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2009.10.01

参議院の一票の重さ、次回は憲法違反となるか?

毎日新聞より「参院選「1票の格差」訴訟:「選挙制度見直し必要」 最高裁、初の指摘

◇07年、格差4・86倍 定数配分「合憲」

選挙区間の「1票の格差」が最大4・86倍だった07年7月の参院選は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、東京と神奈川の弁護士が各都県選管を相手に選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は30日、定数配分規定を合憲と判断し、原告側の上告を棄却した。

その上で「定数振り替えだけでは格差の大幅な縮小は困難で、選挙制度の仕組み自体の見直しが必要。
国会の速やかな検討が望まれる」と指摘した。参院の選挙制度見直しの必要性に言及したのは初めて。(11面に判決要旨、社会面に関連記事)

裁判官15人のうち竹崎裁判長ら10人の多数意見。中川了滋裁判官ら5人は「違憲」と反対意見を述べた。

判決は、「投票価値に著しい不平等状態が生じ、相当期間継続しているのに是正しないことが国会の裁量権の限界を超える場合は違憲」とする従来の枠組みを踏襲。その上で、

  • (1)06年の公職選挙法改正による「4増4減」の定数是正で、最大格差5・13倍の04年選挙より格差は縮小
  • (2)国会が参院改革協議会を設置
  • (3)選挙制度の大きな変更は時間がかかり、07年選挙までに見直すことは極めて困難
として、「定数配分を更に改正しなかったことが、国会の裁量権の限界を超えたとは言えない」と結論付けた。

一方、4・86倍の数字そのものについて合憲か違憲か明言しなかったが「憲法が要請する投票価値の平等の観点からは、大きな不平等がある」と指摘。

「選挙制度見直しには参院の在り方も踏まえた高度に政治的な判断が必要で、課題も多く時間を要する」としながら、国会に投票価値の平等の重要性を踏まえた早急な検討を促した。

金築誠志裁判官は補足意見で

「目安とすべき2倍の格差をはるかに超え、著しい不平等」と違憲状態を指摘。
反対意見の5人は「投票価値の平等を大きく損なう」などとして違憲と指摘したが、公益性を考慮し選挙は有効とした。
近藤崇晴、宮川光治両裁判官は抜本的な見直しがなければ、将来は選挙無効の判断があり得ることも指摘した。【銭場裕司】

◇真摯に受け止めて--原告団の話

選挙制度の仕組みを見直す必要があるとはっきり述べた画期的な判決。国会は、真摯(しんし)に受け止めてもらいたい

◆最高裁判決骨子◆

  1. 07年7月の参院選当時、選挙区選出議員の定数配分規定は憲法14条1項等に違反しない。
  2. 投票価値の平等の観点からは、この定数配分規定の下でも、なお大きな不平等がある状態。
  3. 国会において速やかに、投票価値の平等の重要性を十分に踏まえ、適切な検討が望まれる。

■15裁判官の意見■

 は合憲、×は違憲。-は06年判決後に就任。かっこ内は出身、◎は裁判長
判事名今回06年
◎竹崎博允(裁判官)
藤田宙靖(学者)
甲斐中辰夫(検察官)
今井功(裁判官)
中川了滋(弁護士)××
堀籠幸男(裁判官)
古田佑紀(検察官)
那須弘平(弁護士)×
涌井紀夫(裁判官)
田原睦夫(弁護士)×
近藤崇晴(裁判官)×
宮川光治(弁護士)×
桜井龍子(行政官)
竹内行夫(行政官)
金築誠志(裁判官)

毎日新聞より「参院選「1票の格差」訴訟:最高裁判決(要旨)

07年7月の参院選の定数配分を合憲と判断した30日の最高裁大法廷判決の要旨は次の通り。

■多数意見

憲法は、投票価値の平等を要求しているが、どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるのかの決定を国会の裁量に委ねている。

投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準ではなく参院の独自性など他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきだ。

参院議員の選挙制度の仕組みは、憲法が2院制を採用し参院の実質的内容や機能に独特の要素を持たせようとしたこと、都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも意義と実体を有し一つの政治的まとまりを有する単位としてとらえ得ること、憲法46条が3年ごとに半数を改選すべきだとしていることに照らし、相応の合理性を有する。

しかし、人口変動の結果、投票価値の著しい不平等状態が生じ、かつ、相当期間継続しているにもかかわらず是正する措置を講じないことが、国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には、議員定数配分が憲法に違反すると解するのが相当だ。

最高裁は83年大法廷判決以降、参院選の都度、上記の判断枠組みに従い定数配分の合憲性について判断し、憲法違反に至っていたとすることはできないと判示してきた。

しかし、04年及び06年の大法廷判決では、投票価値の平等をより重視すべきだとの指摘や、格差是正のため国会における不断の努力が求められる旨の指摘がされ、不平等を是正するための措置が適切に行われているかどうかをも考慮して判断されるようになるなど、より厳格な評価がされてきた。

参院では04年判決の指摘を受け、当面の是正措置を講ずる必要があり、定数格差の継続的な検証調査を進めていく必要があると認識された。
06年の公職選挙法改正は、こうした認識の下に行われた。

07年7月29日の参院選は法改正の約1年2カ月後に現在の定数配分の下で施行された初の選挙で、選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大格差は1対4・86だった。
改正前の04年7月の前回選挙の最大格差1対5・13に比べ縮小した。

07年選挙後には参院改革協議会と、その下に選挙制度に係る専門委員会が設置され、定数格差の問題について今後も検討を行うとされている。

そして、現行の選挙制度の仕組みを大きく変更するには相応の時間を要することは否定できず、07年選挙までにそのような見直しを行うことは極めて困難だった。

以上の事情を考慮すれば、07年選挙までに定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものとはいえず、定数配分が憲法14条1項等に違反していたとすることはできない。

しかし、法改正によっても残った格差は、投票価値の平等という観点からは、なお大きな不平等があり、選挙区間の有権者の投票価値の格差縮小を図ることが求められているといわざるを得ない。

ただ、現行の選挙制度の仕組みを維持する限り、各選挙区の定数を振り替える措置だけでは、最大格差の大幅な縮小を図ることは困難で、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となることは否定できない。

このような見直しを行うには、参院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が必要で、課題も多く、その検討に相応の時間を要することは認めざるを得ないが、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤で、投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると、国会において速やかに投票価値の平等の重要性を十分に踏まえ、適切な検討が行われることが望まれる。

<藤田宙靖裁判官の補足意見>

4増4減措置は暫定的と推認されるが、現在に至るまで更なる定数是正の本格的検討を行っているように見受けられず、07年選挙当時に定数配分が違憲状態にあったと考える余地もないではない。

ただ、憲法判断は次回選挙で行うのも一つの選択肢と考える。

多数意見は、選挙制度の抜本的改革を行うにはある程度の時間的余裕が必要となることを一つの理由として、定数配分を違憲とはいえないとしたが、そのことを口実に立法府が改革の作業を怠ることを是認するものではない。

早期の結論を得ることが困難であるというならば、その具体的な理由と作業の現状とを絶えず国民に対し明確に説明することが不可欠で、いたずらに現状を引きずるようなことがあるならば、立法府自らの手による定数是正措置に向けての残された期待と信頼とが消失してしまう事態を招くことも避けられないというべきだろう。

<竹内行夫裁判官の補足意見>

2院制の下で選出基盤が両議院で同じ必要性はなく、異なって当然。衆院選は厳格な投票価値の平等が求められる一方、参院選は多角的民意反映の考えに基づいて、厳格な人口比例原理以外の合理的な政策的目的や理由を広く考慮することが、2院制の趣旨に合致する。選出基盤が同じなら、参院は「第2衆院」ともいうべきものとなろう。

多様な民意は人口比例原理だけでは国政に十分には反映され難い。
地方分権に関する議論等が高まっている現状にかんがみれば、地方の実情と問題に通じた者の国政参画が必要。

単なる数字上の定数配分の是正ではなく、国権の最高機関である国会につき2院制が採用されている趣旨を踏まえた統治機構の在り方についての高度の政治判断に基づく検討が求められるものと考える。

国会が、衆院とは異なった参院の在り方にふさわしい選挙制度の仕組みの基本となる理念を速やかに提示することが望まれる。

<古田佑紀裁判官の補足意見>

竹内裁判官の補足意見に同調。

<金築誠志裁判官の補足意見>

選挙区間の最大格差は、目安と考えるべき2倍をはるかに超え、憲法上合理的範囲内として是認するには、よほど強い明確な理由が存在しなければならない。

■反対意見

<中川了滋裁判官>

都道府県単位の選挙区設定及び定数偶数配分制は憲法上に直接の根拠を有するものではない。

定数改正にもかかわらず、1対4・86の最大格差が生ずる選挙区設定や定数配分は、投票価値の平等の重要性に照らして許されず、国会の裁量権の行使として合理性を有するということはできない。不平等状態は違憲と考える。

<那須弘平裁判官>

投票価値については、選挙区と比例代表を一体のものとして計算するのが自然で、最も投票価値の低い神奈川県を1とした場合、最大格差は鳥取県の2・83。少なくとも1対2未満に収める必要があるが、比例代表を合わせて計算すれば縮小することは可能。

私は06年判決で憲法違反を否定する多数意見に賛同したが、これは対象選挙が04年判決から6カ月しかたっておらず、4増4減の改正が実現したことを重視した。今回は改正を再度評価の材料とすることは相当でなく、国会の審議に見るべき進展や真摯(しんし)な努力が重ねられた形跡も見受けられないから、憲法違反があったと判断せざるを得ない。

<田原睦夫裁判官>

47年の参院議員選挙法制定以後、社会、経済構造は著しく変革し、人口動態も大きく変動したにもかかわらず、制度の見直し作業は長らく放置され、選挙区選挙の改正が行われるのは94年まで待たなければならなかった。
しかも、既存制度への影響をできるだけ抑止しつつ最大格差を5倍以下に抑えるとの方針の下で行われたにすぎず、単なる弥縫(びほう)策との評価を受けてもやむを得ない。

何らの合理的理由もなく4倍を超える投票価値の格差が多数の選挙区で生じる違憲状態が長期間生じ、その解消には選挙制度の抜本的改正が必要であると96年判決で指摘されたのに、抜本的な改正がないまま施行された07年選挙は憲法に反する違法な選挙制度の下で施行されたものとして無効であるといわざるを得ない。しかし、選出議員への影響などにかんがみ違法と宣言するにとどめるのが相当。

<近藤崇晴裁判官>

最大格差は、投票価値の平等がほぼ実現されているといえる最大2倍未満の格差を著しく逸脱。
投票価値の著しい不平等が生じていたというほかなく、定数配分は全体として憲法14条1項に違反していたと考える。

なお、国会においては、4年後に施行される次々回の参院選までには、憲法の要求する投票価値の平等を他の政策的目的ないし理由との関連で調和的に実現するため、例えば選挙区割りの見直しなど参院議員の選挙制度の抜本的見直しを行うことが、憲法の要請にこたえるものというべきである。次々回選挙も抜本的見直しを行うことなく施行されるとすれば、定数配分が違憲とされるにとどまらず、事情判決の法理で選挙無効の請求を棄却することの是非が検討されることになろう。

<宮川光治裁判官>

衆院及び参院議員を選挙する権利は、国民の最も重要な基本的権利である。人口は国民代表の唯一の基礎で、投票価値の平等は憲法原則である。人口に比例して選挙区間の投票価値の比率を可能な限り1対1に近づけなければならない。衆院に対する抑制、均衡、補完の機能を通じ、国会の審議を慎重にする参議院の役割、独自性などを十全に機能させるべく、国会が考慮できる事柄があり得るとしても、最大格差が2倍を超えることがないようにすべきだ。

人口の移動、都市化、産業構造の変化に対応し、国会は奇数配分区の設定や、行政区にとらわれず大規模な区割りを試みる等、選挙制度を抜本的に改革すべきだったし、その試みは遅くとも94年の公選法改正時ころまでに実現すべきだった。

私は、定数配分は違憲無効の状態にあったと考える。将来、選挙結果を無効とすることがあり得ることを付言すべきだと考える。

現行の参議院議員の定員は

選挙区(都道府県単位47区)146人
比例代表選出(全国単位)96人
となっています。参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選ですから一つの選挙区に2名が最小定員です。選挙区は2~6名でその内訳は

北海道4人東京都10(9)人滋賀県2人香川県2人
青森県2人神奈川県6人京都府4人愛媛県2人
岩手県2人新潟県4人大阪府6人高知県2人
宮城県4人富山県2人兵庫県4人福岡県4人
秋田県2人石川県2人奈良県2人佐賀県2人
山形県2人福井県2人和歌山県2人長崎県2人
福島県4人山梨県2人鳥取県2人熊本県2人
茨城県4人長野県4人島根県2人大分県2人
栃木県2(3)人岐阜県4人岡山県2人宮崎県2人
群馬県2(3)人静岡県4人広島県4人鹿児島県2人
埼玉県6人愛知県6人山口県2人沖縄県2人
千葉県6(5)人三重県2人徳島県2人65

これで調整では無理ということは、都道府県を単位とする選挙区制度を崩して、隣接する県が2名ずつの選挙区をあわせて2名、余った2名を都市部の定員とする、ということになってしまいます。

さすがにこれは簡単に出来ることではないですが、その一方で裁判官の指摘には「時間切れだ」との意見もあって、次回の選挙がすでに1年以内になってしまいしたが、次の裁判では憲法違反の判決が出る可能性はかなり高くなったと言えるでしょう。

なによりも「5倍以内だから・・・」が否定されているところが大きいです。

10月 1, 2009 at 10:49 午前 国内の政治・行政・司法 |

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