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2009.04.22

弁護人が控訴趣意書を出さず、裁判打ち切り

弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」の記事「弁護人が控訴趣意書出さず、裁判打ち切り」に紹介がありました。

朝日新聞より「弁護人が控訴趣意書出さず、裁判打ち切り

殺人などの罪に問われ、一審で懲役11年の判決を受けて名古屋高裁に控訴していた男性被告(29)が、弁護人が控訴趣意書を提出しなかったため、裁判を打ち切る決定(控訴棄却決定)をされていたことが21日、分かった。

被告側は異議を申し立てたが、高裁は17日付で棄却した。被告側は最高裁に特別抗告ができるが、これも棄却されれば、控訴審が開かれないまま一審判決が確定する。被告は無罪を主張していた。

被告は07年11月に大分市出身の津末一守さん(当時55)を殺害し、遺体を岐阜市の長良川に捨てたとして殺人と死体遺棄の罪に問われ、昨年11月、岐阜地裁で懲役11年(求刑懲役13年)の判決を受けた。
一審で被告側は「殺害、死体遺棄行為にかかわっておらず、無罪だ」と主張していた。

関係者によると、弁護人=愛知県弁護士会所属=は
  1. 控訴後の昨年12月に選任され、控訴趣意書の締め切りを、当初の1月7日から延長するよう申請したという。
  2. 高裁は締め切りを3月23日に延長したが、
  3. 弁護人は当日になって再度、延長を申請。
  4. これを受け、高裁は同30日まで再延長した。
  5. しかし、弁護人は同24日、3度目の延長を申請。
  6. 高裁が不許可の決定を出すと、同26日付で弁護人を辞任したという。
  7. 高裁は3月31日付で控訴棄却決定を出した。
  8. 弁護人は4月になって再度、選任され、控訴棄却決定に対する異議を申し立てたという。

弁護人は、締め切りの延長を申請した経緯について「ノーコメント」としている。

この弁護士がなぜこのような選択をしたのか理解不可能ですが、この事件はどんなものだったのか?を検索してみました。

岐阜放送ニュースより「長良川殺人事件・知人の男8人を殺人容疑で再逮捕

01月31日:20時24分37秒更新
去年11月、岐阜市の長良川で、男性の遺体が見つかった事件で、死体遺棄の疑いで逮捕された男性の知り合いの男ら合わせて8人が、31日、殺人の疑いで再逮捕されました。

殺人の疑いで逮捕されたのは、死体遺棄の罪で逮捕された岐阜市御望の彫り師(45)ら8人です。 警察の調べによりますと、8人は共謀して、去年11月7日夜から8日未明にかけて大分県出身で無職の津末一守さん(当時55)のアパートで津末さんに激しく暴行を加えて、瀕死の津末さんを別の場所に運んだ後、さらにナイフで胸などを数カ所刺して、失血死させた疑いが持たれています。

調べによりますと、殺された津末さんと彫り師の間で、彫り師の元妻を巡ってトラブルになったということです。

警察の調べに対し、8人全員が容疑をおおむね認めています。

彫り師は「津末さんが元妻に言い寄っていたので、痛めつけるつもりだった」と供述しているということです。 警察では、8人がどのように関わったのかなど、さらに詳しく調べています。

つまり、今回の裁判打ち切りになった被告は、殺害の実行犯では無いようです。
新聞記事検索では以下のようなタイトルが見つかります。

  • 殺人罪で懲役18年
  • 犯人隠避の罪に問われた元妻に懲役10月、執行猶予3年
  • 被告の知人で、会社員(28)を死体遺棄容疑で逮捕

おそらくは、この「被告の知人の会社員」が今回の裁判打ち切りの被告でしょう。
そうなると、被告の主張である「殺害、死体遺棄行為にかかわっておらず、無罪だ」というのもまんざら根拠のないこととは言えないでしょうから、被告には控訴の意志があったことも考えると、この弁護士の引き起こした結果は極めて重大と言わざるを得ないでしょう。

4月 22, 2009 at 11:51 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

北朝鮮と韓国の重要会談の結果

「北朝鮮問題・いよいよヨロイがあらわになった?」の中で紹介した「北が韓国に接触要求…開城工業団地で「重大事案」と」が、昨日(2009年4月21日)実施されました。

北朝鮮が、開城工業団地の韓国人職員を「北朝鮮労働者に対して脱北させようした容疑」で拘束し韓国からは面会も出来ない、状態でした。
その後、ミサイル発射、国連安保理での議長声明の全会一致での採択、北朝鮮がIAEA職員の追放、アメリカの外交関係者の北朝鮮からの出国、といったこと続いている中での「開城工業団地について重大な会談」ということでしたから、注目されました。

韓国側の報道としては、昨日の朝から「会談の用意」があったのですが、次のような進行になりました。

韓国聯合ニュースより
南北接触、現地で連絡官が接触場所・議題など協議中10:54
南北接触、開催場所・議題めぐり意見の対立続く17:56
南北接触いまだ始まらず、接触場所選定で対立14:39
南北当局者、開城工業団地で本接触を開始21:00
南北接触約20分で終了、双方が文書交換23:18

昨夜の内に「会談は20分で終了」の情報は速報されましたが、内容が詳しく伝わってきました。

韓国聯合ニュースより「開城工業団地の特恵を全面再検討、北朝鮮が通報

【ソウル21日聯合ニュース】
北朝鮮は21日に開城工業団地事業と関連し、賃金や土地使用など韓国側に与えていたすべての制度的な特恵措置を全面再検討すると明らかにした。これにより、2000年8月の現代峨山と北朝鮮当局間の開城工業団地開発合意書採択で始まった同団地事業が最大の危機に直面することになり、事業に相当狂いが出るものと予想される。

統一部によると、北朝鮮当局は開城工業団地で行われた李明博(イ・ミョンバク)政権発足後初の南北当局者接触で、北朝鮮側労働者の賃金を現実に合わせて再調整すること、当初10年間付与していた土地使用料の猶予期間を6年に短縮し、来年から適用することを要求した。北朝鮮はこうした同団地事業の再検討を一方的に通報した上で、既存の契約を再検討するための交渉を韓国側に提案したという。

韓国側はその席で、23日にわたり拘束されている開城工業団地の現代峨山社員を早期に釈放するよう求め、面会と身柄の引渡しを要求したが、北朝鮮はこの問題は今回の接触と無関係だとしてこれを拒否、面会は実現しなかった。

韓国側はまた、南北合意書無効宣言など緊張を造成する行為の撤回、陸路通行・滞在制限措置の撤回、国家元首の誹謗(ひぼう)・中傷の中止などを要求し、開城工業団地の出入・滞在問題などを含め南北関係の懸案解決に向けた当局者間の次期接触を提案した。

さらに、北朝鮮が韓国の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)全面参加方針を強く非難し、反発を示していることに対し、「朝鮮半島水域では南北海運合意書が適用されるため、対決布告・宣戦布告といった主張は道理に適っていない」と強調し、北朝鮮に賛同を促した。

南北は同日午前と午後に7回にわたる事前接触を行い、接触の場所や議題、参加者リストの相互通報などの問題を話し合った。最終的には北朝鮮側が要求した中央特区開発指導総局の事務室で午後8時35分から約22分にわたり本接触を行ったが、議題を話し合うことなく互いの主張だけを伝え、具体的な成果を上げられなかった。

この結果について、韓国朝鮮日報は2本記事と社説で取り上げています。

「南北接触:開城工団の労働者賃金引き上げ要求」

北朝鮮は21日、李明博(イ・ミョンバク)政権発足後初の南北当局間接触で、開城工業団地の労働者の賃金を中国並みの水準に引き上げることと、開城工業団地の土地使用料の支払い繰り上げなどを要求した。

消息筋によると、北朝鮮はまた、韓国政府が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加しようとしていることに強い不満を示したという。

北朝鮮は一方で、先月30日から拘束している現代峨山社員(44)の身柄処理については全く言及しなかったとのことだ。

韓国統一部によると、今回の接触は、開城工業団地で北朝鮮側が管轄する中央特区開発指導総局の事務室で午後8時35分から同57分まで、22分間にわたり行われたという。

韓国側代表団は、接触終了後の午後11時半に報道発表を通じ、北朝鮮が開城工業団地の土地賃貸料契約を結び直し、10年間の支払猶予期間を経て、 2014年から支払うことになっている土地使用料を2010年から前倒しして支払うよう、韓国側に求めてきたことを明らかにした。

北朝鮮側は開城工業団地内の労働者の賃金を「現実化」することも求めてきた。現在、同団地で働く労働者の一人当たり月額賃金は74ドル(約7300円)で、中国に進出した韓国企業が現地労働者に支払う賃金の3分の1程度となっている。

韓国政府消息筋によると、北朝鮮は50年間と定められている開城工業団地の賃貸期間を25年に短縮すること、北朝鮮の労働者の宿舎問題を解決することなども求めてきたという。

同消息筋は北朝鮮側から「韓国のPSI全面参加は宣戦布告に当たるのに、戦争状態で開城工業団地を運営するのは困難ではないか」という趣旨の発言があったことも明らかにした。

韓国側は拘束されている現代峨山社員の身柄引き渡しを要求したほか、▲開城工業団地の運営に支障が生じれば、その責任は北朝鮮にある▲(韓国の)国家元首に対する侮辱を続ければ、相応の対応を取ることもあり得る-などとする内容の通告文を手渡したが、北朝鮮側は受け取りを拒否した。

本接触に先立ち、韓国側代表団は午前9時半から午後7時まで7回にわたる予備接触(連絡官接触)を繰り返し、議題と接触場所などを協議したが、なかなか意見差が埋まらず難航した。

一方、韓国政府は南北接触終了を受け、近くPSI全面参加を発表するとみられていたが、北朝鮮が再び不満を表明したことから、追加的な検討が行われる可能性もあるという。韓国政府は同日夜、大統領府(青瓦台)で安全保障関連の緊急会議を開いた。

大統領府高官は「PSIはロシアを含む94カ国が参加した国際協約であり、韓国政府がPSIに参加しても南北海運合意書の範囲内で運用されるため、公海上で北朝鮮の船舶を臨検することは不可能だ。北朝鮮を狙った措置ではない」と強調した。

「南北接触:北朝鮮、PSI非難口実に「現金獲得」狙う」

北朝鮮のカードが明らかになった。李明博(イ・ミョンバク)政権発足以来初の南北当局間接触で北朝鮮が取り出したカードは、韓国の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)参加問題と開城工業団地だった。

議題自体は韓国側の予想の範囲内だった。しかし、北朝鮮側がそれを通じてどんなメッセージやシグナルを韓国側に送ろうとしているのかははっきりしない。北朝鮮の言葉を見ただけでは、北朝鮮の狙いが韓国のPSI参加を阻止するところにあるのか、それとももう少し現金を手に入れるため、開城工業団地の事業を拡大、進展させようとしているのか不明だ。このため、韓国政府は北朝鮮の本心をつかみ、対応策を準備するのにかなりの苦心を強いられそうだ。

開城での同日の接触が行われるのに先立ち、韓国側当局者と専門家からは、「韓国がPSIに全面参加すれば、開城工業団地が危険になる」というような脅迫に出てくると予想する声が多かった。最近、開城工業団地問題に深く介入し始めた北朝鮮軍部が「PSI全面参加は宣戦布告だ」と宣言しているためだ。

しかし、北朝鮮が同日の接触で実際に発した言葉は、「PSIは『同じ民族同士』という原則に反する」という程度のものだったという。予想よりも「穏健」な内容だったと言える。

さらに注目されるのは、北朝鮮が「優遇措置縮小」を掲げ、開城工業団地の今後の運営に関する新たな提案を行ったことだ。▲2014年から韓国が支払うことになっている開城工業団地の土地使用料を2010年から支払うこと▲開城工業団地の賃貸期間を50年間から25年間に短縮▲開城工業団地の北朝鮮側労働者の賃金水準を中国のレベルまで引き上げること▲開城工業団地の労働者の宿舎問題を解決すること-などが主な内容だ。

このうち、土地使用料の繰り上げ徴収は、「北朝鮮が李明博政権の任期内に、工業団地の使用料という名目で現金を受け取りたいと考えている」(韓国側当局者)とみられる。労働者の賃金引き上げも、金正日(キム・ジョンイル)総書記の金庫に入るドルを増額してほしいという要求に等しい。北朝鮮の労働者にドルで支給している賃金の相当部分を北朝鮮政権が持っていくためだ。労働者の宿舎問題は、北朝鮮が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権時代に韓国側と合意したものの、李明博政権が「核問題の解決」とリンクさせ、実施を先送りしている事項だ。こうした提案を見る限り、北朝鮮は開城工業団地事業を破綻に追い込むというよりも、むしろ事業継続を望んでいるとの解釈が可能なほどだ。

北朝鮮がなぜこんなやり方で韓国側に分かりにくいシグナルを送ってきたのかははっきりしない。北朝鮮の政権中枢で意見対立が整理されていないからなのか、韓国内部の混乱を招こうという意図的なかく乱作戦なのかは分からない。そこに関しては、韓国政府の深い分析と戦略的な判断による対応が必要だ。

ただ、明らかになった姿勢を見る限り、北朝鮮が少なくとも自分の手で先に開城工業団地をたたむ考えはないことは間違いなさそうだ。韓半島(朝鮮半島)の緊張をいくら高めたとしても、「現金をたやすく放棄しない集団」という北朝鮮の実態に変わりはない。

「【社説】開城まで呼びつけておいて何だ」

21日に北朝鮮の開城で開かれた南北当局者による接触は双方がそれぞれの立場を一方的に通告し、わずか22分で終わったという。今回の接触で何の成果も上がらないことはある程度予想されていたことだ。

韓国側代表団は同日午前9時ごろ開城工業団地に到着し、直ちに会談の議題、代表団の構成、場所などを協議するための予備接触を提案した。北朝鮮は韓国側代表団が開城に到着するまで、北朝鮮側代表団を誰が率い、議題が何で、開城工業団地内のどこで会うのかなど、接触に必要な最低限の事柄すら知らせてこなかった。

そして、現地では工業団地内にある北朝鮮側の中央特区開発指導総局の事務室に来るよう韓国側に指示した。50年を超える南北会談の歴史で、南北双方ともこれほど無礼な対応をした例はない。

韓国と北朝鮮は同日、7回にわたる予備接触を行った上で、ようやく双方の代表が出席する本接触を行ったが、それもわずか22分で終了した。北朝鮮がこんな対応に出た理由は容易に想像できる。

北朝鮮は韓国が自分たちの思い通りになる存在であるかのように開城工業団地まで呼び出し、国連の対北朝鮮制裁や韓国による大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加方針を一方的に非難し、同工業団地を閉鎖することもあり得る、と脅しをかけようとしたのだ。

国際社会が見守る中で韓国に恥をかかせようとした格好だ。韓国がそんな侮辱を甘受してまで南北接触にこだわれば、それは国の体面をも投げ捨てる行動だ。

韓国は同日、北朝鮮が面会も認めずに23日にわたり拘束している現代峨山の社員に会いたいと求めたが、北朝鮮はそれさえも拒否したという。

北朝鮮は最低限の人道的原則すら守らない存在だということを自ら明らかにした。しかし、そんな北朝鮮を相手にせざるを得ないのが、韓国の直面する現実だ。韓国政府は同日の南北接触の結果に一喜一憂するよりも、原則を持って南北対話を継続すべきだ。

韓国政府は最近のPSI問題をめぐる政府部内の混乱を整理し、対北朝鮮政策を全般的に再検討する作業に着手しなければならない。

今までも北朝鮮の外交交渉は、表向きには交渉にならないような通告のようなことだけで来たように感じますし、現実の交渉は秘密交渉であったのでしょうが、ここまであからさまに外交交渉にもならないし、内容的にもとても実現不可能な話を20分の通告だけというのは、朝鮮日報の社説のタイトルのようになりますね。

開城工業団地は、この写真の上側の左寄りにある色の薄くなったところです、開城工業団地の左上が開城市、右下がソウルです。

Up

これが開城工業団地の写真で、大体の大きさが3.5キロ角ぐらいです。
日本の工業団地と比較すると、さがみはらの内陸工業団地の倍程度の大きさですから、さほど大きなものではありません。
開城市の中心部からは7キロ、韓国側のゲートからは8キロ、ソウルから50キロといったところです。

Up1

北朝鮮の外交政策が、いわばテコの原理を使って事態を拡大しする演出は以前からありましたが、今回もその例に漏れない、と見るべきでしょう。
しかし、これではどこに落着するのだか、見当が付きません。

4月 22, 2009 at 10:07 午前 海外の政治・軍事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.21

SFCG(旧商工ファンド)破たんに際して財産隠し

朝日新聞より「資産2670億円が親族会社などへ SFCG管財人公表

2月に経営破綻した商工ローン最大手、SFCG(旧商工ファンド)をめぐり、東京地裁は21日、同社の破産手続き開始を決定した。記者会見した破産管財人は、約2670億円相当の株式や債権が、破綻直前の5カ月間に、当時社長だった大島健伸氏の親族会社などへ無償や格安で譲渡されていたことを明らかにした。

親族会社は破綻処理の対象外にあることから、管財人は「きわめて悪質な財産隠しだ」として、会社法違反(特別背任)や民事再生法違反(詐欺再生)の疑いで大島氏ら旧経営陣の刑事告訴を検討する。

負債総額は、これまで公表していた約3380億円に、不当に高い金利で得た過払い利息の返還金約2100億円が加わり、計約5480億円にのぼる見込み。債権届け出は7月21日までで、財産状況報告集会は10月28日に開かれる。

地裁から破産管財人に選任された瀬戸英雄弁護士によると、金融危機が起きた昨年9月の時点で同社は破綻(は・たん)状態にあった。だが、同社は社長だった大島氏の役員報酬を、それまでの月額2千万円から、8月に9700万円へ大幅に引き上げ、12月分まで払い続けた。他の役員は一律30万円だったという。

また、都内の高級住宅地・松濤にある大島氏の自宅についても、妻が社長の会社の所有とし、月1525万円の家賃をSFCGで負担。昨年10月からは3150万円に引き上げたという。

同社はこれらの増額を、日付をさかのぼって処理したとみられ、瀬戸弁護士は「重大な背任行為と言わざるを得ない」としている。

いったいコリャ何なんだ?

債務が約5480億円で破たんというのは金融機関であったのだから、ビックリする話ではないけれども、

約2670億円相当の株式や債権が、破綻直前の5カ月間に、当時社長だった大島健伸氏の親族会社などへ無償や格安で譲渡されていた

というのはあり得ないだろう。イヤ、道義的とかそういう問題ではなくて、バレるから。
で「バレても逃れられる」という計算だと言うのか?なにしろ
社長だった大島氏の役員報酬を、それまでの月額2千万円から、8月に9700万円へ大幅に引き上げ、12月分まで払い続けた。他の役員は一律30万円だったという。
なんて話があるのなら本気で逃げ切れると考えていたのかもしれない。

誠に意表を突いた「別の事件の発生」であると言えるでしょう。

ただ、事件としてはどういう風に扱うことになるのか?難しいところがありそうですね。

最初は「SFCG(旧商工ファンド)破たん」で紹介した通り、2月23日の「民事再生法適用申請」でした。
それが東京地裁が、民事再生手続を廃止して破産手続に切り替えたのが、3月24日でした。「SFCG(旧商工ファンド)破産」

その一月後に、今日の報道ですから2月の時点ではさすがにこんな話が出てくるとは予想できませんでした。
一月後にまた別の騒動が起きるのでしょうか?

4月 21, 2009 at 08:13 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

学力低下問題

大石英司の代替空港の記事「絶望が足りない?」に※ 【日本の議論】日本の大学は多すぎる? 増える「ナゾの学部」というセンテンスがあって、コメント含めて色々な意見が出ています。

元はサンケイ新聞の記事、「日本の大学は多すぎる? 増える「ナゾの学部」」です。

この記事に対して、大石氏のコメント(ブログの記事本文)は以下の通りです。

ここ数年、大学生の学力低下を憂える論調が多いのですが、私はちょっとピンと来ないんですよ。というのは、何だかんだ言っても、彼らは、社会へ出る時には、就職試験を受けるわけでしょう?

公務員にして私企業にしても。一定規模以上の企業なら、普通にペーパーテストもあるでしょう。論文だって書かせるだろうし。

所が、ニュースになる時の論調だと、まともにノートも取れない(ノートを取らない学生は昔から大勢いた)、算数も出来ない、みたいな話になっているじゃないですか。しかもそういう学力低下が、偏差値が下の大学だけじゃなく、今や六大学ですら見られるという話がまたまた信じられなくなるわけです。

キャンパスの学力低下というのは、いったい何処まで深刻なのでしょうか。

これに対して、読者のコメントが複数付いていて、なかなか、興味深い色々な意見が出ています。

大石氏が「私はちょっとピンと来ないんですよ」というところを推測すると、「曲がりなりにも勉強しているのに、なぜ学力低下が問題になるのか?」でありましょう。

この部分についてのわたしの解釈は、社会が要求する「学力」を教育するのでは無くて、試験の成績を評価するだけに統一してしまったからだ。
だと思っています。

例えば、会社が新入社員を採用するときに、何らかの選考をするわけですが、非常に単純な基準としては「先着順」と「何となく決めた」でも良いはずです。
しかし今どき「決めた理由はありません」では社会的に非難されますから「客観的な基準で試験」のようなことを、どこでもやっています。

試験が本業である(?)学校教育においては、それがドンドンと「進化した」当然のことながら対策も進化した。

つい最近、センター試験での「過去問が許可」になりました。
これまではセンター試験では過去に出した問題を出してはいけない、というルールでやってきたのです。
理由は言うまでもなく「公平性の確保」です。

こんな事をしているから、試験問題がドンドン磨かれてあいまいなところが無くなってしまった。
あいまいなことを試験問題に出すこと自体が、罪になってしまった。

こうした教育環境を何十年か続けた結果、「答えがあって当たり前」としか考えられない、青少年を大量生産してしまった。
簡単に言えば、問題と回答のデータベースを持っていて、問題を見た瞬間に考える事無く回答できる能力こそが成績優秀者である学生を作ってきた。

これはで創造性なんてのは無いわけで、試験問題の短作文は書けるけれども、実験レポートは書けない、といったことになるわけです。

小中学校(下手すると幼稚園から)試験に回答することだけが勉強であるとしてきた結果、国語は日本語を操ることではなくて、「国語の試験で満点を取ること」と置き換わったし、算数で距離と速度を計算するのではなく「数字を見つけること」に置き換わってしまったのです。

わたしは、高校生にロボットを使った授業をやっていますが「指定した距離を進んで止まれ」という課題に対して、速度と時間の比例を計算すればよい、ということが即座に出てくる高校生は非常に少ないです。
応用力を発揮したことがないのです。

それでも試験の成績が良ければ6大学にも入れる。
つまりは、社会は大学生にもなれば「応用力も当然あるだろう」と期待するのですが、試験の成績を上げるために「応用などといった余分なことをやらないですごした、成績の良い若者」が大勢いるのです。

「実験や実習など応用力がないと出来ない学科はどうなっているのか?」というご意見があると思いますが、実験や実習で必要なことの一つに「失敗すること」があると思っています。しかし、いまや学校では「失敗する時間が作れない」のです。
そのために「失敗しない実験の手引」を使って授業をしたりします。これでは「実験もどき」でありましょう。
あらゆる手段を尽くして、頭でっかちな若者を量産した結果「応用力がない大学生をどうしよう」というのはあまりにひどいでしょう。

実際に、中高校生には「映画見ろ、本を読め」といったことを強調していますが、その反応の中に明らかに「本を読んでも良いのだ」という安堵感を示すコメントがあります。
若者の知識欲に対して「試験勉強するべき」というプレッシャーが常に掛かっているのだな、と実感するところなのです。

以下は、サンケイ新聞の記事です。

日本の大学は多すぎる? 増える「ナゾの学部」

「最高学府」であるべき大学が危機に直面している。現在、国公私立の4年制大学は全国で約760校。希望すれば誰でも大学に入学できるという「大学全入時代」にもかかわらず、約半分の私立大が定員割れを起こしており、飽和状態に陥っている。学生数を確保しようと焦るあまり、各大学が“一芸入試” レベルのAO入試を導入したり、ユニーク学部を相継いで新設したりした結果、一定の学力レベルさえない学生も「大学生」になってしまった。「算数レベルの学力さえない…」「まともな日本語すら書けない…」。そんな大学の叫びが聞こえてくる一方、ずさんな学部・学科を増やし続けた揚げ句、大学自体の質さえ保てない状況だ。一体、大学はどうなってしまうのか。

■グローバル、デジタル…増えすぎた大学

「健康プロデュース」「グローバルスタディーズ」「デジタルコミュニケーション」「社会イノベーション」「未来創造」「ライフデザイン」「シティライフ」…。これらは、ここ数年間に新設された学部名だ。聞いただけでは、一体何を学ぶのか、分かるようで分からないものが多い。

国公私立の4年制大学は平成20年度で765校(国立86校、公立90校、私立589校)。平成2年度が507校(国立96校、公立39校、私立372校)だったことを考えると、この約20年間で約1・5倍になったことになる。特に増加が著しいのは私立大学だ。学部数でみると、平成2年度は1310学部だったが、平成20年度には2374学部と1000学部近くも増加している。学部名だけをみても、平成20年度には445もの学部名がひしめいている。

子供の数は減り続けているにもかかわらず、なぜ、これほどまでに大学、そして学部が増えたのか。最大の原因は「大学の多様化」との理由で、平成15年度から設置基準が緩和されたことがある。これまでのように「大学設置・学校法人審議会」の認可を受けずとも、届けを提出するだけで新しい学部を設置できるようになった。毎年、新設される学部・学科は300前後にのぼるという。

背景にあるのは、「大学全入時代」だ。平成19年度の大学・短大の入学者数は計約70万人。一方、総定員数は約66万人。単純にみても、大学・短大への進学を希望すれば、ほとんどの学生が大学に入れる計算になる。しかし、その実態は、平成20年春には、4年制の私立大学の47・1%が定員割れし、過去最悪を更新するなど厳しい状況となっている。

ある大学関係者は「人気のある大学では定員数よりも多く入学させているケースがある。一方で人気のない大学や地方の大学には学生が集まらず、学校の運営さえ危ぶまれている」。

人気大学に多くの学生が集まると、人気の低い大学は残った学生を奪い合うことになる。このため、各大学とも、ユニークなネーミングの学部を新たに設置しては、学生の確保に力を注ぐことになる。別の大学関係者は「学生の興味を引きそうな学部を作ることで、他の大学との違いをアピールしなくては生き残れない」と話す。

■ずさんな学部設置…詐欺のようなもの?

「新しい学部設置は基本的に性善説なんですよ。まさか、大学が学部を新設するのに手を抜くことはないだろうと。しかし、実際にはそれが起きている。そして、学生が不利益を被っている。言葉は悪いが、学生は詐欺にあったようなもの…」。文部科学省の担当者はため息混じりに話す。

文科省によると、平成15~20年度に新設された学部のうち、380学部に調査したところ、およそ4分の1に当たる100学部で学生数の過不足やカリキュラム変更など、当初の計画通りには運営されていないことが明らかになった。学生にとっては、大学の門をくぐってみたら、当初の説明とは違う内容の授業を受けさせられたということになる。

大阪国際大(大阪府枚方市)では、昨年4月に新設した「ビジネス学部」と「現代社会学部」の2学部で、科目の3分の1について、担当教員や受講できる学年が変更されており、当初の届け出内容を大幅に逸脱していた。また、東京福祉大短期大学部(群馬県伊勢崎市)は、同じ法人が経営する専門学校と一部の授業が重複するなど、明確な区別がないまま授業が運営されていた。

さらに悪質なケースもある。福岡医療福祉大(福岡県太宰府市)では平成18年度以降、専任教員数が最大で32人も不足するなど、大学の設置基準すら満たしていなかった。文科省は、理事長らが認識しながら放置したと判断し、同大を運営する学校法人に対し平成22年度からの5年間、新たな学部の開設を認めないという処分を下している。

こうしたずさんな学部設置の背景について、文科省は「学生数を確保したいという大学側の焦りから、計画の見積もりが甘くなったり、設置計画を順守しようとする気も薄くなるのではないか」と指摘する。

■ノートの取り方やリポートの書き方まで…

大学生の質の低下も深刻だ。大学で基礎を一から教えないと、次のステップに進めない学生が増えている。文科省の平成18年度調査では、中学や高校レベルの補習授業を行っていた大学は全体の約3割にのぼった。

帝塚山学院大学(大阪市)は、1年生の必修科目として「大学基礎講座」を設置。ノートの取り方やリポートの書き方、図書館の利用法といった大学生活で必要な基礎中の基礎を学ばせている。同大では「4年間の大学での授業を最大限に生かすために、1年生のうちに基礎をしっかりと学んでもらいたい」と説明する。

また、日本橋学館大学(千葉県柏市)でも、1年生の必修科目として、授業の受け方や時間割の作り方などを学ぶゼミや、友人や教師との付き合い方を向上させる体験学習ゼミを設置している。

「消える大学 残る大学」などの著書がある桜美林大学の諸星裕教授は「少子化による大学全入時代は、簡単に言えば、偏差値上の上位の大学から順に受験生を取っていくという構図になっている」と指摘する。

つまり、上位校が定員数以上に、成績上位の学生を取った場合、中位校には、これまでよりも成績の低い学生が入学することになる。言い換えれば、これまで大学に入れなかった学生でも、大学生になれるということだ。結局、学生の質を落としているのも大学自身ということになる。

もう一つの“戦犯”とされるのが、書類審査や面接などによる「AO(アドミッション・オフィス)入試」だ。文科省の調べでは、平成19年度にAO入試を実施した国公私立大学は454校で、学部数では1047学部にものぼっている。入学者数の割合でも、推薦入試を含めると42・6%と全体のほぼ半数を占めており、もはや、入試スタイルの主流になりつつある。

本来は受験生の能力を総合的にみるという目的で導入されたものだったが、入学者を早く確保するため、高3の1学期に実施する大学も登場したり、学力検査を行ったりしていないケースもあり、「単なる一芸入試」との指摘もあるになっている。

大手予備校「河合塾」の担当者は「クラスの半分が秋ごろまでにAO入試や推薦入試で進路が決まってしまうため、現場の先生は、子供たちの学習習慣を維持させることが難しくなっているようだ」。

■リーダーではなく、土台を育てること…

大学が学生をダメにするのか、学生が大学をダメにしたのか。

文科省は今年度から、大学が学部・学科を新設する場合、カリキュラムや職員数などを記した基本計画書▽設立趣旨▽教員名簿-などを、同省のホームページ上で公表することにした。「看板」と実際の中身が異ならないようにするためだ。

また、届け出制度で設置された学部について、文科省は今年度からは調査した上で、基準を満たしていない大学について、学校名を公表することにした。

AO入試についても、平成22年度入試からは出願期間を8月1日以降に限定。合否判定には、筆記試験やセンター試験の成績などで十分な学力が身についているかの確認を求めるという。高校段階の学力を測り、大学入試などに活用するための「高大接続テスト(仮称)」の導入の検討も始まっている。

では、これからの大学に求められるものは何か。

諸星教授は「3ケタの割り算ができない学生に経営学を教えても意味がない。大学全入時代では、そういうレベルの学生が入学してくることを、もはや止められない。大学は社会のリーダーではなく、社会の土台となる大人を育てていくことが求められている。そのためには、それぞれのミッション(役割や個性)をはっきりさせ、学生の力をどれだけ引き上げてあげるかが重要だ。つまり、4年間でどれだけの付加価値をつけて社会に送り出せるか、が問われている」。

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4月 21, 2009 at 12:42 午後 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (1)

不正DM事件は全貌が良く分からない

郵便料金割引制度利用に関する郵便法違反事件の記事を集めてみましたが、事件に登場する会社の数や容疑者の数にビックリします。

  1. 広告会社「新生企業」(大阪市西区、現・伸正)
  2. 広告主の家電量販大手「ベスト電器」
  3. 広告会社「博報堂エルグ」
  4. 博報堂エルグ親会社の広告大手「博報堂」の九州支社(福岡市)
  5. 大手通販・印刷会社「ウイルコ」
  6. 自称・障害者団体「白山会」
  7. 白山会の前身の障害者団体「凛(りん)の会」

ものすごいのは、問題になった郵便物の数で

特捜部の調べでも08年度の半年間に取り扱われた不正なダイレクトメール(DM)のうち、新生企業のものが約6割を占めていたことが判明。

04年度約8200万通
05年度1億600万通
06年度1億2900万通
07年度1億2200万通

このうち07年度は、「障害者団体の定期刊行物の有償購読者が発行部数の8割以上」という要件を満たしていない不正な郵便物は、8割超の1億262万通だった。

あまりの凄さに、記録しておく事にしました。

割引郵便「新生」参入で急増、4年間で1・5倍に

障害者団体向けの料金割引制度が悪用された郵便法違反事件で、大阪地検特捜部の摘発を受けた広告会社「新生企業」(大阪市西区、現・伸正)が不正に手を染め始めた2004年度から07年度までの4年間に、この制度の取扱件数が1・5倍に急増していることが、郵便事業会社(日本郵便)の調査でわかった。

特捜部の調べでも08年度の半年間に取り扱われた不正なダイレクトメール(DM)のうち、新生企業のものが約6割を占めていたことが判明。特捜部は、同社の参入によって、違法なDM市場が拡大したとみている。

日本郵便によると、郵便物の全体取扱数は電子メールの普及で減少が続いているにもかかわらず、「低料第3種郵便物」の取扱件数は、04年度が約8200万通。05年度には1億600万通、06年度には1億2900万通、07年度は1億2200万通。このうち07年度は、「障害者団体の定期刊行物の有償購読者が発行部数の8割以上」という要件を満たしていない不正な郵便物は、8割超の1億262万通だった。

これまでの調べなどによると、新生企業は04年3月、広告会社としてDM郵送業務を開始。提携する障害者団体は当初、大阪、兵庫両府県の3団体だったが、広告主からの発注が増えたため、提携先を増やし、8団体が発行する10種類の定期刊行物を扱うようになった。

割引制度は、通常1通120円の郵便物が最低8円となるが、福祉目的のために単体では赤字事業で、一般の郵便利用者からの郵便料金で補っている。
(2009年4月21日03時14分 読売新聞)

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ベスト電器、DM違法性を認識か 博報堂側に懸念文書

ダイレクトメール(DM)広告をめぐる郵便法違反事件で、逮捕された広告主の家電量販大手「ベスト電器」の元部長が広告会社「博報堂エルグ」との間で、障害者団体向けの郵便料金割引制度を使ったDM発送の違法性に懸念を示す文書をやりとりしていたことが大阪地検特捜部の調べでわかった。特捜部は、両社の関係者が違法性を認識していたことを裏付ける文書とみて調べている。

逮捕されたベスト電器の元販売促進部長(51)は調べに「違法性の認識はなかった」と否認する一方、博報堂エルグの執行役員(47)は「責任を痛感している」と容疑を認めているという。特捜部は20日までに、博報堂エルグ親会社の広告大手「博報堂」の九州支社(福岡市)も関連先として家宅捜索した。

捜査関係者らによると、ベスト電器はDM広告の予算が決まっており、ベスト側は、エルグ側に「料金効率のいい発送方法はないか」と尋ねたとされる。エルグ側は05年5月、大手通販・印刷会社「ウイルコ」から、割引制度の誘いを受けており、ベスト側に提案したという。

だが発送を始めた後、顧客から「郵便法違反ではないのか」との問い合わせが同社に相次いだ。このため元部長は、「発送される障害者団体の定期刊行物の8割以上が購読されている」という要件が割引制度にあることなどを踏まえ、問い合わせ文書をエルグ側に送ったとされる。

これに対し、エルグ側は博報堂を通じてウイルコに問い合わせたうえで、自称・障害者団体「白山会」や「健康フォーラム」の刊行物はベスト電器が買い取っている点を挙げ、「大丈夫だ」などと回答したという。その結果、ベスト電器は05年8月から昨年2月までに約1190万通のDM発送を続けた。

特捜部は、同制度を使ってDMを送るのは明らかにおかしく、ベスト側が、問い合わせ後も違法性を疑いながら発送したとみて調べている。

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障害者団体の背後に見え隠れする政界の“影”~郵便法違反事件

福祉を食い物にした「闇ビジネス」に、捜査のメスが入った。障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用して大量のダイレクトメール(DM)を格安で発送していたとして、大阪地検特捜部が16日、印刷・通販大手「ウイルコ」(石川県白山市)の会長や大手家電量販会社「ベスト電器」(福岡市)の元販売促進部長ら8人を逮捕、2人を再逮捕した郵便法違反事件。逮捕者の中に、障害者団体の代表者が含まれていたことに驚きの声が上がっているが、同時に政界の“影”も見え隠れしている。

いんちき団体

「福祉新聞の広告として掲載し、郵便料金を安く抑え、福祉団体を支援している企業としてのイメージアップを狙えます」

「製作から印刷までハガキ郵便代以下で出来ます」

カラー印刷のパンフレットには、「安さ」と「イメージアップ」をアピールする言葉が並ぶ。

これは、逮捕された障害者団体「白山会」会長(69)が製作に関与した独自の宣伝パンフレットだ。

このパンフでは、白山会について「阪神・淡路大震災の際に、親を亡くした子供たちを支援する目的」などと、前身の障害者団体「凛(りん)の会」の設立趣旨を並べるなど美辞麗句で埋め尽くされているが、凛の会設立メンバーの一人はこう指摘する。

「郵便でもうけるために障害者団体の名称を使っただけ。第一、会員に障害者は1人もいない。“砂上の楼閣”のような全く実体のないいんちきな団体だよ」

政治家とのパイプ

平成16年に開かれた民主党の牧義夫衆院議員(51)=愛知4区=の政治資金パーティーで、凛の会の主要メンバー(73)と知り合った会長は、会の名前を利用し、次々と不正な発送に手を染めていったとみられるという。

会長は牧議員の長年の支援者だった。割引の第三種郵便物制度を使ったダイレクトメールの郵送を日本郵政公社(現・郵便事業会社)側に一度断られた際、牧議員の事務所に陳情したケースも発覚した。

このように、不正郵送に手を染めた会長、凛の会会員の背後には、政治家との深い関係も浮かび上がるのだ。

凛の会会員は約15年前まで、民主党国会議員らの秘書をしており、かつて同じ議員の元で働いていた牧議員の秘書とは旧知の仲だった。

会長は約20年前、鳩山邦夫総務相の秘書だった牧議員と知り合った。鳩山総務相の選挙区だった東京都文京区で会社を経営していたことが2人を結びつけた。会長は平成12年には、牧議員が立ち上げた飲食店コンサルタント会社を継承している。

牧議員の事務所は「(会長は)水道メーターの販売会社を紹介したり、土地の販売の斡旋を依頼するなど、怪しげな話をよく事務所に持ってきた。支援者の一人として陳情を受けてきた」という。

一方で会長、凛の会会員の関係について、前述の凛の会のメンバーはこう話す。

「凛の会会員はカメレオンのような性格。経営していた出版社が倒産したこともあり、会長の押しに負けて、事件に巻き込まれたのではないか。会長は地上げ屋をやっており、うるさ型の人間。人前で凛の会会員に対し『おれをだましたのか』と怒鳴ることもあった」

凛の会は当初、割引の第三種郵便物制度を利用して、機関誌「凛」を毎月3回発行していた。だが、数カ月後には印刷業務を広告会社に外注。会長が会の運営に介入し始めた前後から、企業の商品パンフレットが同封されるようになったという。

巨額の「暴利」

第三種郵便物を悪用した不正郵送が長年続けられた背景には、取引が生み出す巨額の「暴利」がある。

関係者によると、容疑者らはベスト電器の商品パンフレットに白山会など2団体が発行する定期刊行物を同封したDMを郵送。通常なら1通120円かかるのに対し、7円でベスト電器の顧客に発送して差額約2億4000万円を得ていたとされる。

障害者団体の刊行物や商品パンフレットの印刷を請け負ったウイルコは16年11月、今回に不正郵送を主導したとされる広告代理店「新生企業」(現・伸正、大阪市西区)と提携。当初、社内調査で取引を懸念する声があったにもかかわらず、当時の社長(57)=15日付で会長を辞任=が取引開始を決裁したという。

奇しくもウイルコは、制度を悪用した取引開始直後の17年10月に東証2部に上場を果たしていた。

「辣腕を振るう典型的なワンマン経営者」

石川県内で印刷会社を経営する男性は、前会長の経営スタイルを一言で言い表した上で、こう証言した。

「役員クラスでも、反対意見を唱える者はいなかった。前会長がゴーサインを出したら、その企画は必ず通るし、社員には成功させなければならないプレッシャーがあった。閉鎖的な社風を嫌い、辞める社員が多かった」

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社説:違法DM事件 日本郵便の対応 不可解

障害者団体名で発行される刊行物に通販会社などのダイレクトメール(DM)広告を掲載し、格安の低料第3種郵便で顧客に届けていた疑いで、大阪市の広告代理店「新生企業」(現・伸正)社長ら10人が大阪地検特捜部に逮捕された。違法DM約210万通を郵送し、正規料金との差額約2億4000万円を不正に免れた疑いが持たれている。同社長らは3月にも計約690万通の違法DMを郵送し、計約9億1000万円を免れたとして起訴されている。

公共性の高い郵便物の料金を安くすることは郵便法で定められている。第3種は新聞や雑誌などの定期刊行物で、特に障害者団体が月3回以上発行し50グラム以下の場合、1通8円(通常料金は定型で80円)で郵送することができる。

この制度に目を付けた悪用例は少なくない。日本郵便(郵便事業会社)によると昨年10月までに制度の承認を受けた216件のうち21件で悪用が確認されたという。判明した障害者団体(19団体)に49億円、民間企業(4社)に30億円を請求すると発表したのは当然だ。

しかし、新生企業による違法DMの発送窓口となった日本郵便の東京都内2支店では、担当者が内容物に虚偽がないかマニュアルに従って検査していたのか疑問が持たれている。短期間で違法DMが不自然なほど急増したのにどうして見抜けなかったのか。「被害者」であるはずの日本郵便の対応は不可解だ。

ほかにも疑問はある。同社に名義を貸していた障害者団体はどうなっているのか。その障害者団体から民主党の牧義夫衆院議員(51)が献金を受け、国会で同社に有利な質問をしたのはなぜか。捜査当局には徹底した真相解明を期待したい。

割引郵便制度は郵政民営化に伴って廃止が検討されたが、多くの障害者団体の反対で存続した。

ある障害者団体は機関誌を全国の会員に毎月4万部余郵送している。通常は1部140円だが、低料第3種郵便で1部20円だ。収入は障害基礎年金だけ、施設での賃金も1万円に満たない障害者は多い。機関誌の作成や発送はその障害者や家族からの会費で賄われている。制度が廃止されたら郵送料だけで年間6000万円の赤字になる。高齢の家族の中には年金暮らしで、電子メールなどにも縁がない人が多い。障害者や家族にとって不可欠な情報伝達手段なのだ。

この事件の真の被害者は全国の障害者と国民である。障害者の自立や社会参加のために各種利用料や税の優遇制度があり、優遇した分は国民全体が間接的に少しずつ負担することで成り立っている。その信頼を揺るがせる不正を許してはならない。

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4月 21, 2009 at 10:34 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)