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2009.11.22

北朝鮮とアメリカ外交

サンケイ新聞より「【朝鮮半島ウオッチ】飢餓も発生 体制脅かす北のデフレ

世界同時不況の影が北朝鮮経済を苦境に追い込んでいる。核・ミサイルへの制裁包囲網がこれに追い打ちをかけ、餓死者の報告も出始めた。北朝鮮当局は穀倉地帯から強引に食糧を供出させているため、南部の農村地帯に飢餓が発生する異常事態が起きているという。

極度に疲弊した経済環境は北朝鮮権力機関を維持する資金を圧迫しており、国際孤立の長期化は金正日政権の体制維持を脅かしている。

12月から始まる米朝協議の行方には、こうした北朝鮮の内部事情が反映しそうだ。(久保田るり子)

「飢餓の恐怖が拡散している」

北朝鮮の青年たちを記者として育成、内部情報を世界に発信している日本人ジャーナリスト、石丸次郎氏(47)によると、いま北朝鮮内はデフレの大不況に見舞われている。

世界的な資源価格下落で北朝鮮随一の茂山鉱山(鉄鉱石)が昨秋、対中輸出の中断に追い込まれた。
5月に再開したが、電力不足で精錬できず、原石を送っている。

北朝鮮富裕層のカネ回りが極端に悪くなり、中下層が国境警備兵にわいろの根回しの準備もしないまま危険を顧みず現金を求め中国に越境するケースも増えたという。

「中国からモノは入っているが軍用米の横流しなど軍や党の組織的な闇商売が目立つ。中朝国境の鴨緑江では密輸が大々的に行われている。また当局は、2年ほど前から農村に手を付け、首都米、軍糧米と称して米を供出させ、監視・検査態勢を強化している。(北朝鮮南部の)黄海南道、北道などの穀倉地帯が収奪の対象で飢餓も起きている。経済統制など政治で経済を動かそうとしているが引き締めで状況は悪化し、貧困層に影響が一番出ている」(石丸氏)

韓国メディアの伝える食糧逼迫報道が増えている。

脱北者ルートから入ってくる北内部の「農場の脱穀所で襲撃事件の頻発」、「兵士が強盗行為」といった犯罪増加の情報や、90年代半ばの大量飢餓再来への恐怖など、社会不安の増大と拡散だ。

国連食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)は、今年の食糧事情について米・トウモロコシ生産量は170万~180万トンの大幅な不足(最低必要量は480万トン)と予想している。

日本にも飢餓情報が入り始めており、「餓死者発生を最初に聞いたのは今春だった」(日本の脱北者支援団体)。

カネはどこから…

北朝鮮への資金パイプは急速に細まっている。

金大中・盧武鉉政権で韓国は毎年、食糧・肥料を各30~40万トンなど10年間で総計69億ドル(約6580億円)に上る支援を実施したが、李明博政権はこれを中止した。

今夏、対話路線に転換し韓国に対しても融和的なアプローチを始めた北朝鮮は10月中旬、韓国に初めて人道支援を要請した。これに応えて李政権は1万トンのトウモロコシ供出を提案したが、北朝鮮は「ケチで心の狭いやり方だ」(祖国統一平和委員会の宣伝サイト)などと露骨に不快感を示し、支援の受け取りを拒否した。

核・ミサイル外交で緊張緩和を演出し大型支援を獲得してきた北朝鮮には支援依存体質が染みついている。

しかし、政権交代した韓国、独自制裁継続を継続する日本、粛々と金融制裁を行う米国と、日米韓の対北資金ルートはほぼ閉鎖状態だ。

「北朝鮮のドル決済は相当、厳しくなっている」(日朝関係者)。状況は米国が北朝鮮の資金洗浄(マネーロンダリング)に関与したとして、マカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)にかけた金融制裁(2005年)当時に近づいている。

韓国紙「朝鮮日報」によると、米韓情報当局は北朝鮮の資金源として麻薬、偽造通貨のほかアフリカからの象牙密輸、偽バイアグラ販売などで外貨を稼ぎ、ロシアのマフィアに資金洗浄を依頼していたとみて調査した。

米国務省は対北朝鮮制裁担当、ゴールドバーグ調整官を今夏、ロシアに派遣し、ロシア政府にマフィア取り締まりを依頼。
ロシア政府は、米情報に基づいて北朝鮮口座の洗い出しをロシアの金融機関に指導したという。

日本政府関係者は「夏すぎから制裁がじわじわと効いている」と語った。

「金正日総書記は人民を見殺しにした」

北朝鮮では94年から本格化した北朝鮮の食糧難で90年代後半までに250万人から300万人が餓死したと推定されている。

長年の失政からの絶対的なモノ不足に天災が加わり、無策による農業衰退で配給制が崩壊したのが原因だった。商売の才覚のないものや弱者が犠牲となったが、金正日政権はこうした住民の悲劇を無視した。

では今回はどうなのか。石丸氏はこう分析する。

「90年代のような大量餓死にはならないだろう。配給制はすでに崩壊、人々は生き延びるための市場経済のなかで生活しているからだ。

だが、国家保衛部(住民を監視する秘密警察)維持にもカネが必要だ。
電気も1日に1時間の送電では、体制は持たない。飢餓で人が倒れている。首脳部にとって最優先はロイヤルファミリーの安全であろうが、体制維持の機能不全がはじまっている」

北朝鮮内部の流動的な動向が、米朝の駆け引きを左右する有力なカギとなりそうだ。

いくら何でも「北のデフレ」ってのはヘンでしょう。
需要不足で原材料が値下がりするのは確かにデフレ傾向ですが、北朝鮮内の問題はどう考えても世界的に北朝鮮内で生産される原材料の需要がちょっとぐらい増えたとしても、電力不足が解消するとも言えないでしょう。
石炭生産国ですから、エネルギー資源をの輸入量は多くはない。にも関わらず電力不足なのはメンテナンスなどの問題であって、それは主に社会情勢の問題だから金融危機でなければなんとか手当てが出来た傷を塞ぐことが出来ない、というほどの意味でしょう。

記事中に指摘があるように、すでに配給制度は崩壊し自由市場経済になっていますから、経済問題(未完の問題)では北朝鮮の困難は解決しない。
しかも政権交代システムがないから論理的な帰結としてはクーデターしか残っていないですね。

アメリカが北朝鮮当局と積極的に接触している意味が今ひとつ分からないのですがアフガニスタンとイラクを終結させるまでの時間稼ぎかな?と感じます。

11月 22, 2009 at 11:59 午前 海外の政治・軍事 |

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