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2009.07.18

日弁連主催消費者庁シンポジウム

昨日(2009年7月17日)は、日本弁護士連合会主催「シンポジウム動き出す消費者庁と消費者委員会 -消費者のための制度に育てよう-」に参加してきました。

2009年5月29日に消費者庁関連3法(「消費者庁及び消費者委員会設置法」、「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」及び「消費者安全法」)が成立しました。

これまでの産業育成の行政から消費者・生活者のための行政に大きく転換するため、その司令塔としての消費者庁と監視機関としての消費者委員会が今秋にも発足する見込みです。

そこで、消費者庁と消費者委員会とはどういう組織で、どんな権限があるのか、消費者安全法によって何ができるようになるのかなど制度の概要、地方消費者行政の支援策の現状と課題などの論点について、パネルディスカッション等によりご紹介する予定です。

多くの方のご参加をお待ちしています。

開会挨拶日弁連会長宮崎誠 
パネルディスカッション司会鈴木裕美・瀬戸和宏
 パネリスト内閣府大臣官房消費者庁・消費者委員会
設立準備室参事官
川口康裕
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
本部長代行
中村雅人
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
事務局長
石戸谷豊
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
副本部長
池本誠司
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
事務局次長
山本雄大
 パネリスト日弁連消費者行政一元化推進本部
委員
二之宮義人
閉会挨拶日弁連副会長藤本明 

要するに、日弁連の消費者庁問題の担当者が総出でパネルディスカッションと称することをやったのですが、少なくとも「ディスカッション」は全くありませんでした。

司会者が、進行次第に書かれている問題点をパネリストを指名して、その人が「資料の何ページに説明があります」と読み上げるだけ、といったものでした。
同じ問題について、複数のパネリストが意見を言うこともないし、もちろん議論もない。
会場との質疑応答もない。

その一方で、消費市庁設置に関する問題点は色々あって、疑問も多々あるのですが、紀藤弁護士は次のように意見を述べています

今週金曜日に日弁連のシンポジウムがあります。

消費者庁の長官人事や消費者委員会の委員長人事を、前者を官僚人事、後者を消費者問題に詳しくない元検察官の住田裕子弁護士とするなど、最低の人事が政府から発表されています。

後者の人事も、消費者問題に精通していないという問題だけではなく、実質民間からの登用ではなく、元検察官からの登用という「天下り」類似のもので、二重に問題です。

これでは官僚の焼けぶとりという民主党や国民の批判に答えられません。、

消費者庁設置までの自民党の動きは、本当に感謝に堪えないものがありましたが、今回、このような人事が発表されること自体が、自民党政権(あるいは旧路線の議員)の限界かもしれません。あるいは、いつから変節したのでしょうか?

消費者庁設置にからみ、民主党は、一貫して官僚政治打破を叫んでしました。消費者庁も消費者委員会も、消費者問題に長年携わってきた民間人からの登用を一貫して主張してきたのは、民主党でした。当初は野田大臣も同意見でした。

正念場です。いろいろ言いたいこともあるので、紀藤も出席します。

参加無料です。皆さんもぜひご参加いだだき、どしどし意見を出していただければ幸いです。

配られた資料はなかなかのもので、これだけでも十分価値はあるのですが、その最後に人事の名簿があってその中に、住田裕子という名前を見つけて「はあ~?」と言ってしまいました。

参加者は200人は越えていたと思いますが、会場からの質問の時間はなく、パネリストの議論もなく、これでは「ディスカッションではないだろ」と思っていたら、壇上ではなくフロアーに居た(フロアーで参加していた)宇都宮健児弁護士が指名されて発言しましたが、けっこう厳しく現状を非難していて、結果として会場からは多くの拍手を受けていました。

どんな事情があるのか分かりませんが、日弁連主催のガス抜きといった印象で、何か非常にうさんくさい感じを受けました。

法律関係のシンポジウムはいつも興味深い説明があるのですが、今回はまったく面白くないもので、こんなのは初めてです。

7月 18, 2009 at 12:46 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.07.16

シンドラーエレベーター起訴

落合洋司弁護士のブログにあった記事です。

共同通信ニュースより「シンドラー側、16日起訴 東京・港区のエレベーター事故

東京都港区のマンションで2006年、都立高2年(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、東京地検は15日、業務上過失致死罪で製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)と、事故当時に保守点検を担当していた「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)の幹部ら数人を16日に在宅起訴する方針を固めた。

地検は、シンドラー社側が事故前の点検で確認した不具合情報を開示しなかった点などを重視。重大な事故を招く恐れを予見できたのに、十分な安全対策を怠ったと判断した。

構造上の欠陥が見つからないまま事故から丸3年がたち、世界第2位の昇降機メーカー側の刑事責任も問われる異例の展開となった。

捜査関係者によると、現場のマンションは1998年4月に完成、シンドラー社が05年4月まで保守点検を担当した。

04年に停止階と、かごとの間に段差が生じるなどのトラブルがあり、ブレーキの異常だったことを把握したが、保守点検を引き継いだ業者に伝えなかった。

エス社は06年4月から保守点検を請け負ったが、事前に点検方法やエレベーターの構造などを十分に把握せず、ブレーキ異常を見落としたとされる。

落合弁護士は

今年3月の事件送致の際に、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090330#1238373852

とコメントしましたが、特殊業過の否認事件にしては、かなり迅速に処分が決まったという印象を受けます。特にシンドラー社の刑事責任については、難しさを感じますが、東京地検は難しく考えず単純明快に割り切ってしまっているのかもしれません。

しかし、そういった単純明快な割り切りで起訴されたとしても、公判でも単純明快に割り切ってもらえるかどうかは何とも言えないでしょう。

最近の判例で、薬害エイズ事件における厚生労働省の課長の不作為に業務上過失が認定されたケースがありますが、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080305#1204674857

有罪認定の根拠として、

1 単なる予見可能性

だけでなく、

2 危険性の認識が関係者に共有されておらず、医師や患者がHIVに汚染されたものか見分けて感染を防ぐことも期待できなかったこと

3 国が明確な方針を示さず、取り扱いを製薬会社に委ねれば、安易な販売や使用が現実となる具体的な危険があったこと

が挙げられていて、不作為というものが、安易な過失競合論により、過度に広範囲に過失に取り込まれてしまうことを防止しようという姿勢も見て取れます。

同様の問題は、最近、JR西日本の社長が起訴された福知山脱線事故にもあって、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090709#1247099049

東と西で、過失犯の刑事責任をどう考えるかについて今後に大きく影響しそうな事件が、奇しくも同時期に起訴された、という見方もできそうです。

となかなか難しい問題があると指摘されています。

そもそも、この事故は電磁ブレーキのパッドが常時接触していたために、すり減ってしまってブレーキの電源がオフの時にもブレーキがメカニカル利かなくなっていて、重りに引っ張られたカゴが上昇して、高校生が挟まれて死亡した、というものです。

電磁ブレーキは、ブレーキ解放の時には通電が必要で、電源断でブレーキが掛かる仕組みです。

つまり、通電しているときにブレーキが充分に解放せず、接触していたからパッドが摩耗してしまった。

これには、設計上で安全性が十分ではない、という印象は強く受けます。

ブレーキが充分に解放されていないことは、スイッチ一つで分かることで、いわゆる動作確認信号を取っていなかった、としか思えません。

しかし、定期的に点検していることを考えると、設計上の欠陥かどうかは争いが生じるでしょう。

メンテナンス会社がなぜこのような状況を見逃したのか?が問題になるわけですが、このメンテナンス会社はたしか数年で3社目なんですよね。

  • 現場のマンションは1998年4月に完成、シンドラー社が05年4月まで保守点検を担当
  • エス社は06年4月から保守点検を請け負った

この部分で分かる通り、05年度は別の会社がメンテナンスを請け負っています。
なぜこのような事になったのか。

問題の建物は、港区の管理の物件でメンテナンス会社を毎年度入札で決めていた。
だから04年、05年、06年でメンテナンス会社が3社出てくるわけです。
もちろん入札だからどんどんと安くなって行った。普通に考えると「安かろう悪かろう」の面はあるわけで、それは港区は分かっていて決定したはずです。

こう考えると、シンドラー社はメンテナンスに関する予見性については、下手するとメンテナンス会社自体を知らない可能性すらありますよ。

港区がメンテナンス会社を入札で決めたときに、メーカーであるシンドラー社に拒否権があったとは思えない、というよりも港区がシンドラー社に「メンテナンス会社をここにしました」と連絡したは思えない。

そうなると、シンドラー社から見ると「ユーザの港区が勝手に使って事故を引き起こした」としかならないのではないか?

自動車メーカは、車検点検などを通じて、勝手に整備することを許していないから、エンドユーザにまで整備についての責任を負っていますが、エレベーターについてそういうことが言えるのだろうか?

事故の予見性については、シンドラー社よりも港区が負うべき部分が多いと考えています。

7月 16, 2009 at 11:47 午前 事故と社会 | | コメント (0) | トラックバック (0)

関西空港の着陸料

読売新聞より「関空着陸料を半額に 集客イベント廃止で充当

路線撤退が相次ぐ関西空港に新たな国際路線を誘致するため、自治体や経済界でつくる関空全体構想促進協議会(促進協、会長=下妻博・関西経済連合会会長)は、関西空港会社と共同で、欧米への長距離路線を中心に、新規就航から3年間、関空の着陸料を半額に抑える方針を決めた。
16日の総会で正式決定する。

効果的な路線誘致策を求める大阪府の橋下徹知事の意向を受け、促進協は集客イベントなどを廃止し、着陸料軽減に充てる。世界不況に苦しむ航空会社は「関空の着陸料は世界一高いと言われており、半額になればインパクトは大きい」としており、効果が期待される。

促進協は関西の9府県と4政令市、経済界が年計5億7000万円の負担金を拠出し、運営している。

橋下知事は昨年6月、促進協の集客イベントやテレビCMなど関空利用キャンペーンの効果を疑問視し、事業の見直しを表明。
促進協が路線撤退の歯止め策を検討していた。

促進協は現在、新規国際路線すべてについて、1年目は着陸料の20%、2年目は10%の奨励金を支給し、航空会社の負担を軽減している。

今後は、長距離路線中心に対象期間を3年間に延長して支給額を毎年20%にアップし、合わせて関空会社も着陸料を30%割り引き、実質的に半額に抑える誘致策を追加するという。

また、新型インフルエンザの影響で旅客が減少した路線については、今冬以降の運航継続を条件とした助成を検討している。

1兆円超の有利子負債を抱える関空会社は利息の返済がかさみ、収入の柱となる着陸料が割高になっているとされる。

ボーイング777型機の場合、1回の着陸料は約58万円で、成田、中部両空港の1・3倍、韓国・仁川空港の2・6倍に上り、最近もロサンゼルス便やデトロイト便、ロンドン便などが撤退、「関空離れ」を引き起こしている。

何でこの程度のことが、知事が号令しないと動かないのでしょうかね?

結局は、関西空港会社が役所ばかりを見ていて市場見ていないということでしょう。
こういうのを武家の商法と言って昔から失敗するものと相場が決まっているわけです。

不思議なのは、

促進協は現在、新規国際路線すべてについて、1年目は着陸料の20%、2年目は10%の奨励金を支給し、航空会社の負担を軽減している。

の部分で、なんで着陸料そのものを引き下げないで、補てんするようなことを続けているのでしょうか?
「世界一高い着陸料」ではやっていけないことは、明らかで着陸料を引き下げるしか無いでしょう。
補てんするのは「今は補てんせざる得ない」という臨時的な措置のはずですが、将来は世界一の着陸料が世界一でなくなるのか?と考えてみると、中国が大幅に伸びた場合はダントツの世界一高い着陸料となっていくでしょうね。

結局のところお役人が「自分の時代だけなんとか乗り切って、後は知らない」とやってきたことを現れ以外の何ものでもない、と思います。

考えようによっては、空港なんてのは距離の問題だけであって、他にも沢山あるのだから、やっていけない空港が倒産するのもアリだと思うのです。

7月 16, 2009 at 09:07 午前 経済・経営 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.07.15

無責任な、内閣と国会

朝日新聞より「国会、事実上閉幕 17法案は廃案へ

首相問責決議の可決を受け、野党が今後、衆参両院で審議に応じないため、国会は28日の会期末を待たずに事実上閉幕した。

北朝鮮制裁のための貨物検査特別措置法案や国家公務員の幹部人事を一元化するための公務員制度改革関連法案など、政府提出の17法案(前国会からの継続案件も含む)が廃案になることが確実になった。

問責決議は賛成132票、反対106票で可決された。
民主、共産、社民の野党各党のほか、無所属の田中直紀氏ら3人が賛成した。

内閣不信任決議案は賛成139票、反対333票で否決された。

貨物検査特措法案は14日、野党欠席のまま、衆院海賊テロ特別委員会と衆院本会議でそれぞれ可決され、参院に送られたが、21日にも衆院が解散されると廃案となる。

審議入りが6月下旬にずれ込んだ公務員制度改革関連法案は、衆院で本格審議に入らないまま廃案となる。

日雇い派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案や、原則1割の自己負担を見直す障害者自立支援法改正案など、国民生活にかかわる法案のいくつかも廃案になる。

政府提出法案だけではなく、与党と民主党との間で修正協議が進んでいた児童買春ポルノ禁止法改正案などの議員立法も廃案になる。

ただ、政府が今国会に提出した法案の成立数は69本中62本で、成立率は89.9%。
衆院解散を控え、野党が修正協議に応じるなど協力姿勢を示したことから、「ねじれ国会」以前の水準(90%台)にほぼ回復した。

■廃案となる政府提出17法案

  1. 組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪創設法案)
  2. 被用者年金一元化法案
  3. 地方公務員法地方独立行政法人法改正案
  4. 独立行政法人統計センター法改正案
  5. 行政不服審査法案
  6. 行政不服審査法施行関係法整備法案
  7. 行政手続法改正案
  8. 独立行政法人通則法改正案
  9. 独立行政法人通則法施行関係法整備法案
  10. 労働者派遣法改正案
  11. 独立行政法人気象研究所法案
  12. 成田国際空港株式会社法改正案
  13. 確定拠出年金法改正案
  14. 公務員制度改革関連法案
  15. 障害者自立支援法改正案
  16. 小規模企業共済法改正案
  17. 貨物検査特別措置法案

分かりにくい記事ですが、政府提出の17法案が廃案になりそうだ、ということです。
だから、議員立法法案である児童ポルノ児童買春禁止法改正案は17法案とはべつに廃案になる法律案だとなります。

青字にした組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪創設法案)、労働者派遣法改正案 、貨物検査特別措置法案には注目していたのですが、このままだと廃案になりますね。

読売新聞社説、サンケイ新聞社説が指摘しているように、「民主党の衆参両院で全面的な審議拒否」は強く非難されるべきだと考えます。

一方では、時間切れというルールがあるわけですが、そのルールが有効であるためには、前提として「期限一杯まで通常通りに審議の場で争う」があるはずです。

これは自動車のラリー選手権などでも「時間調整をしやがって」と非難されるくらいの行為で、麻生首相が気に入らないというのなら、三権独立の観点からもドンドン国会審議を進めるのが公開議員の責務でありましょう。

全面審議拒否なんてバカなことを言い出すのは、
国会議員を辞職してから言え!

読売新聞社説より「問責決議可決 民主党は貨物法案を葬るのか

野党4党が衆院に提出した内閣不信任決議案は否決されたものの、麻生首相問責決議案は参院で可決された。

野党は、自らが問責した首相の下では国会審議に応じられないとして、衆参両院で全面的な審議拒否に入った。

このままの状況が続けば、21日にも予定される衆院解散で、北朝鮮貨物検査特別措置法案など政府提出の17法案は廃案になる。児童ポルノ禁止法改正案のように、与党と民主党が法案修正で合意目前だった議員立法も同様だ。

民主党は、貨物検査法案をこのまま廃案にしてよいと思っているのだろうか。法案が成立しないと、北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査や禁輸品の押収を、海上保安庁や税関が実施できない状態が続くことになる。

これらの措置は、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議に基づくものだ。

民主党の鳩山代表は記者会見で、法案の早期成立を是認する意向を示していた。民主党が掲げる国連中心主義にも合致する。法案に賛成するのが筋だろう。

民主党内には、法案が海上自衛隊の派遣も可能にしているため、旧社会党系議員を中心に、消極的な意見がある。法案への賛成は、衆院選を前にして、社民党との選挙協力に悪影響が出ることを懸念したとの見方もある。

国内法の不備を放置するツケが近い将来、民主党に回ってこないとも限らない。

衆院選から数週間後の9月後半にニューヨークで国連総会、ピッツバーグで世界20か国・地域(G20)金融サミットが開かれる。

日本の首相も出席し、その場でオバマ大統領との日米首脳会談や胡錦濤国家主席との日中首脳会談が行われる可能性も高い。

中国はじめ各国の首脳に対し、制裁決議の厳格な履行を促し、北朝鮮に核廃棄を迫る国際包囲網の強化を訴える絶好の機会だ。

衆院選で民主党が勝利し、政権交代が実現すれば、「鳩山首相」の外交デビューとなる。その時、貨物検査法案が成立していなければ、「鳩山首相」の訴えは、まったく迫力を欠くものとなろう。民主党はそれでもよいのか。

審議拒否の理由について、与党は、鳩山代表の個人献金偽装問題を国会で追及されたくないからだと批判している。

与党の批判の当否はともかく、民主党はやはり、北朝鮮貨物検査法案の今国会での成立に協力すべきであろう。
(2009年7月15日01時18分 読売新聞)

サンケイ新聞社説より「貨物検査法案 党首会談で成立の合意を

内閣不信任決議案が衆院で否決された一方、首相問責決議案は参院で可決された。民主党など野党は今後の国会審議に応じないとしている。

このため、北朝鮮関連船舶の貨物検査を可能にするための特別措置法案は、14日に衆院を通過したものの参院の審議に入れず、今国会成立は絶望視されている。

この法案は、国連安保理の対北制裁決議に基づいて禁輸物資の輸送を阻止することを目的にしており、成立は日本の国益に直結している。それを与野党の駆け引きの道具にして法整備ができないのでは、日本の政治の劣化を世界に発信しているようなものだ。

責任の多くは民主党にある。政権担当能力の欠如を露呈していることの自覚はないのか。

相次ぐ核実験や弾道ミサイル発射を強行する北朝鮮の脅威を、日本は直接受けている当事者だ。国連安保理に対し、厳しい制裁措置を外交ルートで求めてきた成果として、対北制裁決議が採択されたことを忘れてはならない。厳しい制裁を求めながら、自国の貨物検査の法体系が整っていなかった問題も大きいが、その穴をふさぐのは党派を超えた義務だ。

政府・与党としては、民主党の賛成を得やすいよう、貨物検査を行う主体を自衛隊ではなく海上保安庁とする内容にした。民主党の鳩山由紀夫代表も、当初は法整備に同意する考えを示していた。

しかし、東京都議選の前後から内閣不信任決議案などの提出を優先させる方針に転じ、衆院審議でも、政府案のままでは賛成しない姿勢を示しはじめた。国連中心の外交を掲げながら、安保理決議を尊重していない。

鳩山代表は10日の日本記者クラブでの記者会見で、衆院解散から政権交代までの移行期間の危機管理に対応するため、与野党連絡協議会の設置を提起した。そう言いながら緊急性の高い重要法案を放置しているようでは「民主党政権」に外交・安保政策を安心して任せられないことになる。

政府・与党も法案提出に手間取った。14日の解散を模索していた麻生首相は法案を成立させようとしていたのだろうか。時間切れ廃案を民主党のせいだと批判するだけでは、指導者の責務を果たしたことにならない。衆院解散を控えて異例の措置となるが、鳩山代表との間で法案の緊急処理について協議すべきだ。

毎日新聞より「児童ポルノ:禁止法改正案は廃案の見通し 衆院解散で

深刻化する児童ポルノ被害を食い止めようと、画像を所持することへの規制強化に向け国会審議が続いていた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案は、衆院が21日にも解散されることで、廃案の見通しとなった。

同法をめぐっては、18歳未満を写した性的な画像を個人で見るためだけに所有する「単純所持」を禁じる自民・公明両党と、「有償または反復して取得」した場合に処罰を限るべきだとする民主党がそれぞれ改正案を提出、先月26日に衆院法務委員会で審議入りした。3党は今国会での成立を目指して修正協議を重ね、「単純所持」を違法とすることで合意したが、処罰対象をどこまで広げるかなどで折り合いがついていない。

ただし、与党、民主党双方の委員らには、会期中に最終合意までこぎ着けたいとの意向もあり、解散ぎりぎりまで協議を続ける可能性もある。【丹野恒一】

7月 15, 2009 at 10:37 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)