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2009.01.15

検察が無罪判決の理由になった証人に家宅捜索。

朝日新聞より「羽賀研二被告の証人宅、偽証容疑で捜索 大阪地検

詐欺と恐喝未遂の罪に問われ、昨年11月の一審・大阪地裁判決で無罪とされたタレント羽賀研二(本名・当真美喜男)被告(47)の公判でうその証言をした疑いがあるとして、大阪地検は14日、千葉県浦安市の男性宅を偽証容疑で家宅捜索し、男性から任意で事情を聴いた。

検察側は、羽賀被告が01年、東京の医療コンサルタント会社(02年に破産)の未公開株を1株40万円で取得する事実を伏せたまま、知人の不動産会社社長に3倍の1株120万円での購入を持ちかけて3億7千万円を詐取し、返済を求められると債権放棄を迫ったとして起訴している。

男性は昨年8月、羽賀被告側の証人として出廷。「羽賀被告から紹介された不動産会社社長に『40万円の株を120万円で買ってもうかるのか』と聞くと、社長は『上場したら損はない。何十倍ももうかる』と話していた」などと証言した経緯がある。

一審判決はこの男性の証言を踏まえ、「3倍の価格で買わされるとは思わなかった」という不動産会社社長の話について「全幅の信頼を置くことはできない」と判断した。検察側は無罪判決を不服として控訴している。

こういうのはアリなんでしょうかねぇ?

証人の信用性を法廷で崩せなかったから、判決後家宅捜索って意味無いでしょう。

常識的には嫌がらせにしか見えませんけどね。

1月 15, 2009 at 12:55 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

草薙事件

実にひどい話だと思う。
詳細は、各新聞社の記事をご覧下さい。
記事の書き方自体に、記者たちの怒りが見て取れます。

わたしは個人的な主張はどこまでも認める者ですが、意味が通じない主張を受け入れることは出来ません。その一方、いかに吃驚であろうと、首尾一貫している主張なら評価できます。

しかし、記事にある法廷での証言では、どう見ても首尾一貫しているとは思えない。
その上問題になってからの、出版も取材への対応も今回の証言とはとうてい相容れない、つまり証言前と証言ですでに首尾一貫していません。

ここまで来ると、大変な迷惑という存在にしかならないと感じます。

読売新聞より「調書漏出事件で草薙氏、出版前の協議不十分認める

調書を引用した本の著者でフリージャーナリストの草薙厚子さんに対する証人尋問は14日午後も、奈良地裁(石川恭司裁判長)で行われた。情報源を明らかにした草薙さんは、少年の鑑定医の崎浜被告と出版の意図や表現手法などの事前協議が十分でなかったことを認めた。

草薙さんは、崎浜被告に出版の企画を伝えず、原稿チェックも求めなかったことを証言。弁護側から「崎浜被告に相談すれば、出版できないと思ったのでは」と問われると、「そういう気持ちもある」とし、「崎浜先生が起訴され、責任を感じている」と述べた。弁護側は「筆を折ってください」と詰め寄ったが、「折りません」とした。

草薙さんは公判後、記者会見し、法廷で情報源を明らかにしたことについて「昨晩、弁護士と相談して決めた。ジャーナリズムに影響はあると思う」と話した。本が少年に与える影響には「来るべき時が来れば、少年の更生の手助けになる」とした。

崎浜被告も別の場所で記者会見し「情報源をなぜ今ごろ言うのか、わからない。自分に有利になるかは別の話だ。調書では、少年の真意が伝わらないと何度も言っていたはず」と話した。

高野嘉雄弁護士も「証言を拒否すれば証言拒否罪に問われる可能性がある。それを避けただけ」と批判した。

東京新聞より「草薙さん『鑑定医の無罪に協力』 調書漏えい事件 取材源証言で説明

奈良県の医師宅放火殺人の調書漏えい事件で、調書を引用した「僕はパパを殺すことに決めた」の著者でフリージャーナリスト草薙(くさなぎ)厚子さん(44)は十四日、奈良地裁での証言後、奈良市内で記者会見。一転して取材源を医師の長男(18)を鑑定した京都市の精神科医崎浜盛三(もりみつ)被告(51)=秘密漏示罪=だと明かしたことについて「調書を見せたのは正当な行為だという弁護側の無罪主張に協力するためだった」と説明した。

草薙さんはさらに「わたしは逮捕、起訴されても構わない。崎浜被告を自由にしたいとずっと考えていた」と主張。事件で情報提供者が萎縮(いしゅく)する恐れについては「取材しにくくなる可能性はあるが全員が萎縮するとは思わない」と話した。

父親の医師が昨年十二月、法廷で著書を「暴露本」と批判したことは「著書が長男の更生を妨げることはない。読めば自分の立場を客観的に認識できる」と反論。「著書で情報源が特定されたとは思っていない」との認識を示した。

草薙さんは同日午後、地裁で引き続きあった公判で「初めは広汎性発達障害についての本を書くつもりだった」と証言。出版元の講談社と話し合い、一般の人に読んでもらおうと引用スタイルに変更したと話した。

弁護側の尋問に、調書をカメラで接写したことは「メモを取るのと同じだと考えた」とし、コピーを禁じる約束もなかったと証言した。

秘密漏示罪は、正当な理由があれば違法性が阻却される。崎浜被告側は「長男に殺意がないことを伝える正当な目的があった」と無罪を主張している。

閉廷後、崎浜被告も記者会見。草薙さんの法廷での謝罪には「なぜ今ごろか。特に言うことはない」。執筆活動を続けるという草薙さんに「そこまでの決意があるなら立派な本を書いてほしい」と注文を付けた。

午後の法廷では崎浜被告の弁護士が「筆を折ってください」と厳しく詰め寄り、草薙さんが「折りません」と答える場面があった。

朝日新聞より「草薙氏、出版の意義強調/公判調書漏出

謝罪の一方、出版の意義や出版社の責任も強調――。

14日、奈良地裁(石川恭司裁判長)で開かれた、田原本町の医師宅放火殺人事件をめぐる供述調書漏出事件の第5回公判。調書を引用した本の著者でフリージャーナリストの草薙厚子氏(44)が初めて出廷、調書の入手先を秘密漏示罪に問われた鑑定医の崎浜盛三被告(51)と明言した上で本人に謝罪した。

一方、情報公開や少年の更生の観点から出版の意義を改めて強調、出版した講談社にも連帯責任があることを訴えた。次回は27日、同社の社内で本の出版に反対したとされる週刊現代の当時の編集長が証人として出廷する予定。

◆「申し訳ございません」「調書は秘密文書?」

11・00 上下とも黒のパンツスーツ姿で草薙氏が出廷。検察側の尋問が始まる直前、「情報源について一言、言いたいのですが」と発言。

石川裁判長が「許可しません」と制した。

「捜査資料は誰から入手したか」と質問され、「情報源をこのまま秘匿するのがいいのかと考えたが、明らかにした方が利益があると思う」と述べた上で、「情報源は崎浜先生です」と明言。被告席に座る崎浜医師に向かって、「申し訳ございません、ほんとに」と述べ一礼した。

草薙氏は、崎浜医師と京都市内の料理店で会うなどして、医師が持つ捜査資料を見せてもらうことを約束。
「コピーはダメ」と言われたが、メモする許可は得たという。

調書などを見た状況に触れ、「崎浜先生の自宅に講談社編集部の記者やカメラマン、編集者と一緒に行った。

>家の鍵は記者が預かり、先生は出勤していて家にいなかった」「私は鑑定書に興味があっただけで、記者らが調書などをデジタルカメラで接写した」とした。
「撮影の承諾を受けようと思わなかったか」と問われ、「自分で撮影していないから意識が薄かった」と釈明した。

出版前に崎浜医師に本を手渡したとし、少年が自ら書いた図などが使われた表紙などを見た時の反応から、「受け入れられたと感じた」とした。

引用理由を「編集者の意向があった。私は鑑定書に興味があった」「引用すれば読者に真実性を実感してもらえると思った」と述べた。

さらに「秘密文書とは思ってない。

公にしなければならない重大な事件だ」「少年審判は非公開だが、調書が公になるかならないかは議論されるべきだ。国民は知りたいと思っているし、伝えなければならない」と持論を展開。

「供述調書は秘密文書なのですか?」と検察側に逆に尋ねる場面もあった。

「少年の更生の妨げにならないか」と問われ、
「本を読むなど自分がしたことを認知しなければ反省は起こらない」とし、父親に対し「不満があれば直接、私や講談社に言って欲しい」と話した。

最後に、「プライバシーを害してないということか?」と聞かれ、「はい」と答えた。

12・10 休廷。

◆「記者がコピーしない約束」「筆は折りません」

13・30 弁護側の尋問で再開。取材理由を聞かれ、「少年は広汎性発達障害だと思った。

度重なる少年事件を見て、広汎性発達障害を世に広めることで事件防止につながると思った」と述べた。

調書の引用について、「講談社編集部の意向。

私は雇われている身というか、チームで(取材を)やっているから、チームの一員として見せてもらうことに従った」とした。

「本意ではなかったのか」と聞かれ、「関心があったのは鑑定書」と繰り返す一方、「情報はあった方がいいので、多くあることは不本意ではない」とも述べた。

コピーをしないなどの崎浜医師との「約束」については「講談社の記者がしたことで、私が言ったのではないから覚えていない」とした。

14・45 デジカメで撮影したことを、「『メモはしていい』とおっしゃっていたので、メモと撮影はイコールだと思った」と述べた。

「本の表紙に少年が書いた犯行計画が使われているが、あなたの言う『メモ』では再現できないでしょう」と指摘されると、「表紙について決定権はありません」とした。

出版について反省があるか聞かれ、「もっと慎重になるべきだった」としながらも、「(情報源が)特定できないと思った」とした。

責任を自覚しているか問われ、「はい」と肯定したが、「筆を折って下さい」と非難されても「折りません」と拒絶した。

◆崎浜医師「本の帯にあぜん」「約束したと認識」

再び検察側尋問。少年の家族のプライバシーに関する表現について「社会性があると思う」と反論。

「(少年院を)出所後、少年と父親が分かり合っていくと思わなかったのか」と聞かれ、「この事例は無理と思った」とした。

石川裁判長の質問に、捜査資料を10時間見ていたことや撮影個所をいくつか指示したことを明らかにしたが、崎浜医師が許可した「メモ」の範疇(はん・ちゅう)だったとした。

16・05 石川裁判長が弁護側が申請していた地検の小野寺明検事の証人申請を却下、閉廷した。

16・15 傍聴していた神戸市のフリージャーナリスト粟野仁雄さん(51)は「驚いたのは、崎浜医師に原稿のチェックを受けなかったこと。私なら間違いがないよう何度も相手に確認する」と首をかしげた。草薙氏の主張に対し、「著者として名前を出す以上、出版社任せの態度は無責任」と批判した。

16・30 崎浜医師が南都総合法律事務所で会見。草薙氏が、本を手渡した時の崎浜医師の反応から「受け入れられた」と証言したことについて、「本の帯を見てあぜんとし、言葉がなかった」と反論。
「約束」について、「されたものと認識している」と草薙氏の主張に反発した。

16・40 草薙氏が県文化会館で会見。「事実を語ることが崎浜先生の利益になると思った」「崎浜先生と目が合ってうなずいてくれた。今日初めて自分の考えが伝わったと思った」と語った。 17・50 地検の野島光博・次席検事は「草薙氏が取材源を明らかにしたことで崎浜医師の供述と一致し、立証は前進した」と評価した。
サンケイ新聞より「【奈良・供述調書漏洩】草薙さん「崎浜先生の利益に、と情報源を秘匿」

奈良地裁で14日開かれた医師宅放火殺人の供述調書漏洩事件の公判で、草薙厚子さんに対する尋問の主なやりとりは次の通り。

《草薙さんは上下黒のパンツスーツ姿。証人としての宣誓の際、宣誓書を持つ手が小刻みに震えていた》

検察官「『僕はパパを殺すことに決めた』を出版するにあたり、少年の供述調書を入手したのか」

草薙さん「はい。コピーを入手した」

検察官「だれから入手したのか」

草薙さん「今まで情報源を秘匿してきた。悩んだが、事実関係を明らかにすることが崎浜先生の利益になると考えた。情報源は崎浜先生です。(被告席を向いて)崎浜先生、申し訳ありません」

検察官「何のために秘匿しようとしたのか」

草薙さん「ひとつはジャーナリストとしての生命線だから。もうひとつは崎浜先生の真意が分からなかったから」

検察官「どこで見せてもらったのか」

草薙さん「崎浜先生の自宅。私のほかに週刊現代の記者、カメラマン、編集者と4人で訪ねた」

検察官「そのとき被告は自宅にいたか」

草薙さん「はい。その後出勤されたので、その間に捜査資料を見せてもらった。調書はカメラマンがカメラで接写した」

検察官「撮影するのはコピーと同じことだと思うが、承諾は得たのか」

草薙さん「メモしていいとは言われていた」

検察官「コピーしてはいけないと言われていたのではないか」

草薙さん「崎浜先生はコピーは電車に忘れたりするという話をしていたので、置き忘れないようにすればいいと思っていた」

検察官「捜査資料はプライバシー上、むやみに見せるものではないが」

草薙さん「調書は公文書と思っている。重大事件であれば国民に知らせるべきだ」

検察官「撮影の事後報告もしなかったのか」

草薙さん「私が撮影したわけではないので、そういう意識はなかった」

検察官「著書に調書を引用したのはなぜか」

草薙さん「編集部と、より事実に近いものを読者に提供するにはその方がいいという話になった」

検察官「結局、売り上げを伸ばすためではないのか」

草薙さん「編集者はそうかもしれないが、私はお金儲けのためにやっているわけではない」

検察官「被告には謝罪したが、長男に何か言いたいことは」

草薙さん「きちんと更生してほしい」

検察官「著書が更生を妨げるとは考えないか」

草薙さん「まったくない。更生のためには事実を知らなければならない」

検察官「父親には」

草薙さん「本の内容は非常に酷だとは思うが、父親の虐待がなければ事件は起きなかった。不満な点があれば告訴するのではなく、直接、講談社と私に言ってほしかった」

検察官「プライバシーを害したという意識は」

草薙さん「ない」

《昼の休廷をはさみ、午後からは弁護側が尋問》

弁護人「『情報源は命を差し出しても明らかにできない』と以前は述べていたが、その理由は」

草薙さん「ひとつはジャーナリストとしての使命…」

弁護人(発言をさえぎるように)「その使命の根拠は」

草薙さん「情報源として明らかにしてほしくない人もいるので、その意思を尊重するということ」

弁護人「その程度の認識なのか。公権力から表現の自由を守るために必要だからではないのか」

草薙さん「はい」

弁護人「では情報源の秘匿とは、積極的に明らかにしないということだけで足りるのか」

草薙さん「情報源が分からないように発表することも必要だと思う」

弁護人「著書の表紙には、少年の犯行計画書がそのまま使われている。これはメモをとっただけではあり得なかったことだが」

草薙さん「表紙やタイトルについて、決定権があるのは編集部だった」

弁護人「この本を出版したことについて反省していることはあるか」

草薙さん「もっと慎重になるべきだった」

弁護人「具体的に」

草薙さん「私は編集者ではないのでアイデアはない」

弁護人「あなたは著者ですよ。あなたの調書に『死んでおわびするしかない心境』とあるが、そう思った理由は」

草薙さん「崎浜先生に対し責任があると思ったから」

弁護人「被告個人に対してだけか。ジャーナリストに対しての責任は」

草薙さん「思った」

弁護人「命をくれとは言わないから、筆を折ってもらえないか」

草薙さん「折りません」

《午後4時過ぎに閉廷。27日の次回公判では被告人質問などが行われる》

追記

サンケイ新聞の福富正大記者が法廷でのやり取りの詳細を自身のブログ「にしてんま傍聴日記」にエントリーしていました。

1月 15, 2009 at 12:46 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

オバマ政権

日経新聞社説より「社説 オバマ大統領の登場を待つ世界と日本(1/15)」
朝日新聞社説より「米国の新外交―「力」から「賢さ」への転換」
サンケイ新聞より「ビンラーディンは一番の脅威 オバマ次期大統領」
サンケイ新聞社説より「【主張】ヒラリー外交 「日本重視」に積極対応を」
CNN.co.jp より「任期終了近いブッシュ大統領、最重要任務はテロ対策と」
AFP BB より「クリントン次期米国務長官、指名承認公聴会で「スマートパワー」を強調」
CNN.co.jp より「公的資金残りの拠出、オバマ氏が承認要請 拒否権発動示唆」
AFP BB より「「北朝鮮の核拡散には強い姿勢で臨む」、クリントン氏」

オバマ政権関係のニュースを集めました。

ブッシュ政権の評価とセットの記事がいくつかあります。

ブッシュ政権は理想主義

日経新聞社説には

ブッシュ政権を一時牛耳ったネオコン(新保守主義者)は、イデオロギー先行だった。

とあります。朝日新聞社説には

悪の枢軸や中東民主化といったスローガンを掲げて「力の論理」をむき出しにしたブッシュ外交

CNNにはブッシュ大統領のインタビューで

同時テロ後の自身の指導力について「わたしは国民に疲れや躊躇(ちゅうちょ)を見せないと述べたし、実際に見せたこともない」とコメントした。

といった記事を並べてみると、ブッシュ大統領は理想主義というか現実離れした指導者であったと評価しても良いかと思います。

オバマ政権はブッシュ政権の反動

ブッシュ政権では理想のために破滅に突き進んだようなところがあります。

有名なのはイラク侵攻の理由となった、フセイン政権が大量破壊兵器を保有しているというニセ情報で戦争を始めたことでしょう。
結果として、経済的にも国際的にもアメリカの国内政治に対しても深刻なダメージを与えたことになります。

また、野放図なアメリカの借金体質を加速したとも言えます。
わたしが驚いたのは、高額所得者の所得税をゼロにするという計画を進めようとしたことです。
もちろん、理屈としては民間で金を回すという原理ではありますが、実際には多額の資本を集中した場合に、全体が行方不明になったりする大きな危険があるわけで、動きは鈍くても国などに任せた方が安全だ、という現実があるわけで、理想主義というか小学生並みの発想ではないでしょうか?

これでは、オバマ政権は理想主義の逆の実利主義に動くのは当然というか、他に選択肢がないというべきでしょう。
わたしは、実利主義の一つとしてアメリカが内向きになると考えます。

アメリカは、第一次大戦でいわば世界デビューして以来、ベトナム戦争でひどい目にあっても「世界の警察官」を務めてきました。
今のアメリカは経済的にも大変で、オバマ政権の最優先課題が「経済再生」でしょうから、結果としてイラク・アフガン等から段階的な撤収になると思います。
また「悪の枢軸」のようなスローガンで動くことはできないでしょう。つまりは「外交的無関心」になっていくと考えます。

ヒラリー国務長官

だいぶ前に、大石英司氏が「アメリカの国務長官はプロの外交官の職だ」という記事を書いていて、なるほどねと感心しました。

なんで、ヒラリー氏を国務長官にしたのか?はよく考えるべきでしょう。
わたしには、民主党内のオバマ抵抗勢力を棚上げにすることを最優先にしたのではないか?と考えます。
ヒラリー国務長官が世界を飛び回って、裏側で話をまとめるといった図は想像しがたいのです。

これらをまとめますと、アメリカは基本的に孤立化に向かうのではないか?と思うのです。
それが日本にどういう影響を及ぼすか?を考えると、そもそも1945年以来60年以上もアメリカのペット(番犬にもなれない)を務めながら、経済成長した日本の今までが歴史的な例外と考えるべきでしょう。
「日本独立」のようなヘンなスローガンを掲げる必要はありませんが、より対等な国、さらには世界中の国々の独自性と協調性をしっかりと把握しつつ進めることになっていくのだと思うのです。

日経新聞社説より 社説 オバマ大統領の登場を待つ世界と日本(1/15)

ガザの惨状への悲しみやいらだちとともに2009年を迎えた世界は、20日に就任するオバマ米大統領を待つ。世界を包む閉塞(へいそく)感を打破してほしいとする期待がオバマ氏に寄せられる。

退任するブッシュ大統領の8年間は不運な時代として米国の歴史に残る。就任8カ月後に米同時テロが起き、世界は変わった。「テロとの戦い」を進めることは米国内でも国際社会からも支持されたが、その遂行の過程で多くのきしみも生んだ。

「古典的リアリスト」

結果的に不確かな根拠のまま、明確な国連安全保障理事会の決議もなく、イラクに攻め込んだ。反米感情が全世界に広がり、特に米欧関係は悪化した。皮肉にもいまイラク情勢は改善しつつあり、テロとの戦いを最初に始めたアフガニスタンでは出口の見えない状況が続く。

ブッシュ氏の名は経済史にも刻まれる。クリントン政権末期のITバブル崩壊を克服し、ブッシュ政権下で米経済は好況を続けたが、住宅バブルの崩壊で暗転した。任期切れ前に金融危機が深刻化し、米国発の危機が全世界を不況に陥れている。

オバマ氏を待つ米国と世界には寒風が吹く。だから選挙中に語られた「変革」と「そうだ。われわれはできる」の実行が待たれる。オバマ氏にとって政治的環境は悪くない。米国内だけでなく、世界中でオバマ氏の人気は極めて高い。米議会は上下両院とも民主党が多数を占めた。

新政権の最優先課題が経済であるのは論をまたないが、米国が世界最大の軍事力を持ち、安全保障分野でも最も重い責任を持つ現実もある。外交・安全保障政策でどのような優先順位を決め、それをどう具体化するか、世界的な関心事である。

この点からオバマ大統領の最初の外国訪問先が注目される。最も常識的なのは4月にロンドンで開く金融サミットである。政権の最重要課題が経済にあるとの表明になる。

安全保障面から世界システムを考えた場合に、オバマ大統領が最初に話す相手は、ロシアかもしれない。プーチン首相が指導力を誇るロシアは自己主張を強める。ロシアの前身ソ連との間で結んだ第一次戦略兵器削減条約(START1)は、ことし末に失効する。米、ロシアには真剣な交渉が求められる。

イラク戦争を批判し、アフガニスタンでの戦いを重視する選挙中の発言からすれば、アフガニスタン、パキスタンへの対応が外交・安保政策の最優先課題になる。最初の訪問先は両国となる。同盟国への支援要請も強めるだろう。

米民主党の外交・安保政策関係者は、オバマ氏の外交姿勢について「理想主義者ではなく、古典的リアリストだ」と評する。

ブッシュ政権を一時牛耳ったネオコン(新保守主義者)は、イデオロギー先行だった。民主主義という価値の実現を重視したが、そのためのコストを軽視した。古典的リアリストは価値を無視はしないが、実現のためのコストを重視してきた。

いわば実利主義だが、時に無原則なご都合主義にもなりうる。第二次大戦中にチャーチルは、ナチズム、ファシズムと戦うために共産主義のソ連と手を結んだ。冷戦時代の米国は、共産主義と戦うために途上国の独裁者たちと深い関係を持った。

1979年のソ連の侵攻からほぼ10年間にわたりアフガニスタンで続いたのも、米ソ冷戦に伴う戦争だった。だから冷戦が終わると、国際社会は、この国への関心を失った。

北朝鮮政策の転換必要

リアリスト的思考からすれば当然だった。が、このためにアフガニスタンはテロリストの温床となり、米同時テロにもつながった。オバマ政権は、この国にどう対応するか。手を引けば歴史の繰り返しだ。公約通りに軍事行動を続ければ泥沼に陥る危険もはらむ。ジレンマである。

実利的理由からオバマ政権が中国に傾斜する可能性もある。民主党の政策綱領にあるアジアにおける多国間の安全保障機構構想は、日米同盟を相対化する恐れがある。

イラン、中東などオバマ政権の政策が注目される地域は多い。日本から特に求めたいのは、ブッシュ政権後期の融和的な北朝鮮政策の転換であり、関係者の一掃である。

ライス国務長官、ヒル国務次官補らによる融和政策は北朝鮮を信頼できるとする幻想を前提とした。非核化に向けた検証措置をめぐる文書も作れず、失敗に終わった。日米同盟には不信感が残る。

オバマ氏がリアリストなら、幻想を前提にして失敗した交渉を繰り返せないはずである。

だからこそ米国の新政権発足後、時間をおかずに日米首脳会談が開かれるのが望ましいが、麻生政権は外交に目を向ける余裕があまりない状況にみえる。同盟強化への条件を欠く日本の内政の現実が痛い。

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朝日新聞社説より 米国の新外交―「力」から「賢さ」への転換

米国の新外交―「力」から「賢さ」への転換

「米国だけでは難題を解決できないし、世界も米国抜きでは解決できない」。オバマ米次期政権の国務長官に指名されたヒラリー・クリントン上院議員が、こんな表現で国際協調主義を語った。

経済危機への対応もそうだが、オバマ氏は正式就任と同時にさまざまな課題にすぐ取りかかれるよう体制づくりを急いでいる。クリントン氏も上院外交委員会の公聴会に臨み、新政権の外交の基本姿勢を述べた。

米国が直面するのは、イラクとアフガニスタンでの戦争、テロや大量破壊兵器の脅威だけではない。クリントン氏は、地球温暖化や感染症の拡大、途上国の貧困なども列挙した。こうした課題に対応するため、米国は軍事力だけでなく、経済・文化のソフトパワーも組み合わせる「スマート(賢明な)パワー」の外交を目指すという。

悪の枢軸や中東民主化といったスローガンを掲げて「力の論理」をむき出しにしたブッシュ外交からの決別宣言である。

仲間を増やし、敵を少なくして目的を果たそうという戦略だ。国連をもっと活用する。オバマ氏が国連大使を閣僚級に格上げしたのもその表れだ。単独行動主義からの脱却を歓迎したい。

具体的には、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や、地球温暖化防止のためのポスト京都議定書の交渉促進を約束した。

選挙戦では、クリントン氏は外交の経験がないオバマ氏を「ナイーブ」などと攻撃していた。だが、公聴会では、核開発を進めるイランとの直接対話を探る姿勢も見せるなど、オバマ外交の推進役となる決意を示した。

圧倒的な知名度を持つクリントン氏である。国際舞台では、米外交の「顔」として注目を集めるに違いない。

その最初の試金石は、中東和平だ。すでに「パレスチナ自治区ガザの惨状にオバマ氏はなぜ声をあげないのか」という不満の声が、イスラム諸国を中心に出ている。侵攻を拡大するイスラエルに圧力をかけ、停戦を実現するには米国が一日も早く公正な仲介者としての立場を取り戻さねばならない。

アジア政策で急を要するのは北朝鮮の核問題だ。6カ国協議の枠組みを継続しつつ、場合によっては重油支援中断で圧力をかける構えも見せた。硬軟両様で臨むということだろう。

日米同盟を「アジア太平洋の平和と安定の礎石」と位置づけ、中国には「国際社会の全面的で責任ある参加者」になるよう呼びかけた。

新政権が日本重視か、中国傾斜かという、ありがちな議論には意味がない。この地域、そしてグローバルな課題に日米基軸で中国をどう巻き込み、協力していくか。その構想を持ってこそ健全な同盟関係が築かれる。

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サンケイ新聞より ビンラーディンは一番の脅威 オバマ次期大統領

【ワシントン=有元隆志】
オバマ次期米大統領は14日、国際テロ組織アルカーイダの指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者とされる人物の音声声明が流れたことについて、「ビンラーディン容疑者とアルカーイダは米国の安全にとって一番の脅威だ」と述べ、政権発足後はアルカーイダが再び米国を攻撃できないように「あらゆる手段を講じる」と強調した。

オバマ氏は同容疑者拘束のため、アフガニスタンだけでなくパキスタンとも協力していく方針を示した。

チェイニー副大統領は14日の公共放送(PBS)番組で、「彼は深い穴にいる。もはや(アルカーイダの)組織に大きな影響を与えない」と指摘した。

マコーマック国務省報道官も14日の記者会見で、「自分以外のすべてを批判しているのは、ビンラーディン容疑者が孤立していることを示している」と語った。ただ、同報道官は引き続きアルカーイダの動向を警戒する必要があるとの認識を示した。

米中央情報局(CIA)は同容疑者がアフガニスタンと国境を接するパキスタン北西部の部族地域に潜伏しているとみている。ヘイデンCIA長官は昨年11月の講演で、同容疑者が「生きるために大変な労力を費やし、アルカーイダの日常活動からは離れているようだ」との見方を示した。

ビンラーディン容疑者のものとみられる音声声明はウェブサイト上で流れ、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ攻撃に対する「聖戦」を呼びかけた。

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サンケイ新聞社説より 【主張】ヒラリー外交 「日本重視」に積極対応を

次期米国務長官に指名されたヒラリー・クリントン上院議員が上院外交委員会の承認公聴会で証言し、外交、軍事、経済力や文化的影響力を駆使した「スマートパワー」で米外交の指導力を再生する決意を表明した。

クリントン氏の証言は、オバマ次期政権の外交を担う「ヒラリー外交」の実質デビューといっていい。「米単独では緊急課題を解決できないが、世界も米国抜きでは解決できない」とオバマ氏の公約でもある国際協調路線を強調し、軍事力を「最後の手段」としつつ米国の力を賢明(スマート)に組み合わせて取り組むという。

テロとの戦いに没頭せざるを得なかったブッシュ政権とは一線を画し、国際機関の活用や気候変動にも目配りする。イラク、アフガニスタン、パキスタン、イランなど中東周辺の利害は複雑に入り組み、全体を見すえた「包括的解決が必要」とも訴えた。そうした構想と氏の意欲は伝わった。それが「強く、信頼されるアメリカ」の再生につながるのなら、期待をこめて注目していきたい。

ただし、今後はスマートな公約よりも実際の外交が問われる。例えばクリントン氏は選挙戦で独裁政権との直接対話を掲げたオバマ氏を「未熟」と批判したが、公聴会では北朝鮮やイランとの直接外交を否定しなかった。昨年末、空中分解した6カ国協議が示すように、北朝鮮やイランの問題は一筋縄ではいかず、「話せばわかる」相手でもない。厳しい現実に立って、「対話と圧力」の適切なバランスを注文したい。もちろん、拉致問題も忘れては困る。

クリントン氏は日米同盟を「アジアの平和と繁栄の要石で、共通の価値と利益に基づく」と、同盟重視路線が変わらないことを強調した。選挙戦で「米中関係が最重要」と発言して懸念を招いたこともあるが、公聴会では「米中関係は中国次第」と中国に責任ある行動を求める姿勢を示唆した。

激動が続くアジアで、日本にとっても同盟の強化と発展が生命線に等しいことはいうまでもない。オバマ政権では、ブッシュ時代の「甘え」が通用しないドライな関係が予想される。アフガニスタンやソマリア沖の海賊対策などで、より具体的な貢献が求められるだろう。これにどう応えるのか。米国に注文するだけでなく、信頼される同盟国として日本も積極的に行動する外交が不可欠だ。

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CNN.co.jp より 任期終了近いブッシュ大統領、最重要任務はテロ対策と

(CNN)
任期終了が1週間後に迫ったブッシュ米大統領は13日、ローラ夫人とともにCNN「ラリー・キング・ライブ」の単独インタビューに応じた。大統領は、自身の最重要任務が新たな対米テロの防止だったと述べ、この点はオバマ次期大統領にとっても同じだろうの認識を示した。

ブッシュ大統領は2001年9月11日の同時多発テロ以来、米政権が具体的なテロの脅威を阻止するとともに、国際テロ組織アルカイダに関する新情報を多数入手し、幹部の掃討を実施していると述べた。大統領は詳細への言及を避けながら、同時テロ後の自身の指導力について「わたしは国民に疲れや躊躇(ちゅうちょ)を見せないと述べたし、実際に見せたこともない」とコメントした。

一方、景気後退について、大統領はオバマ氏に「経済予報士」にならないよう促した。今後1年間悪いとする同氏の経済見通しについて意見を求められた大統領は、景気回復に向けて必要な対策を実施すると発言した方が良い、と助言した。

大統領は「米国の歴史的瞬間」だとして、オバマ氏の大統領就任式を楽しみにしている。ローラ夫人は、夫に対するオバマ氏の批判の一部を、個人攻撃と受け取ったことがあったと冗談めかして語った。大統領は「大きな決断や苦渋の選択をすれば批判される。任期中には政界のくだらない中傷に失望した時もあったが、わたしは大統領の地位を中傷の水準に引き下げないようベストを尽くした」と胸を張った。

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AFP BB より クリントン次期米国務長官、指名承認公聴会で「スマートパワー」を強調

【1月14日 AFP】
バラク・オバマ次期米大統領によって国務長官に指名された、ヒラリー・クリントン上院議員は13日、米上院外交委員会の指名承認公聴会に出席した。ヒラリー氏は、オバマ政権の下で、軍事力と外交を織り交ぜた「スマートパワー」を活用していくことを約束するとともに、世界における米国の指導力の欠如を改めていくと語った。

クリントン氏は公聴会で、米国は中東和平の実現をあきらめることはできないとしたほか、世界の問題は米国だけでは解決できないと語った。また、北朝鮮問題については、北朝鮮が関与しているとされる核技術の拡散を阻止するという目的を達成するために、オバマ政権は「非常に精力的な取り組み」を行っていくとの姿勢を示した。

また、オバマ氏の公約に沿う形で、クリントン氏は、オバマ政権が欧州やインド、日本、韓国などの従来からの同盟国との関係を強化するとともに、新たな同盟の構築や米国の敵を減らしていく方向に向かうだろうとの見通しを示した。さらに、大統領選挙中は中国の貿易政策を厳しく批判していたクリントン氏は、米中関係には中国政府の国内外での動向が大きく影響すると強調した。

まもなく「昔の同僚」となる上院議員たちから大きな歓迎を受けたクリントン氏は、オバマ政権の外交政策を公聴会で示し、数日後には上院によって正式に国務長官就任が承認されるものとみられている。(c)AFP

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CNN.co.jp より 公的資金残りの拠出、オバマ氏が承認要請 拒否権発動示唆

(CNN) オバマ次期米大統領は13日、緊急経済安定化法に基く公的資金7000億ドル(約63兆円)の残り半分、3500億ドル(約31兆5000億円)の拠出を認めるよう、民主党上院議員らの説得を試みた。仮に米議会が拠出を認めない決議が採択された場合、オバマ氏は大統領拒否権を発動する可能性を警告したという。同氏との会合に出席した上院議員らが語った。

オバマ氏は12日、ブッシュ大統領を通じて、残り半分の拠出の承認を議会に要請。13日には民主党上院議員団に公的資金の運用計画を説明し、景気刺激策への支持を求めた。オバマ氏はまた、同法に懐疑的な向きが多い議員らの質問15個に回答し、公的資金の拠出プロセスをより透明化するとあらためて約束した。

会合に出席したネブラスカ州選出のベン・ネルソン上院議員は、オバマ氏が景気刺激策を進めたい考えであることを理解したうえで、同州の有権者が最初の公的資金拠出に反対していた点を考慮し、早急な判断を避ける意向を表明した。

最初に拠出された公的資金の運用については、共和・民主両党が反発を表明。民主党議員の一部からは、住宅差し押さえ対策が不十分との指摘があった。オバマ氏は上院議員団に対し、就任早々の拒否権発動を望んでいない点を明確にしたうえで、選択肢はないと主張したという。上院銀行委員会の委員長を務めるクリス・ドッド上院議員は、公的資金拠出を認めない決議が採択され、オバマ氏が早くも拒否権を発動せざるを得なくなる事態は良い政局ではないと、民主党議員らに呼び掛けた。

オバマ氏との会合後、上院議員の一部は以前より納得できたとコメント。しかし残りの議員はまだ多数の疑問点があるとして、慎重姿勢を示している。

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AFP BB より 「北朝鮮の核拡散には強い姿勢で臨む」、クリントン氏」」

【1月14日 AFP】
バラク・オバマ政権の国務長官に指名されたヒラリー・クリントンは13日、米上院外交委員会の指名承認公聴会で北朝鮮の核兵器拡散に強い姿勢で臨むと証言した。

かつて北朝鮮の核兵器技術がシリアに、核のノウハウがリビアに流出した疑いがあると述べたこともあるクリントン氏は、「我々の目標は北朝鮮の核プログラムを、プルトニウム再処理と高濃縮ウランの両方とも終わらせることだ。何が実行可能かを見極めるには、現実に即した強硬な外交が必要だと考えている」と述べた。

クリントン氏は、オバマ政権は6か国協議を支持し、米国とアジアの同盟国との関係強化に取り組むと述べた。

一方、北朝鮮外務省は13日、米国が北朝鮮敵視政策を止めない限り、北朝鮮は核兵器を手放さないとの談話を出した。(c)AFP/Lachlan Carmichael

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1月 15, 2009 at 11:45 午前 海外の政治・軍事 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.01.14

新たなホームオブハート裁判が始まった

昨日(2009/01/13)ホームオブハート裁判の新たな提訴に基づく第一回の法廷が開かれました。

ホームオブハーと事件が報道されたのは、2004年の春で複数の裁判が次々と起きていて、地裁の判決が出たのは一つだけで、その事件も控訴審の最終段階にようやく到着した、という状態です。

ホームオブハート事件は、自己啓発セミナーの主催会社ホームオブハートの会員であった人たちが、金銭被害の損害賠償請求をしている裁判と、2004年に「元 X-Japan の Toshi が児童虐待・・・」と大々的にテレビに報道された前後での動きについて、双方が互いに名誉毀損裁判を提起したもの(これは反訴の扱いで合同)の二種類が今まで、続いてきました。

裁判の予定は、HTP最新情報に掲示されています。その他、ホームオブハートが日本テレビを提訴している裁判も進行中です。宗教&カルト・ウォッチ

今回新たに始まった裁判は、これらの裁判とは異質なものです。

原告は、2004年春に児童相談所がホームオブハートから「保護」した子どもたちとその親で、紀藤弁護士・山口弁護士その他、金銭被害の裁判の原告(元会員)など4名を相手に、損害賠償請求訴訟を起こしました。

普通に考えると、訴えることが出来る内容ではない、と考えます。

児童相談所の一時保護とは児童福祉法・第11条「都道府県の義務」と第12条「児童相談所」によって定められています。

第11条〔都道府県の義務〕

都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

  • 一 前条第一項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。
  • 二 児童及び妊産婦の福祉に関し、主として次に掲げる業務を行うこと。
    • イ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
    • ロ 児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずること。
    • ハ 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと。
    • ニ 児童及びその保護者につき、ハの調査又は判定に基づいて必要な指導を行うこと。
    • ホ 児童の一時保護を行うこと。
      • ②都道府県知事は、市町村の前条第一項各号に掲げる業務の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。
      • ③都道府県知事は、第一項又は前項の規定による都道府県の事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。

第12条〔児童相談所〕

都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。

  • ②児童相談所は、児童の福祉に関し、主として前条第一項第一号に掲げる業務及び同項第二号ロからホまでに掲げる業務並びに障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第二十二条第二項及び第三項並びに第二十六条第一項に規定する業務を行うものとする。
  • ③児童相談所は、必要に応じ、巡回して、前項に規定する業務(前条第一項第二号ホに掲げる業務を除く。)を行うことができる。
  • ④児童相談所長は、その管轄区域内の社会福祉法に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)の長(以下「福祉事務所長」という。)に必要な調査を委嘱することができる。

児童相談所による一時保護は法律上の児童相談所の義務であり、平たく言えば警察が犯罪を捜査するというほどの意味でしょう。
社会常識として、児童相談所に「児童福祉法の一時保護の対象になる児童が居ます」と通告することは、市民の義務と言えるでしょう。

もちろん、通告しても児童相談所が実際に保護するのかどうかは、児童相談所が判断することです。
通告したが児童相談所は保護の必要がないと判定した、のだから不当な通告である、として通告者に賠償請求を求める、という裁判はありうると思いますが、今回は児童相談所は一時保護を実施しています。これに対して賠償請求を通告者に出来るモノか?という点をわたしは大いに問題にします。

先に警察に通報するのと同じだろう、と述べていますが、裁判所でも同じですよね。
裁判を提訴したことに対して新たな裁判を起こす、ということは原則として許されません。そんな事をやったら、無限に裁判の数が増えてしまう。

また、AとBの二者が児童相談所や警察、裁判所に通告などをする時に、Aは通告することを許されて、Bは許されない、という片寄りがあってはならないのも自明のことであって、児童相談所、警察、裁判所といったこところは「中立である」と決まっているわけです。

ホームオブハート側が「児童相談所に通告したから民事訴訟を通告者に起こす」というのは、この「偏ってはならない」に完全に反しています。
児童相談所の一時保護が不当だというのであれば、児童相談所(行政)を訴えるべきなのは明白ですから、これを訴えないことは、児童相談所が保護したこと自体は正当な行為と認めているのでしょう。

今回の裁判の被告(紀藤弁護士以下)には「児童相談所に通告することを許されない」という論理においてのみ、この提訴は成り立つわけです。

たまたま、児童相談所であるわけですが、

中立であるべき警察や裁判所に通報したり提訴することに対して、
片寄り(差別)があるべきだ、という恐るべき論理の提訴

であるように思えるのです。
今後とも、この裁判には注目するつもりです。

1月 14, 2009 at 01:33 午前 裁判傍聴 | | コメント (5) | トラックバック (0)