選手権を見たときに、湘南白百合は非常に高級なあまり世間には知られていない法廷テクニックを披露して「これは指導役の弁護士がかなりトレーニングしたな」と思いました。
ところが、一年後の今回はほとんどの学校が昨年の湘南白百合のレベルに極めて近づいていて、いわば上位校と下位校の差が非常に縮んでいました。
その分、評価の差は細かいところになってしまって、その中でも非常にバランスに優れている湘南白百合が優勝したのは納得できます。

準優勝は、公文国際でしたが表彰を受けた代表の生徒が「去年もこの舞台に1年生で立ちました。先輩には「湘南白百合から優勝をもぎ取ってやる」と言って出場しましたが、果たせませんでした。」とスピーチしていました。
出場選手は2年生・1年生なのです。

高校生模擬裁判選手権を観客として見る大きなメリットは、同じ事件の裁判を複数回見ることができることです。
これは現実の事件ではあり得ないことです。

昨年は、関東大会・全国大会を見たので多分、6回は見たと思うのですが、同じ事件なのに検察・弁護が変わると取り上げる証拠が変わってきます。
その結果「あれ?別の裁判ではこの証拠は議論にならなかったぞ」とか「同じ証拠をこういう評価をすると、先々まずいぞ」といった見方になってしまいました。

この事でわたしは「あ、神の視点とはこのことか」と理解したのです。
現実の裁判では、裁判官・検察官・弁護士・傍聴人の誰一人として神の視点に立つことはありません。

理屈としては当然のことなのですが、それでも実感することはありませんでした。
それを実感できる、まれに見る良い機会です。
来年もおそらくは各地で開催されるでしょうから、お時間のある方はぜひご覧になることを強くお勧めします。

8月 9, 2009 at 09:38 午前 教育問題各種 | | コメント (2) | トラックバック (1)