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2009.10.02

アメリカの外交問題って???

朝日新聞より「子ども「連れ去り」事件 日米ルールの違いで解決難しく

離婚した日本人の元妻が米国から実家の福岡県に子どもと帰国したため、子どもを取り戻そうとした米国人の元夫が、警察に未成年者略取容疑で逮捕された事件が、米国内で報道され、高い関心を集めている。

米国では、子どもを勝手に海外に連れ去ることは犯罪行為とみなされ、米国側も元夫を支援する。背景に、国際結婚が破局した場合の日米のルールの違いがあり、問題解決は難航しそうだ。

混乱の背景には「ハーグ条約」がある。

「拉致された家族を救うための行動が逆に日本で犯罪に問われた」「釈放に向けて外交努力が求められる」。CNNは「拉致」という言葉を使いながら、連日、大きな扱いで伝えている。

逮捕されたのは、米テネシー州の男性(38)。

福岡県警柳川署によると、逮捕容疑は9月28日朝、柳川市内の路上で元妻と一緒に登校中だった長男(8)と長女(6)を無理やり抱きかかえて車に乗せ、連れ去ったというもの。

元妻が110番通報し、福岡市の米国領事館に来た男性を警察官が発見し、逮捕。

署は30日午前、男性を未成年者略取容疑で送検し、今も勾留(こうりゅう)中だ。男性は「子どもに会いたかっただけ」と否認しているという。

テネシー州で4月から男性の代理人を務める弁護士によると、夫婦は今年1月に離婚。

両親がともに親権を持ち、子どもは母親と一緒に、男性宅の近所で住むことで合意した。

男性は米国人女性と再婚した。
ところが母親は男性に告げず、8月13日に子どもと帰国したという。
弁護士は「日本は、米国の法律を破った母親をかくまうべきではない」と主張する。

一方、離婚調停時に母親の代理人だった弁護士は「米国の法律を守らない行為は支持できない」としつつ、「母親は、常に支配的な男性の態度に悩んでおり、家族で一緒に住むことを望んでいなかった」と説明。

夫婦は日本での結婚生活後、08年6月に渡米したが、男性は渡米の翌日に離婚の書類を示した。日本生活が長い子どもたちも米国暮らしに慣れなかったという。

米国務省は取材に「個別事案にはコメントしないが、この問題については承知している」と指摘。

「日本は大事なパートナーで友好国だが、子どもの連れ去りについては意見が異なる。
米国で取り残された親は大きな心理的負担を強いられ、子どもを取り戻せないでいる」と話している。

県警は「子どもを無理矢理連れ去った行為自体が犯罪で、離婚の経緯などは事件と関係ない」としている。(ニューヨーク=田中光)

■ハーグ条約

国際結婚が破局した場合、一方の親が勝手に子どもを国外に連れ出さないよう求めている。国境を超えた「面接権」を定め、米国やカナダなど80カ国以上が加入している。

日本は未加入であるため、日本人の親が子どもと日本に帰国した際に、外国人の親が子どもを連れ戻すことは極めて困難だ。
トラブルが相次ぎ、欧米諸国は条約に加わるよう、日本政府への圧力を強めている。

この記事だけだと、アメリカの主張と日本の主張が衝突する理由が、ハーグ条約にだけ集約されるかのように見えますが、CNNにはこんなニュースが

CNNより「福岡で逮捕の米国人父、日本への帰化が判明 弁護士は外交問題と

東京(CNN)
離婚した元妻と一緒にいた子供2人を誘拐したとして福岡で逮捕された米国人の父親が、4年前に日本に帰化していたことが、警察の調べで30日、明らかになった。

このため、国際的な誘拐問題ではなく、日本国内における犯罪と見て警察は捜査を進める模様。

一方、逮捕された男性の弁護士はCNN番組で、「米国政府に訴えかけて子供を連れ戻す」と、外交問題として扱う構えを見せている。

事件は28日朝、福岡市内で発生した。逮捕されたクリストファー・サボア容疑者が、登校中だった子供2人と元妻に車で近づき、子供を無理やり車に乗せて逃走。福岡の米国領事館でパスポートを取得しようとしたが、元妻の通報を受けて駆け付けた警官に逮捕された。

サボア容疑者と元妻は米テネシー州フランクリンで暮らしていたが離婚。
元妻はフランクリンで住むという合意があったが、夏休みの間に元妻が子供を連れて日本に帰国したため、同容疑者が追ってきたとされている。

米国の報道によれば、テネシー州の裁判所は子供が連れ去られたと認定してサボア容疑者の親権を認め、フランクリン警察は元妻の逮捕状を取って行方を追っていたという。

このため、サボア容疑者の行動は米国において、子供を連れ戻す「英雄的な」ものと報道されている。

しかし、日本の警察の調べで、サボア容疑者が4年前に日本に帰化し、東京に本籍を置いていたことが分かった。

また、2人の子供は日本のパスポートを所持。さらに、サボア容疑者と元妻は日本において離婚手続きをしていなかったという。

このため、今回の事件は婚姻関係を継続している夫妻間で、夫が子供を連れ去った事件として扱われる可能性が高くなった。

同容疑者の弁護士ジェレミー・モーレー氏は29日夜、

「子供を米国に連れ戻せる可能性はかなり低くなった」との見方を示す一方で、「この問題を国際刑事警察機構(ICPO)に持ち込むつもりだ。
外向的な圧力をかけたい。米国政府には、強固な態度で対応してもらいたい」
と、あくまで外交問題として争うと声高に述べた。

外交かねぇ?単なる内政干渉になってしまうわけですが・・・・・。
アメリカ世論は天動説なのですねぇ。

ハーグ条約に抵触するのは、この父親の方なのだが・・・・・・

第224条(未成年者略取及び誘拐)

未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する

10月 2, 2009 at 10:35 午前 事件と裁判 |

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コメント

テネシーの裁判所が出した「子どもを日本へ連れて帰っていいのは夏休みだけ」という命令に反して、秋になっても日本にいるということで、「連れ去り」として「犯罪」になるみたいですよ。

そして、本来、アメリカにいるべき母子を日本がかくまっていて何もしない。ということになるので、外交問題になります。国籍は、直接は関係ないです。

でも、この母子、「本来アメリカにいるべき」なのかしら?もともと日本にいたのを、夫が騙してアメリカにおびき寄せたって報道もあります。

投稿: たぬき | 2009/10/04 3:14:40

たぬきさん

アメリカは二重国籍を認めていますし、今どきの時代には国籍は二重でも三重でも良いかとは思いますが、親権が両方にある夫婦が離婚しても親権が両方にある、というのは単なる混乱の元だろうと思いますね。

これを個別にあるいは、毎回裁判所が決めるのでしょうか?

本籍が日本ですから、日本国民の事件であって、外交問題にすると、完全に内政干渉です。
国務省(アメリカ大使館)は手を引くでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2009/10/04 8:44:25

>これを個別にあるいは、毎回裁判所が決めるのでしょうか?

そうみたいです。

典型的な離婚判決は、主たる親権(監護権)を母親に認め、夫には、養育権という名前の養育費支払い義務と定期的な面会権を認めるというものです。

夫がお金持ちで賢い弁護士を雇うと、その入れ知恵で、「裁判所の許可なくハーグ条約未加入国へ子どもを連れて旅行してはならない。子のパスポート(日本旅券)は裁判所が預かる。」という制約を盛り込まれます。

そして、国外旅行の都度、裁判所に許可を申し立て、パスポートを返してもらわなければなりません。これがいつまで続くのか正確には知らないのですが、子の成人までとすると、裁判所とのお付き合いが延々と10年以上も続くことになります。

現在、この「ハーグ条約うんぬん」という制約は、日本人母を苦しめる最も有効な手段です。元妻に嫌がらせをする目的で、あきらめて子どもを置いて逃げ出すよう仕向けるためにやっているのではないかと思うケースもあります。

子どもを置いて、一人で日本に旅行することもできますが、父親に子を預ける時間が長くなるほど、夫に監護権を移す裁判を起こされるおそれがでてきます。

普通は、父親は、昼間は仕事をしているので子どもの面倒をみる時間がないはずですが、後妻がいれば子の監護もできるという主張ができます。子どもが後妻になつけば、収入は夫のほうが多いですし、子の最善の利益を考えると、親権の移動が認められる可能性はあるのではないでしょうか。

そうなったら、言葉も通じない外国に残ってがんばってきた意味がなくなります。

生き地獄のような状況で、アメリカから外に出ずに10年以上頑張るか、違法と承知で子どもを連れて実家に逃げ帰るか。長い時間のうちには弱気になる瞬間もあるでしょうし、親が危篤になって裁判所の許可をもらう時間のない時もあるでしょう。

こんなの、普通の人間だったら耐えられないと思いますけど...

>本籍が日本ですから、日本国民の事件であって、外交問題にすると、完全に内政干渉です。

本来、国籍はあまり関係がないはずです。例えば、インド人夫とフランス人母がアメリカで暮らしていて、ある日、母がフランス国籍の子を日本に連れ去ったとなると、ハーグ条約のシステムでは、アメリカ政府から日本政府に対し、「子を探し出して、アメリカへ連れ戻せ。」という要請がなされることになります。

ハーグ条約の主たる目的は、子の所在特定と、もといた国への連れ戻しを、「国」が代行するというものです。日本政府の負担で、フランス国籍の子をアメリカへ連れ戻すということになります。

でも確かに、おっしゃるとおり、インド人とフランス人の夫婦の子どもなんて、アメリカ政府にとってはどうでもいいかもしれないですね。アメリカ人の父親が騒ぐから、国務省も仕方なく「やらされている」というのが構図で、本当に子どもや家族のことを考えているわけではないように感じます。

そもそも、今回の福岡の逮捕事件は、ハーグ条約には関係ないはずです。有形力を行使して子どもを連れ去った行為が問題だったというだけです。

夫の弁護士が、外交問題だとか騒いで、もっと奥の深い問題であるかのように世論をミスリードして、国務省を動かそうとしているのだと思います。

日本人女性が何年も帰国できなくされるような判決内容のほうが、よっぽど人権問題で外交問題ではないでしょうか。

投稿: たぬき | 2009/10/07 10:22:58

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