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2009.11.08

日航再建問題・特別立法

朝日新聞より「日航再建、年金減額前提に公的資金投入 特別立法概要

国土交通省は、日本航空の再建に向けた特別立法の概要を固めた。

すでに退職したOBを含めた企業年金給付の減額を条件に、公的資金を投入することを盛り込む。
公的資金が企業年金の穴埋めに使われない仕組みを整えることが重要と判断した。

法律自体は来年の通常国会での成立を目指すが、OBらの反発が高まる可能性がある。

前原誠司国土交通相は8日に鳩山由紀夫首相や菅直人副総理兼経済財政相らと会い、特別立法について説明。
今週中に方針を表明する方針だ。

日航の企業年金は3千億円程度の積み立て不足に陥っている。
現行法では年金給付を引き下げるために現役、OBそれぞれの3分の2以上の同意が必要だ。

たとえ引き下げが成立しても、希望するOBには引き下げ前の条件で一括給付しなければならず、大幅な給付削減が難しくなっている。

特別立法は、公的支援を望む航空会社を対象とする形をとる。

まず、企業年金の積み立て不足分を給付額から引き去った経営再建計画案を会社側に策定させる。
計画案を政府が認定したうえで公的支援を実施する。

対象会社は、OBの同意を得なくても年金給付を引き下げられるようにする。

日航は官民による企業再生ファンド「企業再生支援機構」に支援を要請中だ。

機構の出資や融資には政府保証がつくため、実質的に税金が活用される。
日航が11月中に必要としているつなぎ融資にも、政府系の日本政策投資銀行や国際協力銀行の資金や保証が必要とみられる。

財務省や政投銀は「年金支給に使われるのでは国民の理解が得られない」として、日航の企業年金の大幅な引き下げを求めている。

また、つなぎ融資を要請されている民間大手銀行も、巨額の債権放棄を同時に求められているだけに「年金給付の引き下げが不可欠だ」としている。

ただ、内閣法制局などとの調整は終わっていないうえ、給付を強制的に削減された受給者が「財産権の侵害だ」として違憲訴訟を起こす可能性がある。
法案がどう具体化されるかは流動的だ。

  1. 特別法を作らないと、年金給付額を減らすことが出来ない。
  2. 年金給付額を減らさないと、国民の理解が得られない。
  3. 公的資金を導入するのだから、国民の理解が不可欠だ。

しかしですな、国民は「何を理解するのか?」という肝心なところが論じられていない。

そもそも、民間企業に公的資金の投入が出来るのなら、それは民間企業ではなくて国営企業でしょう。
つまり、民間企業を国営企業に転換するということなのか?

民間企業は、公共交通機関だって倒産・事業停止の例もあるし、鉄道がバスに変わったしまったという例もある。
日航はなにがそれほど特別なのだ?

日航と全日空あるいは海外の航空会社を比較してみると、現時点で公的資金の投入以外に資金繰りが危ないなんて会社は日航以外には無いようで、日航の経営不振は航空会社全体の問題ではない。
つまりは、法的整理をして債務を切り離して新会社でスタートすれば普通の航空会社として存続できると考えられる。

前原国交相は、なぜ普通の方法を選択しないのだろうか?

さらに、財産権の侵害として憲法違反となるだろうし、給付される年金は社員と会社が原資を出した結果であって、給付額の変更を利害関係者が話し合いで決めるのは当然であるが、それを法律で強制するとなると私的契約の強制的な変更となる。それも、はるかに昔の契約を変更することになる。
それを会社の経営状態で変えること出来るという法的な論理が分からないが、やっていることは経営者や金融機関が責任を取らずに、本来経営無関係なOBなどに債務整理を押しつけることになる。

これはモラルハザードそのものだろう。
国家が信用されなくなる、一番手っ取り早い方法とも言える。

新自由主義に基づく改革議論は、いわば詐欺であったと考えれば分かりやすい。
しかし、今回の日航救済策は、救済するためには何をやっても良い、ということになるから、契約の無視、法律に基づかない処置、責任を別のところに押しつける、何でもアリと言える。

アメリカなら、事前に最高裁が警告するような事例ではないだろうか?

11月 8, 2009 at 09:22 午前 経済・経営 |

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コメント

結局の所、早くも、民主党・民主党政権は、単なる人気取りたい政権だった、そしてマニフェスト100%依存政権だった、後先考えず暴走する政権だった、ことを自ら進んで証明したと言うことでしょう。

投稿: 昭ちゃん | 2009/11/08 23:35:26

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