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2009.03.19

AIG問題の深刻さ

朝日新聞より「米全土が憤慨 AIG公聴会、高額報酬に怒り爆発

【ワシントン=西崎香、ニューヨーク=丸石伸一】
米政府救済を受けている米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が米議会や政府の猛烈な批判を受けている。

巨額の公的資金を受け取りながら、幹部に高額のボーナスを出し、詳細な情報開示も拒んでいるためだ。下院が18日に開いた公聴会で厳しく追及されたAIGのリディ最高経営責任者(CEO)は「(経営に)誤りがあった」と認め、経営改善に取り組むと釈明した。

ニューヨーク州のクオモ司法長官の調査によると、AIGは13日、同社の実質破綻(は・たん)の原因をつくった金融子会社の幹部らにボーナス計1億6500万ドル(約160億円)超を支給した。

100万ドル(約9800万円)超の幹部は計73人。

ボーナスは有能な人材の流出を防ぐ目的だったが、73人のうち11人はすでに退社している。米メディアによると、AIGは10年までに約400人に対して最大で計4億5千万ドル(約440億円)支払う予定という。

18日の下院の金融サービス委員会小委員会の公聴会で、ボーナス支給に対する議員の怒りが爆発。

AIGについて「尊大で欲張りだ」「米全土が憤慨している」「(公的)資金を取り戻さなければいけない。(政府は)訴訟を検討すべきだ」「納税者にお金を返すまで、ボーナスはなし」「AIGは破産手続きを経て、ちゃんと整理されるべきだ」などと、批判が続いた。

米政府は、これまで4回にわたり同社に総額約1735億ドル(約17兆円)もの公的資金を投入し、実質的に同社の株式の8割を保有。
経営は政府の管理下にあり、高額報酬を見逃した政府への世論の怒りがつのる。

リディCEOは公聴会に提出した証言要旨で、ボーナス支給の一部について「不快に感じる」「私も社会の怒りを共有している」「AIGでは、不可能に近いといってもいいほどの過ちが犯された」と自ら認めた。

同CEOは政府救済を受けて昨年就任し、ボーナス支給も含めた経営判断には関与していないといわれるが「我々は政府に返却する(公的)資金を最大化するため、基本的に米納税者に代わってAIGを運営している」と説明し、政府への負債返済を最優先させる考えを打ち出した。

米政府・議会は支給されたボーナスを回収する方針。オバマ大統領の指示を受けたガイトナー財務長官は、高額報酬を規制した金融救済法をもとに回収する方法を検討する一方、過剰なボーナスを公的資金から差し引くことを同社と調整している。
米議会は、ボーナスのほぼ全額を課税で回収する法案の採決を検討。クオモ司法長官はボーナスが誰にいくら支払われたのかを公表するよう求めている。

今後のボーナス支給の差し止めも検討している。しかし、支給は米政府が救済する前の08年初めに決まっていたとされ、リディCEOは証言要旨で
「(支給には)法的義務がある」と説明している。

政府がAIGの支給決定を覆すために訴訟を起こせば、ボーナスの支給額を大きく上回る損害賠償請求をAIG側から受ける恐れがあり、高額の訴訟費用の負担も強いられる。支給後、全額に近い課税で回収する案が有力視されている。

この一週間ほどこのニュースが大きく報道されているのに、全く事態が動かないのでどうしたことなのか?と思っていたら、こんな事情だったのですね。

結局は「トレーダーは会社が利益を得るか損失を被るかに関係なく、ボーナスを受けることができる」といった契約だった、ということのようですね。

しかし、現実は会社が成り立たないほどの損失を作ってしまったのだから、ボーナスを支給しようにも原資がないわけで、たまたま破たん処理ではなくて公的資金投入だから、ボーナスを受け取れるというのでは、誰だって怒るでしょう。

ここまでは、理解していましたが、アメリカ政府が「そんな契約は無効だ」と宣言すれば何とかなるだろうと思っていたら「ボーナス支給額を大きく上回る損害賠償請求訴訟を起こされる」というのは予想外でした。

こんなこともまとめられないようでは、アメリカの経済再生はできないのではないでしょうか?
日本がいまだに不動産バブルの後遺症に悩まされていて、それが投資行動が実際には「お金がお金を生む」という方向にしか向かわず、実物経済の成長を阻害しているという現実を考えると、世界の将来に不安が増します。
世界の日本化というのはあり得ることなのでしょうか?

3月 19, 2009 at 09:27 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (0)

裁判員制度・いよいよ本番

3月も後半になって、そろそろ春分ですがそれとともに近づいてきたのが5月21日からの裁判員制度の実施です。
久しぶりに裁判員制度のHPを見てきました。

「裁判員に選ばれるまで,選ばれてから」の動画配信を開始しました(2009.2)というのがあって、ちょっと前に広報にあったな(裁判員制度MLを購読しています)と思い出しましたが、また別のビデオかと思いつつ見て、ちょっと驚いたので、紹介します。

タイトルは 「裁判員に選ばれるまで,選ばれてから」です

このビデオの冒頭の文章は次のようになっています。

このビデオは、 本日お集まりいただいた裁判員候補者の皆さんに、
これからの手続のあらましをご理解いただくために
作られたものです。

上映時間は

約15分です

つまり、この冒頭の文章によれば、このビデオは裁判員候補者が裁判所で見せられるビデオそのものだ、となります。

そういう視点で見ると、このビデオは大変に良くできていて、最高裁判所が非常に力を入れてかつ慎重に作ったものだとよく分かります。

すでに複数の広報用ビデオが作られていて、映画「審理」も配信されていますが、このような「ドラマ」とは一線を画しているもので、是非とも両方ご覧になることをお勧めします。

ブログを書いている弁護士さんの多くが「裁判員制度は制度として無理がある」といった意見をお持ちのようです。
わたしは、もともと陪審員制度の導入(正確には復活)を願っていた者ですから、裁判員制度に諸手を挙げて賛成しました。
しかし、勉強するにつれて「これは大変だ」と思うようになってきています。

非常に根本的なところに問題があり、さらに裁判員自身にかかる負担も大きすぎるように感じて、うまく運用できるのか大いに不安ではありますが、裁判に市民が参加することは全体としては正しい方向であると思っていますから、うまく制度が定着することを強く期待しています。

そんな視点の持ち主から見て、非常に興味深いビデオを最高裁が作ったと感じさせるものがありました。

3月 19, 2009 at 12:03 午前 裁判員裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.03.16

高速バス・エンジンから出火全焼

朝日新聞より「走行中の高速バスから出火 78人避難 静岡・東名高速

16日午前4時15分ごろ、静岡県牧之原市の東名高速上り線で、走行中のジェイアールバス関東(本社・東京都)の大阪発東京行きの高速バスから出火。バスは近くの牧之原サービスエリアに緊急停車したが、全焼した。
乗客77人と男性運転手(43)は避難してけがはなかった。

牧之原署によると、走行中に運転手がサイドミラーでバス後部から火が出ているのを見つけたという。エンジンルームから出火したと見られる。

バスは、ドイツのバス車体メーカー「ネオプラン」社製の2階建てバス。
08年5月には、西日本ジェイアールバスの同社製バスが大津市の名神高速道路上り線を走行中、エンジン付近から出火して全焼している。

バスは15日午後10時40分にJR大阪駅を出発、16日午前8時9分にJR東京駅に着く予定だった。
ジェイアールバス関東によると、乗客はJR静岡駅まで別のバスで移動後、新幹線に乗り換えたという。

写真で見ると、サービスエリアの駐車区画に正常に駐車した後に燃え上がったようですから、比較的安全ではあったようです。

トラックも含めて、大型自動車が燃え上がると、荷物の焼失など相応の被害が発生しますが、一方で大型車ディーゼルエンジンが多いので出荷しても比較的ゆっくりと燃え上がります。
出火の初期段階で、消火に成功すれば荷物の焼失などには至らないでしょうし、自動車も修理可能な損害で済むかもしれません。

消火装置をエンジン周りに付けておくのは保険として有効なのではないでしょうかねぇ?
この種の事故を見るたびに思います。

3月 16, 2009 at 12:04 午後 事故と社会 | | コメント (6) | トラックバック (2)

2009.03.15

「親権」の重さを示す例。

東京新聞より「即日審判で父母の親権停止 家裁、息子への治療拒否で

東日本で2008年夏、消化管内の大量出血で重体となった1歳男児への輸血を拒んだ両親について、親権を一時的に停止するよう求めた児童相談所(児相)の保全処分請求を家庭裁判所がわずか半日で認め、男児が救命されていたことが14日、分かった。

子供の治療には通常、親の同意が必要で、主治医は緊急輸血が必要だと両親を再三説得したが「宗教上の理由」として拒否された。

病院から通報を受けた児相は、児童虐待の一種である「医療ネグレクト」と判断した。

医療ネグレクトに対しては過去に1週間程度で親権停止が認められた例があるが、即日審判は異例のスピード。
児相と病院、家裁が連携して法的手続きを進め、一刻を争う治療につなげたケースとして注目される。

関係者によると、当時1歳だった男児は吐き気などを訴えてショック状態となり、何らかの原因による消化管からの大量出血と診断された。

病院は「生命の危険がある」と児相に通告。
児相はすぐに必要書類をそろえて翌日昼、両親の親権喪失宣告を申し立てるとともに、それまでの緊急措置として親権者の職務執行停止(親権停止)の保全処分を求めた。

こうした輸血拒否への対応については日本小児科学会など関連学会が08年2月、合同で指針をまとめており、今回のケースでも病院側はこの指針に従って対応した。
(共同)

ちょっと前に、知人である山形大学の apj さんのサイトで、高校で授業料未払いによって卒業証書を渡さない、といった報道を元に複数の議論が活発に交わされました。

今回この記事を取り上げたのは、apj さんのところで行われた議論の中に「親権を制限する」といった話が複数出てきて、親権を一時的にしろ停止することの大変さと、厳密な手続があり、法的には極めて大げさな事である、というのがよく分かる記事として紹介します。

apj さんのサイトでの話題は

などで活発に行われました。
その中に、高校生が未成年であるから、親の意に反して高校に通う場合、親が授業料を支払わないときに、除籍といった生徒(子供)が不利になる事態にならないように、親権を制限できないものか?という意見がありました。

その他いくつかの議論があったのですが、親権問題に代表されるように、高校生ぐらいの年代は、いわば過渡期であるかのように、あっちにもこっちにも問題が出てきて、庶民的な判断としては「法律の方がおかしい」と感じることも多いのですが、今回の報道で、親権の強さがよく分かると思い、紹介しました。

3月 15, 2009 at 10:25 午前 医療・生命・衛生, 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (0)

給食費未払い問題

毎日新聞より「未納給食費:校長ら780万円「自腹」 鳥取市小中学校

鳥取市立の小中学校で05、06年度に未納になった給食費計約780万円が校長や教員の個人負担や、PTA会費などで立て替えられたままになっている。

市教委は「立て替えは今も全国的に行われているはずで、改善する」として、07年度以降の未納分を一般会計で補てんすることにしたが、05、06年度分は措置しない方針。

景気悪化で経済的に苦しい家庭が増える中、校長らが不況のツケを押し付けられた格好だ。

市教委によると、1人当たりの年間給食費は小学校が約5万円、中学校が約5万7000円。

文部科学省の全国調査(05年度)と市の06、07年度の調査によると、同市の未納額は

  • 05年度447万円(06年11月時点)
  • 06年度333万円(07年同)
  • 07年度198万円(08年10月時点)

07年度は小学校44校のうち12校で、中学校は18校のうち11校で未納があった。

市教委の担当者は「徴収のために家庭訪問すると、失業や離婚などによる経済的困窮を訴えられるケースが多い」と話す。
ある校長は「未納額が十数万円にもなり、大半を負担している校長もいる」という。

このため改善を求める声が上がり、市教委は07年度分以降について、督促に応じない未納者に対し簡裁に督促を申し立てたり、悪質なケースでは債権差し押さえ命令を地裁に申し立てるなど納付率アップに向け対応を厳しくした。

秋山光行・市教委体育課長は「全国でも学校側が負担している所はあるはず。鳥取市は解決に向けて一歩進んだ」と話す。
しかし、市教委は05、06年度分については「学校任せ」の方針だという。

文科省の全国調査では05年度の未納額は約22億3000万円に上るが、学校や教委の対応は把握していない。
鳥取県内の他の3市は、校長らの個人負担にならないよう不足分を市が賄うなどしている。

鳥取市中学校長会の木下法広会長は「最終的に管理職の校長が払わざるを得ない実態がある。経済的な困窮者を助けるのは行政の仕事ではないのか」と話している。【宇多川はるか】

給食費が5万円であるとすると、780万円とは156人となります。これが二年度分だから、年間で78人が未納。
では、鳥取市教育委員会が管轄する小中学校の数などはどうなのか?と調べました

鳥取市立の小学校は全部で44校、児童数は約10,800人です。
中学校は全部で18校、生徒数は約5,500人です。
詳しくは、下記をクリックしてください。

合計で、1万6300人。その内の156人だから、ほぼ1%ですね。

文科省のデータが、22億3000万円で、同じく年間5万円だと計算すると、4万5000人が未払いとなります。
文科省のデータでは生徒数は、小学校は712万人、中学校は360万人です。合計1072万人ですから、不払い者の割合は0.4%だとなります。
鳥取市教育委員会のデータは文科省のデータの倍の割合だとなりますが、これをどちらかのデータが信用できないのか、両方とも信用できるのか、つまり現実を反映しているのか?と考えますと、「校長らの自腹」で正しいデータが出てくるものでしょうか?

鳥取市のデータでは、07年度は小学校12校、中学校11校の総額が198万円だとなりますから、一校あたりでは8万6千円の未納となります。
これでは、ポケットマネーで何とかしてしまうこともあり得るでしょうし、PTA会費で穴埋めもできるでしょう。
むしろ問題は「ちゃんと情報が取れているのか?」になると思うのです。

3月 15, 2009 at 09:36 午前 教育問題各種 | | コメント (3) | トラックバック (0)