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2009.11.27

経団連は自分の足許を削って崖を引き寄せたのだ

サンケイ新聞より「経団連会長、日本経済は「がけっぷち」 円高がデフレと雇用不安を増幅する「リスクの連鎖」

日本経済が抱える「デフレ」「雇用情勢」という不安が消費者物価指数などの経済指標で改めてあぶり出された27日、急速に進む円高がこの2つの不安を一層増幅した。

自動車、電機という輸出型産業の業績悪化はもちろん、消費不振から価格競争に走る内需型産業も、輸入品の価格下落によってさらなる値下げを強いられるためだ。

すでに27日の東京株式市場は円高を嫌気して大幅安を記録。緩やかな回復を続ける日本経済は“リスクの連鎖”に襲われている。

「このまま行けば景気を押し下げる。(日本経済は)がけっぷちに立っている」

日本経団連の御手洗冨士夫会長は14年4カ月ぶりに1ドル=84円台に突入した急激な円高に懸念を示した。

自動車、電機など主要メーカーの想定為替レートは厳しく見積もった下期でさえ、1ドル=90円前後のところが多い。
トヨタ自動車の場合、現行水準が続けば年間で1000億円以上もの利益が吹き飛ぶ。

企業収益の悪化は雇用・賃金環境も悪化させる。27日発表された10月の完全失業率(季節調整値)は前月比0・2ポイント改善の5・1%となり3カ月連続で改善したが、依然高水準だ。企業の新卒採用の絞り込みは続き、冬のボーナスも多くの企業で前年割れとなる見通しで、円高はこうした厳しい環境の長期化につながる。

同じく27日発表の全国消費者物価指数(10月)も8カ月連続のマイナスとなり、デフレは一段と深刻化している。

流通や食品、衣料などの内需産業は縮小する国内市場で値下げの過当競争を強いられている。

「デフレ圧力がなくなるのは平成24年末ごろ」(エコノミスト)との見方もあり、円高が続けば企業の消耗戦はさらに激しくなる。

急激な円高は日本経済最大のリスク要因だけに、政府も為替動向には神経質になってきた。

藤井裕久財務相は27日の閣議後会見で「円高は(日本経済にとって)害のほうがずっと大きい。
適切な処置を取ることもありうる」と述べ、外国為替市場への介入に踏み切る可能性を示した。

7~9月期の実質国内総生産(GDP)は2四半期連続でプラスとなり、国内景気には持ち直しの兆しがあるが、円高がデフレと雇用不安を助長すれば、日本経済は「二番底」に陥る恐れが高まる。

政府が来週中にも固める平成21年度2次補正予算など政策対応が問われる局面になってきた。
(田端素央)

日本経団連の御手洗冨士夫会長は14年4カ月ぶりに1ドル=84円台に突入した急激な円高に懸念を示した。
って、そりゃ御手洗経団連がやってきたことの結果以外の何ものでもないでしょう。
どうして「懸念」とか言い出すのか?

御手洗経団連の最大の「功績」は派遣労働の大幅拡大によって、賃金コストを引き下げたことです。
これによって、輸出競争力を高めた。
現在のGDP上昇が「輸出によって支えられている」と言われるゆえんです。

現在の状況がデフレだとして国内経済による成長があるべきだ、と言われますが賃金を引き下げておいて、どうやって成長しろと言うのか?

さらには、わたしが強く主張している点ですが、派遣労働は本質的に貯金の取り崩しのようなものであって、訓練されている労働力を再生産することなく使用し消費するものです。
確かに労働力の訓練投資をしないのですから、コスト削減にはなりますが、優秀な労働力というプールを使い切ったらどうなるのか?

その不安が、ますます「現状維持指向」を強化して、新規投資のような「挑戦力」そのものを摩滅させ、さらに「現状維持の保守化」に向かうという悪循環になっていると見ています。

派遣労働によらずに、自社内で優秀な労働力を育てるといった「投資」を避けたのが、御手洗経団連であって、デフレになっていく大きな理由でしょう。

新自由主義は結果として「いかに投資せずに稼ぐか」=「経費削減」に向かったために、社会全体が成長しなくなってしまった。
成長の見通しが無いことが誰の目にも明らかになったから、当然投資は行われない。
お金は無駄に金融機関に滞留する。

これでは、パラダイムシフトしか無いです。
派遣労働の問題ではなくて、労働力の再生産が必要であり、そのためには人件費の傾斜配分が不可欠でしょう。
具体的には、派遣労働については時給1万円を最低限とする、といったことが必要です。
身分保障のない派遣労働の中で労働力が活性化するのは、リスクを取って派遣労働に挑戦した方が有利だとする、挑戦心を育てることです。

その一方で、お金を貯め込んでいるだけで何もしない金融機関の給与水準は最低限にするべきでしょう。
このような手法は、御手洗経団連が経費節減と称して先送りしてきたことを、一気に逆向きにすることで、短期的には明らかに輸出競争力が無くなります。
結果として、資金以外の技術力や労働力の質的向上といったところに投資できない企業は消滅するでしょう。

しかし、日本全体として将来の生き残り戦略が節約に無いことは明らかなのですから、色々な分野に挑戦するための投資、に誘導することが現在の最優先の課題であり、新自由主義が安直に「利益を高めるのには、まず節約」としたことを、ひっくり返すことが全てであると思います。

11月 27, 2009 at 10:19 午後 経済・経営 |

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